以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
[第1の実施形態]
図1に示される第1の実施形態に係る衝突回避支援装置1は、車両(以後、自車両と称する)に搭載され、自車両と対象物との衝突を回避する。対象物とは、例えば、歩行者、自転車、他車両(四輪車、二輪車等)等の移動体である。衝突回避支援装置1は、自車両と対象物との衝突可能性があると判定した場合、自車両と対象物との衝突を回避する衝突回避支援として衝突回避ブレーキ制御を行う。衝突可能性の有無の判定及び衝突回避ブレーキ制御については後述する。
〈第1の実施形態に係る衝突回避支援装置の構成〉
図1に示すように、衝突回避支援装置1は、装置を統括的に制御するECU[Electronic Control Unit]2を備えている。ECU2は、CPU[Central Processing Unit]、ROM[Read Only Memory]、RAM[Random Access Memory]等を有する電子制御ユニットである。ECUでは、ROMに記憶されているプログラムをRAMにロードし、CPUで実施することで、各種の制御を実施する。ECU2は、レーザレーダ3、カメラ4、車両センサ5、及びブレーキアクチュエータ6と接続されている。
レーザレーダ3は、例えば、自車両の前端に設けられ、レーザーを利用して自車両前方の対象物を検出するレーダセンサである。レーザレーダ3は、自車両の前方に広がるレーダ検出範囲を有する。レーザレーダ3は、例えば、レーザーを自車両前方に送信し、他車両等の対象物に反射したレーザーを受信することでレーダ検出範囲に含まれる対象物を検出する。レーザレーダ3は、検出した対象物に関する対象物情報をECU2に送信する。なお、レーザレーダ3に代えて、ミリ波レーダ等を用いてもよい。
カメラ4は、自車両の周囲を撮像する撮像機器である。カメラ4は、例えば、自車両のフロントガラスの裏側に設けられ、自車両の前方に広がるカメラ検出範囲を有する。ここで、カメラ検出範囲は、レーダ検出範囲より狭い範囲である。カメラ検出範囲及びレーダ検出範囲について詳しくは後述する。カメラ4は、カメラ検出範囲に含まれる撮像情報をECU2に送信する。カメラ4は、撮像画面の奥行き方向の情報を取得できるステレオカメラであってもよく、単眼カメラであってもよい。
車両センサ5は、自車両の走行状態を検出する検出機器である。車両センサ5は、例えば、車速センサ、加速度センサ、及びヨーレートセンサを含んでいる。車速センサは、車両の速度を検出する検出器である。車速センサとしては、例えば、自車両の車輪又は車輪と一体に回転するドライブシャフト等に対して設けられ、車輪の回転速度を検出する車輪速センサが用いられる。車速センサは、検出した車速情報をECU2に送信する。
加速度センサは、自車両の加速度を検出する検出器である。加速度センサは、例えば、自車両の前後方向の加速度を検出する前後加速度センサと、自車両の横加速度を検出する横加速度センサとを含んでいる。加速度センサは、例えば、自車両の加速度情報をECU2に送信する。ヨーレートセンサは、自車両の重心の鉛直軸周りのヨーレート(回転角速度)を検出する検出器である。ヨーレートセンサとしては、例えばジャイロセンサを用いることができる。ヨーレートセンサは、検出した自車両のヨーレート情報をECU2へ送信する。
ブレーキアクチュエータ6は、ECU2からの制御信号に応じてブレーキシステムを制御し、自車両の車輪へ付与する制動力を制御する。ブレーキシステムとしては、例えば、液圧ブレーキシステムを用いることができる。なお、ブレーキアクチュエータ6は、自車両が回生ブレーキシステムを備えている場合、液圧ブレーキシステム及び回生ブレーキシステムの両方を制御してもよい。
次に、ECU2の機能的構成について説明する。ECU2は、対象物判定部10、角度判定部11、近接可能性判定部12、情報統合部13、衝突可能性判定部14、及び車両制御部15を有する。
対象物判定部10は、レーザレーダ3の対象物情報及びカメラ4の撮像情報に基づいて、カメラ検出範囲に含まれずレーダ検出範囲に含まれる対象物が存在するか否かを判定する。ここで、図2は、カメラ検出範囲に含まれずレーダ検出範囲に含まれる対象物が存在する状況を示す平面図である。
図2に、カメラ検出範囲AC、レーダ検出範囲AL、自車両M、対象物N、及び自車両Mに対する対象物Nの接近方向Rnを示す。また、図2に、自車両Mの前後方向をY軸方向、自車両Mの横方向(車幅方向)をX軸方向としてXY座標系を示す。対象物Nは、自車両Mの前方で自車両Mより右側に位置し、左側に向かって横断するように移動する自転車である。一方で、自車両MはY軸方向に進んでいるため、自車両Mに対する対象物Nの接近方向Rn(自車両Mから見た相対的な対象物Nの移動方向)は、自車両Mに向かって斜めに接近する方向となる。図2に示す状況において、対象物Nは、レーダ検出範囲ALのみを通過し、カメラ検出範囲ACに入り込まずに自車両Mに接近する。
なお、接近方向Rnに沿って表示する複数の物標Pは、時間経過と共に自車両Mに接近する対象物Nの将来の位置を示している。この場合、接近方向Rnは、対象物Nの位置変化の軌跡に相当する。
