JP6395493B2 - 高炉へのガス供給装置及び方法 - Google Patents
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Description
[水素製造時生成CO2量] << 0.16 molCO2/molH2
でなければならない。
(1)高炉シャフト部に吹き込み可能な水素主体の還元ガスを、水素製造時生成CO2量が0.10molCO2/molH2未満といった、省CO2性の高い条件で製造する。
(2)上記還元ガスの原料として製鉄所で自給可能なCOGを用いることにより、石油や天然ガスといった炭化水素を新たに購入して還元ガスの原料とする場合に比べて、製鉄所の購入するカーボンをより少なくし、省CO2性を高める。
(3)特に、従来、製鉄プロセスで消費されることのなかった、粗COG中のタールを原料のひとつとして水素製造を行うことにより、原料を有効利用し、省CO2性を高める。
(4)タールを含有する粗COGの熱分解反応によって得られた1次改質ガスから高温下での部分酸化により2次改質ガスを製造することにより、高炉シャフト用還元ガスとして好適な成分の還元ガスを省CO2条件下で製造する。
(1)1)コークス炉に供給される石炭を事前に乾燥することによる、又は、コークス炉に供給される石炭の水分を事前に自然蒸発させることによる、コークス炉ガス中の水分低減手段を備えたコークス炉と、
2)700℃以上に保持され、コークス炉から発生したコークス炉ガスを熱分解する炭化炉と、
3)炭化炉から抽気したガス中のタールおよび少なくとも一部の水分を除去するガス精製装置と、
4)精製後のガスを昇圧するガス搬送装置と、
5)ガスの予熱装置と、
6)予熱した前記ガスの部分酸化のため当該ガスに燃焼ガスを混合するための手段を装備している部分酸化改質装置と、
7)高炉シャフト部へのガス供給口と、
8)上記1)〜7)をこの順に連結する通気管と、
から構成されることを特徴とする、高炉へのガス供給装置。
(2)前記部分酸化改質装置における前記予熱したガスと前記燃焼ガスとの混合のための手段が、
(a)酸素ガスと可燃性ガスの供給を受け、可燃性ガスの燃焼により生じる燃焼ガスを前記部分酸化改質装置へ供給するための燃焼器、
(b)前記部分酸化改質装置内に酸素ガスと可燃性ガスとを個別にまたは一緒にして供給するための供給管、
(c)前記部分酸化改質装置内に酸素ガスを単独に供給するための供給管、
のうちのいずれかであることを特徴とする、上記(1)に記載の高炉へのガス供給装置。
(3)前記炭化炉がタールを改質するため充填された触媒層を含むことを特徴とする、上記(1)または(2)に記載の高炉へのガス供給装置。
(4)前記炭化炉が、前記触媒層の触媒間に堆積する固体カーボンをオンラインで除去する固体カーボン分離手段を備えることを特徴とする、上記(3)に記載の高炉へのガス供給装置。
(5)前記固体カーボン分離機構が、前記炭化炉の内壁に接する前記触媒層を保持する保持器と、前記保持器を昇降させることにより前記触媒層を昇降させるための駆動機構とから構成されることを特徴とする、上記(4)に記載の高炉へのガス供給装置。
(6)前記可燃性ガスが天然ガスであることを特徴とする、上記(1)から(5)のいずれかに記載の高炉へのガス供給装置。
(7)精製後のガスを昇圧する前記ガス搬送装置と前記予熱装置との間に、前記精製後のガスを一時的に貯留するガスホルダと、ガスホルダからのガスを昇圧する別のガス搬送手段とを含むことを特徴とする、上記(1)から(6)のいずれかに記載の高炉へのガス供給装置。
(8)1)上記(1)から(6)のいずれかに記載の高炉へのガス供給装置を用い、
2)前記コークス炉からのコークス炉ガスを前記炭化炉に通気させる際に、コークス炉ガス中の炭化水素をコークと水素に分解することによって水素濃度を増大させ、
