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JP6522063B2 - 脱毛症及び/又は毛髪色素脱失を治療するためのpedf由来のポリペプチドの使用 - Google Patents

脱毛症及び/又は毛髪色素脱失を治療するためのpedf由来のポリペプチドの使用 Download PDF

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JP6522063B2
JP6522063B2 JP2017154853A JP2017154853A JP6522063B2 JP 6522063 B2 JP6522063 B2 JP 6522063B2 JP 2017154853 A JP2017154853 A JP 2017154853A JP 2017154853 A JP2017154853 A JP 2017154853A JP 6522063 B2 JP6522063 B2 JP 6522063B2
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Description

(発明の背景)
(1.発明の分野)
本開示は、脱毛症及び/又は毛髪色素脱失の治療に関する。開示する発明は、特に、脱
毛症及び/又は毛髪色素脱失を治療するためのPEDF由来のポリペプチドの使用に関する。
(2.関連技術の説明)
脱毛症とは、頭部又は体からの毛の喪失を意味し、かつ瘢痕性(傷跡)脱毛症又は非瘢痕
性(非傷跡)脱毛症のいずれかに分類することができる。瘢痕性脱毛症患者において、毛包
は、破壊され、かつ瘢痕組織と置き換えられるのに対し、非瘢痕性脱毛症患者においては
、そのような不可逆的損傷は存在しない。脱毛症は、致命的ではなくとも、容姿に影響を
及ぼし、結果的に個人の社会的交流、自尊心、及び心理的快適さに影響を及ぼす。
非瘢痕性脱毛症は、アナゲン脱毛、テロゲン脱毛、アンドロゲン性脱毛症、及び円形脱
毛症を含み、その各々は、異なる生物学的欠損の結果である。対象が経験し得る脱毛症の
種類に応じて、毛包に対するその影響は異なる。
アナゲン脱毛は一般に、アナゲン毛包の毛母細胞における有糸分裂活性の突然の中止に
より引き起こされる。従って、これらの毛包は、無髪か、又は破砕及び喪失の運命にある
細い欠陥のある毛鞘のいずれかを生じる。アナゲン脱毛は、化学療法又は放射線療法を受
けた患者において一般的である。概して、一旦アナゲン脱毛の原因が存在しなくなると、
毛包は、それらの当初の成長周期を再開する。従ってほとんどの症例において、治療の終
了後に、毛髪の再成長が始まる。しかし、新たに成長した毛髪の色及び組織(texture)は
、当初の毛髪のものとは異なることがある。
テロゲン脱毛は、毛包の周期が、時期尚早に毛髪成長周期のテロゲン期に進入する際に
生じ、これにより過剰な毛髪の脱落が引き起こされる。これは、偏った食事、薬物治療(
例えば、β遮断薬、カルシウムチャネル遮断薬、抗うつ薬、及び非ステロイド系抗炎症薬
など)、分娩、高熱、大手術、過剰又は過小活性の甲状腺、重度の感染症、重度の慢性疾
患、及び重度の精神的ストレスを含む、様々なストレスに関連した状態により引き起こさ
れ得る。一般に、脱毛は、個体が何らかのストレス発生を経験した後、3〜4ヶ月で出現し
;かつ、抜けた毛髪は、6〜12ヶ月以内に置き換えられるであろう。
アンドロゲン性脱毛症(男性型禿頭としても知られる)は、男性脱毛の最も一般的な型で
ある。アンドロゲン性脱毛症は、男性及び女性の両方に影響を及ぼすが、女性対象は、男
性対象よりも脱毛が少ない傾向がある。アンドロゲン性脱毛症の基礎となる機序は、よく
分かっていない。しかし、ジヒドロテストステロン(アンドロゲンの誘導体)に対する毛包
の過敏が、男性におけるアンドロゲン性脱毛症の発症に関連していると考えられている。
この過敏は、毛包の縮小を引き起こし、かつ毛包細胞のアナゲン期間を短縮し、これによ
り棍毛の形成を生じ、これは最終的には毛包から脱落する。
現在、アンドロゲン性脱毛症の治療のために米食品医薬品局(FDA)により承認された2種
の薬物が存在する:局所性ミノキシジル(商品名:ROGAINE(登録商標))及び経口フィナス
テリド(商品名:Propecia(登録商標))。ミノキシジルは、毛包のアナゲン期間を延長し、
テロゲンからアナゲンへの転換を刺激し、かつ包のサイズの拡大を促進することにより、
毛包に影響を及ぼすカリウムチャネル作動薬である。ミノキシジルはまた、化学療法によ
り引き起こされたアナゲン脱毛に加え円形脱毛症の治療に適用可能である。フィナステリ
ドは、テストステロンをジヒドロテストステロン(DHT)へ変換する酵素であるII型5-α-レ
ダクターゼの競合的阻害薬である。従って、フィナステリドは、II型5-α-レダクターゼ
の活性を遮断することにより、アンドロゲン性脱毛症を治療する。これら2種の薬物は、
一部の患者において毛髪再成長を刺激するが、これらは投薬期間に有効なだけであり、結
果的に患者は、この薬物療法を連続して服用するように助言される。加えて、ミノキシジ
ル又はフィナステリドの使用は、場合によっては数多くの副作用を伴うことが分かってい
る。ミノキシジルの可能性のある副作用は、頭皮そう痒又は発疹;性欲減退;心拍数上昇
;呼吸困難;体重増加;及び、多毛症を含む。フィナステリドの可能性のある副作用は、
皮膚発疹;乳房肥大又は圧痛;睾丸痛;性欲減退;射精量減少;及び、インポテンスを含
む。
毛髪の色は、毛髪の色素沈着の結果である。色素(すなわちメラニン)のメラニン形成細
胞からの供給が減少した場合、新たに成長した毛髪は、その当初の色を失い、一般には毛
髪色素脱失として知られている現象の、より明るい色を又は白色さえも示すであろう。毛
髪色素脱失を引き起こす因子は、少なくとも加齢、ストレス、障害(例えばまだら症)など
を含む。加えて、毛髪色素脱失は、過去に化学療法又は放射線療法を受けた患者の新たに
成長した毛髪においても認められることが多い。今日まで、脱色素した毛髪に、その以前
の色を取り戻させるのに有効な医学的治療は存在しない。従って毛髪色素脱失を経験して
いるほとんどのヒトは、毛染め又はカツラの装着により、それらの外観に対処するか又は
脱色素された毛髪を隠している。
前述の観点から、様々な型の脱毛症及び/又は毛髪色素脱失を有効に治療する手段の必
要性が、当該技術分野において存在する。
(概要)
以下は、読者に基本的理解を提供するために、本開示の簡単な概要を提供する。この概
要は、本開示の広範な全体像ではなく、本発明の鍵となる/重要な要素を確定せず、本発
明の範囲の線引きもしない。その唯一の目的は、後に提供する、より詳細な説明への前置
きとしての簡単な形で、本明細書に開示されるある種の概念を提供することである。
本開示は、色素上皮由来因子(PEDF)に由来する合成ペプチドが、毛包を保護することが
でき、結果的にこれらが対象における脱毛及び/又は毛髪色素脱失の予防及び/又は改善に
有効であるという発見に少なくとも基づいている。具体的には、本明細書に提供される試
験実施例は、様々なPEDF-由来の合成ペプチドは、毛包ジストロフィー及び包細胞アポト
ーシスを阻害し、並びに/又は毛包内のメラノサイト幹細胞(MSC)の未熟な分化を防止する
ことが可能であることを指摘している。従って、本発明のPEDF由来の合成ペプチドは、脱
毛及び/又は毛髪色素脱失を予防及び/又は改善するための薬剤又は医薬品として有用であ
る。
従って、一態様では、本開示は、対象における脱毛症及び/又は毛髪色素脱失を治療す
るための合成ペプチドに関する。
本開示の実施態様によれば、この合成ペプチドは、20〜44アミノ酸残基の長さであり、
かつ、配列番号:10と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を有する。また、該アミノ
酸配列は、配列番号:10の残基16〜35と少なくとも90%同一である少なくとも20個の連続
的な残基を含み、その結果、該合成ペプチドが、脱毛症及び/又は毛髪色素脱失を治療す
るのに有用となる。
本開示の任意の実施態様によれば、この合成ペプチドの少なくとも4個の連続的な残基
は、配列番号:10の残基16〜19(すなわち「SLGA残基」)と同一である。こうした合成ペプ
チドの非制限的な例としては、それぞれ、配列番号:10(44-mer)、配列番号:1(39-mer)、
配列番号:2(34-mer)、配列番号:3(29-mer)、配列番号:5(24-mer)、配列番号:6(20-mer)、
配列番号:8(MO 29-mer)、及び配列番号:9(MO 20-mer)のアミノ酸配列を有するものが挙げ
られる。本開示のいくつかの実施態様では、合成ペプチドのアミノ酸配列は、配列番号:1
0(44-mer)、配列番号:3(29-mer)、配列番号:5(24-mer)、又は配列番号:6(20-mer)のいず
れかである。
