<歯間清掃具>
本発明の歯間清掃具は、持ち手となるハンドル基材部及びハンドル基材部の先端側に連設された細長い軸状の芯基材部を含みかつ特定の樹脂組成物からなる基材部と、芯基材部の先端側を被覆するように設けられかつエラストマからなる清掃用軟質部を含む軟質部と、を備え、芯基材部の先端側とそれを被覆する清掃用軟質部とで清掃部を構成したことを特徴とする。加えて、本発明の歯間清掃具は、清掃部がその第1、第2側部にそれぞれ複数の清掃部凹部を有し、清掃部凹部は清掃用軟質部を貫通して芯基材部表面の最大深さ0.01mm〜0.085mm(0.01mm以上0.085mm以下)の芯基材部凹部に繋がることを特徴とする。
このように、本発明の歯間清掃具は、材料的特徴と構造的特徴とを組み合わせることにより、清掃部の歯間挿入時や歯間清掃時、特に大臼歯や下顎前歯裏側の歯間挿入時や歯間清掃時における芯基材部ひいては清掃部の折れを防止する。まず、材料的特徴として基材部及び軟質部を構成する材料について詳しく説明する。
基材部を構成する樹脂組成物は、合成樹脂と、繊維状充填材及び板状充填材よりなる群から選ばれる少なくとも1種の充填材と、を含む。前記特定の充填材を含むことによって樹脂組成物の機械特性(剛性等)や耐熱性が向上し、第2金型中で基材部特に芯基材部が高温にさらされても、芯基材部の膨張、溶融又は軟化の程度が小さくなることから、芯基材部に対する保持ピンの当接により生成する芯基材部凹部の最大深さが非常に大きくなることが防止され、最大深さの調整が容易になる。芯基材凹部の最大深さは、例えば、合成樹脂の種類、充填材の種類や配合量等を適宜選択することによって調整できる。さらに、芯基材凹部の最大深さは、例えば、保持ピンの芯基材部当接面の径、面積や形状、当接圧等を適宜選択することにより微調整することができる。
合成樹脂としては、歯間清掃具の分野で常用される合成樹脂を特に限定なく使用でき、例えば、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、飽和ポリエステル樹脂、ポリメタクリル酸メチル、プロピオン酸セルロース、熱可塑性ポリウレタン、ポリアミド、ポリカーボネート、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)樹脂等の熱可塑性樹脂が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂の中でも、清掃部の折れを防止する観点から、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド等の融点が150℃以上である熱可塑性樹脂が好ましく、清掃部の折れ防止や成形加工性の観点から、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレート等の融点が150℃以上でありかつ少なくとも一部が結晶性である熱可塑性樹脂がより好ましく、ポリプロピレンがさらに好ましい。ポリプロピレンは、成形温度が低く、サイクルタイムを短縮して生産性を向上できるとともに、成形設備に対する熱負荷が少ないことから特に好ましい。樹脂組成物中の熱可塑性樹脂として融点150℃以上の熱可塑性樹脂を用いると、基材部の成形時間、特に冷却時間を短縮して生産効率を高めることができ、その結果、歯間清掃具の生産性を向上でき、ひいては歯間清掃具の生産コストを低減できる。熱可塑性樹脂は1種を単独で又は必要に応じて2種以上を組み合わせて使用できる。
充填材のうち、繊維状充填材としては特に限定されないが、人体に対する安全性や入手容易性の観点から、ガラス繊維、ワラストナイト、チタン酸カリウム繊維等を好ましく使用でき、さらに価格等を加味すると、ガラス繊維及びワラストナイトがより好ましく、ガラス繊維がさらに好ましい。繊維状充填材は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。繊維状充填材は、基材部、特に芯基材部の機械特性(特に芯基材部の軸方向の剛性)を高める観点からは、板状充填材よりも好ましい。
また、板状充填材としては特に限定されないが、人体に対する安全性や入手容易性の観点から、ガラスフレーク、マイカ、タルク、クレイ等を好ましく使用でき、マイカ、タルク等がより好ましく、タルクがさらに好ましい。板状充填材は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。板状充填材は、芯基材部の撓み性を高める観点からは、繊維状充填材よりも好ましい。
上記繊維状充填材及び板状充填材としては各種市販品を使用することもできる。
また、本発明では、繊維状充填材と板状充填材とを併用することもできる。この併用において、繊維状充填材及び板状充填材の使用割合を適宜選択することによって、芯基材部の撓み性を芯基材部の折れが起こり難い程度に維持しながら、芯基材部の機械特性を向上させ得るので、芯基材部凹部の形成による該凹部周辺での芯基材部の機械特性の低下を補填することができる。該併用の具体例としては、例えば、ガラス繊維とタルクとの併用等が挙げられる。ガラス繊維とタルクとの併用において、例えば、タルクをガラス繊維よりも多く使用することによって、芯基材部の撓み性の保持及び機械特性の向上を両立させることができる。
上記樹脂組成物において、合成樹脂と充填材との使用割合は特に限定されないが、第1、第2金型を用いる歯間清掃具の製造方法において、第1金型を用いた工程での基材部の成形加工性を高水準に維持したまま、第2金型を用いた工程での芯基材部凹部の最大深さの所定範囲への調整を容易に実施する観点から、充填材の配合量は、好ましくは樹脂組成物全量の10〜50重量%、より好ましくは樹脂組成物全量の20〜45重量%、さらに好ましくは樹脂組成物全量の25〜40重量%である。充填材の配合量が10重量%未満では、基材部特に芯基材部の機械特性が不十分になる場合があり、芯基材部凹部の最大深さの調整が困難になったり、芯基材部凹部周辺での折れが発生しやすくなったりする傾向にある。一方、充填材の配合量が50重量%を超えると、芯基材部の撓み性を折れが防止できる程度に維持することが困難になる傾向がある。
軟質部を構成するエラストマとしては、スチレン系、オレフィン系、ポリアミド系等の熱可塑性エラストマや、6ナイロン、6−6ナイロン、6−10ナイロン、6−12ナイロン等のナイロン系エラストマや、シリコンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、天然ゴム、合成ゴムなどの熱硬化性エラストマなどを採用できる。特に、基材部を構成する合成樹脂材料との相溶性を有する材料が好ましく、例えば基材部をポリプロピレンで構成する場合には、軟質部をポリオレフィン系エラストマ又はスチレン系エラストマで構成することが好ましい。
次に、歯間清掃具1の構造的特徴について図面を参照しながら説明する。
図1〜図6に示すように、歯間清掃具1は、その機能で区別すると、歯間清掃用の清掃部2と、持ち手としてのハンドル部3とを備え、その素材で区別すると、合成樹脂からなる基材部10と、エラストマからなる軟質部20とを備えている。この歯間清掃具1は、図1〜図3に示すように、複数個の歯間清掃具1を切り離し可能に並列状に連結してなる歯間清掃具連結体5の形態に製作され、利用者は、歯間清掃具連結体5の一側から順番に歯間清掃具1を連結部13において切り離して、順次使用することになる。なお、図1では、10個の歯間清掃具1を並列状に連結して歯間清掃具連結体5を構成したが、歯間清掃具1の連結個数は任意に設定可能である。
