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JP6468041B2 - 不純物導入装置、不純物導入方法及び半導体素子の製造方法 - Google Patents

不純物導入装置、不純物導入方法及び半導体素子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は不純物導入装置、不純物導入方法及び半導体素子の製造方法に関する。
パワー半導体としてシリコンカーバイド(SiC)、特に4Hのシリコンカーバイド(4H−SiC)を用いた半導体素子が期待されている。4H−SiCの半導体素子は、通常、所望の濃度でエピタキシャル成長させた4H−SiC結晶層が形成された半導体基板に、リン(P)やアルミニウム(Al)等の不純物元素のイオンをドーピングして製造される。具体的には、例えば、加速させた不純物元素のイオンを半導体基板に照射することで注入するとともに、その後、イオンが注入された半導体基板の結晶構造の回復及び不純物元素の活性化のために半導体基板を加熱する処理(アニール)が行われる。
ここで半導体基板が4H−SiCの場合、4H−SiCの(0001)面((000−1)面)に対して、例えば1015/cm程度以上の高ドーズのイオン注入を行うにあっては、半導体基板を事前に300〜800度程度に昇温させる加熱する必要がある。事前の加熱処理が無い場合、4H−SiCの再結晶化及び不純物元素の活性化が有効に行われないからである。
またSiCのイオン注入後のアニールは、1600〜1800度程度と、シリコン(Si)の場合より高温で行われる。この高温アニールによって半導体素子の表面からSiが脱落することや、マイグレーションにより半導体素子の表面が荒れることが知られている。そこで、半導体素子の表面に窒化アルミニウム(AlN)や炭素(C)等の保護膜を形成した上でアニールが行われるが、保護膜の形成及び除去のための処理工程が増加し、処理コストが増大するという問題がある。またAlやCによる周辺の汚染という問題も懸念される。
上記した問題を解決する手段として、非特許文献1及び2に記載のレーザードーピングの技術が考えられる。非特許文献1及び2は、不純物元素を含む水溶液である溶液中に4H−SiCの半導体基板を浸漬し、半導体基板の表面と溶液との界面領域にレーザー光を照射することで、半導体基板に対し局所的な加熱を行い、溶液中の不純物元素をドーピングする。このレーザー光は、SiCにおいて吸収係数の大きい紫外域の波長の光である。非特許文献1及び2によれば、室温相当の低温環境下であっても不純物元素の注入と半導体基板の活性化とを同時に行うことが可能であり、半導体基板に対する事前の加熱処理及び不純物元素注入後のアニールを行う必要がないとされている。
池田晃裕 他3名、「液体中に浸漬した4H−SiCへのエキシマレーザ照射による燐ドーピング(Phosphorus doping of 4H SiC by liquid immersion excimer laser irradiation)」、アプライド・フィジックス・レターズ(Applied Physics Letters)、第102巻、p052104−1〜052104−4、2013年1月 西紘史 他3名、「リン酸溶液中のエキシマレーザ照射による4H−SiCへの燐ドーピング(Phosphorus Doping into 4H-SiC by Irradiation of Excimer Laser in Phosphoric Solution)」ジャパニーズ・ジャーナル・オブ・アプライド・フィジックス(JAPANESE JOURNAL OF APPLIED PHYSICS)、第52巻、第6号、p06GF02−1−4、2013年6月
しかし、レーザー光を繰り返し半導体基板の表面に照射すると、照射位置が局部的且つ瞬間的に高温で加熱されるため、液体成分又は溶液成分が膨張、或いは液体に溶解又は混入している気体が膨張して、溶液中で気泡が生じる場合がある。溶液を循環させて流動させることに伴い気泡は移動するが、移動した気泡が、後続のレーザー光の照射(ショット)の際に照射目標位置の内側に留まると、後続のレーザー光が気泡に衝突して均一に照射されず、不純物元素を所望の濃度及び深さでレーザードーピングできないという問題がある。
本発明は上記した問題に着目して為されたものであって、先行のレーザー光のショットにより発生した気泡が後続のショットのレーザー光に干渉することを防止してレーザードーピングを行うことができる不純物導入装置、不純物導入方法及び半導体素子の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る不純物導入装置のある態様は、不純物元素を含む液体が半導体基板の表面に接触するように内側に液体を蓄える蓄液装置と、液体を半導体基板の表面上で一定の流速で移動させる液体移動装置と、半導体基板の表面に液体を介して光パルスを一定寸法の照射領域でスキャン照射するレーザー光学系と、半導体基板の主面に平行な面内に定義されるX−Y方向に蓄液装置を介して半導体基板を自在に移動させるX−Y移動ステージと、液体移動装置及びX−Y移動ステージを制御すると共に、照射領域の液体の液流方向に沿った特徴寸法と、照射領域の重ね合わせ率と、液体中に発生する気泡の半径とを考慮して液体の流速及び光パルスのスキャン速度を設定する演算制御装置と、を備え、設定された流速で液体を移動させると共に、設定されたスキャン速度で半導体基板を移動させ、半導体基板の内部の一部に不純物元素を導入することを要旨とする。
また本発明に係る不純物導入方法のある態様は、不純物元素を含む液体中に照射する光パルスの照射領域の液体の液流方向に沿った特徴寸法と、照射領域の重ね合わせ率と、液体中に発生する気泡の半径とを考慮して、液体の流速及び光パルスの半導体基板の表面上へのスキャン速度を設定し、液体を半導体基板の表面上に設定された流速で移動させると共に、光パルスを、液体を介して半導体基板に設定されたスキャン速度でスキャン照射して、半導体基板の内部の一部に不純物元素を導入することを要旨とする。
また本発明に係る半導体素子の製造方法のある態様は、不純物元素を含む液体中に照射する光パルスの照射領域の液体の液流方向に沿った特徴寸法と、照射領域の重ね合わせ率と、液体中に発生する気泡の半径とを考慮して、液体の流速及び光パルスの半導体基板の表面上へのスキャン速度を設定し、液体を半導体基板の表面上に設定された流速で移動させ、光パルスを、液体を介して半導体基板に設定されたスキャン速度でスキャン照射して、半導体基板の内部の一部に不純物元素を導入し、第1の半導体領域を形成することを要旨とする。
従って本発明に係る不純物導入装置及び不純物導入方法によれば、先行のレーザー光のショットにより発生した気泡が後続のショットのレーザー光に干渉することを防止してレーザードーピングを行うことができる。また本発明に係る半導体素子の製造方法によれば、先行のレーザー光のショットにより発生した気泡が後続のショットのレーザー光に干渉することを防止してレーザードーピングを行って、半導体領域を形成することができる。
