[go: up one dir, main page]

JP6567382B2 - 素材のスクリーニング方法及びキット - Google Patents

素材のスクリーニング方法及びキット Download PDF

Info

Publication number
JP6567382B2
JP6567382B2 JP2015193535A JP2015193535A JP6567382B2 JP 6567382 B2 JP6567382 B2 JP 6567382B2 JP 2015193535 A JP2015193535 A JP 2015193535A JP 2015193535 A JP2015193535 A JP 2015193535A JP 6567382 B2 JP6567382 B2 JP 6567382B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
physical stimulation
effect
dullness
melanin
caused
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015193535A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017067612A (ja
Inventor
祐介 牧
祐介 牧
美穂 森田
美穂 森田
克彦 土田
克彦 土田
咲子 浅井
咲子 浅井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Naris Cosmetics Co Ltd
Original Assignee
Naris Cosmetics Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Naris Cosmetics Co Ltd filed Critical Naris Cosmetics Co Ltd
Priority to JP2015193535A priority Critical patent/JP6567382B2/ja
Publication of JP2017067612A publication Critical patent/JP2017067612A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6567382B2 publication Critical patent/JP6567382B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
  • Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)

Description

本発明は、物理刺激によって生じるくすみの改善効果を有する素材のスクリーニング方法及びキットに関する。具体的には、一酸化窒素(NO)を指標とした、物理刺激によって生じるくすみの改善効果を有する素材のスクリーニング方法及びキットに関する。
メラニンは、紫外線による細胞核のDNAの損傷を防ぐ等、生体内で重要な役割を果たしており、一定量のメラニンは生体にとって必要と言える。
一方で、シミ、ソバカス、くすみ、色むらの少ない肌は、女性の永遠の憧れであり、市場においては、それらに対する効果や即効性に優れた皮膚外用剤が常に求められてきた。
ところが、昨今、高い効果とは裏腹に、その過剰な効果がかえって病的な症状を引き起こすことが社会的な問題となってきた。
その為、現在では、色素沈着等皮膚に異常が起きている部分は改善し、異常が起きていない部分には影響が少ない素材の提供が求められるようになってきた。
肌のくすみとは、女性の肌の悩みの一つであり、シミやソバカス等の色素沈着とは異なり、必ずしもメラニン色素の沈着によるもののみを指すわけではない。くすみとは、一般に肌に透明感がなく明るさや艶が感じられない肌状態のことを指す。くすみの発生部位で見られる現象としては、角層の水分量低下やきめの乱れ、角層の重層化などの表面状態の悪化や、明度の低下などが知られており、その原因には、一時的な体調不良や精神的ストレス、紫外線の影響、加齢による機能低下、肌の摩擦や圧迫などの物理刺激に起因する肌荒れや血行不良、メラニン量の増加などが複合的に関与していると考えられている。
我々の皮膚は、顔等を洗う、メークをする、衣服や服飾品を身につける、目を擦る等、日常生活において、様々な物理刺激にさらされている。これらの物理刺激は、若年者・老齢者、或いは、紫外線照射の有無、ストレスの有無に関わらず日々発生し、反復されている。このような日常的に繰り返される物理刺激によって生じるくすみは、仮に紫外線を全く浴びない乳幼児であっても、摩擦・圧迫によって発生する点で、紫外線照射や加齢等の他の原因によるくすみとは区別される。
