以下、本発明を具体化した実施形態について図面を参照して説明する。使用する図面は、説明する部分が認識可能な状態となるように、適宜拡大、縮小、あるいは誇張して表示している。また、説明に必要な構成要素以外は図示を省略する場合がある。
<プリンターシステムの基本構成>
本実施形態に係る印刷装置としてのインクジェットプリンター(以下では、単にプリンターという)を含むプリンターシステムの基本構成について、図1を参照して説明する。図1は、本実施形態に係るプリンターシステムの基本構成を示す斜視図である。本実施形態に係るプリンターシステム100は、印刷装置としてのプリンター110とスキャナー120とを備えた複合機である。
図1には、Y軸と、Y軸と直交するX軸と、X軸及びY軸と直交するZ軸と、を示している。XYZ軸のそれぞれにおいて、矢印の向きが+方向(正方向)を示しており、矢印の向きとは逆向きが−方向(負方向)を示している。プリンターシステム100は、その使用状態において、X軸とY軸とによって規定される水平な平面に配置され、+Y方向がプリンターシステム100の正面である。Z軸は、水平な平面に直交する軸であり、−Z方向が鉛直下方向となる。
図1に示すように、プリンターシステム100は、プリンター110と、スキャナー120と、インク供給部10とを備えている。プリンターシステム100は、正面側に、ユーザーインターフェイス部としての操作パネル111を有している。
操作パネル111には、例えば、プリンターシステム100の電源のON/OFF、プリンター110による印刷、スキャナー120による原稿の読み取りなどの操作を行うためのボタン類や、プリンターシステム100の動作状態及びメッセージなどを表示するための表示部47が配置されている。操作パネル111には、インクタンク11にユーザーがインクを補充してリセット処理を実行するためのリセットボタンなども配置されている。リセット処理については、後述する。
プリンター110は、液体としてのインクを噴射して、印刷用紙などの印刷媒体Pに印刷を行うことができる。プリンター110は、ケース部112を有している。ケース部112が、プリンター110の外殻を構成している。ケース部112の正面側には、開口部113が設けられている。開口部113には、用紙カセット114がケース部112に対して着脱可能に装着されている。用紙カセット114の上方(+Z方向)には、排紙トレイ115が前後方向(+Y方向及び−Y方向)に伸縮可能に設けられている。
詳細は後述するが、X軸方向(+X方向及び−X方向)がプリンター110の印刷ヘッドの主走査方向HDであり、Y軸方向(+Y方向及び−Y方向)がプリンター110の副走査方向VDである。用紙カセット114には、複数の印刷媒体Pが積層状態で載置される。用紙カセット114に載置された印刷媒体Pは、副走査方向VDに沿ってケース部112の内部に一枚ずつ供給され、プリンター110で印刷された後、副走査方向VDに沿って排紙口116から排紙されて、排紙トレイ115上に載置される。
スキャナー120は、プリンター110の上に載置されている。スキャナー120は、ケース部121を有している。ケース部121が、スキャナー120の外殻を構成している。スキャナー120は、フラットベッドタイプであり、ガラスなどの透明板状部材によって形成された原稿台(図示しない)と、イメージセンサーなどの撮像素子(図示しない)とを有している。スキャナー120は、用紙などの媒体に記録された画像などを、撮像素子を介して画像データとして読み取ることができる。
スキャナー120は、上端部にオートドキュメントフィーダー122を備えている。オートドキュメントフィーダー122により、積層された複数の原稿(画像などが記録された用紙)を一枚ずつ反転させながら順次給送して読み取ることが可能である。スキャナー120は、プリンター110に対して回動可能に構成されており、プリンター110の蓋としての機能も有している。ユーザーは、手掛け部123に手指を挿入してスキャナー120を上方に持ち上げることによって、スキャナー120をプリンター110に対して回動させることができる。これにより、スキャナー120をプリンター110に対して開くことができる。
インク供給部10は、プリンター110の+X軸方向の側方に配置されている。インク供給部10は、プリンター110に液体としてのインクIK(図4(b)参照)を供給する機能を有している。インク供給部10は、ケース部101を有している。ケース部101内には複数の液体容器としてのインクタンク11が配置され、複数のインクタンク11には種類が異なる複数のインクIKが個別に収容されている。すなわち、複数のインクタンク11には、インクタンク11毎に異なる種類のインクIKが収容されている。
本実施形態では、4つのインクタンク11a,11b,11c,11dを有している。また、本実施形態では、インクの種類として、黒インクと、イエロー、マゼンタ、及びシアンのカラーインクとの4種類が採用されている。インクタンク11aには黒インクのインクIKaが収容され、インクタンク11b,11c,11dにはカラーインク(イエロー、マゼンタ、シアン)の各インクIKb,IKc,IKdが収容されている(図4(b)参照)。
インクタンク11a,11b,11c,11dは、プリンター110の正面側からY軸方向に沿って並ぶように配置され、ケース部101内に固定されている。なお、以下では、4つのインクタンク11a,11b,11c,11d及び4種類のインクIKa,IKb,IKc,IKdを区別しない場合は、単にインクタンク11及びインクIKと表記する。
本実施形態では、4つのインクタンク11のそれぞれについて、プリンターシステム100の外部からインクタンク11内にインクIKを注入することが可能な構成になっている。したがって、プリンターシステム100のユーザーが別の容器に収容されたインクIKをインクタンク11に注入して補充することができる。なお、インクタンク11の詳細構成については後述する。
ケース部101には、4つのインクタンク11のそれぞれに対応して、窓部102が設けられている。窓部102は、光透過性を有している。そのため、ユーザーが窓部102を介して4つのインクタンク11を視認することができる。窓部102は、ケース部101に形成された開口部として設けられていてもよいし、光透過性を有する部材で構成されていてもよい。
各インクタンク11の窓部102に対面する部位の少なくとも一部は光透過性を有している。したがって、ユーザーは、窓部102を介して4つのインクタンク11におけるインクIKの量を視認することができる。各インクタンク11には、窓部102に対面する部位に上限マーク17が設けられている。上限マーク17は、ユーザーがインクIKを注入したときにインクタンク11から溢れないように、インクIKを補充する際の上限を目安として示すものである。また、ユーザーは、上限マーク17を目印にして各インクタンク11におけるインクIKの量を把握することができる。
本実施形態では、インクタンク11aの容量はインクタンク11b,11c,11dの容量よりも大きくなっている。インクタンク11b,11c,11dの容量は互いに同じである。プリンター110では、黒インクIKaがカラーインクIKb,IKc,IKdと比べてより多く消費されることを想定している。そのため、4つのインクタンク11のうち、黒インクIKaが収容されたインクタンク11aの容量は、カラーインクIKb,IKc,IKdが収容されたインクタンク11b,11c,11dの容量よりも大きくなっている。そして、黒インクIKaが収容されたインクタンク11aは、ユーザーが残量を把握し易いように、プリンター110の正面側に配置されている。
なお、カラーインクIKb,IKc,IKdが収容されたインクタンク11b,11c,11dの正面側からの配置順は、特に限定されない。また、黒インクIKaではなく、他のインクIKb,IKc,IKdのいずれかがより多く消費される場合は、そのインクIKを容量が大きいインクタンク11aに収容するようにしてもよい。
ケース部101の上部には、蓋部103が設けられている。蓋部103は、ヒンジ部104を介して、ケース部101に対して回動可能に係合している。蓋部103を開くと、4つのインクタンク11が露呈する。例えば、ユーザーがインクタンク11にインクIKを注入する際に、蓋部103を回動させて上方に開くことにより、インクタンク11にアクセスすることができる。
