JP6473657B2 - 複層塗膜形成方法 - Google Patents
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Description
また、耐食性の点から防食塗料による塗膜を形成した後に、美粧性を付与することがある。そのような場合も同様に、防食塗料による塗膜表面に紫外線をできるだけ到達させないようにすることが必要である。
しかしながら、近年、省工程の観点から、白中塗り層、マイカベース層、クリヤー層の主に3層で構成される3コートパール仕様になりつつある(例えば、特許文献3参照)。
しかしながら、白系パール塗装仕様等の白系塗色においては、他の塗色に比べて可視光(特に波長420nm〜500nmの領域)が塗膜を通過しやすいため耐候性に問題があった。上記の可視光領域波長の光によっても、電着表層が劣化するということも報告されている。
これは、白中塗り塗料に可視光を吸収、反射する着色顔料が少ないことが主な原因であるが、中塗り塗料中の着色顔料の含有量を増加させると、総合塗膜の色調や明度が大きく変化することとなり、白系塗色(ホワイトパール塗色)の意匠性(色調)を考慮すると中塗り塗料中の着色顔料の含有量を増加させる手法は採用することができなかった。
〔1〕電着塗装が施された被塗物に、下記の工程(1)〜(4):
工程(1):前記被塗物上に、中塗り塗料(X)を塗装してL*値が85.0以上の中塗り塗膜を形成する工程、
工程(2):前記工程(1)で形成された中塗り塗膜上に、水性ベース塗料(Y)を塗装してベース塗膜を形成する工程、
工程(3):前記工程(2)で形成されたベース塗膜上に、クリヤー塗料(Z)を塗装してクリヤー塗膜を形成する工程、及び
工程(4):前記工程(1)〜(3)で形成された中塗り塗膜、ベース塗膜及びクリヤー塗膜を一度に加熱硬化する工程、
を順次行なう複層塗膜形成方法であって、
前記中塗り塗料(X)が、平均粒子径200nm〜700nmの塩素法酸化チタン顔料(A)、平均粒子径が12〜30μm、厚さが0.05〜0.5μm、かつアスペクト比が25〜300であるアルミニウム顔料(B)、黄色酸化鉄顔料(C)、及び樹脂組成物(D)を含有し、
該樹脂組成物(D)の固形分総量に対し、前記塩素法酸化チタン顔料(A)の含有量が50〜120質量%、前記アルミニウム顔料(B)の含有量が1.0〜3.5質量%、前記黄色酸化鉄顔料(C)の含有量が0.01〜2.0質量%であり、
前記中塗り塗料(X)を硬化塗膜として25μmとなるように塗装して得られた塗膜の波長420nm〜500nmにおける光線透過率の平均値が0.1〜1.0%であることを特徴とする複層塗膜形成方法。
〔2〕前記中塗り塗料(X)を硬化塗膜として25μmとなるように塗装して得られた塗膜の波長420nm〜500nmにおける光線透過率の平均値が、0.1〜0.5%である前記〔1〕に記載の複層塗膜形成方法。
〔3〕前記塩素法酸化チタン顔料(A)の含有量が、樹脂組成物(D)の固形分総量に対し、80〜120質量%である前記〔1〕又は〔2〕に記載の複層塗膜形成方法。
〔4〕前記〔1〕〜〔3〕のいずれか1つに記載の複層塗膜形成方法によって得られた塗装物品。
上記特徴を有する塩素法酸化チタン顔料を使用することにより、得られる塗膜のb*値の低下効果を得ることができる。
b*値が低下する分、塗膜の色調が青みにシフトするので、調色等の目的で使用される黄色酸化鉄顔料等の着色顔料をより多く含有させることが可能となるため、従来の白系塗膜と比較して、可視光領域(420nm〜500nm)の光線透過を抑制することが可能となる。
さらにまた、アルミニウム顔料の有する物理的な遮蔽効果も光線透過抑制に寄与することとなる。
本発明の複層塗膜形成方法(以下、単に「本発明の方法」ともいう)は、下記工程(1)〜(4)を含むものである。
工程(1):被塗物上に、中塗り塗料(X)を塗装してL*値が85.0以上の中塗り塗膜を形成する工程
工程(2):工程(1)で形成された中塗り塗膜上に、水性ベース塗料(Y)を塗装してベース塗膜を形成する工程
