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JP6456831B2 - イムノグロブリン結合ドメイン多量体 - Google Patents

イムノグロブリン結合ドメイン多量体 Download PDF

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Description

本発明は、イムノグロブリンに親和性のあるタンパク質、このタンパク質を固定化した不溶性担体、及びこの不溶性担体を利用したイムノグロブリンの分離精製方法に関するものであり、より詳しくは、アフィニティ−クロマトグラフィ用の親和性リガンドとしての性質が改良されたイムノグロブリン結合タンパク質の多量体、すなわち、イムノグロブリン結合ドメインを連結した多量体に関する。本発明は、さらに固定化を配向制御したイムノグロブリン結合タンパク質の多量体の固定化担体、及び、イムノグロブリンのアフィニティ−分離への使用に関する。
近年、抗体医薬の急速な発展に伴った抗体の需要拡大により、抗体精製効率を高めるためにイムノグロブリン結合タンパク質を固定化した抗体精製用アフィニティ−ゲル担体の高い抗体結合能への要求が増大してきている。イムノグロブリン結合タンパク質の担体への固定化は、構成アミノ酸側鎖の反応性を利用して不溶性担体に固定化されるが、イムノグロブリン結合量を増加する方法としてタンパク質の配向性を制御した種々の固定化が試みられてきた。
本発明者らはこれまでに、スタフィロコッカスのプロテインA遺伝子の5個あるイムノグロブリン結合ドメインからアルカリ安定性が高いCドメインを選び、そのアミノ酸配列を部分的に改変することでリジン残基を介した担体への固定化に際して、イムノグロブリン結合部位が固定化で塞がれないように配置することでイムノグロブリンの結合を阻害しないように配向制御が可能なイムノグロブリン結合ドメインを含むイムノグロブリン結合タンパク質を発明している(特許文献1)。
他の試みとしては、タンパク質のC末端にシステインを導入し、ゲル担体とジスルフィド結合(非特許文献1)又はチオエ−テル結合(特許文献2)により1箇所での配向制御された固定化が行われている。またタンパク質のリジン残基を他のアミノ酸へ置換したイムノグロブリン結合タンパク質のN末端α−アミノ基(特許文献3)又はC末端カルボキシル基(特許文献5)を利用して固定化を制御する試みもなされている。
これまでに報告されているC末端に導入したシステイン残基、C末端カルボキシル基、N末端アミノ基を利用した1箇所の配向制御した固定化に関しては、イムノグロブリンG(IgG)結合量の増加を達成しているが、イムノグロブリン結合ドメインの多量体を構築する際の連結する単量体(ドメイン)の最適な連結個数はこれまでに必ずしも明らかとなってはいない。例えば、非特許文献1では、プロテインAのBドメインを改変したZドメインのC末端にシステインを導入してチオプロピルセファロ−スへS−S結合を介して1箇所で固定化される単量体、2量体と5量体を作成しているが、5量体を固定化した担体は2量体固定化担体と同じIgG結合量であったと記載されている。さらに、非特許文献2では、プロテインAのBドメインを4個連結した多量体を作成しているが、5個の結合ドメインからなる天然型プロテインA(SPA)と同等の活性であったことから、4量体と5量体は同等である、と報告されている。この論文では、形成した複合体の沈殿の量は測定しているが、ゲル担体への固定化ならびにその結合能の評価はなされていない。非特許文献3では、Zドメインの単量体、2量体、5量体、10量体を作成しているが、IgG結合活性のあることは確認しているもののゲル担体への固定化は実施されておらず、固定化担体のIgG結合測定も実施されていない。
また、特許文献4では、C末端カルボキシル基を配向制御固定化しているが、ドメインを2つ連結した2量体は、ヘテロ5量体の天然型プロテインAとほぼ同程度の結合の強さであると述べている。特許文献2では、天然型プロテインAの5量体のアミノ酸配列のC末端にシステインを導入して、そのチオ−ル基を介した配向制御固定化により高いイムノグロブリン結合能を有する担体の作製に成功しているが、5量体を超える多量体についての検討はなされていない。また特許文献2には、5量体のIgGモル結合比は2〜3と記載されている。特許文献3と5では、結合ドメインの2から5個までの繰り返しを記載しているが、最適な繰り返し回数は明らかにされていない。特許文献6ではアルカリ安定化したZドメイン改変体で2量体から5量体までの多量体のなかで、4量体が最良の実施形態であるとその段落[0033]に記載されている。
これまでの報告では、イムノグロブリン結合ドメインの繰り返し個数は2個〜5個の範囲が適しているとの記載はあるが、天然型プロテインAの5個を超える多量体の有用性は示されていない。即ち、複数個の結合ドメインからなる多量体をその末端部分で担体へ固定化した際に、固定化に利用される化学反応の種類にかかわらず、イムノグロブリン結合活性を最大にする多量体の結合ドメインの最適な連結個数は明らかにされていない。
特許第4179517号公報 特許第4117903号公報 特開2008−266219号公報 特開2005−112827号公報 特許第5004165号公報 特許第4391830号公報
Eur.J.Biochem. 1989(186)557−561 Protein Engineering 1989(2)481−487 Protein Engineering 1987(1)107−1413
[現状の問題点とその解決法]
本発明は、次の思考過程により従来技術における問題点を解決する端緒を把握し、その解決策を見出した結果である。すなわち、配向制御して固定化することによりイムノグロブリン結合タンパク質の固定化量は増大し、IgG結合量は、IgG結合ドメインの数に比例して増加すると考えられる。そうすると、結合ドメインを繰り返し連結したイムノグロブリン結合タンパク質多量体の固定化量を増加することによりIgG結合量が増大することができると考えられるが、これまでの例では、天然のプロテインAが5量体であることから、2〜5量体の範囲で検討されているものの、5量体を超える多量体の配向制御による固定化に際して、連結する単量体の数とそのIgG結合量の十分な検討はなされていない。より多くのIgG結合ドメインを配向制御して固定化することができれば、より多くのIgGを結合することが可能になると考えられるが、実際には分子量約15万のIgGが結合するためには、結合ドメイン数だけではなく、結合ドメインに結合したIgGが近傍の他のIgG分子の接近と結合を妨害しないような空間が必要となる。そこには、最大のIgG結合量を達成するための最適なIgG結合ドメインの固定化量が存在するはずである。さらに、IgG結合ドメインを連結した多量体では、IgG分子の結合を妨害しない最適な長さと固定化量が存在するはずである。
これまでに、担体に固定化したイムノグロブリン結合タンパク質のイムノグロブリン結合量は、その結合ドメインの個数が4個以上となってもイムノグロブリン結合量は増加しないことから、4個までの結合ドメインの繰り返しが最良の構造と考えられていた。担体に固定化したイムノグロブリン結合タンパク質のイムノグロブリン結合量は、その結合ドメインの量に比例するが、ポアサイズ、空間容積、有効表面積といった担体の構造にも大きく影響を受ける。特に、小さく折りたたまれた球状タンパク質よりも結合ドメインの繰り返し構造からなる多量体では占有体積が大きくなるので、イムノグロブリンとの結合は担体の構造の影響を受けやすい。配向制御して固定化した多量体では、結合ドメインが空間に伸びて可動性の高い構造となるためにイムノグロブリンとの接触機会が増大し結合性が高くなるが、担体のポアサイズの影響を受けるために多量体の結合ドメインの数とイムノグロブリン結合量が必ずしも比例関係にはならない。さらに、多量体の担体への固定化量を増加すると、イムノグロブリン分子同士が空間的に隣接して相互の結合を妨害する立体障害により結合量が低下することもアフィニティ−担体の使用ではよく経験することである。このようなさまざま要因が、イムノグロブリン結合タンパク質固定化担体の結合能に影響を及ぼすことから、多量体の結合ドメインの繰り返し構造とイムノグロブリン結合量との関係が明瞭ではなかった。
