(詳細な説明)
本開示は、個体においてNSAID投与に伴う有害作用を治療及び/又は予防する方法、システム、キット及び関連する組成物に関する。
NSAID又は他の薬物に関連して、本明細書において用いられる用語「有害作用」又は「有害反応」は、薬物の投与に起因する好ましくない病態を表す。用語「病態」は、個体にとっての完全な身体的、精神的及び社会的健康(幸福)状態によってもたらされる標準的な身体状態に一致しない個体の身体(全体又はその1もしくは複数の部分、例えば、身体系など)の身体的状態を表す。本明細書に記載される病態としては、障害及び疾患が挙げられるがこれらに限定されない。用語「障害」は、身体又はその任意の一部が機能性異常を伴う生存個体の病態を表し、用語「疾患」は、身体又はその任意の一部が正常に機能することを害し、かつ典型的には個体の徴候又は症状を識別することによって明らかにされる、生存個体の病態を表す。
治療(又は処置)の文脈で、本明細書において用いられる用語「個体」又は「被験体」又は「患者」としては、個々の動物、特に、高等動物(特に哺乳類、特にヒトなどの脊椎動物)が挙げられる。一般に、本開示による「個体」は、胃腸(本明細書においてGIとも称する)系を有し、かつ胃及び腸の潰瘍形成を受けやすい動物を表す。
特に、本開示の実施形態において、NSAID腸症を治療及び/又は予防する方法及びシステムが記載され、ここで、NSAID腸症は、個体へのNSAID投与に伴う胃腸系の有害作用を表す。
本明細書において用いられる用語「治療」(又は「処置」)は、医学的に又は外科的に、病態に施す医療的ケアの一部であるか又は病態に対処する、任意の活動を表す。用語「治療する(こと)」(又は「処置する(こと)」)及び「治療」(又は「処置」)とは、症状の重篤度及び/又は頻度の低減、症状及び/又は根本的な原因の除去、症状及び/又はそれらの根本的な原因の発生の予防、並びに損傷の改善又は矯正をいう。したがって、例えば、患者を「治療する」には、罹患しやすい個体における症状又は有害な生理学的事象を予防すること、並びに障害もしくは疾患を阻害するか又は後退させることによって臨床的に症候性の個体の状態をモジュレーション(modulation)及び/又は回復(amelioration)することが含まれる。
病態に関連して、本明細書において用いられる用語「予防」は、個体における病態に由来する死亡率又は罹病率の負担(burden)を低減する任意の活動を表す。予防は、一次、二次及び三次予防レベルで行われ、(a)一次予防は、疾患の発生を回避し、(b)二次予防活動は、初期の疾患の治療を目的とし、それによって疾患の進行及び症状の出現を予防するための介入の機会を増やし、そして(c)三次予防は、機能の回復及び疾患に関連する合併症の低減によって、すでに定着した疾患の悪影響を低減する。
本明細書において用いられる用語「腸症」は、個体の胃腸系の病態に関し、特に、腸の病態に言及できる。一般に、本開示による腸症は、上部管及び/又は下部管のいずれかにおいて胃腸障害を呈する胃腸管の障害又は疾患によって確認される。典型的な腸症は、例えば、腸内毒素症及び/又は胃酸分泌抑制剤の使用によって悪化した腸病変、特に、小腸での腸病変を含む。胃酸分泌抑制剤は、NSAIDの使用に伴う場合、NSAID投与によって誘発される小腸損傷への感受性増大に対する主な寄与因子の1つである。NSAID投与に伴う典型的な腸症は、Allison MCらによる「Gastrointestinal damage associated with the use of non steroidal anti-inflammatory drugs」、N. Engl. J. Med 1992; 327: 749-54;Lengelingらによる「Ulcerative ileitis encountered at ileo-colonscopy: likely role of nonsteroidal agents」、Clin. Gastroenterol. Hepatol. 2003; 1:160-9;及びGraham DYらによる「Visible small-intestinal-mucosal injury in chronic NSAID users」、Clin. Gastroenterol. Hepatol. 2005; 3: 5-9、Scarpignato C.らによる「NSAID-induced intestinal damage: are luminal bacteria the therapeutic target?」、Gut February 2008 Vol. 57 No 2、Wallace JLらによるGastroenterol. 2011, 141; p. 1314及びThomas J.らによるClin. Rheumatol. (2006) 25 (Suppl): S22-S29に記載された病態である。
用語「NSAID」又は「非ステロイド性抗炎症薬」とは、1又は複数の非ステロイド性活性剤をいい、個体に投与されると、鎮痛作用、解熱作用及び抗炎症作用、又は上記作用の任意の組み合わせを発揮する。
「NSAID投与」とは、1又は複数のNSAIDを単独で、又は互いに及びさらなる有効成分との併用で投与することによる個体の治療(又は処置)をいい、ここで、用語「投与」とは、目的の機能を果たすために化合物又は組成物を個体に導入する経路をいい、全身投与又は局所的に作用する局所投与を含む。
本明細書において用いられる表現「全身投与」は、望ましい効果が、炎症及び/又は一般には疾患(例えば、心血管疾患)を生じる特定の組織に必ずしも限定されないように、有効成分を個体の体と接触させる投与の経路を表す。全身投与としては、経腸的及び非経口的投与が挙げられる。経腸的投与は、物質が消化管を介して与えられる全身投与経路であり、経口投与、経胃栄養管による投与、十二指腸栄養管による投与、胃瘻造設、経腸栄養摂取及び直腸投与が挙げられるが、これらに限定されない。非経口的投与は、物質が消化管以外の経路によって与えられる全身経路投与であり、静脈内投与、動脈内投与、筋内投与、皮下投与、皮内投与、腹腔内投与及び膀胱内注入が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書において用いられる表現「局所投与」は、通常適切な処方物中に含まれる活性剤を、作用が望まれる場所に直接的に投与する経路に関する。局所投与としては、皮膚上投与、吸入投与(例えば、喘息薬投薬での投与)、浣腸、点眼(例えば、結膜上への点眼)、点耳、鼻内経路(例えば、うっ血除去用鼻内噴霧)、並びに非吸収薬剤の膣投与、直腸投与及び経口投与が挙げられるが、これらに限定されない。
特に、本開示によるNSAID投与は、1又は複数のNSAIDが、典型的には経口投与後に個体の胃腸管と接触する投与の経路に関し、この投与において、持続性の局所作用は、化合物の腸肝循環及びその吸収後になされる全身的な効果に起因する。
いくつかの実施形態において、NSAID投与は、疼痛及び/又は炎症が存在している個体の病態(上記症状を呈する急性又は慢性の病態を含む)を治療及び/又は予防するために実施された1又は複数のNSAIDの投与に関する。本明細書において用いられる用語「疼痛」は、実際のもしくは潜在的な組織損傷と関連するか、又はこのような損傷の観点から説明される、不快な感覚的及び感情的体験を表す。本明細書において用いられる用語「炎症」及び「炎症反応」は、病原体、損傷した細胞又は刺激物などの有害な刺激に対する個体の組織(脈管組織を含む)の複雑な生物反応を表し、プロスタグランジン、サイトカイン及びより詳細には炎症誘発性サイトカイン、すなわち、活性化された免疫細胞(例えば、小膠細胞)などによって優勢に産生されて炎症反応の増幅に関与するサイトカインの分泌を含む。典型的な炎症誘発性サイトカインは、IL−1、IL−6、TNF−α、IL−17、IL−21、IL−23及びTGF−βを含む。典型的な炎症としては、急性炎症及び慢性炎症が挙げられる。本明細書において用いられる表現「急性炎症」は、血漿及び白血球による組織の浸潤に起因する炎症の典型的な徴候(腫脹、発赤、疼痛、熱及び機能低下)によって特徴付けられる短期間のプロセスを表す。急性炎症は、典型的には有害な刺激が存在する限り生じ、一旦刺激が除去され、抑圧され、又は瘢痕化(線維増多)により囲まれると終わる。本明細書において用いられる表現「慢性炎症」は、同時に起こる活性な炎症、組織破壊及び修復への試みによって特徴付けられる病態を表す。慢性炎症は、上記に列挙された急性炎症の典型的な徴候によって特徴付けられない。その代わりとして、慢性的に炎症を起こした組織は、単核免疫細胞(単球、マクロファージ、リンパ球及び形質細胞)の浸潤、組織破壊、並びに脈管形成及び線維増多を含む治癒への試みによって特徴付けられる。炎症病態は、個体において炎症と関連する複雑な生物学的反応を成す事象のうちのいずれか1つに影響を及ぼす(特に、阻害する)ことによって、本開示により制御できる。これらの実施形態のいくつかにおいて、NSAID投与は、1週間から2か月又はそれ以上までの期間(又は持続期間)実施されてもよい。
いくつかの実施形態において、疼痛及び/又は炎症が存在している個体の病態は、心血管疾患、特に、急性又は慢性心血管疾患である。本明細書において用いられる用語「心血管疾患」は、心臓、血管(動脈、毛細血管及び静脈)又その両方に関係する疾患の種類を表す。したがって、心血管疾患とは、心血管系に影響を及ぼす任意の疾患、主に、心臓疾患、脳及び腎臓の血管疾患、並びに末梢動脈疾患をいう。特に、炎症及び/又は疼痛は、心臓疾患及び心臓発作の患者に多く見られ、これらの患者において炎症は、ある場合には、アテローム発生応答の徴候であると考えられる。NSAID投与によって治療される典型的な心血管疾患は、冠動脈疾患(冠動脈性心臓疾患及び虚血性心臓疾患としても知られる)、心筋症(心筋の疾患)、高血圧性心臓疾患(高血圧に次いで起こる心臓の疾患)、心不全、心律動異常(心拍リズムの異常)、炎症性心臓疾患[心内膜炎(心臓の内層、すなわち、心内膜の炎症であり、最も関与する組織は心臓弁である)、炎症性心臓肥大及び心筋炎(心筋層、すなわち、心臓の筋肉部の炎症)など]、脳血管性疾患(発作などの脳に血液を供給する血管の疾患)、及び末梢動脈疾患(腕及び脚に血液を供給する血管の疾患)を含む。より詳細には、アセチルサリチル酸などのNSAIDは、血小板凝集、不安定狭心症、疑わしい又は診断された急性心筋梗塞の治療又は予防、繰り返される心筋梗塞の予防、血管手術(例えば、PTCA、CABG)後の病態、初期症状期間における一過性脳虚血発作及び発作の予防、冠動脈血栓症の予防のために、複数の(複合的な)危険因子を有する患者に投与される。
本開示において用いられる表現「〜(し)てもよい(may)」は、用語「〜できる(can)」と交換可能に使用され、関連文脈に従い、参照項目の実施可能性、参照項目が1又は複数の機能及び/もしくは活性を発揮する能力、並びに/又は参照項目が本開示の範囲に包含されていることを表し、このことは本開示を読めば当業者に理解される。
本開示の方法及びシステムのいくつかの実施形態において、NSAID投与は、リファキシミンと必要に応じて少なくとも1つの胃酸分泌抑制剤及び/又は少なくとも1つの抗生物質との投与と併用実施され、この併用投与は、疼痛及び/又は炎症の治療、特に、個体の心血管疾患の治療及び/又は予防のために必要とされるNSAIDの繰り返し投与に伴う上部及び/又は下部胃腸管における胃腸障害を治療及び/又は予防するために実施される。
本開示の方法及びシステムのいくつかの実施形態において、NSAID投与は、別個の又は単一の組成物中でNSAIDと一緒に、リファキシミンと必要に応じて少なくとも1つの胃酸分泌抑制剤及び/又は少なくとも1つの抗生物質との投与と併用実施され、この併用投与は、NSAIDの繰り返し投与に伴う上部及び/又は下部胃腸管における胃腸障害を治療及び/又は予防するために実施される。
本明細書において用いられる用語「リファキシミン」は、リファンピシンのクラスに属する半合成抗生物質を表し、より正確には、リファキシミンは、ピリド−イミダゾリファマイシン(INN、メルクインデックス第13版(The Merck Index, XIII ed.), 8304, CAS No. 80621-81-4を参照のこと)、IUPAC命名法(2S,16Z,18E,20S,21S,22R,23R,24R,25S,26S,27S,28E)−5,6,21,23,25 ペンタヒドロキシ−27−メトキシ−2,4,11,16,20,22,24,26−オクタメチル−2,7−(エポキシペンタデカ−(1,11,13)トリエンイミノ)ベンゾフロ(4,5−e)ピリド(1,2,−a ベンズイミダゾール−1,15(2H)ジオン,25−アセテート)である。リファキシミンは、現在、商標Normix(ノルミックス)(登録商標)、商標Rifacol(リファコール)(登録商標)及び商標Xifaxan(キシファクサン)(登録商標)で入手できる(イタリア国特許第1154655号及び欧州特許第0161534号も参照のこと。後者の文献には、特に、リファマイシンO(メルトインデックス第13版(The Merck Index XIII ed.), 8301)を出発物質とする製造方法が記載されている)。
本開示の意味において「リファキシミン」には、溶媒和物及び多形形態が含まれる。多形としては、例えば、α形、β形、γ形、δ形、ε形、ζ形、η形、ι形、β−1形、β−2形、ε−乾燥形、メシラート形、無定形及びそれらの任意の混合物が挙げられる。イタリア国特許第1349654号には、α形、β形及びγ形が開示されており;欧州特許第1698630号には、δ形及びε形が開示されており;WO2008/035109、WO2008/155728、米国特許第7,709,634号には、無定形が開示されており;WO2009/108730には、ζ形、γ−1形、η形、ι(イオタ)形、β−1形、β−2形及び無定形が開示されており;WO2011/156897には、APO−I形及びAPO−II形が開示されており;WO2011/153444には、カッパ(κ)形及びシータ(θ)形が開示されており;WO2011/103120には、ζ形、η形、ι(イオタ)形、ι−乾燥形及びB形が開示されており;WO2012/155981には、疑結晶形が開示されており;WO2012/156951には、K形が開示されており;WO2012/150561には、ジメチルホルムアミド溶媒和物が開示されており、これらの文献はすべて、参照することによりその全体が本明細書に組み入れられる。リファキシミンの種々の多形は、米国特許第7,045,620号(α形、β形、γ形,)、同第8,217,054号(安定化β形)、同第8,193,196号(δ形及びε形)、同第8,067,429号(ζ形、η形、α−乾燥形、ι形及び無定形)、及び同第8,227,482号(Mu形、Pi形、オミクロン(ο)形、Xi形、ゼータ(ζ)形、エータ(η)形及びイオタ(ι)形)に開示されており、これらの文献はすべて、参照することによりその全体が本明細書に組み入れられる。
本明細書において用いられる用語「多形」、「多形形態」又は「多形性」とは、別個の水和又は溶媒和状態における単一の化合物の様々な結晶形の発生(例えば、いくつかの化合物及び複合体の特性)をいう。したがって、多形は同じ分子式を共有する別個の固体であり、さらに、各多形は別個の物性を有することができる。それゆえに、単一の化合物は様々な多形形態を生じることができ、各形態は、異なる別個の物性(溶解度プロファイル、融点、吸湿性、粒子の形、密度、流動性、相溶性(compatibility)及び/又はX線回折ピークなど)を有する。各多形の溶解度は多様であり得るので、薬学的多形の存在を同定することは、予測可能な溶解度プロファイルを有する医薬品を提供するために不可欠である。すべての多形形態を含む、薬物のすべての固体形態を調査すること、並びに各多形形態の安定性、分解性及び流動性を決定することが望ましい。化合物の多形形態は、X線回折分光法及び他の方法(赤外分光分析など)によって実験室で区別できる。多形の一般的なレビュー及び多形の医薬用途については、G.M.Wall, Pharm Manuf. 3, 33 (1986);J. K. Haleblian及びW. McCrone, J. Pharm. Sci., 58, 911 (1969);及びJ. K. Haleblian, J. Pharm. Sci., 64, 1269 (1975)を参照のこと。これらの文献はすべて、参照することによりその全体が本明細書に組み入れられる。本明細書において、用語「多形」は、リファキシミンの形態に関する一般的な用語として用いられてもよく、当該用語は文脈の中で、本明細書において開示されるように、塩、水和物、多形及び無定形を含む。この使用は文脈に応じ、当業者に明らかであろう。本明細書に記載の組成物、方法及びシステムに使用できる抗生物質リファキシミンのさらなる特徴は、本開示を読めば当業者によって特定可能であろう。本明細書において用いられるように、用語「抗生物質」及び「抗菌性」は交換可能であり、細菌増殖を阻害する(静菌性を有する)か又は細菌を殺傷する(殺菌性を有する)1又は複数の活性剤をいう。
本明細書において用いられる用語「胃酸分泌抑制剤」とは、胃の酸量を低減するか又は胃内で酸の産生を阻害する作用を有する任意の化合物をいう。
本明細書に記載の実施形態において、1又は複数のNSAIDと、リファキシミンと、必要に応じて少なくとも1つの抗生物質及び/又は少なくとも1つの胃酸分泌抑制剤とを併用投与して、疼痛及び/又は炎症を呈する病態を治療(特に、心血管疾患を治療)しながらNSAID投与に伴う有害作用(特に、胃腸管における有害作用)を治療及び/又は予防する。ここで、本開示によると、ある治療剤の「併用投与」(又は「組み合わせ投与」)、又は治療剤と1又は複数のさらなる治療剤との「併用」(又は「組み合わせ」)投与は、言及した活性剤(NSAID、抗生物質及び/又は胃酸分泌抑制剤)の同時(simultaneous、concurrent)及び連続(逐次)投与を含み、これらは任意の順序で実施される。
NSAID腸症並びに/又は疼痛及び/もしくは炎症を呈する病態の治療及び/又は予防が望まれる場合に、本明細書に記載のいくつかの実施形態において、少なくとも1つの抗生物質の有効量を、少なくとも1週間、10日間、2週間又は2週間より長い期間、例えば、2か月までから選択される期間、個体に、少なくとも1つのNSAID及び少なくとも1つの胃酸分泌抑制剤と併用投与してもよい。これらの実施形態のいくつかにおいて、少なくとも1つのNSAIDと、少なくとも1つの胃酸分泌抑制剤と、少なくとも1つの抗生物質とを、2週間又はそれ以上の間併用投与してもよい。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、少なくとも1つの抗生物質と、適宜用いてもよい胃酸分泌抑制剤との投与は、個体において重篤な腸症の発生を伴うNSAID治療に関して実施することができる。
本開示が意味するところの重篤な腸症は、罹患者が普通の日常生活を送る能力に深刻な影響を及ぼし得る徴候及び症状と関連する腸症(小腸病変を4つのカテゴリーに割り当てるGraham DYらのClin Gastr. Hepatol. 2005, 3, 55によって与えられるNSAID腸症についてのカテゴリー化に準じるカテゴリー(3)及び(4)の小腸病変の存在と関連する腸症など)である。上記4つのカテゴリーは、下記の通りである。(1)赤色斑:絨毛パターン(villous patter)を維持している境界のある(demarcated)通常1〜3mmの円形領域の深紅色粘膜として規定される;(2)潰瘍形成/びらん:明確な縁を有する直径5mm未満の病変領域を横切る、明らかに絨毛が損失している赤色斑として規定される;(3)潰瘍:5mmより大きい直径を有する粘膜の穿通性病変として規定される;及びカテゴリー(4)大きなびらん性潰瘍。参照は、実施例の項目、特に、本開示に従うリファキシミンの使用が重篤な腸症の治療及び/又は予防に関して特に効果的であると証明した典型的な実施形態を示す実施例18及び19に対してなされる。特に、重篤な腸症は、典型的には、当業者によって理解されるように、少なくとも2週間、少なくとも2か月、2〜6か月、又は慢性投与及び一生の治療を含む1年及びそれ以上のNSAIDによる長期治療に付随して起こる。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、NSAID治療の間、NSAIDは、当業者によって理解されるように、選択されたNSAIDに応じて、1日1回(OD)、1日2回(BID)、1日3回(TID)、1日4回(QDS)又は必要に応じてそれより多い頻度で、1日あたり5〜1500mgの投薬量で投与されてもよい。
腸症を治療及び/又は予防するためのリファキシミン投与のタイミング及び投薬量は、当業者によって理解されるように、治療される個体、達成すべき効果(腸症の治療及び/又は予防)及び腸症の重篤度に応じて変更できる。
いくつかの実施形態において、リファキシミンは、当業者によって理解されるように、選択された抗生物質に応じて、1日1回(OD)、1日2回(BID)、1日3回(TID)、1日4回(QDS)又は必要に応じてそれより多い頻度で、1日あたり20〜3300mg又は1日あたり20〜2400mgの投薬量で投与されてもよい。
特定の実施形態において、リファキシミンは、当業者によって理解されるように、選択された抗生物質に応じて、1日1回(OD)、1日2回(BID)、1日3回(TID)、1日4回(QDS)又は必要に応じてそれより多い頻度で、1日あたり200〜3300mgの投薬量で投与されてもよい。
より詳細には、いくつかの実施形態において、リファキシミンは、1日1回、1日2回、1日3回、1日4回又はそれより多い頻度で、1日あたり20mg、40mg、60mg、80mg又はそれ以上を含む範囲の1日投薬量で投与されてもよい。
いくつかの実施形態において、リファキシミンは、1日1回、1日2回、1日3回、1日4回又はそれより多い頻度で、1日あたり50mg以上(100mg以上、150mg以上)200mg以下又はそれ以上の1日投薬量で投与されてもよい。
いくつかの実施形態において、リファキシミンは、1日1回、1日2回、1日3回、1日4回又はそれより多い頻度で、1日あたり100mg以上(200mg以上、300mg以上)400mg以下又はそれ以上の1日投薬量で投与されてもよい。
いくつかの実施形態において、リファキシミンは、1日1回、1日2回、1日3回、1日4回又はそれより多い頻度で、1日あたり200mg以上(400mg以上、600mg以上)800mg以下又はそれ以上の1日投薬量で投与されてもよい。
いくつかの実施形態において、リファキシミンは、1日1回、1日2回、1日3回、1日4回又はそれより多い頻度で、1日あたり400mg以上(800mg以上、1200mg以上)1600mg以下又はそれ以上の1日投薬量で投与されてもよい。
いくつかの実施形態において、リファキシミンは、1日1回、1日2回、1日3回、1日4回又はそれより多い頻度で、1日あたり550mg以上(1100mg以上、1650mg以上)2200mg以下又はそれ以上の1日投薬量で投与されてもよい。
いくつかの実施形態において、リファキシミンは、1日1回、1日2回、1日3回、1日4回又はそれより多い頻度で、1日あたり600mg以上(1200mg以上、1800mg以上)2400mg以下又はそれ以上の1日投薬量で投与されてもよい。
いくつかの実施形態において、リファキシミンは、1日1回、1日2回、1日3回、1日4回又はそれより多い頻度で、1日あたり800mg以上(1600mg以上、2400mg以上)3200mg以下又はそれ以上の1日投薬量で投与されてもよい。
いくつかの実施形態において、リファキシミンは、1日1回、1日2回、1日3回又はそれより多い頻度で、1日あたり1100mg以上(2200mg以上)3300mg以下又はそれ以上の1日投薬量で投与されてもよい。
いくつかの実施形態において、1又は複数の胃酸分泌抑制剤もまた、当業者によって理解されるように、選択された胃酸分泌抑制剤に応じて、1日1回(OD)、1日2回(BID)、1日3回(TID)、1日4回(QDS)又は必要に応じてそれより多い頻度で、1日あたり5〜2000mgの投薬量で投与されてもよい。
いくつかの実施形態において、リファキシミン及び必要に応じて用いてもよい少なくとも1つの胃酸分泌抑制剤の併用使用及び併用投与のタイミング及び投薬量を、NSAID投与を受けている個体のNSAID胃腸障害を予防するために有効なリファキシミン及び適宜用いてもよい胃酸分泌抑制剤の量がその個体に与えられるように選択してもよい。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法では、少なくとも1つのNSAID、リファキシミン及び適宜用いてもよい少なくとも1つの胃酸分泌抑制剤の併用使用及び併用投与を提供して、個体においてリウマチ性の病態並びに/又は他の疼痛病態及び/もしくは炎症病態(心血管疾患又は外傷性病態など)を治療及び/又は予防できる。NSAID、リファキシミン及び胃酸分泌抑制剤の各々は、その作用の種類に特異的な治療効果を発揮するために、薬物の各種類に適した投薬量及び時間間隔で投与される。特に、本明細書に記載の実施形態において、NSAID、リファキシミン及び胃酸分泌抑制剤の各々は、少なくとも1日1回、1日の任意の時間に併用投与されてもよい。これらの実施形態のいくつかにおいて、NSAID、リファキシミン及び胃酸分泌抑制剤は、1日1回夕方に併用投与されてもよい。
いくつかの実施形態において、NSAID及びリファキシミンは、1日2回、例えば、投与間隔をおよそ12時間あけて併用実施される、第1の投与及び第2の投与で併用投与されてもよい。これらの実施形態のいくつかにおいて、NSAID投与及びリファキシミン投与は、1日1回投与される胃酸分泌抑制剤との併用で、1日1回、1日2回又は1日3回実施されてもよい。これらの実施形態のいくつかにおいて、併用投与される少なくとも1つのNSAID及び/又は少なくとも1つの抗生物質の第1の投与は午前中に実施されてもよく、併用投与される少なくとも1つのNSAID及び/又はリファキシミンの第2の投与は夕方に実施されてもよい。これらの実施形態のいくつかにおいて、胃酸分泌抑制剤もまた、夕方に、NSAID及び必要に応じてリファキシミンと併用投与されてもよい。
いくつかの実施形態において、NSAIDは、少なくとも1日2回個体に投与されてもよく、前記投与は、NSAIDと第1のリファキシミン又は1もしくは複数の胃酸分泌抑制剤とを少なくとも1日1回投与すること、及びNSAIDと第2のリファキシミンと1又は複数の胃酸分泌抑制剤とを少なくとも1日1回投与することを含む。
いくつかの実施形態において、抗生物質及びNSAIDは、単一剤形[例えば、単一錠剤もしくはカプセル剤中のリファキシミン及びNSAID、又は単一ベヒクル中の抗生物質及びNSAID(水に溶解したリファキシミン及びNSAID顆粒など)]において同時に併用投与されてもよい。
いくつかの実施形態において、リファキシミン及びNSAIDは、別々の剤形において同時に又は異なる時間で投与されてもよく、抗生物質は、NSAIDの前又は後に投与されてもよい。
特に、本明細書に記載のいくつかの実施形態において、リファキシミンは、NSAIDが投与される1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12時間もしくはそれ以上前又は後のいずれかに投与されてもよい。本明細書に記載の実施形態による3つの活性剤の投薬レジメン(dosages and regimens)に関して、典型的な投薬レジメンを以下に例示する。
特に、表1に例示される典型的な実施形態のいくつかにおいて、胃酸分泌抑制剤は、プロトンポンプ阻害薬(PPI)であってもよい。抗生物質がリファキシミンである場合のNSAID及びリファキシミンについての典型的な投薬量は、表1に記載されている。当業者は、本開示を読めば、投与のタイミングに関連してさらなる投薬量を理解できるであろう。
例えば、いくつかの実施形態において、関節炎病態及び/又は急性筋骨格障害及び/又は他の疼痛病態及び/又は心血管疾患のための典型的なNSAIDの利用は、少なくとも1週間〜2か月又はそれ以上までの期間、1日投薬量20〜1500mgを含むNSAID投与により治療又は予防される。
NSAID、胃酸分泌抑制剤、好ましくはプロトンポンプ阻害薬(PPI)、及びリファキシミンのさらなる投薬量及び投与のタイミングは、当業者によって理解されるように、選択されるNSAID、胃酸分泌抑制剤及びリファキシミン並びに治療される特定の1又は複数の病態に基づいて、当業者によって特定可能であろう。同様に、本明細書に開示される情報に基づいて、NSAID、胃酸分泌抑制剤及びリファキシミンの特定の処方物もまた、選択されるNSAID、胃酸分泌抑制剤及びリファキシミン並びに治療される特定の1又は複数の病態に基づいて、当業者によって決定されてもよい。
いくつかの実施形態において、NSAID、リファキシミン及び/又は胃酸分泌抑制剤の投与は、別々の剤形、又はNSAID及びリファキシミンを含む単一統合剤形(single unified dosage form)、又はNSAID、抗生物質及び胃酸分泌抑制剤を含む単一統合剤形において実施されてもよい。NSAIDは、選択されたNSAIDに応じて、1日1回(OD)、1日2回(BID)、1日3回(TID)、1日4回又は必要に応じてそれより多い頻度で、1日あたり5〜1500mgを含む投薬量で投与されてもよい。
いくつかの実施形態において、投与されるNSAIDは、例えば、アセトアミノフェン、アモキシプリン、ベノリラート、コリン、サリチル酸マグネシウム、ジフニサル、ファイスラミン、サリチル酸メチル、サリチル酸マグネシウム、サリチル酸ナトリウム、ジクロフェナク、アセクロフェナク、アセメタシン、アセチルサリチル酸、ブロムフェナク、エトドラク、ケトロラク、ナブメトン、スリンダク、トルメチン、イブプロフェン、カルプロフェン、フェンブフェン、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、ロキソプロフェン、ナプロキセン、チアプロフェン酸、メフェナム酸、メクロフェナム酸、トルフェナム酸、フェニルブタゾン、アザプロパゾン、メタミゾール、オキシフェンブタゾン、ピロキシカム、ロルノキシカム、メロキシカム、テノキシカム、セレコキシブ、エトリコキシブ、ルミラコキシブ、パレコキシブ、ニメスリド、リコフェロン、インドメタシン、COX−2阻害剤並びにそれらの薬学的に許容可能な塩及びそれらの混合物からなる群より選択される。これらの実施形態のいくつかにおいて、NSAIDは、選択されるNSAIDに応じて、1日1回(OD)、1日2回(BID)、1日3回(TID)、1日4回又は必要に応じてそれより多い頻度で、1日あたり5〜1500mgの投薬量で投与される。リファキシミンは、1日1回(OD)、1日2回(BID)、1日3回(TID)、1日4回又は必要に応じてそれより多い頻度で、1日あたり20〜3300mg及び1日あたり20〜2400mgの投薬量で投与されてもよい。
