JP6360745B2 - 連鎖状端子 - Google Patents

Description

本発明は、端子を連鎖状につなげた連鎖状端子に関するものである。

単品端子に対して、端子を連鎖状につなげることにより大量結線を実現した連鎖状端子がある。従来の連鎖状端子では、例えば、導電性平板を、帯状のキャリア部と、キャリア部の延在方向に所定のピッチで複数並設された展開形状の端子形成部とを打ち抜き加工し、端子形成部を折り曲げて使用状態の形状にした接触部を形成し、その後、リールのハブにコイル状に巻いた状態でユーザに提供するようにしている（例えば特許文献１参照）。

特開平９−１２９３４７号公報

上記したような連鎖状端子において、接触部の形状には種々のものがあるが、例えば、相手のコネクタピンが挿入される電気接触部を一対の板ばね形状により形成した場合、リールに巻かれた状態で隣り合う電気接触部の板ばね形状部分が互いに当接すると、変形が生じて導電性に悪影響を及ぼす虞が生じる。そこで、特許文献１では、積層方向に重なり合う接触部同士の当接を回避するべく、接触部の折り曲げ高さ以上の高さを有する端子変形防止片を設け、重なり合う接触部間に良好な間隔を確保するようにしている。

また、使用条件等により相手端子との接触圧をできるだけ高める要求がある場合に、素材を変えることなく対応するためには、板ばね形状部分の撓み代を大きくすることが考えられる。しかしながら、特許文献１における接触部の板ばね形状部分は、リールに巻かれた積層方向に撓むように形成されており、板ばね形状部分の高さ（撓み代）を高くすると、その増分に応じて端子変形防止片も高く形成することになる。薄板状の端子変形防止片は、積層方向に高くなると積層方向の圧力により撓み易くなるため、接触部に変形が生じる虞がある。

本発明は、以上の背景に鑑み、コイル状に巻回される連鎖状端子の変形を防止し得る連鎖状端子を提供することを課題とする。

上記課題を解決するために、本発明は、コイル状に巻回して提供される連鎖状端子（１）であって、前記巻回方向に長い帯状に形成されたキャリア部（２）と、前記キャリア部の長手方向に並ぶように前記キャリア部から横方向に延出された複数の端子片（４）とを有し、前記端子片は、前記キャリア部から同一面内で前記横方向に延出された接続部（１１）と、前記接続部から前記横方向に更に延出されかつ前記接続部に対して前記延出方向に沿う軸線（Ｌ）周りに折り曲げられた基部（１３）と、前記基部の延出方向端から前記接続部側に反転して曲成された接触部（４ａ）とを有することを特徴とする。

この構成によれば、キャリア部から同一面内で横方向に延出された接続部に対して、接続部から横方向に更に延出された基部が、接続部に対して延出方向に沿う軸線周りに折り曲げられることから、連鎖状端子をリールのハブにコイル状に巻回した場合に、その巻回方向に接触部が曲成されるようになるため、基部及び接触部は積層方向に起立する壁状となり、積層方向に加わる圧力に対して基部及び接触部の耐力は強く、また積層方向の圧力は接触部の変形方向には作用せず、基部及び接触部の変形を防止することができる。

また、上記の発明において、前記基部は、前記接続部に対して前記キャリア部の長手方向にオフセットしているとよい。この構成によれば、接続部に対して基部がオフセットしていることから、両者間での折り曲げを容易に行うことができる。

また、上記の発明において、前記基部及び前記接触部の全体は、前記キャリア部の一面側に配置されているとよい。この構成によれば、キャリア部の一面側に基部及び接触部が配置されていることから、連鎖状端子をリールのハブに巻回する際に層間紙等を間に挟む場合に、層間紙に対して片面側にキャリア部と基部及び接触部とが配置されるため、層間紙を傷付けることなくリールに巻回することができる。

また、前記接続部が、ケーブル（２２）をかしめにより結合するために切り起こされたかしめ片（１２ａ・１２ｂ）を有するとよい。この構成によれば、接続部と基部とが延出方向に沿う折れ線で互いに曲折されていることから、基部の主面に対してその側方で接続部が起立するようになり、その接続部にケーブルをかしめるためのかしめ片が設けられており、かしめた状態のかしめ片は、基部の主面に対して側方に位置するようになる。これにより、基部に対して近接離反する向きに弾性変形する接触部の延出端部がかしめ片側に変位しても、延出端部がかしめ片と干渉することを回避することができ、接触部の変形量を大きくすることができるため、相手端子との接触圧を容易に増大し得る。

このように本発明によれば、連鎖状端子をリールのハブにコイル状に巻回した場合に、その巻回方向に接触部が曲成されるようになるため、基部及び接触部は積層方向に起立する壁状となり、積層方向に加わる圧力に対して基部及び接触部の耐力は強く、また積層方向の圧力は接触部の変形方向には作用せず、基部及び接触部の変形を防止することができる。

