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JP6316056B2 - 薄板打抜き用金型およびその製造方法 - Google Patents

薄板打抜き用金型およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、パンチとダイの相対的な一軸上の往復運動により、シート状のワークに打抜き加工を施す薄板打抜き用金型に関するものである。
例えば5〜100μmと薄い被切断物(以下単に「ワーク」と記載することもある)から、多数の同一形状を打ち抜く工程には、パンチとダイの直線的な往復運動により打抜く、打抜き金型(以後、単に「金型」とも表記する)方式が用いられることが多い。ワークの材質は様々であるが、例えば金属箔、極めて薄い樹脂材、薄いフイルム、またはこれらに無機物を積層したような材質が挙げられる。
打抜き金型はロータリーカッター方式による打抜き装置と比較して、稼動の最高速度では劣る場合が多いが、製造に費用が掛からず、大掛かりな設備が必要ないことから、装置導入のコストを下げることが可能であり、有効な装置である。
打抜き金型の製造の際に、要点の一つに「クリアランス」の大きさがある。
クリアランスは、パンチとダイが嵌合状態になった場合の隙間の幅を指す。この幅の設定はどのようなワークを用いるかによって、許容される範囲が大幅に異なってくる。一つの目安であるが、非特許文献1には「被切断物(ワーク)の厚さに対して5〜10%が許容範囲である」という旨の記載がある。この範囲内であれば、良好な切断ができるが、この範囲を超えてクリアランスを大きく設けると、ワークはパンチとダイの間に巻き込まれて変形したり、切断面端部に大きなバリやカエリが発生したりして品質が著しく低下する。
打抜き金型を設計、製造する場合、このクリアランスの大きさは製造コストを大きく左右する。当然、ワークが薄くなり、求められる精度が高くなるほどに、精密な加工や位置合わせが必要となるために製造コストは上昇する。一般にはクリアランスが20μm以上であれば製造は容易であり、10〜20μm程度では製造コストが若干上がり、10μm以下であればコストは非常に高くなり、5μm以下ともなれば製造自体が困難となる。
一方で、ワークの厚さが例えば5〜100μmである場合は、非特許文献1の数値を用いれば、適当なクリアランスは最大でも0.5〜10μmとなり、この値は前記のとおり金型製造に特段のコストがかかるか、製造が困難となる値となる。
特許文献1にはワークと重ねた樹脂などの中間体を用いるか、ワーク自体が非金属層を有する場合に、パンチとダイを嵌合させることなく打抜く方法が示されている。この方法は、確かに嵌合しないためにダイとパンチのクリアランスは厳密に管理する必要は無いが、ワークが非金属層を有する積層構造の場合か、切断用の中間体を別に準備する必要があり、適用できないか打抜きに要するコストが上がるという問題がある。
国際公開公報 WO2010/013818号公報
橋本明著、「プレス作業と型工作法 新版」、第7版、日刊工業新聞社、昭和50年4月30日、p35
ワークが極めて薄い金属箔、樹脂、フイルム、またはこれらに無機物を積層したようなものである場合、一般的な金型でこれをバリやカエリが押さえられた状態で良好に打抜くのは困難である。これは、許容されるクリアランスの問題であり、クリアランスが狭くなるほどに金型の製造は困難となり、製造コストも上がる。
この問題を解決するためには、中間体を使用する方法が提案されているが、前述のようにどうしても打抜きのコスト高を招く。
本発明は、金型そのものの製造費用、ワークの打抜きの費用を高くすることなく、あるいは下げて、薄いワークを良好に打抜く金型を得ること、また、その金型のパンチ先端部を製造することを目的とする。
本発明による打抜き金型は、
パンチとダイの一軸上の相対運動にて薄い被切断物を打抜く打抜き金型であって、
前記パンチが少なくとも
前記被切断物と直接接さないパンチ基材部と、
前記パンチ基材に接合され、前記被切断物と接するパンチ先端部とを有し、
