JP6331899B2 - 薄肉容器用エチレン系重合体組成物及びそれよりなる成形体 - Google Patents
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Description
しかし、特開2005−239749号公報で説明されるように、該エチレン・α−オレフィン共重合体は、分子量分布が狭いために、これを高分子量に重合し、被改質材料に添加して溶融混練した場合に、該エチレン・α−オレフィン共重合体の分散が十分でなく、最終的なブレンド材料に、高分子量ゲルが生じ、製品外観を損ねることが多い。このような高分子量ゲルは、高い粘度を有し、被改質材料とのブレンド後の粘度が十分に高い場合には、分散され得るが、これには、該高分子量成分の重量分率がかなり高いことが必要である。このため、ブレンドデザインの制約を受けると共に、ブレンド後の押出し特性が制約されることから、成形品の生産効率が悪くなる。
しかしながら、特許文献1のものは、溶融混練する際に高分子量成分である成分(B)と直接接する成分が、低分子量フラクションとなる可能性が高く、その分子量差に由来する粘度差が大きくなるために、多段重合製品の高分子量成分と、追加する単段重合製品の高分子量成分とが、十分に分散されないおそれがあり、そのため、高分子量ゲルが発生し、製品の高度な外観が求められる用途においては、外観不良となる可能性があった。
一般的に、分子量の異なるポリエチレン同士、言い換えれば、粘度の異なるポリエチレン同士を溶融混合する場合、両者の粘度比が小さいほうが混ざりやすく、粘度比が大きくなりすぎると、粘度の高い高分子量の成分が分散不良により偏在化、ゲルとなり、外観不良の原因となることが知られている。
また、粘度比が異なる液体同士が混在する系に同じ歪を加えた場合、粘度比が大きい系ほど、高粘度液体の歪速度は小さくなり、分散不良の要因のとなることも報告されている(A.Biswas et al.:SPE−ANTEC,336(1994))。
一方、ポリエチレン樹脂等は、非ニュートン流体であるため、粘度がせん断速度に依存するため上記知見を単純に適用することはできないが、上記知見を参考にすることができると考えられる。
特許文献3には、40〜80質量%の、重量平均分子量の値が300000以上であり、多分散度Mw/Mnの値が1〜12である、高分子量のエチレンコポリマーと、20〜60質量%の、重量平均分子量の値が8000〜80000であり、多分散度Mw/Mnの値が2.5〜12である、低分子量のエチレンホモポリマー又はエチレンコポリマーと、を含み、温度190℃、負荷21.6kgの条件下で測定したメルトフローレートMFRの値が、6〜14g/10分であり、密度の値が、0.94〜0.97g/cm3であり、耐環境応力亀裂性ESCRの値が、150hより大きい、二モード性ポリエチレンブレンドであって、前記ポリエチレンブレンドのブレンド品質をISO13949に従って測定した値が、3より小さいことを特徴とする、二モード性ポリエチレンブレンドが開示されている。
しかしながら、これらの特許文献は、高分子量ゲルの発生を抑え、さらに優れた外観を有する成形品を得ることについて開示が不十分であり、更なる改良が望まれている。
式(1):log[HLMFR]≦−3.85log[Mw/10,000]+6.0
しかしながら、上記のような優れた材料が開示されてはいるが、更に性能の向上した座材料が求められており、高分子量ゲルに由来する凹凸の少ない、表面外観に優れ、機械的強度等の物性と成形性のバランスに優れた薄肉容器用材料が要望されている。
成分(A):密度(A)が、0.900〜0.950g/cm3であり、ハイロードメルトフローレート(HLMFR(A)、JIS K7210に準じて、温度190℃、荷重21.60kgにて測定される)が、0.1〜100g/10分であるエチレン系重合体。
成分(B):密度(B)が、0.900〜0.970g/cm3であり、ハイロードメルトフローレート(HLMFR(B))が、0.5〜500g/10分であるエチレン系重合体。
また、本発明の第11の発明によれば、密度(D)が、0.900〜0.975g/cm 3 であり、メルトフローレート(MFR(D)、JIS K7210に準じて、温度190℃、荷重2.16kgにて測定される)が、10〜200g/10分であるエチレン系重合体(D)10〜90重量%に対して、下記の成分(A)及び成分(B)に関して、成分(A)のHLMFR(A)に対する成分(B)のHLMFR(B)の割合(HLMFR(B)/HLMFR(A))が、1.5〜5000であり、成分(A)と成分(B)との合計重量を基準として、成分(B)の含有重量比(X(B))に対する成分(A)の含有重量比(X(A))の割合(X(A)/X(B))が、0.11〜4であり、成分(A)及び成分(B)をこの順で多段重合してなるエチレン系重合体(C)90〜10重量%を溶融混練して組成物とし当該組成物からなるシートの表面を画像撮影した画像中のフィッシュアイの面積率が5.0%以下である薄肉容器用エチレン系重合体組成物の製造方法が提供される。
成分(A):密度(A)が、0.900〜0.950g/cm 3 であり、ハイロードメルトフローレート(HLMFR(A)、JIS K7210に準じて、温度190℃、荷重21.60kgにて測定される)が、0.1〜100g/10分であるエチレン系重合体。
成分(B):密度(B)が、0.900〜0.970g/cm 3 であり、ハイロードメルトフローレート(HLMFR(B))が、0.5〜500g/10分であるエチレン系重合体。
特にこうした作用効果は、エチレン系重合体(C)が成分(A)及び成分(B)をこの順で多段重合して得られる構造である場合に、より一層顕著である。
従って、本発明のエチレン系重合体組成物及びそれよりなる成形体は、物性及び外観が優れた成形体を得ることができるため、高度な物性及び外観が要求される分野での用途等に好適に使用できるという効果がある。
以下、本発明のエチレン系重合体(C)及びその製造方法や樹脂用改質材、並びにエチレン系重合体(D)及びその製造方法、さらにはエチレン系重合体組成物や成形体等について、項目毎に、詳細に説明する。
本発明のエチレン系重合体組成物に用いられるエチレン系重合体(C)は、下記の特性(I)を満足するもので、好ましくは下記の特性(I)〜(V)を満足する。
特性(I):下記の成分(A)及び成分(B)を多段重合してなる。なお、多段重合においては、成分(A)及び成分(B)の重合の順番は特に限定されないが、得られた樹脂組成物の特性の面や作業面等からみて、成分(A)及び成分(B)をこの順番で多段重合することが望ましい。
成分(A):密度(A)が、0.900〜0.950g/cm3であり、ハイロードメルトフローレート(HLMFR(A)、JIS K7210に準じて、温度190℃、荷重21.60kgにて測定される)が、0.1〜100g/10分であるエチレン系重合体。
成分(B):密度(B)が、0.900〜0.970g/cm3であり、ハイロードメルトフローレート(HLMFR(B))が、0.5〜1000g/10分であるエチレン系重合体。
特性(II):密度(C)が、0.900〜0.968g/cm3である。
特性(III):ハイロードメルトフローレート(HLMFR(C))が、0.14〜700g/10分である。
特性(IV):HLMFR(A)に対するHLMFR(B)の割合(HLMFR(B)/HLMFR(A))が、1.5〜7000である。
特性(V):成分(A)と成分(B)との合計重量を基準として、成分(B)の含有重量比(X(B))に対する成分(A)の含有重量比(X(A))の割合(X(A)/X(B))が、0.11〜4である。
(1−1)成分(A)
成分(A)は、エチレン系重合体であって、密度(A)が、0.900〜0.950g/cm3であり、HLMFR(A)が、0.1〜100g/10分である。
なお、本明細書において、エチレン系重合体及びエチレン系重合体組成物の密度は、JIS K7112(1999年版):A法(水中置換法)により測定したときの値をいう。
密度(A)は、主に成分(A)の製造時のα−オレフィンの量により調整することができる。