肌の摩擦・圧迫などの物理刺激よって発生したくすみ部位では、メラニン色素の沈着が生じていることが報告されている(非特許文献1)が、そのメラニン色素沈着過程については良く分かっていなかった。
このような状況であるにも関わらず、従来のくすみの対策は、その発生原因を区別することなく、メーキャップによるカバーやメラニン生成抑制・角質除去といった対症療法が行われていた。メーキャップによるカバーでは、もちろんくすみがある、という問題の解決には至らない。また、物理刺激により生じたくすみに対して、メラニン生成抑制を目的とする美白剤を使用した場合には、くすみ部位だけでなく、その周囲のメラニン生成も抑制されるためか、肌全体としては皮膚色が明るくなるものの、くすみ部位とその周囲の皮膚色の差は解消されず、くすみを改善するという当初の目的が達成されないということが経験的に知られていた。美白剤をくすみ部位に限局して使用する方法も考えられるが、くすみは、シミやソバカスなど、他の色素沈着とは異なって境界が不明瞭であり、色素沈着の程度の勾配に合わせて美白剤を適用するという方法は現実的には難しい。
このように物理刺激によって生じるくすみの原因に着目した解決は行なわれておらず、物理刺激によるくすみに効果がある素材のスクリーニング方法も確立されていなかった。
ところで、NOは、窒素酸化物(NOx)の一種であり、生体内で恒常的に存在することが知られている。また、紫外線照射により生体内でNOが発生することも知られている。
生体で恒常的に存在するNOは、L−アルギニン、NADPH、テトラヒドロビオプテリン、カルモジュリン等を基質としてNO合成酵素により作られ、極めて重要な生理活性分子として機能している。例えば、血管内皮由来弛緩因子(EDRF)の正体はNOであり、その他、神経系における情報伝達物質や免疫系での異物攻撃の役割を担っていることが知られている。それに対し、紫外線照射により発生したNOはメラノサイトを刺激し、メラニン生成を促進することが知られている(非特許文献2)。
一方、物理刺激によってケラチノサイトが活性化されNOが生成されることが知られているが(非特許文献3)、物理刺激によって発生したNOが生体内でどのような役割を担っているかは知られていなかった。
このような状況下、本発明者らは、物理刺激によるくすみを改善するには、最終結果物であるメラニン(合成反応経路を含む)そのものに影響を及ぼす素材ではなく、かつ、物理刺激に起因するくすみの発生経路を解明し、物理刺激によって生じたくすみを積極的に改善する素材を用いることが有用であるとの結論に至った。
G. Pedram, R.F. Steven, Dermatology Online Journal 16 (12) : 3 (2010) R. G. Christine, A. Edith, C. Monique, O. Jean-Paul, B. Robert, Journal of Clinical Investigation, 99 (4), 635-642 (1997) K. Ikeyama, S. Denda, M. Tsutsumi, M. Denda, Journal of Investigative Dermatology., 130, 1158-1166 (2010)
本発明は、物理刺激によって生じるくすみを改善する効果を有する素材を見出すスクリーニング方法及びキットの提供を課題としている。
本発明者らは上述の課題解決のために鋭意研究した結果、物理刺激により発生したNOがメラニン生成を促進していることを発見し、NOを指標に用いることで上記課題を解決した。
本発明によれば、物理刺激に起因する肌のくすみを改善する素材を選択することが可能になり、これにより選択された素材は、物理刺激によるくすみ部位の皮膚色と、その周囲の皮膚色の相対的な差を少なくすることができ、物理刺激に起因する肌のくすみを根本的に解決することができる。
荷重負荷が三次元培養ヒト皮膚モデルに与える影響 三次元培養ヒト皮膚モデルにおける荷重負荷とNOとの関係 荷重負荷によって発生したNOとメラニン生成との関係 目元くすみ改善効果テスト前におけるL*値比較 目元くすみ改善効果テストにおけるまぶたのL*値比較 目元くすみ改善効果テストにおける頬のL*値比較 目元くすみ改善効果テストにおける部位間のL*値比較 ワスレグサ花発酵液配合化粧料を使用した場合の効果確認写真
