<第1実施形態>
以下に図面を参照して本発明の実施形態を説明する。図1は本発明にかかる冷蔵庫の一例の側面断面図である。冷蔵庫Aは発泡断熱材を充填した断熱箱体1を有している。断熱箱体1の上部には冷蔵室3が設けられている。冷蔵室3の下方には断熱材を充填した仕切壁101を介して冷凍室4が設けられている。冷凍室4の下方には断熱材を充填した仕切壁102を介して野菜室5が設けられている。なお、冷蔵室、冷凍室、野菜室は必ずこの順番である必要はなく、使用頻度、貯蔵物の量等に合わせて変更することが可能であってもよい。また、これらの貯蔵室以外の温度で貯蔵物を貯蔵する貯蔵室を備えていてもよい。
冷凍室4は貯蔵物を冷凍保存する。冷蔵室3は貯蔵物を冷凍室4よりも高温で冷蔵保存し、野菜室5は冷蔵室3よりも高温に維持して野菜等の貯蔵物を冷蔵保存する。なお、冷凍室4が第1貯蔵室であり、冷蔵室3及び野菜室5が第2貯蔵室である。
冷蔵室3は左右端でそれぞれ枢支された観音開きの一対の扉31により開閉される。冷凍室4及び野菜室5はそれぞれ収納ケース(不図示)と一体に形成される引出式の扉41、51によって開閉される。
冷凍室4及び冷蔵室3の背面には、ダンパ15を介して連通する冷気通路7及び冷気流路8が設けられている。冷気通路7及び冷気流路8にはそれぞれ冷気を循環させる冷凍室ファン13、冷蔵室ファン14が配されている。冷凍室ファン13の下方には冷気を発生する蒸発器12が配されている。蒸発器12の下方には蒸発器12に付着した霜を取り除く(除霜する)ための除霜ヒータ16が配されている。除霜ヒータ16の上面はヒータカバー161に覆われている。ヒータカバー161によって、除霜水が除霜ヒータ16上に滴下することによる除霜ヒータ16の故障、破損等を抑制する。
冷気通路7は、冷凍室4の背面に設けられているとともに、下部の一部が野菜室5の背面に設けられている。冷気通路7は、冷凍室4に冷気を吐出する開口である吐出口71と、冷凍室4から冷気通路7に冷気が戻る開口である戻り口72とを備えている。冷気流路8は、冷蔵室3の背面に設けられているとともに、冷気を吐出する開口である吐出口81を備えている。断熱箱体1には、冷蔵室3と野菜室5とを連通させる連通路(不図示)が設けられている。また、冷気通路7は野菜室5内に開口し、野菜室5から冷気通路7に冷気が戻る戻り口73を備えている。
野菜室5の背面の冷気通路7の下方には機械室6が設けられており、機械室6の内部には冷凍サイクルを運転する圧縮機11が設置されている。圧縮機11の駆動によって冷媒配管(不図示)内を冷媒が流通し、冷媒配管を介して圧縮機11と接続された蒸発器12が低温に維持される。蒸発器12は、平板状のフィン(不図示)を並べるとともに、各フィンを冷媒配管が貫通している。そして、複数のフィンの隙間に空気を流すことで、冷媒と空気との熱交換を行っている。なお、複数のフィンを備えることで空気と蒸発器12との接触面積を増やし、熱交換の効率を高めている。
冷凍室ファン13を駆動すると蒸発器12と熱交換した冷気が冷気通路7内を流通する。ダンパ15が閉じている場合、冷気通路7を流通する冷気は吐出口71から冷凍室4の内部に吐出される。吐出口71から吐出された冷気は、冷凍室4の内部を流通して、冷凍室4の内部の貯蔵物を冷却し、戻り口72から冷気通路7に戻る。すなわち、冷気通路7の冷気は、冷凍室4の内部を循環し、内部の貯蔵物を冷却し(貯蔵物から熱を受け取って昇温されて)冷気通路7に戻る。
ダンパ15が開いている場合、冷気通路7を流通する冷気は冷気流路8に流入する。ダンパ15が開いている状態で冷凍室ファン13及び冷蔵室ファン14を駆動することで、上述のように冷凍室4を冷気が循環するとともに冷気流路8を流通する冷気が吐出口81から冷蔵室3内に吐出される。そして、吐出口81から吐出された冷気が冷蔵室3内を流動することで、冷蔵室3内の貯蔵物を冷却する。そして、冷蔵室3内を流動した冷気は、不図示の連通路で野菜室5に流入し、野菜室5の内部を流動して、野菜室5内の貯蔵物を冷却した後、戻り口73から冷気通路7に戻る。
なお、冷気は冷蔵室3を流動するときに貯蔵物から熱を奪うため昇温される。そして、その昇温された冷気が野菜室5に流入するため、野菜室5は冷蔵室3よりも高温に維持される。
次に冷蔵庫Aの電気的な構成について説明する。図2は図1に示す冷蔵庫の構成を示すブロック図である。図2に示すように、冷蔵庫Aは各部の動作を制御する制御部2を備えている。制御部2には、圧縮機11、冷凍室ファン13、冷蔵室ファン14、ダンパ15、除霜ヒータ16、冷凍室温度センサ21、冷蔵室温度センサ22、蒸発器温度センサ23、操作部24及び冷凍室扉開検知センサ25が接続されている。そして、制御部2は、計時部201と、記憶部202とを備えている。
なお、圧縮機11、冷凍室ファン13、冷蔵室ファン14、ダンパ15及び除霜ヒータ16は制御部2からの出力信号によって動作するものである。また、冷凍室温度センサ21、冷蔵室温度センサ22、蒸発器温度センサ23、操作部24及び冷凍室扉開検知センサ25は、制御部2に対して信号を入力するものである。
