JP6411134B2 - ポリオレフィン系組成物、並びにそれからなる成形体、フィルム、延伸フィルム、並びにその製造方法 - Google Patents
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Description
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、特定の成分を含むポリオレフィン系組成物を用いることで、前記課題が解決することを見出した。本発明はかかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち本発明は、以下の発明を提供する。
[1]下記(a)〜(c)成分を含むポリオレフィン系組成物であって、オレフィン系重合体(A)の含有量が該ポリオレフィン系組成物の全量100質量%に対して60質量%以上である、ポリオレフィン系組成物。
(a)示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークトップとして定義される融点(Tm−D)が120℃を超えるオレフィン系重合体(A)
(b)示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブから得られる融解吸熱量(ΔH−D)が0〜80J/gであり、分子量分布(Mw/Mn)が3.0未満であるオレフィン系重合体(B)
(c)石油樹脂類(C)
[2]オレフィン系重合体(A)が、プロピレン系重合体(a1)である上記[1]に記載のポリオレフィン系組成物。
[3]オレフィン系重合体(B)の含有量が、前記ポリオレフィン系組成物の全量100質量%に対して0.1質量%以上、39.5質量%以下である、上記[1]又は[2]に記載のポリオレフィン系組成物。
[4]石油樹脂類(C)の含有量が、前記ポリオレフィン系組成物の全量100質量%に対して0.5質量%以上、39.9質量%以下である、上記[1]〜[3]のいずれかに記載のポリオレフィン系組成物。
[5]オレフィン系重合体(B)が、重合体を構成するモノマーの50モル%以上がプロピレンモノマーであるプロピレン系重合体(b1)である、上記[1]〜[4]のいずれかに記載のポリオレフィン系組成物。
[6]プロピレン系重合体(b1)が下記(i)及び/又は(ii)を満たす、上記[5]に記載のポリオレフィン系組成物。
(i)エチレンの構成単位が0モル%を超えて、20モル%以下で含まれる。
(ii)1−ブテンの構成単位が0モル%を超えて、30モル%以下で含まれる。
[7]プロピレン系重合体(b1)が下記(1)を満たす、上記[5]に記載のポリオレフィン系組成物。
(1)[mmmm]が20〜60モル%
[8]プロピレン系重合体(b1)が下記(2)を満たす、上記[5]〜[7]のいずれかに記載のポリオレフィン系組成物。
(2)示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークトップとして定義される融点(Tm−D)が0〜120℃である。
[9]プロピレン系重合体(b1)が下記(2)及び(3)を満たす、上記[7]に記載のポリオレフィン系組成物。
(2)示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークトップとして定義される融点(Tm−D)が0〜120℃である。
(3)[rrrr]/(1−[mmmm])≦0.1
[10]プロピレン系重合体(b1)が下記(4)及び(5)を満たす、上記[7]又は[9]に記載のポリオレフィン系組成物。
(4)[rmrm]>2.5モル%
(5)[mm]×[rr]/[mr]2≦2.0
[11]石油樹脂類(C)が、軟化点80℃〜160℃の石油樹脂及びその水素添加誘導体から選ばれる1種以上である上記[1]〜[10]のいずれかに記載のポリオレフィン系組成物。
[12]ポリオレフィン系組成物が押し出し成形用ポリオレフィン系組成物である、上記[1]〜[11]のいずれかに記載のポリオレフィン系組成物。
[13]上記[1]〜[12]のいずれかに記載のポリオレフィン系組成物からなる成形体。
[14]上記[1]〜[12]のいずれかに記載のポリオレフィン系組成物からなるフィルム。
[15]上記[1]〜[12]のいずれかに記載のポリオレフィン系組成物を含み、少なくとも一方向に配向した延伸フィルム。
[16]二層以上からなる多層フィルムであって、少なくとも一層が上記[1]〜[12]のいずれかに記載のポリオレフィン系組成物を含む、多層フィルム。
[17]二層以上からなる多層フィルムであって、少なくとも一層が上記[1]〜[12]のいずれかに記載のポリオレフィン系組成物を含み、少なくとも一方向に配向した延伸多層フィルム。
[18]上記[1]〜[12]のいずれかに記載のポリオレフィン系組成物からなるフィルムを加熱して、一軸又は二軸方向へ、同時又は逐次延伸して得る、延伸フィルムの製造方法。
[19]上記[1]〜[12]のいずれかに記載のポリオレフィン系組成物からなる層を一層以上含み、かつ二層以上からなる多層フィルムを加熱して、一軸又は二軸方向へ、同時又は逐次延伸して得る、延伸多層フィルムの製造方法。
[20]上記[1]〜[12]のいずれかに記載のポリオレフィン系組成物を含む、包装材料。
[21]上記[13]に記載の成形体を含む、包装材料。
また、本明細書中において、(a)成分とオレフィン系重合体(A)、(b)成分とオレフィン系重合体(B)、(c)成分と石油樹脂類(C)とは同義である。
本発明のポリオレフィン系組成物は、下記(a)〜(c)成分を含むポリオレフィン系組成物であって、オレフィン系重合体(A)の含有量が、該ポリオレフィン系組成物の全量100質量%に対して60質量%以上である、ポリオレフィン系組成物である。
(a)示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークトップとして定義される融点(Tm−D)が120℃を超えるオレフィン系重合体(A)
(b)示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブから得られる融解吸熱量(ΔH−D)が0〜80J/gであり、分子量分布(Mw/Mn)が3.0未満であるオレフィン系重合体(B)
(c)石油樹脂類(C)
なお、本発明の「ポリオレフィン系組成物」は、例えば、延伸フィルム用のポリオレフィン系組成物として好適に用いられる。
以下、本発明に用いられる各成分、製造方法について順次説明する。
本発明に用いられる(a)成分であるオレフィン系重合体(A)は、示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークトップとして定義される融点(Tm−D)が120℃を超える。該融点(Tm−D)が120℃以下の場合、前記ポリオレフィン系組成物を用いた成形体、例えば、フィルム等の耐熱性が劣るといった不具合が発生する。そのような観点から、融点(Tm−D)は好ましくは125℃以上、より好ましくは140℃以上、さらに好ましくは150℃以上、より更に好ましくは160℃以上である。
なお、該融点(Tm−D)は後述する実施例に記載の方法により測定される値である。
炭素数3〜28のα−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン及び1−イコセン等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは炭素数3〜24のα−オレフィン、より好ましくは炭素数3〜12のα−オレフィン、更に好ましくは炭素数3〜6のα−オレフィン、特に好ましくは炭素数3〜4のα−オレフィン、最も好ましくはプロピレンである。