図2に示すように、カメラ検出範囲AC及びレーダ検出範囲ALは、平面視で自車両Mから前方に広がる扇状の範囲である。カメラ検出範囲ACは、X軸方向においてレーダ検出範囲ALより幅の狭い範囲となっている。図2に、カメラ検出範囲ACの検出角度α、レーダ検出範囲ALの検出角度β、自車両Mの前後方向(Y軸方向)と接近方向Rnのなす角度γを示す。
対象物判定部10は、図2に示す状況において、カメラ検出範囲ACに含まれずレーダ検出範囲ALに含まれる対象物Nが存在すると判定する。なお、対象物判定部10は、周知の手法により、この判定を行う。また、対象物判定部10は、カメラ検出範囲及びレーダ検出範囲の両方に含まれる対象物Nが存在するか否かも判定している。
角度判定部11は、対象物判定部10によりカメラ検出範囲に含まれずレーダ検出範囲に含まれる対象物が存在すると判定された場合、自車両Mの前後方向と自車両Mに対する対象物の接近方向Rnとのなす角度γが所定の角度範囲に含まれるか否かを判定する。角度判定部11は、レーザレーダ3の対象物情報に基づいて、角度γが所定の角度範囲に含まれるか否かを判定する。所定の角度範囲とは、例えば、対象物Nがカメラ検出範囲ACに入り込むことなくレーダ検出範囲ALのみを通って自車両Mに接近するような角度の範囲である。所定の角度範囲は、任意に設定することができる。
角度判定部11は、例えば、下記の式(1)を利用して角度γを算出する。
γ=arctan(自車両Mに対する対象物の横方向の相対速度/自車両Mに対する対象物の前後方向の相対速度)・・・(1)
ここで、式(1)における横方向とは、自車両Mの横方向(車幅方向:X軸方向)である。また、式(1)における前後方向とは、自車両Mの前後方向(Y軸方向)である。角度判定部11は、周知の手法により、角度γを算出してもよい。
近接可能性判定部12は、角度判定部11により角度γが角度範囲に含まれると判定された場合、対象物Nと自車両Mとの近接可能性の有無を判定する。近接可能性判定部12は、レーザレーダ3の対象物情報に基づいて、対象物Nと自車両Mとの近接可能性の有無を判定する。近接可能性判定部12は、例えば、対象物Nと自車両Mの相対速度と相対距離からTTC[Time To Collision:衝突余裕時間]を算出し、TTCが予め設定された近接可能性判定用のTTC閾値未満となった場合に、近接可能性があると判定する。TTCに代えて、THW[Time Headway:車間時間]を用いてもよい。その他の指標を用いてもよい。
情報統合部13は、対象物判定部10によりカメラ検出範囲ACとレーダ検出範囲ALの両方に含まれる対象物Nが存在すると判定された場合に、レーザレーダ3の対象物情報とカメラ4の撮像情報に含まれる対象物Nの情報を統合(Fusion)する。情報統合部13は、周知の手法により情報の統合を行う。情報統合部13は、情報の統合によって、レーザレーダ3の対象物情報のみを用いる場合と比べて信頼性の高い対象物Nの情報(Fusion物標の情報)を取得する。情報統合部13は、自車両Mに対する対象物Nの相対距離及び相対速度の情報を取得する。
衝突可能性判定部14は、レーザレーダ3の対象物情報とカメラ4の撮像情報の少なくとも一方に基づいて、対象物Nと自車両Mとの衝突可能性の有無を判定する。衝突可能性判定部14は、情報統合部13がレーザレーダ3の対象物情報とカメラ4の撮像情報を統合している場合には、統合された対象物の情報に基づいて衝突可能性の有無を判定する。衝突可能性判定部14は、例えば、対象物Nと自車両Mの相対速度と相対距離からTTCを算出し、TTCが予め設定された衝突可能性判定用のTTC閾値未満となった場合に、衝突可能性があると判定する。TTCに代えて、THWを用いてもよい。その他の指標を用いてもよい。
車両制御部15は、近接可能性判定部12により対象物Nと自車両Mとの近接可能性があると判定された場合、対象物Nがカメラ検出範囲ACに含まれるように自車両Mの緩ブレーキ制御を行う。緩ブレーキ制御とは、衝突回避ブレーキ制御と比べて小さい減速度によるブレーキ制御であり、レーダ検出範囲AL内の対象物Nがカメラ検出範囲ACに入り込むように行うブレーキ制御である。車両制御部15は、ブレーキアクチュエータ6に制御信号を送信することにより緩ブレーキ制御を行う。
車両制御部15は、まず、近接可能性判定部12により対象物Nと自車両Mとの近接可能性があると判定された場合、緩ブレーキ制御に関する演算を行う。車両制御部15は、レーザレーダ3の対象物情報と車両センサ5の検出した自車両Mの情報(車速情報等)に基づいて、緩ブレーキ制御の減速度及び緩ブレーキ制御のタイミングを演算する。
車両制御部15は、衝突回避支援のための十分な余裕を持って対象物Nがカメラ検出範囲ACに含まれるように緩ブレーキ制御の減速度及びタイミングを演算する。車両制御部15は、対象物Nがカメラ検出範囲ACに入り込んでから、情報統合部13により対象物Nの情報が統合され衝突可能性判定部14により衝突可能性があると判定されたときに、衝突回避支援としての衝突回避ブレーキ制御が十分に余裕を持って機能するように、緩ブレーキ制御の減速度及びタイミングを演算する。
ここで、図3は、緩ブレーキ制御により対象物Nがカメラ検出範囲ACに入り込む状況を説明する拡大平面図である。図3に、緩ブレーキ制御によってカメラ検出範囲ACに入り込んだ場合の対象物Nの予測の軌跡Rfを示す。Paは、対象物Nがカメラ検出範囲ACに入り込む位置である。車両制御部15は、対象物Nがカメラ検出範囲ACに入り込む位置Paが衝突回避ブレーキ制御の十分に機能する余裕のある位置となるように、緩ブレーキ制御の減速度及びタイミングを演算する。車両制御部15は、周知の手法を利用して、緩ブレーキ制御の減速度及びタイミングを演算する。