冷凍室温度センサ21は冷蔵室4の内部の温度を検知し、その温度情報を制御部2に送る。冷蔵室温度センサ22は、冷蔵室3の内部の温度を検知し、その温度情報を制御部2に送る。蒸発器温度センサ23は蒸発器12に接触して又は近接して配置されており、蒸発器12の温度を検知し、その温度情報を制御部2に送る。なお、冷凍室温度センサ21、冷蔵室温度センサ22及び蒸発器温度センサ23は、温度を検知するセンサであり、例えば、サーミスタを用いたものを挙げることができるがこれに限定されない。
圧縮機11は、制御部2により回転数が可変制御(例えば、インバータ制御)される。そして、される。操作部24は冷蔵室3の扉31に設けられており、冷蔵室3、冷凍室4、野菜室5の温度設定等を行う。なお、操作部24は、ノッチ等で段階的に温度設定できる構成であってもよいし、複数個のスイッチで操作を行うような構成であってもよい。また、操作部24は、現在の冷蔵庫Aの状態(例えば、現在の温度や温度設定)を表示する表示部を備えるとともに、タッチセンサを用いたタッチパネルで操作入力を行う構成であってもよい。
冷凍室扉開検知センサ25は、非接触式又は接触式のセンサであり、冷凍室扉41の開閉を検知する検知器である。冷蔵庫Aでは、冷凍室扉開検知センサ25は冷凍室扉41が開いていることを検知すると、その情報を制御部2に送る。
計時部201は、現在の時刻の情報を備えており、任意の時点からの経過時間を計測することが可能である。記憶部202は制御部2に送られてきた情報、制御部2で処理した情報、予め制御部2に与えられている情報等の情報を記憶するメモリである。なお、計時部201及び記憶部202は制御部2に一体に形成されているが、これに限定されるものではなく、制御部2と独立して設けられるとともに、制御部2が自由にアクセスできる構成であってもよい。
次に冷蔵庫Aの動作について説明する。一般的に、冷蔵室3及び冷凍室4には、貯蔵物を冷却するときの適切な温度域がある。冷蔵庫Aでは、冷蔵室3及び冷凍室4の内部の設定温度として、適切な温度域の中で低温の「強」、高温の「弱」、中間の「中」の3種類の冷却設定を予め用意している。そして、3種類のいずれかの冷却設定は操作部24を用いて使用者が選択できるようになっており、制御部2は選択された冷却設定に基づいて、冷蔵室3及び冷凍室4を冷却する。
制御部2は、冷蔵室3及び冷凍室4の内部の温度が選択された設定温度になるように、圧縮機11、冷凍室ファン13、冷蔵室ファン14、ダンパ15の動作を制御している。なお、冷却設定は、この3種類に限定されるものではなく、さらに細かく決められていてもよい。また、冷蔵室3及び(又は)冷凍室4の設定温度を適切な温度域を超えない範囲で自由に変更できるようになっていてもよい。
さらに詳しく説明すると、制御部2は操作部24からの入力に基づき、冷蔵室3及び(又は)冷凍室4の設定温度を記憶する。制御部2は、冷凍室温度センサ21が検知した冷凍室4の内部の温度を取得しており、冷凍室4の内部の温度が設定温度の上限を超えると、圧縮機11及び冷凍室ファン13を駆動させる。これにより、蒸発器12が低温になり蒸発器12と熱交換した冷気が冷気通路7の吐出口71から冷凍室4に吐出され、冷凍室4の貯蔵物を冷却し、戻り口72から戻るように循環する。そして、制御部2は、冷凍室温度センサ21からの温度情報に基づいて、冷凍室4が予め決められた温度まで冷却されたことを確認すると、圧縮機11及び冷凍室ファン13を停止する。
また、制御部2は冷蔵室温度センサ22から冷蔵室3の内部の温度を取得しており、冷蔵室3の内部の温度が設定温度の上限を超えると、ダンパ15を開くとともに圧縮機11及び冷蔵室ファン14を駆動させる。これにより、蒸発器12と熱交換した冷気は冷気流路8に送られ、吐出口81から冷蔵室3に吐出される。そして、制御部2は、冷蔵室温度センサ22からの温度情報に基づいて、冷蔵室3が予め決められた温度まで冷却されたことを確認すると、ダンパ15を閉じ、圧縮機11及び冷蔵室ファン14を停止する。
冷蔵庫Aでは、冷蔵室3を冷却するときに冷蔵室ファン14に加えて冷凍室ファン13が同時に駆動する。そのため、ダンパ15が開いているときは、冷凍室ファン13及び冷蔵室ファン14が回転しており、冷気は一部が吐出口71から冷凍室4に吐出されて残りが冷気流路8から吐出部81から冷蔵室3に吐出される。
なお、ダンパ15が開いているときには、冷蔵室ファン14だけ回転するようにしてもよいし、冷凍室温度センサ21からの温度情報と、冷蔵室温度センサ22からの温度情報とを考慮して、冷蔵室ファン14だけを駆動するか、冷凍室ファン13も同時に駆動するかを決定するようにしてもよい。さらに、冷蔵室3の温度と冷凍室4の温度に基づいて、冷気の流量を調整するために冷凍室ファン13及び冷蔵室ファン14の回転数を制御するようにしてもよい。
さらに、圧縮機11は回転数を変更可能なように駆動制御されており、圧縮機11によって運転される冷凍サイクルでは、圧縮機11の回転数が高いと冷凍能力が高くなる。制御部2は、冷凍室温度センサ21及び(又は)冷蔵室温度センサ22からの温度情報に基づいて、圧縮機11の回転数を制御している。