(基材部)
基材部10は、特定の充填材を含む樹脂組成物、好ましくは熱可塑性樹脂組成物を含んで構成され、図1〜図6に示すように、ハンドル部3を構成する扁平な細長い板状のハンドル基材部11と、ハンドル基材部11の先端部に連設した細長い軸状の芯基材部12と、隣接するハンドル基材部11を切り離し可能に連結する連結部13とを備えている。
ハンドル基材部11は、扁平な細長い板状に形成したが、指で摘まんで歯間を清掃し易い形状であれば、扁平な細長い板状以外の任意の形状、例えば横断面形状を円形、オーバル形状(楕円形、長円形、角丸長方形、卵形、小判形、俵形等)、涙滴形や多角形などに構成した棒状に形成することもできる。ハンドル基材部11の先端部は芯基材部12側へ行くにしたがって幅狭に構成されて、芯基材部12に滑らかに連設されている。ハンドル基材部11の寸法は、指で摘まんで歯間を清掃し易い寸法であれば任意の寸法に設定でき、図1、図2に示すハンドル基材部11では、例えば長さL1は10mm〜25mm、幅W1は4mm〜10mm、把持部分の厚さt1は1.0mm〜2.0mmに設定されている。このように、ハンドル基材部11を薄肉に構成しているので、基材部10を成形するときに、ハンドル基材部11の収縮による寸法バラツキを少なくできるとともに、ヒケを防止して、軟質部20を成形するための第2金型40、41への基材部10の装填不良を防止できる。
芯基材部12は、略直線状の細長い軸状に形成され、ハンドル基材部11と芯基材部12とは略同一軸線状に配置され、芯基材部12とハンドル基材部11とは同一平面内に配置されている。芯基材部12の把持部側には外部に露出する露出部12aが形成され、芯基材部12の先端側部分にはエラストマが被覆されて歯間に挿入可能な芯本体12bが形成され、芯基材部12は先端側へ行くにしたがって縮径する緩やかなテーパ形状に形成されている。
幅狭に構成されるハンドル基材部11の先端部側面のアール(湾曲部)の終点から軟質部20の被覆部21aの基端部までの芯基材部12の露出部12aの長さL2は、操作性を考慮して、例えば10mm〜50mm、好ましくは10mm〜25mmに設定され、清掃用軟質部21の長さL3は歯間に対する清掃性を考慮して、例えば12mm〜22mmに設定されている。
芯基材部12の中心線に対する芯基材部12の外面のテーパ形状のなす角度θ1は、歯間への挿入性を考慮して、0.2°〜1.5°に設定されている。芯本体12bの先端側部分の直径は0.4mm〜0.6mmに設定され、芯本体12bの基端部の直径は0.8mm〜2.0mmに設定される。本発明では前記のように芯本体12bの基端側及び先端側の直径を細く設定するので歯間清掃具1の操作性や取扱い性を向上させ得ると共に、直径を細く設定しても、特定の樹脂組成物と所定範囲の最大深さを有する芯基材部凹部との組み合わせにより、清掃部2の歯間挿入時及び歯間清掃時における清掃部2の折れの発生を顕著に防止できる。芯基材部12の断面形状は、歯間挿入性、応力集中の緩和等の観点から、円形が好ましいが、オーバル形状、涙滴形状、多角形等であっても構わない。また清掃用軟質部21の被覆部21aの先端部分の曲面終端部における直径Dは0.5〜1.2mmに設定され、芯本体12bの先端部から少なくとも5mm以上の芯本体12bの先端側部分を確実に歯間に挿入できるように構成されている。
ただし、芯基材部12のテーパ形状のなす角度θ1は、芯基材部12の全長にわたって同じ角度θ1に設定したが、芯基材部12の先端側へ行くにしたがって連続的或いは段階的に小さくなるように設定することもできる。また、露出部12aを全長にわたって同じ直径の軸状に形成し、芯本体12bのみを先端側へ行くにしたがって縮径する緩やかなテーパ形状に形成することもできる。更に、露出部12aを省略し、芯本体12bをハンドル基材部11に直接的に連設することも可能である。
なお、本実施の形態では、ハンドル基材部11の長手方向に延びる中心線と芯基材部12の軸線とを略同一軸線状に配置したI型の歯間清掃具1に本発明を適用したが、ハンドル基材部11の中心線と芯基材部12の軸線とを任意の位置関係に配置した歯間清掃具に対しても本発明を適用でき、例えば、ハンドル基材部11の中心線と芯基材部12の軸線とを間隔を空けて平行配置した歯間清掃具に本発明を適用することもできるし、ハンドル基材部11の中心線を芯基材部12の軸線に対して、例えば120°の角度を付けて設けた、所謂L型の歯間清掃具1に対しても本発明を適用できる。
図2〜図4に示すように、連結部13は、隣接するハンドル基材部11間においてハンドル基材部11に一体的に形成され、ハンドル基材部11の基端部側と先端部側とに長手方向に間隔をあけて1対設けられている。連結部13はハンドル基材部11の長さ方向に細長く、正面視において台形状(図3では等脚台形状)に形成されている。連結部13の個数は、任意に設定可能で、1個だけ設けることも可能であるが、そのように構成すると、歯間清掃具1の製造時に、隣接する基材部10の連結強度を十分に確保できず、基材部10の成形後、型開きするときに連結部13が破断して、基材部10がバラバラになり、軟質部20の成形ができなくなったり、連結部13が折れ曲がって、軟質部20を成形するための第2成形空間42(図16参照)の適正位置に基材部10を装填できず、成形不良が発生したりすることがあるので、ハンドル基材部11の長さ方向に間隔をあけて2個以上設けることが好ましい。
連結部13の横断面は台形状又は三角形状(図4では等脚台形状又は二等辺三角形状)に形成され、図4に仮想線で示すように、境界部13aを中心に隣接する歯間清掃具1を相互に重ね合わせる方向へ折り曲げて、境界部13aに曲げ力を集中させるとともに、ハンドル基材部11の側縁の円弧状の側面11aが連結部13の外面に接触することで、テコの原理により境界部13aに対して引き離す方向への大きな力を作用させて、境界部13aにおいて連結部13の大きな変形を伴なわずに歯間清掃具1を綺麗に切り離すことができるように構成されている。ただし、連結部13の形状は、連結部13を中心に隣接する歯間清掃具1を相互に重ね合わせる方向へ折り曲げることで、容易に且つ綺麗に切り離すことができるように構成されていれば任意の形状に形成することができる。
また、基材部10を構成する合成樹脂材料に繊維材を添加する場合には、繊維材は、その長さ方向が基材部10の長さ方向に沿った方向となるように配向されていることが好ましく、このように構成することで、基材部10の曲げ強度や軸方向に対する座屈強度を向上でき、歯間清掃具1の使用時における、芯基材部12の折れや座屈を効果的に防止できる。
(軟質部)
軟質部20は、図1〜図6に示すように、エラストマからなり、基材部10に一体成形したもので、芯基材部12に外装した清掃用軟質部21を備えている。ただし、軟質部20として、芯本体12bの基端部に歯間への挿入を規制する環状の挿入規制部を設けたり、ハンドル基材部11に滑り止め部を設けたりすることも可能である。挿入規制部や滑り止め部は、清掃用軟質部21とは独立に成形することも可能であるが、金型構造が複雑になるので、清掃用軟質部21の基部に連なるように形成することが好ましい。