車両制御部15は、例えば、乗り心地及び不要動作の抑制の観点から、衝突回避ブレーキ制御のための余裕を確保できる最小の値となるように緩ブレーキ制御の減速度を演算する。同様に、車両制御部15は、衝突回避ブレーキ制御のための余裕を確保できるタイミングのうち最も遅いタイミングとなるように緩ブレーキ制御のタイミングを演算してもよい。
なお、車両制御部15は、緩ブレーキ制御の減速度及びタイミングの演算に際して、レーザレーダ3の対象物情報の信頼度を用いてもよい。車両制御部15は、例えば、レーザレーダ3の対象物情報から周知の手法(例えば反射特性を利用した手法)により対象物Nの種別(他車両、歩行者、自転車、バイク等)を認識し、対象物Nの相対速度が対象物Nの種別と合っている場合に信頼度を高くする。対象物Nの相対速度と対象物Nの種別の関係は、ECU2のデータベースに記憶されている。車両制御部15は、例えば、レーザレーダ3の対象物情報の信頼度が低い場合、緩ブレーキ制御の減速度及びタイミングについて、検出誤差を考慮してマージンを含めた演算を行う。
また、車両制御部15は、自車両Mに対する対象物Nの横方向の相対速度に基づいて、緩ブレーキ制御の減速度を演算してもよい。ここで、図4(a)は、対象物Nの横方向の相対速度が横速度閾値未満の場合の緩ブレーキ制御の減速度のパターンを示す図である。図4(b)は、対象物Nの横方向の相対速度が横速度閾値以上の場合の緩ブレーキ制御の減速度のパターンを示す図である。図4(a)及び図4(b)において、横軸は緩ブレーキ制御の減速度、縦軸は車速低減量である。また、緩ブレーキ制御のタイミングについて矢印で示す。横速度閾値は、減速度のパターンの切り替えに用いられる予め設定された値である。このように、車両制御部15は、自車両Mに対する対象物Nの横方向の相対速度に基づいて減速度のパターンを切り替え、パターンの中から対象物情報に応じた適切な減速度を算出してもよい。
車両制御部15は、演算した減速度及びタイミングで緩ブレーキ制御を実施する。なお、車両制御部15は、減速度を固定値としてもよい。車両制御部15は、タイミングを固定としてもよい。すなわち、車両制御部15は、近接可能性判定部12により近接可能性があると判定されたときに、緩ブレーキ制御を行ってもよい。
また、車両制御部15は、衝突可能性判定部14により対象物Nと自車両Mとの衝突可能性があると判定された場合、対象物Nと自車両Mとの衝突を回避するための衝突回避ブレーキ制御を行う。衝突回避ブレーキ制御は、対象物Nと自車両Mとの衝突を回避するための十分な減速度によるブレーキ制御である。衝突回避ブレーキ制御には、衝突回避支援における周知の制御を採用することができる。車両制御部15は、ブレーキアクチュエータ6に制御信号を送信することにより、衝突回避ブレーキ制御を実施する。
〈第1の実施形態に係る衝突回避支援装置の緩ブレーキ制御方法〉
以下、第1の実施形態に係る衝突回避支援装置1の緩ブレーキ制御方法について説明する。図5は、第1の実施形態に係る衝突回避支援装置1の緩ブレーキ制御方法を示すフローチャートである。図5に示すフローチャートは、例えば、自車両Mの走行中、予め設定された時間毎に繰り返し実行される。
図5に示すように、衝突回避支援装置1のECU2は、ステップS101として、対象物判定部10によりカメラ検出範囲ACに含まれずレーダ検出範囲ALに含まれる対象物Nが存在するか否かを判定する。ECU2は、対象物Nが存在しないと判定された場合(S101:NO)、今回の処理を終了する。その後、予め設定された時間の経過後に再びステップS101を繰り返す。ECU2は、対象物Nが存在すると判定された場合(S101:YES)、ステップS102に移行する。
ステップS102において、ECU2は、角度判定部11により自車両Mの前後方向と自車両Mに対する対象物の接近方向Rnとのなす角度γが所定の角度範囲に含まれるか否かを判定する。ECU2は、角度γが角度範囲に含まれないと判定された場合(S102:No)、今回の処理を終了する。その後、予め設定された時間の経過後に再びステップS101から繰り返す。ECU2は、角度γが角度範囲に含まれると判定された場合(S102:YES)、ステップS103に移行する。
ステップS103において、ECU2は、近接可能性判定部12により対象物Nと自車両Mとの近接可能性の有無を判定する。ECU2は、対象物Nと自車両Mとの近接可能性がないと判定された場合(S103:NO)、今回の処理を終了する。その後、予め設定された時間の経過後に再びステップS101から繰り返す。ECU2は、対象物Nと自車両Mとの近接可能性があると判定された場合(S103:YES)、ステップS104に移行する。
ステップS104において、ECU2は、車両制御部15により緩ブレーキ制御の減速度及びタイミングを演算する。車両制御部15は、衝突回避支援に十分な余裕を持って対象物Nがカメラ検出範囲ACに含まれるように緩ブレーキ制御の減速度及びタイミングを演算する。車両制御部15は、対象物Nがカメラ検出範囲ACに含まれた上で、衝突回避支援が有効に機能する余裕を確保できるように、緩ブレーキ制御の減速度及びタイミングを演算する。ECU2は、緩ブレーキ制御の減速度及びタイミングを演算した場合、ステップS105に移行する。