上述したように、制御部2が圧縮機11を駆動するときには、冷凍室ファン13又は冷蔵室ファン14の少なくとも一方を同時に駆動する。そして、ダンパ15が開状態のときには、少なくとも冷蔵室ファン14は駆動している。
なお、制御部2は冷蔵室3及び冷凍室4の温度に基づいて、圧縮機11、冷凍室ファン13、冷蔵室ファン14及びダンパ15の駆動を制御しているが、これに限定されない。例えば、野菜室5の温度を検知するセンサを設け、冷蔵室3、冷凍室4に加え野菜室5の温度に基づいて、圧縮機11、冷凍室ファン13、冷蔵室ファン14及びダンパ15の駆動を制御するようにしてもよい。
以上示したような冷蔵庫Aでは、1台の蒸発器12で冷蔵室3、冷凍室4及び野菜室5(の内部の貯蔵物)の冷却を行っている。そして、ダンパ15が開いているとき、冷気は冷凍室4に対して高温の冷蔵室3及び野菜室5を通過して蒸発器12に戻る。貯蔵物を冷却するときに冷気の温度が上昇するため飽和水蒸気量が高くなり、冷気に含有される水蒸気量も多くなる場合がある。
含有水蒸気が増加した冷気が蒸発器12に接触して冷媒との熱交換で温度が下がると、蒸発器12に結露し、霜として蒸発器12に付着する(着霜する)。蒸発器12に着霜があると、空気の流れる隙間が塞がれてしまうことがあり、冷却効率が悪くなる。そのため、冷蔵庫Aでは、蒸発器12に着霜があると、除霜ヒータ16を駆動して蒸発器12に付着した霜を融かす除霜運転を行う。
除霜運転は、圧縮機11を停止するとともに除霜ヒータ16で蒸発器12を加熱するものであり、除霜運転を行っている間は冷蔵室3、冷凍室4、野菜室5の冷却が停止する。そのため、冷蔵庫Aにおいて、頻繁に除霜運転を行うと、冷却がしっかり行われなくなる場合がある。また、除霜ヒータ16を駆動するので除霜運転を行うと消費電力が多くなるので、除霜運転の回数は、少ない方が好ましい。
以上のことから、冷蔵室3、冷凍室4、野菜室5の温度上昇を抑えるとともに消費電力を低減する、すなわち、効率のよい除霜運転として、蒸発器12が着霜により目詰まりし始めるタイミングで除霜運転を行うことが挙げられる。そこで、冷蔵庫Aでは、着霜により蒸発器12の目詰まりが始まるタイミングで除霜を行うようにしている。
蒸発器12の着霜量が多くても、センサ等に不具合がある場合、除霜運転に入らない場合がある。そのような場合を踏まえて、冷蔵庫Aでは、除霜の間隔、蒸発器12の温度及びダンパ15の連続開時間に基づいて、異常を判断する制御が行われている。そして、蒸発器12の着霜量の予想も同時に行っており、その予想着霜量に基づいた除霜も行っている。以下に本発明にかかる除霜運転について図面を参照して説明する。図3は本発明にかかる冷蔵庫の除霜運転を示すフローチャートである。
制御部2は前回の除霜終了からの経過時間が予め決めた時間T1以上かどうか確認する(ステップS101)。経過時間の検出方法としては、例えば、前回の除霜終了時刻を記憶部202に記憶しておき、計時部201から取得した現在の時刻との差分で求めているが、これに限定されず、経過時間専用にタイマーを動作させてもよい。
前回の除霜終了からの時間が時間T1以上の場合(ステップS101でYesの場合)、制御部2は何らかの異常(例えば、蒸発器温度センサ23の動作不良)が発生していると判断し、除霜運転を開始する(ステップS105)。
前回の除霜終了からの時間がT1未満の場合(ステップS101でNoの場合)、蒸発器温度センサ23から蒸発器12の温度を取得し、蒸発器12の温度が規定温度D1以下であるか確認する(ステップS102)。蒸発器12の温度が規定温度D1以下の場合(ステップS102でYesの場合)、制御部2はダンパ15の連続開時間が予め決めた時間T2以上であるか確認する(ステップS103)。ダンパ15の連続開時間が時間T2以上の場合(ステップS103でYesの場合)、冷却が行われているにもかかわらず冷蔵室3の温度が低下していないことであり、制御部2は蒸発器12の着霜によって冷気の発生量が減少していると判断して除霜運転を開始する(ステップS105)。
蒸発器12の温度が規定温度D1よりも高い場合(ステップS102でNoの場合)、又は、ダンパの連続開時間が時間T2未満の場合(ステップS103でNoの場合)、制御部2は冷蔵庫Aの運転に異常はないと判断する。制御部2は、除霜運転終了後から運転時に取得した情報(例えば、前回の除霜運転の終了後からの冷凍室扉41の開閉、圧縮機11の累積駆動時間、ダンパ15の連続開状態の回数等)から蒸発器12の着霜量を算出している。そして、ステップS102でNo又はステップS103でNoの場合、制御部2は、算出した着霜量(予想着霜量)が、予め決めた着霜量の閾値以上であるか確認する(ステップS104)。
着霜量の閾値として、蒸発器12が目詰まりし始める霜の量を挙げることができる。着霜量の閾値として、蒸発器12が目詰まりし始める霜の量とすることで、除霜運転のタイミングを最適化できる(過不足なく除霜運転ができる)。蒸発器12が目詰まりし始める霜の量は、蒸発器12の大きさ或いは形状から計算(例えば、数値シミュレーション)で取得してもよいし、実際に冷蔵庫Aを動作させて取得してもよい。
