(実施形態1)
図1は、本実施形態の機器制御装置1Aを用いた機器制御システムの構成を示す。この機器制御システムは、機器制御装置1A、モニタ端末2を主構成として備える。そして、機器制御装置1Aは、住宅100(対象空間)内の人(家人)の状態を判定することで、機器4の自動制御を許可するか否かを決める。住宅100は、集合住宅の各住戸、戸建住宅等である。なお、対象空間は、機器制御装置1Aの制御対象となる空間である。この対象空間は、住宅100に限定されず、事務所、店舗等の施設であってもよい。あるいは、対象空間は、集合住宅の各住戸、戸建住宅、事務所、店舗等の各部屋であってもよい。
分電盤3は、住宅100内に引き込まれたAC100/200Vの電力系統9が接続され、電力系統9を介して商用電力が供給される。分電盤3は、分岐部31、電力計測装置32を備える。分岐部31は、複数の分岐ブレーカを備えており、電力系統9は、分岐部31を介して、住宅100に敷設された複数の分岐回路91に分岐する。電力計測装置32は、電力系統9から供給される電力(主幹電力)、および分岐回路91のそれぞれで消費される電力(分岐電力)を計測する機能と、機器制御装置1Aとの間で通信(有線または無線)を行う機能とを有する。電力計測装置32は、計測した電力データを機器制御装置1Aへ送信する。また、電力計測装置32は、分電盤3の外部に設けられてもよい。
そして、分岐回路91のそれぞれには機器4が1つ以上接続されており、分岐回路91はこれらの機器4へ動作電力を供給する。また、電力系統9および分岐回路91には、太陽光発電装置、燃料電池、風力発電装置等の分散電源の発電電力、蓄電池の蓄電電力が供給されてもよい。分岐回路91は、配電線、コンセント等の配線器具で構成される。
機器制御装置1Aは、例えばHEMSコントローラで構成されており、第1通信部11、第2通信部12、制御部13、状態判定部14、制御切替部15、信号生成部16、情報取得部17を備える。
第1通信部11は、住宅100内の通信ネットワークである宅内ネットワークに接続して、モニタ端末2、電力計測装置32、空気質測定装置5などとの間で信号を授受する通信インタフェースとして機能する。したがって、機器制御装置1Aは、モニタ端末2との間で通信することができ、モニタ端末2に電力データを送信することができる。モニタ端末2は、表示部21を備えており、表示部21が電力データを表示することで、住宅100における電力消費量を、いわゆる見える化することができる。第1通信部11が用いる通信方式は、電波を用いる無線通信、電力線あるいは専用線を用いる有線通信などから選択される。また、第1通信部11は、無線通信を行う場合、電波信号、あるいは赤外線信号を用いる。電波信号としては、無線LAN(Local Area Network)、400MHz帯や900MHz帯の小電力無線、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)等が用いられる。
第2通信部12は、機器4との間で信号を授受する通信インタフェースとして機能する。第2通信部12が用いる通信方式は、電波を用いる無線通信、電力線あるいは専用線を用いる有線通信などから選択される。無線通信の仕様は、無線LAN、小電力無線などから適宜に選択され、有線通信の仕様は、電力線搬送通信、有線LANなどから適宜に選択される。第2通信部12が機器4との通信に、無線LANあるいは有線LANの仕様を用いる場合、第2通信部12は、機器4と直接通信せずに、ルータを通して機器4と通信する構成を採用することが可能である。第2通信部12と機器4との間の通信における上位層の通信プロトコルは、例えば、ECHONET Lite(商標)の規格を満たすように定められる。
制御部13は、第2通信部12を通して機器4と通信することにより、機器4の動作状態を監視し、また機器4の動作状態を制御することが可能である。つまり、制御部13は、機器4と通信することにより、機器4の監視、制御が可能となる。
この制御部13は、自動制御部131、手動制御部132を備える。
自動制御部131は、予め決められたアルゴリズムに基づいて機器4を制御する自動制御を行う。自動制御部131が実行するアルゴリズムには、設定時刻になると機器4に特定の動作を行わせるタイマー制御、家人の手動操作以外のイベントの発生を開始トリガとして機器4に特定の動作を行わせるシーケンス制御などがある。自動制御部131は、タイマー制御、シーケンス制御などを行うことで、機器4の自動制御を実行する。
また、第1通信部11と第2通信部12とを、無線LANあるいは有線LANの仕様を用いた1つの通信部で構成してもよい。