なお、本明細書において、エチレン系重合体及びエチレン系重合体組成物のHLMFRは、JIS K7210の「プラスチック−熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の試験方法」に準拠して測定したときの値をいう。
HLMFR(A)は、主に成分(A)の製造時の水素量により調整することができる。
なお、本明細書において、エチレン系重合体及びエチレン系重合体組成物のMw/Mnは、ゲルパーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)で測定される重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnから計算される値をいう。
Mw/Mn(A)は、主に成分(A)の触媒種により調整することができる。
成分(B)は、エチレン系重合体であって、密度(B)が、0.900〜0.970g/cm3であり、HLMFR(B)が、0.5〜1000g/10分である。
本発明における成分(B)の密度(B)は、0.900〜0.970g/cm3であり、好ましくは0.910〜0.965g/cm3、さらに好ましくは0.915〜0.965g/cm3である。密度(B)が0.900g/cm3未満では、剛性が不十分となる傾向がある。一方、密度(B)が0.970g/cm3より大きいと衝撃強度や耐ストレスクラック性等が不十分となる傾向がある。
密度(B)は、主に成分(B)の製造時のα−オレフィンの量により調整することができる。
HLMFR(B)は、主に成分(B)の製造時の水素量により調整することができる。
本発明のエチレン系重合体(C)は、特性(I)に加え、下記の特性(II)〜(IV)を満足することが好ましい。
特性(II):密度(C)が、0.900〜0.968g/cm3である。
特性(III):HLMFR(C)が、0.14〜700g/10分である。
特性(IV):HLMFR(A)に対するHLMFR(B)の割合(HLMFR(B)/HLMFR(A))が、1.5〜7000である。
特性(V):成分(A)と成分(B)との合計重量を基準として、成分(B)の含有重量比(X(B))に対する成分(A)の含有重量比(X(A))の割合(X(A)/X(B))が、0.11〜4である。
本発明のエチレン系重合体(C)の密度(C)は、0.900〜0.968g/cm3であり、好ましくは0.910〜0.959g/cm3、さらに好ましくは0.915〜0.956g/cm3であることが好ましい。密度(C)が0.900g/cm3未満では、剛性が不十分となる傾向がある。一方、密度(C)が0.968g/cm3より大きいと衝撃強度やストレスクラック性等が不十分となる傾向がある。
密度(C)は、主に成分(A)、(B)それぞれの製造時のα−オレフィン量及び成分(A)、(B)の重合比率により調整することができる。
本発明におけるエチレン系重合体(C)のハイロードメルトフローレート(HLMFR(C))は、0.14〜700g/10分であることが好ましい。好ましくは0.15〜400g/10分、さらに好ましくは0.16〜200g/10分である。HLMFR(C)が0.14g/10分未満では、混ざり性が不十分となる傾向がある。一方、HLMFR(C)が700g/10分より大きいと衝撃強度等が不十分となる傾向がある。
HLMFR(C)は、主に成分(A)、(B)それぞれの製造時の水素量及び成分(A)、(B)の重合比率により調整することができる。
本発明のエチレン系重合体(C)において、HLMFR(A)に対するHLMFR(B)の割合(HLMFR(B)/HLMFR(A))は、1.5〜7000であることが好ましい。好ましくは1.5〜6000、さらに好ましくは1.5〜5000である。
HLMFR(B)/HLMFR(A)の値は、成分(A)と成分(B)の粘度差を表すものと考えられる。従って、HLMFR(B)/HLMFR(A)がこの範囲にあると、成分(A)と成分(B)の粘度差が小さくなり、エチレン系重合体(C)とエチレン系重合体(D)を溶融混練する際に高分子量成分(A)をより高度に分散するため、好ましい。HLMFR(B)/HLMFR(A)が1.5未満では、成分(A)と成分(B)の粘度差がほとんどないために、成分(B)の分子量が成分(A)に近づき、成分(A)同様高い粘度を示すようになり、成分(B)自身が成分(A)と共に、エチレン系重合体(C)とエチレン系重合体(D)を溶融混練する際に、高分子量ゲルとなる傾向がある。一方、HLMFR(B)/HLMFR(A)が7000より大きいと成分(A)と成分(B)の粘度差が大きすぎるために、成分(A)の分散が不十分となる傾向がある。
HLMFR(B)/HLMFR(A)は、主に成分(A)、(B)それぞれの製造時の水素量により調整することができる。
本発明のエチレン系重合体(C)において、成分(A)と成分(B)との合計重量を基準として、成分(B)の含有重量比(X(B))に対する成分(A)の含有重量比(X(A))の割合(X(A)/X(B))が、0.11〜4であることが好ましい。より好ましくは0.3〜3、さらに好ましくは0.4〜2.5である。
成分(A)及び成分(B)をこの順で多段重合する場合、X(A)/X(B)の値は、成分(C)の粒子の外表面に存在する、先に製造した高分子量成分(A)が、中心部に存在する後で製造した成分(B)により、溶融混練前の成分(C)の粒子の状態でどれだけ押し広げられ、拡散されるかを表すものと考えられる。従って、X(A)/X(B)がこの範囲にあると、溶融混練前の成分(C)の粒子の外表面に存在する、高分子量成分(A)の拡散が十分であるため好ましい。X(A)/X(B)が0.11未満では、実際の多段重合の場合、成分(A)の製造で比率調整のために触媒活性を落とす必要があり、成分(C)の生産性を落とす傾向がある。一方、X(A)/X(B)が4より大きいと溶融混練前の成分(C)の粒子の外表面に存在する、高分子量成分(A)の拡散が不十分となる傾向がある。
X(A)/X(B)は、主に成分(A)と成分(B)の各重合量により調整することができる
本発明のエチレン系重合体(C)は、成分(A)及び成分(B)を多段重合して得たものである。
本発明の多段重合においては、成分(A)及び成分(B)の重合の順番は特に限定されないが、得られた樹脂組成物の特性の面や作業面等からみて、成分(A)及び成分(B)をこの順番で多段重合することが望ましい。また、多段重合は、連続多段重合であることが好ましい。
一般に、高分子量成分の分散性は、混合時に、高分子量成分に隣接する成分の粘度差が影響し、この粘度差が小さいほど、高分子量成分の分散性が向上するとされている。
本発明のエチレン系重合体組成物は、上記特定の物性を満足し、好ましくは、成分(A)を先に重合し、その後、多段重合により、特定の成分(B)を製造するといった特定の製法により製造されることにより、エチレン系重合体(C)の粒子の外表面に存在する、先に製造した高分子量成分(A)が、中心部に存在する後で製造した成分(B)により、溶融混練前のエチレン系重合体(C)の粒子の状態で押し広げられ、拡散すると推定される。
被改質材料との溶融混練時に高分子量成分(A)に隣接する成分としては、成分(B)の他に被改質材料が考えられるが、成分(A)の分散性に対する、成分(A)と被改質材料の粘度差の影響は、成分(A)と成分(B)の粘度差の影響と比較し、小さいと考えられる。これは、成分(A)が、連続重合で製造した成分(B)との親和性が高いために、後で加える被改質材料との粘度比よりも、成分(B)との粘度比の影響を強く受けるためと考えられる。
このようにして、本発明のエチレン系重合体組成物を用いた組成物の成形品においては、高分子量成分である成分(A)が高度に分散され、高分子量ゲルの発生も抑え、外観を損なうことなく成形品の衝撃強度、剛性等の機械強度を高度に改良することができるものと考えられる。
ここで、「高度に分散される」とは、具体的には、以下に述べる測定方法(<混ざり性評価法>)にて、フィッシュアイを測定したときに、評価が4以下であるものをいう。
従って、本発明のエチレン系重合体組成物が混合された組成物の成形品は、高分子量ゲルの発生が抑えられ、物性等の改良のために、分子量分布の比較的狭い高分子量成分を比較的少なく含み、被改質材料とブレンドした後の粘度がさほど高くないにもかかわらず成形品とした際には、分散性不良から生じる高分子量ゲルによる凹凸が発生せず、外観が優れたものとなると推定される。