3)前記炭化炉を通過したガス中のタールおよび少なくとも一部の水分を前記ガス精製装置によって除去して第1の改質ガスを製造し、
4)前記第1の改質ガスを前記ガス搬送装置で昇圧し、
5)昇圧した前記第1の改質ガスを前記予熱装置で予熱し、
6)前記部分酸化改質装置に、予熱された前記第1の改質ガスを供給するとともに、燃焼ガスを供給して、前記第1のガス中の炭化水素を改質して水素濃度を増大させた第2の改質ガスを製造し、
7)前記第2の改質ガスを前記高炉シャフト部へのガス供給口から高炉内に供給する、
ことを特徴とする高炉へのガス供給方法。
(9)前記第1の改質ガスを前記ガス搬送装置で少なくとも0.2MPaの圧力に昇圧することを特徴とする、上記(8)に記載の高炉へのガス供給方法。
(10)前記予熱装置において前記第1の改質ガスを300〜800℃に予熱することを特徴とする、上記(8)または(9)に記載の高炉へのガス供給方法。
(11)前記部分改質装置への燃焼ガスを、
(a)酸素ガスと可燃性ガスを燃焼器に供給して生じさせた燃焼ガスとして供給するか、
(b)酸素ガスと可燃性ガスを前記部分改質装置内に供給して当該部分酸化改質装置内で燃焼ガスを生じさせることにより供給するか、
(c)酸素ガスを前記部分酸化改質装置内に供給して前記第1の改質ガスの一部を燃焼させることにより供給する、
ことを特徴とする、上記(8)から(10)のいずれかに記載の高炉へのガス供給方法。
(12)前記ガス搬送装置で昇圧したガスを一時的にガスホルダに貯留し、このガスホルダからのガスを別のガス搬送手段によりさらに昇圧してから前記予熱装置に供給することを特徴とする、上記(8)から(11)のいずれかに記載の高炉へのガス供給方法。
粗COG中には通常、10%弱の水蒸気が含有されている。また、粗COGのタールを全量(分解)改質することを目的として、多くの場合、水蒸気を粗COGに多量に添加したうえで、タールの改質(水蒸気改質)が実施される。このため、粗COG中の触媒改質においては、水分過剰条件での改質となり、以下の水性シフト反応によってCO2の生成が卓越する。
CO + H2O → CO2 + H2
即ち、水性シフト反応による水素製造時のCO2副生量は、1.0mol/molであり、省CO2性は極めて低い。このため、改質時に多量のCO2が副生するので、省CO2条件での粗COG触媒改質は、困難である。また、粗COG中に多量に(数千ppm)含まれるH2Sは、粗COG中のメタンの触媒改質を著しく阻害し、改質ガス中に多量のメタンが残留するので、このままでは高炉シャフト部用還元ガスには使えない。
特許文献4でのように、粗COGを部分酸化する方法もありうる。しかし、粗COGに酸素を供給すると、燃焼速度の速い水素が先ず選択的に燃焼して水蒸気化するので、やはり水蒸気過剰条件下での改質となり、省CO2性は低いという問題がある。
また、粗COG中のメタンを改質する際には、粗COG中に含まれるタールも同時に改質されるので、有害なメタンを改質によって除去するためには、より多くの酸素を供給する必要があり、水蒸気の発生量が一層多いという問題も存在する。
さらに、常圧の粗COGを高温のまま昇圧する安価な工業的手段がないので、改質ガスを一旦冷却したうえで、昇圧、加熱して高炉へ供給しなければならず、エネルギ効率の点でさらに省CO2性を低下させる。
精製COGを触媒改質する手段も存在する。しかし、精製COG中にはタールは存在せず、水分濃度も低い。容易に熱分解(水分を必要としない改質)するタール改質とは異なり、精製COG中の主成分であるメタンを改質するためには水蒸気改質によるしかなく、このため、多量の水蒸気を添加したうえで水蒸気ごと精製COGを昇温したうえで改質する必要があり、エネルギ的にロスが大きく省CO2性は低い。