本開示の様々な実施態様によれば、脱毛症は、アナゲン脱毛(例えば、化学療法若しく
は放射線療法により引き起こされるもの)、テロゲン脱毛(例えば、ストレス、偏った食事
、薬物療法、若しくは感染症により引き起こされるもの)、又はアンドロゲン性脱毛症で
あることができる。
いくつかの実施態様において、毛髪色素脱失は、化学療法又は放射線療法により引き起
こされることがある。いくつかの他の実施態様において、毛髪色素脱失は、ストレス又は
加齢により引き起こされることがある。
本開示の様々な実施態様により、対象は、ヒトを含めた哺乳類に分類されるあらゆる動
物であり得る。
別の態様では、本開示は、対象における脱毛症及び/又は毛髪色素脱失を治療するため
の局所性医薬組成物に関する。対象は、ヒトを含めた哺乳類に分類されるあらゆる動物で
あり得る。
本開示の一実施態様によれば、この局所性医薬組成物は、前述の態様/実施態様のいず
れかによる合成ペプチドを含み、かつ、該合成ペプチドは、対象における脱毛症及び/又
は毛髪色素脱失を治療するのに十分な有効量で存在する。この医薬組成物はまた、合成ペ
プチドのための医薬として許容し得る賦形剤も含む。
本開示の様々な実施態様によれば、局所性医薬組成物は、液剤、噴霧剤、エアゾール剤
、泡剤、クリーム剤、ローション剤、軟膏、ゲル剤、又は貼付剤に製剤化されることがで
きる。
本開示の任意の実施態様によれば、この合成ペプチドは、約0.1〜100μM、好ましくは
約1〜25μMの量で、医薬組成物中に存在する。
さらに別の態様では、本発明は、対象における脱毛症及び/又は毛髪色素脱失を治療す
るための方法に関する。対象は、ヒトを含めた哺乳類に分類されるあらゆる動物であり得
る。
一実施態様では、該方法は、対象に、前述の態様/実施態様のいずれかによる有効量の
合成ペプチドを投与することを含む。本開示の様々な実施態様によれば、合成ペプチドは
、局所的に又は全身的に送達されることができる。好ましくは、合成ペプチドは、局所的
に投与される。
任意の実施態様によれば、この合成ペプチドは、本開示の前述の態様/実施態様による
局所性医薬組成物に製剤化される。一例において、本局所性医薬組成物は、対象の頭皮に
塗布されることができる。
本開示の付随的な特徴及び利点の多くは、添付の図面と関連付けて考慮される以下の詳
細な説明を参照して、いっそう良く理解されるようになるであろう。
(図面の簡単な説明)
本特許及び出願のファイルは、カラーで製作された少なくとも1つの図面を含む。カラ
ーの図面を伴うこの特許又は特許出願公開の複写は、請求及び必要な料金の支払い後に、
事務局によって提供されることとなる。
本発明の説明は、添付の図面に照らして読む以下の詳細な説明から、いっそう良く理解
されるであろう。
図1は、CYP注射後0、7、及び36日目の、各実験条件における、脱毛された(hair-depilated)マウスの外観を図示する代表的写真を提供する;印をつけた長方形部分に相当する高倍率の顕微鏡画像も提供する;
図2は、TUNEL-陽性アポトーシス細胞(緑色)を図示する代表的免疫染色画像を提供する;核は、Hoechst 33258により対比染色した(青色);元の倍率、×1000;
図3は、チロシナーゼ(緑色)及びc-Kit(赤色)を染色するデュアル-免疫蛍光測定(法)によりアッセイされた毛包標本の代表的写真を提供する;核は、Hoechst 33258により染色した(青色);元の倍率、×1000;
図4は、過酸化水素の皮下注射後0及び22日目の、各実験条件における、マウスの外観を図示する代表的写真を提供する;
図5は、ヘマトキシリン及びエオシン(H&E)により染色したマウス洞毛標本のアナゲン中期の毛包からの代表的写真を提供する;ORS、外毛根鞘;IRS、内毛根鞘;DP、真皮乳頭;HM、毛母体;上側パネルの元の倍率、×100;下側パネルの元の倍率、×400;
図6は、H&Eにより染色されたマウスの背側皮膚からの代表的写真を提供する;元の倍率、×100;並びに
図7は、脱毛後0及び18日目の各実験条件での毛の再成長を図示する代表的写真、並びにヘマトキシリン及びエオシン(H&E)により染色した背側皮膚標本からの代表的写真を提供する;元の倍率、×100。
(説明)
添付の図面に関連して以下に提供する詳細な説明は、本発明の実施例の説明を目的とし
、本発明の実施例が構成又は利用され得る唯一の形態を表すことを意図しない。この説明
は、実施例の機能、並びに実施例を構成及び操作するためのステップの順序を述べる。し
かし、異なる例によって、同一又は同等の機能及び順序を実現することもできる。
便宜上、(明細書、実施例、及び添付の特許請求の範囲を含めて)出願全体において用い
られるある種の用語を、ここにまとめる。本明細書で別段に定義されない限り、本開示で
用いられる科学技術用語は、当分野の技術者によって普通に理解及び使用される意味を有
するものとする。文脈によって他に必要とされない限り、単数形の用語には、複数形の同
一のものが含まれるものとし、複数形の用語には、単数形が含まれるものとすることを理
解されたい。具体的には、本明細書及び特許請求の範囲では、文脈によってそうではない
と明らかに示されない限り、単数形「a」及び「an」には、複数の指示物が含まれる。
本発明の広い範囲を説明する数値範囲及びパラメータは、おおよその値であるものの、
具体例において説明する数値は、可能な限り正確に報告する。しかし、いかなる数値も、
それぞれの試験測定において判明する標準偏差から必然的に生じるある種の誤差を本質的
に含んでいる。また、本明細書で使用する場合、用語「約」は一般に、所与の値又は範囲
の10%、5%、1%、又は0.5%以内を意味する。あるいは、用語「約」は、当分野の技術
者によって判断される場合には、平均の許容し得る標準誤差以内を意味する。具体例/試
験実施例以外では、又は他に指定がない限り、本明細書に開示される、材料の量、時間、
温度、操作条件、量の割合、及びこれらと同類のものに対するものなどの、数値範囲、量
、値、及び割合は全て、全ての場合において、用語「約」によって修飾されるものと理解
されるべきである。従って、そうではないと示されない限り、本開示及び添付の特許請求
の範囲に示される数値パラメータは、所望される場合に変動し得るおおよその値である。
最低限でも、各数値パラメータは、少なくとも、報告される有効数字の数を考慮して、か
つ、通常の丸め技術を適用することによって解釈されるべきである。
本明細書で使用する場合、用語「ペプチド」は、アミノ酸残基のポリマーを指す。用語
「合成ペプチド」は、本明細書で使用する場合、天然に存在する全長タンパク質分子を含
まないペプチドを意味する。ペプチドは、化学合成、組換え遺伝子技術、又は全長タンパ
ク質の断片化などの技術を使用する、人の介入によって製造することができる点で、「合
成」である。本開示全体を通して、あるペプチド内の任意の特定のアミノ酸残基の位置は
、ペプチドのN末端を始点に番号付けされる。
用語「幹細胞」とは、本明細書で使用する場合、ある種の環境下で実質的に分化せずに
増殖する能力;更には、特定の環境下で、より特化した又は分化した表現型に分化する能
力又は潜在的可能性を保持する細胞をいう。
本明細書で使用する場合、「増殖すること」及び「増殖」とは、細胞分裂による、集団
中の細胞数の増加をいう。
本明細書で特定される合成ポリペプチド配列に関する「アミノ酸配列同一性の割合(%)
」は、配列を整列させ、かつ、最大の割合の配列同一性を得るために必要であればギャッ
プを導入した後の、配列同一性の一部としてのいかなる保存的置換も考慮しない、特定の
ポリペプチド配列内のアミノ酸残基と同一である候補配列内のアミノ酸残基の割合と定義
される。配列同一性の割合を決定する目的のアラインメントは、当分野の技術の範囲内の
様々な方式で、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGN、又はMegalign(DNASTAR)ソフトウェアな
どの公的に利用可能なコンピュータソフトウェアを使用して、実現することができる。当
分野の技術者は、比較される配列の完全長にわたる最大アラインメントを実現するために
必要とされるあらゆるアルゴリズムを含めた、アラインメントを測定するための適切なパ
ラメータを決定することができる。本明細書の目的では、2つのアミノ酸配列間の配列比
較は、米国立生物工学情報センター(NCBI)によってオンラインで提供されているコンピュ
ータプログラムBlastp(タンパク質-タンパク質BLAST)によって実施した。所与のアミノ酸
配列Bに対する所与のアミノ酸配列Aのアミノ酸配列同一性の割合(あるいは、これは、所
与のアミノ酸配列Bに対するアミノ酸配列同一性が、いくらかの%である、所与のアミノ
酸配列Aと表現することができる)は、以下の通りの式によって算出する:
Figure 0006522063
式中、Xは、配列アラインメントプログラムBLASTのAとBのアラインメントにおいて、この