本発明の組成物のフィッシュアイは、以下の方法により測定することができる。
測定するサンプルを、厚さ0.35mmのモールドと、圧縮加工用及び冷却用の2つのプレス成形機により、第1の工程で180℃の温度、100kgf/cm2の圧力にて圧縮加工し、第2の工程で30℃の温度、50kgf/cm2の圧力で冷却して厚さ0.4mmのプレスシートを成形する。このプレスシートをカットし、50×50×0.4mmの試験片とする。
次に、当該試験片を、二軸延伸装置で延伸する。二軸延伸装置は、例えば、柴山科学器械製作所社製二軸延伸装置SS−60型を使用し、温度150℃、延伸速度60mm/minにて当該試験片を2倍に延伸する。延伸の手順は、当該試験片の端四方1cm部分を二軸延伸装置の4点のチャック部でチャックし、プレスシートのチャックしていない中央部分が30×30mmの正方形となるようにセットする。その後、この試験片を130〜170℃の温度に加熱し、対角し合うチャック間の距離が60mmとなるまで二軸延伸し、チャックをしていない中央部が約2倍に延伸したシートを作成する。
2値化処理された画像をスキャナーで読み込んでデジタル化し、画像データとする。
スキャナーの解像度は、600dpi以上であり、好ましくは900dpi以上である。スキャナーは、例えば、スキャナーGT−F670(EPSON社製、解像度:4800dpi)を用いることができる。
画像データは、画像の黒色部分及び白色部分の配色のしきい値を定め、ある適当なレベルで2値化され処理される。2値化処理の条件は、測定者が、適宜、探索し設定することができる。
画像解析は、公知の手段により、各粒子の面積、周囲長、最大長、最大長垂直長(最大長に垂直な方向における長さ)などを算出し、それらから粒子の各種のパラメータを粒子ごとに算出することができる。算出されるパラメータには、粒子の円相当径(粒子の画像の面積に等しい面積の円の直径)、円形度(粒子の画像の面積に等しい面積の円の周囲長と画像の周囲長の比)、アスペクト比(粒子の画像の最大長と最大長垂直長の比)などがある。
なお、円相当径は、円相当径=(粒子の画像の面積値/π)1/2×2、円形度は、円形度=(粒子の画像の面積値を持つ円の周囲長)/(粒子の画像の周囲長)、アスペクト比は、(粒子の画像の最大長)/(粒子の画像の最大長垂直長)により算出される。
例えば、画像中に占めるフィッシュアイの面積率が0.2%以下の場合を「1」、0.2超〜0.5%の場合を「2」、0.5超〜3.0%の場合を「3」、3.0超〜5.0%の場合を「4」、5.0超〜10.0%の場合を「5」、10.0%超の場合を「6」として、評価することができる。
成分(A)及び成分(B)は、エチレンの単独重合又はエチレンと炭素数3〜12のα−オレフィン、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン等との共重合により得られる。また、改質を目的とする場合のジエンとの共重合も可能である。このとき使用されるジエン化合物の例としては、ブタジエン、1,4−ヘキサジエン、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン等を挙げることができる。
なお、成分(A)及び成分(B)の重合の際のコモノマー含有率は、任意に選択することができるが、例えば、エチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンとの共重合の場合には、エチレン・α−オレフィン共重合体中のα−オレフィン含有量は、0〜40モル%、好ましくは0〜30モル%である。
チーグラー系触媒としては、遷移金属化合物と典型金属のアルキル化合物等の組み合わせからなるオレフィン配位重合触媒としてのチーグラー・ナッタ触媒、とりわけマグネシウム化合物にチタニウム化合物を担持させた固体触媒成分と有機アルミニウム化合物を組み合わせたいわゆるMg−Ti系チーグラー触媒(例えば、「触媒活用大辞典;2004年工業調査会発行」、「出願系統図−オレフィン重合触媒の変遷−;1995年発明協会発行」等を参照されたい。)は安価で高活性かつ重合プロセス適性に優れることから好適である。
本発明において、好ましくは、分子量分布や共重合組成分布の狭いエチレン系重合体を高い活性で製造することが出来るという理由により、好ましくは、下記一般式(a)で表されるマグネシウム化合物群の中から選択される化合物と、下記一般式(b)で表されるチタニウム化合物群の中から選択される化合物を少なくとも含むことを特徴とするMg−Ti系チーグラー触媒が用いられる。
一般式(a): Mg、MgO、又は、MgX1 mR1 n(OR2)2−m−n
(1)Mg、MgO、MgF2、MgCl2、MgBr2、MgI2、MgClF、MgBrCl、MgClI等、
(2)Mg(CH3)2、Mg(C2H5)2、Mg(C3H7)2、Mg(C4H9)2、Mg(C6H13)2、Mg(C8H17)2、Mg(C10H21)2、Mg(C3H5)2、Mg(C6H11)2、Mg(C6H5)2、Mg(C6H4−CH3)2、Mg(C6H4−C2H5)2、Mg(C6H4−C4H9)2、Mg(C6H3(CH3)2)2、Mg(CH2−C6H5)2、Mg(C2H4−C6H5)2、Mg(CH3)(C2H5)、Mg(C2H5)(C4H9)、Mg(CH3)(C4H9)、Mg(C4H9)(C6H5)等、
(3)Mg(OH)2、Mg(OCH3)2、Mg(OC2H5)2、Mg(OC3H7)2、Mg(OC4H9)2、Mg(OC6H13)2、Mg(OC6H11)2、Mg(OC6H5)2、Mg(OCH2C6H5)2、Mg(OH)(OC2H5)、Mg(OC2H5)(OC4H9)、Mg(OC6H4CH3)2等、
Mg(C2H5)Cl、Mg(C2H5)Br、Mg(C2H5)I、Mg(C4H9)Cl、(4)Mg(C4H9)Br、Mg(C4H9)I等、
(5)Mg(OH)Cl、Mg(OH)Br、Mg(OH)I、Mg(OC2H5)Cl、Mg(OC2H5)Br、Mg(OC2H5)I、Mg(OC4H9)Cl、Mg(OC4H9)Br、Mg(OC4H9)I等、
(6)Mg(C2H5)(OC2H5)、Mg(C2H5)(OC3H7)、Mg(C2H5)(OC4H9)、Mg(C2H5)(OC6H13)等、
一般式(b): TiX2 p(OR3)4−p
上記一般式(b)の好ましい態様の一例は、TiCl(OR3)3、TiCl2(OR3)2、TiCl3(OR3)、TiCl4であり、更に好ましい態様の一例は、TiCl(OR3)3、TiCl4である。
ただし、R3の定義は上記の通りである。また、p=0の場合、すなわち、Ti(OR3)4を使用する場合は、ハロゲン化剤が併用される。
ここで、ハロゲン化剤とは、Ti(OR3)4の1つ以上の炭化水素オキシ基(OR3)をハロゲンに置換する作用を有する化合物であれば特に制限はないが、例えば、本発明で記載されているマグネシウム化合物、アルミニウム化合物、ケイ素化合物のうち、ハロゲン原子を含有する化合物、あるいは、元素状態のハロゲン、塩化水素等のハロゲン化水素、クロロホルム等のハロアルカン、塩化チオニル、オキシ塩化リン、塩化アシル等のオキシハロゲン化物、三塩化リン、五塩化リン、塩化アンモニウム、塩化ホウ素等の非金属ハロゲン化物、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化ジルコニウム、塩化バナジウム、塩化クロム、塩化マンガン、塩化鉄、塩化ニッケル、塩化スズ、塩化亜鉛等のハロゲン化金属、等が使用される。
(1)TiF4、TiCl4、TiBr4、TiI4、TiFCl3、TiBrCl3、TiBr2Cl2、TiBr3Cl、TiBrCl2I、等、
(2)Ti(OCH3)4、Ti(OC2H5)4、Ti(OC3H7)4、Ti(OC4H9)4、Ti(OC6H13)4、Ti(OC6H11)4、Ti(OC6H5)4、Ti(OC8H17)4、Ti(OC10H21)4、Ti(OCH2C6H5)4、Ti(OCH2C3H5)4、Ti(OCH2C6H11)4、Ti(OC3H5)4、Ti(OC2H5)(OC4H9)3、Ti(OC2H5)2(OC4H9)2、Ti(OC2H5)3(OC4H9)、Ti(OC6H4CH3)4、Ti(OC2H5)(OC4H9)(OC6H13)2等、