モニタ端末2は、操作部22を備えており、家人による機器4の手動操作を受け付ける。操作部22は、手動操作に応じた操作信号を機器制御装置1Aへ送信する。手動制御部132は、操作部22から受信した操作信号に基づいて機器4を制御する手動制御を行う。すなわち、手動制御部132は、家人の手動操作に基づいて、機器4の手動制御を実行する。なお、モニタ端末2はタッチパネルを備えており、このタッチパネルが表示部21と操作部22とを構成することができる。また、操作部22は、ボタン、スイッチなどを備えていてもよい。
また、家人は、機器4の手動操作のために、スマートフォン、携帯電話、リモートコントローラ、パーソナルコンピュータ等の操作端末を用いることもできる。この場合、手動制御部132は、家人の操作による操作信号を操作端末から受け取って、この操作信号に基づいて機器4を制御する。さらに、機器4は、操作端末が送信する操作信号を直接受信して、この操作信号に基づく動作を実行してもよい。
状態判定部14は、住宅100内において機器4を手動制御するための手動操作を行うことができる家人が存在するか否かを判定する。状態判定部14は、家人の状況に基づいて、手動操作が可能な人が存在するか否かを判定する。状態判定部14による判定処理は定期的に行われ、さらには家人の行動に関するイベント発生時にも随時行われる。
具体的に、状態判定部14は、家人のスケジュール情報を、モニタ端末2から取得する。モニタ端末2は、行動管理部23を備えており、家人による操作部22の操作によって設定された家人のスケジュール情報が、行動管理部23に格納されている。行動管理部23は、機器制御装置1Aからの要求に応じてスケジュール情報を機器制御装置1Aへ送信し、状態判定部14がスケジュール情報を取得する。このスケジュール情報には、1日、1週間、1ヶ月等の所定期間に亘って予め設定された行動予定や、外出時、帰宅時および就寝時の家人による操作部22の操作によって設定された外出状況、就寝状況などの各情報が含まれる。したがって、状態判定部14は、家人が住宅100内に存在しているか否かを判定し、家人の外出、帰宅、就寝などを識別できる。
そして、状態判定部14は、住宅100内に家人が存在していない(外出している)場合、または住宅100内の家人が就寝している場合に、手動操作が可能な人が存在しないと判定する。すなわち、家人が外出している場合は家人による操作部22の操作が不可能であり、就寝中も家人による操作部22の操作が不可能になる。
また、状態判定部14は、住宅100に家人が存在し、且つ住宅100内の家人が就寝していない場合に、手動操作が可能な人が存在すると判定する。以降、住宅100に家人が存在し、且つ住宅100内の家人が就寝していない状態を「在宅」という。すなわち、状態判定部14は、在宅状態である場合に手動操作が可能な人が存在すると判定する。
制御切替部15は、自動制御部131による自動制御の許可、不許可を切り替える。状態判定部14によって手動操作が可能な人が存在しないと判定された場合、制御切替部15は、自動制御部131による自動制御を許可する。また、状態判定部14によって手動操作が可能な人が存在すると判定された場合、制御切替部15は、自動制御部131による自動制御を不許可とする。
自動制御部131は、制御切替部15によって自動制御が許可された場合、機器4の自動制御を行うことができる。また、自動制御部131は、制御切替部15によって自動制御が不許可とされた場合、機器4の自動制御を行うことができない。自動制御が不許可である場合、手動操作による手動制御のみが機器4に対して可能となる。
信号生成部16は、家人に報知する内容を含む報知信号を生成し、この報知信号をモニタ端末2へ送信する。モニタ端末2は、報知信号を受け取る報知制御部24、スピーカを有する音声出力部25をさらに備えており、報知信号を受け取った報知制御部24は、報知信号に基づく報知内容を表示部21に表示し、音声出力部25から報知内容を音声出力する。
情報取得部17は、住宅100の環境に関する環境情報を取得する機能を有しており、空調情報取得部171、天気情報取得部172を備える。環境情報には、住宅100内の空調環境に関する空調情報、住宅100が属する地域の天気に関する天気情報がある。
住宅100には、住宅100内の温度、湿度、汚染物質の量(含有量、濃度)を測定する空気質測定装置5が設置されている。測定対象の汚染物質は、花粉、PM2.5、煙草の煙、揮発性有機化合物(Volatile Organic Compounds)などから1つ以上が選択される。空気質測定装置5は、温度測定、湿度測定、汚染物質量の測定などの個別の測定手段をそれぞれ含んでおり、各測定手段の測定データを空調情報として機器制御装置1Aへ送信する。空調情報取得部171は、空気質測定装置5から送信された空調情報を受け取る。そして、自動制御部131は、空気質測定装置5から送信された空調情報に基づいて、機器4の自動制御を行うことができる。