<プリンターの構成>
次に、本実施形態に係るプリンターの構成について、図2を参照して説明する。図2は、本実施形態に係るプリンターの概略構成図である。図2に示すように、本実施形態に係るプリンター110は、キャリッジ20と、紙送りモーター30と、キャリッジモーター33と、紙送りローラー34と、制御部40と、記憶部50と、センサー60とを備えている。なお、図2ではスキャナー120を省略している。
キャリッジ20には、印刷ヘッド22が搭載されている。印刷ヘッド22は、キャリッジ20の下面側(−Z軸方向側)にインクIKを噴射する複数のノズルを有している。印刷ヘッド22と各インクタンク11との間には、チューブ18が設けられている。インクタンク11内の各インクIKは、チューブ18を介して印刷ヘッド22に送られる。印刷ヘッド22は、インクタンク11から送られる各インクIKをインク滴として、複数のノズルから印刷媒体Pに対して噴射する。
キャリッジ20は、ケーブル(図示しない)により、制御部40に接続されている。キャリッジ20は、キャリッジモーター33に駆動されることにより、印刷媒体P上を主走査方向HDに沿って往復移動する。紙送りモーター30は、紙送りローラー34を回転駆動し、印刷媒体Pを副走査方向VDに搬送する。印刷ヘッド22の噴射制御は、ケーブルを介して制御部40により行われる。
すなわち、プリンター110では、制御部40が、紙送りモーター30、キャリッジモーター33、印刷ヘッド22を制御することにより、キャリッジ20が主走査方向HDに沿って移動しながら、副走査方向VDに搬送される印刷媒体Pに対して印刷ヘッド22の複数のノズルからインクIKを噴射することで、印刷媒体Pへの印刷がなされる。
キャリッジ20の移動領域における主走査方向HDの一端部は、キャリッジ20が待機するホームポジション領域となっている。ホームポジション領域には、例えば、印刷ヘッド22のノズルのクリーニングなどのメンテナンスを行うためのキャップ(図示しない)などが配置されている。図2は、キャリッジ20がホームポジションに位置した状態を示している。
また、キャリッジ20の移動領域における主走査方向HDの他端部(ホームポジションとは反対側の端部)には、印刷ヘッドのフラッシングやクリーニングを行う際の廃インクを受容するための廃インクボックス(図示しない)などが配置されている。なお、フラッシングとは、印刷媒体Pの印刷中に、印刷ヘッド22の各ノズルから印刷とは無関係にインクIKを噴射させることをいう。クリーニングとは、印刷ヘッドを駆動させることなく、廃インクボックスに設けられたポンプ等で印刷ヘッドを吸引することにより印刷ヘッド内をクリーニングすることをいう。
制御部40には、ユーザーインターフェイス部としての、表示部47を含む操作パネル111が接続されている。ユーザーが操作パネル111を操作することで、制御部40により、プリンター110とスキャナー120とを動作させることができる。
例えば、図1において、スキャナー120のオートドキュメントフィーダー122に原稿をセットした後、ユーザーが操作パネル111を操作してプリンターシステム100の動作を開始させる。そうすると、スキャナー120によって原稿が読み取られる。続いて、この読み取られた原稿の画像データに基づき、用紙カセット114からプリンター110(ケース部112)の内部に印刷媒体Pが給紙され、この印刷媒体Pにプリンター110で印刷がなされる。
図2に示すように、制御部40には、インターフェイス(I/F)48を介して、コンピューター49を接続することができる。制御部40は、インターフェイス48を介してコンピューター49から画像データを受信し、プリンター110(印刷ヘッド22)により、その画像を印刷媒体Pに印刷する制御を行う。また、制御部40は、スキャナー120によって原稿を読み取り、その画像データをインターフェイス48を介してコンピューター49に送信したり、あるいは、読み取った画像を印刷したりする制御を行う。
制御部40は、駆動制御部41と、消費量算出部42と、液面低下判定部43と、インク残量判定部44とを有している。制御部40は、メイン基板(図示しない)に配置されている。制御部40は、CPU、ROM、RAMなど(図示しない)を備えている。制御部40は、例えば、ROMに記憶された制御プログラムをRAMに展開し、そのRAMに展開された制御プログラムをCPUが実行することで制御部40の各部として動作する。あるいは、制御部40は、CPUを備える代わりに、CPUと制御プログラムで実行される機能と同じ機能を実現するASIC(Application Specific IC)などのハードウエアで構成されてもよいし、CPUとASICとの双方で構成されてもよい。
駆動制御部41は、キャリッジモーター33を制御して、キャリッジ20を移動させる制御を行う。これにより、キャリッジモーター33が、キャリッジ20が備える印刷ヘッド22を移動させる駆動を行う。
消費量算出部42は、印刷ヘッド22の各ノズルからインクIKを噴射させることにより消費するインク消費量を算出する。消費量算出部42は、各インクタンク11にインクIKが充填された状態を基準(初期値)として、インク消費量の算出を開始する。より具体的には、ユーザーがインクタンク11にインクIKを補充してリセットボタンを押すと、そのインクタンク11に対して、インク消費量のカウント値を初期化する(初期値、例えばインク消費量0gを示すカウント値に戻す。)とともに、インク消費量の積算を開始するようになっている。そして、そのインクタンク11に対して、ユーザーが再びリセットボタンを押すまで、あるいは後述する自動的なリセット処理が実行されるまで、インク消費量の積算が継続して行われる。
消費量算出部42が算出するインク消費量は、印刷媒体Pに印刷することによるインク消費量の他に、印刷ヘッド22のノズルのクリーニングやフラッシングによる印刷ヘッドのメンテナンスに使用されるインク消費量も含む。インク消費量は、いわゆるドットカウント法によるカウント値である。すなわち、印刷時には、消費量算出部42により、1ドット毎の印刷に消費する設計上のインク消費量を、印刷する画像データに基づいて、印刷する画像データが必要とするドット数分を積算することにより、1パスの印刷で消費される積算のインク消費量が算出される。
さらに、消費量算出部42は、各インクタンク11にインクIKが充填された状態を基準(初期値)として、算出された1パス毎のインク消費量を積算していくことにより、各インクタンク11のインク消費量を算出する。本実施例では、キャリッジ20が1走査する1パス毎に、印刷ヘッド22のノズルから噴射される各インクIKの量(1ドット当たりのインクIKの量×噴射されたドット数)として算出されるとともに、初期値からの積算のインク消費量が更新される。
また、クリーニングやフラッシングを行う際のインク消費量は、それぞれについて、1回行われる毎に使用されるインクIKの量として算出される。インク消費量のカウント値は、印刷中は単位消費量のインクIKを消費する毎、排紙毎などに直近消費量カウント51として記憶部50に記憶される。また、クリーニングやフラッシング時には、その都度、直近消費量カウント51として記憶部50に記憶される。
図示を省略するが、プリンター110では、例えばユーザーが印刷を実行する操作を行った際に、インク消費量のカウント値に基づいて、各インクタンク11におけるインクIKの残量の目安を、コンピューター49のモニター(画面)に表示することが可能である。したがって、ユーザーは、各インクタンク11内のインクIKの残量を、インクタンク11の窓部102を介して視認するだけでなく、コンピューター49のモニターにより目安として把握することができる。
また、カウント値に基づくインクタンク11のインク残量の目安を、コンピューター49や、プリンターシステム100外の外部端末に、有線あるいは無線通信で出力し、コンピューター49や外部端末のモニターにインク残量の目安を表示することで、遠隔のユーザーに残量を認識させることもできる。なお、上記の他に、カウント値に基づくインクタンク11のインク残量の目安を、プリンター110の操作パネル111の表示部47に表示する構成としてもよい。