プログラムによって同一のマッチとしてスコア化される、アミノ酸残基の数であり、Yは
、A又はB内のいずれか短い方のアミノ酸残基の総数である。
用語「治療」及び「治療すること」は、本明細書では、所望の医薬的及び/又は生理学
的効果を生じる、予防的(例えば、予防薬)、治癒的、又は緩和的治療を含むように使用さ
れる。該効果は、脱毛症又は毛髪色素脱失を部分的又は完全に治癒又は予防するという観
点から、治療的であることが好ましい。用語「治療すること」とは、本明細書で使用する
場合、ある特定の疾患、障害、及び/又は状態の1以上の症状又は特徴を部分的又は完全に
、緩和する、改善させる、軽減する、発症を遅らせる、進行を妨げる、重篤度を軽減する
、及び/又は発生率を低下させる目的での、医学的状態、該状態の症状、該状態に続発す
る疾患若しくは障害、又は該状態への素因を有する対象への、本開示の合成ペプチド又は
医薬組成物の適用又は投与をいう。治療は、疾患、障害、及び/若しくは状態の徴候を示
さない対象に、並びに/又は、疾患、障害、及び/若しくは状態の初期の徴候のみを示す対
象に、該疾患、障害、及び/又は状態に関連する病理を発症するリスクを低下させる目的
で、投与することができる。本明細書において使用される症状、疾患、障害又は状態は、
脱毛症又は毛髪色素脱失であることができる。治療は、一般に、この用語が本明細書で定
義される通り、1以上の症状又は臨床マーカーが低下した場合に「有効」である。
用語「有効量」とは、本明細書で使用する場合、所望の反応をもたらすのに十分な成分
の量をいう。用語「治療有効量」とは、本明細書で使用する場合、先に定義した通りの所
望の「有効な治療」をもたらす医薬組成物中の治療薬の量をいう。具体的な治療有効量は
、治療される特定の状態、患者の身体的状態(例えば、患者の体重、年齢、又は性別)、治
療される哺乳類又は動物の種類、治療の期間、(もしあれば)併用療法の特性、及び用いら
れる具体的な製剤などの要因によって変動することとなる。治療有効量はまた、化合物又
は組成物の治療的に有益な効果が、いかなる有毒又は有害な作用も上回る量でもある。
用語「適用」又は「投与」は、本明細書において互換的に使用され、脱毛症及び/又は
毛髪色素脱失を治療するために、対象へ、本発明の合成ペプチド又は医薬組成物を提供す
る手段をいう。本開示の様々な実施態様により、局所的適用が、好ましい投与経路である
。例えば、本発明の合成ペプチド又は医薬組成物は、対象の生物学的表面(例えば、皮膚
、頭皮、又は毛髪)に局所的に適用され、その結果この合成ペプチド又は本医薬組成物は
、脱毛症及び/又は毛髪色素脱失を防止又は改善するように、標的部位(例えば毛包)に到
達する。
本明細書において使用される用語「賦形剤」は、本開示の合成PEDFペプチドのためのビ
ヒクル/担体を形成する任意の不活性物質(粉末又は液体など)を意味する。賦形剤は、一
般に安全で、無毒であり、かつ広い意味で、例えば充填剤、希釈剤、凝集剤、結合剤、滑
沢剤、流動促進剤、安定剤、着色剤、湿潤剤、崩壊剤など、医薬組成物の調製に有用な製
薬産業において任意の公知の物質を含む。
本明細書で使用する場合、「医薬として許容し得る」成分は、妥当なベネフィット/リ
スク比と釣り合った過度の有害な副作用(毒性、刺激、及びアレルギー反応)を伴わないヒ
ト及び/又は動物での使用に適している成分である。各賦形剤はまた、医薬製剤の他の成
分と適合性があるという意味で、「許容し得る」ものでなければならない。
用語「対象」とは、本発明の合成ペプチド、組成物、及び/又は方法で治療可能である
、ヒト種を含めた哺乳類をいう。用語「対象」は、一方の性別が特に示されない限り、男
性と女性の両方を指すものとする。
動物の毛の成長には三段階が存在する:カタゲン、テロゲン、及びアナゲン。アナゲン
は、毛が活発に成長する相であり、その間毛球中の細胞は、迅速に分裂しかつ毛幹へと分
化する。平均して、ヒト頭髪は、この活発なアナゲン期に約3〜5年間留まるのに対し、マ
ウスの毛は、アナゲン期に約11日間留まる。アナゲン期には、カタゲン期が続く。この期
間に、毛の成長は停止し、包細胞の約70%は、アポトーシス及び再吸収を受け、これによ
り棍毛の形成を生じる。カタゲン期は、ヒト頭髪について約1〜2週間続く、一過性の段階
である。カタゲンの後、毛は、テロゲン期へと進む。テロゲンは、静止相であり、これは
ヒト頭髪については約3ヶ月続く。この相の間に、毛包は、完全に静止し、棍毛が完全に
形成される。アナゲンの毛と比べ、テロゲンの毛(棍毛)は、比較的容易に引き抜くことが
でき、脱落する傾向がある。
毛包幹細胞(FSC)及びメラノサイト幹細胞(MSC)は、毛包の隆起領域内に存在し、かつ各
々、毛の再生及び毛の色素沈着に係わっている。多くの要因が、毛包幹細胞及び/又はメ
ラノサイト幹細胞の幹細胞性を脅かすことはわかっている。例えばこれらの幹細胞は、加
齢、環境のオキシダント、毛包に関連した障害、化学療法、又は対象の遺伝子構造の作用
下で、それらの幹細胞性を失い得る。幹細胞性の喪失は、それらの後代の生活環に影響を
及ぼし、これは次に脱毛症又は毛髪色素脱失を引き起こし得る。
色素上皮由来因子(PEDF)は、抗血管新生機能、抗腫瘍形成機能、及び神経栄養機能を有
する、多機能の分泌タンパク質である。ヒトPEDFタンパク質(配列番号:11)は、サイズが
およそ50kDa、長さが418アミノ酸の分泌タンパク質である。PEDFの34-mer断片(残基44〜7
7)及び44-mer断片(残基78〜121;配列番号:10)は、それぞれ、抗血管新生特性及び神経栄
養特性を有することが確定されている。
本開示は、少なくとも、44-mer PEDF由来の合成ペプチドは、様々な機序を介して毛包
を保護することができるという知見を基にしている。例えばこの合成ペプチドは、毛包の
縮小を阻害し、メラノサイト幹細胞のメラニン形成細胞への未熟な分化を防止し、及びメ
ラニンの凝集を減少する。いずれかの理論に結びつけられるものではないが、これらの保
護的機序は、毛包における幹細胞の幹細胞性を維持する上で、及び/又はそのような幹細
胞の後代細胞をそれらの正常な生活環に保持する上で助けとなり、その結果毛包は、異常
な脱落傾向を減らし、及び/又はそれらの当初の色を保存し、健康で正常な毛を生じると
考えられている。本発明の別の独創的特徴は、この合成ペプチドが、完全長PEDFよりもか
なり短い(20〜44アミノ酸残基)ので、高い製造コスト、低い生物学的利用能、及び不十分
な薬物動態を含む従来のタンパク質薬物の臨床使用に伴う制限を克服することにある。従
って、本合成ペプチドは、脱毛症及び/又は毛髪色素脱失を治療するために有用である。
従って、一態様において、本開示は、対象において脱毛症及び/又は毛髪色素脱失を治
療するための合成ペプチドに関する。
本開示の実施態様によれば、この合成ペプチドは、長さが20〜44アミノ酸残基であり、
かつ、
Figure 0006522063
のアミノ酸配列とのアミノ酸配列同一性が、少なくとも80%である。例えば、この合成ペ
プチドは、配列番号:10とのアミノ酸配列同一性が、約80、81、82、83、84、85、86、87
、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、又は100%であり得る。また、こ
の合成ペプチドは、配列番号:10の残基16〜35と少なくとも90%同一である少なくとも20
個の連続的な残基を含む。具体的には、この20個の連続的なアミノ酸残基は、配列番号:1
0の残基16〜35とのアミノ酸配列同一性が、約90、91、92、93、94、95、96、97、98、99
、又は100%であり得る。
一実施態様において、この合成ペプチドは、44-merである。同時係属出願US 13/428,99
6及びTW 100138168(それらの全体を参照により本明細書に組み込む)に開示されているも
のなどの、本発明者らによって実施された以前の実験、及び、以下に提供される実験は、
この44-merに由来するいくつかの短い合成のPEDFペプチドが、対象における脱毛症及び/
又は毛髪色素脱失を治療することが可能であることを明らかにしている。具体的には、台
湾特許出願番号第100138168号は、PEDF 44-merは、化学療法又はストレスにより誘導され
た脱毛症及び毛髪色素脱失の予防及び/又は改善に加え、アンドロゲン性脱毛症の予防及
び/又は改善に有効であることを開示している。
例えば、先願と本出願との両方において開示されている実験に基づくと、
Figure 0006522063
の配列を有する39-mer合成ペプチドは、対象における脱毛症及び/又は毛髪色素脱失を治
療するのに有効である。この39-merペプチドは、ヒトPEDFの残基83〜121に相当し、従っ
て既知のPEDF 44-mer(PEDFの残基78〜121に対応)に由来した短い変種である。上で提供さ
れた2つの所与の配列間の配列同一性の割合を推定するためのプロセスによれば、この39-
