以下、本発明の実施の形態に係る使用済み吸収性物品の構成部材からリサイクル製品を製造する方法について説明する。ただし、使用済み吸収性物品とは、使用者によって使用された吸収性物品であり、通常、使用者の液体の排泄物を吸収した状態の吸収性物品である。ただし、本実施の形態では、使用済み吸収性物品は、使用されたが排泄物を吸収していないものや、未使用のものを含む。
吸収性物品の構成例について説明する。吸収性物品は、表面シートと、裏面シートと、表面シートと裏面シートとの間に配置された吸収体とを備える。吸収性物品としては、例えば紙おむつ、尿取りパッド、生理用ナプキン、ベッドシート、ペットシートが挙げられる。表面シート、裏面シート及び吸収体は、不織布、フィルム、パルプ繊維、高吸水性ポリマーなどの構成部材から形成され、それらが接着剤等により互いに接合される。吸収性物品の大きさの一例としては長さ約15〜100cm、幅5〜100cmが挙げられる。
表面シートの構成部材としては、例えば不織布又はフィルムが挙げられ、具体的には液透過性の不織布、液透過孔を有する合成樹脂フィルム、これらの複合シート等が挙げられる。裏面シートの構成部材としては、例えば不織布又はフィルムが挙げられ、具体的には液不透過性の不織布、液不透過性の合成樹脂フィルム、これら不織布と合成樹脂フィルムとの複合シートが挙げられる。ここで、不織布や合成樹脂フィルムの材料としては、吸収性物品として使用可能であれば特に制限はないが、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、6−ナイロン、6,6−ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリエチレンタレフタレート(PET)、ポリブチレンテレタレート(PBT)等のポリエステル系樹脂等が挙げられ、中でもポリエチレンが好ましい。
本実施の形態では、吸収性物品の表面シート及び裏面シートの少なくとも一方は、構成部材としてフィルムを含んでいるが、以下では、裏面シートの構成部材をフィルムとし、表面シートの構成部材を不織布とする吸収性物品を例にして説明する。
なお、裏面シートは、厚さ方向の吸収体とは反対の側に通気性の外装シートを含んでもよい。外装シートの構成部材としては、裏面シートと同様の構成部材を使用できる。外装シートは裏面シートに接着剤で接合される。更に、表面シートは、幅方向の両外側に撥水性のサイドシートを含んでいてもよい。サイドシートの構成部材としては、撥水処理を施した不織布、通気性を有する合成樹脂フィルムが挙げられる。サイドシートは表面シートに接着剤で接合される。本実施の形態において、吸収性物品に外装シートやサイドシートを含む場合、フィルムには外装シートやサイドシートを含んでもよい。
上述の構成部材であるフィルムに液透過性や通気性などを付与する場合、すなわちフィルムを多孔質にする場合については、フィルム内にフィラー(無機充填材)を含有させる場合がある。それにより、フィルムの樹脂とフィラーとの界面に生じる剥離により、フィルムに多数の孔が形成される。フィラーの材料としては、吸収性物品として使用可能であれば特に制限はないが、例えば、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、炭酸バリウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化チタン、タルク、シリカ、クレー、カオリン、アルミナ、マイカ、又はこれらの少なくとも2種類の組み合わせが挙げられる。
吸収体の構成部材としては吸収体材料、すなわちパルプ繊維及び高吸水性ポリマーが挙げられる。パルプ繊維としては、吸収性物品として使用可能であれば特に制限はないが、例えば、セルロース系繊維が挙げられる。セルロース系繊維としては、例えば木材パルプ、架橋パルプ、非木材パルプ、再生セルロース、半合成セルロース等が挙げられる。高吸収性ポリマー(SuperAbsorbent Polymer:SAP)としては、吸収性物品として使用可能であれば特に制限はないが、例えばポリアクリル酸塩系、ポリスルホン酸塩系、無水マレイン酸塩系の吸水性ポリマーが挙げられる。
吸収体の一方の面及び他方の面は、それぞれ表面シート及び裏面シートに接着剤を介して接合されている。平面視で、表面シートのうちの、吸収体を囲むように、吸収体の外側に延出した部分(周縁部分)は、裏面シートのうちの、吸収体を囲むように、吸収体の外側に延出した部分(周縁部分)と接着剤を介して接合されている。したがって、吸収体は表面シートと裏面シートとの接合体の内部に包み込まれている。接着剤としては、吸収性物品として使用可能であり、後述の温水により軟化等して接合力が低下するものであれば特に制限はないが、例えばホットメルト型接着剤が挙げられる。ホットメルト型接着剤としては、例えばスチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン、スチレン−ブタジエン−スチレン、スチレン−イソプレン−スチレン等のゴム系主体、又はポリエチレン等のオレフィン系主体の感圧型接着剤又は感熱型接着剤などが挙げられる。
次に、本実施の形態に係る使用済み吸収性物品の構成部材からリサイクル製品を製造する方法について、具体的に説明する。本実施の形態では、使用済みの吸収性物品を、再利用(リサイクル)のために外部から回収、収集又は取得して用いる。また、本実施の形態では、個々の使用済みの吸収性物品は、排泄物が表側に露出しないように、かつ、臭気が周囲に拡散しないように、排泄物が排泄される表面シートを内側にして、丸められた状態や折り畳まれた状態で回収等される。なお、使用済みの吸収性物品は丸められた状態等でなくてもよい。
図1は、使用済み吸収性物品の構成部材からリサイクル製品を製造する方法に係る一実施の形態の示すフローチャートである。本方法は、複数の前記使用済み吸収性物品を、少なくとも複数のフィルムと吸収体材料とに分離する材料分離工程S1と、分離された複数のフィルムを、フィラーの含有率に応じて複数の種類のリサイクル用フィルムに分別するフィルム分別工程S2と、分別された複数の種類のリサイクル用フィルムを用いて、フィラーの含有率に応じた複数の種類のリサイクル樹脂ペレットを形成するペレット形成工程S3と、を少なくとも備える。以下、各工程について説明する。
図2は、図1の材料分離工程を示すフローチャートである。材料分離工程S1は、複数の使用済み吸収性物品を、少なくとも複数のフィルムと吸収体材料とに分離する工程であり、本実施の形態では、少なくとも複数のフィルムと、複数の不織布と、吸収体材料とに分離する工程である。材料分離工程S1は、好ましくは、複数の使用済み吸収性物品を水で膨潤させる前処理工程S11と、膨潤した複数の使用済み吸収性物品に物理的な衝撃を与えて、複数の使用済み吸収性物品を、少なくとも複数のフィルムと吸収体材料とに分解する分解工程S12と、分解された複数のフィルムと吸収体材料とを分離する分離工程S13と、を備える。