(3)Ti(OCH3)Cl3、Ti(OCH3)2Cl2、Ti(OCH3)3Cl、Ti(OC2H5)Cl3、Ti(OC2H5)2Cl2、Ti(OC2H5)3Cl、Ti(OC2H5)(OC4H9)Cl2、Ti(OC2H5)Br3、Ti(OC2H5)I3、Ti(OC2H5)Cl2Br、Ti(OC2H5)Cl2I、Ti(OC2H5)ClBrI、Ti(OC3H7)Cl3、Ti(OC3H7)2Cl2、Ti(OC3H7)3Cl、Ti(OC4H9)Cl3、Ti(OC4H9)2Cl2、Ti(OC4H9)3Cl、Ti(OC4H9)Br3、Ti(OC4H9)I3、Ti(OC5H11)3Cl、Ti(OC6H13)3Cl、Ti(OC6H5)3Cl、Ti(OC6H5)2Cl2、Ti(OC6H5)Cl3等、
中でも、特開昭60−35007号公報等に記載されているようないわゆるメタロセン錯体とアルモキサンとを含んでなるオレフィン重合用の触媒系や、特開平8−34809号公報、特開平8−127613号公報、特開平11−193306号公報、特表2002−515522号公報、等に記載されているようなアルモキサン以外の助触媒成分を使用する触媒系が好適に使用される。メタロセン錯体としては中心金属が周期律表4B族であるTi、Zr、Hfのものがエチレン重合に対して高活性を示すので好適に使用される。これら中心金属の配位子の構造としては現在様々な構造のものが知られており、生成ポリエチレンの分子量、α−オレフィン共重合性等の重合性能が調べられている。本発明のエチレン系重合体(A)は前述したように長鎖分岐構造が無いか少量しか含まないものが好適であるが、このような特性のエチレン系重合体の製造には、共役五員環構造配位子が他の配位子と架橋基によって架橋されていないいわゆる非架橋錯体であることが好ましく、例えば、特開平11−310612号公報にあるような、下記の一般式[1]、[2]、[3]もしくは[4]によるメタロセン化合物の構造分類によれば、化合物[1]や化合物[3]が好ましく、化合物[1]がより好ましい。ただし、長鎖分岐構造の生成にはエチレンやα−オレフィンの重合場における濃度が高い程、重合反応時間が短い程不利であると言われているので、メタロセン化合物の好適さの大小はあくまでも重合が同一条件において実施される場合を仮定した相対的なものに限定されることは言うまでもない。また、特開平5−132518号公報、特開2000−154196号公報、特開2004−161760号公報等に記載されているメタロセン錯体も好適に用いられ、また、例えば特表2002−535339号公報記載のヘテロ原子を含有する単環式又は多環式のヘテロ芳香族基を共役五員環構造配位子上の置換基として有するメタロセン錯体も好適に用いられる。
本発明の成分(A)及び成分(B)においては、上記の通り、水素供給量を変化させることは重要であるが、その他の重合条件、例えば重合温度、触媒供給量、エチレンなどのオレフィンの供給量、1−ヘキセンなどのコモノマーの供給量、溶媒の供給量等を、適宜に水素の変化と同時に又は別個に変化させることも、重要である。
条件(J):成分(A)を重合する工程において、重合反応器中の気相部の水素とエチレンのモル比(H2/C2[気相部A])が、0.00〜0.40である。
条件(K):成分(A)を重合する工程における重合反応器中の気相部の水素とエチレンの平均モル比(H2/C2[気相部A平均])と、成分(B)を重合する工程における重合反応器中の気相部の水素とエチレンの平均モル比(H2/C2[気相部B平均])の比([H2/C2[気相部B平均]]/[H2/C2[気相部A平均]])が、1.05〜10.0である。
条件(L):以下の成分(a)、(b)及び(c)を含有するオレフィン重合用触媒を用いてエチレンの単独重合又はエチレンとα−オレフィンの共重合を行なう。
成分(a):シクロペンタジエニル配位子上の5つのH原子のうち少なくとも1つ以上が、ハロゲン、炭素数1〜20の炭化水素基、ケイ素数1〜6を含む炭素数1〜18のケイ素含有炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基又は炭素数1〜20の炭化水素基置換シリル基、酸素を含む炭素数1〜20の炭化水素基(酸素原子で直接該環に結合するアルコキシ基等も含む。以下、硫黄、窒素、リンも同様)、硫黄を含む炭素数1〜20の炭化水素基、窒素を含む炭素数1〜20の炭化水素基、リンを含む炭素数1〜20の炭化水素基から選択される基により置換された構造を有するTi、Zr又はHfのメタロセン化合物
成分(b):成分(a)のメタロセン化合物と反応してカチオン性メタロセン化合物を生成させる化合物
成分(c):微粒子担体
条件(M):生成するエチレン系重合体と、使用される上記条件(L)に記載のオレフィン重合用触媒の重量比(エチレン系重合体重量(g)/オレフィン重合用触媒の重量(g))が、3000〜50000である。
多段重合では、成分(A)及び成分(B)の順番は特に限定されないが、その順番を成分(A)及び成分(B)の順、すなわち、成分(A)を重合する工程の後、成分(A)を含む反応系をそのまま成分(B)の反応条件へ移行して成分(B)を重合する工程を行なうと、触媒の被毒防止や、溶媒・原料の拡散防止の点で、より好ましい。
また、成分(A)及び/又は成分(B)は、本発明のエチレン系重合体組成物がより優れた樹脂改質性能を発揮するように、成分(A)をより高分子量の成分を含むポリエチレン樹脂として設計することを目的として、あるいは本発明のエチレン系重合体組成物がより優れた樹脂改質性能を維持しつつ溶融流動性を高くするために、成分(B)をより低分子量の成分を含むポリエチレン樹脂として設計することを目的として、それぞれ2段以上の多段重合により得ることができる。
具体的な好ましい重合方法は、以下の方法である。すなわち、メタロセン触媒及び二器の反応器を使用し、第1段目の反応器にエチレン及びα−オレフィンを導入し、低密度の高分子量成分の重合体を製造し、第1段目の反応器から抜き出された重合体を第2段目の反応器に移送し、第2段目の反応器にエチレン及び水素を導入し、高密度の低分子量成分の重合体を製造する方法である。
なお、多段重合の場合、第2段目以降の重合域で生成するエチレン系重合体の量とその性状については、各段における重合体生成量(未反応ガス分析等により把握できる)を求め、各段の後でそれぞれ抜出した重合体の物性を測定し、加成性に基づいて各段で生成した重合体の物性を求めることができる
本発明に用いられるエチレン系重合体(C)は、被改質材料との相溶性に優れるポリエチレン樹脂であって、高分子量成分を高度に分散し、外観を損なうことなく成形品の物性を高度に改質することができるものであり、樹脂用改質材として好適に使用することができる。エチレン系重合体(C)は、樹脂用改質材として、流動特性、押出性、ブロー成形時の肉厚均一性、ドローダウン性等の、成形性、成形体の衝撃強度、剛性等の機械的強度及び外観の平滑性の発現を目的として使用することができる。
樹脂用改質材とする際には、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、帯電防止剤、防曇剤、ブロッキング防止剤、加工助剤、着色含量、架橋剤、発泡剤、無機又は有機充填剤、難燃剤、等の通常の添加剤等の成分を添加することができる。
本発明の樹脂用改質材は、他のオレフィン重合体やゴム等の各種の樹脂に適用可能であるが、中でも、エチレン系重合体に適用することが好ましく、本発明においては、以下に説明する、特定のエチレン・α−オレフィン共重合体(D)に適用して、本発明のエチレン系重合体組成物を形成することが必要である。
本発明のエチレン系重合体(D)は、前述した特性(i)〜(ii)を満足することを必要とする。
本発明のエチレン系重合体(D)の密度(D)は、0.900〜0.975g/cm3であることが必要であり、好ましくは0.920〜0.975g/cm3、さらに好ましくは0.940〜0.975g/cm3である。密度(D)が0.900g/cm3未満では、剛性が不十分となり好ましくない。一方、密度(D)が0.975g/cm3より大きいと耐久性が不十分となり好ましくない。