本発明の第1の実施の形態に係る不純物導入装置の構成の概略を模式的に説明する一部断面図を含むブロック図である。 演算制御装置の構成の概略を模式的に説明するブロック図である。 本発明の実施の形態に係る不純物導入方法を説明するフローチャートである。 図4(a)は光パルスを一方向及び逆方向に往復させてスキャン照射した場合の半導体基板の上面を模式的に示す上面図であり、図4(b)は図4(a)の一部を拡大してスキャン方向と液流方向とがなす角度を説明する部分拡大図である。 図5(a)は光パルスを一方向にのみ進行させてスキャン照射した場合の半導体基板の上面を模式的に示す上面図であり、図5(b)は図5(a)の一部を拡大してスキャン方向と液流方向とがなす角度を説明する部分拡大図である。 本発明の実施の形態に係る不純物導入方法の原理を模式的に説明する図である(θ=0°)。 本発明の実施の形態に係る不純物導入方法の原理を模式的に説明する図である(θ=180°)。 本発明の実施の形態に係る不純物導入方法の原理を模式的に説明する図である(θ=90°)。 光パルスの繰り返し周波数と、気泡の移動速度との関係を示す特性図である。 図10(a)は本発明の実施の形態に係る不純物導入方法を用いて得られた半導体素子の上面の状態を示す画像の一部であり、図10(b)は比較例に係る不純物導入方法を用いて得られた半導体素子の上面の状態を示す画像の一部である。 先行のレーザー光のショットにより発生した気泡が、後続のショットのレーザー光に干渉する状態を模式的に説明する断面図である。 本発明の第2の実施の形態に係る不純物導入装置の構成の概略を模式的に説明する一部断面図を含むブロック図である。
以下に本発明の実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。但し、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各装置や各部材の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。又、以下の説明における「左右」や「上下」の方向は、単に説明の便宜上の定義であって、本発明の技術的思想を限定するものではない。よって、例えば、紙面を90度回転すれば「左右」と「上下」とは交換して読まれ、紙面を180度回転すれば「左」が「右」に、「右」が「左」になることは勿論である。
(不純物導入装置の構造)
本発明の第1の実施の形態に係る不純物導入装置100は、図1に示すように、不純物元素を含む液体4が半導体基板2の表面に接触するように内側に液体4を蓄える蓄液装置をなす液槽5と、液槽5の外側に設けられ液体4を半導体基板2の表面上で一定の流速で移動させる液体移動装置40と、を備える。液槽5は支持台3上に載置され支持されている。
また不純物導入装置100は、半導体基板2の表面に液体4を介してレーザー光12の光パルスを一定寸法の照射領域2a〜2dでスキャン照射するレーザー光学系20と、半導体基板2の主面に平行な面内に定義されるX−Y方向に液槽5を介して半導体基板2を自在に移動させるX−Y移動ステージ8と、を備える。
また不純物導入装置100は、液体移動装置40及びX−Y移動ステージ8を制御すると共に、照射領域2a〜2dの液体4の液流方向に沿った特徴寸法と、照射領域2a〜2dの重ね合わせ率と、液体4中に発生する気泡の半径とを考慮して液体4の流速及び光パルスのスキャン速度を設定する演算制御装置51と、を備える。不純物導入装置100は、室温下で、半導体基板2の主面である上面上に設定された流速で液体4を移動させる。
不純物導入装置100は、液体4を介して液槽5の中に配置された半導体基板2の上面にレーザー光12の光パルスをスキャン照射して、このレーザー光12が照射された位置を昇温させて半導体基板2の内部の一部に不純物元素を導入する。尚、図1に示した不純物導入装置100では、説明のため半導体基板2、液槽5及び供給ブロック10はいずれも断面視で表現されている。
半導体基板2としてはSiC基板を用いる場合を例示的に説明し、具体的にはパワー半導体用として期待されている4H−SiC基板を用いる。半導体基板2には、4H−SiCの結晶層が所定の濃度のエピタキシャル成長層として形成されている。半導体基板2のレーザー光12が照射される側の表面(図1に示す半導体基板2の場合は上面)には、4H−SiCの(0001)面((000−1)面)が配置されている。
液体4は、半導体基板2にドーピングさせる不純物元素の化合物を溶解させた溶液である。図1に示した不純物導入装置100において、例えば不純物元素をリン(P)とした場合、液体4としては85重量%濃度のリン酸(HPO)溶液が使用できる。尚、不純物元素はリンに限定されるものではなく、ボロン(B)、アルミニウム(Al)、窒素(N)等他の元素が適宜用いられてよい。また液体4も、例えば、不純物元素がボロンであればホウ酸(HBO)水、不純物元素がアルミニウムであれば塩化アルミニウム(AlCl)水溶液、不純物元素が窒素であればアンモニア(NH)水溶液等、種々の不純物元素の化合物の溶液を適宜使用することが可能である。また液体4は、不純物元素を含む液状体であれば溶液に限定されることなく、例えば溶媒を用いずに不純物元素そのものを液相で用いてもよい。
液槽5は、内側に液体4を蓄えると共に、底面上に半導体基板2を載置して支持する。半導体基板2の上面から液体4の液面までの高さは、レーザー光12のショットにより液体4中の半導体基板2の上面位置から発生した気泡が、上面と後述する透過窓13との間に挟まることがないように、気泡の直径より十分長く設定されている。一方、半導体基板2の上面から液面までの高さが高すぎると、上面に達するまでのレーザー光12の減衰率が大きくなるので、高さは0.5mm程度以上、5mm程度以下、より好ましくは1mm程度以上、3mm程度以下の範囲で設定されている。
液槽5は、X−Y移動ステージ8により支持台3が移動する場合であっても支持台3からずれることがないように、支持台3上の所定位置に固定されている。また液槽5の底面には、例えば不図示の基準マークが複数形成されている。基準マークは、半導体基板2に予め設定されたレーザー光12の照射目標位置に対応する、液槽5側の照射目標位置として用いられる。
液槽5の内側には、図1に示すように、液面上で半導体基板2から離間して配置された供給ブロック10が設けられている。供給ブロック10は、レーザー光学系20に対する相対位置が固定されるように、図示を省略した支持装置によって支持されている。供給ブロック10は、符号の付記を省略する凹部が中央に貫通形成された略矩形状の本体枠11と、凹部を覆うように本体枠11の内側に水平に架け渡されて設けられた透過窓13とを備える。
透過窓13は、例えば石英等で構成され、レーザー光12を透過する。透過窓13の下面に液体4の液面が密着するので、液面の安定化が促進され、レーザー光12の屈折や散乱が抑制される。凹部の軸はレーザー光12の軸と平行であり、レーザー光12は透過窓13を貫通して半導体基板2の上面上を移動する液体4の液流方向に対して光軸が直交(85°程度〜95°程度)するように照射される。
供給ブロック10は、X方向及びY方向のそれぞれの長さが、半導体基板2のX方向及びY方向のそれぞれの長さよりいずれも長い。尚、図1中では説明のため、供給ブロック10と液槽5との図中の左右方向の隙間は比較的短く示されているが、実際には半導体基板2の表面全面をスキャンできるように、液槽5の左右方向の長さが形成されている。
供給ブロック10の本体枠11の一辺側(図1中の左側)には液槽5に液体4を注入させる注入ノズル14等の注入手段が、また他辺側(図1中の右側)には液槽5から液体4を排出させる排出ノズル16等の排出手段がそれぞれ形成されている。また図示を省略するが注入ノズル14と同様の構造をなす複数の注入ノズルが本体枠11の注入ノズル14と同じ側の辺に設けられていると共に、排出ノズル16と同様の構造をなす複数の排出ノズルが本体枠11の排出ノズル16と同じ側の辺に設けられている。
