本発明の実施の形態による探傷装置は、装置本体と、検出素子と、第1転動機構と、第2転動機構と、切替機構とを備える。装置本体は、管の表面上に配置することができる。検出素子は、装置本体に設けられ、管の欠陥を検出する。第1転動機構は、装置本体に設けられる。第1転動機構は、少なくとも1つの球体を含む。球体は、管の表面に接触可能に配置されている。第1転動機構は、球体が管の表面上で管の軸方向及び周方向に転がることを許容する。第2転動機構は、装置本体に設けられる。第2転動機構は、少なくとも1つの車輪を含む。車輪は、管の表面に接触可能に配置されている。第2転動機構は、車輪が管の表面上で管の軸方向に転がることを許容する。切替機構は、装置本体に設けられる。切替機構は、第1転動機構及び第2転動機構の一方を装置本体に対して変位させることにより、動作モードを切り替える。動作モードには、第1動作モードと、第2動作モードとが含まれる。第1動作モードでは、装置本体が第1転動機構に基づいて管の表面上を移動する。第2動作モードでは、装置本体が第2転動機構に基づいて管の表面上を移動する。
上記探傷装置は、第1動作モードである場合、管の表面上を、管の軸方向及び周方向に移動できる。そのため、例えば、管に付されたマーキングの近傍を探傷して、管の欠陥の位置を特定する作業が容易になる。
上記探傷装置は、第2動作モードである場合、管の表面上を、管の軸方向にのみ移動できる。そのため、例えば、欠陥の大きさを特定し易くなる。
したがって、上記探傷装置においては、欠陥を特定する作業を容易に行うことができる。
管は、例えば、炭素繊維を含む合成樹脂からなるものであってもよいし、金属からなるものであってもよい。管が金属管である場合、金属管は、例えば、溶接に起因する継目がないものであってもよいし、溶接に起因する継目があるものであってもよい。
好ましくは、第2転動機構は、車輪を回転させる駆動機構をさらに含む。この場合、探傷装置は、略一定の速度で移動しながら、欠陥を検出できる。そのため、欠陥の大きさを特定する作業が容易になる。
好ましくは、探傷装置は、車輪の回転を検出するエンコーダをさらに備える。この場合、欠陥の大きさ、具体的には、管の軸方向での長さを特定するときの精度が向上する。
好ましくは、探傷装置は、スプリングをさらに備える。スプリングは、装置本体が管の表面上に配置されているときに、検出素子を管の表面に押し当てる。管の直径が異なる場合であっても、検出素子を管の表面に安定して接触させることができる。
好ましくは、検出素子は、素子本体と、アタッチメントとを含む。アタッチメントは、素子本体に対して着脱可能に設けられる。アタッチメントは、装置本体が管の表面上に配置されているときに、管の表面に接する。管の直径が異なる場合であっても、アタッチメントを変更することで、検出素子を管の表面に安定して接触させることができる。
好ましくは、探傷装置は、磁石と、操作機構とをさらに備える。操作機構は、磁石を装置本体に対して変位させる。操作機構は、装置本体が管の表面上に配置されているときに、磁石を管の表面に接触させる。管が磁性材料からなる場合には、探傷装置を管の表面上に固定できる。
好ましくは、装置本体は、底面を含む。底面は、装置本体が管の表面上に配置されているときに、管の表面に対向する。底面は、中央底面と、一対の傾斜底面とを含む。一対の傾斜底面は、管の周方向で中央底面の両隣に位置し、中央底面に対して傾斜している。第1転動機構は、球体を複数含む。第2転動機構は、車輪を複数含む。一対の傾斜底面のそれぞれに、球体が少なくとも1つ配置されている。一対の傾斜底面のそれぞれに、車輪が少なくとも1つ配置されている。この場合、探傷装置が管の表面上に配置された状態を安定させることができる。
管の直径が異なる場合であっても、球体及び車輪を管の表面に接触させることができる。そのため、管の直径が異なる場合であっても、探傷装置を管の表面上で移動させることができる。
好ましくは、装置本体は、底面を含む。底面は、装置本体が管の表面上に配置されているときに、管の表面に対向する。球体及び車輪は、底面に配置されている。探傷装置は、磁石をさらに備える。磁石は、底面に配置される。装置本体が管の表面上に配置されているとき、磁石と管との間には、隙間が形成されている。管が磁性材料からなる場合、探傷装置を管の表面上に安定して配置できる。
[実施の形態]
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態による探傷装置10について説明する。図中同一又は相当部分には、同一符号を付して、その説明は繰り返さない。本実施形態では、管が継目無鋼管である場合を例に説明するが、管は継目無金属管に限定されない。
