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JP6459375B2 - 金属材料の遠心鋳造方法 - Google Patents

金属材料の遠心鋳造方法 Download PDF

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JP6459375B2
JP6459375B2 JP2014210612A JP2014210612A JP6459375B2 JP 6459375 B2 JP6459375 B2 JP 6459375B2 JP 2014210612 A JP2014210612 A JP 2014210612A JP 2014210612 A JP2014210612 A JP 2014210612A JP 6459375 B2 JP6459375 B2 JP 6459375B2
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Description

本発明は、金属材料の遠心鋳造方法に関する。
遠心鋳造法は、鋳型を軸周りに回転させた状態で金属溶湯を注湯し、遠心力を利用して鋳造する鋳造方法である。遠心鋳造法によれば、複雑形状部品を鋳造する場合や、TiAl合金等の湯流れ性が悪い金属材料を鋳造する場合でも、遠心力を利用することにより金属溶湯の湯廻り性が向上し、緻密な鋳造品が鋳造可能となる。
特許文献1には、アルゴンガス雰囲気中で、Ti(チタン)またはTi合金を坩堝内でアーク溶解して遠心鋳造する遠心鋳造方法が記載されている。
特開平3−216253号公報
ところで、金属材料の遠心鋳造方法では、金属溶湯の湯廻り性が向上するものの、注湯後の凝固初期に発生したデンドライトがそのまま成長等することにより結晶粒が粗大化する可能性がある。鋳造品の結晶粒が粗大化すると、高温強度等の機械的特性が低下する場合がある。
そこで本発明の目的は、鋳造品の結晶粒をより微細化可能な金属材料の遠心鋳造方法を提供することである。
本発明に係る金属材料の遠心鋳造方法は、鋳型を回転台に載置して鋳込み準備する鋳込み準備工程と、前記回転台を一方の回転方向へ回転させた状態で、前記回転台に載置した鋳型に金属溶湯を注湯し、前記回転台の回転速度を、鋳込み時間に対して正弦波状に変化させて鋳込む鋳込み工程と、を備えることを特徴とする。
本発明に係る金属材料の遠心鋳造方法は、前記鋳込み工程において、正弦波状の波形中心の回転速度は、200rpm以上500rpm以下であり、正弦波状の波形の振幅は、10rpm以上30rpm以下であり、正弦波状の波形の周期は、0.1秒以上1秒以下であることを特徴とする。
本発明に係る金属材料の遠心鋳造方法において、前記鋳込み工程は、前記金属溶湯の注湯直後から前記金属溶湯の凝固が完了するまで、前記回転台の回転速度を、鋳込み時間に対して正弦波状に変化させることを特徴とする。
本発明に係る金属材料の遠心鋳造方法において、前記金属材料は、TiAl合金、Ti合金またはNi合金であることを特徴とする。
上記構成によれば、回転台を一方の回転方向へ回転させた状態で、回転台に載置した鋳型に金属溶湯を注湯し、回転台の回転速度を、鋳込み時間に対して正弦波状に変化させて鋳込むことで、注湯後の凝固初期に発生するデンドライトが、回転速度の変化により生じる加速度により分断されるので、鋳造品の結晶粒を微細化することが可能となる。
