以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
(本発明の一形態を得るに至った経緯)
従来、リッチクライアント端末としての決済端末を用いて、取引処理の一例としての決済処理を行う場合、決済端末と決済センタ装置との間で各種データの通信が行われる。具体的には、決済端末は、金額入力、カードスキャン、支払条件等の入力を受け付け、決済センタ装置は、これらの入力情報を基に与信処理し、与信処理の結果を決済端末へ返答する。与信結果に問題がなければ、支払処理が成立し、決済センタ装置は、決済端末による決済処理の完了に伴う売上登録の処理を行う。このような決済処理に係る手順が、決済端末と決済センタ装置との間で行われる。
よって、決済端末から決済センタ装置へは、金額入力の情報、カードスキャンの情報、支払条件の入力情報が通信される。決済センタ装置から決済端末へは、与信結果や決済処理の結果の情報が通信される。
特許文献1のシンクライアント端末を決済端末に適用すると、決済端末が有する機能は限定され。決済端末は、例えば入力機能及表示機能を有する。そのため、決済処理を行うために、決済端末及び決済センタ装置の他に、決済中継装置が設けられる。決済中継装置は、決済端末が扱う入力情報や出力情報を処理し、決済端末と決済センタ装置との間のデータ通信を中継する。従って、決済端末と決済中継装置との間でデータ通信され、決済中継装置と決済センタ装置との間でデータ通信される。
決済中継装置から決済センタ装置へは、決済端末から取得した金額入力の情報、カードスキャンの情報、支払条件の入力情報が通信される。決済センタ装置から決済中継装置へは、与信結果や決済処理の結果の情報が通信される。つまり、決済中継装置と決済センタ装置との間では、リッチクライアント端末としての決済端末と決済センタ装置との間で通信されるデータと同様のデータが通信される。
一方、決済端末から決済中継装置へは、決済端末に操作部等を介して入力された、金額入力、カードスキャン、支払条件の入力のための入力情報(例えば所定のキーの操作情報)が通信される。決済中継装置から決済端末へは、決済端末により画面表示するための画面情報(例えば、金額入力、カードスキャン、支払条件の入力を促すための画面の情報、与信結果や決済処理の結果を通知するための画面の情報)通信される。
このように、シンクライアント端末としての決済端末と決済中継装置との間では、比較的データ量の多い画面情報が頻繁に通信されることになる。そのため、決済端末をシンクライアント端末によって構成した場合、決済処理に際し、通信データ量が多くなり、結果として両者間の通信時間が長くなる。
更に、決済端末と決済中継装置との間が無線回線により接続される場合には、有線回線により接続される場合よりも通信環境に変動が発生し易い。例えば、店舗においてシンクライアント端末としての決済端末を用いる場合、ネットワークに接続されるアクセスポイントと決済端末との間に様々な電波遮蔽物が存在する場合、マルチパスフェージング(電波反射、電波干渉等)が発生し、通信品質が劣化する。また、通信許容量についても、有線回線により接続される場合よりも無線回線により接続される方が少ない。
従って、シンクライアント化した決済端末が用いられる決済取引の決済処理においては、決済端末と決済中継装置との間が無線回線により接続される場合、データ通信量が多く、通信時間が長くなることで、決済処理が処理途中で中断や切断され易いという事情が顕在化する。
このように、シンクライアント端末としての取引処理装置は、取引処理を行う際、情報の入力や情報の出力(表示、音声出力)等、簡略化された処理を行い、入力情報を用いた取引処理の主要部分は、他の装置により行われる。そのため、シンクライアント端末とサーバとの間では、多くの入力情報や画面情報が通信されることになる。従って、シンクライアント端末を用いて取引処理する場合、入力だけでなく取引処理の主要部分も行うリッチクライアント端末を用いて取引処理を行う場合と比較すると、データ通信量が多くなり、また、データ通信時間が長くなる。