本発明は、くすみの中でも物理刺激によって生じるくすみを改善する素材のスクリーニング方法及びそれを使用したキットに関する発明であって、物理刺激によって生じたNOを指標とするものである。
本発明において「くすみ」とは、近隣の皮膚色と比較して相対的に明度が下がっている状態である部位をさす。
本発明において「物理刺激」とは、繰り返し行なわれるか否かは問わず、その強弱に関係なく、摩擦、圧迫等の物理的要因に発生する刺激をいい、紫外線や薬剤等の化学的刺激やストレス等の精神的刺激を除く意味である。
本発明において「物理刺激によって生じるくすみを改善する」とは、物理刺激によって生じるくすみを解消するという意味であり、防御、抑制、改善を含む概念である。
本発明において「NOを指標にする」とは、被験素材適用前後のNO量を指標にするという意味であり、消去率、生成促進率のいずれでも良い。消去率を指標とする場合はNO消去率が高いものを選択すればよく、生成促進率を指標とする場合は、NO生成促進率が低いものを選択すれば良いだけである。言い換えれば、最終的に被験素材の適用によってNOの存在量が下がったものを選択するという趣旨である。
本発明におけるスクリーニング方法では、強制的にNOを発生させた環境下で被験素材を適用させても良いし、既に一定のNOが存在する環境下において被験素材を適用させても良い。必ずしも細胞を用いて試験を行う必要はない。試験管レベルでNOの存在量の変化を確認しても良い。いずれの場合であっても、被験素材の適用によりNO量の減少効果が高いものを選択することで、物理刺激によるくすみを改善する素材をスクリーニングすることが出来る。
より厳密に物理刺激によって発生したNOを消去する素材を選択するには、人為的に発生させたNO量を測定し、人為的に増加させた分だけのNOを減少させる素材を選択することが望ましい。
もっとも、厳密に人為的に増加させた分だけを減らす素材だけを選択する必要はなく、選択した素材の皮膚内への浸透程度を考慮することができる。
NOを発生させる方法は、公知の方法を用いれば良い。例えばNO発生剤を用いれば良く、NOC−5(1−Hydroxy−2−oxo−3−(3−aminopropyl)−3−isopropyl−1−triazene)(同仁化学)、NOC−7(1−Hydroxy−2−oxo−3−(N−methyl−3−aminopropyl)−3−methyl−1−triazene)(同仁化学)、NOC−12(1−Hydroxy−2−oxo−3−(N−ethyl−2−aminoethyl)−3−ethyl−1−triazene)(同仁化学)、NOC−18(1−Hydroxy−2−oxo−3,3−bis(2−aminoethyl)−1−triazene)(同仁化学)等を使用することができる。
NOの存在量を確認する方法は、公知の方法を用いれば良い。例えばNOの酸化物であるNO を測定することでNO量を測定するGriess法を用いて、NO消去効果の評価をすることが出来る。Griess法による測定は、市販のNO/NOAssay Kit−CII(Colorimetric)(同仁化学)やNitric Oxide Fluorometric Assay Kit(BioVision)等を使用することができる。
上記のようにして選択された被験素材の中から、更にNO以外に起因するメラニンの産生能を指標として加えることで、より好ましい素材を選択することが出来る。
物理刺激によるくすみを改善するには、NOを指標とすれば十分であるが、皮膚外用剤に使用される各種素材は、単独の効果だけでなく複数の効果を有することが多い。その為、NO消去効果を有する素材の中には、例えばチロシナーゼ活性阻害能を合わせて有する素材が存在する。このような素材は、理論的には、物理刺激に起因するくすみを改善するだけでなく、物理刺激とは関係なく生成されるメラニンの生成を阻害することも可能である。そうすると、本来必要であるメラニンまでも生成阻害することになり、過剰な効果を引き起こす可能性がある。そこで、NOを指標とする以外に、NO以外に起因するメラニンの産生能を指標として加えることで、過剰な効果を引き起こす可能性ある素材を排除することが可能になり、より好ましいと言える。
もっとも、前述したNO消去効果と同様、選択した素材の皮膚への浸透度を考慮することができる。
具体的な手法として、予めNO量を減少させる素材を選択した後、NO以外に起因するメラニンの産生を抑制しない素材を選択しても良いし、NO以外に起因するメラニンの産生を抑制しない素材を選択した後に、NO量を減少させる素材を選択しても良い。これらを同時に行なってもよい。いずれの場合においても、被験素材の適用によって、NOの存在量を減少させるが、NO以外に起因するメラニンの産生を抑制する能力がない素材を選択すればよい。