清掃用軟質部21は、芯基材部12に被覆される被覆部21aと、被覆部21aに長さ方向に間隔をあけて外方へ突出状に形成した複数の清掃用突起部21bとを有している。
被覆部21aの厚みは、厚過ぎると被覆部21aに覆われている芯本体12bの直径を小さくする必要が生じるため、歯間への挿入時における清掃部2の機械特性(剛性)が大きく低下するだけでなく、清掃用軟質部21の成形時にカルマン渦が発生し易かったり、カルマン渦の影響を大きく受けたりする恐れがあるため好ましくなく、薄過ぎると清掃部2の基端部までエラストマを充填できないので好ましくない。このため、被覆部21aの厚みは、0.1mm〜0.2mmに設定することが好ましい。
清掃用突起部21bは、被覆部21aの長さ方向に相互に間隔をあけて形成されるとともに、被覆部21aの周方向に間隔をあけて配置されている。より具体的には、後述する第2金型40、41により成形できるように、被覆部21aの周方向には、被覆部21aから型開閉方向の一側方に突出する2つ1組の清掃用突起部21bと、被覆部21aから型開閉方向の他側方に突出する2つ1組の清掃用突起部21bと、被覆部21aから合わせ面40a、41aに沿って一側方へ突出する1つの清掃用突起部21bと、被覆部21aから合わせ面40a、41aに沿って他側方へ突出する1つの清掃用突起部21bの計6種類の清掃用突起部21bが配置され、これら6種類の清掃用突起部21bが被覆部21aの長さ方向に相互に間隔をあけて複数組形成されている。ただし、清掃用突起部21bは、上述した以外の配列パターンで形成することも可能で、例えば、被覆部21aから、十文字状に外方へ突出する4つ1組の清掃用突起部21bを軸方向に間隔をあけて設けることも可能である。
清掃用突起部21bの基端部の断面積や長さ、個数や配設間隔は、任意に設定可能であるが、成形性及び清掃性を考慮して、清掃用突起部21bの基端部の断面積は、0.03mm2〜1.5mm2程度に設定することが好ましく、清掃用突起部21bの長さは0.5mm〜2.0mm程度に設定することが好ましく、清掃用突起部21bの個数は20個〜100個に設定することが好ましく、清掃用突起部21bの配設間隔は0.5mm〜1.5mmに設定することが好ましい。また、清掃用突起部21bとして、円錐状のものを採用したが、軸方向に扁平な平板状の先細形状のものを採用することもできる。更に、清掃用突起部21bの断面形状としては、円形以外に、オーバル形状、涙滴形状や多角形などの任意の断面形状のものを採用できる。
ところで、軟質部20を成形するときには、後述するように、第2金型40、41に設けた複数の保持ピン50〜52により、芯基材部12を第2成形空間42の中央部内に位置決め保持するため、歯間清掃具1の清掃部2のうちの保持ピンに対応する位置には、被覆部21aを貫通して、芯基材部12に芯基材部凹部14aを形成する、清掃部凹部14が形成される。芯基材部凹部14aは、第1金型30、31にて成形した直後の比較的高温の基材部10が、第2金型40、41に充填されるエラストマの熱に曝されて軟化し、この軟化した芯基材部12に保持ピンの先端部が当接することによって形成される。
図6に示すように、芯基材部12の外周面からの芯基材部凹部14aの最大深さdは、歯間に対する清掃部2の挿入時や、清掃部2による歯間清掃時において、清掃部2に曲げ応力が作用したときに、芯基材部凹部14aの形成位置に大きな応力の集中が発生して芯基材部12が折れることを防止するため、0.01mm〜0.085mmの範囲に設定されている。なお、芯基材部12を構成する樹脂組成物が充填材として繊維状充填材、特にガラス繊維を含む場合は、撓み性の保持と機械特性(剛性)の向上のバランスの観点から、最大深さdは好ましくは0.01mm〜0.04mm、より好ましくは0.01mm〜0.035mmであり、該樹脂組成物が充填材として板状充填材、特にタルクを含む場合は、撓み性の保持と機械特性(剛性)の向上のバランスの観点から、最大深さdは好ましくは0.03mm〜0.08mm、より好ましくは0.04mm〜0.07mmである。また、芯基材部凹部14aに対応する位置における芯基材部12の最大横断面積は、該芯基材部凹部14aに隣接する位置での芯基材部12の横断面積の55%〜99.6%%、好ましくは80〜97.9%に設定され、芯基材部凹部14aにおける応力集中を少なくして、歯間への挿入時や歯間清掃時における芯基材部12の折れを一層効果的に防止できるように構成されている。
清掃部凹部14の正面形状は、保持ピンのピン先形状と同形状に形成され、例えばピン先形状を円形、オーバル形状、涙滴形状、正方形や長方形等の多形状等に形成することで、清掃用凹部14の正面形状を略同形の形状にすることができる。オーバル形状は、例えば、楕円形、長円形、角丸長方形、俵形、小判形、鶏卵、米俵等の形状を包含する。また、多角形状は、正方形、長方形、五角形以上の多角形を包含する。歯間清掃具1に設ける複数の清掃部凹部14は、全て同じ形状に形成することもできるし、清掃部2の先端部からの距離などに応じて異なる形状のものを任意に組み合わせて混在させることもできる。
清掃部凹部14をオーバル形状や涙滴形状や長方形などのように細長形状に形成する場合には、例えば図7に示す清掃部2Aのように、長方形の清掃部凹部14Aを周方向に隣接する清掃用突起部21b間に、長手方向が清掃部2Aの軸方向となるように形成することが好ましい。このように構成すると、清掃部凹部14Aの幅を狭くして、保持ピンの幅を小さくしつつ、芯基材部12に対する保持ピンのホールド性を十分に確保しつつ、芯基材部凹部14Aaを設けた位置において発生する応力を緩和できるので好ましい。
清掃部凹部14の芯基材部凹部14aの底面は、図6に示すように、芯基材部凹部14aの深さ方向と直交する方向の平坦面で構成することも好ましいが、図8に示す清掃部凹部14Bの芯基材部凹部14Baのように、芯基材部12の外面に沿う円弧面で構成したり、図9に示す清掃部凹部14Cの芯基材部凹部14Caのように、中央部が盛り上がった2等辺三角形状の2つの傾斜面で構成したりすることができる。
芯基材部凹部14aの開口面積は、任意に設定可能であるが、0.08mm2〜0.35mm2、好ましくは0.1mm2〜0.25mm2に設定することが好ましい。また、1つの歯間清掃具1に形成する芯基材部凹部14aの総面積は0.9mm2〜1.3mm2に設定することが好ましい。芯基材部凹部14aの開口面積は、全て同じ大きさに設定することもできるが、芯基材部12の先端側の芯基材部凹部14aほど小さくなるように設定することが好ましい。なお、芯基材部凹部14aの開口面積とは、芯基材部凹部14aの深さ方向の中心線DL(図22参照)と直交する面に対する、芯基材部凹部14a内に露出する芯基材部12と清掃用軟質部21との境界線の投影図形で取り囲まれる面積を意味する。
清掃部凹部14は、清掃部2における第1側部と第2側部とに、清掃部2の軸方向に間隔をあけてそれぞれ複数個設けられている。ここで、清掃部2の第1側部と第2側部とは、第2金型40にて成形される清掃部2の部分と第2金型41にて成形される清掃部2の部分のことであり、扁平なハンドル基材部11の表面側と裏面側に対応する清掃部2の表面側半部と裏面側半部を意味する。