液面低下判定部43は、各インクタンク11について、センサー60によるインク有無検出を実行する。インクタンク11内には、後述するセンサー60の一部である一対の導電部材としての一対の電極15,16が、各インクタンク11に個別に配置されている(図4(b)参照)。
一対の電極15,16間に電圧を印加すると、一対の電極15,16がともにインクIKに浸っている場合と浸っていない場合とでは、一対の電極15,16間の抵抗値が異なる。液面低下判定部43は、インク有無検出実行時における一対の電極15,16間の抵抗値に基づいて、各インクタンク11内の所定の位置、すなわち、底部から所定の高さにインクIKが有るか否かを判定する。
液面低下判定部43は、印刷ジョブを実行している場合には、第1所定量のインクIKが消費される毎にセンサー60によるインク有無検出を実行する。液面低下判定部43がインク有無検出を実行した結果、一対の電極15,16間の抵抗値に基づいてインクタンク11内の所定の高さにインクIKが無いと判定された状態を「センサーエンド」という。制御部40は、センサーエンドと判定したインクタンク11に対してセンサーエンドフラグ55を設定し記憶部50に記憶する。
一旦センサーエンドフラグ55が設定されると、消費量算出部42は、センサーエンドと判定されたインクタンク11に対して、センサーエンド後のインク消費量の算出を開始する。センサーエンド後のインク消費量のカウント値は、単位消費量のインクIKを消費する毎に更新され、検出後消費量カウント52として記憶部50に記憶される。
センサーエンド後のインク消費量のカウント値は、液面低下判定部43がセンサーエンドと判定する前に最後に所定の高さにインクIKが有ると判定したときの直近消費量カウント値から起算される。そのため、センサーエンド後に消費された実際のインクIKの消費量が、検出後消費量カウント52として記憶されたカウント値よりも多くなるリスクを小さくできる。これにより、後述するインク残量判定部44がセンサーエンド後のインク消費量のカウント値に基づいてインクエンドと判定する前に空打ちが発生するリスクを抑えることができる。
なお、センサーエンド後のインク消費量を算出する代わりに、センサーエンドと判定する前に最後に所定の高さにインクIKが有ると判定したときのカウント値を検出時消費量カウントとして記憶しておき、その検出時消費量カウントと直近消費量カウント51との差分値をセンサーエンド後のインク消費量として用いることとしてもよい。
液面低下判定部43によるインク有無検出は、例えば、プリンター110(プリンターシステム100)の電源をONにしたとき、印刷ジョブを実行しているとき、印刷ジョブを実行していないときなどの検出タイミングで繰り返し実行される。インク有無検出を実行する検出タイミングについては後述する。
ただし、液面低下判定部43は、一旦センサーエンドと判定しセンサーエンドフラグ55を設定したインクタンク11に対して、センサーエンド後のインク消費量が後述する第2所定量以上(インク消費量のカウント値が所定値A以上)となるまではインク有無検出を実行しない。これは、以下の理由による。
例えば、プリンター110(プリンターシステム100)の傾きなどで液面が変動することや、インクIKに気泡が生じることなどにより、一旦所定の高さにインクIKが無いと判定された後、次のインク有無検出で所定の高さにインクIKが有ると誤判定されてしまう場合がある。そうすると、インク有無の検出結果が変化してユーザーを混乱させたり、所定の位置にインクIKが無いのに有ると誤検出してしまい、その結果空打ちを生じさせたりするおそれがある。
そのため、一旦センサーエンドと判定しセンサーエンドフラグ55を設定したインクタンク11に対して、液体が無いことを検出した後に第2所定量以上のインクIKを消費するまでインク有無検出の実行を停止することで、ユーザーを混乱させる検出結果の変化や空打ちを生じさせるおそれのある誤検出を避けることができる。なお、第2所定量(所定値A)は、第1所定量よりも大きい値に設定される。
液面低下判定部43は、いずれかのインクタンク11に対してセンサーエンドと判定した後に、そのインクタンク11のセンサーエンド後のインク消費量のカウント値が第2所定量に対応する所定値A以上となったら、インク有無検出の実行を再開する。
インク残量判定部44は、検出後消費量カウント52に記憶されたセンサーエンド後のインク消費量のカウント値と、インクタンク11毎に設定された判定用情報とに基づいて各インクタンク11内のインクIKの残存状態を判定する。
インクIKの残存状態の判定としては、インクタンク11内のインクIKの量が残り少ない状態を指す「インクロー」と、インクタンク11内のインクIKの消費可能量がなくなった状態を指す「インクエンド」とがある。インクIKの残存状態の判定は、記憶部50に記憶された判定用情報53に基づいて行われる。
判定用情報53は、インクタンク11毎に設定された所定量として、上述の第1所定量と、第2所定量(所定値A)と、第3所定量(所定値B)とを含む。なお、所定値Aはインク消費量の第2所定量に相当するカウント値であり、所定値Bはインク消費量の第3所定量に相当するカウント値である。
インク残量判定部44は、センサーエンドと判定したインクタンク11のセンサーエンド後のインク消費量のカウント値が第2所定量に対応する所定値A以上となってインク有無検出を再開し、所定の高さにインクIKが無いと判定した場合は、そのインクタンク11に対してインクローと判定する。インクローと判定したインクタンク11に対して、制御部40は、ユーザーにインクIKの残量の低下を報知しインクIKの補充を促す「インクロー通知」を表示部47に表示する。
インク残量判定部44は、検出後消費量カウント52に記憶されるセンサーエンド後のインク消費量のカウント値が第3所定量に対応する所定値B以上となったときに、インクエンドと判定する。制御部40は、インクエンドと判定すると、噴射するインクIKが無くなってしまう空打ち状態を避けるため、プリンター110の印刷動作を停止する。そして、制御部40は、インクエンドと判定したインクタンク11に対して、インクIKが無くなったことを報知しインクIKの補充を促す「インクエンド通知」を表示部47に表示する。なお、第3所定量(所定値B)は、第2所定量(所定値A)よりも大きい値に設定される。
一旦インクエンドと判定され印刷動作が停止すると、ユーザーがリセットボタンを押すことでリセット処理が実行され、かつ、液面低下判定部43による判定がインクIK有りとなるまで、プリンター110は動作しない。インクエンドと判定されたインクタンク11にユーザーがインクIKを補充してリセットボタンを押し、操作パネル111を介して制御部40がインクIKを補充した旨の入力を受付けると、液面低下判定部43によるインク有無検出が実行される。そして、所定の高さにインクIKが有ると判定されると、リセット処理が実行され、プリンター110は印刷動作が可能な状態となる。
記憶部50は、不揮発的に、かつ、書き換え可能に情報を記憶する。記憶部50は、例えば、EEPROMなどの不揮発性メモリーで構成される。制御部40が備えるROMが、記憶部50の機能を兼ねる構成としてもよい。記憶部50は、直近消費量カウント51と、検出後消費量カウント52と、判定用情報53と、が記憶される領域を有している。また、記憶部50は、センサーエンドフラグ55を記憶する領域を有している。
上述したように、直近消費量カウント51のカウント値は、各インクタンク11に対して消費量算出部42が算出したインク消費量に基づいて、適宜更新される。ユーザーがインクタンク11にインクIKを補充してリセットボタンを押すことによりリセット処理が実行されると、そのインクタンク11に対して記憶された直近消費量カウント51はクリアーされ初期値に戻る。リセット処理とは、直近消費量カウント51のカウント値を初期値とする処理である。
検出後消費量カウント52は、センサーエンドと判定されたインクタンク11に対して、消費量算出部42によるインク消費量の算出に基づいて適宜更新される。ユーザーがインクタンク11にインクIKを補充してリセットボタンを押すことによりリセット処理が実行され、かつ、液面低下判定部43によりインクIK有りが判定されると、そのインクタンク11に対して記憶された検出後消費量カウント52はクリアーされ初期値に戻る。
