JP6562775B2 - トナー及びトナーの製造方法 - Google Patents
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Description
また、プリンターや複写機において、現像システムのさらなる高速化も同時に求められている。現像システムが高速化することで、トナーにかかるストレスが大きくなるため、よりストレスに強い、強度に優れたトナーが求められている。
耐久性と定着性の両立という観点では、トナーの粘弾性や溶融粘度が議論されている。
一般的にトナーは、現像装置内で機械的なストレスを受け劣化するので、トナーの粘弾性や溶融粘度を高くする方が有利である。一方、定着工程では消費エネルギーを削減するために、トナーの粘弾性や溶融粘度を下げる必要がある。しかしながら、トナーの粘弾性や溶融粘度を下げることは、現像特性や転写特性に対して不利になるばかりか、高温環境下におけるトナーの保存安定性も低下する。このように耐久性と定着性は相反する性能であるが、この両者を満足させる手法について、従来種々の検討がなされている。
耐久性と定着性を両立させる試みとして、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定されたトナーのDSC曲線に着目したものがある。具体的には、示差走査熱量計を用いて測定されたトナーのDSC曲線の第2昇温過程において、結着樹脂のガラス転移温度付近に少なくとも1つの発熱ピークが存在することを特徴とするトナーが提案されている(特許文献1参照)。
一方、一成分現像方式において耐久性を向上させるために、コアシェル構造のトナーが検討されている。しかし上述の通り、耐久性と定着性は一般的に相反するために、コアシェル構造の場合、低温定着性が低下しやすい。そのため結着樹脂に相溶しやすい可塑剤を使用することで、定着時にトナーのガラス転移温度を低下させ低温定着性を向上させたものがある。具体的には、可塑剤として1官能又は2官能エステルワックスを用いることでトナー中での分散性が向上し、且つ定着時の熱可塑性が促進されるためトナーが溶けやすく低温定着性が向上するトナーが提案されている(特許文献2参照)。
特許文献2に記載のトナーにおいて、1官能又は2官能エステルワックスは、コアのメインバインダーだけでなく、シェルとも相溶するため、より厳しい高温での長期保存性や、耐久性が十分とは言えない。
さらにプリンターや複写機においては、さらなる高速化も求められている。現像システ
ムが高速化することで、トナーにかかるストレスが大きくなるため、よりストレスに強い、強度に優れたトナーが求められている。
コアシェル構造を有するトナーにおいて、低温定着性と耐久性の両立を達成するために、可塑剤とバインダーの相溶性、及び可塑剤とシェル材料の相溶性を制御し、可塑剤の効果を十分に活かしたトナーは未だ提案されていなかった。
本発明は、上述した従来の問題点を解決したトナーを提供するものである。
すなわち、本発明は、高温での長期保存性を維持しながら、低エネルギーで定着が可能であり、高速現像システムにおいても十分な現像性を有するトナーを提供するものである。
非晶性樹脂A、エステルワックス、及び着色剤を含有するコアと、非晶性ポリエステル樹脂Bを含有するシェルで形成されたコアシェル構造を有するトナーであって、
該エステルワックスは、1価のアルコール及び2価のアルコールの少なくとも一方と脂肪族モノカルボン酸とのエステル化合物、又は、1価のカルボン酸及び2価のカルボン酸の少なくとも一方と脂肪族モノアルコールとのエステル化合物を含有し、
下記式(i)により算出されるガラス転移温度低下率Aが15%以上50%以下であり、
下記式(ii)により算出されるガラス転移温度低下率Bが0%以上13%以下であり、
該非晶性ポリエステル樹脂Bが下記式(1)で示されるイソソルビドユニットを含有し、下記式(1)で示されるイソソルビドユニットの含有割合が、該非晶性ポリエステル樹脂Bを構成する全モノマーユニットを基準として、0.1mol%以上20.0mol%以下であり、
該非晶性ポリエステル樹脂Bの含有量が、該非晶性樹脂A 100.0質量部に対して、1.0質量部以上20.0質量部以下であることを特徴とするトナーである。
非晶性樹脂A、エステルワックス、及び着色剤を含有するコアと、非晶性ポリエステル樹脂Bを含有するシェルで形成されたコアシェル構造を有するトナーの製造方法であって、
(I)該非晶性樹脂Aを構成する重合性単量体、該エステルワックス、該着色剤、及び該非晶性ポリエステル樹脂Bを含有するトナー組成物を水系媒体中に分散し、該水系媒体中で該トナー組成物の粒子を形成する工程、及び、該トナー組成物の該粒子に含まれる該重量性単量体を重合する工程、
又は、
(II)該非晶性樹脂Aの粒子分散液、該エステルワックスの粒子分散液、及び該着色剤の粒子分散液を混合し、凝集剤によりコア凝集粒子を形成する工程、
該コア凝集粒子に非晶性ポリエステル樹脂Bの粒子を付着させてコアシェル粒子を形成する付着工程、及び、該コアシェル粒子を加熱して融合させる融合工程、を含み、
該エステルワックスは、1価のアルコール及び2価のアルコールの少なくとも一方と脂肪族モノカルボン酸とのエステル化合物、又は、1価のカルボン酸及び2価のカルボン酸の少なくとも一方と脂肪族モノアルコールとのエステル化合物を含有し、
下記式(i)により算出されるガラス転移温度低下率Aが15%以上50%以下であり、
下記式(ii)により算出されるガラス転移温度低下率Bが0%以上13%以下であり、
該非晶性ポリエステル樹脂Bが下記式(1)で示されるイソソルビドユニットを含有し、下記式(1)で示されるイソソルビドユニットの含有割合が、該非晶性ポリエステル樹
脂Bを構成する全モノマーユニットを基準として、0.1mol%以上20.0mol%以下であり、
該非晶性ポリエステル樹脂Bの含有量が、該非晶性樹脂A 100.0質量部に対して、1.0質量部以上20.0質量部以下であることを特徴とするトナーの製造方法である。
式(ii):〔{Tg(B)−Tg(BW)}/Tg(B)〕×100
[該Tg(A)[℃]は、該非晶性樹脂Aのガラス転移温度を表し、該Tg(AW)[℃]は、該非晶性樹脂Aと該エステルワックスとを該コアにおける含有質量比率で配合して得られる樹脂組成物のガラス転移温度を表す。
該Tg(B)[℃]は、該非晶性ポリエステル樹脂Bのガラス転移温度を表し、該Tg(BW)[℃]は、100質量部の該非晶性ポリエステル樹脂Bに対して、5質量部の該エステルワックスを配合して得られる樹脂組成物のガラス転移温度を表す。]
本発明者らは検討の中で、エステルワックスの作用効果は、溶融したエステルワックスがコアを構成する樹脂と相溶し、コアを構成する樹脂を可塑化することでトナー全体としての溶融粘度を下げる点にあることを見出した。
相溶性が低いエステルワックスとコアを構成する樹脂との組合せでは、トナーの溶融粘度が下がらないだけでなく、トナー溶融時においてもエステルワックスの一部分が相分離してしまう。このような現象がおこると、トナー全体が均一に溶融せず、紙との密着性が低下する部分が存在する。紙との密着性が低下した部分は、紙同士の摺擦や、手で擦ったときにトナーが剥がれやすくなってしまう。つまり、定着画像擦りによる画像濃度が低下する(すなわち、定着性が低下する)現象が発生する。
よって、エステルワックスとコアを構成する樹脂とが十分に相溶することは、粘度を十分に下げると同時に、擦りによる画像濃度低下を抑制するという点からも重要であり、相溶性を制御することで、エステルワックスによる効果を十分に活かすことが可能だと言える。
しかし、トナー全体としての溶融粘度を下げ過ぎた場合、トナー全体が柔らかくなりすぎて現像ローラのような部材からストレスを受けることで、トナーが現像ローラや現像ブレードに融着する。その結果、ハーフトーン(HT)部の画像上に現像スジと見られる排紙方向の縦スジが発生する。
また、エステルワックスとコアを構成する樹脂との相溶性が適度であったとしても、エ
ステルワックスがシェルと相溶しやすい場合、高温での長期保存性が低下する。高温での長期保存性を維持するためには、エステルワックスとシェルを構成する樹脂が相分離することが重要であると考えた。特に、コアを構成する樹脂との相溶性が高いエステルワックスを添加した場合にも優れた現像性を発揮するためには、エステルワックスとシェルを構成する樹脂が十分に相分離することが重要だと考えた。
また、シェルのガラス転移温度を高く維持することで、トナーの高温での長期保存性を維持することができる。さらに、トナー表面が硬いことで現像ローラのような部材からストレスを受けにくくなり、トナーが現像ローラや現像ブレードに融着しにくくなる。その結果、高温での長期保存性を維持しつつ、エステルワックスによる低温定着効果を十分に発揮しながら、優れた現像性を得ることができる。
以上に述べたように、エステルワックスによる低温定着効果を充分に活かしながら、高温での長期保存性と優れた現像性を得るためには、エステルワックスの、コアを構成する樹脂とシェルを構成する樹脂双方に対する相溶性を同時に制御する必要がある。
以下、詳細に説明する構造及び物性にすることで、前述の課題を解決するトナーが得られることを見出した。
非晶性樹脂A、エステルワックス、及び着色剤を含有するコアと、非晶性ポリエステル樹脂Bを含有するシェルで形成されたコアシェル構造を有するトナーであって、
該エステルワックスは、1価のアルコール及び2価のアルコールの少なくとも一方と脂肪族モノカルボン酸とのエステル化合物、又は、1価のカルボン酸及び2価のカルボン酸の少なくとも一方と脂肪族モノアルコールとのエステル化合物を含有し、