これらのうちの1種を単独で重合したオレフィン系重合体を使用してもよいし、2種以上を組み合わせて共重合して得られるオレフィン系共重合体を使用してもよい。なお、本明細書中において、単に「オレフィン系重合体」という場合には、オレフィン系共重合体も含まれる。オレフィン系共重合体としては、重合体を構成するモノマーの50モル%以上がエチレンモノマーであるエチレン系重合体、重合体を構成するモノマーの50モル%以上がプロピレンモノマーであるプロピレン系重合体(a1)、重合体を構成するモノマーの50モル%以上がブテンモノマーであるブテン系重合体などが挙げられ、剛性や透明性の観点から優れた成形体物性、例えば、フィルム物性が得られる、プロピレン系重合体(a1)がより好ましい。さらに、プロピレン系重合体(a1)は、剛性や透明性向上の観点から、後述するメソペンタッド分率[mmmm]が、好ましくは70〜98モル%、より好ましくは80〜98モル%、更に好ましくは85〜97.5モル%、より更に好ましくは87〜97モル%であり、より更に好ましくは88〜96モル%であり、より更に好ましくは90〜92モル%である。
プロピレン系重合体(a1)としては、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−ブテンブロック共重合体、プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−ブテンランダム共重合体、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、又はプロピレン−α−オレフィングラフト共重合体等から選択されるプロピレン系重合体(a1)であることが好ましい。更に、成形体物性、例えば、延伸フィルムの物性(たとえば、力学物性、光学物性)の観点から、本発明のオレフィン系重合体(a1)は、特に好ましくはプロピレン−エチレンランダム共重合体もしくは、プロピレン単独重合体である。なお、上記の重合体は、石油・石炭由来のモノマーを用いた重合体でもよいし、バイオマス由来のモノマーを用いた重合体でもよい。
本発明に用いられる(b)成分であるオレフィン系重合体(B)は、示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブから得られる融解吸熱量(ΔH−D)が0〜80J/gであり、分子量分布(Mw/Mn)が3.0未満である。
本発明のオレフィン系重合体(B)は、エチレン及び炭素数3〜28のα−オレフィンから選ばれる1種以上のモノマーを重合してなるオレフィン系重合体(B)が好ましい。
炭素数3〜28のα−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン及び1−イコセン等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは炭素数3〜24のα−オレフィン、より好ましくは炭素数3〜12のα−オレフィン、更に好ましくは炭素数3〜6のα−オレフィン、特に好ましくは炭素数3〜4のα−オレフィン、最も好ましくはプロピレンである。
これらのうちの1種を単独で重合したオレフィン系重合体(B)を使用してもよいし、2種以上を組み合わせて共重合して得られるオレフィン系共重合体(B)を使用してもよい。オレフィン系共重合体(B)としては、重合体を構成するモノマーの50モル%以上がエチレンモノマーであるエチレン系重合体、重合体を構成するモノマーの50モル%以上がプロピレンモノマーであるプロピレン系重合体(b1)、重合体を構成するモノマーの50モル%以上がブテンモノマーであるブテン系重合体などが挙げられ、剛性や透明性の観点から優れた成形体物性、例えば、フィルム物性が得られる、プロピレン系重合体(b1)がより好ましい。
プロピレン系重合体(b1)としては、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−ブテンブロック共重合体、プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−ブテンランダム共重合体、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、又はプロピレン−α−オレフィングラフト共重合体等から選択されるプロピレン系重合体(b1)であることが好ましく、特にプロピレン単独重合体が好ましい。
特に、ポリオレフィン系組成物の均一延伸性が大幅に改善される観点から、ポリオレフィン系組成物における非晶成分の割合を増大させるためには、オレフィン系重合体(B)の含有量が、前記ポリオレフィン系組成物の全量100質量%に対して、好ましくは0.1質量%以上、39.5質量%未満であり、より好ましくは0.5質量%以上、30質量%未満、更に好ましくは0.5質量%以上、15質量%未満、より更に好ましくは1質量%以上、10質量%未満である。
さらに、本発明のポリオレフィン系組成物は、オレフィン系重合体(B)を含むことで、後述する石油樹脂類(C)を添加した場合においても、透明性に優れた成形体、単層及び多層フィルム、単層及び多層延伸フィルムを得ることができる。通常、前記オレフィン系重合体(A)に石油樹脂類(C)を添加した場合には、石油樹脂類(C)はオレフィン系重合体(A)の非晶層に取込まれる。前記オレフィン系重合体(A)への石油樹脂類(C)の取込みが不十分となることがあり、石油樹脂類(C)がブリードして、成形機を汚染するといった不具合が発生しやすく、透明性が低下する。しかし、本発明のポリオレフィン系組成物は、オレフィン系重合体(B)を含むことで、非晶成分の割合が増大する。そのため、石油樹脂類(C)が前記ポリオレフィン系組成物へ取込まれやすくなることで、石油樹脂類(C)のブリードも低減することができ、発煙や成形機を汚染するといった不具合の発生を低減するとともに、優れた透明性並びに延伸性を有する成形体を得ることができる。
また、特に、前記オレフィン系重合体(A)がプロピレン系重合体(a1)であって、かつ、オレフィン系重合体(B)がプロピレン系重合体(b1)である場合は、プロピレン系重合体(a1)に対するプロピレン系重合体(b1)の相溶性もより良好となり、より優れた透明性並びに延伸性を有する成形体を得ることができる。
オレフィン系重合体(B)及びプロピレン系重合体(b1)の融解吸熱量(ΔH−D)は、0〜80J/gである。オレフィン系重合体(B)及びプロピレン系重合体(b1)の融解吸熱量(ΔH−D)が0〜80J/gの場合、本発明の延伸フィルム用に好適なポリオレフィン系組成物の主成分であるオレフィン系重合体(A)(特に、オレフィン系重合体(A)がプロピレン系重合体(a1)である場合)に対して、結晶化度を低減させる。それにより、ラメラ−ラメラ間のタイ分子数が低減する。延伸時にタイ分子数が少ないと初期の高次構造が均一に変形するため、結果として、均一延伸性が向上する。このような観点から、融解吸熱量(ΔH−D)は、好ましくは10〜70J/g、より好ましくは20〜60J/g、更に好ましくは30〜50J/gである。
融解吸熱量(ΔH−D)は、モノマー濃度や反応圧力を適宜調整することで制御することができる。
なお、上記融解吸熱量(ΔH−D)は、熱量変化の無い低温側の点と熱量変化の無い高温側の点とを結んだ線をベースラインとして、DSC測定により得られた融解吸熱カーブのピークを含むライン部分と当該ベースラインとで囲まれる面積を求めることで算出される。
オレフィン系重合体(B)及びプロピレン系重合体(b1)の分子量分布(Mw/Mn)は、高強度の観点から、好ましくは3.0未満である。分子量分布(Mw/Mn)が3.0未満であれば、延伸性や成形体物性、例えば、フィルム物性(たとえば、力学特性、光学特性)に悪影響を及ぼす低分子量成分が抑制され、後述する本発明の成形体物性、特に、延伸フィルムのフィルム物性の低下が抑制される。このような観点から、オレフィン系重合体(B)及びプロピレン系重合体(b1)の分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは2.5以下、より好ましくは1.5〜2.5である。