上述したように、判定用情報53は、第1所定量と、第2所定量(所定値A)と、第3所定量(所定値B)とを含む。第1所定量と第2所定量(所定値A)と第3所定量(所定値B)とは、インクタンク11毎、すなわち、インクIKの種類毎に設定される値である。制御部40は、直近消費量カウント51を第1所定量との比較に用い、検出後消費量カウント52を第2所定量及び第3所定量との比較に用いる。
リセット処理は、インクローまたはインクエンドと判定されたインクタンク11に対して、インクIKを補充してインク消費量のカウント値を初期化する(初期値に戻す)ための処理である。リセット処理は、ユーザーが操作パネル111のリセットボタンを押すことで実行される。ユーザーの手動操作によりリセット処理が実行され、液面低下判定部43がインク有無検出を実行してインクIKが有ることが確認されると、センサーエンドフラグ55が設定されている場合は削除され、直近消費量カウント51及び検出後消費量カウント52に記憶されたカウント値が初期値に戻り、インク消費量の算出が開始される。
なお、ユーザーの手動操作によるリセット処理は、インクIKの残存量(消費量)や、センサーエンドフラグ55が設定されているか否かに関わらず、リセットボタンを押すことによりいつでも実行できる。
本実施形態では、ユーザーがインクタンク11にインクIKを補充したにも拘らず、ユーザーがリセットボタンを押し忘れる場合などを考慮して、ユーザーがリセットボタンを押さない場合でも特定の条件下において、直近消費量カウント51及び検出後消費量カウント52に記憶されたカウント値を初期値に戻す「自動的なリセット処理」が実行される。自動的なリセット処理については、後述する。
<インク供給部及びセンサーの構成>
次に、本実施形態に係るインク供給部及びセンサーの構成について、図3、図4、及び図5を参照して説明する。図3及び図4は、本実施形態に係るインク供給部の概略構成図である。詳しくは、図3はインク供給部の斜視図であり、図4(a)はインク供給部の平面図であり、図4(b)は図4(a)のA−A’線に沿った断面図である。なお、図3及び図4(a),(b)では、図1に示すインク供給部10に対して、ケース部101を除いた状態を示している。図5は、本実施形態に係るセンサーの概略構成を示すブロック図である。
図3及び図4(a),(b)に示すように、インク供給部10は、4つのインクタンク11a,11b,11c,11dと、保持部13と、検出基板14と、センサー60の一部であり4つのインクタンク11a,11b,11c,11dのそれぞれに配置された4対(各インクタンク11に一対)の電極15,16(図4(a),(b)参照)とを備えている。
図3に示すように、インクタンク11a,11b,11c,11dは、Y軸方向に沿って一列に並ぶように配置されている。インクタンク11は、例えば、ナイロンやポリプロピレンなどの合成樹脂で形成されている。4つのインクタンク11は、それぞれが別体で構成されていてもよいし、一体で構成されていてもよい。インクタンク11を一体で構成する場合、インクタンク11を一体で成形してもよいし、別体で成形された4つのインクタンク11を一体に束ねたり連結したりしてもよい。
本実施形態では、インクタンク11の前方(+X方向)側の部分の上面は、後方(−X方向)側の部分の上面よりも低くなっている。そして、インクタンク11の前方側の部分の上面には、外部からインクIKを注入するための注入口12が設けられている。この注入口12からユーザーがインクIKを注入することにより、インクタンク11に各色のインクIKを補充することができる。図示を省略するが、ユーザーがインクタンク11に補充するためのインクIKは、別体の補充用容器(リフィルボトル)に収容され提供される。
インクタンク11において、Z軸方向、Y軸方向、X軸方向を、それぞれ高さ方向、幅方向、奥行き方向ともいう。上述したように、黒インクIKaが収容されたインクタンク11aの容量は、カラーインクIKb,IKc,IKdが収容されたインクタンク11b,11c,11dの容量よりも大きい。インクタンク11aとインクタンク11b,11c,11dとを比べると、高さ及び奥行きは同じであり、幅が異なる。すなわち、インクタンク11aの幅(Y軸方向の長さ)は、インクタンク11b,11c,11dの幅よりも大きくなっている。
インクタンク11の後方側の部分の上方には、インクタンク11a,11b,11c,11dが並ぶY軸方向に沿って延在する保持部13が配置されている。保持部13は、例えばネジなどにより、4つのインクタンク11に固定されている。保持部13は、その上方に配置される検出基板14を保持する機能を有している。保持部13は、例えば、絶縁性を有する合成樹脂などで形成されている。保持部13上には、インクタンク11a,11b,11c,11dが並ぶY軸方向に沿って延在する検出基板14が配置されている。検出基板14は、保持部13に保持されている。
図5に示すように、センサー60は、交流生成回路62と、選択回路64と、検出部66と、4対(各インクタンク11に一対)の電極15,16とを有している。交流生成回路62は、一対の電極15,16間に印加する交流電圧を生成する。検出部66は、一対の電極15,16間の抵抗値に基づく信号を検出する。
選択回路64は、例えばアナログスイッチで構成され、4つのインクタンク11のうちいずれか一つのインクタンク11に配置された一対の電極15,16を選択的に交流生成回路62及び検出部66に接続する。選択回路64は、図4(a),(b)に示す検出基板14に設けられている。交流生成回路62と検出部66とは、検出基板14に設けられていてもよいし、その一部または全てがメイン基板に設けられていてもよい。
図4(a),(b)に示すように、4つのインクタンク11に対応する計4対の電極15,16が、検出基板14の延在方向に沿って並ぶように配置されている。一対の電極15,16は、例えばバネ状のコネクターなどを介して検出基板14に電気的に接続されている。検出基板14は、図示しないFFC(Flexible Flat Cable)などにより制御部40に接続される。これにより、センサー60の出力は制御部40の液面低下判定部43に入力される。
図4(b)に示すように、一対の電極15,16は、各インクタンク11の内部に配置されている。一対の電極15,16は、長手方向を有し、検出基板14から下方(−Z方向)に向かって長手方向がインクタンク11の高さ方向(Z軸方向)に沿うように配置されている。一対の電極15,16は、例えば、ステンレススチールなどの金属材料で構成されている。
一対の電極のうち一方の電極15は、下方側の先端部がインクタンク11の底部に近い位置に届く長さを有している。一対の電極のうち他方の電極16は、電極15よりも短く、下方側の先端部がインクタンク11の底部から所定の高さの位置に届く長さを有している。電極16の先端部が位置する底部からの所定の高さは、4つのインクタンク11に対して同じ高さに設定されている。この所定の高さは、例えば、インクタンク11a,11b,11c,11dの容量や、所定の期間における各インクIKの消費量などに基づいて適宜設定される。
インク有無検出を実行する際は、制御部40は、選択回路64に対して、4つのインクタンク11のうちインク有無検出を実行する対象となるインクタンク11を選択するための選択信号を送信する。また、制御部40は、交流生成回路62に対して、交流の生成を指示する指示信号を送信する。
選択回路64は、制御部40からの選択信号に基づいて、いずれか一つの選択されたインクタンク11に配置された一対の電極15,16と交流生成回路及び検出部66とを接続する。そして、交流生成回路62は、制御部40からの指示信号に基づいて、選択された一対の電極15,16に交流電圧を印加する。一対の電極15,16間に印加される電圧は、インクIKの析出を抑制する観点から、交流電圧であることが好ましい。
一対の電極15,16間に交流電圧が印加されると、インクIKが無い場合に一対の電極15,16間の抵抗値は無限大となり、インクIKが有る場合はインクIKに応じた抵抗値となる。図4(b)において、例えばインクタンク11bに着目すると、インクタンク11bに収容されたインクIKbの液面の高さは所定の高さ以上である。すなわち、インクタンク11bでは、一対の電極15,16の双方がインクIKbに浸された状態となっている。そのため、インクタンク11bに対してインク有無検出を実行すると、印加された交流電圧により一対の電極15,16間の抵抗に応じた電流が流れる。