本発明の目的は、イムノグロブリンの精製に利用されるアフィニティ−ゲル担体のイムノグロブリン結合量を最大にするために、配向制御されて担体に固定化されるイムノグロブリン結合タンパク質の多量体の結合ドメインの繰り返し構造を最適化し、少ない固定化量で最大のイムノグロブリン結合量を示す最適な多量体構造を見出すことにある。
上記目的を達成するために、遺伝子工学的手法により種々の配向制御可能なイムノグロブリン結合タンパク質の多量体を作成し、各形質転換体から精製したのちに、それらを固定化した担体のイムノグロブリン結合量を詳細に比較検討することにより、以下のように本発明を完成させるに至った。
(1)N末端又はC末端に位置し、不溶性担体への固定化反応によって担体と共有結合するアミノ酸残基を含むイムノグロブリン結合ドメイン(R2)と、配列中に存在することにより存在しない場合と比べて、固定化反応によって得られる担体のイムノグロブリン結合活性を減少させるアミノ酸残基を含まないイムノグロブリン結合ドメイン(R1)からなり、左側をN末端としてC末端側へ向かうアミノ酸配列からなる下記一般式:
(R1)n−(R2)m 又は(R2)m−(R1)n
で表されるイムノグロブリン結合ドメインの多量体であって、
(1)nは5以上9以下の整数である、
(2)mは1又は2の整数である、
(3)n個の(R1)ドメインは互いに同一の配列であってもなくてもよい、
(4)ドメイン総数(n+m)が6乃至10個である、
の各条件を満たし、(R2)ドメインのアミノ酸残基を介して不溶性担体に固定化される性質を有することを特徴とし、
(R1)と(R2)は、スタフィロコッカス(Staphylococcus)プロテインAのイムノグロブリン結合ドメインのアミノ酸配列をもとに改変されたドメインであり、
(R1)は、プロテインAのイムノグロブリン結合ドメインのアミノ酸配列を元に、4、7、35位のうち1個ないし3個の位置に元からあるリジン残基をリジン以外のアミノ酸へ置換し、かつ、リジンに置換したアミノ酸残基のない配列からなり、
(R2)は、プロテインAのイムノグロブリン結合ドメインのアミノ酸配列を元に、40位、43位、46位、53位、54位及び56位のアミノ酸残基のうちの1個ないし6個をリジンに置換した配列からなる、
イムノグロブリン結合タンパク質。
(2)上記構造式の(R2)ドメインが、(R1)ドメインが連結されていない側の末端に2個以上のリジン残基を含むアミノ酸配列が付加された配列からなる、上記(1)に記載のイムノグロブリン結合タンパク質。
(3)上記構造式の(R2)ドメインが、さらに、4、7、35位のうち35位のみ、又は35位に加えてそれ以外の1以上の位置に元からあるリジン残基をリジン以外のアミノ酸へ置換した配列からなる、上記(1)または()に記載のイムノグロブリン結合タンパク質
(4)上記構造式の(R1)ドメイン、さらに42、49、50、58位の元からあるリジン残基のうち1個ないし4個をリジン以外のアミノ酸に置換した配列からなる、上記(1)ないし()のいずれかに記載のイムノグロブリン結合タンパク質。
(5)上記(1)から()のいずれかに記載のイムノグロブリン結合タンパク質を不溶性担体に固定化したことを特徴とするイムノグロブリン結合用固定化担体。
(6)上記()に記載のイムノグロブリン結合用固定化担体を用いることを特徴とするイムノグロブリンの分離精製方法。
本発明は、イムノグロブリン結合タンパク質の単量体(ドメイン)を連結した多量体構造のタンパク質(例、プロテインA改変体)を配向制御して不溶性担体に固定化した際に、少ない固定化量で最大のイムノグロブリン結合量を示す最適な多量体構造を見出したものである。これまでイムノグロブリン結合タンパク質改良型は結合ドメインを2〜5個の範囲で連結することでなされており、担体へはイムノグロブリン活性を阻害しない程度に多くの量を固定化していた。本発明により、担体への固定化反応の種類に限定されることなく少ない量のイムノグロブリン結合タンパク質を固定化した担体を使用することにより、一定量の担体で最大のイムノグロブリン結合が達成可能となり、抗体利用の分野において抗体製造コストの低減と効率化に寄与するものである。
各種多量体の精製品のSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動 各種多量体を固定化したトヨパ−ルAF−ホルミル−650のヒトIgG結合能の比較 異なる6量体PN−613、621、651を固定化したトヨパ−ルAF−ホルミル−650のヒトIgG結合能の比較 各種多量体を10mg/mLで固定化したアガロ−スの固定化率とヒトIgG結合能の比較 各種多量体の異なった固定化量とその担体のヒトIgG結合量の比較
本発明は、N末端又はC末端に位置し、不溶性担体への固定化反応によって担体と共有結合するアミノ酸残基を含むイムノグロブリン結合ドメイン(R2)と、配列中に存在することにより存在しない場合と比べて、固定化反応によって得られる担体のイムノグロブリン結合活性を減少させるアミノ酸残基を含まないイムノグロブリン結合ドメイン(R1)からなり、左側をN末端としてC末端側へ向かうアミノ酸配列からなる下記一般式:
(R1)n−(R2)m 又は(R2)m−(R1)n
で表されるイムノグロブリン結合ドメインの多量体であって、(1)nは5以上9以下の整数である、(2)mは1又は2の整数である、(3)n個の(R1)ドメインは互いに同一の配列であってもなくてもよい、(4)ドメイン総数(n+m)が6乃至10個である、
の各条件を満たし、(R2)ドメインのアミノ酸残基を介して不溶性担体に固定化される性質を有することを特徴とするイムノグロブリン結合タンパク質、このタンパク質を担体結合したイムノグロブリン結合用固定化担体、及びこの担体を用いたアフィニティ−クロマトグラフィ−によりイムノグロブリンを分離精製する方法に関する。
本発明の多量体は、末端に配置される1から2個の(R2)ドメインが不溶性担体へ固定化されて、5個から9個の連結された(R1)ドメインが固定化されずに不溶性担体上で可動性の高い構造であることを特徴として、合計6から10個のイムノグロブリン結合ドメインからなるイムノグロブリン結合タンパク質である。この(R2)ドメインのみを担体へ選択的に共有結合を介して固定化するために、反応性の高いリジン残基やシステイン残基といったアミノ酸に対する反応を利用することにより、選択性の高い固定化反応が可能となる。固定化に利用される化学反応に対して、(R1)ドメインは活性なアミノ酸を含まないアミノ酸配列、そして(R2)ドメインは活性なアミノ酸を有するアミノ酸配列として多量体を構築する。
担体への固定化にアミノ基を介した固定化反応を利用する場合には、(R2)ドメインに使用されるイムノグロブリン結合ドメインのアミノ酸配列に含まれるリジン残基の中から担体への固定化によりイムノグロブリンの結合を妨害する位置のリジン残基をリジン以外のアミノ酸に置換するとともに、イムノグロブリンの結合に関与しないリジン以外のアミノ酸残基の一部のアミノ酸をリジンに置換することにより、イムノグロブリンの結合が可能で固定化反応が増進した(R2)ドメインを作製することができる。このような(R2)ドメインに連結する(R1)ドメインは、アミノ酸配列中に元からあるリジン残基のうち、配列に存在する場合に存在しない場合と比べて、不溶性担体への固定化反応により得られる担体のイムノグロブリン結合活性を減少させるリジン残基をリジン以外のアミノ酸に置換した配列からなるイムノグロブリン結合ドメインを利用することで、本発明を実施することができる。
また、(R1)ドメインと同様に元からあるリジン残基をリジン以外のアミノ酸に置換した(R2)ドメインに、(R1)ドメインが結合していないアミノ酸配列末端に複数個のリジンを含むペプチドを付加することにより、リジン残基を介して配向を制御した多量体の不溶性担体への固定化が可能である。