予想着霜量が着霜量の閾値以上であった場合(ステップS104でYesの場合)、制御部2は蒸発器12に着霜による目詰まりが発生していると判断し、除霜運転を開始する(ステップS105)。また、予想着霜量が着霜量の閾値未満の場合(ステップS104でNoの場合)、制御部2は蒸発器12に着霜による目詰まりが発生していないと判断し、除霜終了からの経過時間の確認(ステップS101)に戻る。
そして、除霜運転を終了(ステップS106)した後、制御部2はタイマー、カウンター、パラメーターをリセットして(ステップS107)、除霜終了からの経過時間の確認(ステップS101)に戻る。なお、タイマー、カウンター及びパラメーターは、後述する予想着霜量を算出するときに利用するタイマー、カウンター及びパラメーターである。すなわち、制御部2は除霜終了するごとに、蒸発器12の着霜量の算出を新たに行う。
冷蔵庫Aでは、蒸発器12の着霜量が一定量に到達し、除霜が必要になったときに除霜を行っている。そのため、蒸発器12が着霜で目詰まりするのを抑制するとともに、除霜の回数を抑えて消費電力を抑えることが可能である。
以上示した除霜運転を行うときに、制御部2は冷蔵庫Aの運転時に取得する情報に基づいて蒸発器12の着霜量を算出している。次に、着霜量の算出方法の詳細について説明する。
冷凍室扉41を開くと冷凍室4の内部の物品の温度が上昇して相対湿度が上昇することがある。そして、冷凍室扉41の開閉回数が増えると冷凍室4の内部の温度が上昇する。この状態で、冷凍室4内に冷気を循環させると、冷凍室4内の空気が蒸発器12に流入し、蒸発器12に霜が付着しやすくなる。このことから、冷凍室扉41の開閉回数は蒸発器12の着霜に対して影響があると考えられる。そこで、冷凍室扉41の開閉回数を蒸発器12の着霜量の算出用のパラメーター(第1パラメーターPm1)としている。
また、冷凍室扉41が開かれた状態(開状態)で放置されると、冷凍室4に外部の(冷凍室4の内部に比べて)暖かい空気が冷凍室4に多量に流入する。このような温かい空気は含有している水蒸気量も多くなる。そのため、冷凍室扉41の累積開時間は蒸発器12の着霜に影響があると考えられ、冷凍室扉41の累積開時間を蒸発器12の着霜量の算出用のパラメーター(第2パラメーターPm2)としている。
第1パラメーターPm1、第2パラメーターPm2の検出について詳しく説明する。図4は第1パラメーター及び第2パラメーターの検出を示すフローチャートである。制御部2は、冷凍室扉開検知センサ25からの情報に基づいて、冷凍室扉41が開いたかどうかを確認する(ステップS201)。冷凍室扉41の開が検出されない(ステップS201でNoの場合)、冷凍室扉41の開を検出するまで待機する。
冷凍室扉41が開かれた場合(ステップS201でYesの場合)、制御部2は記憶部202から第1パラメーターPm1を呼出すとともに、第1パラメーターPm1に1を加算する(冷凍室扉41の開回数を加算)(ステップS202)。
その後、制御部2は冷凍室扉41が閉じられたか否か確認する(ステップS203)。冷凍室扉41が閉じられない場合(ステップS203でNoの場合)、冷凍室扉41が閉じられるまで待機する。冷凍室扉41が閉じられた場合(ステップS203でYesの場合)、冷凍室扉41が開かれてから閉じられるまでの時間t1を検出する(ステップS204)。制御部2は第2パラメーターPm2を呼出すとともに、パラメーターPm2に時間t1を加算する(ステップS205)。なお、第2パラメーターPm2は分単位で取得しているものであり、時間t1は1分未満を切り捨てている。
制御部2は、第1パラメーターPm1と第2パラメーターPm2を記憶部202に記憶する(ステップS206)。このようにして、制御部2は、冷凍室扉41の開閉の回数である第1パラメーターPm1と累積開時間(分)である第2パラメーターPm2を取得する。制御部2は、第1パラメーターPm1及び第2パラメーターPm2を記憶部202に記憶するとともに、冷凍室扉41の開閉を確認するごとに更新している。なお、制御部2は、除霜運転が開始されときに第1パラメーターPm1及び第2パラメーターPm2をリセットする。
冷蔵庫Aでは、圧縮機11が駆動しているときだけ、蒸発器12が低温になるとともに、蒸発器12に冷気が流れるようになっている。このことから、圧縮機11の運転と蒸発器12の着霜量とが関連していることがわかる。そのため、蒸発器12の累積駆動時間を蒸発器12の着霜量の算出用のパラメーター(第3パラメーターPm3)としている。
第3パラメーターPm3の検出について詳しく説明する。図5は第3パラメーターの検出を示すフローチャートである。制御部2は、冷凍室温度センサ21及び冷蔵室温度センサ22からの温度の情報に基づいて圧縮機11の駆動を制御している。そのため、制御部2は、圧縮機11の駆動開始まで待機する(ステップS301)。圧縮機11が駆動開始されたとき(ステップS301でYesとなったとき)、制御部2は計時部201から駆動開始の時刻を取得し、圧縮機11が停止するまで待機する(ステップS302)。