前処理工程S11は、複数の使用済みの吸収性物品を、外部から回収等したときの状態のまま、すなわち破壊や切断など行なわず、丸められた状態又は折り畳まれた状態であればその状態のまま(すなわち元の形状のまま)、かつ吸収体の高吸水性ポリマーの不活化もせず、水を吸収させて膨潤させる。ただし、本実施の形態では、使用済みの吸収性物品に温水を吸収させて膨潤させるか、又は、水を吸収させ膨張させた後に吸収された水を加熱して温水にする。温水とは、常温(20℃±15℃(5〜35℃):JIS Z 8703)よりも高い温度の水をいう。
通常、使用済みの吸収性物品に実際に吸収されている液状の排泄物の量は、吸収性物品が吸収可能な最大吸収量と比べて非常に小さい(例示:最大吸収量の約10〜20質量%)。本実施の形態では、前処理工程S11において、使用済み吸収性物品を温水に浸すことで、使用済み吸収性物品の最大吸収量に近い量(例示:最大吸収量の80質量%以上)まで水を吸収させる。又は、使用済み吸収性物品を常温の水に浸し、使用済み吸収性物品の最大吸収量に近い量まで水を吸収させた後、温水の温度まで使用済み吸収性物品全体を加熱する。それにより、使用済み吸収性物品を、温水又は常温の水(以下、単に「温水」ともいう。)で非常に膨張した状態にできる。その結果、使用済み吸収性物品には非常に高い内圧が生じることになる。なお、水を温水にする目的は、主に、後述されるように接着剤の接着力を弱めるためである。
図3は、図2の前処理工程S11での使用済み吸収性物品の状態変化の一例を示す模式図である。ただし、図3(a)は温水に浸す前、図3(b)は温水に浸した後、の使用済み吸収性物品の状態をそれぞれ示す。図3(a)に示すように、使用済み吸収性物品1は、当初、裏面シート3を外側にして(表面シート2を内側に隠して)丸められた状態や折り畳まれた状態である。その状態の使用済み吸収性物品1が温水に浸されることで、使用済み吸収性物品1の吸収体4が温水中で温水を吸収して膨張する。その結果、使用済み吸収性物品1の内圧が高まってゆく。そして、その内圧により、使用済み吸収性物品1に外側へ向かって開こうとする力が働く。その結果、図3(b)に示すように、丸められた状態又は折り畳まれた状態の使用済み吸収性物品1が、外側へ向かって開いて、表面シート2を露出するように概ね平らな状態になる。すなわち、使用済み吸収性物品1を温水中において平坦に展開された状態にできる。このとき、使用済み吸収性物品1は、吸収体4が多量の温水を吸収して非常に膨張しているので、その表面、すなわち吸収体4を包み込んでいる表面シート2及び裏面シート3のいずれかの箇所が容易にはち切れそうな状態になっている。すなわち前処理工程S11により、使用済み吸収性物品を、いずれかの表面が裂けて切れそうな状態できる。なお使用済み吸収性物品1が、当初から平坦に展開された状態の場合、その状態のまま表面のいずれかの箇所が容易にはち切れそうな状態になる。この状態は、特許文献1の使用済み吸収性物品が破断等されている場合には生じ得ない。
更に、使用済み吸収性物品が温水に浸され、及び/又は温水を吸収することで、各構成部材間の接合に使用されている接着剤(例示:ホットメルト接着剤)を温水の熱により軟化させ、接着剤の接合力を低下できる。例えば、表面シートの周縁部分と裏面シートの周縁部分とを接合する接着剤を、温水の熱で軟化させ、その接着剤の接合力を低下できる。更に、表面シートと吸収体とを接合する接着剤及び裏面シートと吸収体とを接合する接着剤を、温水の熱で軟化させ、それらの接着剤の接合力を低下できる。
このように前処理工程S11では、使用済み吸収性物品の吸収体の膨張により、使用済み吸収性物品の表面のいずれかの箇所がはち切れそうな状態、かつ、接着剤の接合力が低下された状態、を生じさせることができる。使用済み吸収性物品がこのような状態になることで、後述の分解工程において、使用済み吸収性物品を確実に分解することができる。
前処理工程S11における温水の温度は、使用済み吸収性物品の接着剤が軟化できる限り特に限定されないが、例えば60℃以上が挙げられ、好ましくは70℃以上98℃以下である。言い換えると、前処理工程S11は、使用済み吸収性物品に70℃以上98℃以下の温水を吸収させ、膨潤させる工程を含むことが好ましい。温水の温度を70℃以上とすることで、フィルム(裏面シート)と他の部材(表面シートの不織布や吸収体の吸収体材料)とを接合する接着剤を温水の熱でより軟化でき、接着剤の接合力をより低下できる。温水の温度を98℃以下とすることで、温水が確実に液体として存在するので、使用済み吸収性物品に温水をより確実に吸収させることができる。吸収体の膨張及び温水の熱により、使用済み吸収性物品の表面がはち切れそうな状態かつ接着剤の接合力が低下された状態をより確実に発生させることができる。温水の温度は、より好ましくは75℃以上90℃以下であり、更に好ましくは75℃以上85℃以下である。温度の測定については、使用済み吸収性物品を浸した状態の温水の温度を測定するか、又は、最大吸収量に近い量まで水を吸収した使用済み吸収性物品の表面から5mm内側の温度(温度センサの先端を挿入)を測定する。
また、使用済み吸収性物品の再利用においては、構成材料の殺菌は極めて重要である。温水の温度を70℃以上とすることで、使用済み吸収性物品を殺菌(消毒)する効果を奏することも可能となるので好ましい。
前処理工程S11における処理時間、すなわち使用済み吸収性物品を温水に浸している時間は、使用済み吸収性物品の吸収体が膨張できる限り特に限定されないが、例えば2〜60分であり、好ましくは4〜30分である。時間が短すぎると吸収体が十分に膨張できず、長すぎると時間が無駄になり処理コストが不必要に増加する。
また、前処理工程S11における吸収体の温水の吸収量は、後述の分解工程にて使用済み吸収性物品を分解できる程度に吸収体が膨張できれば特に制限はないが、例えば使用済み吸収性物品の最大吸収量の80質量%以上が挙げられ、好ましくは90質量%以上である。言い換えると、前処理工程S11は、使用済み吸収性物品の最大吸収量の90質量%以上の量の温水(水)を使用済み吸収性物品に吸収させる工程を含むことが好ましい。それにより、使用済み吸収性物品を、水で目一杯に膨張した状態にすることができる。その結果、使用済み吸収性物品の吸収体に極めて高い内圧を生じさせることができる。その極めて高い内圧により、使用済み吸収性物品が折り畳まれた状態等にあれば、使用済み吸収性物品を極めて容易に平坦な状態に展開することができる。それと共に、吸収体の膨張により、使用済み吸収性物品の表面がはち切れそうな状態をより確実に発生させることができる。その結果、後述の分解工程において、使用済み吸収性物品に与えられる物理的な衝撃により、より確実に、使用済み吸収性物品を分解できる。
ただし、最大吸収量は、以下の手順で測定する。
(1)未使用の吸収性物品を100℃以上の雰囲気で乾燥処理し、その吸収性物品の質量を測定する。