工程(3):工程(2)で形成されたベース塗膜上に、クリヤー塗料(Z)を塗装してクリヤー塗膜を形成する工程
工程(4):工程(1)〜(3)で形成された中塗り塗膜、ベース塗膜及びクリヤー塗膜を一度に加熱硬化する工程
本発明の方法によれば、まず、工程(1)として、電着塗装が施された被塗物に対して中塗り塗料(X)が塗装され、中塗り塗膜が形成される。中塗り塗料(X)は、本発明の方法で得られる複層塗膜に下地の隠蔽力を付与し、形成される複層塗膜の色相を決定する塗料である。
中塗り塗料(X)は、塩素法酸化チタン顔料(A)、アルミニウム顔料(B)、黄色酸化鉄顔料(C)、及びビヒクル形成成分である樹脂組成物(D)を含有する塗料組成物である。
酸化チタン顔料は、製造方法により硫酸法によるものと塩素法によるものが主流であるが、一般に塩素法酸化チタン顔料のほうが硫酸法酸化チタン顔料よりも青みが強いため、本発明において好適に用いることができる。
ここで、塩素法酸化チタン顔料の平均粒子径は、電子顕微鏡による観察により測定される平均粒子径である。
本発明において用いることのできるその他の酸化チタン顔料としては、耐候性を向上させる点から、シリカ、アルミナ、ジルコニア等の酸化物または水酸化物で表面処理されたもの、あるいはポリジメチルシロキサンに代表される有機珪素化合物あるいはステアリン酸に代表される高級脂肪酸あるいはイソプロピルトリイソステアロイルチタネートに代表される有機チタン化合物で表面処理されたもの等が挙げられる。
アルミニウム顔料(B)は、色味調整(すなわち、L*値とb*値を低下させる)、遮蔽効果による光線透過抑制を目的として中塗り塗料(X)に含有させる。
黄色酸化鉄顔料(C)は、硫酸法酸化チタン顔料より色調が青みである塩素法酸化チタン顔料と組合せて、中塗り塗膜の色相調整及び光線透過抑制を目的として、使用されるものである。
黄色酸化鉄顔料(C)は、針鉄鉱(ゲーサイト)の結晶系(斜方晶)に属し、形状は針状である。中塗り塗料(X)においては、塗装して得られる塗膜の色調の点から、針状の顔料であって、長さと幅のアスペクト比(長さ/幅)が6.0〜10.0程度のものを好適に使用することができる。また、長さ方向の寸法は0.6μm〜1.2μmのものを使用することができる。ここで、黄色酸化鉄顔料の形状を示す上記数値は、電子顕微鏡による観察により測定された数値である。
中塗り塗料(X)は、ビヒクル形成成分として、樹脂組成物(D)を含有する。
具体的には、水酸基等の架橋性官能基を有する、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂等の基体樹脂と、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリイソシアネート化合物(ブロック体も含む)等の架橋剤とを併用したものを挙げることができ、これらは有機溶剤及び/又は水等の溶媒に溶解または分散して使用される。
本発明において、中塗り塗料(X)には、上記酸化チタン(A)、アルミニウム顔料(B)及び黄色酸化鉄顔料(C)の他に、明度及び色調を調整する目的で、通常、塗料用途に使用される無機顔料、有機顔料等の着色顔料も必要に応じて含有させることができる。
ここで、水性塗料とは、有機溶剤型塗料と対比される用語であって、一般に、水又は水を主成分とする媒体(水性媒体)に、塗膜形成樹脂、顔料等を分散及び/又は溶解させた塗料を意味する。中塗り塗料(X)が水性塗料である場合、中塗り塗料(X)中の水の含有量は、20〜80質量%程度が好ましく、30〜60質量%程度がより好ましい。
本明細書におけるL*、a*及びb*は、多角度分光光度計CM512m3(商品名、コニカミノルタ株式会社製)を用いて、塗膜表面の垂直な軸に対して25度の照射光で、塗膜表面に対して90度で受光した分光反射率から計算した数値として定義するものとする。