前記パンチ先端部は薄板を前記パンチ基材と前記ダイとで打抜いて得られる
打抜き金型
とすることにより、前記課題を解決した。
また、本発明ではその金型を安価に製造する方法を提案する。
本発明の金型によれば、極めて低コストでパンチとダイのクリアランスを0〜10μm程度、より好ましくは5μm以下とすることができ、金属製などの薄いワークをバリやカエリを極めて小さく切断することが可能となる。
また、本発明の金型の製造方法によれば、パンチとダイとのクリアランスが極めて小さい金型を、安価に製造することができる。さらに、パンチが摩耗した際の交換費用も極めて低く、交換を短時間とすることができる。
本発明の金型全体の模式図 本発明の金型のパンチの詳細模式図 薄板をパンチ基材に接合した状態の模式図 パンチ用薄板の形成方法の模式図 本発明の打ち抜きの模式図 従来技術と本発明のパンチ寸法の許容サイズ 異なるクリアランスでのパンチ用薄板の形成の模式図 所望のワーク打抜き形状の一例 本発明の金型によるワーク打抜きの模式図 本発明のパンチ先端部(P1、P2)の写真 本発明の打抜き金型で打抜いたアルミ箔の切断面写真
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。
図1は本発明の打抜き金型100の全体の模式図である。パンチまたはダイが一軸方向(図では縦方向)に相対的に移動し、両者の接近の際にその間に挟まれているワークWが打抜き切断される。
Pはパンチであり、Dはダイである。パンチPの外形とダイDの内形(ダイ穴)はワークを打抜きたい形状とほぼ同じ形状を有している。
図2に先端部付近を示すように、パンチPはパンチ基材部P1と、先端にパンチ薄板P2を有する。
パンチ基材部P1は、ワークWを打抜きたい形状と同様の形状の断面を有し、端面はエッジが立った状態、いわゆる「ピン角」の状態が望ましい。面取りがあると切断中のワークがそれに倣い、塑性変形して切断面が乱れる可能性があるためである。
パンチ先端のパンチ薄板P2の詳細は後述する。
ダイDはワークWを打抜きたい形状の凹部のダイ穴D1を有する。ダイ穴D1は図1に示すダイの平坦面2(点線で表示)から凹んだ部分である。ダイ穴D1のエッジも面取りなどが無く、いわゆる「ピン角」の状態が望ましい。面取りがあると切断中のワークがそれに倣い、切断面が変形する可能性がある。ダイ穴D1のエッジも、パンチと同様に、ワークWを打抜きたい形状と同様の形状を有する。
パンチとダイは、パンチPおよびダイ穴D1の嵌合により、その間に挟まれたワークWを打抜き切断する。
次に、パンチ先端のパンチ薄板P2について説明する。
パンチ基材P1先端に、薄板6を固定する。例として、長方形の薄板6をパンチ基材P1の表面に固定した模式図を図3に示す。固定の手段は接着やロウ付けなど(固定部は図3の3)、公知の手段で行えばよいが、後に剥がすことになるために、着脱が簡単な方法が望ましい。
薄板6の厚さは特に限定されるものではないが、パンチ基材P1とダイDにて打抜ける厚さである必要がある。そのために、現実的には5〜500μm程度となる。さらに、パンチ基材P1とダイは、パンチ基材P1はダイ穴D1と嵌合せず、薄板6はダイ穴D1と嵌合する状態で薄板6を打抜く。よって、この面から述べれば、薄板6の厚さは、パンチ基材P1とダイ穴D1の稼働中の最短距離よりも厚いという条件が加わる。
図4(1)〜(4)に示すように、パンチ基材P1先端に薄板6を固定した状態で、まず、薄板6をパンチ基材P1とダイにて打ち抜く。この際は薄板6とダイ穴D1の間に樹脂などの薄い中間体を用いてもよい。打抜きにより、パンチ基材P1先端の薄板6が残り、金属板の他の部分(抜きカス5)は分離されるため、そのまま除去する。この際はパンチ基材P1がダイ穴Dと嵌合せず、薄板6のみが嵌合して打抜かれるような位置関係とする。嵌合の量は、0を超え、薄板6の厚さ以下である。
こうしてパンチ基材P1先端に、先端薄板6が設けられた構造となる。この薄板6は、既にダイ穴D1と嵌合しているために、薄板6とダイ穴は図5に示すように嵌合状態となり、接触程度はしても互いに干渉しない。この薄板6がパンチ薄板P2となる。また、この「基材P1+パンチ薄板P2」がパンチPとなる。