特に、シンクライアント端末が無線回線を用いてデータ通信を行う場合、通信環境によっては、通信品質が影響を受けやすい。通信品質が不安定な状態において、シンクライアント端末が取引処理を行う場合、取引処理の途中で通信品質が低下して取引処理を完了できなくなることが想定される。
以下、通信品質が不安定でも取引処理への影響を低減できる取引処理装置、取引処理方法及び取引処理プログラムについて説明する。
(実施形態)
図1は実施形態における決済端末装置10,100を含む決済システム5の概略構成例を示す模式図である。決済端末装置10,100は、取引処理装置の一例である。
決済システム5は、決済端末装置10、決済端末装置100、POS端末装置150、決済中継装置300、及び決済センタ装置200が、イントラネット60やインターネット70を介して接続された構成を有する。
決済端末装置10,100は、例えば、アクセスポイント55を経由した無線回線を介して店舗内ネットワークであるイントラネット60に接続され、さらにはインターネット(公衆網)70に接続されている。決済端末装置10,100は、接続先である決済中継装置300との間で決済処理(例えばカード決済処理)に関する情報を送受信する。
また、決済端末装置10は、例えばユーザが店舗外で使用する場合には、3G(第3世代移動通信システム)/LTE(Long Term Evolution)等の携帯通信回線に接続し、無線基地局50を介して、インターネット70に接続可能である。ユーザは、例えば、決済端末装置100の所有者(例えば店員)、決済処理を受ける人(例えばカードを使用した客)、を含む。
決済端末装置10,100は、決済中継装置300との間で決済処理に関する情報を通信することで、決済センタ装置200との間で行われる決済処理を決済中継装置300に任せる。そのため、決済端末装置10、100は、シンクライアント端末として機能する。例えば、決済端末装置10、100は、決済処理の際、決済中継装置300から受信した画面情報を表示し、また、入力操作により取得した入力情報を決済中継装置300に送信する等の簡単な動作を行う。
また、決済端末装置10は、ユーザが携帯可能な可搬型の端末である。決済端末装置100は、レジカウンタ等に設置される据置型の端末である。決済端末装置10,100は、ほぼ同様の仕様を有するので、以後、可搬型の決済端末装置10について説明し、据置型の決済端末装置100については同様であるとして、その説明を省略する。
POS端末装置150は、例えば、店舗で販売している商品の情報を予め登録しており、販売時に商品の情報を更新することで、商品の販売を管理する。POS端末装置150は、例えば、端末部151、ディスプレイ152、及びバーコードリーダ153を備える。
店員は、例えば、バーコードリーダ153を用いて、購入商品に付されたバーコードを読み取り、バーコード情報を端末部151に入力する。端末部151は、例えば、バーコード情報をもとに検索した商品の情報をディスプレイ152に表示し、内蔵プリンタ(図示せず)が、購入商品のレシートを印刷する。
また、客が商品を例えばクレジットカードで購入する場合、POS端末装置150は、例えば、購入商品の情報を決済端末装置10に送信し、決済端末装置10から決済結果の情報を受信する。
決済中継装置(決済中継サーバ)300は、インターネット70を介して決済端末装置10と接続され、決済処理に関する画面情報を決済端末装置10に送信し、決済端末装置10から決済処理に関する入力情報を受信する。決済中継装置300は、取引処理サーバの一例である。
決済中継装置300は、決済端末装置10から取得した決済処理に関する入力情報を用いて、インターネット70に接続された決済センタ装置200との間で決済処理を行い、決済処理の結果を決済端末装置10に返信する。決済端末装置10は、決済中継装置300からの決済処理の結果を受けて、決済処理の結果の表示等を行う。
決済センタ装置200(決済サーバ)は、決済中継装置300との間で決済処理を行い、カード決済を行うユーザに対し、与信を与える等の各種処理を行う。決済センタ装置200は、与信がOKである場合、決済処理により決済端末装置10による支払が成立し、決済センタ装置200により売上登録される。決済センタ装置200は、取引センタサーバの一例である。