チオ−ル基を介した固定化反応を利用する場合には、(R2)ドメインとして利用するイムノグロブリン結合ドメインに新たにシステイン残基を導入することで本発明を実施することができる。この場合の連結する(R1)ドメインはシステインを含まない配列からなる。チオ−ル基に対して選択性の高いジスルフィド結合やマレイミド基による担体への固定化反応は、システインを導入した多量体の固定化に利用することができる。さらに安価で化学的安定性が高いことから工業的によく使用されるエポキシ基は容易にシステインとチオエ−テル結合を形成するのでシステイン導入多量体の担体への固定化に利用してよい。
その他の方法として、システイン残基の固定化利用のために特許文献5に記載されたチオ−ル基をシアノ化することによるアミノ基含有固定化担体へ固定する方法や、特許文献2に記載の4−(N−maleimidomethyl)cyclohexane−1−carboxylate(SMCC)を架橋剤として利用してシステイン残基を有する多量体をアミノ基含有担体へ固定化する方法も利用できる。
さらに詳しく説明すると、上記構造式のイムノグロブリン結合ドメイン(R1)が、アミノ酸配列中に元からあるリジン残基のうち、配列に存在する場合に存在しない場合と比べて、不溶性担体への固定化反応により得られる担体のイムノグロブリン結合活性を減少させるリジン残基を、リジン及びシステイン以外のアミノ酸残基に置換することにより得られるアミノ酸配列であり、かつ固定化結合ドメイン(R2)が不溶性担体への固定化反応によって担体と共有結合するリジン残基及び/又はシステイン残基を含むアミノ酸配列であるドメインからなることが好ましく、例えば、(R1)及び(R2)で示される各イムノグロブリン結合ドメインがスタフィロコッカス(Staphylococcus)プロテインAの結合ドメインのアミノ酸配列をもとに改変されたドメインからなることができる。この場合のイムノグロブリン結合ドメイン(R1)は、固定化反応において元から存在する場合と置換した場合でイムノグロブリン結合活性に違いがないリジン残基であれば含まれていてもよい。
イムノグロブリン結合ドメイン(R1)は、スタフィロコッカス(Staphylococcus)プロテインAのイムノグロブリン結合ドメインのアミノ酸配列を元に、4、7、35位のうち1以上の位置に元からあるリジンをリジン以外のアミノ酸へ置換したイムノグロブリン結合ドメインからなるか、さらに、42,49,50,58位の元からあるリジン残基のうち1個ないし4個をリジン以外のアミノ酸へ置換して(R1)の固定化に関与するリジン残基を減じることで(R2)の担体への固定化結合を増進することができる。
(R2)は、スタフィロコッカス(Staphylococcus)プロテインAのイムノグロブリン結合ドメインのアミノ酸配列を元に、4、7、35位のうち35位のみ、又は35位に加えてそれ以外の1以上の位置に元からあるリジンをリジン以外のアミノ酸へ置換したイムノグロブリン結合ドメインからなるか、さらに、40位、43位、46位、53位、54位及び56位のアミノ酸のうちの1個ないし6個がリジンに置換されていることにより担体との結合を増進することができる。
さらに、本発明は以下のイムノグロブリン結合タンパク質の多量体を包含する。
(1)イムノグロブリン結合ドメイン(R1)がリジンを含まないアミノ酸配列からなり、固定化結合ドメイン(R2)が、イムノグロブリン結合タンパク質のアミノ酸配列中のすべてのリジン残基をリジン以外のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列に加えてそのアミノ酸配列の(R1)が連結されていない側の末端に2個以上のリジン残基を含むアミノ酸配列が付加された配列からなるイムノグロブリン結合タンパク質の多量体。
(2)イムノグロブリン結合ドメイン(R1)がリジンを含まないアミノ酸配列からなり、担体への固定化結合ドメイン(R2)のリジン残基を含むアミノ酸配列が、イムノグロブリン結合タンパク質のアミノ酸配列であるか又はそのアミノ酸配列中の一部のリジン残基がリジン以外のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列又はそれに加えて一部のリジン以外のアミノ酸残基がリジンに置換されたアミノ酸配列からなるイムノグロブリン結合タンパク質の多量体。
(3)イムノグロブリン結合ドメイン(R1)がシステインを含まないアミノ酸配列からなり、固定化結合ドメイン(R2)がシステインを含むアミノ酸配列からなるイムノグロブリン結合タンパク質の多量体。
また、本発明は、1個のイムノグロブリン結合部位を有するが固定化には関与しない単量体(R1)を5個又はそれ以上を連結した多量体のN末端又はC末端に、不溶性担体へ固定化される1から2個のイムノグロブリン結合ドメインを有する単量体(R2)を配置する多量体を固定化した不溶性担体に関するものである。その一般式は、(R1)n−(R2)m又は(R2)m−(R1)nとなる。不溶性担体への固定化のために、(R2)に配置するリジン残基のアミノ基を介する場合、(R1)のアミノ酸配列に元からあるリジン残基のうち、配列に存在する場合に配列に存在しない場合と比べて、不溶性担体への固定化反応により得られる担体のイムノグロブリン結合活性を減少させる位置のリジン残基をリジン以外の他のアミノ酸に置換することで配向を制御した固定化を達成することができる。その際に、(R2)ドメインは、既に本発明者らが発明した方法(特許文献1)と同様の方法により、プロテインAのドメインの4、7、35位のうち35位のみ、又は35位に加えてそれ以外の1以上の位置に元からあるリジン残基をリジン以外のアミノ酸に置換した改変体又は、その改変に加えてイムノグロブリンの結合に直接関与しない第3α−へリックスに位置する40、43、46、53、54位及び56位のアミノ酸のうちの1個乃至6個をリジンに置換した改変体を作製して配置することが可能である。
(R2)のイムノグロブリン結合ドメインのアミノ酸配列の固定化反応で共有結合に関与するすべてのリジン残基をリジン以外のアミノ酸に置換した場合には、このドメインの(R1)が連結されていない末端に2個以上のリジン残基を含むアミノ酸配列を付加したアミノ酸配列からなる(R2)を構築することで、同様のアミノ基を介した配向制御固定化を達成することができる。この場合、付加するリジン残基は1個でもよいが、好ましくは2個以上のリジン残基を付加することにより固定化率を向上させることができる。末端に付加したアミノ酸配列を除いた配列部分が(R1)のアミノ酸配列と同じになる場合があるが、配向制御した固定化には支障はない。
さらに、多量体をシステインのチオ−ル基を介して配向を制御して固定化する場合には、(R2)ドメインにシステインを導入する。(R2)ドメインとして利用するイムノグロブリン結合ドメインのいずれかのアミノ酸をシステインに置換してよいが、プロテインAのイムノグロブリン結合ドメインの場合、イムノグロブリン結合に直接関与しない第3α−へリックスのアミノ酸をシステインに置換することがより好ましい。またシステイン残基を付加する場合には、N末端又はC末端にシステイン又はシステインを含むペプチドを付加する方法が好ましい。すべての連結ドメインが(R1)からなり、N末端又はC末端にシステイン又はシステインを含むペプチドが付加された構造となることがあるが、この場合、システインを含む配列が付加された(R1)は固定化に利用されるドメインとして(R2)ドメインの意味に含まれる。
チオ−ル基を有する担体とジスルフィド結合を介して固定化する場合には、(R1)と(R2)のアミノ酸配列中にリジン残基が含まれていてよい。チオ−ル基をエポキシ基で固定化する場合にはドメインにリジン残基は含まれていてもよいが、エポキシ基はチオ−ル基ほどではないがアミノ基に比較的高い反応性を示すことから、段落[0030]の(1)と(2)に記述したリジン改変多量体の(R2)ドメインに段落[0030]の(3)のようにシステイン残基を導入する方法を組み合わせれば、エポキシ活性化担体への固定化により好ましい多量体を作製することができる。
本発明の担体に固定化するイムノグロブリン結合ドメインは、スタフィロコッカス(Staphylococcus)プロテインAの結合ドメインE、D、A、B、Cを使用することができる。
