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JP6333454B1 - 撥水・撥油性コーティングの形成方法及び撥水・撥油性コーティング - Google Patents

撥水・撥油性コーティングの形成方法及び撥水・撥油性コーティング Download PDF

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JP6333454B1 JP2017157796A JP2017157796A JP6333454B1 JP 6333454 B1 JP6333454 B1 JP 6333454B1 JP 2017157796 A JP2017157796 A JP 2017157796A JP 2017157796 A JP2017157796 A JP 2017157796A JP 6333454 B1 JP6333454 B1 JP 6333454B1
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Abstract

【課題】上塗りコーティングと下塗りコーティングとの間の密着性が良好で、撥水・撥油性も良好であり、しかも耐摩耗性及び耐薬品性を有し、耐摩耗性試験後においても良好な撥水性を有する撥水・撥油性コーティングの形成方法を提供すること。
【解決手段】本発明の一態様の撥水・撥油性コーティングの形成方法は、(1)基材の表面に、真球状の架橋アクリル粒子及び架橋ウレタン粒子から選択される少なくとも1種の架橋粒子を含むポリウレタン塗料を塗布して下塗りコーティングを形成する工程、(2)前記下塗りコーティングが未乾燥の状態で、アルコール/ケトン系混合溶媒中に長鎖フルオロアルキルシラン及び表面無処理の親水性ゲルタイプシリカ粉末を分散したものからなる上塗り塗料を塗布して乾燥することにより上塗りコーティングを形成する工程を備える。
【選択図】なし

Description

本発明は、撥水・撥油性コーティングの形成方法及びこの形成方法によって形成された撥水・撥油性コーティングに関する。
一般に撥水・撥油性の表面を得るためには、その表面張力を水及び油の表面張力よりも低くすることが必要となる。従来、撥水・撥油性コーティングを得るためには、下記特許文献1に開示されているように、フッ素あるいはシリコンなどの低表面張力を発現できる物質を基材の表面に塗布することにより行われている。しかしこの方法では、撥水・撥油性の指標である水に対する接触角が100°程度となり、十分満足できる性能を得ることができない。
更に良好な撥水・撥油性を得るためには、低表面張力化に加えて、表面凹凸化により表面積を増加させることが重要である。このような観点から、下記特許文献2には、プラスチックフィルム上に酸化シリコン膜を形成させた後、プラズマ放電でエッチングを行うことで微小な凹凸を形成させ、次いでシロキサン結合を介してフッ素を含む化学吸着単分子膜を形成させる方法が開示されている。しかしながら、下記特許文献2に開示されている方法では、プラズマ放電でエッチングを行うため、表面が尖った形状になって強度が弱く、耐久性が低いものであり、コーティング形成方法も煩雑であった。
これらの従来技術の欠点を改良する方法として、例えば、下記特許文献3〜5に開示されているように、ナノシリカなどのナノ金属酸化物の表面をフッ素基含有シランやポリフルオロアルキルメタクリレートなどでコーティングして撥水・撥油性のフッ素基含有シリカナノコンポジット粒子を得る技術も知られている。
特開2005−255720号公報 特開平6−116430号公報 特許第4384898号公報 特許第5242841号公報 特許第5299627号公報
しかしながら、上記特許文献3〜5に開示の技術は、高価なアルコキシシランや特殊なオルガノゾルなどを用いた加水分解反応及び重縮合反応工程や精製工程が必要であり、複雑で長時間を要し、経済的に問題があった。また撥水・撥油性のコーティング膜は、3μm以下の薄膜であることが必要であり、これよりも厚膜になるとクラック発生や密着性の低下が見られるため、薄膜の厚さ管理のためにスピンコーティングのような特殊な塗装法を必要としていた。更に塗装膜の硬化には、100℃〜300℃の焼成が必要であるため施工性に難点があり、汎用展開が難しかった。
本発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものであり、広範囲の基材や用途に適用でき、また容易にコーティング処理ができ、しかも、焼成工程を必要としないために施工性や経済性に優れ、さらに耐久性に優れた撥水・撥油性コーティングの形成方法及びこの形成方法によって形成された撥水・撥油性コーティングを提供することを目的とする。