本発明の実施の形態において、金属材料の遠心鋳造方法の構成を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態において、金属材料の鋳込みの準備について説明するための模式図である。 本発明の実施の形態において、金属材料の鋳込み方法を説明するための模式図である。 本発明の実施の形態において、遠心鋳造装置における回転台の回転速度の制御方法を示す図である。 本発明の実施の形態において、図4に示す正弦波状の波形の拡大図である。 本発明の実施の形態において、他の鋳型の配置の構成を示す図である。 本発明の実施の形態において、Ti合金鋳造品の光学顕微鏡による表面観察結果を示す写真である。 本発明の実施の形態において、TiAl合金鋳造品の断面観察結果を示す写真である。
以下に本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。図1は、金属材料の遠心鋳造方法の構成を示すフローチャートである。金属材料の遠心鋳造方法は、鋳込み準備工程(S10)と、鋳込み工程(S12)と、を備えている。
鋳込み準備工程(S10)は、鋳型を回転台に載置して鋳込み準備する工程である。図2は、金属材料の鋳込みの準備について説明するための模式図である。
まず、遠心鋳造装置10について説明する。遠心鋳造装置10は、金属原料を溶解するための溶解室12と、鋳型14を配置するための鋳型室16と、を備えている。溶解室12と鋳型室16との間には、溶解室12と鋳型室16とを開閉可能に仕切る仕切りバルブ18が設けられている。
溶解室12には、金属原料を溶解して金属溶湯20を溜める溶解坩堝22が設けられている。金属原料の溶解には、例えば、消耗電極式アークスカル溶解法や、インダクションスカル溶解法等を用いることが可能である。溶解坩堝22は、例えば、水冷された銅製坩堝で形成されており、金属溶湯20を鋳型14内に注湯するために傾動可能に構成されている。溶解坩堝22の周りには、例えば、誘導加熱用の高周波コイルヒータ24等の加熱手段が設けられている。
鋳型室16には、鋳型14を載置すると共に、水平方向に回転可能な円盤状の回転台26aを有し、鋳型14を上昇または下降させるための昇降体26が設けられている。回転台26aは、モータ等の回転駆動手段(図示せず)により回転可能に構成されている。鋳型14は、回転台26aに取り付けられた鋳型ホルダ(図示せず)等により保持されている。
遠心鋳造装置10には、溶解室12と鋳型室16とを排気して真空雰囲気とするための真空ポンプ等の排気手段(図示せず)が設けられている。遠心鋳造装置10には、溶解室12と鋳型室16とに不活性ガス(アルゴンガス等)を導入するためのガスボンベ等のガス供給手段(図示せず)が設けられている。
遠心鋳造装置10には、仕切りバルブ18の開閉、溶解坩堝22の傾動、昇降体26の上昇下降、回転台26aの回転、溶解室12及び鋳型室16の排気やガス供給等を制御するための制御手段(図示せず)が設けられている。制御手段(図示せず)は、一般的なコンピュータシステム等により構成されている。
なお、遠心鋳造装置10には、Ti(チタン)合金、TiAl(チタンアルミナイド)合金、Ni(ニッケル)合金等の金属材料を遠心鋳造するための一般的な遠心鋳造装置を用いることが可能である。
鋳型14は、金属材料やセラミックス等で形成されている。鋳型14については、例えば、アルミナ(Al)、シリカ(SiO)、ジルコニア(ZrO)、イットリア(Y)、セリア(CeO)等の酸化物により形成することが可能である。鋳型14の形状については、特に、限定されることはない。鋳型14には、タービン翼、ケーシング等を鋳造するための一般的な鋳型を用いることが可能である。