インクタンク11bに配置された一対の電極15,16間の抵抗値に基づく信号は、検出部66に出力され、検出部66の検出結果が液面低下判定部43(制御部40)に出力される。この結果、液面低下判定部43は、インクタンク11bに対して、所定の高さにインクIKbが有ると判定する。同様に、収容されたインクIKdの液面の高さが所定の高さ以上であるインクタンク11dについても、インク有無検出を実行すると印加された交流電圧により一対の電極15,16間にインクIKdを通して電流が流れるので、液面低下判定部43は所定の高さにインクIKdが有ると判定する。
一方、インクタンク11aに着目すると、インクタンク11aに収容されたインクIKaの液面の高さは所定の高さよりも低い。すなわち、インクタンク11aでは、電極16がインクIKaに浸されていない状態となっている。そのため、インクタンク11aに対してインク有無検出を実行すると、交流電圧が印加されても一対の電極15,16間に電流が流れない。
この結果、液面低下判定部43は、インクタンク11aに対して、所定の高さにインクIKaが無い「センサーエンド」と判定する。同様に、収容されたインクIKcの液面の高さが所定の高さよりも低いインクタンク11cについても、インク有無検出を実行すると交流電圧が印加されても一対の電極15,16間に電流が流れないので、液面低下判定部43は所定の高さにインクIKcが無い「センサーエンド」と判定する。
このように、本実施形態では、センサー60における一対の電極15,16間の通電の有無(抵抗値の差)に基づいて、インクタンク11における底部から所定の高さにインクIKが有るか否かを検出することができる。液面低下判定部43は、各インクタンク11について底部からの所定の高さにインクIKが有るか否かの検出を、後述する検出タイミングで繰り返し実行する。
また、本実施形態のセンサー60の構成によれば、選択回路64がいずれか一つのインクタンク11に配置された一対の電極15,16を選択して交流生成回路及び検出部66と接続する。そのため、一つの交流生成回路62と一つの検出部66とで複数のインクタンク11のインク有無検出を行えるので、センサー60の構成を簡素化できる。この結果、プリンター110の大きさや製品コストを小さく抑えることができる。
プリンター110で印刷を繰り返すことによりインクIKを消費し、液面低下判定部43が判定を行うときに、いずれかのインクタンク11内のインクIKの液面が所定の高さよりも低下していると、そのインクタンク11は所定の高さにインクIKが無い「センサーエンド」と判定される。
液面低下判定部43が所定の高さにインクIKが無いことを検出し、インク残量判定部44がセンサーエンドと判定した後にインクIKを消費して液面がさらに低下し、インクタンク11から印刷ヘッド22(図2参照)へ送られるインクIKが無くなると、空打ち状態となってしまう。本実施形態では、空打ち状態となることを避けるため、インク残量判定部44が、インクローとインクエンドとの2段階でインク残量低下の判定を行う。
制御部40は、インク残量判定部44の判定結果に基づいて、操作パネル111でのランプの点灯や表示部47への表示により、ユーザーに対してインクの残量低下を報知し、インクタンク11内のインクIKが無くなる前にインクIKの補充を促すための警告を行う。
インクローとインクエンドとの2段階で判定するためのインクIKの残量は、例えば、以下のように設定される。まず、インクタンク11内のインクIKが無くなって空打ち状態となることを確実に避けるため、インクタンク11毎に空打ちが発生しない最低限のインクIKの残量(以下では、最低残量という)を設定する。インク残量判定部44がインクエンドと判定した時点においては、各インクタンク11にこの最低残量のインクIKが残されていることが望ましい。
次に、遡って、空打ち状態となることを避けるためには、インクローと判定された後インクエンドと判定される前に、ユーザーにインクタンク11にインクIKを補充してもらう必要がある。ユーザーの手元に補充用のインクIKが用意されていることが望ましいが、在庫切れとなっている場合もあり得る。
そこで、プリンターベンダーは、ユーザーが補充用のインクIKを手配するための所定のリードタイム(例えば、1週間など)を想定し、インクローと判定された後インクエンドと判定されるまでの期間に消費されるインクIK毎の消費量を見積もり、インクローと判定された時点で必要となるインク残存量(インクロー判定時残存量)を設定している。設計上では、インク残量判定部44がインクローと判定した時点においては、各インクタンク11に上述の最低残量に加えて、インクロー判定時残存量以上のインクIKが残ることになる。なお、リードタイムは、プリンターベンダーが、プリンターユーザーによるプリンター110の使用状態の集計結果などから設定すればよい。
本実施形態では、一旦センサーエンドと判定された後、第2所定量(所定値A)以上のインクIKを消費したらインク有無検出を再開してインクIKが無いことを検出すると、インク残量判定部44は、そのインクタンク11に対してインクローと判定する。そして、一旦センサーエンドと判定された後、第3所定量(所定値B)以上のインクIKを消費したら、インク残量判定部44は、そのインクタンク11に対してインクエンドと判定して印刷動作を停止する。第3所定量は、インクロー判定時残存量に第2所定量を加えた量に設定される。
なお、上述したように、第2所定量(所定値A)および第3所定量(所定値B)は、液面低下判定部43がセンサーエンドと判定する前に最後に所定の高さにインクIKが有ると判定したときの直近消費量カウント値から起算されたカウント値と比較される。
また、インクローと判定された後インクエンドと判定される前に、ユーザーがインクタンク11にインクIKを補充する際に、ユーザーがリフィルボトルに収容されたインクIKの全量をインクタンク11に補充しても、インクタンク11からインクIKが溢れないことが望ましい。したがって、本実施形態では、インクタンク11の容量が、インクロー判定時残存量とリフィルボトルの全量との合計にさらにマージンを加えた量となるように設定されている。
なお、ユーザーが補充するためのインクIKが収容されるリフィルボトルの容量は、インクIKの種類によって異なる。換言すれば、リフィルボトルの容量は、各インクIKが収容されるインクタンク11の容量に応じて異なっている。本実施形態では、カラーインクIKb,IKc,IKdが収容されるインクタンク11b,11c,11dの容量は互いに同じであるので、補充用のカラーインクIKb,IKc,IKdが収容されるリフィルボトルの容量も互いに同じである。一方、黒インクIKaが収容されるインクタンク11aの容量はインクタンク11b,11c,11dの容量よりも大きいので、補充用の黒インクIKaが収容されるリフィルボトルの容量は、補充用のカラーインクIKb,IKc,IKdが収容されるリフィルボトルの容量よりも大きい。
ここで、上述したように、インクタンク11a,11b,11c,11dに対して、インクIKの液面の低下を検出する所定の高さは同じ高さに設定されている。一方、黒インクIKaが収容されたインクタンク11aの幅は、インクタンク11b,11c,11dの幅よりも大きい。すなわち、X−Y平面におけるインクタンク11aの断面積(底面積)は、インクタンク11b,11c,11dの断面積(底面積)よりも大きい。したがって、インクタンク11a内の黒インクIKaのインクロー判定時残存量は、インクタンク11b,11c,11d内のカラーインクIKb,IKc,IKdのインクロー判定時残存量よりも多くなる。
これは、黒インクIKaがカラーインクIKb,IKc,IKdと比べてより多く消費されることを想定しているからであり、したがって、黒インクIKa(インクタンク11a)に対する第1所定量、第2所定量、及び第3所定量は、それぞれカラーインクIKb,IKc,IKd(インクタンク11b,11c,11d)に対する第1所定量、第2所定量、及び第3所定量よりも大きな値に設定されている。