なお、緩ブレーキ制御の減速度及びタイミングが固定の場合は演算する必要はない。また、緩ブレーキ制御の減速度及びタイミングのうち一方を固定として他方を演算してもよい。
ステップS105において、ECU2は、車両制御部15により緩ブレーキ制御を実施する。車両制御部15は、演算した減速度及びタイミングで緩ブレーキ制御を行うように、制御信号をブレーキアクチュエータ6に送信する。ECU2は、緩ブレーキ制御が完了した場合、対象物Nに対する今回の処理を終了する。
〈第1の実施形態に係る衝突回避支援装置の衝突回避ブレーキ制御方法〉
以下、第1の実施形態に係る衝突回避支援装置1の衝突回避ブレーキ制御方法について説明する。図6は、第1の実施形態に係る衝突回避支援装置1の衝突回避ブレーキ制御方法を示すフローチャートである。図6に示すフローチャートは、例えば、自車両Mの走行中、予め設定された時間毎に繰り返し実行される。
図6に示すように、衝突回避支援装置1のECU2は、ステップS201として、対象物判定部10によりカメラ検出範囲AC及びレーダ検出範囲ALの両方に含まれる対象物Nが存在するか否かを判定する。ECU2は、両方に含まれる対象物Nが存在しないと判定された場合(S201:NO)、ステップS202に移行する。ECU2は、両方に含まれる対象物Nが存在すると判定された場合(S201:YES)、ステップS203に移行する。
ステップS202において、ECU2は、対象物判定部10によりカメラ検出範囲ACに含まれずレーダ検出範囲ALに含まれる対象物Nが存在するか否かを判定する。なお、ステップS202は図5に示すステップS101と同様の処理である。ECU2は、対象物Nが存在しないと判定された場合(S202:NO)、今回の処理を終了する。その後、予め設定された時間の経過後に再びステップS201から繰り返す。ECU2は、対象物Nが存在すると判定された場合(S202:YES)、ステップS204に移行する。
ステップS203において、ECU2は、情報統合部13による対象物情報の統合を行う。情報統合部13は、レーザレーダ3の対象物情報とカメラ4の撮像情報に含まれる対象物Nの情報を統合する。ECU2は、対象物情報の統合が行われた場合、ステップS204に移行する。
ステップS204において、ECU2は、衝突可能性判定部14により対象物Nと自車両Mとの衝突可能性の有無を判定する。衝突可能性判定部14は、対象物Nがレーダ検出範囲ALにのみ含まれる場合には、レーザレーダ3の対象物情報に基づいて、対象物Nと自車両Mとの衝突可能性の有無を判定する。衝突可能性判定部14は、レーザレーダ3の対象物情報及びカメラ4の撮像情報から情報統合部13の統合した対象物情報に基づいて、対象物Nと自車両Mとの衝突可能性の有無を判定する。ECU2は、対象物Nと自車両Mとの衝突可能性がないと判定された場合(S204:NO)、今回の処理を終了する。その後、予め設定された時間の経過後に再びステップS201から繰り返す。ECU2は、対象物Nと自車両Mとの衝突可能性があると判定された場合(S204:YES)、ステップS205に移行する。
ステップS205において、ECU2は、車両制御部15により衝突回避ブレーキ制御を実施する。車両制御部15は、ブレーキアクチュエータ6に制御信号を送信することにより、衝突回避ブレーキ制御を実施する。車両制御部15は、例えば、自車両Mが停止した場合、衝突回避ブレーキ制御を完了し、対象物Nに対する今回の処理を終了する。
〈第1の実施形態に係る衝突回避支援装置の作用効果〉
以上説明した第1の実施形態に係る衝突回避支援装置1によれば、カメラ検出範囲ACに含まれずレーダ検出範囲ALに含まれる対象物Nの接近方向の角度が所定の角度範囲内であり、自車両Mに対して近接可能性があると判定された場合に、対象物Nがカメラ検出範囲ACに含まれるように緩ブレーキ制御を行うので、緩ブレーキ制御を行わずにレーザレーダ3の対象物情報のみで衝突回避ブレーキ制御を行う場合と比べて、衝突回避ブレーキ制御が不要動作となることを抑制することができる。
[第2の実施形態]
第2の実施形態に係る衝突回避支援装置20は、第1の実施形態に係る衝突回避支援装置1と比べて、緩ブレーキ制御を実施した場合に対象物情報の統合と衝突可能性判定の簡略化を行う点が異なっている。
〈第2の実施形態に係る衝突回避支援装置の構成〉
図7は、第2の実施形態に係る衝突回避支援装置20を示すブロック図である。図7に示すように、衝突回避支援装置20のECU21は、第1の実施形態と比べて、情報統合部22と衝突可能性判定部23の機能が追加されている。
情報統合部22は、車両制御部15が緩ブレーキ制御を実施した場合、緩ブレーキ制御によりレーダ検出範囲ALとカメラ検出範囲ACの両方に含まれた対象物Nに関する情報統合(レーザレーダ3の対象物情報とカメラ4の撮像情報の統合)を簡略化する。