図5、図6に示す清掃部2では、第1側部と第2側部の清掃部凹部14は、芯基材部12を挟んで対面状に且つ深さ方向が第2金型40、41の型開閉方向となるように配置され、対面状に配置される1対の清掃部凹部14を1組として、清掃部2の軸方向に間隔をあけて3組の清掃部凹部14が設けられている。清掃部凹部14の組数は、2組以上、望ましくは3組以上の組数設けることが好ましい。このように、清掃部凹部14の組数を3組以上又は4組以上に構成することで、歯間への挿入時や歯間清掃時に清掃部2に作用する曲げ応力を分散させることができるとともに、後述のように保持ピン50〜52による芯基材部12のホールド性を確保しつつ、芯基材部凹部14aの深さを浅くすることにより、歯間清掃時において、局部的に大きな曲げ応力が作用することによる芯基材部12の折れを効果的に防止できる。
清掃部2の軸方向に対する清掃部凹部14の配設間隔は、全て同じ間隔に設定してもよいが、一部或いは全部を相互に異なる間隔に設定してもよい。例えば、清掃部2の先端側へ行くにしたがって配設間隔が広くなるように構成することができ、このように構成すると、清掃部2の先端部側に対する清掃用突起部21bの配設スペースを確保し易くなるので好ましい。
1組の清掃部凹部14は、対面状に配置することが好ましいが、周方向に一部重なる範囲内、即ち清掃部2の軸方向に対する清掃部凹部14の長さの範囲内で、清掃部2の軸方向にずらした位置に設けることもできる。また、図6に示すように、第1側部の清掃部凹部14と第2側部の清掃部凹部14とは同一軸線状に配置することが好ましいが、図10に示す清掃部2Dの清掃部凹部14Dのように、第1側部の清掃部凹部14Dの中心線と第2側部の清掃部凹部14Dの中心線とが、清掃部2Dの半径方向に一定距離ずらして平行配置されるように清掃部凹部14Dを形成することもできる。
また、清掃部2に対する清掃部凹部14の配設位置は、次のように構成することもできる。ただし、清掃部凹部14E、14F及び芯基材部凹部14Ea、14Faは、清掃部凹部14及び芯基材部凹部14aとは清掃部2に対する形成位置のみを変更したものであり、正面形状や深さや開口面積は、清掃部凹部14及び芯基材部凹部14aと同様に構成できる。
1)図11、図12に示す清掃部2Eの清掃部凹部14E及び芯基材部凹部14Eaのように、第1側部の清掃部凹部14Eと、それに対応する、清掃部2Eの先端から数えて同じ番目の第2側部の清掃部凹部14Eとが、清掃部2Eの周方向に重複しないように、清掃部2Eの軸方向に間隔をあけて形成することができる。図11では、第1側部における隣接する清掃部凹部14E間の略中央部に、第2側部の清掃部凹部14Eを配置したが、第1側部における隣接する清掃部凹部14E間の先端側或いは基端側に偏った位置に、第2側部の清掃部凹部14Eが配置されるように構成することもできる。また、第1側部の全ての清掃部凹部14Eと、第2側部の全ての清掃部凹部14Eとを、清掃部2Eの周方向に重複しないように、清掃部2Eの軸方向に間隔をあけて形成することもできるし、第1側部の特定の清掃部凹部14Eと、それに対応する、清掃部2Eの先端から数えて同じ番目の第2側部の清掃部凹部14Eとが、清掃部2Eの周方向に重複しないように、清掃部2Eの軸方向に間隔をあけて形成することもできる。更に、第1側部の清掃部凹部14Eと、第2側部の清掃部凹部14Eの個数は、同じ個数にすることが好ましいが、異なる個数にすることもでき、例えば第1側部の清掃部凹部14Eの個数を、第2側部の清掃部凹部14Eの個数よりも1つ少なくすることができる。
このように、芯基材部12の第1側部と第2側部とに交互に芯基材部凹部14Eaが形成され、芯基材部12の軸方向の同じ位置に1対の芯基材部凹部が形成されることを防止できるので、芯基材部凹部14Eaに対応する位置における芯基材部12の横断面積を大きくして、芯基材部12の折れの発生を防止できる。また、軟質部20の成形時に、芯基材部12が保持ピン50A〜52A(図18参照)間において撓むことによっても、芯基材部凹部14Eaの深さが深くなりにくく、芯基材部凹部14Eaに対応する位置における芯基材部12の横断面積が大きくなって、芯基材部12の折れの発生を防止できる。更に、芯基材部12の長さ方向に対する、第2金型40の保持ピン50A〜52Aと、第2金型41の保持ピン50A〜52Aの間隔が短くなるので、芯基材部を安定性良く保持することが可能となる。
2)図13、図14に示す清掃部2Fの清掃部凹部14F及び芯基材部凹部14Faのように、芯基材部12Fを挟んで対面状に且つ深さ方向が第2金型40、41(図20参照)の型開閉方向に対して周方向に角度θ2をなすように、第1側部の清掃部凹部14F及び芯基材部凹部14Faと、第2側部の清掃部凹部14F及び芯基材部凹部14Faを配置することもできる。ただし、第1側と第2側部の清掃部凹部14F、14は、清掃部凹部14Eと同様に、軸方向にずらして形成することもできる。
図13に示す清掃部2Fでは、図5に示す清掃部2の先端から2個目の1組の清掃部凹部14のみを清掃部凹部14Fに置き換え、清掃部2Fの先端から1個目と3個目は、深さ方向が第2金型40、41の型開閉方向となるように配置した清掃部凹部14で構成したが、清掃部2における任意の位置の1乃至複数組の清掃部凹部14を清掃部凹部14Fに置き換えることもできる。
角度θ2は、60°を超える場合には、隣接する清掃用軟質部成形部46に設ける保持ピン62(図20参照)同士が干渉することがあるので、60°以下、望ましくは45°以下に設定することが好ましい。なお、清掃部2Fの中心を通る型開閉方向の線分を挟んで反対側に角度θ2をつけて清掃用凹部を形成することもできるし、清掃部2Fに対して角度θ2の異なる複数種類の清掃部凹部を設けることもできる。
このように、型開閉方向に対して角度θ2を付けた位置に清掃部凹部14Fを設けると、清掃用軟質部21に外方へ突出する複数の清掃用突起部21bを形成する場合において、該清掃用突起部21bの配設レイアウトの自由度を向上できる。つまり、清掃部凹部14Fは、芯基材部12を第2成形空間42の中央部に保持する保持ピンにより成形されるが、該保持ピン62の位置を、清掃用突起部21bの形成位置に干渉しないように、第2成形空間42に対して長さ方向及び周方向に調整できるので、該清掃用突起部21bの配設レイアウトの自由度を向上できる。また、ハンドル基材部11を扁平に構成しているので、指でハンドル基材部11を摘まんで臼歯間を清掃する際に、清掃部2はハンドル基材部11を含む面と略直交方向(型開閉方向)の面内において、図2に仮想線で示すように、湾曲することになるが、清掃部凹部14Fは、その深さ方向が型開閉方向に対して角度θ2をなすように配置されているので、清掃部凹部14Fを起点として芯基材部12Fが折れることを効果的に防止できる。
<製造方法>
次に、歯間清掃具の製造方法について説明する。
この歯間清掃具の製造方法は、図15〜図17に示すように、第1金型30、31の第1成形空間32に合成樹脂材料を充填して基材部10を製作する基材部成形工程と、第1金型30、31にて成形した基材部10を第2金型40、41の第2成形空間42に装填した後、該第2成形空間42にエラストマ材料を充填して軟質部20を成形する軟質部成形工程とを備えている。なお、第1金型30、31が第1金型の第1型及び第2型にそれぞれ相当し、第2金型40、41が第2金型の第1型及び第2型にそれぞれ相当する。
(基材部成形工程)