図1は、探傷装置10の平面図である。図2は、探傷装置10において、カバー26を取り外した状態を示す平面図である。図3は、探傷装置10の底面図である。図4は、探傷装置10の前後方向での断面図である。図5は、探傷装置10の幅方向(平面視で前後方向に垂直な方向)での断面図である。図6は、探傷装置10の幅方向での断面図であって、探傷装置10が小径の継目無金属管の表面上に配置されている状態を示す。なお、図4において、右半分は、探傷装置10が大径の継目無金属管の表面上に配置されている状態を示し、左半分は、探傷装置10が小径の継目無金属管の表面上に配置されている状態を示す。以下、図1〜図6参照しながら、探傷装置10について説明する。
図1、図2、図3、図5及び図6に示すように、探傷装置10は、装置本体12と、検出素子14と、第1転動機構16と、第2転動機構18と、切替機構20とを備える。
図1、図2、図5及び図6に示すように、装置本体12は、ベース部材22と、カバー24A、24Bと、カバー26と、カバー28A,28Bと、把持部30とを含む。
図3、図5及び図6に示すように、ベース部材22は、底面23を備える。底面23は、図5及び図6に示すように、探傷装置10が継目無金属管SPの表面SF上に配置されているときに、表面SFと対向する。底面23は、中央底面23Aと、一対の傾斜底面23B、23Cとを含む。
図3に示すように、中央底面23Aは、略一定の幅寸法で、前後方向(図3の上下方向)に延びている。つまり、中央底面23Aは、探傷装置10が継目無金属管SPの表面SFに配置された状態(図5及び図6参照)で、継目無金属管SPの軸方向に略一定の幅寸法で延びている。このことから明らかなように、探傷装置10の前後方向は、継目無金属管SPの軸方向と一致している。
図5及び図6に示すように、一対の傾斜底面23B、23Cは、継目無金属管SPの周方向で中央底面23Aの両隣に位置する。各傾斜底面23B、23Cは、中央底面23Aに対して傾斜している。各傾斜底面23B、23Cは、図3に示すように、略一定の幅寸法で、前後方向(図3の上下方向)に延びている。
図4に示すように、ベース部材22には、2つの凹部22A、22Bが形成されている。2つの凹部22Aは、前後方向(図4の左右方向)に離れている。
図4に示すように、凹部22A内には、駆動ユニット32Aが配置されている。凹部22B内には、駆動ユニット32Bが配置されている。各駆動ユニット32A、32Bは、例えば、電動モータと、減速手段とを含む。減速手段は、例えば、減速歯車列等である。
図2に示すように、各駆動ユニット32A、32Bは、2つの出力軸34A、34Bを含む。出力軸34Aには、出力歯車36Aが配置されている。出力軸34Bには、出力歯車36Bが配置されている。
図2及び図4に示すように、カバー24Aは、駆動ユニット32Aを覆う。カバー24Bは、駆動ユニット32Bを覆う。
図2、図4〜図6に示すように、ベース部材22には、支持ユニット38が配置されている。つまり、装置本体12は、支持ユニット38を含む。支持ユニット38は、ベース部材22に対して上下方向(図4〜図6の上下方向)に移動可能である。
図2及び図4に示すように、支持ユニット38は、本体38Aと、凸部38Bとを備える。凸部38Bは、本体38Aの下面から下方に向かって突出している。図2及び図3に示すように、凸部38Bの断面形状(突出方向に垂直な方向の断面形状)は、ベース部材22に形成された孔40の開口形状よりも一回り小さい。凸部38Bが孔40内を移動することにより、支持ユニット38がベース部材22に対して上下方向に移動する(図4〜図6参照)。
図3及び図4に示すように、支持ユニット38は、2つのボールベアリング42A、42Bを備える。2つのボールベアリング42A、42Bは、凸部38Bの先端に配置されている。2つのボールベアリング42A、42Bは、凸部38Bの突出方向で同じ位置に配置されている。2つのボールベアリング42A、42Bは、前後方向に離れている。
図3及び図4に示すように、各ボールベアリング42A、42Bは、球体44と、ハウジング46とを備える。ハウジング46は、球体44を回転可能に支持する。