このように、決済端末装置10と決済中継装置300とによって、決済処理を行うリッチクライアント装置として機能する。決済中継装置300は、決済処理に関し、決済端末装置10では機能不足な点を補っている。
図2は、決済端末装置10の構成例(例えばハードウェア構成例)を示すブロック図である。決済端末装置10は、例えば、箱形の筐体10z(図5参照)を有し、耐タンパ性有する。
決済端末装置10は、例えば、CPU(Central Processing Unit)21、磁気カードリーダ部22、及び接触式IC(Integrated Circuit)カードリーダライタ部23、非接触式ICカードリーダライタ部24、ループアンテナ部24A、プリンタI/F(Interface)部25、キー入力部27、タッチパネル30、PIN(Personal Identification Number)パッドI/F部31、有線ネットワークI/F部32、広域無線通信部33、及び局所無線通信部34、フラッシュROM(Read Only Memory)35、RAM(Random Access Memory)36、POS_I/F部37、局所無線通信部38、及びデバイスI/F部39を有する。
CPU21は、決済端末装置10を統括し、各種の処理を行う。CPU21は、例えば、フラッシュROM35に記憶されたプログラムを実行することで、各種機能を実現する。
フラッシュROM35は、各種のデータを記憶する機能を有する。記憶されるデータは、業務に関わるデータでもよいし、決済端末装置10を制御するためのプログラムでもよい。
RAM36は、決済端末装置10が演算処理を行う際、演算処理の途中において発生する処理データを、一時的に記憶するために用いられるメモリである。
磁気カードリーダ部22は、磁気カードの情報(磁気ストライプ)を読み取るためのパスとなるスリットを有し、ユーザがこのスリットを通るように磁気カードをスライド(スワイプ)させると、磁気カードの情報を読み出す。磁気カードとして、例えば、磁気クレジットカード、デビットカード、プリペイドカード、ポストペイカード、ポイントカード、クーポン、電子商品券が使用される。
接触式ICカードリーダライタ部23は、その前面にスリットを有し、ユーザが接触式ICカードをこのスリットに挿入することで、接触式ICカードの情報を読み取る。接触式ICカードとして、例えば、ICクレジットカード、電子商品券が使用される。
非接触式ICカードリーダライタ部24は、ループアンテナ部24Aを内蔵し、ユーザが非接触ICカードをループアンテナ部24Aに近接させる操作を行うことで、非接触ICカードの情報を読み取る。非接触ICカードとして、例えば、ICクレジットカード、電子マネー、電子商品券が使用される。
キー入力部27は、テンキー等の入力キーを有し、入力キーからの操作入力を受け付ける機能を有する。キー入力部27は、操作部の一例である。キー入力部27は、例えば金額等の操作入力を受け付ける。
タッチパネル30は、タッチ入力部28の検出面と表示部29の画面とを重ね合わせた構造を有する。表示部29は、タッチパネル30の表示を制御し、各種情報を表示する機能を有する。タッチ入力部28はタッチパネル30に対するタッチ入力(操作入力)を検出する機能を有する。タッチ入力部28は、操作部の一例である。
PINパッドI/F部31は、ユーザがキーパッドを使用してPIN(暗証番号)を入力するPINパッド45と接続される。
プリンタI/F部25は、ユーザの控え、店舗の控え、署名票等を印刷するプリンタ26と接続される。プリンタ26は、決済端末装置10の筐体10zの内部に収容された内蔵プリンタでもよいし、筐体10zの外部で接続可能な外部プリンタでもよい。
POS_I/F部37は、無線又は有線でPOS端末装置150と通信可能に接続される。例えば、POS端末装置150から金額情報等を受け取り、決済端末装置から金額情報等を送る。
デバイスI/F部39は、スピーカ43及びLED42と接続される。デバイスI/F部39は、例えば、スピーカ43に警告音を出力させる信号を出力し、LED42に警告灯を点灯させる信号を出力する。スピーカ43は、例えば、決済端末装置100の筐体10zの側面に配置され(図5参照)、入力信号に従って警告音を発する。警告音として、例えば、単なるブザー音、メロディ、音声が挙げられる。LED42は、例えば、筐体10zの前面の上部に配置されており(図8参照)、入力信号に従って警告灯を点灯させる。警告灯として、例えばランプ表示、点滅が挙げられる。