また、第1通信部11は、インターネットなどを含む広域ネットワーク8(公衆回線網)に通信可能に接続している。広域ネットワーク8には、気象サーバ7が通信可能に接続している。気象サーバ7は、地域毎の天気に関する天気情報を格納しており、広域ネットワーク8を介して天気情報を配信できる。天気情報取得部172は、気象サーバ7にアクセスして、気象サーバ7から天気情報を取得できる。そして、自動制御部131は、気象サーバ7から配信された天気情報に基づいて、機器4の自動制御を行うことができる。
なお、天気情報は、地域毎(例えば、市町村毎)の天気に関する情報(天気予報、現時点での天気など)である。そして、気象サーバ7は、アクセスを許可している機器制御装置1Aの設置場所に関する情報(住所、地域等)を機器制御装置1Aの識別情報(IPアドレス等)に対応付けて予め保持している。したがって、気象サーバ7は、アクセス元の機器制御装置1Aの設置場所(住所、地域等)に対応する天気情報を機器制御装置1Aへ配信できる。
以下、機器制御装置1Aの動作について説明する。
図1において、住宅100には複数の機器4が設置されており、複数の機器4には、空調装置41、窓開閉装置42、空気清浄機43、照明装置44、遮光装置45が含まれている。空調装置41は、住宅100内の居間の温度、湿度を調整するエアーコンディショナである。窓開閉装置42は、寝室の窓を開閉させる駆動装置であり、換気を行う通風装置として機能する。空気清浄機43は、住宅100内の居間の汚染物質を除去する機能を有する。照明装置44は、寝室に照明光を照射する。遮光装置45は、住宅100の寝室の窓(開口)の屋外側に設けたシャッター装置(ブラインドシャッター)であり、開時には寝室に外光を取り入れることができ、閉時には寝室への外光の侵入を遮断する。なお、空調装置41、窓開閉装置42、空気清浄機43が、住宅100の空調環境を調節する空調設備40に相当する。空調設備40には、換気扇などが含まれてもよい。
そして、家人が外出している場合、または家人が就寝している場合、状態判定部14は手動操作が可能な人が存在しないと判定する。この場合、自動制御部131による自動制御を制御切替部15が許可するので、機器制御装置1Aは、自動制御部131による機器4の自動制御を行うことができる。自動制御部131は、例えば空調情報、天気情報に基づいて、機器4の自動制御を行う。
外出時における自動制御のアルゴリズムの一例を以下に示す。自動制御部131は、家人のスケジュール情報から帰宅時刻を推定し、居間に設けられた空調装置41の運転を帰宅時刻の1時間前から行って、住宅100内の空調環境を快適方向に制御しておく。例えば、自動制御部131は、空調情報として住宅100内の気温(室温)が30℃以上であれば、空調装置41の冷房運転を開始し、室温に応じて冷房運転の強度を自動制御する。自動制御部131は、冷房運転中に室温が28℃以下にまで下降すると、空調装置41の冷房運転を停止させる。また、自動制御部131は、室温が20℃以下であれば、空調装置41の暖房運転を開始し、室温に応じて暖房運転の強度を自動制御する。自動制御部131は、暖房運転中に室温が23℃以上にまで上昇すると、空調装置41の暖房運転を停止させる。
外出時における自動制御のアルゴリズムの別例を以下に示す。自動制御部131は、住宅100内の汚染物質の量が閾値以上となった場合、居間に設けられた空気清浄機43の運転を開始する。そして、自動制御部131は、住宅100内の汚染物質の量が閾値未満となった場合、空気清浄機43の運転を停止させる。なお、運転の開始判断時の閾値と停止判断時の閾値との間にヒステリシス幅が設定されることが好ましい。
また、就寝時おける自動制御のアルゴリズムの一例を以下に示す。自動制御部131は、天気情報に基づいて、予め設定された起床時刻(例えば、午前7時)に寝室で就寝中の家人に対して起床を促す自動制御を行う。例えば、自動制御部131は、天気情報に基づいて起床時刻における天気を判断し、起床時刻における天気が晴れである場合、照明装置44の消灯状態を維持させて(消灯制御)、遮光装置45を開制御することで外光を寝室内に取り入れて、家人に対して起床を促す。なお、「天気が晴れである」とは、日射量が所定量以上となる天気を意味する。また起床時刻における天気が晴れでない場合、自動制御部131は、遮光装置45の閉状態を維持させて(閉制御)、照明装置44を点灯させることで、寝室内に照明光を照射して、家人に対して起床を促す。また、自動制御部131は、起床時刻の天気(日射量)に応じて、遮光装置45の開度を制御してもよい。また、起床時刻における天気が晴れでない場合、自動制御部131は、遮光装置45を開制御してもよい。
なお、自動制御部131による機器4の自動制御は上述の例に限定されるものではない。
