以下、本発明に係る框体について、この框体を備える建具との関係で好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る建具10を室内側から見た正面図である。また、図2は、図1に示す建具10の縦断面図であり、図3は、図1に示す建具10の横断面図である。
図1〜図3に示すように、建具10は、建物の躯体開口部に固定される開口枠12と、開口枠12の内側にスライド可能に配設された一対の障子14,15とを備える。本実施形態では、障子14,15をスライドさせることにより開口枠12の内側開口部を開閉可能な引違い窓の建具10を例示する。本発明は、引違い窓以外、例えば2枚の障子のうちで一方の障子のみがスライドする片引き窓や1枚の障子をはめ殺したはめ殺し窓、さらには障子を上下方向にスライドさせる上げ下げ窓や障子を見込み方向に開閉するすべり出し窓等、各種の建具に利用できる。
開口枠12は、上枠12aと、下枠12bと、左右の縦枠12c,12dとを四周枠組みすることで矩形の開口部を形成したものである。本実施形態では開口枠12として、室外側に配設される金属枠18と、室内側に配設される樹脂枠20とを組み合わせた複合構造の枠体を用いている(図2及び図3参照)。金属枠18は、アルミニウム等の金属の押出形材である。樹脂枠20は、塩化ビニル樹脂(PVC)等の樹脂の押出形材である。
上枠12aは、金属枠18の上枠部18aに樹脂枠20の上枠部20aを組み付けたものである。下枠12bは、金属枠18の下枠部18bに樹脂枠20の下枠部20bを組み付けたものである。縦枠12c,12dは、それぞれ金属枠18の縦枠部18c,18dに樹脂枠20の縦枠部20c,20dを組み付けたものである。開口枠12は、固定ねじ21を用いて建物の躯体に固定される。
図1〜図3に示すように、外障子となる室外側の障子14は、上枠12aの見込み面から突出したレール22と下枠12bの見込み面から突出したレール23との間に支持され、上枠12a及び下枠12bの長手方向に沿ってスライド可能である。障子14は、本実施形態に係る框体24によって面材26を保持した構成である。
本実施形態の場合、面材26は、スペーサ27を介して一対のガラス板28,29を互いに間隔を隔てて対面配置した2層の複層ガラスである。
框体24は、室外側に配設される金属框(金属製框材)30と、室内側に配設される樹脂框(樹脂製框材)32とを組み合わせた複合構造である。框体24は、四周の上框24a、下框24b、戸先框24c及び召合せ框24dと、内側に配置される面材26とを框組みして構成されている。金属框30はアルミニウム等の金属の押出形材である。樹脂框32は塩化ビニル樹脂(PVC)等の樹脂の押出形材である。
上框24aは、金属框30の上框部30aの室内側見付け面に樹脂框32の上框部32aを装着したものであり、これら上框部30a,32a間に面材26の上縁部を保持している。下框24bは、金属框30の下框部30bの室内側見付け面に樹脂框32の下框部32bを装着したものであり、これら下框部30b,32b間に面材26の下縁部を保持している。戸先框24cは、金属框30の戸先框部30cの室内側見付け面に樹脂框32の戸先框部32cを装着したものであり、これら戸先框部30c,32c間に面材26の戸先側縁部を保持している。召合せ框24dは、金属框30の召合せ框部30dの室内側見付け面に樹脂框32の召合せ框部32dを装着したものであり、これら召合せ框部30d,32d間に面材26の召合せ側縁部を保持している。
図2に示すように、上框24aは、レール22が摺動可能に挿入される開口溝34を上側の見込み面に有し、面材26が配置される面材配置溝36を下側の見込み面に有する。開口溝34及び面材配置溝36は上框24aの全長に渡って延在している。開口溝34は、金属框30の上框部30aに形成されている。面材配置溝36は、金属框30の上框部30aと樹脂框32の上框部32aとで構成されている。面材26は、面材配置溝36内で上框部30aに対して接着剤37で接着されると共に、上框部30aと上框部32aとの間に挟み込まれて保持される。