このように、第1所定量、第2所定量、及び第3所定量を各インクIKの使用量に基づいて適宜設定することにより、インクタンク11間で容量が異なっていても、同じ構成の一対の15,16を共通に用いて、インクIKの残量の検出を精度良く行うことができる。
<インク有無検出の実行方法>
次に、本実施形態に係るプリンター110において、制御部40が実行するインク有無検出の実行方法について、図6、図7、及び図8を参照して説明する。図6及び図7は、印刷ジョブを実行している場合のインク有無検出の実行方法を示すフローチャートである。図8は、印刷ジョブを実行していない場合のインク有無検出の実行方法を示すフローチャートである。なお、以下の説明では、プリンター110の制御部40が有する各部を総称して単に制御部40と記載する。
本実施形態では、印刷ジョブを実行している場合、及び印刷ジョブを実行していない場合において、それぞれに設定された検出タイミングでインク有無検出を実行するようになっている。
印刷ジョブを実行している場合には、前回のインク有無検出でインク有りと判定されてから第1所定量以上のインクIKを消費したインクタンク11に対してのみ、インク有無検出を実行する。印刷ジョブを実行している場合にインク有無検出を実行する検出タイミングは、例えば、印刷ジョブの指示が出てから印字を開始するまでの間、印字が終わって排紙するとき、印字するページ間で入る定期フラッシングの後などである。
本実施形態では、印刷ヘッド22(図2参照)に電圧が印加される印字状態においては、インク有無検出を実行しないこととしている。したがって、印刷ジョブを実行している場合は、印刷ヘッド22からインクIKを噴射していない非印字状態においてインク有無検出を実行する。
印刷ジョブを実行していない場合には、所定のタイミングで、インクIKの消費量に関わらず全てのインクタンク11に対してインク有無検出を実行する(ただし、センサーエンドフラグ55が設定されたときから第2所定量以上のインクIKを消費していないインクタンク11を除く)。印刷ジョブを実行していない場合にインク有無検出を実行する検出タイミング(所定のタイミング)は、例えば、プリンター110の電源をONにしたとき、印刷ジョブを実行した後の待機時、印刷ヘッド22のノズルのクリーニング時、プリンター110の使用を開始する際に最初にインクタンク11のインクIKを充填したときなどである。
まず、図6及び図7を参照して、印刷ジョブを実行している場合のインク有無検出の実行方法を説明する。図6は印刷ジョブを実行する際にインク残量検出(インク有無検出)を行う検出タイミングを示し、図7は各インク残量検出処理におけるインク有無検出の実行方法を示している。
図6に示すように、印刷ジョブが指示されると、制御部40は、まず、用紙カセット114からプリンター110の内部に印刷媒体Pを給紙する処理を行う(ステップS01)。そして、制御部40は、キャリッジ20を1走査して印刷媒体Pに1パス印刷する(ステップS02)毎に、定期フラッシングを実施するか否かを判定する(ステップS03)。本実施形態では、インクIKを吐出しないで所定時間が経過したノズルが存在する場合、全ての印刷ヘッド22のノズルを対象に定期フラッシングを実施することとしている。
定期フラッシングを実施する場合(ステップS03:YES)は、制御部40は、定期フラッシングを実施する(ステップS04)。そして、定期フラッシングを実施した後、制御部40は、インク残量検出処理を実行する(ステップS05)。一方、定期フラッシングを実施しない場合(ステップS03:NO)は、制御部40は、処理をステップS06に移行する。
ステップS05のインク残量検出処理は、4つのインクタンク11のそれぞれについてインク有無検出を実行する対象とするか否かを確認し、対象とするインクタンク11に対してインク有無検出を実行する処理である。インク残量検出処理では、図7に示すように、制御部40は、いずれかのインクタンク11を選択する(ステップS21)。そして、制御部40は、選択したインクタンク11に対して、記憶部50にセンサーエンドフラグ55が設定されているか否かを判定する(ステップS22)。
記憶部50にセンサーエンドフラグ55が設定されていない場合(ステップS22:NO)、制御部40は、選択したインクタンク11に対する直近消費量カウント51を参照して、前回インク有無検出を実行してインクIK有りと判定されたときから第1所定量以上のインクIKを消費したか否かを判定する(ステップS23)。
前回インク有無検出を実行してインクIK有りと判定されたときから第1所定量以上のインクIKを消費している場合(ステップS23:YES)は、制御部40は、センサー60によるインク有無検出を実行する(ステップS24)。一方、ステップS23で第1所定量以上のインクIKを消費していない場合(ステップS23:NO)は、制御部40は、ステップS24のインク有無検出を実行することなく、処理をステップS29に移行する。
図7には図示しないが、センサーエンドフラグ55が設定されていない状態(ステップS22:NO)でステップS24に進んで、センサー60によるインク有無検出を実行した結果、インクタンク11の所定の高さにインクIKが無いことを検出した場合、制御部40は、選択したインクタンク11に対してセンサーエンドと判定する。そして、センサーエンドと判定したインクタンク11に対して、記憶部50にセンサーエンドフラグ55を設定して、処理をステップS27に進める。ステップS24で、センサー60がインクタンク11の所定の高さにインクIKが有ることを検出した場合は、そのまま処理をステップS27に進める。
ステップS22に戻り、記憶部50にセンサーエンドフラグ55が設定されている場合(ステップS22:YES)、すなわち、既にインクIKが無いと判定されている場合は、制御部40は、選択したインクタンク11に対する検出後消費量カウント52を参照して、センサーエンドフラグ55が設定されたときから第2所定量(所定値A)以上のインクIKを消費したか否かを判定する(ステップS25)。
ステップS25で、センサーエンドフラグ55が設定されたときからのインクIKの消費量が第2所定量(所定値A)未満である場合(ステップS25:NO)は、上述したように液面の変動や気泡などに起因する誤判定を避けるため、ステップS24のインク有無検出を実行しないので、処理をステップS29に進める。
ステップS25で、センサーエンドフラグ55が設定されたときから第2所定量(所定値A)以上である場合(ステップS25:YES)は、処理をステップS26に進める。ステップS26では、検出後消費量カウント52を参照して、センサーエンドフラグ55が設定されたときから第3所定量(所定量B)以上のインクIKを消費したか否かを判定する。センサーエンドフラグ55が設定されたときからのインクIKの消費量が第3所定量未満である場合(ステップS26:NO)には、処理をステップS27に進める。
ステップS27では、現在の印刷ジョブを実行中にインク有無検出を実行したか否かを判定する。ステップS27で、現在の印刷ジョブを実行中にインク有無検出を実行していない場合(ステップS27:NO)は、制御部40は、センサー60によるインク有無検出を実行する(ステップS24)。
一方、ステップS27で、現在の印刷ジョブを実行中に既にインク有無検出を実行している場合(ステップS27:YES)は、インク有無検出を実行することなく処理をステップS29に進める。換言すれば、センサーエンドフラグ55が設定されたときから第2所定量(所定値A)以上のインクIKを消費した後は、第3所定量(所定値B)以上のインクIKを消費までの間、印刷ジョブを実行中に1回のみインク有無検出を実行する。
ステップS25で初めてインク消費量が第2所定量(所定値A)以上となり、ステップS26に進みステップS27からステップS24に移行して、センサー60によるインク有無検出を実行した結果、インクタンク11の所定の高さにインクIKが無いことを検出した場合は、制御部40は、選択したインクタンク11に対してインクローと判定する。そして、制御部40は、インクローと判定したインクタンク11に対して、ユーザーにインクIKの残量の低下を報知しインクIKの補充を促す「インクロー通知」を表示部47に表示し、処理をステップS29に進める。