一方、家人が在宅している場合、状態判定部14は手動操作が可能な人が存在すると判定する。この場合、自動制御部131による自動制御を制御切替部15が許可しないので、機器制御装置1Aは、機器4の自動制御を行うことができない。すなわち、自動制御部131は、現在時刻がタイマー制御の設定時刻に一致したとしても、機器4の自動制御を行うことはない。また、自動制御部131は、シーケンス制御の開始トリガが発生したとしても、機器4の自動制御を行うことはない。そこで、手動操作が可能な人は操作部22を手動操作し、手動制御部132は、操作部22に対する手動操作に基づいて、機器4の手動制御を実行する。
したがって、家人が在宅している場合は、家人が機器4を手動操作することで、家人の意思を反映させた機器制御が行われるので、家人の感性、好みに沿った機器制御が実行されることになる。
しかしながら、在宅時における機器制御が手動操作のみに依存すると、操作忘れ、操作ミス等によって住宅100内の快適性が低下する可能性もある。そこで、信号生成部16は、空調情報または天気情報が予め決められた報知条件を満たしているか否かを判定する。そして、信号生成部16は、空調情報または天気情報が予め決められた報知条件を満たす場合、在宅時に住宅100内の快適性が低下する可能性があると判断する。信号生成部16は、在宅時に住宅100内の快適性が低下する可能性があると判断した場合、家人に対して機器4の手動操作を促す報知信号を生成する。以下、この報知制御について、表1を用いて説明する。
例えば信号生成部16は、空調情報として「室温」を用い、報知条件として「室温が30℃以上、且つ35℃未満」を用いる(表1参照)。この場合、信号生成部16は、在宅時に室温が30℃以上に上昇すると(空調情報が報知条件を満たすと)、空調装置41を冷房運転させる手動操作を促す報知信号を生成する。そして、信号生成部16は、この報知信号をモニタ端末2へ送信する。モニタ端末2では、報知制御部24が、報知内容を表示部21に表示し、音声出力部25から報知内容を音声出力することで、空調装置41を冷房運転させる手動操作を家人に促す。したがって、手動操作が可能な人が報知後に空調装置41を冷房運転させる手動操作を行うことによって、住宅100内の空調環境を快適に保つことができる。また、室温の上昇による家人の健康への影響が低減される。
また、信号生成部16は、在宅時に空調情報が報知条件を満たすと、他の空調設備40(窓開閉装置42、空気清浄機43など)の手動操作を促す報知信号を生成することもできる。
また信号生成部16は、報知条件として「降水確率が高い天気予報」を用いることもできる(表1参照)。この場合、信号生成部16は、在宅時に天気情報に基づいて「降水確率が高い天気予報」を検知すると(天気情報が報知条件を満たすと)、窓開閉装置42および遮光装置45を閉制御する手動操作を促す報知信号を生成する。そして、信号生成部16は、この報知信号をモニタ端末2へ送信する。モニタ端末2では、報知制御部24が、報知内容を表示部21に表示し、音声出力部25から報知内容を音声出力することで、窓開閉装置42および遮光装置45を閉制御する手動操作を家人に促す。したがって、手動操作が可能な人が報知後に窓開閉装置42および遮光装置45を閉制御する手動操作を行うことによって、天気が実際に悪化するまでに、住宅100内への雨の浸入を防ぐ対策を完了させることができる。
また、信号生成部16は、「強風注意報または強風警報」、「竜巻注意情報」などを報知条件として用いることもできる。
なお、手動操作による機器4の手動制御は上述の例に限定されるものではない。
また、状態判定部14は、電力計測装置32から受信した電力データに基づいて、手動操作が可能な人が存在するか否かを判定してもよい。この場合、状態判定部14は、電力データに基づいて宅内の家人の状況を判定し、この宅内の家人の状況から、手動操作が可能な人が存在するか否かを判定する。
具体的に、状態判定部14は、電力データの履歴を記憶している。状態判定部14は、機器4それぞれの消費電力の時間変動、機器4それぞれの消費電力の絶対値に基づいて、在宅、外出、就寝の3つの状態を識別する。
例えば、在宅時は、居間の空調装置が運転状態であり、居間の照明装置が点灯状態である可能性が高い。そこで、状態判定部14は、居間の空調装置および照明装置の消費電力が比較的高い値を維持していれば、在宅状態であると判断する。また、在宅時は、トイレの照明装置の消費電力が間欠的に増大する可能性が高い。そこで、状態判定部14は、トイレの照明装置の消費電力が間欠的に増大していれば、在宅状態であると判断する。
また、外出中は、居間の空調装置が停止状態であり、居間の照明装置が消灯状態である可能性が高い。そこで、状態判定部14は、居間の空調装置および照明装置の消費電力が比較的低い値(例えば待機電力)を維持していれば、外出中であると判断する。また、外出中は、トイレの照明装置の消費電力が低電力を維持している可能性が高い。そこで、状態判定部14は、トイレの照明装置の消費電力が所定時間以上に亘って低電力を維持していれば、外出中であると判断する。