圧縮機11が停止したとき(ステップS302でYesになったとき)、制御部2は圧縮機11の駆動開始から停止までの時間t2を検出する(ステップS303)。なお、時間t2は、駆動開始の時刻と停止の時刻とから算出している。制御部2は第3パラメーターPm3を記憶部202から呼び出し、第3パラメーターPm3に時間t2を加算する(ステップS304)。制御部2は第3パラメーターPm3を記憶部202に記憶する(ステップS305)。なお、第3パラメーターPm3は時間単位で取得しているものであり、時間t2は1時間未満を切り捨てたものとしている。
このようにして、制御部2は、圧縮機11の累積駆動時間(時間)である第3パラメーターPm3を取得する。制御部2は、第3パラメーターPm3を記憶部202に記憶するとともに、圧縮機11の駆動を確認するごとに更新している。なお、制御部2は、除霜運転が開始されときに第3パラメーターPm3をリセットする。
冷蔵庫Aでは、1個の蒸発器12を用いて、冷蔵室3、冷凍室4及び野菜室5の冷却を行っている。冷蔵室3は貯蔵物を冷凍させることなく雑菌の繁殖を抑える温度、例えば、約5℃に維持される。野菜室5は、貯蔵室3よりも少し高い温度、例えば、5℃〜7℃位に維持される。そして、冷蔵室3及び(又は)野菜室5の内部では貯蔵物から水蒸気が放出されており、含有水蒸気量が多くなる場合がある。
野菜室5から戻り口73を介して冷気通路7に戻る空気は5℃〜7℃位であり、−20℃前後の蒸発器12と接触すると、蒸発器12に着霜する。すなわち、冷蔵室3及び野菜室5に冷気の循環によって、蒸発器12は着霜する。冷気は冷気流路8の吐出口81から冷蔵室3の吐出されるものであり、冷気通路7から冷気流路8への冷気の流れはダンパ15によって調整されている。
そして制御部2は冷蔵室3の内部の温度に基づいてダンパ15の開閉を操作しており、ダンパ15が開かれているときは、冷蔵室3の温度が上昇している場合である。そして、ダンパ15の開時間が長くなると、冷蔵室3の空気(蒸発器12の温度よりも高くて含有水蒸気量が多い空気)が冷気通路7に流入する量が多くなり、蒸発器12への着霜量も多くなる。
そこで、ダンパ15が予め決めた規定時間T3以上連続して開状態になった回数を、蒸発器12の着霜量の算出用のパラメーター(第4パラメーターPm4)としている。なお、ダンパ15の連続開時間t3が時間T3以上の場合、連続開時間t3を規定時間T3で割った値の小数点以下切り捨てた値c4を回数とする。例えば、規定時間T3を60分とし、ダンパ15の連続開時間t3が130分であったとすると、連続して開状態になった回数c4は「2」となる。なお、ダンパ15の開閉は冷蔵室3の内部の温度によって制御されるものであり、冷蔵室3の温度は冷蔵室扉31の開閉に強く影響される。そのため、ダンパ15が予め決めた規定時間T3以上連続して開状態になった回数を第4パラメーターとすることで、冷蔵室扉31の開閉の蒸発器12の着霜量への影響を付加することができる。
第4パラメーターPm4の検出について詳しく説明する。図6は第4パラメーターの検出を示すフローチャートである。制御部2は、冷凍室温度センサ21からの温度の情報に基づいてダンパ15の駆動を制御している。そのため、制御部2は、ダンパ15が開状態になるまで待機する(ステップS401)。ダンパ15が開状態になったとき(ステップS401でYesとなったとき)、制御部2は計時部201からダンパ15が開状態になったときの時刻を取得し、ダンパ15が閉状態になるまで待機する(ステップS402)。
ダンパ15が閉状態になったとき(ステップS402でYesになったとき)、制御部2はダンパ15が開状態になってから閉状態になるまでの連続開時間t3を検出する(ステップS403)。なお、連続開時間t3は、開状態になったときの時刻と閉状態になったときの時刻とから算出している。
制御部2は、検出した連続開時間t3が規定時間T3より大きいか確認する(ステップS404)。連続開時間t3が規定時間T3未満の場合(ステップS404でNoの場合)、制御部2はダンパ15の開の確認に戻る(ステップS401)。検出した連続開時間t3が規定時間T3よりも大きい場合(ステップS404でYesの場合)、制御部2は連続開時間t3を規定時間T3で割った値の小数点以下を切り捨てた値c4を算出する(ステップS405)。制御部2は第4パラメーターPm4を記憶部202から呼び出し、第4パラメーターPm4に値c4を加算する(ステップS406)。制御部2は第4パラメーターPm4を記憶部202に記憶する(ステップS407)。
このようにして、制御部2は、ダンパ15の規定時間以上の連続して開状態となった回数である第4パラメーターPm4を取得する。制御部2は、第4パラメーターPm4を記憶部202に記憶するとともに、圧縮機11の駆動を確認するごとに更新している。なお、制御部2は、除霜運転が開始されときに第4パラメーターPm4をリセットする。
冷蔵庫Aの制御部2は運転中において、上述した第1パラメーターPm1、第2パラメーターPm2、第3パラメーターPm3及び第4パラメーターPm4の検出を行っている。そして、制御部2はこれらのパラメーターを利用して蒸発器12の着霜量を算出している。