有線ネットワークI/F部32は、イーサネット(登録商標)等のネットワークインターフェイスであり、決済端末装置10をイントラネット60やインターネット70に接続する。有線ネットワークI/F部32は、通信部の一例である。
局所無線通信部34は、局所無線通信アンテナ34Aを有し、局所無線通信路(例えば無線LAN)を介して、イントラネット60に接続されたアクセスポイント55との間で無線通信を行う。局所無線通信部34は、通信部の一例である。
局所無線通信部38は、局所無線通信アンテナ38Aを有し、近距離無線通信路(例えばBluetooth(登録商標))を介して、イントラネット60に接続されたアクセスポイント57との間で無線通信を行う。局所無線通信部34は、通信部の一例である。
広域無線通信部33は、広域無線通信アンテナ33Aを有し、広域無線通信路(例えばWAN(Wide Area Network))を介して、通信する。広域無線通信路における通信は、例えば、W−CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)、UMTS(Universal Mobile Telecommunications System)、CDMA(Code Division Multiple Access)2000、LTE、3Gの移動体通信を用いて行われてもよい。広域無線通信部33は、通信部の一例である。
決済端末装置10は、有線ネットワークI/F部32、広域無線通信部33、又は局所無線通信部34を介して、直接又はイントラネット60を通じてインターネット70に接続され、決済中継装置300との間で決済処理に関する情報を通信する。
次に、決済端末装置10の動作例について説明する。
図3は、決済端末装置10による決済処理手順の一例を示すフローチャートである。
決済端末装置10は、前述したようにシンクライアント決済端末であり、決済に伴って表示部29に表示される画面情報を予め保持していない。決済端末装置10は、例えば広域無線通信部33を介して決済中継装置300と通信を行い、決済時に使用する画面情報を決済中継装置300から受信し、受信した画面情報を表示部29に表示する。尚、広域無線通信部33でなく、局所無線通信部34,38を用いて決済中継装置300と通信を行ってもよい。
ここでは、決済端末装置10が、磁気クレジットカード(単に磁気カードともいう)を使って決済を行う場合を例示する。
まず、CPU21は、決済中継装置300から磁気カード読み取り動作を促すスキャンプロンプトの画面の情報を受信させ、表示部29の画面にスキャンプロンプトを表示させる(S1)。ユーザによって磁気カードの読み取り操作が行われると、磁気カードリーダ部22は、磁気カードに記録された情報を読み取り、読み取った情報を決済中継装置300に送信する。
この後、ユーザは、タッチパネル30及びキー入力部27を用いて、決済に関する情報を入力する操作を行う。即ち、CPU21は、決済中継装置300から各種の入力画面情報を受信させ、これら各種の入力画面情報に従って表示部29に入力画面を表示させ、タッチ入力部28やキー入力部27を介して、この入力画面に対する入力操作を受け付ける。
例えば、CPU21は、決済中継装置300から磁気カードのブランド選択画面の情報を受信させ、表示部29にこの選択画面を表示させ、この選択画面に対する磁気カードのブランドの選択を受け付ける(S2)。CPU21は、ブランドの選択を受け付けると、例えば広域無線通信部33を介して決済中継装置300に、選択されたブランドの情報を送信させる。
また、CPU21は、決済中継装置300から決済金額の入力画面の情報を受信させ、表示部29に金額入力画面を表示させ、この金額入力画面に対する決済金額の入力を受け付ける(S3)。ユーザは、表示部29に表示された金額入力画面に対し、キー入力部27から決済金額を入力する。CPU21は、決済金額の入力を受け付けると、広域無線通信部33を介して決済中継装置300に入力された決済金額の情報を送信させる。