下記式(i)により算出されるガラス転移温度低下率Aが15%以上50%以下であり、
下記式(ii)により算出されるガラス転移温度低下率Bが0%以上13%以下であり、
該非晶性ポリエステル樹脂Bが下記式(1)で示されるイソソルビドユニットを含有し、下記式(1)で示されるイソソルビドユニットの含有割合が、該非晶性ポリエステル樹脂Bを構成する全モノマーユニットを基準として、0.1mol%以上20.0mol%以下であり、
該非晶性ポリエステル樹脂Bの含有量が、該非晶性樹脂A 100.0質量部に対して、1.0質量部以上20.0質量部以下であることを特徴とするトナー。
式(i):〔{Tg(A)−Tg(AW)}/Tg(A)〕×100
式(ii):〔{Tg(B)−Tg(BW)}/Tg(B)〕×100
[該Tg(A)[℃]は、該非晶性樹脂Aのガラス転移温度を表し、該Tg(AW)[℃]は、該非晶性樹脂Aと該エステルワックスとを該コアにおける含有質量比率で配合して得られる樹脂組成物のガラス転移温度を表す。
該Tg(B)[℃]は、該非晶性ポリエステル樹脂Bのガラス転移温度を表し、該Tg(BW)[℃]は、100質量部の該非晶性ポリエステル樹脂Bに対して、5質量部の該エステルワックスを配合して得られる樹脂組成物のガラス転移温度を表す。]
本発明において、非晶性樹脂Aは、特に限定されることはなく、従来公知のスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、スチレンアクリル系樹脂、スチレンメタクリル系樹脂、エポキシ樹脂、スチレンブタジエン系樹脂、又は上記非晶性ポリエステル樹脂B以外のポリエステル樹脂などが挙げられる。
本発明において、非晶性樹脂Aは、スチレンアクリル系樹脂及びスチレンメタクリル系樹脂の少なくとも一方を含有することが本発明の効果を発現する上で好ましい。また、該スチレンアクリル系樹脂及びスチレンメタクリル系樹脂の少なくとも一方の含有量は、非晶性樹脂Aの全量に対して50質量%以上100質量%以下であることが好ましく、70質量%以上100質量%以下であることがより好ましい。
非晶性樹脂A中のスチレンアクリル系樹脂及びスチレンメタクリル系樹脂の少なくとも一方の含有量が上記範囲である場合には、トナーの硬さや高湿環境下における帯電性に優れたトナーが得られ、優れた現像性が得られる。
1価のアルコール及び2価のアルコールの少なくとも一方と脂肪族モノカルボン酸とのエステル化合物、又は、1価のカルボン酸及び2価のカルボン酸の少なくとも一方と脂肪族モノアルコールとのエステル化合物は、分子量が小さく、上記非晶性樹脂Aに入り込みやすいため、非晶性樹脂Aとの相溶性を上げることが可能である。
また、エステルワックスは直鎖状の分子構造であることがより好ましい。直鎖状の分子構造を取ることで、加熱定着時において非晶性樹脂Aとより相溶しやすくなるため、非晶性樹脂Aの粘度を瞬時に下げることができる。その結果、トナーは紙との密着性がより増し、低温定着性を顕著に向上させる。
3価以上のアルコールと脂肪族モノカルボン酸とのエステル化合物、又は、3価以上のカルボン酸と脂肪族モノアルコールとのエステル化合物は、分子量が大きく、立体構造をもつため、非晶性樹脂Aとの相溶性が低くなりやすい。加熱定着時に非晶性樹脂Aの粘度低下が小さくなるため、低温定着性に対して大きな効果が見られない。
一方、1価のアルコール及び2価のアルコールの少なくとも一方と脂肪族モノカルボン酸とのエステル化合物、又は、1価のカルボン酸及び2価のカルボン酸の少なくとも一方と脂肪族モノアルコールとのエステル化合物は、シェルを構成する非晶性ポリエステル樹脂Bに対する相溶性も大きくなる。
ここで、該エステル化合物を含有するエステルワックスとシェルを構成する樹脂との相溶性を小さくするために、シェルを構成する樹脂として、上記式(1)で示されるイソソルビドユニットを含有した非晶性ポリエステル樹脂Bを用いる。
該イソソルビドユニットを含有した非晶性ポリエステル樹脂Bは、極性が高く、立体構造を持つ。そのため、上記エステル化合物を含有するエステルワックスが非晶性ポリエステル樹脂Bに入り込みにくく、該エステル化合物を含有するエステルワックスとの相溶性を低くすることが可能である。すなわち、上記構成を採用することで、上記エステル化合
物を含有するエステルワックスと非晶性樹脂Aとの相溶性、及び、上記エステル化合物を含有するエステルワックスと非晶性ポリエステル樹脂Bとの相溶性を個別に制御することが可能となる。該相溶性の個別制御は、新規な技術思想で有り、従来の手法や組合せでは容易に想到できるものではない。
式(i):〔{Tg(A)−Tg(AW)}/Tg(A)〕×100
ここで、Tg(A)[℃]は、非晶性樹脂Aのガラス転移温度を表す。
また、Tg(AW)[℃]は、非晶性樹脂Aとエステルワックスとをコアにおける含有質量比率で配合して得られる樹脂組成物のガラス転移温度を表す。
非晶性樹脂Aとエステルワックスの相溶性が大きい場合、非晶性樹脂Aのガラス転移温度(Tg)が大きく低下する。一方、非晶性樹脂Aとエステルワックスの相溶性が小さい場合は、ガラス転移温度(Tg)の低下が小さい。なお、ガラス転移温度低下率の測定方法については後述する。
本発明において、上記式(i)により算出されるガラス転移温度低下率Aが15%以上50%以下であり、好ましくは、20%以上45%以下である。
ガラス転移温度低下率Aが15%以上であることは、非晶性樹脂Aとエステルワックスの溶融時の相溶性が十分に高いことを意味する。
ガラス転移温度低下率Aが15%以上50%以下であることで、前述したように、トナーの溶融粘度を下げることが可能であり、優れた低温定着性が得られる。
ガラス転移温度低下率Aが15%未満であると、トナーの溶融粘度が不十分となり、定着画像の擦りによる画像低下が大きくなる。つまり、優れた低温定着性が得られなくなる。
一方、ガラス転移温度低下率Aが50%より大きいと、非晶性樹脂Aが柔らかくなりすぎて現像時にトナーが潰れてしまい現像スジが発生しやすくなる。
また、シェルを構成する樹脂として、本発明の効果を損ねない程度に、該非晶性ポリエステル樹脂B以外に、トナーに用いられる従来公知の樹脂を併用することが可能である。
本発明において、非晶性ポリエステル樹脂Bとエステルワックスの相溶性を非晶性ポリエステル樹脂Bのガラス転移温度低下率Bで表している。ここで、ガラス転移温度低下率Bは下記式(ii)により算出される。
式(ii):〔{Tg(B)−Tg(BW)}/Tg(B)〕×100
ここで、Tg(B)[℃]は、非晶性ポリエステル樹脂Bのガラス転移温度を表す。
また、Tg(BW)[℃]は、100質量部の非晶性ポリエステル樹脂Bに対して、5質量部のエステルワックスを配合して得られる樹脂組成物のガラス転移温度を表す。
本発明において、上記式(ii)により算出されるガラス転移温度低下率Bが0%以上13%以下であり、好ましくは、0%以上10%以下である。
ガラス転移温度低下率Bが13%以下であることは、非晶性ポリエステル樹脂Bとエステルワックスの溶融時の相溶性が十分に低いことを意味する。該範囲であれば、トナー製造時にエステルワックスが十分に結晶化するため、非晶性ポリエステル樹脂Bのガラス転移温度は大きく低下しない。結果として、高温での優れた長期保存性を得ることができる。
一方、ガラス転移温度低下率Bが13%より大きい場合には、非晶性ポリエステル樹脂Bのガラス転移温度が低下するため、トナーの高温での長期保存性が低下し、さらには現像性が低下する。
また、上述の通り非晶性ポリエステル樹脂Bは、エステルワックスと相溶しにくいように設計する必要がある。
なお、本発明において、モノマーユニットとは、重合体中のモノマー物質の反応した形態をいう。
イソソルビドユニットの含有割合を上記範囲にすることで、非晶性ポリエステル樹脂Bとエステルワックスとの相溶性を小さく、つまりガラス転移温度低下率Bを低くすることができる。
特に、非晶性ポリエステル樹脂Bが相溶性の高い低分子量の樹脂であっても、ガラス転移温度低下率Bを低く制御することができる。
イソソルビドユニットの含有割合が0.1mol%未満の場合、非晶性ポリエステル樹脂Bとエステルワックスとが相溶するため、ガラス転移温度低下率Bが高くなる。その結果、高温での長期保存性が低下する。
一方、イソソルビドユニットの含有割合が20.0mol%より高い場合、非晶性ポリエステル樹脂Bの溶媒への溶解性が低下し、シェルの形成が不均一になりやすい。その結果、コアが表面に露出するため現像スジが発生する。
該イソソルビドユニットの含有割合の制御は、非晶性ポリエステル樹脂Bの製造に用いるモノマーの種類によって制御可能である。なお、イソソルビドユニットの含有割合の測定方法については後述する。
非晶性ポリエステル樹脂Bの含有量が1.0質量部未満の場合、シェルの形成が不十分、又はシェルの厚さが薄いため、高温での長期保存性が不十分となる。また、耐久使用時に現像スジが発生する。
一方、非晶性ポリエステル樹脂Bの含有量が20.0質量部を超える場合、ガラス転移温度の低下が少ない強固なシェルが形成されるため、低温定着性が低下する。
また、定着加熱時の低温定着性を良化させるため、Tg(AW)は30℃以上52℃以下であることが好ましく、35℃以上50℃以下であることがより好ましい。
本発明において、上記ガラス転移温度低下率A、ガラス転移温度低下率B、Tg(AW)(℃)、Tg(BW)(℃)は、非晶性樹脂A、非晶性ポリエステル樹脂B及びエステルワックスの組成や分子量のような物性で制御することが可能である。