制御部2は第1パラメーターPm1〜第4パラメーターPm4のそれぞれに対応した係数を乗算し、乗算結果を加算することで蒸発器12の着霜量を算出する。すなわち、第1係数K1、第2係数K2、第3係数K3及び第4係数K4とすると、圧縮機12の予想着霜量Frは、以下の式で算出される。
Fr=K1×Pm1+K2×Pm2+K3×Pm3+K4×Pm4
制御部2は圧縮機12の予想着霜量Frを記憶部202に記憶している。そして、制御部2は第1パラメーターPm1〜第4パラメーターPm4の少なくとも1つを更新したときに着霜量の計算を行って、記憶部202に記憶する。なお、予想着霜量Frは、除霜運転開始時にリセットする。
制御部2は、図3に示しているように定期的に予想着霜量と着霜量の閾値との比較を行っているが、これに限定されるものではない。例えば、定期的な比較を行いつつ、予想着霜量の更新を行ったときに予想着霜量と着霜量の閾値との比較を行い、予想着霜量が着霜量の閾値以上となったときに除霜運転を行うようにしてもよい。
ここで、第1係数K1、第2係数K2、第3係数K3及び第4係数K4の算出方法について説明する。外気温、湿度等の環境条件を揃えるとともに、冷蔵庫Aの運転条件を変更して、冷蔵庫Aの運転を行う。そして、運転条件ごとに第1パラメーターPm1、第2パラメーターPm2、第3パラメーターPm3及び第4パラメーターPm4を取得するとともに、運転条件ごとに蒸発器12の着霜量を検出する。
さらに運転条件ごとに上述の予想着霜量の式に第1パラメーターPm1、第2パラメーターPm2、第3パラメーターPm3、第4パラメーターPm4及び蒸発器12の着霜量を代入した後、連立方程式を解いて、第1係数K1、第2係数K2、第3係数K3及び第4係数K4を算出する。
以上のようにして、冷蔵庫Aでは、冷却動作時に得られる情報(冷凍室扉41の開閉、圧縮機11の積算駆動時間、ダンパが一定時間連続して開状態となった回数)に基づいて、蒸発器12の着霜量(予想着霜量)を算出する。冷蔵庫Aではその予想着霜量が、蒸発器12が目詰まりし始める着霜量を超えるタイミングで除霜を行っている。
本実施形態の冷蔵庫Aでは、直接検出するのが困難な蒸発器12の着霜量を、冷蔵庫Aの運転時に得られる情報に基づいた予想着霜量として算出する。そして、制御部2は予想着霜量が、蒸発器12の目詰まりが始まるときの着霜量(着霜量の閾値)に到達したときに除霜を開始する。すなわち、制御部2は、予想着霜量と着霜量の閾値とを比較して、除霜の必要性の確認を行い、必要であると判断したときに除霜を行うようにしている。そのため、除霜運転の頻度が高くなったり、低くて冷却効率が低下したりする不具合を抑制して、消費電力を低く抑えることができる。
<第2実施形態>
本発明にかかる冷却庫の他の例について説明する。本実施形態において、冷蔵庫Aの構成は、第1実施形態と同じであり、同じ部分は同じ符号を付すとともに、同じ部分の詳細な説明は省略する。
冷蔵庫Aでは、第1係数K1、第2係数K2、第3係数K3及び第4係数K4は設置場所を想定して環境条件を決定し、その環境条件で冷蔵庫Aを運転したときの結果に基づいて取得している。一方で、想定した環境条件と実際の設置場所の環境条件が異なる(例えば、湿度が想定よりも高い)場合もある。このような場合、冷蔵庫Aの運転による蒸発器12に付着する霜の量(実着霜量とする)が予想着霜量と異なる場合がある。本実施形態の冷蔵庫Aは、実着霜量と予想着霜量とのずれを補正する制御を行っている。
除霜運転は除霜ヒータ16で蒸発器12を加熱し、蒸発器12に付着している霜を融かしている。そして、制御部2は蒸発器温度センサ23から蒸発器12の温度を取得し、蒸発器12の温度が所定の温度に到達したときに除霜運転を終了する。蒸発器12の着霜量がわかると、除霜運転開始から終了までの時間を算出することが可能である。以下に、蒸発器12の除霜運転開始から終了までの時間の算出方法について説明する。図7は除霜運転時の蒸発器の温度を示す図である。図7は除霜運転を行っているときの蒸発器12の温度変化を示すグラフであり、縦軸が蒸発器12の温度、横軸が経過時間である。
図7では、左端が除霜運転の開始時であり、そのときの蒸発器12は温度Th1である。温度Th1は、例えば、冷凍室4の温度が−18℃とすると、その時の蒸発器12は−21℃であり、冷凍室4の温度よりも低い温度である。そして、蒸発器12の温度が温度Th2になったときに除霜運転が終了すると場合、温度Th2は蒸発器12に付着した霜が完全に溶ける温度である。そのため、0℃よりも高い温度に設定されており、例えば、10℃である。
図7のグラフにおいて、実線は除霜ヒータ16で霜がついていない状態の蒸発器12を温度Th1から温度Th2に加熱したときの挙動を示している。図7に示すように、霜がついていない蒸発器12を加熱するのに要する時間はTm1である。また、着霜量mの霜を融かすのに必要な時間を時間Tm2は、水の融解潜熱をh、除霜ヒータ16の出力をW1、効率をηとしたとき、時間Tm2は以下の式で求めることができる。
Tm2=(h×m)/(η×W1)
そして、着霜量mの蒸発器12の除霜に要する除霜時間Tm3は、時間Tm1と時間Tm2の和で求められる。
Tm3=Tm1+Tm2
