JP6348422B2 - プロピレン系重合体組成物およびこれを用いた射出成形体 - Google Patents
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Description
このように、成形外観、剛性−耐衝撃性のバランス、射出成形流動性、薄肉成形品における反りの発生を抑えたプロピレン系樹脂組成物の更なる改良が求められている。本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、剛性−耐衝撃性のバランスに優れ、成形加工性が良好で、薄肉成形体における反りの少ない、プロピレン系重合体組成物およびこれを用いた射出成形体を提供することにある。
[1]室温n−デカンに可溶な部分(Dsol)が0重量%以上80重量%以下、室温n−デカンに不溶な部分(Dinsol)が20重量%以上100重量%以下(ただし、DsolとDinsolの合計量は100重量%である)、
[2]Dinsolのゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって測定された分子量分布(Mw/Mn)が7.0以上30以下、かつMz/Mwが6.0以上25以下、
[3]Dinsolのペンタド分率(mmmm)が93%以上、
[4]Dinsolの示差走査熱量計で測定された融点(Tm)が140℃以上。
〔プロピレン系重合体組成物〕
プロピレン系重合体組成物は、所定要件を同時に満たすプロピレン系重合体と、核剤とを含む組成物であって、該核剤は、異方性を有する有機金属塩であり、プロピレン系重合体に対して150ppm以上3000ppm以下含む。核剤の濃度の下限値は好ましくは200ppm、より好ましくは400ppm、上限値は好ましくは2500ppm、より好ましくは2000ppmである。
[プロピレン系重合体]
プロピレン系重合体が同時に満たすべき要件[1]〜[4]について説明する。
本発明に係るプロピレン系重合体のデカン可溶部(Dsol)の極限粘度[η](dl/g)は、1.5〜10.0である。極限粘度[η](dl/g)は、耐衝撃性、高流動性、高溶融弾性のバランスを最適化させる観点から、好ましくは2.0〜7.0、さらに好ましくは2.5〜4.0である。極限粘度[η](dl/g)が、1.5dl/gよりも低下すると、プロピレン系ブ重合体の耐衝撃性が、低下するおそれがあるため、好ましくない。また、極限粘度[η](dl/g)が10dl/gよりも高いと、流動性の低下や、フィッシュアイが発生しやすくなるため、大型射出成形品やフィルムへの適用が難しくなる場合がある。
要件[7]:
本発明に係るプロピレン系重合体のデカン不溶部(Dinsol)のMz/Mn値は、70〜300である。Mz/Mn値は、好ましくは80〜250であり、より好ましくは100〜200である。Mz/Mn値が高いポリプロピレンでは、分子量の高い成分の含有比率が高いことを表しており、溶融張力が高く、成形性や剛性に優れる可能性が高いことが予想される。
(オレフィン重合用触媒)
本発明に係るプロピレン系重合体は、固体状チタン触媒成分(I)と、周期表の第1族、第2族および第13族から選ばれる金属原子を含む有機金属化合物(II)と、必要に応じて電子供与体(III)とを含むオレフィン重合用触媒の存在下、重合して得られたものであることが好ましい。
固体状チタン触媒成分(I)
本発明に係る前記固体状チタン触媒成分(I)は、チタン、マグネシウム、ハロゲンおよび下記式(1)で特定される環状エステル化合物(a)と下記式(2)で特定される環状エステル化合物(b)を含む。
(環状エステル化合物(a))
環状エステル化合物(a)は、複数のカルボン酸エステル基を有し、下記式(1)で表される。
環状エステル化合物(a)としては、下記式(1−1)〜(1−6)で表される化合物が好ましい。
環状エステル化合物(a)としては、特に、下記式(1a)で表わされる化合物が好ましい。
上記式(1a)で表わされる化合物として具体的には、3,6−ジメチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸ジイソブチル、3,6−ジメチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸ジn−ヘキシル、3,6−ジメチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸ジn−オクチル、3−メチル−6−エチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸ジイソブチル、3−メチル−6−エチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸ジn−ヘキシル、3−メチル−6−エチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸ジn−オクチル、3−メチル−6−n−プロピルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸ジイソブチル、3−メチル−6−n−プロピルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸ジn−ヘキシル、3−メチル−6−n−プロピルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸ジn−オクチル、3,6−ジエチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸ジイソブチル、3,6−ジエチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸ジn−ヘキシル、3,6−ジエチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸ジn−オクチルが好ましい例示として挙げられる。これらの化合物はDielsAlder反応を利用して製造できる。
(環状エステル化合物(b))
環状エステル化合物(b)は、複数のカルボン酸エステル基を有し、下記式(2)で表される。
(マグネシウム化合物)
固体状チタン触媒成分(I)の調製に用いられるマグネシウム化合物として具体的には、ハロゲンを含有するマグネシウム化合物が好ましく、ハロゲン化マグネシウム、特に塩化マグネシウムが好ましく用いられる。
(チタン化合物)
固体状チタン触媒成分(I)の調製に用いられるチタン化合物としては、例えば一般式;
(芳香族カルボン酸エステルおよび/または複数の炭素原子を介して2個以上のエーテル結合を有する化合物)
固体状チタン触媒成分(I)は、さらに、芳香族カルボン酸エステルおよび/または複数の炭素原子を介して2個以上のエーテル結合を有する化合物(以下、「触媒成分(d)」ともいう。)を含んでいてもよい。固体状チタン触媒成分(I)が触媒成分(d)を含んでいると触媒活性を向上させたり、立体規則性を高めたり、分子量分布をより広げることができる場合がある。
有機金属化合物触媒成分(II)
有機金属化合物触媒成分(II)としては、周期表の第1族、第2族および第13族から選ばれる金属原子を含む有機金属化合物が挙げられる。具体的には、第13族金属を含む化合物、例えば、有機アルミニウム化合物、第1族金属とアルミニウムとの錯アルキル化物、第2族金属の有機金属化合物などを用いることができる。これらの中でも有機アルミニウム化合物が好ましい。有機金属化合物触媒成分(II)として具体的には、前記EP585869A1等の公知の文献に記載された有機金属化合物触媒成分を好ましい例として挙げることができる。
電子供与体(III)
オレフィン重合用触媒は、上記の有機金属化合物触媒成分(II)と共に、必要に応じて電子供与体(III)を含んでいてもよい。電子供与体(III)として好ましくは、有機ケイ素化合物が挙げられる。この有機ケイ素化合物としては、ビニルトリエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシランが好ましく用いられる。
(プロピレン系重合体の製造方法)
本発明に係るプロピレン系重合体は、要件[1]〜[4]を同時に満たす限り製造方法が限定されるものではない。
方法A
次の二つの重合工程(重合工程1および重合工程2)を連続的に実施することによって、要件[1]〜要件[3]、および好ましくは要件[4]および/または[5]を満たすプロピレン系ブロック共重合体を製造する方法(以下、この方法を「直重法」と呼び、この方法によって得られるプロピレン系ブロック共重合体を、「プロピレン系ブロック共重合体(A)」と呼ぶ場合がある)。
プロピレン、必要に応じてエチレンおよび炭素原子数4〜20のα−オレフィンから選ばれる一種以上のオレフィンを固体状チタン触媒成分の存在下で(共)重合体を製造する工程(結晶性プロピレン系(共)重合体製造工程)である。
プロピレン並びに、エチレンおよび炭素原子数4〜20のα−オレフィンから選ばれる一種以上のオレフィンを固体状チタン触媒成分の存在下で共重合体を製造する工程(共重合体ゴム製造工程)である。
方法Aの重合工程1で生成する(共)重合体と、前記方法Aの重合工程2で生成する共重合体を、固体状チタン触媒成分の存在下で個別に製造した後に、これらを物理的手段によりブレンドする方法(以下、この方法を「ブレンド法」と呼び、この方法によって得られるプロピレン系ブロック共重合体を、「プロピレン系共重合体(B)」と呼ぶ場合がある)。
核剤は、異方性を有する有機金属塩核剤である。異方性を有するとは、その核剤を使用した場合、使用しなかった場合と比較してTD方向(成形加工時の樹脂の流動方向と直角方向)の収縮率が大きいことを意味する。