例えば、ガラス転移温度低下率Bについては、非晶性ポリエステル樹脂Bにおけるイソソルビドユニットの含有割合によって制御することが簡便であり好ましい。
また、例えば、ガラス転移温度低下率Aについては、上記特定のエステルワックスを用いることで制御することが簡便であり好ましい。
さらに、エステルワックスの最大吸熱ピークのピーク温度は、上記ガラス転移温度低下率A及びガラス転移温度低下率Bに影響を与える。
そのため、本発明において、エステルワックスの最大吸熱ピークのピーク温度は、55℃以上90℃以下であることが好ましく、60℃以上80℃以下であることがより好ましい。
例えば、エステルワックスの最大吸熱ピークのピーク温度が90℃より高い場合は、エ
ステルワックスが融解しにくいため、非晶性樹脂Aとの相溶化が遅くなるため低温定着性が低下する傾向にある。一方、エステルワックスの最大吸熱ピークのピーク温度が55℃より低い場合は、非晶性樹脂A及び非晶性ポリエステル樹脂Bとの相溶性が向上する傾向にある。
本発明において、アルコール又はカルボン酸の1分子中にOH基又はCOOH基が、n個存在する場合に、n価と表現する。
以下、該エステルワックスについて、具体的に説明するが、これらに限定されるものではない。
上記1価のアルコール又は脂肪族モノアルコールとしては、炭素数14以上30以下の脂肪族モノアルコールであることが好ましく、炭素数18以上24以下の脂肪族モノアルコールであることがより好ましい。
具体的には、ミリスチルアルコール、セタノール、ステアリルアルコール、アラキルアルコール、べへニルアルコール、テトラコサノール、ヘキサコサノール、オクタコサノール、トリアコンタノールなどが挙げられる。
2価のアルコールとしては、炭素数2以上20以下のジオールであることが好ましく、炭素数2以上14以下のジオールであることがより好ましい。
具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,16−へキサデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオール、1,30−トリアコンタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、スピログリコール、1,4−フェニレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールAなどが挙げられる。
具体的には、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、べへン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、リノレン酸などが挙げられる。
2価のカルボン酸としては、炭素数4以上16以下のジカルボン酸であることが好ましく、炭素数6以上12以下のジカルボン酸であることがより好ましい。
具体的には、ブタン二酸(コハク酸)、ペンタン二酸(グルタル酸)、ヘキサン二酸(アジピン酸)、ヘプタン二酸(ピメリン酸)、オクタン二酸(スベリン酸)、ノナン二酸(アゼライン酸)、デカン二酸(セバシン酸)、ドデカン二酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などが挙げられる。
これらの中で、飽和脂肪族カルボン酸と飽和脂肪族アルコールとのエステル化合物であることがより好ましい。
また、エステルワックスの酸価は、5mgKOH/g以下であることが好ましい。
る。
エステルワックスの含有量が、20.0質量部を超える場合、上記ガラス転移温度低下率に影響を及ぼす可能性がある。
また、本発明において、1価のアルコール及び2価のアルコールの少なくとも一方と脂肪族モノカルボン酸とのエステル化合物、又は、1価のカルボン酸及び2価のカルボン酸の少なくとも一方と脂肪族モノアルコールとのエステル化合物の片方、又は、両方を同時に用いることができる。
さらに、該エステルワックスは、本発明の効果を損ねない程度に、上記エステル化合物以外のエステル化合物を含有してもよい。また、トナーは、本発明の効果を損ねない程度に、上記エステルワックス以外に、公知のワックスを含有してもよい。公知のワックスの具体例として、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物又はそれらのブロック共重合物などが挙げられる。
非晶性ポリエステル樹脂Bは、例えば、カルボン酸化合物とアルコール化合物からの脱水縮合反応を利用する方法、エステル交換反応で製造することができる。触媒としては、エステル化反応に使う一般の酸性、アルカリ性触媒、例えば、酢酸亜鉛、チタン化合物などでよい。その後、再結晶法、蒸留法などにより高純度化させてもよい。
好ましい製造方法としては、原料の多様性、反応のしやすさからカルボン酸化合物とアルコール化合物を用いた脱水縮合反応である。
具体的には、ジカルボン酸又はその無水物(モノマー)と、下記式(2)で示されるイソソルビド及び二価のアルコール(モノマー)とを、カルボキシ基が残存する組成比率で、窒素雰囲気中、180〜260℃の反応温度で脱水縮合する方法が例示できる。また、必要に応じて三価以上の多塩基酸又はその無水物、一塩基酸、三価以上のアルコール、一価のアルコールなどを用いることも可能である。
キサンジメタノール、水添ビスフェノールAなどの脂環式のジオール類などが挙げられる。
それらの中でも特に、ビスフェノール誘導体をアルコール化合物とし、二価以上のカルボン酸又はその酸無水物、又はその低級アルキルエステルを酸化合物として、これらを縮重合して得られるポリエステル樹脂を好ましく用いることができる。
非晶性ポリエステル樹脂Bは、エチレングリコール由来のモノマーユニットを含有する場合、イソソルビドユニットによる剛直性だけでなく、エチレングリコール由来のモノマーユニットによる柔軟性も有することになり、耐久性に優れる。
さらにはイソソルビドユニットとエチレングリコール由来のモノマーユニットの極性の強さから水系媒体中でトナーを形成した際、非晶性ポリエステル樹脂Bがシェルを形成しやすくなるため、耐久性に優れる。かつ、シェルを形成する非晶性ポリエステル樹脂Bの極性が適度になることからトナーの帯電性に優れる。
また、非晶性ポリエステル樹脂Bの製造に用いられる脂肪族系ジオール化合物として、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオールやネオペンチルグリコールなどを用いてもよい。ただし、これらの脂肪族系ジオール化合物のように、水酸基が結合する炭素原子又はその隣の炭素原子にメチル基などのアルキル基が結合した分岐構造を有するものは分岐のアルキル基による立体障害が生じやすい。そのため、これらの脂肪族系ジオール化合物としては、非晶性ポリエステル樹脂Bの柔軟性の点でエチレングリコールを用いることが好ましい。
また、炭素数が3以上の直鎖構造のジオール化合物では、非晶性ポリエステル樹脂Bの柔軟性が過剰となり易い。
リコール由来のモノマーユニットを含有する場合、イソソルビドユニット及びエチレングリコール由来のモノマーユニットを合計した含有割合は、非晶性ポリエステル樹脂Bを構成する全アルコールモノマーユニットを基準として、20.0mol%以上65.0mol%以下であることが好ましい。該構成を満たす場合、耐久性と帯電性に優れ、長期使用においてもカブリや画像濃度の低下を抑制できる。
該効果が得られる理由は、非晶性ポリエステル樹脂Bを構成するモノマーユニットのうち、イソソルビドユニット及びエチレングリコール由来のモノマーユニットは、特に極性が強く、シェルの形成に大きく影響を与えるためである。
非晶性ポリエステル樹脂Bが上記構成を有することで、非晶性ポリエステル樹脂Bが強固なシェルを形成しやすく、かつ、高温高湿環境下での適度な吸湿性を有するのに適度な極性を有することになるため、耐久性及び帯電性の点でより優れる。
テレフタル酸は、フタル酸やイソフタル酸、又は脂肪族系ジカルボン酸と比較して、分子構造として、対称性及び直線性が高い。該テレフタル酸を高い比率で用いることで、得られる非晶性ポリエステル樹脂Bの配向性が高まり、剛直な分子となり、より強固なシェル層を形成できる。
特に、テレフタル酸由来のモノマーユニットの含有割合が、非晶性ポリエステル樹脂Bを構成する全ジカルボン酸モノマーユニットを基準として、100.0mol%である場合、非晶性ポリエステル樹脂Bの組成ムラが小さくなるため、さらに強固なシェルを形成できる。
また、テレフタル酸由来のモノマーユニットの含有割合が、100.0mol%である場合、テレフタル酸の配向性の高さから、ベンゼン環由来のπ電子相互作用が強く発現し、分子の配向性がより高くなり、耐久性が向上し、帯電性にも優れる。
非晶性樹脂A、エステルワックス、及び着色剤を含有するコアと、非晶性ポリエステル樹脂Bを含有するシェルで形成されたコアシェル構造を有するトナーの製造方法であって、
(I)該非晶性樹脂Aを構成する重合性単量体、該エステルワックス、該着色剤、及び該非晶性ポリエステル樹脂Bを含有するトナー組成物を水系媒体中に分散し、該水系媒体中で該トナー組成物の粒子を形成する工程、及び、該トナー組成物の該粒子に含まれる該重量性単量体を重合する工程、
又は、
(II)該非晶性樹脂Aの粒子分散液、該エステルワックスの粒子分散液、及び該着色剤の粒子分散液を混合し、凝集剤によりコア凝集粒子を形成する工程、