また、CPU21は、決済中継装置300から支払方法及び支払回数の入力画面の情報を受信させ、表示部29にこの入力画面を表示させ、この入力画面に対する支払い方法(1回払い、分割払い等)及び支払回数の入力を受け付ける(S4)。CPU21は、支払い方法及び支払回数の入力を受け付けると、例えば広域無線通信部33を介して決済中継装置300に、支払い方法及び支払回数の入力の情報を送信させる。
S4における情報まで入力されると、例えば、PINパッドI/F部31にPINパッド45を接続し、ユーザによるPIN入力操作に進む。
例えば、CPU21は、決済中継装置300からPIN入力を促す画面の情報を受信させ、表示部29にPIN入力画面を表示させ、このPIN入力画面に従ってPINパッド45に入力されたPINを取得し、PINの情報を決済中継装置300に送信させる(S5)。
CPU21は、決済中継装置300から最終的に入力内容を確認するための確認画面の情報を受信させ、表示部29に確認画面を表示させ、ユーザがタッチ入力部28に対して最終的に入力内容を確認する操作を受け付ける。CPU21は、受け付けた確認操作に係る確認情報を取得し、決済中継装置300に送信させる(S6)。
決済中継装置300は、決済端末装置10から得られた情報を用いて決済センタ装置200と決済処理を実行し、決済センタ装置200から与信が与えられると、つまり肯定的な決済結果が得られると、決済端末装置10にこの決済結果の情報を送信する。
決済端末装置10のCPU21は、決済中継装置300からこの決済結果の情報を受信させ、表示部29に決済結果の情報を含む画面を表示させる(S7)。また、CPU21は、プリンタ26に、この決済に関するレシートを印刷させる(S8)。この後、決済端末装置10は本動作を終了する。
このように、決済端末装置10は、決済処理において、ユーザの入力操作に応じて決済処理に必要な情報を取得することで、決済端末装置10が予め保持する決済処理に係る情報の量を低減でき、決済端末装置10の構成を簡素化でき、汎用性を向上できる。
図4は、決済端末装置10による通信処理手順の一例を示すフローチャートである。
この通信処理は、決済処理の開始後、例えば、磁気カードの読み取りを促すスキャンプロンプト、磁気カードのブランド選択、決済金額の入力を行う時に、図3の決済処理のバックグランド処理として実行される。なお、この通信処理は、決済処理に係る情報が入力される際、その都度行われてもよいが、1回の決済処理に対して、1回だけ行われてもよい。
CPU21は、通信開始に伴う処理(初期処理)を行う(S11)。この初期処理では、例えば、アクセスポイント55,57への接続動作、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)によるIPアドレスの取得動作、必要なキャッシュ処理、が行われる。
CPU21は、決済取引の開始前であるか否かを判別する(S12)。例えば、図3のS1で磁気カードの読み取りを促すスキャンプロンプトが行われていない場合、S2でクレジットカードのブランド選択が行われていない場合、決済取引の開始前であると判別される。
決済取引の開始前であると判別された場合、CPU21は、通信品質判定閾値を高レベルの閾値(第1の閾値の一例)に設定する(S13)。通信品質の指標は、例えば、RSSI(Received Signal Strength Indication)、BER(Bit Error Rate)、通信の繋がり易さを表すアンテナの本数、が挙げられる。アンテナの本数は、例えばdBm(受信電力)を5段階に区切ることで設定される。通信品質判定閾値が高レベルの閾値である場合、例えば、RSSIの閾値は−30dBmに、BERの閾値は10−3に、アンテナ本数の閾値は3本に設定される。CPU21は、閾値設定部の一例である。
一方、S12で取引開始後と判別された場合、例えば、ユーザが磁気カードのブランドを選択した後に決済金額を入力中である場合、CPU21は、通信品質判定閾値を低レベルの閾値(第2の閾値の一例)に設定する(S14)。通信品質判定閾値が低レベルの閾値である場合、例えば、RSSIの閾値は−40dBmに、BERの閾値は10−2に、アンテナ本数の閾値は2本に設定される。
