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JP6319867B2 - ポリアリレート系樹脂の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリアリレート系樹脂の製造方法に関する。
近年、フラットパネルディスプレイ(FPD:例えば、液晶表示装置、有機EL表示装置)のような表示装置は、軽量・薄型化が進んでいる。表示装置の軽量・薄型化を図るため、表示装置の基板として、従来のガラス基板に置き換えて、樹脂から構成される光学フィルムを含む基板を用いることが提案されている(例えば、特許文献1、2、3)。該光学フィルは、単独で、または薄型ガラスと組み合わせて、基板を構成する。このような光学フィルムを構成する樹脂として、ポリアリレート系樹脂が用いられ得る。ポリアリレート系樹脂は、透明性が高く、また、耐熱性に優れるという利点を有する。しかし、一方で、生成時に着色しやすいという問題がある。特に、低位相差の光学フィルムの材料となるポリアリレート系樹脂を得るべくモノマーを選択して、界面重縮合によりポリアリレート系樹脂を得ようとすると、着色の問題はより顕著となる。
特開平11−329715号公報 特開2008−107510号公報 特表2002−542971号公報
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、着色の少ないポリアリレート系樹脂の製造方法を提供することにある。
本発明のポリアリレート系樹脂の製造方法は、1種類以上の芳香族カルボン酸ハライドを有機溶媒に溶解させて溶液Aを調製する工程と、アルカリ濃度が2モル/L以下であり、かつ、温度が70℃以下のアルカリ水溶液中に、該アルカリ水溶液に不溶な1種類以上の2価フェノールを分散させて、分散液Bを調製する工程と、該溶液Aと該分散液Bとを混合する工程とを含む。
好ましい実施形態においては、上記2価フェノールが、下記一般式(m1)〜(m6)で表される2価フェノールから選ばれる少なくとも1種である:
Figure 0006319867

式(m1)〜(m6)中、Z11、Z12、Z21およびZ22はそれぞれ独立して、シクロアルカンもしくは芳香族環を含む置換基であり、R11、R12、R21、R22、R31、R32、R37、R38、R41、R42、R47、R48、R51、R52、R57、R58、R61およびR62はそれぞれ独立して、水素原子、シクロアルカン、芳香族環または炭素数が1〜5の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基であり、R13〜R16、R23〜R26、R33〜R36、R43〜R46、R53〜R56、R69およびR60はそれぞれ独立して、水素原子または炭素数が1〜5の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基であり、R49およびR40はそれぞれ独立して、水素原子、シクロアルカンもしくは芳香族環を含む置換基または炭素数が1〜5の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基である。
好ましい実施形態においては、上記分散液Bが、上記アルカリ水溶液に可溶な1種類以上の2価フェノールをさらに含む。
本発明の別の局面によれば、ポリアリレート系樹脂が提供される。このポリアリレート系樹脂は上記製造方法により製造される。
本発明のさらに別の局面によれば、透明基板が提供される。この透明基板は、無機ガラスと、該無機ガラスの片側または両側に配置された樹脂層とを備え、該樹脂層が、上記ポリアリレート系樹脂を含む。
本発明のさらに別によれば、表示素子が提供される。この表示素子は上記透明基板を用いて作製される。
本発明のさらに別によれば、太陽電池が提供される。この太陽電池は上記透明基板を用いて作製される。
本発明によれば、アルカリ濃度が2モル/L以下、温度が70℃以下のアルカリ水溶液中に、該アルカリ水溶液に不溶な2価フェノールを分散させ、該2価フェノールを原料モノマーとすることにより、着色の少ないポリアリレート系樹脂を製造することができる。また、本発明の製造方法によれば、低位相差かつ着色の少ない光学フィルムを形成し得るポリアリレート系樹脂を得ることができる。
本発明の好ましい実施形態による透明基板の概略断面図である。
本発明のポリアリレート系樹脂の製造方法においては、原料となるモノマーとして芳香族カルボン酸ハライドと2価フェノールとを用いる。この芳香族カルボン酸ハライドを含む溶液Aと、2価フェノールを含む分散液Bとを、別々に調製し、その後、溶液Aと分散液Bとを混合して、芳香族カルボン酸ハライドと2価フェノールとを重合させることにより、ポリアリレート系樹脂を製造する。
A.芳香族カルボン酸ハライド溶液(溶液A)の調製
上記溶液Aは、1種類以上の芳香族カルボン酸ハライドを有機溶媒に溶解させることにより、調製することができる。芳香族カルボン酸ハライドとしては、芳香族環のパラ位またはメタ位に2つのカルボン酸ハライド基を有する芳香族カルボン酸ハライドが好ましく用いられる。芳香族カルボン酸ハライドの具体例としては、テレフタル酸クロライド、イソフタル酸クロライド等が挙げられる。なお、該芳香族カルボン酸ハライドは、カルボン酸ハライド基に加えて、任意の適切な置換基を有し得る。