本発明において、分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィ(GPC)法により測定したポリスチレン換算の重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnより算出した値である。
(1)[mmmm]が20〜60モル%である。
(2)示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークトップとして定義される融点(Tm−D)が0〜120℃である。
(3)[rrrr]/(1−[mmmm])≦0.1
(4)[rmrm]>2.5モル%
(5)[mm]×[rr]/[mr]2 ≦2.0
メソペンタッド分率[mmmm]は、オレフィン系重合体(B)及びプロピレン系重合体の立体規則性を表す指標であり、メソペンタッド分率[mmmm]が大きくなると、立体規則性が高くなる。
オレフィン系重合体(B)がプロピレン単独重合体である場合、そのメソペンタッド分率[mmmm]は、プロピレン系重合体の取り扱い性及びオレフィン系重合体(A)へ少量添加した際の延伸性の改良効果の観点から、好ましくは20〜60モル%、より好ましくは30〜55モル%、更に好ましくは40〜50モル%である。メソペンタッド分率[mmmm]が20モル%以上であると、本発明のポリオレフィン系組成物の主成分である、オレフィン系重合体(A)の剛性を低下させず、延伸性を改良することができ、60モル%以下であると、主成分であるオレフィン系重合体(A)と共晶化せず、主成分であるオレフィン系重合体(A)の非晶部分に相溶することで延伸性を改良できる。
オレフィン系重合体(B)及びプロピレン系重合体(b1)の融点(Tm−D)は、強度や成形性の観点から高い方が好ましい。好ましくは0〜120℃、より好ましくは50〜100℃、更に好ましくは55〜90℃、より更に好ましくは60〜80℃である。
なお、本発明では、示差走査型熱量計(パーキン・エルマー社製、DSC−7)を用い、試料10mgを窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークのピークトップを融点(Tm−D)とする。融点は、モノマー濃度や反応圧力を適宜調整することで制御可能である。
[rrrr]/(1−[mmmm])の値は、メソペンタッド分率[mmmm]及びラセミペンタッド分率[rrrr]から求められ、ポリプロピレンの規則性分布の均一さを示す指標である。[rrrr]/(1−[mmmm])のこの値が大きくなると既存触媒系を用いて製造される従来のポリプロピレンのように高立体規則性ポリプロピレンとアタクチックポリプロピレンの混合物となり、成形後のポリプロピレン延伸フィルムのべたつきの原因となる。なお、上記における[rrrr]及び[mmmm]の単位は、モル%である。
オレフィン系重合体(B)及びプロピレン系重合体(b1)における[rrrr]/(1−[mmmm])の値は、べたつきの観点から、好ましくは0.1以下であり、より好ましくは0.001〜0.05、更に好ましくは0.001〜0.04、特に好ましくは0.01〜0.04である。
ラセミメソラセミメソペンタッド分率[rmrm]は、ポリプロピレンの立体規則性のランダム性を表す指標であり、値が大きいほどポリプロピレンのランダム性が増加する。
オレフィン系重合体(B)及びプロピレン系重合体(b1)のラセミメソラセミメソペンタッド分率[rmrm]は、好ましくは2.5モル%を超える。オレフィン系重合体(B)及びプロピレン系重合体(b1)の[rmrm]が2.5モル%を超えることにより、ランダム性が増し、本発明のポリオレフィン系組成物の主成分であるオレフィン系重合体(A)(特に、オレフィン系重合体(A)がプロピレン系重合体(a1)である場合)と共晶化し難くなり、その結果、ポリオレフィン系組成物の耐熱性や剛性の低下が抑制される。このような観点から、オレフィン系重合体(B)及びプロピレン系重合体(b1)のラセミメソラセミメソペンタッド分率[rmrm]は、より好ましくは2.6モル%以上、更に好ましくは2.7モル%以上である。その上限は、通常、好ましくは10モル%程度であり、より好ましくは7モル%、更に好ましくは5モル%、特に好ましくは4モル%である。
トリアッド分率[mm]、[rr]及び[mr]から算出される[mm]×[rr]/[mr]2の値は、重合体のランダム性の指標を表し、1に近いほどランダム性が高くなり、本発明のポリオレフィン系組成物の主成分であるオレフィン系重合体(A)(特に、オレフィン系重合体(A)がプロピレン系重合体(a1)である場合)と共晶化が起こらず、主成分であるオレフィン系重合体(A)(特に、プロピレン系重合体(a1))に対して効率的に延伸性を改良することができる。本発明のオレフィン系重合体(B)及びプロピレン系重合体(b1)は、上式の値が通常2以下、好ましくは1.8〜0.5、さらに好ましくは1.5〜0.5の範囲である。なお、上記における[mm]及び[rr]の単位は、モル%である。
具体的に例示すれば、
(i)一般式(I)
で表される遷移金属化合物、及び(ii)(ii−1)該(i)成分の遷移金属化合物又はその派生物と反応してイオン性の錯体を形成しうる化合物及び(ii−2)アルミノキサンから選ばれる成分を含有する重合用触媒が挙げられる。
本発明のポリオレフィン系組成物は、さらに、石油樹脂類(C)を含む。石油樹脂類(C)を添加することで、後述する本発明のポリオレフィン系組成物を用いた成形体、特に、フィルム(延伸フィルム及び延伸多層フィルムも含む)の延伸性、剛性、ガスバリア性、防湿性を向上させることができる。また、上記オレフィン系重合体(A)に対してオレフィン系重合体(B)と石油樹脂類(C)とを添加することにより、オレフィン系重合体(B)のみを添加した場合と比べて、より透明性を向上させることができる。
石油樹脂類(C)の添加によって透明性が向上する場合は、ポリオレフィン系組成物の非晶部に、石油樹脂類(C)が取り込まれることによって、ポリオレフィン系組成物中の球晶サイズが小さくなることで、光散乱による影響が低減されて、ポリオレフィン系組成物及びそれにより得られる各種成形体の透明性が向上するものと推測されます。また、ポリオレフィン系組成物に、オレフィン系重合体(B)を添加する場合は、ポリオレフィン系組成物中の球晶の数を少なくすることができるため、透明性が向上するものと推測されます。
本発明で用いられる石油樹脂類(C)とは、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、クマロン−インデン樹脂、アルキル−フェノール樹脂、石油樹脂、又はこれらの水素添加誘導体である。
ロジン系樹脂とは、マツ類の樹脂等から得られるアビエチン酸またはその誘導体を主成分とする樹脂であって、例えば、ガムロジン、ウッドロジン、水素化ロジン、アルコールでエステル化したエステル化ロジン、フェノールとロジンを反応させたロジンフェノール樹脂等が挙げられる。また、これらを単独で用いても良く、少なくとも2種を併用しても良い。
テルペン系樹脂とは、テレピン油を原料とした樹脂であって、例えば、α−ピネンやβ−ピネンが重合したテルペン樹脂、フェノールとテルペンを反応させたテルペンフェノール樹脂、スチレン等で極性を付与した芳香族変性テルペン樹脂、水素化テルペン樹脂等が挙げられる。
クマロン−インデン樹脂とは、クマロンおよびインデンを主とする重合物からなる樹脂である。
アルキル−フェノール樹脂とは、アルキルフェノールとアルデヒドの反応により得られる樹脂である。