基材部成形工程では、図15に示すように、第1金型30、31の第1成形空間32に合成樹脂材料を充填して基材部10を製作する。より具体的には、第1金型30、31として、芯基材部成形部32aとハンドル基材部成形部32bとからなる第1成形空間32を複数並列状に形成し、隣接するハンドル基材部成形部32b間にそれに連通する1対の連結部成形部35をそれぞれ形成するとともに、これら複数の第1成形空間32の基端側にランナ33を形成し、ゲート34を通じて複数の第1成形空間32をランナ33に連通したものを用い、ランナ33へ合成樹脂材料を供給することで、ゲート34を通じて複数の第1成形空間32内に合成樹脂材料を充填して、複数の基材部10を同時成形することになる。そして、複数の基材部10とランナ部37とゲート部36と連結部13とを有する一次成形品10Aを製作する。なお、基材部10は1つずつ成形することも可能であるが、複数個の基材部10を同時に成形することで、生産性を向上できるとともに、成形されたランナ部37を保持して、複数個の基材部10を同時に移載でき、作業性を向上できるので好ましい。また、ゲート34は、第1成形空間32の芯基材部成形部32aとは反対側の基端部側、より好ましくは連結部成形部35よりも第1成形空間32の芯基材部成形部32aとは反対側の基端部側であれば、任意の位置に形成することができるが、第1成形空間32の基端部にゲート34としてサイドゲートを形成すると、第2金型40、41に一次成形品10Aを装填する際に、一次成形品10Aのゲート部36が第2金型40、41間に挟み込まれるリスクを低減できるので好ましい。また、第1金型30、31に、コールドランナからなるランナ33に代えてホットランナを設けることも可能であるが、第1金型30、31が大型になるとともに製作コストが高くなるので、コールドランナからなるランナ33を設けることが好ましい。また、ランナ部37により複数の基材部10を安定性良く連結できるので、一次成形品10Aを第2金型40、41に移載するときに、一次成形品10Aのハンドリング性を向上できるので好ましい。更に、ゲート34として例えば円柱形様若しくは紡錘形様で直径0.1〜1.5mmの範囲にあるピンゲートを採用すると、コールドランナを採用でき、ゲート34の間隔を狭くして成形品を小型に構成できるので好ましい。
(軟質部成形工程)
軟質部成形工程では、図16、図17に示すように、第1金型30、31にて成形した一次成形品10Aを第2金型40、41の第2成形空間42に装填した後、該第2成形空間42にエラストマ材料を充填して軟質部20を成形し、複数の歯間清掃具1を並列状に連設した歯間清掃具連結体5を得ることになる。
先ず、軟質部成形工程で用いる第2金型40、41について説明すると、第2金型40、41には、第1金型30、31にて成形した一次成形品10Aの複数の基材部10に対応する位置に複数の第2成形空間42が形成されるとともに、一次成形品10Aのランナ部37と複数のゲート部36と連結部13とに適合する嵌合空間43、44、45が形成されている。第2金型40、41と基材部10間には第2成形空間42として、芯基材部12を取り囲む清掃用軟質部成形部46が形成されている。清掃用軟質部成形部46の先端側において第2金型40、41との合わせ面40a、41aには、清掃用軟質部成形部46の先端部に開口するゲート47がそれぞれ形成され、これら複数のゲート47は第2金型40、41に形成した共通のランナ48に連通され、共通のランナ48から複数のゲート47を経て複数の第2成形空間42にエラストマ材料が供給されるように構成されている。なお、ゲート47の直径は0.1mm以上1.0mm以下に設定することが好ましい。
第2金型40、41には、清掃用軟質部成形部46の先端側部分と途中部と基端側部分とにそれぞれ対応させて1対の先端側保持ピン50と1対の途中部保持ピン51と1対の基端側保持ピン52とがそれぞれ対面状に設けられ、これら3組の保持ピン50〜52は、第2金型40、41の合わせ面40a、41aと略直交方向、言い換えると第2金型40、41の型開閉方向に移動自在に設けられ、基材部10の芯基材部12は、図17(b)に示すように、これら3組の保持ピン50〜52の先端部を清掃用軟質部成形部46内に突出させて、各組の保持ピン50〜52の先端部間に芯基材部12を挟持することで、清掃用軟質部成形部46の中央部に精度良く位置決め保持されるように構成されている。
ところで、清掃用軟質部成形部46に対してエラストマ材料を充填すると、芯基材部12が高温のエラストマ材料に曝されて軟化し、保持ピン50〜52の先端部により芯基材部12の外周面に芯基材部凹部14aが形成される。この芯基材部凹部14aは歯間に対する清掃部2の挿入時や、清掃部2による歯間清掃時において、清掃部2に曲げ応力が作用したときに、芯基材部凹部14aの形成位置に大きな応力の集中が発生して芯基材部12が折れることがあるので、これを防止するため、芯基材部凹部14aの最大深さdは、芯基材部12に対する保持ピン50〜52の長さを調整することによって、0.01mm以上0.085mm以下、好ましくは0.01mm以上0.065mm以下に設定されている。
また、保持ピン50〜52の先端部の軸方向に直交する横断面の断面積は、互いに略同一若しくは最も先端側に位置する保持ピン50が他の位置の保持ピンの先端部の横断面の断面積と比較して小さい。途中部保持ピン51及び基端側保持ピン52は、略同一若しくは途中部保持ピン51の方が基端側保持ピン52よりも大きくなるように構成されている。つまり、清掃用軟質部成形部46の先端側部分は通路面積が小さくなるので、先端側保持ピン50の断面積を出来る限り小さくすることで、エラストマ材料の流通抵抗を極力小さく設定するとともに、成形時に発生するカルマン渦の影響を抑えることにより、清掃用軟質部成形部46に対するエラストマ材料の充填不良を防止できるとともに、芯基材部12の過度の溶融を防止できるので好ましい。ただし、途中部保持ピン51は、軸方向に間隔をあけて複数組設けることも可能である。保持ピン50〜52の先端部の横断面形状は、本実施の形態では円形に形成したが、成形時のカルマン渦による影響を更に抑えるために、清掃用軟質部成形部46の長さ方向に細長いオーバル形状や涙滴形状や長方形などに形成することも可能である。
先端側保持ピン50は、清掃用軟質部成形部46の先端部46aから基端側へ向けて3mmの範囲内に設けられ、その断面積は0.03mm2〜0.3mm2に設定されている。また、途中部保持ピン51は、先端側保持ピン50と基端側保持ピン52の中間点を中心として軸方向に清掃部2の長さの±10%の範囲内に設けられ、その断面積は0.12mm2〜1.2mm2に設定されている。また、基端側保持ピン52は、清掃用軟質部成形部46の基端部から先端側へ向けて6mmの範囲内に設けられ、その断面積は0.1mm2〜1.1mm2に設定されている。これらに設定することにより、成形時における芯基材部12の固定を確実にするだけでなく、成形時に発生するカルマン渦による成形体への影響を防止することが期待できる。
保持ピン50〜52のうちの芯基材部12に当接する先端面は、図21(a)に示すように保持ピン50〜52の軸方向と直交する平坦な面で構成したが、図21(b)に示す保持ピン60のように、芯基材部12の外周面に沿った円弧面で構成したり、図21(c)に示す保持ピン61のように、2等辺三角形状に連結した1対の傾斜面で構成したりすることも可能で、このように構成すると、芯基材部12と保持ピン60,61との接触面積を大きく設定して、芯基材部凹部14aの深さを浅く設定できるとともに、芯基材部12を第2成形空間42の中央部に精度良く保持でき、しかも芯基材部12のホールド性を向上できるので好ましい。また、先端面の形状の異なる保持ピンを任意に組み合わせて用いることもできる。