胃酸分泌抑制剤は、選択される胃酸分泌抑制剤に応じて、1日1回(OD)、1日2回(BID)、1日3回(TID)、1日4回又は必要に応じてそれより多い頻度で、1日あたり5〜2000mgの投薬量で投与されてもよい。
いくつかの実施形態において、胃酸分泌抑制剤は、PPI及びランソプラゾール、イラプラゾール、オメプラゾール、テナトプラゾール、ラベプラゾール、エソメプラゾール、パントプラゾール、パリプラゾール、レミノプラゾールもしくはネパプラゾール又はそれらの遊離塩基、遊離酸、塩、水和物、エステル、アミド、鏡像異性体、異性体、互変体、多形、プロドラッグもしくは任意の誘導体などから選択できる。
種々の実施形態において、1日あたりのNSAID、リファキシミン及び胃酸分泌抑制剤の用量は、毎日同時に1回もしくは複数回、又は毎日異なる時間に1回もしくは複数回与えられてもよい。
さらなる投薬量を用いて、本開示の関連する実施形態に従って治療的に有効な量又は予防的に有効な量を個体に与えてもよい。特に、用語「有効(な)量」の1又は複数の有効成分とは、望ましい効果を与えるための無毒であるが十分な量の1又は複数の薬物をいう。例えば、疼痛及び/又は炎症が存在している個体における病態を少なくとも1つのNSAIDによって治療及び/又は予防することに関する「有効量」(本明細書において、「治療的に有効な量」又は「薬学的に有効な量」とも称する)とは、その個体におけるこのような病態の治療及び/又は予防を提供するための少なくとも1つのNSAIDの無毒であるが十分な量をいう。別の例として、個体におけるNSAID腸症の治療及び/又は予防をもたらす、少なくとも1つの抗生物質及び/又は胃酸分泌抑制剤の「有効量」とは、個体におけるNSAID腸症の治療及び/又は予防を提供するための少なくとも1つの抗生物質及び/又は少なくとも1つの胃酸分泌抑制剤の無毒であるが十分な量をいう。
したがって、本明細書に記載のいくつかの実施形態において、少なくとも1つの抗生物質及び/又は少なくとも1つの胃酸分泌抑制剤の治療的に有効な量は、個体における胃腸障害を治療及び/又は予防可能な量を表す。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのNSAIDの治療的に有効な量は、個体において疼痛及び/又は炎症が存在している病態を治療及び/又は予防可能な量を表す。したがって、少なくとも1つの抗生物質、少なくとも1つのNSAID及び少なくとも1つの胃酸分泌抑制剤の治療的に有効な量は、例えば、いかなる療法にも適用できる合理的なベネフィット・リスク比で、個体における、本明細書で列挙された病態(特に、関節炎又は他の疼痛病態及び/又は炎症病態)を治療及び/又は予防しながらNSAID使用に伴う胃腸障害を治療及び/又は予防するために必要な投薬量及び処方物を(例えば、有効成分を含む1又は複数の医薬組成物において)構成する。
典型的な実施形態において、抗生物質の治療的に有効な量は、NSAIDによる治療の終了まで、20〜800mg、1日1回、1日2回,1日3回、1日4回であってもよい。いくつかの実施形態において、抗生物質は、NSAID治療の終了後の治療期間、例えば、少なくとも1週間又は少なくとも2週間、投与できる。
本明細書に記載の方法及びシステムのいくつかの実施形態において、リファキシミンは、少なくとも1つの抗生物質と併用投与され、適宜NSAID及び/又は少なくとも1つの胃酸分泌抑制剤と併用投与されてもよい。特に、いくつかの実施形態において、抗生物質は、胃腸管に効果がある抗生物質及び/又は全身性吸収の低い抗生物質の1又は複数であってもよい。低い全身性吸収としては、例えば、吸収10%未満、吸収5%未満、吸収1%未満及び吸収0.5%未満が挙げられる。低い全身性吸収としてはまた、例えば、吸収約0.01〜約1%、吸収約0.05〜約1%、吸収約0.1〜約1%、吸収約1〜約10%、又は吸収約5〜約20%が挙げられる。
より詳細には、いくつかの実施形態において、抗生物質は、1又は複数の「GI特異的抗生物質」及び「GI抗生物質」であり、本明細書において用いられるように、これらの用語には、GI疾患に影響を及ぼすことが知られているか又は決定されている抗生物質を含む。例えば、リファマイシン系抗生物質(例えば、リファキシミン)、ネオマイシン、メトロニダゾール、テイコプラニン、シプロフロキサシン、ドキシサイクリン、テトラサイクリン、オーグメンチン、セファレキシン、ペニシリン、アンピシリン、カナマイシン、リファマイシン、バンコマイシン及びそれらの組み合わせは、有用なGI特異的抗生物質である。一実施形態において、抗生物質は、吸収性の低いGI特異的抗生物質であってもよい。
本明細書に記載の実施形態において、抗生物質は、その作用の種類に特異的な治療効果を発揮するために、薬物の各種類に適した投薬量及び時間間隔で投与される。特に、本明細書に記載の実施形態において、少なくとも1つの抗生物質は、少なくとも1日1回、1日の任意の時間に、NSAID、リファキシミン及び胃酸分泌抑制剤の各々と併用投与できる。これらの実施形態のいくつかにおいて、NSAID、リファキシミン、胃酸分泌抑制剤及び少なくとも1つの抗生物質は、1日1回夕方に併用投与されてもよい。
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの抗生物質は、選択された抗生物質に応じて、1日1回(OD)、1日2回(BID)、1日3回(TID)、1日4回又は必要に応じてそれより多い頻度で、1日あたり20〜3300mg及び/又は1日あたり20〜2400mgの投薬量で投与されてもよい。
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの抗生物質は、例えば、リファマイシン系抗生物質、アミノグリコシド、アンフェニコール、アンサマイシン、β−ラクタム、カルバペネム、セファマイシン、モノバクタム、オキサセファム、リンコサミド、マクロライド、ポリペプチド、テトラサイクリン、2,4−ジアミノピリミジン系抗生物質、ペニシリン、ネオマイシン、メトロニダゾール、バンコマイシン、パロモマイシン、チミダゾール、クラリスロマイシン、アモキシシリン、スルファサラジン;オルサラジン;メサラミン;プレドニゾン;アザチオプリン;メルカプトプリン;メトトレキサート、アンピシリン、クリンダマイシン、リファンピシン、リファマイシン、バンコマイシン、クロラムフェニコール、スペクチノマイシン、フルオロキノロン類及びセファロスポリン類からなる群より選択できる。フルオロキノロン抗生物質は、バロフロキサシン、シプロフロキサシン、ジフロキサシン、エンロフロキサシン、フレロキサシン、ガチフロキサシン、グレパフロキサシン、レボフロキサシン、ロメフロキサシン、マルボフロキサシン、モキシフロキサシン、ナジフロキサシン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、オルビフロキサシン、パズフロキサシン、ペルフロキサシン、ルフロキサシン、スパルフロキサシン、テマフロキサシン及びトスフロキサシンからなる群より選択される少なくとも1つであってもよい。セファロスポリン抗生物質は、セファセトリル、セファクロメジン、セファクロル、セファドロキシル、セファレキシン、セファログリシン、セファロニウム、セファロラム、セファロリジン、セファロチン、セファパロール、セファピリン、セファトリジン、セファザフル、セファゼドン、セファゾリン、セフブペラゾン、セフカネル、セフカペン、セフクリジン、セフダロキシム、セフジニル、セフジトレン、セフェドロロール、セフェムピドン、セフェピム、セフェタメト、セフェトリゾール、セフィビトリル、セフィキシム、セフルプレナム、セフマチレン、セフメノキシム、セフメピジウム、セフメタゾール、セフミノクス、セフォジジム、セフォニシド、セフォペラゾン、セフォセリス、セフォタキシム、セフォテタン、セフォベシン、セフォキサゾール、セフォキシチン、セフォゾラン、セフピミゾール、セフピロム、セフポドキシム、セフプロジル、セフキノム、セフラジン、セフロチル、セフロキサジン、セフスミド、セフタロリン、セフタジジム、セフテラム、セフテゾール、セフチブテン、セフチオフル、セフチオレン、セフチオキシド、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セフラセチム、セフロキシム、セフゾナム及びロラカルベフからなる群より選択される少なくとも1つであってもよい。これらの実施形態のいくつかにおいて、抗生物質は、経腸的に又は非経口的に、1日1回又は1日2回投与でき、その際の投薬量及びスケジュールは、胃腸管(特に、腸管)の病態の治療及び/又は予防の望ましい効果に関する本開示を読めば当業者によって特定可能である。
より詳細には、いくつかの実施形態において、少なくとも1つの抗生物質は、1日1回、1日2回、1日3回、1日4回又はそれより多い頻度で、1日あたり20mg、40mg、60mg、80mg又はそれ以上を含む範囲の1日投薬量で投与されてもよい。
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの抗生物質は、1日1回、1日2回、1日3回、1日4回又はそれより多い頻度で、1日あたり50mg以上(100mg以上、150mg以上)200mg以下又はそれ以上の1日投薬量で投与されてもよい。
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの抗生物質は、1日1回、1日2回、1日3回、1日4回又はそれより多い頻度で、1日あたり100mg以上(200mg以上、300mg以上)400mg以下又はそれ以上の1日投薬量で投与されてもよい。
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの抗生物質は、1日1回、1日2回、1日3回、1日4回又はそれより多い頻度で、1日あたり200mg以上(400mg以上、600mg以上)800mg以下又はそれ以上の1日投薬量で投与されてもよい。
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの抗生物質は、1日1回、1日2回、1日3回、1日4回又はそれより多い頻度で、1日あたり400mg以上(800mg以上、1200mg以上)1600mg以下又はそれ以上の1日投薬量で投与されてもよい。
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの抗生物質は、1日1回、1日2回、1日3回、1日4回又はそれより多い頻度で、1日あたり550mg以上(1100mg以上、1650mg以上)2200mg以下又はそれ以上の1日投薬量で投与されてもよい。
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの抗生物質は、1日1回、1日2回、1日3回、1日4回又はそれより多い頻度で、1日あたり600mg以上(1200mg以上、1800mg以上)2400mg以下又はそれ以上の1日投薬量で投与されてもよい。
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの抗生物質は、1日1回、1日2回、1日3回、1日4回又はそれより多い頻度で、1日あたり800mg以上(1600mg以上、2400mg以上)3200mg以下又それ以上の1日投薬量で投与されてもよい。
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの抗生物質は、1日1回、1日2回、1日3回又はそれより多い頻度で、1日あたり1100mg以上(2200mg以上)3300mg以下又はそれ以上の1日投薬量で投与されてもよい。
1より多い抗生物質が投与される実施形態において、投与された抗生物質は、その作用の種類に特異的な治療効果を発揮するように同定された薬物の種類並びに関連する投薬量及び時間間隔の各々に応じて、同時に又は異なる時間で投与できる。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの抗生物質は、本明細書に記載の種々の実施形態のリファキシミンのレジメン(regimen)に従って、リファキシミンと一緒に投与されてもよい。例えば、いくつかの実施形態において、少なくとも1つの抗生物質の投薬レジメンに関する、典型的な投薬レジメンは、表1の例示においてリファキシミンについて例示されたものと同じであり、表1は、少なくとも1つの抗生物質に対しても同様に適用できる。
腸内細菌及びサイトカインはともに、NSAID起因性腸症の病態生理学において役割を果たす。小腸において、NSAIDは、腸浸透性を増強して粘膜の炎症を誘発する。粘膜関門が一旦NSAIDによって崩壊すると、管腔のグラム陰性菌が細胞に侵入してToll様受容体(TLR)4を活性化するおそれがある。TLR4は、グラム陰性菌の主な細胞壁成分であるリポ多糖(LPS)を認識し、結果として炎症性カスケードの活性化をもたらす。核内因子−κB(NF−κB)は、TLR4シグナル伝達経路の最終的なエフェクター分子である。NF−κBは、多くの腸疾患の発生を促進し、また、炎症メディエーターの翻訳及び転写において極めて重要な役割を果たす。
胃腸系において、PXRは、腸の粘膜関門における炎症のモジュレーターとしての役割を有する。PXRは、生体異物代謝並びに限られた抗生物質沈着及び解毒に関与する遺伝子を調節する核内受容体である。腸の炎症におけるPXR活性化の保護効果の機序は、核内因子κB(NF−κB)シグナル伝達の減弱に一部起因するものであり、結果として、炎症誘発性サイトカインの発現を低下させる。例えば、リファキシミンは、その抗菌性に加えて、腸特異的PXRアゴニストであり、NF−κB調節遺伝子の発現を抑制し、かつヒト腸における炎症及び免疫応答の負のレギュレーターである。
したがって、本明細書に記載の方法、システム(特に、キット)のいくつかの実施形態において、NSAID投与は、リファキシミンと組み合わせ、適宜少なくとも1つのPXRアゴニスト、少なくとも1つの胃酸分泌抑制剤及び/又は少なくとも1つの抗生物質と組み合わせてもよい併用投与で実施され、この併用投与は、個体における疼痛及び/もしくは炎症並びに/又は関連する病態の治療に必要なNSAIDの繰り返し投与に伴う上部及び/又は下部胃腸管における胃腸障害を治療及び/又は予防するために実施される。これらの実施形態において、少なくともPXRは、リファキシミンとともに治療効果を増大させて、個体における腸症を治療又は予防することが期待される。いくつかの実施形態において、PXRアゴニストは、抗生物質である。
本明細書において、用語「PXRアゴニスト」とは、プレグナンX受容体(「PXR」)を活性化できる1又は複数の活性剤をいう。PXRの活性化により、腸並びに関連する組織及び器官の炎症を阻害、低減又は予防することができる。典型的なPXRアゴニストは、PCN、リファンピシン、RU486、SR12813、タキソール、ハイパフォリン、5β−プレグナン−3,20−ジオン、リトコール酸、メチラポン、クロトリマゾール、フェノバルビタール、スピロノラクトン、trans−ノナクロル、ニフェジピン、リトナビル、タモキシフェン、4−ヒドロキシタモキシフェン、トログリタゾン、ロバスタチン、グルテチミド、ビスフェノールA、ジエチルヘキシルフタレート、ノニルフェノール、プレグネノロン、プレグネノロンの17α−ヒドロキシル化誘導体、プロゲステロン、プロゲステロンの17α−ヒドロキシル化誘導体、エストラジオール及びコルチコステロンを含む。他のPXRアゴニストは、当業者によって特定可能であろう。
本明細書に記載の実施形態において、NSAID、リファキシミン、少なくとも1つのPXRアゴニスト、胃酸分泌抑制剤及び/又は少なくとも1つの抗生物質を併用投与して、疼痛及び/又は炎症を呈する病態(例えば、関節炎病態、急性筋骨格障害、並びに外傷、慢性筋膜痛及び心血管疾患から生じる病態)を治療しながら、NSAID投与に伴う有害作用(特に、胃腸管における有害作用)を治療及び/又は予防する。ここで、本開示によると、ある治療剤の「併用投与」、又は治療剤と1又は複数のさらなる治療剤との「併用」投与は、任意の順序で実施される言及した成分の同時及び連続投与を含む。したがって、本開示による使用のための種々の治療剤を任意の順序で投与してもよく、すなわち、適切な組み合わせの抗生物質及び胃酸分泌抑制剤(これらを別々に又は互いに一緒に用いてもよい)並びにNSAIDを投与することによって、1又は複数のNSAID投与で根本的な病態の治療又は予防を達成し、かつNSAIDに起因する腸症の発生を最小化し又はその腸症を治療することができる。
NSAID腸症並びに/又は疼痛及び/もしくは炎症を呈する病態の治療及び/又は予防が望まれる、本明細書に記載のいくつかの実施形態において、少なくとも1つのPXRアゴニストと組み合わせられるリファキシミンの有効量は、個体に、少なくとも1週間、10日間、2週間又は2週間より長くから2か月以上までから選択される期間、少なくとも1つのNSAID及び少なくとも1つの胃酸分泌抑制剤と併用投与されてもよい。これらの実施形態のいくつかにおいて、少なくとも1つのNSAID、少なくとも1つの胃酸分泌抑制剤及び少なくとも1つのPXRアゴニストは、2週間又はそれ以上の間併用投与されてもよい。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、NSAIDは、当業者によって理解されるように、選択されたNSAIDに応じて、1日1回(OD)、1日2回(BID)、1日3回(TID)、1日4回又は必要に応じてそれより多い頻度で、1日あたり5〜1500mgを含む投薬量で投与されてもよい。
いくつかの実施形態において、少なくとも1つのPXRアゴニストは、1日1回(OD)、1日2回(BID)、1日3回(TID)、1日4回(QDS)又は必要に応じてそれより多い頻度で、PXR活性を活性化させるのに十分な投薬量で投与されてもよい。PXR活性を活性化させるのに十分な投薬量は、選択されたPXRアゴニストに応じて異なり、当業者によって理解されるであろう。例えば、十分な投薬量は、1日あたり20mg〜5000mg又は1日あたり100〜2500mgを含んでもよい。
いくつかの実施形態において、1又は複数の胃酸分泌抑制剤は、当業者によって理解されるように、選択された胃酸分泌抑制剤に応じて、1日1回(OD)、1日2回(BID)、1日3回(TID)、1日4回(QDS)又は必要に応じてそれより多い頻度で、1日あたり5〜2000mgを含む投薬量で投与されてもよい。
特に、本明細書に記載の実施形態において、NSAID、リファキシミン、PXRアゴニスト、胃酸分泌抑制剤及び抗生物質の各々は、少なくとも1日1回、1日の任意の時間に併用投与されてもよい。これらの実施形態のいくつかにおいて、NSAID、リファキシミン、PXRアゴニスト、胃酸分泌抑制剤及び抗生物質は、1日1回夕方に併用投与されてもよい。
いくつかの実施形態において、NSAID、リファキシミン及びPXRアゴニストは、1日2回、例えば、投与間隔をおよそ12時間あけて併用実施される第1の投与及び第2の投与で併用投与されてもよい。これらの実施形態のいくつかにおいて、NSAID投与並びにリファキシミン及びPXRアゴニスト投与は、1日1回投与される胃酸分泌抑制剤との併用で、1日1回、1日2回又は1日3回実施されてもよい。これらの実施形態のいくつかにおいて、併用投与される少なくとも1つのNSAID、リファキシミン及び/又は少なくとも1つのPXRアゴニストの第1の投与は午前中に実施されてもよく、併用投与される少なくとも1つのNSAID、リファキシミン及び/又は少なくとも1つのPXRアゴニストの第2の投与は夕方に実施されてもよい。これらの実施形態のいくつかにおいて、胃酸分泌抑制剤もまた、夕方に、NSAID並びに必要に応じてリファキシミン及び/又はPXRアゴニストと併用投与されてもよい。
いくつかの実施形態において、NSAIDは、少なくとも1日2回個体に投与されてもよく、前記投与は、NSAID及び第1のリファキシミンと、1もしくは複数のPXRアゴニスト又は1もしくは複数の胃酸分泌抑制剤とを少なくとも1日1回併用投与すること、及びNSAID及び第2のリファキシミンと、1もしくは複数のPXRアゴニスト及び1もしくは複数の胃酸分泌抑制剤とを少なくとも1日1回併用投与することを含む。
いくつかの実施形態において、リファキシミン、PXRアゴニスト及びNSAIDは、単一剤形[例えば、単一錠剤もしくはカプセル剤中のリファキシミン、PXRアゴニスト及びNSAID、又は単一ベヒクル中のリファキシミン、PXRアゴニスト及びNSAID(水に溶解したPXRアゴニスト及びNSAID顆粒など)]において同時に併用投与されてもよい。
いくつかの実施形態において、リファキシミン、PXRアゴニスト及びNSAIDは、別々の剤形において同じ又は異なる時間で投与されてもよく、PXRアゴニストは、NSAIDの前又は後に投与されてもよい。
特に、本明細書に記載のいくつかの実施形態において、PXRアゴニストは、NSAIDが投与される1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12時間もしくはそれ以上前又は後のいずれかに投与されてもよい。
当業者に容易に明らかなように、投与されるべき有用なin vivo投薬量及び投与の詳細な方法(モード)は、年齢、体重及び治療される哺乳類の種類、用いられる特定の化合物、並びに/又はこれらの化合物が用いられる特定の用途に応じて異なるものである。有効な投薬量レベル(すなわち、望ましい結果を達成するのに必要な投薬量レベル)の決定は、通常の薬理学的方法を用いて当業者によって達成され得る。典型的には、製品のヒト臨床用途はより低い投薬量レベルで開始され、望ましい効果及び応答の持続性が(例えば、治療効果が求められる臨床実務、又は所定の効果に関連する用量の選択が求められる用量範囲確認のための臨床試験において)達成されるまで投薬量レベルを増やす。
本明細書において、「応答の持続性」としては、例えば、治療を除いた後に症状が十分軽減すること、治療を除いた後に症状が持続的に十分軽減すること、又はプラシーボ(プラセボ)応答より大きいもしくはより優れた応答が挙げられる。この応答は、例えば、被験体による症状の主観的評価、又は医療サービス提供者もしくは世話人による被験体の症状の評価を含む、以下に概説される方法の1又は複数を用いて測定できる。
ある実施形態において、1又は複数のNSAIDは、1又は複数のリファキシミン並びに必要に応じて抗生物質、PXRアゴニスト及び/又は胃酸分泌抑制剤とともに周期的に投与されてもよい。サイクリング療法は、ある期間の第1の療法(例えば、第1の予防剤又は治療剤)の投与、続いてある期間の第2の療法(例えば、第2の予防剤又は治療剤)の投与、必要に応じて、続いてある期間の第3の療法(例えば、予防剤又は治療剤)の投与などを含み、これらの療法の一つに対する抵抗性の発生を低減するため、これらの療法の一つの副作用を回避もしくは低減するため、及び/又はこれらの療法の有効性を改善するために、この逐次投与(例えば、サイクル)を繰り返す。特に、いくつかの実施形態において、第1の予防剤又は治療剤は、1又は複数のNSAIDを含んでいてもよく、第2の予防剤又は治療剤は、1又は複数の抗生物質、特に、リファキシミンを含んでもよい。いくつかの実施形態において、第1の予防剤又は治療剤は、リファキシミンを、必要に応じて1又は複数の抗生物質と組み合わせて含んでいてもよく、第2の予防剤又は治療剤は、1又は複数のNSAIDであってもよい。いくつかの実施形態において、第1の予防剤又は治療剤は、1又は複数のNSAIDを含んでいてもよく、及び第2の予防剤又は治療剤は、リファキシミンを、必要に応じて1又は複数のPXRアゴニストと組み合わせて含んでもよい。いくつかの実施形態において、第1の予防剤又は治療剤は、リファキシミンを、必要に応じて1又は複数のPXRアゴニストと組み合わせて含んでいてもよく、第2の予防剤又は治療剤は、1又は複数のNSAIDであってもよい。これらの実施形態のいくつかにおいて、第3の予防剤又は治療剤は、胃酸分泌抑制剤を含んでもよい。これらの実施形態のいくつかにおいて、第1の予防剤又は治療剤及び第2の予防剤又は治療剤は、同時に又は異なる時間で投与されてもよい。いくつかの実施形態において、第1及び第2の予防剤又は治療剤は、単一統合剤形において投与されてもよい。いくつかの実施形態において、第1及び第2の予防剤又は治療剤は、別々の剤形において投与されてもよい。いくつかの実施形態において、同じ化合物の投与が繰り返されてもよく、これらの投与は、少なくとも約1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、10週間、12週間、14週間、16週間、18週間、20週間、22週間又は少なくとも約24週間離れていてもよい。
他の医薬品と同様に、本開示の1又は複数の医薬組成物の毎日の総使用量は、患者の治療をする医師によって正しい医学判断の範囲内で決定されるものである。各患者についての特定の治療的に有効な又は予防的に有効な用量レベルは様々な要因に依存するものであり、その要因としては、治療される障害及び障害の重篤度;使用される特定の化合物の活性;使用される特定の組成物;患者の年齢、体重、全身の健康、性別及び食生活;使用される特定の化合物の投与時間、投与経路及び排泄率;治療の期間;使用される特定の化合物と併用又は同時使用される薬物;並びに医療分野の当業者に公知の他の要因が挙げられる。
本開示の方法及びシステムのいくつかの実施形態において、NSAID投与は、別々の又は単一の組成物において、NSAIDと一緒に、リファキシミンを含み、必要に応じて少なくとも1つの胃酸分泌抑制剤及び/又は少なくとも1つの抗生物質を含んでもよい併用投与で実施され、この併用投与は、年配の患者におけるNSAIDの繰り返し投与に伴う上部及び/又は下部胃腸管の胃腸障害を治療及び/又は予防するために実施される。
したがって、「有効」である薬物量は、個体の年齢及び全身状態、各薬物(単数又は複数)などに応じて、被験体ごとに異なるものであり、任意の個体の場合における適切な「治療的に有効な量」又は「予防的に有効な量」は、当業者によって決定できる。
本明細書に記載の方法、システム及びキットのいくつかの実施形態において、リファキシミン及び/又は抗生物質及び/又はPXRアゴニスト及び/又は胃酸分泌抑制剤と併用されるNSAID投与は、好ましくは、関連する有効成分の経口及び非経口投与によって実施されてもよく、有効成分は、必要に応じて、当業者によって理解される適切な処方物及びキットに含まれてもよい。
本明細書に記載の実施形態において、NSAID及び/又は胃酸分泌抑制剤と併用されるリファキシミン投与は、特に、関連する有効成分の経口及び非経口投与によって実施されてもよく、有効成分は、必要に応じて、当業者によって理解される適切な処方物に含まれてもよい。
本明細書に記載の実施形態において、リファキシミンと、胃酸分泌抑制剤と、NSAID及び/又は抗生物質との併用投与は、特に、関連する有効成分の経口及び非経口投与によって実施されてもよく、有効成分は、必要に応じて、当業者によって理解される適切な処方物に含まれてもよい。
いくつかの実施形態において、PPIによって誘発した腸内毒素症により悪化した様々なNSAIDに起因する腸病変は、NSAID使用に伴う下部胃腸病変を低減及び治癒するための抗菌療法の有効な標的であってもよい。
いくつかの実施形態において、リファキシミンが下部胃腸病変を予防、低減及び治癒できる一方で、胃酸分泌抑制剤の投与により、十分に認知されている、NSAID起因性の損傷から上部胃腸管の粘膜を保護する。
いくつかの実施形態において、リファキシミン、少なくとも1つのNSAID、少なくとも1つの抗生物質及び少なくとも1つの胃酸分泌抑制剤の併用投与は、NSAIDによる長期療法を必要とするリウマチ性(rheumatological)疾患などの疼痛及び/又は炎症を呈する病態を患う被験体に首尾よい治療をもたらすことが期待される。
本明細書に記載の実施形態において、リファキシミンと、NSAID並びに必要に応じて用いてもよい胃酸分泌抑制剤及び/又はPXRアゴニストとの併用投与は、関連する有効成分の経口及び非経口投与によって実施されてもよく、有効成分は、必要に応じて、当業者によって理解される適切な処方物に含まれてもよい。
本明細書に記載の実施形態において、胃酸分泌抑制剤と、NSAID及び必要に応じて用いてもよいPXRアゴニストとの併用投与は、関連する有効成分の経口及び非経口投与によって実施されてもよく、有効成分は、必要に応じて、当業者によって理解される適切な処方物に含まれてもよい。
いくつかの実施形態において、PPIによって誘発した腸内毒素症により悪化した様々なNSAIDに起因する腸病変は、NSAID使用に伴う下部胃腸病変を低減及び治癒するためのPXR活性化の有効な標的であってもよい。
いくつかの実施形態において、PXRアゴニストが下部胃腸病変を予防、低減及び治癒できる一方で、胃酸分泌抑制剤の投与により、十分に認知されている、NSAID起因性の損傷から上部胃腸管の粘膜を保護する。
いくつかの実施形態において、少なくとも1つのNSAID、リファキシミン、少なくとも1つのPXRアゴニスト及び少なくとも1つの胃酸分泌抑制剤の併用投与は、NSAIDによる長期療法を必要とするリウマチ性(rheumatological)疾患又は心血管疾患などの疼痛及び/又は炎症を呈する病態を患う被験体に首尾よい治療をもたらすことができる。特に、いくつかの実施形態において、併用投与は、少なくとも10日、特に、少なくとも1か月、1〜6か月、少なくとも1年及び/又は一生の治療までの長期治療のNSAID療法に関連して使用できる。
いくつかの実施形態において、少なくとも1つのNSAID、リファキシミン、少なくとも1つのPXRアゴニスト及び少なくとも1つの胃酸分泌抑制剤の併用投与は、疼痛及び/又は炎症と呈する病態を患う年配の被験体である個体において、特に心血管疾患の治療のために実施できる。