[1]室温n−デカンに可溶な部分(Dsol)が0重量%以上80重量%以下、室温n−デカンに不溶な部分(Dinsol)が20重量%以上100重量%以下(ただし、DsolとDinsolの合計量は100重量%である)
[2]Dinsolのゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって測定された分子量分布(Mw/Mn)が7.0以上30以下、かつMz/Mwが6.0以上25以下
[3]Dinsolのペンタド分率(mmmm)が93%以上
[4]Dinsolの示差走査熱量計で測定された融点(Tm)が140℃以上
そして、前記核剤は有機リン酸塩であることを特徴としている。なかでも、「アデカスタブNA−11」「アデカスタブNA−21」「アデカスタブNA−25」(いずれも株式会社アデカ製)が望ましい。
、2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)リン酸リチウム塩、2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)リン酸アルミニウム塩、2,2’−メチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)リン酸カルシウム塩、2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)リン酸ナトリウム塩、2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)リン酸塩リチウム、2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)リン酸アルミニウム塩、ビス−(4−t−ブチルフェニル)リン酸カルシウム塩等が挙げられる。これらは、市販されているものを用いてもよい。例えば、ADEKA社から販売されている「アデカスタブNA−11」、「アデカスタブNA−21」、「アデカスタブNA−25」等が挙げられる。
[プロピレン樹脂組成物に含まれる安定剤、その他の成分]
本発明に係るプロピレン樹脂組成物は、以下に示す各種添加剤、好ましくは無機充填剤及び/又はエラストマーを含むことができる。
本発明に係る射出成形体は、上述したプロピレン重合体組成物を用いて製造される。該プロピレン重合体組成物に含まれるプロピレン系重合体は、上述の要件[1]〜[4]を同時に満たすことから、剛性−耐衝撃性バランスがよく、さらには、広分子量分布であることに起因し、溶融流動性が高く、高分子量の重合体を多く含んでおり、それに基づき高分子量重合体が結晶核剤としての効果を発現することにより、結晶化速度が速くなるとの特徴がある。このような特徴から、剛性−耐衝撃性のバランスに優れ、成形時の金型への流動性が高く、さらには結晶化速度が速いことから成形サイクルが短縮できるという特徴を有する。さらに、前述の通り特定の核剤を含むことによって、薄肉射出成形体におけるそり変形が抑制され、成形外観が良好である。
特に、薄肉の射出成形体においてそり変形抑制の効果が高いことから、食品容器、医療容器等における薄肉容器に特に好適に使用できる。本発明において、薄肉の射出成形体とは、厚さ3mm未満の成形体を指す。好ましくは0.3mm以上2.0mm以下においてそり変形抑制効果が高い。
(1)室温n−デカン可溶(不溶)成分量(〔wt%〕)
ガラス製の測定容器にプロピレン系ブロック共重合体約3g(10-4gの単位まで測定した。また、この重量を、下式においてb(g)と表した。)、デカン500ml、およびデカンに可溶な耐熱安定剤を少量装入し、窒素雰囲気下、スターラーで攪拌しながら2時間で150℃に昇温してプロピレン系ブロック共重合体を溶解させ、150℃で2時間保持した後、8時間かけて23℃まで徐冷した。得られたプロピレン系ブロック共重合体の析出物を含む液を、磐田ガラス社製25G−4規格のグラスフィルターで減圧ろ過した。ろ液の100mlを採取し、これを減圧乾燥してデカン可溶成分の一部を得、この重量を10-4gの単位まで測定した(この重量を、下式においてa(g)と表した)。この操作の後、デカン可溶成分量を下記式によって決定した。
室温n−デカン不溶成分(Dinsol)含有率=100−100×(500×a)/(100×b)
(2)分子量分布
液体クロマトグラフ: Waters製AllianceGPC2000型(示差屈折計検出器一体型)を用いた。
流速:1.0ml/分
測定温度:140℃
検量線の作成方法:標準ポリスチレンサンプルを使用した。
サンプル溶液量:500μl
の条件で測定し、得られたクロマトグラムを公知の方法によって解析することでMw/Mn値を算出した。1サンプル当たりの測定時間は60分であった。
重合体の立体規則性の指標の1つであり、そのミクロタクティシティーを調べた。ペンタド分率(mmmm,%)は、プロピレン重合体においてMacromolecules8,687(1975)に基づいて帰属した13C−NMRスペクトルのピーク強度比より算出した。13C−NMRスペクトルは、日本電子製EX−400の装置を用い、TMSを基準とし、温度130℃、o−ジクロロベンゼン溶媒を用いて測定した。