(2)水が吸収体に達し難くなるようなポケットを形成しうる伸縮材料(例示:脚周りやウエスト周りの伸縮部材)が吸収性物品に配置されている場合には、その伸縮部材に切り込みを入れることで、吸収性物品を平らにする。
(3)十分な水道水で満たされた水浴に、表面シートを下にして吸収性物品を浸し、30分間放置する。
(4)放置後、吸収性物品を網の上に、表面シートを下にして載置し、20分水切りした後に、吸収性物品の質量を測定する。
そして、水道水に浸す前後の質量差を最大吸収量と定義する。
更に、全ての使用済み吸収性物品において、使用済み吸収性物品の概ね最大吸収量まで温水を吸収させることで、全ての使用済み吸収性物品において、使用済み吸収性物品一個当たりの重量を概ね同じにすることができる(使用済み吸収性物品の種類が同じ場合)。したがって、そのときの全ての使用済み吸収性物品の重量を、そのときの使用済み吸収性物品一個当たりの重量で割ることで、使い捨て吸収性物品の回収時には不明であった回収された使用済み吸収性物品の総数を概算することができる。それにより、それぞれの構成部材の回収量を概算することができる。例えば、回収された使用済み吸収性物品の総数から、回収すべきフィルムの枚数や処理すべき接着剤の量を見積もることができる。したがって、前処理工程S11よりも後の工程において、各構成部材を個別に処理するときの処理液の量などを容易に見積もることができ、容易に調整することができる。
次いで、分解工程S12は、前処理工程S11により展開され膨潤した複数の使用済み吸収性物品に物理的な衝撃を与えて、複数の使用済み吸収性物品を、少なくとも複数のフィルム(裏面シート)と吸収体材料(吸収体)とに分解する。本実施の形態では、フィルム(裏面シート)及び不織布(表面シート)と、吸収体材料(吸収体)と、に分解する。
使用済み吸収性物品は、前処理工程S11により、展開されて平坦で、膨張により表面のいずれかの箇所がはち切れそうになっており、本実施の形態では、特に、温水の熱により、接着剤の接合力が低下された状態になっている。したがって、分解工程S12において、その状態の使用済み吸収性物品に物理的な衝撃を加えることで、表面のいずれかの箇所のうち、特に接合力が低下された表面シート(不織布)と裏面シート(フィルム)との接合部分がはち切れる。それにより、その接合部分を裂く(剥がす)ことができる。物理的な衝撃としては、特に制限はないが、例えば、使用済み吸収性物品よりも硬い素材でできた面に、使用済み吸収性物品を叩きつける方法や、使用済み吸収性物品を互いに対面配置された一対のロールの間に挟んで通過させつつ両側から押圧する方法が挙げられる。なお、前処理工程S11で使用済み吸収性物品を浸す水が常温であっても、使用済み吸収性物品を膨張させ表面がはち切れそうな状態にさせることができ、分解工程S12で使用済み吸収性物品に衝撃を加える雰囲気が常温であっても、使用済み吸収性物品を、表面のいずれかの箇所をはち切れさせる(裂く)ことが可能である。
本実施の形態では、使用済み吸収性物品よりも硬い素材でできた面に、使用済み吸収性物品を叩きつける方法の一例である以下の方法を採用する。図4は、図2の分解工程S12での分解方法の一例を示す模式図である。図4(a)〜図4(c)は使用済み吸収性物品1に物理的な衝撃を加える方法を示す。すなわち、分解工程S12は、回転ドラム20内に、膨潤した複数の使用済み吸収性物品1を投入する投入工程と、回転ドラム20を回転させて、複数の使用済み吸収性物品1に物理的な衝撃を与える衝撃工程と、を含む。
図4(a)に示すように、回転ドラム20は、水平方向HDに延びる仮想的な回転軸Aの周りを回転(R)する横型の回転ドラムである。回転ドラム20としては、例えば横型洗濯機の洗濯槽の回転ドラムが挙げられ、よって分解工程S12は横型洗濯機を用いて実施できる。横型洗濯機としては、例えば株式会社稲本製作所製のECO−22B等を使用できる。回転ドラム20は、鉛直方向VDに、下側の下側領域LAと、上側の上側領域UAと、下側領域LAと上側領域UAとの間の中央領域MAと、を有する。下側領域LAは、回転ドラム20の内径をDとすると、回転ドラム20における鉛直方向VDの下側のD/3の領域が好ましく、より好ましくはD/4の領域である。上側領域UAは、回転ドラム20における鉛直方向VDの上側のD/3の領域が好ましく、より好ましくはD/4の領域である。内径D、奥行は例えば50〜150cm、30〜120cmが挙げられる。
投入工程では、図4(a)に示すように、下側領域LAの回転ドラム20の内面に使用済み吸収性物品1を載置する。このとき、載置される使用済み吸収性物品1の数は、衝撃工程で使用済み吸収性物品1に十分に衝撃を与えることが可能な程度の量であり、最大でも下側領域LAに収まる数である。数が多過ぎると、回転ドラム20内での使用済み吸収性物品の動きが小さくなり、使用済み吸収性物品に衝撃を与えることができなくなる。
続く、衝撃工程では、図4(b)に示すように、回転ドラム20を回転させて、使用済み吸収性物品1を、回転ドラム20内の下側領域LAから上側領域UAへ持ち上げる。そして、図4(c)に示すように、使用済み吸収性物品1を、重力により、上側領域UAから下側領域LAへ降下させて、下側領域LAの回転ドラム20の内面へ衝突させる。このような工程により、使用済み吸収性物品1に物理的な衝撃を与えることができる。
回転ドラム20の回転速度は、上記衝撃工程が実現可能であれば特に制限はないが、例えば、30回/分〜100回/分、が挙げられる。また、使用済み吸収性物品1内に吸収された温水により、使用済み吸収性物品1の温度は比較的高温に保たれるが、接着剤の温度低下の抑制や、殺菌の効果の維持の観点から、回転ドラム20内の雰囲気の温度は70℃以上が好ましく、75℃以上がより好ましい。回転ドラム20内の温度は使用済み吸収性物品1の取り扱いの観点から、98℃以下が好ましく、90℃以下がより好ましい。回転ドラム20内の水はできるだけ少ないことが好ましく、少なくとも衝撃工程にて使用済み吸収性物品1が水面よりも下にならない程度に少ないことが好ましい。使用済み吸収性物品1が水面よりも下になると、使用済み吸収性物品1への衝撃が水に吸収され、所望の衝撃を使用済み吸収性物品1へ与え難くなる。
衝撃工程における処理時間、すなわち回転ドラム20を回転させている時間は、表面シート2及び裏面シート3と、吸収体材料とを分解することができる限り特に限定されないが、例えば2〜40分であり、好ましくは4〜20分である。
図5は、図2の分解工程で分解された使用済み吸収性物品1の一例を示す模式図である。使用済み吸収性物品1は、物理的な衝撃により、表面シート2(不織布)と裏面シート3(フィルム)との接合部分がはち切れて、裂ける。それと同時に、その裂け目10を介して、吸収体4の内圧によって、使用済み吸収性物品1内の吸収体材料(パルプ繊維8及び吸水性ポリマー6)が外へ噴出してくる(飛び出してくる)。それにより、使用済み吸収性物品1を、表面シート2(不織布)及び裏面シート3(フィルム)と、吸収体材料(パルプ繊維8及び吸水性ポリマー6)と、に分解することができる。