NO以外を発生原因とするメラニン生成能を指標にするとは、紫外線照射やチロシナーゼ等の各種酵素活性、情報伝達物質等、NO以外を原因とするメラニン生成抑制能を指標にするという意味であり、これらを原因とするメラニン生成を抑制する能力を積極的に有していないものを選択するという趣旨である。全く有していないものが望ましいが、多少効果が確認出来ても差し支えない。本指標は、最終的に選択した素材が、過剰な効果を有していないことを期待するものであるから、その限度において多少の効果が見られるものでも使用できる。
NO以外を発生原因とするメラニン生成抑制能の有無を確認するには、公知の方法を用いれば良い。例えばB16メラノーマ細胞を用いたメラニン生成抑制評価法、チロシナーゼ活性抑制評価法、くすみが発生していない部位の角層細胞中のメラニン顆粒染色法等が挙げられる。これらの方法において、メラニン生成抑制能がない素材を選択すれば良い。必ずしも細胞を用いて試験を行う必要はない。試験管レベルで、確認を行なってもよい。いずれの場合であっても、被験素材の適用した際に、NO以外を原因とするメラニン生成抑制能がないもの選択すれば良い。
ここで、「NO以外を原因とするメラニン生成抑制能がない」とは、一般に効果が期待できないと判定できるレベルを指し、例えば、精製水等の陰性対象と比較した場合に、統計的な有意差がみられない等によって判別できる。
被験素材は、特に制限はない。動物由来エキス、菌類の培養物、又はこれらの酵素等処理物、化合物又はその誘導体等であっても被検物質として用いることが出来、液状の他、粉末状、ジェル状等であっても差し支えない。また、そのままでは培地に溶解しない場合は、界面活性剤等の可溶化剤を適宜使用することにより溶解させることで被験素材として用いることができる。抽出の方法は、特に限定されない。添加濃度については、細胞を用いる場合は、エキス等を添加から24時間後に明らかに細胞が死滅していなければ、どの濃度でも問題ない。
本発明のスクリーニング方法を用いたキットは、当該方法を使用していれば特に限定はされない。一つのキットで本発明のスクリーニング方法を具備するものでも良いし、二つ以上キットに分かれていても差し支えない。例えば、三次元培養ヒト皮膚モデルとこれに適した培地、使用する重りをセットにしたもの等が考えられる。
以下、本発明を実施例について具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。また、特記しない限り配合量は質量%で示す。
<三次元培養ヒト皮膚モデルを用いた実験>
三次元培養ヒト皮膚モデルを用いて、荷重負荷がメラニン生成に与える影響を確認した。
三次元培養ヒト皮膚モデルMEL−300A(倉敷紡績)を37℃、5%CO下で培養し、2〜3日に1回培地EPI−100LLMM(倉敷紡績)の交換を行った。
ヒト皮膚における物理刺激の再現として、三次元培養ヒト皮膚モデルに荷重をかけ、荷重をかけない群と比較することでその影響を確認した。荷重をかける群では、毎回の培地交換後に重り(約5.0g)を各皮膚モデルカップの上に30分間静置し、その後重りを取り除き、培養を継続した。
サンプルを添加する場合は、毎回の培地交換後の培地中に、サンプル(被験素材又は公知の一酸化窒素消去剤)を各終濃度になるように添加した後、重り(約5.0g)を各皮膚モデルカップの上に30分間静置し、その後重りを取り除き、培養を継続した。
培地交換から次の培地交換前までを1回の培養とし、上記培養を7回繰り返した。
メラニン生成量は、培養開始3週間後に下記の実験手法を用いて測定した。
尚、公知の一酸化窒素消去剤は、Carboxy−PTIO(1−Hydroxy−2−oxo−3−(3−aminopropyl)−3−isopropyl−1−triazene)(同仁化学)をPBS(−)で溶解させて、終濃度が50μMとなるように培地中に添加した。
<メラニン生成量測定>
三次元培養ヒト皮膚モデルをPBS(−)で洗浄後、カップから細胞を剥がしてエッペンチューブに入れ、2N NaOHaq800μLを添加した。その後、100℃下で30分間煮沸し、3500rpmで5分間遠心分離した。この上清を96ウェルプレートに350μL移し、405nm、655nmの吸光度(A405、A655)を測定した。さらに、この上清40μLを別の96ウェルプレートに移し、BCA法に従い、540nm、655nmの吸光度(B540、B655)を測定しタンパク量を測定した。得られた吸光度から以下の式によりメラニン生成促進率を算出した。
式1
式2
図1は、ヒト皮膚において繰り返し行われる物理刺激を、三次元培養ヒト皮膚モデルを用いて再現した結果である。