石油樹脂、又はその石油樹脂の水素添加誘導体として好ましい樹脂の市販品の例としては、出光興産株式会社製の商品名「アイマーブ」、荒川化学工業株式会社製の商品名「アルコン」、エクソンモービル株式会社製の商品名「オペラ」、三井化学株式会社製の商品名「ハイレッツ」「ペトロロジン」、ヤスハラケミカル株式会社製の商品名「クリアロン」、トーネックス株式会社製の商品名「エスコレッツ」等が挙げられる。
本発明の延伸フィルム用に好適なポリオレフィン系組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じてさらに、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、スリップ剤、防曇剤、滑剤、核剤、ブロッキング防止剤、染料、顔料、天然油、合成油、ワックス、充填剤、エラストマーなどを配合することができる。
前記ポリオレフィン系組成物中における全添加剤の含有量としては、前記ポリオレフィン系組成物の全量100質量%に対して、好ましくは39.4質量%以下、より好ましくは19.4質量%以下、更に好ましくは14.4質量%以下、より更に好ましくは4質量%以下である。
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系、イオウ系、ラクトーン系、有機ホスファイト系、有機ホスフォナイト系の酸化防止剤、あるいはこれらを数種類組み合わせた酸化防止剤等を使用することができる。酸化防止剤は、前記ポリオレフィン系組成物の全量100質量%に対して、0.01〜5質量%の範囲で配合することが好ましい。
帯電防止剤としては、一般的に用いられる公知の低分子型又は高分子型帯電防止剤を好適に用いることができる。
低分子型帯電防止剤としては、例えば、アルキルジエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、モノグリセリン脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等の非イオン型帯電防止剤、テトラアルキルアンモニウム塩型のカチオン型帯電防止剤、アルキルスルホン酸塩等のアニオン型帯電防止剤、アルキルベタイン等の両性型帯電防止剤等の帯電防止剤等を挙げることができる。
高分子型帯電防止剤としては、例えば、ポリエーテルエステルアミド等の非イオン型帯電防止剤、ポリスチレンスルホン酸等のアニオン型帯電防止剤、第四級アンモニウム塩含有重合体等のカチオン型帯電防止剤等を挙げることができる。
帯電防止剤は、前記ポリオレフィン系組成物の全量100質量%に対して、0.01〜5質量%の範囲で配合することが好ましい。
スリップ剤としては、ラウリル酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸、エルカ酸、ヘベニン酸などの飽和または不飽和脂肪酸のアミド、あるいはこれら飽和または不飽和脂肪酸のビスアマイドを用いることができる。これらの内でも、エルカ酸アミドおよびエチレンビスステアリン酸アミドが好ましい。スリップ剤は、前記ポリオレフィン系組成物の全量100質量%に対して、0.01〜5質量%の範囲で配合することが好ましい。
ブロッキング防止剤としては、微粉末シリカ、微粉末酸化アルミニウム、微粉末クレー、粉末状もしくは液状のシリコン樹脂、ポリテトラフロロエチレン樹脂、架橋されたアクリル樹脂やメタクリル樹脂粉末のような微粉末状架橋樹脂を挙げることができる。これらの内では、微粉末シリカおよび微粉末状架橋樹脂が好ましい。ブロッキング防止剤は、前記ポリオレフィン系組成物の全量100質量%に対して、0.01〜5質量%の範囲で配合することが好ましい。
エラストマーとしては、スチレン系、オレフィン系、エステル系、軟質塩ビ系、ウレタン系、アミド系、ブタジエン・イソプレン系のエラストマー、あるいはこれらを数種類組み合わせたエラストマーを用いることができる。これらの中でもスチレン系、オレフィン系、ブタジエン・イソプレン系が好ましい。エラストマーは、前記ポリオレフィン系組成物の全量100質量%に対して、1〜20質量%の範囲で配合することが好ましい。
本発明のポリオレフィン系組成物は、上記の成分(a)、(b)及び(c)成分、また、必要に応じて添加剤を加えて、例えば、高速ミキサー、バンバリーミキサー、連続ニーダー、一軸又は二軸押出機、ロール、ブラベンダープラストグラフ等の通常の混合混練機を使用して、一般には加熱溶融混練して造粒する方法が採用される。また、(c)成分は(a)成分及び(b)成分等を混合する前に、事前にマスターバッチ化していてもよい。
本発明のポリオレフィン系組成物は押し出し成形用に好ましく用いられる。また、上記(a)、(b)及び(c)成分を押し出し成形直前に、例えば、押出機上のホッパー内に同時に投入して(ドライブレンド)用いてもよく、その場合も(c)成分については、事前にマスターバッチ化したものを用いてもよい。
本発明の成形体は、上記ポリオレフィン系組成物からなる成形体である。
前記ポリオレフィン系組成物は、延伸過程を有する成形方法に好適に用いられる。例えば、押出し加工ブロー成形、若しくは射出ブロー成形を含むブロー成形、又は熱成形、又は後述するフィルム成形に用いる場合に、有益な効果を期待できる。
例えば、ブロー成形体は、公知のブロー成形装置を用いて公知の条件により、本発明のポリオレフィン系組成物をブロー成形することにより製造できる。すなわち、本発明のポリオレフィン系組成物を押出機内で加熱溶融させてチューブ状に押出して、製品の外側のみ彫られている金型に挟み込んだ後に、チューブ内部に空気を引き込んで(吹き込んで)チューブ状の成形体を金型壁面に沿うように膨らまして中空体を成形する成形方法に用いることができる。本発明のポリオレフィン系組成物が有する優れた延伸性によって、成形された中空体ボトルの肉厚のムラ(ばらつき)を少なく、均一にすることができることから、ボトルの機械的物性(例えば、強度等)の品質ムラの増加も抑制され、透明性も向上する。このため、例えば、ポリオレフィン系組成物としてプロピレン系重合体を用いた場合、ポリエチレンテレフタラート(PET)ボトルに代わる、ポリプロピレン系射出延伸ブローボトルへの適用も可能である。
また、本発明のポリオレフィン系組成物の溶融混練物を、所定サイズの樹脂粒子にし、発泡成形体を製造できる。例えば、本発明のポリオレフィン系組成物の溶融混練物からなる所定サイズの樹脂粒子を、揮発性発泡剤と共に耐圧容器内で水中にて分散させた分散物を調製し、該分散物を本発明のポリオレフィン系組成物の溶融混練物の融点−20℃〜融点+20℃の範囲の温度に加熱して、樹脂粒子内に揮発性発泡剤を含浸させる。そして、該揮発性発泡剤の蒸気圧以上に加圧して、耐圧容器内の温度と圧力とを一定に保持しながら、該ポリオレフィン系組成物からなる樹脂粒子と水との分散物を耐圧容器内よりも低圧の雰囲気下に放出する方法が挙げられる。本発明のポリオレフィン系組成物を用いることで、発泡時の延伸性が改良されることで、表面の伸びが良く金型転写性の良好な発泡成形体を得ることができる。
また、本発明のポリオレフィン系組成物を押し出し成形することにより、後述するフィルムを製造できる。
本発明のフィルムは、上記ポリオレフィン系組成物からなるフィルムである。該フィルムは、上記ポリオレフィン系組成物を用いて、例えば、公知の所定の形状の金型(ダイ)から公知の条件で押し出すことで製造することができる。例えば、押出成形により得られた本発明のポリオレフィン系組成物からなるフィルムをチルロールで冷却することで得ることができる。本発明のポリオレフィン系組成物からなるフィルムは良好な透明性、光沢を有する。
また、当該フィルムは、発泡フィルム、フィラー配合フィルム等にも好適に用いられる。当該フィラー配合フィルムに配合されるフィラーとしては、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、シリカ、ガラス等の公知の充填剤を採用することができる。