まず、情報統合部22は、通常、レーザレーダ3及びカメラ4のそれぞれに検出された対象物Nの情報のうち、予め設定された検出回数(例えば10回)分の対象物Nの情報を用いて情報統合を行うことにより、情報統合(すなわちFusion物標の作成)の信頼性を確保している。検出回数とは、例えばレーザレーダ3であれば所定の周期で送信されるミリ波を対象物Nが反射して検出した回数である。検出回数は、カメラであれば撮像情報に基づいて所定の周期で繰り返される画像処理により対象物Nを検出した回数である。これに対して、第2の実施形態に係る情報統合部22は、対象物Nに対する緩ブレーキ制御が行われた場合、より少ない検出回数(例えば5回)分の対象物Nの情報を用いる情報統合の簡略化を行う。すなわち、情報統合部22は、対象物Nに対する緩ブレーキ制御が行われた場合、既に対象物Nを検出していることから、情報統合に用いる対象物Nの情報の検出回数を少なくする。このように、情報統合部22は、対象物Nに対する緩ブレーキ制御が行われた場合、少ない検出回数で情報統合を行う簡略化により情報統合の演算処理時間を短縮することができ、演算処理量も低減することができる。
衝突可能性判定部23は、車両制御部15が緩ブレーキ制御を実施した場合、緩ブレーキ制御によりレーダ検出範囲ALとカメラ検出範囲ACの両方に含まれた対象物Nに関する衝突可能性の判定を簡略化する。
まず、衝突可能性判定部23は、情報統合部22による対象物情報の統合が行われた場合であっても、1回分の統合された対象物情報だけではなく、予め設定された設定数(例えば10)分の対象物情報を用いて対象物N及び自車両Mの衝突可能性の有無を判定することにより判定の信頼性を確保している。これに対して、第2の実施形態に係る衝突可能性判定部23は、対象物Nに対する緩ブレーキ制御が行われた場合、より少ない設定数(例えば5)分の対象物情報のみで衝突可能性の有無を判定する判定の簡略化設定を行う。すなわち、衝突可能性判定部23は、対象物Nに対する緩ブレーキ制御が行われた場合、既に対象物Nを検出していることから、衝突可能性の判定に用いる対象物情報の数(情報統合部22により統合された対象物情報の数)を少なくする。このように、衝突可能性判定部23は、対象物Nに対する緩ブレーキ制御が行われた場合、少ない数の対象物情報で衝突可能性の判定を行う簡略化設定によって衝突可能性の判定の演算処理時間を短縮することができ、演算処理量も低減することができる。
〈第2の実施形態に係る衝突回避支援装置の衝突回避ブレーキ制御方法〉
以下、第2の実施形態に係る衝突回避支援装置20の衝突回避ブレーキ制御方法について説明する。なお、緩ブレーキ制御方法については、第1の実施形態と同様であるため説明を省略する。
図8は、第2の実施形態に係る衝突回避支援装置20の衝突回避ブレーキ制御方法を示すフローチャートである。図8に示すフローチャートは、例えば、自車両Mの走行中、予め設定された時間毎に繰り返し実行される。
図8に示すように、衝突回避支援装置20のECU21は、ステップS301として、対象物判定部10によりカメラ検出範囲AC及びレーダ検出範囲ALの両方に含まれる対象物Nが存在するか否かを判定する。なお、ステップS301は、図6に示すステップS201と同じ処理である。ECU21は、両方に含まれる対象物Nが存在しないと判定された場合(S301:NO)、ステップS302に移行する。ECU21は、両方に含まれる対象物Nが存在すると判定された場合(S301:YES)、ステップS303に移行する。
ステップS302において、ECU21は、対象物判定部10によりカメラ検出範囲ACに含まれずレーダ検出範囲ALに含まれる対象物Nが存在するか否かを判定する。なお、ステップS302は、図6に示すステップS202と同じ処理である。ECU21は、対象物Nが存在しないと判定された場合(S302:NO)、今回の処理を終了する。その後、予め設定された時間の経過後に再びステップS301を繰り返す。ECU21は、対象物Nが存在すると判定された場合(S302:YES)、ステップS307に移行する。
ステップS303において、ECU21は、情報統合部13により緩ブレーキ制御を実施済みであるか否かを判定する。なお、緩ブレーキ制御を実施済みであるか否かの判定は、対象物ごとに行われる。ECU21は、緩ブレーキ制御を実施済みではないと判定された場合、ステップS304に移行する。ECU21は、緩ブレーキ制御を実施済みであると判定された場合、ステップS305に移行する。
ステップS304において、ECU21は、情報統合部22による対象物情報の統合を行う。なお、ステップS304は、図6に示すステップS203と同じ処理である。情報統合部22は、レーザレーダ3及びカメラ4から得た対象物情報のうち予め設定された検出回数(例えば10回)分の対象物情報を用いて、対象物情報の統合を行う。ECU21は、対象物情報の統合が行われた場合、ステップS307に移行する。なお、対象物情報の統合が行われた場合とは、ステップS307の衝突可能性の有無の判定を行うために必要な回数の統合された対象物情報が得られた場合を意味する。
ステップS305において、ECU21は、情報統合部22により簡略化した対象物情報の統合を行う。情報統合部22は、ステップS304の場合と比べて少ない検出回数のレーザレーダ3の対象物情報及びカメラ4の撮像情報に基づいて、対象物Nの情報を統合する。ECU21は、簡略化した対象物情報の統合が行われた場合、ステップS306に移行する。簡略化した対象物情報の統合が行われた場合とは、ステップS307の衝突可能性の有無の判定を行うために必要な回数の統合された対象物情報が得られた場合を意味する。