merは、44-merとのアミノ酸配列同一性が100%であり、39-merの第11〜第30アミノ酸残基
は、44-merのアミノ酸残基16〜35とのアミノ酸配列同一性が100%である。
別の実施例において、先願と本出願の両方において開示されている実験に基づくと、
Figure 0006522063
の配列を有する34-mer合成ペプチドは、対象における脱毛症及び/又は毛髪色素脱失を治
療するのに有効である。この34-merペプチドは、ヒトPEDFの残基88〜121に相当している
。この34-merは、44-merとのアミノ酸配列同一性が100%であり、34-merの第6〜第25アミ
ノ酸残基は、44-merのアミノ酸残基16〜35とのアミノ酸配列同一性が100%である。
さらに、以下の様々な実施例によれば、
Figure 0006522063
の配列を有する29-mer合成ペプチドは、対象におけるアンドロゲン性脱毛症を予防及び/
又は改善するのに有効であることが確認されている。この29-merはまた、先願と本出願の
両方において開示されている実験に基づくと、化学療法又はストレスにより引き起こされ
た脱毛症及び/又は毛髪色素脱失を治療するのに有効であると考えられる。この29-merペ
プチドは、44-merに対する100%アミノ酸配列同一性を有するヒトPEDFの残基93〜121に相
当する。また、29-merの第1〜第20アミノ酸残基は、44-merのアミノ酸残基16〜35とのア
ミノ酸配列同一性が100%である。
いくつかの実施例では、24-merが、対象におけるアンドロゲン性脱毛症を予防及び/又
は改善するのに有効であることが確認されている。また、24-merは、先願と本出願の両方
において開示されている実験に基づくと、化学療法又はストレスにより引き起こされた脱
毛症及び/又は毛髪色素脱失を治療するのに有効であると考えられる。この24-merは、ヒ
トPEDFの残基93〜116に相当する
Figure 0006522063
の配列を有する。この24-merペプチドは、44-merとのアミノ酸配列同一性が100%であり
、その最初の20個のアミノ酸残基は、44-merのアミノ酸残基16〜35とのアミノ酸配列同一
性が100%である。
他の実施例では、20-merが、対象におけるアンドロゲン性脱毛症を予防及び/又は改善
することができることが確立されている。また、20-merは、先願と本出願の両方において
開示されている実験に基づくと、化学療法又はストレスにより引き起こされた脱毛症及び
/又は毛髪色素脱失を治療するのに有効であると考えられる。この20-merは、ヒトPEDFの
残基93〜112に相当する
Figure 0006522063
の配列を有する。この20-merペプチドは、44-merのアミノ酸残基16〜35と完全に同一(100
%アミノ酸配列同一性)であり、かつ44-merとのアミノ酸配列同一性が100%である。
先願と本出願との両方において開示されている実験に基づくと、マウスPEDFに由来する
2種の合成ペプチドもまた、対象におけるアンドロゲン性脱毛症、若しくは化学療法又は
ストレスにより引き起こされた脱毛症及び/又は毛髪色素脱失を予防及び/又は改善するこ
とができる。最初のマウス由来ペプチドは、本開示では、「Mo 29-mer」と呼ばれる。Mo
29-merは、
Figure 0006522063
の配列を有し、これは44-merとのアミノ酸配列同一性が83%であり、かつその最初の20ア
ミノ酸残基の、44-merの16〜35アミノ酸残基とのアミノ酸配列同一性が90%である。別の
マウス由来のペプチド、Mo 20-merは、
Figure 0006522063
の配列を有する。Mo 20-merは、44-mer及び44-merの16〜35アミノ酸残基の両方とのアミ
ノ酸配列同一性が90%である。
任意に、この合成ペプチドは、配列番号:10の残基16〜19と同一である4つの連続する残
基を含む。配列番号:10の残基16〜19(すなわちSLGA)は、短いPEDFペプチドの生物学的機
能の維持において重要な役割を果たすと考えられている。例えば、以下で提供する様々な
実施例によれば、SLGA残基を有しない18-merペプチド
Figure 0006522063
は、対象における毛包のいかなる保護も引き起こすことができない。また、先願と本出願
との両方において開示されている実験に基づくと、SLGA残基を伴わない25-merペプチド
Figure 0006522063
は、対象における脱毛症及び/又は毛髪色素脱失を治療するのに有効でないことが示唆さ
れる。
本発明の合成ペプチドは、α-アミノ基のt-BOC又はFMOC保護などの一般に使用される方
法によって合成することができる。どちらの方法も、ペプチドのC末端から開始する、各
ステップで単独のアミノ酸が付加される段階的合成に関与している。本発明のペプチドは
、周知の固相ペプチド合成方法によって合成することもできる。
39-merに関する保存的変形を伴う他の合成ペプチドも考えられる。用語「保存的変形」
は、本明細書で使用する場合、アミノ酸残基の、別の生物学的に類似の残基による置き換
えを示す。保存的変形の例としては、イソロイシン、バリン、ロイシン、若しくはメチオ
ニンなどのある疎水性残基への、別の疎水性残基からの置換、又は、ある極性残基への、
別の極性残基からの置換、例えば、リジンからアルギニンへの、アスパラギン酸からグル
タミン酸への、アスパラギンからグルタミンへの置換などが挙げられる。用語「保存的変
形」はまた、置換されたポリペプチドに対して産生される抗体が、置換されていないポリ
ペプチドとも免疫反応するという条件で、置換されていない親アミノ酸の代わりの置換さ
れたアミノ酸の使用も含む。
本開示の様々な実施態様によると、脱毛症は、アナゲン脱毛(例えば、化学療法又は放
射線療法により引き起こされるもの)、テロゲン脱毛(例えば、ストレス、偏った食事、薬
物療法、又は感染症により引き起こされるもの)、又はアンドロゲン性脱毛症であること
ができる。
いくつかの実施態様において、毛髪色素脱失は、化学療法又は放射線療法により引き起
こされることがある。いくつかの他の実施態様において、毛髪色素脱失は、ストレス又は
加齢により引き起こされることがある。
本開示の様々な実施態様により、対象は、ヒトを含む哺乳類として分類される任意の動
物であってよい。
前述の実施態様による合成ペプチドは、対象における脱毛症及び/又は毛髪色素脱失を
治療するための局所性医薬組成物に製剤化することができ、これは、本開示の他の態様に
含まれる。
本開示の一実施態様によれば、局所性医薬組成物は、前述の態様/実施態様のいずれか
による合成ペプチドを含み、かつ、該合成ペプチドは、対象における脱毛症及び/又は毛
髪色素脱失を治療するのに十分に有効な量で存在する。該医薬組成物はまた、合成ペプチ
ドのための、医薬として許容し得る賦形剤も含む。
「レミントン薬科学(Remington's Pharmaceutical Sciences)」第17版、Alfonoso R. G
ennaro編集、Mack Publishing社、ペンシルバニア州、Easton (1985)などに記載されたよ
うな、許容し得る医薬的手順に従い、医薬組成物が調製される。
合成ペプチドと共に使用されることとなる医薬として許容し得る賦形剤の選択は、基本
的には、局所性医薬組成物が投与されることとなる方式によって決定される。本開示の任
意の一実施態様によれば、局所性医薬組成物は、対象の生物学的表面(例えば、皮膚、頭
皮、又は毛髪)上へ、塗り広げるか、塗沫するか、マッサージするか、噴霧するか、又は
その他塗布することができ、その結果、合成ペプチドは、毛包の能動吸収(付属器吸収性
経路)によるか、又は経細胞経路若しくは細胞内経路を通る経真皮送達を介して、標的部
位(毛包など)に到達することができる。
当該技術分野において周知の多種多様な皮膚科的に許容し得る不活性賦形剤を、使用す
ることができる。典型的不活性賦形剤は、例えば、水、エチルアルコール、ポリビニルピ
ロリドン、プロピレングリコール、鉱油、ステアリルアルコール、軟膏基剤、及びゲル生
成物質である。
任意に、本発明の医薬組成物はまた、当該技術分野において周知の様々な医薬として-(
特に皮膚科において-)許容し得る添加剤を含むことができる。該添加剤は、乾燥剤、抗掻
痒剤、消泡剤、緩衝剤、中和剤、pH調整剤、着色剤、脱色剤、緩和剤、乳化剤、エマルシ
ョン安定剤、粘度上昇剤、保湿剤、着香剤、保存剤、抗酸化剤、化学安定剤、増粘剤、硬
化剤、又は懸濁化剤を含むが、これらに限定されるものではない。
本開示の様々な実施態様において、局所性医薬組成物は、液剤、噴霧剤、エアゾール剤
、泡剤、クリーム剤、ローション剤、軟膏、ゲル剤、又は貼付剤など、様々な剤形で製剤
化されてよい。
本開示の任意の実施態様によると、この合成ペプチドは、約0.1〜100μM、及び好まし
くは約1〜25μMの量で、医薬組成物中に存在する。例えば、合成ペプチドの濃度は、約0.