冷蔵庫Aでは、蒸発器12の実着霜量が目詰まりし始めるときの着霜量m1になったときに、除霜を開始することで除霜運転を最適化している、すなわち、理想の除霜運転としている。 そのため、着霜量m1の霜を融かすのに要する時間を時間Tm21とすると、理想の除霜運転を行ったときの除霜に要する想定除霜時間Tm31は次の式で求められる。
Tm21=(h×m1)/(η×W1)
Tm31=Tm1+Tm21
なお、冷蔵庫Aの運転初期において、制御部2は着霜量の閾値として着霜量m1を採用している。
冷蔵庫Aの周囲の環境が想定と異なる場合や使用方法が想定と異なる場合等で、制御部2が予想着霜量が着霜量の閾値m1を超えたと判断ときに実際に蒸発器12に付着している実着霜量と予想着霜量(着霜量の閾値m1)とが異なる場合がある。実着霜量と予想着霜量が異なる場合、実際の除霜運転の時間である実除霜時間と予想着霜量の除霜時間である想定除霜時間にずれが生じする。そこで、制御部2は、実際の除霜運転の時間である実除霜時間と想定除霜時間とを比較することで、実着霜量と予想着霜量のずれを確認している。そして、実着霜量と予想着霜量とにずれがある場合、制御部2は着霜量の閾値の変更によって、実除霜時間と想定除霜時間とのずれを補正している。
以下にずれを補正した除霜運転について説明する。図8は本発明にかかる冷蔵庫の除霜運転のフローチャートである。制御部2は、蒸発器12の着霜量が目詰まりし始める着霜量m1のときの除霜時間である想定除霜時間Tm31の情報を記憶部202に備えている。
図8に示すように、制御部2は第1パラメーターPm1、第2パラメーターPm2、第3パラメーターPm3及び第4パラメーターPm4から予想着霜量を計算する(ステップS501)。そして、予想着霜量が着霜量の閾値以上か確認する(ステップS502)。予想着霜量が着霜量の閾値未満の場合(ステップS502でNoの場合)、予想着霜量の計算(ステップS501)に戻る。予想着霜量が着霜量の閾値以上の場合(ステップS502でYesの場合)、制御部2は除霜ヒータ16をONにする(ステップS503)。
制御部2は蒸発器温度センサ23からの情報に基づいて蒸発器12の温度を取得する(ステップS504)。そして、制御部2は蒸発器12の温度が除霜終了の温度Th2に到達したか確認する(ステップS505)。蒸発器12の温度が除霜終了温度に到達するまで除霜ヒータ16をONにした状態を維持する。蒸発器12の温度が除霜終了温度に到達したとき(ステップS505でYesのとき)、制御部2は除霜開始から終了までに要した時間である実除霜時間を取得する(ステップS506)。実除霜時間は、制御部2が計時部201から除霜開始時の時刻と終了時の時刻とから演算によって取得する。
制御部2は記憶部202から想定除霜時間Tm3を呼び出し、実除霜時間と想定除霜時間Tm3の差分を算出し、差分が閾値ts1よりも大きいどうか確認する(ステップS507)。実除霜時間と想定除霜時間との差分が閾値ts1未満である場合(ステップS507でNoの場合)、処理を終了する。実除霜時間と想定除霜時間Tm3との差分が閾値ts1以上である場合(ステップS507でYesの場合)、実除霜時間が想定除霜時間Tm3以上かどうか確認する(ステップS508)。実除霜時間が想定除霜時間Tm3以上の場合(ステップS508でYesの場合)、着霜量の閾値を小さく変更する(ステップS509)。また、実除霜時間が想定除霜時Tm3間未満の場合(ステップS508でNoの場合)、着霜量の閾値を大きく変更する(ステップS510)。
このように、着霜量の閾値を変更することで、制御部2で算出した予想着霜量を蒸発器12が目詰まりし始める着霜量m1に近づけることが可能である。これにより、蒸発器12の着霜量を正確に予想し、その予想着霜量に基づいて除霜を行うため、効率よく除霜を行うことができる。なお、閾値の変更量としては、予め決められた数値から選ぶようにしてもよいし、テーブルを用いて実除霜時間と想定除霜時間との差分から取得するようにしてもよい。また、演算によって求めるようにしてもよい。
<第3実施形態>
本発明にかかる冷蔵庫の他の例について図面を参照して説明する。図9は本発明にかかる冷蔵庫の他の例の側断面図であり、図10は図9に示す冷蔵庫の構成を示すブロック図である。図9に示す冷蔵庫Bは結露防止ヒータ17を備えている以外は、第2実施形態の冷蔵庫Aと同じ構成を有している。そのため、冷蔵庫Bの冷蔵庫Aと実質上同じ部分には同じ符号を付すとともに、同じ部分の詳細な説明は省略する。
図9に示すように、冷蔵庫Bは冷蔵室3と冷凍室4との間を仕切る仕切壁101の前面部分に結露防止ヒータ17が埋め込まれている。仕切壁101は内部に断熱部材を含んだ構成を有しているが、完全に断熱されるものではなく、冷蔵室3及び冷凍室4内の冷気で冷却される。仕切壁101が冷却され前面の温度が外気よりも低くなると、結露してしまうことがある。このような結露が発生すると、カビや細菌の繁殖の原因になる恐れがあり、衛生上好ましくない。また、使用者の目に触れやすいところに結露することで、使用者の不快感や不信感を助長してしまう恐れもある。