三次元培養ヒト皮膚モデルに重りにより荷重をかけたときのメラニン生成量は、荷重をかけていないときと比べて、有意に増加するということが確認された。このことから、本方法により、繰り返し行われる物理刺激によって生じる、色素沈着を含むくすみ現状を再現することができた(図1)。
〔0033〕の実験の1回目の荷重負荷直後の培地を採取し(荷重をかけない群では、1回目の荷重をかけた直後と同時期に培地を採取)、下記の実験手法を用いて培地中のNO量を測定した(図2)。
<NO量測定試験(Nitric Oxide Fluorometric Assay)>
Nitric Oxide Fluorometric Assay(BioVision)を用いて、蛍光プレートリーダーで360nmの励起波長、465nmの蛍光波長での蛍光強度を測定し培地中に含まれるNO量を測定した。皮膚モデルに荷重負荷をかけていない場合のNO量を100%とした場合における相対比をNO量(%)として算出した。
式3
図2は、細胞から培地に放出されるNO量を、荷重をかけなかった場合を100%とした場合の相対値を比較したものである。
三次元培養ヒト皮膚モデルに荷重をかけたときの培地から検出されるNO量は、荷重負荷によって増加した。また、荷重負荷によって増加したNO量は、公知のNO消去剤であるCarboxy−PTIOの添加により消去されることが確認された。
図3は、〔0033〕において三次元培養ヒト皮膚モデルに荷重をかけた群に加えて、一般のNO消去剤をサンプルとして添加した場合のメラニン生成促進率を確認した結果である。荷重負荷によって生成が促進されたメラニン量が、NO消去剤の添加によって減少していることが確認された。
以上の結果から、三次元培養ヒト皮膚モデルに対する荷重負荷は、メラニン生成を促し、ここにNOが関与することを確認した。このことにより、まぶた等のくすみ発生にはアイメークなどの繰り返し行われる物理刺激によって生じるNOが関与している可能性が示唆された。
NO発生剤としてNOC−5(1−Hydroxy−2−oxo−3−(3−aminopropyl)−3−isopropyl−1−triazene)(同仁化学)を使用し、下記の実験手法を用いてNO消去効果を有する素材をスクリーニングした。
<被験素材の調製>
被験物質の植物バベンソウ(Verbena officinalis)の葉及び茎、ウラジロガシ(Quercus salicina)の葉、柿(Diospyros kaki Thunberg)の葉、クロモジ(Lindera umbellata)の葉及び茎、ナズナ(Capsella bursa-pastoris)の葉及び茎、ヤナギマツタケ(Agrocybe cylindracea)の子実体、ゴボウ(Arctium lappa L.)の根の抽出物は、乾燥重量1gに10倍量の50%エタノールを10g加えて60℃、3時間加熱抽出した。抽出後、ろ過をし、植物原体を取り除いた後、固形蒸発残分が1%になるように蒸留水で希釈した。以上の操作によって、固形蒸発残分が1%になるように調製した植物抽出物を得た。ワスレグサ花発酵液は、ワスレグサ(Hemerocallis fulva及びHemerocallis flava及びHemerocallis minor)の蕾粉末の水懸濁液を酵母(Saccharomyces cerevisiae)で発酵させることにより、その抽出液を得た。
<NO消去効果評価試験(Griess法)>
96ウェルプレートにPBS(−)を10μL、緩衝液(pH=7.6)を40μL、〔0045〕で調製した被験素材を10μL添加した。その後、50μMに調製したNOC−5(同仁化学)溶液40μLを添加して、室温で30分間反応させた。反応終了後、Griess法に従い、マイクロプレートリーダーで540nmの吸光度を測定した。
サンプル群として被験素材添加群の吸光度をS540、コントロール群として被験素材無添加群の吸光度をC540、ブランク群としてPBS(−)及び緩衝液のみの群の吸光度をB540として以下の式でNO消去率(%)を算出した。
式4
効果が高かったものとして、エタノール水溶液で抽出して得られたクロモジ(葉及び茎)、ウラジロガシ(葉)、バベンソウ(葉及び茎)、柿(葉)の抽出物や酵母で発酵させて得られたワスレグサ花発酵液が挙げられ、これらについては、NO消去効果ありと判定した。中でもワスレグサ花発酵液は、NO消去率が36.7%と特に高い結果を得た。
一方、ナズナ(葉及び茎)、ヤナギマツタケ(子実体)、ゴボウ(根)の抽出物は、NO消去率が2〜5%と低く、これらはNO消去効果なしと判定した。結果を〔表1〕に示す。