金属框30の上框部30aの室内側見付け面には、樹脂框32の上框部32aを装着するための係合溝(係合部)38,39が設けられている。係合溝38,39は、上框部30aの長手方向に沿って延在した溝部である。
一方の係合溝38は、開口溝34を構成する室内側の側壁の室内側見付け面上端部に配置された爪状の凹部であり、室内側に向かって突出し、上框部30aの長手方向に沿って延在した上下一対の壁部38a,38b間に形成されている。他方の係合溝39は、面材配置溝36の底部に配置された爪状の凹部であり、室内側に向かって突出し、上框部30aの長手方向に沿って延在した上下一対の壁部39a,39b間に形成されている。係合溝38,39は室内側に向かって開口しており、樹脂框32の上框部32aから突出した係合片40,41を見込み方向に向かって係合させることができる。係合片40,41は、上框部32aの長手方向に沿って延在した板状片である。樹脂框32の上框部32aは、平板状部材の室外側見込み面に係合片40,41を突設した構造である。
図2に示すように、下框24bは、レール23が摺動可能に挿入される開口溝44を下側の見込み面に有し、面材26が配置される面材配置溝46を上側の見込み面に有する。開口溝44及び面材配置溝46は下框24bの全長に渡って延在している。開口溝44は、金属框30の下框部30bに形成されている。面材配置溝46は、金属框30の下框部30bと樹脂框32の下框部32bとで構成されている。面材26は、面材配置溝46内で下框部30bに対して接着剤37で接着されると共に、下框部30bと下框部32bとの間に挟み込まれて保持される。
金属框30の下框部30bの室内側見付け面には、樹脂框32の下框部32bを装着するための係合溝38,39が設けられている。係合溝38,39は、下框部30bの長手方向に沿って延在した溝部である。
下框24bの係合溝38,39は上框24aの係合溝38,39と略同様な構造である。すなわち、一方の係合溝38は、開口溝44を構成する室内側の側壁の室内側見付け面下端部に配置された爪状の凹部であり、室内側に向かって突出し、下框部30bの長手方向に沿って延在した上下一対の壁部38b,38a間に形成されている。他方の係合溝39は、面材配置溝46の底部に配置された爪状の凹部であり、室内側に向かって突出し、下框部30bの長手方向に沿って延在した上下一対の壁部39b,39a間に形成されている。樹脂框32の下框部32bは、上框部32aと上下対称構造である点以外は略同様な構造であり、係合溝38,39に対して見込み方向から係合可能な係合片40,41を有する。係合片40,41は、下框部32bの長手方向に沿って延在した板状片である。
金属框30の下框部30bには、戸車48が配設されている。戸車48は、レール23の先端面上を転動することにより、障子14を開口枠12に対して円滑にスライド移動させるローラである。
図3に示すように、戸先框24cは、障子14を閉じた際に縦枠12cの見込み面から突出したヒレ部52が挿入される開口溝54を戸先側の見込み面に有し、面材26が配置される面材配置溝56を召合せ側の見込み面に有する。開口溝54及び面材配置溝56は戸先框24cの全長に渡って延在している。開口溝54は、金属框30の戸先框部30cに形成されている。面材配置溝56は、金属框30の戸先框部30cと樹脂框32の戸先框部32cとで構成されている。面材26は、面材配置溝56内で戸先框部30cに対して接着剤37で接着されると共に、戸先框部30cと戸先框部32cとの間に挟み込まれて保持される。
金属框30の戸先框部30cの室内側見付け面には、樹脂框32の戸先框部32cを装着するための係合溝38,39が設けられている。係合溝38,39は、戸先框部30cの長手方向に沿って延在した溝部である。