図2〜図6に示すように、支持ユニット38には、検出素子14が配置されている。つまり、検出素子14は、装置本体12に設けられる。検出素子14は、探傷装置10が継目無金属管SPの表面SF上に配置されている状態(図5及び図6参照)で、継目無金属管SPの欠陥を検出できるものであれば、特に限定されない。検出素子14は、例えば、超音波探触子であってもよいし、渦流センサアレイであってもよい。因みに、本実施形態では、検出素子14は、超音波探触子である。
図2〜図6に示すように、検出素子14は、素子本体14Aと、アタッチメント14Bとを含む。
図4に示すように、素子本体14Aには、コード15の一端が接続される。コード15の他端は、探傷装置10とは別に設けられた測定装置に接続される。素子本体14Aが検出した信号は、コード15を介して、測定装置に送られる。測定装置は、表示部を備える。測定装置は、素子本体14Aから送られてきた信号を処理し、その結果を表示部に表示する。
アタッチメント14Bは、いわゆる楔である。アタッチメント14Bは、素子本体14Aに対して着脱可能に設けられている。図5及び図6に示すように、アタッチメント14Bは、探傷装置10が継目無金属管SPの表面SF上に配置されているときに、継目無金属管SPの表面SFに接している。
図3及び図4に示すように、検出素子14は、2つのボールベアリング42A、42Bの間に配置される。検出素子14は、支持ユニット38に形成された孔48内に配置される。この状態で、検出素子14は、図2、図3及び図4に示すように、一対の取付機構50、50及び一対の取付機構52、52により、支持ユニット38に取り付けられる。
図4、図7〜図10を参照しながら、一対の取付機構50、50及び一対の取付機構52、52について説明する。図7は、一対の取付機構50、50により、検出素子14が支持ユニット38に取り付けられている状態を示す平面図である。図8は、一対の取付機構50、50により、検出素子14が支持ユニット38に取り付けられていない状態を示す平面図である。図9は、一対の取付機構52、52により、検出素子14が支持ユニット38に取り付けられている状態を示す平面図である。図10は、一対の取付機構52、52により、検出素子14が支持ユニット38に取り付けられていない状態を示す平面図である。
図2、図7及び図8に示すように、一対の取付機構50、50の各々は、回転体50Aと、取付部材50Bと、ねじ50Cとを含む。
回転体50Aは、支持ユニット38の上面に配置されている。回転体50Aは、支持ピン54の中心軸線周りに回転可能である。回転体50Aの外周面の一部は、支持ピン54の中心軸線と平行な平面である。
取付部材50Bは、筒56と、軸58とを含む。軸58は、筒56の外周面から突出している。軸58は、支持ユニット38の上面に開口する2つの孔60A、60Bの何れかに挿入される。
ねじ50Cは、筒56に挿入されて、回転体50Aに取り付けられる。
図4、図9及び図10に示すように、一対の取付機構52、52の各々は、保持部材62と、2つのねじ64とを含む。
保持部材62は、凸部38Bの先端に配置される。保持部材62は、前後方向にスライド可能である。保持部材62には、2つの孔62A(図4参照)が形成されている。各孔62Aは、前後方向に延びる長孔である。各孔62Aには、ねじ64が挿入される。ねじ64は、凸部38に取り付けられる。
検出素子14は、以下のようにして、一対の取付機構50、50及び一対の取付機構52、52により、支持ユニット38に取り付けられる。
先ず、孔40内に検出素子14を配置する。このとき、検出素子14(具体的には、アタッチメント14B)は、一対の保持部材62、62の間に位置する。各保持部材62を検出素子14に向けて移動させて、図9に示すように、一対の保持部材62、62により、検出素子14を挟む。この状態で、ねじ64を締める。このとき、アタッチメント14Bに形成された段差141が各保持部材62に接触する。これにより、検出素子14が孔40から抜け出す(具体的には、支持ユニット38の下方へ抜け出す)のを防ぐことができる。
続いて、回転体50Aを支持ピン54周りに回転させて、孔40が開口する方向、つまり、上下方向から見て、回転体50Aの一部を検出素子14(具体的には、素子本体14A)に重ねる。続いて、取付部材50Bの軸58を孔60Aに挿入する。続いて、取付部材50Bの筒56にねじ50Cを挿入し、ねじ50Cを回転体50Aに取り付ける。これにより、図7に示すように、一対の取付機構50、50により、検出素子14が孔40から抜け出す(具体的には、支持ユニット38の上方へ抜け出す)のを防ぐことができる。
上述のようにして、検出素子14が孔40から抜け出すのが防止される。その結果、検出素子14が支持ユニット38に取り付けられる。