1対の先端側保持ピン50と1対の途中部保持ピン51と1対の基端側保持ピン52とは、それぞれ芯基材部12を挟んで同一軸線状に対面状に配置したが、保持ピン50〜52の少なくとも1組は、その軸線を清掃用軟質部成形部46の長さ方向に例えば基端側保持ピン52の直径の0.1〜1.0倍の長さだけずらして配置することができる。そして、このように1対の保持ピン52を清掃用軟質部成形部46の長手方向にずらして配置すると、保持ピン52間に芯基材部12を保持したときに、芯基材部12に圧着される保持ピン52の面積が事実上広くなるので、より一層強固に芯基材部12を保持することが可能となる。また、成形時に発生するカルマン渦による成形体への影響を防止することが期待できる。
軟質部成形工程では、図17(a)に示すように、第2成形空間42に一次成形品10Aを装填して型閉じした状態で、図17(b)に示すように、1対の先端側保持ピン50と、1対の途中部保持ピン51と、1対の基端側保持ピン52とを清掃用軟質部成形部46内に突出させて、これら3組の保持ピン50〜52により芯基材部12を保持し、共通のランナ48を通じて複数のゲート47にエラストマ材料を射出供給して、清掃用軟質部成形部46へエラストマ材料を充填する。このとき、芯基材部12がエラストマ材料の熱により軟化して、保持ピン50〜52の先端部により芯基材部凹部14aが形成されるが、この芯基材部凹部14aの最大深さdが、0.01mm以上0.085mm以下、好ましくは0.01mm以上0.065mm以下に設定されるので、歯間に対する清掃部2の挿入時や、清掃部2による歯間清掃時において、清掃部2に曲げ応力が作用したときに、芯基材部凹部14aの形成位置に大きな応力の集中が発生して芯基材部12が折れることを防止できる。また、保持ピン50の横断面積を保持ピン51、52の横断面積よりも小さく設定しているので、清掃用軟質部成形部46の先端部からの基端側へのエラストマ材料の充填が保持ピン50〜52により極力阻害されないようにしつつ、保持ピン50〜52と芯基材部12との接触面積を増やして、芯基材部12を安定性良く保持できることになり、射出圧に多少バラツキが生じたとしても、芯基材部12の湾曲を防止して、精度良くエラストマ材料からなる清掃用軟質部21を成形することができる。
こうして、基材部10に対して軟質部20を被覆した後、合成樹脂からなるランナ部37及びゲート部36を除去するとともに、ランナ48及びゲート47にて成形されたエラストマからなるランナ部55及びゲート部56を除去して歯間清掃具1を得ることになる。
なお、第2金型40、41に対する保持ピン50〜52の配設位置は、次のように構成することもできる。
3)図18に示す第2金型40、41の保持ピン50A〜52Aのように、第2金型40の保持ピン50A〜52Aを、それに対応する、清掃用軟質部成形部46の先端から数えて同じ番目の第2金型41の保持ピン50A〜52Aに対して、清掃用軟質部成形部46の周方向に重複しないように、清掃用軟質部成形部46の中心線方向に間隔をあけて形成することができる。図18では、第2金型41の保持ピン50A〜52A間の略中央部に、第2金型40における隣接する保持ピン50A〜52Aを配置したが、第2金型41における隣接する保持ピン50A〜52A間の先端側或いは基端側に偏った位置に、第2金型40の保持ピン50A〜52Aが配置されるように構成することもできる。また、第2金型40の全ての保持ピン50A〜52Aと、第2金型41の全ての保持ピン50A〜52Aとを、清掃用軟質部成形部46の周方向に重複しないように、清掃用軟質部成形部46の長さ方向に間隔をあけて形成することもできるし、第2金型40の特定の保持ピンと、それに対応する、清掃用軟質部成形部46の先端から数えて同じ番目の第2金型41の保持ピンとが、清掃用軟質部成形部46の周方向に重複しないように、清掃用軟質部成形部46の長さ方向に間隔をあけて形成することもできる。更に、第2金型40の保持ピンと、第2金型41の保持ピンの個数は、同じ個数にすることが好ましいが、異なる個数にすることもでき、例えば図19に示すように、第2金型40の保持ピン52Aを1本省略して、第2金型40の保持ピンの個数を、第2金型41の保持ピンの個数よりも1つ少なくすることができる。
このように、第1金型40の保持ピン50A〜52Aを第2金型41の保持ピン50A〜52Aに対して軸方向にずらして配置すると、保持ピンを対面配置させる場合と比較して、芯基材部凹部14Eaに対応する位置における芯基材部12の横断面積が大きくなるので、芯基材部12の折れの発生を防止できる。また、清掃用軟質部21の成形時に、芯基材部12が保持ピン50A〜52A間において撓むことによっても、芯基材部凹部14Eaの深さが深くなりにくくなり、芯基材部凹部14Eaに対応する位置における芯基材部12の横断面積が大きくなって、芯基材部12の折れの発生を防止できる。更に、芯基材部12の長さ方向に対する保持ピン50A〜52Aの間隔が実質的に短くなるので、芯基材部12を安定性良く保持することが可能となる。
4)図20に示す第2金型40、41の保持ピン62のように、芯基材部12を挟んで対面状に且つ軸方向が第2金型40、41の型開閉方向に対して周方向に角度θ2をなすように、第1金型40の保持ピン62と、第2金型41の保持ピン62とを配置することもできる。ただし、第1側と第2側部の保持ピン62は、図18の保持ピン50A〜52Aと同様に、清掃用軟質部成形部46の長さ方向にずらして形成することもできる。
例えば、清掃用軟質部成形部46の先端から2個目の1組の保持ピンのみを保持ピン62に置き換え、清掃用軟質部成形部46の先端から1個目と3個目は、軸方向が第2金型40、41の型開閉方向となるように配置した保持ピンで構成することができるが、清掃用軟質部成形部46における任意の位置の1乃至複数組の保持ピンを保持ピン62に置き換えることもできる。
角度θ2は、60°を超える場合には、隣接する清掃用軟質部成形部46に設ける保持ピン62と干渉することがあるので、60°以下、望ましくは45°以下に設定することが好ましい。なお、第2金型40、41に角度θ2の異なる複数種類の保持ピン62を設けることもできる。
このように、型開閉方向に対して角度θ2を付けた位置に保持ピン62を設けると、清掃用軟質部21に外方へ突出する複数の清掃用突起部21bを形成する場合において、該清掃用突起部21bの配設レイアウトの自由度を向上できる。つまり、保持ピン62は、芯基材部12を清掃用軟質部成形部46の中央部に保持する保持ピン62により成形されるが、該保持ピン62の位置を、清掃用突起部21bの形成位置に干渉しないように、清掃用軟質部成形部46に対して長さ方向及び周方向に調整できるので、該清掃用突起部21bの配設レイアウトの自由度を向上できる。また、ハンドル基材部11を扁平に構成しているので、指でハンドル基材部11を摘まんで臼歯間を清掃する際に、清掃部2はハンドル基材部11を含む面と略直交方向(型開閉方向)の面内において湾曲することになるが、保持ピン62は、型開閉方向に対して角度θ2をなすように配置されているので、該保持ピン62により形成される芯基材部凹部14Faを起点として芯基材部12が折れることを効果的に防止できる。