戸先框24cの係合溝38,39は上框24aや下框24bの係合溝38,39と略同様な構造である。すなわち、一方の係合溝38は、開口溝54を構成する室内側の側壁の室内側見付け面側端部に配置された爪状の凹部であり、室内側に向かって突出し、戸先框部30cの長手方向に沿って延在した左右一対の壁部38a,38b間に形成されている。他方の係合溝39は、面材配置溝56の底部に配置された爪状の凹部であり、室内側に向かって突出し、戸先框部30cの長手方向に沿って延在した左右一対の壁部39a,39b間に形成されている。樹脂框32の戸先框部32cは、上框部32aや下框部32bと略同様な構造であり、係合溝38,39に対して見込み方向から係合可能な係合片40,41を有する。係合片40,41は、戸先框部32cの長手方向に沿って延在した板状片である。
図3に示すように、召合せ框24dは、面材26が配置される面材配置溝58を戸先側の見込み面に有する。面材配置溝58は召合せ框24dの全長に渡って延在している。面材配置溝58は、金属框30の召合せ框部30dと樹脂框32の召合せ框部32dとで構成されている。面材26は、面材配置溝58内で召合せ框部30dに対して接着剤37で接着されると共に、召合せ框部30dと召合せ框部32dとの間に挟み込まれて保持される。
金属框30の召合せ框部30dの室内側見付け面には、樹脂框32の召合せ框部32dを装着するための係合溝39が設けられている。係合溝39は、召合せ框部30dの長手方向に沿って延在した溝部である。
召合せ框24dの係合溝39は上框24aや下框24bの係合溝39と略同様な構造である。すなわち、係合溝39は、面材配置溝58の底部に配置された爪状の凹部であり、室内側に向かって突出し、召合せ框部30dの長手方向に沿って延在した左右一対の壁部39b,39a間に形成されている。樹脂框32の召合せ框部32dは上框部32aや下框部32bと異なる略L字形状であり、L字の一辺が係合溝39に係合可能な係合片41となる。係合片41は、召合せ框部32dの長手方向に沿って延在した板状片である。
図2及び図3に示すように、内障子となる室内側の障子15は、上枠12aの見込み面から突出したレール60と下枠12bの見込み面から突出したレール61との間に支持され、上枠12a及び下枠12bの長手方向に沿ってスライド可能である。レール60,61は、室外側の障子14を案内するレール22,23よりも室外側に設けられているため、障子15は障子14に対して引違いにスライド可能である。
図2及び図3に示すように、障子15は、障子14とほとんど同一構造である。そこで、障子15については、上記した障子14の構成要素と対応する構成要素について同一の参照符号を付し、詳細な説明を省略する。
ところで、本実施形態に係る框体24は、各框24a〜24bの長手方向に沿って延在する係合溝38,39と係合片40,41とを係合させることで金属框30に樹脂框32を装着する構造である。この際、建具10はいわゆる縦勝ち框構造であり、例えば下框24bの端部が戸先框24c及び召合せ框24dの内側に挿入されて両者が連結されている(図1参照)。このため、環境温度の変化等の影響によって、例えば下框24bにおいて樹脂框32の下框部32bが金属框30の下框部30bよりも縮んだ場合には、下框部32bと戸先框24c及び召合せ框24dとの結合部分に隙間が形成される。そうすると、樹脂框32の下框部32bが金属框30の下框部30bに対して相対的に移動可能な状態となって長手方向にがたつきを生じる懸念がある。
そこで、本実施形態に係る框体24では、金属框30と樹脂框32とが相対的に位置ずれすることを防止する位置ずれ防止構造70を両者の係合部分に設けている。
位置ずれ防止構造70は、樹脂框32の各框部32a〜32dの伸縮を許容しつつその位置ずれを防止するために各框24a〜24dの長手方向一端部近傍に設けることが好ましい。そこで、図1に示すように位置ずれ防止構造70は、例えば各框24a〜24dの長手方向一端部近傍に設けられ、例えば上框24aでは戸先側端部近傍、下框24bでは戸先側端部近傍、戸先框24cでは下端部近傍、召合せ框24dでは下端部近傍に設けられる。