本発明のフィルムの厚みに特に制限はないが、好ましくは1μm以上、より好ましくは2μm以上であり、そして、好ましくは1000μm以下、より好ましくは400μm以下、更に好ましくは250μm以下、より更に好ましくは80μm以下、より更に好ましくは50μm以下、より更に好ましくは50μm以下である。
なお、場合によって、本発明のフィルムの厚みが250μmを超える場合は、該フィルムを「シート」ともいうことがある。
本発明の延伸フィルムは、本発明のポリオレフィン系組成物を含み、少なくとも一方向に配向した延伸フィルムであり、好ましくは、一軸又は二軸方向に配向した延伸フィルムである。該延伸フィルムとしては、好ましくは、ポリエチレン延伸フィルム、ポリプロピレン延伸フィルム、又はポリブテン延伸フィルムなどが挙げられるが、優れた延伸フィルム物性を有することから、より好ましくはポリプロピレン延伸フィルムである。
なお、該延伸フィルムの種類は、該延伸フィルムの基材樹脂であって、上記ポリオレフィン系組成物の主成分でもあるオレフィン系重合体(A)の種類によって決定される。
本発明の延伸フィルムの厚みに特に制限はないが、好ましくは1μm以上、より好ましくは2μm以上であり、そして、好ましくは1000μm以下、より好ましくは400μm以下、更に好ましくは250μm以下、より更に好ましくは80μm以下、より更に好ましくは50μm以下、より更に好ましくは50μm以下である。
なお、場合によって、本発明のフィルムの厚みが250μmを超える場合は、該延伸フィルムを「延伸シート」ともいうことがある。
本発明の多層フィルムは、二層以上からなる多層フィルムであって、少なくとも1層が上記ポリオレフィン系組成物を含むものである。該多層フィルムは、上記ポリオレフィン系組成物を用いて、例えば、公知の所定の形状の金型(ダイ)から公知の条件で押し出すことで製造することができる。例えば、押出成形により得られた本発明のポリオレフィン系組成物からなる多層フィルムをチルロールで冷却することで得ることができる。
本発明の多層フィルムの厚みに特に制限はないが、好ましくは1μm以上、より好ましくは2μm以上であり、そして、好ましくは1000μm以下、より好ましくは400μm以下、更に好ましくは250μm以下、より更に好ましくは80μm以下、より更に好ましくは50μm以下、より更に好ましくは50μm以下である。
なお、場合によって、本発明のフィルムの厚みが250μmを超える場合は、該多層フィルムを「多層シート」ともいうことがある。
本発明の延伸多層フィルムは、二層以上からなる延伸多層フィルムであって、少なくとも1層が本発明のポリオレフィン系組成物を含むものであり、当該層又は当該層を含む多層が少なくとも一方向に配向した延伸多層フィルムである。好ましくは、一軸又は二軸方向に配向した延伸多層フィルムである。更に、上記延伸多層フィルムは、上記ポリオレフィン系組成物からなる層に隣接する層にシーラント層及びスキン層として働く樹脂組成物からなる層を積層してもよい。また、上記ポリオレフィン系組成物からなる層が最外層となる場合は、ヒートシール層として機能してもよい。
最外層が、ヒートシール層である場合、上述したオレフィン系重合体(A)からなる層が好ましく、例えば、オレフィン系重合体(A)がプロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−ブテンランダム共重合体またはプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体であることがより好ましい。
また、本発明の延伸多層フィルムは、用途に応じて、最外層及び内層の他の層として、適宜樹脂組成物を選択して用いることができ、例えば、上記ポリオレフィン系組成物の他に、ガスバリア性をもつ樹脂(エチレン−ビニルアルコール共重合体など)、剛性をもつ樹脂(ナイロンなど)が挙げられる。
本発明の延伸多層フィルムの厚みに特に制限はないが、好ましくは1μm以上、より好ましくは2μm以上であり、そして、好ましくは1000μm以下、より好ましくは400μm以下、更に好ましくは250μm以下、より更に好ましくは80μm以下、より更に好ましくは50μm以下、より更に好ましくは50μm以下である。
なお、場合によって、本発明のフィルムの厚みが250μmを超える場合は、該延伸多層フィルムを「延伸多層シート」ともいうことがある。
また、透明性を表すヘイズ値(as 20μm)は、好ましくは1.2以下、より好ましくは1.0以下、光学特性を表す光沢(グロス)が130%以上、より好ましくは135%以上である。
本発明の延伸フィルムの製造方法は、本発明のポリオレフィン系組成物を含む層を一層以上含むフィルムを再加熱して、一軸又は二軸方向へ、同時又は逐次延伸して延伸フィルムを得る製造方法である。
以下に、本発明の延伸フィルムの一般的な製法として、一例を説明する。なお、本発明では、以下の製法に限るものではない。
上記ポリオレフィン系組成物を溶融押出ししてT型のダイスからカーテン状に垂らし、直後にこの溶融膜を冷却ロールによって固化させ一次フィルムを得る。続いて、後続の延伸装置により延伸を行う。なお、上記溶融押出時の好ましい樹脂温度は、180〜300℃、より好ましくは200〜280℃である。また、冷却ロール温度は、好ましくは、0〜120℃、より好ましくは10〜100℃である。
押出により得られた一次フィルムを更に一軸延伸又は二軸延伸等により延伸して、延伸成形された延伸フィルムを得ることもできる。延伸方法としては、押出した一次フィルムを連続してテンター方式による逐次二軸延伸や同時二軸延伸を行う方法、又はインフレーション方式による同時二軸延伸を行う方法が挙げられる。また、バッチ式の二軸延伸装置を使用してもよい。延伸倍率は延伸フィルムの用途に応じて適宜決定することができるが、機械方向(MD)及び/又は機械方向に対して垂直方向(TD)について、それぞれ2〜12倍に一軸延伸又は二軸延伸することが好ましい。
また、一般的に、逐次二軸延伸を行う場合、例えば、先にMD方向への延伸によってフィルムを配向させた後に、さらに、TD方向への延伸を行う場合に、MD方向の延伸倍率が高すぎると、TD方向への延伸倍率を高めた場合に、フィルムが破断しやすくなるといった不具合が発生することが知られている。本発明のポリオレフィン系組成物を用いた場合は、良好な延伸性が得られるため、高延伸倍率での成形も可能となり、例えば、適切な延伸温度を設定したうえで、MD方向では、5倍以上、さらには6倍以上での延伸が可能であり、また当該MD方向への延伸後に、TD方向に9倍以上、さらには9.5倍以上での延伸も可能である。
テンター方式による逐次二軸延伸では、まず、上記一次フィルムを延伸に適した温度(縦(TD)延伸温度;好ましくは、70〜180℃、より好ましくは80〜170℃)に再加熱して、遅ロール(前ロール)と速ロール(後ロール)との間で機械方向(MD)に延伸する。次いで、テンター部にて、MD方向に延伸したフィルムの両端を保持したまま、更に加熱(横(MD)延伸温度;好ましくは、140〜175℃、より好ましくは145〜170℃)し、機械方向に対して垂直方向(TD)に延伸する。最後に、延伸処理後のフィルムを熱処理(熱固定温度;好ましくは、140〜175℃、より好ましくは145〜170℃)することで延伸フィルム物性を安定化させて、巻き取り機によって巻き上げて、目的の延伸フィルムを得ることができる。得られた延伸フィルムは、さらに、スリッター等の機械で適切な巾や長さに調整して、目的に応じた形状にしてもよい。また、上記に示したような機械方向(MD)及び垂直方向(TD)の延伸を同時に行う二軸同時テンター式延伸方式を用いても、本発明の延伸フィルムを得ることが可能である。
なお、得られる延伸フィルムの透明性をより向上させる観点からは、上記MD延伸温度及びTD延伸温度は、好ましい条件の中でも、低い温度条件であることが好ましい。