また、COG改質用触媒の耐熱限界である800℃程度まで再び精製COGを加熱したうえで触媒改質しても、このような低温では平衡論的に改質後の組成を好適とするために常圧操業せざるをえないので(低温、かつ、水蒸気が高濃度、かつ、高圧条件下では副生CO2量が過大になる)、高圧で操業される高炉シャフト部へ改質ガスを直接には供給できず、冷却、加圧、再昇温といった操作を必要とするため、エネルギ効率が低く、省CO2でのガス製造は困難である。
精製COGを部分酸化すれば、主成分であるメタンの大半を改質しうる。しかし、部分酸化法は、水蒸気改質法(触媒改質法)に比べて炭化水素当たりの水素発生量が小さく、かつ、水素を選択的に燃焼・消費する効果もあることから、改質ガス中の水素濃度を十分に高めることが困難である(改質ガス中でCO濃度ばかりが増える傾向となる)。水蒸気を添加したうえで部分酸化を行えば、燃焼時の高温下で水蒸気改質を生じるが、精製COGの触媒改質法と同様の省CO2性のガス製造の困難を生じる。
1000℃以上に保持されるコークス炉内の上部空間においてコークス炉ガス中の炭化水素が一部、熱分解されることが知られているものの、その分解速度は小さく、コークス炉ガスを単に高温に保持しただけでは、炭化炉として機能しない。
また、コークス炉ガス中の炭化水素で比較すると、タールは比較的容易に熱分解してコークを生成するが、メタンの分解速度は極めて低い。このため、炭化炉を用いてコークス炉ガス中の炭化水素を分解できたとしても、改質ガス(粗COG・精製COG)中にメタンが多量に残留するため、高炉シャフト部吹き込み用の還元ガスには適用することができない。
精製COGの改質ガスを1次改質ガスとして、さらに2次改質(触媒改質、部分酸化)を行う場合、1次改質時の昇温およびその後の冷却、再度の昇温と、複数回の昇温過程が必要なため、還元ガスを省CO2条件では製造できない。
本発明に関しては、高炉へ供給する還元ガスに含まれる水素の製造時に生成されるCO2量を評価して、検討する装置と方法が省CO2条件での高炉ガスの供給に有効であるかどうかを判断する。
水蒸気改質反応: CnHm(炭化水素)+ H2O → H2 + CO + CO2
熱分解改質反応: CnHm(炭化水素) → CnHm'(コーク、n≫m’) + H2
部分酸化改質反応: CnHm(炭化水素) + H2 + O2 → H2 + H2O + CO + CO2
部分酸化改質反応は、高温場をもたらすので、水蒸気改質反応が付随する場合が多い。
ΔCO2 = ΔCO2,comp + ΔCO2,heat + ΔCO2,cmp + ΔCO2,ph + ΔCO2,O2
[高炉供給ガス中CO2濃度]×[高炉供給ガス流量]
に対応する。
ΔCO2,heat = [消費する天然ガスmol流量] × 1 molCO2/molCH4
= [所要熱量] / ([熱効率ηheat] × [天然ガス発熱量])
以降の算定では、ηheat=70%として計算した。
ΔCO2,cmp = [消費する天然ガスmol流量] × 1 molCO2/molCH4
= [昇圧用コンプレッサ消費電力]/([発送電効率ηel]×[天然ガス発熱量])
以降の算定では、昇圧用コンプレッサ消費電力を常圧から0.3MPaまでの断熱圧縮仕事率から求め、また、ηel=50%として計算した。
以降の算定では、ΔCO2,phはΔCO2,heatと同様の方法で算出した。
以降の算定では、酸素製造時の電力原単位を0.3kWh/Nm3 O2とし、ΔCO2,heatと同様の方法で算出した。
本発明の装置は、コークス炉1、炭化炉2、ガス精製装置3、ガス搬送装置4、予熱装置5、部分酸化改質装置6、高炉7が上流からこの順に連結されることによって構成される。これらの装置は、通気管などの手段を用いて連結することができる。コークス炉1には、発生するコークス炉ガス(COG)の水分低減手段1Aが付帯する。例えば、石炭の水分を低減するためのDAPSやSCOPE21等を水分低減手段1Aとし、水分低減手段1Aで脱水された石炭は、ベルトコンベヤ等の石炭搬送手段1Bによってコークス炉1まで輸送することができる。部分酸化改質装置には、酸素ガスおよび可燃性ガスを供給して燃焼させる燃焼器8が接続している。
