JP6318971B2 - 熱間プレス成形方法 - Google Patents
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Description
(1)本発明の熱間プレス成形方法は、鋼板をオーステナイト変態温度(Ac3点)以上の初期温度に加熱する加熱工程と、該加熱された鋼板を成形型により所望形状にプレス成形して焼入れされたプレス成形品を得る成形工程と、を備える熱間プレス成形方法であって、 前記成形工程は、前記成形型に保持された状態で該鋼板の少なくとも一部である特定領域を、マルテンサイト変態完了温度(Mf点)以下の焼戻温度域内に所定の焼戻時間だけ保持する焼戻工程を含み、前記プレス成形品は少なくとも一部の金属組織が焼戻マルテンサイト相からなることを特徴とする。
本発明は、上述したプレス成形方法としてのみならず、それにより得られたプレス成形品としても把握できる。つまり本発明は、上述した熱間プレス成形方法により得られるプレス成形品であって、少なくとも一部の金属組織が焼戻マルテンサイト相からなることを特徴とするプレス成形品でもよい。
本発明は、さらに、上述した熱間プレス成形方法を実現する装置としても把握できる。例えば、本発明は、成形凹部を有するダイと、該成形凹部に対応する成形凸部を有するパンチと、該パンチを内挿するブランクホルダと、該ダイまたは該パンチを駆動して該成形凹部と該成形凸部を近接させる駆動手段とを備え、該ダイおよび該パンチからなる成形型により、Ac3点以上に加熱された鋼板が所望形状にプレス成形されて焼入れされたプレス成形品が得られる熱間プレス成形装置であって、さらに、前記成形型に保持された状態で該鋼板の少なくとも一部である特定領域を、Mf点以下の焼戻温度域内に所定の焼戻時間だけ保持して前記プレス成形品の少なくとも一部の金属組織を焼戻マルテンサイト相とすることができる温度制御手段を備えることを特徴とする熱間プレス成形装置でもよい。
また本発明は、上述したように、ダイと、パンチと、それらの少なくとも一方に設けられた加熱手段および/または冷却手段とを有し、Ac3点以上に加熱された鋼板が所望形状にプレス成形および焼入れされると共に、その少なくとも一部である特定領域がMf点以下の焼戻温度域内に所定の焼戻時間だけ保持されて、少なくとも一部の金属組織が焼戻マルテンサイト相となったプレス成形品が得られることを特徴とする成形型としても把握できる。
本発明のプレス成形品は、全体が高強度で高延性な焼戻マルテンサイト相からなってもよい。もっとも、部位により要求特性(強度、延性または靱性等)が異なる場合、本発明のプレス成形品は、焼戻マルテンサイト相からなる高延性部と、焼戻しされずに焼入れされたままであるマルテンサイト相からなる高強度部とを有し、それらが適切に配置されたものであると好適である。
(1)本明細書でいう「温度」は、基本的に、プレス成形品の金属組織に影響を与える鋼板の温度を意味する。但し、プレス成形中の鋼板の温度を直接的に測定したり管理することは容易ではない。そこで、本明細書でいう「温度」は、特に断らない限り、鋼板に接触する成形型の温度(特に金型の成形面近傍の温度)により代用されるものとする。
+700×[P]+400×[Al]+400×[Ti]
+104×[V]−11×[Cr]+31.5×[Mo]
−20×[Cu]−15.2×[Ni]
Ms点(℃)=550−361×[C]−39×[Mn]−10×[Cu]
−17×[Ni]−20×[Cr]−5×[Mo]+30×[Al]
本発明に係る鋼板は、炭素(C)を含有した鉄合金からなり、焼入れ可能であれば、炭素鋼板、合金鋼板の他、ステンレス鋼板(特にマルテンサイト系ステンレス鋼板)等でもよい。Cは、理論上、αフェライトの固溶上限である0.02質量%(適宜単に「%」という。)からオーステナイトの固溶上限である2.14%の範囲内で含有され得るが、成形性、強度、靱性等を考慮して、鋼板全体を100%としたときにC:0.1〜0.6%さらには0.15〜0.4%であると好ましい。また鋼板は、焼入れ性を高める合金元素(Mn、CrまたはMo等)を含有していると好ましい。この場合、例えば、マンガン(Mn):0.5〜3%さらには1〜2.5%、Cr:0.05〜3%さらには0.1〜1%であると好ましい。
加熱工程は、鋼板をオーステナイト変態温度(Ac3点)以上に加熱する工程である。加熱方法は問わず、炉内加熱でも、高周波加熱等でもよい。成形工程前に鋼板をAc3点以上に加熱して鋼板全体をオーステナイト相としておくことにより、全体が均質的なマルテンサイト相(焼戻マルテンサイト相を含む)からなるプレス成形品が得られる。
成形工程は、加熱された鋼板を成形型により所望形状にプレス成形して、焼入れされたプレス成形品を得る工程である。この工程中に焼入れをするには、鋼板(プレス成形品)を少なくともMs点以下まで急冷する必要がある。そこで成形工程は、少なくともMs点に至るまで鋼板を20℃/s以上、30℃/s以上さらには40℃/s以上で急冷する急冷工程を含むと好適である。さらに、プレス成形品の金属組織全体を均質的なマルテンサイト相とするには、同様な冷却速度で、鋼板の温度をMf点に至るまで急冷すると好適である。