本発明の第1の態様の撥水・撥油性コーティングの形成方法は、以下の(1)及び(2)の工程を備えることを特徴とする。
(1)基材の表面に、真球状の架橋アクリル粒子及び架橋ウレタン粒子から選択される少なくとも1種の架橋粒子を含むポリウレタン塗料を塗布して下塗りコーティングを形成する工程、
(2)前記下塗りコーティングが未乾燥の状態で、アルコール/ケトン系混合溶媒中に長鎖フルオロアルキルシラン及び表面無処理の親水性ゲルタイプシリカ粉末を分散したものからなる上塗り塗料を塗布して乾燥することにより上塗りコーティングを形成する工程。
本発明の第1の態様の撥水・撥油性コーティングの形成方法では、下塗り塗料としてポリウレタン塗料を用いている。ポリウレタン塗料は、基材との付着性が良好で、価格、耐久性及び機能性などのバランスがよく、また、架橋アクリル粒子や架橋ウレタン粒子等の架橋粒子との親和性に優れ、しかも、常温硬化が可能で、速乾性であるため、施工性に優れている。さらに、このポリウレタン塗料は、上塗り塗料に含まれるゲルタイプシリカとの親和性も高いので、下塗りコーティングと上塗りコーティングとの密着性が良好となる。なお、下塗り塗料の溶剤としては、一般的なポリウレタン塗料で使用されているものと同様の有機溶剤を使用でき、得られる下塗りコーティングは疎水性となる。
なお、本発明の第1の態様の撥水・撥油性コーティングの形成方法では、ポリウレタン塗料中に真球状の架橋アクリル粒子及び架橋ウレタン粒子から選択される少なくとも1種の架橋粒子を含むものを用いている。真球状の高分子粒子は、懸濁重合法や分散重合またシード重合法などにより調製されるが、非架橋タイプのアクリル粒子及びウレタン粒子は熱可塑性であり、耐溶剤性や耐薬品性に劣り、塗料化した際にゲル化したり、硬い凝集沈殿を発生するために塗料の保存安定性に欠ける。それに対し、架橋アクリル粒子及び架橋ウレタン粒子は、原料モノマーに触媒や架橋剤などを加え重合させることにより得られ、耐薬品性や耐摩耗性など、化学的性能や物理的性能に優れているので、得られる下塗りコーティングは耐溶剤性や耐薬品性に優れ、また、下塗り塗料の保存安定性も良好となる。
なお、高分子粒子として重合体を機械的粉砕などすることにより得られる不定形粒子を用いると、コーティングの厚さの均一性に劣り、コーティングとして所定の性能が得られない。また、基材としては、ガラス、プラスチック、金属、セラミックス、コンクリート、モルタル等、硬質で実質的に平坦な表面を有するものであれば適宜に適用可能である。
また、本発明の第1の態様の撥水・撥油性コーティングの形成方法では、上塗りコーティングの形成工程において、アルコール/ケトン系混合溶媒中に長鎖フルオロアルキルシラン及び表面無処理の親水性ゲルタイプシリカ粉末を分散した上塗り塗料を用いている。この上塗り塗料中には、樹脂成分は含まれておらず、長鎖フルオロアルキルシラン及び表面無処理の親水性ゲルタイプシリカ粉末によって上塗りコーティングを形成している。このような上塗り塗料を用いると、アルコール/ケトン系混合溶媒が未乾燥状態の下塗り塗料の表面を穏やかに浸食するため、下塗り塗料の表面が見かけ上粗い状態となり、下塗りコーティングと上塗りコーティングとの間の接着強度が向上する。
しかも、表面無処理の親水性ゲルタイプシリカ粉末は、ケイ酸ナトリウム水溶液を急激に酸性にして合成されたシリカ粉末であり、高いBET比表面積(例えば、200〜350m/g)を有しており、非常に多孔性(例えば、細孔容積が1.5ml/g以上、平均細孔直径が180Å以上)で、吸着性に富んでいる。これにより、表面無処理の親水性ゲルタイプシリカ粉末の表面に長鎖フルオロアルキルシランが化学結合し、表面粗さが大きな疎水性の未乾燥状態の下塗りコーティングの表面に表面無処理の親水性ゲルタイプシリカ粉末が固着し、この表面無処理の親水性ゲルタイプシリカ粉末の表面に化学結合している長鎖フルオロアルキルシランのフッ素部分が上塗りコーティングの表面に配向し、ハスの葉のような撥水・撥油性が発現するようになる。なお、表面処理シリカ粉末としては、表面無処理の親水性シリカ粉末をメチルシラン等で処理することにより疎水性としたもの及び各種界面活性剤や無機塩類等で処理することにより表面をさらに親水性としたものがあるが、これらの表面処理シリカ粉末を用いると撥油性が劣るようになる。
また、アルコール/ケトン系混合溶媒は、速乾性溶媒が好ましい。そのため、アルコールはメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどが好ましく、ケトンはアセトンやメチルエチルケトンなどが好ましい。アルコール/ケトン系混合溶媒のそれぞれの混合比率は、アルコール:ケトン=1:1〜3が好ましい。