密度(D)は、主に成分(D)の製造時のα−オレフィン量により調整することができる。
本発明のエチレン系重合体(D)のメルトフローレート(MFR(D)、JIS K7210、温度190℃、荷重2.16kg)が、0.05〜1000g/10分である。好ましくは1〜500g/10分、さらに好ましくは10〜200g/10分である。MFR(D)が0.05g/10分未満では、流動性が低下し、押出特性が不十分となるため好ましくない。一方、MFR(D)が1000g/10分より大きいと、耐久性が不十分となるため好ましくない。
MFR(D)は、主に成分(D)の製造時の水素量により調整することができる。
本発明のエチレン系重合体(D)は、メタロセン触媒又はチーグラー触媒により製造されたものが好ましい。メタロセン触媒又はチーグラー触媒としては、上述したとおりであって、エチレン系重合体(C)の製造に使用するものと同様のものが使用できる。
エチレン系重合体(D)の製造方法については、以下に詳述する。
エチレン系重合体(D)は、エチレンの単独重合又はエチレンと炭素数3〜12のα−オレフィン、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン等との共重合により得られる。また、改質を目的とする場合のジエンとの共重合も可能である。このとき使用されるジエン化合物の例としては、ブタジエン、1,4−ヘキサジエン、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン等を挙げることができる。
なお、エチレン系重合体(D)の重合の際のコモノマー含有率は、任意に選択することができるが、例えば、エチレン・α−オレフィン共重合体中のα−オレフィン含有量は、0〜40モル%、好ましくは0〜30モル%である。
本発明のエチレン系重合体(D)においては、上記の通り、水素供給量を変化させることは重要であるが、その他の重合条件、例えば重合温度、触媒供給量、エチレンなどのオレフィンの供給量、1−ヘキセンなどのコモノマーの供給量、溶媒の供給量等を、適宜に水素の変化と同時に又は別個に変化させることも、重要である。
なお、多段重合の場合、第2段目以降の重合域で生成するエチレン系重合体の量とその性状については、各段における重合体生成量(未反応ガス分析等により把握できる)を求め、各段の後でそれぞれ抜出した重合体の物性を測定し、加成性に基づいて各段で生成した重合体の物性を求めることができる。
(1)配合量比
本発明のエチレン系重合体組成物は、上記したとおり、エチレン系重合体(C)と、エチレン系重合体(D)とを含有することが必要である。
エチレン系重合体(C)とエチレン系重合体(D)との配合量比は、エチレン系重合体(C)とエチレン系重合体(D)との合計量を基準として、(C)が10〜90重量%に対し、(D)が10〜90重量%であることが必要である。好ましくは、(C)が20〜80重量%に対し、(D)が20〜80重量%、さらに好ましくは、(C)が30〜70重量%に対し、(D)が30〜70重量%である。(C)が10重量%未満であると、エチレン系重合体組成物中の高分子量成分の含有量が低下し、衝撃強度等が不十分となるため好ましくない。一方、(C)が90重量%より多いと、流動性が低下し、押出性が不十分となるため好ましくない。
本発明のエチレン系重合体組成物は、以下の特性を有することが好ましい。
(W−i)密度(W)が、0.950〜0.965g/cm3であることが好ましい。さらに好ましくは、0.950〜0.960g/cm3、特に好ましくは、0.952〜0.960g/cm3である。密度(W)が0.950g/cm3未満であると、剛性が不十分となり好ましくない。一方、0.965g/cm3より大きいと、衝撃強度等が不十分となり好ましくない。なお、エチレン系重合体組成物の密度(W)は、成分(C)及び(D)製造時のそれぞれのα−オレフィン量及び、成分(C)及び(D)の配合量により調整することができる。
本発明のエチレン系重合体(C)、エチレン系重合体(D)又はエチレン系重合体組成物は、本発明の目的を損なわない範囲において、必要に応じて、通常のポリオレフィンに添加される添加剤を含有していても良い。これらの添加剤は、1種類、又は2種類以上組み合わせて用いることができる。
該添加剤としては、例えば、耐熱安定剤、耐候安定剤などの安定剤、架橋材、架橋助剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、染料、顔料、フィラー、鉱物油系軟化剤、石油樹脂、ワックスなどが挙げられる。
本発明の薄肉容器用エチレン系重合体組成物の製造方法としては、特に制限はなく、公知の方法が適用できる。例えば、エチレン系重合体(C)とエチレン系重合体(D)とを個別に製造し、これらを上記の割合で、押出機、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダープラストグラフ、ニーダー等、通常の混練機を用いて、溶融混練して製造することができる。溶融混練する温度は、エチレン系重合体(C)及びエチレン系重合体(D)が溶融する範囲内であれば特に限定されないが、通常180〜350℃の範囲にて混練することにより製造できる。これらの混練機の中でも、単軸又は二軸の押出機又は連続式混練機を用いることができ、特に二軸押出機を用いて製造することが好ましく、常法に従い、ペレタイザーやホモジナイザー等による機械的な溶融混合によりペレット化した後、各種成形機により成形を行なって所望の成形品とすることができる。
有機充填剤としては、例えば、カーボンファイバー、カーボンブラック、カーボンナノチューブなどが挙げられ、無機充填材としては、例えば、シリカ、ケイ藻土、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、軽石粉、軽石バルーン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ドロマイト、硫酸カルシウム、チタン酸カリウム、硫酸バリウム、タルク、クレー、マイカ、ガラスフレーク、ガラスビーズ、ガラス繊維、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、モンモリロナイト、ベントナイト、硫化モリブデン、グラファイトなどが挙げられる。
充填材としては、炭酸カルシウム、タルク、金属粉(アルミニウム、銅、鉄、鉛など)、珪石、珪藻土、アルミナ、石膏、マイカ、クレー、アスベスト、グラファイト、カーボンブラック、酸化チタン等が使用可能である。
いずれの場合でも、上記エチレン系重合体に、必要に応じ各種添加剤を配合し、混練押出機、バンバリーミキサー等にて混練し、成形用材料とすることができる。
本発明の成形体は、本発明の薄肉容器用エチレン系重合体組成物を成形してなることを特徴とする。本発明においては、上記の薄肉容器用エチレン系重合体組成物を公知の成形方法にて成形することにより任意の成形体を得ることができる。
成形方法としては、特に限定されるものではなく、目的に応じて各種の成形方法で成形できるが、例えば、射出成形法などが挙げられる。これらの成形方法により、各種形状の薄肉容器などに成形することができる。
特に、本発明の樹脂用改質材を用いて改質された樹脂組成物は、機械的特性が改良され、高分子ゲルの発生が少ないという特徴があることから、射出成形により成形されることが好ましい。具体的には、薄肉容器用カップなどに成形した際に、フィッシュアイが抑えられ、外観が優れた成形品を製造することができる。
射出成形してなる成形品の製造方法については、特に限定されず、通常、従来から公知の成形機を用いた成形法等が用いられる。
さらに、本発明の成形品には、必要に応じて目的を損なわない範囲で、帯電防止剤、酸化防止剤、中和剤、滑剤、抗ブロッキング剤、防曇剤、有機あるいは無機系顔料、充填剤、無機フィラー、紫外線防止剤、分散剤、耐候剤、架橋剤、発泡剤、難燃剤などの公知の添加剤を添加することができる。
実施例で用いた測定方法は、以下の通りである。
JIS K7210:1999に準拠して測定した。
なお、成分(A)又は成分(B)のHLMFRは、少量バッチ重合の場合、エチレン系重合体製造中の水素濃度が、エチレン系重合体のHLMFRに相関することにより求めた。