該コア凝集粒子に非晶性ポリエステル樹脂Bの粒子を付着させてコアシェル粒子を形成する付着工程、及び、該コアシェル粒子を加熱して融合させる融合工程、を含み、
該エステルワックスは、1価のアルコール及び2価のアルコールの少なくとも一方と脂肪族モノカルボン酸とのエステル化合物、又は、1価のカルボン酸及び2価のカルボン酸の少なくとも一方と脂肪族モノアルコールとのエステル化合物を含有し、
下記式(i)により算出されるガラス転移温度低下率Aが15%以上50%以下であり、
下記式(ii)により算出されるガラス転移温度低下率Bが0%以上13%以下であり、
該非晶性ポリエステル樹脂Bが上記式(1)で示されるイソソルビドユニットを含有し、下記式(1)で示されるイソソルビドユニットの含有割合が、該非晶性ポリエステル樹脂Bを構成する全モノマーユニットを基準として、0.1mol%以上20.0mol%以下であり、
該非晶性ポリエステル樹脂Bの含有量が、該非晶性樹脂A 100.0質量部に対して、1.0質量部以上20.0質量部以下であることを特徴とする。
式(i):〔{Tg(A)−Tg(AW)}/Tg(A)〕×100
式(ii):〔{Tg(B)−Tg(BW)}/Tg(B)〕×100
[該Tg(A)[℃]は、該非晶性樹脂Aのガラス転移温度を表し、該Tg(AW)[℃]は、該非晶性樹脂Aと該エステルワックスとを該コアにおける含有質量比率で配合して得られる樹脂組成物のガラス転移温度を表す。
該Tg(B)[℃]は、該非晶性ポリエステル樹脂Bのガラス転移温度を表し、該Tg(BW)[℃]は、100質量部の該非晶性ポリエステル樹脂Bに対して、5質量部の該エステルワックスを配合して得られる樹脂組成物のガラス転移温度を表す。]
上記(II)の製造方法は、一般的に乳化凝集法と呼ばれ、本発明でも以下乳化凝集法という。
どちらも、一般的に、トナー粒子を水系媒体中で造粒する工程を経ることに特徴を有する。
例えば、トナーが懸濁重合法によって製造されることで、コアシェル構造がより明確化されたトナーが得られる。これは、トナー組成物の粒子が低粘度である重合初期において、選択的にシェルを構成する非晶性ポリエステル樹脂Bが相分離されるからと考える。
本発明おいて、非晶性ポリエステル樹脂Bの酸価は、0.5mgKOH/g以上25.0mgKOH/g以下であることが好ましく、より好ましくは1.0mgKOH/g以上15.0mgKOH/g以下である。酸価が上記範囲内であれば、トナー表面に非晶性ポリエステル樹脂Bをより存在させやすく、シェルの形成がより均一なものになる。その結果、高温での長期保存性の発揮、及び、現像性の維持がより容易となる。
なお、非晶性ポリエステル樹脂Bの酸価は、重合時のモノマー組成比などによって制御可能である。また、酸価の測定方法については後述する。
重量平均分子量(Mw)が上記範囲内であれば、シェルにおける非晶性ポリエステル樹脂Bの分散性がより向上するため、均一なシェルを形成することができる。
なお、非晶性ポリエステル樹脂Bの重量平均分子量(Mw)の測定方法については後述する。
まず、非晶性樹脂Aを構成する重合性単量体、エステルワックス、着色剤、及び非晶性ポリエステル樹脂B、並びに、必要に応じて重合開始剤、架橋剤、帯電制御剤及びその他の添加剤を混合し、ホモジナイザー、ボールミル、コロイドミル、超音波分散機のような分散機を用いて、均一に溶解又は分散して、トナー組成物を調製する。
得られたトナー組成物を、分散剤を含有する水系媒体中に添加し、高速撹拌機又は超音波分散機のような撹拌機を用いて分散し、水系媒体中でトナー組成物の粒子を形成する。
そして、該粒子に含まれる重合性単量体を光や熱により重合する。重合によって得られた粒子は、公知の方法によって濾過、洗浄、乾燥を行い、必要により流動性向上剤などを混合し表面に付着させることで、トナーとするとよい。
該製造方法において、重合開始剤は、上記のように重合性単量体中にその他の添加剤を添加するときに同時に加えてもよいし、水系媒体中でトナー組成物の粒子を形成する直前に混合してもよい。また、粒子の形成直後、重合反応を開始する前に重合性単量体又は溶媒に溶解した重合開始剤を加えてもよい。
単官能性重合性単量体としては、スチレン;α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、及び、p−フェニルスチレンのようなスチレン誘導体類;
メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジメチルフォスフェートエチルアクリレート、ジエチルフォスフェートエチルアクリレート、ジブチルフォスフェートエチルアクリレート、及び、2−ベンゾイルオキシエチルアクリレートのようなアクリル系重合性単量体;
メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルメタクリレート、ジエチルフォスフェートエチルメタクリレート、及び、ジブチルフォスフェートエチルメタクリレートのようなメタクリル系重合性単量体;
本発明において、単官能性重合性単量体を単独若しくは2種以上組み合わせて、又は、単官能性重合性単量体と多官能性重合性単量体を組み合わせて使用するとよい。
また、多官能性重合性単量体は架橋剤として使用することも可能である。
該重合性単量体は、スチレン又はスチレン誘導体のようなスチレン系重合性単量体、並びに、アクリル系重合性単量体及びメタクリル系重合性単量体の少なくとも一方を含むことが好ましい。
また、重合性単量体中の、スチレン系重合性単量体、並びに、アクリル系重合性単量体及びメタクリル系重合性単量体の少なくとも一方の含有量は、50質量%以上100質量%以下であることが好ましく、70質量%以上100質量%以下であることがより好ましい。
黒色着色剤としては、カーボンブラック、磁性体、又は、以下に示すイエロー、マゼンタ、及びシアン着色剤を用い黒色に調色されたものが挙げられる。
イエロー着色剤としては、モノアゾ化合物、ジスアゾ化合物、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アンスラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントイエロー74、93、95、109、111、128、155、174、180、185が挙げられる。
マゼンタ着色剤としては、モノアゾ化合物、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、150、166、169、177、184、185、202、206、220、221、238、254、269、C.I.ピグメントバイオレッド19などが例示できる。
シアン着色剤としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物が利用できる。具体的には、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66が挙げられる。
トナー中における該着色剤の含有量は、非晶性樹脂A又は重合性単量体100質量部に対して、1.0質量部以上20.0質量部以下であることが好ましい。
該磁性材料としては、マグネタイト、ヘマタイト、フェライトのような酸化鉄;鉄、コバルト、ニッケルのような金属、又はこれらの金属とアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムのような金属との合金及びその混合物が挙げられる。
トナー中における該磁性材料の含有量は、非晶性樹脂A又は重合性単量体100質量部に対して、20質量部以上200質量部以下であることが好ましく、より好ましくは40質量部以上150質量部以下である。
帯電制御剤としては、公知のものが利用でき、特に帯電スピードが速く、かつ、一定の帯電量を安定して維持できる帯電制御剤が好ましい。
具体的な化合物としては、負帯電制御剤として、サリチル酸、アルキルサリチル酸、ジアルキルサリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸のような芳香族カルボン酸の金属化合物、アゾ染料若しくはアゾ顔料の金属塩又は金属錯体、ホウ素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーンが挙げられる。
一方、正帯電制御剤として、四級アンモニウム塩、該四級アンモニウム塩を側鎖に有す
る高分子型化合物、グアニジン化合物、ニグロシン系化合物、イミダゾール化合物が挙げられる。
帯電制御剤の添加量は、トナー組成物に配合する場合、非晶性樹脂A又は重合性単量体100質量部に対して、0.1質量部以上10.0質量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.1質量部以上5.0質量部以下である。
無機化合物としては、以下のものが挙げられる。
リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナ。
該分散剤として、無機化合物を用いる場合、市販のものをそのまま用いてもよいが、より細かい粒子を得るために、水系媒体中にて無機化合物を生成させて用いてもよい。
例えば、リン酸カルシウムの場合、高撹拌下において、リン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液を混合するとよい。
一方、有機化合物としては、以下のものが挙げられる。
ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、ポリアクリル酸及びその塩、デンプン。