ステップS306において、ECU21は、衝突可能性判定部23により衝突可能性判定の簡略化設定を行う。衝突可能性判定の簡略化設定とは、次に行われる衝突可能性の有無の判定に用いる対象物情報の数を少なくする設定である。ECU21は、衝突可能性判定の簡略化設定が行われた場合、ステップS307に移行する。なお、ステップS305とステップS306は同時に処理してもよい。ステップS305及びステップS306は何れか一方のみが行われてもよい。
ステップS307において、ECU21は、衝突可能性判定部23により対象物Nと自車両Mとの衝突可能性の有無を判定する。衝突可能性判定部23は、ステップS304において情報統合部22による対象物情報の統合が行われている場合、予め設定された数(例えば10)の対象物情報を用いて衝突可能性の有無を判定する。衝突可能性判定部23は、ステップS306において衝突可能性の判定の簡略化設定が行われている場合、より少ない数(例えば5)の対象物情報を用いて衝突可能性の有無を判定する。
ECU21は、対象物Nと自車両Mとの衝突可能性がないと判定された場合(S307:NO)、今回の処理を終了する。その後、予め設定された時間の経過後に再びステップS301から繰り返す。ECU21は、対象物Nと自車両Mとの衝突可能性があると判定された場合(S307:YES)、ステップS308に移行する。
ステップS308において、ECU21は、車両制御部15により衝突回避ブレーキ制御を実施する。車両制御部15は、ブレーキアクチュエータ6に制御信号を送信することにより、衝突回避ブレーキ制御を実施する。車両制御部15は、例えば、自車両Mが停止した場合、衝突回避ブレーキ制御を終了する。
〈第2の実施形態に係る衝突回避支援装置の作用効果〉
以上説明した第2の実施形態に係る衝突回避支援装置20によれば、緩ブレーキ制御を行った場合に、簡略化した対象物情報の統合、及び衝突可能性判定の簡略化設定を行うことにより、処理時間を短縮することができ、演算処理量を低減することができる。その結果、衝突回避支援装置20によれば、緩ブレーキ制御を行った場合に、より迅速な衝突回避支援を行うことが可能になる。
[第3の実施形態]
第3の実施形態に係る衝突回避支援装置20は、第1の実施形態に係る衝突回避支援装置1と比べて、周辺環境を認識して緩ブレーキ制御の減速度及びタイミングを演算する点が異なっている。
〈第3の実施形態に係る衝突回避支援装置の構成〉
図9は、第3の実施形態に係る衝突回避支援装置30を示すブロック図である。図8に示すように、衝突回避支援装置30のECU31は、第1の実施形態と比べて、GPS受信部32、地図データベース33、周辺環境認識部34を更に備え、車両制御部35の機能が追加されている。
GPS受信部32は、3個以上のGPS衛星から信号を受信することにより、自車両Mの位置(例えば自車両Mの緯度及び経度)を測定する。GPS受信部32は、測定した車両の位置情報をECU2へ送信する。
地図データベース33は、地図情報を備えたデータベースである。地図データベース33は、例えば、自車両Mに搭載されたHDD[Hard disk drive]内に形成されている。地図情報には、例えば、道路の位置情報、道路形状の情報(例えばカーブ、直線部の種別、カーブの曲率等)、交差点及び分岐点の位置情報、及び建物の位置情報等が含まれる。なお、地図データベース33は、自車両Mと通信可能な情報処理センター等の施設のコンピュータに記憶されていてもよい。
周辺環境認識部34は、GPS受信部32の位置情報及び地図データベース33の地図情報に基づいて、自車両Mの周辺環境を認識する。周辺環境認識部34は、例えば、周辺環境として、自車両Mの走行する道路のガードレールの有無等を認識する。また、周辺環境認識部34は、自車両Mが自動車専用道路を走行しているか否かを判定する。なお、周辺環境認識部34は、レーザレーダ3の対象物情報及びカメラ4の撮像情報に基づいて、対象物N以外の周囲の他車両の位置等を周辺環境として認識してもよい。
車両制御部35は、レーザレーダ3の対象物情報、車両センサ5の検出した自車両Mの情報、及び周辺環境認識部34の認識した周辺環境に基づいて、緩ブレーキ制御の減速度及びタイミングを演算する。車両制御部35は、周辺環境に基づいて対象物Nが自車両Mの進行方向に進入するリスクを算出する。具体的に、車両制御部35は、例えば、自車両Mが自動車専用道路を走行している場合には、自車両Mの進行方向に対して横断するような対象物Nが存在する可能性は無くリスクは無い(リスクがゼロ)と算出する。車両制御部35は、例えば、リスクは無いと算出した場合、緩ブレーキ制御を実施しない。車両制御部35は、自車両Mの走行する道路にガードレールが有る場合、自車両Mの進行方向に対して横断するような対象物Nが存在する可能性は低いことから、リスクが低いと算出する。車両制御部35は、リスクが低いほど、緩ブレーキ制御のタイミングを遅く、減速度が小さくなるように設定してもよい。車両制御部35は、自車両Mの走行する道路にガードレールが無い場合、自車両Mの進行方向に対して横断するような対象物Nが存在する可能性があることから、通常のリスクとして算出する。この場合、車両制御部35は、例えば、第1の実施形態と同様に緩ブレーキ制御を実施する。
〈第3の実施形態に係る衝突回避支援装置の緩ブレーキ制御方法〉