この位置ずれ防止構造70は、金属框30の係合溝39と樹脂框32の係合片41との間に設けられる。以下では、下框24bに設けた位置ずれ防止構造70を例示して具体的な構成例を説明するが、位置ずれ防止構造70は上框24a、戸先框24c及び召合せ框24dの係合溝39と係合片41との間にも同様に設けることができる。
図4は、下框24bの構造を示す要部拡大縦断面図であり、図4(A)は、図1中のIVA−IVA線に沿う断面図であり、図4(B)は、図1中のIVB−IVB線に沿う断面図である。つまり、図4(A)は位置ずれ防止構造70が設けられていない部分での下框24bの縦断面を示し、図4(B)は位置ずれ防止構造70が設けられた部分での下框24bの縦断面を示している。
図4(A)に示すように、金属框30の下框部30bに形成された係合溝39の内側には、係止凹部39c及び当接片39dが設けられている。係止凹部39cは、係合溝39の下壁となる壁部39aの開口端近傍の内面に設けられ、下框部30bの長手方向に延在している。当接片39dは、係合溝39の上壁となる壁部39bの開口端よりも奥側となる略中央部の内面から係合溝39の内側へと突出し、下框部30bの長手方向に延在している。
図4(B)に示すように、位置ずれ防止構造70は、係合溝39の上壁となる壁部39bの長手方向で一部を係合溝39の内側に向かって突出させた突出部72を有する。
図5は、下框24bの位置ずれ防止構造70が設けられた部分の構造を示す要部拡大図であり、図5(A)は、平面図であり、図5(B)は、縦断面図であり、図5(C)は、室内側から見た正面図である。
図5(A)〜図5(C)に示すように、突出部72は、係合溝39に設けられた当接片39dに重なる位置で壁部39bの上面側からポンチのような工具を打ち付けることにより、壁部39b及び当接片39dを係合溝39内に突出変形させた部分である。つまり、突出部72は、当接片39dの長手方向の一部を係合溝39の内側に向かってさらに突出させた構造である。突出部72は当接片39dからずれた位置に形成してもよい。但し、突出部72は、係合溝39の開口縁部から奥側にオフセットした位置に設けると、突出部72が係合溝39に対する係合片41の挿入を邪魔することが可及的に抑制されるため好ましい。
図5(C)に示すように、突出部72は壁部39b(下框24b)の長手方向に沿った山形状である。具体的には、突出部72の形状は壁部39bの長手方向に沿う方向で該壁部39bの内壁面から係合溝39の内側に向かって次第に突出するように傾斜して頂部を経た後、係合溝39の内側から壁部39bの壁面に向かって次第に戻るように傾斜することで壁部39bの長手方向に沿った稜線を有する形状となっている。これにより、突出部72は係合溝39への係合片41の挿入方向で見た場合に略V字形状となっている。なお、突出部72の前記頂部は、尖った形状であってもよく、ある程度平坦な形状やある程度の丸みを持った形状あってもよい。
上記の通り、位置ずれ防止構造70は、例えば下框24bの戸先側端部近傍に設けられる。従って、突出部72は金属框30の下框部30bの戸先側の端部Eから召合せ側に多少オフセットした位置に形成される(図5(A)及び図5(C)参照)。突出部72は、壁部39bの長手方向で図5(A)及び図5(C)に示す位置に並ぶように複数設けてもよい。
このような突出部72を有する框体24では、金属框30に樹脂框32を装着するに際し、係合片41を係合溝39に係合させた後、係合片40を係合溝38に係合させる。この際、位置ずれ防止構造70が設けられていない部分では、係合片41の下面に設けられた係止爪41aが係止凹部39cに係止され、係合片41の上面が当接片39dによって押さえ付けられる(図4(A)参照)。一方、位置ずれ防止構造70が設けられた部分では、係合溝39に挿入された係合片41の上面に対して突出部72の頂部が食い込むように当接する(図4(B)参照)。