液体4は、液槽5の外側から注入ノズル14を介して内側に供給されると共に、排出ノズル16を介して外側に吸引され、供給ブロック10と液体移動装置40との間で循環する。また液体4は、半導体基板2の上面で、注入ノズル14と排出ノズル16との間を、図1中の液体4の内部に示した矢印のように、注入ノズル14側から排出ノズル16側へ向かって移動する
液体移動装置40は、液体4を蓄えるタンク41と、このタンク41に一端が接続され途中に流量調整バルブ43を有する注入配管44を備える。また液体移動装置40は、タンク41に一端が接続され途中に液体4を吸引するポンプ42を有する排出配管45を備える。注入配管44の他端は供給ブロック10の注入ノズル14に、また排出配管45の他端は排出ノズル16に、それぞれ連結されている。流量調整バルブ43及びポンプ42はいずれも流速制御部に接続されている。
液体4が循環することにより、レーザー光12の1ショットが終わる毎に、先行のショット時のレーザードーピングに用いられた古い液体4が、後続のショットの照射目標位置上から押し流されると共に、同じ位置に新しい液体4が配置される。すなわちスキャンの間、逐次的に移動する照射目標位置上に、液体4の存在する領域が、一定の不純物元素の濃度を保った状態で継続して形成される。
レーザー光学系20は、図示を省略するが、レーザー光12を照射するレーザー光源と、照射されたレーザー光12を所定の形状に成形する可変スリットと、を備える。レーザー光12の掃引に必要であれば、成形されたレーザー光12を反射してレンズ等の集光装置に導く不図示の反射ミラーを備えるようにしてもよい。成形されたレーザー光12は、半導体基板2の上面と液体4との界面領域に照射される。レーザー光学系20は、光源制御部53に接続されている。
成形されるレーザー光12の形状は、連続するショットの照射領域を重ね合わせて照射パターンを形成する点で長方形(矩形)状が好適に用いられるが、矩形以外の例えば円形状や楕円形状であっても、重ね合わせ率が8割程度以上のように大きい場合、実用上十分に用いることができる。重ね合わせ率がゼロ(0)のとき、先行のショットの照射領域と後続のショットの照射領域とは全く重なり合うことなく、間隔がゼロで隣接する。また重ね合わせ率が1のとき、先行のショットの照射領域と後続のショットの照射領域とは互いの輪郭が重なり合う。また例えば重ね合わせ率が0.5であれば、先行のショットの照射領域と後続のショットの照射領域とは、照射領域が矩形状であれば図6に示すように、スキャン方向に沿った辺の長さの0.5(半分)が互いに重なり合うように照射される。
またレーザー光学系20には、液槽5の基準マークを撮像するCCDカメラ等の不図示の撮像装置、照明光を照射する不図示の照明光発光装置、照明光を反射及び透過させるミラー及びアライメント機構等が別途設けられるようにしてもよい。レーザー光学系20は、半導体基板2の禁制帯幅よりも大きなエネルギーとなる波長のレーザー光12を照射するように構成されることが好ましく、例えば、KrF(=248nm)レーザーやArF(=193nm)レーザー等の紫外線領域のレーザー光12を照射するレーザー光源を用いることができる。紫外線領域の光エネルギーで励起させることにより、不純物元素を4H−SiCの格子間位置に移動させることを容易にすることができる。
X−Y移動ステージ8は、支持台3を下方から水平に支持するとともに、移動ステージ駆動装置55に接続され、液槽5を水平面内の方向(X−Y方向)にそれぞれ自在に移動することによって、半導体基板2を自在に移動できるように構成されている。X−Y方向の主移動は、例えばステッピングモータで駆動すればよいが、サブミクロンレベルの位置制御を伴う移動をするには磁気浮上により摩擦を失くせばよい。主移動に加えて摩擦力のない状態で磁気駆動による移動を付加すれば、ナノメータレベルでのX−Y移動ステージ8の位置制御ができる。位置制御は、例えばレーザー干渉計の出力をフィードバックして行えばよい。移動ステージ駆動装置55は、基板移動制御部54に接続されている。
また支持台3はX−Y方向に加え、更にX−Y方向に垂直なZ方向に移動可能に構成されることが好ましく、例えば、支持台3とX−Y移動ステージ8との間に、支持台3をZ方向に移動させるZ移動ステージを設けて構成できる。支持台3をXYZの3軸移動可能に構成して液槽5を移動させることにより、半導体基板2をレーザー光12の照射目標位置に応じた所定の位置に自在に移動させてスキャンし、半導体基板2に所望の不純物元素を導入した領域のパターンを直接描画することができる。
演算制御装置51は、図2に示すように、気泡移動距離算出回路511及び流速算出回路512を備える。また演算制御装置51には流速制御部52、光源制御部53、基板移動制御部54、入力装置61及びデータ記憶装置62がそれぞれ接続されている。気泡移動距離算出回路511は、気泡がレーザー光12の光パルスの1ショットに1回のみ発生するという仮定のもとで、入力装置61を介して入力された照射領域のスキャン方向に沿って測った長さである特徴寸法、重ね合わせ率、気泡の半径、スキャン方向と気泡の移動方向(液流方向)とがなす角度及び光パルスの繰り返し周波数を用いて、気泡が液体4に押し流されて移動する最小移動距離を算出する。また流速算出回路512は、最小移動距離、繰り返し周波数及びスキャン速度を用いて液体4の流速Vfの最低速度を算出すると共に、算出した最低速度より大きい値で流速Vfを設定する。
設定された流速Vfは流速制御部52に入力される。流速制御部52は、入力された流速Vfで液体4が半導体基板2上を移動するようにポンプ42及び流量調整バルブ43の動作を制御する。また照射領域の特徴寸法及び繰り返し周波数は光源制御部53に入力される。光源制御部53は、入力された照射領域の特徴寸法及び繰り返し周波数で光パルスのスキャン照射が行われるようにレーザー光学系20の動作を制御する。
また重ね合わせ率及びスキャン速度は基板移動制御部54に入力される。基板移動制御部54は、入力された重ね合わせ率及びスキャン速度が実行されるように、X−Y移動ステージ8の移動動作を制御する。また設定された流速Vfのデータはデータ記憶装置62に記憶される。また演算制御装置51には、図示を省略する表示装置が接続されることで、算出された最小移動距離及び流速Vfの最低速度が表示されるように構成されてもよい。
(不純物導入方法)
次に、本発明の実施の形態に係る不純物導入方法を説明する。まず、図1に示すように、半導体基板2を、上面を支持台3と反対側に向けて液槽5の底面上に載置し固定する。次に、半導体基板2上で不純物元素をドーピングさせる最初の照射目標位置に応じた基準マークの位置を、レーザー光12の光軸に合致させるように、レーザー光学系20をX方向及びY方向に所定量移動させる。
次に、液槽5の内側に液体4を供給して、液体4中に半導体基板2を浸漬させると共に液体4を循環させる。液体4が供給されることにより、液体4の存在する領域が半導体基板2の上面上に形成されると共に、液体4が一定の流速Vfで半導体基板2の上面上を移動する。
次に、照射領域2a〜2dの特徴寸法をL、照射領域2a〜2dの重ね合わせ率をc、気泡の半径をr、スキャン方向と液体4の液流方向とがなす角度をθとして、それぞれの値を設定する(図3中のステップS1)。そして、先行の照射領域2aと後続の照射領域2bとが形成される間に照射領域2aから発生した最小移動距離を、演算制御装置51の気泡移動距離算出回路511を用いて、式(1)により算出する(ステップS2)。
d>L{1+cosθ(1−c)}+r …(1)