上記溶液A中、パラ位にカルボン酸ハライド基を有する芳香族カルボン酸ハライドとメタ位にカルボン酸ハライド基を有する芳香族カルボン酸ハライドとの含有比率は、所望とするポリアリレート系樹脂の構造に応じて、任意の適切な含有比率とすることができる。パラ位にカルボン酸ハライド基を有する芳香族カルボン酸ハライドとメタ位にカルボン酸ハライド基を有する芳香族カルボン酸ハライドとのモル比(パラ位:メタ位)は、好ましくは90:10〜10:90であり、より好ましくは70:30〜30:70であり、特に好ましくは60:40〜40:60であり、最も好ましくは60:40〜50:50である。このような範囲であれば、耐熱性に優れ、かつ、位相差が小さい光学フィルムを得ることができる。
上記芳香族カルボン酸ハライドを溶解させる有機溶媒としては、水に溶解しない有機溶媒が用いられ得る。該有機溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;クロロホルム、塩化メチレン、トリクロロエタン等のハロゲン系溶媒等が挙げられる。これらの有機溶媒は、単独で、または2種以上組み合わせて用いてもよい。中でも好ましくは、トルエンである。トルエンであれば、低コストで溶液Aを調製することができる。
上記溶液Aにおける上記芳香族カルボン酸ハライドの濃度は、任意の適切な濃度に設定され得る。芳香族カルボン酸ハライドの濃度は、代表的には5重量%〜30重量%であり、好ましくは6重量%〜20重量%である。
B.2価フェノール分散液(分散液B)の調製
上記分散液Bは、アルカリ水溶液に、該アルカリ水溶液に不溶な2価フェノールを分散させることにより、調製することができる。本発明においては、該アルカリ水溶液中で溶解せずに分散し得る2価フェノールを用いることにより、ポリアリレート系樹脂の着色を防止することができる。なお、本明細書において、アルカリ水溶液に不溶とは、アルカリ水溶液100gに対する25℃での溶解度が、0.1g未満であることを意味する。また、アルカリ水に可溶とは、アルカリ水溶液100gに対する25℃での溶解度が、0.1g以上であることを意味する。
上記アルカリ水溶液のアルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。なかでも好ましくは、水酸化ナトリウムである。水酸化ナトリウムを用いれば、アルカリ水溶液に不溶な2価フェノールが安定して分散した分散液Bを得ることができる。
上記アルカリ水溶液のアルカリ濃度は、2モル/L以下であり、好ましくは0.5モル/L〜1.8モル/Lであり、より好ましくは0.8モル/L〜1.5モル/Lである。アルカリ濃度がこのような範囲であれば、ポリアリレート系樹脂の着色を防止することができる。
上記2価フェノールを分散させる際の上記アルカリ水溶液の温度は、70℃以下であり、好ましくは50℃以下であり、より好ましくは5℃〜40℃である。アルカリ水溶液の温が70℃を越えると、アルカリによる変色が促進して、得られるポリアリレートが着色するおそれがある。
上記分散液Bに分散させる2価フェノールとしては、分散液Bのアルカリ水溶液に不溶である限りにおいて、任意の適切な2価フェノールが用いられ得る。上記アルカリ水溶液に不溶な2価フェノールは、単独で、または2種以上組み合わせて用いてもよい。分散液Bにおける上記アルカリ水溶液に不溶な2価フェノールの分散濃度は、任意の適切な濃度に設定され得る。代表的には、2重量%〜10重量%である。
上記アルカリ水溶液(例えば、水酸化ナトリウム水溶液)に不溶な2価フェノールの具体例としては、下記一般式(m1)〜(m6)で表される2価フェノールが挙げられる。これらのような2価フェノールを用いれば、耐熱性に優れ、かつ、位相差の小さい光学フィルム形成し得るポリアリレート系樹脂を得ることができる。
Figure 0006319867

式(m1)〜(m6)中、
11、Z12、Z21およびZ22はそれぞれ独立して、シクロアルカンまたは芳香族環を含む置換基であり、好ましくは炭素数が5〜6のシクロアルカンまたは1個〜2個の芳香族環であり、より好ましくは炭素数が5〜6のシクロアルカンであり、特に好ましくは炭素数が6のシクロアルカンである。なお、該シクロアルカンおよび該芳香族環は、置換基を有していてもよく、有していなくてもよい。
11、R12、R21、R22、R31、R32、R37、R38、R41、R42、R47、R48、R51、R52、R57、R58、R61およびR62はそれぞれ独立して、水素原子、シクロアルカン、芳香族環または炭素数が1〜5の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基であり、好ましくは水素原子、炭素数が5〜6のシクロアルカン、1個〜2個の芳香族環または炭素数が1〜5の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基であり、より好ましくは水素原子、メチル基またはt−ブチル基である。なお、該シクロアルカンおよび該芳香族環は、置換基を有していてもよく、有していなくてもよい。