また、本発明の延伸多層フィルムの製造方法についても、上記延伸フィルムの製造方法と同様の製造方法を用いることができる。すなわち、本発明のポリオレフィン系組成物を含む層を少なくとも一層含み、他の樹脂組成物からなる層と積層し、上記延伸フィルムの製造方法と同様に、押出により得られた一次フィルムを、更に一軸延伸又は二軸延伸等により延伸して、延伸成形された延伸多層フィルムを得てもよいし、また、押出した一次フィルムを連続して、テンター方式による逐次二軸延伸や同時二軸延伸、又はインフレーション方式による同時二軸延伸を行って製造することができる。なお、一次フィルムを得る場合における上記の押出し工程では、例えば、2つ以上の異なる押出機から各層の樹脂(又は樹脂組成物)を供給して、T型のダイス内部で積層させて、共押出しすることで上記一次フィルムを得ることができる。
一方、前記プロピレン系重合体(b1)(特に、上記融解吸熱量(ΔH−D)を有しかつ前述した特性を有するプロピレン単独重合体)は均一な組成、狭分子量分布であるため室温でもペレットとして扱える。したがって、前記オレフィン系重合体(A)に、前記プロピレン系重合体(b1)をドライブレンドしてもフィルムの成形が可能である。
本発明のポリオレフィン系組成物は、包装材料に好適に用いられる。本発明のポリオレフィン系組成物からなる成形体、フィルム、延伸フィルム、又は延伸多層フィルムは、特に限定されるものではないが、例えば食品用途や工業用途などの包装材料、例えば、生鮮食品、加工食品、調理済み製品、レトルト食品、菓子、又は飲料などを直接又は間接的に(例えば、菓子箱)包装及び梱包する場合に使用できる材料、タバコケース、医薬品、コンデンサーやキャパシターなどの電気部品、繊維、文具、雑貨、プラスチック部品、金属部品、などの包装及び梱包に使用できる材料、又はコンデンサーやキャパシターなどの電気部品自体、繊維、文具、プラスチック部品、種々の再利用可能な容器、実験器具、スピーカーコーン、自動車部品、又は紙幣など幅広い用途に使用することができる。使用方法は、そのままのフィルムで使用しても良いし、他のフィルムと積層させて用いても良いし、金属蒸着させて使用しても良い。
〔DSC測定〕
示差走査型熱量計(パーキン・エルマー社製、DSC−7)を用い、試料10mgを窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブから融解吸熱量ΔH−Dとして求めた。また、得られた融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークのピークトップから融点(Tm−D)を求めた。
なお、融解吸熱量(ΔH−D)は、熱量変化の無い低温側の点と熱量変化の無い高温側の点とを結んだ線をベースラインとして、示差走査型熱量計(パーキン・エルマー社製、DSC−7)を用いた、DSC測定により得られた融解吸熱カーブのピークを含むライン部分と当該ベースラインとで囲まれる面積を求めることで算出される。
ゲルパーミエイションクロマトグラフィ(GPC)法により、重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)を求めた。測定には、下記の装置および条件を使用し、ポリスチレン換算の重量平均分子量を得た。
<GPC測定装置>
カラム :東ソー(株)製「TOSO GMHHR−H(S)HT」
検出器 :液体クロマトグラム用RI検出 ウォーターズ・コーポレーション製「WATERS 150C」
<測定条件>
溶媒 :1,2,4−トリクロロベンゼン
測定温度 :145℃
流速 :1.0ml/分
試料濃度 :2.2mg/ml
注入量 :160μl
検量線 :Universal Calibration
解析プログラム:HT−GPC(Ver.1.0)
以下に示す装置および条件で、13C−NMRスペクトルの測定を行った。なお、ピークの帰属は、エイ・ザンベリ(A.Zambelli)等により「Macromolecules,8,687(1975)」で提案された方法に従った。
装置:日本電子(株)製JNM−EX400型13C−NMR装置
方法:プロトン完全デカップリング法
濃度:220mg/ml
溶媒:1,2,4−トリクロロベンゼンと重ベンゼンの90:10(容量比)混合溶媒
温度:130℃
パルス幅:45°
パルス繰り返し時間:4秒
積算:10000回
M=m/S×100
R=γ/S×100
S=Pββ+Pαβ+Pαγ
S:全プロピレン単位の側鎖メチル炭素原子のシグナル強度
Pββ:19.8〜22.5ppm
Pαβ:18.0〜17.5ppm
Pαγ:17.5〜17.1ppm
γ:ラセミペンタッド連鎖:20.7〜20.3ppm
m:メソペンタッド連鎖:21.7〜22.5ppm
JIS K7210に準拠し、温度230℃、荷重2.16kgの条件で測定した。
オレフィン系重合体(A)として、以下の重合体を用いた。
(オレフィン系重合体A−1)
ポリプロピレン樹脂「Molplen HP525J」(商品名、lyondellbasell社製);融点(Tm−D):163℃、融解吸熱量(ΔH−D):84J/g、[mmmm]:91モル%
(オレフィン系重合体A−2)
ポリプロピレン樹脂「HC110BF」(Borealis社製);融点(Tm−D):165℃、融解吸熱量(ΔH−D):101J/g、[mmmm]:95モル%
(オレフィン系重合体A−3)
ポリプロピレン樹脂「F300SP」(株式会社プライムポリマー製);融点(Tm−D):163℃、融解吸熱量(ΔH−D):86J/g、[mmmm]:90モル%
(オレフィン系重合体A−4)
ポリプロピレン樹脂「F133A」(株式会社プライムポリマー製);融点(Tm−D):168℃、融解吸熱量(ΔH−D):97J/g、[mmmm]:97モル%
攪拌機付きの内容積20Lのステンレス製反応器に、n−ヘプタンを20L/hr、トリイソブチルアルミニウムを15mmol/hr、さらに、ジメチルアニリニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート、並びに(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)−ビス(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロライド、トリイソブチルアルミニウム及びプロピレンを質量比1:2:20で、事前に接触させて得られた触媒成分を、ジルコニウム換算で6μmol/hrで連続供給した。
反応器内の全圧を1.0MPa・Gに保つようプロピレンと水素とを連続供給し、重合温度を適宜調整し所望の分子量を有する重合溶液を得た。
得られた重合溶液に、酸化防止剤をその含有割合が1000質量ppmになるように添加し、次いで溶媒であるn−ヘプタンを除去することにより、オレフィン系重合体(B)を得た。
<石油樹脂類(C)>
(石油樹脂C−1を含むマスターバッチ)
「MA 00929 PP(It contains 60% of a fully hydrogeated hydrocarbon resin.)」(CONSTAB社製)
(石油樹脂C−2)
「アイマーブ P−125」(商品名、出光興産(株)製)
下記測定方法によって、後述する各実施例及び比較例で作製した二軸延伸フィルムの物性を評価した。
フィルムの厚みは、厚み分布計(Marl社製、「MillimarC1216」)で測定した。測定範囲は、フィルムのMD方向に5cm間隔で5点、TD方向に5cm間隔でフィルムの全幅(下記表2に示す各例は19点、表3及び4に示す各例は12点)を測定した。得られた測定値の平均値を算出した。
作製した二軸延伸フィルムのMD方向及びTD方向のそれぞれから採取した200mm×15mmの短冊状の試験片を用い引張試験機((株)島津製作所製、「オートグラフAG−I」)で引張速度300mm/minで引張り、弾性率、破断強度、破断伸度を求めた。