また、長鎖フルオロアルキルシランは、撥水・撥油剤として公知のものであるが、有効に上塗りコーティング中に配向させないいと効果が低くなる。しかも、上塗り塗料中に樹脂成分が含まれていると上塗りコーティング中の長鎖フルオロシランの配向性が不十分となって撥水・撥油性能が低下するが、本発明の第1の態様の撥水・撥油性コーティングの形成方法では上塗り塗料中に樹脂成分が含まれていないので、上塗りコーティング中の長鎖フルオロシランの配向性が良好となり、撥水・撥油性が良好な表面が得られるようになる。
なお、長鎖フルオロアルキルシランとしては、炭素数10以上の直鎖アルカンを含むものを使用することができ、例えば、トリクロロ(トリデカフルオロオクチル)シラン、トリエトキシ(トリデカフルオロオクチル)シラン、トリメトキシ(ヘプタデカフルオロデシル)シラン、トリイソプロピル(ヘプタデカフルオロデシル)シラン等を使用することができる。
また、本発明の第2の態様の撥水・撥油性コーティングの形成方法は、第1の態様の撥水・撥油性コーティングの形成方法において、前記ポリウレタン塗料として、前記架橋粒子の平均粒径が6〜90μmのものを用いることを特徴とする。
下塗り塗料中の架橋アクリル粒子及び架橋ウレタン粒子の平均粒径が6μm未満又は90μmを越えると、いずれの場合も耐摩耗性や耐薬品性能が低下し、特に耐摩耗性試験後の撥水性低下が大きくなってしまう。本発明の第2の態様の撥水・撥油性コーティングの形成方法では、前記架橋粒子の平均粒径は6〜90μmとされているので、良好な耐摩耗性及び耐薬品性を有し、しかも耐摩耗性試験後にも良好な撥水性を有する撥水・撥油性コーティングが得られる。
また、本発明の第3の態様の撥水・撥油性コーティングの形成方法は、第1又は第2の態様の撥水・撥油性コーティングの形成方法において、前記ポリウレタン塗料として、前記架橋粒子の添加量が前記ポリウレタン塗料の樹脂固形分に対して10〜100質量部のものを用いることを特徴とする。
架橋粒子の添加量がポリウレタン塗料中の樹脂固形分に対して10質量部未満であると実質的に架橋粒子添加の効果が奏されず、同じく100質量部を越えると相対的に樹脂固形分の添加量が少なくなりすぎてコーティング表面が粗くなりすぎる。本発明の第3の態様の撥水・撥油性コーティングの形成方法によれば、ポリウレタン塗料中の架橋粒子の添加量が適切な範囲に維持されているので、上記各態様の効果が良好に奏されるようになる。
また、本発明の第4の態様の撥水・撥油性コーティングの形成方法は、第1〜第3のいずれかの態様の撥水・撥油性コーティングの形成方法において、前記上塗り塗料として、前記表面無処理の親水性ゲルタイプシリカ粉末の平均粒径が1.0〜5.0μmのものを用いることを特徴とする。
上塗り塗料によって高度の撥水性表面を実現するためには、表面の化学的組成に加え、そのモルホロジーが重要である。すなわち、上塗りコーティングが表面粗さの大きな下塗りコーティングの表面(凹凸表面)により強く固着して、かつ、表面積をできるだけ小さく保持できる粒子径範囲が最適の粒子径範囲と考えられる。
複合表面の接触角に関しては、Cassieの式が提案されている。
cosθ=Mcosθ+Ncosθ (1)
ここで、θは複合面の接触角、θ,θは物質a,b各面での接触角、M,Nはそれぞれの物質a,bが表面に存在する割合(M+N=1)を意味する。
(1)式において、物質aを撥水性固体、物質bを空気と仮定すると、
θ=180°(cosθ=−1)
となり、(1)式は
cosθ=M(1+cosθ)−1
と表現できる。従って、M→0、つまり撥水表面の表面積を小さくできればcosθ→−1となり、完全撥水表面に近づき、蓮の葉の表面のように水滴を点で支えるような表面構造が実現できると考えられる。
上塗り塗料中の表面無処理の親水性ゲルタイプシリカ粉末の平均粒径が1.0μm未満であると、長鎖フルオロアルキルシランの吸着量が少ないため、シリカ粉末が下塗りコーティングの表面に固着しても長鎖フルオロアルキルシランのフッ素部分が上塗りコーティングの表面側へ十分に配向しないために、撥水表面の表面積が大きくなって良好な撥油性が得られなくなる。同じく平均粒径が5.0μmを越えると、長鎖フルオロアルキルシランがシリカ粒子の周囲に均等に吸着されるため、長鎖フルオロアルキルシランのフッ素部分の上塗りコーティングの表面側への配向性が十分とならず、同じく撥水表面の表面積が大きくなって良好な撥油性が得られなくなる。
また、本発明の第5の態様の撥水・撥油性コーティングの形成方法は、第1〜第4のいずれかの態様の撥水・撥油性コーティングの形成方法において、前記上塗り塗料として、前記長鎖フルオロアルキルシランの含有量が0.5〜5.0質量%であり、前記表面無処理の親水性ゲルタイプシリカ粉末の含有量が1.0〜10.0質量%のものを用いることを特徴とする。