13〜R16、R23〜R26、R33〜R36、R43〜R46、R53〜R56、R69およびR60はそれぞれ独立して、水素原子または炭素数が1〜5の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基であり、好ましくは水素原子、メチル基またはt−ブチル基である。
49およびR40はそれぞれ独立して、水素原子、シクロアルカンもしくは芳香族環を含む置換基または炭素数が1〜5の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基であり、好ましくは水素原子、炭素数が5〜6のシクロアルカン、1個〜2個の芳香族環、メチル基またはt−ブチル基であり、より好ましくは水素原子、炭素数が5〜6のシクロアルカンまたはメチル基であり、特に好ましくは水素原子、炭素数が6のシクロアルカンまたはメチル基である。なお、該シクロアルカンおよび該芳香族環は、置換基を有していてもよく、有していなくてもよい。
好ましくは、上記分散液Bは、上記一般式(m1)で表される2価フェノールおよび/または上記一般式(m2)で表される2価フェノールを含む。一般式(m1)で表される2価フェノールと一般式(m2)で表される2価フェノールとの合計含有割合は、分散液B中の2価フェノールの合計量(分散液Bのアルカリ水溶液に不溶な2価フェノールおよび可溶な2価フェノール(後述)の合計量)に対して、好ましくは5モル%〜100モル%であり、より好ましくは10モル%〜90モル%であり、特に好ましくは20モル%〜80モル%である。このような範囲であれば、耐熱性に優れ、かつ、位相差の小さい光学フィルム形成し得るポリアリレート系樹脂を得ることができる。
上記一般式(m1)または(m2)で表される2価フェノールとしては、例えば、1,1−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(2−ヒドロキシ−5−ビフェニルイル)プロパン等が挙げられる。これらの2価フェノールは、単独で、または2種以上を混合して使用することができる。
上記分散液Bは、分散液Bのアルカリ水溶液に可溶な2価フェノールをさらに含んでいてもよい。上記アルカリ水溶液に可溶な2価フェノールとしては、例えば、9,9−ビス(1−ヒドロキシー3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(1−ヒドロキシー3−フルオロフェニル)フルオレン、4,4’−(3,3,5−トリメチルシクロヘキシリデン)ビスフェノール、4,4’−(1,3−ジメチルブチリデン)ビスフェノール、4,4’−(1−フェニルエチリデン)ビスフェノール等が挙げられる。これらの2価フェノールは、単独で、または2種以上を混合して使用することができる。
上記分散液B中、分散液Bのアルカリ水溶液に可溶な2価フェノールの含有割合は、分散液Bのアルカリ水溶液に不溶な2価フェノールに対して、好ましくは0モル%〜300モル%であり、より好ましくは50モル%〜200モル%であり、さらに好ましくは100モル%〜200モル%である。
上記分散液Bは、目的に応じて任意の適切な添加剤をさらに含有し得る。上記添加剤としては、例えば、酸化防止剤、重合触媒、希釈剤、老化防止剤、変成剤、界面活性剤、染料、顔料、変色防止剤、紫外線吸収剤、柔軟剤、安定剤、可塑剤、消泡剤、補強剤等が挙げられる。分散液Bに含有される添加剤の種類、数および量は、目的に応じて適切に設定され得る。
C.ポリアリレート系樹脂の重合
本発明においては、上記溶液Aと上記分散液Bとを混合することにより、ポリアリレート系樹脂を得ることができる。より具体的には、ポリアリレート系樹脂は、溶液A(有機相)と分散液B(水相)とを混合することにより、溶液A中の芳香族カルボン酸ハライドと、分散液B中の2価フェノールとが界面重縮合して、合成される。
上記溶液Aと上記分散液Bとは、上記溶液A中の芳香族カルボン酸ハライドのモル数と、上記分散液B中の2価フェノールのモル数とが略等しくなるように混合することが好ましい。
ポリアリレート系樹脂は、例えば、上記溶液Aと上記分散液Bとを、所定温度下で所定時間、撹拌することにより重合することができる。重合温度は、好ましくは50℃以下であり、より好ましくは5℃〜40℃である。このような範囲であれば、着色の少ないポリアリレート系樹脂を得ることができる。本発明においては、溶液Aの調製工程、分散液Bの調製工程および重合工程のいずれの工程においても、加熱をせずにポリアリレート系樹脂を得ることができる。撹拌時間(重合時間)は、好ましくは30分〜180分であり、より好ましくは60分〜150分である。
上記のように上記溶液Aと上記分散液Bとを撹拌した後、混合液を水相と有機相とに静置分離させ、有機相を任意の適切な方法により精製することにより、ポリアリレート系樹脂を得ることができる。
D.ポリアリレート系樹脂
本発明の製造方法により得られたポリアリレート系樹脂は、好ましくは、下記一般式(p1)〜(p6)で表される繰り返し単位から選ばれる少なくとも1種の繰り返し単位を有する。
Figure 0006319867