(試験例1)
本試験例では、芯基材部凹部の深さを、基材部を構成する材料の選択によって変更できることを示す。まず、表1に示す弾性率の異なる各材料からなる同寸及び同厚の板状試料の表面に、直径0.5mmかつ先端部が半球形である鋼鉄製ピンを荷重1Nで点接触させるモデルを作製し、該モデルにおける各板状試料の鋼鉄製ピン点接触時の凹み量を、解析ソフト(商品名:SolidWorks Simulation、SOLIDWARKS社製)を用いて求めた。
下記に示す樹脂組成物A〜Dの弾性率は、JISK 7161に基づく引張試験結果である。結果を表1に示す。表1から、材料によってピンによる押圧を受けた時の凹み量が異なることが明らかである。なお、本試験例で採用した鋼鉄製ピンの荷重値は、本発明の歯間清掃具製造時の第2金型における保持ピンの基材部への当接圧とは異なる。
樹脂組成物A:ポリプロピレン80重量%、ガラス繊維20重量%
樹脂組成物B:ポリプロピレン70重量%、ガラス繊維30重量%
樹脂組成物C:ポリプロピレン60重量%、タルク40重量%
樹脂組成物D:ポリプロピレン70重量%、タルク30重量%
(試験例2)
次に、歯間清掃具の評価試験について説明する。
歯間清掃具として、ポリプロピレンに表2に示す樹脂組成物からなる基材部を製作し、基材部における芯基材部の芯本体の表面にポリスチレン系エラストマからなる被覆部の厚みが約0.1mmである軟質被覆部を設け、図1に示す歯間清掃具1と同構成で、表2に示す最大深さを有する芯基材部凹部を有する実施例1〜5、及び比較例1〜2の歯間清掃具を作製した。なお、比較例1は充填材を含まないポリプロピレン単体を用いた。
なお、上記で得られた歯間清掃具は、全長48mm、ハンドル基材部の寸法15mm(最大幅長さ)×6.5mm、清掃部2の長さ寸法及び径がそれぞれ15mm及び0.65mmであり、清掃部には清掃用突起が4方向に配置された清掃用突起部を設けた。また、清掃部の第1側部及び第2側部には、開口部凹部(芯基材部凹部に相当。以下同じ。)を軸方向に約5mm間隔で計3個ずつ形成した。該凹部の開口面積は約0.20mm2であった。
また、比較例3として、実施例1と同じ樹脂組成物及びポリスチレン系エラストマを用い、開口部凹部を有しない以外は実施例1と同じ形状及び寸法を有する歯間清掃具を作製した。
圧縮試験機(商品名:オートグラフ、(株)島津製作所製)を用いて、上記で得られた実施例1〜5及び比較例1〜3の歯間清掃具の清掃部を、挿入角度50°又は60°、挿入速度200mm/分で顎模型((株)ニッシン製)の第1、第2大臼歯の歯間に挿入した。この挿入試験を3回ずつ実施し、各歯間清掃具の清掃部の状態を目視観察し、下記基準で評価した。結果を表2に示す。
[評価基準]
可;3回の挿入試験の中で、清掃部の折れ(破断)は認められなかったものの、清掃部の変形が1度でも認められた。
不可;3回の挿入試験の中で、清掃部の折れ(破断)が1度でも認められた。
表2から、繊維状充填材及び板状充填材から選ばれる充填材を含む樹脂組成物を用い、かつ芯基材部に形成される芯基材凹部の最大深さを所定範囲に調整することにより、歯間挿入時の清掃部の折れが防止されることが判り、また、繊維状充填材を用いた場合には芯基材部凹部の最大深さを所定範囲の中の浅目の方に調整すること、及び板状充填材を用いた場合には芯基材部凹部の最大深さを所定範囲の中の深目の方に調整することが、清掃部の折れを防止する上で有効であることが判る。
なお、本発明の歯間清掃具は次のような変形例を含む。
5)最大深さが0.01mm以上0.085mm以下の芯基材部凹部を形成する清掃部凹部とそれ以外の凹部がある場合にはそれを含めて、特定の或いは全ての第1側部の清掃部凹部と、それに対応する第2側部の清掃部凹部とを、前記清掃部の周方向に重複しないように、前記清掃部の軸方向に間隔をあけて形成することができる。このように構成すると、軟質部の成形時に、芯基材部の第1側部と第2側部とに交互に芯基材部凹部が形成され、芯基材部の軸方向の同じ位置に1対の芯基材部凹部が形成されることを防止できるので、芯基材部凹部に対応する位置における芯基材部の横断面積を大きくして、芯基材部の折れの発生を防止できる。また、軟質部の成形時に、芯基材部が前記保持ピン間において撓むことによっても、形成される芯基材部凹部が深くなることを抑制できるため、芯基材部凹部に対応する位置における芯基材部の横断面積が大きくなって、芯基材部の折れの発生を防止できる。更に、芯基材部の長さ方向に対する保持ピンの間隔が実質的に短くなるので、芯基材部を安定性良く保持することが可能となる。なお、本明細書において、第1側部の清掃部凹部に対応する第2側部の清掃部凹部とは、清掃部の先端から数えて同じ番目の清掃部凹部を意味する。
6)最大深さが0.01mm以上0.085mm以下の芯基材部凹部を形成する清掃部凹部とそれ以外の凹部がある場合にはそれを含めて、前記第1側部と第2側部とで対をなす複数組の清掃部凹部のうちの少なくとも1組の清掃部凹部の中心を通る深さ方向の中心線分を、前記清掃用軟質部を成形する金型の型開閉方向に対して、前記清掃部の周方向に角度を付けて形成することもできる。このように構成すると、清掃用軟質部に外方へ突出する複数の清掃用突起部を形成する場合において、該清掃用突起部の配設レイアウトの自由度を向上できる。つまり、清掃部凹部は、芯基材部を第2成形空間の中央部に保持する保持ピンにより成形されるが、該保持ピンの位置を、清掃用突起部の形成位置に干渉しないように、第2成形空間に対して長さ方向及び周方向に調整できるので、該清掃用突起部の配設レイアウトの自由度を向上させることができる。
7)最大深さが0.01mm以上0.085mm以下の芯基材部凹部を形成する清掃部凹部とそれ以外の凹部がある場合にはそれを含めて、前記複数の清掃部凹部の少なくとも1つを清掃部の軸方向に細長い細長形状に形成することもできる。清掃部凹部の直径を小さくすると、該清掃部凹部を形成する保持ピンが小径になって、芯基材部に対する保持ピンの接触面積が少なくなり、芯基材部凹部が深くなり易く、芯基材部凹部を設けた位置に応力集中が発生し易くなる。本発明のように構成すると、清掃部凹部の幅を狭くして、保持ピンの幅を小さくすることで、清掃用突起部の配設レイアウトの自由度を向上しつつ、芯基材部に対する保持ピンの接触面積を大きくして、芯基材部凹部の深さを浅くでき、芯基材部凹部を設けた位置における応力集中の発生を効果的に防止できるので好ましい。
8)前記基材部を構成する合成樹脂材料に、繊維材とタルクの少なくとも一方を添加することができる。このように構成することで、芯基材部の曲げ応力に対する強度剛性を高めることができ、歯間に対する清掃部の挿入性を向上できる。しかも、芯基材部の剛性を高めることができるので、芯基材部に形成される凹部の深さが深くなり難く、芯基材部凹部を設けた位置における応力集中の発生を防止する上でも好ましい。