焼戻工程は、成形型に鋼板が保持された状態で、成形工程の一部としてなされる工程である。具体的にいうと、焼戻工程は、Mf点を通過した鋼板の少なくとも一部である特定領域を、Mf点以下の焼戻温度域内に所定の焼戻時間だけ保持する工程である。この焼戻工程により、鋼板の少なくとも特定領域の金属組織全体は、Mf点を通過して均質的な(焼入)マルテンサイト相となった後に低温焼戻しされて、同様に均質的な焼戻マルテンサイト相となる。このようにして、プレス成形品の少なくとも特定部位が、高強度であると共に高延性または高靱性となる。
(1)本発明のプレス成形品は、その形態や用途を問わないが、例えば、車両ボディ、バンパー、オイルパン、インナーパネル、ピラー、ホイルハウス等として用いられる。なお、本発明のプレス成形品は、成形後のままで高特性であるが、他の熱処理等が施されることを排除するものではない。また本発明のプレス成形品には、メッキ、塗装等の表面処理が適宜なされ得る。
成形凹部を有するダイ1(図1参照)と、それに遊嵌される成形凸部を有するパンチと、ダイに対向して配設されたブランクホルダと、ブランクホルダを上下動可能に支持するダイクッションと、ダイクッションを支持するベースと、ダイを駆動する油圧プレス機とを備えた熱間プレス成形装置(単に「成形装置」という。)を用意した。なお、この成形装置では、パンチはベースに固定されている。
ワークとして、市販されている熱間プレス成形用鋼板(板厚:1.4mm/22MnB5鋼板)を用意した。この鋼板の組成は、C:0.19質量%、Mn:2.0質量%、Cr:0.25質量%、残部:Feおよび不可避不純物であった。なお、この鋼板は、Ac3点:820℃、Ms点:360℃、Mf点:280℃である。これらの温度は相変態に伴って生じる体積変化の測定によって特定したものである。
上述した鋼板を加熱炉に入れて、全体がAc3点以上である900℃となる初期温度(T0)まで十分に加熱した(加熱工程)。加熱炉から取り出した鋼板を直ちに上述した成形装置内に載置し、プレス成形を行った(成形工程)。この際、第1型部11により成形される鋼板部分(第1成形部)と第2型部12により成形される鋼板部分(第2成形部)が、それぞれ図2Aと図2Bに示すヒートパターンに沿った温度となるように、第1型部11と第2型部12の金型温度を制御した。
(1)得られたプレス成形品の第1成形部と第2成形部からそれぞれ切り出した試験片を用いて、各部の引張強度と伸びを測定した。それらの測定結果を図3Aおよび図3B(適宜、両図を併せて「図3」という。)に示した。
(1)先ず図3Aから明らかなように、第1成形部および第2成形部は共に引張強度が1500MPaを超える高強度となっていることが確認された。これは、図4に示すように、いずれの部位の金属組織もマルテンサイト相となっているためである。なお、第1成形部は、焼入れたままのマルテンサイト相(焼入マルテンサイト相)が面積率でほぼ100%であり、第2成形部は、焼戻マルテンサイト相が面積率でほぼ100%であった。
(1)第2成形部をMf点の通過後に140℃×30秒保持し、その後に20℃/sで冷却したプレス成形品も製造した。このときの第2成形部は、引張強度:1538MPa、伸び:9.9%であり、前述した本実施例に係る第1成形部(高強度部)と同様に低延性となった。これは保持温度がMf点−100℃(180℃)よりもさらに低かったため、低温焼戻しがなされず、焼入マルテンサイト相のままで、焼戻マルテンサイト相が生成されなかったためと考えられる。
11 第1型部
12 第2型部
Claims (5)
- 鋼板をオーステナイト変態温度(Ac3点)以上の初期温度に加熱する加熱工程と、
該加熱された鋼板を成形型により所望形状にプレス成形して焼入れされたプレス成形品を得る成形工程と、
を備える熱間プレス成形方法であって、
前記成形工程は、前記成形型に保持された状態で該鋼板の少なくとも一部である特定領域を、マルテンサイト変態完了温度(Mf点)以下の焼戻温度域内に所定の焼戻時間だけ保持する焼戻工程を含み、
前記プレス成形品は少なくとも一部の金属組織が焼戻マルテンサイト相からなることを特徴とする熱間プレス成形方法。 - 前記焼戻温度域は、前記マルテンサイト変態完了温度よりも100℃低い温度(Mf点−100℃)以上である請求項1に記載の熱間プレス成形方法。
- 前記焼戻時間は、5〜30秒である請求項1または2に記載の熱間プレス成形方法。
- さらに、前記成形工程後のプレス成形品は15℃/s以下の冷却速度で徐冷される請求項1〜3のいずれかに記載の熱間プレス成形方法。
- 前記成形工程は、少なくともマルテンサイト変態開始温度(Ms点)に至るまで前記鋼板を20℃/s以上の冷却速度で急冷する急冷工程を含む請求項1〜4のいずれかに記載の熱間プレス成形方法。
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