本発明の方法を適用する被塗物は、電着塗装が施された被塗物であれば特に限定されない。該被塗物としては、例えば、乗用車、トラック、オートバイ、バス等の自動車車体の外板部;自動車金属部品;携帯電話、オーディオ機器等の家庭電気製品の外板金属部等を挙げることができる。これらの内、自動車車体の外板部及び自動車部品が好ましい。
被塗物上に中塗り塗料(X)を塗装すると同時に、予め質量(W1)を測定しておいたアルミホイル上にも中塗り塗料(X)を塗装する。続いて、塗装後、プレヒートなどがされた該アルミホイルを水性ベース塗料(Y)が塗装される直前に回収し、その質量(W2)を測定する。次に、回収したアルミホイルを110℃で60分間乾燥し、デシケーター内で室温まで放冷した後、該アルミホイルの質量(W3)を測定し、以下の式に従って固形分含有率を求める。
固形分含有率(質量%)={(W3−W1)/(W2−W1)}×100
本発明の方法によれば、次に、工程(1)で形成された中塗り塗膜上に、水性ベース塗料(Y)が塗装され、ベース塗膜が形成される。水性ベース塗料(Y)は、本発明により形成される白系の複層塗膜の意匠性の付与、中塗り塗膜との積層による意匠性及び深み感を向上させる塗料である。
平均粒子径が前記上限値を超えると、得られる塗膜の粒子感が過剰になって意匠的に好ましくない場合があり、下限値未満では粒子感が不十分になる場合がある。
ガラスフレークを基材とする光干渉性顔料の場合は、塗膜の粒子感の点から平均粒子径が15〜100μm、特に17〜45μmの範囲内のものを好適に使用することができる。
厚さは0.05〜7.0μmの範囲内のものを使用することが好ましい。
本発明の方法によれば、上記の如くして水性ベース塗料(Y)を塗装して得られたベース塗膜上に、クリヤー塗料(Z)を塗装して、クリヤー塗膜を形成する。
クリヤー塗料は、水や有機溶媒等を加えて、塗装に適した粘度に調整した後、静電塗装、エアスプレー、エアレススプレー等の方法により塗装することができ、その膜厚は硬化塗膜に基づいて15〜50μm、特に25〜40μmの範囲内とすることが好ましい。
本発明の複層塗膜形成方法においては、上記工程(1)〜(3)で形成される未硬化の中塗り塗膜、未硬化のベース塗膜及び未硬化のクリヤー塗膜が、一度に加熱硬化される。
また、水酸基含有アクリル樹脂の数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって標準ポリスチレンの検量線を用いて測定したものである。
<樹脂組成物(D)の調製>
下記水酸基含有アクリル樹脂溶液(i)50部(樹脂固形分20部)、下記水酸基含有アクリル樹脂分散液(ii)83.3部(樹脂固形分25部)、ウレタン樹脂エマルション(商品名「ユーコートUX−485」、ポリカーボネート系ウレタン樹脂エマルション、固形分40%、三洋化成工業株式会社製)75部(樹脂固形分30部)及びメラミン樹脂(メチルエーテル化メラミン樹脂、重量平均分子量800、固形分70%)35.7部(樹脂固形分25部)を、室温下で撹拌混合し、樹脂組成物(D)を得た。
温度計、サーモスタット、撹拌装置、還流冷却器、窒素導入管及び滴下装置を備えた反応容器に、プロピレングリコールモノプロピルエーテル30部を仕込み85℃に昇温後、スチレン10部、メチルメタクリレート30部、2−エチルヘキシルアクリレート15部、n−ブチルアクリレート11.5部、ヒドロキシエチルアクリレート30部、アクリル酸3.5部、プロピレングリコールモノプロピルエーテル10部及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)2部の混合物を4時間かけて滴下し、滴下終了後1時間熟成した。その後さらに、プロピレングリコールモノプロピルエーテル5部及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1部の混合物を1時間かけてフラスコに滴下し、滴下終了後1時間熟成した。さらに2−(ジメチルアミノ)エタノール3.03部を加え、脱イオン水を徐々に添加することにより、固形分濃度40%の水酸基含有アクリル樹脂溶液(i)を得た。