本発明に基づく連鎖状端子となる前の打ち抜き加工後の展開状態を示す要部平面図 図1の展開状態から折り曲げ加工された連鎖状端子を示す要部斜視図 （ａ）は端子片を接触部側から見た図、（ｂ）は（ａ）のIIIｂ線の矢印方向から見たケーブル結合状態の図、（ｃ）は（ｂ）のIIIｃ線の矢印方向から見た図 リールに巻回された状態の連鎖状端子を示す斜視図

以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。図１は、本発明に基づく連鎖状端子１となる前の打ち抜き加工後の展開状態を示す要部平面図であり、図２は、図1の展開状態から折り曲げ加工された連鎖状端子１を示す要部斜視図である。

図１に示されるように、例えばりん青銅の薄板状金属板から打ち抜き加工されることにより、後記するリールのハブにコイル状に巻回される巻回方向に帯状に形成された帯状のキャリア部２と、キャリア部２の長手方向に所定のピッチで並べられた複数の展開形状体３とが１枚の板状に形成されている。展開形状体３の所定の部分（図１の二点鎖線で示された部分）で折り曲げ加工することにより、図２に示される端子片４が形成される。

展開形状体３は、キャリア部２の長手方向に延在する両側縁の一方から横方向（キャリア部２の長手方向に直交する向き）に延出するように形成されている。なお、展開形状体３は、キャリア部２から狭幅部分を介して同一面内で横方向に延出された接続部１１を介してキャリア部２と結合されている。接続部１１には、切り起こされる前の展開状態に形成されたかしめ片１２ａ・１２ｂが設けられている。接続部１１のキャリア部２とは相反する側には、キャリア部２の長手方向にオフセットして接続部１１から横方向に更に延出され、かつ接続部１１に対して延出方向（横方向）に沿う軸線Ｌ周り（軸線Ｌの周方向）に折り曲げられた基部１３と、接触部展開部１４とがこの順に一体に形成されている。

このように形成された展開形状体３を、図１の二点鎖線で示される部分で所定方向に折り曲げることにより、図２に示される端子片４が形成される。なお、各二点鎖線は折り曲げの概略位置を示すものであり、必ずしも二点鎖線で折り曲げなくてもよい。例えば、二点鎖線を含む部分または隣り合う二点鎖線間で円弧状に曲成したりする場合を含むものとする。また、本実施形態の説明では円弧状に曲げる場合を曲成するとして用いるが、特に円弧状に限定するものではない。

接続部１１は、キャリア部２と同一面となる矩形長板状に形成された部分と、その長板状のキャリア部２側で両側方に延出する一対の上記かしめ片１２ａと、基部１３側で両側方に突出する一対の上記かしめ片１２ｂとを有する。キャリア部２側のかしめ片１２ａは、後記するケーブル２２の被覆をかしめにより把持するものであり、基部１３側のかしめ片１２ｂはケーブル２２の芯線をかしめにより把持するものである。

基部１３は、上述したように接続部１１からキャリア部２の長手方向にオフセットして、キャリア部２の長手方向に対して直交する側方となる横方向に帯状に延出するように形成されている。基部１３には、基部１３の延出方向である長手方向に直交する左右に拡幅された一対の第１の係合縁部１３ａと、第１の係合縁部１３ａに対して基部１３の長手方向であってキャリア部２側とは相反する側に所定の間隔をおいた位置で左右に拡幅された一対の第２の係合縁部１３ｂとが形成されている。

図示例では、第１及び第２の係合縁部１３ａ・１３ｂが設けられた部分の幅は、それぞれ同一の一定の幅に形成されているが、それぞれ異なる幅であってもよい。また、基部１３における第１の係合縁部１３ａと第２の係合縁部１３ｂとの間の胴部１３ｃは各係合縁部１３ａ・１３ｂによる幅よりも狭い一定の幅に形成されている。

接触部展開部１４は、基部１３の長手方向の一端から基部１３の延出方向に延出される。接触部展開部１４には、基部１３側から、第１の係合縁部１３ａにおける幅よりも両側を狭められた反転部１４ａと、反転部１４ａに対して両側を緩やかな円弧状に狭められた逆反り部１４ｂと、反転部１４ａと略同じ幅の接点部１４ｃと、延出方向に至るに連れて幅が狭まるようにされた折り返し部１４ｄと、先細り形状の延出端部１４ｅとが、この順に連続して形成されている。