コークス炉1としては、製鉄業等で用いられる一般的なコークス炉を適用することができる。あるいは、より小型のシステムであれば、キルン等の加熱炉に石炭を連続的に供給して加熱し、COGを連続的に発生させてもよい。
COGを発生させるための石炭には、高炉法による鉄鋼精錬に適したコークスの原料となる石炭である、水分濃度6質量%以上、かつ、15%以下の瀝青炭を用いることができる。あるいは、COGの発生量や品質を重視して、亜瀝青炭や褐炭を用いてもよい。これらの石炭は、採掘、取引、輸送、保管等の際の火災や飛散を防止するために、一般に、コークス炉に供給される直前まで、所定の水分濃度以上を維持するように保持される。このような所定水分濃度下限値は、上記6質量%とすべきである。また、石炭中の過剰な水分濃度は、作業性や作業コストの点で問題があるので、製鉄用の瀝青炭に関しては、概ね上記15質量%以下とすべきである。
石炭乾留時に発生するCOGには、メタン・エタン等の脂肪族有機物ガス、ベンゼン・トルエン等の芳香族炭化水素軽質油ガス、芳香族重質炭化水素を主体とするタールガス等が含有されている。また、使用する石炭に付着または含有された水分がコークス炉内で蒸発することにより、COG中には一般に水蒸気が含まれる。
COGの水分低減手段1Aとしては、従来技術であるDAPSやSCOPE21炉を用いて、コークス炉に供給される石炭を事前に乾燥させておくことができる。乾燥した石炭を乾留すれば、発生するCOG中の水分を減少させることができる。あるいは、より小型のシステムの場合には、数カ月以上といった長期間、石炭を石炭庫で保管し、その間に水分を自然に蒸発させてもよい。
炭化炉2は、コークス炉1から連続的に供給されるCOG14中の炭化水素(主にタールガス)を熱分解により改質して、水素ガスと固体カーボンに分離し、改質ガス15を下流に排出するとともに、生成した固体カーボンを貯留するための炉である。炉内温度を熱分解反応に好適な温度に保持し、かつ、熱分解を主体とする水素生成反応に要する反応熱を供給するために、炭化炉には、炉体外部から(あるいは、炉内に発熱体等を設けて炉内から)熱供給を行うための熱供給手段32を設ける。この熱供給手段32には、一般的な電気ヒータ加熱や直火加熱を用いることができる。炭化炉2は、生成した固体カーボンのそこでの燃焼を避けるため、酸化源となる酸素・空気・水蒸気等の炭化炉への流入を極力避ける構造とする。具体的には、部分酸化法におけるような、水素生成反応中のCOGへの酸素供給手段等を設けることをしない。水蒸気も、COGに元々含まれていたもの以外、COGへの添加を行わない。タールの熱分解反応に好適な反応温度は、熱分解触媒を用いる場合には、概ね650℃から900℃の範囲である。この温度範囲以下でCOGを炭化炉に通気させると、タールの凝縮が生じ、この凝縮液が固体カーボン微粒子間の空間を塞ぐため、固体カーボンを炭化炉内に保持する本発明では、容易に炭化炉の閉塞を生じる問題が存在する。しかし、本発明では、この熱分解反応に好適な温度範囲に炭化炉内を保持することによって、COG中に含まれるタールを凝縮させることなく、熱分解によって副生した固体カーボンは乾燥した状態に維持でき、固体カーボンによる通気性低下を最小化することができる。また、炭化炉内の圧力は、コークス炉内圧よりも低いことが好ましい。例えば、コークス炉内圧は通常、10Pa(ゲージ圧)超であるので、炭化炉内圧力を10Pa(ゲージ圧)以下として、COGの通気を維持することができる。炭化炉内圧力の下限は特に存在しないが、炭化炉の耐圧性、炭化炉内のガス密度、必要な真空装置能力(これは場合により必要となることがある)等の観点から、−20000Pa(ゲージ圧)以上とすることができる。