以下、第3の実施形態に係る衝突回避支援装置30の緩ブレーキ制御方法について説明する。図10は、第1の実施形態に係る衝突回避支援装置1の緩ブレーキ制御方法を示すフローチャートである。図10に示すフローチャートは、例えば、自車両Mの走行中、予め設定された時間毎に繰り返し実行される。なお、衝突回避ブレーキ制御方法については、第1の実施形態と同様であるため説明を省略する。
図10に示すステップS401〜ステップS403は、図5に示すステップS101〜ステップS103と同じ処理であるため説明を省略する。
ステップS404において、衝突回避支援装置30のECU31は、周辺環境認識部34により自車両Mが自動車専用道路を走行中であるか否かを判定する。周辺環境認識部34は、GPS受信部32の位置情報及び地図データベース33の地図情報に基づいて、自車両Mが自動車専用道路を走行中であるか否かを判定する。ECU31は、自車両Mが自動車専用道路を走行中であると判定された場合(ステップS404:NO)、対象物Nが自車両Mの進行方向を横断する可能性は無いと仮定して、緩ブレーキ制御を行わずに今回の処理を終了する。その後、予め設定された時間の経過後に再びステップS401から繰り返す。ECU31は、自車両Mが自動車専用道路を走行中ではないと判定された場合(ステップS404:YES)、ステップS405に移行する。
ステップS405において、ECU31は、車両制御部35により緩ブレーキ制御の減速度及びタイミングの演算を行う。車両制御部35は、レーザレーダ3の対象物情報、車両センサ5の検出した自車両Mの情報、及び周辺環境認識部34の認識した周辺環境に基づいて、緩ブレーキ制御の減速度及びタイミングの演算を行う。ECU31は、緩ブレーキ制御の減速度及びタイミングを演算した場合、ステップS105に移行する。なお、緩ブレーキ制御の減速度及びタイミングのうち一方を固定として他方のみを演算してもよい。
ステップS406において、ECU31は、車両制御部35により緩ブレーキ制御を実行する。車両制御部35は、演算した減速度及びタイミングで緩ブレーキ制御を行うように、制御信号をブレーキアクチュエータ6に送信する。ECU31は、緩ブレーキ制御が完了した場合、対象物Nに対する今回の処理を終了する。
〈第3の実施形態に係る衝突回避支援装置の作用効果〉
以上説明した第3の実施形態に係る衝突回避支援装置30によれば、自車両Mの周辺環境も考慮して緩ブレーキ制御の実施の有無を判定するので、周辺環境の影響により緩ブレーキ制御が不要動作となることが避けられる。また、衝突回避支援装置30によれば、周辺環境も考慮して緩ブレーキ制御の減速度及びタイミングの演算を行うので、周辺環境に応じた適切な減速度及びタイミングで緩ブレーキ制御を行うことができる。
[参考形態]
次に、参考形態に係る衝突回避支援装置40について説明する。第1〜第3の実施形態と同様の構成には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
衝突回避支援装置40は、自車両Mに搭載され、自車両Mと対象物Nとの衝突を回避する。衝突回避支援装置40は、自車両Mと対象物Nとの衝突可能性があると判定した場合、自車両Mと対象物Nとの衝突を回避する衝突回避支援として衝突回避ブレーキ制御を行う。
また、衝突回避支援装置40は、衝突回避ブレーキ制御の前に、プリブレーキ制御を行う。プリブレーキ制御とは、衝突回避ブレーキ制御より減速度の小さいブレーキ制御である。衝突回避支援装置40では、対象物Nと自車両Mが接近した場合に、いきなり強い衝突回避ブレーキ制御を行うのではなく、予め減速度の小さいプリブレーキ制御を行って様子を見てから衝突可能性の判定を行うことで、衝突回避ブレーキ制御が不要動作となることを抑制する。
〈参考形態に係る衝突回避支援装置の構成〉
以下、参考形態に係る衝突回避支援装置40の構成について説明する。図11は、参考形態に係る衝突回避支援装置40の構成を示すブロック図である。図11に示すように、衝突回避支援装置40は、装置を統括的に制御するECU41を備えている。ECU41は、レーザレーダ3、カメラ4、車両センサ5、及びブレーキアクチュエータ6と接続されている。レーザレーダ3、カメラ4、車両センサ5、及びブレーキアクチュエータ6は、第1の実施形態と同様であるため説明を省略する。なお、衝突回避支援装置40は、レーザレーダ3及びカメラ4のうち少なくとも一方を備えていればよく、両方を備える必要はない。
ECU41は、対象物判定部42、衝突可能性判定部43、及び車両制御部44を有している。対象物判定部42は、例えば、レーザレーダ3の対象物情報及びカメラ4の撮像情報のうち少なくとも一方に基づいて、対象物Nの種別を認識する。ここで、図12は、自車両Mの進行方向を横断する対象物Nが存在する状況を示す平面図である。図12に示す対象物Nは、自車両Mの前方で自車両Mより右側に位置し、左側に向かって横断するように移動する自転車である。
対象物判定部42は、例えば、レーザレーダ3の対象物情報に含まれるレーザーの反射特性の情報に基づいて、対象物Nの種別を認識する。対象物判定部42は、例えば、対象物Nが自転車であるか否かを判定する。
また、対象物判定部42は、レーザレーダ3の対象物情報及びカメラ4の撮像情報のうち少なくとも一方に基づいて、対象物Nの横速度(自車両Mの車幅方向の相対速度のうち自車両Mに接近する方向の速度)を認識する。対象物判定部42は、対象物Nの横速度が横速度閾値以上であるか否かを判定する。横速度閾値は、自車両Mの進行方向を交差するように横断する対象物Nを判定するための任意の閾値である。