式(1)の右辺は最小移動距離を示し、右辺を展開すると、「L+L・cosθ(1−c)+r」となる。展開後の右辺中の複数の項のうち、左から1番目の項「L」は「1・L」を意味し、最小移動距離のうちの、気泡が照射領域の移動方向の最も上流側の位置から発生すると仮定した場合に、気泡の中心が、照射領域の特徴寸法Lを1個分通過するための必要量として設定される項(照射領域長さ通過項)である。気泡が照射領域のうち移動方向の最も上流側の位置から発生すると仮定することにより、先行のレーザー光12の照射により照射領域2aのいずれの位置から発生した気泡であっても、確実に気泡の干渉を防止できる。
尚、気泡が照射領域2aの全面から発生するのではなく、例えば照射領域2aの略中央位置で照射領域2aの中心と略同心位置で発生すると限定的に仮定して、式(1)の左から先行の項を、照射領域2aの特徴寸法Lを半分通過するための必要量「(1/2)・L」と設定してもよい。このように式(1)中の照射領域長さ通過項の値を、気泡の発生位置に応じて変更すれば、最小移動距離をより小さくでき、レーザードーピングの目標とする作業の品質や効率に応じて、最小移動距離を柔軟に設定することが可能となる。
展開後の右辺中の左から2番目の項「L・cosθ(1−c)」の項のうち、L・(1−c)の部分は、連続する先行の照射領域2aと後続の照射領域2bとの間隔すなわちスキャンの移動距離を1回あたりの重ね合わせ率cで補正した量を示し、これにcosθが掛け合わされることで、スキャンの移動距離のうちスキャン方向に沿った実効距離成分が導かれる。「L・cosθ(1−c)」の項は、気泡の最小移動距離のうちの、スキャンの移動距離を通過するための必要量として設定される項(スキャン移動距離通過項)である。
角度θは、図4(a)の上面図に示すように半導体基板2の上面上でレーザー光12を往復移動させるスキャン動作の場合、往路と復路とでそれぞれ異なる。図4(b)中の上部の右側に位置する下向きの白抜き矢印は、往復スキャンの一方(例えば往路)の進行方向を示し、左側の上向きに位置する白抜き矢印は往復スキャンの他方(例えば復路)の進行方向を示す。
図4(b)に示すように、図中の互いに平行な2本の破線のうち右側の破線に沿って配置された5個の照射領域2a〜2eが形成されるときと、左側の破線に沿って配置された2個の照射領域2f,2gが形成されるときとでは、実線矢印で示す液体4の流動方向は同じであるが、角度θは互いに異なる。そのため、気泡の最小移動距離を算出するに際し角度θが考慮される。
尚、図5(a)の上面図に示すように半導体基板2の上面上で、半導体基板2の幅(図中の左右方向の長さ)よりも長い幅を有する細長い矩形状に成形されたレーザー光12を、往復動作させずに一方向にのみ前進移動させてスキャンし、図5(b)に示すように、複数の照射領域2h〜2kをスキャン方向に沿って連続的に形成する場合もある。
展開した右辺の左から3番目の項「r」は、気泡の最小移動距離のうちの、液体4の液流方向の最も上流側の端部が照射領域2aを通過するための必要量として設定される項(端部通過項)である。端部通過項の値は、図6〜図8に示すように、気泡1aの中心と端部との距離をなす気泡1aの半径rとなる。気泡の半径rは、本発明者らの実験の結果に基づき、数μm〜50μm程度以下の範囲で好適に設定される。
次に、連続するレーザー光12の光パルスの繰り返し周波数を設定する(ステップS3)。繰り返し周波数をfとすると、繰り返し周期Tは、T=1/fとなる。そして演算制御装置51の流速算出回路512を用いて、式(1)によって算出した最小移動距離と、予め設定したレーザー光12の繰り返し周期Tと、スキャン速度Vsと、スキャン方向と液体4の液流方向とがなす角度θとを式(2)に代入し、液体4の流速Vfの最低速度を算出する(ステップS4)。
d=(Vf+Vs・cosθ)・T …(2)
式(2)の右辺の「Vf+Vs・cosθ」の部分は、気泡の移動速度Vbであり(Vb=Vf+Vs・cosθ)、移動速度Vbが液体4の流速Vfとスキャン速度Vsとを組み合わせて考慮されることを示す。よって気泡の半導体基板2の角度θ方向に対する相対的な移動速度Vbは、支持台3が移動する場合のスキャンであっても、レーザー光学系20側が移動する場合のスキャンであっても、流速Vfとスキャン速度Vsが互いに独立に定義できるのであれば、式(1)及び式(2)に関して使用できる。
スキャン速度Vsは半導体基板2の上面に対する照射領域の相対的な移動速度である。スキャン速度Vsとしては、X−Y移動ステージ8によって移動する支持台3の移動速度を示す場合と、よってレーザー光学系20側が移動する場合のレーザー光学系20の移動速度を示す場合とがある。また繰り返し周波数f(=1/T)は数Hz〜数百Hz程度とされる。尚、レーザー光12a,12bのパルス幅は数十ナノセカンド(ns)〜数マイクロセカンド(μs)程度であり、繰り返し周期Tの幅に対して非常に短い。
次に、式(2)で得られた液体4の流速Vfの最低速度より大きい値で流速Vfを設定する(ステップS5)。液体4の流速Vfは、液槽5及び半導体基板2の移動・駆動系の座標を含む系の外側の原点を基準とする絶対速度として、スキャン速度を定義する座標系とは独立に定義される。液体4の流速Vfが遅すぎると、後続のレーザー光12と気泡との衝突が生じるだけでなく、次の照射目標位置の上方に所定の濃度の不純物元素の液体4の層を形成できなくなり、導入する不純物元素の濃度及び深さにバラつきが生じるおそれがある。
一方、流速Vfが速すぎると液体移動装置40から液体4を送り出す際に、いわゆるマイクロバブルと称される、レーザー光12の照射で発生する気泡よりも遥かに微細な気泡が発生して液体4が白濁化し、レーザードーピングが適切に行えなくなる。そのため液体4の流速Vfの上限値は、1m/s程度以下に設定される。
次に図6〜図8を参照して、上記した気泡の最小移動距離及び液流の流速Vfの最低速度の算出を、角度θが、0°、180°、90°の3パターンの場合に分けて具体的に説明する。
(a)θ=0°の場合
図6中では、液体4の液流方向とスキャン方向とは同じであり、液体4は注入ノズル14から排出ノズル16(図6中の左側から右側)に向かって移動している。またスキャンは、先行の照射領域2aと、後続の照射領域2bとが、0.5(50%)程度の一定の重ね合わせ率cで重なり合うように行われる。
尚、スキャンの移動状態を説明するため、図6中には、実線囲みで示された先行の照射領域2aの状態と、破線囲みで示された後続の照射領域2bの状態とがそれぞれ上下にずらして配置されている。また照射領域2aの特徴寸法Lとして、液体4の液流方向に、照射領域2aの一辺の長さが定義される。特徴寸法Lを定義する一辺は、先行の照射領域2aや後続の照射領域2bの形状が長方形であれば、長方形の方位の採用に応じて長辺でも短辺でも構わない。
また図6中の上段には、照射領域2aの特徴寸法Lに直交する辺(以下「直交辺」という。)のうち液体4の液流方向の上流側(注入ノズル14側)に位置する図中左側の辺の略中央位置に中心が位置して、先行のショットにより半径rの気泡1aが発生した状態が示されている。また図6中の下段には、照射領域2aが排出ノズル16側に、一定距離「L−cL=L・(1−c)」移動すると共に、先行のショットにより発生した気泡1aが、移動方向の最も上流側(図6中の左側)の端部が後続の照射領域2bを乗り越えて干渉しない状態が示されている。