本発明の撥水・撥油性コーティングの形成方法では、上塗り塗料中には樹脂成分は含まれておらず、長鎖フルオロアルキルシランと表面無処理の親水性ゲルタイプシリカ粉末とにより上塗りコーティングを形成している。そして、上塗り塗料中の長鎖フルオロアルキルシラン及び表面無処理の親水性ゲルタイプシリカ粉末の添加量が上述した範囲内であると、特に上塗りコーティング中の長鎖フルオロアルキルシランの配向性が良好となり、撥水・撥油性に優れたコーティングが得られるようになる。
さらに、本発明の第6の態様の撥水・撥油性コーティングは、基材の表面に形成された下塗りコーティングと、前記下塗りコーティングの表面に形成された上塗りコーティングと、を有する撥水・撥油性コーティングであって、
前記下塗りコーティングは、真球状の架橋アクリル粒子及び架橋ウレタン粒子から選択される少なくとも1種の架橋粒子を含むポリウレタンコーティングからなり、
前記上塗りコーティングは、
長鎖フルオロアルキルシランが表面無処理の親水性ゲルタイプシリカ粉末に化学的に結合しており、
前記親水性ゲルタイプシリカ粉末が前記下塗りコーティングの表面側に固着しており、
前記上塗りコーティングの表面側に前記長鎖フルオロアルキルシランが配向されているものからなることを特徴とする。
第6の態様の撥水・撥油性コーティングによれば、第1〜第5のいずれかの態様の撥水・撥油性コーティングの形成方法において示したとおりの優れた効果を奏する撥水・撥油性コーティングとなる。
以上述べたように、本発明の撥水・撥油性コーティングの形成方法及び撥水・撥油性コーティングによれば、容易にコーティング処理ができ、また、焼成を必要としないために施工性や経済性に優れており、さらに、上塗りコーティングと下塗りコーティングとの間の密着性が良好で、撥水・撥油性も良好であり、しかも耐摩耗性及び耐薬品性を有し、耐摩耗性試験後においても良好な撥水性を有する撥水・撥油性コーティングが得られるようになる。
以下、本発明に係る撥水・撥油性コーティングの形成方法及びこの形成方法によって形成された撥水・撥油性コーティングについて、各種実験例を用いて詳細に説明する。ただし、以下に示す各種実験例は、本発明の技術思想を具体化するための例を示すものであって、本発明をこれらの実験例に示したものに特定することを意図するものではない。本発明は特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものにも等しく適用し得るものである。
[実験例1]
(i)下塗り塗料主材の調製
アクリルポリオールとしてアクリディックBL616(商品名、樹脂固形分49〜51%、水酸基価17〜23、DIC(株))75質量部に酢酸ブチル10質量部、沈降防止剤としてフローノンSP−1000(商品名、共栄社化学(株))5質量部及び架橋アクリル粒子としてアートパールSE−050T(商品名、平均粒径46μm、根上工業(株))を樹脂固形分に対して25質量部となるように添加して40分間、撹拌機で分散混合して下塗り塗料主剤を調製した。
(ii)上塗り塗料の調製
イソプロピルアルコール31質量%、アセトン62質量%、フルオロアルコキシシランとしてトリクロロ(トリデカフルオロオクチル)シラン5質量%、表面無処理の親水性ゲルタイプシリカ粉末としてNIPGEL AZ−204(商品名)、平均粒径1.3μm、東ソー・シリカ(株))2質量%となるように各成分を密閉しながら30分間撹拌混合した。
(iii)下塗りコーティング及び上塗りコーティングの形成
下塗り塗料主材の硬化剤として、アダクトタイプのポリイソシアネートであるコロネートHL(商品名)、樹脂固形分74〜76%、NCO値12.3〜13.3%、日本ポリウレタン工業(株))を用い、下塗り塗料主材:硬化剤=10:1で混合し、シンナーで希釈して基材としてのABS板にスプレー塗装して下塗りコーティングを形成した。次に常温下で20分間放置後、表面が未乾燥状態のうちに、上塗り塗料をスプレー塗装して常温下で乾燥して硬化させ、下塗りコーティング上に上塗りコーティングを形成し、実験例1の測定試料を得た。
[実験例2]
(i)下塗り塗料の調製
湿気硬化型ウレタン樹脂であるバーノックDM675(商品名、樹脂固形分69〜71%、NCO値7.5〜8.5%、DIC(株))90質量部、酢酸ブチル20質量部、フローノンSP−1000を3質量部及び架橋ウレタン粒子としてアートパールC−300透明(商品名、平均粒径21μm、根上工業(株))を樹脂固形分に対して8質量部となるように添加して30分間撹拌機で分散、混合して1液型の下塗り塗料を調整した。
(ii)上塗り塗料の調製
エチルアルコール40質量%、メチルエチルケトン53質量%、トリエトキシ(トリデカフルオロオクチル)シラン3質量%及び表面無処理の親水性ゲルタイプシリカ粉末としてNIPGEL AZ−400(商品名、平均粒径3.0μm、東ソー・シリカ(株))4質量%となるように各成分を密閉して30分間撹拌混合した。