本実施の形態では、特に、横型の回転ドラム20を用いて、使用済み吸収性物品1を、上側領域UAから下側領域LAへ向かって重力により叩きつけることで、使用済み吸収性物品1に衝撃を与えることができる。そして、回転ドラム20の回転を続けることにより、このような衝撃を、安定的、継続的かつ容易に加えることができる。それにより、使用済み吸収性物品1における表面シート2(不織布)と裏面シート3(フィルム)との接合部分をより安定的に裂く(剥がす)ことができ、使用済み吸収性物品1をフィルムと吸収体材料とにより確実に分解することができる。また、既存の洗濯機を使用できる。
次いで、分離工程S13は、分解された複数のフィルム(裏面シート)と、吸収体材料(パルプ繊維及び吸水性ポリマー)と、を分離する。本実施の形態では、複数のフィルム(裏面シート)及び複数の不織布(表面シート)と、吸収体材料(パルプ繊維及び吸水性ポリマー)と、を分離する。ただし、不織布はフィルムに接合したまでもよい。このとき、裏面シート(フィルム)及び表面シート(不織布)は、吸収性物品のときと同様の形状、すなわち元の形状を概ね維持している。そのため、分解前に破片状に破断等される場合と比較して、表面シート(不織布)及び裏面シート(フィルム)の大きさや形状や質量は、吸収体材料の大きさや形状と明らかに相違する。よって、分離工程S13において、表面シート(不織布)及び裏面シート(フィルム)を吸収体材料(パルプ繊維及び吸水性ポリマー)から容易に分離できる。分離方法としては、特に限定されないが、例えば、表面シート及び裏面シートを通さず、吸収体材料を通すふるいを用いる方法が挙げられる。それにより、フィルムのような構成部材を、破断等せずにそのままの形状を維持したまま、他の構成部材から分離できる。したがって、吸収性物品のフィルムのような構成部材を効率よく回収できる。
本実施の形態では、分離工程S13は、フィルムと吸収体材料とを分離する前に、不活化剤を含む水溶液で前記高吸水性ポリマーを不活化する不活化工程S31と、フィルムと、パルプ繊維、不活性化された高吸水性ポリマー及び不活化により高吸水性ポリマーから排出された汚水を含む混合物と、を分離する第1の分離工程S32と、を含んでもよい。
不活化工程S31では、第1の分離工程S32の前に、表面シート(不織布)、裏面シート(フィルム)及び吸収体材料(パルプ繊維及び高吸水性ポリマー)を、高吸水性ポリマーを不活化可能な不活化剤を含む水溶液に浸す。それにより、表面シート、裏面シート及びパルプ繊維に付着していた高吸水性ポリマーを不活化することができる。それにより、不活化の前には粘度の高い状態の高吸水性ポリマーを、不活化による脱水により、粘度の低い状態の高吸水性ポリマーにすることができる。
ここで、不活化剤は、特に限定するものではないが、無機酸、有機酸、石灰、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム等が挙げられる。なかでも、無機酸及び有機酸は、パルプ繊維に灰分を残留させないことから、好ましい。不活化剤として無機酸又は有機酸を用いる場合は、無機酸水溶液又は有機酸水溶液のpHは2.5以下であり、好ましくは1.3〜2.4である。したがって、不活化剤を含む水溶液は酸性水溶液ということができる。pHが高すぎると、高吸水性ポリマーの吸水能力を十分に低下させることができない。また、殺菌能力が低下するおそれもある。pHが低すぎると、設備の腐食のおそれがあり、排水処理時の中和処理に多くのアルカリ薬品が必要となる。無機酸としては、例えば硫酸、塩酸、硝酸が挙げられるが、塩素を含まないことやコスト等の観点から硫酸が好ましい。一方、有機酸としては、クエン酸、酒石酸、グリコール酸、リンゴ酸、コハク酸、酢酸、アスコルビン酸、等が挙げられるが、クエン酸が特に好ましい。クエン酸のキレート効果により、排泄物中の金属イオン等がトラップされ除去可能であり、かつクエン酸の洗浄効果で、高い汚れ成分除去効果が期待できる。pHは水温により変化するため、本発明におけるpHは、水溶液温度20℃で測定したpHをいうものとする。無機酸水溶液の無機酸濃度は、無機酸水溶液のpHが2.5以下である限り限定されないが、無機酸が硫酸の場合は、硫酸の濃度は、好ましくは0.1質量%以上0.5質量%以下である。有機酸水溶液の有機酸濃度は、有機酸水溶液のpHが2.5以下である限り限定されないが、有機酸がクエン酸の場合は、クエン酸の濃度は、好ましくは2質量%以上4質量%以下である。
不活化工程S31の処理温度、すなわち不活化剤を含む水溶液の温度は、不活化の反応が進む限り、特に限定されない。その処理温度は、室温でもよいし、室温よりも高くしてもよいが、例えば15〜30℃が挙げられる。また、不活化工程S31の処理時間、すなわち不活化剤を含む水溶液に表面シート、裏面シート及び吸収体材料を浸す時間は、高吸水性ポリマーが不活化され、脱水される限り、特に限定されないが、例えば2〜60分が挙げられ、好ましくは5〜30分である。また、不活化工程S31の水溶液の量、すなわち不活化剤を含む水溶液の量は、不活化の反応が進む限り、特に限定されない。水溶液の量は、例えば使用済み吸収性物品100質量部に対し、好ましくは300〜3000質量部であり、より好ましくは500〜2500質量部であり、さらに好ましくは1000〜2000質量部である。
第1の分離工程S32では、表面シート(不織布)及び裏面シート(フィルム)と、パルプ繊維、不活性化された高吸水性ポリマー及び不活化により高吸水性ポリマーから排出された汚水を含む混合物と、を分離する。ただし、汚水は、不活化工程S31において、不活化剤を含む水溶液による脱水により、高吸収性ポリマーから放出された水分、すなわち排泄物由来の液体及び温水由来の水を含む汚水である。
第1の分離工程S32において、表面シート及び裏面シートと、パルプ繊維、高吸水性ポリマー及び汚水と、を分離する方法は、特に限定するものではない。例えば、不活化工程により生成した生成物(表面シート、裏面シート、パルプ繊維、高吸水性ポリマー、汚水等)を、目開き5〜100mm、好ましくは目開き10〜60mmのスクリーンを通しながら排出する。それにより、パルプ繊維、高吸水性ポリマー及び汚水は排水中に、表面シート及び裏面シートはスクリーン上に残ることで、それら生成物を分離することができる。なお、スクリーン上にはその他の不織布やフィルム等の大きな形状物が残存してもよい。特に、不活化の前には、高吸収性ポリマーは粘度の高い状態にあるため、表面シート、裏面シート及びパルプ繊維に付着した高吸水性ポリマーを分離することは容易とまではいえない。しかし、不活化の後には、脱水により、高吸収性ポリマーは粘度の低い状態になるので、表面シート、裏面シート及びパルプ繊維に付着した高吸水性ポリマーを、表面シート、裏面シート及びパルプ繊維から容易に分離することができる。したがって、吸収性物品の構成部材を効率よく分離・回収することができる。