スタフィロコッカス由来のプロテインAの結合ドメインのアミノ酸配列としては、いずれのドメインを用いてもよいが、リジン残基を介した固定化を実施する場合には、5つのドメインのうちアルカリに安定で39位以降にリジン残基が多いCドメインを用いるのが好ましく、イムノグロブリンに対する親和性リガンドとしての使用実績の多いZドメインの配列を用いてもよいが、化学的安定性が増すことが既に知られている29位のグリシンのアラニンへの置換を施したCドメインの配列(配列表の配列番号1に表示)を採用するのが最も好ましい。
イムノグロブリン結合ドメインの配向を制御した固定化を可能にする目的でリジン残基を他のアミノ酸に置換する場合、リジンと同じ性質の塩基性アミノ酸であるアルギニンへの置換は、通常よく用いられる手法であるが、固定化反応に関与しうるε−アミノ基をなくすることが条件であるので、アルギニンを含むリジン以外の他のアミノ酸への置換で目的を達成することができる。
本発明は、下記の方法が共通して用いられている。
〔イムノグロブリン結合タンパク質の製造の概要〕
本発明のイムノグロブリン結合タンパク質を製造するための標準技術としては、例えばFrederick M. AusubelらによるCurrent Protocols In Molecular Biologyなどに記載されている公知の遺伝子組換え技術を利用できる。すなわち、目的の改変タンパク質をコ−ドする核酸配列を含有させた発現ベクタ−を大腸菌などの宿主に形質転換し、該細胞を適切な液体培地で培養することにより、培養後の細胞より大量かつ経済的に取得することができる。具体的には、プロテインAの1個のイムノグロブリン結合ドメインは約60個のアミノ酸からなる小さなタンパク質であるので、例えば所望のアミノ酸配列をコ−ドするDNAを数十塩基からなる合成オリゴヌクレオチドに分割して合成し、それらをDNAリガ−ゼによるライゲ−ション反応によって繋げてプラスミドベクタ−に挿入することで、目的の発現ベクタ−を取得することができる。その際に、該タンパク質を大腸菌で効率よく発現させる目的で、大腸菌の至適コドンを用いた核酸配列を採用することは、当業者によって一般的に行われている。目的のアミノ酸置換を実現するためのDNA配列の変異は、改変前のクロ−ンDNAを鋳型として、ミスマッチ塩基対を組み込む合成オリゴDNAをポリメラ−ゼチェインリアクションのプライマ−として利用するオ−バ−ラップ伸長法や、カセット変異法などを用いて意図した部位に容易に導入することができる。
多量体タンパク質をコ−ドするcDNAは、一個の(R1)のイムノグロブリン結合ドメインをコ−ドするcDNAと1個の(R2)のアミノ酸配列をコ−ドするcDNAを連結することにより作成した2量体のcDNAのドメイン間の連結部分に非パリンドロ−ム配列を認識する制限酵素の認識配列を導入し、ここに同配列で(R1)をコ−ドするcDNA断片をライゲ−ション反応により挿入すると容易に作成することができる。こうして作成したcDNAを適切な発現プラスミド上に挿入して利用することで、イムノグロブリン結合ドメインの単位が6個又はそれ以上連結された多量体タンパク質を容易に製造することが可能である。
本発明の改変タンパク質をコ−ドする核酸配列が挿入される発現ベクタ−としては、宿主細胞において複製可能であるプラスミド、ファ−ジ、ウイルスなどいかなるベクタ−をも用いることができる。例えば、商業的に入手可能な発現ベクタ−としては、pQE系ベクタ−(株式会社キアゲン)、pDR540、pRIT2T(GEヘルスケアバイオサイエンス株式会社)、pET系ベクタ−(メルク株式会社)などが挙げられる。発現ベクタ−は宿主細胞との適切な組み合わせを選んで使用するのがよい。例えば大腸菌を宿主細胞とする場合には、pET系ベクタ−とBL21(DE3)大腸菌株の組み合わせ又はpDR540ベクタ−とJM109大腸菌株の組み合わせなどが好ましく挙げられる。
本発明の改変タンパク質は、培養された細胞を遠心分離などにより集め、これを超音波やフレンチプレスなどを用いた処理にて破砕することで、可溶性画分中に回収することができる。該改変タンパク質の精製は、公知の分離、精製技術を適切に組み合わせて行なうことができる。具体的には、塩析法、透析法、限外濾過法などの分離技術に加え、疎水性クロマトグラフィ、ゲル濾過クロマトグラフィ、イオン交換クロマトグラフィ、アフィニティ−クロマトグラフィ、逆相クロマトグラフィなどの精製方法が挙げられる。
[イムノグロブリン結合タンパク質の固定化の概要]
本発明のイムノグロブリン結合ドメイン多量体タンパク質を固定化する不溶性担体の材料は、特に限定されるものではない。例えば、キトサン、デキストラン、セルロ−ス、アガロ−スなどの天然由来の高分子材料、ビニルアルコ−ル、ポリイミド、メタクリレ−トなどの合成ポリマ−類などが挙げられる。また別の形態ではシリカなどの無機担体でもよい。不溶性担体の形状は、特に限定されるものではなく、例えば中空糸膜状、モノリス状、やビ−ズ状のものを用いることができる。ビ−ズ状のものは一般的に、体積あたりの表面積が膜状のものと比較して大きいので、イムノグロブリン結合能の高いアフィニティ−担体に適している。
固定化に使用する担体は、例えば複数の細孔を有する多孔質のものが用いられる。多孔質担体の細孔径又は網目構造は多量体が大きな空間占有体積を有することから、固定化された多量体にイムノグロブリンが容易に近づいて結合できるだけの空間容積が必要である。多孔質担体のタンパク質排除限界分子量は1,000,000〜200,000,000がよく、4,000,000〜100,000,000がさらに好ましい。担体の平均粒子径は、好ましくは20〜200μm、より好ましくは30〜100μmの範囲のビ−ズ状がよい。
通常、アフィニティ−担体を作製する場合に、タンパク質を、シアノゲンブロミド、エピクロロヒドリン、N−ヒドロキシスクシンイミド、トシル/トレシルクロリド、カルボジイミド、グルタ−ルアルデヒド、ヒドラジンのようなカップリング剤やカルボキシル又はチオ−ル活性化担体を利用して、担体上に固定する。このようなカップリング反応は、当該技術分野において周知であり、文献に広く記載されている(例えば、Janson, J.−C., 編集[Protein purification]、第3版、221−258頁、ISBN 978−0−471−74661−4)。本発明のイムノグロブリン結合ドメイン多量体タンパク質は、その配向性を制御できるように配置されたアミノ酸残基を介して担体に結合させることを特徴とするものであり、アミノ基を介した固定化にはトレシル基、エポキシ基、カルボキシル基、ホルミル基など、アミノ基と反応して共有結合を形成できる活性基を有する担体を用いることができる。市販の担体としては、トヨパ−ルAF−トレシル−650、トヨパ−ルAF−エポキシ−650、トヨパ−ルAF−カルボキシ−650、トヨパ−ルAF−ホルミル−650(以上、東ソ−株式会社)、NHS活性化セファロ−ス、臭化シアン活性化セファロ−ス、エポキシ活性化セファロ−ス(以上、GEヘルスケアバイオサイエンス株式会社)、プロフィニティエポキシド(バイオラッド株式会社)、グリオキサ−ル−アガロ−ス(アガロ−スビ−ズテクノロジ−ズ株式会社)、セルファインホルミル(JNC株式会社)などが挙げられる。システイン残基のチオ−ル基を介しての固定化には、チオプロピルセファロ−スやエポキシ活性化セファロ−ス(以上、GEヘルスケアバイオサイエンス株式会社)、プロフィニティエポキシド(バイオラッド株式会社)を利用することができる。
このようにして作成された本発明のアフィニティ−担体は適切なカラムにつめてIgA、IgG、IgMなどイムノグロブリンを単離、精製する過程におけるアフィニティ−クロマトグラフィに利用される。
次に、本発明について実施例に基づき詳細に説明するが、これらの実施例により本発明が限定されるものではない。
[スタフィロコッカス由来プロテインAのリジン残基を置換したCドメインを利用する多量体の製造]
[設計と改変体の構築]
