JP6566738B2 - 光電変換素子、太陽電池、および、光電変換素子の多孔質層の形成方法 - Google Patents
光電変換素子、太陽電池、および、光電変換素子の多孔質層の形成方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6566738B2 JP6566738B2 JP2015124712A JP2015124712A JP6566738B2 JP 6566738 B2 JP6566738 B2 JP 6566738B2 JP 2015124712 A JP2015124712 A JP 2015124712A JP 2015124712 A JP2015124712 A JP 2015124712A JP 6566738 B2 JP6566738 B2 JP 6566738B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- photoelectric conversion
- porous layer
- group
- solvent
- conversion element
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Classifications
-
- H—ELECTRICITY
- H10—SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
- H10K—ORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
- H10K85/00—Organic materials used in the body or electrodes of devices covered by this subclass
- H10K85/50—Organic perovskites; Hybrid organic-inorganic perovskites [HOIP], e.g. CH3NH3PbI3
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E10/00—Energy generation through renewable energy sources
- Y02E10/50—Photovoltaic [PV] energy
- Y02E10/549—Organic PV cells
Landscapes
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Materials Engineering (AREA)
- Photovoltaic Devices (AREA)
Description
本発明は、ペロブスカイト化合物を含む光吸収剤を多孔質層表面に有する光電変換素子であって、光電変換効率に優れ、且つ、素子間の光電変換効率のばらつきを高度に低減することができる光電変換素子を提供することを課題とする。また本発明は、上記光電変換素子を用いた太陽電池を提供することを課題とする。さらに本発明は、上記光電変換素子の製造に好適な多孔質層の形成方法を提供することを課題とする。
本発明はこれらの知見に基づきさらに検討を重ね、完成されるに至ったものである。
〔1〕
導電性支持体上に、多孔質層と、光吸収剤を含む感光層とをこの順に有する第一電極と、第一電極に対向する第二電極とを有する光電変換素子であって、
上記光吸収剤が、周期表第一族元素のカチオンまたは有機カチオンと、周期表第一族元素以外の金属原子のカチオンと、アニオンとを有するペロブスカイト型結晶構造を持つ化合物を含み、
上記多孔質層が、チタン、スズ、亜鉛、ジルコニウムもしくはケイ素の酸化物、および、カーボンナノチューブからなる群より選択される多孔質材料であって、多孔質層の膜厚が160nm〜100μmであり、
上記多孔質層表面の最大山高さRpが0.20μm以下であり、且つ、上記多孔質層表面の最大谷深さRvが−0.20μm以上である、光電変換素子。
〔2〕
上記多孔質層に含有する上記多孔質材料が酸化チタンである、〔1〕に記載の光電変換素子。
〔3〕
上記多孔質材料の、投影面積を円に換算したときの直径を用いた平均粒径における、1次粒径が0.001μm〜1μmである、〔1〕または〔2〕に記載の光電変換素子。
〔4〕
上記ペロブスカイト型結晶構造を持つ化合物が、下記式(I)で表される、〔1〕〜〔3〕のいずれか1つに記載の光電変換素子。
AaMmXx 式(I)
式中、Aは周期表第一族元素またはカチオン性有機基を表す。Mは周期表第一族元素以外の金属原子を表す。Xはアニオン性原子またはアニオン性原子群を表す。
aは1または2を表し、mは1を表し、a、mおよびxはa+2m=xを満たす。
〔5〕
上記Rpが0.15μm以下であり、且つ、上記Rvが−0.15μm以上である、〔1〕〜〔4〕のいずれか1つに記載の光電変換素子。
〔6〕
上記Rpが0.15μm以下であり、且つ、上記Rvが−0.09μm以上である、〔1〕〜〔5〕のいずれか1つに記載の光電変換素子。
〔7〕
〔1〕〜〔6〕のいずれか1つに記載の光電変換素子を用いた太陽電池。
〔8〕
光電変換素子における多孔質層の形成方法であって、
上記光電変換素子が、導電性支持体上に、多孔質層と、光吸収剤を含む感光層とをこの順に有する第一電極と、第一電極に対向する第二電極とを有し、
上記光吸収剤が、周期表第一族元素のカチオンまたは有機カチオンと、周期表第一族元素以外の金属原子のカチオンと、アニオンとを有するペロブスカイト型結晶構造を持つ化合物を含み、
上記多孔質層が、チタン、スズ、亜鉛、ジルコニウムもしくはケイ素の酸化物、および、カーボンナノチューブからなる群より選択される多孔質材料であって、多孔質層の膜厚が160nm〜100μmであり、
上記多孔質層の形成方法が、前記導電性支持体上に多孔質材料を分散してなるペーストを塗布する工程と、塗布したペーストを、該ペーストに用いた溶媒のうち沸点が最も高い溶媒の沸点以上の温度で焼成し、最大山高さRpが0.20μm以下且つ最大谷深さRvが−0.20μm以上の表面を有する多孔質層を形成する工程とを含み、
上記ペーストの溶媒中に、沸点200℃以上の溶媒が1質量%以上含まれる、形成方法。
〔9〕
上記多孔質層に含有する前記多孔質材料が酸化チタンである、〔8〕に記載の形成方法。
〔10〕
上記多孔質材料の、投影面積を円に換算したときの直径を用いた平均粒径における、1次粒径が0.001μm〜1μmである、〔8〕または〔9〕に記載の形成方法。