(iii)下塗りコーティング及び上塗りコーティングの形成
上記のようにして調製された下塗り塗料をシンナーで希釈してABS板にスプレー塗装して下塗りコーティングを形成した。次に常温下で20分間放置後、下塗りコーティングの表面が未乾燥状態のうちに、上塗り塗料をスプレー塗装して常温下で乾燥して硬化させ、下塗りコーティング上に上塗りコーティングを形成し、実験例2の測定試料を得た。
[実験例3]
実験例1の下塗り塗料中の架橋アクリル粒子であるアートパールSE−050Tに換えて同じく架橋アクリル粒子であるアートパールJ−4P(商品名、平均粒径2.2μm、根上工業(株))に変更した以外は実験例1の場合と同様にして、実験例3の測定試料を得た。
[実験例4]
実験例1の下塗り塗料中の架橋アクリル粒子であるアートパールSE−050Tに換えて同じく架橋アクリル粒子であるアートパールSE−090T(商品名、平均粒径110μm、根上工業(株))に変更した以外は実験例1の場合と同様にして、実験例4の測定試料を得た。
[実験例5]
実験例1の上塗り塗料で用いられている表面無処理の親水性ゲルタイプシリカ粉末を無添加とし、イソプロピルアルコール34質量%、アセトン62質量%、トリクロロ(トリデカフルオロオクチル)シラン4質量%となるように各成分を密閉して30分間撹拌混合することにより調製したものを用いたほかは、実験例1の場合と同様にして実験例5の測定試料を作成した。
[実験例6]
実験例1の上塗り塗料で表面無処理の親水性ゲルタイプシリカ粉末として用いられているNIPGEL AZ−204に換えて疎水性処理したゲルタイプシリカ粉末であるNIPSIL SS−100(商品名)、平均粒径2.5μm、東ソー・シリカ(株))を用いた以外は実験例1の場合と同様にして、実験例6の測定試料を得た。
[実験例7]
実験例1の上塗り塗料で表面無処理の親水性ゲルタイプシリカ粉末として用いられているNIPGEL AZ−204に換えて親水性処理したゲルタイプシリカ粉末であるNIPSIL E−74P(商品名)、平均粒径2.8μm、東ソー・シリカ(株))を用いた以外は実験例1の場合と同様にして、実験例7の測定試料を得た。
[実験例8]
下塗り塗料主材として、アクリルポリオールとしてアクリディックBL616(商品名)、DIC(株))75質量部に酢酸ブチル10質量部を加えて40分間、撹拌機で分散混合して調製したものを用い、硬化剤としてコロネートHL(商品名)を用いて主剤:硬化剤=7:1で混合し、シンナーで希釈してABS板にスプレー塗装することにより下塗りコーティングを形成し、それ以外は実験例1の場合と同様にして、実験例8の測定試料を得た。ここで用いた下塗り塗料主剤は、実質的に実験例1の下塗り塗料主剤において沈降防止剤及び架橋アクリル粒子を除いたものに対応する。
[実験例9]
実験例1の上塗り塗料中のフルオロアルコキシシランとしてのトリクロロ(トリデカフルオロオクチル)シランの含有量を0.3質量部とし、イソプロピルアルコールの含有量を35.7質量%とした以外は実験例1の場合と同様にして、実験例9の測定試料を得た。
[実験例10]
実験例1の上塗り塗料中の表面無処理の親水性ゲルタイプシリカ粉末として用いられているNIPGEL AZ−204の添加量を0.5質量部とし、イソプロピルアルコールの含有量を32.5質量%とした以外は実験例1の場合と同様にして、実験例7の測定試料を得た。
<撥水性試験(接触角(水)の測定)>
上述のようにして得られた実験例1〜4、8〜10のそれぞれの測定試料を用いて、撥水性試験を行った。撥水性試験は、そのままの測定試料を用いて測定した「初期」の水の接触角と、耐摩耗性試験後の測定試料を用いて測定した「耐摩耗性後」の水の接触角と、耐アルカリ性試験後の測定試料を用いて測定した「耐アルカリ性後」の水の接触角とに分けて表1にまとめて示した。なお、水の接触角は、FIBRO System ab(スウェーデン)社製の動的接触角試験機1100DAT(商品名、(株)マツボー販売)を用いて、前進接触角として測定した。
また、耐摩耗性試験後の測定試料は、ブラシ(竹ヨージTB−1008(商品名)、TRUSCO製)を用いて、1分間に100往復ブラッシングしたものを測定に用いた。さらに、耐アルカリ性試験後の試料は、各測定試料を0.002mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液中に23℃で3時間浸漬し、その後表面を軽く拭ってから測定に用いた。
Figure 0006333454