本実施の形態では、分離工程S13はフィルムと他の部材との接合部分の接着剤を溶かす溶剤により、接合部分の接着剤を除去する第2の分離工程S33を更に含んでもよい。本実施の形態では、フィルムと不織布と吸収体材料との各接合部分の接着剤を溶解する溶剤により、各接合部分の接着剤を除去する。
第2の分離工程S33では、フィルム(裏面シート)と他の部材(表面シートの不織布、表面シートや裏面シートの表面に残存する吸収体の吸収体材料など)との接合部分の接着剤を溶剤により除去する。それにより、フィルムと他の部材とを、破断等せずにそのままの形状を維持したまま、互いに分離することができる。したがって、吸収性物品のフィルムのような構成部材を効率よく回収することができる。また、フィルムに接着剤を残さずに、フィルムと他の部材とを分離することができるので、フィルムを純度の高い樹脂として再利用可能にできる。それにより、フィルムの再利用のときに接着剤が悪影響を及ぼすことを抑制できる。不織布についてもフィルムと同様である。
第2の分離工程S33に用いる溶剤としては、接着剤を溶解することが可能であれば特に制限はないが、例えば、テルペン炭化水素、テルペンアルデヒド及びテルペンケトンのうちの少なくとも一つを含むテルペンが挙げられる。この工程では、テンペルを含む水溶液が用いられ、水溶液中のテンペルの濃度は、例えば0.05質量%以上2質量%以下が挙げられる。好ましくは0.075〜1質量%である。テルペンの濃度が低すぎると、接合部分の接着剤を溶解することができないおそれがある。テルペンの濃度が高すぎると、コストが高くなるおそれがある。また、テンペルは、ホットメルト接着剤のような接着剤を溶解するだけでなく、油汚れ洗浄効果も有する。そのため、例えば裏面シート等の吸収性物品の構成部材に印刷がある場合、テンペルはその印刷インクも分解除去できる。
テルペン炭化水素としては、例えばミルセン、リモネン、ピネン、カンファー、サピネン、フェランドレン、パラシメン、オシメン、テルピネン、カレン、ジンギベレン、カリオフィレン、ビサボレン、セドレンが挙げられる。中でも、リモネン、ピネン、テルピネン、カレンが好ましい。また、テルペンアルデヒドとしては、例えばシトロネラール、シトラール、シクロシトラール、サフラナール、フェランドラール、ペリルアルデヒド、ゲラニアール、ネラールが挙げられる。テルペンケトンとしては、例えば、ショウノウ、ツヨシが挙げられる。テルペンの中でもテルペン炭化水素が好ましく、リモネンが特に好ましい。リモネンには、d−リモネン、l−リモネン、ジペンテン(dl−リモネン)の3種類があるが、いずれも好ましく用いることができる。テルペンは1種単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
第2の分離工程S33の処理温度、すなわち溶剤を含む水溶液の温度は、接着剤の溶解が進み、使用済み吸収性物品を構成部材に分解する限り、特に限定されない。その処理温度は、室温でもよいし、室温よりも高くしてもよいが、例えば15〜30℃が挙げられる。また、第2の分離工程S33の処理時間、すなわち溶剤を含む水溶液に表面シート、裏面シート及び吸収体材料を浸す時間は、接着剤の溶解が進み、使用済み吸収性物品を構成部材に分解する限り、特に限定されない。その処理時間は、例えば2〜60分が挙げられ、好ましくは5〜30分である。第2の分離工程S33の水溶液の量、すなわち溶剤を含む水溶液の量は、接着剤の溶解が進み、使用済み吸収性物品を構成部材に分解する限り特に限定されない。水溶液の量は、例えば使用済み吸収性物品100質量部に対し、好ましくは300〜3000質量部であり、より好ましくは500〜2500質量部である。第2の分離工程S33により、フィルムや不織布や吸収体材料に残存する接着剤の量を、フィルムや不織布や吸収体材料に対して1質量%以下にできる。
なお、本実施の形態では、他の好ましい態様として、上記不活化工程S31において、上記第2の分離工程S33を併せて行ってもよい。すなわち、表面シート、裏面シート及びパルプ繊維に付着した高吸水性ポリマーを不活化させつつ、表面シート、裏面シート及びパルプ繊維に付着した接着剤を溶解させてもよい。この場合、表面シート、裏面シート、パルプ繊維及び高吸水性ポリマーを浸漬させる水溶液としては、不活化剤及び溶剤の両方を含む水溶液を用いる。それにより、上記不活化工程S31において、裏面シート(フィルム)と、表面シート(不織布)と、吸収体(パルプ繊維及び高吸水性ポリマー)と、を水溶液中で概ね分離した状態にできる。そして、その後の第1の分離工程S32において、裏面シート(フィルム)及び表面シート(不織布)と、吸収体(パルプ繊維及び高吸水性ポリマー)と、を分離でき、第2の分離工程S33を省略できる。この場合、裏面シート(フィルム)と表面シート(不織布)とは、接着剤の除去により、実質的に分離される。
本実施の形態では、分離工程S13は、接合部分の接着剤を除去する工程の後に、フィルムを室温よりも高い温度の雰囲気又は熱風により乾燥させ、溶剤を除去する第1の乾燥工程S34を更に含んでもよい。本実施の形態では、本工程にて不織布をも乾燥させる。
使用済み吸収性物品の再利用においては、殺菌は極めて重要である。第1の乾燥工程S34では、分離されたフィルム(裏面シート)及び不織布(表面シート)を、高温の雰囲気又は熱風などで乾燥させる工程を行う。乾燥温度は、例えば105〜210℃が挙げられ、好ましくは110〜190℃である。乾燥時間は、乾燥温度にもよるが、例えば10〜120分が挙げられ、好ましくは15〜100分である。それにより、フィルム及び不織布の表面に残存する溶剤を蒸発させて除去するだけでなく、フィルム及び不織布を高温の雰囲気又は熱風などで殺菌することができる。それにより、溶剤を除去しつつ、殺菌(消毒)の効果を奏することも可能となる。
一方、本実施の形態では、分離工程S13は、分離された混合物からパルプ繊維を分離する第3の分離工程S35と、分離されたパルプ繊維を、酸化剤を含む水溶液で処理し、パルプ繊維に残存する高吸水性ポリマーを低分子量化し、可溶化して除去する酸化剤処理工程S36と、を含んでもよい。
第3の分離工程S35では、分離された混合物(パルプ繊維、高吸水性ポリマー及び汚水を含む)からパルプ繊維を分離する方法としては、特に限定されないが、例えば分離された混合物を目開き0.1〜4mm、好ましくは目開き0.15〜2mmのスクリーンを通しながら排出する。それにより、高吸水性ポリマー及び汚水は排水中に、パルプ繊維(表面に高吸水性ポリマーが残存)はスクリーン上に残ることで、混合物からパルプ繊維を分離できる。このパルプ繊維は不純物を多く含むが、用途により利用可能である。
更に、酸化剤処理工程S36では、分離されたパルプ繊維の表面に残存する不活化された高吸水性ポリマーを、酸化剤により酸化分解し、低分子量化し、可溶化して、パルプ繊維の表面から除去する。ここで、高吸水性ポリマーが酸化分解し、低分子量化し、可溶化した状態とは、2mmのスクリーンを通過する状態をいう。それにより、パルプ繊維に含まれる高吸水性ポリマー等の不純物を除去し、純度の高いパルプ繊維を生成できる。また、酸化剤処理により、パルプ繊維の二次殺菌および漂白、消臭を行うことができる。