〔11〕
上記ペロブスカイト型結晶構造を持つ化合物が、下記式(I)で表される、〔8〕〜〔10〕のいずれか1つに記載の形成方法。
AaMmXx 式(I)
式中、Aは周期表第一族元素またはカチオン性有機基を表す。Mは周期表第一族元素以外の金属原子を表す。Xはアニオン性原子またはアニオン性原子群を表す。
aは1または2を表し、mは1を表し、a、mおよびxはa+2m=xを満たす。
〔12〕
上記ペースト中の溶媒が、沸点200℃以上の溶媒を10〜50質量%含有する、〔8〕〜〔11〕のいずれか1つに記載の形成方法。
〔13〕
上記沸点200℃以上の溶媒が、沸点230℃以上の溶媒である、〔8〕〜〔12〕のいずれか1つに記載の形成方法。
〔14〕
上記沸点200℃以上の溶媒が、沸点260℃以上の溶媒である、〔8〕〜〔12〕のいずれか1つに記載の形成方法。
〔15〕
上記沸点200℃以上の溶媒がオリゴアルキレングリコール及びグリコールエーテルから選ばれる、〔8〕〜〔14〕のいずれか1つに記載の形成方法。
〔16〕
上記導電性支持体上に上記多孔質材料を分散してなるペーストを塗布する工程の後、塗布したペーストを、40℃以上で、且つ、上記ペーストに用いた溶媒中で沸点が最も高い溶媒の沸点以下の温度で、10分間以上熱し、次いで、上記ペーストに用いた溶媒中で沸点が最も高い溶媒の沸点以上の温度で焼成する、〔8〕〜〔15〕のいずれか1つに記載の形成方法。
〔17〕
上記導電性支持体上に上記多孔質材料を分散してなるペーストを塗布する工程の後、塗布したペーストを、有機溶媒雰囲気下で10分間以上静置し、次いで、上記ペーストに用いた溶媒中で沸点が最も高い溶媒の沸点以上の温度で焼成する、〔8〕〜〔16〕のいずれか1つに記載の形成方法。
本発明の光電変換素子は、導電性支持体と、多孔質層と、光吸収剤を含む感光層とを有する第一電極と、第一電極に対向する第二電極とを有し、好ましくは、第一電極と第二電極の間に設けられた正孔輸送層を有する。多孔質層、感光層および第二電極はこの順で導電性支持体上に設けられている。また、光電変換素子が正孔輸送層を有する場合には、多孔質層、感光層、正孔輸送層および第二電極はこの順で導電性支持体上に設けられている。
光吸収剤は、後述するペロブスカイト化合物を少なくとも1種含んでいる。光吸収剤は、ペロブスカイト化合物と併せて、ペロブスカイト化合物以外の光吸収剤を含んでいてもよい。ペロブスカイト化合物以外の光吸収剤としては、例えば金属錯体色素および有機色素が挙げられる。
本発明において、多孔質層上に感光層を有する態様としては、例えば、感光層が、多孔質層の表面に薄い膜状等に設けられる態様(図1参照)、多孔質層の表面に厚く設けられる態様(図2および3参照)が挙げられる。感光層は、線状または分散状に設けられてもよいが、好ましくは膜状に設けられる。
また、導電性支持体の表面上方に他の層を介して多孔質層を有する態様としては、例えば、ブロッキング層の表面に多孔質層が設けられる態様(図1〜3参照)が挙げられる。
図1〜図3において、同じ符号は同じ構成要素(部材)を意味する。
なお、図1〜図3は、多孔質層12を形成する微粒子の大きさを強調して示してある。実際には、多孔質層12は微粒子が密にパックされた状態にある。これらの微粒子は、好ましくは、導電性支持体11に対して水平方向および垂直方向に詰まり(堆積または密着して)、多孔質構造を形成している。
この光電変換素子10Aは、第一電極1Aと、第二電極2と、第一電極1Aと第二電極2の間に、後述する正孔輸送材料を含む正孔輸送層3Aとを有している。
第一電極1Aは、支持体11aおよび透明電極11bからなる導電性支持体11と、多孔質層12と、多孔質層12上に感光層13Aとを有している。また透明電極11b上にブロッキング層14を有し、ブロッキング層14上に多孔質層12が形成される。このように多孔質層12を有する光電変換素子10Aは、感光層13Aの表面積が大きくなるため、電荷分離および電荷移動効率が向上すると推測される。
すなわち、光電変換素子10Aにおいて、導電性支持体11を透過して、または第二電極2を透過して感光層13に入射した光は光吸収剤を励起する。励起された光吸収剤はエネルギーの高い電子を有しており、この電子を放出できる。エネルギーの高い電子を放出した光吸収剤は酸化体となる。
なお、上記他の層としてのブロッキング層14が導体または半導体により形成された場合もブロッキング層14での電子伝導が起こる。
また、電子輸送層15でも、電子伝導が起こる。
第一電極1は、導電性支持体11と感光層13とを有し、光電変換素子10において作用電極として機能する。
第一電極1は、図1〜3に示されるように、感光層13および多孔質層12に加え、短絡防止の点でブロッキング層14を有することが好ましい。
導電性支持体11は、導電性を有し、感光層13等を支持できるものであれば特に限定されない。導電性支持体11は、導電性を有する材料、例えば金属で形成された構成、または、ガラスもしくはプラスチックの支持体11aとこの支持体11aの表面に形成された導電膜としての透明電極11bとを有する構成が好ましい。
支持体11aおよび導電性支持体11の厚みは、特に限定されず、適宜の厚みに設定される。例えば、0.01μm〜10mmであることが好ましく、0.1μm〜5mmであることがさらに好ましく、0.3μm〜4mmであることが特に好ましい。
透明電極11bを設ける場合、透明電極11bの膜厚は、特に限定されず、例えば、0.01〜30μmであることが好ましく、0.03〜25μmであることがさらに好ましく、0.05〜20μmであることが特に好ましい。
本発明においては、光電変換素子10A、10B、および10Fのように、好ましくは、透明電極11bの表面に、すなわち、導電性支持体11と、多孔質層12との間に、ブロッキング層14を有している。
光電変換素子および太陽電池において、例えば感光層13または正孔輸送層3と、透明電極11bとが電気的に接続すると逆電流を生じる。ブロッキング層14は、この逆電流を防止する機能を果たす。ブロッキング層14は短絡防止層ともいう。
ブロッキング層14を形成する材料は、例えば、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、ポリビニルアルコール、ポリウレタン等が挙げられる。また、一般的に光電変換材料に用いられる材料でもよく、例えば、酸化チタン、酸化スズ、酸化ニオブ、酸化タングステン、酸化亜鉛等も挙げられる。なかでも、酸化チタン、酸化スズ、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛等が好ましい。