パンチの詳細な模式図を図2に示す。
まずパンチ基材P1については、まずダイ穴D1と同様の輪郭形状、エッジの輪郭形状を持つ必要がある。但し、パンチ基材P1とダイ穴D1は嵌合、接触するわけではないために、例えば数μm以内というように厳密に形状を一致させる必要は無い。おおよそ30μm以内で、ダイ穴D1のエッジと同様のエッジ形状を有していればよい。この精度であれば、特別な加工を必要とせずに、一般的な工業用加工機で十分に整形、安価に加工が可能である。
次にパンチの先端薄板P2(または「パンチ薄板P2」と表記する)について説明する。
パンチ薄板P2は前述のように、パンチ基材P1先端に設けられる。パンチ基材P1とパンチ薄板P2は、パンチ薄板P2を打抜いて成形する前に図3のように接着剤による接合や、ロウ付けなどの手段により一体化させておく。この状態でパンチ薄板P2用の薄板6を打抜いて形成される。前述のように、薄板6の厚さは、パンチ基材P1とダイ穴D1の最短距離よりも大きい。そのために、薄板6の打抜き時には、薄板6はダイ穴D1のエッジよりも内部に入り込み、薄板6とダイ穴D1は嵌合状態となる。この際に、ダイと勘合するために、薄板6はダイ穴D1の寸法形状にて的確に打抜かれる。図4(1)〜(4)に打抜き時の模式図を示す。パンチはこのように、薄板6を打抜き、パンチ薄板P2を形成するのであれば極めて簡単に、ダイ穴D1と嵌合するパンチ薄板P2を得ることができる。また、パンチ薄板D2は、一度ダイと嵌合しているために、ダイ穴に極めて近い形状に打抜かれている。そもそも打抜き金型では、パンチの外形とダイの内形が異なる場合、打ち抜かれるワークはダイの形状に倣って打抜かれる。よって、この方法によれば、パンチ薄板P2はダイと接触しないか、厳密には接触はしてもそれ以上干渉を広げることがない、クリアランスを極限まで縮めた、理想的な形状とできる。
このパンチ薄板P2の形成容易性について、従来技術と比較する。
従来技術では、パンチとダイをそれぞれ機械加工して製造するために、そのクリアランスを小さくするためには、金型の製造、組み付け、位置決めに多大な時間を要していた。具体的には、金型の研削加工を行ない、実際にパンチとダイを組み付けして、その嵌合具合を見た上で分解し、更にクリアランス調整のために金型の研削を行うということを繰り返し行なう必要がある。これを繰り返して初めてクリアランスが例えば5μm以下の金型を得ることができる。
また、パンチやダイの消耗や欠けが一端生じれば、その金型は使用不可となり、研削加工からまたやり直す必要が生じていた。このような補修や調整中は、金型の使用ができないために、ワークの打抜きラインは長時間止める必要があり、使用の上でも問題があった。
一方、本発明の金型およびその製造方法であれば、クリアランスを狭くするために特段の作業を行なう必要が無い。前述のように、従来の技術では、金型のクリアランス設定はそれが狭くなるほど多大な製造費用を伴うことになる。本発明の金型は、そもそもこの金型のパンチとダイとのクリアランスを狭くする必要が無い。パンチ薄板をパンチ基材とダイとが非嵌合状態で打抜けさえすればそれで十分である。また、パンチ基材部とダイはそもそも嵌合しないために、ダイの内径をパンチよりも大きく作る必要すらなく、パンチの外径が上回っていても構わない。パンチ基材とダイとの許容されるクリアランスは±30μm程度である。この範囲となっていれば、先端薄板となる薄板をダイの形状どおりに打抜くことができる。打抜かれた先端薄板は、打抜かれる際にダイと勘合しているために、ダイとのクリアランスの極めて小さい形状となっている。
ダイを基準(原点0μm)として、パンチ薄板を用いない従来技術と、パンチ先端薄板を用いる本発明のダイ基材が許容される寸法を図6に示す。ワークの厚さは20μmの例を示す。図7にはクリアランスがプラスの場合(1)、ゼロの場合(2)、およびマイナスの場合(3)の形成されたパンチ先端の模式図を示す。両者の比較により、本発明の金型の製造容易性が優れていることが確認できる。