図6中の下段に示した状態では、気泡1aの中心は、照射領域2bの液流方向の辺に直交する辺のうち液流方向の下流側に位置する図中右側の辺の略中央位置から、半径rの距離、排出ノズル16側に離間して位置する。尚、図6に示した照射領域2aの場合、液流方向に沿った辺が短辺とされると共に直交辺が長辺とされ、スキャン方向は短辺に沿っている。しかし液流方向に沿った辺を長辺、直交辺を短辺と逆にしてスキャンしてもよい。
よって気泡1aが移動する最小移動距離は、式(1)の右辺において、θ=0°におけるcosθ=1を代入して、
d>L{1+cosθ(1−c)}+r=L{1+1・(1−c)}+r
=L(2−c)+r
となる。すなわち最小移動距離は、照射領域2a,2bの特徴寸法Lの2倍長から、この特徴寸法Lに重ね合わせ率cを乗じた長さcLを減じた長さと、気泡1aの半径rとの和の距離「L(2−c)+r」となる。
また式(2)においてcosθ=1を代入すると、
d=(Vf+Vs・cosθ)・T
=(Vf+Vs・1)・T
=(Vf+Vs)・T
となり、気泡1aの移動速度Vbは、液体4の流速Vfの絶対値とスキャン速度Vsの絶対値との和(Vb=Vf+Vs)になることが示される。そして予め設定したスキャン速度Vs及び繰り返し周期Tの値を「d=(Vf+Vs)・T」の式に代入して、液体4の液流方向とスキャン方向とが同じ場合における、液体4の流速Vfの最低速度を算出する。
(b)θ=180°の場合
図7には、液体4の液流方向とスキャン方向とは逆向きであり、液体4は注入ノズル14から排出ノズル16(図7中の左側から右側)に向かって移動している。またスキャンは、先行の照射領域2fと、後続の照射領域2gとが、0.5(50%)程度の一定の重ね合わせ率cで重なり合うように行われる。
尚、スキャンの移動状態を説明するため、図7中には、実線囲みで示された先行の照射領域2fの状態と、破線囲みで示された後続の照射領域2gの状態とがそれぞれ上下にずらして配置されている。また照射領域2fの特徴寸法Lとして液体4の流速Vfの方向に沿って定義される。
また図7中の上段には、照射領域2fの特徴寸法Lの2個の直交辺のうち液体4の液流方向の上流側(注入ノズル14側)に位置する図中左側の辺の略中央位置に中心が位置して、先行のショットにより半径rの気泡1fが発生した状態が示されている。また図7中の下段には、照射領域2fが注入ノズル14側に、一定距離L−cL=L・(1−c)移動すると共に、先行のショットにより発生した気泡1fが、移動方向の最も上流側(図7中の左側)の端部が後続の照射領域2gを乗り越えて干渉しない状態が示されている。図7中の下段に示した状態では、気泡1fの中心は、照射領域2gの長辺のうち液体4の液流方向の下流側に位置する図中右側の長辺の略中央位置から、半径rの距離、排出ノズル16側に離間して位置する。
よって気泡1fが移動する最小移動距離は、式(1)の右辺においてθ=180°におけるcosθ=−1を代入して、
d>L{1+cosθ(1−c)}+r=L{1+(−1)・(1−c)}+r
=cL+r
となる。すなわち最小移動距離は、照射領域2f,2gの特徴寸法Lに重ね合わせ率cを乗じた長さcLと気泡1fの半径rとの和の距離「cL+r」となる。
また式(2)においてcosθ=−1を代入して、
d=(Vf+Vs・cosθ)・T
={Vf+Vs・(−1)}・T
=(Vf−Vs)・T
となり、気泡1fの移動速度Vbは、液体4の流速Vfの絶対値とスキャン速度Vsの絶対値との差(Vb=Vf−Vs)になることが示される。そして予め設定したスキャン速度Vs及び繰り返し周期Tの値を「d=(Vf−Vs)・T」の式に代入して、気泡1fの移動方向とスキャン方向とが逆向きの場合における、液体4の流速Vfの最低速度を算出する。
(c)θ=90°の場合
図8には、液体4の液流方向とスキャン方向とが直交し、液体4は注入ノズル14から排出ノズル16(図8中の左側から右側)に向かって移動している。またスキャンは、先行の照射領域2hと、後続の照射領域2iとが、0.5(50%)程度の一定の重ね合わせ率cで重なり合うように行われる。
尚、スキャンの移動状態を説明するため、図8中には、実線囲みで示された先行の照射領域2hの状態と、破線囲みで示された後続の照射領域2iの状態とがそれぞれ左右にずらして配置されている。また照射領域2hの特徴寸法Lが液体4の流速Vfの方向に定義されると共に、照射領域2hの一定の長さMを有する直交辺が気泡1hの移動方向に直交するように配置されている。図8に示したスキャン動作の場合、直交辺に沿ってスキャンが進行するので、先行の照射領域2hと後続の照射領域2iとは、一定の重ね合わせ率cに応じて、直交辺同士を重ね合わせて形成される。
また図8中の左側には、照射領域2hの2本の直交辺のうち液体4の液流方向の上流側(注入ノズル14側)に位置する図中左側の辺の略中央位置に中心が位置して、先行のショットにより半径rの気泡1hが発生した状態が示されている。また図8中の右側には、照射領域2hが、気泡1hの移動方向に直交して下方に、一定距離「M−cM=M・(1−c)」移動すると共に、先行のショットにより発生した気泡1hが、移動方向の最も上流側(図8中の左側)の端部が後続の照射領域2iを乗り越えて干渉しない状態が示されている。図8中の右側に示した状態では、気泡1hの中心は、照射領域2iの2本の直交辺のうち液体4の液流方向の下流側に位置する辺の上端の角部から、半径rの距離、排出ノズル16側に離間して位置する。
このときスキャン方向と気泡1hの移動方向とは互いに直交するので、先行の照射領域2hと後続の照射領域2iとの間のスキャンの移動距離「M・(1−c)」は、気泡1hの最小移動距離には含まれない。すなわち最小移動距離は角度θに依存しない。気泡1hが移動する最小移動距離は、照射領域2h,2iの特徴寸法Lと気泡1hの半径rとの和の距離「L+r」となる。
このことは式(1)の右辺においてθ=90°におけるcosθ=0を代入すると、
d>L{1+cosθ(1−c)}+r=L{1+0・(1−c)}+r
=L+r
となることによっても表される。すなわち気泡1hの移動方向とスキャン方向とが直交する場合も、気泡1hが移動する最小移動距離は、θ=0°又はθ=180°の場合と同様に、式(1)で表すことが可能となる。
また式(2)においてcosθ=0を代入して、
d=(Vf+Vs・cosθ)・T
={Vf+Vs・0}・T
=Vf・T
となる。すなわち気泡1hの移動速度Vbは、スキャン速度Vsの大きさにかかわらず、液体4の流速Vfと等しくなる(Vb=Vf)。そして予め設定した繰り返し周期Tの値を「d=Vf・T」の式に代入して、気泡1hの移動方向とスキャン方向とが直交する場合における、液体4の流速Vfの最低速度を算出する。
図9は、スキャン速度Vsを一定とした上でθ=0°、180°、90°の3パターンのスキャン動作を行ったときの、それぞれの場合における光パルスの繰り返し周波数fと、気泡が後続の照射領域2bの内側に位置しないときの移動速度Vbの下限値との関係を示す。3パターンいずれの場合も、照射領域の特徴寸法Lは150μm程度、重ね合わせ率cは0.5(50%)、気泡1a,1f,1hの半径rは15μm程度とした。図9中の3本の直線の軌跡のそれぞれの傾きが、気泡1a,1f,1hの最小移動距離の大きさを示すと共に、気泡1a,1f,1hの下限値Vbs,Vbr,Vbvが、繰り返し周波数fに依存することが示されている。
図9中の正方形をデータ点とするプロットが描く軌跡で示すように、液体4の液流方向とスキャン方向とが同じ向きとなる場合(θ=0°)には、他の場合(θ=90°、180°)よりも、気泡1aの下限値Vbsが最も大きくなった。θ=0°の場合、レーザー光12の照射領域と、気泡1aが相対的に同方向に移動し、気泡1aの照射領域に対する相対的な移動距離が短くなる。すなわち気泡1aが移動して先行の照射領域2a中の発生位置から移動しても、後続の照射領域2bが気泡1aを追いかけてくる。そのため気泡1aは、連続する2つの照射領域2a,2bが占有する領域から移動し難い状態となるため、この占有領域から気泡1aを押し出すための液体4の流速Vfは大きくなる。