衝突可能性判定部43は、プリブレーキ制御に係る近接可能性の有無の判定と衝突回避ブレーキ制御に係る衝突可能性の有無の判定の両方を行う。衝突可能性判定部43は、例えば、対象物Nと自車両Mとの相対距離及び相対速度に基づいて対象物Nと自車両MとのTTCを算出する。衝突可能性判定部43は、例えば、TTCが近接可能性判定用のTTC閾値未満となった場合に、対象物Nと自車両Mとの近接可能性があると判定する。また、衝突可能性判定部43は、例えば、TTCが衝突可能性判定用のTTC閾値未満となった場合に、対象物Nと自車両Mとの衝突可能性があると判定する。TTCに代えて、THWやその他の指標を用いてもよい。
車両制御部44は、衝突可能性判定部43により対象物Nと自車両Mとの近接可能性があると判定された場合、プリブレーキ制御を行う。車両制御部44は、制御信号をブレーキアクチュエータ6に送信することにより、プリブレーキ制御を実施する。
また、車両制御部44は、衝突可能性判定部43により対象物Nと自車両Mとの衝突可能性があると判定された場合、対象物Nと自車両Mとの衝突を回避するための衝突回避ブレーキ制御を行う。車両制御部44は、ブレーキアクチュエータ6に制御信号を送信することにより、衝突回避ブレーキ制御を実施する。
〈参考形態に係る衝突回避支援装置のプリブレーキ制御方法〉
次に、参考形態に係る衝突回避支援装置40のプリブレーキ制御方法について説明する。図13は、参考形態に係る衝突回避支援装置40のプリブレーキ制御方法を示すフローチャートである。図13に示すフローチャートは、例えば、自車両Mの走行中、予め設定された時間毎に繰り返される。
図13に示すように、衝突回避支援装置40のECU41は、ステップS501として、対象物判定部42により対象物Nが自転車であるか、又は、対象物Nの横速度が横速度閾値以上であるか否かを判定する。ECU41は、対象物Nが自転車ではなく、且つ、対象物Nの横速度が横速度閾値以上ではないと判定された場合(ステップS501:NO)、今回の処理を終了する。その後、予め設定された時間の経過後に再びステップS501を繰り返す。ECU41は、対象物Nが自転車であると判定された場合、又は、対象物Nの横速度が横速度閾値以上であると判定された場合(ステップS501:YES)、ステップS502に移行する。
ステップS502において、ECU41は、衝突可能性判定部43により対象物Nと自車両Mとの近接可能性の有無を判定する。ECU41は、対象物Nと自車両Mとの近接可能性がないと判定された場合(S502:NO)、今回の処理を終了する。その後、予め設定された時間の経過後に再びステップS501から繰り返す。ECU2は、対象物Nと自車両Mとの近接可能性があると判定された場合(S502:YES)、ステップS503に移行する。
ステップS503において、ECU41は、車両制御部44によりプリブレーキ制御を実施する。車両制御部44は、制御信号をブレーキアクチュエータ6に送信することにより、プリブレーキ制御を実施する。ECU41は、プリブレーキ制御が完了した場合、対象物Nに対する今回の処理を終了する。
〈参考形態に係る衝突回避支援装置の衝突回避ブレーキ制御方法〉
次に、参考形態に係る衝突回避支援装置40の衝突回避ブレーキ制御方法について説明する。図14は、参考形態に係る衝突回避支援装置40の衝突回避ブレーキ制御方法を示すフローチャートである。図14に示すフローチャートは、例えば、自車両Mの走行中、予め設定された時間毎に繰り返される。
図14に示すように、衝突回避支援装置40のECU41は、ステップS601として、対象物判定部42により自車両Mの前方に対象物Nが存在するか否かを判定する。ECU41は、自車両Mの前方に対象物Nが存在しないと判定された場合(ステップS601:NO)、今回の処理を終了する。その後、予め設定された時間の経過後に再びステップS601を繰り返す。ECU41は、自車両Mの前方に対象物Nが存在すると判定された場合(ステップS601:YES)、ステップS602に移行する。
ステップS602において、ECU41は、衝突可能性判定部43により対象物Nと自車両Mとの衝突可能性の有無を判定する。ECU41は、対象物Nと自車両Mとの衝突可能性がないと判定された場合(S602:NO)、今回の処理を終了する。その後、予め設定された時間の経過後に再びステップS601から繰り返す。ECU2は、対象物Nと自車両Mとの衝突可能性があると判定された場合(S602:YES)、ステップS6503に移行する。
ステップS603において、ECU41は、車両制御部44により衝突回避ブレーキ制御を実施する。車両制御部44は、制御信号をブレーキアクチュエータ6に送信することにより、衝突回避ブレーキ制御を実施する。ECU41は、車両制御部15は、例えば、自車両Mが停止した場合、衝突回避ブレーキ制御を完了し、対象物Nに対する今回の処理を終了する。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。本発明は、上述した実施形態を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した様々な形態で実施することができる。また、上述した複数の実施形態及び参考形態の構成を組み合わせてもよい。