パーキンエルマー社製DiamondDSCを用いた。
サンプル重量:5mmg
材質がアルミニウムで底が平坦なサンプルパンを用い、サンプルは0.5mm厚みのプレスシートを用い、サンプルパンの中でサンプルが重ならないようにした。230℃に昇温後(昇温速度500℃/min)、10分間その温度を保持し、降温速度10℃/minで30℃まで冷却した後、1分間30℃で保持した。その後、昇温速度10℃/minで230℃まで昇温し、もっとも融解ピーク高さが高いピークのピーク温度を融点とした。
Dsol中のエチレンに由来する骨格濃度を測定するために、サンプル20〜30mgを1,2,4−トリクロロベンゼン/重ベンゼン(2:1)溶液0.6mlに溶解後、炭素核磁気共鳴分析(13C−NMR)を行った。プロピレン、エチレンの定量はダイアッド連鎖分布より求めた。
プロピレン−エチレン共重合体の場合、PP=Sαα、EP=Sαγ+Sαβ、EE=1/2(Sβδ+Sδδ)+1/4Sγδを用い、以下の計算式により求めた。
エチレン(mol%)=(1/2EP+EE)×100/[(PP+1/2EP)+(1/2EP+EE)
なお、本実施例におけるDsolのエチレン量単位は、重量%に換算して標記した。また、Dsolにおいて、CSDは、下式(i)に従って算出した。
ASTMD1238Eに準拠し、2.16kg荷重で測定した。測定温度は230℃とした。
(7)引張弾性率
型締め力80トンの電動射出成形機(東洋機械金属社製Si−80III)を用いて、シリンダー温度200℃、金型温度40℃の条件で、引張弾性率用試験片ISOテストピース型(タイプA型)を射出成形し、引張弾性率測定用の試験片を得た。
引張弾性率は、ISO527−2に定められた引張弾性率試験法に従って測定した。なお、引張測定温度は23℃、0℃、試験速度は1mm/minとした。
(JIS小型試験片)
シャルピー衝撃試験(〔kJ/m2〕)は、JISK7111に従って、下記の試験条件で測定した。
温度:23℃、0℃
試験片:10mm(幅)×4mm(厚さ)×80mm(長さ)
ノッチ:機械加工
厚さ1mm、幅10mmのスパイラル上の流路を持つ樹脂流動長測定用金型を用いた。下記のスパイラルフロー測定射出成形条件で測定した。
射出成形機:ファナック社製オートショットTシリーズモデル100D
シリンダー温度:230℃
金型温度:40℃
射出時間:5秒(保圧設定無し)
そり変形を測定する方法は、型締め力100トンの電動射出成形機(ファナック社製オートショットTシリーズモデル100D)を用いて、シリンダー温度210℃、金型温度20℃、射出スピード20mm/sec、射出時間3.5sec、冷却時間3sec条件で、センターゲートの円盤、直径250mm、厚さ2mmの円盤試験片を作成した。
射出成形機として、ファナック社製オートショットTシリーズモデル100Dを使用した。肉厚3mm、底部直径75mm、上部直径80mm、高さ80mmの広口カップ金型を用い、成形温度230℃、金型温度50℃、冷却時間20秒の条件で成形を開始し、冷却時間を短縮していき、金型から成形品を突き出す際に、成形品の変形が発生する冷却時間を測定した。
[製造例1]
(固体状チタン触媒成分の調製)
内容積2リットルの高速撹拌装置(特殊機化工業製(TKホモミクサーM型))を充分窒素置換した後、この装置に精製デカン700ml、市販塩化マグネシウム10g、エタノール24.2gおよび商品名レオドールSP−S20(花王(株)製ソルビタンジステアレート)3gを入れ、この懸濁液を撹拌しながら系を昇温し、懸濁液を120℃にて800rpmで30分撹拌した。次いでこの懸濁液を、沈殿物が生じないように高速撹拌しながら、内径5mmのテフロン(登録商標)製チューブを用いて、予め−10℃に冷却された精製デカン1リットルを張り込んである2リットルのガラスフラスコ(攪拌機付)に移した。移液により生成した固体を濾過し、精製n−ヘプタンで充分洗浄することにより、塩化マグネシウム1モルに対してエタノールが2.8モル配位した固体状付加物を得た。この固体状付加物をデカンで懸濁状にして、マグネシウム原子に換算して23ミリモルの上記固体状付加物を、−20℃に保持した四塩化チタン100ml中に、攪拌下、導入して混合液を得た。この混合液を5時間かけて80℃に昇温し、80℃に達したところで、3,6−ジメチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸ジイソブチル(シス体、トランス体混合物)を、固体状付加物のマグネシウム原子1モルに対して0.0875モルの割合の量で添加し、40分間で110℃まで昇温した。110℃に到達したところで更にシクロヘキサン1,2−ジカルボン酸ジイソブチル(シス体、トランス体混合物)を固体状付加物のマグネシウム原子1モルに対して0.06モルの割合の量で添加し、温度を110℃で90分間攪拌しながら保持することによりこれらを反応させた。