1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.3、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20
、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、又は100μMであって
よい。具体的には、マウス(体重約20g)について以下の試験実施例において使用される濃
度は、約25μMである。当業者は、本明細書に提供される動物投与量を基に本合成ペプチ
ド又は医薬組成物について、ヒト相当量(HEQ)を算出することができる。例えば、米国食
品医薬品局(FDA)は、「健常成人志願者の治療に関する初期臨床試験における安全な最大
開始用量の算出(Estimating the Maximum Safe Starting Dose in Initial Clinical Tri
als for Therapeutics in Adult Healthy Volunteers)」と題する産業用指針を公表して
いる。
任意に、この合成ペプチドは、治療のより延長された治療作用を確実にするために、持
続放出剤形に製剤化されてよい。例えば、合成ペプチドは、リポソーム、ミクロスフェア
、又はナノソームなどのビヒクルにより最初に封入され、次に所望の剤形へ製剤化されて
よい。これらの小胞-形成ビヒクル(例えば、リポソーム)の一部はまた、本合成ペプチド
又は医薬組成物の送達速度を促進する利点がある。
更に任意に、この合成ペプチドは、コーティング材料へと製剤化され、これはその後コ
ーティングされるか、含浸されるか、又はそうでなければ基体の表面上若しくは細孔中に
保持され、これにより貼付剤などを製造することができる。この基体は、少なくとも1種
の天然の材料、少なくとも1種の合成材料、又は両方の組合せから調製されてよい。例え
ば天然の材料は、コラーゲン、ヒアルロン酸、アルギン酸塩、若しくはキトサン、又はそ
れらの誘導体であることができ;他方で、合成材料は、ポリウレタン、ポリグリコール酸
、若しくはポリビニルピロリドン、又はそれらの誘導体であることができる。該コーティ
ング材料及び/又は基体は、好適な生体接着性を有し、結果的にこの貼付剤は、対象の生
物学的表面(例えば頭皮)に付着することができ、かつ貼付剤が除去された場合に、毛髪成
長に対し有害作用を有さないであろう。
また別の態様において、本発明は、対象における脱毛症及び/又は毛髪色素脱失を治療
する方法に関する。本対象は、ヒトを含む哺乳類として分類される任意の動物であってよ
い。
一実施態様において、本方法は、前述の態様/実施態様のいずれかによる合成ペプチド
の有効量を、対象へ投与することを含む。本開示の様々な実施態様により、合成ペプチド
は、局所的に又は全身的に送達され得る。好ましくは、合成ペプチドは、局所的に投与さ
れる。より好ましくは、合成ペプチドは、対象の生物学的表面(例えば皮膚、頭皮、又は
毛髪)に、局所的に投与され、結果的に合成ペプチドは、標的部位(例えば毛包)に到達し
、毛髪成長及び/又は毛髪色素沈着を促進する。
任意の実施態様により、この合成ペプチドは、本開示の前述の態様/実施態様による局
所性医薬組成物へ製剤化される。一例において、本局所性医薬組成物は、対象の生物学的
表面(例えば皮膚、頭皮、又は毛髪)に、塗布されてよい。
加えて、本開示の実施態様による合成ペプチド又は局所性医薬組成物は、特定の条件(
例えば、特定の湿度又は温度)下で投与することができる。例えば、より湿った暖かい環
境下での投与は、標的部位による合成ペプチドの吸着を促進することができる。
いくつかの実施態様により、対象は、異常な毛髪喪失を引き起こす、アナゲン脱毛、テ
ロゲン脱毛、又はアンドロゲン性脱毛症などの脱毛症に罹患していることがある。いくつ
かの他の実施態様により、対象は、化学療法、放射線療法、酸化的ストレス、又は加齢に
より引き起こされる毛髪色素脱失に罹患していることがある。同じく、対象は、対象の遺
伝子構造に起因した脱毛症及び/又は毛髪色素脱失に罹患していることがある。
本発明のある種の態様を明らかにするために、また、当分野の技術者が本発明を実施す
るのを助けるために、以下の実施例を提供する。これらの実施例は、決して、本発明の範
囲をいかなる方法によっても制限するものとみなされるべきではない。さらなる詳説がな
くとも、当分野の技術者は、本明細書の説明に基づいて、本発明を最大限に利用すること
ができると考えられる。本明細書に引用した全ての刊行物の全体を、参照により本明細書
に組み込む。
(実施例)
(材料及び方法)
(材料)
ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、ウシ胎仔血清(FBS)、及び0.25%トリプシンは、I
nvitrogen社(カリフォルニア州、Carlsbad)から購入した。ジヒドロテストステロン(DHT)
、エチルアルコール、1-オレオイル-rac-グリセロール、軽質鉱油、ヒドロキシプロピル
メチルセルロース、ジメチルスルホキシド(DMSO)、インスリン、ヒドロコルチゾン、ウシ
血清アルブミン(BSA)、5-ブロモ-2'-デオキシウリジン(BrdU)、Hoechst 33258色素、及び
Hoechst 33342色素は全て、Sigma-Aldrich社(ミズーリ州、St.Louis)から得た。抗-BrdU
抗体は、GeneTex社(台湾、台北)から得た。抗-c-kit抗体(No. 3074)は、Cell Signaling
Technology社(No.3074;米国、マサチューセッツ州、Beverley)から得た。抗-チロシナー
ゼ抗体(No.sc-7833)及び全ての蛍光色素-結合型二次抗体は、Santa Cruz Biotechnology
社(カリフォルニア州、Santa Cruz)から購入した。ヘマトキシリン及びエオシン(H&E)色
素は、Merck社(米国、ニュージャージー州、Rayway)から購入した。
FITC-結合型29-mer及び他の短い合成PEDFペプチド(44-mer(配列番号:10)、29-mer(配列
番号:3)、24-mer(配列番号:5)、20-mer(配列番号:6)、18-mer(配列番号:7)、及びMo 20-m
er(配列番号:9)を含めて)を合成し、NH2末端でのアセチル化、及びCOOH末端でのアミド化
により修飾した。修飾されたペプチドを引き続き、質量分析(>95%純度)によって特徴付
けた(GenScript社(ニュージャージー州、Piscataway))。
(動物)
本開示の実施態様において使用される全ての動物は、温度コントロール(24〜25℃)及び
12:12明暗周期下で、動物飼育室で飼育した。標準の実験用飼料及び水道水は、自由に摂
取可能であった。実験手順は、Mackay Memorial Hospital Review Board(台湾(R.O.C.)、
New Taipei City)によって承認され、国内の動物福祉規定に従って実施した。
(局所性軟膏又はゲル製剤)
各PEDF由来の短い合成ペプチド(FITC-結合型29-mer、44-mer、29-mer、24-mer、20-mer
、18-mer、又はMo 20-mer;以下、PEDFペプチド)を、ストック液(5mM)として、DMSO中に再
構成し、更なる使用のために-20℃で貯蔵した。
使用前に、44-merを含有するストック液を、試験希釈物へ調製し、次にこれらを、硫酸
ネオマイシン5mg/g及びバシトラシン12.5mg/gを含有する抗生物質軟膏と混合し、44-mer
25μMを含有する抗生物質軟膏を得た。他のPEDFペプチドについては、5mM PEDFペプチド
ストック液5μlを、エチルアルコール(蒸留水中30%w/w)中に徐々に溶解し、その後1-オ
レオイル-rac-グリセロール(1%w/w、皮膚浸透促進剤)及び軽質鉱油(1%w/w)を、徐々に
添加した。この溶液を最後に、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(5%w/w)を最終容積
1mlまで添加することにより、ゲル化した。ペプチド製剤に対応するDMSOビヒクルを、イ
ンビボ比較を目的として調製した。またFITC-29-merも、皮膚の表面に塗布するために、
同じ製剤中に溶解し、FITC-29-merの毛包分布を決定した。
局所治療のために、PEDFペプチド25μMを含有する軟膏又はゲル剤350mgを、マウス別に
背側皮膚に優しく塗り広げた。
(組織診断、免疫組織化学、及び定量化)
毛包を貫通する縦方向の切片を得るために、マウスの背中の皮膚を、脊椎ラインと平行
して採取した。背側皮膚は、4%パラホルムアルデヒドで固定し、パラフィンブロック中
に包埋し、縦方向の切片を得た。組織を、5-μm切片にスライスした。使用前に、固定さ
れた試料を、キシレン中で脱パラフィン処理し、段階的な一連のエタノール中で再水和し
た。H&E色素を使用して、一般的な組織診断を実施した。デジタル顕微鏡写真(Zeiss落射
蛍光顕微鏡;Jena、独国)を、固定倍率100×で、代表的領域から撮影した。
HF形態形成の分析のために、動物を、脱毛後15日目に安楽死させた。形態形成の異なる
段階での毛包の割合を、Muller-Roverらの文献(Journal of Investigative Dermatology
(2001) 117, 3-15)に説明された、容認されたマウスのHF形態学的判定基準の基本を基に
評価した。6〜10匹のDHT-処置した動物から得た少なくとも24個の縦方向に切断したHF切