次に、鋳込みの準備について説明する。まず、鋳型室16に鋳型14を入れて、鋳型14を回転台26aに載置する。鋳型14は、例えば、回転台26aの略回転中心に配置される。鋳型14は、鋳型室16に入れる前に、予熱炉等で予熱されるようにしてもよい。予熱温度については、鋳込む金属材料により相違するが、Ni合金を鋳込む場合の予熱温度については、例えば、1400℃から1450℃であり、Ti合金やTiAl合金を鋳込む場合の予熱温度については、例えば、約700℃である。次に、鋳型室16を排気して、鋳型室16を真空雰囲気にする。真空度については、例えば、0.13Pa(1×10−3Torr)から1.3Pa(1×10−2Torr)である。なお、鋳型室16を排気した後に、鋳型室16にアルゴンガス等の不活性ガスを導入して、鋳型室16を不活性ガス雰囲気としてもよい。
鋳込み工程(S12)は、回転台26aを一方の回転方向へ回転させた状態で、回転台26aに載置した鋳型14内に金属溶湯20を注湯し、回転台26aの回転速度を、鋳込み時間に対して正弦波状に変化させて鋳込む工程である。
図3は、金属材料の鋳込み方法を説明するための模式図である。図4は、遠心鋳造装置10における回転台26aの回転速度の制御方法を示す図である。図4では、横軸に時間を取り、縦軸に回転台26aの回転速度を取り、鋳込み時間に対する回転台26aの回転速度の変化を実線で表している。図5は、図4に示す正弦波状の波形の拡大図である。
まず、仕切りバルブ18を開放し、昇降体26を上昇させて鋳型14を溶解室12の方へ移動させる。次に、鋳型14を載置した回転台26aを、一方の回転方向へ一定の回転速度Vで回転させる。回転台26aを一定の回転速度Vで回転させた状態で、溶解坩堝22を傾動させて、鋳型14内に金属溶湯20を注湯する。図4に示すTは、金属溶湯20の鋳型14内への注湯開始時点を示しており、Tは、金属溶湯20の鋳型14内への注湯終了時点を示している。
鋳型14内に金属溶湯20を注湯した直後(図4に示すTの時点)に、回転台26aの回転速度を鋳込み時間に対して正弦波状に変化させる。これにより、主に、図5に示す領域Aのように回転速度が遅い状態(振幅範囲の下限側)から回転速度が速い状態(振幅範囲の上限側)に至る過程と、図5に示す領域Bのように回転速度が速い状態(振幅範囲の上限側)から回転速度が遅い状態(振幅範囲の下限側)に至る過程おいて、金属溶湯20の凝固初期に発生するデンドライトが、回転速度が大きく変化することで生じる加速度により分断されるので、鋳造品の結晶粒を微細化することが可能になる。
また、図5に示す領域Cのように振幅範囲の上限近傍と、図5に示す領域Dのように振幅範囲の下限近傍では、回転速度が緩やかに変化することにより、加速度の向きが変化するときの衝撃等の影響が低減されるので、鋳型14内に注湯された金属溶湯表面の波打ちが抑えられる。これにより、凝固時の金属溶湯表面の波打ちによる鋳造品の表面欠陥を防止することができる。また、金属溶湯表面に酸化皮膜等を形成する場合や不純物等が浮遊するような場合でも、金属溶湯表面の波打ちが抑えられるので、酸化皮膜や不純物等の鋳造品への巻き込みによる介在物の形成が抑制される。更に、金属溶湯表面の波打ちが抑えられるので、鋳型14からの金属溶湯20の飛散や、脆いセラミック製鋳型の破損、不活性ガス等のガスの巻き込みが防止される。また、振幅範囲の上限近傍や下限近傍(振幅の頂点近傍)の回転速度を緩やかに変化させることにより、回転台26aの制御が容易になるので、鋳造品における品質の安定と向上とを図ることが可能となる。
正弦波状の波形中心の回転速度Vは、200rpm以上500rpm以下であることが好ましい。回転速度Vが200rpmより遅い場合には、湯廻り不良が発生する可能性があるからであり、回転速度Vが500rpmであれば湯廻り不良の抑制には十分であるからである。
正弦波状の波形の振幅Xについては、10rpm以上30rpm以下であることが好ましい。正弦波状の波形の振幅Xが10rpmより小さいと、回転速度の変化がより小さくなることから加速度がより小さくなるので、デンドライトが分断され難くなり、結晶粒を微細化し難くなるからである。振幅Xが30rpm以下であるのは、振幅Xが30rpmであれば結晶粒の微細化には十分であるからである。