S13又はS14で通信品質判定閾値を設定した後、CPU21は、選択中の通信路、例えば広域無線通信部33を介して無線基地局50と通信される携帯無線回路、の通信品質を測定する(S15)。
S15における測定の結果、CPU21は、選択中の通信路の通信品質が通信品質判定閾値以上であり、良好な状態であるか否かを判別する(S16)。
S16において、通信品質が通信品質判定閾値未満であり、劣悪な状態である場合、CPU21は、通信品質が低い旨の警告情報を通知させる(S17)(例えば図5〜図10参照)。通信品質が低い旨の通知は、後述するように、種々の方法で行われる。例えば、表示部29、LED42、スピーカ43、プリンタI/F部25、有線ネットワークI/F部32、広域無線通信部33、及び局所無線通信部34,38は、警告情報出力部の一例である。
CPU21は、決済端末装置10の設置場所の変更や、他の通信方式への切替を促す案内情報を表示させる(S18)(例えば図11,図12参照)。尚、S18は省略されてもよい。
CPU21は、選択中の通信方式(例えば携帯無線回線)を他の通信方式(例えば局所無線通信回線)に切り替える(S19)。この切り替えは、例えば、案内表示後から所定時間経過しても決済端末装置10の設置場所の変更や他の通信方式への切替が行われない場合に行われてもよいし、入力操作を介してユーザの許諾を得てから行われてもよい。尚、S19は省略されてもよい。
CPU21は、例えば、所定の方法(例えば、選択中の通信方式と対になる通信方式、ラウンドロビン、ランダム)で、他の通信方式を選択して切り替える。また、切替後の通信方式としては、例えば、通信が途切れにくい通信方式(例えば無線LANを用いた通信方式)、従量課金制でない通信方式、が選択されてもよい。
また、CPU21は、切替後の通信品質を考慮して、他の通信方式に切り替えてもよい。この場合、例えば、CPU21は、選択中の通信路の通信品質を測定するだけでなく、他の通信路の通信品質も測定してもよい。また、通信品質は、通信路を切り替えする際に1度だけ測定されることに限られず、バックグラウンドで定期的に測定されておいてもよい。
例えば、CPU21は、測定された通信品質が高い他の通信路を用いる通信方式に切り替えてもよい。通信品質が高いとは、例えば、他の通信路と比較して通信路の通信品質が最大であること、通信路の通信品質が所定基準を満たすこと、を含む。また、CPU21は、複数回にわたって通信品質が測定された結果、通信品質の平均値が良好な他の通信路を用いる通信方式に切り替えてもよい。
尚、CPU21は、複数の通信路においてネットワーク層(NW層)まで常時接続しておき、切替時には物理層(PHY層)から通信路を切り替えてもよい。
S16において、通信品質が通信品質判定閾値以上であり、良好な状態である場合、CPU21は、通信品質が良好であるとして、S20の処理に進む。
CPU21は、通信を伴う処理が終了したか否かを判別する(S20)。通信に伴う処理が終了した場合、CPU21は、本処理を終了する。一方、通信に伴う処理が終了していない場合、CPU21は、S12の処理に戻る。
このように、決済端末装置10は、通信品質が悪い場合に、通信品質が低い旨の警告情報や通信品質を向上させるための解決策の案内情報を出力することで、ユーザは、警告情報や案内情報に沿った対応をとることができる。
また、決済端末装置10は、決済端末装置10が実施中の処理に応じて通信品質判定閾値を変更することで、取引処理における通信が切断される可能性を低減できる。例えば、取引開始前には良好な通信品質を要求することで、取引開始前に決済端末装置10の通信方式を変更でき、取引開始後の良好な通信品質を確保できる。また、取引開始後にはある程度の通信品質を要求することで、既に開始された取引処理を正常に完了させることを優先できる。
つまり、決済開始前にはアラーム通知する基準を厳格に設定し、決済開始後には上記基準を緩和することで、通信品質が多少低下しても、決済処理を正常に完了させることができる。また、アラーム通知が頻発することを抑制して、決済業務を阻害しないようにでき、使い勝手のよい決済端末装置10を提供できる。
次に、通信品質が低い旨の警告情報の通知例について説明する。