本発明において、「ブロッキング層」は、その膜厚が150nm以下である。したがって、本発明において「ブロッキング層」は、膜厚が150nmを超える、後述する「多孔質層」とは、膜厚の点において明確に異なる。
ブロッキング層14の膜厚は、0.001〜150nmが好ましく、0.005〜130nmがさらに好ましく、0.01〜100nmが特に好ましい。
本発明において、光電変換素子10は、透明電極11b上に多孔質層12を有している。ブロッキング層14を有している場合、多孔質層12はブロッキング層14上に形成されることが好ましい。
多孔質層12は、表面に感光層13を担持する足場として機能する層である。太陽電池において、光吸収効率を高めるためには、少なくとも太陽光等の光を受ける部分の表面積を大きくすることが好ましく、多孔質層12の全体としての表面積を大きくすることが好ましい。
多孔質層12の表面積を大きくするには、多孔質層12を構成する個々の微粒子の表面積を大きくすることが好ましい。本発明では、多孔質層12を形成する微粒子を導電性支持体11等に塗設した状態で、この微粒子の表面積が投影面積に対して10倍以上であることが好ましく、100倍以上であることがより好ましい。この上限には特に制限はないが、通常5000倍程度である。多孔質層12を形成する微粒子の粒径は、投影面積を円に換算したときの直径を用いた平均粒径において、1次粒子として0.001〜1μmが好ましい。微粒子の分散物を用いて多孔質層12を形成する場合、微粒子の上記平均粒径は、分散物の平均粒径として0.01〜100μmが好ましい。
多孔質材料としては、例えば、金属のカルコゲニド(例えば酸化物、硫化物、セレン化物等)、ペロブスカイト型結晶構造を有する化合物(後述する光吸収剤を除く。)、ケイ素の酸化物(例えば、二酸化ケイ素、ゼオライト)、またはカーボンナノチューブ(カーボンナノワイヤおよびカーボンナノロッド等を含む)を用いることができる。
光電変換素子10を、基板平面に対し垂直に切断し、その断面の、導電性支持体11の表面に対して水平(平行)な方向(図1〜図3において左右方向)における端から端までの距離を「L」とした時、一方の端からL×1/12の位置、L×2/12の位置、L×3/12の位置、・・・L×11/12の位置をそれぞれ測定中心1)〜11)とする。各測定中心から左右に1μmずつ、計2μmの範囲において、計11箇所の測定範囲それぞれで、下層表面から多孔質層12の表面までの最小距離を求める。得られた11個の最小距離値について、値の大きなものから(最小距離の長いものから)順に1番から11番まで序列をつけ、序列が4、5および6番目となる3か所の測定範囲における、3つの最小距離値の平均値を算出し、上記平均距離とする。多孔質層12の膜厚は、光電変換素子10の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察することにより、測定される。
なお、特に言及しない限り、ブロッキング層等の他の層の膜厚についても同様にして測定される。
多孔質層12のRpの下限値に制限はなく、小さい程好ましいのであるが、通常はRpが0.01μm以上となる。また、多孔質層12のRvの上限値に制限はなく、大きい程好ましいのであるが、通常はRvが0.01μm以下となる。
RpおよびRvは、JIS B0601 2001記載された表面粗さの指標であり、例えば、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。すなわち、Rpについては、多孔質層12表面において、0.9mm×1.2mmの矩形のエリアを無作為に5箇所選択し、各エリア内において、図5に示す6つの測定ラインのRpを測定する。得られた、測定ライン30本(6本×5エリア)のRpの平均値を算出し、この平均値を本発明で規定する、多孔質層12表面のRpとする。
また、Rvについては、多孔質層12表面において、0.9mm×1.2mmの矩形のエリアを無作為に5箇所選択し、各エリア内において、図5に示す6つの測定ラインのRvを測定する。得られた、測定ライン30本(6本×5エリア)のRvの平均値を算出し、この平均値を本発明で規定する、多孔質層12表面のRvとする。
なお、Rpの理論上の最小値は0であり、Rvの理論上の最大値も0である。
Rpが0.20μm以下、且つ、Rvが−0.20以上の多孔質層の形成方法については後述する。
感光層13は、好ましくは、後述するペロブスカイト化合物が、光吸収剤として多孔質層12の表面(感光層13が設けられる表面が凹凸の場合の内表面を含む。)に設けられる。
本発明において、光吸収剤は、後述するペロブスカイト化合物を少なくとも1種含有していればよく、2種以上のペロブスカイト化合物を含有してもよい。
感光層13は、単層であっても2層以上の積層であってもよい。感光層13が2層以上の積層構造である場合、各感光層には、互いに異なった光吸収剤を用いてもよく、また感光層と感光層の間に正孔輸送材料を含む中間層を設けてもよい。
本発明において、感光層を厚い膜状に設ける場合(感光層13B)、この感光層に含まれる光吸収剤は正孔輸送材料として機能することもある。
感光層13は、光吸収剤として、周期表第一族元素のカチオンまたは有機カチオンと、周期表第一族元素以外の金属原子のカチオンと、アニオンとを有するペロブスカイト化合物を含む。
上記有機カチオンは、下記式(1)で表される有機カチオンであることが好ましい。
式(1):R1a−NH3 +
R1aとして採り得るシクロアルキル基は、炭素数が3〜8のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロプロピル、シクロペンチルまたはシクロヘキシル等が挙げられる。
R1aとして採り得るアルキニル基は、炭素数が2〜18のアルキニル基が好ましく、2〜4のアルキニル基がより好ましい。例えば、エチニル、ブチニルまたはヘキシニル等が挙げられる。
R1aとして採り得るヘテロアリール基は、芳香族ヘテロ環のみからなる基と、芳香族ヘテロ環に他の環、例えば、芳香環、脂肪族環やヘテロ環が縮合した縮合ヘテロ環からなる基とを包含する。
芳香族ヘテロ環を構成する環構成ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子が好ましい。また、芳香族ヘテロ環の環員数としては、3〜8員環が好ましく、5員環または6員環がより好ましい。