分散剤の使用量は、トナー組成物100質量部に対して、0.2質量部以上20質量部以下であることが好ましい。
流動性向上剤としては、シリカ微粒子、酸化チタン、酸化アルミニウムのような無機微粒子が好適に用いられる。これら無機微粒子は、シランカップリング剤、シリコーンオイル又はそれらの混合物のような疎水化剤で疎水化処理されていることが好ましい。
さらに、本発明のトナーは、必要に応じて流動性向上剤以外の外部添加剤をトナーに混合されていてもよい。
流動性向上剤の添加量は、トナー100.0質量部に対して、0.01質量部以上8.0質量部以下であることが好ましく、1.0質量部以上5.0質量部以下であることがより好ましい。
<ガラス転移温度低下率A、ガラス転移温度低下率B、Tg(AW)(℃)、及び、Tg(BW)(℃)の測定方法>
これらの測定には、示差走査熱量分析(DSC)装置を用いる。
サンプルとしては、非晶性樹脂Aとエステルワックスを配合して得られる樹脂組成物、及び、非晶性ポリエステル樹脂Bとエステルワックスを配合して得られる樹脂組成物を用いる。
(非晶性樹脂Aの製造)
本発明において、トナーを懸濁重合法によって製造する場合には、トナーから非晶性樹脂Aのみを分離することは困難である。そのため、各トナーの非晶性樹脂Aに相当する樹脂を別途作製する必要がある。
後述する実施例において、懸濁重合法によってトナーを製造する際、非晶性樹脂Aを構
成する重合性単量体のみを用いて、トナーの製造条件と同じ重合温度と、同じ重合開始剤を同じ量用いて製造した樹脂を、各トナーにおける非晶性樹脂Aとした。
なお、同等の樹脂が得られているかどうかについては、後述する組成分析と、重量平均分子量(Mw)の測定を行い、トナーと同等であることを確認した。
トルエン2mlに、非晶性樹脂Aとエステルワックスを、各トナーを製造する際と同じ比率(すなわち、コアにおける含有質量比率)で溶解し、必要に応じて加熱して均一な溶解液を作製する(後述の実施例においては非晶性樹脂Aとエステルワックスが100:5の質量比率である。)。該溶解液をロータリーエバポレータにて120℃まで加熱し、突沸しないように徐々に減圧する。50mbarまで減圧して2時間乾燥を行ったものを樹脂組成物とした。
一方、非晶性ポリエステル樹脂Bとエステルワックスを配合して得られる樹脂組成物は、非晶性ポリエステル樹脂Bとエステルワックスを100:5の質量比率で、非晶性樹脂Aとエステルワックスとの樹脂組成物の作製手法と同様の手法で作製した。
非晶性ポリエステル樹脂Bとエステルワックスとの質量比率を100:5に設定した理由は、各トナーと同等の質量比率で配合すると、非晶性ポリエステル樹脂B中のエステルワックスが飽和して余剰分が結晶化する。それにともなって本来相溶していたエステルワックスまで再結晶化してしまうためである。
なお、エステルワックスを2種類以上用いる場合は、使用するエステルワックスの比率で各樹脂と配合して樹脂組成物を作製した。
ガラス転移温度低下率A、及びガラス転移温度低下率Bは示差走査熱量分析(DSC)装置「Q1000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、測定サンプル2mgを精秤し、アルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定範囲0℃から120℃の間で、昇温速度10℃/分の速度で昇温する。この昇温過程で温度0℃から120℃の範囲におけるDSC曲線の比熱変化が検出される。該比熱変化が出る前後の各ベースラインを延長した直線から縦軸方向に等距離にある直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線とが交わる点をガラス転移温度「Tg:℃」とする。
ガラス転移温度低下率A:〔{Tg(A)−Tg(AW)}/Tg(A)〕×100
ガラス転移温度低下率B:〔{Tg(B)−Tg(BW)}/Tg(B)〕×100
該Tg(A)[℃]は、非晶性樹脂Aのガラス転移温度を表し、該Tg(AW)[℃]は、非晶性樹脂Aとエステルワックスとをコアにおける含有質量比率で配合して得られる樹脂組成物のガラス転移温度を表す。
該Tg(B)[℃]は、非晶性ポリエステル樹脂Bのガラス転移温度を表し、該Tg(BW)[℃]は、100質量部の非晶性ポリエステル樹脂Bに対して、5質量部のエステルワックスを配合して得られる樹脂組成物のガラス転移温度を表す。
非晶性樹脂A、非晶性ポリエステル樹脂B(イソソルビドユニットの含有割合を含む)及びエステルワックスの構造は、核磁気共鳴装置(1H−NMR、13C−NMR)並びにFT−IRスペクトルを用いて決定する。
以下に測定に用いた装置及び測定方法を記す。
各サンプルはトナー中から分取することで採取し、分析してもよい。
(i)1H−NMR、13C−NMR
測定装置 :FT NMR装置 JNM−EX400(日本電子社製)
測定周波数:400MHz
パルス条件:5.0μs
周波数範囲:10500Hz
積算回数 :64回
測定温度 :30℃
試料50mgを内径5mmのサンプルチューブに入れ、溶媒として重クロロホルム(CDCl3)を添加し、これを40℃の恒温槽内で溶解させて測定試料を調製する。当該測定試料を用いて上記条件にて測定した。
(ii)FT−IRスペクトル
測定装置:Spectrum One (Perkin−Elmer社製)
測定方法:1回反射ATR法
Range Start:4000cm−1
End:400cm−1(KRS−5のATR結晶)
Scan number:32
Resolution:4.00cm−1
Advanced:CO2/H2O補正あり
試料0.01gをATR結晶の上に精秤して、圧力アームでサンプルを加圧する。該試料を上記条件にて測定した。
酸価は、以下の操作により求める。酸価は試料1gに含まれる酸を中和するために必要な水酸化カリウムのmg数である。基本操作はJIS K0070−1992に準じて測定されるが、具体的には、以下の手順に従って測定する。
(1)試薬の準備
フェノールフタレイン1.0gをエチルアルコール(95vol%)90mlに溶かし、イオン交換水を加えて100mlとし、フェノールフタレイン溶液を得る。
特級水酸化カリウム7gを5mlの水に溶かし、エチルアルコール(95vol%)を加えて1Lとする。炭酸ガスなどに触れないように、耐アルカリ性の容器に入れて3日間放置後、ろ過して、水酸化カリウム溶液を得る。得られた水酸化カリウム溶液は、耐アルカリ性の容器に保管する。前記水酸化カリウム溶液のファクターは、0.1モル/L塩酸25mlを三角フラスコに取り、前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液で滴定し、中和に要した前記水酸化カリウム溶液の量から求める。前記0.1モル/L塩酸は、JIS K 8001−1998に準じて作成されたものを用いる。(2)操作
(A)本試験
粉砕した試料 2.0gを200mlの三角フラスコに精秤し、トルエン:エタノール(2:1)の混合溶液100mlを加え、5時間かけて溶解する。次いで、指示薬として前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液を用いて滴定する。なお、滴定の終点は、指示薬の薄い紅色が約30秒間続いたときとする。
(B)空試験
試料を用いない(すなわちトルエン:エタノール(2:1)の混合溶液のみとする)以外は、上記操作と同様の滴定を行う。
(3)得られた結果を下記式に代入して、酸価を算出する。
A=[(C−B)×f×5.61]/S
ここで、A:酸価(mgKOH/g)、B:空試験の水酸化カリウム溶液の添加量(ml)、C:本試験の水酸化カリウム溶液の添加量(ml)、f:水酸化カリウム溶液のファクター、S:試料(g)である。
非晶性樹脂A、及び非晶性ポリエステル樹脂Bの重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。
まず、室温で、各種樹脂をテトラヒドロフラン(THF)に溶解する。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マイショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。なお、サンプル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が0.8質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
装置:高速GPC装置「HLC−8220GPC」[東ソー(株)製]
カラム:LF−604の2連[昭和電工(株)製]
溶離液:THF
流速:0.6ml/min
オーブン温度:40℃
試料注入量:0.020ml
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500」、東ソ−社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
エステルワックスの最大吸熱ピークのピーク温度は、示差走査熱量分析(DSC)装置「Q1000」(TA Instruments社製)を用いて、ASTM D3418−82に準じて測定する。