検出素子14は、以下のようにして、支持ユニット38から取り外すことができる。
先ず、ねじ50Cを回転体50Aから取り外し、取付部材50Bの筒56から抜き取る。続いて、回転体50Aを支持ピン54周りに回転させて、孔40が開口する方向、つまり、上下方向から見て、回転体50Aが検出素子14(具体的には、素子本体14A)に重ならないようにする。これにより、検出素子14を孔40から抜き取ることができる。なお、回転体50Aが上記の位置にある場合に、取付部材50Bの軸58を孔60Bに挿入した後、取付部材50Bの筒56にねじ50Cを挿入し、ねじ50Cを回転体50Aに取り付けてもよい。この場合、図8に示すように、回転体50Aを上記の位置で固定することができる。
或いは、ねじ64を緩めて、図10に示すように、各保持部材62を検出素子14から離す方向に移動させる。これにより、検出素子14を孔40から抜き取ることができる。
図2及び図4に示すように、支持ユニット38は、2つの支持軸66を備える。2つの支持軸66は、前後方向に離れている。支持軸66の一端部は、支持ユニット38に形成された凹部68内に位置している。支持軸66の他端部は、ベース部材22に形成された孔70に挿入される。凹部68及び孔70のガイド作用により、支持軸66が上下方向に移動できる。支持軸66には、操作レバー72が設けられている。支持軸66の他端部には、磁石74が取り付けられている。
図11A及び図11Bを参照しながら、支持軸66を上下に移動させた場合について説明する。図11Aは、支持軸66に設けられた磁石74が継目無金属管SPの表面SFから離れている状態を示す断面図である。図11Bは、支持軸66に設けられた磁石74が継目無金属管SPの表面SFに接触している状態を示す断面図である。
支持軸66の上下方向への移動は、操作レバー72を回転操作することで行われる。探傷装置10が継目無金属管SPの表面SF上に配置された状態で、操作レバー72を回転操作する。図11Aに示すように、磁石74が表面SFから離れているときに、操作レバー72を回転操作することにより、図11Bに示すように、磁石74が表面SFに接触する。継目無金属管SPが磁性材料からなる場合、磁石74の磁力の作用により、探傷装置10を継目無金属管SP上に固定させることができる。一方、図11Bに示すように、磁石74が表面SFに接しているときに、操作レバー72を回転操作することにより、図11Aに示すように、磁石74が表面SFから離れる。これにより、磁石74の磁力の作用を利用した、探傷装置10の継目無金属管SPへの固定状態を解除することができる。つまり、本実施形態では、操作レバー72及び支持軸66を含んで、操作機構が実現されている。
図1、図4〜図6に示すように、ベース部材22には、カバー26が配置されている。カバー26は、支持ユニット38を覆う。
図1、図4〜図6に示すように、カバー26には、把持部30が配置されている。作業者は、把持部30を持ちながら、探傷装置10を継目無金属管SPの表面SF上で移動させる。
図4に示すように、把持部30には、凹部30Aが形成されている。カバー26の側壁には、切欠26Aが形成されている。カバー26の天板には、開口26Bが形成されている。検出素子14に接続されたコード15は、凹部30A、開口26B及び切欠26Aを介して、探傷装置10の外部へと延びている。
図2、図3、図5及び図6に示すように、探傷装置10は、2つのコイルスプリング102を、さらに備える。コイルスプリング102の一端は、ベース部材22に形成された孔104内に位置する。コイルスプリング102の一端は、ベース部材22に固定される。コイルスプリング102の他端は、支持ユニット38に設けられた筒106内に位置する。コイルスプリング102の他端は、筒106に固定される。筒106の一端(コイルスプリング102が固定されているほうの端)は、把持部30に形成された凹部30B内に位置する。
支持ユニット38には、支持ユニット38をベース部材22に近づける方向に、コイルスプリング102の付勢力が、常時、及ぼされる。その結果、図5及び図6に示すように、互いに異なる直径を有する継目無金属管SPの表面SF上に探傷装置10が配置される場合であっても、検出素子14が表面SFに接触する。
図2、図3、図5及び図6に示すように、探傷装置10は、2つのロッド108を、さらに備える。ロッド108は、支持ユニット38に設けられた筒110に挿入される。ロッド108の一端は、ベース部材22に固定される。ロッド108の他端は、把持部30に固定される。