5員環の芳香族ヘテロ環および5員環の芳香族ヘテロ環を含む縮合ヘテロ環としては、例えば、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、トリアゾール環、フラン環、チオフェン環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、インドリン環、インダゾール環の各環基が挙げられる。また、6員環の芳香族ヘテロ環および6員環の芳香族ヘテロ環を含む縮合ヘテロ環としては、例えば、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、キノリン環、キナゾリン環の各環基が挙げられる。
R1bは、水素原子または置換基を表し、水素原子が好ましい。R1bが採り得る置換基は、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基またはアミノ基が挙げられる。
R1bおよびR1cがそれぞれ採り得る、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基およびヘテロアリール基は、それぞれ上記R1aが採り得るアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基およびヘテロアリール基と同義であり、好ましいものも同じである。
本発明に用いるペロブスカイト化合物を構成するアニオンは、1種のアニオンであってもよく、2種以上のアニオンであってもよい。ペロブスカイト化合物を構成するアニオンが1種の場合、ヨウ素原子のアニオンが好ましい。また、ペロブスカイト化合物を構成するアニオンが2種以上の場合、2種以上のハロゲン原子のアニオンを有する形態が好ましく、なかでも塩素原子のアニオンおよびヨウ素原子のアニオンの2種を有する形態がより好ましい。ペロブスカイト化合物が2種以上のアニオンを有する場合、その割合に特に制限はない。
式中、Aは周期表第一族元素またはカチオン性有機基を表す。Mは周期表第一族元素以外の金属原子を表す。Xはアニオン性原子またはアニオン性原子群を表す。
aは1または2を表し、mは1を表し、a、mおよびxはa+2m=xを満たす。
本明細書において、カチオン性有機基とは、ペロブスカイト型結晶構造においてカチオンとして存在する有機基を意味し、アニオン性原子とは、ペロブスカイト型結晶構造において単原子アニオンとして存在する原子を意味し、アニオン性原子群とは、ペロブスカイト型結晶構造において多原子アニオンとして存在する原子群を意味する。
式(I)において、カチオン性有機基Aは、ペロブスカイト型結晶構造中において上述した有機カチオンとして存在する。
式(I)において、金属原子Mは、ペロブスカイト型結晶構造中において、上述した周期表第一族元素以外の金属原子のカチオンとして存在している。
式(I)において、アニオン性原子Xは、ペロブスカイト型結晶構造中において、上述した単原子アニオンとして存在する。
式(I)において、アニオン性原子群Xは、ペロブスカイト型結晶構造中において、上述した多原子アニオンとして存在する。
(C2H5NH3)2PbI4、(CH2=CHNH3)2PbI4、(CH≡CNH3)2PbI4、(n−C3H7NH3)2PbI4、(n−C4H9NH3)2PbI4、(C10H21NH3)2PbI4、(C6H5NH3)2PbI4、(C6H5CH2CH2NH3)2PbI4、(C6H3F2NH3)2PbI4、(C6F5NH3)2PbI4、(C4H3SNH3)2PbI4、(C4H9NH3)2GeI4、(CH3NH3)2CuCl4、(CH3CH2NH3)2FeBr4が挙げられる。ここで、(C4H3SNH3)2PbI4におけるC4H3SNH3はアミノチオフェンである。
本発明の光電変換素子は、第一電極と第二電極との間に正孔輸送層3を有することが好ましい。
正孔輸送層3は、光吸収剤の酸化体に電子を補充する機能を有し、好ましくは固体状の層である。正孔輸送層3は、好ましくは第一電極1の感光層13と第二電極2の間に設けられる。
正孔輸送材料は、溶液塗布可能で固体状になる有機正孔輸送材料が好ましく、具体的には、2,2’,7,7’−テトラキス−(N,N−ジ−p−メトキシフェニルアミン)−9,9−スピロビフルオレン(Spiro−OMeTADともいう)、ポリ(3−ヘキシルチオフェン−2,5−ジイル)、4−(ジエチルアミノ)ベンゾアルデヒド ジフェニルヒドラゾン、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)等が挙げられる。
第二電極2は、太陽電池において正極として機能する。第二電極2は、導電性を有していれば特に限定されず、通常、導電性支持体11と同じ構成とすることができる。強度が十分に保たれる場合は、支持体11aは必ずしも必要ではない。
第二電極2の構造としては、集電効果が高い構造が好ましい。感光層13に光が到達するためには、導電性支持体11と第二電極2との少なくとも一方は実質的に透明でなければならない。本発明の太陽電池においては、導電性支持体11が透明であって太陽光を支持体11a側から入射させるのが好ましい。この場合、第二電極2は光を反射する性質を有することがさらに好ましい。
第二電極2としては、金属もしくは導電性の金属酸化物の薄膜(蒸着してなる薄膜を含む)、または、この薄膜を有するガラス基板もしくはプラスチック基板が好ましい。ガラス基板もしくはプラスチック基板としては、金もしくは白金の薄膜を有するガラス、または、白金を蒸着したガラスが好ましい。
本発明では、第一電極1と第二電極2との接触を防ぐために、ブロッキング層14等に代えて、または、ブロッキング層14等とともに、スペーサーやセパレータを用いることもできる。
また、第二電極2と正孔輸送層3の間に正孔ブロッキング層を設けてもよい。
本発明の太陽電池は、本発明の光電変換素子を用いて構成される。例えば図1〜図5に示されるように、外部回路6に対して仕事させるように構成した光電変換素子10を太陽電池として用いることができる。第一電極1(導電性支持体11)および第二電極2に接続される外部回路は、公知のものを特に制限されることなく、用いることができる。
本発明は、例えば、非特許文献1、J.Am.Chem.Soc.,2009,131(17),p.6050−6051およびScience,338,p.643(2012)に記載の各太陽電池に適用することができる。
本発明の太陽電池は、構成物の劣化および蒸散等を防止するために、側面をポリマーや接着剤等で密封することが好ましい。