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、測定サンプル2mgを精秤し、アルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定範囲0℃から100℃の間で、昇温速度10℃/分の速度で昇温する。100℃まで昇温した後、100℃で15分間保持し、その後、100℃から0℃まで、降温速度5℃/分で冷却する。0℃まで降温後、0℃で10分間保持し、その後0℃から120℃の間で、昇温速度10℃/分で測定を行う。この2回目の昇温過程における吸熱曲線における最大吸熱ピークのピーク温度(℃)を測定する。
(水系媒体の調整)
・イオン交換水 1000.0質量部
・リン酸ナトリウム 14.0質量部
・10%塩酸 4.5質量部
上記材料を、T.K.ホモミクサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて、12000rpmにて攪拌し混合物を得た。得られた混合物は窒素パージしながら65℃で60分間保温した。次に、イオン交換水10質量部に8質量部の塩化カルシウムを溶解した塩化カルシウム水溶液を該混合物に一括投入し、分散剤を含む水系媒体を調製した。調製された水系媒体のpHは5.5であった。
(分散液1の調製:分散工程)
・スチレン 60.0質量部
・帯電制御剤(オリエント社製:ボントロンE−88) 0.5質量部
上記材料及び直径1.7mmのジルコニア粒子をアトライタ(三井三池化工機株式会社)に投入し、220rpmで5時間混合することでスチレン中に帯電制御剤を分散した。分散後にジルコニア粒子を分離して分散液1を作製した。
(重合性単量体組成物1の調製)
・スチレン 15.0質量部
・n−ブチルアクリレート(n−BA) 25.0質量部
上記材料を混合し、2時間撹拌して、重合性単量体組成物1を得た。
(重合性単量体組成物2の調製)
分散液1及び重合性単量体組成物1を混合した後、下記材料を添加した。
・ジビニルベンゼン 0.02質量部
添加後、混合しながら、65℃に加温した。65℃で30分間、保温しながらT.K.ホモミクサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて、500rpmで均一に溶解して重合性単量体組成物2を得た。
(造粒/重合工程)
得られた重合性単量体組成物2を上記水系媒体中に投入した。次いで、重合開始剤t−ブチルパーオキシピバレート(25%トルエン溶液)10.0質量部を添加し、65℃、窒素パージ下において、T.K.ホモミクサー(特殊機化工業株式会社製)にて10000rpmで5分間攪拌し、pH5.5で造粒した。その後、パドル攪拌翼で攪拌しつつ70℃(表2における「重合温度」)に昇温し、撹拌しながら5時間反応した。
(蒸留/洗浄/乾燥/分級/外添工程)
重合反応終了後、容器内の温度を100℃に昇温し、4時間蒸留した。その後、5℃/
分で30℃まで反応容器を冷却し、10%塩酸を加えpHを2とした状態で2時間攪拌しながら分散剤を溶解した。得られたエマルションを加圧濾過し、さらに2000質量部以上のイオン交換水で洗浄した。得られたケーキを再び、1000質量部のイオン交換水に戻し、10%塩酸を加えpHを1以下とした状態で2時間攪拌しながら、再洗浄した。
上記と同様に得られたエマルションを加圧濾過し、さらに2000質量部以上のイオン交換水で洗浄し、十分通気をした後、乾燥して非晶性樹脂A1を得た。
表2に示すように、重合性単量体の質量部数、重合温度、を変更すること以外は非晶性樹脂A1の製造方法と同様にして非晶性樹脂A2〜A4を得た。
(非晶性樹脂A5粒子分散液の調製)
・スチレン 75.0質量部
・n−ブチルアクリレート 25.0質量部
以上を混合し、混合液を得た。
一方、非イオン性界面活性剤(三洋化成(株)製:ノニポール400)1.5質量部、及びアニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)2.2質量部をイオン交換水120.0質量部に溶解し、上記混合液に添加した。
10分間ゆっくりと混合しながら乳化し、これに重合開始剤として過硫酸アンモニウム1.5質量部を溶解したイオン交換水10.0質量部を投入した。
さらに、窒素置換を行った後、撹拌しながら内容物が温度70℃になるまで加熱し、4時間そのまま乳化重合を継続した。
その後、固形分濃度が20.0質量%になるようイオン交換水の量を調整し、個数平均粒径が0.29μmである非晶性樹脂A5粒子を分散させてなる非晶性樹脂A5粒子分散液を調製した。
該非晶性樹脂A5粒子分散液の一部について遠心分離を行って固形分を回収した後に乾燥を行い、非晶性樹脂A5を得た。
非晶性樹脂A1〜A5の物性を表2に示した。
撹拌機、温度計、窒素導入管、脱水管、及び、減圧装置を備えた反応容器に、無水トリメリット酸以外の原材料モノマーを表3に示したmol比率で混合した混合物100.0部を添加して撹拌しながら温度130℃まで加熱した。その後、エステル化触媒としてジ(2−エチルヘキサン酸)錫0.52部を加え、温度200℃に昇温し6時間かけて縮重
合する。さらに、表3に示すmol比率で無水トリメリット酸を添加し、窒素導入ライン、脱水ライン、攪拌機を装備した重合タンクに入れ、40kPaの減圧下にて所望の分子量になるまで縮合反応を行い、非晶性ポリエステル樹脂B1を得た。
表3の原材料モノマー仕込み量及び縮重合反応の温度条件に変更する以外は、非晶性ポリエステル樹脂B1と同様の操作を行い、非晶性ポリエステル樹脂B2〜B10を製造した。
TPA :テレフタル酸
IPA :イソフタル酸
TMA :無水トリメリット酸
BPA(PO):ビスフェノールAのプロピレンオキサイド2モル付加物
BPA(EO):ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物
EG :エチレングリコールを表わす。
(水系媒体の調整)
・イオン交換水 1000.0質量部
・リン酸ナトリウム 14.0質量部
・10%塩酸 4.5質量部
上記材料を、T.K.ホモミクサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて、12000rpmにて攪拌し混合物を得た。得られた混合物は窒素パージしながら65℃で60分間保温した。次に、イオン交換水10質量部に8質量部の塩化カルシウムを溶解した塩化カルシウム水溶液を該混合物に一括投入し、分散剤を含む水系媒体を調製した。調製された水系媒体のpHは5.5であった。
(顔料分散液1の調製:顔料分散工程)
・スチレン 60.0質量部
・C.I.ピグメントブルー15:3 6.0質量部
・帯電制御剤(オリエント社製:ボントロンE−88) 0.5質量部
上記材料及び直径1.7mmのジルコニア粒子をアトライタ(三井三池化工機株式会社)に投入し、220rpmで5時間混合することで、スチレン中に着色剤及び帯電制御剤を分散した。分散後にジルコニア粒子を分離して顔料分散液1を作製した。
(重合性単量体組成物1の調製)
・スチレン 15.0質量部
・n−ブチルアクリレート(n−BA) 25.0質量部
・非晶性ポリエステル樹脂B1 6.0質量部
上記材料を混合し、2時間撹拌して、非晶性ポリエステル樹脂B1を溶解し、重合性単量体組成物1を得た。
(重合性単量体組成物2の調製)
顔料分散液1及び重合性単量体組成物1を混合した後、下記材料を添加した。
・エステルワックスE1(セバシン酸ジベヘニル) 5.0質量部
・ジビニルベンゼン 0.02質量部
添加後、混合しながら、65℃に加温した。65℃で30分間、保温しながらT.K.ホモミクサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて、500rpmにて均一に溶解して重合性単量体組成物2を得た。
(造粒/重合工程)
得られた重合性単量体組成物2を上記水系媒体中に投入した。次いで、重合開始剤t−ブチルパーオキシピバレート(25%トルエン溶液)10.0質量部を添加し、65℃、窒素パージ下において、T.K.ホモミクサー(特殊機化工業株式会社製)にて10000rpmで5分間攪拌し、pH5.5で造粒した。その後、パドル攪拌翼で攪拌しつつ70℃(表4における「重合温度」)に昇温し、撹拌しながら5時間反応した。
(蒸留/洗浄/乾燥/分級/外添工程)
重合反応終了後、容器内の温度を100℃に昇温し、4時間蒸留した。その後、5℃/
分で30℃まで反応容器を冷却し、10%塩酸を加えpHを2とした状態で2時間攪拌しながら分散剤を溶解した。得られたエマルションを加圧濾過し、さらに2000質量部以上のイオン交換水で洗浄した。得られたケーキを再び、1000質量部のイオン交換水に戻し、10%塩酸を加えpHを1以下とした状態で2時間攪拌しながら、再洗浄した。
上記と同様に得られたエマルションを加圧濾過し、さらに2000質量部以上のイオン交換水で洗浄し、十分通気をした後、乾燥して風力分級し、重量平均粒径7.0μmのトナー粒子1を得た。
100.0質量部の上記トナー粒子1に、外添剤として、シリカ微粒子に対して20質量%のジメチルシリコーンオイルで表面処理した疎水性シリカ微粒子(1次粒子の個数平均粒径:7nm、BET比表面積:130m2/g)1.5質量部、及び、酸化チタン微粒子に対して15.0質量%のイソブチルトリメトキシシランで表面処理した疎水性酸化チタン微粒子(1次粒子の個数平均粒径:50nm)0.3質量部を添加し、ヘンシェルミキサ(三井三池化工機株式会社製)を用いて、3000rpmで15分間混合して、トナー1を得た。
トナー1の製造例において、C.I.ピグメントブルー15:3をC.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントレッド269、及びカーボンブラックにそれぞれ変更する以外は同様の方法により、それぞれトナー2〜4を得た。