したがって、本明細書に記載のいくつかの実施形態の方法において、NSAID投与を受けている個体においてNSAID腸症を治療及び/又は予防することは、NSAID投与を受けている個体にリファキシミンを投与することを含み、必要に応じて少なくとも1つの胃酸分泌抑制剤及び/又は抗生物質及び/又はPXR剤と併用投与することを含み、ここで、リファキシミンは、投与されたリファキシミンの生体接着性、胃抵抗性及び/又は徐放性の1又は複数を与えるか又は増大させるために、1又は複数のポリマー材料でコーティング(又は被覆)され、好ましくは、多層組成物にアレンジ(調製)される。
いくつかの実施形態において、リファキシミンを生体接着性ポリマー材料によってコーティングして、リファキシミン処方物に生体接着性を与えるか又は生体接着性を増大させることができる。これらの実施形態のいくつかにおいて、生体接着性ポリマー材料は、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(KLUCEL(クルーセル)(登録商標)、Hercules Corp.)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(METHOCEL(メトセル)(登録商標)、Dow Chemical Corp.)、ポリビニルピロリドン(AVICEL(アビセル)(登録商標))、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及び当業者によって特定可能なさらなるポリマーであってもよい。
特に、いくつかの実施形態において、医薬組成物は、腸の粘膜に接着させるために生体接着性又は粘膜接着性を有していてもよい。
生体接着性を与えることができるポリマー、オリゴマー又はそれらの混合物の例は、ペクチン、ゼイン、カゼイン、ゼラチン、アルブミン、コラーゲン、キトサン、オリゴ糖及び多糖(例えば、セルロース、デキストラン、タマリンド種子由来の多糖、キサンタンガム、アラビアガム、ヒアルロン酸、アルギン酸、アルギン酸ナトリウムなど)を含む群において選択される。
いくつかの実施形態において、生体接着性ポリマーは合成ポリマーであり、このポリマーは、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアルキレン、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンオキシド、ポリアルキレンテレフタレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルエステル、ポリビニルピロリドン、ポリシロキサン、ポリウレタン、ポリスチレン、アクリル酸及びメタクリル酸エステルのポリマー、メタクリル酸−アクリル酸エチルコポリマー、ポリラクチド、ポリバルビツール酸、ポリ無水物、ポリオルトエステル及びそれらの混合物から選択される。
本発明における使用に適した他のポリマーとしては、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、カルボキシメチルセルロース、セルローストリアセテート、セルロース硫酸ナトリウム塩、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸イソブチル、ポリアクリル酸オクタデシル、ポリプロピレン、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリエチレンテレフタレート、ポリビニルアセテート、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルフェノール及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
生体接着性を得るのに有用なポリマーの別の群は、少なくとも1つの結合した疎水性基を持つ分枝を有するポリマーであり、ここで、疎水性基は一般に非極性基である。前記疎水性基の例は、アルキル、アルケニル及びアルキル基を含む。好ましくは、疎水性基は、ポリマーの生体接着性を増大させるように選択される。他のポリマーは、カルボン酸、スルホン酸及びホスホン酸、中性及び正電荷を有するアミン、アミド及びイミンなどの少なくとも1つの親水性基を有する疎水性分枝によって特徴付けられ、このポリマーにおいて、親水性基はポリマーの生体接着性を増大させるものである。
いくつかの実施形態において、リファキシミンを、pH値1.5〜4.0において不溶でありかつpH値5.0〜7.5において可溶である腸溶性ポリマー材料でコーティングして、リファキシミン処方物に胃抵抗性を与えることができる。特に、いくつかの実施形態において、腸溶性ポリマー材料は、アクリルポリマー、メタクリル酸コポリマー、アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルを有するメタクリル酸コポリマー、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルセルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、メタクリル酸−アクリル酸エチルコポリマー、及びメタクリル酸−メタクリル酸メチルコポリマー、ポリビニルアセテートフタレート、メタクリル酸−アクリル酸エチルコポリマー、アクリル酸のコポリマー[メタクリル酸−アクリル酸エチル(1:1)コポリマーなど]、メタクリル酸とアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルとのコポリマー[メタクリル酸−アクリル酸エチル(1:1)コポリマー及びメタクリル酸−メタクリル酸メチル(1:2)コポリマーなど]、ポリビニルアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート及びセルロースアセテートフタレート、市販品[例えば、商標KOLLICOAT(コリコート)(登録商標)、商標EUDRAGIT(オイドラギット)(登録商標)、商標AQUATERIC(アクアテリック)(登録商標)、商標AQOAT(アコート)(登録商標);商標AQUAGOLD(アクアゴールド)(登録商標)(シュラック25%)で市販されている天然ポリマー様シュラック及びエチルセルロース]から選択される。
いくつかの実施形態において、リファキシミンを、例えば腸溶性ポリマー材料の上から水半透過性(water semipermeable)ポリマーでコーティングして、リファキシミン処方物においてリファキシミンを徐放(又は放出制御)できる。この実施形態のいくつかにおいて、水半透過性ポリマーは、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、エチルセルロース、脂肪酸及びそれらのエステル、蝋、ゼイン、EUDRAGIT RS及びRL 30D、EUDRAGIT(登録商標)NE 30D、EUDRAGIT(登録商標)40、AQUACOAT(登録商標)、SURELEASE(シュアリース)(登録商標)、並びにセルロースアセテートラテックスの1又は複数から選択される。
いくつかの実施形態において、水半透過性ポリマーは、1又は複数の親水性ポリマーと組み合わせることができる。これらの実施形態のいくつかにおいて、1又は複数の親水性ポリマーは、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドンを含む。これらの実施形態のいくつかにおいて、1又は複数の親水性ポリマーは、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドンを含む。
いくつかの実施形態において、生体接着性ポリマー材料、腸溶性ポリマー材料及び水半透過性材料は多層組成物にアレンジ(調製)でき、ここで、コーティングされたリファキシミンは腸溶性ポリマー材料によってコーティングされ、腸溶性ポリマー材料は水半透過性ポリマーによってコーティングされ、そして水半透過性材料は生体接着性ポリマー材料によってコーティングされる。
いくつかの実施形態において、コーティングされたリファキシミンは、希釈剤、可塑剤、凝集防止剤、付着防止剤、流動促進剤(glidant)、消泡剤及び着色物質の1又は複数を含むリファキシミン系混合物である。いくつかの実施形態において、可塑剤は、アセチル化モノグリセリド、グリコール酸ブチルフタリルブチル、酒石酸ジブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、グリコール酸エチルフタリルエチル、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、クエン酸トリアセチン、トリアセチン、トリプロピオニン(tripropinoin)、ジアセチン、フタル酸ジブチル、アセチルモノグリセリド、ポリエチレングリコール、ヒマシ油、クエン酸トリエチル、多価アルコール、酢酸エステル、三酢酸グリセロール、クエン酸アセチルトリエチル、フタル酸ジベンジル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ブチルオクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ブチルオクチル、アゼライン酸ジオクチル、エポキシ化タレート(epoxydised tallate)、トリメリット酸トリイソオクチル、フタル酸ジエチルヘキシル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジ−1−オクチル、フタル酸ジ−1−デシル、フタル酸ジ−n−ウンデシル、フタル酸ジ−n−トリデシル、トリメリット酸トリ−2−エチルヘキシル、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジブチル、モノカプリル酸グリセリル、モノカプリン酸グリセリル及びそれらの混合物からなる群より選択できる。
いくつかの実施形態において、コーティングされたリファキシミンは、リファキシミンの1又は複数の多形形態、リファキシミンの未精製形態又はそれらの組み合わせを、少なくとも1つの賦形剤とともに含む。
コーティングされたリファキシミンが多層組成物である実施形態のいくつかにおいて、複数の層は、さらに、バリアコーティング層の上にフィルムコーティング層を含み、このフィルムコーティング層は、セルロース及びその置換体(ヒドロプロピルセルロース、ヒドロメチルセルロース、ヒドロプロピル−エチルセルロースなど)の1又は複数を含む。
いくつかの実施形態において、NSAID投与を受けている個体においてNSAID腸症を治療及び/又は予防するために本明細書において記載されるシステムは、本明細書に記載の方法及びシステムにおける同時使用、併用又は逐次使用のために、リファキシミン、特に、コーティングされたリファキシミンと、下記(i)及び(ii)の少なくとも1つとを含む:(i)少なくとも1つのNSAID、(ii)少なくとも1つの胃酸分泌抑制剤及び/又は少なくとも1つの抗生物質。いくつかの実施形態において、腸症は腸管の病態である。いくつかの実施形態において、NSAID治療は、少なくとも1週間、少なくとも10日又は少なくとも2週間の期間を有する。いくつかの実施形態において、リファキシミンは胃抵抗性型である。
いくつかの実施形態において、リファキシミン、特に、コーティングされたリファキシミンは、顆粒、特にコーティングされた顆粒、より詳細にはコーティングされた胃抵抗性細粒、又は胃抵抗性細粒[例えば、米国特許第8,568,782号(この文献は、参照することによりその全体が本明細書に組み入れられる)に記載の腸徐放性(EIR)リファキシミン(実施例2及び12も参照のこと)]を含む固体組成物に処方できる。
いくつかの実施形態において、顆粒剤、細粒剤(microgranules)、錠剤又は多層錠は、コーティング剤、乳白剤(opacifer)、安定剤、可塑剤、染料、甘味料、疎水化剤及び風味遮蔽剤を含んでもよいフィルムコーティングでコーティングできる。いくつかの実施形態において、リファキシミンは、商品名NORMIX(ノルミックス)(登録商標)、FLONORM(フロノルム)(登録商標)、XIFAXAN(キシファクサン)(登録商標)及びRIFACOL(リファコール)(登録商標)の名前で販売されている市販品であってもよい。
一実施形態において、コーティングされたリファキシミンは、1日投薬量20〜3300mgで投与される。一実施形態において、コーティングされたリファキシミンは、胃抵抗性リファキシミンである。一実施形態において、コーティングされたリファキシミンは、1日投薬量20〜2400mgで投与される。
より詳細には、いくつかの実施形態において、コーティングされたリファキシミン、特に、胃抵抗性リファキシミンは、1日1回、1日2回、1日3回、1日4回又はそれより多い頻度で、1日あたり20mg、40mg、60mg、80mg、100mg、200mg、400mg、550mg、600mg、800mg、1100mg、1200mg、1600mg、2400mg、3300mg又はそれ以上を含む範囲の1日投薬量で投与されてもよい。
いくつかの実施形態において、コーティングされたリファキシミン、特に、胃抵抗性リファキシミンは、1日1回、1日2回、1日3回、1日4回又はそれより多い頻度で、20mg、40mg、60mg、80mg、100mg、200mg、400mg、550mg、600mg、800mgの剤形で投与されてもよい。いくつかの胃抵抗性リファキシミンの実施形態において、リファキシミンは、1日1回、1日2回、1日3回、1日4回又はそれより多い頻度で、1日あたり20mg〜3300mg又はそれ以上の1日投薬量で投与されてもよい。
いくつかの実施形態において、コーティングされたリファキシミン、特に、胃抵抗性リファキシミンは、1日1回、1日2回、1日3回、1日4回又はそれより多い頻度で、1日あたり400mg以上(800mg以上、1200mg以上)1600mg以下又はそれ以上の1日投薬量で投与されてもよい。
いくつかの実施形態において、コーティングされたリファキシミン、特に、胃抵抗性リファキシミンは、1日1回、1日2回、1日3回、1日4回又はそれより多い頻度で、1日あたり550mg以上(1100mg以上、1650mg以上)2200mg以下又はそれ以上の1日投薬量で投与されてもよい。
いくつかの実施形態において、コーティングされたリファキシミン、特に、胃抵抗性リファキシミンは、1日1回、1日2回、1日3回、1日4回又はそれより多い頻度で、1日あたり600mg以上(1200mg以上、1800mg以上、2400mg以上)3300mg以下又はそれ以上の1日投薬量で投与されてもよい。
いくつかの実施形態において、コーティングされたリファキシミン、特に、胃抵抗性リファキシミンは、1日1回、1日2回、1日3回、1日4回又はそれより多い頻度で、1日あたり800mg以上(1600mg以上、2400mg以上)3300mg以下又はそれ以上の1日投薬量で投与されてもよい。
いくつかの実施形態において、コーティングされたリファキシミン、特に、胃抵抗性リファキシミンは、1日1回、1日2回、1日3回又はそれより多い頻度で、1日あたり1100mg、2200mg、3300mg又はそれ以上の1日投薬量で投与されてもよい。
いくつかの実施形態において、コーティングされたリファキシミンは、他の抗生物質とともに投与できる。
いくつかの実施形態において、胃酸分泌抑制剤は、1又は複数の「プロトンポンプ阻害薬」及び/又はミソプロストールであってもよい。本明細書において用いられる用語「プロトンポンプ阻害薬」又はPPIは、本明細書において交換可能であり、H/K−ATPアーゼの阻害薬として薬理活性を有する任意の酸性の不安定な活性剤をいう。
PPIは、必要であれば、遊離塩基、遊離酸、塩、エステル、水和物、無水物、アミド、鏡像異性体、異性体、互変体、プロドラッグ、多形、誘導体などの形態であってもよいが、ただし、遊離塩基、塩、エステル、水和物、アミド、鏡像異性体、異性体、互変体、プロドラッグ又は任意の他の薬理学的に適切な誘導体は、治療的に活性であるか又は体の内部又は外部で治療的に活性な形態に変換される。
本開示のいくつかの実施形態において、本開示において使用できるPPIは、ランソプラゾール、イラプラゾール、オメプラゾール、テナトプラゾール、ラベプラゾール、エソメプラゾール、パントプラゾール、パリプラゾール、レミノプラゾールもしくはネパプラゾール又はそれらの遊離塩基、遊離酸、塩、水和物、エステル、アミド、鏡像異性体、異性体、互変体、多形、プロドラッグもしくは任意の誘導体からなる群より選択される1又は複数である。
プロトンポンプ阻害薬の「薬学的に許容可能な塩」又は「塩」としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、グルクロン酸、マレイン酸、フマル酸、ピルビン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、安息香酸、アントラニル酸、メシル酸、ステアリン酸、サリチル酸、p−ヒドロキシ安息香酸、フェニル酢酸、マンデル酸、エンボン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パントテン酸、トルエンスルホン酸、トルエンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、スルファニル酸、シクロヘキシル−アミノスルホン酸、アルギン酸、B−ヒドロキシ酪酸、ガラクタル酸及びガラクツロン酸から調製されたプロトンポンプ阻害薬の塩が挙げられるが、これらに限定されない。
プロトンポンプ阻害薬の酸添加塩(acid addition salts)は、例えば、遊離塩基と適切な酸との反応を含む慣用の方法を用いて遊離塩基形態から調製できる。酸添加塩を調製するために適切な酸としては、有機酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸など)のみならず無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸など)が挙げられる。酸添加塩は、適切な塩基による処理によって遊離塩基に再変換できる。それに関して、ハロゲン化物でありかつ塩酸又は臭化水素酸を用いて調製できるプロトンポンプ阻害薬の酸添加塩もまた、本明細書において考慮される。さらに、塩基性塩は、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩)であってもよい。
プロトンポンプ阻害薬の塩形態としては、エソメプラゾールナトリウム、オメプラゾールナトリウム、ラベプラゾールナトリウム、パントプラゾールナトリウムなどのナトリウム塩形態;又はエソメプラゾールマグネシウム又はオメプラゾールマグネシウムなどのマグネシウム塩形態;カルシウム塩形態;又はエソメプラゾールのカリウム塩などのカリウム塩形態が挙げられるが、これらに限定されない。
プロトンポンプ阻害薬のエステルの調製は、薬物の分子構造内に存在し得るヒドロキシル及び/又はカルボキシル基を官能基化することを含む。あるいは、エステルは、遊離のアルコール基のアシル置換誘導体、例えば、式RCOOR1(式中、R1は、低級アルキル基である)で表される、カルボン酸に由来する基である。低級アルキル基は、炭素数が20個未満、好ましくは10個又は5個未満であってもよい。エステルは、必要であれば、水素化分解又は加水分解などの慣用の手順を用いて遊離酸に再変換できる。
「アミド」又はプロトンポンプ阻害薬は、当業者に公知の技術又は適切な文献に記載の技術を用いて調製できる。例えば、アミドは、適切なアミン反応体を用いてエステルから調製してもよく、アンモニアもしくは低級アルキルアミンなどのアミン基との反応によって無水物又は酸塩化物から調製してもよい。
置換された二環式アリール−イミダゾールの「互変体」としては、例えば、オメプラゾールの互変体などが挙げられる。置換された二環式アリール−イミダゾールの「異性体」の例は、オメプラゾールの異性体である。
本明細書において用いられるように、「ミソプロストール」は、NSAID起因性胃潰瘍の予防のために用いられる合成プロスタグランジンE1(PGE1)アナログである。ミソプロストールは胃壁細胞に作用して、アデニル酸シクラーゼのG−タンパク質結合受容体性阻害を介して胃酸の分泌を阻害し、それにより、細胞内環状AMPレベルを減少させて、胃壁細胞の先端表面でプロトンポンプ活性を減少させる。
いくつかの実施形態において、NSAID、抗生物質及び/又は胃酸分泌抑制剤の投与は、ヒト及び非ヒト動物などの、リファマイシン系抗生物質(例えば、リファキシミン)によって治療可能な腸疾患もしくは他の障害を患うか、そのおそれがあるか、又はそのリスクのある個体に対して、あるいは本明細書に記載のリファマイシン系抗生物質(例えば、リファキシミン)の投与から別の恩恵(ベネフィット)を得ることができる個体に対して実施できる。特に、ヒト動物としては、「個体」、「人間」又は「患者」などのヒト被験体が挙げられる。本開示の用語「非ヒト動物」としては、例えば、齧歯動物(例えば、マウス)、霊長目の非ヒト動物、ヒツジ、イヌ、ウシなどの哺乳類、及び鳥類(例えば、ニワトリ)、両生類、爬虫類などの非哺乳類などの脊椎動物を含むすべての他の動物が挙げられる。
文言「細菌感染のリスクがある」は、感染を発症するリスクのある被験体、又は感染が軽減している人間もしくは再発のおそれのある人間(例えば、免疫抑制を患う被験体、細菌感染に曝されている被験体、医師、看護師、旅行者下痢症を引き起こす細菌の存在が知られている遠隔地へ旅行する被験体、高齢者、肝臓が損傷している個体、及び当業者によって特定可能なさらなる個体など)を含むように意図される。
いくつかの実施形態において、NSAIDと、リファキシミンと、必要に応じて用いてもよい抗生物質及び/又はPXR阻害剤とは、非経口的に、経腸的に、好ましくは経口的に投与できる。胃酸分泌抑制剤、特に、PPIは、経口的に又は非経口的に、例えば、経口的に1日3回、又は経口的に1日1回及び非経口的に1日2回投与できる。リファキシミンが経口的に又は直腸的に(rectally)投与できる実施形態において、PPIは経口的に投与でき、及びNSAIDは非経口的に投与できる。
リファキシミンが経口的に又は直腸的に投与できる実施形態において、PPIは経口的に又は非経口的に投与でき、及びNSAIDは経口的に又は非経口的に又は直腸的に投与できる。
いくつかの実施形態において、投与されたNSAIDは、ジクロフェナク、ケトプロフェン、ナプロキセン及びイブプロフェンの1又は複数である。いくつかの実施形態において、NSAIDは、顆粒(実施例7)に処方でき、及び速放性顆粒(実施例5〜6)にも処方できる。
いくつかの実施形態において、胃酸分泌抑制剤は、オメプラゾール及び/又はミソプロストールである。いくつかの実施形態において、胃酸分泌抑制剤、特に、オメプラゾールは、胃抵抗性顆粒(実施例3及び4)に処方できる。
いくつかの実施形態において、リファキシミンは、本明細書においてEIRとも表される腸徐放性リファキシミンであり、例えば、米国特許出願公開第2009/011020号の開示に基づき記載される任意の組成物であってもよい。本明細書に記載の方法及びシステムのいくつかの実施形態において、EIRリファキシミンは、1日1回(OD)、1日2回(BID)、1日3回(TID)、1日4回(QDS)又は必要に応じてそれより多い頻度で、1日あたり20〜3300mg、特に、1日あたり20〜1200mg及び1日あたり20〜2400mgの投薬量で投与される。より好ましくは、いくつかの実施形態において、投薬量100以上(200以上、400以上、550以上、600以上、800以上)1100mgまで、特に、100、200、400、550、600、800mg又はそれ以上のEIRリファキシミンが、1日1回、1日2回、1日3回、1日4回投与でき、又は1100mgのEIRリファキシミンが、1日1回、1日2回、1日3回又は必要に応じてそれより多い頻度で投与されてもよい。
これらの実施形態のいくつかにおいて、NSAIDは、選択されたNSAIDに応じて、1日1回(OD)、1日2回(BID)、1日3回(TID)、1日4回(QDS)又は必要に応じてそれより多い頻度で、1日あたり5〜1500mgを含む投薬量で投与されてもよい。
いくつかのこれらの実施形態において、胃酸分泌抑制剤は、選択された胃酸分泌抑制剤に応じて、1日1回(OD)、1日2回(BID)、1日3回(TID)、1日4回(QDS)又は必要に応じてそれより多い頻度で、1日あたり5〜2000mgを含む投薬量で投与されてもよい。
これらの実施形態のいくつかにおいて、疼痛又は炎症を呈する病態を治療する方法は、胃抵抗性リファキシミン(EIRリファキシミン)及び少なくとも1つのNSAIDの第1の投与を実施すること;並びにリファキシミン、少なくとも1つのNSAID及び少なくとも1つのPPI又はミソプロストールの第2の投与を実施することを含む。
リファキシミンが投与される本明細書に記載の実施形態において、胃抵抗性リファキシミンは、20〜1200mg/日の量で投与されてもよく、NSAIDは、選択されたNSAIDに応じた量で投与される。実施形態において、EIRリファキシミン及びNSAIDが1日1回投与される場合、EIRリファキシミン及びNSAIDは、任意の時間に投与でき、投与が1日2回である場合、午前中及び夕方の投与が選択できる。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法は、少なくとも1週間から2か月までの期間、少なくとも1つのNSAID、少なくとも1つのPPIとともに胃抵抗性リファキシミンの有効量を投与することを含み、この投与は、別々の剤形、又はNSAID及び胃抵抗性リファキシミンを含む単一統合剤形、又はNSAID、胃抵抗性リファキシミン及びPPIを含む統合剤形において実施できる。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法は、リファキシミン及びNSAIDの投与を少なくとも1日1回実施して、炎症及び/又は疼痛が存在している病態(例えば、関節炎又は心血管疾患)を患う被験体を治療することを含む。
いくつかの実施形態において、1又は複数の胃酸分泌抑制剤はリファキシミン及びNSAIDの投与と一緒に行われ、これらの薬剤は1日1回投与される。一実施形態において、リファキシミン、NSAID及びPPIは夕方に投与される。
いくつかの実施形態において、有効成分、リファキシミン、NSAID及び胃酸分泌抑制剤は、別々の剤形(dose)、例えば、3つの別々の錠剤もしくはカプセル剤もしくはサシェ(sachets)で、又はNSAID、リファキシミン及びPPIを含む1つの統合剤形で投与できる。さらなる実施形態において、少なくとも2つの有効成分が統合剤形で投与され、残りの成分が別の剤形(dose)で投与される。
リファキシミンは、錠剤又は懸濁液用の顆粒剤の形態でも投与できる。胃抵抗性リファキシミンは、腸におけるリファキシミンの定量的な放出が望まれる実施形態において使用できる。
一実施形態において、本開示は、リファキシミンと少なくとも1つのNSAIDとを投与することによって、被験体におけるリウマチ性疾患を治療する方法を提供する。
一実施形態において、NSAIDは、ジクロフェナク、ナプロキセン、アスピリン及びイブプロフェンを含む群より選択される。
一実施形態において、本開示は、リファキシミンと、少なくとも1つのNSAIDと、少なくとも1つのPPIとを投与することによって、被験体におけるリウマチ性疾患を治療する方法を提供する。
一実施形態において、PPIは、オメプラゾール、ランソプラゾール、エソメプラゾール及びパントプラゾールを含む群より選択される。
一実施形態は、ジクロフェナク、ナプロキセン、アスピリン及びイブプロフェンの群より選択されるNSAIDの有効量とリファキシミンの有効量とを投与することを含む方法である。
一実施形態は、ジクロフェナク、ナプロキセン、アスピリン及びイブプロフェンの群より選択されるNSAIDの有効量と、リファキシミンの有効量及びPPIの有効量とを投与することを含む方法である。
PPIは、好ましくは、オメプラゾール、ランソプラゾール、エソメプラゾール及びパントプラゾールからなる群より選択され、ジクロフェナク、ナプロキセン、アスピリン及びイブプロフェンのうちの1つ並びにリファキシミン又はオメプラゾール、ランソプラゾール、エソメプラゾール及びパントプラゾールのうちの少なくとも1つを投与する。
いくつかの実施形態において、リファキシミンは、粗リファキシミンもしくは多形リファキシミンもしくは無定形リファキシミン又はそれらの混合物であってもよい。いくつかの実施形態において、リファキシミンは、胃抵抗性リファキシミン、特に、前記胃抵抗性リファキシミン(EIRリファキシミン)である。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法は、ジクロフェナクと、リファキシミンと、オメプラゾールとを投与すること;及びジクロフェナクと、リファキシミン又はオメプラゾールのうちの少なくとも1つとを投与することを含む。
本開示のさらなる実施形態は、ジクロフェナクと、リファキシミンと、オメプラゾールとを投与すること;及びジクロフェナクと少なくともリファキシミンとを投与することを含む方法であり、この方法において、リファキシミンは、胃抵抗性リファキシミン、特に、米国特許第8,568,782号(この文献は、参照することによりその全体が本明細書に組み入れられる)に記載の胃抵抗性顆粒のリファキシミン(実施例2も参照のこと)及び任意のさらなる形態の胃抵抗性リファキシミン(例えば、EIRリファキシミン)である。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法及びシステムは、(i)関節炎病態:慢性関節リウマチ、変形性関節症、強直性脊椎炎、急性痛風、(ii)急性筋骨格障害[関節周囲炎(例えば、有痛性肩拘縮症)、腱炎、腱滑膜炎、滑液包炎など]、(iii)外傷に起因する他の疼痛病態[骨折、腰痛、捻挫、挫傷、脱臼、整形外科、歯科及び他の小手術、心血管疾患、神経障害性疼痛(糖尿病性神経障害性疼痛、三叉神経痛、横断性脊髄炎、坐骨神経痛)、慢性筋膜痛、筋肉痛を含む]を含む広範囲の病態においてすべてのグレードの疼痛及び炎症を患う被験体であって、長期療法、例えば、少なくとも1週間の長期療法を必要とする被験体に、NSAIDと、少なくとも1つの抗生物質と、少なくとも1つの胃酸分泌抑制剤とを投与することを含み、また、NSAIDと抗生物質及びPPIのうちの少なくとも1つとを投与することを含む。さらなる病態は、種々の心血管疾患を含み、アセチルサリチル酸などのNSAIDが、長期療法の間、特に、少なくとも2週間の治療期間、疾患の治療又は予防[例えば、複数の危険因子を有する患者において、血小板凝集、不安定狭心症、疑わしい又は診断された急性心筋梗塞、繰り返される心筋梗塞の予防、血管手術(例えば、PTCA、CABG)後の病態、初期症状期間における一過性脳虚血発作及び発作の予防、冠動脈血栓症の予防]のために投与される。本明細書に記載の方法及びシステムは、特に、特定の腸症を引き起こす疾患を治療するためにNSAIDが長期間投与されるNSAID投与に伴う腸症を予防又は治療するために有用である。特に、本明細書に記載の方法及びシステムは、典型的に長期NSAID投与に伴う腸症の治療又は予防に有用であり得る。
腸損傷の治療又は予防が望まれる特定の実施形態において、本明細書に記載の方法及びシステムは、EIRリファキシミンと、NSAID及び適宜用いてもよい胃酸分泌抑制剤との併用投与を含んでもよい。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法及びシステムは、(i)関節炎病態:慢性関節リウマチ、変形性関節症、強直性脊椎炎、急性痛風、(ii)急性筋骨格障害[関節周囲炎(例えば、有痛性肩拘縮症)、腱炎、腱滑膜炎、滑液包炎など]、(iii)外傷に起因する他の疼痛病態[骨折、腰痛、捻挫、挫傷、脱臼、整形外科、歯科及び他の小手術、神経障害性疼痛(糖尿病性神経障害性疼痛、三叉神経痛、横断性脊髄炎、坐骨神経痛)、慢性筋膜痛、筋肉痛を含む]を含む広範囲の病態においてすべてのグレードの疼痛及び炎症を患う被験体であって、長期療法、例えば、少なくとも1週間の長期療法を必要とする被験体に、NSAIDと、リファキシミンと、少なくとも1つのPXRアゴニストと、少なくとも1つの胃酸分泌抑制剤とを投与することを含み、またNSAIDと、リファキシミンと、PXRアゴニスト及びPPIのうちの少なくとも1つを投与することを含む。さらなる病態は、種々の心血管疾患を含み、アセチルサリチル酸などのNSAIDが、長期療法の間、特に、少なくとも2週間の治療期間、疾患の治療又は予防[例えば、複数の危険因子を有する患者において、血小板凝集、不安定狭心症、疑わしい又は診断された急性心筋梗塞、繰り返される心筋梗塞の予防、血管手術(例えば、PTCA、CABG)後の病態、初期症状期間における一過性脳虚血発作及び発作の予防、冠動脈血栓症の予防]のために投与される。
特に、いくつかの実施形態において、関節炎又は疼痛及び/もしくは炎症を呈する別の病態を治療する方法は、1日投薬量20〜3300mg又は20〜2400mgのリファキシミンとともに、ジクロフェナク1日投薬量5〜300mg又はナプロキセン1日投薬量100mg〜1000mg又はイブプロフェン1日投薬量200〜2400mg又はアスピリン1日投薬量25〜3000mgと、オメプラゾール1日投薬量5〜100mg又はランソプラゾール1日投薬量5〜100mg又はエソメプラゾール1日投薬量5〜100mg又はパントプラゾール1日投薬量5〜100mgとを、少なくとも1週間〜1か月、2か月又はNSAIDによる治療が必要とされるすべての期間、投与することを含む。1日あたりの投薬量は、治療が行われる任意の2日間で同じであってもよいし、異なっていてもよい。
特に、これらの実施形態のいくつかにおいて、リウマチ性疾患又は疼痛及び/もしくは炎症を呈する別の病態を治療する方法は、ジクロフェナク1日投薬量5〜200mg;リファキシミン1日投薬量20〜3300mg、必要に応じて20〜2000mgであってもよく;及びオメプラゾール1日投薬量5〜100mgを、少なくとも1週間〜1か月、2か月又はNSAIDによる治療が必要とされるすべての期間、投与することを含む。特に、これらの実施形態のいくつかにおいて、リウマチ性疾患又は疼痛及び/もしくは炎症を呈する別の病態を治療する方法は、100、200、400、550、600、800及び1100mgのリファキシミン、より詳細には、200、400、550、600、800mgから選択される量を1日1回、1日2回、1日3回又は1日4回及び1100mgのリファキシミンを1日1回、1日2回、1日3回又は必要に応じてそれより多い頻度で投与することを含んでもよい。これらの実施形態のいくつかにおいて、リファキシミン及びジクロフェナク又は他のNSAIDは、単一剤形において同時に併用投与されてもよく、あるいは別々の剤形において同時に又は異なる時間で投与されてもよい。1日あたりの投薬量は、治療が行われる任意の2日間で同じであってもよいし、異なっていてもよい。
特定の実施形態において、リファキシミン、特に、EIRリファキシミン、ジクロフェナク及びオメプラゾールは、周期的に投与される。サイクリング療法は、ある期間の第1の療法(例えば、第1の予防剤又は治療剤)の投与、続いてある期間の第2の療法(例えば、第2の予防剤又は治療剤)の投与、必要に応じて、続いてある期間の第3の療法(例えば、予防剤又は治療剤)の投与などを含み、これらの療法の一つに対する抵抗性の発生を低減するため、これらの療法の一つの副作用を回避もしくは低減するため、及び/又はこれらの療法の有効性を改善するために、この逐次投与(例えば、サイクル)を繰り返す。
ある実施形態において、同じ化合物の投与が繰り返されてもよく、この投与は、少なくとも約1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、10週間、12週間、14週間、16週間、18週間、20週間、22週間、又は少なくとも24週間離れていてもよい。特に、これらの実施形態のいくつかにおいて、関節炎又は疼痛及び/もしくは炎症を呈する別の病態及び/又は心血管疾患を治療する方法は、ジクロフェナクを1日2回、オメプラゾールを1日1回、及びリファキシミンを1日2回、1週間〜2か月の期間投与することを含む。
特に、これらの実施形態のいくつかにおいて、リウマチ性疾患又は疼痛及び/もしくは炎症を呈する別の病態(特に、心血管疾患)を治療する方法は、リファキシミン1日投薬量20〜3300mgを、NSAID及び胃酸分泌抑制剤の投与と同時に又は投与の前に投与することを含み、この方法において、リファキシミンは、NSAID治療期間に対応する期間、及びNSAID治療の終了の1〜10日後の期間にも投与される。一実施形態において、組成物は胃抵抗性組成物中にリファキシミン(例えば、EIRリファキシミン)を含み、NSAIDはジクロフェナクであり、及び胃酸分泌抑制剤はオメプラゾールである。特定の実施形態において、1週間〜2か月の期間、ジクロフェナクは1日投薬量5〜200mgで投与でき;オメプラゾールは1日投薬量5〜100mgで投与でき;及びリファキシミンは1日投薬量20〜2000mgで投与できる。
一実施形態は、錠剤、カプセル剤、又はサシェ中の細粒剤の形態でリファキシミンを20〜1200mgの量及びジクロフェナクを5〜75mgの量で含む固体組成物における、リファキシミン又は胃抵抗性リファキシミンを含む組成物の使用である。
別の実施形態は、錠剤、カプセル剤、又はサシェ中の細粒剤の形態でリファキシミンを20〜1200mgの量、ジクロフェナクを5〜75mgの量及びオメプラゾールを5〜25mgの量で含む固体組成物における、リファキシミン又は胃抵抗性リファキシミンを含む組成物の使用である。別の実施形態は、慢性関節リウマチ、脊椎関節炎、変形性関節症、痛風又は疼痛及び/もしくは炎症を呈する他の病態(心血管疾患など)を治療する方法であり、いくつかの実施形態において、NSAIDジクロフェナク75mgの1投薬量を1日2回(12時間ごと);オメプラゾール20mgの1投薬量を1日1回(すなわち、24時間);及びリファキシミン400mgの2投薬量を1日2回(12時間ごと)、1週間〜2か月までの期間投与することを含んでもよい。
あるいは、午前中及び夕方に投与されると決められた薬物の組み合わせの投薬量は、1日2回、約12時間離して投与されてもよい。
別の実施形態は、慢性関節リウマチ、脊椎関節炎、変形性関節症、痛風又は疼痛及び/もしくは炎症を呈する他の病態、及び/又は心血管疾患を治療するための独特な組成物における、リファキシミン及びNSAIDを含む組成物の使用である。これらの実施形態のいくつかにおいて、リファキシミンは、EIRリファキシミンとして胃抵抗性組成物中にある。
別の実施形態において、NSAIDジクロフェナク75mgの1投薬量を1日2回(12時間ごと)又は1日3回(8時間ごと)とともに、リファキシミン又は胃抵抗性リファキシミンは、20〜400mgの1投薬量を1日2回(12時間ごと)又は1日3回(8時間ごと)投与され、リファキシミン及びジクロフェナクは、オメプラゾール20mg量1日1回(すなわち、24時間)と一緒に、独特な固体形態又は別々の形態で投与できる。別の実施形態は、アスピリン及び胃酸分泌抑制剤の投薬量とともにリファキシミン又は胃抵抗性リファキシミンを含む組成物の使用であり、ここで、リファキシミンは、アスピリン投与の間中ずっと投与される。
別の実施形態は、1週間〜2か月の期間、
午前中に、ジクロフェナク5〜75mgの1投薬量、オメプラゾール5〜20mgの1投薬量及びリファキシミン、特に、胃抵抗性リファキシミン20〜600mg(例えば、400mg)の2投薬量を投与し(ここで、リファキシミン及びジクロフェナクは単一のサシェ、錠剤もしくはカプセル剤又は別々の剤形で一緒に投与できる);かつ
夕方に、ジクロフェナク5〜75mgの1投薬量及びリファキシミン、特に、胃抵抗性リファキシミン20〜600mg(例えば、400mg)の2投薬量を投与する(ここで、リファキシミン及びジクロフェナクは単一のサシェ、錠剤もしくはカプセル剤又は別々の剤形で一緒に投与できる)
形態を含む方法である。
特定の実施形態は、1週間〜2か月の期間、
午前中に、ジクロフェナク75mgの1投薬量、オメプラゾール20mgの1投薬量及びリファキシミン400mgの2投薬量を投与し(ここで、リファキシミン、オメプラゾール及びジクロフェナクは単一のサシェ、錠剤又はカプセル剤で投与される);かつ
夕方に、ジクロフェナク75mgの1投薬量及びリファキシミン400mgの2投薬量を投与する(ここで、リファキシミン及びジクロフェナクは単一のサシェ、錠剤、カプセル剤又は別々の剤形で一緒に投与できる)
形態を含む。
特定の実施形態において、組成物は、顆粒又は胃抵抗性顆粒のリファキシミン、胃抵抗性顆粒のオメプラゾール及び顆粒のジクロフェナクを含み、ジクロフェナクは、速放性のように放出制御できる。
リファキシミン、NSAID及びPPIの投与は、他の並行療法(concomitant therapies)と一緒に投与できる。
別の実施形態において、リファキシミン又は胃抵抗性リファキシミン投薬量20〜600mg、ジクロフェナク5〜75mg及びオメプラゾールを含む医薬組成物は、NSAIDの長期投与が必要とされる病状の治療に関して使用できる。
一実施形態において、リファキシミン又は胃抵抗性リファキシミンは、NSAID投与によって引き起こされる腸症の治療に有用であり得る。リファキシミン及び胃抵抗性リファキシミンは、ヘモグロビン減少及び貧血を引き起こす病変や潰瘍形成を予防し、ヘモグロビン減少及び貧血を引き起こす出血を低減させる。
NSAID投与(特に、NSAIDによる療法がPPI療法と併用されているNSAID投与)を受けている個体における、リファキシミン又は胃抵抗性リファキシミン投与の有効性は、動物における前臨床試験(実施例16及び17)及びヒトにおける臨床試験(実施例18及び19を参照のこと)において証明されている。
特に、実施例16及び17に示される動物における前臨床試験の結果は、NSAID投与に起因する腸症におけるリファキシミン及び胃抵抗性リファキシミンの有効性を証明する。
腸組織1mgあたりのMPO(ng)として表される結果及びMPOのレベルは、リファキシミン多形αを投与された動物において、リファキシミンを投与されなかった動物に対して約22%低下し、胃抵抗性リファキシミンを投与された動物においては、MPOは約50%低下した。
インドメタシンのみで処置したラットは死亡率40%であったが、リファキシミン又は胃抵抗性リファキシミンを投与したラットは死ななかった。
ヘモグロビン分析は、治療期間(14日)の終了時に採集したラット血液サンプルで実施し、得られたデータから、対照に対して、インドメタシンのみを投与されたラットはヘモグロビン値が約20%減少し、リファキシミンを投与されたラットはヘモグロビンが12%減少した一方、胃抵抗性リファキシミンを投与されたラットはヘモグロビン値が変わらなかったことが明らかとなった。
また、図2及び図3は、リファキシミン及び胃抵抗性リファキシミンをNSAIDとともに投与する場合の、腸損傷の顕微鏡評価に関する報告を説明する。特に、胃抵抗性リファキシミンは、インドメタシン単独と比較して、2型病変を有意に低減した。
本開示は、胃抵抗性リファキシミン25mg/kg、胃抵抗性リファキシミン50mg/kg又はリファキシミン多形α50mg/kgによる1日2回の処置が、回腸及び空腸における病変、特に、1型及び2型の病変を低減するのに効果的であることを証明する。
上記データは、リファキシミンが、NSAID投与によって引き起こされる腸症に、より効果的であること、特に、胃抵抗性リファキシミン(EIRリファキシミン)の実施形態が、NSAID腸損傷の治療又は予防において、胃抵抗性でないリファキシミンよりも有効であることを示す。
動物モデルにおいて使用される有効用量のリファキシミン(16mg/kg)は、ヒト等価用量に換算すると、損傷並びに炎症及び/又は心血管疾患の指標として、回腸及び空腸での組織学的結果及びヘモグロビンレベル及びMPOの結果の点からヒトにおいて類似の結果が得られる実験で、臨床試験において使用される用量(27mg/kg)よりも少ない。
したがって、ラットにおける上記データから、リファキシミンが、特に、実施例16及び17に記載の試験でのラットにおける3型病変の検出、ラットの組織1mgあたり20ng以上の量のMPO検出、及び/又は13.5g/dl以下の量のHBO検出を伴う重篤な腸症に関して有効であることが明らかとなる。
リファキシミン、特に、胃抵抗性リファキシミンの有効性は、実施例19及び20の臨床試験において示されている。そこで報告された手順によると、後期第2相(phase 2b)二重盲検無作為化試験において、健常な志願者に、リファキシミン800mgを1日2回与えるか又は与えないで、ジクロフェナクSR75mgを1日2回+オメプラゾール20mgを1日1回14日間投与して、多施設カプセル内視鏡(VCE)を用いて腸を分析した。
この試験は、およそ5週間の期間で行い、臨床調査及び検査室検査を実施するための被験体候補者のスクリーニング来院、その後の来院2(2回目の来院)でのベースラインVCEを含むスクリーニング期間から構成された。
最終来院は最終薬物投与の36時間後以内に実施され、VCE、臨床評価及び検査室検査を含む。主要有効性評価項目(primary efficacy endpoint)の基準は、最終来院において少なくとも1つの粘膜障害を発症する被験体のパーセンテージであり、VCEによって評価され、かつ0〜4で示される有効スコアリングシステムに従って査定された。
副次的有効性評価項目(secondary efficacy endpoint)は、小腸における粘膜病変の数のベースラインから最終来院までの変化、及び出血(外出血(visible blood))を伴う/伴わない小腸における粘膜病変の数のベースラインから最終来院までの変化であった。
考慮される安全性パラメータは、有害事象(AE)、血液検査、臨床化学検査及び尿検査などの臨床検査パラメータ、並びに生命徴候であった。ジクロフェナク+オメプラゾールによる2週間の治療の終了時、小腸に少なくとも1つの粘膜病変が現れた被験体の割合は、プラシーボ群において2倍であり、リファキシミン群の6名の被験体(20%に相当)に対して13名の被験体(43.3%に相当)であった。特に、[病変が現れた被験体の割合]対[病変が現れなかった被験体の割合]は、プラシーボ群における43.3%対56.7%よりも、リファキシミン群においては20%対80%とはるかに低かった。このことは、14日間の治療の間ジクロフェナクによって引き起こされた粘膜損傷に対するリファキシミンの保護作用を強く示唆するものである。
病変の総数におけるベースラインからの変化は、リファキシミン群よりもプラシーボ群のほうがより高かった。最終評価で認められたすべての粘膜病変は、出血を伴わない病変であった。出血を伴う病変は認められなかった(表30)。負の2項回帰による統計分析の結果により、病変の総数及び出血を伴わない病変におけるベースラインからの平均変化に対するリファキシミンの保護効果がはっきりと示された。この効果は、全病変及び出血を伴わない病変のそれぞれについて統計的に有意であった。
最終来院における2週間の治療の終了時、大きなびらん/潰瘍(カテゴリー4)は、プラシーボ群の20%より高い値に相当する被験体においてのみ認められた。胃抵抗性リファキシミン群において、大きなびらん/病変は認められなかった。
プラシーボ群において、びらんは潰瘍として分類できる。
臨床試験によって、ジクロフェナク起因性粘膜病変に対するリファキシミンの保護効果が明らかに認められる。主要有効性の結果が示すところによると、この試験の間に小腸に少なくとも1つの粘膜病変が現れたのは、プラシーボ群よりもリファキシミン群の被験体のほうが少なかった。一方、ベースラインからの変化に対する副次的分析の結果から、病変の総数及び出血を伴わない病変において統計的に有意差がはっきりと示され、これにより、ジクロフェナク起因性胃腸障害に対するリファキシミンの保護作用が確認された。
特に、いくつかの実施形態において、リファキシミン又は胃抵抗性リファキシミンの使用は、NSAIDを用いるPPI併用療法によって悪化した腸症を治療するのに有用である。
リファキシミン又は胃抵抗性リファキシミンがNSAID及び/又はNSAID+PPIとの併用療法において投与される場合、リファキシミンを用いないプラシーボに対して、出血、貧血などの腸病変は低減した。併用NSAID療法におけるリファキシミンの投与は、炎症病態を軽減させる。炎症は、PPIがNSAIDと併用投与される場合にも軽減される(例えば、実施例16〜19を参照のこと)。
一実施形態において、本開示の組成物は、常習的なNSAID投与を受けている個体において粘膜障害を予防するために有用である。本開示の組成物は、常習的なNSAID投与を受けている被験体において粘膜障害を治療するために有用である。一実施形態において、粘膜障害は点状出血斑(petichiae spot)である。別の実施形態において、びらんは1〜4を含む。別の実施形態において、びらんは4より高い。
さらなる実施形態は、ジクロフェナク75mg1錠、オメプラゾール20mg1カプセル及び胃抵抗性リファキシミン400mg2錠を午前中に、そしてジクロフェナク75mg1錠及び胃抵抗性リファキシミン400mg2錠を夕方に投与することを含む方法である。
別の実施形態は、個体の一生の間、アスピリンの1投薬量、胃酸分泌抑制剤及びリファキシミン(いくつかの実施形態において、EIRリファキシミンを含んでもよい)の1投薬量を投与することを含む心血管疾患の治療方法である。いくつかの実施形態において、アスピリン投薬量は、30〜325mg/日の範囲内であってもよい。
ある実施形態において、リファキシミン(いくつかの実施形態において、EIRリファキシミンであってもよい)、NSAID及びPPIの1又は複数は、周期的に投与される。サイクリング療法は、ある期間の第1の療法の投与、続いてある期間の第2の療法の投与、必要に応じて、ある期間の第3の療法の投与を含み、関節炎を低減するために、この逐次投与(すなわち、サイクル)を繰り返す。
本開示はまた、抗生物質、NSAID及びPPIを、薬学的に許容可能なベヒクルとともに含む医薬組成物に関する。特に、抗生物質、NSAID及びPPIを含む組成物は、熱溶着バッグ(thermo welded bags)(実施例8及び11)、錠剤(実施例9、13及び14)及びカプセル剤(実施例10及び15)に調製できる。
本開示は、抗生物質、NSAIDを、薬学的に許容可能なベヒクルとともに含む医薬組成物にも関する。例えば、胃抵抗性錠剤は、NSAID及び抗生物質を含む組成物から作製できる(リファキシミン及びジクロフェナクナトリウム塩を記載する実施例14を参照のこと)。本開示は、PXRアゴニスト、NSAID及びPPIを、薬学的に許容可能なベヒクルとともに含む医薬組成物にも関する。
いくつかの実施形態において、医薬組成物は、本明細書に記載の方法に従ってNSAID腸症を治療及び/又は予防するために薬学的に有効な量において、少なくとも1つの抗生物質及び/又はPXRアゴニストを含み、並びに必要に応じて少なくとも1つの胃酸分泌抑制剤を含んでもよい。いくつかの実施形態において、腸症は腸管の病態である。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、経口投与用に処方される。
いくつかの実施形態において、医薬組成物は、個体において疼痛及び/又は炎症が存在している病態を治療及び/又は予防しながら個体の腸症を治療及び/又は予防するために、(i)少なくとも1つのNSAIDの薬学的に有効な量及び(ii)少なくとも1つの抗生物質及び/又はPXRアゴニストの薬学的に有効な量を含んでもよい。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、経口投与用に処方される。
いくつかの実施形態において、医薬組成物は、疼痛及び/又は炎症である病態を治療及び/又は予防しながら、個体の腸症(特に、重篤な腸症)を治療及び/又は予防するために有効な量において、少なくとも1つのNSAIDの薬学的に有効な量、少なくとも1つの抗生物質及び/又はPXRアゴニストを含み、並びに必要に応じて少なくとも1つの胃酸分泌抑制剤を含んでもよい。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、経口投与用に処方される。
いくつかの実施形態において、医薬組成物は、疼痛及び/又は炎症が存在している病態を治療及び/又は予防しながら、個体の腸症(特に、重篤な腸症)を治療及び/又は予防するために有効な量において、下記(i)及び(ii)の少なくとも1つの薬学的に有効な量を含んでもよい:(i)少なくとも1つのNSAID及び(ii)必要に応じて用いてもよい少なくとも1つの胃酸分泌抑制剤。いくつかの実施形態において、リファキシミンは胃抵抗性型である。
いくつかの実施形態において、医薬組成物は、疼痛及び/又は炎症である病態を治療及び/又は予防するために有効な量において、水性懸濁液のための顆粒もしくは細粒又は多層固体組成物の形態で、EIRリファキシミンの薬学的に有効な量と、下記(i)及び(ii)の少なくとも1つの薬学的に有効な量とを含んでもよい:(i)少なくとも1つのNSAID及び(ii)必要に応じて用いてもよい少なくとも1つの胃酸分泌抑制剤。本明細書において用いられるように、用語「薬学的に許容可能な」は、正しい医学判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などを起こすことなく、ヒト及び低級動物の組織と接触する使用に適しており、かつ合理的なベネフィット・リスク比に見合う部位又は化合物を含む。
医薬品は、各投与経路に適した形態によって与えることができる。例えば、これらの医薬品は、錠剤又はカプセル剤の形態で;注射剤、吸入剤、洗眼剤、点眼剤、軟膏剤、坐剤及び当業者によって特定可能なさらなる剤形によって;注射、注入(点滴)又は吸入による投与;ローション剤又は軟膏剤により局所的に;並びに坐剤により直腸に投与される。注射は、ボーラス注入であってもよく、連続注入であってもよい。投与の経路に依存して、GI特異的抗生物質は、その目的の機能を果たす能力に有害な影響を及ぼすおそれのある自然状態から保護するために、選択された材料でコーティング又は処理してもよい。GI特異的抗生物質は、単独で、あるいは上記の別の薬剤(単数又は複数)もしくは薬学的に許容可能な担体のいずれか又はその両方とともに投与できる。GI特異的抗生物質は、他の薬剤の投与の前に、他の薬剤と同時に、又は他の薬剤の投与の後に投与できる。さらに、GI特異的抗生物質は、その活性な代謝物質に変換されるプロドラッグ、又はin vivoでより活性な代謝物質で投与することもできる。
いくつかの実施形態において、1又は複数の抗生物質及び1又は複数のNSAIDを含む医薬組成物が記載されている。組成物は、1又は複数の胃酸分泌抑制剤をさらに含んでもよい。
いくつかの実施形態において、1又は複数のPXRアゴニスト及び1又は複数のNSAIDを含む医薬組成物が記載されている。組成物は、さらに、1又は複数の胃酸分泌抑制剤を含んでもよい。
組成物は、単一の医薬処方物又は剤形(本明細書において、マルチ投与用組成物(multi dosage compositions)とも称される)のようであってもよい。これらの組成物は、有効成分が互いに相互作用する状況を回避し、それにより分解を回避できるように調製される。
本開示による組成物は経口組成物であってもよく、特に、腸で有効成分を放出する経口組成物も本開示の範囲内に包含される。一実施形態において、本開示の有効成分は、多層錠、発泡錠、粉剤、ペレット剤、顆粒剤、複数のビーズを含む硬及び軟ゼラチンカプセル剤、カプセル内カプセル剤(capsules within a capsule)(カプセル中でリファキシミン、NSAID及びPPIが物理的に離れている)として処方される。液剤、乳剤、泡剤及び懸濁剤などの液体剤形もまた、本開示の組成物、方法及びシステムを用いる使用に適している。
本開示の一実施形態によると、固体剤形は、20〜1200mgの投薬量のリファキシミンと、1又は複数のNSAIDとを含む。
本開示の一実施形態において、固体剤形は、20〜1200mgの投薬量のリファキシミンと、1又は複数のNSAIDと、PPIとを含む。一実施形態において、リファキシミンは、胃抵抗性リファキシミンである。本開示の一実施形態において、固体剤形は、20〜1200mgの投薬量のリファキシミンと、1又は複数のNSAIDとを含み、NSAIDは、ジクロフェナク、ナプロキセン、イブプロフェン及びアスピリンからなる群より選択される。いくつかの実施形態において、NSAIDは、ジクロフェナクである。
いくつかの実施形態において、固体剤形は、20〜1200mgに投薬量のリファキシミンと、NSAIDと、オメプラゾール、パントプラゾール、ランソプラゾール及びエソメプラゾールからなる群より選択されるPPIとを含む。いくつかの実施形態において、PPIは、オメプラゾールである。
いくつかの実施形態において、固体組成物は、400mgのリファキシミン及び75mgのジクロフェナクを含む。いくつかの実施形態において、固体組成物は、400mgのリファキシミン、75mgのジクロフェナク及び20mgのオメプラゾールを含む。
いくつかの実施形態において、固体組成物は、熱溶着バッグ中にある。
いくつかの実施形態において、固体組成物は、薬学的に許容可能な賦形剤を、崩壊剤[例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム(カルメロースナトリウム)、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム(クロスカルメロースナトリウム)、ポリビニルピロリドン(ポビドン)、架橋ポリビニルポリピロリドン、(クロスポビドン)、デンプン、アルファー化デンプン、及びシリカなど];滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム又はカルシウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、硬化植物油、鉱物油、ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、グリセリド、安息香酸ナトリウム、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム及びそれらの混合物など);希釈剤(例えば、セルロース、微結晶セルロース、リン酸カルシウム、デンプン、カオリン、硫酸カルシウム二水和物、炭酸カルシウム、ラクトース、サッカロース、グルコース、ソルビトール及びマンニトールなど);結合剤(セルロース、セルロース誘導体、デンプン、ジャガイモデンプン、トウモロコシデンプン、ガム(gums)、合成ガム、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、微結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ポリエチレングリコール、ゼラチン、ポリプロピレングリコール、アルギン酸、アルギン酸塩、糖など);流動促進剤(コロイダル二酸化ケイ素、タルク(tal)など);流動化剤(例えば、シリカ又はヒュームドシリカなど)として含んでもよい。着色料、不透明化剤(乳白剤)、矯味剤、酸化防止剤及び甘味料もまた、必要に応じて、処方物に添加されてもよい。
懸濁液は、活性化合物(例えば、少なくとも1つの抗生物質、少なくとも1つのPXRアゴニスト、少なくとも1つのNSAID、少なくとも1つのPPI又はそれらの任意の組み合わせ)に加えて、懸濁化剤(例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール及びソルビタンエステル、微結晶セルロース、水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天及びトラガカント、又はそれらの物質の混合物など)を含んでもよい。
本発明の一実施形態は、リファキシミン又は胃抵抗性リファキシミンとNSAIDとを含み、必要に応じて胃酸分泌抑制剤を含んでもよい組成物を得るためのプロセスである。
別の実施形態は、有効な投薬量のリファキシミン又は胃抵抗性リファキシミン及び有効な投薬量のNSAID(特に、ジクロフェナク)を、錠剤又は熱溶着バッグの形態で含む組成物を得るためのプロセスである。
別の実施形態は、有効な投薬量のリファキシミン又は胃抵抗性リファキシミン、有効な投薬量のNSAID(特に、ジクロフェナク)及び胃酸分泌抑制剤(特に、オメプラゾール)を、熱溶着バッグの形態で含む組成物を得るためのプロセスであって、このプロセスにおいて、薬剤は、顆粒もしくは細粒状又は胃抵抗性顆粒もしくは細粒状である。
リファキシミン、ジクロフェナク及びオメプラゾールは、細粒状、顆粒状及び/又は胃抵抗性顆粒もしくは細粒状に処方でき、ここで有効成分は薬学的に許容可能な賦形剤と一緒に含まれる。リファキシミンの胃抵抗性細粒は、米国特許第8,568,782号に従って調製できる。
オメプラゾールは、有効成分が不活性賦形剤のコア(中心)に充填され、次いで胃抵抗性材料でコーティングされる胃抵抗性顆粒状に処方できる。オメプラゾールの胃抵抗性顆粒は、限定されないが希釈剤、結合剤、流動促進剤及び流動化剤とともに、1%〜20%(w/w)のオメプラゾール量を含んでもよい。
ジクロフェナクは、賦形剤とともにジクロフェナクを含む速放性顆粒状に処方されてもよく、ここで、ジクロフェナク顆粒の量は50%〜90%(w/w)である。
一実施形態において、組成物は、熱溶着バッグの形態であり、リファキシミン胃抵抗性細粒(リファキシミン量20mg〜800mg)とジクロフェナク速放性顆粒(ジクロフェナク量5〜75mg)とを含み、必要に応じてオメプラゾール胃抵抗性顆粒(オメプラゾール量5〜20mg)を含んでもよく、これらとともに薬学的に許容可能な賦形剤を含む。
一実施形態において、組成物は、熱溶着バッグの形態であり、リファキシミン胃抵抗性細粒(リファキシミン量10%〜30%)と54%〜60%(w/w)量のジクロフェナク速放性顆粒とを含み、必要に応じて5%〜12%(w/w)mg量のオメプラゾール胃抵抗性顆粒を含んでもよく、これらとともに薬学的に許容可能な賦形剤を含む。
別の実施形態において、組成物は、熱溶着バッグの形態であり、胃抵抗性細粒の形態である20〜1200mg量のリファキシミンと5〜75mg量のジクロフェナクとを含み、必要に応じてオメプラゾール胃抵抗性顆粒(オメプラゾール量5〜20mg)を含んでもよく、これらとともに薬学的に許容可能な賦形剤を含む。
別の実施形態において、組成物は、熱溶着バッグの形態であり、胃抵抗性顆粒状である20〜800mg量のリファキシミンと5〜75mg量のジクロフェナク粉末とを含み、必要に応じて5〜20mgのオメプラゾール胃抵抗性顆粒を含んでもよく、これらとともに薬学的に許容可能な賦形剤を含む。
一実施形態において、組成物は、錠剤の形態であり、50%〜60%(w/w)量のリファキシミン顆粒と2.5%〜5%(w/w)量のジクロフェナク粉末とを含み、必要に応じて0.1%〜2%(w/w)量のオメプラゾール粉末を含んでもよく、これらとともに薬学的に許容可能な賦形剤を含み、得られた錠剤は胃抵抗性材料でコーティングされる。
一実施形態において、組成物は、錠剤の形態であり、50%〜60%(w/w)量のリファキシミン顆粒と2.5%〜5%(w/w)量のジクロフェナク粉末とを含み、必要に応じて0.1%〜2%(w/w)量のオメプラゾール粉末を含んでもよく、これらとともに薬学的に許容可能な賦形剤を含み(ここで、賦形剤は3%〜6%量の崩壊剤、0.5%〜1.5%(w/w)量の滑沢剤、1.5%〜3%(w/w)量の結合剤及び45%〜60%(w/w)量の希釈剤を含み)、得られた錠剤は5%〜7%(w/w)量の胃抵抗性材料でコーティングされる。
いくつかの実施形態において、錠剤は、リファキシミンの層を有するジクロフェナクのコアによって形成でき、得られた錠剤は、胃抵抗性層でコーティングできる。
いくつかの実施形態において、錠剤は、ジクロフェナクの層及びリファキシミンの層によって形成できる。一実施形態において、組成物は、カプセル剤の形態であり、顆粒の重量に対して、50%〜65%(w/w)量のリファキシミン粉末と6%〜12%(w/w)量のジクロフェナク粉末とを含み、必要に応じて15%〜25%(w/w)量のオメプラゾールの胃抵抗性顆粒を含んでもよく、これらとともに薬学的に許容可能な賦形剤を含む。
別の実施形態において、組成物は、カプセル剤の形態であり、60%〜75%(w/w)量のリファキシミン胃抵抗性細粒と6%〜12%(w/w)量のジクロフェナク粉末とを含み、必要に応じて15%〜25%(w/w)量のオメプラゾールの胃抵抗性顆粒を含んでもよく、これらとともに薬学的に許容可能な賦形剤を含む。
一実施形態において、リファキシミン胃抵抗性細粒は、実施例2に記載のように調製される。細粒のコーティングは、好ましくはpH値約1.5〜4.0において不溶でありかつpH値5.0〜7.5において可溶であるポリマー材料を含む。一般に、胃抵抗性コーティングは、pH範囲1.5〜4.0において不溶でありかつより高いpH値、好ましくはpH値5.0〜7.5において可溶である任意の材料から作製される。本明細書に記載の方法、システム及び組成物の使用に適した具体的なポリマーの例は、アクリル酸のコポリマー[メタクリル酸−アクリル酸エチル(1:1)コポリマー及びメタクリル酸−メタクリル酸メチル(1:2)コポリマーなど]、ポリビニルアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、セルロースアセテートフタレート、市販品、例えば、商標Kollicoat(登録商標)、商標Eudragit(登録商標)、商標Aquateric(登録商標)、商標Aqoat(登録商標)などから選択される。
本明細書に記載の方法及びシステム並びに関連する組成物に用いるための細粒を作製するために使用される胃抵抗性材料の量は、胃抵抗性顆粒の総重量に対して、約10%〜60%(w/w)、好ましくは20%〜40%(w/w)である。細粒状の有効成分に塗布される胃抵抗性コーティングは、必要に応じて、可塑剤、希釈剤、接着防止剤、凝集防止剤、流動促進剤、消泡剤、着色料及び酸化防止剤を含むこともできる。
細粒をコーティングするために使用される成分は、有機溶媒を用いて安定化されてもよく、水性懸濁液中に保存されてもよい。コーティング材料の溶液又は懸濁液は、塗布(適用)プロセスの間、流動床(流動層)装置のコーティングパン又はエアサスペンション中で動き続ける粉末又は顆粒又は細粒に、ネブライゼーション(噴霧)によって塗布される。
コーティング材料を安定化させるために使用できる有機溶媒の例は以下に限定されないが、塩化メチレン、メチル酸(methyl acid)、イソプロピルアルコール、酢酸トリエチル及びエチルアルコールである。
前記に代えて、胃抵抗性ポリマー材料は水性懸濁液として塗布(適用)できる。この方法は、関係する毒性及び安全性が懸念される溶媒の使用を必要としないので、好ましい技術である。
胃抵抗性細粒は、医薬分野の当業者に公知の他のプロセスを用いて調製することもできる。このような技術としては、例えば、有効成分リファキシミンを希釈剤、流動促進剤及びリガンドと一緒に粒状にし、そして乾燥して篩い分けした細粒を、後続の胃抵抗性コーティング剤によるコーティングプロセスに供する技術が挙げられる。
細粒の調製に使用できる他のシステムは、セルロース、セルロース誘導体、デンプン、ジャガイモデンプン、トウモロコシデンプン、ガム、合成ガム、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、微結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ポリエチレングリコール、ゼラチン、ポリプロピレングリコール、アルギン酸、アルギン酸塩、糖及びそれらの組み合わせからなる群より選択されるリガンド化合物を用い、リファキシミンを直径約100〜200ミクロンの微結晶セルロース顆粒に塗布し、得られた細粒を、後続の胃抵抗性フィルムによるコーティングプロセスに供することを含む。
オメプラゾール胃抵抗性顆粒は、顆粒の重量に対して、64%〜97.5%(w/w)量の不活性コア上に、5%〜20%(w/w)量のオメプラゾール、0.01%〜1%(w/w)量の流動化剤、1%〜10%(w/w)量の流動促進剤、0.5%〜5%(w/w)量の結合剤を含む。オメプラゾール顆粒は、顆粒の重量に対して、20%〜50%量の胃抵抗性コーティングでコーティングされる。特定の実施形態において、結合剤はヒドロキシプロピルメチルセルロースであり、流動化剤はヒュームドシリカであり、流動促進剤はタルクであり、不活性コアは微結晶コアである。オメプラゾール顆粒を調製するために有用な胃抵抗性ポリマーは、アクリル酸のコポリマー[メタクリル酸−アクリル酸エチル(1:1)コポリマー及びメタクリル酸−メタクリル酸メチル(1:2)コポリマーなど]、ポリビニルアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、セルロースアセテートフタレート、市販品、例えば、商標Kollicoat(登録商標)、商標Eudragit(登録商標)、商標Aquateric(登録商標)、商標Aqoat(登録商標)、及び天然ポリマーから選択される。
ジクロフェナクなどのNSAIDは、顆粒又は速放性顆粒の形態であってもよい。ジクロフェナク速放性顆粒は、顆粒の重量に対して、1%〜5%(w/w)量に相当するジクロフェナク25mg又は75mg、0.5〜5%(w/w)量の崩壊剤(disgregants)及び90%〜98.5%(w/w)量の希釈剤を含んでもよい。ジクロフェナク顆粒は、顆粒の総重量に対して、10%〜80%(w/w)量のジクロフェナク、10%〜70%(w/w)量の希釈剤、1%〜10%(w/w)量の崩壊剤を含んでもよい。胃抵抗性顆粒状のリファキシミンとジクロフェナク顆粒又は速放性顆粒状のジクロフェナクとを含み、必要に応じてオメプラゾール胃抵抗性顆粒を含んでもよい医薬組成物は、薬学的に許容可能な賦形剤を含む熱溶着バッグの形態であってもよい。
特定の実施形態において、熱溶着バッグは胃抵抗性リファキシミン(EIRリファキシミン)を含み、このバッグにおいて、リファキシミンは400mg量であり、速放性顆粒状のジクロフェナクは75mg量である。熱溶着バッグはまた、甘味料、矯味剤、防腐剤及び酸化防止剤を含んでもよい。熱溶着バッグは、水に懸濁できる。
固体組成物は錠剤の形態であってもよく、この錠剤は、多層錠の形態であってもよく、リファキシミン顆粒又はリファキシミン胃抵抗性顆粒とジクロフェナク顆粒又はジクロフェナク速放性顆粒とを含み、必要に応じて胃抵抗性顆粒状のオメプラゾール及び薬学的な賦形剤を含んでもよい。この錠剤は、フィルムコーティング又は胃抵抗性コーティングでコーティングされていてもよい。特定の実施形態において、錠剤は、20〜600mg量のリファキシミン及び5mg〜75mgのジクロフェナクを含んでもよい。
固体組成物はゼラチンカプセル剤の形態であってもよく、このカプセル剤は、リファキシミン、ジクロフェナク顆粒又はジクロフェナク速放性顆粒、及び薬学的に許容可能な賦形剤を含む。このカプセル剤は、20〜600mg量のリファキシミン及び5mg〜75mgのジクロフェナクを含んでもよい。
別の実施形態によると、オメプラゾール胃抵抗性顆粒を調製するためのプロセスには、5%〜25%(w/w)量の結合剤の水溶液を、10%〜40%(w/w)のオメプラゾール、2%〜50%(w/w)の結合剤及び5%〜20%(w/w)の流動促進剤を含む水性懸濁液に添加する工程が含まれる。得られた混合物を、温度30℃〜80℃で流動床において空気量(flow air)10〜60m3/hで不活性コアに噴霧(スプレー)する。乾燥されたオメプラゾール顆粒を、引き続き、空気量30〜70m3/hで温度50℃〜80℃の流動床装置において、10%〜30%(w/w)量のHPMCの水性懸濁液でコーティングする。乾燥された顆粒を、引き続き、同じ装置において胃抵抗性ポリマーでコーティングし、胃抵抗性顆粒を乾燥する。このプロセスの収率は、85%より高い。
別の実施形態によると、ジクロフェナク速放性顆粒を得るためのプロセスが記載され、このプロセスにおいて、10%〜50%(w/v)のジクロフェナク、5%〜10%(w/v)の崩壊剤及び40%〜85%(w/v)の希釈剤を含む水溶液を流動床装置において噴霧し、顆粒を一定の重量になるまで乾燥する。
別の実施形態によると、ジクロフェナク顆粒を得るためのプロセスが記載され、このプロセスにおいて、10%〜80%(w/w)のジクロフェナク粉末、10%〜70%量の希釈剤、5%〜10%(w/w)の崩壊剤を混合し、この混合物を粒状にする。この顆粒を乾燥して、約1〜1.5mmの篩で篩い分けする。
別の実施形態によると、熱溶着バッグを得るためのプロセスが記載され、このプロセスにおいて、5〜75mgの単位量を含むジクロフェナク顆粒又は速放性顆粒を、リファキシミンが20mg〜600mgであるリファキシミン顆粒又は胃抵抗性リファキシミン顆粒及び賦形剤(賦形剤は、例えば、希釈剤、滑沢剤を用い、必要に応じて甘味料、矯味剤、防腐剤を用いてもよい)と混合する。この混合物に胃抵抗性顆粒状のオメプラゾールを添加でき、オメプラゾールの量に比例して希釈剤の重量を低減させる。別の実施形態によると、リファキシミン顆粒又はリファキシミン胃抵抗性顆粒とジクロフェナク顆粒又はジクロフェナク速放性顆粒とを含み、必要に応じて胃抵抗性顆粒状のオメプラゾール及び薬学的な賦形剤を含んでもよい錠剤を得るためのプロセスが記載され、このプロセスにおいて、成分をV型ミキサーで10〜30分間混合し、混合物を打錠機で圧縮する。錠剤は、フィルムコーティング又は胃抵抗性フィルムコーティングでコーティングでき、得られた錠剤を一定重量になるまで乾燥する。
別の実施形態によると、ゼラチンカプセル剤を得るためのプロセスが記載され、このプロセスにおいて、リファキシミン顆粒及びジクロフェナクと賦形剤とを混合し、混合物をプレフィルド(prefilled)ゼラチンカプセルに入れる。必要に応じて、オメプラゾールを混合物に添加でき、それに比例して希釈剤の量を低減させる。
本開示の有効成分はまた、システムとして提供される別々の剤形に処方されてもよく、このシステムは、本明細書に記載の有効成分のいずれか及び処方物のいずれかを含む、一部のキット(a kit of parts)の形態であってもよい。
いくつかの実施形態において、システムは、NSAID投与を受けている個体においてNSAID腸症を治療及び/又は予防するために、本明細書に記載の関連する方法において、同時使用、併用又は逐次使用するための、抗生物質及び胃酸分泌抑制剤を含む。いくつかの実施形態において、腸症は、腸管の病態である。いくつかの実施形態において、NSAID投与の期間は、少なくとも1週間、少なくとも10日間又は少なくとも2週間である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載のシステムは、個体に適時投与して個体のNSAID胃腸障害又は腸症を予防できる投薬量で、少なくとも1つの抗生物質及び少なくとも1つの胃酸分泌抑制剤を含む。
いくつかの実施形態において、システムは、疼痛及び/又は炎症が存在している個体の病態を治療及び/又は予防するために、本明細書に記載の関連する方法において同時使用、併用又は逐次使用するための、NSAIDと少なくとも1つの抗生物質とを含み、必要に応じて少なくとも1つの胃酸分泌抑制剤を含んでもよい。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのNSAIDの有効量は、少なくとも1週間、少なくとも10日間又は少なくとも2週間実施できる。特に、NSAID投与は、少なくとも2週間実施できる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載のシステムは、適時投与して個体のリウマチ性の病態並びに/又は他の疼痛病態及び/もしくは炎症病態を治療及び/又は予防できる投薬量で、NSAIDと、抗生物質及び胃酸分泌抑制剤の少なくとも1つとを含む。
特定の実施形態において、キットとしては、それぞれ個別に包装もしくは処方された単回もしくは多回用量の1もしくは複数の有効成分、又は組み合わせて包装もしくは処方された単回もしくは多回用量の2以上の有効成分が挙げられる。したがって、1又は複数の有効成分は第1の容器中に存在していてもよく、キットは、必要に応じて、第2の容器中に1又は複数の有効成分を含んでもよい。容器(単数又は複数)はパッケージの中に入れられ、パッケージは、必要に応じて、パッケージ上のラベルの形態又はキットのパッケージング(包装)に含まれる挿入物の形態で、投与又は投薬量の説明書を含んでもよい。
いくつかの実施形態において、本開示のキットは、有効成分として、(i)リファキシミン、(ii)少なくとも1つのNSAID(単数又は複数)の治療的に有効な量を含む。
いくつかの実施形態において、本開示のキットは、有効成分として、(i)リファキシミン、(ii)少なくとも1つのNSAID(単数又は複数)の治療的に有効な量を含む。
いくつかの実施形態において、本開示のキットは、有効成分として、(i)PXRアゴニスト、(ii)少なくとも1つのNSAID(単数又は複数);及び(iii)少なくとも1つのPPIの治療的に有効な量を含む。
本開示の典型的なキットの実施形態において、抗生物質、少なくとも1つのNSAID及びPPIは、別々の独立した剤形として提供される(例えば、少なくとも3つの剤形などが挙げられるがこれに限定されない)。あるいは、リファキシミン、NSAID及びPPIは、単一統合剤形に統合される。あるいは、胃抵抗性リファキシミン(特に、EIRリファキシミン)、NSAID及びPPIは、単一統合剤形に統合される。
固体剤形は、カプセル剤、錠剤、多層錠、粉剤、顆粒剤及びサシェからなる群より選択される。
いくつかの実施形態において、抗生物質及びNSAIDは、単一統合剤形に統合され、少なくとも1つのPPIは、別の独立した剤形として提供される。キットとしては、医薬組成物を含むための容器又はパッケージングが挙げられ、分割瓶(divided bottle)又は分割ホイル小包(divided foil packet)などの分割容器も挙げられる。
容器は、例えば、紙又は段ボール箱、ガラス又はプラスチックの瓶又は広口瓶(jar)、(例えば、別の容器に移すために錠剤の「詰め替え品」を入れるための)再封可能な(re-sealable)バッグ、又は治療スケジュールに従って個々の用量をパックから押し出すブリスターパックであってもよい。単一剤形を販売するために、1より多い容器を単一パッケージ中で一緒に用いることは可能である。例えば、錠剤を瓶に入れて、その瓶を箱の中に入れてもよい。
キットの一例は、いわゆるブリスターパックである。ブリスターパックは、包装業界において周知であり、医薬の単位剤形(錠剤、カプセル剤など)のパッケージングのために広範に使用されている。ブリスターパックは、一般に、好ましくは透明なプラスチック材料のホイルで被覆された比較的硬い材料のシートからなる。パッケージングプロセスの間に、プラスチックホイルに凹部を形成する。凹部は、包装される個々の錠剤又はカプセル剤の大きさ及び形状を有しており、包装される複数の錠剤及び/又はカプセル剤を収容するための大きさ及び形状を有していてもよい。次に、錠剤又はカプセル剤を適宜凹部の中に入れ、凹部を形成した方向と反対側のプラスチックホイルの面を比較的硬い材料のシートで密封する。その結果、錠剤又はカプセル剤は、プラスチックホイルとシートとの間の凹部の中に、所望どおりに個々に密封されるか又は集合的に密封される。好ましくは、シートの強度は、凹部に手で圧力を加えることによって凹部の所でシートに穴が開いて、ブリスターパックから錠剤又はカプセル剤を取り出すことができるような強度である。次いで、錠剤又はカプセル剤を、この穴から取り出してもよい。
いくつかの実施形態において、薬物が服用される場合について、医師、薬剤師又は被験体のための情報及び/又は説明書を含む書面による記憶補助手段(written memory aid)が含まれてもよい。「1日用量」は、所定の1日に服用される一錠の錠剤もしくはカプセル剤又は数錠の錠剤もしくはカプセル剤であってもよい。
キットは、意図した使用の順に一つずつ1日用量を投与するために設計されたディスペンサーの形態をとってもよい。ディスペンサーは、レジメンの遵守をさらに容易にするために、記憶補助手段を備えていてもよい。このような記憶補助手段の一例は、投与された1日用量の数を表示する機械式計数器である。このような記憶補助手段の別の例は、液晶読み出し情報又は可聴式催促信号(例えば、最後に1日用量が投与されたデータを読み上げて、次の用量が投与されるときにそれを思い出させる可聴式催促信号)と一体の電池式マイクロチップメモリである。
本開示のキットは、治療(例えば、関節炎の治療)において本明細書に記載の方法で使用されてもよい。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法及びシステム並びに関連する組成物は、治療された病態をモジュレート及び/又は回復することが期待される。
用語「回復する(ameliorate)」、「回復(amelioration)」、「改善(improvement)」などは、例えば、ある被験体又は少なくとも少数の被験体において、例えば、少なくとも約2%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、100%又はこれらの値のうちの任意の2つの間の範囲で見出される改善と一致する、検出可能な改善又は検出可能な変化をいう。このような改善又は変化は、リファキシミンで治療されていない被験体と比較して、治療された被験体において認めることができ、ここで、被験体は、同じ又は類似の疾患、病態、症状などを患うか又は発症しつつある被験体である。疾患、病態、症状又はアッセイパラメータの回復は、例えば、個体による自己評価により、臨床医の評価により、又は適切なアッセイもしくは測定の実施(例えば、生活の質評価、病態の進行の遅延、病態の重篤度の低下、又は生体分子、細胞のレベルもしくは活性についての適切なアッセイを含む)により、又は被験体におけるBD(腸疾患)エピソードの検出により、主観的に又は客観的に判定できる。回復は、一過性、持続性又は永続性であってもよく、あるいは回復は、GI特異的抗生物質を被験体に投与するか又は本明細書もしくは引用文献に記載のアッセイもしくは他の方法において使用する間又はその後の適切な時点で変化し得るものであってもよく、例えば、後述する時間枠内に、または、GI特異的抗生物質の投与又は使用の約1時間後〜個体がこのような治療を受けてから約7日、2週間、28日、もしくは1、3、6、9か月又はそれ以上後に、変化し得るものであってもよい。
症状、分子のレベル又は生物学的活性などの「モジュレーション(modulation)」は、例えば、症状又は活性などが検出可能に増大又は減少することをいう。このような増大又は減少は、GI特異的抗生物質で治療されていない被験体と比較して、治療された被験体において認めることができ、ここで、被験体は、同じ又は類似の疾患、病態、症状などを患うか又は発症しつつある被験体である。このような増大又は減少は、少なくとも約2%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、100%、150%、200%、250%、300%、400%、500%、1000%もしくはそれ以上又はこれらの値のうちの任意の2つの間の範囲内であってもよい。モジュレーションは、例えば、個体の自己評価により、臨床医の評価により、又は適切なアッセイ若しくは測定の実施(例えば、生活の質評価、又は被験体内の分子のレベルもしくは活性についての適切なアッセイを含む)により、主観的に又は客観的に判定できる。モジュレーションは、一過性、持続性又は永続性であってもよく、あるいはモジュレーションは、GI特異的抗生物質を被験体に投与するか又は本明細書もしくは引用文献に記載のアッセイもしくは他の方法において使用する間又はその後の適切な時点で変化し得るものであってもよく、例えば、後述する時間内に、または、GI特異的抗生物質の投与又は使用の約1時間〜個体にGI特異的抗生物質を投与してから約2週間、28日、3、6、9か月又はそれ以上後に、変化し得るものであってもよい。
用語「モジュレートする(modulate)」は、GI特異的抗生物質への曝露に応答した細胞の活性における増大又は減少、例えば、所望の最終結果が達成されるような、動物における細胞の少なくとも亜集団の増殖阻害及び/又は分化誘導をいう場合もある。例えば、治療のために使用されたGI特異的抗生物質の治療結果は、特定の治療クールの間に増大又は低減してもよい。
本開示のさらなる効果及び特徴は、以下の詳細に開示された内容(実験項を例示する目的のみで開示された内容)から、より明らかとなるであろう。
本明細書に記載の組成物、方法及びシステムは、以下の実施例においてさらに説明されるが、これらの実施例は、例示の目的で提供されるものであって、限定を意図するものではない。
特に、以下の実施例は、本開示の典型的な組成物並びに関連する方法及びシステムを説明する。当業者が認識するであろうことだが、本開示の実施形態に従って当業者は、本項に詳細に記載される特徴を、さらなる組成物、方法及びシステムに適合させるために、適用及び必要な変更をすることができる。
実施例1には、臨床の無作為化多施設臨床試験が記載される。この試験は、健常な志願者において、ジクロフェナクSR75mg1日2回+オメプラゾール20mg1日1回に起因する小腸病変の予防に際し、胃抵抗性細粒状のリファキシミン800mg錠剤1日2回の有効性及び安全性を評価するために設計される。
(実施例1:二重盲検臨床試験)
60名の健常な志願者が登録される無作為化臨床試験を、以下の記載に従って実施する。この試験は、リファキシミン800mgを1日2回与えるか又は与えないで、ジクロフェナクSR75mgを1日2回+オメプラゾール20mgを1日1回与えて、治療した後の小腸の所見を比較する多施設カプセル内視鏡(VCE)試験である。
この試験の志願者を登録するための主な選択基準は、
・18歳〜65歳の、男性又は妊娠も授乳もしていない女性被験体;
・身体検査及び検査室評価について正常な所見;
・ベースラインVCEでせいぜい1つの粘膜障害;
・被験体が署名した、書面によるインフォームドコンセント
を含む。
主な除外基準は、
・スクリーニング前4週間以内及びスクリーニング中の経口及び全身性のステロイド、他のNSAID(低用量アスピリン及びアミノサリチレートを含む)、生物製剤、スルファサラジン、ミソプロストール及び他の粘膜保護化合物、ビスホスホネートの使用;
・スクリーニング前8週間以内及びスクリーニング中のプロバイオティクス、プレバイオティクス、リファキシミン及び他の抗菌薬の使用;
・スクリーニング前2週間以内及びスクリーニング中の運動促進薬の使用;
・アルコールの乱用;
・十分な避妊をしない妊娠のリスク;
・活性な十二指腸及び/又は胃潰瘍、憩室炎、感染性胃腸炎、腸の狭窄又は閉塞の科学的根拠(evidence);
・治験責任医師の見解で試験への参加が排除される重大な病状
を含む。
最大60名までの志願者を、以下のとおり無作為に2つの治療群に分けた:
グループ1:経口経路によって、ジクロフェナクSR75mg1錠を12時間ごと+オメプラゾール20mg1カプセルを1日1回+プラシーボリファキシミン400mg2錠を12時間ごとに投与する。
グループ2:経口経路によって、ジクロフェナクSR75mg1錠を12時間ごと+オメプラゾール20mg1カプセルを1日1回+リファキシミン胃抵抗性細粒400mg2錠(リファキシミンEIR)を12時間ごとに投与する。
被験体1名につき試験完了までの合計期間は1か月を想定しており、この期間は、以下からなる:
スクリーニング期間:被験体候補者は、スクリーニング来院(V1)して臨床データ及び検査室検査に対する調査を実施し、次いで来院2(V2)でベースラインVCEを実施する
治療期間:適格な被験体を無作為化来院(V3)で無作為に2つの治療群に分けた。14日間の治療期間中の各日、各被験体に、ジクロフェナクSR75mg1カプセルを12時間ごと+オメプラゾール20mg1錠を1日1回+治験薬(リファキシミン−EIR又は対応プラシーボ)2錠を12時間ごとに投与した。最終来院(V17)を、最終薬物投与のわずか36時間後に行い、第2のVCE並びに臨床評価及び検査室検査評価を盛り込んだ。
主要有効性評価項目基準は、最終来院において少なくとも1つの粘膜障害を発症する被験体のパーセンテージであり、VCEによって評価され、かつ有効スコアリングシステムに従って査定される。
副次的有効性評価項目は、小腸における粘膜病変の数のベースラインから最終来院までの変化、及び出血(外出血)を伴う/伴わない小腸における粘膜病変のベースラインから最終来院までの変化である。
考慮される安全性パラメータは、有害事象(AE)、臨床検査パラメータ(血液検査、臨床化学検査及び尿検査)、生命徴候である。
この試験の期待される結果は、60名の無作為に分けられた健常な志願者(1群あたり30名の被験体)が、片側有意水準0.05で、ベースラインから最終来院までに小腸に粘膜障害を有する被験体の割合において、ジクロフェナク+オメプラゾール+リファキシミン群がジクロフェナク+オメプラゾール群に対しておよそ55%低下することを80%の検出力で与えるというものであり、その際に、ジクロフェナク+オメプラゾールで治療された群の58%及び評価不能な被験体が10%であると推定される。
(実施例2:胃抵抗性顆粒状のリファキシミンの調製:腸徐放性(EIR)リファキシミン)
リファキシミン細粒を、米国特許出願第11/814,628号(この文献は、参照することによりその全体が本明細書に組み入れられる)に記載されるように調製した。1.8mmスプレージェットを有する18インチのワースター(Wurster)システムを備えた流動床装置Glatt GPC 30に、リファキシミン粉末25000g及び流動化剤(fluidiser)としてのAerosil(アエロジル)125gを入れた。同時に、攪拌下のミキサー中で、脱塩水48107g、商標Kollicoat(登録商標)MAE100Pの名で販売されているメタクリル酸−アクリル酸エチルコポリマー9281g、1,2−プロパンジオール1392g、タルク2475g、二酸化チタンFU557g及び62gの酸化鉄E172を用いて懸濁液を調製した。懸濁液の固体成分を、高速ホモジナイザー(Ultra Turrax)を用いて脱塩水中で均質に混合した。調製した懸濁液を、蠕動ポンプを用いてワースター型装置に充填し、圧力1.0〜1.5barで1.8mmノズルから、温風流によって流動床中で懸濁状のまま維持されたリファキシミン粉末とAerosil(登録商標)200との混合物にネブライズ(噴霧)した。
適用した条件を、表2に記載する。
得られた細粒を、マルバーンマスターサイザー(Malvern Mastersizer)2000装置を用いる光散乱技術によって粒度分布分析した結果、91%より多い細粒が、300ミクロン未満の大きさを有していた。
リファキシミンを含む細粒の組成を、表3に記載する。
得られた細粒を、X線回折によって分析した。回折図から、リファキシミンが、Crist. Eng. Comm. 10, 1074-1081 (2008)で同定されたような、β形のピーク特徴を有することが分かる。
(実施例3:胃抵抗性顆粒状のオメプラゾールの調製)
オメプラゾール胃抵抗性顆粒を調製するためのプロセスは、3つの工程を含んでいた:
・流動床装置中で、オメプラゾールを含む懸濁液を、微結晶セルロースコアにスプレーする工程;
・オメプラゾール担持コアを、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフィルムコーティングでコーティングする工程;
・流動床装置中で、胃抵抗性フィルム−コーティングの水性懸濁液を、オメプラゾール顆粒にスプレーする工程。
水性懸濁液を、水700ml中でオメプラゾール600g、ヒュームドシリカ1.20g及びタルク60.0gを混合することによって調製し、この溶液を、成分が可溶化するまで攪拌下で60℃で保持し、次いで、ヒドロキシプロピルメチルセルロース1312gを添加した。得られた懸濁液を流動床中でスプレーした。
微結晶セルロースコア1192.64gを、ボトムスプレーシステム(bottom spray system)を備えた流動床装置GPCG2型に入れ、300rpmで攪拌される配合懸濁液で覆った。コアのコーティングを、以下の表4の条件で実施した。
スプレー工程後、顆粒を55℃で10分間乾燥し、次いで、空気吸入温度を36℃に設定して、塊状物を36℃以下の温度に放冷してからプロセスを停止し、生成物を取り込んだ。
第1の工程から得られたオメプラゾール担持コアの組成を、表5に示す。
得られた吸湿性の高い生成物を速やかに包装し、密封容器中に保管した。
第2の工程は、流動床装置中のオメプラゾール担持コアをヒドロキシプロピルメチルセルロースでコーティングする工程を含んでいた。
水792g中にヒドロキシプロピルメチルセルロース88gを含む懸濁液を、ボトムスプレーシステムを備え、懸濁液が200rpmで攪拌する流動床装置GPCG2型中で、工程1から得られた顆粒800gに塗布した。
プロセスパラメータを、表6に示す。
顆粒を、65℃の温度で30分間乾燥した。
第2の工程後の単位顆粒組成(unitary granule composition)を、表7に示す。
第3の工程は、オメプラゾール顆粒剤を胃抵抗性フィルムでコーティングする工程を含んでいた。胃抵抗性コーティングの懸濁液を、水2880ml中に960gのAcryl-Eze 93F 19255を混合して調製し、500μm篩で濾過し、流動床装置中で工程2の顆粒800gにスプレーした。このプロセスパラメータを、表8に示す。
スプレー工程後、オメプラゾール顆粒を44℃で10分間維持し、次いで、36℃に維持して、塊状物を約36℃の温度に放冷した。得られた生成物を、静的ヒーター(static heater)において40℃で12時間維持した。
オメプラゾール胃抵抗性顆粒の組成を、表9に示す。
胃抵抗性コーティングは、メタクリル酸−アクリル酸エチルコポリマー、タルク、マクロゴール800、無水コロイダルシリカ、炭酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウムを含んでいた。
(実施例4:胃抵抗性顆粒状のオメプラゾールの調製)
オメプラゾール胃抵抗性顆粒を調製するためのプロセスは、3つの工程を含んでいた:
a.オメプラゾール担持コアを調製する工程;
b.コーティングされたオメプラゾール顆粒を調製する工程;
c.オメプラゾール顆粒を胃抵抗性ポリマーでコーティングする工程。
あらかじめ60℃に加熱した水170mlにHPMC14gを添加して水溶液を調製し、この水溶液に、攪拌下で水500ml、オメプラゾール80g、シリカ20g及びタルク60gを添加して調製した水性懸濁液を添加し、最終懸濁液を攪拌下で1.5時間保持した。
この懸濁液を、ボトムスプレーシステムを備えた流動床装置GPCG2型中で微結晶セルロースコア1192.64gにスプレーした。このスプレーは、空気量45m3/時間、及び入口での空気温度65℃で行った。得られた顆粒を55℃の温度で約1時間乾燥した。このプロセスの収率は96%であり、乾燥減量(LOD)は2.10%であった。
オメプラゾール担持コアの単位組成を、表10に示す。
第2の工程は、オメプラゾールをヒドロキシプロピルメチルセルロースでコーティングする工程を含んでおり、この工程において、水792ml中にヒドロキシプロピルメチルセルロース88gを混合することによって調製された懸濁液を、流動床装置GPCG2型中で、第1の工程から得られた顆粒800gにスプレーした。このスプレー工程は、入口での空気量45m3/時間及び入口での空気温度65℃で行い、得られた顆粒を25℃の温度で30分間乾燥した。第2の工程後の顆粒の組成を、表11に示す。
第3の工程は、オメプラゾール顆粒を胃抵抗性フィルムコーティングでコーティングする工程を含んでいた。水2340ml中に660gのAcryl-Eze(登録商標)93F19255を含む懸濁液を、流動床装置中、入口での空気量50m3/時間及び入口での空気温度70℃で、工程(b)の顆粒550gにスプレーし、得られたオメプラゾール顆粒を、25℃で通気しながら30分間乾燥した。
オメプラゾール胃抵抗性顆粒の単位組成を、表12に示す。
最終プロセスの収率は、89.2%であった。
(実施例5:ジクロフェナク速放性顆粒の調製)
速放性ジクロフェナク顆粒を、流動床装置中で調製した。水1750g、ポビドン126g及びソルビトール3478g中にジクロフェナク270gを含む溶液を、ソルビトール10000gがあらかじめ充填された流動床にスプレーした。顆粒を、乾燥減量(LOD)が約2%になるまで乾燥した。
ジクロフェナクを含む顆粒の組成を、表13に示す。
(実施例6:ジクロフェナク速放性顆粒の調製)
ジクロフェナク酸(acid diclofenac)20g及びソルビトール1165gの混合物をあらかじめ1mmメッシュの篩にかけ、トップスプレーシステム(top spray system)を備えた流動床装置に入れた。この粉末を、ソルビトール133g及びPVP25gを含む水溶液166mlを用いて、入口での空気量60m3/時間及び入口での空気温度45℃で造粒した。
得られた顆粒を、45℃の温度で10分間乾燥した。
ジクロフェナク顆粒の単位組成を、表14に示す。
(実施例7:ジクロフェナク顆粒の調製)
ジクロフェナク75gを、Hi Shear Mixer中で微結晶セルロース16g及びヒドロキシプロピルメチルセルロース7gと混合し、この固体混合物に水200mlを添加し、この塊状物を4分間造粒した。顆粒を、1.14mm篩を備えた揺動篩で篩にかけた。顆粒を、乾燥減量(LOD)が約1%以下になるまで流動床装置中で乾燥した。ジクロフェナク顆粒の組成を、表15に示す。
(実施例8:熱溶着バッグ中にリファキシミン及びジクロフェナクを含む組成物並びに熱溶着バッグ中にリファキシミン、ジクロフェナク及びオメプラゾールを含む組成物の調製)
表16は、熱溶着バッグ中に顆粒でリファキシミン、ジクロフェナク及びリファキシミン、ジクロフェナク及びオメプラゾールを含む経口懸濁液の組成物を示す。
オメプラゾールを含まず、それに比例してソルビトールの量を増やした熱溶着バッグを調製した。
(実施例9:オメプラゾール、リファキシミン及びジクロフェナクを含む錠剤並びにリファキシミン及びジクロフェナクを含む錠剤の調製)
V型ミキサー中で表17に記載されるすべての成分を混合して錠剤組成物1〜10を得て、この混合物を打錠機で圧縮した。錠剤をコーティングフィルム又は胃抵抗性コーティングフィルムでコーティングし、コーティングした錠剤を、乾燥減量が約5%になるまで乾燥した。単位錠剤組成を、表17に示す。
組成物1〜4及び7〜10はオメプラゾールを含まず、それに比例して微結晶セルロースの量を増やした錠剤組成物を調製した。
(実施例10:オメプラゾール、ジクロフェナク及びリファキシミンを含むカプセル剤並びにリファキシミン及びジクロフェナクを含むカプセル剤の調製)
表18は、オメプラゾール、ジクロフェナク及びリファキシミンを含むゼラチンカプセル剤並びにリファキシミン及びジクロフェナクを含むカプセル剤の組成を示す。この表において、組成物3及び4は胃抵抗性顆粒中にリファキシミン400mgを含み、組成物5及び6は胃抵抗性顆粒中にリファキシミン200mgを含む。
すべての成分をV型ミキサー中で20分間混合し、混合した粉末をゼラチンカプセルに入れた。
(実施例11:熱溶着バッグ中にリファキシミン、ジクロフェナク及びオメプラゾールを含む組成物の調製)
胃抵抗性顆粒状又粉末状のリファキシミンを、V型ミキサーで、速放性顆粒状のジクロフェナク又はジクロフェナク粉末又はジクロフェナク顆粒と、オメプラゾール胃抵抗性顆粒と、賦形剤とを混合した。すべての成分は、あらかじめ0.5mmの篩目(メッシュ)の篩にかけておいた。
得られた混合物を6.5グラムずつ分けて熱溶着バッグに入れた。ここで、リファキシミンは400mgである。以下の表19において、リファキシミン、ジクロフェナク及びオメプラゾールを含む経口懸濁液の組成を示す。
リファキシミン800mg又は胃抵抗性顆粒状のリファキシミン1244.6mgを含み、それに比例してカルボキシメチルセルロースナトリウムを減らした熱溶着バッグも調製した。オメプラゾールを含まず、それに比例してカルボキシメチルセルロースナトリウムの量を増やした熱溶着バッグも調製した。
(実施例12:リファキシミン顆粒の調製)
リファキシミン2669.5g、パルミトステアリン酸グリセリル160.2g、タルク8.8g、微結晶セルロース1161.2gの混合物を、あらかじめ1mmメッシュの篩にかけておき、V型ミキサー中14rpmで10分間混合した。
この混合物を、3.15〜1.45mmのメッシュを備えた乾式造粒機で造粒した。
(実施例13:オメプラゾール、リファキシミン及びジクロフェナクを含む錠剤の調製)
コアを調製する第1の工程及びコアを胃抵抗性フィルムコーティングでコーティングする第2の工程を含むプロセスを用いて、錠剤を調製した。
(A)錠剤コアの調製
オメプラゾール20g、ジクロフェナクナトリウム75g、クロスカルメロースナトリウム80g、パルミトステアリン酸グリセリル20g、コポビドン50g及び微結晶セルロース556.3g又はリン酸二水素カルシウム556.3gの混合物を0.8mmメッシュの篩にかけ、リファキシミン顆粒1198.8gと混合し、V型ミキサー中16rpmで20分間実施例6のように調製し、次いで394mmのプレ圧縮(precompression)及び280mmの圧縮によって圧縮した。
(B)フィルムコーティングによる錠剤のコーティング
得られた錠剤をパン(pan)に入れ、Acryl-EZEの20%(w/v)水溶液を用いて、入口での空気温度56℃、入口での空気圧200m3/時間及びノズル距離(distance nozzle)21cmでコーティングを行った。
錠剤組成を、表20に示す。
(実施例14:リファキシミン及びジクロフェナクナトリウム塩を含む胃抵抗性錠剤の調製)
オメプラゾールを除外して、実施例8と同じ条件で錠剤を調製した。
(A)錠剤コアの調製
ジクロフェナクナトリウム75g、クロスカルメロースナトリウム80g、パルミトステアリン酸グリセリル20g、コポビドン50g及び微結晶セルロース576.3g又は第二リン酸カルシウム576.3gの混合物を0.8mmメッシュの篩にかけ、実施例6のように調製されたリファキシミン顆粒1198.8gと混合した。この混合物を、V型ミキサー中16rpmで20分間保持した。
得られた混合物を、394mmのプレ圧縮及び280mmの圧縮によって圧縮する。
(B)フィルムコーティングによる錠剤のコーティング
得られた錠剤をパンに入れ、Acryl-EZEの20%(w/v)水溶液を用いて、入口での空気温度56℃、入口での空気圧200m3/h及びノズル距離21cmでコーティングを行った。錠剤組成物3及び4を、表21に示す。
同様の錠剤組成物を、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、二酸化チタン、エデト酸二ナトリウム、プロピレングリコール及び弁柄E172を含むフィルムコーティングを用いて調製した。
(実施例15:リファキシミン、オメプラゾール及びジクロフェナクを含むカプセル剤の調製)
オメプラゾール、ジクロフェナク及びリファキシミンを含むゼラチンカプセル剤並びにリファキシミン及びジクロフェナクを含むカプセル剤を、すべての成分をV型ブレンダー中で20分間混合し、混合した粉末をゼラチンカプセルに入れるプロセスによって調製した。
表22は、単位カプセル剤組成を示す。
(実施例16:ラットのインドメタシン起因性腸症における、リファキシミン及び胃抵抗性リファキシミンの効果)
NSAID投与に起因する腸症における、リファキシミン及び胃抵抗性リファキシミンの有効性を、動物における前臨床試験で評価した。
体重500〜600g(40週齢)の雄性Albino Sprague Dawleyラット合計36匹を評価した。
31匹の雄性Albino Sprague Dawleyラットにインドメタシンを用いて腸症を誘発させた。実験群を以下のように用意した:
・グループ1:薬物ベヒクルで14日間処置した動物5匹(正常対照)
・グループ2:インドメタシン1.5mg/kgで1日2回、14日間処置した動物10匹(インドメタシンにより潰瘍形成した対照)
・グループ3:胃抵抗性リファキシミン25mg/kgで1日2回と一緒に、潰瘍形成させるインドメタシンを14日間、併用処置した動物7匹
・グループ4:胃抵抗性リファキシミン50mg/kgで1日2回と一緒に、潰瘍形成させるインドメタシンを14日間、併用処置した動物7匹
・グループ5:リファキシミン多形α50mg/kgで1日2回と一緒に、潰瘍形成させるインドメタシンを14日間、併用処置した動物7匹。
詳細には、グループ1〜5は以下のように処置した:
・グループ1には、1%メトセル(methocel)(0.25ml/ラット)及び1%メチルセルロース(1ml/ラット)を14日間与えた
・グループ2は、1%メトセル中に懸濁して0.25ml/ラットの容量で投与されるインドメタシン1.5mg/kgで1日2回、胃内経路によって14日間処置した
・グループ3には、1%メチルセルロース(1ml/ラット)中に懸濁し、1日2回、インドメタシン投与の1時間前に投与される胃抵抗性リファキシミン(25mg/kg;ラット7匹/群)を与えた
・グループ4には、1%メチルセルロース(1ml/ラット)中に懸濁し、1日2回、インドメタシン投与の1時間前に投与される胃抵抗性リファキシミン(50mg/kg;ラット7匹/群)を与えた
・グループ5には、1%メチルセルロース(1ml/ラット)中に懸濁し、1日2回、インドメタシン投与の1時間前に投与されるリファキシミン多形α(50mg/kg、ラット7匹/群)を与えた。
最終用量の24時間後、ラットを安楽死させ、ヘモグロビンレベルの評価のために血液サンプルを採集した。
全腸管を取り出して、空腸及び回腸における組織のミエロペルオキシダーゼ(MPO)レベルの評価及び腸損傷の組織学的分析のために処理した。
腸損傷の組織学的評価は、Anthony Aら、「Early histological features of small intestinal injury induced by indomethacin」、Aliment. Pharmacol. Ther. 1993; 7:29-39に記載されるように実施した。取り出してすぐ、全腸管に10%ホルマリンを速やかに注入して、同じ固定液中に放置した。30分後、全腸管を反腸間膜縁に沿って開いて糞便分を取り除き、10%ホルマリン中で24時間固定した。組織サンプルを、以下に記載のように得て、小腸の全長を測定した。
詳細には、以下の組織サンプルを得た:
・回腸:回盲弁に近いほうの組織1cmを捨て、この端で(at this edge)、並びに第1の回腸サンプルから5cm離れたところで、回腸の1.5〜2cmの2つの試料を得た
・近位空腸:小腸全長の37.5%の近位端及び遠位端のそれぞれから5cm離れたところで、1.5〜2cmの2つの試料を得た
・遠位空腸:小腸全長の81%の近位端及び遠位端のそれぞれから5cm離れたところで、1.5〜2cmの2つの試料を得た。
固定後、組織をパラフィンブロックに包埋し、ヘマトキシリン及びエオシンで染色するために一連の3μmの連続切片に切断した。この処置を知らない2名の観察者によって、組織学的損傷を評価した。各切片に病変のスコア(1型〜3型)を与えた(表23)。
組織学的損傷の量的評価は、組織切片の全長に対する病変の全長のパーセンテージとして表した。
図1に、空腸及び回腸における1型、2型及び3型病変の組織学的所見を示す標本写真を表す。
組織のミエロペルオキシダーゼレベル(MPO)を、多形核細胞による粘膜浸潤の程度、そしてそれによりインドメタシンに誘発された腸症の重篤度を推定するための量的指標と仮定した。腸組織の試料(30mg)を、0.6mLの氷冷溶解緩衝液(200mM NaCl、5mM EDTA、10mM Tris、10%グリセリン、1mM PMSF、1μg/mlロイペプチン及び28μg/mlアプロチニン(pH7.4))中で、ポリトロンホモジナイザー(QIAGEN、イタリア国ミラノ)を用いて氷上でホモジナイズした。ホモジネートを、4℃、15分間、1.500gで2回遠心分離した。上澄みを1:5の比率で希釈して、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)(Hycult Biotech、オランダ国ウーデン)によってMPO濃度を決定するために使用した。すべてのサンプルは、採集の2日後以内に評価した。結果は、腸組織1mgあたりのMPO(ng)として表した。
ヘモグロビン分析は、Quantichrom Hemoglobinアッセイキット(Bioassay Systems、米国カリフォルニア州ヘーワード)を用いて、上記のように採集したラット血液サンプルに対して実施し、g/dLとして表した。
処置期間(14日)の終了時、インドメタシン処置群(グループ2)において4匹のラットが死亡したので、40%死亡率を示した。これに対して、胃抵抗性リファキシミン25mg/kg、胃抵抗性リファキシミン50mg/kg又はリファキシミン多形α50mg/kg1日2回とインドメタシンとの同時投与は、死に結びつかなかった。ベヒクル対照群(グループ1)においても、100%の生存率を記録した。
図2及び図3に、腸損傷の顕微鏡評価の結果を示す。対照動物(グループ1)から得られた空腸試料において、顕微鏡検査では1型、2型及び3型のいずれの病変も認められなかった(図2)。インドメタシン(1.5mg/kgを1日2回)の14日間の投与は、様々な程度の1型、2型及び3型病変の発生を引き起こした(図2)。
胃抵抗性リファキシミン25mg/kg、胃抵抗性リファキシミン50mg/kg又はリファキシミン多形α50mg/kgを1日2回与えると、1型病変の程度は低減したが、平均値に関して、インドメタシン群において評価された値と有意差があるとはいえなかった。これに対して、リファキシミンは、インドメタシン単独と比較して、2型病変を有意に低減させた。3型病変に関しては、リファキシミンで処置した実験群とインドメタシン単独とを比較した場合に、有意差が認められなかった(図2)。
回腸において、インドメタシン投与は、対照動物と比較して、1型及び2型病変の発生を引き起こす一方、3型病変の発生については有意差が認められなかった(図3)。胃抵抗性リファキシミン25mg/kg、胃抵抗性リファキシミン50mg/kg又はリファキシミン多形α50mg/kgで1日2回の処置は、1型病変の有意な低減を導く一方、2型病変の発生について有意差は認識されなかった(図3)。3型病変に関して、対照と他の薬物処置群とを比較しても有意差があるとはいえなかった(図3)。
組織のミエロペルオキシダーゼ(MPO)レベルの結果を図4に示す。インドメタシン(1.5mg/kgを1日2回)で14日間処置したラット由来の空腸試料において検出された組織のミエロペルオキシダーゼ(MPO)レベルは、対照と比較して有意に増大した(図4)。インドメタシンの存在下、胃抵抗性リファキシミン25mg/kg又は50mg/kgを1日2回与えるとMPOレベルが有意に低下する一方、リファキシミン多形α50mg/kgを1日2回与えると、いかなる関連する効果も奏さなかった(図4)。回腸において、インドメタシンは組織のMPOレベルの有意な増大も引き起こし、この増大は、胃抵抗性リファキシミン25mg/kg、胃抵抗性リファキシミン50mg/kg又はリファキシミン多形α50mg/kgを1日2回与えることによって抑えられた(図4)。
血中ヘモグロビンの結果を、図5に示す。インドメタシン(1.5mg/kgを1日2回)で14日間処置した動物は、血中ヘモグロビン濃度の有意な低下を示した。胃抵抗性リファキシミンで処置した動物はいずれの用量においても、ヘモグロビンレベルが、対照動物で記録されたレベルと有意に異ならない一方で、リファキシミン多形α50mg/kgで1日2回処置したラットにおいては、ヘモグロビンレベルが低下した(図5)。
表24は、死亡率、血中ヘモグロビン及び組織のミエロペルオキシダーゼレベルに対するインドメタシン単独の効果、又はインドメタシンを、胃抵抗性リファキシミンもしくはリファキシミン多形αと組み合わせた効果を示す。
上記の結果から見て、常習的なインドメタシン投与は、腸損傷、組織多形核細胞浸潤物及び消化血液損失の発生を引き起こした。
胃抵抗性リファキシミンを25mg/kg及び50mg/kgで1日2回投与すると、いずれも、インドメタシンで処置したラット(死亡率:40%)に対する死亡率の低下(死亡率:0%)、インドメタシンで処置した動物に対する組織のMPOレベルの有意な低下、及び組織学的損傷の全般的な改善を引き起こしたが、回腸及び空腸において記載される損傷の各型(1型、2型及び3型)については有意な効果がない場合もあった。
胃抵抗性リファキシミン(EIRリファキシミン)の投与は、結果として、NSAID腸損傷の治療又は予防において、胃抵抗性でないリファキシミンよりも有効であった。
リファキシミンが存在すると、対照(リファキシミンが存在しない)よりも効果的である。インドメタシン起因性腸症の抑制において、リファキシミンαは、胃抵抗性リファキシミンよりも効果が低いようである。
胃抵抗性リファキシミンはインドメタシン起因性損傷の予防に効果的であり、ヒトと対比して動物において使用される合計1日用量、又はヒト等価用量補正因子を用いて用量(mg/kg)を比較することが可能である。例えば、胃抵抗性リファキシミン(ヒト等価用量0.5mg/kgに相当する1日3mg/kgを14日間)の場合、ヒト等価用量は8mg/kg〜16mg/kgの範囲にある。
ヒト等価用量に換算して、動物モデルにおいて投与された有効リファキシミン投薬量は、臨床試験において使用された用量(27mg/kg)よりも低い(8mg/kg)か又はわずかに低く(16mg/kg)、たとえヘモグロビンレベル、MPO及び組織学的損傷がヒトにおいて評価されたとしても、同様の結果が期待される。
(実施例17:ラットのインドメタシン及びジクロフェナク起因性腸症における、胃抵抗性リファキシミンの効果)
体重500〜600g(40週齢)の雄性Albino Sprague Dawleyラット合計142匹を評価した。
オメプラゾールの存在下又は非存在下で、66匹の雄性Albino Sprague Dawleyラットにインドメタシンを用いて腸症を誘発させ、54匹の雄性Albino Sprague Dawleyラットにジクロフェナクを用いて腸症を誘発させた。
インドメタシンを用いて腸症を誘発させた動物を、以下のようにグループ1〜7において用意した:
グループ1:薬物ベヒクルで14日間処置した動物10匹(正常対照)
グループ2:インドメタシン1.5mg/kgで1日2回、14日間処置した動物15匹(インドメタシンにより潰瘍形成した対照)
グループ3:オメプラゾール0.7mg/kgで1日1回と一緒に、インドメタシン1.5mg/kgで1日2回を14日間、併用処置した動物15匹(インドメタシン+オメプラゾールにより潰瘍形成した対照)
グループ4:胃抵抗性リファキシミン(50mg/kgを1日2回)と一緒に、インドメタシン1.5mg/kgで1日2回を14日間、併用処置した動物12匹
グループ5:胃抵抗性リファキシミン(50mg/kgを1日2回)と一緒に、インドメタシン(1.5mg/kgを1日2回)及びオメプラゾール(0.7mg/kg/日)を14日間、併用処置した動物12匹
グループ6:胃抵抗性リファキシミン(50mg/kgを1日2回)と一緒に、オメプラゾールを14日間、併用処置した動物12匹(オメプラゾール対照)
グループ7:胃抵抗性リファキシミン50mg/kgで1日2回の前処置を1週間行い、次いで胃抵抗性リファキシミン(50mg/kgを1日2回)と一緒にインドメタシンを14日間、併用処置した動物12匹。
ジクロフェナクを用いて腸症を誘発させた動物を、以下のようにグループ8〜11において用意した:
グループ8:ジクロフェナク4mg/kgで1日2回処置した動物15匹(ジクロフェナクにより潰瘍形成した対照)
グループ9:ジクロフェナク4mg/kgで1日2回及びオメプラゾール0.7mg/kgで1日1回処置した動物15匹(ジクロフェナク及びオメプラゾールにより潰瘍形成した対照)
グループ10:胃抵抗性リファキシミン(50mg/kgを1日2回)と一緒に、ジクロフェナクを14日間、併用処置した動物12匹
グループ11:胃抵抗性リファキシミン(50mg/kgを1日2回)と一緒に、ジクロフェナク及びオメプラゾールを14日間、併用処置した動物12匹。
より具体的には、グループ1〜11を、以下のように処置した:
グループ1には、1%メチルセルロース(0.3ml/ラット)及び1%メチルセルロース(1ml/ラット)を14日間与えた
グループ2の空腹でないラットは、1%メチルセルロース中に懸濁して0.3ml/ラットの容量で投与されるインドメタシン1.5mg/kgで1日2回を、胃内経路によって14日間処置した
グループ3の空腹でないラットは、1%メチルセルロース中に懸濁して0.3ml/ラットの容量で投与される、インドメタシン1.5mg/kgで1日2回+オメプラゾール0.7mg/kgで1日1回を、胃内経路によって14日間処置した
グループ4には、1%メチルセルロース(1ml/ラット)中に懸濁した胃抵抗性リファキシミン(50mg/kg;ラット12匹/群)を1日2回、インドメタシン投与の1時間前に与えた
グループ5には、1%メチルセルロース(1ml/ラット)中に懸濁した胃抵抗性リファキシミン(50mg/kg;ラット12匹/群)を1日2回、インドメタシン投与+オメプラゾール0.7mg/kg1日1回の1時間前に与えた
グループ6には、1%メチルセルロース(1ml/ラット)中に懸濁した胃抵抗性リファキシミン(50mg/kg;ラット12匹/群)を1日2回、オメプラゾール0.7mg/kg1日1回の1時間前に与えた
グループ7は、胃抵抗性リファキシミン50mg/kgで1日2回の前処置を1週間行い、次いでインドメタシンと、インドメタシン投与の1時間前の胃抵抗性リファキシミンとを14日間、併用処置した
グループ8の空腹でないラットは、1%メチルセルロース中に懸濁して0.3ml/ラットの容量で投与されるジクロフェナク4mg/kgで1日2回を、胃内経路によって14日間処置した
グループ9の空腹でないラットは、1%メチルセルロース中に懸濁して0.3ml/ラットの容量で投与される、ジクロフェナク4mg/kgで1日2回+オメプラゾール0.7mg/kgで1日1回を、胃内経路によって14日間処置した
グループ10には、1%メチルセルロース(1ml/ラット)中に懸濁した胃抵抗性リファキシミン(50mg/kg;ラット12匹/群)を1日2回、ジクロフェナク投与の1時間前に与えた
グループ11には、1%メチルセルロース(1ml/ラット)中に懸濁した胃抵抗性リファキシミン(50mg/kg;ラット12匹/群)を1日2回、ジクロフェナク投与+オメプラゾール0.7mg/kg1日1回の1時間前に与えた。
最終用量の24時間後、ラットを安楽死させ、ヘモグロビンレベルの評価のために血液サンプルを採集した。
全腸管を取り出して、腸組織試料を、空腸及び回腸における組織のミエロペルオキシダーゼ(MPO)レベルの評価、組織の好中球浸潤の指標、組織のマロンジアルデヒド(MDA)レベルの評価、脂質過酸化反応の指標、及び腸損傷の組織学的分析のために処理した。
ヘモグロビン分析は、Quantichrom Hemoglobinアッセイキット(Bioassay Systems、米国カリフォルニア州ヘーワード)を用いて、上記のように採集した血液サンプルに対して実施し、g/dLとして表した。
MPOは、Fornaiら、NSAID-Induced Enteropathy: Are the Currently Available Selective COX-2 Inhibitors All the Same, J Pharmacol Exp Ther January 2014 348: 86-95に記載されるように評価し、多形核細胞による腸壁浸潤の程度を推定するための量的指標と仮定した。
腸組織の試料30mgを、pH7.4で200mM NaCl、5mM EDTA、10mM Tris、10%グリセリン、1mMフッ化フェニルメチルスルホニル、1μg/mlロイペプチン及び28μg/mlアプロチニンからなる0.6mLの氷冷溶解緩衝液中で、ポリトロンホモジナイザー(QIAGEN、イタリア国ミラノ)を用いて氷上でホモジナイズした。ホモジネートを、41mMで15分間、1.500gで2回遠心分離した。上澄みを1:5の比率で希釈して、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)(Hycult Biotech、オランダ国ウーデン)によってMPO濃度を決定するために使用した。すべてのサンプルは、実施例15に記載のように評価した。結果は、腸組織1mgあたりのMPO(ng)として表した。
腸組織中のMDA濃度を、Fornaiら、NSAID-Induced Enteropathy: Are the Currently Available Selective COX-2 Inhibitors All the Same? J Pharmacol Exp Ther January 2014 348: 86-95に記載されるように膜脂質過酸化反応の量的推定を得るために測定した。この目的のために、腸組織を切除し、重量を量り、ピンセットで細かく刻み、ポリトロンホモジナイザー(QIAGEN、イタリア国ミラノ)を用いてTris−HCl 20mM(pH7.4)からなる2mlの冷緩衝液中でホモジナイズし、そして1,500gで10分間、4℃で遠心分離した。次いで、上澄みのアリコートを、続くアッセイ手順のために使用した。粘膜MDA濃度を、比色アッセイキット(Cayman Chemical、米国ミシガン州アナーバー)を用いて推定した。結果は、腸組織1mgあたりのMDA(ng)として表した。
腸損傷の組織学的評価は、前述のFornaiら、NSAID-Induced Enteropathy: Are the Currently Available Selective COX-2 Inhibitors All the Same? J Pharmacol Exp Ther January 2014 348: 86-95のように実施した。
取り出してすぐ、全腸管に10%ホルマリンを速やかに注入して、同じ固定液中に放置した。30分後、全腸管を反腸間膜縁に沿って開いて糞便分を取り除き、10%ホルマリンで24時間固定した。組織サンプルを、偏りを除外するために以下に記載のように得た:
小腸の全長を測定した。詳細には:
・近位空腸:小腸全長の37.5%の近位端及び遠位端のそれぞれから5cm離れたところで、1.5〜2cmの2つの試料を得た
・遠位空腸:小腸全長の81%の近位端及び遠位端のそれぞれから5cm離れたところで、1.5〜2cmの2つの試料を得た
・回腸:回盲弁に近いほうの組織1cmを捨て、この端で、並びに第1の回腸サンプルから5cm離れたところで、回腸の1.5〜2cmの2つの試料を得た。
空腸及び回腸の断片をパラフィンブロックに包埋し、3連の7〜8μm連続切片に切断した。これらの薄片を、ブロックの2つの異なるポイントで切断した:表面上の2つ及びより深い場所で3つ。各薄片を、ヘマトキシリン及びエオシンで染色するためにスライド上に置いた。この処置を知らない2名の観察者によって、Fornai ら、NSAID-Induced Enteropathy: Are the Currently Available Selective COX-2 Inhibitors All the Same? J Pharmacol Exp Ther January 2014 348: 86-95によって提案されたスコアシステムに従って組織学的損傷を評価した。
腸損傷を、表27に記載のように分類した。この表では、図1の写真について空腸及び回腸の1型、2型及び3型病変の組織学的所見に対して言及がなされる。
結果を、平均値±平均値の標準誤差(S.E.M.)として表した。データの統計的有意性を、一元配置分散分析(ANOVA)、次いでStudent-Newman-Keulsテストによる事後解析によって評価し、0.05未満のP値を有意であるとみなした。すべての統計的手順は、GraphPad Prism 3.0ソフトウェア(GraphPad Prism、米国カリフォルニア州サンディエゴ)を用いて実施した。
処置期間の終了時、表25及び表26に示されるように、インドメタシンで処置した群は、死亡率13.3%を示した。インドメタシン+オメプラゾールで処置した群(グループ3)、胃抵抗性リファキシミンによる1週間の前処置をしてからインドメタシン及び胃抵抗性リファキシミンで処置した群(グループ7)、又はインドメタシン及び胃抵抗性リファキシミンで処置した群(グループ4)において、死亡率はより低く、それぞれ6.7%、8.3%及び8.3%であり、一方、表26に示されるように、インドメタシン+オメプラゾール及び胃抵抗性リファキシミンで処置した動物(グループ5)又はオメプラゾール及び胃抵抗性リファキシミンで処置した動物(グループ6)では死亡が認められなかった。表25及び表26に示されるように、46.7%に相当する最も顕著な死亡率が、ジクロフェナクで処置した動物(グループ8)において認められた。ジクロフェナク及びオメプラゾールで処置した動物(グループ9)又はジクロフェナク及び胃抵抗性リファキシミンで処置した動物(グループ10)において、死亡率は、ジクロフェナク単独で処置した動物と比較して有意に低く、それぞれ、6.7%及び13.3%であり、一方、ジクロフェナク+オメプラゾール及び胃抵抗性リファキシミンで処置した動物(グループ11)はすべて生存した(表26)。
インドメタシン(1.5mg/kgを1日2回)又はジクロフェナク(4mg/kgを1日2回)で14日間処置した動物は、血中ヘモグロビン濃度において有意な低下を示した(表25)。
オメプラゾールの併用投与は、図6に表されるように、ヘモグロビン濃度の低下に影響を及ぼさなかった。
図6A及び図6Bに示されるように、胃抵抗性リファキシミンによる1週間の前処置をしてからインドメタシン及び胃抵抗性リファキシミンで処置した動物(グループ7)、又はインドメタシン及び胃抵抗性リファキシミンで処置した動物(グループ4)、又はインドメタシン+オメプラゾール及び胃抵抗性リファキシミンで処置した動物(グループ5)において、ヘモグロビンレベルは、インドメタシン+オメプラゾール(グループ3)と比較して有意に増大し、同時に、インドメタシン及び胃抵抗性リファキシミンで処置したラットにおいて、ヘモグロビンレベルは、インドメタシン単独で処置した群とも有意に異なっていた。同様に、ジクロフェナク及び胃抵抗性リファキシミン(グループ10)又はジクロフェナク+オメプラゾール及び胃抵抗性リファキシミン(グループ11)で処置した動物において、ヘモグロビンの濃度は、図6に表されるように、ジクロフェナク単独と比較して高かった。オメプラゾール及び胃抵抗性リファキシミンで処置したラット(グループ6)において、血液ヘモグロビンレベルにおける有意な変化は見られなかった(図6A及び図6B)。
対照ラットから切除した空腸試料におけるMPOレベルは、表25に示されるように、9.74ng/mg組織に相当した。表25に示されるように、インドメタシン(1.5mg/kgを1日2回)又はジクロフェナク(4mg/kgを1日2回)で14日間処置した動物におけるMPOレベルは、それぞれ、24.84ng/mg組織及び20.37ng/mg組織まで増大し、これは対照と比較して有意な増大であった。回腸において、対照動物におけるMPO濃度は、7.48ng/mg組織であった。
インドメタシン1.5mg/kgを1日2回又はジクロフェナク4mg/kgを1日2回の14日間の投与によって、表25に示されるように、それぞれ、MPOが21.42ng/mg組織及び19.35ng/mg組織まで増大し、これは対照と比較して有意な増大であった。
インドメタシン+オメプラゾールで処置したラットの空腸において、MPOレベルは、インドメタシン単独よりも低かったが、これらの値は、対照値と比較すると有意に高かった。
図7Aに表されるように、胃抵抗性リファキシミンによる1週間の前処置をしてからインドメタシン及び胃抵抗性リファキシミンで処置した動物(グループ7)、又はインドメタシン及び胃抵抗性リファキシミンで処置した動物(グループ4)、又はインドメタシン+オメプラゾール及び胃抵抗性リファキシミンで処置した動物(グループ5)、又はオメプラゾール+胃抵抗性リファキシミンで処置した動物は、空腸のMPOレベルが、対照ラットにおいて観察されたMPOレベルと類似していた。
図7Bに表されるように、胃抵抗性リファキシミンによる1週間の前処置をしてからインドメタシン及び胃抵抗性リファキシミンで処置したラット(グループ7)、又はインドメタシン及び胃抵抗性リファキシミンで処置したラット(グループ4)、又はインドメタシン+オメプラゾール及び胃抵抗性リファキシミンで処置したラット(グループ5)、又はオメプラゾール+胃抵抗性リファキシミンで処置したラットの回腸において、インドメタシン単独で処置した動物と比較して、MPO濃度における有意な減少がみられた。図7Cに表されるように、ジクロフェナクで処置したラットにおいて、オメプラゾールとの併用投与は、空腸のMPOレベルにおける有意な変化をもたらさなかったが、一方、ジクロフェナク及び胃抵抗性リファキシミン、ジクロフェナク+オメプラゾール及び胃抵抗性リファキシミン、又はオメプラゾール及び胃抵抗性リファキシミンで処置した動物において、MPO濃度は、対照動物で観測された濃度と類似していた。図7Dに表されるように、回腸においても、MPOレベルの類似のパターンが認められた。
対照ラットの空腸において、表26に示されるように、MDA濃度は28.23nmol/mg組織であった。インドメタシン(1.5mg/kgを1日2回)又はジクロフェナク(4mg/kgを1日2回)で14日間処置した動物は、表26に示されるように、それぞれ、66.15nmol/mg組織及び69.44nmol/mg組織の空腸MDAレベル増分を示し、これは対照と比較して有意な増分であった。
回腸において、対照動物のMDAレベルは、表26に示されるように、20.63nmol/mg組織であった。インドメタシン又はジクロフェナクによる処置によって、表26に示されるように、それぞれ、MDAレベルは54.47nmol/mg組織及び67.1nmol/mg組織まで増大し、これは対照と比較して有意な増大であった。
インドメタシンで処置したラットにおいて、オメプラゾールとの併用投与は、空腸及び回腸のいずれにおいてもMDAレベルに影響を与えなかった(図8A及び図8B)。図8A及び図8Bに表されるように、空腸及び回腸の両方において、胃抵抗性リファキシミンによる1週間の前処置をしてからインドメタシン及び胃抵抗性リファキシミンで処置した動物(グループ7)、又はインドメタシン及び胃抵抗性リファキシミンで処置した動物(グループ4)、又はインドメタシン+オメプラゾール及び胃抵抗性リファキシミンで処置した動物(グループ5)、又はオメプラゾール+胃抵抗性リファキシミンで処置した動物では、MDAレベルの有意な低下が認められ、対照動物由来の腸組織で観測されたものと類似の値に到達した。
ジクロフェナク+オメプラゾールで処置したラットの空腸及び回腸において観測されたMDAレベルは、図8C及び図8Dに表されるように、ジクロフェナク単独で処置した動物において観測されたレベルと類似していた。図8C及び図8Dに表されるように、ジクロフェナク及び胃抵抗性リファキシミン、並びにジクロフェナク+オメプラゾール及び胃抵抗性リファキシミンで処置したラットにおいて、空腸及び回腸におけるMDA濃度は、ジクロフェナクで処置した群において得られた値と比較して低下したものの、対照ラットの値よりは有意に高かった。
対照動物から得られた空腸及び回腸において、表27に示されるように、顕微鏡検査からは1型、2型及び3型のいかなる病変も現れなかった。インドメタシン1.5mg/kgを1日2回又はジクロフェナク4mg/kgを1日2回で14日間投与することによって、表27に示されるように、空腸及び回腸の両方において様々な程度の1型、2型及び3型病変が発生した。
インドメタシンで処置したラットの空腸において、オメプラゾールとの併用投与は、1型、2型及び3型病変のいずれにおいても有意な低減を引き起こした。
図9に表されるように、胃抵抗性リファキシミンによる1週間の前処置をしてからインドメタシン及び胃抵抗性リファキシミンで処置した動物(グループ7)、又はインドメタシン及び胃抵抗性リファキシミンで処置した動物(グループ4)、又はインドメタシン+オメプラゾール及び胃抵抗性リファキシミンで処置した動物(グループ5)、又はオメプラゾール+胃抵抗性リファキシミンで処置した動物(グループ6)において、空腸病変はインドメタシン単独で処置した群と比較して有意に低減したか又は空腸病変そのものが存在しなかった。
インドメタシン+オメプラゾールで処置したラット由来の回腸において、1型、2型及び3型病変の割合は、インドメタシン単独で処置した動物において観測された割合と類似していた。
図10に表されるように、胃抵抗性リファキシミンによる1週間の前処置をしてからインドメタシン及び胃抵抗性リファキシミンで処置したラット(グループ7)、又はインドメタシン及び胃抵抗性リファキシミンで処置したラット(グループ4)、又はインドメタシン+オメプラゾール及び胃抵抗性リファキシミンで処置したラット(グループ5)、又はオメプラゾール+胃抵抗性リファキシミンで処置したラット(グループ6)において、回腸における病変はインドメタシン単独で処置した群と比較して有意に低減したか又は病変そのものが存在しなかった。
ジクロフェナク単独で処置した動物と比較すると、ジクロフェナク+オメプラゾールで処置したラットでは、空腸の2型病変が有意に高い一方、1型及び3型病変については差異が認められなかった。
図11に表されるように、ジクロフェナク及び胃抵抗性リファキシミンで処置した群(グループ10)、又はジクロフェナク+オメプラゾール及び胃抵抗性リファキシミンで処置した群(グループ11)において、すべての型の病変が、ジクロフェナク単独で処置したラットと比較して有意に低減した一方、オメプラゾール+胃抵抗性リファキシミンで処置した動物の空腸においては病変が認められなかった。
ジクロフェナク+オメプラゾールで処置した動物(グループ9)から切除された回腸は、ジクロフェナク単独で処置した動物において認められた1型、2型及び3型病変の割合と類似の割合を示した。
図12に表されるように、ジクロフェナク及び胃抵抗性リファキシミンで処置した群(グループ10)、又はジクロフェナク+オメプラゾール及び胃抵抗性リファキシミンで処置した群(グループ11)において、すべての型の病変は、ジクロフェナク単独で処置したラットにおいて認められたものと比較して有意に低減し、オメプラゾール+胃抵抗性リファキシミンで処置した動物由来の回腸に至っては、病変が観測されなかった。
用量50mg/kgで1日2回の胃抵抗性リファキシミンの投与は、NSAID単独又はNSAIDとPPIとの併用によって引き起こされる、組織の炎症性及び酸化的ストレスパラメータ並びに組織学的損傷スコアの顕著な改善をもたらした。
使用された胃抵抗性リファキシミンの用量は、1日16mg/kgのヒト等価用量に相当し、実施例18において使用された27mg/kgのヒト用量と同等である。
損傷を誘発させるためにラットの実験において使用されたジクロフェナク及びオメプラゾールの用量は、それぞれ、1.29mg/kg及び0.11mg/kgのヒト等価用量に相当し、2.5mg/kg及び0.33mg/kgのヒト用量と同等である。
これらの結果が示すところによると、胃抵抗性リファキシミンの投与(1日16mg/kgのヒト等価用量に相当する50mg/kg)は、NSAID投与開始の1週間前(この場合、PPI非存在)からNSAIDの各1日用量の1時間前までに投与されると、インドメタシンによって引き起こされる、組織の炎症性及び酸化的ストレスパラメータ並びに組織学的損傷スコアの顕著な改善をもたらす。臨床試験において、リファキシミンは、ジクロフェナク又はジクロフェナク+オメプラゾールと併用投与された。
実施例18において使用されたリファキシミンの有効な用量は、ヒト等価用量に換算して、臨床試験において使用された用量(27mg/kg)に対してわずかに低い(16mg/kg)だけなので、回腸及び空腸における組織学的結果並びにヘモグロビンレベル及びMPOの結果に関してのラット試験結果は、ヒトに対する損傷並びに炎症及び/又は心血管疾患の尺度として使用できるので、これらの試験が臨床試験においても実施された場合、類似の結果が得られることが期待される。
最近、Watanabeら(2013)は、PPIが、NSAIDを長期間投与する慢性関節リウマチの患者において小腸損傷を悪化させることを報告した。また、重篤な損傷を有する患者は、ラットにおいても認められたように、損傷のない患者よりもヘモグロビンレベルが有意に低く、ラットでは、ジクロフェナク又はジクロフェナク+PPIを使用することによって、対照群に対してヘモグロビンレベルを低減させることができる。本発明は、胃抵抗性リファキシミンが、14日間のNSAIDの投与と、腸損傷を悪化させるおそれさえあるPPIとの併用によって誘発された粘膜損傷の予防に有効であることを初めて証明した。実施例17におけるオメプラゾールとNSAIDとの併用投与は、ほとんど例外なく、腸損傷の評価パラメータに影響を及ぼさないようである。
(実施例18:健常な志願者においてジクロフェナクSR75mg錠剤1日2回+オメプラゾール20mgカプセル剤1日1回(OD)によって引き起こされる小腸病変の予防におけるリファキシミンの有効性)
60名の健常な志願者を無作為化単一施設臨床試験に登録して、健常な志願者において、ジクロフェナクSR75mg錠剤1日2回+オメプラゾール20mgカプセル剤1日1回(OD)によって引き起こされる小腸病変の予防におけるリファキシミン胃抵抗性細粒800mg(2x400mg錠剤)1日2回(BID)の有効性及び安全性を評価した。小腸の所見は、カプセル内視鏡(VCE)によって評価した。登録された志願者の人口統計学的特性(demography)及び他のベースライン・データを表28に示す。
この試験の志願者を登録するための主な選択基準は、
・18歳〜64歳(18歳も64歳も含めて)の、男性又は妊娠も授乳もしていない女性被験体;
・身体検査及び検査室評価について正常な所見;
・ベースラインVCEでせいぜい1つの粘膜障害;
・被験体が署名した、書面によるインフォームドコンセント
を含んでいた。
主な除外基準は、
・スクリーニング前4週間以内及びスクリーニング中の経口及び全身性のステロイド、他のNSAID(低用量アスピリン及びアミノサリチレートを含む)、生物製剤、スルファサラジン、ミソプロストール及び他の粘膜保護化合物、ビスホスホネートの使用;
・スクリーニング前8週間以内及びスクリーニング中のプロバイオティクス、プレバイオティクス、リファキシミン及び他の抗菌薬の使用;
・スクリーニング前2週間以内及びスクリーニング中の運動促進薬の使用;
・アルコールの乱用;
・十分な避妊をしない妊娠のリスク;
・活性な十二指腸及び/又は胃潰瘍、憩室炎、感染性胃腸炎、腸の狭窄又は閉塞の科学的根拠;
・治験責任医師の見解で試験への参加が排除される重大な病状
を含んでいた。
30名の健常な被験体を、無作為に2つの治療群に分けた:
グループ1:14日間、経口経路によって、ジクロフェナクSR75mg1錠を12時間ごと+オメプラゾール20mg1カプセルを1日1回+リファキシミンに対応するプラシーボ2錠を12時間ごと。
グループ2:14日間、経口経路によって、ジクロフェナクSR75mg1錠を12時間ごと+オメプラゾール20mg1カプセルを1日1回+リファキシミン胃抵抗性細粒剤400mg2錠を12時間ごと。
この試験は、以下からなるおよそ5週間の期間を有した:
スクリーニング期間:被験体候補者に臨床調査及び検査室検査を実施するためのスクリーニング来院、次いで来院2でのベースラインVCEの実施を含む
治療期間:適格な被験体を無作為化来院で無作為に2つの治療群に分けた。14日間の治療期間の各日、各被験体に、ジクロフェナク及びオメプラゾールと、リファキシミン又はリファキシミンに対応するプラシーボとを投与した
最終来院:最終薬物投与の36時間後以内に実施し、VCE、臨床評価及び検査室検査を盛り込んだ。
電話による追加調査を、最終来院の1週間後に実施した。
主要有効性評価項目基準は、最終来院において少なくとも1つの粘膜障害を発症する被験体のパーセンテージであり、VCEによって評価され、かつ表29に記載の有効スコアリングシステムに従って査定された。
副次的有効性評価項目は、小腸における粘膜病変の数のベースラインから最終来院までの変化、及び出血(外出血)を伴う/伴わない小腸における粘膜病変の数のベースラインから最終来院までの変化であった。
考慮される安全性パラメータは、有害事象(AE)、血液検査、臨床化学検査及び尿検査などの臨床検査パラメータ、並びに生命徴候であった。
ジクロフェナク+オメプラゾールによる2週間の治療の終了時、小腸に少なくとも1つの粘膜病変が現れた被験体の割合は、プラシーボ群においてリファキシミン群の2倍であり、具体的には、リファキシミン群の6名の被験体(20%に相当)に対してプラシーボ群では13名の被験体(43.3%に相当)で小腸に少なくとも1つの粘膜病変が現れた。特に、[病変が現れた被験体の割合]対[病変が現れなかった被験体の割合]は、プラシーボ群における43.3%対56.7%よりも、リファキシミン群においては20%対80%とはるかに低かった。このことは、表30に示されるように、14日間の治療の間ジクロフェナクによって引き起こされた粘膜損傷に対するリファキシミンの保護作用を強く示唆するものである。
ロジスティック回帰分析により、0.3269[95% CI 0.1035、1.0322](カイ配列 p値=0.0566)のオッズ比(OR)で、ジクロフェナク起因性粘膜病変に対するリファキシミン保護の傾向があることを確認した。性別を固定効果(fixed effect)及び年齢を共変量(covariate)として含む部分群分析において、治療間の差異は統計的に有意であった(OR 0.3074[95% CI 0.0950、0.9948];p値=0.0490)。
病変の総数におけるベースラインからの変化は、リファキシミン群よりもプラシーボ群のほうがより高かった(1.2±2.3 vs. 0.3±0.7)。最終評価で認められた粘膜病変はすべて、出血を伴わない病変であった。出血を伴う病変は認められなかった(表31)。負の2項回帰による統計分析の結果により、病変の総数(治療効果OR −1.4137[95% CI −2.4935、−0.3339])及び出血を伴わない病変(治療効果 OR −1.4404[95% CI −2.5266、−0.3541])におけるベースラインからの平均変化に対するリファキシミンの保護効果がはっきりと示された。この効果は統計的に有意であった(全病変及び出血を伴わない病変それぞれについて、p値=0.0103及び0.0094)。
とりわけ、最終来院での2週間の治療の終了時、大きなびらん/潰瘍(カテゴリー4)は、プラシーボ群の30%に相当する9名の被験体においてのみ認められた。リファキシミン群において大きなびらん/病変は認められなかった。プラシーボ群において認められた大きなびらん/潰瘍はすべて、出血を伴わない病変であった。
この試験において、ジクロフェナク起因性粘膜病変に対するリファキシミンの保護効果は、はっきりと認められた。主要有効性の結果が示すところによると、この試験の間を通じて小腸に少なくとも1つの粘膜病変が現れた被験体の数は、プラシーボ群よりもリファキシミン群のほうが少なかった。一方、ベースラインからの変化に対する副次的分析の結果から、病変の総数において統計的に有意な差がはっきりと示されかつ出血を伴わない病変の総数において統計的に有意な差がはっきりと示され、これにより、ジクロフェナク起因性胃腸障害に対するリファキシミンの保護作用が確認された。
(実施例19:健常な志願者にジクロフェナクSR75mg錠剤1日2回+オメプラゾール20mgカプセル剤1日1回とを併用投与したリファキシミン胃抵抗性細粒のリファキシミンの安全性)
胃腸障害に対するリファキシミンの保護効果への傾向は、試験の間にリファキシミン群及びプラシーボ群において示された、「治療中に発生した有害事象(TEAE)」の数にも反映された。実際、プラシーボ群と比較して、リファキシミン群において起こったTEAEの数はわずかに少なかった。
全体で97のTEAEが報告されたのだが、44のTEAEは、リファキシミン群において67.7%に相当する21名の被験体で生じ、53のTEAEは、プラシーボ群において73.3%に相当する22名の被験体で生じた。報告されたTEAEのうち66(リファキシミン群の14名の被験体において26、及びプラシーボ群の18名の被験体において40)は、治験責任医師によって治療に関連するものであると考えられ、表33に示される。特に、胃腸障害は、TEAEについて最も多く関連する器官別大分類(system organ class)であり、リファキシミン群において35.5%に相当する11名の被験体によって報告され、プラシーボ群では53.3%に相当する16名の被験体によって報告された。最も多く関連するTEAE(>5%)は、悪心(吐気)、上部腹痛、下痢及び腹部膨満であった。頭痛は、リファキシミン群においてのみ31名の被験体のうち3名によって報告された。腹痛、消化不良及びアラニンアミノトランスフェラーゼの増加は、頻度5%未満でプラシーボ群においてのみ報告された。この試験の間に死亡又は重篤な有害事象(SAE)はなかった。生命徴候又は検査室パラメータにおける臨床的に有意な変化は認められなかった。
胃腸障害に対するリファキシミンの保護への傾向は、この試験の間に報告された、治療中に発生した有害事象の数にも反映された。特に、胃腸障害は、リファキシミン群よりもプラシーボ群において、より高い頻度で生じた。全体的に、安全性の結果により、治験薬の好ましい耐容性プロファイルが確認される。
上記の実施例は、本開示の材料、組成物、システム及び方法の実施形態の作製方法及び使用方法を当業者に完全に開示し説明するために提供されるものであり、これらの開示は、本発明者らによる発明の範囲を限定する意図ではない。
これに関連して、要約すれば、第1の実施形態によると、NSAID投与を受けている個体において腸症を治療又は予防するための方法であって、NSAID投与との併用で、少なくとも1つの抗生物質の有効量及び必要に応じて用いてもよい少なくとも1つの胃酸分泌抑制剤の有効量を個体に投与することを含む方法が記載される。
第2の実施形態によると、腸症が腸管の病態である、第1の実施形態の方法が記載される。
第3の実施形態によると、NSAID投与が少なくとも1週間、少なくとも10日間又は少なくとも2週間の期間を有する、第1の実施形態又は第2の実施形態の方法が記載される。
第4の実施形態によると、少なくとも1つの抗生物質及び少なくとも1つの胃酸分泌抑制剤の併用投与のタイミング及び投薬量が、個体において、NSAID腸症を予防するために有効な量の抗生物質及び/又は胃酸分泌抑制剤を提供できるように選択される、第1〜第3の実施形態のいずれか一つの方法が記載される。
第5の実施形態によると、NSAIDが、アセトアミノフェン、アモキシプリン、ベノリラート、コリン、サリチル酸マグネシウム、ジフニサル、ファイスラミン、サリチル酸メチル、ASA(アミノサリチル酸)、サリチル酸マグネシウム、サリチル酸サリチル、ジクロフェナク、アセクロフェナク、アセクロフェナク、アセメタシン、ブロムフェナク、エトドラク、ケトロラク、ナブメトン、スリンダク、トルメチン、イブプロフェン、カルプロフェン、フェンブフェン、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、ロキソプロフェン、ナプロキセン、チアプロフェン酸、メフェナム酸、メクロフェナム酸、トルフェナム酸、フェニルブタゾン、アザプロパゾン、メタミゾール、オキシフェンブタゾン、ピロキシカム、ロルノキシカム、メロキシカム、テノキシカム、セレコキシブ、エトリコキシブ、ルミラコキシブ、パレコキシブ、ニメスリド、リコフェロン、インドメタシン、COX−2阻害剤並びにそれらの薬学的に許容可能な塩及び混合物の1又は複数のである、第1〜第4の実施形態のいずれか一つの方法が記載される。
第6の実施形態によると、NSAIDが、ジクロフェナク、ケトプロフェン、ナプロキセン、イブプロフェン及びそれらの混合物の1又は複数である、第1〜第4の実施形態のいずれか一つの方法が記載される。
第7の実施形態によると、NSAIDがジクロフェナクである、第1〜第4の実施形態のいずれか一つの方法が記載される。
第8の実施形態によると、少なくとも1つの抗生物質が、アミノグリコシド、アンフェニコール、アンサマイシン、β−ラクタム、カルバペネム、セファマイシン、モノバクタム、オキサセファム、リンコサミド、マクロライド、ポリペプチド、テトラサイクリン、2,4−ジアミノピリミジン系抗生物質、ペニシリン、ネオマイシン、メトロニダゾール、バンコマイシン、パロモマイシン、チミダゾール、クラリスロマイシン、アモキシシリン、スルファサラジン;オルサラジン;メサラミン;プレドニゾン;アザチオプリン;メルカプトプリン;メトトレキサート、アンピシリン、クリンダマイシン、リファンピシン、クロラムフェニコール、スペクチノマイシン、フルオロキノロン類及びセファロスポリン類、リファマイシン抗生物質並びにリファキシミンから選択される、第1〜第7の実施形態のいずれか一つの方法が記載される。
第9の実施形態によると、少なくとも1つの抗生物質がリファキシミンを含む、第1〜第7の実施形態のいずれか一つの方法が記載される。
第10の実施形態によると、リファキシミンが胃抵抗性リファキシミンである、第9の実施形態の方法が記載される。
第11の実施形態によると、少なくとも1つの胃酸分泌抑制剤がプロトンポンプ阻害薬であり、かつプロトンポンプ阻害薬がランソプラゾール、イラプラゾール、オメプラゾール、テナトプラゾール、ラベプラゾール、エソメプラゾール、パントプラゾール、パリプラゾール、レミノプラゾールもしくはネパプラゾール又はそれらの遊離塩基、遊離酸、塩、水和物、エステル、アミド、鏡像異性体、異性体、互変体、多形、プロドラッグもしくは任意の誘導体から選択される、第1〜第10の実施形態のいずれか一つの方法が記載される。
第12の実施形態によると、少なくとも1つの胃酸分泌抑制剤がオメプラゾールである、第1〜第10の実施形態のいずれか一つの方法が記載される。
第13の実施形態によると、少なくとも1つの抗生物質がリファキシミンであり、NSAIDがジクロフェナクであり、かつ少なくとも1つの胃酸分泌抑制剤がオメプラゾールである、第1〜第4の実施形態のいずれか一つの方法が記載される。
第14の実施形態によると、抗生物質及びNSAIDが1日2回投与される、第1〜第13の実施形態のいずれか一つの方法が記載される。
第15の実施形態によると、胃酸分泌抑制剤が1日1回投与される、第1〜第14の実施形態のいずれか一つの方法が記載される。
第16の実施形態によると、投与が、リファキシミンを20mg〜1200mgの量で1日1回又は2回;及びオメプラゾール5mg〜50mgを1日1回又は2回投与することを含む、第1〜第4の実施形態のいずれか一つの方法が記載される。
第17の実施形態によると、リファキシミンの量が、20mg、50mg、100mg、200mg、400mg、550mg、600mg、800mg又は1100mgである、第16の実施形態の方法が記載される。
第18の実施形態によると、投与が、リファキシミンを20mg〜1200mgの量で1日1回、1日2回、1日3回又は1日4回投与することを含む、第1〜第4の実施形態のいずれか一つの方法が記載される。
第19の実施形態によると、リファキシミンの量が、20mg、50mg、100mg、200mg、400mg、550mg、600mg、800mg又は1100mgから選択される、第18の実施形態の方法が記載される。
第20の実施形態によると、NSAID投与が、少なくとも1週間〜1か月若しくは2か月の治療期間又はNSAIDによる治療が必要とされる全ての期間実施される、第1〜第19の実施形態のいずれか一つの方法が記載される。
第21の実施形態によると、NSAID投与を受けている個体において腸症を治療又は予防するためのシステムであって、第1〜第20の実施形態のいずれか一つに記載の方法において、少なくとも1つの抗生物質及び少なくとも1つの胃酸分泌抑制剤を同時使用、併用又は逐次使用するために含むシステムが記載される。
第22の実施形態によると、抗生物質が吸収性の低い抗生物質である、第21の実施形態のシステムが記載される。
第23の実施形態によると、抗生物質が、アミノグリコシド、アンフェニコール、アンサマイシン、β−ラクタム、カルバペネム、セファマイシン、モノバクタム、オキサセファム、リンコサミド、マクロライド、ポリペプチド、テトラサイクリン、2,4−ジアミノピリミジン系抗生物質、ペニシリン、ネオマイシン、メトロニダゾール、バンコマイシン、パロモマイシン、チミダゾール、クラリスロマイシン、アモキシシリン、スルファサラジン;オルサラジン;メサラミン;プレドニゾン;アザチオプリン;メルカプトプリン;メトトレキサート、アンピシリン、クリンダマイシン、リファンピシン、クロラムフェニコール、スペクチノマイシン、フルオロキノロン類及びセファロスポリン類、リファマイシン抗生物質又はリファキシミンから選択される1又は複数である、第21の実施形態のシステムが記載される。
第24の実施形態によると、抗生物質がリファキシミンである、第21の実施形態のシステムが記載される。
第25の実施形態によると、リファキシミンが胃抵抗性リファキシミンである、第24の実施形態のシステムが記載される。
第26の実施形態によると、胃酸分泌抑制剤がプロトンポンプ阻害薬又はミソプロストールである、第1〜第26の実施形態のいずれか一つのシステムが記載される。
第27の実施形態によると、胃酸分泌抑制剤がプロトンポンプ阻害薬であり、かつプロトンポンプ阻害薬がランソプラゾール、イラプラゾール、オメプラゾール、テナトプラゾール、ラベプラゾール、エソメプラゾール、パントプラゾール、パリプラゾール、レミノプラゾールもしくはネパプラゾール又はそれらの遊離塩基、遊離酸、塩、水和物、エステル、アミド、鏡像異性体、異性体、互変体、多形、プロドラッグもしくは任意の誘導体の1又は複数である、第21〜第25の実施形態のいずれか一つのシステムが記載される。
第28の実施形態によると、胃酸分泌抑制剤がオメプラゾールである、第21〜第25の実施形態のいずれか一つのシステムが記載される。
第29の実施形態によると、抗生物質及び胃酸分泌抑制剤が、サシェ、顆粒剤、ペレット剤、カプセル剤及び/又は錠剤などのマルチ投与用組成物(multidosage composition)において投与される、第21〜第28の実施形態のいずれか一つのシステムが記載される。
第30の実施形態によると、治療又は予防が必要とされる個体において、疼痛又は炎症を治療又は予防するための方法であって、少なくとも1つのNSAIDの有効量を、少なくとも1つの抗生物質の有効量及び少なくとも1つの胃酸分泌抑制剤の有効量と併用して個体に投与することを含む方法が記載される。
第31の実施形態によると、少なくとも1つのNSAIDの有効量の投与が、少なくとも1週間、少なくとも10日間又は少なくとも2週間実施される、第30の実施形態の方法が記載される。
第32の実施形態によると、投与が、NSAIDを個体に少なくとも1日2回投与することによって実施され、この投与が、NSAIDと第1の抗生物質又は胃酸分泌抑制剤とを少なくとも1日1回投与すること、及びNSAIDと第2の抗生物質又は胃酸分泌抑制剤とを少なくとも1日1回投与することを含む、第30又は第31の実施形態の方法が記載される。
第33の実施形態によると、第1の抗生物質又は第2の抗生物質又はその両方が非吸収抗生物質である、第32の実施形態の方法が記載される。
第34の実施形態によると、NSAIDが、ジクロフェナク、ケトプロフェン、ナプロキセン、イブプロフェン及びそれらの混合物の1又は複数である、第30〜第33の実施形態のいずれか一つの方法が記載される。
第35の実施形態によると、NSAIDがジクロフェナクである、第30〜第34の実施形態のいずれか一つの方法が記載される。
第36の実施形態によると、第1の抗生物質又は第2の抗生物質又はその両方がリファキシミンである、第30〜第35の実施形態のいずれか一つの方法が記載される。
第37の実施形態によると、少なくとも1つの胃酸分泌抑制剤がオメプラゾールである、第30〜第36の実施形態のいずれか一つの方法が記載される。
第38の実施形態によると、投与が、
・リファキシミンを20mg〜1200mgの量で1日1回又は2回;
・ジクロフェナクを50mg〜100mgの量で1日1回又は2回及び
・オメプラゾール10mg〜40mgを1日1回又は2回
投与することを含む、第30〜第37の実施形態のいずれか一つの方法が記載される。
第39の実施形態によると、疼痛又は炎症を治療又は予防するシステムであって、第30〜第38の実施形態のいずれか一つの方法において、少なくとも1つのNSAIDの有効量と、抗生物質及び胃酸分泌抑制剤の少なくとも1つの有効量とを同時使用、併用又は逐次使用するために含むシステムが記載される。
第40の実施形態によると、少なくとも1つのNSAIDと、抗生物質又は胃酸分泌抑制剤の少なくとも1つの有効量とが、マルチ投与用組成物において投与される、第39の実施形態のシステムが記載される。
第41の実施形態によると、少なくとも1つのNSAID、少なくとも1つの抗生物質及び少なくとも1つの胃酸分泌抑制剤が、サシェ、顆粒剤、ペレット剤、カプセル剤又は錠剤から選択される形態のマルチ投与用組成物において投与される、第34の実施形態のシステムが記載される。
第42の実施形態によると、治療又は予防が必要とされる個体において、疼痛又は炎症を治療又は予防するための医薬組成物であって、少なくとも1つのNSAIDの有効量及び少なくとも1つの抗生物質の有効量を含む医薬組成物が記載される。
第43の実施形態によると、少なくとも1つの胃酸分泌抑制剤をさらに含む、第42の実施形態の医薬組成物が記載される。
第44の実施形態によると、経口投与用に処方される、第42〜第43の実施形態のいずれか一つの医薬組成物が記載される。
第45の実施形態によると、NSAID投与を受けている個体において腸症を治療又は予防するための方法であって、NSAID投与を受けている個体に、リファキシミンの有効量を、必要に応じて少なくとも1つの胃酸分泌抑制剤と併用投与することを含む方法が記載される。
第46の実施形態によると、リファキシミンの有効量が1日あたり20mg〜3300mgである、第45の実施形態の方法が記載される。
第47の実施形態によると、投与が、リファキシミンを20mg〜1200mgの量で1日1回、1日2回、1日3回又は1日4回投与することによって実施される、第45又は第46の実施形態の方法が記載される。
第48の実施形態によると、リファキシミンが、20mg、50mg、100mg、200mg、400mg、550mg、600mg、800mg又は1100mgから選択される量である、第47の実施形態の方法が記載される。
第49の実施形態によると、投与が、リファキシミンを100mg〜1100mgの量で1日1回、1日2回、1日3回又は1日4回もしくはそれより多い頻度で投与することによって実施される、第45〜第48の実施形態のいずれか一つの方法が記載される。
第50の実施形態によると、投与が、リファキシミンを400mg〜800mgの量で1日1回、1日2回、1日3回又は1日4回もしくはそれより多い頻度で投与することによって実施される、第45〜第49の実施形態のいずれか一つの方法が記載される。
第51の実施形態によると、リファキシミンが胃抵抗性型である、第45〜第50の実施形態のいずれか一つの方法が記載される。
第52の実施形態によると、オメプラゾールを10mg〜40mgの量で1日1回又は2回投与することをさらに含む、第45〜第51の実施形態のいずれか一つの方法が記載される。
第53の実施形態によると、腸症が腸管の病態である、第38〜第45の実施形態のいずれか一つの方法が記載される。
第54の実施形態によると、NSAIDの投与が、少なくとも1週間、少なくとも10日間又は少なくとも2週間の期間を有する、第45〜第53の実施形態のいずれか一つの方法が記載される。
第55の実施形態によると、第45〜第54の実施形態のいずれか一つの方法において、リファキシミンの有効量と、少なくとも1つの、NSAIDの有効量及び胃酸分泌抑制剤の有効量とを同時使用、併用又は逐次使用するために含む、NSAID投与を受けている個体において腸症を治療又は予防するためのシステムが記載される。
第56の実施形態によると、リファキシミン及びNSAIDが単一統合剤形に含まれる、第55の実施形態のシステムが記載される。
第57の実施形態によると、リファキシミン及びNSAIDが別々の剤形に含まれる、第55の実施形態のシステムが記載される。
第58の実施形態によると、リファキシミンが、200mg、400mg、550mg、600mg、800mg又は1100mgの1又は複数の投薬量に含まれる、第55〜第57の実施形態のいずれか一つのシステムが記載される。
第59の実施形態によると、リファキシミンが胃抵抗性型である、第55〜第58の実施形態のいずれか一つのシステムが記載される。
第60の実施形態によると、少なくとも1つのNSAIDが、5〜1500mgの投薬量に含まれる、第55〜第59の実施形態のいずれか一つのシステムが記載される。
第61の実施形態によると、少なくとも1つの胃酸分泌抑制剤がオメプラゾールを10mg〜40mgの1又は複数の投薬量に含み、この投薬量が1日1回又は2回投与される、第55〜第60の実施形態のいずれか一つのシステムが記載される。
第62の実施形態によると、NSAID投与を受けている個体において腸症を治療又は予防するための方法であって、NSAID投与との併用で、少なくとも1つのPXRアゴニストの有効量及び少なくとも1つの胃酸分泌抑制剤の有効量を個体に投与することを含む方法が記載される。
第63の実施形態によると、腸症が腸管の病態である、第62の実施形態の方法が記載される。
第64の実施形態によると、NSAID投与が、少なくとも1週間、少なくとも10日間又は少なくとも2週間の期間を有する、第62又は第63の実施形態の方法が記載される。
第65の実施形態によると、少なくとも1つのPXRアゴニスト及び少なくとも1つの胃酸分泌抑制剤の併用投与のタイミング及び投薬量が、個体において、NSAID腸症を予防するために有効な量のPXRアゴニスト及び/又は胃酸分泌抑制剤を提供できるように選択される、第62〜第64の実施形態のいずれか一つの方法が記載される。
第66の実施形態によると、NSAIDが、アセトアミノフェン、アモキシプリン、ベノリラート、コリン、サリチル酸マグネシウム、ジフニサル、ファイスラミン、サリチル酸メチル、ASA(アミノサリチル酸)、サリチル酸マグネシウム、サリチル酸ナトリウム、ジクロフェナク、アセクロフェナク、アセクロフェナク、アセメタシン、ブロムフェナク、エトドラク、ケトロラク、ナブメトン、スリンダク、トルメチン、イブプロフェン、カルプロフェン、フェンブフェン、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、ロキソプロフェン、ナプロキセン、チアプロフェン酸、メフェナム酸、メクロフェナム酸、トルフェナム酸、フェニルブタゾン、アザプロパゾン、メタミゾール、オキシフェンブタゾン、ピロキシカム、ロルノキシカム、メロキシカム、テノキシカム、セレコキシブ、エトリコキシブ、ルミラコキシブ、パレコキシブ、ニメスリド、リコフェロン、インドメタシン、COX−2阻害剤及びそれらの薬学的に許容可能な塩の1又は複数である、第62〜第65の実施形態のいずれか一つの方法が記載される。
第67の実施形態によると、NSAIDが、ジクロフェナク、ケトプロフェン、ナプロキセン、イブプロフェン及びそれらの混合物の1又は複数である、第62〜第66の実施形態のいずれか一つの方法が記載される。
第68の実施形態によると、NSAIDがジクロフェナクである、第62〜第67の実施形態のいずれか一つの方法が記載される。
第69の実施形態によると、少なくとも1つのPXRアゴニストが、PCN、リファンピシン、リファキシミン、RU486、SR12813、タキソール、ハイパフォリン、5β−プレグナン−3,20−ジオン、リトコール酸、メチラポン、クロトリマゾール、フェノバルビタール、スピロノラクトン、trans−ノナクロル、ニフェジピン、リトナビル、タモキシフェン、4−ヒドロキシタモキシフェン、トログリタゾン、ロバスタチン、グルテチミド、ビスフェノールA、ジエチルヘキシルフタレート、ノニルフェノール、プレグネノロン、プレグネノロンの17α−ヒドロキシル化誘導体、プロゲステロン、プロゲステロンの17α−ヒドロキシル化誘導体、エストラジオール及びコルチコステロンから選択される、第62〜第68の実施形態のいずれか一つの方法が記載される。
第70の実施形態によると、少なくとも1つの胃酸分泌抑制剤がプロトンポンプ阻害薬であり、かつプロトンポンプ阻害薬がランソプラゾール、イラプラゾール、オメプラゾール、テナトプラゾール、ラベプラゾール、エソメプラゾール、パントプラゾール、パリプラゾール、レミノプラゾールもしくはネパプラゾール又はそれらの遊離塩基、遊離酸、塩、水和物、エステル、アミド、鏡像異性体、異性体、互変体、多形、プロドラッグもしくは任意の誘導体から選択される、第62〜第69の実施形態のいずれか一つの方法が記載される。
第71の実施形態によると、少なくとも1つの胃酸分泌抑制剤がオメプラゾールである、第62〜第70の実施形態のいずれか一つの方法が記載される。
第72の実施形態によると、PXRアゴニスト及びNSAIDが1日2回投与される、第62〜第71の実施形態のいずれか一つの方法が記載される。
第73の実施形態によると、胃酸分泌抑制剤が1日1回投与される、第62〜第72の実施形態のいずれか一つの方法が記載される。
第74の実施形態によると、NSAID投与が1週間〜2か月の治療期間で実施される、第62〜第73の実施形態のいずれか一つの方法が記載される。
第75の実施形態によると、NSAID投与を受けている個体において腸症を治療又は予防するためのシステムであって、第61〜第73の実施形態のいずれか一つに記載の方法において、少なくとも1つのPXRアゴニスト及び少なくとも1つの胃酸分泌抑制剤を、同時使用、併用、又は逐次使用するために含むシステムが記載される。
第76の実施形態によると、PXRアゴニストが、PCN、リファンピシン、リファキシミン、RU486、SR12813、タキソール、ハイパフォリン、5β−プレグナン−3,20−ジオン、リトコール酸、メチラポン、クロトリマゾール、フェノバルビタール、スピロノラクトン、trans−ノナクロル、ニフェジピン、リトナビル、タモキシフェン、4−ヒドロキシタモキシフェン、トログリタゾン、ロバスタチン、グルテチミド、ビスフェノールA、ジエチルヘキシルフタレート、ノニルフェノール、プレグネノロン、プレグネノロンの17α−ヒドロキシル化誘導体、プロゲステロン、プロゲステロンの17α−ヒドロキシル化誘導体、エストラジオール及びコルチコステロンから選択される1又は複数である、第75の実施形態のシステムが記載される。
第77の実施形態によると、胃酸分泌抑制剤がプロトンポンプ阻害薬又はミソプロストールである、第74又は第75の実施形態のシステムが記載される。
第78の実施形態によると、胃酸分泌抑制剤がプロトンポンプ阻害薬であり、かつプロトンポンプ阻害薬がランソプラゾール、イラプラゾール、オメプラゾール、テナトプラゾール、ラベプラゾール、エソメプラゾール、パントプラゾール、パリプラゾール、レミノプラゾールもしくはネパプラゾール又はそれらの遊離塩基、遊離酸、塩、水和物、エステル、アミド、鏡像異性体、異性体、互変体、多形、プロドラッグもしくは任意の誘導体の1又は複数である、第75〜第77の実施形態のいずれか一つのシステムが記載される。
第79の実施形態によると、胃酸分泌抑制剤がオメプラゾールである、第75〜第78の実施形態のいずれか一つのシステムが記載される。
第80の実施形態によると、PXRアゴニスト及び胃酸分泌抑制剤が、サシェ、顆粒剤、ペレット剤、カプセル剤及び/又は錠剤などのマルチ投与用組成物において投与される、第75〜第79の実施形態のいずれか一つのシステムが記載される。
第81の実施形態によると、治療又は予防が必要とされる個体において、疼痛又は炎症を治療又は予防するための方法であって、少なくとも1つのNSAIDの有効量を、少なくとも1つのPXRアゴニストの有効量及び少なくとも1つの胃酸分泌抑制剤の有効量と併用して個体に投与することを含む方法が記載される。
第82の実施形態によると、少なくとも1つのNSAIDの有効量の投与が、少なくとも1週間、少なくとも10日間又は少なくとも2週間実施される、第81の実施形態の方法が記載される。
第83の実施形態によると、投与が、NSAIDを個体に少なくとも1日2回投与することによって実施され、この投与が、NSAIDと第1のPXRアゴニスト又は胃酸分泌抑制剤とを少なくとも1日1回投与すること、及びNSAIDと第2のPXRアゴニスト及び胃酸分泌抑制剤とを少なくとも1日1回投与することを含む、第81又は第82の実施形態の方法が記載される。
第84の実施形態によると、NSAIDが、ジクロフェナク、ケトプロフェン、ナプロキセン、イブプロフェン及びそれらの混合物の1又は複数である、第81〜第83の実施形態のいずれか一つの方法が記載される。
第85の実施形態によると、NSAIDがジクロフェナクである、第81〜第84の実施形態のいずれか一つの方法が記載される。
第86の実施形態によると、少なくとも1つの胃酸分泌抑制剤がオメプラゾールである、第81〜第85の実施形態のいずれか一つの方法が記載される。
第87の実施形態によると、疼痛又は炎症を治療又は予防するシステムであって、第81〜第86の実施形態のいずれか一つの方法において、少なくとも1つのNSAIDの有効量と、PXRアゴニスト及び胃酸分泌抑制剤の少なくとも1つの有効量とを同時使用、併用又は逐次使用するために含むシステムが記載される。
第88の実施形態によると、少なくとも1つのNSAIDと、PXRアゴニスト又は胃酸分泌抑制剤の少なくとも1つの有効量とが、マルチ投与用組成物において投与される、第87の実施形態のシステムが記載される。
第89の実施形態によると、マルチ投与用組成物が、サシェ、顆粒剤、ペレット剤、カプセル剤又は錠剤から選択される形態である、第87又は第88の実施形態のシステムが記載される。
第90の実施形態によると、治療又は予防が必要とされる個体において、疼痛又は炎症を治療又は予防するための医薬組成物であって、少なくとも1つのNSAIDの有効量及び少なくとも1つのPXRアゴニストの有効量を含む医薬組成物が記載される。
第91の実施形態によると、少なくとも1つの胃酸分泌抑制剤をさらに含む、第90の実施形態の医薬組成物が記載される。
第92の実施形態によると、経口投与用に処方される、第90又は第91の実施形態の医薬組成物が記載される。
第93の実施形態によると、NSAID投与を受けている個体において腸症を治療又は予防するための方法であって、NSAID投与を受けている個体に、PXRアゴニストの有効量を、必要に応じて少なくとも1つの胃酸分泌抑制剤と併用投与することを含む方法が記載される。
第94の実施形態によると、NSAID投与を受けている個体において腸症を治療又は予防するためのシステムであって、第93の実施形態の方法において、PXRアゴニストと、少なくとも1つの、NSAIDの有効量及び胃酸分泌抑制剤の有効量とを同時使用、併用又は逐次使用するために含むシステムが記載される。
第95の実施形態によると、PXRアゴニスト及びNSAIDが単一統合剤形に含まれる、第94の実施形態のシステムが記載される。
第96の実施形態によると、PXRアゴニスト及びNSAIDが別々の剤形に含まれる、第94の実施形態のシステムが記載される。
第97の実施形態によると、少なくとも1つのNSAIDが5〜1500mgの投薬量に含まれる、第94〜第96の実施形態のいずれか一つのシステムが記載される。
第98の実施形態によると、少なくとも1つの胃酸分泌抑制剤がオメプラゾールを10mg〜40mgの1又は複数の投薬量に含み、この投薬量が1日1回又は2回投与される、第94〜第97の実施形態のいずれか一つのシステムが記載される。
第99の実施形態によると、NSAID投与を受けている個体において腸症を治療又は予防するためのキットであって、(i)少なくとも1つの抗生物質の治療的に有効な量、(ii)少なくとも1つの胃酸分泌抑制剤の治療的に有効な量及び(iii)少なくとも1つのNSAIDの治療的に有効な量を含む1又は複数の投薬量を含むキットが記載される。
第100の実施形態によると、少なくとも1つのNSAIDが、アセトアミノフェン、アモキシプリン、ベノリラート、コリン、サリチル酸マグネシウム、ジフニサル、ファイスラミン、サリチル酸メチル、ASA(アミノサリチル酸)、サリチル酸マグネシウム、サリチル酸サリチル、ジクロフェナク、アセクロフェナク、アセクロフェナク、アセメタシン、ブロムフェナク、エトドラク、ケトロラク、ナブメトン、スリンダク、トルメチン、イブプロフェン、カルプロフェン、フェンブフェン、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、ロキソプロフェン、ナプロキセン、チアプロフェン酸、メフェナム酸、メクロフェナム酸、トルフェナム酸、フェニルブタゾン、アザプロパゾン、メタミゾール、オキシフェンブタゾン、ピロキシカム、ロルノキシカム、メロキシカム、テノキシカム、セレコキシブ、エトリコキシブ、ルミラコキシブ、パレコキシブ、ニメスリド、リコフェロン、インドメタシン、COX−2阻害剤及びそれらの薬学的に許容可能な塩の1又は複数である、第99の実施形態のキットが記載される。
第101の実施形態によると、NSAIDが、ジクロフェナク、ケトプロフェン、ナプロキセン及びイブプロフェンの1又は複数である、第99又は第100の実施形態のキットが記載される。
第102の実施形態によると、少なくとも1つの抗生物質が、アミノグリコシド、アンフェニコール、アンサマイシン、β−ラクタム、カルバペネム、セファマイシン、モノバクタム、オキサセファム、リンコサミド、マクロライド、ポリペプチド、テトラサイクリン、2,4−ジアミノピリミジン系抗生物質、ペニシリン、ネオマイシン、メトロニダゾール、バンコマイシン、パロモマイシン、チミダゾール、クラリスロマイシン、アモキシシリン、スルファサラジン;オルサラジン;メサラミン;プレドニゾン;アザチオプリン;メルカプトプリン;メトトレキサート、アンピシリン、クリンダマイシン、リファンピシン、クロラムフェニコール、スペクチノマイシン、フルオロキノロン類及びセファロスポリン類、リファマイシン抗生物質並びにリファキシミンから選択される、第99又は第101の実施形態のいずれか一つのキットが記載される。
第103の実施形態によると、少なくとも1つの抗生物質がリファキシミンを含む、第99〜第102の実施形態のいずれか一つのキットが記載される。
第104の実施形態によると、少なくとも1つの胃酸分泌抑制剤が、ランソプラゾール、イラプラゾール、オメプラゾール、テナトプラゾール、ラベプラゾール、エソメプラゾール、パントプラゾール、パリプラゾール、レミノプラゾールもしくはネパプラゾール又はそれらの遊離塩基、遊離酸、塩、水和物、エステル、アミド、鏡像異性体、異性体、互変体、多形、プロドラッグもしくは任意の誘導体から選択されるプロトンポンプ阻害薬である、第99〜第103の実施形態のいずれか一つのキットが記載される。
第105の実施形態によると、少なくとも1つの胃酸分泌抑制剤がオメプラゾールである、第99〜第104の実施形態のいずれか一つのキットが記載される。
第106の実施形態によると、少なくとも1つの抗生物質がリファキシミンであり、少なくとも1つのNSAIDがジクロフェナクであり、かつ少なくとも1つの胃酸分泌抑制剤がオメプラゾールである、第99〜第105の実施形態のいずれか一つのキットが記載される。
第107の実施形態によると、キットが、1又は複数の投薬量を同時に又は逐次に投与するための説明書をさらに含む、第99〜第106の実施形態のいずれか一つのキットが記載される。
第108の実施形態によると、説明書が、抗生物質及びNSAIDを1日2回投与することを指示する、第107の実施形態のキットが記載される。
第109の実施形態によると、説明書が、胃酸分泌抑制剤を1日1回投与することを指示する、第107又は第108の実施形態のキットが記載される。
第110の実施形態によると、説明書が、リファキシミンを20mg〜1200mgの量で1日1回又は2回;及びオメプラゾールを5mg〜50mgで1日1回又は2回投与することを含む投与を指示する、第107又は第109の実施形態のいずれか一つのキットが記載される。
第111の実施形態によると、抗生物質がリファキシミンであって、リファキシミンが20mg、50mg、100mg、200mg、400mg、550mg、600mg、800mg及び1100mgからなる群より選択される量を含む剤形である、第107又は第109の実施形態のいずれか一つのキットが記載される。
第112の実施形態によると、説明書が、リファキシミンを20mg〜1200mgの量で1日1回、1日2回、1日3回又は1日4回投与することを指示する、第107又は第111の実施形態のいずれか一つのキットが記載される。
第113の実施形態によると、リファキシミンの量が、20mg、50mg、100mg、200mg、400mg、550mg、600mg、800mg又は1100mgから選択される、第112の実施形態のキットが記載される。
第114の実施形態によると、抗生物質、NSAID及び胃酸分泌抑制剤が、別の独立した剤形として提供される、第107〜第113の実施形態のいずれか一つのキットが記載される。
第115の実施形態によると、少なくとも1つのNSAID及び少なくとも1つのPPIが、単一剤形として提供される、第107〜第113の実施形態のいずれか一つのキットが記載される。
第116の実施形態によると、剤形が、カプセル剤、錠剤、多層錠、粉剤、顆粒剤及びサシェからなる群より選択される固体剤形である、第107〜第115の実施形態のいずれか一つのキットが記載される。
本明細書に記載のすべての特許及び公報は、本開示の属する当業者のレベルを示している。
背景、概要、詳細な説明及び実施例で引用された各文献(特許、特許出願、雑誌、要約、実験マニュアル、書籍又は他の開示を含む)の全体の開示は、参照することによりその全体が本明細書に組み入れられる。本開示において引用されたすべての文献は、あたかも各文献が個々に参照されることによりその全体が組み入れられているのと同じ程度に、参照されることにより組み入れられる。しかし、引用された文献と本開示との間で矛盾が生じる場合は、本開示が優先される。
本明細書において使用されている用語及び表現は、限定用語ではなく記述用語として用いられ、このような用語及び表現の使用には、表示及び記載された特徴又はその一部の任意の等価物を除外する意図はないが、特許請求の範囲の開示の範囲内で種々の修正が可能であることが認められる。それゆえ、理解されるべきことは、本開示は実施形態によって具体的に開示されているが、本明細書に開示された典型的な実施形態並びに概念の任意の特徴、修正及び変更が当業者によって講じられてもよいこと、並びにこのような修正及び変更が添付の特許請求の範囲に規定される本開示の範囲内にあると考えられることである。
本明細書において使用される用語は、個々の実施形態を説明するためのものであって、限定することを意図するものではないことも理解されるべきである。文脈において特に明らかに規定されない限り、本明細書及び添付の特許請求の範囲において、単数形「a」、「an」及び「the」には複数の指示物も含まれる。文脈において特に明らかに規定されない限り、用語「複数」には、2又はそれ以上の指示物が含まれる。特に規定されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本開示の属する当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。
マーカッシュ群又は他の群分けが本明細書において使用される場合、その群のすべての個々の要素並びにその群のすべての組み合わせ及び可能なサブコンビネーションが独立して、本開示に含まれることが意図される。特に記載されない限り、本明細書に記載又は例示の成分又は材料のあらゆる組み合わせを用いて本開示を実施してもよい。当業者は、具体的に例示された以外の方法、デバイス要素(device element)及び材料を、過度の実験を講じることなく、本開示の実施において用いてもよい。任意のこのような方法、デバイス要素及び材料の当該分野で公知の等価物はすべて、本開示に含まれることが意図される。本明細書において範囲(例えば、温度範囲、頻度範囲、時間範囲又は組成物範囲)が与えられるときは常に、与えられた範囲に含まれるすべての中間範囲及びすべての部分的範囲並びに全ての個々の値が本開示に含まれることが意図される。本明細書に開示される範囲又は群の任意の1又は複数の個々の要素は、本開示の請求から除外されるかもしれない。本明細書に例示を挙げて適切に記載された本開示は、所望の要素(単数又は複数)又は限定(単数又は複数)が存在しない場合[本明細書に具体的に開示されていない任意の要素(単数又は複数)又は限定(単数又は複数)が存在する場合]においても実施されてよい。
本開示の多くの実施形態が記載されている。本明細書に提供された具体的な実施形態は、本発明の有用な実施形態の例であり、本開示が、本明細書に記載のデバイス、デバイス成分、方法、工程の多数の変更を用いて実施できることは当業者に明らかであろう。当業者に明らかなように、本発明の方法に有用な方法及びデバイスは、多数の任意の組成物及びプロセス要素及び工程を含んでもよい。