その結果、樹脂框32が金属框30に対して見込み方向に抜け止めされた状態で装着される。同時に突出部72の頂部が係合片41に食い込んだ状態となるため、金属框30と樹脂框32との長手方向への相対的な位置ずれが防止される。
この際、係合片40の係合溝38への係合方向前側の面には、この係合方向に対して傾斜した傾斜面(傾斜部)40aが設けられている。具体的には、傾斜面40aは、係合方向後側に向かって次第に傾斜することで、係合片40先端の係合溝38の開口縁部への引っ掛かりを低減する形状となっている。この傾斜面40aを設けたことにより、係合片41を係合溝39に係合させた後、残りの係合片40を係合溝38に対してより円滑に挿入し、係合させることができる。このような傾斜面40aは、係合溝38の開口縁部に設けてもよく、両者に設けてもよい。
しかも、係合片41の係止爪41aの係合溝39への係合方向前側の面には、この係合方向に対して傾斜した傾斜面(傾斜部)41bが設けられている。具体的には、傾斜面41bは、係合方向後側に向かって次第に傾斜することで、係止爪41aの係合溝39の開口縁部への引っ掛かりを低減する形状となっている。このため、突出部72が設けられた係合溝39に対しても係合片41をより円滑に挿入し、係合させることができる。このような傾斜面41bは、係合片41の係合方向先端面に設けてもよく、係合溝39の開口縁部に設けてもよく、これらの一部又は全部に設けてもよい。なお、この構成例の場合、少なくとも後から係合させる係合片40に傾斜面40aを設けておけば金属框30と樹脂框32とを円滑に係合させることができるため、先に係合させる係合片41の傾斜面41bは省略してもよい。
図6は、変形例に係る位置ずれ防止構造80を設けた下框24bの構造を示す要部拡大縦断面図であり、図6(A)は、図1中のVIA−VIA線に沿う断面図であり、図6(B)は、図1中のVIB−VIB線に沿う断面図である。つまり、図6(A)は位置ずれ防止構造80が設けられていない部分での下框24bの縦断面を示し、図6(B)は位置ずれ防止構造80が設けられた部分での下框24bの縦断面を示している。
位置ずれ防止構造80は、金属框30の係合溝38と樹脂框32の係合片40との間に設けられる。以下では、下框24bに設けた位置ずれ防止構造80を例示して具体的な構成例を説明するが、位置ずれ防止構造80は上框24a及び戸先框24cの係合溝38と係合片40との間にも同様に設けることができる。位置ずれ防止構造80の形成位置は位置ずれ防止構造70と同位置でよく、例えば各框24a〜24dの長手方向で一端部近傍に設けられる。位置ずれ防止構造80は、上記した位置ずれ防止構造70と併用してもよく、いずれか一方のみを用いてもよい。
図6(A)に示すように、金属框30の下框部30bに形成された係合溝38の開口端には、係合片40の先端に当接してこれを係止する爪状の当接片38cが設けられている。当接片38cは、係合溝38の上壁となる壁部38bの先端部分から係合溝38の内側へと突出し、下框部30bの長手方向に延在している。
図6(B)に示すように、位置ずれ防止構造80は、係合溝38の上壁となる壁部38bの長手方向で一部を係合溝38の内側に向かって突出させた突出部82を有する。
図7は、下框24bの図6に示す位置ずれ防止構造80が設けられた部分の構造を示す要部拡大図であり、図7(A)は、平面図であり、図7(B)は、縦断面図であり、図7(C)は、室内側から見た正面図である。
図7(A)〜図7(C)に示すように、突出部82は、係合溝38に設けられた当接片38cに重なる位置で壁部38bの上面側からポンチのような工具を打ち付けることにより、壁部38b及び当接片38cを係合溝38内に突出変形させた部分である。つまり、突出部82は、当接片38cの長手方向の一部を係合溝39の内側に向かってさらに突出させた構造である。突出部82は当接片38cからずれた位置に形成してもよい。但し、突出部82は、係合溝38の開口縁部から奥側にオフセットした位置に設けると、突出部82が係合溝38に対する係合片40の挿入を邪魔することが可及的に抑制されるため好ましい。