本発明の光電変換素子および太陽電池は、多孔質層12の形成以外は、公知の製造方法、例えば非特許文献1等に記載の方法に準拠して、製造できる。
以下に、本発明の光電変換素子および太陽電池の製造方法を簡単に説明する。
ブロッキング層14は、例えば、上記絶縁性物質またはその前駆体化合物等を含有する分散物を導電性支持体11の表面に塗布し、焼成する方法またはスプレー熱分解法等によって、形成できる。
多孔質層12の形成には、例えば、湿式法、乾式法、その他の方法(例えば、Chemical Review,第110巻,6595頁(2010年刊)に記載の方法)を参照することができるが、形成した多孔質層12のRpおよびRvを本発明の規定内とするために、沸点200℃以上の溶媒を含む媒体中に、多孔質材料を分散させてペーストを得、このペーストを導電性支持体11、あるいは導電性支持体11上に設けられたブロッキング層14、電子輸送層15または正孔輸送層16上に塗布し、焼成することにより得ることが好ましい。
なお、本発明において、「ペーストを導電性支持体11上に塗布する」とは、ペーストを導電性支持体11上に直接塗布する態様の他、導電性支持体11上に設けられたブロッキング層14上にペーストを塗布する態様を包含する意味に用いる。
また、多孔質材料を分散してなるペーストの溶媒はすべて有機溶媒が好ましい。
多孔質材料を分散してなるペーストを上記の構成とすることにより、多孔質層12のRpおよびRvを本発明の規定内へと調節することができる。その理由は定かではないが、沸点200℃以上の溶媒を含むことにより、焼成した際にも溶媒が完全に揮発するまでに一定の時間を要し、その間に多孔質材料の分散ムラや、ペーストの塗布ムラがある程度是正されることが一因と推定される。一方、沸点200℃以上の溶媒の割合が多すぎると、溶媒中において多孔質材料が長時間高温に曝され、溶媒中において多孔質材料同士の凝集反応等が生じ、RpおよびRvを本発明の規定内とすることが難しくなる傾向がある。
多孔質材料を分散してなるペーストの溶媒中に存在する沸点200℃未満の溶媒としては、アルコール(好ましくはメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、t-ブタノールおよびペンタノールから選ばれる1種または2種以上)、エステル(好ましくは酢酸メチルおよび酢酸エチルから選ばれる1種または2種)、ケトン(好ましくはアセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトンおよびシクロペンタノンから選ばれる1種または2種以上)、エーテル(好ましくはジエチルエーテルおよびテトラヒドロフランから選ばれる1種または2種)、炭化水素(置換炭化水素を含む。好ましくはヘキサン、塩化メチレン、クロロホルム、ベンゼンおよびトルエンから選ばれる1種または2種以上)、およびニトリル(好ましくはアセトニトリル)から選ばれる1種または2種以上が挙げられ、なかでもエタノール、プロパノール、およびアセトニトリルから選ばれる1種または2種以上が好ましい。
また、沸点200℃以上の溶媒は1種でもよいし2種以上を用いてもよい。上記の沸点200℃以上の溶媒は、沸点が200℃以上であれば特に制限はなく、例えば、オリゴアルキレングリコール(好ましくは炭素数2〜10のオリゴアルキレングリコール、具体例としては、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコールおよびテトラエチレングリコールから選ばれる1種または2種以上)、グリコールエーテル(好ましくはジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルおよびテトラエチレングリコールジブチルエーテルから選ばれる1種または2種以上)、アルコール(好ましくはαテルピネオールおよびデカノールから選ばれる1種または2種)、アミド(好ましくはN−メチルピロリドン)、およびラクトン(好ましくはγ−ブチロラクトン)から選ばれる1種または2種以上を挙げることができる。なかでもRpをより小さくし、Rvをより高める観点から、オリゴアルキレングリコールおよびグリコールエーテルから選ばれる1種または2種以上の溶媒を用いることが好ましい。
また、HL℃で熱する時間は、10〜60分間が好ましく、15〜30分間がより好ましい。
また、上記HHは上記H℃よりも50〜600℃高い温度が好ましく、上記H℃よりも100〜300℃高い温度がより好ましい。また、HH℃において焼成する時間は、10分〜10時間が好ましく、30分〜5時間がより好ましい。
上記の有機溶媒雰囲気下における10分間以上の静置は、温度20〜200℃で実施することが好ましい。また、有機溶媒雰囲気下において静置する時間は、10〜120分間が好ましく、15〜30分間がより好ましい。
ペーストを塗布後、焼成前に有機溶媒雰囲気下で10分間以上静置することにより、塗膜をより平滑にすることができ、形成される多孔質層12のRpおよびRvを本発明の規定内へと調節できると考えられる。
有機溶媒雰囲気下で10分間以上静置は、例えば、有機溶媒を浸み込ませた脱脂綿等を敷いた容器内にペーストを塗布した基板を静置することで行うことができる。
また、上記焼成時間は10分〜10時間が好ましく、15分〜5時間がより好ましい。
まず、感光層13を形成するための光吸収剤溶液を調製する。光吸収剤溶液は、上記ペロブスカイト化合物の原料であるMX2とAXとを含有する。ここで、A、MおよびXは上記式(I)のA、MおよびXと同義である。この光吸収剤溶液において、MX2とAXとのモル比は目的に応じて適宜に調整される。光吸収剤としてペロブスカイト化合物を形成する場合、AXとMX2とのモル比は、1:1〜10:1であることが好ましい。
次いで、調製した光吸収剤溶液を、多孔質層12の表面に塗布し、乾燥する。これにより、ペロブスカイト化合物が多孔質層12の表面に形成される。上記乾燥は熱による乾燥が好ましく、通常は、20〜300℃、好ましくは50〜170℃に加熱することで乾燥させる。
正孔輸送層3は、正孔輸送材料を含有する正孔輸送材料溶液を塗布し、乾燥して、形成することができる。正孔輸送材料溶液は、塗布性に優れる点、および多孔質層12を有しかつ空隙がある場合は多孔質層12の孔内部まで侵入しやすい点で、正孔輸送材料の濃度が0.01〜1.0M(モル/L)であるのが好ましい。
電子輸送層4は、電子輸送材料を含有する電子輸送材料溶液を塗布し、乾燥して、形成することができる。
[光電変換素子の製造]