また、従来の金型であれば、パンチの交換が非常に困難である。ダイとパンチは両者のクリアランスを小さくする修正を行いながら製作するために、パンチとダイは他の個体とはクリアランスを維持できず、いわゆる「一点物」となる。そのために、交換が容易ではなくなり、結果としてパンチ、ダイ共に耐摩耗性の高い、超硬合金などの硬質の材料を使用することになる。ところが、金型に使うような硬い材料は、一般的に硬さが上がれば耐チッピング性が低下するというトレードオフの関係を有する。交換頻度を下げようとして硬さの高い材質を用いればチッピングの危険性が高まり、硬さの低い材質を用いれば摩耗により交換が必要になる。これらのどちらかを選択する必要に迫られる。
一方、本発明の金型であれば、パンチ先端の交換は非常に簡単であり、短時間で行なうことができる。また、パンチが簡単に交換可能であるために、パンチの材質とダイの材質を、パンチを柔らかく、ダイを硬くといった組合せが可能になる。こうすれば、パンチ(の先端部材)の取替えを前提とした運用ができるようになり、パンチ先端は「一日で交換」「300ショットで交換」などとすることも可能である。従来の金型と異なり、パンチの摩耗や破損に対して極めてすばやく対応でき、ワークの打抜き装置としての稼働率も著しく高くできる。
薄板6の材質は、ワークWの材質にもよるがステンレス、銅、工具鋼などの硬質の金属やプラスチックなどを使うことがより適している。パンチ薄板P2はワークWと直接接する上、剪断力をかけるために、繰り返しの使用によりエッジ部近辺に摩耗が生じる。そのために、摩耗に強いこれらの材質が適している。また、打抜きの際にエッジの形状が崩れるような材質や、打抜きが困難な材質はやはり好ましくない。そのために、ワークWの材質よりも硬く、後述の理由により、ダイ穴D1周辺の材質よりも柔らかい材料が最も好ましい。
パンチ薄板P2が摩耗し、打ち抜いたワークWの断面品質が維持できない場合は、パンチ薄板P2をパンチ基材P1より剥がし、新しい薄板6を接合、打抜きすればよい。つまり、パンチPの交換は新たにダイDとクリアランスを調整したパンチを製造する場合と比較すると、コストが掛からないだけでなく、極めて短時間で行なうことが可能である。
パンチ基材P1の材質は、応力が掛かったときに変形が少なく、薄板6を打ち抜ける材質であればよい。そのために、例えば製造費用の高くない、鉄材で十分であるし、長期間にわたる仕様を考えている場合は更に硬い超硬合金などの使用もできる。
ダイ穴D1の周辺の材質は、ワークWの打抜きに必要な鋭いエッジを維持するために、変形の起こりにくい材料が好ましい。また、パンチ基材P1とは異なり、ワークWに剪断力をかける際には常に応力を受ける部分であるために摩耗しやすい使用環境となる。また、パンチ薄板P2ほど交換が容易ではないために、やはりできるだけ摩耗の少ない材質を使用するのが好ましい。そのため、ダイ穴D1のエッジ部周辺、少なくともエッジから数mm以上は超硬合金、工具鋼、セラミックスなどで製造することが望ましく、さらにDLC(ダイヤモンドライクカーボン)やTiNなどのセラミックスコーティングを施していてもよい。摩耗についてはパンチ基材P1、パンチ薄板P2、ダイ穴D1の中で最も進行しやすい状態での使用となるために、パンチ基材P1やパンチ薄板P2よりも硬さの高い材質を用いることが適している。
以上に述べたそれぞれの部材の硬さをまとめると、硬さをロックウェル硬さAスケール(HRA)で表した場合に、ダイ穴D1を構成する材料を最も硬くすることが適している。パンチ薄板P2はダイ穴を構成する材料と同等の応力が掛かるために、ある程度硬い材質が望ましいが、
1.パンチ基材P1とダイ穴D1にて打ち抜く必要がある
2.パンチ薄板P2は交換が容易である
の理由により、ダイ穴D1を構成する材料ほどは硬い必要が無く、また、あまり硬い材質であれば打抜けない。
さらに、パンチ基材P1は直接ワークWの打抜きに使用されるわけではなく、パンチ先端交換の際に薄板6を打ち抜くことができれば十分である。そのためにパンチ薄板P2と同等か、より硬くない材質を選択できる。よって、ダイ穴D1を構成する材料のロックウェル固さAスケールで表した値をH(HR)、同じくパンチ基材P1をHP1(HR)、パンチ薄板P2をHP2(HR)とした場合には、