次に、窒素で置換した内容積200ミリリットルの攪拌機付きの三つ口フラスコに、脱水したヘキサンを加え、トリエチルアルミニウム0.75ミリモル、さらに上記の固体状チタン触媒成分(α2)の懸濁液をチタン原子換算で0.25ミリモル投入、全量を50ミリリットルとした。これを攪拌下、20℃を維持して60分間プロピレンを所定量吸収させた。その後、残留プロピレンを窒素で置換して、ヘキサンを用いて充分洗浄を行い、予備重合触媒成分を得た。
内容積17リットルのオートクレーブにプロピレン3キログラム、水素270リットルを装入し、60℃に昇温した後、トリエチルアルミニウムを15ミリモル、シクロヘキシルメチルジメトキシシランを5ミリモル、および前記予備重合触媒成分をチタン原子換算で0.05ミリモル装入した。次いで70℃に昇温した後、これを30分保持してプロピレンのホモ重合を行い、終了後に未反応のプロピレンなどのガスをパージするため、ベントバルブを開け、常圧まで脱圧した。
製造例1で得たプロピレン系重合体(A−1)100重量部に対して、耐熱安定剤IRGANOX1010(商標、チバジャパン(株))0.1重量部、耐熱安定剤IRGAFOS168(商標、チバジャパン(株))0.1重量部、耐熱安定剤IRGANOX1076(商標、チバジャパン(株))0.1重量部、ステアリン酸カルシウム0.1重量部、結晶性核剤アデカスタブNA−11(商標、ADEKA)0.1重量部をタンブラーにて混合後、二軸押出機にて溶融混合してペレット状のプロピレン系重合体組成物を得た。得られたプロピレン系重合体組成物の評価結果を表2に示す。
結晶性核剤を0.05重量部にした以外は実施例1と同様に試験、評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例1]
結晶性核剤を使用しない以外は実施例1と同様に試験、評価を行った。結果を表2に示す。
[比較例2]
プロピレン系重合体として、プライムポリマー社製、J709QG(表1参照)を使用した以外は実施例1と同様に試験、評価を行った。結果を表2に示す。
Claims (3)
- 下記の要件[1]〜[4]を同時に満たすプロピレン系重合体と、異方性を有する有機金属塩である核剤とを含むプロピレン系重合体組成物であって、前記核剤が、成形体のTD方向の収縮率を大きくできるという異方性を有し、かつ有機リン酸塩からなり、前記プロピレン系重合体に対して150ppm以上2500ppm以下で含む組成物を含んでなり、厚さが0.3mm以上2.0mm以下の薄肉成形体を射出成形しうるプロピレン系重合体組成物;
[1]室温n−デカンに可溶な部分(Dsol)が10重量%以上80重量%以下、室温n−デカンに不溶な部分(Dinsol)が20重量%以上90重量%以下(ただし、DsolとDinsolの合計量は100重量%である)、
[2]Dinsolのゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって測定された分子量分布(Mw/Mn)が7.0以上30以下、かつMz/Mwが6.0以上25以下、
[3]Dinsolのペンタド分率(mmmm)が93%以上、
[4]Dinsolの示差走査熱量計で測定された融点(Tm)が140℃以上。 - 前記プロピレン系重合体のメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が、30g/10分以上であることを特徴とする、請求項1に記載のプロピレン系重合体組成物。
- 下記の要件[1]〜[4]を同時に満たすプロピレン系重合体と、異方性を有する有機金属塩である核剤とを含むプロピレン系重合体組成物であって、前記核剤が、成形体のTD方向の収縮率を大きくできるという異方性を有し、かつ有機リン酸塩からなり、前記プロピレン系重合体に対して150ppm以上2500ppm以下で含む組成物を含んでなり、厚さが0.3mm以上2.0mm以下の薄肉成形体であることを特徴とする、射出成形体;
[1]室温n−デカンに可溶な部分(Dsol)が10重量%以上80重量%以下、室温n−デカンに不溶な部分(Dinsol)が20重量%以上90重量%以下(ただし、DsolとDinsolの合計量は100重量%である)、
[2]Dinsolのゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって測定された分子量分布(Mw/Mn)が7.0以上30以下、かつMz/Mwが6.0以上25以下、
[3]Dinsolのペンタド分率(mmmm)が93%以上、
[4]Dinsolの示差走査熱量計で測定された融点(Tm)が140℃以上。
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