マウスメラノーマ細胞(B16melanoma細胞)5.0×10cells/mLを0.2mL10%FBS含有ダルベッコ改変イーグル培地(GIBCO)に分散し、12ウェルプレートに1mL播種し、37℃、5%CO下で培養した。24時間後、被検物質(乾燥残分)を最終濃度50ppm、100ppmとなるように添加した。細胞播種から96時間培養後、培地を捨てPBS(−)で洗浄し、2N NaOHを500μL添加した。100℃下で30分間煮沸し、3500rpmで1分間遠心分離した。この上清を96ウェルプレートに350μL移し、405nm、655nm(A405、A655)の吸光度を測定した。さらに、この上清40μLを96ウェルプレートに移し、BCA法に従い、540nm、655nm(B540、B655)の吸光度を測定しタンパク量を測定した。得られた吸光度から〔式1〕〔式2〕によりメラニン生成抑制率を算出した。
〔表1〕より、NO消去効果の高かった素材〔クロモジ(葉及び茎)抽出物、ウラジロガシ(葉)抽出物、バベンソウ(葉及び茎)抽出物、柿(葉)抽出物、ワスレグサ花発酵液〕をB16melanomaに添加し、メラニン生成抑制効果を確認した。その結果、クロモジ抽出物、柿(葉)抽出物は、100ppmにおいてコントロール(陰性対象)に比べ、タンパク当りのメラニン量は85〜88%のメラニン生成抑制効果が確認された。これらについては、メラニン生成抑制効果ありと判定した。
一方、バベンソウ(葉及び茎)抽出物、ウラジロガシ(葉)抽出物、ワスレグサ花発酵液は、低濃度においても、高濃度においてもコントロール(陰性対象)と同程度の値を示したので、これらについては、NO以外に起因するメラニン生成を抑制する効果はなしと判定した。結果を〔表2〕に示す。
NO消去効果が高く、NO以外に起因するメラニンの生成を抑制する効果がない成分として選択されたワスレグサ花発酵液に関し、〔0033〕の方法を用いて、荷重をかけた細胞での効果を確認した。その結果、荷重負荷によって促進されたメラニン量がワスレグサ花発酵液濃度依存的に抑制することが観察された。これにより、ワスレグサ花発酵液は、物理刺激によって発生したNOを消去することでメラニン生成抑制効果を発揮し、過度な効果ではないことが推測された。結果を〔表3〕に示す。
<人での効果試験>
物理刺激としてアイメークをする習慣があり、まぶたのくすみが気になる20〜50代の女性8名に前述のワスレグサ花発酵液を配合した化粧水を8週間使用していただき、使用前後の皮膚色を比較した。試験は、ワスレグサ花発酵液を2%配合した化粧水と、ワスレグサ花発酵液を精製水に置き換えた化粧水を左右半顔ずつそれぞれ朝晩1日2回塗布していただき、4週間、8週間後に分光測色計(YOKOGAWA)を用いて皮膚色を測定した。また、試験は二重盲検法にて実施した。
使用した化粧水の処方は以下の通り。
<化粧水>(質量%)
(1)1,3−ブチレングリコール 10.00
(2)グリセリン 2.00
(3)モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.) 0.15
(4)エタノール 5.00
(5)ワスレグサ花発酵液(又は精製水) 2.00
(6)防腐剤 適 量
(7)精製水 残 部
合計 100
<製法>(1)〜(7)を常法により混合・攪拌し、化粧水を得た。
測定部位は、アイメークなどで日頃物理刺激を受ける頻度が高いまぶたと頻度が低い頬で行った。冒頭にも論述したが、くすみとは、周囲の皮膚色と比較して暗く見える現象である。そこで、周囲との皮膚色の差を評価するために、まぶた、頬それぞれの皮膚色と、これらと隣接する部位として、目の横の皮膚色を引いた値をくすみ度合いと定義した。また、このくすみ度合いは〔式5〕に示す式で定義し算出した。
式5
被験者のまぶたおよび頬の試験開始前のL*値について見てみると、まぶたのくすみ度合いは頬のくすみ度合いに比べて値が低く、皮膚色が暗いことがわかった(図4)。
L*値について、日常的に物理刺激を受けNOが生じていると考えられるまぶたにおいて、ワスレグサ花発酵液を配合した化粧水を塗布したところ、配合していない化粧水を塗布した場合と比べて、有意なL*値の増加が見られ、まぶたにおいてくすみ度合いが改善されたことがわかった(図5、図6、図7)。
日常的に物理刺激を受けNOが生じていると考えられるまぶたにおいて、NO消去効果の高いワスレグサ花発酵液を配合した化粧水を塗布したところ、まぶたのくすみの度合いが小さくなり、物理刺激によるくすみ改善効果が確認できた。実際のくすみの変化を写真に示す(図8)。
本発明の方法によれば、物理刺激によるくすみ形成抑制効果のある素材をスクリーニングすることができる。従って、物理刺激によるくすみ形成の予防及び/又は治療用の医薬や化粧品の開発に有用である。