正弦波状の波形の周期Yについては、0.1秒以上1秒以下であることが好ましい。正弦波状の波形の周期Yが0.1秒より短いと、回転台26aの回転速度の制御が難しくなるので、鋳造品の品質のばらつきが大きくなる可能性があるからである。正弦波状の波形の周期Yが1秒より長いと、回転速度の変化がより緩やかとなり加速度がより小さくなるので、デンドライトが分断され難くなり、結晶粒を微細化し難くなるからである。
回転台26aの回転速度を正弦波状に変化させるタイミングについては、金属溶湯20の注湯直後のデンドライトが発生する凝固初期だけ正弦波状に変化させてもよいし、注湯直後の凝固初期から凝固が完了(図4のTの時点)するまで正弦波状に変化させてもよい。注湯直後の凝固初期の小さなデンドライトが発生した段階で、鋳込み時間に対して回転速度を正弦波状に変化させることにより加速度を負荷することで、容易にデンドライトを分断することが可能となる。また、注湯直後の凝固初期から凝固が完了(図4のTの時点)するまで正弦波状に変化させることにより、凝固初期に発生した小さなデンドライトだけでなく、成長途上のデンドライトが残存する場合でも分断されるので、結晶粒の微細化効果をより高めることができる。なお、このように凝固が完了(図4のTの時点)するまで正弦波状に変化させる場合でも、鋳型14内の金属溶湯表面の波打ちが抑えられるので、鋳造品の表面欠陥が抑制される。回転台26aの回転速度を正弦波状に変化させる時間については、鋳込まれる金属材料の凝固時間により相違するが、例えば、1分間から5分間である。
鋳込み温度については、鋳込む金属材料により相違するが、鋳込み温度が高くなるほど結晶粒が粗大化し易くなり、鋳込み温度が低くなるほど湯廻り不良等による鋳造欠陥が発生し易くなる。このため、鋳込み温度については、湯廻り不良等が生じない範囲で低い温度に設定されることが好ましい。例えば、Ni合金を鋳込む場合には、1480℃以上1530℃以下であることが好ましい。Ti合金やTiAl合金を鋳込む場合には、液相線に対して約+30℃が好ましい。
鋳型温度については、鋳込む金属材料により相違するが、Ni合金を鋳込む場合には、例えば、1400℃から1450℃とすることができる。また、Ti合金やTiAl合金を鋳込む場合には、例えば、約700℃とすることが可能である。
鋳型14内に注湯された金属溶湯20の凝固が完了(図4のTの時点)した後に、回転台26aの回転を停止する。次に、昇降体26を下降させることにより、鋳型14を鋳型室16へ移動させて真空雰囲気中や不活性雰囲気中等で冷却し、仕切りバルブ18を閉じる。次に、鋳型室16から鋳型14を取り出して大気雰囲気中で室温まで冷却する。室温まで冷却した後に、鋳型14から鋳造品を取り出す。このようにして遠心鋳造により鋳造品が製造される。
遠心鋳造される金属材料については、特に限定されることなく、Ti合金、TiAl合金、Ni合金、Al合金、Mg(マグネシウム)合金、Fe(鉄)合金等の遠心鋳造に適用可能である。また、鋳造品の形状についても特に限定されることなく、例えば、タービンブレード等の薄物鋳造品や、厚肉鋳造品等についても適用可能である。
なお、上記構成では、鋳型14を回転台26aの略回転中心に載置したが、鋳型14を回転台26aの回転中心から離間した位置に載置するようにしてもよい。図6は、他の鋳型14の配置の構成を示す模式図である。回転台26aの回転中心に、金属溶湯20を分岐して各鋳型14に注湯するための分岐部材30が設けられている。各鋳型14は、回転台26aの回転中心から離間した位置に各々配置されている。このように、鋳型14を回転台26aの回転中心から離間した位置に配置することにより、鋳型14を回転台26aの回転中心に配置する場合よりも、鋳型14内の金属溶湯20に負荷される遠心力が大きくなるので、湯廻り性をより向上させると共に、結晶粒を微細化することが可能となる。