図2及び図3に示すように、ベース部材22には、第1転動機構16が配置されている。第1転動機構16は、複数(本実施形態では、8つ)のボールベアリング16A〜16Hを備える。
8つのボールベアリング16A〜16Hのうち、4つのボールベアリング16A〜16Dは、傾斜底面23Bに配置されている。これらのボールベアリング16A〜16Dは、前後方向に並んでいる。2つのボールベアリング16A、16Bは、検出素子14よりも前方に位置する。2つのボールベアリング16C、16Dは、検出素子14よりも後方に位置する。
8つのボールベアリング16A〜16Hのうち、4つのボールベアリング16E〜16Hは、傾斜底面23Cに配置されている。これらのボールベアリング16E〜16Hは、前後方向に並んでいる。2つのボールベアリング16E、16Fは、検出素子14よりも前方に位置する。2つのボールベアリング16G、16Hは、検出素子14よりも後方に位置する。
各ボールベアリング16A〜16Hは、球体76と、ハウジング78と、伝達軸80とを備える。ハウジング78は、球体76を回転可能に支持する。伝達軸80は、ハウジング78に設けられている。
図3に示すように、ベース部材22の底面23には、複数(本実施形態では、8つ)の磁石17A〜17Hが配置されている。
8つの磁石17A〜17Hのうち、4つの磁石17A〜17Dは、傾斜底面23Bに配置されている。磁石17Aは、ボールベアリング16Aとボールベアリング16Bとの間に位置する。磁石17B及び磁石17Cは、ボールベアリング16Bとボールベアリング16Cとの間に位置する。磁石17Dは、ボールベアリング16Cとボールベアリング16Dとの間に位置する。
図4に示すように、4つの磁石17A〜17Dの各々の端面は、傾斜底面23Bに垂直な方向において、傾斜底面23Bと同じ位置にある。つまり、4つの磁石17A〜17Dは、探傷装置10が継目無金属管SPの表面SF上に配置された状態(図5及び図6参照)で、表面SFから離れている。
図3に示すように、8つの磁石17A〜17Hのうち、4つの磁石17E〜17Hは、傾斜底面23Cに配置されている。磁石17Eは、ボールベアリング16Eとボールベアリング16Fとの間に位置する。磁石17F及び磁石17Gは、ボールベアリング16Fとボールベアリング16Gとの間に位置する。磁石17Hは、ボールベアリング16Gとボールベアリング16Hとの間に位置する。
4つの磁石17E〜17Hの各々の端面は、4つの磁石17A〜17Dの場合と同様に、傾斜底面23Cに垂直な方向において、傾斜底面23Cと同じ位置にある。つまり、4つの磁石17E〜17Hは、探傷装置10が継目無金属管SPの表面SF上に配置された状態(図5及び図6参照)で、表面SFから離れている。
図2に示すように、ベース部材22には、第2転動機構18が配置されている。第2転動機構18は、複数(本実施形態では、4つ)の車輪18A〜18Dを備える。車輪18A〜18Dは、例えば、ベース部材22に形成された凹部内に配置される。当該凹部は、例えば、カバー28A、28B等で覆われる。
図3に示すように、車輪18Aは、傾斜底面23Bに形成された開口25A内に位置する。図2に示すように、車輪18Aは、駆動ユニット32Aが備える出力軸34Aの近くに配置される。車輪18Aは、回転軸96Aを備える。駆動ユニット32Aが備える出力軸34Aの回転が回転軸96Aに伝達されることにより、車輪18Aが回転する。
図3に示すように、車輪18Bは、傾斜底面23Bに形成された開口25B内に位置する。図2に示すように、車輪18Bは、駆動ユニット32Bが備える出力軸34Aの近くに配置される。車輪18Bは、回転軸96Bを備える。駆動ユニット32Bが備える出力軸34Aの回転が回転軸96Bに伝達されることにより、車輪18Bが回転する。
図3に示すように、車輪18Cは、傾斜底面23Cに形成された開口25C内に位置する。図2に示すように、車輪18Cは、駆動ユニット32Aが備える出力軸34Bの近くに配置される。車輪18Cは、回転軸96Cを備える。駆動ユニット32Aが備える出力軸34Bの回転が回転軸96Cに伝達されることにより、車輪18Cが回転する。
図3に示すように、車輪18Dは、傾斜底面23Cに形成された開口25D内に位置する。図2に示すように、車輪18Dは、駆動ユニット32Bが備える出力軸34Bの近くに配置される。車輪18Dは、回転軸96Dを備える。駆動ユニット32Bが備える出力軸34Bの回転が回転軸96Dに伝達されることにより、車輪18Dが回転する。