酸化剤としては、不活化した高吸水性ポリマーを酸化分解し、低分子量化し、可溶化することができる限り、特に限定されないが、例えば二酸化塩素、オゾン、次亜塩素酸ナトリウムが挙げられる。なかでも、分解性能や漂白性能の高さの観点からオゾンが好ましい。酸化剤としてオゾンを用いる場合、パルプ繊維及び高吸水性ポリマーを含む混合物をオゾンと接触させることにより、具体的にはパルプ繊維及び高吸水性ポリマーを含む排水にオゾンを吹き込むことにより、酸化剤処理を行うことができる。オゾンは、たとえば、オゾン水発生装置(エコデザイン株式会社製オゾン水曝露試験機ED−OWX−2、三菱電機株式会社製オゾン発生装置OS−25Vなど)を用いて発生させることができる。
パルプ繊維および高吸水性ポリマーを含む排水にオゾンを吹き込む場合、排水中のオゾン濃度は、高吸水性ポリマーを分解することができる濃度であれば、特に限定されないが、例えば1〜50質量ppmが挙げられ、好ましくは2〜40質量ppmである。濃度が低すぎると、高吸水性ポリマーを完全に可溶化できず、パルプ繊維に高吸水性ポリマーが残存するおそれがある。逆に、濃度が高すぎると、酸化力も高まるため、パルプ繊維に損傷を与えるおそれがあるとともに、安全性にも問題を生じる可能性がある。オゾン処理温度は、高吸水性ポリマーを分解できる温度であれば、特に限定されないが、例えば室温のままでもよいし、室温より高くしてもよい。オゾン処理時間は、高吸水性ポリマーを分解できる時間であれば、特に限定されないが、例えば10〜120分であり、好ましくは20〜100分である。オゾン濃度が高ければ短くてよく、オゾン濃度が低ければ長い時間を要する。パルプ繊維および不活化した高吸水性ポリマーを含む排水にオゾンを吹き込む場合、排水は酸性であることが好ましい。より好ましくは、排水のpHは2.5以下であり、さらに好ましくは1.5〜2.4である。酸性の状態で処理することで、オゾンによる高吸水性ポリマーの分解除去効果が向上し、短時間で高吸水性ポリマーを分解できる。
本実施の形態では、分離工程S13は、酸化剤を含む水溶液で処理されたパルプ繊維を、酸化剤を含む水溶液から分離する第4の分離工程S37と、分離されたパルプ繊維を、乾燥する第2の乾燥工程S38と、を含んでいてもよい。
第4の分離工程S37では、パルプ繊維を、酸化剤を含む水溶液から分離する方法としては、特に限定されないが、例えばパルプ繊維を含む処理液を、例えば目開き0.15〜2mmのスクリーンを通過させる方法が挙げられる。パルプ繊維を含む処理液を目開き0.15〜2mmのスクリーンを通過させると、高吸水性ポリマーの酸化分解による生成物を含む排水はスクリーンを通過し、パルプ繊維はスクリーンの上に残る。
続く、第2の乾燥工程S38では、酸化剤を含む水溶液で処理され、分離されたパルプ繊維を、高温の雰囲気又は熱風などで乾燥させる。乾燥温度は、例えば105〜210℃が挙げられ、好ましくは110〜190℃である。乾燥時間は、乾燥温度にもよるが、例えば10〜120分が挙げられ、好ましくは15〜100分である。それにより、パルプ繊維の表面に残存する溶剤が蒸発して除去されて、高吸水性ポリマー混率の極めて低い、純度の高いパルプ繊維を回収できる。したがって、吸収性物品の構成部材を効率よく回収できる。また、パルプ繊維を高温の雰囲気又は熱風などで殺菌(消毒)できる。
なお、第3の分離工程S35で分離された高吸水性ポリマー及び汚水を含む排水からは、高吸水性ポリマーを回収できる。回収方法としては、特に限定されないが、例えばふるいを用いる方法が挙げられ、回収された吸水性ポリマーの吸水能力の回復方法としては例えばアルカリ金属塩水溶液で処理する方法が挙げられる。また、第4の分離工程S37で分離された、残余の排水(オゾンが10ppm弱程度溶存)を前処理工程S11へ循環させてもよい。それにより、オゾンを含む排水を無駄にすることなく、前処理工程S11の前処理とオゾンによる殺菌とを同時に行うことができる。
上記の材料分離工程S1に続いて、フィルム分別工程S2が実行される。フィルム分別工程S2は、分離された複数のフィルムを、フィラーの含有率に応じて複数の種類のリサイクル用フィルムに分別する。本実施の形態では、分離された複数の裏面シート(フィルム)を、フィラーの含有率に応じて複数の種類のリサイクル用フィルムに分別する。
材料分離工程S1で分離された複数のフィルムでは、フィラー(無機充填材)の含有率は様々である。ただし、フィラーを含まないフィルムは、フィラーの含有率がゼロ(0)のフィルムとする。一方で、新たにフィルムを形成する場合、フィルムの材料である樹脂ペレットのフィラーの含有率に依存して、樹脂ペレットをフィルム状に成型する成形性や、フィルムを延伸する延伸性などの特性が変化する。それに伴い、得られるフィルムの透湿度、透気度、強度、透明度等の特性が変化する。したがって、分離された複数のフィルムから樹脂ペレットを再生し、再生された樹脂ペレット(以下「リサイクル樹脂ペレット」ともいう。)を用いて新たにリサイクル製品を形成しようとする場合、リサイクル樹脂ペレットでのフィラーの含有率を予め把握しておく必要がある。そこで、本実施の形態では、不織布や吸収体材料を含まず、フィラーの含有率の明らかな、分離されたフィルムから、リサイクル樹脂ペレットを形成する。
具体的には、リサイクル樹脂ペレットを形成する原料となる、分離された複数のフィルムを、フィラーの含有率が互いに相違する複数の種類のリサイクル用フィルムに分別する。例えば一定量のフィラーの含有率ごとに、複数のフィルムを複数の群(種類)に分別する。群(種類)としては、例えばフィラー含有率0質量%の群、0質量%を超えて20質量%未満の群、20質量%以上40質量%未満の群、40質量%以上60質量%未満の群、60質量%以上の群、等である。ただし群の数やフィラー含有率の範囲には特に制限はない。なお分別された各リサイクル用フィルムに残存する接着剤の量はリサイクル用フィルムに対して1質量%以下である。
分別する方法としては、特に制限はないが、複数のフィルム間の比重差に基づいて、複数のフィルムを、複数の種類のリサイクル用フィルムに分別する工程を含むことが好ましい。フィラーを多く含むフィルムは相対的に比重が高く、すなわちフィラーの含有率が互いに相違するフィルムは比重も互いに相違するからである。例えばフィルムがポリエチレンで、フィラーが炭酸カルシウムの場合、フィラー含有率0質量%では比重は約0.9程度であるが、フィラー含有率40〜60質量%では比重は約1.4程度になる。このように、複数のフィルム間の比重差に基づいて、複数のフィルムを複数の種類のリサイクル用フィルムに分別することにより、使用済み吸収性物品のプラスチックフィルムのような構成部材を特性等に応じて容易に分別することができる。