式(p1)〜(p6)中、R11〜R69およびZ11〜Z22は、上記B項で説明したとおりである。X〜Xはそれぞれ独立して、パラ位またはメタ位でCOO連結基に連結する1個以上の芳香族環であり、好ましくはパラ位またはメタ位でCOO連結基に連結する1個または2個の芳香族環であり、より好ましくはパラ位またはメタ位でCOO連結基に連結する1個の芳香族環である。該芳香族環は、置換基を有していてもよく、有していなくてもよい。
式(p1)〜(p6)中のXとして、パラ位でCOO連結基に連結する芳香族環を有する繰り返し単位と、メタ位でCOO連結基に連結する芳香族環を有する繰り返し単位とのモル比(パラ位:メタ位)は、好ましくは90:10〜10:90であり、より好ましくは70:30〜30:70であり、特に好ましくは60:40〜40:60であり、最も好ましくは60:40〜50:50である。このような範囲であれば、耐熱性に優れ、かつ、位相差が小さい光学フィルムを得ることができる。
上記ポリアリレート系樹脂の重量平均分子量は、ポリスチレン換算で、好ましくは40000〜200000であり、より好ましくは45000〜180000である。このような範囲であれば、位相差が小さく、かつ、機械的強度および耐溶剤性に優れる光学フィルムを得ることができる。なお、本明細書における重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)測定(溶媒テトラヒドロフラン)により求めることができる。
上記ポリアリレート系樹脂のガラス転移温度は、好ましくは200℃以上であり、より好ましくは230℃以上であり、特に好ましくは240℃以上であり、最も好ましくは250℃である。上記ポリアリレート系樹脂のガラス転移温度の上限は、特に制限されないが、通常、300℃程度である。このような範囲のであれば、耐熱性に優れる光学フィルムを得ることができる。
上記ポリアリレート系樹脂は、好ましくはトルエンおよび/またはキシレンを50%以上含有する溶媒に可溶であり、さらに好ましくはトルエンおよび/またはキシレンを70%以上含有する溶媒に可溶であり、特に好ましくはトルエンおよび/またはキシレンを80%以上含有する溶媒に可溶である。上記ポリアリレート系樹脂がこのような溶媒に可溶であれば、当該ポリアリレート系樹脂を含む溶液を基材に塗工して光学フィルムを得る際に、簡便に塗工工程を行うことができる。
E.光学フィルム
上記ポリアリレート系樹脂は、光学フィルムとして好ましく用いられ得る。該光学フィルは、例えば、上記ポリアリレート系樹脂を任意の適切な塗工溶媒に溶解して得られたキャスティング溶液を基材上に塗工して得ることができる。
上記塗工溶媒としては、例えば、ケトン系溶媒、ハロゲン系溶媒、芳香族系溶媒、高極性溶媒およびこれらの混合物が挙げられる。ケトン系溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等が挙げられる。ハロゲン系溶媒としては、例えば、塩化メチレン、塩化エチレン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエタン等が挙げられる。芳香族系溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、フェノール等が挙げられる。高極性溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、アセト酢酸エチル等が挙げられる。
上記キャスティング溶液の塗工方法としては、任意の適切な方法を用いることができ、例えば、エアドクターコーティング、ブレードコーティング、ナイフコーティング、リバースコーティング、トランスファロールコーティング、グラビアロールコーティング、キスコーティング、キャストコーティング、スプレーコーティング、スロットオリフィスコーティング、カレンダーコーティング、電着コーティング、ディップコーティング、ダイコーティング等のコーティング法;フレキソ印刷等の凸版印刷法、ダイレクトグラビア印刷法、オフセットグラビア印刷法等の凹版印刷法、オフセット印刷法等の平版印刷法、スクリーン印刷法等の孔版印刷法等の印刷法が挙げられる。上記キャスティング溶液を塗工して形成された塗工層の乾燥方法としては、任意の適切な乾燥方法(例えば、自然乾燥、送風乾燥、加熱乾燥)が採用され得る。例えば、加熱乾燥の場合には、乾燥温度は代表的には100℃〜200℃であり、乾燥時間は代表的には1分〜30分である。
上記光学フィルムの厚みは、好ましくは1μm〜60μm、さらに好ましくは1μm〜40μmである。
上記光学フィルムの面内位相差Reは、好ましくは20nm以下であり、より好ましくは10nm以下であり、さらに好ましくは5nm以下であり、特に好ましくは1nm以下であり、最も好ましくは0.5nm以下である。本発明の光学フィルムは、上記ポリアリレート系樹脂を含むことにより、このように位相差の小さい光学フィルムを得ることができる。なお、本明細書において面内位相差Reは23℃、波長550nmにおける光学フィルムの面内位相差値をいう。Reは、面内の屈折率が最大になる方向(すなわち、遅相軸方向)の屈折率をnxとし、面内で遅相軸と直交する方向(すなわち、進相軸方向)の屈折率をnyとし、光学フィルムの厚みをd(nm)としたとき、Re=(nx−ny)×dによって求められる。