片を、分析した。DHT-処置した皮膚におけるPEDFペプチド-依存性のカタゲンの遅延を明
らかにするために、単独の代表的皮膚切片の5-to-7の連続した顕微鏡視野を撮影し、コン
ピュータ-支援画像分析装置(Adobe Photoshop CS3 10.0)を用いて統合した。
免疫染色のために、脱パラフィン処理した組織切片を、10%ヤギ血清で1時間ブロッキ
ングした。二重染色は、c-kit(1:100希釈;赤色)及びチロシナーゼ(1:100希釈)に対する
一次抗体を用い、37℃で2時間行い、その後ローダミン-結合型ヤギ抗-ウサギIgG抗体(1:5
00希釈)と共に室温で1時間インキュベーションした後、ヘマトキシリン(青色)で約7分間
対比染色を行った。
洞毛毛包凍結切片を、PBS中で3回洗浄した。ホルマリン固定し、パラフィン-包埋した
皮膚標本を、キシレン中で脱パラフィン処理し、段階的な一連のエタノール中で再水和し
た。その後切片を、TdT-媒介型dUTPニック末端標識(TUNEL)-ベースキット(Roche Molecul
ar Biochemicals社、インディアナ州、Indianapolis)により製造業者の指示に従い染色し
た。細胞数を、Hoechst 33258(青色)による対比染色によりモニタリングした。核を、Zei
ss落射蛍光顕微鏡(400×、10視野/試料)により、3つの異なるチャンバーの10の無作為に
選択した視野において計算した。写真を、Zeissソフトウェアに記録した。
4%パラホルムアルデヒドで固定した後、細胞を、冷メタノールに2分間曝し、その後1N
HClにより室温で1時間処理し、その後免疫蛍光測定を行った。BrdU-標識したDNAを、ポ
リクローナル抗-BrdU抗体及びローダミン-結合型ロバ抗-ウサギIgGにより検出した。
動物試験のために、BrdUを、ストック液(80mM)として、DMSO中に再構成した。PBS 90μ
lと混合したBrdU 10μlを、マウスへ腹腔内注射し、16時間後に安楽死させた。ホルマリ
ン固定し、パラフィン-包埋した皮膚標本を、キシレン中で脱パラフィン処理し、段階的
な一連のエタノール中で再水和し、その後免疫組織化学評価を行った。洞毛毛包凍結切片
を、PBS中で3回洗浄し、その後1N HClに室温で1時間曝し、引き続き免疫組織化学評価を
行った。
(細胞培養)
マウス洞毛毛包を、以下のように培養した。簡単に述べると、ひげのパッド(whisker p
ad)を、マウスの顔面から切り出し、PBS及び1%抗生物質混合物を含むペトリ皿に移した
。アナゲンにある各洞毛毛包を、ひげのパッドから単離し、インスリン(10μg/ml)、ヒド
ロコルチゾン(10ng/ml、Sigma-Aldrich社)、1%ペニシリン/ストレプトマイシン抗生物質
混合物及びL-グルタミン(2mM)を補充したDMEM中で、24-ウェル培養プレート(1ウェルにつ
き3洞毛毛包)を使用し培養し、5%CO2中、37℃でインキュベーションした。10〜15のHFを
、各実験群において試験し、かつ3回繰り返した。DMSOに溶解したDHT及びPEDFペプチドを
、インスリン及びヒドロコルチゾンを補充したHF培養物に添加した(DMSOの最終濃度は、0
.05%未満であった)。
不死化したヒトケラチノサイト細胞株(HaCaT)を、10%FBS-DMEM中37℃で培養した。5%
FBS-DMEM中に播種した細胞について、PEDFペプチド及び組み換えヒトTGFβ1(R&D Systems
社)による処理を行った。
(統計解析)
結果は、平均±平均値の標準誤差(SEM)として表した。統計比較のために、一元配置ANO
VAを使用した。別段の指定がない限り、P<0.05を、有意であるとみなした。
(実施例1)
(PEDFペプチドは、化学療法により誘導された脱毛及び色素脱失を予防/改善する)
正常な黒色毛皮を有する(すなわち、これらは重度にメラニン化された末端毛幹を有す
る)、6週齢の雌C57BL/6マウスを、本実施例に使用した。4回の独立した実験において、合
計80匹のマウスを使用した。C57BL-6マウスは、化学療法により誘導された脱毛症及び毛
髪-色素脱失の研究に広く使用されている。毛髪周期の静止段階(テロゲン)にあるマウス
のみを、これらの研究に使用した。マウスにおける色素生成(メラニン形成)は、専らアナ
ゲンの毛包において生じるので、テロゲンC57BL-6マウスは、それらの背中の皮膚の均一
に桃色がかった色により認めることができる。アナゲンを、脱毛によるテロゲンマウスの
背中の皮膚において誘導した。
アナゲン発育の正確に同じ段階にあるマウスを得るために、背側の毛を、電気バリカン
により慎重に剃毛した。脱毛後の9日間に、桃色(テロゲン皮膚)から灰色(アナゲンVIの初
期段階)への皮膚の色により判定されるように、アナゲン期へ、毛は成長した。
脱毛後9日目に、マウスに、ゾレチル(6mg/kg)及びキシラジン(3mg/kg)の混合液の腹腔
内注射により麻酔をかけた。マウスは、下記実験群に無作為に割り当てた。CYP/ビヒクル
群において、マウスは、シクロホスファミド(CYP、抗癌剤)(150mg/kg)の腹腔内注射を受
け取り、同時に抗生物質軟膏350mgを背中の皮膚に塗布された。CYP/44-mer群において、
マウスは、CYP(150mg/kg)の腹腔内注射を受け取り、同時に44-mer PEDFを含有する抗生物
質軟膏350mgを、背中の皮膚に塗布された。ビヒクル群及び44-mer群においては、マウス
は、CYPの腹腔内注射を受けず、かつ各々、抗生物質軟膏350mg及び44-mer PEDFを含有す
る抗生物質軟膏350mgで処置された。その後、抗生物質軟膏350mg(44-mer PEDFを含む又は
含まない)を、マウスの背中の皮膚へ7日間毎日塗布した。ブランク対照については、マウ
スは、CYP注射でも抗生物質軟膏塗布でも処置しなかった。
図1は、各々、脱毛後9日目(すなわち、CYP注射後0日目)、脱毛後16日目(すなわち、CYP
注射後7日目)、及び脱毛後45日目(すなわち、CYP注射後36日目)の、各群のマウスの写真
を提供する。CYP/ビヒクル群とCYP/44-mer群のマウスを比較することにより、本発明者ら
は、CYP/44-merマウスは各々、CYP注射後7日目及び36日目に、より良い毛の成長活性を示
したことがわかった。
マウスへのCYP 150mg/kgの投与は、ケラチノサイトのアポトーシス、更には包ジストロ
フィーを引き起こすことは、わかっている。従って、TUNEL染色を行い、アポトーシス性
細胞を染色し、PEDFペプチドのケラチノサイトに対する保護効果を評価した。図2は、代
表的蛍光画像を提供し、かつ定量的結果は、表1にまとめている。TUNEL-陽性細胞の標識
指標(%)は、標識された細胞数を、核を持つ細胞総数で除算することによりコンピュータ
算出した。
Figure 0006522063
これらの結果は、44-mer-含有軟膏で処置したマウスにおけるアポトーシス性TUNNEL-陽
性細胞の数は、ビヒクル軟膏のみで処置したマウスと比べ、有意に減少したことを明らか
にした。従って、PEDFペプチドの投与は、化学療法剤(CYPなど)により引き起こされる損
傷に対し、ケラチノサイトを保護し得、これにより化学療法により引き起こされる脱毛を
予防及び/又は改善すると考えられる。
メラノサイト幹細胞は、メラニン芽細胞及びメラニン形成細胞などの分化した後代の毛
根への供給、及びそれらの後代の分化周期の調節に係わっている。最近の研究は、生態的
適所(niche)におけるMSCの成熟メラニン形成細胞への異常な分化は、MSCの喪失及び不可
逆的毛髪の白髪化に繋がることを指摘しており;この現象は、「異所的に色素沈着された
メラニン形成細胞(EPM)」と称される。
毛球中に存在するメラニンのみが、毛幹を色素沈着することが可能である。具体的には
、毛球中のメラニンにより生成されたメラニン顆粒は、ケラチノサイトへ輸送され、これ
により色素沈着された毛髪を生じる。更に完全に分化したメラニン形成細胞は、カタゲン
期の間にアポトーシスを受け、かつ毛包から除去されるであろう。毛包がジストロフィー
性アナゲンを経験する場合、アナゲンの包中のメラニンレベルは、異常に減少し、メラニ
ン分布は均一ではなく、このことが、メラニン凝集を生じる。ジストロフィー性カタゲン
を経験している毛髪について、メラニンは、毛球の外側で凝集するであろう。
更に図1に言及するように、CYP注射後36日目に、CYP群及びCYP/ビヒクル群のマウスは
、より灰色及び白色の毛を有したのに対し、CYP/44-mer群のマウスは、実質的により暗色
の毛を有したことがわかった。これらの結果は、CYP群及びCYP/ビヒクル群において、MSC
は、CYPにより損傷を受け、従ってこれらは、メラニンの生成に十分なメラニン形成細胞
を供給することができないことを示唆している。
MSCの活性を、メラニン形成細胞系統マーカー(c-kit)及びチロシナーゼの発現により評
価した。図3に言及したように、この免疫染色分析は、c-kit及びチロシナーゼの発現は、
CYP/ビヒクル群のマウスのバルジ(bulge)においてかろうじて検出されたことを明らかに
し、このことはバルジにおけるMSC活性はかなり低いことを指摘している。対照的に、CYP
/44-mer群のマウスのバルジにおいて、c-kit及びチロシナーゼの発現が認められた。まと
めると、これらのデータは、本PEDFペプチドは、CYPにより引き起こされた損傷に対するM
SCの保護において有効であることを示唆している。
結論として、実施例1の結果は、44-mer PEDFペプチドは、CYPにより引き起こされる、
毛包の縮小、メラニン凝集、並びに毛包細胞及びケラチノサイトのアポトーシスを減少す