得られた水酸基含有アクリル樹脂の酸価は27mgKOH/g、水酸基価は145mgKOH/g、数平均分子量は10000であった。
温度計、サーモスタット、撹拌装置、還流冷却器、窒素導入管及び滴下装置を備えた反応容器に脱イオン水130部、「アクアロンKH−10」(商品名、第一工業製薬株式会社製、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩エステルアンモニウム塩、有効成分97%)0.52部を仕込み、窒素気流中で撹拌混合し、80℃に昇温した。次いで下記のモノマー乳化物(1)のうちの全量の1%量及び6%過硫酸アンモニウム水溶液5.3部を反応容器内に導入し80℃で15分間保持した。次いで、残りのモノマー乳化物(1)を3時間かけて、同温度に保持した反応容器内に滴下した。滴下終了後、1時間熟成した。
次いで、下記のモノマー乳化物(2)を1時間かけて滴下した。1時間熟成した後、5% 2−(ジメチルアミノ)エタノール水溶液40部を反応容器に徐々に加えながら30℃まで冷却し、100メッシュのナイロンクロスで濾過することにより、濾液として、平均粒子径108nm(サブミクロン粒度分布測定装置「COULTER N4型」(ベックマン・コールター社製)を用いて、脱イオン水で希釈して20℃で測定した。)、固形分濃度30%の水酸基含有アクリル樹脂分散液(ii)を得た。
得られた水酸基含有アクリル樹脂の酸価は33mgKOH/g、水酸基価は25mgKOH/gであった。
モノマー乳化物(1):脱イオン水42部、「アクアロンKH−10」0.72部、メチレンビスアクリルアミド2.1部、スチレン2.8部、メチルメタクリレート16.1部、エチルアクリレート38部及びn−ブチルアクリレート11部を混合攪拌して、モノマー乳化物(1)を得た。
モノマー乳化物(2):脱イオン水18部、「アクアロンKH−10」0.31部、過硫酸アンモニウム0.03部、メタクリル酸5.1部、2−ヒドロキシエチルアクリレート5.1部、スチレン3部、メチルメタクリレート6部及びn−ブチルアクリレート10.8部を混合攪拌して、モノマー乳化物(2)を得た。
上記調製した樹脂組成物(D)の固形分100部あたり、表1に示す量(固形分)の顔料を配合して、ASE−60(アルカリ膨潤型増粘剤、商品名、ローム・アンド・ハース・ジャパン株式会社製)、2−(ジメチルアミノ)エタノール及び脱イオン水を添加して調整、攪拌混合することにより、pH8.2、塗料固形分48%、20℃におけるB型粘度計による粘度を800〜2000mPa・sに調整した各中塗り塗料(X1)〜(X10)を得た。
なお、中塗り塗料(X6)〜(X10)は、比較例用の中塗り塗料である。
予めN−7グレー色の塗膜が形成されたブリキ板に、上記各中塗り塗料(X1)〜(X10)を硬化塗膜として25μmとなるように塗装し、室温約20℃の実験室に15分放置した後に、温風乾燥機を使用して140℃で30分間乾燥せしめて、硬化塗膜を得た。多角度分光光度計CM512m3(商品名、コニカミノルタ株式会社製)を用いて、塗膜表面の垂直な軸に対して25度の照射光で、塗膜表面に対して90度で受光した分光反射率から、L*,a*及びb*を測定した。結果を表1に示す。
平滑なPTFE板に上記各中塗り塗料(X1)〜(X10)を硬化塗膜として25μmとなるように塗装し、室温約20℃の実験室に15分放置した後に、温風乾燥機を使用して140℃で30分間乾燥せしめて、硬化塗膜を得た。得られた塗膜を剥離してフリーフィルムを作成し、分光光度計UV3700(商品名、株式会社島津製作所製)を使用して波長420nm〜500nmの光線透過率を測定し、平均値を表1に示した。
下記水酸基含有アクリル樹脂分散液(iii)100部(固形分30部)、下記水酸基含有水溶性アクリル樹脂(iv)73部(固形分40部)、メチル−ブチル混合エーテル化メラミン樹脂(固形分60%、重量平均分子量2,000)50部(固形分30部)及びXirallic T60−10WNT Crystal Silver(商品名,酸化チタン被覆酸化アルミニウムフレーク顔料,メルク社製)10部を配合して、ASE−60(アルカリ膨潤型増粘剤、商品名、ローム・アンド・ハース・ジャパン株式会社製)、2−(ジメチルアミノ)エタノール及び脱イオン水を添加して調整、攪拌混合し、塗装に適正な粘度に希釈して、pH8.0、塗料固形分23%の水性ベース塗料(Y1)を得た。