固体カーボン保持機構30は、炭化炉内壁11で構成される反応領域(ガス流路)内に設けられ、COGと接触するように固体カーボンを保持する機構である。
炭化炉内壁11で形成される流路内に、熱分解触媒を配置することができる。熱分解触媒を粒状に加工して、前記粒状体層13を構成する粒状体として使用することができる。
本発明で用いる炭化炉2は、炭化炉2内で生成した炉温相当温度の固体カーボンの一部または全部を炭化炉2内の少なくとも反応領域から分離・除去して固体カーボンとして回収するための固体カーボン分離機構を有することができる。
ガス精製装置3は、炭化炉2から排出された1次改質ガス中の、少なくともタール・軽油・ベンゼン等の高沸点炭化水素や水分等の凝縮性ガスを除去する装置である。凝縮性ガスの除去は、スクラバ等によるガスの水冷装置や、蒸留塔を用いて行うことができる。必要に応じて、脱硫処理や脱アンモニア処理を追加してもよい。炭化炉2からの高温の1次改質ガスは、ガス精製装置における処理によって、少なくともガス搬送装置4の耐熱温度より低い温度まで、通常は常温付近まで、冷却される。
ガス搬送装置4は、1次改質ガスを炭化炉2から吸引するとともに、昇圧して部分酸化改質装置6に送りこむための装置である。このために、ガス搬送装置4は、入側圧力を−10kPa程度、出側圧力を少なくとも0.2MPa、一般には0.2〜1MPa程度に維持できる揚程が必要である。ガス搬送装置4には、市販の多段軸流コンプレッサ等を用いることができる。
1次改質ガスの部分酸化のための改質装置6では、酸素ガスを用いたガス燃焼を利用して通気ガスの昇温を行うものの、CO2生成量の削減や純水素原単位の観点から、供給する酸素量を必要最低源に設定すべきである。このため、常温の1次改質ガスをガス燃焼で昇温した場合、昇温後の通気ガス温度が水蒸気改質によるメタン分解を促進しうるほどには上昇しない場合が多い。このため、1次改質ガスを予熱装置5で予熱したうえでガス燃焼による通気ガスの昇温を行うことによって、昇温後の通気ガス温度を好適な範囲とすることができる。1次ガスの予熱温度は、300〜800℃程度が好ましい。
部分酸化改質装置6は、1次改質ガスに燃焼ガスを混合して、1次改質ガスを1000℃を大幅に超える温度(例:1500℃)に昇温することによって反応速度を高め、1次改質ガス中のメタン等の炭化水素を化学平衡に基づいて触媒を用いることなく分解して水素ガスやCOガスを生成する装置である。部分酸化改質装置6としては、これらの要件を満たす限り、どのようなものを用いてもよい。
第2の実施形態の高炉へのガス供給装置は、コークス炉1、炭化炉2、ガス精製装置3、第1のガス搬送装置4’、ガスホルダ9、第2のガス搬送装置4”、予熱装置5、部分酸化改質装置6、高炉7が上流からこの順に連結されることによって構成される。
DAPSで減水処理された石炭を使用するコークス炉から抽気したCOGを、図3に示した炭化炉(固体カーボン分離機構なし)で処理(温度700℃以上、Ni−MgO系触媒使用)して1次改質ガスを製造し、スクラバを通して精製して、次いで昇圧(0.3MPa)し、部分酸化することなく間接加熱により昇温(800℃)して、高炉シャフト部へ供給した。
水素製造時CO2生成量が前記の許容値範囲内となる、比較例1の減水粗COGの熱分解よる1次改質ガスを用いて、触媒水蒸気改質により2次改質ガスを製造した場合の2次改質ガス成分組成および1次・2次改質を総合した水素製造時CO2生成量を、2次改質の反応温度における平衡条件を仮定して熱力学計算によって算出した。2次改質については、平衡計算により得られる100%のメタン分解時の各成分の生成量の値と、各成分の生成量を約100%メタン分解時の値のそれぞれ70%とし、1次改質ガスでの30%のメタンが改質ガスに残留すると仮定して得た値とを使用した(改質においては約100%のメタン分解(平衡)が得られるとは限らないので、メタンが不完全に分解される例も検討したものである)。表3に、使用した100%メタン分解時の各成分の生成量と70%分解時の各成分の生成量を示す。