図12を参照しながら、駆動ユニット32Aが備える出力軸34Aと回転軸96Aとの関係について説明する。図12は、駆動ユニット32Aが備える出力軸34Aと回転軸96Aとの関係を示す断面図である。なお、駆動ユニット32Aが備える出力軸34Bと回転軸96Bとの関係、駆動ユニット32Bが備える出力軸34Aと回転軸96Cとの関係、及び、駆動ユニット32Bが備える出力軸34Bと回転軸96Dとの関係も、図12に示すものと同じである。
駆動ユニット32Aの出力軸34Aが備える出力歯車36Aは、回転軸96Aが備える歯車98Aと噛み合っている。そのため、駆動ユニット32Aが備える出力軸34Aが回転すると、回転軸96Aが回転する。その結果、車輪18Aが回転する。
上述の説明から明らかなように、本実施形態では、駆動ユニット32A、32Bと、回転軸96A〜96Dとを含んで、駆動機構が実現されている。駆動ユニット32A、32Bの動作は、把持部30に設けられたスイッチ112(図1参照)により、制御される。
図2に示すように、駆動ユニット32Aが備える出力軸34Aの近くには、エンコーダ100Aが配置されている。エンコーダ100Aは、駆動ユニット32Aが備える出力軸34Aの回転を検出するために、駆動ユニット32Aが備える出力軸34Aに連結されている。
図2に示すように、駆動ユニット32Bが備える出力軸34Aの近くには、エンコーダ100Bが配置されている。エンコーダ100Bは、駆動ユニット32Bが備える出力軸34Aの回転を検出するために、駆動ユニット32Bが備える出力軸34Aに連結されている。
図2に示すように、4つのボールベアリング16A〜16Dの近くには、伝達軸82Aと、駆動ユニット84Aとが配置されている。駆動ユニット84Aは、例えば、電動モータと、減速手段とを含む。減速手段は、例えば、減速歯車列である。駆動ユニット84Aは、伝達軸82Aを回転させる。伝達軸82Aは、前後方向に延びている。伝達軸82Aは、4つのウォーム歯車83A〜83Dを備える。4つのウォーム歯車83A〜83Dは、前後方向に離れて配置されている。伝達軸82A及び駆動ユニット84Aは、例えば、ベース部材22に形成された凹部内に配置される。当該凹部は、例えば、カバー28Aで覆われる。
図2及び図13を参照しながら、伝達軸82Aが有する4つのウォーム歯車83A〜83Dと、4つのボールベアリング16A〜16Dの各々が有する伝達軸80との関係について説明する。図13は、ボールベアリング16Aが有する伝達軸80とウォーム歯車83Aとの関係を示す断面図である。なお、ボールベアリング16Bが有する伝達軸80とウォーム歯車83Bとの関係、ボールベアリング16Cが有する伝達軸80とウォーム歯車83Cとの関係、及び、ボールベアリング16Dが有する伝達軸80とウォーム歯車83Dとの関係も、図13に示すものと同じである。
図13に示すように、伝達軸80は、軸80A及び歯車80Bを含む。軸80Aは、ハウジング78に設けられている。軸80Aは、ハウジング78において、球体76が露出している端面とは反対側の端面から突出している。歯車80Bは、軸80Aに取り付けられている。歯車80Bは、軸80Aと一体的に回転する。ハウジング78は、凹部86内に配置されている。軸80Aは、孔88に挿入されている。軸80Aの一部は、凹部90内に位置する。凹部90は、孔88を介して、凹部86と繋がっている。歯車80Bは、凹部90内に位置している。軸80Aの先端は、支持部材92により、回転可能に支持されている。支持部材92は、ベース部材22に取り付けられる。凹部90は、カバー28Aによって覆われる。
図13に示すように、ウォーム歯車83Aは、ボールベアリング16Aの歯車80Bと噛み合っている。ウォーム歯車83Aが回転することにより、歯車80Bが回転する。歯車80Bが回転することにより、ボールベアリング16Aが伝達軸80の軸方向に移動する。つまり、ウォーム歯車83Aが回転することにより、伝達軸80が回転し、ボールベアリング16Aが伝達軸80の軸方向に移動する。
同様に、ウォーム歯車83Bの回転は、ボールベアリング16Bの伝達軸80に伝達される。その結果、ボールベアリング16Bは、伝達軸80の軸方向に移動する。
同様に、ウォーム歯車83Cの回転は、ボールベアリング16Cの伝達軸80に伝達される。その結果、ボールベアリング16Cは、伝達軸80の軸方向に移動する。
同様に、ウォーム歯車83Dの回転は、ボールベアリング16Dの伝達軸80に伝達される。その結果、ボールベアリング16Dは、伝達軸80の軸方向に移動する。