表1に示した結果から以下のことが分かる。すなわち、実験例1、3及び4の測定試料は、下塗りコーティング中の架橋アクリル粒子の平均粒径がそれぞれ46μm(実験例1)、2.2μm(実験例3)及び110μm(実験例4)と相違している以外は、下塗りコーティング及び上塗りコーティングの組成に相違はない。しかしながら、初期の水の接触角は、実験例1及び実験例4の測定試料は実質的に同一と見なせるが、実験例3の測定試料は実験例1及び実験例4の測定試料のものよりも僅かに小さくなっている。また、耐摩耗性試験後の水の接触角は、実験例3及び実験例4の測定試料ともに実験例1の測定試料のものよりも大幅に小さくなっており、また、耐アルカリ性試験後の水の接触角も、実験例3及び実験例4の測定試料ともに実験例1の測定試料のものよりも小さくなっている。
これらの結果からすると、下塗りコーティング中の架橋粒子の平均粒径によって、得られる下塗りコーティング及び上塗りコーティングからなる撥水・撥油性コーティングの撥水性程度に相違が現れるものと考えられる。そして、実験例1の架橋粒子の平均粒径は、実験例3のものよりも大きく、実験例4のものよりも小さくなっている。ここで、実験例1と実験例3、実験例1と実験例4でそれぞれ使用されている下塗りコーティング中の架橋粒子の平均粒径を互いに内挿すると、少なくとも架橋粒子の平均粒径が6〜90μmの範囲内であれば、大きな初期の水の接触角が得られ、良好な撥水性が奏されるようになると考えられる。
また、実験例2の測定試料は、少なくとも、
(a)下塗りコーティングの樹脂成分が、実験例1のものでは2液型のポリウレタン塗料であるのに対し、実験例2のものでは1液型のポリウレタン塗料であること、
(b)下塗りコーティングの架橋粒子が、実験例1のものでは架橋アクリル粒子であるのに対し、実験例2のものでは架橋ウレタン粒子であること、
(c)下塗りコーティングの架橋粒子の樹脂固形分に対する添加量が、実験例1のものでは25質量部であるのに対し、実験例2のものでは8質量部であること、
(d)上塗りコーティング中の長鎖フルオロアルキルシランが、実験例1のものではトリクロロ(トリデカフルオロオクチル)シランであるのに対し、実験例2のものではトリエトキシ(トリデカフルオロオクチル)シランであること、
(e)上塗りコーティング中の表面無処理の親水性ゲルタイプシリカ粉末の平均粒径が、実験例1のものでは1.3μmであるのに対し、実験例2のものでは3.0μmであること、
(f)上塗りコーティング中の表面無処理の親水性ゲルタイプシリカ粉末の含有量が、実験例1のものでは2質量%であるのに対し、実験例2のものでは4質量%であること、
で相違している。
しかしながら、実験例2の測定試料は、初期の水の接触角、耐摩耗性試験後の接触角及び耐アルカリ性試験後の接触角ともに実質的に実験例1の場合と同様の測定結果が得られており、実験例3及び実験例4のものよりも優れた撥水性が得られている。これにより、下塗りコーティングとしては、架橋粒子として架橋アクリル粒子及び架橋ウレタン粒子から選択される少なくとも1種を含むポリウレタン塗料から形成されたものであればよいことが分かり、また、下塗りコーティング中の架橋粒子の添加量も、実験例3の結果を外挿すると実質的に樹脂成分に対して10質量%以上であってもよいことが分かり、上限は、他の予備実験結果によれば100質量部以上であっても一応良好な結果が得られるが、多すぎると作業性が劣るようになるので、100質量部以下とすることが好ましい。
なお、実験例8は、架橋粒子が存在しない以外は実験例1の測定試料と実質的に同一の組成となっているが、初期、耐摩耗性試験後及び耐アルカリ性試験後のそれぞれの水の接触角はいずれも実験例1〜4の測定試料のものよりも小さくなっている。このことから、少なくとも架橋粒子を下塗り塗料中に添加することは必須の構成要件であることが分かる。
また、実験例9の測定試料は、上塗り塗料中のフルオロアルコキシシランの含有量が、実験例1のものでは5質量%であるのに対し、0.3質量%と少なくなっているものであり、さらに、実験例10の測定試料は、上塗り塗料中の表面無処理の親水性ゲルタイプシリカ粉末の含有量が、実験例1のものでは2質量%であるのに対し、0.5質量%と少なくなっているものであり、その他の組成は実質的に実験例1のものと同様となっている。しかしながら、実験例9及び10の測定試料の初期、耐摩耗性試験後及び耐アルカリ性試験後のそれぞれの水の接触角は、いずれも実験例1のものだけでなく実験例2〜4のものよりも小さくなっているが、実験例8ものよりは僅かに大きくなっている。
以上のことからすると、上塗りコーティングとしては、炭素数10以上の直鎖アルカンを含む各種長鎖フルオロアルキルシランを含むものを用いることができ、その含有量は、下限は実験例9と実験例2の結果を内挿すると0.5質量%以上が好ましく、上限は実験例1の結果からして5.0質量%以下の範囲が好ましく、結果として0.5〜5質量%の範囲が好ましいことが分かる。なお、上塗りコーティング中のフルオロアルキルシランの含有量は、0.5質量%未満だと撥水性が大幅に低下し、5.0質量%以上添加しても撥水性の改善は見られない。