温度計、サーモスタット、撹拌装置、還流冷却器、窒素導入管及び滴下装置を備えた反応容器に脱イオン水130部、「アクアロンKH−10」(商品名、第一工業製薬株式会社製、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩エステルアンモニウム塩、有効成分97%)0.52部を仕込み、窒素気流中で撹拌混合し、80℃に昇温した。次いで下記のモノマー乳化物(1)のうちの全量の1%量及び6%過硫酸アンモニウム水溶液5.3部を反応容器内に導入し80℃で15分間保持した。次いで、残りのモノマー乳化物(1)を3時間かけて、同温度に保持した反応容器内に滴下した。滴下終了後、1時間熟成した。次いで、下記のモノマー乳化物(2)を1時間かけて滴下した。1時間熟成した後、5% 2−(ジメチルアミノ)エタノール水溶液40部を反応容器に徐々に加えながら30℃まで冷却し、100メッシュのナイロンクロスで濾過することにより、濾液として、平均粒子径120nm(サブミクロン粒度分布測定装置「COULTER N4型」(ベックマン・コールター株式会社製)を用いて、脱イオン水で希釈して20℃で測定した。)、固形分濃度30%の水酸基含有アクリル樹脂分散液(iii)を得た。
得られた水酸基含有アクリル樹脂分散液(iii)の酸価は33mgKOH/g、水酸基価は25mgKOH/gであった。
モノマー乳化物(1):脱イオン水42部、「アクアロンKH−10」0.72部、メチレンビスアクリルアミド2.1部、スチレン2.8部、メチルメタクリレート16.1部、エチルアクリレート28部及びn−ブチルアクリレート21部を混合攪拌して、モノマー乳化物(1)を得た。
モノマー乳化物(2):脱イオン水18部、「アクアロンKH−10」0.31部、過硫酸アンモニウム0.03部、メタクリル酸5.1部、2−ヒドロキシエチルアクリレート5.1部、スチレン3部、メチルメタクリレート6部、エチルアクリレート1.8部及びn−ブチルアクリレート9部を混合攪拌して、モノマー乳化物(2)を得た。
フラスコにプロピレングリコールモノプロピルエーテル35部を仕込み85℃に昇温後、メチルメタクリレート30部、2−エチルヘキシルアクリレート20部、n−ブチルアクリレート29部、ヒドロキシエチルアクリレート15部、アクリル酸6部、プロピレングリコールモノプロピルエーテル15部及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)2.3部の混合物を4時間かけてフラスコに滴下し、滴下終了後1時間熟成した。その後さらにプロピレングリコールモノプロピルエーテル10部及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1部の混合物を1時間かけてフラスコに滴下し、滴下終了後1時間熟成した。さらにジエタノールアミン7.4部を加え、固形分濃度55%、酸価47mgKOH/g、水酸基価72mgKOH/gの水酸基含有水溶性アクリル樹脂(iv)を得た。
(試験用被塗物の作製:電着塗装が施された被塗物)
リン酸亜鉛処理された冷延鋼板に「エレクロンGT−10」(商品名、関西ペイント株式会社製、熱硬化性エポキシ樹脂系カチオン電着塗料)を膜厚20μmとなるように電着塗装し、170℃で30分間加熱して硬化させて試験用被塗物とした。
上記試験用被塗物に、前記製造例1で得た中塗り塗料(X1)を回転霧化型の静電塗装機を用いて、硬化塗膜として25μmとなるように静電塗装し、3分間放置後、80℃で3分間プレヒートを行なった。次いで、該未硬化の中塗り塗膜上に前記製造例11で得た水性ベース塗料(Y1)を回転霧化型の静電塗装機を用いて、硬化膜厚15μmとなるように静電塗装し、5分間放置後、80℃で3分間プレヒートを行なった。