このようにして形成された展開形状体３を上記した軸線Ｌ及び各二点鎖線で適宜折り曲げて、図２に示されるように基部１３と接触部４ａとからなる端子片４が形成される。

ここで、接触部展開部１４を曲成して形成される接触部４ａの形成要領について説明する。基部１３の長手方向の一端である第２の係合縁部１３ｂとの境界部分から、反転部１４ａが接続部１１側に反転する向きに半円状に曲成される。逆反り部１４ｂは、基部１３における第１の係合縁部１３ａが設けられた部分と略平行に対峙した状態で接続部１１側に延出された後、基部１３から離反する向きに折り曲げられ、斜め後方（第２の係合縁部１３ｂ側）に延出される。逆反り部１４ｂに連続する接点部１４ｃは、基部１３に対して最も離反して位置し、逆反り部１４ｂの延出方向に対してＵターンして基部１３側に向かうように略半円状に曲成される。接点部１４ｃに連続する折り返し部１４ｄは、接点部１４ｃから基部１３に向けて近付く向きに延出されるが、途中までは逆反り部１４ｂの接点部１４ｃ側部分と平行し、その後、斜め後方（基部１３における第１の係合縁部１３ａが設けられた部分）に延出される。折り返し部１４ｄに連続する延出端部１４ｅは、基部１３に接近した位置で反転する向きに曲成される。このようにして、端子片４における接触部４ａが形成される。

また、基部１３は、接続部１１に対して上記した軸線Ｌの周方向となる軸線Ｌ周りに折り曲げられている。本実施形態では接続部１１及び基部１３の主面同士が互いに直交するように、基部１３が、接続部１１すなわちキャリア部２の主面（表裏面）に対して直角に折り曲げられている。なお、接続部１１と基部１３とは、軸線Ｌで直角に折り曲げられる必要は無く、例えば円弧状の曲面を有するように緩やかに折り曲げられていてもよい。

このように展開形状体３を折り曲げ加工して形成された端子片４は、図３（ａ）に示されるように形成される。図３（ａ）は端子片４を接触部４ａ側から見た図であり、図３（ｂ）は、図３（ａ）のIIIｂ線の矢印方向から見たケーブル結合状態の図であり、図３（ｃ）は、図３（ｂ）のIIIｃ線の矢印方向から見た図である。

端子片４は、キャリア部２の長手方向に所定のピッチで複数並べられ、キャリア部２とは接続部１１を介してそれぞれ連結され、連鎖状端子１となる。連鎖状端子１は、図４に示されるように、リール２１のハブ２１ａにコイル状に巻回されてユーザに提供される。このようにリール２１に巻かれた状態では、端子片４には積層方向（図３（ａ）の矢印Ｆにより示される方向）に圧力が掛かることになる。この積層方向は、キャリア部２の主面に直交する軸線（図３（ａ）の軸線Ｃｃ）方向である。

従来例のものでは、りん青銅等の金属製薄板から打ち抜かれた帯状の板状体を、その表裏面側に折り曲げて接触部を形成しており、そのように形成された連鎖状端子をリールに巻いた場合には、接触部の折り曲げによる変形方向において積層方向となる部分が生じるため、積層方向の圧力（上記Ｆ）により接触部に新たな変形が生じる場合がある。接触部に変形が生じた場合には、相手端子との接触において設計通りの適切な接触圧が得られなくなるという虞がある。

それに対して、本発明による基部１３及び接触部４ａは、連鎖状端子１の端子片４として形成された場合には、積層方向（リール２１の半径方向）に起立する壁として形成される。連鎖状端子１がリール２１のハブ２１ａに巻かれた状態で積層方向に加わる圧力（図３（ａ）の矢印Ｆ）は、基部１３及び接触部４ａの壁として起立する方向に加わることになる。壁はその起立方向に加わる圧力に対しては大きな耐力を有するため、上記積層方向に加わる圧力に対して基部１３及び接触部４ａは変形し難い。

また、図３（ａ）に示されるように、積層方向（軸線Ｃｃ方向）に対して、基部１３の最大幅（各係合縁部１３ａ・１３ｂにおける幅）が接触部４ａの最大幅（図示例では接点部１４ｃの幅）よりも大きく、基部１３の最大幅内に接触部４ａの全体が収まっている。これにより、基部１３が接触部４ａの変形を防止する防止片としての機能を有し、特に従来例のように専用の端子変形防止片を形成する必要が無い。

なお、図３（ｂ）に示されるように、一方のかしめ片１２ａをケーブル２２の被覆部分にかしめ、他方のかしめ片１２ｂをケーブル２２の芯線にかしめることにより、端子片４にケーブル２２が結合される。端子片４の使用状態の一例としては、図３（ｂ）に示されるように、接触部４ａの接点部１４ｃが相手端子２３の被接触部２３ａと当接する。接点部１４ｃと被接触部２３ａとの接触圧を大きくするためには、接触部４ａの当接方向（図の矢印Ａ方向）の変形量を大きくするとよい。