るのに有効であることを明らかにした。従って、44-mer PEDFペプチドは、化学療法によ
り誘導された脱毛及び/又は毛髪色素脱失を予防及び/又は改善することが可能である。更
に、本発明者らの先行する研究及び下記実施例3に提示される例は、44-merに由来した39-
mer PEDF及び39-mer PEDFに由来したいくつかの短いPEDFペプチドの生理活性は、44-mer
のものと類似していることを指摘している。従って本発明者らは、配列番号:1(39-mer)、
配列番号:2(34-mer)、配列番号:3(29-mer)、配列番号:5(24-mer)、配列番号:6(20-mer)、
配列番号:8(MO 29-mer)、及び配列番号:9(MO 20-mer)を含む、これらの短い合成PEDFペプ
チドも、化学療法により誘導された脱毛症及び/又は毛髪色素脱失の治療において有効で
あることを推論している。
(実施例2)
(PEDFペプチドは、ストレスにより誘導された脱毛及び色素脱失を予防/改善する)
紫外線照射、炎症、又は精神情動などの、様々な環境因子及び内因性因子は、酸化的ス
トレスを引き起こすことがわかっており、これは次に(in terms)加齢過程を加速する。同
じく、対象の遺伝子構造も、これらの因子に対する対象の耐性に影響を及ぼし得る。先行
する研究は、加齢した毛包内に数マイクロモルの過酸化水素が存在することを確立した。
また、動物モデルにおいて、内因性酸化的ストレスは、毛包中のメラニン形成細胞のアポ
トーシスを増大し、これは最終的に毛髪の白髪化に繋がることも、確認されている。
この実施例において、内因性チャレンジ(例えばオキシダント)により引き起こされたス
トレスと、脱毛及び毛髪白髪化の間の関係を調べた。上記実施例1に説明したように、マ
ウスを選択し、かつ脱毛した。脱毛後9日目に、マウスに、過酸化水素を投与量10ml/体重
kgで皮下注射した。比較のために、44-mer PEDFを含む又は含まない抗生物質軟膏350mgを
、H2O2/ビヒクル群及びH2O2/44-mer群のマウスの背中の皮膚へ、各々塗布した。
図4は、各々、脱毛後9日目(すなわちH202注射後0日目)及び脱毛後31日目(すなわちH2O2
注射後22日目)の各群のマウスの写真を提供している。H202/ビヒクル群とH202/44-mer群
のマウスを比較することにより、H202/44-merマウスは、H202注射後22日間、より良い毛
成長活性を示したことがわかった。同じく、毛の色は、44-mer PEDF 25μMを含有する抗
生物質軟膏で処置したマウスにおいてより暗色となった。従って、44-mer PEDFは、スト
レス(酸化的ストレスなど)により引き起こされた脱毛及び/又は毛髪色素脱失を予防及び/
又は改善するのに有効である。
更に、本発明者らの先行する研究及び下記実施例3に提示される例は、44-mer PEDFに由
来したいくつかの短いPEDFペプチドの生理活性は、44-merのものと類似していることを指
摘している。従ってこれらの結果は、配列番号:1(39-mer)、配列番号:2(34-mer)、配列番
号:3(29-mer)、配列番号:5(24-mer)、配列番号:6(20-mer)、配列番号:8(MO 29-mer)、及
び配列番号:9(MO 20-mer)を含む、これらの短い合成PEDFペプチドも、ストレスにより誘
導された脱毛症及び/又は毛髪色素脱失の治療において有効であることを示唆している。
(実施例3)
(PEDFペプチドはアンドロゲン性脱毛症を予防/改善する)
インビトロ及びインビボ分析を、本PEDFペプチドのアンドロゲン性脱毛症に対する効果
を評価するために、実行した。
(実施例3.1)
(PEDFペプチドはインビトロにおいてDHTにより誘導されたケラチノサイトの成長停止及
びアポトーシスに拮抗する)
各PEDFペプチド(29-mer、24-mer、20-mer、又はMo 20-mer)を、雄のマウス洞毛の毛包(
HF)の臓器培養物へ16時間添加し、次に100nM DHTを更に48時間添加した。比較的高倍率で
の組織学的分析は、DHTは、未処置のHFと比べ、細胞の脱組織化した毛母体及びメラニン
凝集を引き起こしたことを明らかにした(図5)。対照的に、20-mer PEDFで予備処置したHF
における毛母体のほとんどの領域は、規則的に整列されたケラチノサイト、及びはるかに
少ない異常なメラニン粒子を有した(図5)。
凍結切片におけるTUNEL-及びBrdU-陽性細胞の免疫検出を、各々、HF上皮におけるアポ
トーシス及び増殖活性の評価に使用した。定量的結果を、表2にまとめている。TUNEL-及
びBrdU-陽性細胞の標識指標(%)は、標識された細胞数を、核を持つ細胞総数で除算する
ことによりコンピュータ算出した。
Figure 0006522063
表2に認められるように、インビトロにおいて自然発生する毛母体におけるケラチノサ
イトアポトーシスは、非常に低い(1.7±0.76%;未処置群)のに対して、有意な細胞死が
、100nM DHTの存在下で、真皮乳頭(DP)の周囲のケラチノサイトにおいて認められた(28.5
±4.90%;DHT/ビヒクル群)。同じく、本開示のPEDFペプチド(例えば、29-mer、24-mer、
20-mer、及びMo 20-mer)により処置した洞毛は、ビヒクル又は18-mer PEDFペプチドによ
り処置した洞毛と比べ、はるかに少ないTUNEL-陽性ケラチノサイトを示した。これらの結
果は、本PEDF治療は、DHTにより誘導されたケラチノサイトアポトーシスの減少において
有効であることを示唆している。
表2の結果はまた、毛母体におけるケラチノサイトの細胞分裂は、未処置のHFと比べ、D
HTにより抑制されたことを示した(DHT/ビヒクル:9.0±1.92%、対、未処置:15.8±2.08
%)。他方で、本PEDFペプチドにより処置した細胞に関するより高いBrdU標識指標は、本
治療による包ケラチノサイトの増殖活性の改善を指摘した。
DHTは、真皮乳頭細胞(DPC)におけるトランスフォーミング増殖因子-β1(TGF-β1)の発
現を誘導し、かつTGF-β1は、アンドロゲン性脱毛を伴う対象において、毛の成長及び包
ケラチノサイト成長を抑制する、カタゲンインデューサーであることがわかっている。PE
DF-由来のペプチドが、ケラチノサイトをDHT-媒介性成長抑制から保護することができる
ことをさらに確認するために、TGF-β1及びPEDF-由来のペプチドに反応するヒト上皮ケラ
チノサイト(HaCaT)の細胞分裂を、BrdU取込みにより評価した。定量的結果を、表3にまと
めている。BrdU-陽性細胞の標識指標(%)は、標識された細胞数を、核を持つ細胞総数で
除算することによりコンピュータ算出した。
Figure 0006522063
表3に認められるように、HaCaTのTGF-β1(4ng/ml、24時間)による処置は、BrdU-陽性細
胞のレベルを、未処置の細胞のそれと比べ、実質的に低下した。しかし、細胞を20-merに
より16時間予備処置した場合、TGF-β1+20-mer処置群において、TGF-β1は、HaCaTの増
殖活性を抑制することができなかった。
まとめると、PEDF-由来のペプチドは、DHT(及びTGFβ1)のケラチノサイトに対する抗増
殖効果をブロックすることができる。
(実施例3.2)
(PEDFペプチドはインビボにおいてDHTにより誘導されたカタゲン進展を遅延する)
インビボ分析のために、5α-ジヒドロテストステロン(DHT)動物モデルを利用した。毛
周期のテロゲン段階にある6週齢の雄C57BL/6マウス(体重15〜20g)を、溶融したワックス/
ロジン混合物(1:1)を軽い麻酔下で用いて脱毛し、アナゲン段階を誘導した。DHTを、DMS
O中に溶解し、50mg/mlストック溶液を作製した。脱毛後11日目に、マウス(1実験条件につ
き6〜10匹のマウス)に、DHT溶液を、剃毛した背側領域に皮下注射した(30mg/体重kg;1匹
のマウスにつきオリーブ油200μl中に混合したDHT 1.5mg)。DHT注射後、350mgビヒクルゲ
ル又はPEDFペプチド(29-mer、24-mer、20-mer、又は18-mer)25μMを含有するゲルを、3日
間にわたり、1日1回、マウスの背中の皮膚へ局所的に塗布した。
図6に提示したように、組織学的分析を、脱毛後15日目(すなわちDHT注射後4日目)に行
い、DHT処置しなかったマウス(未処置群)由来のHFは、アナゲン及び自然発生的カタゲン
の開始から構成されたのに対し、DHT/ビヒクル及びDHT/18-merマウスのHFは、予想された
ようにカタゲンへと進んだことが明らかになった。対照的に、29-mer及び20-merにより処
置したマウスのHFは、ほとんどがアナゲン期であり、このことは、DHTにより増強された
カタゲン進行は、ブロックされたことを指摘している。各実験群における各周期相の毛包
の割合に注目する定量的評価を、表4にまとめた。
Figure 0006522063
表4のデータは、DHT/29-mer、DHT/24-mer、及びDHT/20-mer群において、有意に高い割
合の毛包が、アナゲン期、及び早期カタゲン期(カタゲン期IからIII)において認められた
ことを指摘している。他方で、ビヒクル又は18-merで処置したマウスにおける毛包の大半
は、中期及び後期カタゲン期(カタゲン期IVからVIII)にあった。
前述の組織形態学的分析を確認するために、BrdU及びTUNEL染色を、脱毛後15日目に行
った。定量的結果を、表5にまとめている。毛母体(HM)及び外毛根鞘(ORS)におけるTUNNEL