表4に示すように、重合性単量体の質量部数、重合温度、エステルワックスの種類、及び非晶性ポリステル樹脂Bの種類を変更すること以外はトナー1の製造方法と同様にしてトナー6〜9,12〜18、及びトナー20,21,24,25を得た。
(非晶性ポリエステル樹脂B2粒子分散液の調製)
撹拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管を備えた反応容器に、非晶性ポリエステル樹脂B2 100.0質量部、メチルエチルケトン50.0質量部、テトラヒドロフラン50.0質量部、及びジメチルアミノエタノール(DMAE)2.0質量部を仕込み、50℃に加熱して溶解した。
次いで、撹拌下、50℃のイオン交換水300.0質量部を添加して水分散させた後、得られた水分散体を蒸留装置に移し、留分温度が100℃に達するまで蒸留を行った。
冷却後、得られた水分散体にイオン交換水を加え、分散液中の樹脂濃度が20.0質量%になるように調整した。得られた非晶性ポリエステル樹脂B2粒子の分散液を非晶性ポリエステル樹脂B2粒子分散液とした。
(着色剤粒子の分散液の調製)
・シアン着色剤(C.I.ピグメントブルー15:3) 20.0質量部
・アニオン性界面活性剤 3.0質量部
(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)
・イオン交換水 78.0質量部
以上を混合し、サンドグラインダーミルを用いて分散した。その後、固形分濃度が20
.0質量%になるようイオン交換水の量を調整した。この着色剤粒子分散液における着色剤粒子の粒度分布を、粒度測定装置(堀場製作所製、LA−700)を用いて測定したところ、含まれる着色剤粒子の平均粒径は、0.20μmであり、また1.00μmを超える粗大粒子は観察されなかった。
(エステルワックスE2分散液の調製)
・エステルワックスE2(セバシン酸ジステアリル) 50.0質量部
・アニオン性界面活性剤 7.0質量部
(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)
・イオン交換水 200.0質量部
以上を温度95℃に加熱して、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理した。その後、固形分濃度が20.0質量%になるようイオン交換水の量を調整し、平均粒径が0.50μmであるエステルワックスE2粒子が分散したエステルワックスE2粒子分散液を得た。
(帯電制御剤粒子分散液の調製)
・ジ−アルキル−サリチル酸の金属化合物 5.0質量部
(負帯電制御剤、ボントロンE−84、オリエント化学工業社製)
・アニオン性界面活性剤 3.0質量部
(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)
・イオン交換水 78.0質量部
以上を混合し、サンドグラインダーミルを用いて分散した。その後、固形分濃度が5.0質量%になるようイオン交換水の量を調整した。
(混合液の調製)
・非晶性樹脂A5分散液 100.0質量部
・着色剤分散液 6.0質量部
・エステルワックスE2分散液 5.0質量部
以上を、撹拌装置、冷却管、温度計を装着した1リットルのセパラブルフラスコに投入し撹拌した。得られた混合液を1モル/L−水酸化カリウムを用いてpH5.2に調整した。
この混合液に凝集剤として、8.0質量%塩化ナトリウム水溶液120.0質量部を滴下し、撹拌しながら温度55℃まで加熱した。55℃に到達後、帯電制御剤分散液2.0質量部を加えた。55℃で1時間保持した後、光学顕微鏡で観察すると、平均粒径が6.5μmである凝集粒子が形成されていることが確認された。
その後、5質量%クエン酸三ナトリウム水溶液20.0質量部を加え、撹拌を継続しながら85℃まで昇温して2時間保持し、融合したコア粒子を含有する水系分散体を得た。
コア粒子の粒径を測定したところ、重量平均粒径(D4)は6.5μmであった。
撹拌を継続しながら、ウォーターバス内に水を入れ、コア粒子の水系分散体を25℃まで冷却した。
次いで、非晶性ポリエステル樹脂分散液B2 6.0質量部を添加した。その後、10分間撹拌を行い、さらに2質量%塩化ナトリウム水溶液60質量部を滴下し、35℃に昇温した。この状態で、随時、液を少量摘出し、2μmのマイクロフィルターに通し、ろ液が透明になるまで、35℃で撹拌を継続した。
ろ液が透明になり、コア粒子に樹脂微粒子が付着し、シェル付着体が形成されたのを確認後、シェル付着体の水系分散体を40℃に昇温して1時間撹拌した後、5質量%クエン酸三ナトリウム水溶液15.0質量部を添加し、65℃にして90分間撹拌を行った。
その後、得られた液を25℃まで冷却した後、ろ過・固液分離した後、800.0質量
部のイオン交換水を固形分に加え30分間撹拌洗浄した。その後再びろ過・固液分離を行った。
以上のようにろ過と洗浄を、残留界面活性剤の影響を排除するため、ろ液の電気伝導度が150μS/cm以下となるまで繰り返した。次に、得られた固形分を乾燥させることにより、トナー粒子19を得た。トナー粒子19の重量平均粒径(D4)は7.0μmで
あった。
100.0質量部の上記トナー粒子19に、外添剤として、シリカ微粉体に対して20質量%のジメチルシリコーンオイルで表面処理した疎水性シリカ微粒子(1次粒子の個数平均粒径:7nm、BET比表面積:130m2/g)1.5質量部、及び、酸化チタン微粒子に対して15.0質量%のイソブチルトリメトキシシランで表面処理した疎水性酸化チタン微粒子(1時粒子径:50nm)0.3質量部を添加し、ヘンシェルミキサ(三井三池化工機株式会社製)を用いて、3000rpmで15分間混合して、トナー19を得た。
・非晶性樹脂A1 100.0質量部
・非晶性ポリエステル樹脂B2 6.0質量部
・C.I.ピグメントブルー15:3 6.0質量部
・サリチル酸アルミニウム化合物 0.5質量部
(ボントロンE−88:オリエント化学社製)
・エステルワックスE2(セバシン酸ジステアリル) 5.0質量部
上記材料をヘンシェルミキサ(FM−75型、三井三池化工機株式会社製)で混合した後、二軸混練機(池貝鉄工(株)製PCM−30型))にて回転数3.3s−1、混練温度140℃の条件で混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。得られた粗砕物を、機械式粉砕機(ターボ工業(株)製T−250)にて微粉砕した。さらに、得られた微粉砕粉末を、コアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて分級し、重量平均粒径7.0μmのトナー粒子26を得た。
100.0質量部の上記トナー粒子26に、外添剤として、シリカ微粒子に対して20質量%のジメチルシリコーンオイルで表面処理した疎水性シリカ微粒子(1次粒子の個数平均粒径:7nm、BET比表面積:130m2/g)1.5質量部、及び、酸化チタン微粒子に対して15.0質量%のイソブチルトリメトキシシランで表面処理した疎水性酸化チタン微粒子(1次粒子の個数平均粒径:50nm)0.3質量部を添加し、ヘンシェルミキサ(三井三池化工機株式会社製)を用いて、3000rpmで15分間混合して、トナー26を得た。
・非晶性ポリエステル樹脂B2 100.0質量部
・C.I.ピグメントブルー15:3 6.0質量部
・サリチル酸アルミニウム化合物 0.5質量部
(ボントロンE−88:オリエント化学社製)
・エステルワックスE2(セバシン酸ジステアリル) 5.0質量部
上記材料をヘンシェルミキサ(FM−75型、三井三池化工機株式会社製)で混合した後、二軸混練機(池貝鉄工(株)製PCM−30型))にて回転数3.3s−1、混練温度140℃の条件で混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。得られた粗砕物を、機械式粉砕機(ターボ工業(株)製T−250)にて微粉砕した。さらに、得られた微粉砕粉末を、コアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて分級し、重量平均粒径7.0μmのトナー粒子27を得た。
100.0質量部の上記トナー粒子27に、外添剤として、シリカ微粒子に対して20質量%のジメチルシリコーンオイルで表面処理した疎水性シリカ微粒子(1次粒子の個数平均粒径:7nm、BET比表面積:130m2/g)1.5質量部、及び、酸化チタン微粒子に対して15.0質量%のイソブチルトリメトキシシランで表面処理した疎水性酸化チタン微粒子(1次粒子の個数平均粒径:50nm)0.3質量部を添加し、ヘンシェルミキサ(三井三池化工機株式会社製)を用いて、3000rpmで15分間混合して、トナー27を得た。
得られた各トナーの、非晶性樹脂A、非晶性ポリエステル樹脂B及びエステルワックスを用いて、前述の方法に従って、ガラス転移温度低下率A、ガラス転移温度低下率B、Tg(AW)及びTg(BW)を測定した。トナー1〜4,6〜9,12〜21,24〜27の対応する材料と各物性の測定結果を表5に示す。
[低温定着性]
定着ユニットを外したカラーレーザープリンター(HP Color LaserJet 3525dn、HP社製)を用意し、シアンカートリッジからトナーを取り出して、代わりに評価するトナーを充填した。記録媒体としては、カラーレーザーコピア用紙(キ