また、ステップS26でインク消費量が第3所定量(所定値B)以上となった場合(ステップS26:YES)には、制御部40は、処理をステップS28に移行して、プリンター110の印刷動作を停止する(インクエンド)。そして、制御部40は、インクエンドと判定したインクタンク11に対して、「インクエンド通知」を表示部47に表示し、処理をステップS29に進める。
いずれかのインクタンク11で第3所定量(所定量B)以上のインクIKを消費してステップS28の状態となり、全てのインクタンク11についてインク残量検出が終了した場合(ステップS29:YES)には、制御部40は図6のフローに復帰せずに、ユーザーによるインク補充とユーザーによるリセット処理の実行とを待つ。
ここで、ユーザーが、インクロー通知やインクエンド通知に基づいて、インクIKを補充しリセットボタンを押してリセット処理を実行すると、制御部40は、選択したインクタンク11に対して、インクIKの消費量や前回のインク有無検出の結果に関わらず、センサー60によるインク有無検出を実行する。ここで実行されるインク有無検出は、ユーザーがインクIKを補充したことを確認するためのものである。
このインク有無検出の結果、所定の高さにインクIKが有ることを検出すれば、制御部40は、直近消費量カウント51及び検出後消費量カウント52に記憶されたカウント値を初期値に戻し、インク消費量の算出を開始させる。また、記憶部50にセンサーエンドフラグ55が設定されている場合は削除する。
インクエンド通知に基づいて、ユーザーの手動操作によるリセット処理が実行されインクIKが有ることが確認されたときには、制御部40は、印刷動作を再開する。なお、ユーザーは、リセットボタンを押すことによりいつでもリセット処理を実行できる。そして、ユーザーがリセット処理を実行すると、制御部40は、検出タイミングであるか否かに関わらず、センサー60によるインク有無検出を実行する。
一方、ステップS25でインク消費量が第2所定量(所定値A)以上であって、ステップS26でインク消費量が第3所定量未満であり、ステップS27からステップS24に移行して、センサー60によるインク有無検出を実行した結果、インクタンク11の所定の高さにインクIKが有ることを検出する場合もある。この場合は、選択したインクタンク11にユーザーがインクIKを補充したことを意味する。そして、ユーザーがインクIKを補充したにも拘らず、リセットボタンを押し忘れてリセット処理が実行されていないことが考えられる。
したがって、制御部40は、選択したインクタンク11に対して「自動的なリセット処理」を実行する。すなわち、制御部40は、選択したインクタンク11に対して、ユーザーが手動操作によりリセット処理を実行しなくても、記憶部50に記憶されたセンサーエンドフラグ55を削除し、直近消費量カウント51に記憶されたカウント値とともに検出後消費量カウント52に記憶されたカウント値を初期値に戻す。これにより、選択したインクタンク11に対するインク消費量のカウントが再開される。そして、制御部40は、処理をステップS29に進める。
このように、本実施形態では、センサーエンドフラグ55が設定された後もインク有無検出を繰り返し実行することにより、ユーザーがインクIKを補充したことを検出できる。すなわち、制御部40は、ユーザーがインクIKを補充すれば、ユーザーがリセットボタンを押し忘れた場合でもインクIKが補充されたことを認識し、さらに、手動操作によるリセット処理が実行されていなければ「自動的なリセット処理」を実行する。これにより、ユーザーが補充してインクIKが有るにも拘らず「インクエンド」と誤判定してしまうことを抑止できる。
また、本実施形態では、センサーエンドフラグ55が設定されたときから第2所定量(所定値A)以上のインクIKを消費している場合(ステップS25:YES)は、第3所定量(所定値B)以上のインクIKを消費するまでの間、ステップS27の判定に基づいて、印刷ジョブを実行中に1回のみインク有無検出を実行することとしている。第2所定量(所定値A)以上のインクIKを消費して「インクロー通知」が表示されていれば、ユーザーが随時インクIKを補充する可能性が高い。
ここで、ユーザーによるインクIKの補充は、印刷ジョブを実行していないときに行われることが多く、印刷ジョブを実行しているときに行われることは少ないと考えられる。したがって、印刷ジョブを実行している場合にはインク有無検出を1回のみ実行することとして、空打ちが発生するリスクを抑えつつ、ユーザーがインクIKを補充したことを検出でき、かつ、印刷のスループット低下を抑えることができる。
ステップS29では、全てのインクタンク11に対してインク有無検出を実行するか否かの確認が終了したかを判定する。全てのインクタンク11に対してインク有無検出を実行するか否かの確認が終了している場合(ステップS29:YES)は、制御部40は、処理を図6に示すステップS06に移行する。
全てのインクタンク11に対してインク有無検出を実行するか否かの確認が終了していない場合(ステップS29:NO)は、制御部40は、処理をステップS30に進めて次のインクタンク11を選択し、処理をステップS22に戻す。このようにして、4つのインクタンク11の全てについて、順次インク有無検出を実行するか否かを確認し、対象となるインクタンク11に対してインク有無検出を実行する。
図6に戻り、ステップS05を実行した後、制御部40は、1ページ分の印刷が終了したか否かを判定する(ステップS06)。1ページ分の印刷が終了していない場合(ステップS06:NO)は、制御部40は、処理をステップS02へ戻す。
一方、1ページ分の印刷が終了している場合(ステップS06:YES)は、制御部40は、ページ間フラッシングを実施する(ステップS07)。そして、ページ間フラッシングを実施した後、制御部40は、インク残量検出処理を実行する(ステップS08)。ステップS08におけるインク残量検出処理は、ステップS05のインク残量検出処理と同様に、対象となるインクタンク11に対して実行される(図7参照)。
ステップS08のインク残量検出処理が終了したら、制御部40は、印刷された印刷媒体Pを排紙する処理を行う(ステップS09)。そして、排紙する処理を実施した後、制御部40は、インク残量検出処理を実行する(ステップS10)。ステップS10におけるインク残量検出処理も、ステップS05のインク残量検出処理と同様に、対象となるインクタンク11に対して実行される(図7参照)。
ステップS10のインク残量検出処理が終了したら、制御部40は、印刷ジョブが終了したか否かを判定する(ステップS11)。印刷ジョブが終了した場合(ステップS11:YES)、制御部40は、次の印刷ジョブがあるか否かを判定する(ステップS12)。次の印刷ジョブがない場合(ステップS12:NO)は、インク残量検出処理を実行し(ステップS13)、処理を終了する。なお、ステップS13におけるインク残量検出処理では、全てのインクタンク11に対してインク有無検出を実行する。
一方、ステップS11で印刷ジョブが終了していない場合(ステップS11:NO)、及び、ステップS12で次の印刷ジョブがある場合(ステップS12:YES)は、制御部40は、処理をステップS01に戻し、図6に示す各ステップの処理を繰り返す。
次に、図8を参照して、印刷ジョブを実行していない場合のインク有無検出の実行方法を説明する。図8に示す各ステップの処理は、プリンター110の電源をONにしたとき、印刷ジョブを実行した後の待機時、印刷ヘッド22のノズルのクリーニング時、プリンター110の使用を開始する際に最初にインクタンク11のインクIKを充填したときなどに、インクIKの消費量に関わらず全てのインクタンク11に対して実行される。ただし、センサーエンドフラグ55が設定されたときから第2所定量以上のインクIKを消費していないインクタンク11を除く。
図8に示すように、制御部40は、いずれかのインクタンク11を選択する(ステップS31)。そして、制御部40は、選択したインクタンク11に対して、記憶部50にセンサーエンドフラグ55が設定されているか否かを判定する(ステップS32)。記憶部50にセンサーエンドフラグ55が設定されていない場合(ステップS32:NO)、制御部40は、センサー60によるインク有無検出を実行する(ステップS33)。