本発明者らは、プロテインAのドメインの4、7、35位のうち35位のみ、又は35位に加えてそれ以外の1以上の位置に元からあるリジン残基をリジン以外のアミノ酸に置換した改変体又は、その改変に加えてイムノグロブリンの結合に直接関与しない第3α−へリックスに位置する40、43、46、53、54及び56位のアミノ酸のうちの1個乃至6個をリジンに置換することにより配向を制御した多点での固定化を可能とする単量体タンパク質を作製する方法を確立している(特許文献1)ので、同様の方法により改変体の設計と構築を実施した。
基本設計のアミノ酸配列をコ−ドするDNA断片を鋳型DNAとし、Polymerase Chain Reaction(PCR)によって特定の部位の配列を異なるアミノ酸をコ−ドする配列に置換する方法は、同業者らによって成される一般的な方法であり、この方法による置換を繰り返すことで、複数の箇所の配列を置換したcDNA断片を容易に得ることができる。特許文献1には、特定の位置のアミノ酸残基をリジン残基に置換し、又は特定の位置のリジン残基を置換・欠失させた改変タンパク質を作製する具体的な方法が記載されている。本出願人がすでに保有しているプロテインAのCドメインの29位のグリシンをアラニンに置換した改変体であるC’ドメイン(配列番号1)を基本設計として、全てのリジン残基を別のアミノ酸に置換したドメイン改変体(R1)をn回繰り返した構造の多量体((R1)n)のC末端又はN末端にリジン残基を特定の位置に配置した固定化結合ドメイン(R2)を連結した多量体の構築方法を以下に述べる。
まず(R1)ドメインとして、C’ドメインの4位、7位、35位、42位、49位、50位及び58位にもとからあるリジン残基をすべてリジン以外のアミノ酸に置換した改変体PN−95f(配列番号2)を設計し、C’ドメインをコ−ドするDNA断片を鋳型として、それぞれの改変部分に相当する合成オリゴヌクレオチドをプライマ−DNAとして用いるPCRをおこなって、PN−95fのアミノ酸配列をコ−ドするcDNA断片を作成した。またこれと同様の手法を用いて、(R2)ドメインとしてC’ドメインの4位、7位及び35位のリジン残基をすべてリジン以外のアミノ酸に置換し、かつ40位、43位、46位及び53位の各アミノ酸残基をそれぞれリジン残基に置換することにより非IgG結合領域にリジン残基を集積した改変体PN−26f(配列番号3)を設計し、そのアミノ酸配列をコ−ドするcDNA断片を作成した。
多量体をコ−ドするDNAの構築に際し、PN−95fの最初の配列には制限酵素NdeIの認識配列(CATATG)を含む翻訳開始コドンをもたせ、55−57位のグルタミン−アラニン−プロリンをコ−ドする部分の核酸配列に制限酵素 EcoO109Iの認識配列(AGGCCCC)を含む様に設計し、フォア−ドプライマ−として配列番号4の合成オリゴヌクレオチドを、リバ−スプライマ−として配列番号5の合成オリゴヌクレオチドをそれぞれ用いてPCRによりcDNA断片を調製した。また制限酵素 EcoO109Iの認識配列(AGGCCCC)を含むPN−95fの最後尾の配列に続けてPN−26fとPN−95fに共通の最初の配列を持つ合成オリゴヌクレオチド(配列番号6)をフォア−ドプライマ−として用い、リバ−スプライマ−としては55−57位の配列にEcoO109Iの認識配列を含まず、且つ最後のアミノ酸をコ−ドするDNA配列の後に翻訳終止コドンを、続けて最後に制限酵素BamHIの認識配列をもたせた逆向きの合成オリゴヌクレオチド(配列番号7)をそれぞれ用いてPCRによりPN−26fのアミノ酸配列をコ−ドするcDNA断片を作成した。次に、こうして作成したPN−95f及びPN−26fをコ−ドする2個のDNA断片を制限酵素EcoO109Iにて切断した後に連結することで、EcoO109Iの認識配列にて連結された[PN−95f]−[PN−26f]の2量体をコ−ドするcDNAを調製した。この2量体cDNA断片を予めEcoO109Iの認識配列を欠失させたpUC19プラスミド上にサブクロ−ニングした。
次にPN−95fをコ−ドするcDNA断片を鋳型DNAとし、配列番号5及び配列番号6の合成オリゴヌクレオチドを用いたPCRにより制限酵素EcoO109Iの認識配列を前後に含むPN−95fのcDNA断片を作成した。
先に得たEcoO109Iの認識配列にて連結された[PN−95f]−[PN−26f]の2量体をコ−ドするプラスミドをEcoO109Iで切断し、切断部位をアルカリフォスファタ−ゼを用いて脱リン酸化した後、ここにEcoO109Iの認識配列を前後に含むPN−95fのcDNA断片をEcoO109Iで切断し、得たフラグメントをライゲ−ション反応にて挿入した。このライゲ−ション反応物を用いて形質転換された大腸菌DH−5αをアンピシリン含有の寒天培地上に撒き、出現したコロニ−から各クロ−ンを培養してそれぞれのクロ−ンが持つプラスミドを解析した。その結果、前後にEcoO109Iの認識配列をもつPN−95fのcDNA断片が[PN−95f]−[PN−26f]の間のEcoO109I認識配列部分に2個挿入されたものが[PN−95f]−[PN−95f]−[PN−95f]−[PN−26f]([PN−95f]−[PN−26f])の形の4量体のcDNAとしてクロ−ニングされ、3個挿入されたものが([PN−95f]−[PN−26f])の5量体cDNAとして、さらに4個、6個、8個及び10個挿入されたものがそれぞれC末端にだけPN−26fが配置された6量体、8量体、10量体及び12量体のcDNAとしてそれぞれクロ−ニングされた。この様にして得られた4、5、6、8、10及び12量体を各々PN−421、PN−521、PN−621、PN−821、PN−1021及びPN−1221と命名した。
また最後尾のPN−26fをPN−95fの58位にのみリジン残基を配置したPN−99fに入れ替えた6量体PN−623([PN−95f]−[PN−99f])のcDNAの作成にあたっては、最初にEcoO109Iの認識配列にて連結された[PN−95f]−[PN−99f]の2量体をコ−ドするcDNAを予めEcoO109Iの認識配列を欠失させたpUC19プラスミド上にサブクロ−ニングして得ておき、上述の方法と同様の方法により前後にEcoO109Iの認識配列をもつPN−95fのcDNA断片が[PN−95f]−[PN−99f]の間のEcoO109I認識部位に4個挿入されたクロ−ンを選択した。
さらに、リジン残基を集積したドメイン改変体PN−26fを1個だけN末端に配置し、そのC末端側にリジン残基を含まないドメイン改変体PN−95fを5個連結した6量体、PN−651([PN−26f]−[PN−95f])のcDNAの作成にあたっては、最初にEcoO109Iの認識配列にて連結された[PN−26f]−[PN−95f]の2量体をコ−ドするcDNAを予めEcoO109Iの認識配列を欠失させたpUC19プラスミド上にサブクロ−ニングして得ておき、このEcoO109I認識部位に上述の方法と同様の方法により前後にEcoO109Iの認識配列をもつPN−95fのcDNA断片が4個挿入されたクロ−ンを選択した。
以上の様にして得た各多量体cDNAをサブクロ−ニングしたpUC19プラスミドを制限酵素 NdeI及びBamHIで処理して各cDNA断片を切り出し、これを大腸菌発現ベクタ−であるpET9a上に挿入して発現プラスミドを構築し、それぞれの発現プラスミドの核酸配列を、CEQ8000型DNAシ−クエンサ−(ベックマンコ−ルタ−株式会社)を用いて解析し、設計どおりの配列であることを確認した。次に各発現プラスミドにてBL21(DE3)コンピ−テントセル(メルク株式会社)を形質転換することで、各多量体タンパク質の発現株を得た。
それぞれの多量体タンパク質の発現大腸菌株を、25mg/Lのカナマイシンと2.0%グルコ−スを含むLB培地にて12時間種培養し、この種培養液を25mg/Lのカナマイシンと0.8%グルコ−スを含む2×TY培地に接種し、37℃にて16時間培養して目的とするタンパク質を発現させた後、遠心分離によって大腸菌を集めた。次に集めた大腸菌を50mM MES緩衝液(pH 6.0)に懸濁し、超音波処理して大腸菌を破砕し、さらに遠心分離によって目的のタンパク質を上清に回収した。得られた各上清を菌体抽出液としてドデシル硫酸ナトリウム(SDS)−ポリアクリルアミドゲル電気泳動に供したところ、それぞれの分子量の位置に目的タンパク質が生産されていることが確認できた。
[改変多量体の精製と純度検定]