図7(C)に示すように、突出部82は上記した突出部72と略同様、壁部38b(下框24b)の長手方向に沿った山形状である。具体的には、突出部82の形状は壁部38bの長手方向に沿う方向で該壁部38bの内壁面から係合溝38の内側に向かって次第に突出するように傾斜して頂部を経た後、係合溝38の内側から壁部38bの壁面に向かって次第に戻るように傾斜することで壁部39bの長手方向に沿った稜線を有する形状となっている。これにより、突出部82は係合溝38への係合片40の挿入方向で見た場合に略V字形状となっている。なお、突出部82の前記頂部は、尖った形状であってもよく、ある程度平坦な形状やある程度の丸みを持った形状あってもよい。
突出部82の下框24bの長手方向での形成位置は、上記した突出部72と同位置でよく、例えば金属框30の下框部30bの戸先側の端部Eから召合せ側に多少オフセットした位置に1又は複数が形成される(図7(A)及び図7(C)参照)。
このような突出部82を有する框体24では、金属框30に樹脂框32を装着するに際し、係合片40を係合溝38に係合させた後、係合片41を係合溝39に係合させる。この際、位置ずれ防止構造80が設けられていない部分では、係合片40の先端が当接片38cに係止される(図6(A)参照)。一方、位置ずれ防止構造80が設けられた部分では、係合溝38に挿入された係合片40の先端に対して突出部82の頂部が食い込むように当接する(図6(B)参照)。
その結果、樹脂框32が金属框30に対して見込み方向に抜け止めされた状態で装着される。同時に突出部82の頂部が係合片40に食い込んだ状態となるため、金属框30と樹脂框32との長手方向への相対的な位置ずれが防止される。
この際、係合片41の係止爪41aの係合溝39への係合方向前側の面には、上記した傾斜面41bが設けられているため、係合片40を係合溝38に係合させた後、残りの係合片41を係合溝39に対してより円滑に挿入し、係合させることができる。しかも、係合片40の係合溝38への係合方向前側の面には、上記した傾斜面40aが設けられているため、突出部82が設けられた係合溝38に対しても係合片40をより円滑に挿入し、係合させることができる。なお、この構成例の場合、少なくとも後から係合させる係合片41に傾斜面41bを設けておけば金属框30と樹脂框32とを円滑に係合させることができるため、先に係合させる係合片40の傾斜面40aは省略してもよい。
以上のように、本実施形態に係る框体24は、金属框30の長手方向に沿って延びた係合溝39(38)に対し、樹脂框32の長手方向に沿って延びた係合片41(40)を係合させることで金属框30に樹脂框32を装着する構成であり、一方の係合溝39(38)の側壁となる一対の壁部39a,39b(38a,38b)のうちの少なくとも一方の壁部39b(38b)には、その長手方向の一部から係合溝39(38)の内側に向かって突出して係合片41(40)に当接する突出部72(82)が設けられ、他方の係合片40(41)及び他方の係合溝38(39)の開口縁部のうちの少なくとも一方には、該係合片40(41)の該係合溝38(39)に対する係合方向に対して傾斜した傾斜面40a(41b)が設けられている。また、当該框体24では、係合溝39(38)の側壁となる一対の壁部39a,39b(38a,38b)のうちの少なくとも一方の壁部39b(38b)には、壁部39b(38b)の長手方向の一部から係合溝39(38)の内側に向かって突出した突出部72(82)が設けられており、突出部72(82)が設けられた係合溝39(38)に係合片41(40)を係合させることで突出部72(82)を係合片41(40)に当接させて金属框30に樹脂框32を装着している。