一方、大量に重合する場合、第1反応工程の反応容器からエチレン系重合体を抜き出し、成分(A)のエチレン系重合体のHLMFRを測定した。ついで、第2反応工程の反応容器からエチレン系重合体を抜き出し、成分(C)のエチレン系重合体のHLMFRを測定し、第2反応工程後のHLMFRと第1反応工程後のHLMFRの間に重量%に関する加成性が成り立つことを使い求めた。
JIS K7210:1999に準拠して測定した。
JIS K7112(1999):A法(水中置換法)により測定した。
なお、成分(A)又は成分(B)の密度は、少量バッチ重合の場合、エチレン系重合体製造中のα−オレフィン濃度が、エチレン系重合体の密度に相関することにより求めた。
一方、大量に重合する場合、第1反応工程の反応容器からエチレン系重合体を抜き出し、成分(A)のエチレン系重合体の密度を測定した。ついで、第2反応工程の反応容器からエチレン系重合体を抜き出し、エチレン系重合体組成物のエチレン系重合体の密度を測定し、第2反応工程後の密度と第1反応工程後の密度の間に重量%に関する加成性が成り立つことを使い求めた。
JIS K6774(1995)付属書1の全周ノッチ式引張クリープ試験に準拠し、80℃、3.7MPaで測定を行なった。試験片は、JIS K6922−2(1997)表2の条件で作成した厚さ6mmの圧縮成形シートから切出し、全周にノッチを入れたもの(試験片厚み6mm、ノッチ深さ1mm、全周)を使用した。サンプルを浸漬する試験溶液はアルキル硫酸ナトリウム1%水溶液を用いた。
下記条件のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した。
装置:WATERS社製150C
カラム:昭和電工社製AD80M/Sを3本
測定温度:140℃
濃度:1mg/1ml
溶媒:o−ジクロロベンゼン
なお、分子量の計算及びカラムの較正は、以下の方法に準拠して行なった。
GPCクロマトデータは、1点/秒の頻度でコンピュータに取り込み、森定雄著・共立出版社発行の「サイズ排除クロマトグラフィー」第4章の記載に従ってデータ処理を行ない、Mw、Mn値を計算した。
JIS K7160−1996「プラスチック−引張衝撃強さの試験方法」に従って、試験片厚さ1.0mm、温度23℃の条件にて試験を行なった。
前述の<混ざり性評価法>にて記載した方法により、混ざり性を評価した。
その際、スキャナーの解像度は、4800dpi、画像中に占めるフィッシュアイの面積率により、1〜6の点数付けを行なった。
HLMFRが10g/10分〜5000g/10分の材料は、溶融時の流動性が適正であるため、射出成形機を用いて成形温度190℃、金型温度40℃にて成形を行なった場合、不良部分が存在せず、成形性良好(○)とし、HLMFRが10g/10分未満の材料は、溶融時の流動性が悪いため、同成形を行なった場合、不良部分が存在し、成形性不良(×)とした。
混ざり評価レートが1〜4の材料は、フィッシュアイが少ないため、成形品の外観良好(○)とし、混ざり評価レートが4を超える材料は、フィッシュアイが多いため、成形品の外観不良(×)とした。なお、30φで高さ20mmの円柱容器蓋状の金型と、東芝機械製IS−80射出成形機を用い、成形温度190℃・金型温度40℃にて成形を行い評価すると、通常、成形品の外観良好(○)である材料は、外観がきれいな良好な成形品が得られ、成形品の外観不良(×)である材料は、高分子量ゲルに由来する色味の違うブツが見られる成形品が得られる。一般に市場で使用されている薄肉容器は、マスターバッチ方式で顔料を加えて成形されることが多いが、そのように顔料を加えて成形すると、成形品の外観不良(×)である材料は、上記の高分子量ゲルに由来する色味の違うブツに顔料が混ざりにくいため、顔料を加えない場合よりもブツの存在がより際立ってみえるので、薄肉容器用に適さない。
(1)メタロセン触媒の合成
十分に窒素置換した、誘導撹拌機を装着した円筒状フラスコに、平均粒径11μmのシリカ(平均粒径11μm、表面積313m2/g、細孔容積1.6cm3/g)を3g充填し、トルエンを75ml添加し、オイルバスにより75℃に加熱した。別のフラスコにメチルアルミノキサンのトルエン溶液(アルベマール社製、3.0mol−Al/L)を8.0ml分取した。ジメチルシリレンビス[1,1’−{2−(2−(5−メチル)フリル)−4−(p−イソプロピルフェニル)−インデニル}]ジルコニウムジクロリド(63.4mg、75μmol)のトルエン溶液(15ml)をメチルアルモキサンのトルエン溶液に室温で添加し、75℃に昇温した後、1時間撹拌した。次いで、75℃に加熱したシリカのトルエンスラリーに、このトルエン溶液を、撹拌しながら添加し1時間保持した。その後、23℃において攪拌しながらn−ヘキサンを175ml添加し、10分後、攪拌を停止し静置した。触媒を十分沈降させた後、上澄みを除去し、n−ヘキサンを200ml添加した。一旦攪拌した後、再度、静置し上澄みを除去した。この操作を3回繰り返して、n−ヘキサンに遊離してくる成分を除去した。更に、40℃加熱した状態で、減圧により溶媒を留去した。減圧度が0.8mmHg以下となってから、さらに15分間減圧乾燥を継続しシリカ担持メタロセン触媒Aを得た。
直径が10mmの磁性ボール約700個を入れた内容積が1Lのポット(粉砕用容器)に窒素雰囲気で市販のマグネシウムエチラート(平均粒径860μm)20g(17.8mmol)、粒状の三塩化アルミニウム1.64g(12.3mmol)及びジフェニルジエトキシシラン2.40g(8.81mmol)を入れた。次いで、振動ボールミルを用い、振幅が6mm及び振動数が30Hzの条件で3時間共粉砕を行なった。共粉砕後、内容物を窒素雰囲気下で磁性ボールと分離した。
以上のようにして得られた共粉砕生成物10.0g及び40mlのヘプタンを200mlの三つ口フラスコに加えた。撹拌しながら室温において10.0g(52.7mmol)の四塩化チタンを滴下し、90℃まで昇温し、90分間撹拌を続けた。次いで、反応系を冷却した後、上澄み液を抜き取り、ヘキサンを加えた。この操作を3回繰り返した。得られた淡黄色の固体を50℃にて減圧下で6時間乾燥を行なって、固体触媒15.6gを得た。
この固体触媒のヘキサンスラリー溶液を誘導攪拌装置付き重合反応器に入れ、温度を40℃に維持し、0.27mmolのトリイソブチルアルミニウムを加えて水素分圧0.074MPa、エチレン分圧0.20MPaにて予備重合を実施し、固体触媒1gあたりポリマー生成量0.46gの予備重合チーグラー触媒Dを得た。
2つの重合液体充填ループ型反応器が直列に連結された二槽連続重合装置に、脱水精製イソブタン、トリイソブチルアルミニウム、上記(2)で得られた予備重合チーグラー触媒D、エチレンを連続的に供給し、95℃でエチレンを重合することにより成分(D)((D−1)〜(D−8)及び(CD−1)〜(CD−4))の製造を実施した。なお、成分(D)のHLMFRの調節は水素を適量供給することにより実施した。
成分(A)、成分(B)を製造した際の重合条件を表3に示した。
次のようにして成分(A−1)と成分(B−1)の製造を行ない、連続重合することにより、二段重合品であるエチレン系重合体(C−1)247gを製造した。(C−1)のHLMFRは2.3g/10分であり、密度は0.944g/cm3であった。
上記シリカ担持メタロセン触媒Aによるエチレン・1−ヘキセン共重合を行なうことにより、成分(A−1)を製造した。すなわち、誘導撹拌装置付き2Lオートクレーブにイソブタン800mL、1−ヘキセン1.0mL、トリイソブチルアルミニウム0.10mmol、Stadis450(The Associated Octel社製、ポリスルホンコポリマー、高分子ポリアミン、及び油溶性スルホン酸の混合物)のトルエン希釈液(2g/L)0.8mlを加え、80℃に昇温し、水素を50mL添加し、更にエチレンを導入してエチレン分圧を1.0MPaに保った。次いで、該触媒A 24mgを窒素で圧入し、エチレン分圧1.0MPa、温度80℃を保って32分間重合を継続した。なお、重合反応中、エチレン消費速度に比例した供給速度にてH2及び1−ヘキセンの追加供給を実施した。その結果、エチレンは96gが反応により消費され、重合開始10分後と重合終了時のオートクレーブ気相部のH2/C2(水素/エチレン)モル比はそれぞれ0.132%、0.187%であり、追加供給した1−ヘキセン量は1.0mLであった。この時得られた成分(A−1)のHLMFRは0.78g/10分であり、密度は0.936g/cm3であった。