以上、上記構成によれば、鋳型を回転台に載置して鋳込み準備する鋳込み準備工程と、回転台を一方の回転方向へ回転させた状態で、回転台に載置した鋳型に金属溶湯を注湯し、回転台の回転速度を、鋳込み時間に対して正弦波状に変化させて鋳込む鋳込み工程と、を備えることにより、凝固初期に発生するデンドライトが、回転速度の変化により生じる加速度により分断されるので、鋳造品の結晶粒を微細化することが可能となる。これにより、鋳造品の高温強度等の機械的特性が向上する。また、加速度の向きが変化するときの衝撃等の影響が低減されるので、鋳型内に注湯された金属溶湯表面の波打ちが抑えられ、鋳造品の表面欠陥を防止することができる。
上記構成によれば、回転台の回転速度を鋳込み時間に対して正弦波状に変化させることで結晶粒を微細化することができることから、結晶粒を微細化させるために鋳型内の金属溶湯を振動させる振動装置等の高価な装置が不要となるので、鋳造品の生産コストを低減することが可能となる。
上記構成によれば、Ti合金、TiAl合金及びNi合金等のように、湯流れが悪く、湯廻り性が低い金属材料についても、湯廻り性を向上させると共に、結晶粒を微細化することが可能となる。
また、上記構成によれば、タービンブレードのような薄物鋳造品や、複雑形状の鋳造品のように金属溶湯が廻り難い鋳造品を鋳造する場合でも、湯廻り性を向上させると共に、結晶粒を微細化することが可能となる。
Ti合金及びTiAl合金の遠心鋳造試験を行った。
(Ti合金の遠心鋳造)
実施例1の遠心鋳造方法について説明する。Ti合金原料には、Ti−6Al−2Sn−4Zr−2Mo合金(Alが6質量%、Snが2質量、Zrが4質量%、Moが2質量%)を用いた。鋳型には、セリア(CeO)で形成したセラミックス製鋳型を使用した。Ti合金鋳造品の形状については、矩形状とした。Ti合金鋳造品のサイズについては、40mm×85mm×10mmとした。
遠心鋳造装置には、上述した図2から図3に示す遠心鋳造装置10の構成と同様のものを使用した。なお、溶解法には、消耗電極式アークスカル溶解法を用いた。まず、溶解室で、Ti合金原料の真空溶解を行った。次に、予熱した鋳型を鋳型室に入れ、鋳型を回転台(直径が約800mm)の略回転中心に載置し、鋳型室の真空引きを行った。鋳型室が約1.3Pa(1×10−2Torr)の真空度に到達した後に、仕切りバルブを開き、鋳型を溶解室の方へ移動させた。
次に、鋳型を載置した回転台を、一方の回転方向へ回転させて回転速度が320rpmに到達した後に、回転台の回転速度を320rpmに保持した状態で、溶解坩堝内のTi合金溶湯を鋳型に注湯した。鋳込み温度については、液相線に対して約+30℃とし、鋳型温度については、約700℃とした。
Ti合金溶湯の注湯直後に、回転台を一方の回転方向へ回転させた状態で、回転台の回転速度を、鋳込み時間に対して正弦波状に変化させた。正弦波状の波形中心の回転速度については、320rpmとした。正弦波状の波形の振幅については、20rpmとした。正弦波状の波形の周期については、1秒とした。鋳型内のTi合金溶湯の凝固が完了するまで、回転台の回転速度を正弦波状に変化させた。回転台の回転速度を正弦波状に変化させた時間については、2分間とした。
鋳型内のTi合金溶湯の凝固後、回転台の回転を停止し、昇降体を下降させて、回転台に載置した鋳型を鋳型室に移動させて冷却した。冷却後に鋳型室から鋳型を取り出し、鋳型を壊してTi合金鋳造品を取り出した。