以下に示す手順により、図1に示される光電変換素子10Aを製造した。なお、感光層13の膜厚が大きい場合は、図2に示される光電変換素子10Bに対応することになる。
ガラス基板(支持体11a、縦×横×厚さ=25mm×25mm×2.2mm)上にフッ素ドープされたSnO2導電膜(透明電極11b、膜厚300nm)を形成し、導電性支持体11を作製した。
チタニウム ジイソプロポキシド ビス(アセチルアセトナート)の15質量%イソプロパノール溶液(アルドリッチ社製)を1−ブタノールで希釈して、0.02Mのブロッキング層用溶液を調製した。
調製した0.02Mのブロッキング層用溶液を用いてスプレー熱分解法により、450℃にて、導電性支持体11のSnO2導電膜上に酸化チタンからなるブロッキング層14(膜厚50nm)を形成した。
酸化チタン(アナターゼ、平均粒径20nm)のエタノール(溶媒(a))分散液に、エチルセルロース、ラウリン酸および下表に示す溶媒(b)を、溶媒(a)と溶媒(b)の質量比が下表に示す比となるように加え、酸化チタンペーストを調製した。
下表に示す比較例1及び2並びに実施例1〜11における多孔質層12の形成方法を以下に示す。
調製した酸化チタンペーストをブロッキング層14の上にスピンコート法で塗布し、空気中、室温から500℃まで10℃/分の昇温速度で加温した後、500℃で1時間焼成した。得られた酸化チタンの焼成体を、40mMの四塩化チタン(TiCl4)水溶液に浸し、次いで60℃で1時間加熱し、さらに500℃で30分間加熱して、酸化チタン(TiO2)からなる多孔質層(膜厚300nm)を形成した。
調製した酸化チタンペーストをブロッキング層14の上にスピンコート法で塗布し、空気中、室温から10℃/分の昇温速度で加温し、150℃に到達した時点で、150℃のまま10分間維持した。その後、10℃/分の昇温速度で500℃まで加温し、500℃で1時間焼成した。得られた酸化チタンの焼成体を、40mMの四塩化チタン(TiCl4)水溶液に浸し、次いで60℃で1時間加熱し、さらに500℃で30分間加熱して、酸化チタン(TiO2)からなる多孔質層(膜厚300nm)を形成した。
調製した酸化チタンペーストをブロッキング層14の上にスピンコート法で塗布し、底面にエタノールを浸み込ませた脱脂綿を敷いたプラスチック容器に入れ、60℃に加温したホットプレート上で15分間静置した。その後、空気中、室温から500℃まで10℃/分の昇温速度で加温した後、500℃で1時間焼成した。得られた酸化チタンの焼成体を、40mMの四塩化チタン(TiCl4)水溶液に浸し、次いで60℃で1時間加熱し、さらに500℃で30分間加熱して、酸化チタン(TiO2)からなる多孔質層(膜厚300nm)を形成した。
メチルアミンの40%メタノール溶液(27.86mL)と、57質量%のヨウ化水素の水溶液(ヨウ化水素酸、30mL)を、フラスコ中、0℃で2時間攪拌した後、濃縮して、CH3NH3Iの粗体を得た。得られたCH3NH3Iの粗体をエタノールに溶解し、ジエチルエーテルで再結晶した。析出した結晶をろ取し、60℃で24時間減圧乾燥して、精製CH3NH3Iを得た。
次いで、精製CH3NH3IとPbI2を、モル比で2:1とし、γ−ブチロラクトン中、60℃で12時間攪拌して混合した後、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シリンジフィルターでろ過して、40質量%の光吸収剤溶液Aを調製した。
このようにして、第一電極1を作製した。
正孔輸送材料としてのSpiro−OMeTAD(180mg)をクロロベンゼン(1mL)に溶解させた。このクロロベンゼン溶液に、リチウム−ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(170mg)をアセトニトリル(1mL)に溶解させたアセトニトリル溶液(37.5μL)と、t−ブチルピリジン(TBP、17.5μL)とを加えて混合し、正孔輸送材料溶液を調製した。
次いで、正孔輸送材料溶液を、スピンコート法により、第一電極1の感光層13上に塗布し、塗布した正孔輸送材料溶液を乾燥して、正孔輸送層3(膜厚0.5μm)を形成した。
蒸着法により金を正孔輸送層3上に蒸着して、第二電極2(膜厚0.3μm)を作製した。
このようにして、比較例1及び2並びに実施例1〜13の光電変換素子10を製造した。
ブロッキング層上に、上述の通り多孔質層12を形成した後(感光層形成前)の試料を用いて、多孔質層12表面(感光層が形成される側の表面)のRpおよびRvを以下のように測定した。
<RpおよびRvの測定方法>
図4に示すように5箇所の測定エリア(1.2mm×0.9mm)内において、図5に示すように、ガラス基板の縦軸及び横軸に沿って6つの直線上(破線a1−a2、破線b1−b2、破線c1−c2、破線d1−d2、破線e1−e2、破線f1−f2で示される直線上)のRpおよびRvを、白色光干渉計(Wyko、日本ビーコ株式会社製)を用いて測定した。得られたRpの測定値30個(6ライン×5箇所)の平均値を多孔質層12のRpとした。同様に、得られたRvの測定値30個の平均値を多孔質層12のRvとした。
なお、図4中の数値の単位は「mm」である。例えば、図4記載の左上の測定エリアは、その中心が、基板の図6における左端から8mm、基板の図6における上端から8mmの位置にあることを意味する。また図6記載の中央の測定エリアの中心は、基板の中心と同じである。
また、図5中の数値の単位も「mm」である。
図4に示す5箇所の測定エリアは、無作為に選んだ5箇所の測定エリアと等価である。無作為に選んだ5箇所の測定エリアにより決定されるRpおよびRvは、多孔質層12の表面全体のRpおよびRvと同視できる。
<初期の光電変換効率の測定>
光電変換効率を以下のようにして評価した。
上記各比較例及び実施例の光電変換素子をそれぞれ10検体作製し、電池特性試験を行って、光電変換効率(η/%)を測定した。電池特性試験は、ソーラーシミュレーター「WXS−85H」(WACOM社製)を用いて、AM1.5フィルタを通したキセノンランプから1000W/m2の擬似太陽光を照射することにより行った。I−Vテスターを用いて電流−電圧特性を測定し、光電変換効率(η/%)を求めた。
各比較例、実施例毎に、10検体の光電変換効率のばらつきを、下記評価基準により評価した。結果を下表に示す。
ここで、下表に記載された各比較例および実施例における多孔質層のRpは、10検体のうち最も高かったRp値であり、Rv値は、10検体のうち最も低かったRv値である。つまり、各比較例および実施例において、10検体の多孔質層のRp値はすべて、表中のRp値以下であり、また、10検体の多孔質層のRv値はすべて、表中のRv値以上であった。