センサーエンドフラグ55が設定されていない状態(ステップS32:NO)でステップS33に進んで、センサー60によるインク有無検出を実行した結果、インクタンク11の所定の高さにインクIKが無いことを検出した場合、制御部40は、選択したインクタンク11に対してセンサーエンドと判定する。そして、センサーエンドと判定したインクタンク11に対して記憶部50にセンサーエンドフラグ55を設定して、処理をステップS35に進める。ステップS33で、センサー60がインクタンク11の所定の高さにインクIKが有ることを検出した場合は、そのまま処理をステップS37に進める。
ステップS32に戻り、記憶部50にセンサーエンドフラグ55が設定されている場合(ステップS32:YES)は、制御部40は、選択したインクタンク11に対する検出後消費量カウント52を参照して、センサーエンドフラグ55が設定されたときから第2所定量(所定値A)以上のインクIKを消費したか否かを判定する(ステップS34)。
センサーエンドフラグ55が設定されたときからのインクIKの消費量が第2所定量(所定値A)未満である場合(ステップS34:NO)は、液面の変動や気泡などに起因する誤判定を避けるため、ステップS33のインク有無検出を実行せず、処理をステップS37に進める。一方、センサーエンドフラグ55が設定されたときから第2所定量(所定値A)以上のインクIKを消費している場合(ステップS34:YES)は、処理をステップS35に進める。
ステップS35では、検出後消費量カウント52を参照して、センサーエンドフラグ55が設定されたときから第3所定量(所定量B)以上のインクIKを消費したか否かを判定する。第3所定量(所定値B)以上のインクIKを消費している場合(ステップS35:YES)は、制御部40は、処理をステップS36に進める。
ステップS36では、制御部40は、プリンター110の印刷動作を停止する(インクエンド)。そして、制御部40は、インクエンドと判定したインクタンク11に対して、「インクエンド通知」を表示部47に表示し、処理をステップS37に進める。なお、この状態では、ユーザーが印刷ジョブを実行しようとしても、プリンター110が印刷ジョブを受け付けず印刷動作を実行しない。
ステップS35で、第3所定量以上のインクIKを消費していない場合(ステップS35:NO)、制御部40は、処理をステップS33に移行し、センサー60によるインク有無検出を実行する。
ステップS34で初めてインク消費量が第2所定量(所定値A)以上となり、第3所定量未満でステップS35からステップS33に移行してセンサー60によるインク有無検出を実行した結果、インクタンク11の所定の高さにインクIKが無いことを検出した場合は、制御部40は、選択したインクタンク11に対してインクローと判定する。そして、制御部40は、インクローと判定したインクタンク11に対して、ユーザーにインクIKの残量の低下を報知しインクIKの補充を促す「インクロー通知」を表示部47に表示し、処理をステップS37に進める。
ステップS35でインク消費量が第3所定量(所定値B)以上であり、ステップS33に移行してセンサー60によるインク有無検出を実行した結果、インクタンク11の所定の高さにインクIKが有ることを検出した場合は、制御部40は、選択したインクタンク11に対して「自動的なリセット処理」を実行する。これにより、制御部40は、選択したインクタンク11に対して、記憶部50に記憶されたセンサーエンドフラグ55を削除し、直近消費量カウント51に記憶されたカウント値とともに検出後消費量カウント52に記憶されたカウント値を初期値に戻す。そして、制御部40は、処理をステップS37に進める。
ステップS37では、全てのインクタンク11に対してインク有無検出を実行するか否かの確認が終了したかを判定する。全てのインクタンク11に対してインク有無検出を実行するか否かの確認が終了している場合(ステップS37:YES)は、制御部40は、処理を終了する。
全てのインクタンク11に対してインク有無検出を実行するか否かの確認が終了していない場合(ステップS37:NO)は、制御部40は、処理をステップS38に進めて次のインクタンク11を選択し、処理をステップS32に戻す。このようにして、4つのインクタンク11について、センサーエンドフラグ55が設定されたときから第2所定量以上のインクIKを消費していないインクタンク11を除く他のインクタンク11に対してインク有無検出を実行する。
いずれかのインクタンク11で第3所定量(所定量B)以上のインクIKを消費して(ステップS35:YES)、ステップS36の状態となった場合には、制御部40は、ユーザーがインクIKを補充しリセット処理を実行するまで印刷ジョブを受け付けない状態を保持する。インクエンド通知に基づいて、ユーザーの手動操作によるリセット処理が実行され、インク有無検出処理によりインクIKが有ることが確認されたときには、制御部40は、プリンター110を印刷ジョブを受け付ける状態に復帰させる。
以上説明したように、印刷ジョブを実行している場合は、次の1パスを印字する前(ステップS05)、次のページを印刷する前及び次の印刷ジョブを実行する前(ステップS08、ステップS10)に、インク有無検出を実行する。そして、印刷ジョブを実行していない場合にも、プリンター110の電源をONにしたとき、印刷ジョブを実行した後の待機時、印刷ヘッド22のノズルのクリーニング時などに、インク有無検出を実行する。これにより、印字する前にインクIKの有無を確認できるので、印字する際に空打ちが発生するリスクを確実に抑えることができる。
また、印刷ジョブを実行している間は、第1所定量以上のインクIKを消費したインクタンク11のみにインク有無検出を実行する。そのため、全てのインクタンク11に対してインク有無検出を実行する場合と比べて、繰り返しインク有無検出を実行することによりインクIKに対して電圧が印加される合計の時間が抑えられるので、インクIKの析出などインクIKへの影響を抑えることができる。
さらに、本実施形態では、印刷ヘッド22からインクIKを噴射していない非印字状態にインク有無検出を実行するため、第1所定量以上のインクIKを消費したインクタンク11のみにインク有無検出を実行することで、印刷ジョブを実行している際のスループット低下への影響を抑えることができる。
上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形及び応用が可能である。変形例としては、例えば、以下のようなものが考えられる。
(変形例1)
上記の実施形態では、センサー60が一対の電極15,16を含み、一対の電極15,16間の抵抗値に基づいて、インクタンク11内の所定の高さにインクIKが有るか否かを判定する構成となっていたが、本発明はこのような形態に限定されない。例えば、センサーとして発光部と受光部とを含む光センサーを備え発光部が射出し受光部が受光する光の強度の差異によりインクタンク11内の所定の高さにインクIKが有るか否かを判定する構成であってもよいし、センサーとして重量センサーを備え重量の差異によりインクタンク11内の所定の高さにインクIKが有るか否かを判定する構成であってもよい。また、センサーは、インクタンク11内の所定の高さにインクIKが有るか否かを判定するセンサーに限定されず、インクタンク11内の所定の位置にインクIKが有るか否かを判定するセンサー、すなわち、インクタンク11内のインクIKの残量が所定量であるかどうかを検出するためのセンサーであればよい。
(変形例2)
上記の実施形態では、印刷ジョブを実行している場合において、印刷ヘッド22からインクIKを噴射していない非印字状態にインク有無検出を実行することとしたが、印刷ヘッド22からインクIKを噴射している印字状態においてもインク有無検出を実行することとしてもよい。
(変形例3)
上記の実施形態では、印刷装置としてのプリンター110とスキャナー120とを備えた複合機であるプリンターシステム100を例に取り説明したが、本発明はこのような形態に限定されない。印刷装置は、スキャナー120を含まない単機能のプリンター110であってもよい。
(変形例4)
上記の実施形態では、本発明をプリンターとインクタンクとに適用した例を説明したが、本発明はこのような形態に限定されない。本発明は、例えば、インク以外の他の液体を噴射したり吐出したりする印刷装置に用いてもよく、また、そのような液体を収容した液体容器にも適用可能である。