>HP2≧HP1
を満たすことが、製造コストや、部品交換の面から最も望ましい。
また、上に述べた組合せの他に、
≧HP1>HP2
を満たす組合せが有効な場合もある。
この組合せは、パンチ基材P1の硬さをダイDの硬さと同等以下、パンチ薄板P2よりも高くしたことに特徴がある。ダイDの硬さが最も高いのは前記と同じ理由であるが、
パンチ基材P1の硬さを高くすることにて、より長期間パンチ基材P1自体を加工することなく打抜き金型を使用できる。また、パンチ先端P2として硬い材料や厚い材料を選択する場合はパンチ基材P1をある程度硬い材質とする必要が生じる。この組合せは、ワークが銅、ステンレスなどの比較的打抜きしにくい材質の場合や、リードフレーム材の場合に特に有効である。
打抜かれるワークWについては、5〜100μm程度の金属薄板、薄い樹脂、無機物のシート、またはこれらに塗布剤が塗布されたワークWであっても良好な切断品質を得ることができる。
(実施例1)
(パンチ先端部(パンチ薄板)の形成)
ワークとして厚さが20μmの鉄板を準備し、ここから図8に示すようなL字型のパーツW1を打ち抜くために、ダイとパンチを用意した。
パンチおよびダイはパンチ基材部を焼入れ鋼(SKD−11)で製作した。L字パンチ部P1の外径は、ワークWを打抜きたい形状よりも外周が15μm程度大きな形状とした。
パンチ基材とダイと上下動式の金型ユニット取付け、両者の形状が軸上で一致するように調整した。この金型ユニットは、ダイ側は動かずにパンチ側のみが上下動する構造である。
次に、パンチ基材の下死点を、ダイの平坦面から15μmの高さに調整した。
この状態で、図3に示すように、パンチ基材の先端部に四角形に切り出した厚さ25μmで均一な鉄板6を接着剤にて貼り付けた。鉄板と焼入れ鋼(SKD−11)は後者のほうがより硬い。
パンチ基材D1の端面に鉄板6を貼り付けたまま、パンチを下死点まで下降した。その結果、プラスチック板6は打抜かれ、接着されている箇所はパンチ基材D1端面に張り付いたままだった。
このパンチ部分の一部をCCDカメラにて撮影した。写真を図10に示す。
パンチ基材P1の端面にプラスチック板6が張り付いており、鉄板6はダイの内面と同様の外形に打ち抜かれており、鋭利なエッジを有していた。

(ワークの打抜き)
ワークWとして厚さが20μmのアルミ箔Wをダイのエッジ面上に挿入し、図9に示すように上方にあるパンチを下死点まで下降させた。
パンチを下死点まで下降させ、再び上昇させた後に、打抜かれたワークを取り出した。アルミ箔WはL字形に打抜かれ、その大きさはダイ穴D1の形状とほぼ一致していた。また、切断面は写真(図11)に示すように、目立つバリやカエリが無く、良好な状態であった。
パンチの上下動と、それに伴いワークWを上下動一回に対して挿入と取出しを連続的に繰り返し、500ショット打抜いた。その時点で金型の上下動を中断し、パンチ部Pを観察した。
鉄製のパンチ薄板は数μm摩耗していたために、接着部分から剥がして除去した。続いて、未使用で同じ厚さのプラスチック板6を従前の通りパンチ基材部に貼り付け、そのままの状態で打抜き、新たなパンチ薄板P2を得た。交換したパンチ薄板P2も、最初のパンチ先端部材と同様に、ワークを優れた切断面で切断が可能であった。
なお、同様にダイ穴D1周辺も観察したが、こちらは硬さがアルミ箔W、パンチ基材P1、パンチ薄板P2のいずれと比較しても大きいために、摩耗量はわずかであり、交換の必要はなかった。

(実施例2)
実施例1と他の条件は同様で、以下に記載の事項だけを変更した。
(1)パンチ基材部の材質を焼入れ鋼SKD11から炭素鋼S45Cに変更
(2)パンチ先端部となる薄板の材質をステンレスから焼入れ鋼SK材に変更、薄板の厚さを25μmから50μmに変更
(3)ワークの材質をアルミ箔から樹脂シート(ポリプロピレン材)に変更、厚さを20μmから10μmに変更
なお、ダイの材質は超硬合金で変更しておらず、焼入れ鋼SKは炭素鋼S45Cよりも硬い。