また、各実施例および比較例において、光電変換効率の平均値は7%以上であり、高い光電変換効率を示した。
A:10検体の光電変換効率の平均値(Av%)に対し、10検体各々の光電変換効率(%)がすべて、[Av−0.5](%)以上[Av+0.5](%)以下を満たす。
B:上記Aを満たさず、且つ、10検体の光電変換効率の平均値(Av%)に対し、10検体各々の光電変換効率(%)がすべて、[Av−0.6](%)以上[Av+0.6](%)以下を満たす。
C:上記Bを満たさず、且つ、10検体の光電変換効率の平均値(Av%)に対し、10検体各々の光電変換効率(%)がすべて、[Av−0.8](%)以上[Av+0.8](%)以下を満たす。
D:上記Cを満たさず、且つ、10検体の光電変換効率の平均値(Av%)に対し、10検体各々の光電変換効率(%)がすべて、[Av−1.1](%)以上[Av+1.1](%)以下を満たす。
E:10検体の光電変換効率の平均値(Av%)に対し、10検体の光電変換効率(%)のうち少なくとも1つが、[Av−1.1](%)未満であるか、または[Av+1.1](%)超である。
11 導電性支持体
11a 支持体
11b 透明電極
12 多孔質層
13A、13B 感光層
14 ブロッキング層
2 第二電極
3A、3B 正孔輸送層
4 電子輸送層
6 外部回路(リード)
10A、10B、10F 光電変換素子
100A、100B、100F 光電変換素子を電池用途に応用したシステム
M 電動モーター
Claims (17)
- 導電性支持体上に、多孔質層と、光吸収剤を含む感光層とをこの順に有する第一電極と、第一電極に対向する第二電極とを有する光電変換素子であって、
前記光吸収剤が、周期表第一族元素のカチオンまたは有機カチオンと、周期表第一族元素以外の金属原子のカチオンと、アニオンとを有するペロブスカイト型結晶構造を持つ化合物を含み、
前記多孔質層が、チタン、スズ、亜鉛、ジルコニウムもしくはケイ素の酸化物、および、カーボンナノチューブからなる群より選択される多孔質材料であって、該多孔質層の膜厚が160nm〜100μmであり、
前記多孔質層表面の最大山高さRpが0.20μm以下であり、且つ、前記多孔質層表面の最大谷深さRvが−0.20μm以上である、光電変換素子。 - 前記多孔質層に含有する前記多孔質材料が酸化チタンである、請求項1に記載の光電変換素子。
- 前記多孔質材料の、投影面積を円に換算したときの直径を用いた平均粒径における、1次粒径が0.001μm〜1μmである、請求項1または2に記載の光電変換素子。
- 前記ペロブスカイト型結晶構造を持つ化合物が、下記式(I)で表される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光電変換素子。
AaMmXx 式(I)
式中、Aは周期表第一族元素またはカチオン性有機基を表す。Mは周期表第一族元素以外の金属原子を表す。Xはアニオン性原子またはアニオン性原子群を表す。
aは1または2を表し、mは1を表し、a、mおよびxはa+2m=xを満たす。 - 前記Rpが0.15μm以下であり、且つ、前記Rvが−0.15μm以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光電変換素子。
- 前記Rpが0.15μm以下であり、且つ、前記Rvが−0.09μm以上である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の光電変換素子。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の光電変換素子を用いた太陽電池。
- 光電変換素子における多孔質層の形成方法であって、
前記光電変換素子が、導電性支持体上に、多孔質層と、光吸収剤を含む感光層とをこの順に有する第一電極と、第一電極に対向する第二電極とを有し、
前記光吸収剤が、周期表第一族元素のカチオンまたは有機カチオンと、周期表第一族元素以外の金属原子のカチオンと、アニオンとを有するペロブスカイト型結晶構造を持つ化合物を含み、
前記多孔質層が、チタン、スズ、亜鉛、ジルコニウムもしくはケイ素の酸化物、および、カーボンナノチューブからなる群より選択される多孔質材料であって、該多孔質層の膜厚が160nm〜100μmであり、
前記多孔質層の形成方法が、前記導電性支持体上に多孔質材料を分散してなるペーストを塗布する工程と、塗布したペーストを、該ペーストに用いた溶媒のうち沸点が最も高い溶媒の沸点以上の温度で焼成し、最大山高さRpが0.20μm以下且つ最大谷深さRvが−0.20μm以上の表面を有する多孔質層を形成する工程とを含み、
前記ペーストの溶媒中に、沸点200℃以上の溶媒が1質量%以上含まれる、形成方法。 - 前記多孔質層に含有する前記多孔質材料が酸化チタンである、請求項8に記載の形成方法。
- 前記多孔質材料の、投影面積を円に換算したときの直径を用いた平均粒径における、1次粒径が0.001μm〜1μmである、請求項8または9に記載の形成方法。
- 前記ペロブスカイト型結晶構造を持つ化合物が、下記式(I)で表される、請求項8〜10のいずれか1項に記載の形成方法。
AaMmXx 式(I)
式中、Aは周期表第一族元素またはカチオン性有機基を表す。Mは周期表第一族元素以外の金属原子を表す。Xはアニオン性原子またはアニオン性原子群を表す。
aは1または2を表し、mは1を表し、a、mおよびxはa+2m=xを満たす。 - 前記ペースト中の溶媒が、沸点200℃以上の溶媒を10〜50質量%含有する、請求項8〜11のいずれか1項に記載の形成方法。
- 前記沸点200℃以上の溶媒が、沸点230℃以上の溶媒である、請求項8〜12のいずれか1項に記載の形成方法。
- 前記沸点200℃以上の溶媒が、沸点260℃以上の溶媒である、請求項8〜12のいずれか1項に記載の形成方法。
- 前記沸点200℃以上の溶媒がオリゴアルキレングリコール及びグリコールエーテルから選ばれる、請求項8〜14のいずれか1項に記載の形成方法。
- 前記導電性支持体上に前記多孔質材料を分散してなるペーストを塗布する工程の後、塗布したペーストを、40℃以上で、且つ、前記ペーストに用いた溶媒中で沸点が最も高い溶媒の沸点以下の温度で、10分間以上熱し、次いで、前記ペーストに用いた溶媒中で沸点が最も高い溶媒の沸点以上の温度で焼成する、請求項8〜15のいずれか1項に記載の形成方法。