同じく、上塗りコーティン中の表面無処理の親水性ゲルタイプシリカ粉末の平均粒径は、実験例1及び2のそれぞれの結果を外挿すると、1.0〜5.0μm程度であれば良好な撥水性が得られることが分かり、その含有量は、下限は実験例1及び実験例10の結果を内挿すると1.0質量%以上が好ましく、上限は実験例2の結果を外挿すると5.0質量%程度であれば良好な結果が得られ、他の予備実験結果によれば10質量%を越えても一応良好な結果が得られるが、10質量%を越えると上塗り塗料が高粘度でチキソトロピックになるため、薄膜で均一な塗布が困難となるので、10質量%以下とすることが好ましい。
なお、実験例1〜4、9及び10では、いずれも上塗りコーティングの形成工程において、アルコール/ケトン系混合溶媒中に長鎖フルオロアルキルシラン及び表面無処理の親水性ゲルタイプシリカ粉末を分散した上塗り塗料を用いている。この上塗り塗料中には、樹脂成分は含まれておらず、長鎖フルオロアルキルシラン及び表面無処理の親水性ゲルタイプシリカ粉末によって上塗りコーティングを形成している。このような上塗り塗料を用いると、アルコール/ケトン系混合溶媒が未乾燥状態の下塗り塗料の表面を穏やかに浸食するため、下塗り塗料の表面が見かけ上粗い状態となり、下塗りコーティングと上塗りコーティングとの間の接着強度が向上し,耐久性に優れるようになる。
<撥油性試験(接触角(油)の測定)>
次に、上述のようにして得られた実験例1、5〜7、9及び10のそれぞれの測定試料を用いて、撥油性試験を行った。撥油性試験は、接触角計SImage Entry 5(商品名、(株)エキシマ)を用い、鉱物油としてデラックスオイル(商品名、マルニ工業(株))を用いて前進接触角として測定した。結果をまとめて表2に示した。なお、表2においては、結果を理解しやすくするために、表示順序を適宜に変えてある。
Figure 0006333454
表2に示した結果ら以下のことが分かる。まず、実験例1、5、6及び7の測定結果を対比する。実験例1、5、6及び7の測定試料は、いずれも上塗り塗料中のフルオロアルキルシランとしてのトリクロロ(トリデカフルオロオクチル)シランの含有量が4.0〜5.0質量%と実質的に同一であるが、実験例5の測定試料は上塗り塗料中にシリカ粉末を含んでおらず、実験例1、6及び7の測定試料は上塗り塗料中のシリカ粉末の含有量が2.0質量%と同一となっている。ただ、実験例1の測定試料は上塗り塗料中のシリカ粉末が表面無処理の親水性ゲルタイプシリカ粉末であるのに対し、実験例6の測定試料は無処理の親水性ゲルタイプシリカ粉末に対して疎水性処理したものを用いたものであり、実験例7の測定試料は無処理の親水性ゲルタイプシリカ粉末に対して親水性処理したものを用いたものである。
表2に示した測定結果によれば、実験例5〜7のそれぞれの鉱物油の接触角は36°〜76°となっているが、実験例1の測定試料の鉱物油の接触角は115°と、他の3者よりも大きな接触角、すなわち、大きな撥油性を備えていることが確認できている。したがって、上塗り塗料中に含有させるシリカ粉末は、表面無処理の親水性ゲルタイプシリカ粉末が好ましいことは明らかである。
次に、実験例1及び9の測定結果を検討する。実験例1及び9の測定試料は、いずれもシリカ粉末として表面無処理の親水性ゲルタイプシリカ粉末を上塗り塗料中に2.0質量%となるように添加したものであるが、上塗り塗料中のフルオロアルキルシランとしてのトリクロロ(トリデカフルオロオクチル)シランの含有量を5.0質量%(実験例1)及び0.3質量%(実験例9)と変えたものである。表2に示した測定結果によれば、実験例9の鉱物油の接触角は28°となっているが、実験例1の測定試料の鉱物油の接触角は115°と遙かに大きな接触角が得られ、良好な撥油性を備えていることが確認できている。したがって、上塗り塗料中のフルオロアルキルシランとしてのトリクロロ(トリデカフルオロオクチル)シランの含有量は、上記表1に示した撥水性試験の結果をも参照すると、0.5〜5.0質量%とすれば、良好な撥水性及び撥油性を奏することができることが分かる。
次に、実験例1及び10の測定結果を検討する。実験例1及び10の測定試料は、いずれもフルオロアルキルシランとしてのトリクロロ(トリデカフルオロオクチル)シランを上塗り塗料中に5.0質量%となるように添加したものであるが、上塗り塗料中の表面無処理の親水性ゲルタイプシリカ粉末の含有量を2質量%(実験例1)及び0.5質量%(実験例10)と変えたものである。