また図9中の菱形をデータ点とするプロットが描く軌跡で示すように、気泡1fの移動方向とスキャン方向とが逆向きとなる場合(θ=180°)には、他の場合(θ=0°、90°)よりも、気泡1fの下限値Vbrが最も小さくなった。θ=180°の場合、レーザー光12の照射領域と、液体4すなわち気泡1fが相対的に逆方向に移動し、気泡1fは移動し易い状態となるため、気泡1fを押し出すための液体4の流速Vfを最小化することができる。また繰り返し周波数fを上限内で最大化すなわち繰り返し周期Tを最短化しても、気泡1fの最小移動距離を、他の場合(θ=0°、90°)より短くすることが可能となるので、後続の照射目標位置の内側に気泡1fが入り難くなる。
よって、図5(b)に示したような一方向のスキャンを行うときには、液体4の液流方向とスキャン方向とを逆向きとすることにより、レーザー光12が気泡1fに衝突することを防止すると共に、液体4の流速Vfを最小化、或いは繰り返し周波数fを最大化して設定することができる。
一方、図4(b)に示したような往復動作のスキャンを行うときに、液体4の液流方向とスキャン方向とを平行(θ=0°、180°)にすると、レーザー光12が気泡1a,1fに衝突することを防止するためには、気泡の移動速度Vbを、θ=0°の場合の気泡の下限値Vbsより大きくする必要がある。
ここで図9中の三角形をデータ点とするプロットが描く軌跡で示すように、θ=90°の場合の液体4の流速Vfの下限値Vbvは、θ=180°の場合の気泡1fの下限値Vbrよりは小さいものの、θ=0°の場合の気泡1aの下限値Vbsよりも大きい。よって、往復動作のスキャンを行うときには、液体4の液流方向とスキャン方向とを直交させることにより、レーザー光12が気泡1hに衝突することを防止すると共に、液体4の流速Vfを最小化、或いは繰り返し周波数fを最大化して設定することができる。
次に、設定された液体4の流速Vfで、液体4を半導体基板2の上面上で移動させる(図3中のステップS6)。そして例えば、図1中の右向き矢印のように、支持台3をX方向の一方向に移動させることで、照射目標位置を支持台3の移動方向と反対方向に相対的に移動させると共に、設定された繰り返し周波数fで液体4を介してレーザー光12の光パルスを掃引して照射する(ステップS7)。これにより、半導体基板2の上面上に複数の照射領域2a,2b,2c,2dが、X−Y移動ステージ8の移動方向と反対側の方向に逐次的に形成される。
すなわち半導体基板2を移動させる場合は、図1中のスキャンの進行方向(右側から左側)と液体4の液流方向(左側から右側)とは、互いに逆向きである。尚、レーザー光12の光パルスのスキャン動作は、半導体基板2を固定して、レーザー光学系20側の処理によってレーザー光12のビームそのものを半導体基板2の上面上で走査して移動するようにしてもよい。これにより、半導体基板2の上面の内部の一部に不純物元素を導入して、半導体基板2の内部の一部に不純物元素が添加されたパターンを直接描画し、不純物元素のドーピング面を形成する。
(半導体素子の製造方法)
本発明の実施の形態に係る不純物導入方法を用いて半導体素子を製造することができる。例えば、まず第1導電型又は第2導電型の半導体基板2の上面の一部に、不純物元素を含む液体4を移動させる。ここで第1導電型はp型又はn型であり、第2導電型は第1導電型の反対の導電型である。
次に、液体4を介して半導体基板2の上面にレーザー光12をスキャンして照射し、半導体基板2の上部に、第1導電型(p型又はn型)の第1の半導体領域を形成する。このとき、本発明の実施の形態に係る不純物導入方法を用いて、レーザードーピング時に移動させる液体4の流速Vf及び繰り返し周期Tを設定して、半導体基板2の上面に不純物元素を導入する。更に、第1の半導体領域が形成されていない半導体基板2の上面にオーミックコンタクト電極層を接合すれば、半導体素子を製造することができる。また導入する不純物元素の種類や、それぞれの濃度、形成する照射パターンを適宜変化させて組み合わせることで、各種の半導体素子を製造することが可能である。
図10(a)は、本発明の実施の形態に係る不純物導入方法を用いて製造した半導体素子の上面の状態を、光学顕微鏡で撮影して得られた画像を示す。本発明の実施の形態に係る半導体素子の製造方法では、図10(a)中の実線矢印で示すように、半導体基板2の上面上で、図中の上から下に向かって液体4を移動させると共に、スキャン方向も液体4の液流方向と同じ(θ=0°)とするレーザードーピングを行い、第1の半導体領域21を形成した。
その際、照射領域の特徴寸法L、重ね合わせ率c及び気泡の半径rの値を予め設定して、θ=0°と共に式(1)に代入し、レーザー光12が気泡へ衝突しないように、気泡の移動する最小移動距離を算出した。そして算出した最小移動距離を、予め設定したスキャン速度Vs、繰り返し周期T及びθ=0°と共に式(2)に代入して、レーザードーピングを行う際の液体4の流速Vfの最低速度を算出した。そして算出した流速Vfの最低速度より大きい値で流速Vfを設定し、設定した流速Vfで液体4を移動させ、レーザードーピングを行った。本発明の実施の形態に係る半導体素子の製造方法では、先行の照射領域から生じた気泡が、後続の照射領域を形成するためのレーザー光12のショットに干渉することがなく、所望の濃度及び深さで不純物元素を導入した第1の半導体領域21を形成することができた。
(比較例)
一方、図10(b)に、比較例に係る不純物導入方法を用いて製造した半導体素子の上面の状態を示す。比較例に係る半導体素子の製造では、スキャン方向と液体4の液流方向とが同じ向き(θ=0°)のスキャン動作を行った。比較例では、式(1)及び式(2)を用いて設定された液体4の流速Vfの最低速度以下の値で流速Vfを設定すると共に、設定した流速Vfで、図10(a)の場合と同様に図中の上から下に向かって液体4を移動させてレーザードーピングを行い、第1の半導体領域21を形成した。
このとき、図11に示すように、先行の照射領域2aから生じた気泡1aが、液体4中で浮上しつつ、図11中の実線矢印で示すように、液体4の移動に伴い押し流されて液流方向(図11中の左側から右側)に移動した。このとき、気泡1aが後続の照射領域2bを形成するレーザー光12bの照射位置の内側に入った。後続のレーザー光12bの後に繰り返し照射されたレーザー光の照射の際にも、それぞれ一つ直前の照射領域から発生した気泡が対応する照射位置の内側に入り、半導体基板2の上面上には、図10(b)に示すように、気泡1aがレーザー光12bに干渉した痕跡である複数の円弧状の模様21a〜21gが連続して形成された。そのため、比較例に係る半導体素子の製造方法では、所望の濃度及び深さで不純物元素を導入した第1の半導体領域21を形成することができなかった。