各改変多量体の菌体抽出液をpH 5.2に調整したのちに、陽イオン交換体SP−セファロ−スファストフロ−(GEヘルスケアバイオサイエンス株式会社)カラムにアプライした。20mM リン酸バッファ−(pH 6.0)にて洗浄後、NaCl濃度を段階的に高めて溶出した。各多量体は0.1から0.2M NaClで溶出することを確認した。次に、各多量体を含む同溶出液のpHを9に調整したのちに陰イオン交換体ギガキャップQ(東ソ−株式会社)カラムに添加した。20mM リン酸バッファ−(pH 7.8)にて洗浄後、0.3M NaCl濃度にて多量体をそれぞれ溶出した。各溶出液をSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動に供して純度を確認した結果、各多量体は理論値の分子量の位置に単一バンドとして精製されていることを確認した(図1)。
[ゲル担体への固定化とイムノグロブリン結合量測定による評価]
精製された本発明のイムノグロブリン結合タンパク質の各溶液とすべてのドメインが固定化に関与する4個のPN−26fを連結した、即ち(R2)ドメインが4個連結した4量体(PN−413)の同様に精製した溶液を、化学合成ポリマ−ゲル担体のトヨパ−ルAF−ホルミル−650(東ソ−株式会社)に10mg/mLゲルの濃度で常法に従って、それぞれ固定化した。固定化後の反応溶液を回収し、固定化率を測定したところ、すべての多量体の固定化効率が90%以上であった。さらに固定化反応後のゲル担体をPBS溶液で洗浄後、40mg/mLのヒトIgGを含むPBS溶液を加えて1時間振とうしたのちに、PBSで洗浄したゲル担体から0.1M グリシン塩酸バッファ−(pH 2.8)でゲル担体に結合したヒトIgGを溶出した。その溶出液を分光光度計にて280nmの吸収を測定し、13.8(1g^(−1)×cm^(−1))の比吸光係数をもとに結合したイムノグロブリン量を求めた。各多量体のゲル1mLあたりのイムノグロブリン結合量(mg)を図2に示す。配向制御されていない4量体PN−413と比較して、C末端に(R2)ドメインを配置した多量体はいずれも高い結合能を示した。C末端に(R2)ドメインを有する4量体(PN−421)と比べると、5量体(PN−521)、6量体(PN−621)、8量体(PN−821)、10量体(PN−1021)、12量体(PN−1221)の結合量は、それぞれ1.06倍、1.18倍、1.25倍、1.29倍、1.28倍の結合量を示した。この結果から、担体と固定化する部位をC末端の1個のドメインに集積して配向を制御した固定化がなされる多量体は繰り返しドメイン数の増加に伴ってイムノグロブリン結合量が増加することが明らかになった。
次に、(R1)ドメインを繰り返した多量体((R1)n)のN末端側に(R2)ドメインを配置した改変体((R2)m−(R1)n)を同様に作製し、トヨパ−ルAF−ホルミル−650ゲル担体へ固定化した。固定化ゲル担体のヒトIgG結合能を同様の方法で測定したところ、C末端に(R2)ドメインを配置した多量体と同様の結合量の増加を確認することができた。例として、(R2)ドメインを6個連結した6量体PN−613、C末端に(R2)ドメインを配置した6量体PN−621とN末端に(R2)ドメインを配置した6量体PN−651のヒトIgG結合能の比較結果を図3に示す。C末端とN末端のいずれに配置した多量体も結合能が増加していることが明らかである。
さらに、本発明の4、5、6、8、10、12量体の改変多量体と、比較としてPN−413を天然の高分子材料より成るホルミル基で活性化した6%架橋アガロ−スゲル担体に各10mg/mLゲル濃度で常法に従って固定化を実施した。固定化後の反応液中の各多量体量を測定した結果、各多量体の固定化率はすべて95%以上であった(図4)。これらの固定化ゲル担体を用いて、ゲル1mLあたりのヒトIgG結合量(mg)を測定した結果を図4に示す。PN−413と比較して、本発明の末端を固定化用ドメインとした多量体はいずれもトヨパ−ルAF−ホルミル−650ゲル担体の場合と同様に高い結合量を示した。6量体(PN−621)でPN−413の1.37倍の結合量を示し、8量体(PN−821)と10量体(PN−1021)の結合量は6量体と同等であったが、12量体(PN−1221)は6量体(PN−621)の結合量の94%の結合量となった。5量体(PN−521)は、4量体(PN−421)の1.05倍となり、6、8、10量体は4量体の1.13倍の結合量を示した。各改変体のゲル担体への固定化率は95%以上でほぼ一定であったことから、最高のIgG結合量を示すゲル担体を作製するためには、6量体、8量体、10量体を固定化することが好ましい。固定化に使用した10mg/mLゲル濃度の多量体は、イムノグロブリン結合ドメイン量に換算すると、すべての多量体で1.45μmolドメイン/mLゲルとなる。固定化率に基づいて計算すると6量体の固定化ドメイン量は、1.38μmolドメイン/mLゲルとなり、その場合のヒトIgG結合量は0.7μmol/mLゲルであったことから、結合ドメインあたりのIgG結合量比は0.51となる。即ち、6量体1分子に3分子のIgGが結合することを示すものであり、ドメイン2個あたりに1分子のIgGが結合することを確認できた。
詳細に比較するために、4、6、8、10、12量体の各改変体の固定化反応の量を5、10、15、20mg/mLゲルと異なった濃度でホルミル活性化6%架橋アガロ−スゲル担体へ固定化し、多量体の固定化量と各固定化ゲル担体のヒトIgG結合量を測定した(図5)。比較としてPN−413の測定値を図5に示す。すべての改変多量体は、5と10mg/mLゲル濃度ではPN−413よりも高い結合量を示し、ゲル担体への固定化量に比例してイムノグロブリン結合量が増加したが、10量体(PN−1021)と12量体(PN−1221)は10mg/mLゲルで最大値を示し、15mg/mLゲル以上の濃度では結合量は低下した。8量体(PN−821)は10mg/mLと15mg/mLでほぼ同等の値で最大となり、6量体(PN−621)は15mg/mLまで増加して最大値を示した。4量体(PN−421)では20mg/mLまで徐々に結合量は増加した。このなかで、6量体(PN−621)は最も少ない固定化量で最大の結合量を示した。これらの結果より、6量体、8量体、10量体は、10mg/mLゲル濃度での固定化により4量体よりも高い抗体結合能のゲル担体を作成することが可能で、特に6量体(PN−621)は15mg/mLゲル量でゲル担体へ固定化することにより、4量体(PN−421)の1.15倍の結合量の優れたアフィニティ−ゲル担体を作成することができることを確認した。
〔4位、7位、35位リジン残基を置換したCドメインを(R1)に利用する多量体の製造〕
〔設計と改変多量体の構築〕
実施例1では、(R1)ドメインとして利用するC’ドメインのすべてのリジン残基を置換したが、本実施例では、C’ドメインに元から存在する7個のリジン残基のうち、4、7と35位のリジン残基に注目し、それぞれをリジン以外のアミノ酸に置換したC’ドメインをそれぞれ(R1)として利用する多量体を作成し、固定化反応により得られた担体のイムノグロブリン結合活性に対する影響を比較した。そのために、置換した各C’ドメインを(R1)として5回繰り返して連結し、(R2)としてC末端側にPN−26fを連結した6量体の構築方法を以下に述べる。
実施例1に記載した同様の方法により改変体の設計と構築を実施した。すなわち、[C’]−[PN−26f](PN−661)のcDNAの作成にあたっては、最初にEcoO109Iの認識配列にて連結された[C’]−[PN−26f]の2量体をコ−ドするcDNAを予めEcoO109Iの認識配列を欠失させたpUC19プラスミド上にサブクロ−ニングして得ておき、前後にEcoO109Iの認識配列をもつ[C’]のcDNA断片が[C’]−[PN−26f]の間のEcoO109I認識部位に4個挿入されたクロ−ンを選択した。同様に[K35R−C’(PN−23f)]−[PN−26f]、[K4A,K35R−C’ (PN−87f)]−[PN−26f]、[K4A,K7T,K35R−C’ (PN−61f)]−[PN−26f]の2量体をコ−ドするcDNAのEcoO109I認識部位にそれぞれ前後にEcoO109Iの認識配列をもつ[PN−23f](配列番号8)、[PN−87f](配列番号12)、[PN−61f](配列番号10)のcDNA断片が4個挿入されたクロ−ンを選択し、PN−662、PN−663およびPN−664のcDNAを作成した。