次に、比較例1の遠心鋳造方法について説明する。比較例1の遠心鋳造方法では、実施例1の遠心鋳造方法に対して、Ti合金溶湯の注湯後の回転台の回転速度を、注湯直後から凝固が完了するまで一定とした点で相違する。すなわち、比較例1の遠心鋳造方法では、Ti合金溶湯の注湯後の回転台の回転速度を320rpmで一定とした。なお、その他については、実施例1の遠心鋳造方法と同様であるので詳細な説明を省略する。
(TiAl合金の遠心鋳造)
実施例2の遠心鋳造方法について説明する。TiAl合金原料には、Ti―48Al−2Nb−2Cr合金(Alが48質量%、Nbが2質量%、Crが2質量%)を用いた。鋳型には、セリア(CeO)で形成したセラミックス製鋳型を使用した。TiAl合金鋳造品の形状については、矩形状とした。TiAl合金鋳造品のサイズについては、40mm×85mm×10mmとした。
遠心鋳造装置には、上述した図2から図3に示す遠心鋳造装置10の構成と同様のものを使用した。なお、溶解法には、消耗電極式アークスカル溶解法を用いた。まず、溶解室で、TiAl合金原料の真空溶解を行った。次に、予熱した鋳型を鋳型室に入れ、鋳型を回転台(直径が約800mm)の略回転中心に載置し、鋳型室の真空引きを行った。鋳型室が約1.3Pa(1×10−2Torr)の真空度に到達した後に、仕切りバルブを開き、鋳型を溶解室の方へ移動させた。
次に、鋳型を載置した回転台を、一方の回転方向へ回転させて回転速度が320rpmに到達した後に、回転台の回転速度を320rpmに保持した状態で、溶解坩堝内のTiAl合金溶湯を鋳型に注湯した。鋳込み温度については、液相線に対して約+30℃とし、鋳型温度については、約700℃とした。
TiAl合金溶湯の注湯直後に、回転台を一方の回転方向へ回転させた状態で、回転台の回転速度を、鋳込み時間に対して正弦波状に変化させた。正弦波状の波形中心の回転速度については、320rpmとした。正弦波状の波形の振幅については、20rpmとした。正弦波状の波形の周期については、1秒とした。鋳型内のTiAl合金溶湯の凝固が完了するまで、回転台の回転速度を正弦波状に変化させた。回転台の回転速度を正弦波状に変化させた時間については、2分間とした。
鋳型内のTiAl合金溶湯の凝固後、回転台の回転を停止し、昇降体を下降させて、回転台に載置した鋳型を鋳型室に移動させて冷却した。冷却後に鋳型室から鋳型を取り出し、鋳型を壊してTiAl合金鋳造品を取り出した。
次に、比較例2の遠心鋳造方法について説明する。比較例2の遠心鋳造方法では、実施例2の遠心鋳造方法に対して、TiAl合金溶湯の注湯後の回転台の回転速度を、TiAl合金溶湯が凝固するまで一定とした点で相違する。すなわち、比較例2の遠心鋳造方法では、TiAl合金溶湯の注湯後の回転台の回転速度を320rpmで一定とした。なお、その他については、実施例2の遠心鋳造方法と同様であるので詳細な説明を省略する。
(金属組織観察)
Ti合金鋳造品及びTiAl合金鋳造品の金属組織観察を行った。
図7は、Ti合金鋳造品の光学顕微鏡による表面観察結果を示す写真であり、図7(a)は、比較例1の遠心鋳造方法で鋳造したTi合金鋳造品の表面観察結果を示す写真であり、図7(b)は、実施例1の遠心鋳造方法で鋳造したTi合金鋳造品の表面観察結果を示す写真である。
図7(a)及び図7(b)における写真から明らかなように、実施例1の遠心鋳造方法で鋳造したTi合金鋳造品の金属組織のほうが、比較例1の遠心鋳造方法で鋳造したTi合金鋳造品の金属組織よりも結晶粒が微細化していた。この結果から、Ti合金溶湯の鋳込み中に、回転台の回転速度を正弦波状に変化させることにより、凝固初期に発生したデンドライトが加速度により分断され、鋳造品の結晶粒を微細化できることがわかった。また、実施例1の遠心鋳造方法で鋳造したTi合金鋳造品の表面には、表面欠陥が認められなかったことから、回転台の回転速度を正弦波状に変化させることにより、加速度の向きの変化による衝撃等の影響が低減されて、Ti合金溶湯表面の波打ちが抑制されたと考えられる。