上記のように成分(A−1)を製造した後、温度と圧力を維持したまま水素130mLを速やかに追加してエチレン・1−ヘキセン共重合を更に88分継続して成分(B−1)を製造した。なお、重合反応中、エチレン消費速度に比例した供給速度にてH2及び1−ヘキセンの追加供給を実施した。その結果、エチレンは124gが反応により消費され、水素を追加して10分後と重合終了時のH2/C2モル比はそれぞれ0.617%、0.244%であり、追加供給した1−ヘキセン量は1.5mLであった。この時得られた成分(B−1)のHLMFRは18g/10分であった。
次のようにして成分(A−2)と成分(B−2)の製造を行ない、連続重合することにより、二段重合品であるエチレン系重合体(C−2)226gを製造した。(C−2)のHLMFRは1.2g/10分であり、密度は0.938g/cm3であった。
上記実施例1の成分(A−1)と同様にして、成分(A−2)を製造した。ただし、触媒量は21mgであり、重合時間は37分であった。その結果、エチレンは96gが反応により消費され、重合開始10分後と重合終了時のH2/C2比はそれぞれ0.143%、0.151%であり、追加供給した1−ヘキセン量は1.0mLであった。この時得られた成分(A−2)のHLMFRは0.64g/10分であり、密度は0.936g/cm3であった。
成分(A−2)を製造した後、上記実施例1の成分(B−1)と同様にして、成分(B−2)を製造した。ただし、追加した水素は40mLであり、重合時間は48分であった。その結果、エチレンは114gが反応により消費され、水素を追加して10分後と重合終了時のH2/C2モル比はそれぞれ0.152%、0.177%であり、追加供給した1−ヘキセン量は1.0mLであった。この時得られた成分(B−2)のHLMFRは1.4g/10分であった。
次のようにして成分(A−3)と成分(B−3)の製造を行ない、連続重合することにより、二段重合品であるエチレン系重合体(C−3)303gを製造した。(C−3)のHLMFRは1.9g/10分であり、密度は0.932g/cm3であった。
上記実施例1の成分(A−1)と同様にして、成分(A−3)を製造した。ただし、水素は45mLであり、触媒量は23mgであり、重合時間は50分であった。その結果、エチレンは144gが反応により消費され、重合開始10分後と重合終了時のH2/C2比はそれぞれ0.135%、0.180%であり、追加供給した1−ヘキセン量は6.1mLであった。この時得られた成分(A−3)のHLMFRは0.77g/10分であり、密度は0.930g/cm3であった。
成分(A−3)を製造した後、上記実施例1の成分(B−1)と同様にして、成分(B−3)を製造した。ただし、追加した水素は135mLであり、重合時間は130分であった。その結果、エチレンは120gが反応により消費され、水素を追加して10分後と重合終了時のH2/C2モル比はそれぞれ0.191%、0.272%であり、追加供給した1−ヘキセン量は5.1mLであった。この時得られた成分(B−3)のHLMFRは3.2g/10分であった。
次のようにして成分(A−4)と成分(B−4)の製造を行ない、連続重合することにより、二段重合品であるエチレン系重合体(C−4)212gを製造した。(C−4)のHLMFRは6.2g/10分であり、密度は0.939g/cm3であった。
上記実施例1の成分(A−1)と同様にして、成分(A−4)を製造した。ただし、水素は45mLであり、触媒量は23mgであり、重合時間は30分であった。その結果、エチレンは66gが反応により消費され、重合開始10分後と重合終了時のH2/C2比はそれぞれ0.104%、0.146%であり、追加供給した1−ヘキセン量は2.7mLであった。この時得られた成分(A−4)のHLMFRは0.46g/10分であり、密度は0.934g/cm3であった。
成分(A−4)を製造した後、上記実施例1の成分(B−1)と同様にして、成分(B−4)を製造した。ただし、追加した水素は200mLであり、重合時間は91分であった。その結果、エチレンは101gが反応により消費され、水素を追加して10分後と重合終了時のH2/C2モル比はそれぞれ0.991%、0.268%であり、追加供給した1−ヘキセン量は4.5mLであった。この時得られた成分(B−4)のHLMFRは90g/10分であった。
次のようにして成分(A−5)と成分(B−5)の製造を行ない、連続重合することにより、二段重合品であるエチレン系重合体(C−5)242gを製造した。(C−5)のHLMFRは1.3g/10分であり、密度は0.934g/cm3であった。
上記実施例1の成分(A−1)と同様にして、成分(A−5)を製造した。ただし、水素は40mLであり、触媒量は24mgであり、重合時間は50分であった。その結果、エチレンは148gが反応により消費され、重合開始10分後と重合終了時のH2/C2比はそれぞれ0.117%、0.228%であり、追加供給した1−ヘキセン量は6.3mLであった。この時得られた成分(A−5)のHLMFRは0.93g/10分であり、密度は0.932g/cm3であった。
成分(A−5)を製造した後、上記実施例1の成分(B−1)と同様にして、成分(B−5)を製造した。ただし、追加した水素は140mLであり、重合時間は25分であった。その結果、エチレンは68gが反応により消費され、水素を追加して10分後と重合終了時のH2/C2モル比はそれぞれ0.411%、0.414%であり、追加供給した1−ヘキセン量は2.9mLであった。この時得られた成分(B−5)のHLMFRは15g/10分であった。
前述の実施例の条件に準じて、重合装置内の温度を70℃に維持して、表1に記載の成分(A−6)、成分(B−6)をその順序で連続多段重合を行ない、エチレン系重合体である成分(C−6)を大量に製造した。成分(C−6)と表1に記載の成分(D−6)(被改質成分)の二成分を溶融混練によりブレンドすることによりエチレン系重合体組成物を製造した。該組成物のHLMFRは27.1g/10分であり、密度は0.956g/cm3であり、混ざり評価の結果は良好であった。
前述の実施例の条件に準じて、重合装置内の温度を70℃に維持して、表1に記載の成分(A−6)、成分(B−6)をその順序で連続多段重合を行ない、エチレン系重合体である成分(C−6)を大量に製造した。成分(C−6)と表1に記載の成分(D−7)(被改質成分)の二成分を溶融混練によりブレンドすることによりエチレン系重合体組成物を製造した。該組成物のHLMFRは73.0g/10分であり、密度は0.959g/cm3であり、混ざり評価の結果は良好であった。
前述の実施例の条件に準じて、重合装置内の温度を70℃に維持して、表1に記載の成分(A−7)、成分(B−7)をその順序で連続多段重合を行ない、エチレン系重合体である成分(C−7)を大量に製造した。成分(C−7)と表1に記載の成分(D−8)(被改質成分)の二成分を溶融混練によりブレンドすることによりエチレン系重合体組成物を製造した。該組成物のHLMFRは1600g/10分であり、密度は0.959g/cm3であり、混ざり評価の結果は良好であった。
次のようにして成分(CA−1)と成分(CB−1)の製造を別々に行なった。これら二成分を溶融混練によりブレンドしたエチレン系重合体組成物のHLMFRは1.2g/10分であり、密度は0.937g/cm3であった。
上記実施例1の成分(A−1)と同様にして、成分(CA−1)を製造した。ただし、水素は55mLであり、触媒量は24mgであり、重合時間は27分であった。その結果、エチレンは107gが反応により消費され、重合開始10分後と重合終了時のH2/C2比はそれぞれ0.140%、0.132%であり、追加供給した1−ヘキセン量は1.0mLであった。この時得られた成分(CA−1)は119gであり、HLMFRは0.6g/10分であり、密度は0.933g/cm3であった。