上記光学フィルムの厚み方向の位相差Rthは、好ましくは100nm以下であり、より好ましくは80nm以下であり、さらに好ましくは60nm以下であり、特に好ましくは40nm以下であり、最も好ましくは0nm〜40nm以下である。本発明の光学フィルムは、上記ポリアリレート系樹脂を含むことにより、このように位相差の小さい光学フィルムを得ることができる。なお、本明細書において厚み方向の位相差Rthは23℃、波長550nmにおける光学フィルムの厚み方向の位相差値をいう。Rthは、は面内の屈折率が最大になる方向(すなわち、遅相軸方向)の屈折率をnxとし、厚み方向の屈折率をnzとし、光学フィルムの厚みをd(nm)としたとき、Rth=(nx−nz)×dによって求められる。
上記光学フィルムの面内方向の複屈折率Δn(nx−ny)は、好ましくは0.00074以下であり、より好ましくは0.00037以下であり、さらに好ましくは0.00018以下であり、特に好ましくは0.000036以下であり、最も好ましくは0.000018以下である。本明細書において面内方向の複屈折率Δn(nx−ny)は、23℃、波長550nmにおける光学フィルムの面内方向の複屈折率をいう。面内方向の複屈折率Δn(nx−ny)は、面内の屈折率が最大になる方向(すなわち、遅相軸方向)の屈折率をnxとし、面内で遅相軸と直交する方向(すなわち、進相軸方向)の屈折率をnyとしたとき、Δn(nx−ny)=nx−nyによって求められる。
上記光学フィルムの厚み方向の複屈折率Δn(nx−nz)は、好ましくは0.0037以下であり、より好ましくは0.00296以下であり、さらに好ましくは0.00241以下であり、特に好ましくは0.00148以下であり、最も好ましくは0.00〜0.0011である。本明細書において厚み方向の複屈折率Δn(nx−nz)は、23℃、波長550nmにおける光学フィルムの厚み方向の複屈折率をいう。厚み方向の複屈折率Δn(nx−nz)は、面内の屈折率が最大になる方向(すなわち、遅相軸方向)の屈折率をnxとし、厚み方向の屈折率をnzとしたとき、Δn(nx−nz)=nx−nzによって求められる。
上記光学フィルムの全光線透過率は、好ましくは85%以上であり、より好ましくは87%、最も好ましくは88%以上である。
上記光学フィルムの波長550nmにおける透過率は、好ましくは85%以上であり、より好ましくは87%、最も好ましくは88%以上である。
上記光学フィルムの25℃における弾性率は、好ましくは1.5GPa〜10GPaであり、さらに好ましくは1.6GPa〜9GPaであり、特に好ましくは1.7GPa〜8GPaである。
上記光学フィルムの25℃における破壊靭性値は、好ましくは1.5MPa・m1/2〜10MPa・m1/2であり、さらに好ましくは2MPa・m1/2〜8MPa・m1/2であり、特に好ましくは2.5MPa・m1/2〜6MPa・m1/2である。
F.透明基板
F−1透明基板の全体構成
図1は、本発明の好ましい実施形態による透明基板の概略断面図である。この透明基板100は、無機ガラス10と、無機ガラス10の片側または両側(好ましくは、図示例のように両側)に配置された樹脂層11、11’とを備える。樹脂層11、11’としては上記E項で説明した光学フィルムが用いられ得る。なお、図示しないが、無機ガラス10と第1の樹脂層11、11´との間に任意の適切な接着剤層が配置され得る。
上記透明基板は、必要に応じて、最外層として任意の適切なその他の層を備え得る。上記その他の層としては、例えば、ハードコート層、透明導電性層等が挙げられる。
上記透明基板の総厚は、好ましくは150μm以下であり、さらに好ましくは120μm以下であり、特に好ましくは50μm〜120μmである。上記透明基板は、上記樹脂層を備えることにより、無機ガラスの厚みを、従来のガラス基板よりも格段に薄くすることができる。
上記透明基板にクラックを入れ屈曲させた際の破断直径は、好ましくは50mm以下であり、さらに好ましくは40mm以下、特に好ましくは25mm以下である。本発明の透明基板は、上記樹脂層を備えることにより、優れた可撓性(例えば、上記のような範囲の破断直径)を示す。
上記透明基板の全光線透過率は、好ましくは80%以上であり、さらに好ましくは85%以上である。好ましくは、上記透明基板は、180℃で2時間の加熱処理を施した後の光透過率の減少率が5%以内である。このような減少率であれば、FPDの製造プロセスにおいて必要な加熱処理を施しても、実用上許容可能な光透過率を確保できるからである。
上記透明基板の表面粗度Raは、好ましくは50nm以下であり、さらに好ましくは30nm以下、特に好ましくは10nm以下である。上記透明基板のうねりは、好ましくは0.5μm以下であり、さらに好ましくは0.1μm以下である。このような特性の透明基板であれば、品質に優れる。
上記光学フィルム(樹脂層)が上記無機ガラスの両側に配置される場合、それぞれの光学フィルムの厚みは同一であってもよく異なっていてもよい。好ましくは、それぞれの光学フィルムの厚みは同一である。さらに、それぞれの光学フィルムは、同一組成の樹脂化合物で構成されてもよく、異なる組成の樹脂化合物で構成されてもよい。好ましくは、それぞれの光学フィルムは、同一組成の樹脂化合物で構成される。したがって、最も好ましくは、それぞれの光学フィルムは、同一組成の樹脂化合物で同一の厚みになるように構成される。このような構成であれば、加熱処理されても、無機ガラスの両面に熱応力が均等に掛かるため、反りやうねりがきわめて生じ難くなる。