次いで、該未硬化のベース塗膜上にクリヤー塗料(Z1)(アクリル樹脂系酸/エポキシ硬化溶剤型上塗クリヤー塗料、商品名「マジクロンKINO−1210」、関西ペイント株式会社製)を硬化膜厚35μmとなるように静電塗装し、7分間放置した。
その後、140℃で30分間加熱して、中塗り塗膜、ベース塗膜及びクリヤー塗膜からなる該複層塗膜を一度に加熱硬化させることにより試験板を作製した。
実施例1において、中塗り塗料(X1)を中塗り塗料(X2)〜(X10)のいずれかに変更する以外は、実施例1と同様にして各試験板を作製した。
「Wave Scan DOI」(商品名、BYK Gardner社製)によって測定されるWc値を用いて評価した。Wc値は、1〜3mm程度の波長の表面粗度の振幅の指標であり、測定値が小さいほど塗面の平滑性が高いことを示し、Wc値が18以下であると平滑性に優れる。
Superxenonウェザーメーター(商品名、促進耐候性試験機、スガ試験機株式会社製)を使用して、JIS K5600−7−7(方法1)に記載された試験条件にて照射と降雨条件を組み合わせたサイクル試験を行った。サイクル試験時間の合計が3000時間後に、試験板の複層塗膜を素地に達するようにカッターで格子状に切り込み、大きさ2mm×2mmの碁盤目を100個作る。続いて、その表面に粘着セロハンテープを貼着し、20℃においてそのテープを急激に剥離した後の碁盤目塗膜の残存数を調べ、下記基準「〇」、「△」、「×」により評価した。
○:碁盤目塗膜が100個残存し、カッターの切り込みの縁において塗膜の小さな縁欠けが生じていない
△:碁盤目塗膜が100個残存するが、カッターの切り込みの縁において塗膜の小さな縁欠けが生じている
×:碁盤目塗膜の残存数が99個以下である。
Claims (4)
- 電着塗装が施された被塗物に、下記の工程(1)〜(4):
工程(1):前記被塗物上に、中塗り塗料(X)を塗装してL*値が85.0以上の中塗り塗膜を形成する工程、
工程(2):前記工程(1)で形成された中塗り塗膜上に、水性ベース塗料(Y)を塗装してベース塗膜を形成する工程、
工程(3):前記工程(2)で形成されたベース塗膜上に、クリヤー塗料(Z)を塗装してクリヤー塗膜を形成する工程、及び
工程(4):前記工程(1)〜(3)で形成された中塗り塗膜、ベース塗膜及びクリヤー塗膜を一度に加熱硬化する工程、
を順次行なう複層塗膜形成方法であって、
前記中塗り塗料(X)が、平均粒子径200nm〜700nmの塩素法酸化チタン顔料(A)、平均粒子径が12〜30μm、厚さが0.05〜0.5μm、かつアスペクト比が25〜300であるアルミニウム顔料(B)、黄色酸化鉄顔料(C)、及び樹脂組成物(D)を含有し(ただし、前記中塗り塗料(X)はカーボンブラック顔料は含有しない。)、
該樹脂組成物(D)の固形分総量に対し、前記塩素法酸化チタン顔料(A)の含有量が50〜120質量%、前記アルミニウム顔料(B)の含有量が1.0〜3.5質量%、前記黄色酸化鉄顔料(C)の含有量が0.01〜2.0質量%であり、
前記中塗り塗料(X)を硬化塗膜として25μmとなるように塗装して得られた塗膜の波長420nm〜500nmにおける光線透過率の平均値が0.1〜1.0%であることを特徴とする複層塗膜形成方法。 - 前記中塗り塗料(X)を硬化塗膜として25μmとなるように塗装して得られた塗膜の波長420nm〜500nmにおける光線透過率の平均値が、0.1〜0.5%である請求項1に記載の複層塗膜形成方法。
- 前記塩素法酸化チタン顔料(A)の含有量が、樹脂組成物(D)の固形分総量に対し、80〜120質量%である請求項1又は2に記載の複層塗膜形成方法。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の複層塗膜形成方法によって得られた塗装物品。
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