また、就寝中は、居間の照明装置が消灯してから寝室の照明装置が点灯し、その後、寝室の照明装置が消灯する可能性が高い。そこで、状態判定部14は、居間の照明装置が消灯してから寝室の照明装置が点灯し、その後、寝室の照明装置が消灯すれば、就寝中であると判断する。
なお、状態判定部14の上述の処理は一例であり、在宅、外出、就寝の3つの状態を識別する方法は、住宅100の構造、機器4の種類、家族構成などに応じて適宜決めることができる。
上述の機器制御装置1Aは、対象空間である住宅100内の機器4の動作を制御する。機器制御装置1Aは、自動制御部131と、状態判定部14と、制御切替部15とを備える。自動制御部131は、機器4の自動制御を行う。状態判定部14は、住宅100内において機器4を手動制御するための手動操作が可能な人が存在するか否かを判定する。制御切替部15は、自動制御部131による自動制御を許可または不許可に切り替える。そして、状態判定部14は、住宅100内に人が存在する場合に、手動操作が可能な人が存在すると判定し、住宅100内に人が存在しない場合に、手動操作が可能な人が存在しないと判定する。制御切替部15は、手動操作が可能な人が存在しない場合、自動制御部131による自動制御を許可し、手動操作が可能な人が存在する場合、自動制御部131による自動制御を不許可とする。
機器制御装置1Aでは、住宅100内に手動操作が可能な人が存在すると判定した場合、機器4の自動制御を不許可にして、機器4の手動制御のみを実行可能にする。したがって、機器制御装置1Aは、手動操作が可能な人が存在すれば、手動操作によって、できるだけ人の意思を反映させた機器制御を実現することができる。
また、機器制御装置1Aでは、住宅100内に手動操作が可能な人が存在しないと判定した場合、機器4の自動制御を許可する。したがって、機器制御装置1Aでは、手動操作が可能な人が存在しない場合に、機器4を自動制御でき、住宅100内の快適性を自動的に維持できる。
すなわち、機器制御装置1Aは、機器4を手動操作できる人が住宅100に存在していないときは自動制御を実行し、機器4を手動操作できる人が住宅100に存在しているときはできるだけ人の意思を反映させた機器制御を実現することができる。
また、状態判定部14は、住宅100内に人が存在し且つ住宅100内の人が就寝していない場合に、手動操作が可能な人が存在すると判定することが好ましい。さらに状態判定部14は、住宅100内に人が存在していない場合または住宅100内の人が就寝している場合に、手動操作が可能な人が存在しないと判定することが好ましい。
すなわち、状態判定部14が、住宅100内の人の存在だけでなく、住宅100内の人の就寝の有無も考慮して、手動操作が可能な人が存在するか否かを判定することによって、手動操作が可能な人の存在の有無をより精度よく判定することができる。
また、機器制御装置1Aは、住宅100の環境に関する情報である環境情報を取得する情報取得部17と、住宅100内の人に手動操作を促す報知信号を生成する信号生成部16とをさらに備えることが好ましい。この場合、手動操作が可能な人が存在し且つ環境情報が予め決められた報知条件を満たしている場合、信号生成部16は、報知条件に応じた手動操作を機器4に対して行うことを促す報知信号を生成する。
したがって、報知後に手動操作が行われることによって、自動制御が行われない場合であっても、住宅100などの対象空間の環境を快適に保つことができる。
また、情報取得部17は、住宅100が属する地域の天気情報を環境情報として取得することが好ましい。手動操作が可能な人が存在しない場合、自動制御部131は、天気情報に応じた自動制御を行う。手動操作が可能な人が存在し且つ天気情報が報知条件を満たしている場合、信号生成部16は、報知条件に応じた手動操作を機器4に対して行うことを促す報知信号を生成する。
したがって、報知後に手動操作が行われることによって、自動制御が行われない場合であっても天気情報に応じた機器制御が可能となる。
また、住宅100が属する地域の天気情報を環境情報として取得する情報取得部17を備えて、複数の機器4は、住宅100内を屋外に連通させる開口を開閉する遮光装置45と、住宅100内に照明光を照射する照明装置44とを含むことが好ましい。この場合、自動制御部131は、予め決まっている起床時刻の天気を取得された天気情報に基づいて判断する。そして、自動制御部131は、起床時刻において住宅100内の人が就寝している場合、起床時刻の天気が晴れであると判断すれば、遮光装置45を開制御し、且つ照明装置44を消灯制御する。また、自動制御部131は、起床時刻において住宅100内の人が就寝している場合、起床時刻の天気が晴れでないと判断すれば、照明装置44を点灯制御する。
したがって、起床時刻に実行される目覚ましのための自動制御の内容を、起床時刻の天気に応じて変えることによって、目覚まし効果を天気に関わらずに維持することができる。