本発明の実施の形態に係る不純物導入方法によれば、レーザー光12a,12bの照射領域2a,2bの特徴寸法L、照射領域2a,2bの重ね合わせ率c及び照射領域2aから発生した気泡1aの半径r及びスキャン方向と気泡1aの移動方向とがなす角度θ、レーザー光12a,12bの繰り返し周期Tを用いて、気泡1aが後続のレーザー光12bに干渉しないように、気泡1aが移動する最小移動距離を算出する。そして算出された最小移動距離と、繰り返し周期Tとスキャン速度Vsと角度θとに応じて、液体4の流速Vfの最低速度を算出し、算出された流速Vfの最低速度より大きな流速Vfを設定し、設定した流速Vfで液体4を半導体基板2の表面上で移動させて半導体基板2の内部の一部に不純物元素を導入するレーザードーピングを行う。よって先行のレーザー光12aのショットにより発生した気泡1aが、後続のショットを行うレーザー光12bに干渉することを防止できる。
また本発明の実施の形態に係る不純物導入方法によれば、後続のレーザー光12bが気泡1aへ衝突しないように液体4の流速Vfを設定して、レーザードーピングを行うので、不純物元素を含む液体4の流動方向が、スキャン方向と同方向、逆方向、直交方向のように異なるパターンであっても、気泡1aの後続のレーザー光12bへの干渉を抑え、所望のレーザードーピングを行うことが可能となる。よって液体4の液流方向を切り替える装置や切り替える作業が不要となり、不純物導入装置100を簡易に構成できる。
また半導体基板2を液体4に浸漬させて行うレーザードーピングでは、液体移動装置40から、比較的微量の液体4を注入しつつ半導体基板2の上面上で循環させながら行うため、移動する液体4の流速Vfを処理中に大きく変化させるように制御する作業は、精密に行うことが非常に困難である。そのため液体4の流速Vfは、処理中は略一定に固定されるか、或いは変動させても大きく変動させることは少ない。本発明の実施の形態に係る不純物導入方法では、スキャン方向が、液体4の液流方向と逆向きから同じ向きに切り替わっても、切り替えに応じて液体4の流速Vfを早めるように制御する必要がなく、往復移動するスキャン動作であっても、液体4を一定の流速Vfとし、容易にレーザードーピングを行うことができる。
また気泡1aと後続のレーザー光12bとの干渉を回避するために、例えばレーザー光12a,12bを液体4の液流方向に対して斜め上方から照射する必要がなく、図1に示したように、液体4の液流方向に対して略直交する方向から照射可能となる。よってレーザー光12a,12bが半導体基板2の上面に到達するまでの間、不必要に減衰することがないと共に、半導体基板2に対してレーザー光12a,12bが斜めに照射されるように、レーザー光学系20の配置を調整する手間がかからず、不純物導入装置100を簡易に構成できると共に、レーザードーピングを容易に行える。
本発明は上記のとおり開示した実施の形態によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかになると考えられるべきである。
(第2の実施の形態)
例えば、本発明に係る不純物導入方法は、図12に示すような不純物導入装置101で行われてもよい。本発明の第1の実施の形態に係る不純物導入装置100では、支持台3上に蓄液装置(液槽5)を載置して、この液槽5の内側に蓄積された液体4の中に半導体基板2を浸漬して配置し、この半導体基板2から離間して配置された供給ブロック10を用いて半導体基板2の上面上で液体4を移動させてレーザードーピングを行った。
本発明の第2の実施の形態に係る不純物導入装置101の場合、支持台3上に半導体基板2を直接載置し、不純物元素を含む液体4が半導体基板2の表面に接触するように内側に液体4を蓄える蓄液装置をなす壁ブロック30を半導体基板2の上面上に配置する。壁ブロック30により半導体基板2の上面上で液体4を局在させ、内側で液体4を移動させる。半導体基板2全体を液体4中に浸漬させることなく、半導体基板2の上面上に局所的に液体4の層を形成してレーザードーピングを行う点が、図1に示した不純物導入装置100と異なる。
壁ブロック30は、符号の付記を省略する凹部が中央に貫通形成された略矩形状の本体枠31と、凹部を覆うように本体枠31の内側に水平に架け渡されて設けられた透過窓33とを備える。壁ブロック30の本体枠31は、X方向及びY方向のそれぞれの長さが、半導体基板2のX方向及びY方向のそれぞれの長さよりいずれも短い。凹部の軸はレーザー光12の軸と平行であり、レーザー光12は凹部を貫通して半導体基板2の上面上を移動する液体4の液流方向に対して直交(85°程度〜95°程度)するように照射される。
壁ブロック30の本体枠31には、凹部の内側に液体4を注入させる注入孔34と、凹部から液体4を排出させる排出孔36とが形成されている。図示を省略するが注入孔34と同様の構造をなす複数の注入孔が、本体枠31の注入孔34と同じ側に設けられている。また同様に図示を省略するが排出孔36と同様の構造をなす複数の排出孔が、本体枠11の排出孔36と同じ側に設けられている。すなわち液体4は、壁ブロック30の注入孔34側の一辺から、排出孔36側の他辺に向かって移動する。壁ブロック30は、液槽5の外側から供給される液体4を半導体基板2の上面の照射予定位置を挟んで移動させて、半導体基板2の上面上に液体4の層を形成し、不純物元素を半導体基板に接触させる。
壁ブロック30の凹部には、図1に示した不純物導入装置100と同様に、透過窓33が設けられ、透過窓33を介して液体4の液流方向に直交するように半導体基板2の上方からレーザー光12が照射される。また壁ブロック30と半導体基板2の上面との間隔は、内側に囲い込んだ液体4が表面張力によって外側へ流出しない長さに設定されている。間隔は、例えば85重量%濃度のリン酸(HPO)溶液を液体4として用いる場合、200μm以下で設定されることが好ましい。尚、第2の実施の形態に係る不純物導入装置101を構成するレーザー光学系20、液体移動装置40、演算制御装置51等の機能は、図1に示した第1の実施の形態に係る不純物導入装置100中で同じ符号を付記した装置等と同様であるため、繰り返しの説明を省略する。
次に、図12に示した不純物導入装置101を用いた第2の実施の形態に係る不純物導入方法を説明する。まず、図12に示すように、半導体基板2を、上面を支持台3と反対側に向けて支持台3の上面上に載置し固定する。次に、半導体基板2上で不純物元素をドーピングさせる照射目標位置に応じた基準マークの位置を、レーザー光12の光軸に合致させるように、レーザー光学系20をX方向及びY方向に所定量移動させる。
次に、壁ブロック30の凹部の内側に液体4を供給して、半導体基板2の上面上に液体4の存在する領域を形成すると共に、液体4を一定の流速Vfで注入孔34側から排出孔36側へ移動させ、壁ブロック30の内側と外側とで液体移動装置40を介して循環させる。次に、半導体基板2上の照射目標位置に対してレーザー光12の光パルスを一定の繰り返し周波数fで掃引してスキャン照射し、照射位置の下側に不純物元素がドーピングされた照射領域を形成する。
図12中には、右向きの白抜き矢印で示すようにX−Y移動ステージ8が図中の左側から右側に移動しながらレーザー光12の光パルスをスキャン照射することにより、レーザー光12をX−Y移動ステージ8の移動方向と反対側の方向にスキャンさせ、半導体基板2の上面上に4個の照射領域2a,2b,2c,2dが、逐次的に形成された状態が例示されている。このとき、先行のレーザー光12aのショットにより気泡1aが発生しても、気泡1aの移動距離dは、連続する2つのショット間における最大移動範囲を超えるので、気泡1aは後続のショットに干渉しない。よって不純物元素を所望の濃度及び深さとするレーザードーピングを行うことができる。また第2の実施の形態に係る不純物導入方法を用いて、第1の実施の形態に係る不純物導入方法と同様に、半導体素子の製造方法を構成することができる。
(その他の実施の形態)