そこで、冷蔵庫Bでは、結露防止ヒータ17で仕切壁101の前面を加熱することで、結露を防止している。図10に示すように、結露防止ヒータ17は制御部2に接続されており、制御部2が動作を制御している。次に結露防止ヒータ17の動作について説明する。冷蔵庫Bでは、結露防止ヒータ17を常時ONにすることで、確実に結露を防止することができるが、消費電力が多くなる。
そのため、冷蔵庫Bでは、結露が発生しやすい条件(例えば、外気が高温多湿)のときに結露防止ヒータ17を駆動するようにすることが好ましい。冷蔵庫Bにおいて制御部2は、蒸発器12の着霜量が外部の湿度によって変化することを利用して、蒸発器12の想定除霜時間と実除霜時間から湿度を判断している。
以下に、制御部2による結露防止ヒータ17の駆動について説明する。図11は本発明にかかる冷蔵庫の結露防止動作を示すフローチャートである。図11は、除霜運転の条件、すなわち、予想着霜量が着霜量の閾値以上になった後の動作を示している。制御部2は除霜運転が開始され(ステップS601)、除霜運転の終了を確認する(ステップS602)。除霜運転の終了を確認すると(ステップS602でYes)、除霜開始から除霜終了までの時間、すなわち、実除霜時間を取得する(ステップS603)。なお、除霜終了の確認方法及び実除霜時間の取得方法については、第3実施形態に示しているため省略する。
制御部2は記憶部202から想定除霜時間を呼び出し、実除霜時間と想定除霜時間の差分を算出し、差分が閾値ts2よりも大きいどうか確認する(ステップS604)。実除霜時間と想定除霜時間との差分が閾値ts2未満である場合(ステップS604でNoの場合)、処理を終了する。実除霜時間と想定除霜時間との差分が閾値ts2以上である場合(ステップS604でYesの場合)、実除霜時間が想定除霜時間以上かどうか確認する(ステップ605)。
実除霜時間が想定除霜時間以上の場合(ステップS605でYesの場合)、制御部2は冷蔵庫Bの周囲の湿度が想定している湿度よりも高いと判断し、結露防止ヒータ17をONにする(ステップS606)。なお、除霜ヒータ16をONにする操作は、結露防止ヒータ17のON状態を継続するものも含まれる。
実除霜時間が想定除霜時間未満の場合(ステップS605でNoの場合)、制御部2は冷蔵庫Bの周囲の湿度が想定している湿度よりも低いと判断し、除霜ヒータ16をOFFにする(ステップS607)。なお、結露防止ヒータ17をOFFにする操作は、結露防止ヒータ17のOFF状態を継続するものも含まれる。
冷蔵庫Bにおいて、制御部2は、蒸発器12の想定除霜時間と実際に除霜したときの実除霜時間とを比較して、冷蔵庫Bの周囲の湿度を予想する。このように、冷蔵庫Bでは、前回の除霜運転からの冷凍室扉41の開閉回数、累積開時間、圧縮機11の累積駆動時間及びダンパ15の所定時間以上の連続駆動の回数とから周囲の湿度を予想して、必要に応じて結露防止ヒータ17の駆動を制御している。これにより、冷蔵庫Bは、湿度センサ等を追加することなく、必要に応じて結露防止ヒータ17を駆動するため、消費電力を低減することができる。
<第4実施形態>
本発明にかかる冷蔵庫のさらに他の例について説明する。第3実施形態では、実除霜時間と想定除霜時間との大小で結露防止ヒータ17のON/OFF制御を行っている。結露防止ヒータ17が出力可変である場合、実除霜時間と想定除霜時間との差に基づいて、出力を変更するようにしてもよい。
実除霜時間が想定除霜時間よりも短い場合、制御部2は蒸発器12の着霜量が予想着霜量よりも少なく、外気の湿度が低いと判断する。逆に実除霜時間が想定除霜時間よりも長い場合、制御部2は蒸発器12の着霜量が予想着霜量よりも多く、外気の湿度が高いと判断する。
そして、制御部2は、実除霜時間と想定除霜時間との差分を取得して、その差分に基づいて、結露防止ヒータ17の出力を調整する。例えば、実除霜時間が想定除霜時間よりも短い場合、外気の湿度が想定よりも低いため、結露防止ヒータ17の出力を下げる。逆に実除霜時間が想定除霜時間よりも長い場合、外気の湿度が想定よりも高いため、結露防止ヒータ17の出力を下げる。なお、結露防止ヒータ17の出力の調整量は、差分から演算によって求めるものであってもよいし、テーブルを用いて求めてもよい。
このような構成とすることで、実着霜量と予想着霜量とが一致するように除霜運転のタイミングを調整するような制御を行っている場合でも、結露防止ヒータ17の出力を最適に調整することができる。なお、結露防止ヒータ17の出力調整には、OFFにする調整や又はOFFからONにする調整も含まれる。
上述の各実施形態において、計算によって求めた予想着霜量が、除霜運転の開始を蒸発器12が目詰まりし始めるときの着霜量になったときとしているが、これに限定されるものではなく、除霜運転を開始させるための着霜量を複数の値から選ぶようになっていてもよいし、手動で入力できるようになっていてもよい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこの内容に限定されるものではない。また本発明の実施形態は、発明の趣旨を逸脱しない限り、種々の改変を加えることが可能である。