4つのウォーム歯車83A〜83Dは、伝達軸82Aに設けられている。そのため、4つのウォーム歯車83A〜83Dの回転は、同期している。したがって、4つのボールベアリング16A〜16Dの移動も同期している。
図2に示すように、4つのボールベアリング16E〜16Hの近くには、伝達軸82Bと、駆動ユニット84Bとが配置されている。駆動ユニット84Bは、例えば、電動モータと、減速手段とを含む。減速手段は、例えば、減速歯車列である。駆動ユニット84Bは、伝達軸82Bを回転させる。伝達軸82Bは、前後方向に延びている。伝達軸82Bには、4つのウォーム歯車83E〜83Hが配置されている。伝達軸82B及び駆動ユニット84Bは、例えば、ベース部材22に形成された凹部内に配置される。当該凹部は、例えば、カバー28Bで覆われる。
ここで、伝達軸82Bが有する4つのウォーム歯車83E〜83Hと、4つのボールベアリング16E〜16Hの各々が有する伝達軸80との関係は、伝達軸82Aが有する4つのウォーム歯車83A〜83Dと、4つのボールベアリング16A〜16Dの各々が有する伝達軸80との関係と同じである。つまり、ウォーム歯車83Eの回転は、ボールベアリング16Eの伝達軸80に伝達される。その結果、ボールベアリング16Eは、伝達軸80の軸方向に移動する。
同様に、ウォーム歯車83Fの回転は、ボールベアリング16Fの伝達軸80に伝達される。その結果、ボールベアリング16Fは、伝達軸80の軸方向に移動する。
同様に、ウォーム歯車83Gの回転は、ボールベアリング16Gの伝達軸80に伝達される。その結果、ボールベアリング16Gは、伝達軸80の軸方向に移動する。
同様に、ウォーム歯車83Hの回転は、ボールベアリング16Hの伝達軸80に伝達される。その結果、ボールベアリング16Hは、伝達軸80の軸方向に移動する。
4つのウォーム歯車83E〜83Hは、伝達軸82Bに設けられている。そのため、4つのウォーム歯車83E〜83Hの回転は、同期している。したがって、4つのボールベアリング16E〜16Hの移動も同期している。
上述のように、ボールベアリング16A〜16Hは移動する。一方、車輪18A〜18Dは移動しない。つまり、ボールベアリング16A〜16Hは、車輪18A〜18Dに対して移動する。
図14A及び図14Bを参照しながら、探傷装置10を継目無金属管SPの表面SF上に配置した状態でのボールベアリング16A及び車輪18Aと表面SFとの関係について説明する。図14Aは、ボールベアリング16Aが表面SFに接しておらず、且つ、車輪18Aが表面SFに接している状態を示す説明図である。図14Bは、ボールベアリング16Aが表面SFに接しており、且つ、車輪18Aが表面SFに接していない状態を示す説明図である。なお、図14A及び図14Bでは、ボールベアリング16A及び車輪18Aと表面SFとを例に示しているが、他のボールベアリング及び車輪と表面SFとの関係も、図14A及び図14Bに示すものと同じである。
ボールベアリング16Aを、傾斜底面23Bから突出する方向、つまり、凹部86(図13参照)から抜け出す方向に移動させる。この場合、図14Aに示すように、ボールベアリング16Aが有する球体76は、表面SFに接している。一方、車輪18Aは、表面SFから離れている。つまり、ボールベアリング16A〜16Hの球体76が表面SF上を転がる第1動作モードが実現される。
ボールベアリング16Aを、傾斜底面23Bから突出しない方向、つまり、凹部86(図13参照)に収容する方向へ移動させる。この場合、図14Bに示すように、ボールベアリング16Aが有する球体76は、表面SFから離れている。一方、車輪18Aは、表面SFに接している。つまり、車輪18A〜18Dが表面SF上を転がる第2動作モードが実現される。
上述のように、ボールベアリング16A〜16Dを移動させるには、駆動ユニット84Aにより、伝達軸82Aを回転させて、伝達軸82Aの回転を、ボールベアリング16A〜16Dの伝達軸80に伝達させる。ボールベアリング16E〜16Hを移動させるには、駆動ユニット84Bにより、伝達軸82Bを回転させて、伝達軸82Bの回転を、ボールベアリング16E〜16Hの伝達軸80に伝達させる。つまり、本実施形態では、駆動ユニット84A、84Bと、伝達軸82A、82Bと、ボールベアリング16A〜16Hの伝達軸80とを含んで、切替機構20が実現されている。駆動ユニット84A、84Bの動作は、把持部30に設けられたスイッチ114(図1参照)により、制御される。
続いて、探傷装置10を用いた探傷方法について説明する。探傷の対象となるのは、継目無金属管SPの欠陥である。具体的には、ラミネーションである。