また、状態判定部14は、住宅100に出入りする人のスケジュールに基づいて、手動操作が実行可能であるか否かを判定することが好ましい。
したがって、自己申告されるスケジュールに基づいて手動操作が可能であるか否かかが判定されるので、判定精度を向上させることができる。
また、状態判定部14は、住宅100内で消費されるエネルギーの計測結果に基づいて、手動操作が実行可能であるか否かを判定することも好ましい。
したがって、例えばHEMSの電力計測機能を用いて人の状態を識別して、手動操作が可能であるか否かかが判定されるので、システム構成の簡易化を図ることができる。
また、上述の機器制御方法は、対象空間である住宅100内の機器4の動作を制御する。機器4の自動制御を自動制御部131が行う。住宅100内において機器4を手動制御するための手動操作が可能な人が存在するか否かを状態判定部14が判定する。自動制御部131による自動制御を制御切替部15が許可または不許可に切り替える。そして、状態判定部14は、住宅100内に人が存在する場合に、手動操作が可能な人が存在すると判定し、住宅100内に人が存在しない場合に、手動操作が可能な人が存在しないと判定する。制御切替部15は、手動操作が可能な人が存在しない場合、自動制御部131による自動制御を許可し、手動操作が可能な人が存在する場合、自動制御部131による自動制御を不許可とする。
すなわち、本実施形態の機器制御方法は、機器4を手動操作できる人が住宅100に存在していないときは自動制御を実行し、機器4を手動操作できる人が住宅100に存在しているときはできるだけ人の意思を反映させた機器制御を実現することができる。
(実施形態2)
図2は、本実施形態の機器制御装置1Bを用いた機器制御システムの構成を示す。この機器制御システムは、機器制御装置1B、モニタ端末2を主構成として備える。機器制御装置1Bは、制御切替部15の代わりに制御切替部15Bを備える点が実施形態1とは異なる。以下、実施形態1と同様の構成には同一の符号を付して、説明は省略する。
状態判定部14は、家人のスケジュール情報または住宅100の電力データに基づいて、家人の状況を識別し、手動操作が可能な人が存在するか否かを判定する。そして、状態判定部14は、家人が外出または就寝している場合に、手動操作が可能な人が存在しないと判定する。また、状態判定部14は、在宅状態である(家人が住宅100に存在しており、且つ家人が起床している)場合に、手動操作が可能な人が存在すると判定する。
制御切替部15Bは、実施形態1と同様に手動操作が可能な人が存在しない場合(外出、就寝)に、自動制御部131による機器4の自動制御を許可する。
さらに制御切替部15Bは、手動操作が可能な人が存在していても(在宅)、空調情報が予め決められた自動制御条件を満たしている場合に、自動制御部131による機器4の自動制御を許可する。以下、在宅時の自動制御、報知制御について、表2を用いて説明する。
自動制御部131は、空調情報として「室温」を用い、自動制御条件として「室温が35℃以上」を用いる(表2参照)。この場合、自動制御部131は、在宅時に室温が35℃以上に上昇すると(空調情報が自動制御条件を満たすと)、空調装置41を冷房運転させる。すなわち、自動制御部131は、空調装置41を強制的に冷房運転させることで、室温の上昇による家人の健康への影響を抑制する。
また、信号生成部16は、在宅時に空調情報が自動制御条件を満たすと、他の空調設備40(窓開閉装置42、空気清浄機43など)を自動制御することもできる。
また、信号生成部16は、空調情報として「室温」を用い、報知条件として「室温が30℃以上、且つ35℃未満」を用いることで、室温が35℃に上昇する前に家人に対して手動操作を促す報知を行うことができる(表2参照)。この場合、信号生成部16は、在宅時に室温が30℃以上に上昇すると(空調情報が報知条件を満たすと)、空調装置41を冷房運転させる手動操作を促す報知信号を生成する。そして、信号生成部16は、この報知信号をモニタ端末2へ送信する。モニタ端末2では、報知制御部24が、報知内容を表示部21に表示し、音声出力部25から報知内容を音声出力することで、空調装置41を冷房運転させる手動操作を家人に促す。したがって、手動操作が可能な人が報知後に空調装置41を冷房運転させる手動操作を行うことによって、室温がさらに上昇する前に住宅100内の空調環境を快適に保つことができる。
また、制御切替部15Bは、手動操作が可能な人が存在していても(在宅)、天気情報が予め決められた自動制御条件を満たしている場合に、自動制御部131による機器4の自動制御を許可する。以下、在宅時の自動制御、報知制御について、表3を用いて説明する。
自動制御部131は、自動制御条件として「降雨中」を用いる(表3参照)。この場合、自動制御部131は、在宅時に天気情報に基づいて、住宅100が属する地域に雨が降っていること(降雨中)を検知すると(天気情報が自動制御条件を満たすと)、窓開閉装置42、遮光装置45を閉制御する。すなわち、天気が実際に悪化したときに、住宅100内への雨の浸入を抑制することができる。