F−2.無機ガラス
本発明の透明基板に用いられる無機ガラスは、板状のものであれば、任意の適切なものが採用され得る。上記無機ガラスは、組成による分類によれば、例えば、ソーダ石灰ガラス、ホウ酸ガラス、アルミノ珪酸ガラス、石英ガラス等が挙げられる。また、アルカリ成分による分類によれば、無アルカリガラス、低アルカリガラスが挙げられる。上記無機ガラスのアルカリ金属成分(例えば、NaO、KO、LiO)の含有量は、好ましくは15重量%以下であり、さらに好ましくは10重量%以下である。
上記無機ガラスの厚みは、好ましくは100μm以下であり、さらに好ましくは20μm〜80μmであり、特に好ましくは30μm〜70μmである。本発明においては、無機ガラスの片側または両側に樹脂層を有することによって、無機ガラスの厚みを薄くすることができる。
上記無機ガラスの波長550nmにおける光透過率は、好ましくは85%以上である。上記無機ガラスの波長550nmにおける屈折率nは、好ましくは1.4〜1.65である。
上記無機ガラスの密度は、好ましくは2.3g/cm〜3.0g/cmであり、さらに好ましくは2.3g/cm〜2.7g/cmである。上記範囲の無機ガラスであれば、軽量の透明基板が得られる。
上記無機ガラスの成形方法は、任意の適切な方法が採用され得る。代表的には、上記無機ガラスは、シリカやアルミナ等の主原料と、芒硝や酸化アンチモン等の消泡剤と、カーボン等の還元剤とを含む混合物を、1400℃〜1600℃の温度で溶融し、薄板状に成形した後、冷却して作製される。上記無機ガラスの薄板成形方法としては、例えば、スロットダウンドロー法、フュージョン法、フロート法等が挙げられる。これらの方法によって板状に成形された無機ガラスは、薄板化したり、平滑性を高めたりするために、必要に応じて、フッ酸等の溶剤により化学研磨されてもよい。
上記無機ガラスは、市販のものをそのまま用いてもよく、あるいは、市販の無機ガラスを所望の厚みになるように研磨して用いてもよい。市販の無機ガラスとしては、例えば、コーニング社製「7059」、「1737」または「EAGLE2000」、旭硝子社製「AN100」、NHテクノグラス社製「NA−35」、日本電気硝子社製「OA−10」、ショット社製「D263」または「AF45」等が挙げられる。
F−3.その他の層
上記透明基板は、必要に応じて、最外層として、任意の適切なその他の層を備え得る。上記その他の層としては、例えば、透明導電性層、ハードコート層等が挙げられる。
上記透明導電性層は、電極または電磁波シールドとして機能し得る。
上記透明導電性層に用いられ得る材料としては、例えば、銅、銀等の金属;インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)等の金属酸化物;ポリチオフェン、ポリアニリン等の導電性高分子;カーボンナノチューブを含む組成物等が挙げられる。
上記ハードコート層は、上記透明基板に耐薬品性、耐擦傷性および表面平滑性を付与させる機能を有する。
上記ハードコート層を構成する材料としては、任意の適切なものを採用し得る。上記ハードコート層を構成する材料としては、例えば、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂およびこれらの混合物が挙げられる。なかでも好ましくは、耐熱性に優れるエポキシ系樹脂である。上記ハードコート層はこれらの樹脂を熱または活性エネルギー線により硬化させて得ることができる。
F−4.透明基板の製造方法
1つの実施形態においては、上記透明基板は、溶液塗工により無機ガラス上に光学フィルムを形成させて得ることができる。具体的には、E項で説明したようにポリアリレート系樹脂を含むキャスティング溶液を基材に塗工して光学フィルムを形成する際の該基材を上記無機ガラスとすることにより、上記透明基板を得ることができる。
別の実施形態においては、上記E項で説明したようにして光学フィルを形成した後、接着剤層を介して、該光学フィルムを上記無機ガラスに貼着して、透明基板を得ることができる。
上記接着剤層を構成する材料としては、任意の適切な樹脂を採用し得る。上記接着剤層を構成する材料としては、例えば、熱硬化性樹脂、活性エネルギー線硬化性樹脂等が挙げられる。このような樹脂の具体例としては、例えば、エポキシ類および/またはオキセタン類を含むエポキシ系樹脂;アクリル系樹脂;シリコーン系樹脂等が挙げられる。好ましくは、耐熱性に優れるエポキシ系樹脂である。なお、これらの樹脂は、単独で、または2種以上組み合わせて用いてもよい。上記エポキシ類としては、分子中にエポキシ基を持つものであれば、任意の適切なものが使用できる。上記エポキシ類としては、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型及びこれらの水添加物等のビスフェノール型;フェノールノボラック型やクレゾールノボラック型等のノボラック型;トリグリシジルイソシアヌレート型やヒダントイン型等の含窒素環型;脂環式型;脂肪族型;ナフタレン型、ビフェニル型等の芳香族型;グリシジルエーテル型、グリシジルアミン型、グリシジルエステル型等のグリシジル型;ジシクロペンタジエン型等のジシクロ型;エステル型;エーテルエステル型;およびこれらの変性型等が挙げられる。