端子片４の材質や肉厚を変えない場合には、接触部４ａの当接方向の変形量を大きくするべく基部１３から接点部１４ｃまでの距離を大きくすることが考えられる。従来の連鎖状端子のように接触部の当接方向がリール２１に対する積層方向になっている場合には、接触部の当接方向の変形量を増大すると、層間隔が拡がることになり、同一径のリールに対する巻き付け量が減少してしまう。

それに対して、本発明による連鎖状端子１の場合には、接触部４ａの当接方向は積層方向ではなく、巻回方向（リール２１の円周方向）になるため、積層間隔が拡がらない。なお、巻回方向である各端子片４のピッチ間隔が拡がることになるが、径方向に対しては基部１３の幅で一定であり、基部１３の幅は、本実施形態のような接触部４ａの突出量（基部１３から接点部１４ｃに至る長さ）に対して小さいため、リール２１への巻回数（周回数）を増大し得ることにより、同一径のリールに対する巻き付け量の減少を抑制し得る。

また、使用時において相手端子２３に当接して接触部４ａが変形することにより、接点部１４ｃが基部１３に大きく近付く。それにより延出端部１４ｅは、基部１３に当接した後、図３（ｂ）・（ｃ）の矢印Ｂにより示されるようにかしめ片１２ｂに近付く向きに変位する。

一方、延出端部１４ｅに近い方となるかしめ片１２ｂは、ケーブル２２の芯線に対してかしめた場合には、図３（ｃ）に示されるように、高さ（接続部１１からの突出量）が低くなる。かしめ片１２ｂの接続部１１からの高さ方向は延出端部１４ｅの上記矢印Ｂの変位方向と干渉する方向であるが、かしめ片１２ｂの高さが低くなるため、延出端部１４ｅの上記変位におけるかしめ片１２ｂとの干渉が回避される。これは、基部１３に対して側方に接続部１１が位置することによる効果であり、接触部４ａの変形量を大きくすることができるため、相手端子２３との接触圧の設定に対して容易に対応でき、汎用性の高い連鎖状端子１を提供し得る。

以上、本発明を、その好適実施形態の実施例について説明したが、当業者であれば容易に理解できるように、本発明はこのような実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。上記実施形態では基部１３を、接続部１１に対してキャリア部２の長手方向にオフセットして、キャリア部２に対して横方向に延出する形状としたが、オフセットさせなくてもよい。例えば、接続部１１から基部１３をオフセットせずに延出し、接続部１１と基部１３との間に、幅方向両側から中央に至りかつ延出方向に互い違いに位置するスリットをそれぞれ設け、基部１３を接続部１１に対して両スリット間で折り曲げるようにしてもよい。また、上記実施形態に示した構成要素は必ずしも全てが必須なものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて適宜取捨選択することが可能である。

１ 連鎖状端子
２ キャリア部
４ 端子片
４ａ 接触部
１１ 接続部
１２ａ・１２ｂ かしめ片
１３ 基部
２２ ケーブル
Ｌ 軸線

Claims (6)

1. コイル状に巻回して提供される連鎖状端子であって、
   前記巻回方向に長い帯状に形成されたキャリア部と、前記キャリア部の長手方向に並ぶように前記キャリア部から横方向に延出された複数の端子片とを有し、
   前記端子片は、前記キャリア部から同一面内で前記横方向に延出された接続部と、前記接続部から前記横方向に更に延出されかつ前記接続部に対して前記延出方向に沿う軸線周りに折り曲げられた基部と、前記基部の延出方向端から前記接続部側に反転して曲成された接触部とを有し、
   前記接触部において、前記基部と離反する方向である相手端子との当接方向が、前記端子片の他の部分に覆われることなく露出し、
   前記コイル状に巻回された状態において、前記当接方向が、当該連鎖状端子の巻回方向になることを特徴とする連鎖状端子。
2. 前記コイル状に巻回された状態において、前記基部および前記接触部は、当該連鎖状端子の積層方向に起立する壁状をなすことを特徴とする請求項１に記載の連鎖状端子。
3. 前記積層方向における前記基部の最大幅が、前記接触部の最大幅よりも大きいことを特徴とする請求項２に記載の連鎖状端子。
4. 前記基部は、前記接続部に対して前記キャリア部の長手方向にオフセットしていることを特徴とする請求項１乃至請求項３のいずれかに記載の連鎖状端子。
5. 前記基部及び前記接触部の全体は、前記キャリア部の一面側に配置されていることを特徴とする請求項１乃至請求項４のいずれかに記載の連鎖状端子。
6. 前記接続部が、ケーブルをかしめにより結合するために切り起こされたかしめ片を有することを特徴とする請求項１乃至請求項５のいずれかに記載の連鎖状端子。

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