次に制限酵素 NdeI及びBamHIで処理して各cDNA断片を切り出し、これを大腸菌発現ベクタ−であるpET9a上に挿入してそれぞれの6量体発現プラスミドを構築した。
以上のようにして得た各多量体cDNAを実施例1と同様の方法で発現プラスミドを構築し、それぞれの核酸配列をDNAシ−クエンサ−を用いて解析し、設計どおりの配列であることを確認した。次に各発現プラスミドをBL21(DE3)コンピ−テントセルを形質転換することで、各多量体タンパク質の発現株を得た。それぞれの発現株は、実施例1と同様の方法により培養し、目的タンパク質を発現させた。得られた大腸菌菌体を破砕後に、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動にて、それぞれの分子量の位置に目的のタンパク質が生産されていることを確認した。
〔改変多量体の精製と純度検定〕
各改変多量体の菌体抽出液から実施例1と同様の方法で多量体を精製し、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動にて純度を確認した結果、各多量体は理論値の分子量の位置に単一バンドであることを確認した。
〔ゲル担体への固定化とイムノグロブリン結合量測定による評価〕
精製された各多量体を実施例1と同様の方法でホルミル活性化6%架橋アガロ−スゲル担体へ10mg/mLゲル濃度で固定化し、各多量体の固定化量と各固定化ゲル担体のヒトIgG結合量を測定した。固定化後の反応液中の各多量体量を測定した結果、各多量体の固定化率は95%以上と良好な固定化を示した。ヒトIgGを40mg/mL濃度で各多量体固定化ゲル担体と反応したのちに、結合したIgGをゲル担体より溶出して結合量を測定した(表1)。その結果、リジン残基を置換していない天然型のC’ドメインを(R1)ドメインとするPN−661の結合量を基準として、35位のリジン残基をアルギニンに置換したPN−662はPN−661の1.07倍の結合量を示した。次に、PN−662に加えて、4位リジン残基をアラニンに、4位と7位のリジン残基をアラニンとスレオニンにそれぞれ置換したPN−663とPN−664は、PN−661と比較して1.20倍と1.42倍に結合量がそれぞれ増加した。Cドメインのすべてのリジン残基を別アミノ酸に置換したPN−621では、PN−661の1.63倍の結合量であった。実際のヒトIgG精製に際して使用される濃度域に近い8mg/mL濃度のヒトIgGと各多量体固定化ゲル担体を反応したところ、PN−664はPN−621とほぼ同等の結合量を示すことが明らかとなった(表1)。これらの結果から、(R1)ドメインへの利用に際して、Cドメインに存在する7個のリジン残基をすべてリジン以外のアミノ酸に置換したドメインは、ゲル担体への配向制御した固定化により、IgG結合能が増大することはすでに実施例1から明らかであるが、Cドメインに元から存在するリジン残基のうち4、7及び/又は35位のリジン残基の別アミノ酸への置換がIgG結合量の増加に有効であることを見いだした。Cドメインのこれらのリジン残基の別アミノ酸への置換は、多量体の配向制御された固定化を増強し、結合量を増加したと考えられる。実施例1に記載した4位,7位と35位をリジン以外のアミノ酸に置換し、第3α−へリックスにリジン残基を置換導入することで固定化能を増大した(R2)に利用されるドメインPN−26fを6連結したPN−613はPN−621の約65%のイムノグロブリン結合活性を示し、このときゲル担体への固定化は配向制御されていない。PN−661がPN−621の約62%の結合量を示したことから、PN−661は固定化に際して配向制御が達成されていないと判断できる。すなわち、(R1)ドメインとしてCドメインを利用するために、すべてのリジン残基を別アミノ酸に置換しなくても、元から配列に存在する4、7、35位のうちの1から3個を置換することによりイムノグロブリン結合活性を増強する固定化を達成することが可能である。
〔Cドメインのリジン残基導入置換体を(R2)に利用する多量体の製造〕
〔設計と改変多量体の構築〕
実施例1に記載したと同様に(R1)としてCドメインのリジン残基をすべて別アミノ酸に置換したドメインと実施例1の(R2)に加えて54及び56位にリジン残基を置換して合計6個のリジンを導入したドメインを(R2)として利用する6量体PN−667を作成した。そのために実施例1に使用したPN−26fに加えて54位と56位の残基を新たにリジンに置換したPN−28fを作成した。このPN−28f(配列番号9)をC末端に配置し、実施例1に記載したPN−95fを(R1)として5連結した6量体PN−667を作成した。
Cドメインの元からある4位、7位、35位のリジン残基のうち、35位のみを別アミノ酸に置換し、40、43、46、53位をリジンに置換導入したドメインPN−83f(配列番号11)を作成し、これを(R2)として利用した6量体PN−669を構築した。PN−669の(R1)ドメインは、PN−621と同様である。
実施例1に記載した方法と同様の方法により改変体の設計と構築を実施した。すなわち、[PN−95f]−[PN−28f](PN−667)のcDNAの作成にあたっては、最初にEcoO109Iの認識配列にて連結された[PN−95f]−[PN−28f]の2量体をコ−ドするcDNAを予めEcoO109Iの認識配列を欠失させたpUC19プラスミド上にサブクロ−ニングして得ておき、前後にEcoO109Iの認識配列をもつ[PN−95f]のcDNA断片が[PN−95f]−[PN−28f]の間のEcoO109I認識部位に4個挿入されたクロ−ンを選択した。同様に[PN−95f]−[PN−83f]の2量体をコ−ドするcDNAのEcoO109I認識部位に前後にEcoO109Iの認識配列をもつ[PN−95f]のcDNA断片が4個挿入されたクロ−ンを選択し、PN−669のcDNAを作成した。
以上のようにして得た各多量体cDNAを実施例1と同様の方法で発現プラスミドを構築し、それぞれの核酸配列をDNAシ−クエンサ−を用いて解析し、設計どおりの配列であることを確認した。次に各発現プラスミドをBL21(DE3)コンピ−テントセルを形質転換することで、各多量体タンパク質の発現株を得た。それぞれの発現株は、実施例1と同様の方法により培養し、目的タンパク質を発現させた。得られた大腸菌体を破砕後に、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動にて、それぞれの分子量の位置に目的のタンパク質が生産されていることを確認した。
〔改変多量体の精製と純度検定〕
各改変多量体の菌体抽出液から実施例1と同様の方法で多量体を精製し、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動にて純度を確認した結果、各多量体は理論値の分子量の位置に単一バンドであることを確認した。
〔ゲル担体への固定化とイムノグロブリン結合量測定による評価〕