表2に示した測定結果によれば、実験例10の鉱物油の接触角は68°となっているが、実験例1の測定試料の鉱物油の接触角は115°と遙かに大きな接触角が得られ、良好な撥油性を備えていることが確認できている。したがって、上塗り塗料中の表面無処理の親水性ゲルタイプシリカ粉末の含有量は、上記表1に示した撥水性試験の結果をも参照すると、1.0〜10.0質量%とすれば、良好な撥水性及び撥油性を奏することができることが分かる。
このような現象が生じる理由は次のように考えることができる。すなわち、撥油性は、長鎖フルオロアルキルシランのフッ素部分が上塗り塗料の表面側に配向することにより良好となることが知られている。上塗りコーティング中にシリカ粉末が含有されていない実験例5の測定試料では、長鎖フルオロアルキルシランの配向性を促進する要因が存在しないため、上塗りコーティング中での長鎖フルオロアルキルシランの配向性が不十分となり、撥油性の低下に繋がったものと考えられる。
また、実験例6で用いられている疎水性処理シリカ粉末は親水性ゲルタイプシリカ粉末をメチルシラン等で処理することにより疎水性としたものであり、また、実験例7で用いられている親水性処理シリカ粉末は親水性ゲルタイプシリカ粉末を各種界面活性剤や無機塩類等によって表面をさらに親水性としたものであるが、これらの表面処理シリカは、シリカ表面のシラノール基が有機物または無機物により反応置換されているため、フルオロアルキルシランとの化学結合サイトが減少し、化学結合性が劣るようになるため、上塗りコーティング中でのフルオロアルキルシランの配向性が不十分となり、撥油性の低下に繋がったものと考えられる。
それに対し、実験例1の測定試料のように、高い比表面積を有し、非常に多孔性で、吸着性に富む表面無処理の親水性ゲルタイプシリカ粉末が上塗り塗料中に共存していると、親水性ゲルタイプシリカ粉末の表面に長鎖フルオロアルキルシランが化学結合し、表面粗さが大きな疎水性の未乾燥状態の下塗りコーティングの表面に親水性ゲルタイプシリカ粉末が固着し、この親水性ゲルタイプシリカ粉末の表面に化学結合している長鎖フルオロアルキルシランのフッ素部分が上塗りコーティングの表面側に配向し、ハスの葉のような撥水・撥油性が発現するようになるものと考えられる。

Claims (6)

  1. 以下の(1)及び(2)の工程を備えることを特徴とする、撥水・撥油性コーティングの形成方法。
    (1)基材の表面に、真球状の架橋アクリル粒子及び架橋ウレタン粒子から選択される少なくとも1種の架橋粒子を含むポリウレタン塗料を塗布して下塗りコーティングを形成する工程、
    (2)前記下塗りコーティングが未乾燥の状態で、アルコール/ケトン系混合溶媒中に長鎖フルオロアルキルシラン及び表面無処理の親水性ゲルタイプシリカ粉末を分散したものからなる上塗り塗料を塗布して乾燥することにより上塗りコーティングを形成する工程。
  2. 前記ポリウレタン塗料として、前記架橋粒子の平均粒径が6〜90μmのものを用いることを特徴とする、請求項1に記載の撥水・撥油性コーティングの形成方法。
  3. 前記ポリウレタン塗料として、前記架橋粒子の添加量が前記ポリウレタン塗料の樹脂固形分に対して10〜100質量部のものを用いることを特徴とする、請求項1又は2に記載の撥水・撥油性コーティングの形成方法。
  4. 前記上塗り塗料として、前記表面無処理の親水性ゲルタイプシリカ粉末の平均粒径が1.0〜5.0μmのものを用いることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の撥水・撥油性コーティングの形成方法。
  5. 前記上塗り塗料として、前記長鎖フルオロアルキルシランの含有量が0.5〜5.0質量%であり、前記表面無処理の親水性ゲルタイプシリカ粉末の含有量が1.0〜10.0質量%のものを用いることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の撥水・撥油性コーティングの形成方法。
  6. 基材の表面に形成された下塗りコーティングと、前記下塗りコーティングの表面に形成された上塗りコーティングと、を有する撥水性・撥油性コーティングであって、
    前記下塗りコーティングは、真球状の架橋アクリル粒子及び架橋ウレタン粒子から選択される少なくとも1種の架橋粒子を含むポリウレタンコーティングからなり、
    前記上塗りコーティングは、
    長鎖フルオロアルキルシランが表面無処理の親水性ゲルタイプシリカ粉末に化学的に結合しており、
    前記親水性ゲルタイプシリカ粉末が前記下塗りコーティングの表面側に固着しており、
    前記上塗りコーティングの表面側に前記長鎖フルオロアルキルシランが配向されているものからなることを特徴とする、撥水・撥油性コーティング。
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