ヤノン製、80g/m2)を使用した。次いで、充填したトナーを用いて、トナー載り量0.20mg/cm2となるように縦2.0cm、横15.0cmの未定着画像を、通紙方向に対し上端部から1.0cmの部分に形成した。次いで、取り外した定着ユニットを定着温度とプロセススピードを調節できるように改造し、これを用いて未定着画像の定着試験を行った。
まず、常温常湿環境下(23℃、60%RH)、プロセススピードを230mm/s、定着線圧27.4kgfに設定し、初期温度を110℃として設定温度を5℃ずつ順次昇温させながら、各温度で上記未定着画像の定着を行った。
低温定着性の評価基準は以下の通りである。低温側定着開始点とは、画像の表面を4.9kPa(50g/cm2)の荷重をかけたシルボン紙(ダスパー K−3)で0.2m/秒の速度で5回摺擦したときに、摺擦前後の画像濃度の濃度低下率が10.0%以下になる最低温度のことである。定着がしっかり行われない場合には、上記画像濃度の低下率は増える傾向にある。
評価結果を表6に示す。本発明ではCまでが許容できるレベルである。
(評価基準)
A:低温側定着開始点が120℃以下
B:低温側定着開始点が125℃又は130℃
C:低温側定着開始点が135℃又は140℃
D:低温側定着開始点が145℃以上
5.0gのトナーを100mLのプラスティックカップに入れ、温度55℃/湿度10%RHで10日間放置した後、評価サンプルを温度23℃/湿度60%RHの環境下に1晩放置した。測定法としては、トナーの凝集度を以下のようにして測定し、下記の基準にて評価を行った。
測定装置としては、「パウダーテスター」(ホソカワミクロン社製)の振動台側面部分に、デジタル表示式振動計「デジバイブロ MODEL 1332A」(昭和測器社製)を接続したものを用いた。そして、パウダーテスターの振動台上に下から、目開き38μm(400メッシュ)の篩、目開き75μm(200メッシュ)の篩、目開き150μm(100メッシュ)の篩の順に重ねてセットした。測定は、23℃、60%RH環境下で、以下の様にして行った。
(1)デジタル表示式振動計の変位の値を0.60mm(peak−to−peak)になるように振動台の振動幅を予め調整した。
(2)予め23℃、60%RH環境下において1晩放置したトナー5gを精秤し、最上段の目開き150μmの篩上に静かにのせた。
(3)篩を15秒間振動させた後、各篩上に残ったトナーの質量を測定して、下式にもとづき凝集度を算出した。
凝集度(%)={(目開き150μmの篩上の試料質量(g))/5(g)}×100
+{(目開き75μmの篩上の試料質量(g))/5(g)}×100×0.6
+{(目開き38μmの篩上の試料質量(g))/5(g)}×100×0.2
以下のように高温での長期保存性を評価した。
評価結果を表6に示す。本発明ではCまでが許容できるレベルである。
(評価基準)
A:凝集度が20%未満
B:凝集度が20%以上30%未満
C:凝集度が30%以上40%未満
D:凝集度が40%以上
市販のカラーレーザープリンター(HP Color LaserJet 3525d
n、HP社製)を、一色のプロセスカートリッジだけの装着でも作動するよう改造して評価を行った。このカラーレーザープリンターに搭載されていたシアンカートリッジから中に入っているトナーを抜き取り、エアーブローにて内部を清掃した後、代わりに評価するトナー(300g)を充填した。高温高湿下(30℃、80%RH)、受像紙として、キヤノン製オフィスプランナー(64g/m2)を用い、印字率2%チャートを20000枚連続して画出しした。画出し後、さらにハーフトーン画像を出力し、該ハーフトーン画像における画像スジの有無、及び現像ローラ上の融着物の有無について観察し、以下のように現像性を評価した。
評価結果を表6に示す。本発明ではCまでが許容できるレベルである。
(評価基準)
A:現像ローラ上とハーフトーン部の画像上に、現像スジと見られる排紙方向の縦スジは見られない。
B:現像ローラ上に、細いスジが1〜4本あるものの、ハーフトーン部の画像上に現像スジと見られる排紙方向の縦スジは見られない。
C:現像ローラ上に、細いスジが5〜9本あるものの、ハーフトーン部の画像上に現像スジと見られる排紙方向の縦スジは見られない。
D:現像ローラ上に、スジが10本以上あり、ハーフトーン部の画像上に目視可能な現像スジが見られる。
Claims (7)
- 非晶性樹脂A、エステルワックス、及び着色剤を含有するコアと、非晶性ポリエステル樹脂Bを含有するシェルで形成されたコアシェル構造を有するトナーであって、
該エステルワックスは、1価のアルコール及び2価のアルコールの少なくとも一方と脂肪族モノカルボン酸とのエステル化合物、又は、1価のカルボン酸及び2価のカルボン酸の少なくとも一方と脂肪族モノアルコールとのエステル化合物を含有し、
下記式(i)により算出されるガラス転移温度低下率Aが15%以上50%以下であり、
下記式(ii)により算出されるガラス転移温度低下率Bが0%以上13%以下であり、
該非晶性ポリエステル樹脂Bが下記式(1)で示されるイソソルビドユニットを含有し、下記式(1)で示されるイソソルビドユニットの含有割合が、該非晶性ポリエステル樹脂Bを構成する全モノマーユニットを基準として、0.1mol%以上20.0mol%以下であり、
該非晶性ポリエステル樹脂Bの含有量が、該非晶性樹脂A 100.0質量部に対して、1.0質量部以上20.0質量部以下であることを特徴とするトナー。
式(i):〔{Tg(A)−Tg(AW)}/Tg(A)〕×100
式(ii):〔{Tg(B)−Tg(BW)}/Tg(B)〕×100
[該Tg(A)[℃]は、該非晶性樹脂Aのガラス転移温度を表し、該Tg(AW)[℃]は、該非晶性樹脂Aと該エステルワックスとを該コアにおける含有質量比率で配合して得られる樹脂組成物のガラス転移温度を表す。
該Tg(B)[℃]は、該非晶性ポリエステル樹脂Bのガラス転移温度を表し、該Tg(BW)[℃]は、100質量部の該非晶性ポリエステル樹脂Bに対して、5質量部の該エステルワックスを配合して得られる樹脂組成物のガラス転移温度を表す。]
- 前記Tg(AW)及び前記Tg(BW)が、下記式(2)を満たす、請求項1に記載のトナー。
式(2):Tg(AW)≦Tg(BW) - 前記Tg(AW)が、30℃以上52℃以下である、請求項2に記載のトナー。
- 前記非晶性ポリエステル樹脂Bの酸価が、0.5mgKOH/g以上25.0mgKOH/g以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のトナー。
- 前記非晶性ポリエステル樹脂Bの重量平均分子量(Mw)が、5000以上30000以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のトナー。
- 前記非晶性樹脂Aが、スチレンアクリル系樹脂及びスチレンメタクリル系樹脂の少なくとも一方を含有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載のトナー。
- 非晶性樹脂A、エステルワックス、及び着色剤を含有するコアと、非晶性ポリエステル
樹脂Bを含有するシェルで形成されたコアシェル構造を有するトナーの製造方法であって、
(I)該非晶性樹脂Aを構成する重合性単量体、該エステルワックス、該着色剤、及び該非晶性ポリエステル樹脂Bを含有するトナー組成物を水系媒体中に分散し、該水系媒体中で該トナー組成物の粒子を形成する工程、及び、該トナー組成物の該粒子に含まれる該重量性単量体を重合する工程、
又は、
(II)該非晶性樹脂Aの粒子分散液、該エステルワックスの粒子分散液、及び該着色剤の粒子分散液を混合し、凝集剤によりコア凝集粒子を形成する工程、
該コア凝集粒子に非晶性ポリエステル樹脂Bの粒子を付着させてコアシェル粒子を形成する付着工程、及び、該コアシェル粒子を加熱して融合させる融合工程、を含み、
該エステルワックスは、1価のアルコール及び2価のアルコールの少なくとも一方と脂肪族モノカルボン酸とのエステル化合物、又は、1価のカルボン酸及び2価のカルボン酸の少なくとも一方と脂肪族モノアルコールとのエステル化合物を含有し、
下記式(i)により算出されるガラス転移温度低下率Aが15%以上50%以下であり、
下記式(ii)により算出されるガラス転移温度低下率Bが0%以上13%以下であり、
該非晶性ポリエステル樹脂Bが下記式(1)で示されるイソソルビドユニットを含有し、下記式(1)で示されるイソソルビドユニットの含有割合が、該非晶性ポリエステル樹脂Bを構成する全モノマーユニットを基準として、0.1mol%以上20.0mol%以下であり、
該非晶性ポリエステル樹脂Bの含有量が、該非晶性樹脂A 100.0質量部に対して、1.0質量部以上20.0質量部以下であることを特徴とするトナーの製造方法。
式(i):〔{Tg(A)−Tg(AW)}/Tg(A)〕×100
式(ii):〔{Tg(B)−Tg(BW)}/Tg(B)〕×100
[該Tg(A)[℃]は、該非晶性樹脂Aのガラス転移温度を表し、該Tg(AW)[℃]は、該非晶性樹脂Aと該エステルワックスとを該コアにおける含有質量比率で配合して得られる樹脂組成物のガラス転移温度を表す。
該Tg(B)[℃]は、該非晶性ポリエステル樹脂Bのガラス転移温度を表し、該Tg(BW)[℃]は、100質量部の該非晶性ポリエステル樹脂Bに対して、5質量部の該エステルワックスを配合して得られる樹脂組成物のガラス転移温度を表す。]
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