本発明の歯間清掃具の製造方法は、合成樹脂と特定の充填材とを含む樹脂組成物からなる基材部と、基材部の少なくとも一部を被覆するエラストマからなる軟質部とを備え、基材部は、ハンドル基材部と、ハンドル基材部の先端部に連設した細長い軸状の芯基材部とを有し、軟質部は、芯基材部を被覆する清掃用軟質部を少なくとも有し、ハンドル基材部で持ち手としてのハンドル部を構成し、芯基材部と清掃用軟質部とで歯間清掃用の清掃部を構成した歯間清掃具の製造方法であって、第1金型の第1成形空間に樹脂組成物を供給して、基材部を成形する基材部成形工程と、基材部成形工程にて成形した基材部を、軟質部を成形する第2金型の第2成形空間に装填して、第2成形空間の長さ方向に間隔をあけて、第2金型の第1型と第2型とにそれぞれ2本以上設けた保持ピンのピン先端部を芯基材部に接触させ、適切な荷重を芯基材部に与えることで、芯基材部を清掃用軟質部成形部の略中央部に保持した状態で、第2成形空間にエラストマを充填して軟質部を成形するとともに芯基材部に最大深さが0.01mm以上0.085mm以下の芯基材部凹部を形成する軟質部成形工程と、を備えたものである。
この歯間清掃具の製造方法では、芯基材部に形成される芯基材部凹部の最大深さを0.01mm以上0.085mm以下に設定しているので、複数の保持ピンにより、第2成形空間の適正位置に対して芯基材部を安定性良く保持することができ、歯間清掃具の成形精度を向上できるとともに、芯基材部凹部の形成位置における芯基材部の横断面積を十分に確保して、該部分における応力集中の発生を抑制して、歯間への挿入時や歯間清掃時における芯基材部の折れを防止できる。なお、芯基材部凹部の最大深さは、前記の通り保持ピン先端部が芯基材部に与える荷重を調整する以外に、保持ピンの長さを調整したり、保持ピンを長さの異なるものと交換したりすることで、所望の深さに調整することができる。
ここで、芯基材部凹部に対応する位置における芯基材部の最大横断面積を、該芯基材部凹部に隣接する位置での芯基材部の横断面積の55%〜99.6%に設定することが好ましく、80.0%〜97.9%に設定することがより好ましい実施の形態である。このように構成すると、芯基材部凹部における応力集中を少なくして、歯間への挿入時や歯間清掃時における芯基材部の折れを一層効果的に防止できる。
前記第2金型の第1型の保持ピンと第2型の保持ピンとを、前記芯基材部を挟んで対面状に設けることが好ましい実施の形態である。ここにおいて、対面状とは、対になる保持ピンの先端部が接触する部位を結んだ直線が、芯基材部の軸中心付近を通過する位置にあることを意味する。この場合には、芯基材部を、第2成形空間の中央部に対して複数の保持ピンにより安定性良く保持できる。
前記第2金型の第1型と第2型の少なくとも一方の型に3本以上の保持ピンを設けることが好ましい実施の形態である。このように構成すると、清掃部の第1側部と第2側部の少なくとも一方の側部に、保持ピンにより3個以上の清掃部凹部が形成されるので、この製造方法により製作した歯間清掃具では、歯間への挿入時や歯間清掃時に清掃部に作用する曲げ応力を、清掃部凹部が形成される3箇所以上の清掃部の位置で分散吸収することができ、局部的に大きな曲げ応力が作用することによる芯基材部の折れを効果的に防止できる。しかも、保持ピンを3本以上設けると、芯基材部に対する保持ピンの接触面積を増大して、軟質部の成形時における芯基材部の振動を抑制でき、形成される芯基材部凹部が深くなることを抑制できるため、歯間清掃時における芯基材部凹部の位置の応力集中の発生を効果的に防止できるので好ましい。なお、第2金型における第1型と第2型の保持ピンは同じ個数に設定することもできるし、異なる個数に設定することもできる。第1型の保持ピンと第2型の保持ピンとを対面配置する場合には、両者を同じ個数に設定することになるが、第1型の保持ピンと第2型の保持ピンとを第2成形空間の長さ方向に配設位置をずらして設ける場合には、両者の個数を異なる個数に設定することができ、例えば第1型を第2型よりも1つだけ保持ピンの個数を少なくすることができる。
第2成形空間の長さ方向に対する保持ピンの配設間隔は、略同一が好ましいが、第2成形空間の先端側へ行くにしたがって狭くなるように設定することもできる。
清掃部の最も先端部に位置する保持ピンの先端部の面積を、他の位置の保持ピンの先端部の面積と略同一若しくは小さくなるように設定することも好ましい実施の形態である。つまり、清掃用軟質部を成形する第2成形空間は、先端側へ行くにしたがって通路面積が狭くなる。このため、本発明のように、保持ピンの先端部の面積を小さくすることにより保持ピン全体の横断面積も小さくできることで、通路面積を極力大きく設定することができ、エラストマ材料の流通抵抗を極力小さく設定できるとともに、各々の保持ピン付近で生じるカルマン渦の成形体や保持ピンに対する影響を更に抑えることができ、芯基材部の保持を向上させたり、清掃用軟質部成形部に対するエラストマ材料の充填不良を防止したりすることができる。
なお、前述した本発明に係る歯間清掃具の製造方法に対して、次のような構成を任意に組み合わせて設けることも可能である。
9)前記第2成形空間の先端側からエラストマ材料を充填することもできるし、第2成形空間の基端側からエラストマ材料を充填することもできる。
10)最大深さが0.01mm以上0.085mm以下の芯基材部凹部を形成する保持ピンとそれ以外の保持ピンがある場合にはそれを含めて、前記第2金型における、特定の或いは全ての第1型の保持ピンと、それに対応する第2型の保持ピンとを、前記第2成形空間の周方向に重複しないように、前記第2成形空間の長さ方向に間隔をあけて形成することもできる。このように構成すると、芯基材部の第1側部と第2側部とに交互に芯基材部凹部が形成され、芯基材部の軸方向の同じ位置に1対の芯基材部凹部が形成されることを防止できるので、芯基材部凹部に対応する位置における芯基材部の横断面積を大きくして、芯基材部の折れの発生を防止できる。また、軟質部の成形時に、芯基材部が前記保持ピン間において撓むことによっても、芯基材部凹部の深さが深くなることを抑制することができるため、芯基材部凹部に対応する位置における芯基材部の横断面積が大きくなって、芯基材部の折れの発生を防止できる。更に、芯基材部の長さ方向に対する保持ピンの間隔が実質的に短くなるので、芯基材部を安定性良く保持することが可能となる。なお、第1型の保持ピンに対応する第2型の保持ピンとは、例えば第2成形空間の先端から数えて同じ番目の保持ピンを意味する。
11)最大深さが0.01mm以上0.085mm以下の芯基材部凹部を形成する保持ピンとそれ以外の保持ピンがある場合にはそれを含めて、前記第2金型における第1型と第2型とで対をなす複数組の保持ピンのうちの少なくとも1組の保持ピンの中心線分を、前記第2金型の型開閉方向に対して、前記第2成形空間の周方向に角度を付けて形成することもできる。このように構成すると、清掃用軟質部に外方へ突出する複数の清掃用突起部を形成する場合において、該清掃用突起部の配設レイアウトの自由度を向上できる。つまり、軟質部は、複数の保持ピンにより第2成形空間の中央部に芯基材部を保持した状態で成形されるが、該保持ピンの位置を、清掃用突起部の形成位置に干渉しないように、第2成形空間に対して長さ方向及び周方向に調整できるので、該清掃用突起部の配設レイアウトの自由度を向上できる。
12)前記基材部を構成する合成樹脂材料に、繊維材とタルクの少なくとも一方を添加することができる。このように構成することで、芯基材部の曲げに応力に対する強度剛性を高めることができる。しかも、芯基材部の剛性を高めることができるので、芯基材部凹部の深さを浅くして、芯基材部凹部を設けた位置における応力集中の発生を防止する上でも好ましい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲においてその構成を適宜変更し得ることは勿論である。