図5は、警告として通信品質の低下を警告音で通知する決済端末装置10を示す模式図である。
例えば決済端末装置10の筐体10zの側面に配置されたスピーカ43は、通信の品質が低い場合、デバイスI/F部39を介して入力されるCPU21からの信号に従って、警告音を発する。警告音として、例えば、単なるブザー音、メロディ、注意を喚起する音声等が挙げられる。
また、決済端末装置10は、スピーカ43から警告音を出力させる際、表示部29の画面に、通信の品質が低下していることを表すメッセージ(例えば「通信品質が低下しています」)を表示させてもよい。
図6は、警告として通信品質の低下をステータスバー表示で通知する決済端末装置10を示す模式図である。
決済端末装置10は、例えば、表示部29の画面の下部にステータスバー表示で、警告メッセージを表示する。この警告メッセージとして、例えば、「通信品質が低下しています」が反転表示で表示される。
図7は、警告として通信品質の低下をポップアップ表示で通知する決済端末装置10を示す模式図である。
決済端末装置10は、例えば、表示部29の画面の中央部に、徐々に拡大していくように表現されたポップアップ表示で、警告メッセージを表示する。図6と同様、この警告メッセージとして、例えば、「通信品質が低下しています」が反転表示で表示される。
図8は、警告として通信品質の低下を警告灯を点灯することで通知する決済端末装置10を示す模式図である。
例えば、決済端末装置10の前面の上部に配置されたLED42は、通信の品質が低下した場合、デバイスI/F部39を介して入力されるCPU21からの信号に従って、警告灯としてランプ表示を行う。このランプ表示では、例えば、LED42は、LED42の前面に記された「通信」の文字を目立たせるように点灯する。
図9は、警告として通信品質の低下をプリンタ印刷で通知する決済端末装置10を示す模式図である。
決済端末装置10は、プリンタI/F部25を介してプリンタ26に通信品質の低下を表すテキストを印字する指示を行う。プリンタ26は、この指示に従って、例えば、「通信品質が低下しています」のテキストを用紙26zに印字して出力する。ここでは、プリンタ26が、決済端末装置10にコネクタを介して接続される外部プリンタである場合を示したが、内蔵プリンタでもよい。内蔵プリンタの場合、筐体10zの排出口から印字された用紙26zが排出される。
図10は、警告として通信品質の低下を外部装置に送信することで通知する決済端末装置10を示す模式図である。
外部装置(図示せず)として、例えば、モニタ、管理サーバが挙げられる。決済端末装置10は、例えば、広域無線通信部33を介してイントラネット60又はインターネット70に接続された外部装置に、通信品質が低下した旨の警告メッセージを送信し、表示部29に、警告メッセージを送信した旨のメッセージ(例えば「通信品質低下を送信しました」)を表示する。
尚、決済端末装置10が外部装置としての管理サーバに警告メッセージを送信する場合、管理サーバが、複数台の決済端末装置10の通信状況を集中管理することが可能である。
このように、警告情報を通知することで、決済端末装置10のユーザは、例えば、警告音が発せられたことで通信品質が低下し、通信が途切れる虞がある、又は決済処理に時間がかかることを事前に認識でき、決済処理を続行するか否かを判断できる。
次に、決済端末装置10による案内情報の表示例について説明する。
図11は、案内表示として通信品質が低下した場合に設置場所の変更を提案する決済端末装置10を示す模式図である。
決済端末装置10は、例えば、表示部29に、決済端末装置10の移動を提案する案内メッセージを表示する。ここでは、案内メッセージとして、例えば、「端末の設置場所を変えてみてください」のテキストが表示される。
図12は、案内表示として通信品質が低下した場合に他の通信方式への変更を提案する決済端末装置10を示す模式図である。
決済端末装置10は、例えば、表示部29の画面に、決済端末装置10の通信方式の変更を提案する案内メッセージを表示する。ここでは、案内メッセージとして、例えば、「他の通信手段を試してみてください」のテキストが表示される。