なお、住宅100が属する地域が降雨中であるか否かの検知は、住宅100の周囲に雨検知器(感雨計、雨センサなど)を設置して、この雨検知器の計測データ(天気情報)に基づいて行われる方法であってもよい。
また信号生成部16は、報知条件として「降水確率がX%以上の天気予報」を用いることによって、実際に雨が降る前に家人に対して手動操作を促す報知を行うことができる(表3参照)。この場合、信号生成部16は、在宅時に天気情報に基づいて「降水確率がX%以上の天気予報」を検知すると(天気情報が報知条件を満たすと)、窓開閉装置42および遮光装置45を閉制御する手動操作を促す報知信号を生成する。そして、信号生成部16は、この報知信号をモニタ端末2へ送信する。モニタ端末2では、報知制御部24が、報知内容を表示部21に表示し、音声出力部25から報知内容を音声出力することで、窓開閉装置42および遮光装置45を閉制御する手動操作を家人に促す。したがって、手動操作が可能な人が報知後に窓開閉装置42および遮光装置45を閉制御する手動操作を行うことによって、天気が実際に悪化するまでに、住宅100内への雨の浸入を防ぐ対策を完了させることができる。
また、制御切替部15Bは、手動操作が可能な人が存在し(在宅)、且つ空調情報および天気情報が予め決められた自動制御条件を満たしていない場合に、自動制御部131による機器4の自動制御を不許可とする。
上述の機器制御装置1Bは、対象空間である住宅100内の機器4の動作を制御する。機器制御装置1Bは、自動制御部131と、状態判定部14と、制御切替部15Bと、情報取得部17とを備える。自動制御部131は、機器4の自動制御を行う。状態判定部14は、住宅100内において機器4を手動制御するための手動操作が可能な人が存在するか否かを判定する。制御切替部15Bは、自動制御部131による自動制御を許可または不許可に切り替える。情報取得部17は、住宅100の環境に関する情報である環境情報を取得する。そして、状態判定部14は、住宅100内に人が存在する場合に、手動操作が可能な人が存在すると判定し、住宅100内に人が存在しない場合に、手動操作が可能な人が存在しないと判定する。そして、制御切替部15Bは、手動操作が可能な人が存在しない場合、および手動操作が可能な人が存在し且つ環境情報が予め決められた自動制御条件を満たしている場合に、自動制御部131による機器4の自動制御を許可する。また、制御切替部15Bは、手動操作が可能な人が存在し且つ環境情報が自動制御条件を満たしていない場合に、自動制御部131による機器4の自動制御を不許可とする。
機器制御が手動操作のみに依存すると、操作忘れ、操作ミス等によって住宅100内の快適性が低下する可能性がある。そこで、機器制御装置1Bでは、手動操作が可能な人が存在しない場合だけでなく、手動操作が可能な人が存在し且つ環境情報(空調情報、天気情報)が予め決められた自動制御条件を満たしている場合にも、機器4の自動制御を可能にする。また、機器制御装置1Bは、手動操作が可能な人が存在し且つ環境情報が自動制御条件を満たしていない場合には、機器4の自動制御を不許可にして、機器4の手動制御のみを実行可能にする。
したがって、機器制御装置1Bでは、手動操作が可能な人が存在すれば、できるだけ人の意思を反映させた機器制御を手動で行うことができる。さらに、住宅100内の快適性が低下する可能性があれば、機器4の自動制御を許可して、住宅100内の快適性を維持することもできる。
また、機器制御装置1Bでは、手動操作が可能な人が存在しないと判定した場合も、機器4の自動制御を許可する。したがって、機器制御装置1Bでは、手動操作が可能な人が存在しない場合に、機器4を自動制御でき、対象空間の快適性を自動的に維持できる。
すなわち、機器制御装置1Bは、機器4を手動操作できる人が住宅100に存在していないときは自動制御を実行し、機器4を手動操作できる人が住宅100に存在しているときはできるだけ人の意思を反映させた機器制御を実現することができる。
また、状態判定部14は、住宅100内に人が存在し且つ住宅100内の人が就寝していない場合に、手動操作が可能な人が存在すると判定することが好ましい。さらに状態判定部14は、住宅100内に人が存在していない場合または住宅100内の人が就寝している場合に、手動操作が可能な人が存在しないと判定することが好ましい。
すなわち、状態判定部14が、住宅100内の人の存在だけでなく、住宅100内の人の就寝の有無も考慮して、手動操作が可能な人が存在するか否かを判定することによって、手動操作が可能な人の存在の有無をより精度よく判定することができる。