比較例1の減水粗COGの熱分解よる1次改質ガスを用いて、部分酸化により2次改質ガスを製造した場合の2次改質ガス成分組成および1次・2次改質を総合した水素製造時CO2生成量を、比較例2で説明したようにして求めた。表4に、使用した100%メタン分解時の各成分の生成量と70%分解時の各成分の生成量を、減水粗COGの熱分解組成(表2に示したものと同じ)とともに示す。
[水素増幅率] = [製品ガス中の水素流量] / [原料ガス中の水素流量]
この式により求めた水素増幅率も、表4に示す。本実施例での水素増幅率は2を大きく超える値であり、水素製造の効率は比較的高いと言える。
炭化炉に図3に示す固体カーボン分離機構を追加し、運転時間を24時間とした以外は、実施例1と同様にして1次改質ガスを部分酸化し、2次改質ガスを製造した。スクラバで精製後の1次改質ガスのオンライン分析により得た減水粗COGの熱分解組成と、100%メタン分解時の各成分の生成量と70%分解時の各成分の生成量の計算値、水素製造時CO2生成量の計算値を表5に示す。
精製COG(粗COG中のタール・BTX(ベンゼン等の芳香族化合物)・水分・硫化物・窒化物の大半を除去する精製処理を施して燃料ガスとしたもの。製鉄所内での燃料として広く用いられている)の触媒水蒸気改質を説明する。
粗COG(水分低減手段を使わずコークス炉から得られたCOG、組成は表1参照)の触媒水蒸気改質を説明する。
特許文献5に記載された部分酸化改質による、高炉シャフト部供給用還元ガスの製造を説明する。
減水粗COGの炭化炉での熱分解による1次改質ガスの製造と、触媒水蒸気改質による2次改質ガスの製造の例を説明する。
得られた結果を表9に示す。
精製COGの部分酸化による改質を説明する。
1A 水分低減手段
1B 石炭搬送手段
2 炭化炉
3 ガス精製装置
4、4’、4” ガス搬送手段
5 予熱装置
6 部分酸化改質装置
7 高炉
8 燃焼器
11 炭化炉内壁
12 保持器
13、13’ 粒状体層
14 COG
15 改質ガス
16、17 炭化炉の開口
18 ガス流れ
20 保持器駆動機構
21 駆動装置
22 伝導軸
25 固体カーボン
30 固体カーボン保持機構
31 固体カーボン分離機構
32 熱供給手段
33、34 通気管
35 非反応部
46 除塵装置
47 固体カーボン流れ
48 粒状体流れ
50 粒状体供給口
51 粒状体排出口
52 粒状体排出手段
53 篩
54 粒状体
55 粒状体回収器
56 粒状体還流路
57 入側空間
58 出側空間
61 焼器
62 酸素ガス供給管
63 可燃性ガス供給管
64 温度計
65 燃焼領域
68、69 通気管
Claims (12)
- 1)コークス炉に供給される石炭を事前に乾燥することによる、又は、コークス炉に供給される石炭の水分を事前に自然蒸発させることによる、コークス炉ガス中の水分低減手段を備えたコークス炉と、
2)700℃以上に保持され、コークス炉から発生したコークス炉ガスを熱分解する炭化炉と、
3)炭化炉から抽気したガス中のタールおよび少なくとも一部の水分を除去するガス精製装置と、
4)精製後のガスを昇圧するガス搬送装置と、
5)ガスの予熱装置と、
6)予熱した前記ガスの部分酸化のため当該ガスに燃焼ガスを混合するための手段を装備している部分酸化改質装置と、
7)高炉シャフト部へのガス供給口と、
8)上記1)〜7)をこの順に連結する通気管と、