このように、決済端末装置10は、通信の品質が低下している場合、案内情報の通知により通信品質の低下に対する解決策を提案するので、ユーザは、通信状況を改善する手掛かりを得ることができる。尚、図11及び図12の案内表示例は、一定時間毎に交互に切り替わるように表示されてもよい。この場合、決済端末装置10は、ユーザに多様な解決策を提案できる。
また、決済端末装置10が可搬型でも据置型でも、例えば決済端末装置10とアクセスポイント55,57との間に電波の遮蔽物が存在する場合、電波の反射、干渉、マルチパスフェージング等が発生することがある。この場合でも、決済端末装置10が案内情報を通知することで、決済端末装置10と決済中継装置300との間の通信品質の低下を抑制できる。従って、決済処理の途中において通信回線が切断されることを抑制でき、決済処理の再度の実施を行う可能性を低減できる。
以上のように、本実施形態の取引処理装置は、取引処理サーバに無線回線を介して接続され、取引処理を行う。取引処理装置は、操作部と、表示部と、通信部と、警告情報出力部を備える。操作部は、操作入力を受け付ける。表示部は、画面を表示する。通信部は、操作入力に係る入力情報を取引処理サーバへ送信し、画面に係る画面情報を前記取引処理サーバから受信する。警告情報出力部は、通信部を用いた通信の品質が所定品質以下である場合、通信品質が低い旨を示す警告情報を出力する。
例えば、取引処理装置(例えば決済端末装置10)は、取引処理サーバ(例えば決済中継装置300)から画面情報を受信する等、データ通信量の多いシンクライアント端末である。そのため、通信環境によって取引処理(例えば決済処理)にかかる時間が変動する。
取引処理装置によれば、通信品質が低下している旨を含む警告情報を通知することで、ユーザは、取引処理の待ち時間が長くても、待ち時間が長い理由を認識でき、ユーザが通信品質を改善するために移動等することで、安心して取引処理の完了を待機できる。従って、通信品質が不安定でも、取引処理への影響を低減できる。
また、取引処理装置は、取引処理の開始前であれば、通信品質判定閾値を高く設定することで、通信品質の低下を通知し易くする。これにより、ユーザに対し、予め通信が途切れる虞を確認させることができる。
また、取引処理装置は、取引処理の取引を開始した後であれば、通信品質判定閾値を低く設定しておくことで、通信品質の低下を通知しにくくする。これにより、取引処理の取引開始後、警告(アラーム)が頻繁に発生しないで済む。従って、決済業務が阻害されず、決済処理を円滑に進行できる。
また、取引処理サーバと取引センタサーバとの間で取引処理の主要処理が行われることで、取引処理装置がシンクライアント端末でも、決済処理を円滑に進行できる。
また、異なる場所で無線回線に接続可能な可搬型の取引処理装置により、ユーザが様々な場所で取引処理を行おうとする場合、取引処理装置の周囲の通信環境が大きく変化し、取引処理が円滑に進まないことがあり得る。この場合でも、取引処理装置は、通信環境に起因して取引業務(例えば決済業務)が停滞することを低減でき、決済処理を円滑化できる。尚、このユーザは、例えば、店舗外の特設会場や出店の販売員、宅配便の運転者、生命保険の外交員を含む。
また、警告情報出力部は、無線回線に接続される場所の変更を提案する案内情報を出力してもよい。これにより、ユーザは、案内情報を確認して取引処理装置を移動させて通信環境を改善できる。従って、取引処理装置は、取引処理が正常に完了する可能性を向上できる。
また、警告情報出力部は、通信方式の変更を提案する案内情報を出力してもよい。これにより、ユーザは、案内情報を確認して取引処理装置による通信方式を変更させて通信特性を改善できる。従って、取引処理装置は、取引処理が正常に完了する可能性を向上できる。
以上、図面を参照しながら実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
また、本発明は、上記実施形態の取引処理装置の機能を実現する取引処理プログラムを、ネットワークあるいは各種記憶媒体を介して情報処理装置に供給し、この情報処理装置内のコンピュータが読み出して実行するプログラムも適用範囲である。これにより、汎用の情報処理装置が取引処理装置として使用可能となる。