フィルム分別工程S2における、複数のフィルムを、複数のフィルム間の比重差に基づいて複数の種類のリサイクル用フィルムに分別する工程としては、空気や水などの流体中の遠心分離法を用いたサイクロン法を用いることが好ましい。サイクロン法の装置としては、株式会社アコー社製のACOジェットセパレーターCFS500〜CFS1200が挙げられる。サイクロン法でフィルムを分別することで、複数のフィルムを互いに比重の異なる、すなわちフィラーの含有率の異なる複数の種類のリサイクル用フィルムに容易に分離することができる。
次いで、ペレット形成工程S3が実行される。ペレット形成工程S3は、分別された複数の種類のリサイクル用フィルムを用いて、フィラーの含有率に応じた複数の種類のリサイクル樹脂ペレットを形成する。
例えば、複数の種類のリサイクル用フィルムの各々に対応したフィラー含有率を有する複数のリサイクル樹脂ペレットを形成する。具体的には、例えば、フィラー含有率0質量%、及び、40質量%以上60質量%未満のリサイクル用フィルムを用いて、それぞれフィラー含有率0質量%、及び、40質量%以上60質量%未満のリサイクル樹脂ペレットを形成する。あるいは、例えば、複数の種類のリサイクル用フィルムを適宜組み合わせてフィラーの含有率の互いに異なる複数のリサイクル樹脂ペレットを形成する。具体的には、例えば、フィラー含有率0質量%、及び、40質量%以上60質量%未満のリサイクル用フィルムを同量ずつ用いて、フィラー含有率20質量%〜30質量%のリサイクル樹脂ペレットを形成する。
ペレット形成工程S3における、リサイクル用フィルムを用いてリサイクル樹脂ペレットを形成する工程(ペレタイズ)としては、原料であるリサイクル用フィルムを溶融して溶融樹脂とし、その溶融樹脂を押し出し機からシート状又は紐状(ストランド)に押し出しながら適当な大きさに切断する方法が挙げられる。ペレタイズ装置としては、株式会社オーエヌ機械製のHEM型75mmベント式押出機(ストランドカット方式)が挙げられる。それにより、ペレット形成工程において、複数の種類のリサイクル用フィルムを用いて、フィラーの含有率に応じたリサイクル樹脂ペレットを形成できる。
このとき、原料であるリサイクル用フィルムに残存する接着剤の量が1質量%以下であるので、形成されたリサイクル樹脂ペレットにおいて、接着剤の残存量をリサイクル樹脂ペレットに対して1質量%以下とすることができる。すなわち、本方法により、接着剤の残存量が1質量%以下の吸収性物品のフィルム由来のリサイクル樹脂ペレットを形成できる。そして、複数の種類のリサイクル樹脂ペレットも、使用済み吸収性物品から形成され、商品として取り扱うことが可能なので、リサイクル製品の一種と見ることもできる。
このように、形成されたリサイクル樹脂ペレットは、使用済み吸収性物品のリサイクルにより得られた樹脂ペレットでありながら、接着剤がリサイクル樹脂ペレットに対して1質量%以下という極めて低濃度に除去されている。そのため、本リサイクル樹脂ペレットを用いることにより、接着剤が高濃度に含まれている場合と比較して、良質な他のリサイクル製品、例えば良質なプラスチックフィルムやビニール袋やプラスチックバッグなどを形成できる。
本実施の形態では、更に、ペレット選択工程S4と、リサイクルフィルム形成工程S5と、が実行される。ペレット選択工程S4は、形成予定のリサイクルフィルムの特性に基づいて、複数の種類のリサイクル樹脂ペレットから少なくとも一種類のリサイクル樹脂ペレットを選択する。リサイクルフィルム形成工程S5は、選択された少なくとも一種類のリサイクル樹脂ペレットを用いて、リサイクルフィルムを形成する。
ペレット形成工程S3で形成されたリサイクル樹脂ペレットは、フィラーの含有率が明らかである。そこでペレット選択工程S4では、形成予定のリサイクルフィルムの材料として、形成予定のリサイクルフィルムの特性に応じて、所望のフィラーの含有率を有するリサイクル樹脂ペレットを選択する。具体的には、例えば、フィラー含有率20〜30質量%のリサイクルフィルムを形成しようとする場合、フィラー含有率0質量%、及び、40〜60質量%のリサイクル樹脂ペレットを、1:1の質量比となるように選択する。あるいは、例えば、フィラー含有率5〜10質量%のリサイクルフィルムを形成しようとする場合、フィラー含有率0質量%、及び、40質量%以上60質量%未満%のリサイクル樹脂ペレットを、7:1の質量比となるように選択する。なお、リサイクル樹脂ペレットの一部を、バージン樹脂ペレット(リサイクルでない新品の樹脂ペレット)に置き換えてもよい。また、選択されるリサイクル樹脂ペレットやバージン樹脂ペレットの種類は、少なくとも一種類のリサイクル樹脂ペレットを含んでいれば上記の2種類に限定されず3種類以上でもよい。
そして、ペレット選択工程S4で選択されたリサイクル樹脂ペレットを、リサイクルフィルム形成工程S5において、リサイクルフィルムの形成装置に投入することにより、所望の特性を有するリサイクルフィルムを形成できる。具体的には、例えば、1:1の質量比となるように選択されたフィラー含有率0質量%、及び、40〜60質量%のリサイクル樹脂ペレットにより、フィラー含有率20〜30質量%のリサイクルフィルムを形成できる。あるいは、例えば、7:1の質量比となるように選択されたフィラー含有率0%、及び、40質量%以上60質量%のリサイクル樹脂ペレットにより、フィラー含有率5〜10質量%のリサイクルフィルムを形成できる。ただし、リサイクルフィルムとは、リサイクル樹脂ペレットから形成可能なフィルム状のリサイクル製品であり、例えば、吸収性物品のバックシート等に使用し得るフィルムやゴミ袋やフィルム製バッグなどが挙げられる。
リサイクルフィルム形成工程S5における、リサイクル樹脂ペレットを用いてリサイクルフィルムを形成する工程としては、原料であるリサイクル樹脂ペレットを溶融して溶融樹脂とし、その溶融樹脂を押し出し機のTダイからシート状に押し出す方法が挙げられる(Tダイ成形)。あるいは、その溶融樹脂を押し出し機のインフレーション用のダイから円筒状に押し出し、円筒の内側に空気を送り込んで膨らませる方法が挙げられる(インフレーション成形)。Tダイ成形装置としては、西華産業株式会社製の二軸延伸フィルム製造装置が挙げられる。インフレーション成形装置としては、株式会社プラコー社製の多層インフレーション成型機が挙げられる。それにより、リサイクルフィルム形成工程において、複数の種類のリサイクル樹脂ペレットを用いて、フィラーの含有率に応じたリサイクルフィルムを形成できる。
このとき、原料であるリサイクル樹脂ペレットに残存する接着剤の量が1質量%以下であるので、形成されたリサイクルフィルムにおいて、接着剤の残存量をリサイクルフィルムに対して1質量%以下とすることができる。すなわち、本方法により、接着剤の残存量が1質量%以下の吸収性物品由来のリサイクルフィルムを形成できる。
このように、形成されたリサイクルフィルムは、使用済み吸収性物品のリサイクルにより得られたリサイクルフィルムでありながら、接着剤が、リサイクルフィルムに対して1質量%以下という極めて低濃度に除去されている。そのため、本リサイクルフィルムは、接着剤が高濃度に含まれている場合と比較して、引張強さや、引張伸びなどに優れた良質なリサイクルフィルムということができる。