各試験とも、MD方向で5回、TD方向で5回ずつ測定して、その平均値を測定値とした。なお、ここでMD方向の試験片とは、上記短冊状試験片の長手方向が二軸延伸フィルムのMD方向である試験片のことをいう。TD方向についても、同様である。
(i)弾性率
200mm×15mmの短冊状の試験片を用いて、引張試験機でチャック間距離150mm、引張速度300mm/minで引張り、伸度(ひずみ)を横軸とし、応力を縦軸とした二次元座標軸上に関係線(曲線)を引き、降伏点前の関係線の傾きを「弾性率」として求めた。弾性率は値が高いほど、フィルムの剛性が優れる。
(ii)破断強度
上記二次元座標軸上の関係線(曲線)において、試験片が破断する前に試験片に表れる最大の引張応力を「破断強度」として、求めた。
(iii)破断伸度
破断伸度(%)=100×(L−L0)/L0
(式中、L0:試験前の試験片の長さ、L:破断時の試験片の長さ)
(i)透明性(ヘイズ)測定
JIS K7105およびJIS K7136に準拠して、日本電色工業(株)製、「ISOヘイズメーター(NDH2000)」を用いて測定した。なお、ヘイズ値が小さいほど透明性が高くなる。
ヘイズ(%)=Td/Tt×100
(式中、Td:拡散透過率、Tt:全光線透過率)
また、フィルムの厚みによるヘイズの差を緩和するため、20μm厚でのフィルム厚に下記式を用いて換算をした。
ヘイズ(as 20μm)=ヘイズ(%)×20μm(μm)/フィルム厚み(μm)
(ii)光沢(グロス)の測定
JIS K7105およびJIS Z8741に準拠して、日本電色工業株式会社製の光沢計「VG2000」を用いて測定した。なお、60度鏡面光沢を測定した。また、グロス値が高いほど光沢性が高くなる。
延伸応力の測定は、後述する表3及び表4に記載の実施例3〜9、比較例2〜4及び参考例2において、MD延伸後のフィルムを、さらにテーブルテンター(岩本製作所社製)を用いてTD延伸を行った際に、当該MD延伸フィルムをチャックで挟んでTD延伸倍率を変化させた時に検出される応力を、テーブルテンターに付属の検出器にて検出した。横軸をTD延伸倍率として、縦軸を検出された応力とした二次元座標軸上に関係線(曲線)を引き、関係線の最初の変曲点(低延伸倍率から高延伸倍率に延伸倍率を変化させた際に現れる最初の変曲点)の最大値を降伏延伸応力として求めた。当該降伏延伸応力の値を「延伸応力」とした。降伏延伸応力は値が小さいほど、均一延伸が可能となり、延伸性に優れる。
測定A法(JIS Z 1712準拠)
作製した二軸延伸フィルムのMD方向及びTD方向のそれぞれから5点ずつ採取した150mm×20mmの短冊状の試験片を用い、それぞれ試験片の中央部を中心にして100mm間隔の標線を付けた。
温度120℃に保持した空気循環式恒温槽中に試験片を垂直につるし、15分間加熱した後に取り出した。その後、室温で30分間冷却してから、ノギスを用いて標線間距離を測定した。5個の試験片の測定値の平均値を求め、以下の式によって、加熱収縮率を求めた。
S=(L1−L2/L1)×100
ここで、S:加熱収縮率(%)、L1:加熱前の標線間距離(mm)、L2:加熱後の標線間距離(mm)である。
作製した二軸延伸フィルムの中央部から3点採取した120mm×120mmの試験片を切り出し、試験片の各辺にMD方向、TD方向の印を付けた。それぞれ試験片の中央部を中心にして100mm間隔の標線を付けた(LMd0、LTd0)。
温度120℃に保持した空気循環式恒温槽中に試験片を水平に入れて、15分間加熱した後に取り出した。その後、室温で30分間冷却してから、ノギスを用いて標線間距離(LMd、LTd)を測定した。3点の試験片の測定値の平均値を求め、以下の式によって、加熱収縮率(MD、TD)を求めた。
SMD=(LMd0−LMd/LMd0)×100
ここで、S:加熱収縮率(%)、LMd0:加熱前の標線間距離(mm)、LMd:加熱後の標線間距離(mm)である。
STD=(LTd0−LTd/LTd0)×100
ここで、S:加熱収縮率(%)、LTd0:加熱前の標線間距離(mm)、LTd:加熱後の標線間距離(mm)である。
JIS K 7129に準拠し、MOCON社製の水蒸気透過率測定装置PERMATRAN−W 3/33を用い、40℃、90%RHの条件下で測定を行った(アルミマスク無、透過面積50cm2)。また、水蒸気透過度の値が低いほど防湿性が高くなる。
JIS K7126 に準拠し、MOCON社製の測定機器OX−TRAN 2/21を用い、23℃、50%RHの条件下で測定を行った(アルミマスク有、透過面積5cm2)。
オレフィン系重合体(A−1)40質量%と、オレフィン系重合体(A−2)45質量%と、製造例1のオレフィン系重合体(B)5質量%と、石油樹脂マスターバッチ(Constab社製 「MA 00929 PP」)8質量%と、帯電防止剤マスターバッチ(A.Schulman社製、「Polybatch(商品名) ASPA 2466」、帯電防止剤含有量12.5質量%)2質量%とからなるドライブレンド物(ポリオレフィン系組成物)をコア層用原料に、そして、オレフィン系重合体(A−1)98質量%とブロッキング防止剤マスターバッチ(A.Schulman社製、「Polybatch(商品名) AB PP 05」、ブロッキング防止剤含有量5質量%)2質量%とからなるドライブレンド物をスキン層用原料として、Bruckner製の連続成形パイロットラインにて製膜した。製膜条件は下記の通りである。
Bruckner製の連続成形パイロット機(コア層側の押出条件;設定温度:250℃、押出機スクリュー系:55mmφ、押出機スクリュー回転数:180rpm、スキン層側の押出条件;設定温度:250℃、押出機スクリュー系:35mmφ、押出機スクリュー回転数:100rpm、Tダイ幅;270mm、テンターライン速度;48.4m/min、チルロール直径;800mmφ)によって、スキン層:コア層:スキン層=1:16:1(押出し量比。スキン層側の溶融樹脂は、上記スキン層側の押出機出口からTダイ間で均等分配)となるように溶融樹脂を押出しながら、チルロールで冷却して三層フィルムを作製した。このとき、チルロール温度は25℃で原反冷却用水槽温度は25℃であった。作製された三層フィルムは、続いて予熱ロールで予熱された後に延伸温度92℃及び延伸倍率5.0倍の条件で機械方向に延伸(MD、縦延伸)され、さらにフィルム両端をチャックで固定された状態でテンターを通り、延伸温度166℃、延伸倍率9.0倍、弛緩率:なし(0%)、及び熱固定温度:155℃の条件で機械方向に対して垂直方向(TD、横延伸)に延伸され、三層二軸延伸フィルムを作製した。
製膜された三層二軸延伸フィルムの特性について評価した。結果を表2に示す。
オレフィン系重合体(A−1)85質量%と、製造例1のオレフィン系重合体(B)5質量%と、石油樹脂(C−1)のマスターバッチ(Constab社製 「MA 00929 PP」)8質量%と、帯電防止剤マスターバッチ(A.Schulman社製、「Polybatch(商品名) ASPA 2466」、帯電防止剤含有量12.5質量%)2質量%とからなるドライブレンド物(ポリオレフィン系組成物)をコア層用原料として用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で三層二軸延伸フィルムを製膜した。製膜された三層二軸延伸フィルムの特性について評価した。結果を表2に示す。
オレフィン系重合体(A−1)81質量%と、石油樹脂(C−1)のマスターバッチ(Constab社製 MA 00929 PP)17質量%と、帯電防止剤マスターバッチ(A.Schulman社製、「Polybatch(商品名) ASPA 2466」、帯電防止剤含有量12.5質量%)2質量%とからなるドライブレンド物(ポリオレフィン系組成物)をコア層用原料として用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で三層二軸延伸フィルムを製膜した。製膜された三層二軸延伸フィルムの特性について評価した。結果を表2に示す。