- 前記導電性支持体上に前記多孔質材料を分散してなるペーストを塗布する工程の後、塗布したペーストを、有機溶媒雰囲気下で10分間以上静置し、次いで、該ペーストに用いた溶媒中で沸点が最も高い溶媒の沸点以上の温度で焼成する、請求項8〜16のいずれか1項に記載の形成方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015124712A JP6566738B2 (ja) | 2015-06-22 | 2015-06-22 | 光電変換素子、太陽電池、および、光電変換素子の多孔質層の形成方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015124712A JP6566738B2 (ja) | 2015-06-22 | 2015-06-22 | 光電変換素子、太陽電池、および、光電変換素子の多孔質層の形成方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2017011090A JP2017011090A (ja) | 2017-01-12 |
JP6566738B2 true JP6566738B2 (ja) | 2019-08-28 |
Family
ID=57763850
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2015124712A Expired - Fee Related JP6566738B2 (ja) | 2015-06-22 | 2015-06-22 | 光電変換素子、太陽電池、および、光電変換素子の多孔質層の形成方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6566738B2 (ja) |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
GB201208793D0 (en) * | 2012-05-18 | 2012-07-04 | Isis Innovation | Optoelectronic device |
JP2016051891A (ja) * | 2014-08-28 | 2016-04-11 | 公立大学法人 滋賀県立大学 | 太陽電池およびその太陽電池の製造方法 |
-
2015
- 2015-06-22 JP JP2015124712A patent/JP6566738B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2017011090A (ja) | 2017-01-12 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6089009B2 (ja) | 光電変換素子および太陽電池 | |
JP6286619B2 (ja) | 光電変換素子、およびこれを用いた太陽電池 | |
JP6047525B2 (ja) | 光電変換素子および太陽電池 | |
JP6106130B2 (ja) | 光電変換素子および太陽電池 | |
JP6419332B2 (ja) | 光電変換素子、太陽電池、金属塩組成物および光電変換素子の製造方法 | |
JP6194103B2 (ja) | 光電変換素子、これを用いた太陽電池ならびに光電変換素子の製造方法 | |
JP6523455B2 (ja) | 光電変換素子、およびこれを用いた太陽電池 | |
JP6412774B2 (ja) | 光電変換素子、太陽電池、および光電変換素子の製造方法 | |
JP6383876B2 (ja) | 光電変換素子および太陽電池 | |
JP6106131B2 (ja) | 光電変換素子および太陽電池 | |
WO2017002645A1 (ja) | 光電変換素子、およびこれを用いた太陽電池 | |
JP6427390B2 (ja) | ペロブスカイト膜形成液、ペロブスカイト膜、光電変換素子、太陽電池、ペロブスカイト膜の製造方法、光電変換素子の製造方法、および太陽電池の製造方法 | |
JP6229991B2 (ja) | 光電変換素子、太陽電池および組成物 | |
JP6323826B2 (ja) | 光電変換素子および太陽電池 | |
JP6566738B2 (ja) | 光電変換素子、太陽電池、および、光電変換素子の多孔質層の形成方法 | |
JP6385001B2 (ja) | 光電変換素子用電極の製造方法、光電変換素子の製造方法、太陽電池の製造方法及び光吸収剤塗布膜の製造方法 | |
JP6222641B2 (ja) | 光電変換素子および太陽電池 | |
JP6509342B2 (ja) | 光電変換素子、光電変換素子の製造方法、および太陽電池 | |
JP6621374B2 (ja) | 光電変換素子の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20170804 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20180530 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20180703 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20180816 |
|
RD02 | Notification of acceptance of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422 Effective date: 20180816 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20190205 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20190403 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20190709 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20190730 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6566738 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |