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JP6432607B2 - 耐候性に優れた構造用鋼材 - Google Patents

耐候性に優れた構造用鋼材 Download PDF

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JP6432607B2 JP2016565368A JP2016565368A JP6432607B2 JP 6432607 B2 JP6432607 B2 JP 6432607B2 JP 2016565368 A JP2016565368 A JP 2016565368A JP 2016565368 A JP2016565368 A JP 2016565368A JP 6432607 B2 JP6432607 B2 JP 6432607B2
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Description

本発明は、主に橋梁などの屋外で用いられる構造用鋼材に関し、特に海岸近傍などの飛来塩分量が多い環境下での使用に供して好適な耐候性に優れた構造用鋼材に関するものである。
従来から、橋梁などの屋外で用いられる鋼構造物には、耐候性鋼材が用いられている。耐候性鋼材は、大気暴露環境において、鋼材表面が、Cu,P,Cr,Niなどの合金元素が濃化した保護性の高いさび層で覆われることにより腐食速度が著しく低減する鋼材である。その優れた耐候性により、耐候性鋼を使用した橋梁は無塗装のまま数十年間の供用に耐えることが知られている。
しかしながら、海岸近傍などの飛来塩分量が多い環境では、上記したような保護性の高いさび層は生成しにくく、実用的な耐候性が得難いことが知られている。
例えば、非特許文献1によれば、従来の耐候性鋼(JIS G 3114:溶接構造用耐候性熱間圧延鋼材)は、飛来塩分量が0.05mg・NaCl/dm2/day(以降、単位(mg・NaCl/dm2/day)をmddにて表記する場合がある)以下の地域でのみ、無塗装での使用が可能となっている。
従って、海岸近傍などの飛来塩分量が多い環境では、普通鋼材(JIS G 3106:溶接構造用圧延鋼材)に塗装等の防食措置を施したものが使用されている。
しかしながら、塗装は、時間の経過とともに塗膜が劣化するため、定期的な補修が必要となる。加えて、人件費の高騰や、再塗装の困難さが加わる。このような理由から、現在、無塗装での使用が可能な鋼材の要望が高い。
これまで、鋼材の耐候性を向上させる手法として、種々の技術が提案されている。
例えば、特許文献1には、Cuと1質量%以上のNiを添加した高耐候性鋼材が開示されている。
特許文献2には、1質量%以上のNiとMoを添加した耐候性に優れた鋼材が開示されている。
特許文献3には、Niに加え、Cu、Tiを添加した耐候性に優れた鋼材が開示されている。
特許文献4には、Niを多量に含有し、加えてPおよびCu,Mo,Sn,Sb等を含有した溶接構造用鋼材が開示されている。
特許文献5には、Snを添加した耐食性に優れた鋼材が開示されている。
特許第3785271号公報(特開平11−172370号公報) 特許第3846218号公報(特開2002−309340号公報) 特許第3568760号公報(特開平11−71632号公報) 特開平10−251797号公報 特開2012−255184号公報
建設省土木研究所,(社)鋼材倶楽部,(社)日本橋梁建設協会,耐候性鋼材の橋梁への適用に関する共同研究報告書(XX),平成5年3月
しかしながら、特許文献1,2および3のようにNiの含有量を増加させた場合、合金コストの上昇により鋼材の価格が上昇してしまうという問題があった。
また、特許文献4のようにNiおよびPの含有量を増加させ、Cu,Mo,Sn,Sb等を含有した鋼材では、合金コストの上昇により鋼材の価格が上昇するだけでなく、Pの含有量が高いために溶接性の低下が避けられない。
さらに、特許文献5のようにSnの含有量を増加させた場合、合金コストの上昇により鋼材の価格が上昇してしまうという問題があった。
本発明は、上記の事情に鑑み開発されたもので、低コストで、しかも飛来塩分量が多い環境下においても優れた耐候性を示す構造用鋼材を提供することを目的とする。
さて、発明者らは、上記の課題を解決するために、耐候性の観点から鋼材の成分組成について鋭意検討を重ねた。
その結果、少量のCu,Ni,Coに加え、さらに微量のNbおよびSnを複合含有させることによって、鋼材の耐候性が大幅に向上することを見出した。
さらに、Crを含有させることにより、耐候性の一層の向上効果が得られることを見出した。
本発明は、上記の新規知見に立脚するものである。
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
1.質量%で、
C:0.020%以上0.200%未満、
Si:0.10%以上1.00%以下、
Mn:0.20%以上2.00%以下、
P:0.003%以上0.030%以下、
S:0.0001%以上0.0200%以下および
Al:0.001%以上0.100%以下
を含み、かつ
Cu:0.01%以上1.00%以下、
Ni:0.01%以上0.65%以下
Co:0.002%以上0.220%未満、
Nb:0.005%以上0.200%以下および
Sn:0.005%以上0.200%以下
を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなる耐候性に優れた構造用鋼材。
2.Cu,Ni,Co,NbおよびSn量が、次式(1)を満足する前記1に記載の耐候性に優れた構造用鋼材。
Log(Cu×500−1)×Log(Ni×500−1)×Log(Co×1000−0.001)×Log(Nb×1000−3)×Log(Sn×1000−3)>0.02・・・(1)
3.さらに、質量%で、
Cr:0.01%以上1.00%以下
を含有する前記1または2に記載の耐候性に優れた構造用鋼材。
4.さらに、質量%で、
Mo:0.001%以上1.000%以下、
W:0.005%以上1.000%以下および
Sb:0.005%以上0.200%以下
のうちから選ばれる一種以上を含有する前記1〜3のいずれかに記載の耐候性に優れた構造用鋼材。
5.さらに、質量%で、
Ti:0.005%以上0.200%以下、
V:0.005%以上0.200%以下、
Zr:0.005%以上0.200%以下および
B:0.0001%以上0.0050%以下
のうちから選ばれる一種以上を含有する前記1〜4のいずれかに記載の耐候性に優れた構造用鋼材。
6.さらに、質量%で、
REM:0.0001%以上0.0100%以下、
Ca:0.0001%以上0.0100%以下および
Mg:0.0001%以上0.0100%以下
のうちから選ばれる一種以上を含有する前記1〜5のいずれかに記載の耐候性に優れた構造用鋼材。
本発明によれば、耐候性向上に有効な元素を少量ずつ複合含有させることによって、低コストで、しかも飛来塩分量が多い環境下においても優れた耐候性を有する構造用鋼材を得ることができる。
本発明に従う成分設計によって優れた耐候性が得られる理由については、まだ明確に解明されたわけではないが、発明者らは以下のように推定している。
Cu,Ni,Coは、さび層全体に分布し、さび粒子の表面に存在する、あるいはさび粒子中に取り込まれることでさび粒子を微細化させ、これによりさび層が緻密化する。その結果、腐食促進因子である酸素や塩化物イオンがさび層を透過して地鉄に到達するのを防止する。特にCoは腐食促進因子のさび層中の透過を抑制する効果が高く、本発明においては重要な元素である。また、Nbは、地鉄表面近傍のさび中に濃化することで、腐食促進因子である塩化物イオンがさび層を透過して地鉄に到達することを防止し、鋼材のアノード反応、カソード反応を抑制する。Snは、地鉄表面近傍のさび中に濃化し、さび層を微細化することで腐食促進因子のさび層中の透過を抑制し、鋼材のアノード反応、カソード反応を抑制する。
ただし、これらの効果は、各成分の単独含有では不十分で、Cu,Ni,Co,Nb,Snを複合含有させ、各々の添加効果を相乗的に作用させることによって、初めて耐食性の著しい向上が達成される。
以下、本発明を具体的に説明する。
まず、本発明において、鋼材の成分組成を前記の範囲に限定した理由について説明する。
C:0.020%以上0.200%未満
Cは、構造用鋼材の強度を向上させる元素であり、所定の強度を確保するためには0.020%以上含有させる必要がある。一方、C含有量が0.200%以上では溶接性および靭性の劣化を招く。従って、C量は0.030%以上0.200%未満の範囲とした。好ましくは0.03%以上、0.18%以下、より好ましくは0.06%以上、0.16%以下である。
Si:0.10%以上1.00%以下
Siは、本発明において重要な成分であり、さび層全体のさび粒を微細化させて緻密なさび層を形成し、鋼材の耐候性を向上させる効果を有する。また、熱間圧延時の鋼材表面の割れを防止する効果を有する。これらの効果を得るためには、0.10%以上含有させる必要がある。一方、1.00%を超えて過剰に含有すると靭性および溶接性が著しく劣化する。従って、Si量は0.10%以上1.00%以下の範囲とした。好ましくは0.15%以上0.70%以下、より好ましくは0.40%以上0.60%以下である。
Mn:0.20%以上2.00%以下
Mnは、構造用鋼材の強度を向上させる元素であり、所定の強度を確保するためには0.20%以上含有させる必要がある。一方、2.00%を超えて過剰に含有すると靭性および溶接性が劣化する。従って、Mn量は0.20%以上2.00%以下の範囲とした。好ましくは0.40%以上1.8%以下、より好ましくは0.60%以上1.65%以下である。
P:0.003%以上0.030%以下
Pは、構造用鋼材の耐候性を向上させる元素であり、この効果を得るためには0.003%以上含有させる必要がある。一方、0.030%を超えて含有すると溶接性が劣化する。従って、P量は0.003%以上0.030%以下とする。好ましくは0.020%以下である。
S:0.0001%以上0.0200%以下
Sは、0.0200%を超えて含有すると溶接性および靭性が劣化する。一方、含有量を0.0001%未満まで低下させると、生産コストが増大する。従って、S量は0.0001%以上0.0200%以下とした。
Al:0.001%以上0.100%以下
Alは、製鋼時の脱酸に必要な元素であり、この効果を得るためはAl量として0.001%以上含有させる必要がある。一方、0.100%を超えて含有すると溶接性に悪影響を及ぼす。従って、Al量は0.001%以上0.100%以下とする。好ましくは0.005%以上0.07%以下、より好ましくは0.010%以上0.05%未満である。
Cu:0.01%以上1.00%以下
Cu、本発明において重要な成分であり、Ni,Co,NbおよびSnと共存させることにより、鋼材の耐候性を著しく向上させる効果を有する。Cuは、さび層のさび粒を微細化することで緻密なさび層を形成し、腐食促進因子である塩化物イオンの地鉄への透過を抑制する効果を有する。この効果は、含有量が0.01%以上で得られる。一方、含有量が1.00%を超えるとCu消費量増加に伴うコスト上昇を招く。従って、Cu量は0.01%以上1.00%以下の範囲とする。好ましくは0.03%以上0.45%以下、より好ましくは0.10%以上0.36%以下である。
Ni:0.01%以上0.65%以下
Niは、本発明において重要な成分であり、Cu,Co,NbおよびSnと共存させることによって、鋼材の耐候性を著しく向上させる効果を有する。Niは、さび粒を微細化することで緻密なさび層を形成し、これにより鋼材の耐候性を向上させる効果を有する。この効果を十分に得るためには0.01%以上含有させる必要がある。一方、0.65%を超えて含有するとNi消費量増加に伴うコスト上昇を招く。従って、Ni量は0.01%以上0.65%以下とする。好ましくは0.03%以上0.50%以下、より好ましくは0.20%以上0.40%以下である。
Co:0.002%以上0.220%未満
Coは、本発明において重要な成分であり、Cu,Ni,NbおよびSnと共存させることによって、鋼材の耐候性を著しく向上させる効果がある。Coは、さび層全体に分布し、さび粒を微細化することで緻密なさび層を形成し、これにより鋼材の耐候性を向上させる効果を有する。この効果を十分に得るためには、0.002%以上含有させる必要がある。一方、0.220%以上含有するとCo消費量増加に伴うコスト上昇を招く。従って、Co量は0.002%以上0.220%未満とする。好ましくは0.003%以上0.100%以下、より好ましくは0.010%以上0.030%以下である。
Nb:0.005%以上0.200%以下
Nbは、本発明において重要な成分であり、Cu,Ni,CoおよびSnと共存させることにより、鋼材の耐候性を著しく向上させる効果がある。Nbは、アノード部においてさび層と地鉄の界面付近に濃化し、アノード反応、カソード反応を抑制する。この効果を十分に得るためには、0.005%以上含有させる必要がある。一方、0.200%を超えて含有すると靭性の低下を招く。従って、Nb量は0.005%以上0.200%以下とする。好ましくは0.008%以上0.100%以下、より好ましくは0.010%以上0.030%以下である。
Sn:0.005%以上0.200%以下
Snは、本発明において重要な成分であり、Cu,Ni,CoおよびNbと共存させることによって、鋼材の耐候性を著しく向上させる効果がある。Snは、鋼材表面にSnを含む酸化皮膜を形成し、鋼材のアノード反応、カソード反応を抑制することで鋼材の耐候性を向上させる。この効果を十分に得るためには、0.005%以上含有させる必要がある。一方、0.200%を超えて含有すると鋼の延性や靭性の劣化を招く。従って、Sn量は0.005%以上0.200%以下とする。好ましくは0.010%以上0.100%以下、より好ましくは0.020%以上0.050%未満である。
残部はFeおよび不可避的不純物である。ここで、主な可避的不純物としてNやOが挙げられるが、それぞれN:0.0100%以下、O:0.0100%以下で許容できる。
さらに、大気腐食環境下において十分な耐候性向上効果を得るためには、Cu,Ni,Co,Nb,Snを次式(1)を満足する範囲で含有させることがより有利であり、この範囲で含有させることによって一層の耐候性向上効果を得ることができる。
この(1)式は大気環境下における耐候性の指標となるものであり、耐候性向上に有効なCu、Ni、Co、Nb、Snの含有量が多いほど、耐候性が向上し、0.02より大きい値となることで目標の耐候性を得ることができる。好ましくは0.05以上である。より好ましくは0.08以上である。
また、各元素の添加量が増大すると、耐候性の向上効果は徐々に小さくなり、(1)式の値が25.00を超えると耐候性の向上効果は飽和に達する。さらに、鋼材の溶接性や靱性の劣化、合金コストの増大を招く。したがって、(1)式の上限値は、25.00が好ましい。より好ましくは、22.00である。さらに好ましくは、18.00である。
Log(Cu×500−1)×Log(Ni×500−1)×Log(Co×1000−0.001)×Log(Nb×1000−3)×Log(Sn×1000−3)>0.02・・・(1)
以上、必須成分について説明したが、本発明では、その他にも必要に応じて以下の元素を適宜含有させることができる。
Cr:0.01%以上1.00%以下
Crは、さび粒を微細化することで緻密なさび層を形成し、耐侯性を向上させる元素である。この効果を得るためには、0.01%以上含有させる必要がある。一方、Crを1.00%を超えて過剰に含有すると溶接性が低下する。従って、Crを含有させる場合、含有量は0.01%以上1.00%以下とする。好ましくは0.04%以上1.00%以下、より好ましくは0.10%以上0.50%以下である。
Mo:0.001%以上1.000%以下
Moは、鋼材のアノード反応に伴ってMoO4 2-が溶出し、さび層中にMoO4 2-が分布することで、腐食促進因子の塩化物イオンがさび層を透過して地鉄に到達するのを防止する働きがある。また、鋼材表面にMoを含む化合物が沈殿することで、鋼材のアノード反応を抑制する作用もある。これらの効果を十分に得るためには、0.001%以上の含有が必要である。一方、含有量が1.000%を超えるとMo消費量増加に伴うコスト上昇を招く。従って、Moを含有させる場合、Mo量は0.001%以上1.000%以下とする。好ましくは0.010%以上0.500%以下、より好ましくは0.050%以上0.300%以下である。
W:0.005%以上1.000%以下
Wは、鋼材のアノード反応に伴ってWO4 2-が溶出し、さび層中にWO4 2-として分布することによって、腐食促進因子の塩化物イオンがさび層を透過して地鉄に到達するのを静電的に防止するはたきがある。また、鋼材表面にWを含む化合物が沈殿することで、鋼材のアノード反応を抑制する作用もある。これらの効果を十分に得るためには、0.005%以上の含有が必要である。一方、含有量が1.000%を超えるとW消費量増加に伴うコスト上昇を招く。従って、Wを含有させる場合、W量は0.005%以上1.000%以下とする。好ましくは0.010%以上0.500%以下、より好ましくは0.030%以上0.300%以下である。
Sb:0.005%以上0.200%以下
Sbは、鋼材のアノード反応を抑制すると共に、カソード反応である水素発生反応を抑制することで鋼材の耐候性を向上させる元素である。このような効果を十分に得るためには、0.005%以上含有させる必要がある。一方、0.200%を超えてSbを過剰に含有すると靭性の劣化を招く。従って、Sbを含有させる場合、Sb量は0.005%以上0.200%以下とする。好ましくは0.010%以上0.100%以下、より好ましくは0.020%以上0.050%以下である。
Ti:0.005%以上0.200%以下
Tiは、強度を高める上で有用な元素である。この効果を十分に得るためには、0.005%以上含有させる必要がある。一方、含有量が0.200%を超えると靭性の劣化を招く。従って、Tiを含有させる場合、Ti量は0.005%以上0.200%以下とする。好ましくは0.010%以上0.10%以下、より好ましくは0.020%以上0.050%以下である。
V:0.005%以上0.200%以下
Vは、強度を高める上で有用な元素である。この効果を十分に得るためには、0.005%以上含有させる必要がある。一方、含有量が0.200%を超えると効果が飽和する。従って、Vを含有させる場合、V量は0.005%以上0.200%以下とする。好ましくは0.010%以上0.15%以下、より好ましくは0.030%以上0.100%以下である。
Zr:0.005%以上0.200%以下
Zrは、強度を高める上で有用な元素である。この効果を十分に得るためには、0.005%以上含有させる必要がある。一方、含有量が0.200%を超えると効果が飽和する。従って、Zrを含有させる場合、Zr量は0.005%以上0.200%以下とする。好ましくは0.010%以上0.10%以下、より好ましくは0.020%以上0.050%以下である。
B:0.0001%以上0.0050%以下
Bは、強度を高める上で有用な元素である。この効果を十分に得るためには、0.0001%以上含有させる必要がある。一方、含有量が0.0050%を超えると靭性の劣化を招く。従って、Bを含有させる場合、B量は0.0001%以上0.0050%以下とする。好ましくは、0.0005%以上0.0040%以下、より好ましくは、0.0010%以上0.0025%以下である。
REM:0.0001%以上0.0100%以下
REMは、さび層全体に分布し、さび粒を微細化することで緻密なさび層を形成し、鋼材の耐候性を向上させる効果を有する。この効果を十分に得るためには、0.0001%以上含有させる必要があるが、0.0100%を超えるとその効果は飽和する。従って、REMを含有させる場合、REM量は0.0001%以上0.0100%以下とする。
Ca:0.0001%以上0.0100%以下
Caは、鋼中のSを固定して溶接熱影響部の靭性向上に有効な元素である。この効果を十分に得るためには0.0001%以上含有させる必要がある。一方、含有量が0.0100%を超えると鋼中の介在物の量が増加し、かえって靭性の劣化を招く。従って、Caを含有させる場合、Ca量は0.0001%以上0.0100%以下とする。
Mg:0.0001%以上0.0100%以下
Mgは、鋼中のSを固定して溶接熱影響部の靭性向上に有効な元素である。この効果を十分に得るためには0.0001%以上含有させる必要がある。一方、含有量が0.0100%を超えると鋼中の介在物の量が増加し、かえって靭性の劣化を招く。従って、Mgを含有させる場合、Mg量は0.0001%以上0.0100%以下とする。
本発明の耐候性に優れた構造用鋼材は、上記の成分組成に調製した溶鋼を、通常の連続鋳造や分塊法によってスラブとし、ついで得られたスラブを熱間圧延によって厚板や形鋼、薄鋼板、棒鋼等の鋼材とすることにより得られる。
熱間圧延における加熱条件や圧延条件は、要求される材質に応じて適宜決定すればよく、また制御圧延、加速冷却、あるいは再加熱熱処理等の組合せも可能である。
なお、各元素の含有量は、スパーク放電発光分光分析法、蛍光X線分析法、ICP発光分光分析法およびICP質量分析法、燃焼法等により求めることができる。
表1に示す成分組成の鋼を溶製し、1150℃に加熱した後、熱間圧延し、ついで室温まで空冷して、厚さ12mmの鋼板を作製した。ついで、得られた鋼板から50mm×50mm×4mmの試験片を採取した。試験片は、表面を表面粗さRaが1.6μm以下となるよう研削加工し、端面、裏面をテープシールし、表面露出部の面積が40mm×40mmとなるよう表面もテープシールした。
以上により得られた試験片について、乾湿繰り返し腐食試験を行い、耐候性を評価した。
腐食試験の条件は以下のとおりである。
温度60℃、相対湿度35%RHの乾燥工程を3時間、その後、移行時間を1時間とった後、温度を40℃、相対湿度を95%RHの湿潤工程を3時間として、その後1時間移行時間をとり、合計8時間で1サイクルとした。前記工程を8サイクル繰り返したのち、8時間の乾燥工程を実施した。さらに、前記工程を11サイクル繰り返したのち、8時間の乾燥工程を実施した。また、8時間乾燥工程中に試験片表面に付着する塩分量が0.30mddとなるよう調整した人工海水溶液を試験片表面に噴霧した。この条件にて、12週間で84サイクルの試験を行った。
上記の腐食試験終了後、試験片を塩酸にヘキサメチレンテトラミンを加えた水溶液に浸漬して脱錆してから重量を測定し、得られた重量と初期重量との差を求め、テープシール部を除く試験片の表面積と鉄の密度から、片面の平均板厚減少量を求め、腐食量とした。
表1−1および表1−2に腐食量(平均板厚減少量)について調べた結果および式(1)の値を併記する。なお、この腐食量(平均板厚減少量)が15μm以下であれば、耐侯性が優れているといえる。
Figure 0006432607
Figure 0006432607
表1−1および表1−2から明らかなように、本発明の成分組成を満足する発明例はいずれも腐食量が15μm以下であり、優れた耐侯性を有することが分かる。
これに対し、本発明でとくに重要とするCu,Ni,Co,NbおよびSnの5元素のうち、一元素でも本発明の適正範囲を外れた比較例は、いずれも腐食量が15μmを超え、十分な耐侯性を得ることはできなかった。

Claims (6)

  1. 質量%で、
    C:0.020%以上0.200%未満、
    Si:0.10%以上1.00%以下、
    Mn:0.20%以上2.00%以下、
    P:0.003%以上0.030%以下、
    S:0.0001%以上0.0200%以下および
    Al:0.001%以上0.100%以下
    を含み、かつ
    Cu:0.01%以上1.00%以下、
    Ni:0.01%以上0.65%以下
    Co:0.002%以上0.220%未満、
    Nb:0.005%以上0.200%以下および
    Sn:0.005%以上0.200%以下
    を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなる耐候性に優れた構造用鋼材。
  2. Cu,Ni,Co,NbおよびSn量が、次式(1)を満足する請求項1に記載の耐候性に優れた構造用鋼材。
    Log(Cu×500−1)×Log(Ni×500−1)×Log(Co×1000−0.001)×Log(Nb×1000−3)×Log(Sn×1000−3)>0.02・・・(1)
  3. さらに、質量%で、
    Cr:0.01%以上1.00%以下
    を含有する請求項1または2に記載の耐候性に優れた構造用鋼材。
  4. さらに、質量%で
    b:0.005%以上0.200%以
    含有する請求項1〜3のいずれかに記載の耐候性に優れた構造用鋼材。
  5. さらに、質量%で、
    V:0.005%以上0.200%以下、
    Zr:0.005%以上0.200%以下および
    B:0.0001%以上0.0050%以下
    のうちから選ばれる一種以上を含有する請求項1〜4のいずれかに記載の耐候性に優れた構造用鋼材。
  6. さらに、質量%で、
    REM:0.0001%以上0.0100%以下および
    Ca:0.0001%以上0.0100%以下のうちから選ばれる一種以上を含有する請求項1〜5のいずれかに記載の耐候性に優れた構造用鋼材。
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