この条件にて、ワークの打抜きを行なったところ、バリやカエリが殆どなく、組織が崩れていない切断断面を得ることができた。寿命については、100万ショット良好に打ち抜いた時点でパンチ先端部に若干の摩耗が見られたために、接着部分から剥がして除去した。続いて、未使用で同じ厚さのSK材板を従前の通りパンチ基材部に貼り付け、下死点などの設定はそのままの状態でSK板を打抜き、新たなパンチ先端薄板P2を得た。交換に要した時間は10分ほどで、交換後のパンチ先端部P2も、最初のパンチ先端部と同様に、樹脂材を優れた切断面で切断が可能であった。交換時間が極めて短く、コストも掛からずに交換ができた。
P パンチ
P1 パンチ基材部
P2 パンチ先端部
D ダイ
D1 ダイ穴
D2
W ワーク(被切断材)
W1 ワークの打抜き形状
1 金型フレーム
2 ダイ平坦面
3 パンチ基材部P1と薄板の接合部
4 パンチの移動方向
5 ワークの抜きカス
6 薄板
7 打抜かれたワーク
100 本発明の金型

Claims (10)

  1. パンチとダイの一軸上の相対運動にて薄い被切断物を打抜く打抜き金型であって、
    前記パンチが少なくとも
    前記被切断物と直接接さないパンチ基材部と、
    前記パンチ基材に接合され、前記被切断物と接するパンチ先端部とを有し、
    前記パンチ先端部は薄板を前記パンチ基材と前記ダイとで打抜いて得られる
    打抜き金型。
  2. 前記パンチ先端部とダイとのクリアランスが0μm超、10μm以下である請求項1に記載の打抜き金型。
  3. 前記パンチ先端部と前記パンチ基材との接合が接着剤による接合である請求項1または請求項2のいずれか1項に記載の打抜き金型。
  4. 前記パンチ先端部が鉄材、ステンレス材、銅材、硬質プラスチックのいずれかである請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の打抜き金型。
  5. 前記パンチ先端部の厚さが5〜500μmの範囲である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の打抜き金型。
  6. 前記パンチ先端部の厚さが、
    打抜き運動中の前記パンチ基材と前記ダイとの最短距離よりも大きい請求項5に記載の打抜き金型。
  7. 前記パンチ基材と前記ダイとのクリアランスは、−30μm〜30μmの範囲である請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の打抜き金型。
  8. 前記パンチ基材部のロックウェル固さAスケールをHP1(HR)、
    前記パンチ先端部のロックウェル固さAスケールをHP2(HR)、
    前記ダイを構成する材料のロックウェル固さAスケールをH(HR)と表した際に、
    >HP2≧HP1
    の関係を満たす、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の打抜き金型。
  9. 前記パンチ基材部のロックウェル固さAスケールをHP1(HR)、
    前記パンチ先端部のロックウェル固さAスケールをHP2(HR)、
    前記ダイを構成する材料のロックウェル固さAスケールをH(HR)と表した際に、
    ≧HP1>HP2
    の関係を満たす、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の打抜き金型。
  10. −30μm〜30μmのクリアランスを有するパンチ基材とダイを用いて、少なくとも以下の1.から3.の工程を有する打抜き金型の製造方法。
    1.パンチ基材とダイの最接近時の距離を0超え100μm以下に設定する工程
    2.パンチ基材の先端面に厚さが5〜100μm、かつ、1.での最接近の距離より厚い薄板を接合する工程
    3.パンチ基材とダイとを一軸上で相対接近させて、薄板部分の厚さの全部または一部のみをダイと嵌合させて打抜き、抜きカスを除去して、パンチ先端部材を得る工程
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