オレフィン系重合体(A−1)93質量%と、製造例1のプロピレン系重合体(B)5質量%と、帯電防止剤マスターバッチ(A.Schulman社製、「Polybatch(商品名) ASPA 2466」、帯電防止剤含有量12.5質量%)2質量%とからなるドライブレンド物(ポリオレフィン系組成物)をコア層用原料として用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で三層二軸延伸フィルムを製膜した。製膜された三層二軸延伸フィルムの特性について評価した。結果を表2に示す。
オレフィン系重合体(A−4)90質量%と、製造例1のオレフィン系重合体(B)5質量%と、石油樹脂(出光興産(株)製 「アイマーブ P-125」)5質量%とからなる事前混練物を、50mmφシート成形機(サーモ・プラスティックス工業(株)製)を用いて設定温度250℃で押出しながら、厚さ1000μmの単層フィルム(無延伸原反)を作製した。このとき、冷却ロール(チルロール)の温度は50℃であった。
得られた単層フィルムの無延伸原反を岩本製作所社製のロール延伸機により、延伸温度152℃及び縦延伸倍率6.0倍の条件で機械方向に延伸(MD、縦延伸)し、次いで、岩本製作所社製のテーブルテンターにより、延伸温度166℃で、機械方向に対して垂直方向(TD、横延伸)に延伸して二軸延伸フィルムを作製した。横延伸時の条件は、予熱時間:68秒、延伸速度:6500%/分、延伸倍率:9.5倍の条件で厚さ19μmの二軸延伸フィルムを作製した。結果を表3に示す。
下記表3に示す原料組成及び延伸条件に変更して、実施例3と同様の方法で二軸延伸フィルムを作製した。作製した二軸延伸フィルムの特性について評価した。結果を表3に示す。
ここで、比較例2及び3で用いたオレフィン系重合体(A−3)は[mmmm]が90モル%であり、実施例3〜8で用いたオレフィン系重合体(A−4)は[mmmm]が97モル%である。したがって、より非晶部が多いオレフィン系重合体(A−3)を用いている場合の方が、通常は、透明性が良好になる(ヘイズ値が小さくなる)と考えられる。
表3の実施例3〜8の結果から、オレフィン系重合体(A−3)よりも非晶部が少ないオレフィン系重合体(A−4)を用いた場合であっても、オレフィン系重合体(B)、及び石油樹脂(C−2)を含有する本発明のポリオレフィン系組成物を用いることによって、優れた透明性を有するフィルムを得ることができたことが分かる。
下記表5に示す原料組成及び延伸条件に変更して、実施例3と同様の方法で二軸延伸フィルムを作製した。作製した二軸延伸フィルムの特性について評価した。結果を表4に示す。
ここで、オレフィン系重合体(B)及び石油樹脂(C−2)を用いていない参考例2は、水蒸気透過度及び酸素透過度が、実施例9及び比較例4より劣っていることがわかる。この参考例2に対して、石油樹脂(C−2)を添加した比較例4では、水蒸気透過度及び酸素透過度が改善しているが、透明性が低下(ヘイズ値が上昇)していることがわかる。
それに対して、オレフィン系重合体(B)及び石油樹脂(C−2)を含有する本発明のポリオレフィン系組成物を用いた実施例9では、優れた水蒸気透過度と酸素透過度を実現しつつ、かつ比較例4よりも優れた透明性を有しており、各特性のバランスに優れたフィルムを得ることができたことが分かる。
Claims (15)
- 下記(a)〜(c)成分を含むポリオレフィン系組成物であって、オレフィン系重合体(A)の含有量が該ポリオレフィン系組成物の全量100質量%に対して60質量%以上である、ポリオレフィン系組成物。
(a)示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークトップとして定義される融点(Tm−D)が120℃を超えるオレフィン系重合体(A)
(b)示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブから得られる融解吸熱量(ΔH−D)が0〜80J/gであり、分子量分布(Mw/Mn)が3.0未満であり、かつ下記(1)〜(5)を満たすプロピレン単独重合体であるオレフィン系重合体(B)
(c)石油樹脂類(C)
(1)[mmmm]が20〜60モル%である。
(2)示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークトップとして定義される融点(Tm−D)が0〜120℃である。
(3)[rrrr]/(1−[mmmm])≦0.1
(4)[rmrm]>2.5モル%
(5)[mm]×[rr]/[mr] 2 ≦2.0 - 前記オレフィン系重合体(A)が、プロピレン系重合体(a1)である請求項1に記載のポリオレフィン系組成物。
- 前記オレフィン系重合体(B)の含有量が、前記ポリオレフィン系組成物の全量100質量%に対して0.1質量%以上、39.5質量%以下である、請求項1又は2に記載のポリオレフィン系組成物。
- 前記石油樹脂類(C)の含有量が、前記ポリオレフィン系組成物の全量100質量%に対して0.5質量%以上、39.9質量%質量%以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリオレフィン系組成物。
- 前記石油樹脂類(C)が、軟化点80℃〜160℃の石油樹脂及びその水素添加誘導体から選ばれる1種以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリオレフィン系組成物。
- 前記ポリオレフィン系組成物が押し出し成形用ポリオレフィン系組成物である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリオレフィン系組成物。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリオレフィン系組成物からなる成形体。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリオレフィン系組成物からなるフィルム。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリオレフィン系組成物を含み、少なくとも一方向に配向した延伸フィルム。
- 二層以上からなる多層フィルムであって、少なくとも一層が請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリオレフィン系組成物を含む、多層フィルム。
- 二層以上からなる多層フィルムであって、少なくとも一層が請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリオレフィン系組成物を含み、少なくとも一方向に配向した延伸多層フィルム。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリオレフィン系組成物からなるフィルムを加熱して、一軸又は二軸方向へ、同時又は逐次延伸して得る、延伸フィルムの製造方法。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリオレフィン系組成物からなる層を一層以上含み、かつ二層以上からなる多層フィルムを加熱して、一軸又は二軸方向へ、同時又は逐次延伸して得る、延伸多層フィルムの製造方法。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリオレフィン系組成物を含む、包装材料。
- 請求項7に記載の成形体を含む、包装材料。
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