から構成されることを特徴とする、高炉へのガス供給装置。 - 前記部分酸化改質装置における前記予熱したガスと前記燃焼ガスとの混合のための手段が、
(a)酸素ガスと可燃性ガスの供給を受け、可燃性ガスの燃焼により生じる燃焼ガスを前記部分酸化改質装置へ供給するための燃焼器、
(b)前記部分酸化改質装置内に酸素ガスと可燃性ガスとを個別にまたは一緒にして供給するための供給管、
(c)前記部分酸化改質装置内に酸素ガスを単独に供給するための供給管、
のうちのいずれかであることを特徴とする、請求項1に記載の高炉へのガス供給装置。 - 前記炭化炉がタールを改質するため充填された触媒層を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の高炉へのガス供給装置。
- 前記炭化炉が、前記触媒層の触媒間に堆積する固体カーボンをオンラインで除去する固体カーボン分離手段を備えることを特徴とする、請求項3に記載の高炉へのガス供給装置。
- 前記固体カーボン分離機構が、前記炭化炉の内壁に接する前記触媒層を保持する保持器と、前記保持器を昇降させることにより前記触媒層を昇降させるための駆動機構とから構成されることを特徴とする、請求項4に記載の高炉へのガス供給装置。
- 前記可燃性ガスが天然ガスであることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の高炉へのガス供給装置。
- 精製後のガスを昇圧する前記ガス搬送装置と前記予熱装置との間に、前記精製後のガスを一時的に貯留するガスホルダと、ガスホルダからのガスを昇圧する別のガス搬送手段とを含むことを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の高炉へのガス供給装置。
- 1)請求項1から6のいずれか一項に記載の高炉へのガス供給装置を用い、
2)前記コークス炉からのコークス炉ガスを前記炭化炉に通気させる際に、コークス炉ガス中の炭化水素をコークと水素に分解することによって水素濃度を増大させ、
3)前記炭化炉を通過したガス中のタールおよび少なくとも一部の水分を前記ガス精製装置によって除去して第1の改質ガスを製造し、
4)前記第1の改質ガスを前記ガス搬送装置で昇圧し、
5)昇圧した前記第1の改質ガスを前記予熱装置で予熱し、
6)前記部分酸化改質装置に、予熱された前記第1の改質ガスを供給するとともに、燃焼ガスを供給して、前記第1のガス中の炭化水素を改質して水素濃度を増大させた第2の改質ガスを製造し、
7)前記第2の改質ガスを前記高炉シャフト部へのガス供給口から高炉内に供給する、
ことを特徴とする高炉へのガス供給方法。 - 前記第1の改質ガスを前記ガス搬送装置で少なくとも0.2MPaの圧力に昇圧することを特徴とする、請求項8に記載の高炉へのガス供給方法。
- 前記予熱装置において前記第1の改質ガスを300〜800℃に予熱することを特徴とする、請求項8または9に記載の高炉へのガス供給方法。
- 前記部分改質装置への燃焼ガスを、
(a)酸素ガスと可燃性ガスを燃焼器に供給して生じさせた燃焼ガスとして供給するか、
(b)酸素ガスと可燃性ガスを前記部分改質装置内に供給して当該部分酸化改質装置内で燃焼ガスを生じさせることにより供給するか、
(c)酸素ガスを前記部分酸化改質装置内に供給して前記第1の改質ガスの一部を燃焼させることにより供給する、
ことを特徴とする、請求項8から10のいずれか一項に記載の高炉へのガス供給方法。 - 前記ガス搬送装置で昇圧したガスを一時的にガスホルダに貯留し、このガスホルダからのガスを別のガス搬送手段によりさらに昇圧してから前記予熱装置に供給することを特徴とする、請求項8から11のいずれか一項に記載の高炉へのガス供給方法。
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