従って、このような框体24及びこの框体24を用いた障子14,15を有する建具10では、係合溝39(38)に設けられた突出部72(82)が係合片41(40)に当接し、これを押圧するように食い込んだ状態で金属框30と樹脂框32とが係合固定されるため、金属框30と樹脂框32との長手方向への相対的な位置ずれが防止される。これにより、例えば環境温度の影響によって樹脂框32が金属框30よりも縮んだ場合であっても、樹脂框32が金属框30に対して長手方向に位置ずれを生じることがない。その結果、金属框30と樹脂框32との間のがたつきの発生を抑制でき、高い製品品質を確保することができる。なお、金属框30と樹脂框32とを連結する係合部は、係合溝39及び係合片41の組と、係合溝38と係合片40の組との2組以外、例えば3組以上設けてもよい。
この場合、框体24及び建具10では、金属框30に突出部72(82)を設けるだけで樹脂框32のがたつきを防止できるため、樹脂框32に対する位置ずれ防止構造のための加工が不要であり、コストの増加を最小限に抑えることができる。しかも、金属框30に対して樹脂框32を装着するだけで突出部72(82)による位置ずれ防止構造70(80)が構築されるため、組立作業の効率低下もない。
しかも、例えば互いの係合深さ(かかり量)が大きい一方の係合片41と一方の係合溝39とを先に係合させた後、他方の係合片40と他方の係合溝38とを係合させる組付手順とすると、その作業性が高くなるため、後から係合させる他方の係合片40又は他方の係合溝38の開口縁部に傾斜面40aを設けておくと、組付作業の作業性が一層向上する。勿論、他方の係合片40と他方の係合溝38とを先に係合させた後、一方の係合片41と一方の係合溝39とを係合させる組付手順としてもよく、その場合には、後から係合させる一方の係合片41又は一方の係合溝39の開口縁部に傾斜面41bを設けておくと、組付作業の作業性が向上する。
突出部72(82)は壁部39b(38b)の長手方向に沿った山形状であるため、その破断面が係合溝39(38)の開口端に向かって露出しない。このため、係合片41(40)を係合溝39(38)に対して挿入して係合させる際に突出部72(82)が大きな負荷となることがなく、組立作業効率に対する影響がほとんど出ない。特に、突出部72は係合溝39の開口端よりも奥側となる位置に設けられているため、係合片41を係合溝39に挿入する際の負荷がより低減される。
ところで、当接片39d(38c)を有した構造で該当接片39d(38c)からずれた位置に突出部72(82)を設けた場合、該突出部72(82)が係合片41(40)に当接してこれを押圧するためには、突出部72(82)の突出量を当接片39d(38c)よりも大きく形成する必要がある。そこで、突出部72(82)を係合溝39(38)に設けられた当接片39d(38c)と重なる位置に設けることにより、突出部72(82)を僅かな突出量で係合片41(40)に対して確実に食い込んだ状態とすることができ、またその加工も容易である。
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
例えば上記実施形態では、係合溝39を構成する一方の壁部39b(38b)に突出部72(82)を設けた構成を例示したが、突出部72(82)は他方の壁部39a(38a)に設けてもよく、係合溝39(38)及び係合片41(40)の形状等によっては両壁部39a,39b(38a,38b)に設けてもよい。また、突出部72,82を併用しても勿論よい。
上記実施形態では、2つの係合溝38,39に対し2つの係合片40,41を係合させる構成を例示したが、係合片40,41を係合させる金属框30の2つの係合部は、少なくとも一方が係合溝であればよく、他方は係合片を係合可能な形状であれば溝形状でなくてもよい。また、係合部の設置数は3以上であってもよい。