本実施の形態では、材料分離工程S1において、使用済み吸収性物品からフィルムを分離し、フィルム分別工程S2において、フィルムをフィラーの含有率に応じて複数の種類のリサイクル用フィルムに分別する。それにより、ペレット形成工程S3において、複数の種類のリサイクル用フィルムを用いて、フィラーの含有率に応じた複数の種類のリサイクル樹脂ペレットを形成できる。すなわち、フィラー含有量が互いに異なる複数の種類のリサイクル製品であるリサイクル樹脂ペレットを得ることができる。更に、リサイクル樹脂ペレットでは、フィラーの含有率が明らかであるだけでなく、不織布やゴムなどの他のプラスチック素材を含まないフィルムから形成されているので材料が明らかである。したがって、樹脂ペレットを用いてリサイクル製品を形成するとき、形成しようとするリサイクル製品の特性等に応じて、フィラーの含有率の異なる複数の種類のリサイクル樹脂ペレットから一又は複数の適切なリサイクル樹脂ペレットを選択できる(ペレット選択工程S4)。そして、選択されたリサイクル樹脂ペレットにより、必要に応じてバージン樹脂ペレットと組み合わせて、所望の特性を有するリサイクル製品(例示:吸収性物品のバックシート等に使用されるフィルムやゴミ袋やプラスチック製バッグなどのようなリサイクルフィルム)を形成できる。
言い換えると、複数の使用済み吸収性物品から単に複数のフィルムを取り出すだけでなく、複数の種類のフィラー含有率を有する複数のリサイクル用フィルムを分別することにより、それらから複数の種類のリサイクル樹脂ペレットを形成できる。そして、形成しようとするリサイクル製品の特性等に応じて、複数の種類のリサイクル樹脂ペレットから適切なリサイクル樹脂ペレットを選択し利用して、リサイクル製品を製造することが可能となる。すなわち、使用済み吸収性物品のプラスチックフィルムのような構成部材からリサイクル製品を製造するとき、構成部材を特性等に応じて分別して回収し、その特性等に応じて再利用して、リサイクル製品を製造することが可能となる。
また、上記実施の形態では、リサイクル樹脂ペレットを用いて、吸収性物品のバックシート等に使用し得るフィルムやゴミ袋やフィルム製バッグなどのリサイクルフィルムを形成しているが、リサイクル製品はそれらリサイクルフィルムに限定されるものでは無い。樹脂ペレット(リサイクル樹脂ペレット)を用いて、押出し成形やブロー成形のような方法により、リサイクル製品として、リサイクルフィルム以外の、他の樹脂製の製品を形成することも可能となる。
本実施の形態では好ましい形態として、更に材料分離工程S1において、前処理工程S11にて、使用済み吸収性物品を、破断等せずにそのままの形状で、かつ高吸水性ポリマーの不活化もせずに水で非常に膨張した状態にできる。それにより、使用済み吸収性物品内に非常に高い内圧を生じさせ、その表面のいずれかの箇所がはち切れそうな状態にすることができる。そして、分解工程S12にて、このような状態の使用済み吸収性物品に、物理的な衝撃を加えることで、その表面のいずれかの箇所を裂けさせて、内部の吸収体材料を外部へ噴出させることができる。それにより、使用済み吸収性物品を、少なくともフィルム(裏面シート)と吸収体材料とに分解できる。このとき、フィルムは概ね元の形状を維持しているので、その後の分離工程S13において、吸収体材料から容易に分離できる。それにより、フィルムのような構成部材を、破断等せずにそのままの形状を維持したまま、他の構成部材から分離できる。したがって、吸収性物品のフィルムのような構成部材を効率よく回収できる。
本実施の形態では好ましい形態として、接着剤の除去にテルペンを用いることで、吸収性物品の構成部材を接着するホットメルト接着剤を常温で溶解可能となる。それにより、吸収性物品を簡単かつ綺麗にばらけ易くでき、吸収性物品から、パルプ繊維及び高吸水性ポリマーを分離し、不織布及びフィルムを、それぞれ別々に部材形態を残したまま分離できる。すなわち、吸収性物品を破砕したり、複雑な分離工程を経由したりしなくても容易にパルプ繊維、フィルム、不織布を別々に回収できる。テルペンとしてリモネンを用いた場合、リモネンの副次効果として、柑橘系の爽やかな臭気があるため、排泄物由来の臭気をある程度覆い隠し、作業者の臭気負担や近隣への臭気影響を低減できる。リモネンは、モノテルペンでスチレンと構造が似ているため、吸収性物品に一般的に使用されているスチレン系のホットメルト接着剤を溶解できる。常温で吸収性物品の洗浄処理が可能なため、エネルギーコストを低減でき、臭気の発生拡散を抑制できる。テルペンは油汚れ洗浄効果が高く、ホットメルト接着剤の溶解効果以外にも、フィルムに印刷がある場合、その印刷インクも分解除去可能であり、印刷されたフィルムも純度の高いプラスチック素材として回収可能である。
また、高吸水性ポリマーの不活化にpH2.5以下の有機酸水溶液を用いたときは、パルプ繊維を劣化させ難い。また、有機酸としてクエン酸を用いたときは、クエン酸のキレート効果と洗浄力により、排泄物由来の汚れ成分除去効果が期待できる。また、除菌効果とアルカリ性臭気に対する消臭効果も期待できる。
更に、高吸水性ポリマーを酸化剤で分解除去することにより、パルプ繊維へのコンタミや、高吸水性ポリマー吸水による汚水の急激な増加を防止することが可能である。使用する酸化剤の種類と濃度を調整することにより、高吸水性ポリマーの酸化分解と殺菌を同時に行うことが可能である。また、酸化剤処理工程を設けない場合や酸化剤処理工程の酸化剤としてオゾンを使用した場合、塩素系薬剤を一切使用しないため、回収されたプラスチックの部材から、燃焼炉を痛め難い高品質のRPFの製造も可能である。上記実施の形態のようにフィルムを分別回収すれば、ゴミ袋などのリサイクルフィルムの原料として再生可能である。処理工程中に塩類を使用していないため、パルプ繊維への残存が無く、低灰分の高品質パルプが回収可能である。
上記の実施の形態は、裏面シートの構成部材をフィルムとし、表面シートの構成部材を不織布とする場合について説明している。しかし、裏面シートの構成部材を不織布とし、表面シートの構成部材をフィルムとする場合や、裏面シート及び表面シートの両方の構成部材をフィルムとする場合の実施の形態についても、上記の実施の形態と同様の方法で実現でき、同様の作用効果を奏することができる。また、不織布についても、第1の乾燥工程S34の後、フィラーを含んでいないフィルムの場合と同様に、ペレット形成工程S3により、リサイクル樹脂ペレットを形成することができる。その不織布由来のリサイクル樹脂ペレットを用いることで、リサイクル製品を形成することができる。そして、リサイクル樹脂ペレットやリサイクル製品に残存する接着剤の量を、それぞれリサイクル樹脂ペレットやリサイクル製品に対して1質量%以にでき、よって良質にできる。
本発明の吸収性物品は、上述した各実施形態に制限されることなく、本発明の目的、趣旨を逸脱しない範囲内において、適宜組合せや変更等が可能である。