これらのエポキシ類は、単独で、または2種以上を混合して使用することができる。好ましくは、上記エポキシ類は、ビスフェノールA型、脂環式型、含窒素環型、またはグリシジル型である。上記オキセタン類としては、例えば、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン(オキセタンアルコール)、2−エチルヘキシシルオキセタン、キシリレンビスオキセタン、3−エチル−3(((3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ)メチル)オキセタン等が挙げられる。
上記接着剤層の厚みは、好ましくは10μm以下であり、さらに好ましくは0.01μm〜10μmであり、特に好ましくは0.1μm〜7μmである。上記接着剤層の厚みがこのような範囲であれば、透明基板の屈曲性を損なわずに、上記無機ガラスと光学フィルムとの優れた密着性を実現することができる。
E.用途
上記光学フィルムおよび透明基板は、任意の適切な表示素子、太陽電池または照明素子に用いられ得る。表示素子としては、例えば、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、電子ペーパー等が挙げられる。照明素子としては、例えば、有機EL素子、LED素子等が挙げられる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例になんら限定されるものではない。実施例における評価方法は以下のとおりである。なお、厚みはアンリツ製デジタルマイクロメーター「KC−351C型」を使用して測定した。
(1)ガラス転移温度(Tg)
動的粘弾性スペクトル測定器(DMA、TAインスツルメント社社製)を用いて、周波数10Hz、昇温速度5℃/分で30℃〜310℃の範囲で測定し、tanθのピークトップをガラス転移温度とした。
(2)位相差値
光学フィルムの面内位相差および厚み方向の位相差をAxometrics社製ポラリメーターAxoScanを用いて計測した。測定波長は550nm、測定温度は23℃とした。
(3)複屈折率
光学フィルムの面内方向の複屈折率Δn(nx−ny)および厚み方向の複屈折率Δn(nx−nz)をAxometrics社製ポラリメーターAxoScanを用いて計測した。測定波長は550nm、測定温度は23℃とした。
(4)透過率
光学フィルムの透過率を、JlS Z 8701−1982の2度視野(C光源)により、視感度補正を行ったY値から評価した。表1中、波長550nmにおける透過率が85%以上であった場合を○と表記する。
(5)着色
光学フィルムの黄色みをJIS Z 8105−1982に準じ、村上色彩技術研究所製の分光光度計DOT−3により測定した。表1中、b値が2以下だった場合を○と表記する。
[実施例1]
(溶液Aの調製)
テレフタル酸クロライド6.25g(0.031モル)およびイソフタル酸クロライド6.25g(0.031モル)を168gのトルエンに溶解させた溶液Aを調製した。
(分散液Bの調製)
攪拌装置を備えた反応容器中、9,9−ビス(1−ヒドロキシー3−メチルフェニル)フルオレン15.4g(0.041モル)、ベンジルトリブチルアンモニウムクロライド0.542g、p−ターシャリーブチルフェノール0.023gを濃度が1モル/Lの水酸化ナトリウム溶液226gに溶解させた。さらに、この溶液に、1,1−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン9.05g(0.021モル)を加え、室温(約20℃)下で、撹拌した。この1,1−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンは、上記水酸化ナトリウム水溶液に不溶であった。
(ポリアリレート系樹脂の重合)
分散液Bを撹拌しながら、溶液Aを一度に加え、室温(約20℃)下でさらに120分間撹拌した。その後、混合液を静置分離してポリマーを含んだトルエン溶液を分離し、ついで酢酸水で洗浄し、イオン交換水で洗浄した後、メタノールに投入してポリマーを析出させた。析出したポリマーを濾過し、減圧下で乾燥することで、白色のポリアリレート系樹脂(1)30gを得た。得られたポリアリレート系樹脂(1)を上記(1)の評価に供した。結果を表1に示す。
(光学フィルムの形成)
上記のようにして得られたポリアリレート系樹脂(1)10gをシクロペンタノン90gに溶かし、さらに、レベリング剤(BYK307、ビックケミー社製)を750ppmとなるように添加して、光学フィルム形成用のキャステイング溶液を得た。
得られたキャスティング溶液をガラス板上に塗工し、100℃で10分間乾燥させ、170℃で20分間熱処理を行い、厚みが25μmの光学フィルムを得た。この光学フィルムをガラス板から剥離して、上記評価(2)〜(4)に供した。結果を表1に示す。
[実施例2]
(溶液Aの調製)
テレフタル酸クロライド6.24g(0.031モル)およびイソフタル酸クロライド6.24g(0.031モル)を168gのトルエンに溶解させた溶液Aを調製した。