Claims (3)

  1. (1) 一酸化窒素消去効果を有する素材を選別するステップ
    (2) 人為的に発生させた一酸化窒素以外に起因したメラニン生成を抑制する効果を有 しない素材を選別するステップ
    を含む 物理刺激によって生じるくすみを改善する効果を有する素材のスクリーニング方法。
  2. メラニン生成能を有する細胞を用いたスクリーニング方法において
    (1) 被験素材を添加するステップ
    (2) ケラチノサイトとメラニン生成能を有する細胞とを併存させた状態で、 ケラチノサイトに物理刺激を与える群(A群)と、 ケラチノサイトに物理刺激を与えない群(B群)を設けるステップ を含み、 A群ではメラニン生成抑制効果を示し、かつ、B群ではメラニン生成抑制効果を有しない被験素材を選択する物理刺激によって生じるくすみを改善する効果を有する素材のスクリーニング方法。
  3. 請求項2に記載のスクリーニング方法に用いるキットであって、
    ケラチノサイトに物理刺激を与えて培養する手段と
    ケラチノサイトに物理刺激を与えないで培養する手段とを有する
    物理刺激によって生じるくすみを改善する効果を有する素材のスクリーニングキット
JP2015193535A 2015-09-30 2015-09-30 素材のスクリーニング方法及びキット Active JP6567382B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015193535A JP6567382B2 (ja) 2015-09-30 2015-09-30 素材のスクリーニング方法及びキット