上記実施例1の成分(A−1)と同様にして、成分(CB−1)を製造した。ただし、水素は100mLであり、触媒量は20mgであり、重合時間は34分であった。その結果、エチレンは101gが反応により消費され、重合開始10分後と重合終了時のH2/C2比はそれぞれ0.236%、0.269%であり、追加供給した1−ヘキセン量は1.0mLであった。この時得られた成分(CB−1)は110gであり、HLMFRは2.5g/10分であり、密度は0.941g/cm3であった。
次のようにして成分(CA−2)と成分(CB−2)の製造を別々に行なった。これら二成分を溶融混練によりブレンドしたエチレン系重合体組成物のHLMFRは3.3g/10分であり、密度は0.940g/cm3であった。
上記比較例1の成分(CA−1)と同様にして、成分(CA−2)を製造した。この時得られた成分(CA−2)は、HLMFRは0.6g/10分であり、密度は0.933g/cm3であった。
上記実施例1の成分(A−1)と同様にして、成分(CB−2)を製造した。ただし、水素は180mLであり、触媒量は23mgであり、重合時間は30分であった。その結果、エチレンは96gが反応により消費され、重合開始10分後と重合終了時のH2/C2比はそれぞれ0.438%、0.415%であり、追加供給した1−ヘキセン量は1.0mLであった。この時得られた成分(CB−2)は105gであり、HLMFRは17.7g/10分であり、密度は0.947g/cm3であった。
上記比較例1の成分(CA−1)と同様にして、成分(CA−3)を製造した。この時得られた成分(CA−3)は、HLMFRは0.6g/10分であり、密度は0.933g/cm3であった。
上記比較例1の成分(CA−1)と同様にして、成分(CA−4)を製造した。ただし、水素は60mLであり、触媒量は23mgであり、重合時間は120分であった。その結果、エチレンは191gが反応により消費され、重合開始10分後と重合終了時のH2/C2比はそれぞれ0.137%、0.064%であり、追加供給した1−ヘキセン量は2.0mLであった。この時得られた成分(CA−4)は222gであり、HLMFRは0.5g/10分であり、密度は0.929g/cm3であった。
上述のメタロセン触媒により製造されたエチレン系重合体と、チーグラー触媒により製造されたエチレン重合体(被改質成分)の溶融混合は、株式会社東洋精機製作所製ラボプラストミルにより混練した。ローラ形ブレードR100を使用し、70gのサンプルを充填後、170℃の試験温度にて、5分間余熱後、40rpmの回転数で1分間混練を行なった。得られたサンプルについて、MFR、HLMFR、密度、混ざり性、引張衝撃試験、フルノッチクリープ試験を実施した。
以上のとおり、表1及び2に示す結果から、実施例1〜8と比較例1〜4とを対比すると、本発明の特定要件を満たさないものは、混ざり評価が実施例のポリエチレンに対して見劣りしている。
実施例1と比較例2を対比すると、ブレンド材を構成する各エチレン系重合体の成分について、配合比率、HLMFR及び密度がほぼ同等であり、かつ製造される組成物のHLMFR及び密度がほぼ同等であるにも関わらず、多段重合により製造されたエチレン系重合体を使用した実施例1の混ざり性は、各成分を別々に重合した比較例2の混ざり性よりも著しく改善されている。
Claims (11)
- 密度(D)が、0.900〜0.975g/cm3であり、メルトフローレート(MFR(D)、JIS K7210に準じて、温度190℃、荷重2.16kgにて測定される)が、10〜200g/10分であるエチレン系重合体(D)10〜90重量%に対して、下記の成分(A)及び成分(B)に関して、成分(A)のHLMFR(A)に対する成分(B)のHLMFR(B)の割合(HLMFR(B)/HLMFR(A))が、1.5〜5000であり、成分(A)と成分(B)との合計重量を基準として、成分(B)の含有重量比(X(B))に対する成分(A)の含有重量比(X(A))の割合(X(A)/X(B))が、0.11〜4であり、成分(A)及び成分(B)をこの順で多段重合してなるエチレン系重合体(C)90〜10重量%を含有する組成物であって、当該組成物からなるシートの表面を画像撮影した画像中のフィッシュアイの面積率が5.0%以下であることを特徴とする薄肉容器用エチレン系重合体組成物。
成分(A):密度(A)が、0.900〜0.950g/cm3であり、ハイロードメルトフローレート(HLMFR(A)、JIS K7210に準じて、温度190℃、荷重21.60kgにて測定される)が、0.1〜100g/10分であるエチレン系重合体。
成分(B):密度(B)が、0.900〜0.970g/cm3であり、ハイロードメルトフローレート(HLMFR(B))が、0.5〜500g/10分であるエチレン系重合体。 - エチレン系重合体(C)の密度(C)が、0.900〜0.968g/cm3であり、ハイロードメルトフローレート(HLMFR(C))が、0.14〜700g/10分である請求項1に記載の薄肉容器用エチレン系重合体組成物。
- 密度(W)が、0.950〜0.965g/cm3であり、メルトフローレート(MFR(W)、JIS K7210に準じて、温度190℃、荷重2.16kgにて測定される)が、1〜100g/10分である請求項1又は2に記載の薄肉容器用エチレン系重合体組成物。
- ハイロードメルトフローレート(HLMFR(W))が、10〜5000g/10分である請求項1〜3のいずれかに記載の薄肉容器用エチレン系重合体組成物。
- 成分(A)のゲルパーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)で測定される重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比(Mw/Mn)が、2以上5未満である請求項1〜4のいずれかに記載の薄肉容器用エチレン系重合体組成物。
- 成分(A)及び成分(B)が、メタロセン触媒により重合されたエチレン系重合体である請求項1〜5のいずれかに記載の薄肉容器用エチレン系重合体組成物。
- 成分(A)及び成分(B)が、チーグラー触媒により重合されたエチレン系重合体である請求項1〜5のいずれかに記載の薄肉容器用エチレン系重合体組成物。
- 成分(A)及び成分(B)が、気相重合法又はスラリー重合法により重合されたものである請求項1〜7のいずれかに記載の薄肉容器用エチレン系重合体組成物。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の薄肉容器用エチレン系重合体組成物を成形してなる成形体。
- 成形体が射出成形してなる請求項9に記載の成形体。
- 密度(D)が、0.900〜0.975g/cm 3 であり、メルトフローレート(MFR(D)、JIS K7210に準じて、温度190℃、荷重2.16kgにて測定される)が、10〜200g/10分であるエチレン系重合体(D)10〜90重量%に対して、下記の成分(A)及び成分(B)に関して、成分(A)のHLMFR(A)に対する成分(B)のHLMFR(B)の割合(HLMFR(B)/HLMFR(A))が、1.5〜5000であり、成分(A)と成分(B)との合計重量を基準として、成分(B)の含有重量比(X(B))に対する成分(A)の含有重量比(X(A))の割合(X(A)/X(B))が、0.11〜4であり、成分(A)及び成分(B)をこの順で多段重合してなるエチレン系重合体(C)90〜10重量%を溶融混練して組成物とし当該組成物からなるシートの表面を画像撮影した画像中のフィッシュアイの面積率が5.0%以下である薄肉容器用エチレン系重合体組成物の製造方法。
成分(A):密度(A)が、0.900〜0.950g/cm 3 であり、ハイロードメルトフローレート(HLMFR(A)、JIS K7210に準じて、温度190℃、荷重21.60kgにて測定される)が、0.1〜100g/10分であるエチレン系重合体。
成分(B):密度(B)が、0.900〜0.970g/cm 3 であり、ハイロードメルトフローレート(HLMFR(B))が、0.5〜500g/10分であるエチレン系重合体。
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