(分散液Bの調製)
攪拌装置を備えた反応容器中、9,9−ビス(1−ヒドロキシー3−メチルフェニル)フルオレン15.4g(0.041モル)、ベンジルトリブチルアンモニウムクロライド0.525g、p−ターシャリーブチルフェノール0.022gを濃度が1モル/Lの水酸化ナトリウム溶液219gに溶解させた。さらに、この溶液に、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン8.24g(0.021モル)を加え、室温(約20℃)下で、撹拌した。この2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパンは、上記水酸化ナトリウム水溶液に不溶であった。
(ポリアリレート系樹脂の重合)
分散液Bを撹拌しながら、溶液Aを一度に加え、室温(約20℃)下でさらに120分間撹拌した。その後、混合液を静置分離してポリマーを含んだトルエン溶液を分離し、ついで酢酸水で洗浄し、イオン交換水で洗浄した後、メタノールに投入してポリマーを析出させた。析出したポリマーを濾過し、減圧下で乾燥することで、白色のポリアリレート系樹脂(2)29gを得た。得られたポリアリレート系樹脂(2)を上記(1)の評価に供した。結果を表1に示す。
(光学フィルムの形成)
ポリアリレート系樹脂(1)に代えて、ポリアリレート系樹脂(2)を用いた以外は、実施例1と同様にして光学フィルムを得、実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
[比較例1]
分散液Bの調製において、濃度が1モル/Lの水酸化ナトリウム溶液に代えて、濃度が5モル/Lの水酸化ナトリウム溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして、茶色のポリアリレート系樹脂(c1)を得た。得られたポリアリレート系樹脂(c1)を上記(1)の評価に供した。結果を表1に示す。
ポリアリレート系樹脂(1)に代えて、ポリアリレート系樹脂(c1)を用いた以外は、実施例1と同様にして光学フィルムを得、実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
[比較例2]
分散液Bの調製において、水酸化ナトリウム水溶液を80℃に加熱した以外は、実施例1と同様にして、茶色のポリアリレート系樹脂(c2)を得た。
ポリアリレート系樹脂(1)に代えて、ポリアリレート系樹脂(c2)を用いた以外は、実施例1と同様にして光学フィルムを得、実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
Figure 0006319867
実施例1および2から明らかなように、本発明の製造方法によれば、着色が防止されたポリアリレート系樹脂を得ることができる。また、該ポリアリレート系樹脂を用いれば、着色がなく、面内位相差および厚み方向の位相差の小さい光学フィルムを得ることができる。
本発明の製造方法により得られたポリアリレート系樹脂は、光学フィルムとして表示素子、太陽電池または照明素子に用いられ得る。表示素子としては、例えば、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、電子ペーパー等が挙げられる。照明素子としては、例えば、有機EL素子、LED素子等が挙げられる。
10 無機ガラス
11、11´ 樹脂層
100 透明基板

Claims (2)

  1. 1種類以上の芳香族カルボン酸ハライドを有機溶媒に溶解させて溶液Aを調製する工程と、
    アルカリ濃度が2モル/L以下であり、かつ、温度が70℃以下のアルカリ水溶液中に、該アルカリ水溶液に不溶な1種類以上の2価フェノールを分散させて、分散液Bを調製する工程と、
    該溶液Aと該分散液Bとを混合する工程とを含み、
    該分散液Bにおける該アルカリ水溶液に不溶な2価フェノールの分散濃度が、2重量%〜10重量%であり、
    該2価フェノールが、下記一般式(m1)または(m2)で表される2価フェノールから選ばれる少なくとも1種である、ポリアリレート系樹脂の製造方法:
    Figure 0006319867
    式(m1)〜(m2)中、
    11 、Z 12 、Z 21 およびZ 22 はそれぞれ独立して、シクロアルカンもしくは芳香族環を含む置換基であり、
    11 、R 12 、R 21 およびR 22 はそれぞれ独立して、水素原子、シクロアルカン、芳香族環または炭素数が1〜5の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基であり、
    13 〜R 16 およびR 23 〜R 26 はそれぞれ独立して、水素原子または炭素数が1〜5の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基である
  2. 前記分散液Bが、前記アルカリ水溶液に可溶な1種類以上の2価フェノールをさらに含む、請求項1に記載のポリアリレート系樹脂の製造方法。
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