精製された各多量体を実施例1と同様の方法でホルミル活性化6%架橋アガロ−スゲル担体へ10mg/mLゲル濃度で固定化し、多量体の固定化量と各固定化ゲル担体のヒトIgG結合量を測定した。固定化後の反応液中の各多量体量を測定した結果、各多量体の固定化率は95%以上と高い固定化率を示した。ヒトIgGを40mg/mL濃度で各多量体固定化ゲル担体と反応したのちに、結合したIgGをゲル担体より溶出して結合量を測定した(表2)。その結果、PN−667はPN−621のヒトIgG結合量102mg/mLゲルと同じ結合量を示した。また、PN−669においても、PN−621と同等の結合能を示した。次にヒトIgG濃度を8mg/mLとして各多量体固定化ゲル担体と反応したところ、PN−621=PN−669>PN−667の順に高い結合能を示した。これらの結果より、(R2)ドメインは、Cドメインの40位、43位、46位、53位、54位及び56位の6個のアミノ酸残基のすべてをリジンに置換してもIgG結合活性は阻害されず、40位、43位、46位及び53位の4個の残基をリジンに置換したPN−621と同じIgG結合量を示すことがわかった。なお、PN−667は、ゲル担体への固定化率がPN−621の95%に対して97%と高い固定化率を示したことは、置換導入したリジンの数が多いほうが(R2)ドメインの固定化に有利であることがわかる。一方で、8mg/mLの低濃度IgGの結合試験から、PN−667の6個よりもPN−621の4個のリジン置換が低濃度IgGの結合にはより好ましいことがわかった。さらに、表2に示すPN−621とPN−669の結果より、Cドメインのリジン置換導入改変ドメインが元からある4位と7位のリジン残基を別アミノ酸に置換するか又は置換することなくリジン残基であっても、(R2)ドメインとして配向制御された固定化に同様に利用することが可能である。
「比較例1」
市販の配向を制御して多量体タンパク質を固定化したゲル担体と本発明の多量体を固定化したゲル担体のヒトIgG結合能を比較した。C末端にシステインを導入した5量体の例として天然型配列のプロテインAをエポキシ活性化架橋アガロ−スゲル担体に固定化したゲル担体(rProtein A−sepharose FF、GEヘルスケアサイエンス社)と4量体の例としてプロテインAのZドメインを4個連結した4量体のC末端にシステイン残基を導入した4量体をエポキシ活性化架橋アガロ−スゲル担体に固定化したゲル担体(MabSelect SuRe、GEヘルスケアサイエンス社)との比較から、表3に示すように本発明の6量体(PN−621)を固定化したアガロ−スゲル担体は、これらの市販品よりも高いIgG結合能を示すことを確認した。rProtein A−sepharose FFは6mg/mL濃度で多量体を固定化しているので、PN−621を同じ量の6mg/mLゲルで固定化したときの結合量の比較を表3に示す。
「比較例2」
<固定化ドメインの末端をリジン残基1個にした場合>
実施例1に記載したすべてのリジン残基を別アミノ酸に置換したPN−95fを6連結して、その多量体のC末端を元からある配列のリジン残基1個だけを残した6量体(PN−623)を作製し、本発明の6量体(PN−621)を比較として、各6量体をホルミル活性化6%架橋アガロ−スゲル担体に10mg/mLゲル量で固定化したゲル担体のそれぞれのヒトIgG結合量を測定した。表4に示す比較結果より、リジン残基がC末端に1個のPN−623はPN−621の34.5%のヒトIgG結合量であった。このことより、(R2)ドメインには2個以上のリジン残基を導入することが好ましい。N末端のα−アミノ基は反応性が低いことと、α−アミノ基のアセチル化反応は改変体の固定化に影響を及ぼさないことを確認しているので、この比較例では固定化に関与しているアミノ基はC末端のリジン残基であると判断した。
〔CドメインのC末端にリジン付加したドメインを(R2)に利用する多量体の製造〕
〔設計と改変多量体の構築〕
実施例1に記載したと同様に(R1)としてCドメインのリジン残基を別アミノ酸に置換した(R1)を5個連結した改変ドメインと(R2)としてCドメインのC末端リジンを除くすべてのリジン残基を別アミノ酸に置換したことに加えてC末端にリジンを付加した改変ドメインを(R2)として利用した6量体PN−666を作成した。PN−666の(R2)はC末端に付加した配列以外は、(R1)と同じ配列となる。
〔改変多量体の精製と純度検定〕
改変多量体の菌体抽出液から実施例1と同様の方法で多量体を精製し、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動にて純度を確認した結果、多量体は理論値の分子量の位置に単一バンドであることを確認した。
〔ゲル担体への固定化とイムノグロブリン結合量測定による評価〕
精製された多量体を実施例1と同様の方法でホルミル活性化6%架橋アガロ−スゲル担体へ10mg/mLゲル濃度で固定化し、多量体の固定化量と固定化ゲル担体のヒトIgG結合量を測定した。固定化後の反応液中の多量体量を測定した結果、多量体の固定化率は95%以上と高い固定化率を示した。ヒトIgGを40mg/mL濃度で多量体固定化ゲル担体と反応したのちに、結合したIgGをゲル担体より溶出して結合量を測定した。その結果、PN−666はPN−621の102mgヒトIgG/mLゲル結合量とほぼ同じ結合量を示した。次にヒトIgG濃度を8mg/mLとして多量体固定化ゲル担体と反応したところ、イムノグロブリン結合量は、PN−621=PN−669>PN−667>PN−666の順であった。これらの結果より、固定化に利用されるリジン残基を(R2)ドメインのC末端に複数個配置してリジンを集積した配列を付加することで、配向制御可能な固定化を達成できることを見出した。
本発明による一般式(R1)n−(R2)m又は(R2)m−(R1)nの多量体を固定化した担体は、低コストで高い結合能のイムノグロブリン結合アフィニティ−担体を提供することが可能で、抗体医薬や抗体診断薬分野におけるイムノグロブリンの製造、生体成分からのイムノグロブリン除去、成分分析等に利用することができる。

Claims (6)

  1. N末端又はC末端に位置し、不溶性担体への固定化反応によって担体と共有結合するアミノ酸残基を含むイムノグロブリン結合ドメイン(R2)と、配列中に存在することにより存在しない場合と比べて、固定化反応によって得られる担体のイムノグロブリン結合活性を減少させるアミノ酸残基を含まないイムノグロブリン結合ドメイン(R1)からなり、左側をN末端としてC末端側へ向かうアミノ酸配列からなる下記一般式:
    (R1)n−(R2)m 又は(R2)m−(R1)n
    で表されるイムノグロブリン結合ドメインの多量体であって、
    (1)nは5以上9以下の整数である、
    (2)mは1又は2の整数である、
    (3)n個の(R1)ドメインは互いに同一の配列であってもなくてもよい、
    (4)ドメイン総数(n+m)が6乃至10個である、
    の各条件を満たし、(R2)ドメインのアミノ酸残基を介して不溶性担体に固定化される性質を有することを特徴とし、
    (R1)と(R2)は、スタフィロコッカス(Staphylococcus)プロテインAのイムノグロブリン結合ドメインのアミノ酸配列をもとに改変されたドメインであり、
    (R1)は、プロテインAのイムノグロブリン結合ドメインのアミノ酸配列を元に、4、7、35位のうち1個ないし3個の位置に元からあるリジン残基をリジン以外のアミノ酸へ置換し、かつ、リジンに置換したアミノ酸残基のない配列からなり、
    (R2)は、プロテインAのイムノグロブリン結合ドメインのアミノ酸配列を元に、40位、43位、46位、53位、54位及び56位のアミノ酸残基のうちの1個ないし6個をリジンに置換した配列からなる、
    イムノグロブリン結合タンパク質。
  2. 上記構造式の(R2)ドメインが、(R1)ドメインが連結されていない側の末端に2個以上のリジン残基を含むアミノ酸配列が付加された配列からなる、請求項1に記載のイムノグロブリン結合タンパク質。
  3. 上記構造式の(R2)ドメインが、さらに、4、7、35位のうち35位のみ、又は35位に加えてそれ以外の1以上の位置に元からあるリジン残基をリジン以外のアミノ酸へ置換した配列からなる、請求項1またはに記載のイムノグロブリン結合タンパク質
  4. 上記構造式の(R1)ドメイン、さらに42、49、50、58位の元からあるリジン残基のうち1個ないし4個をリジン以外のアミノ酸に置換した配列からなる、請求項1ないしのいずれかに記載のイムノグロブリン結合タンパク質。
  5. 請求項1からのいずれかに記載のイムノグロブリン結合タンパク質を不溶性担体に固定化したことを特徴とするイムノグロブリン結合用固定化担体。
  6. 請求項に記載のイムノグロブリン結合用固定化担体を用いることを特徴とするイムノグロブリンの分離精製方法。
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