図8は、TiAl合金鋳造品の断面観察結果を示す写真であり、図8(a)は、比較例2の遠心鋳造方法で鋳造したTiAl合金鋳造品の断面観察結果を示す写真であり、図8(b)は、実施例2の遠心鋳造方法で鋳造したTiAl合金鋳造品の断面観察結果を示す写真である。
図8(a)及び図8(b)における写真から明らかなように、実施例2の遠心鋳造方法で鋳造したTiAl合金鋳造品の金属組織のほうが、比較例2の遠心鋳造方法で鋳造したTiAl合金鋳造品の金属組織よりも結晶粒が微細化していた。この結果から、TiAl合金溶湯を鋳込んだ場合でも、Ti合金鋳造品と同様に、結晶粒を微細化できることがわかった。また、実施例2の遠心鋳造方法で鋳造されたTiAl合金鋳造品の表面側に介在物等が認められないことから、Ti合金鋳造品と同様に、TiAl合金溶湯表面の波打ちが抑制されたと考えられる。
10 遠心鋳造装置、12 溶解室、14 鋳型、16 鋳型室、18 仕切りバルブ、20 金属溶湯、22 溶解坩堝、24 高周波コイルヒータ、26a 回転台、26 昇降体。

Claims (4)

  1. 金属材料の遠心鋳造方法であって、
    鋳型を回転台に載置して鋳込み準備する鋳込み準備工程と、
    前記回転台を一方の回転方向へ回転させた状態で、前記回転台に載置した鋳型に金属溶湯を注湯し、前記回転台の回転速度を、鋳込み時間に対して正弦波状に変化させて鋳込む鋳込み工程と、
    を備え、
    前記鋳込み工程において、デンドライトを分断して鋳込むために、正弦波状の波形中心の回転速度は、200rpm以上500rpm以下であり、正弦波状の波形の振幅は、10rpm以上30rpm以下であり、正弦波状の波形の周期は、0.1秒以上1秒以下であることを特徴とする金属材料の遠心鋳造方法。
  2. 金属材料の遠心鋳造方法であって、
    鋳型を回転台に載置して鋳込み準備する鋳込み準備工程と、
    前記回転台を一方の回転方向へ回転させた状態で、前記回転台に載置した鋳型に金属溶湯を注湯し、前記回転台の回転速度を、前記金属溶湯の注湯直後のデンドライトが発生する凝固初期だけ鋳込み時間に対して正弦波状に変化させて鋳込む鋳込み工程と、
    を備え、
    前記鋳込み工程において、デンドライトを分断して鋳込むために、正弦波状の波形中心の回転速度は、200rpm以上500rpm以下であり、正弦波状の波形の振幅は、10rpm以上30rpm以下であり、正弦波状の波形の周期は、0.1秒以上1秒以下であることを特徴とする金属材料の遠心鋳造方法。
  3. 金属材料の遠心鋳造方法であって、
    鋳型を回転台に載置して鋳込み準備する鋳込み準備工程と、
    前記回転台を一方の回転方向へ回転させた状態で、前記回転台に載置した鋳型に金属溶湯を注湯し、前記金属溶湯の注湯直後から前記金属溶湯の凝固が完了するまで、前記回転台の回転速度を、鋳込み時間に対して正弦波状に変化させて鋳込む鋳込み工程と、
    を備え、
    前記鋳込み工程において、デンドライトを分断して鋳込むために、正弦波状の波形中心の回転速度は、200rpm以上500rpm以下であり、正弦波状の波形の振幅は、10rpm以上30rpm以下であり、正弦波状の波形の周期は、0.1秒以上1秒以下であることを特徴とする金属材料の遠心鋳造方法。
  4. 請求項1から3のいずれか1つに記載の金属材料の遠心鋳造方法であって、
    前記金属材料は、TiAl合金、Ti合金またはNi合金であることを特徴とする金属材料の遠心鋳造方法。
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