-陽性細胞の数を、1毛包当たりのTUNNEL-陽性細胞として表した。毛球(HB)中のBrdU-陽性
細胞の標識指標(%)は、標識された細胞数を、核を持つ細胞総数で除算することによりコ
ンピュータ算出した。
Figure 0006522063
未処置群とDHT/ビヒクル群を比較することにより、近接したアナゲンHFにおける増殖活
性の減少に加えて、毛母体及び外毛根鞘(ORS)におけるTUNEL-陽性細胞の量の劇的な増加
により明らかにされるように、DHT注射は、カタゲン進展を増強したことが認められる。2
0-mer、24-mer、又は29-merにより処置したDHT-注射したマウスにおいて、マウスは、1つ
のHF当たりのTUNEL-陽性細胞(1未満)及びBrdU-陽性ケラチノサイトの濃密なクラスターを
ほとんど有さず、このことは、本PEDFペプチドは、毛包退縮(regression)に対するDHT作
用に拮抗することを確認した。
まとめると、包ケラチノサイトの細胞増殖停止及びアポトーシスの証拠としてのDHT-誘
導したカタゲン移行は、本PEDF-由来ペプチド(例えば、29-mer、24-mer及び20-mer)の局
所塗布によりブロックされる。これらの結果は、本PEDF-由来ペプチドは、DHT-誘導した
未熟なアナゲンからカタゲンへの移行を遅延することができることを確認している。
(実施例3.3)
(PEDFペプチドはインビボにおいて毛包の発達を持続する)
毛成長の再開に対するPEDFペプチドの効果を評価するために、実施例3.2に説明したよ
うに、C57BL/6マウスを脱毛した。脱毛後11日目に、マウス(1実験条件につき6〜10匹のマ
ウス)に、DHT溶液(オリーブ油200μl中に混合したDHT 1.5mg)を、剃毛した背側領域に皮
下注射し(30mg/体重kg)、その後マウスに、本試験の期間中、週2回DHTを注射した。初回D
HT注射後、350mgビヒクルゲル又はPEDFペプチド(29-mer、24-mer、20-mer、又は18-mer)2
5μMを含有するゲルを、14日間にわたり、1日1回、マウスの背中の皮膚へ局所的に塗布し
た。被毛状態の変化を、デジタルカメラで写真撮影することにより記録し(図7)、かつ暗
色になり始めた剃毛した領域(再成長した毛)の割合を測定した。DHT注射後の毛再成長の
スコアを、下記スケールを用いて評価した:0、0%(毛成長なし);1、<20%;2、20〜39
%;3、40〜59%;4、60〜79%;5、80〜100%。皮下組織深さの単位長さ(1mm)当たりの
毛球の数を、前述のようにカウントした。結果を表6にまとめている。
Figure 0006522063
図7及び表6の結果は、毛周期の成長相(アナゲン)は、脱毛により背側皮膚において誘導
された(未処置群)ことを指摘している。対照的に、DHT/ビヒクル群及びDHT/18-mer群のマ
ウスは、脱毛後18日目であっても、毛再成長の顕著な遅延を示し;これは、アンドロゲン
性脱毛症のよく受け容れられる動物モデルの予想される知見である。他方で、29-mer、24
-mer、又は20-merの毎日塗布により処置したDHT-注射したマウスは、毛再成長の遅延の改
善を示し、及び実質的毛成長が生じた。統計解析の結果は、29-mer、24-mer、及び20-mer
で処置したDHT-注射したマウスは、DHT/ビヒクル対照群よりも、脱毛後、より良い成長ス
コアを示したことを指摘している。
更に表6に関して、ビヒクル又は18-merで処置したマウスと比べ、毛球の有意に増加し
た総数(1.6倍)が、29-mer、24-mer又は20-merのいずれかで処置したマウスにおいて認め
られた。これらの結果は、有意な数のHFが、DHTの作用を回避し、本PEDFペプチドの保護
的効果の下で、アナゲン期へと移動したことを示唆している。
結論として、実施例3(実施例3.1から3.3を含む)に示されたデータは、本PEDFペプチド
は、DHTにより誘導された脱毛の治療に有効であることを明らかにしている。従って、PED
Fペプチドの局所性投与は、アンドロゲン性脱毛症により引き起こされる脱毛を予防又は
改善するであろう。
本開示は、短い合成PEDFペプチドの局所塗布は、毛包に対し治療的効果を有することを
最初に明らかにしたものである。従来の完全長PEDFペプチドを発現するベクターの静脈内
又は筋肉内送達と比べ、短い合成PEDFペプチドの局所的送達は、安全かつより経費のかか
らない方策である。
実施態様の上記の説明は、例示目的でのみ与えられ、当分野の技術者によって様々な改変を行うことができることが理解されよう。上記の明細書、実施例、及びデータは、本発明の例示的な実施態様の構造及び使用の完全な説明を提供する。本発明の種々の実施態様を、ある程度の具体性を伴って、又は、1以上の個々の実施態様に関して先に記載してきたが、当分野の技術者は、本発明の精神及び範囲を逸脱せずに、開示した実施態様に対して多くの変更を行うことができるであろう。
本件出願は、以下の構成の発明を提供する。
(構成1)
20〜44アミノ酸残基の長さであり、かつ、配列番号:10と少なくとも80%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列であって、配列番号:10の残基16〜35とのアミノ酸配列同一性が少なくとも90%である少なくとも20個の連続的な残基を含む前記アミノ酸配列からなる、対象における脱毛症及び/又は毛髪色素脱失を治療するための合成ペプチド。
(構成2)
前記合成ペプチドの少なくとも4個の連続的な残基が、配列番号:10の残基16〜19と同一である、構成1記載の合成ペプチド。
(構成3)
前記脱毛症が、アナゲン脱毛又はアンドロゲン性脱毛症である、構成1記載の合成ペプチド。
(構成4)
前記毛髪色素脱失が、化学療法、放射線療法、ストレス、遺伝、又は加齢により引き起こされる、構成1記載の合成ペプチド。
(構成5)
前記対象が、ヒト対象である、構成1記載の合成ペプチド。
(構成6)
構成1記載の合成ペプチドの有効量;及び
医薬として許容し得る賦形剤:
を含む、対象における脱毛症及び/又は毛髪色素脱失を治療するための局所性医薬組成物。
(構成7)
前記合成ペプチドの少なくとも4個の連続的な残基が、配列番号:10の残基16〜19と同一である、構成6記載の局所性医薬組成物。
(構成8)
前記局所性医薬組成物が、液剤、噴霧剤、エアゾール剤、泡剤、クリーム剤、ローション剤、軟膏、ゲル剤、又は貼付剤の形状である、構成6記載の局所性医薬組成物。
(構成9)
前記脱毛症が、アナゲン脱毛又はアンドロゲン性脱毛症である、構成6記載の局所性医薬組成物。
(構成10)
前記毛髪色素脱失が、化学療法、放射線療法、ストレス、遺伝、又は加齢により引き起こされる、構成6記載の局所性医薬組成物。
(構成11)
前記対象が、ヒト対象である、構成6記載の局所性医薬組成物。
(構成12)
対象において脱毛症及び/又は毛髪色素脱失を治療する方法であって、
有効量の構成1記載の合成ペプチドを対象へ投与することを含む、方法。
(構成13)
前記合成ペプチドの少なくとも4個の連続的な残基が、配列番号:10の残基16〜19と同一である、構成12記載の方法。
(構成14)
前記合成ペプチドが、合成ペプチド及び医薬として許容し得る賦形剤を含む、局所性医薬組成物に製剤化されている、構成12記載の方法。
(構成15)
前記局所性医薬組成物が、液剤、噴霧剤、エアゾール剤、泡剤、クリーム剤、ローション剤、軟膏、ゲル剤、又は貼付剤の形状である、構成14記載の方法。
(構成16)
前記合成ペプチドが、医薬組成物中に、0.1〜100μMの濃度で存在する、構成14記載の方法。
(構成17)
前記濃度が、1〜25μMである、構成16記載の方法。
(構成18)
前記脱毛症が、アナゲン脱毛又はアンドロゲン性脱毛症である、構成11記載の方法。
(構成19)
前記毛髪色素脱失が、化学療法、放射線療法、ストレス、遺伝、又は加齢により引き起こされる、構成11記載の方法。
(構成20)
前記対象が、ヒト対象である、構成11記載の方法。

Claims (10)

  1. 20〜44アミノ酸残基からなり、かつ配列番号:1、2、3、5、6、8、9、及び10からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む合成ペプチドを含む、対象における脱毛症及び/又は毛髪色素脱失を治療するための医薬組成物。
  2. 前記アミノ酸配列が、配列番号:3、5、6、9、又は10である、請求項1記載の医薬組成物。
  3. 前記アミノ酸配列が、配列番号:3、5、6、又は10である、請求項1又は2記載の医薬組成物。
  4. 前記脱毛症が、アナゲン脱毛又はアンドロゲン性脱毛症である、請求項1〜3のいずれか1項記載の医薬組成物。
  5. 前記毛髪色素脱失が、化学療法、放射線療法、ストレス、遺伝、又は加齢により引き起こされる、請求項1〜4のいずれか1項記載の医薬組成物。
  6. 前記対象が、ヒト対象である、請求項1〜5のいずれか1項記載の医薬組成物。
  7. 前記医薬組成物が局所性医薬組成物である、請求項1〜6のいずれか1項記載の医薬組成物。
  8. 前記局所性医薬組成物が、液剤、噴霧剤、エアゾール剤、泡剤、クリーム剤、ローション剤、軟膏、ゲル剤、又は貼付剤の形状である、請求項7記載の医薬組成物。
  9. 前記合成ペプチドが、医薬組成物中に、0.1〜100μMの濃度で存在する、請求項1〜8のいずれか1項記載の医薬組成物。
  10. 前記濃度が、1〜25μMである、請求項9記載の医薬組成物。
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