また、機器制御装置1Bは、住宅100内の人に手動操作を促す報知信号を生成する信号生成部16をさらに備えることが好ましい。そして、手動操作が可能な人が存在し且つ環境情報が予め決められた報知条件を満たしている場合に、信号生成部16は、報知条件に応じた手動操作を機器4に対して行うことを促す報知信号を生成する。
したがって、報知後に手動操作が行われることによって、自動制御が行われない場合であっても、住宅100などの対象空間内の空調環境を快適に保つことができる。
また、情報取得部17は、住宅100が属する地域の天気情報を環境情報として取得することが好ましい。手動操作が可能な人が存在しない場合、自動制御部131は、天気情報に応じた自動制御を行う。手動操作が可能な人が存在し且つ天気情報が報知条件を満たしている場合、信号生成部16は、報知条件に応じた手動操作を機器4に対して行うことを促す報知信号を生成する。
したがって、報知後に手動操作が行われることによって、自動制御が行われない場合であっても天気情報に応じた機器制御が可能となる。
また、情報取得部17は、住宅100が属する地域の天気情報を環境情報として取得し、複数の機器4は、住宅100内を屋外に連通させる開口を開閉する遮光装置45と、住宅100内に照明光を照射する照明装置44とを含むことが好ましい。この場合、自動制御部131は、予め決まっている起床時刻の天気を取得された天気情報に基づいて判断する。そして、自動制御部131は、起床時刻において住宅100内の人が就寝している場合、起床時刻の天気が晴れであると判断すれば、遮光装置45を開制御し、且つ照明装置44を消灯制御する。また、自動制御部131は、起床時刻において住宅100内の人が就寝している場合、起床時刻の天気が晴れでないと判断すれば、照明装置44を点灯制御する。
したがって、起床時刻に実行される目覚ましのための自動制御の内容を、起床時刻の天気に応じて変えることによって、目覚まし効果を天気に関わらずに維持することができる。
また、上述の機器制御方法は、対象空間である住宅100内の機器4の動作を制御する。機器4の自動制御を自動制御部131が行う。住宅100内において機器4を手動制御するための手動操作が可能な人が存在するか否かを状態判定部14が判定する。自動制御部131による自動制御を制御切替部15Bが許可または不許可に切り替える。住宅100の環境に関する情報である環境情報を情報取得部17が取得する。そして、状態判定部14は、住宅100内に人が存在する場合に、手動操作が可能な人が存在すると判定し、住宅100内に人が存在しない場合に、手動操作が可能な人が存在しないと判定する。そして、制御切替部15Bは、手動操作が可能な人が存在しない場合、および手動操作が可能な人が存在し且つ環境情報が予め決められた自動制御条件を満たしている場合に、自動制御部131による機器4の自動制御を許可する。また、制御切替部15Bは、手動操作が可能な人が存在し且つ環境情報が自動制御条件を満たしていない場合に、自動制御部131による機器4の自動制御を不許可とする。
すなわち、本実施形態の機器制御方法は、機器4を手動操作できる人が住宅100に存在していないときは自動制御を実行し、機器4を手動操作できる人が住宅100に存在しているときはできるだけ人の意思を反映させた機器制御を実現することができる。
また、上述の実施形態において機器制御装置1A,1Bは、コンピュータを搭載しており、このコンピュータがプログラムを実行することによって、上述の機能が実現されている。コンピュータは、プログラムを実行するプロセッサを備えたデバイスと、他の装置との間でデータを授受するためのインターフェイス用のデバイスと、データを記憶するための記憶用のデバイスとを主な構成要素として備える。プロセッサを備えたデバイスは、半導体メモリと別体であるMPU(Micro Processing Unit)のほか、半導体メモリを一体に備えるマイコン(Micro Controller)のいずれであってもよい。記憶用のデバイスは、半導体メモリのようにアクセス時間が短い記憶装置と、ハードディスク装置のような大容量の記憶装置とが併用される。
プログラムの提供形態としては、コンピュータに読み取り可能なROM(Read Only Memory)、光ディスク等の記録媒体に予め格納されている形態、インターネット等を含む広域通信網を介して記録媒体に供給される形態等がある。
すなわち、プログラムは、コンピュータを、機器制御装置1A,1Bとして機能させることを特徴とする。
したがって、コンピュータを機器制御装置1A,1Bとして機能させるプログラムも、上記同様の効果を奏し得る。すなわち、このプログラムも、対象空間に手動操作可能な人が存在していないときは自動制御を実行し、手動操作可能な人が存在しているときはできるだけ人の意思を反映させた機器制御を実現することができる。
なお、上述の実施の形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。