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015193535A JP6567382B2 (ja) 2015-09-30 2015-09-30 素材のスクリーニング方法及びキット

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017067612A JP2017067612A (ja) 2017-04-06
JP6567382B2 true JP6567382B2 (ja) 2019-08-28

Family

ID=58493052

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015193535A Active JP6567382B2 (ja) 2015-09-30 2015-09-30 素材のスクリーニング方法及びキット

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6567382B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7059015B2 (ja) * 2018-01-12 2022-04-25 株式会社ナリス化粧品 踵荒れ抑制剤のスクリーニング方法及びキット
JP7024004B2 (ja) * 2020-03-30 2022-02-22 株式会社ナリス化粧品 角栓形成予防・改善剤のスクリーニング方法

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000080023A (ja) * 1998-06-30 2000-03-21 Kanebo Ltd 美白化粧料及びメラニン生成抑制剤
JP2009204452A (ja) * 2008-02-28 2009-09-10 Shiseido Co Ltd マッサージ方法の評価方法
JP5275898B2 (ja) * 2009-05-21 2013-08-28 ポーラ化成工業株式会社 皮膚状態の評価方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017067612A (ja) 2017-04-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN101180030B (zh) 化妆品及皱纹改善剂
US20230193196A1 (en) Bifidobacterium animalis subsp. lactis gfc-b09 strain and cosmetic composition containing same
EP3328345B1 (en) Sheet packs for treating facial or body surfaces
JP6788966B2 (ja) 化粧料
TWI784229B (zh) 金銀花發酵物的製備方法及其改善皮膚外觀與抗老化的用途
CN109223677B (zh) 一种薏米水解物、其制备方法及其在化妆品中的应用
JP2024056871A (ja) 毛髪化粧料
JP6156899B2 (ja) サバイビン発現の刺激による抗老化美容ケアの方法
JP6567382B2 (ja) 素材のスクリーニング方法及びキット
KR101412713B1 (ko) 검버섯 및 잔주름 개선기능을 갖는 생약숙성탕액을 이용한 천연비누 및 그 제조방법
JP2011520768A (ja) 皮膚のバリア機能を改善するための、fn3kおよび/またはfn3krpの発現を刺激するための有効薬剤の化粧上の使用
CN115518012B (zh) 一种具有抑制黑色素蛋白、改善黑眼圈和眼袋功效的组合物及应用
CN104434647A (zh) 一种含有青稞β-葡聚糖的滋养调理润肤液及其制备方法
WO2013050697A2 (fr) Utilisation de glucanes obtenus a partir de prunus persica comme agent cosmetique anti-age
KR102022408B1 (ko) 다발방패버섯 발효물을 포함하는 항노화 조성물 및 그 제조방법
KR100472919B1 (ko) 수용성 미백 조성물 및 그를 함유하는 피부 미백용 화장료조성물
EP2958547A2 (fr) Utilisation cosmétique de la queuine
JP6282243B2 (ja) 発酵熟成プラセンタ溶液の製造方法
FR2941376A1 (fr) Utilisation cosmetique anti-stress et/ou anti-age d'un principe actif issu de panicum miliaceum, principe actif, procede d'obtention et compositions
KR102446103B1 (ko) 복합 추출물의 제조방법 및 이를 포함하는 두피 및 모발용 화장료 조성물
JP6886921B2 (ja) 皮膚の蛍光着色剤としてのHylocereus undatus果実抽出物の使用
EP4262738B1 (fr) Procede d'obtention d'extraits aqueux de feuilles de thes, compositions comprenant de tels extraits et leurs utilisations cosmetiques
EP3995129B1 (en) Cosmetic composition comprising dahlia pinnata fermented extract as active ingredient, dahlia pinnata composition and method for preparing the same
EP4475816A1 (fr) Procede d'obtention d'extraits vegetaux comprenant une etape d'autofermentation, compositions comprenant de tels extraits et leurs utilisations cosmetiques
Tilaar et al. Study on the Safety and Efficacy of Indonesian Combination Plant Extract in Cosmetics

Legal Events

Date Code Title Description
A80 Written request to apply exceptions to lack of novelty of invention

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A80

Effective date: 20151019

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180319

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20181026

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20181211

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190208

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190730

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190731

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6567382

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250