上記した第1及び第2の実施の形態に係る不純物導入方法では、スキャン速度Vs、照射領域の特徴寸法L、重ね合わせ率c、気泡の半径rの値を予め設定した上で、式(1)及び式(2)を用いて角度θに応じて、最小移動距離を算出し、算出した最小移動距離に応じて、レーザードーピング時に移動させる液体4の流速Vfを設定した。しかし式(1)及び式(2)は、スキャン速度Vs、特徴寸法L、重ね合わせ率c及び気泡の半径rの値を、レーザードーピングに適した値となるようにそれぞれ変化させて設定する際にも用いることが可能である。
以上のとおり本発明は、上記に記載していない様々な実施の形態等を含むとともに、本発明の技術的範囲は、上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
1a,1f,1h 気泡
2 半導体基板
2a〜2k 照射領域
3 支持台
4 液体
5 液槽(蓄液装置)
8 X−Y移動ステージ
10 供給ブロック
12 レーザー光
14 注入ノズル
16 排出ノズル
20 レーザー光学系
21 第1の半導体領域
40 液体移動装置
51 演算制御装置
52 流速制御部
53 光源制御部
54 基板移動制御部
55 移動ステージ駆動装置
100 不純物導入装置
511 気泡移動距離算出回路
512 流速算出回路
c 重ね合わせ率
d 気泡の移動距離
f 繰り返し周波数
r 気泡の半径
θ スキャン方向と液流方向とがなす角度
L 照射領域の特徴寸法
Vf 液体の流速
Vs スキャン速度

Claims (13)

  1. 不純物元素を含む液体が半導体基板の表面に接触するように内側に前記液体を蓄える蓄液装置と、
    前記液体を前記半導体基板の表面上で一定の流速で移動させる液体移動装置と、
    前記半導体基板の表面に前記液体を介して光パルスを一定寸法の照射領域でスキャン照射するレーザー光学系と、
    前記半導体基板の主面に平行な面内に定義されるX−Y方向に前記蓄液装置を介して前記半導体基板を自在に移動させるX−Y移動ステージと、
    前記液体移動装置及び前記X−Y移動ステージを制御すると共に、前記照射領域の前記液体の液流方向に沿った特徴寸法と、前記照射領域の重ね合わせ率と、前記液体中に発生する気泡の半径とを考慮して前記液体の流速及び前記光パルスのスキャン速度を設定する演算制御装置と、
    を備え、
    前記設定された流速で前記液体を移動させると共に、前記設定されたスキャン速度で前記半導体基板を移動させ、前記半導体基板の内部の一部に前記不純物元素を導入し、
    前記演算制御装置は、
    前記液体中にスキャン照射される連続した2つの前記光パルスのショットのうち先行のショットにより発生した前記気泡が、前記2つの光パルスの繰り返し周期の間に、前記液体の液流方向に沿って移動する最小移動距離を、前記特徴寸法と、前記重ね合わせ率と、前記気泡の半径と、前記スキャンの方向と前記液流方向とがなす角度とから算出する気泡移動距離算出回路と、
    前記気泡が前記最小移動距離を移動するための前記液体の流速の最低速度を算出し、該算出された最低速度より大きい値で前記液体の流速を設定する流速算出回路と、
    を有することを特徴とする不純物導入装置。
  2. 前記流速算出回路は、前記液体の流速と前記スキャン速度とを組み合わせた前記気泡の移動速度から前記液体の流速を算出することを特徴とする請求項に記載の不純物導入装置。
  3. 前記気泡移動距離算出回路は、前記最小移動距離に前記気泡の半径を含んで、前記最小移動距離を算出することを特徴とする請求項に記載の不純物導入装置。
  4. 不純物元素を含む液体中に照射する光パルスの照射領域の前記液体の液流方向に沿った特徴寸法と、前記照射領域の重ね合わせ率と、前記液体中に発生する気泡の半径とを考慮して、前記液体の流速及び前記光パルスの半導体基板の表面上へのスキャン速度を設定し、
    前記液体を前記半導体基板の表面上に前記設定された流速で移動させると共に、前記光パルスを、前記液体を介して前記半導体基板に前記設定されたスキャン速度でスキャン照射して、前記半導体基板の内部の一部に前記不純物元素を導入し、
    前記液体の流速を設定する処理は、
    前記スキャン照射される連続した2つの前記光パルスのショットのうち先行のショットにより発生した前記気泡が、前記2つの光パルスの繰り返し周期の間に、前記液体の液流方向に沿って移動する最小移動距離を、前記特徴寸法と、前記重ね合わせ率と、前記気泡の半径と、前記スキャンの方向と前記液流方向とがなす角度とから算出する工程と、
    前記気泡が前記最小移動距離を移動するための前記液体の流速の最低速度を算出し、該算出された最低速度より大きい値で前記液体の流速を設定する工程と、
    を含むことを特徴とする不純物導入方法。
  5. 前記液体の流速の最低速度を算出する処理は、前記液体の流速と前記スキャン速度とを組み合わせた前記気泡の移動速度を用いて行うことを特徴とする請求項に記載の不純物導入方法。
  6. 前記最小移動距離を算出する処理は、前記最小移動距離に前記気泡の半径を含んで行うことを特徴とする請求項に記載の不純物導入方法。
  7. 前記照射領域は矩形状であり、前記スキャン方向は、前記照射領域の矩形の短辺に沿った方向であることを特徴とする請求項に記載の不純物導入方法。
  8. 前記スキャンが往復動作である場合、前記液体の液流方向を前記スキャン方向に直交させて前記光パルスをスキャン照射することを特徴とする請求項に記載の不純物導入方法。
  9. 不純物元素を含む液体中に照射する光パルスの照射領域の前記液体の液流方向に沿った特徴寸法と、前記照射領域の重ね合わせ率と、前記液体中に発生する気泡の半径とを考慮して、前記液体の流速及び前記光パルスの半導体基板の表面上へのスキャン速度を設定し、
    前記液体を前記半導体基板の表面上に前記設定された流速で移動させ、前記光パルスを、前記液体を介して前記半導体基板に前記設定されたスキャン速度でスキャン照射して、前記半導体基板の内部の一部に前記不純物元素を導入し、第1の半導体領域を形成し、
    前記液体の流速を設定する処理は、
    前記スキャン照射される連続した2つの前記光パルスのショットのうち先行のショットにより発生した前記気泡が、前記2つの光パルスの繰り返し周期の間に、前記液体の液流方向に沿って移動する最小移動距離を、前記特徴寸法と、前記重ね合わせ率と、前記気泡の半径と、前記スキャンの方向と前記液流方向とがなす角度とから算出する工程と、
    前記気泡が前記最小移動距離を移動するための前記液体の流速の最低速度を算出し、該算出された最低速度より大きい値で前記液体の流速を設定する工程と、
    を含むことを特徴とする半導体素子の製造方法。
  10. 前記液体の流速の最低速度を算出する処理は、前記液体の流速と前記スキャン速度とを組み合わせた前記気泡の移動速度を用いて行うことを特徴とする請求項に記載の半導体素子の製造方法。
  11. 前記最小移動距離を算出する処理は、前記最小移動距離に前記気泡の半径を含んで行うことを特徴とする請求項10に記載の半導体素子の製造方法。
  12. 前記照射領域は矩形状であり、前記スキャン方向は、前記照射領域の矩形の短辺に沿った方向であることを特徴とする請求項11に記載の半導体素子の製造方法。
  13. 前記スキャンが往復動作である場合、前記液体の液流方向を前記スキャン方向に直交させて前記光パルスをスキャン照射することを特徴とする請求項12に記載の半導体素子の製造方法。
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