先ず、欠陥の大凡の位置にマーキングが付された継目無金属管SPを準備する。マーキングは、例えば、超音波探傷装置により、搬送ライン上を移動する継目無金属管SPの欠陥を検出した場合に付される。
続いて、探傷装置10により、継目無金属管SPに付されたマーキングの近傍を探傷し、欠陥が形成された位置、及び、欠陥の大きさ(面積)を特定する。具体的には、以下のとおりである。
先ず、探傷装置10を継目無金属管SPの表面SF上に配置する。続いて、スイッチ114を操作し、ボールベアリング16A〜16Hの各々を移動させる。これにより、ボールベアリング16A〜16Hの各々の球体76が表面SFに接触し、且つ、車輪18A〜18Dが表面SFから離れる(図14A参照)。つまり、球体76が表面SF上を転がる第1動作モードが実現される。この場合、探傷装置10は、継目無金属管SPの軸方向及び周方向のそれぞれに移動できる。
探傷装置10が表面SF上に配置された状態で、検出素子14(具体的には、アタッチメント14B)が表面SFに接し、且つ、ボールベアリング42A、42Bの各々の球体44が表面SFに接している(図4参照)。つまり、球体44が表面SF上を転がる。
検出素子14及びボールベアリング42A、42Bは、コイルスプリング102の付勢力により、表面SFに押し付けられる。そのため、継目無金属管SPのサイズ(具体的には、直径)が異なる場合であっても、検出素子14及びボールベアリング42A、42Bを継目無金属管SPの表面SFに安定して接触させることができる。
上述のように、第1動作モードが設定された状態では、探傷装置10は、継目無金属管SPの軸方向及び周方向のそれぞれに移動できる。そのため、マーキングの付近を探傷して、欠陥の具体的な位置を特定する作業が容易になる。
探傷装置10により、欠陥の具体的な位置を特定した後、スイッチ114を操作し、ボールベアリング16A〜16Hの各々を移動させる。これにより、ボールベアリング16A〜16Hの各々の球体76が表面SFに接触せず、且つ、車輪18A〜18Dが表面SFに接触する(図14B参照)。つまり、車輪18A〜18Dが表面SF上を転がる第2動作モードが実現される。この場合、探傷装置10は、継目無金属管SPの軸方向にのみ移動できる。
続いて、スイッチ112を操作し、駆動ユニット32A、32Bを駆動させる。これにより、各駆動ユニット32A、32Bが備える出力軸34A、34Bが回転する。その結果、回転軸96A〜96Dが回転する。つまり、車輪18A〜18Dが回転する。その結果、探傷装置10が、継目無金属管SPの表面SF上を、継目無金属管SPの軸方向に略一定の速度で移動する。このとき、検出素子14により、欠陥を検出する。そのため、欠陥の具体的な大きさ、つまり、面積を特定する作業が容易になる。
探傷装置10は、エンコーダ100A、100Bを備える。そのため、欠陥の大きさ、具体的には、継目無金属管SPの軸方向での長さを特定するときの精度が向上する。
検出素子14は、アタッチメント14Bを含む。そのため、継目無金属管SPのサイズ(具体的には、直径)が異なる場合であっても、アタッチメント14Bを変更することで、検出素子14を継目無金属管SPの表面SFに安定して接触させることができる。
探傷装置10は、磁石74を備える。操作レバー72を回転操作して、磁石74を継目無金属管SPの表面SFに接触させることができる。継目無金属管SPが磁性材料からなる場合には、探傷装置10を継目無金属管SPの表面SF上に固定できる。
探傷装置10においては、4つのボールベアリング16A〜16D及び2つの車輪18A、18Cが傾斜底面23Bに配置され、4つのボールベアリング16E〜16H及び2つの車輪18B、18Dが配置されている。そのため、探傷装置10が継目無金属管SPの表面SF上に配置された状態を安定させることができる。
継目無金属管SPのサイズ(具体的には、直径)が異なる場合であっても、ボールベアリング16A〜16Hの球体76及び車輪18A〜18Dを継目無金属管SPの表面SFに接触させることができる。継目無金属管SPのサイズ(具体的には、直径)が異なる場合であっても、探傷装置10を継目無金属管SPの表面SF上で移動させることができる。
探傷装置10は、磁石17A〜17Hを備える。継目無金属管SPが磁性材料からなる場合、探傷装置10を継目無金属管SPの表面SF上に安定して配置できる。
以上、本発明の実施の形態について、詳述してきたが、これはあくまでも例示であって、本発明は、上述の実施の形態によって、何等、限定されない。