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JP6315829B2 - 断線区間特定システム、および、断線区間特定方法 - Google Patents

断線区間特定システム、および、断線区間特定方法 Download PDF

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JP6315829B2 JP2015245259A JP2015245259A JP6315829B2 JP 6315829 B2 JP6315829 B2 JP 6315829B2 JP 2015245259 A JP2015245259 A JP 2015245259A JP 2015245259 A JP2015245259 A JP 2015245259A JP 6315829 B2 JP6315829 B2 JP 6315829B2
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Description

本発明は、配電線の断線が発生した区間を特定する断線区間特定システム、および、断線区間特定方法に関する。
配電網における配電線の断線を検出する断線検出装置が開発されている。例えば、配電線の各相の電圧を検出して、電圧の検出点より上流側(電源側)の断線を検出する方法がある(例えば、特許文献1など)。また、配電線の各相の線電流を検出し、各線電流の位相差に基づいて、下流側(負荷側)の断線を検出する方法がある(例えば、特許文献2など)。
特開2007−282452号公報 特開2009−81905号公報
本願の発明者らは、上流側の断線も、下流側の断線も検出できる断線検出装置を開発した(特願2014−178846)。この場合、上流側の断線を検出する構成が断線を検出したか、下流側の断線を検出する構成が断線を検出したかによって、断線検出装置の上流側で断線が発生したか、下流側で断線が発生したかを判別することができる。つまり、断線の検出とともに、断線が発生した方向も判定することができる。
しかしながら、断線検出装置が配置される配電網に分散電源や回転機が接続されている場合、断線が発生した方向を誤判定する場合がある。例えば、断線検出装置より上流側で断線が発生した場合でも、分散電源や回転機によって断線位置より下流側の電圧が保持されて、電圧の変化が小さくなってしまう場合がある。この場合、上流側の断線を検出する構成が断線を検出することができない。一方、下流側の断線を検出する構成が、誤って断線を検出する場合もある。そうすると、断線検出装置より上流側で断線が発生したにもかかわらず、下流側で断線が発生したと誤判定してしまう。この場合、各断線検出装置から送信される情報に基づいて配電線の状態を管理する管理装置が、断線方向の誤った情報を受信してしまうので、断線が発生した区間を誤って特定してしまう場合がある。
本発明は上記した事情のもとで考え出されたものであって、断線が発生した区間を適切に特定することができる断線区間特定システムを提供することをその目的としている。
上記課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
本発明の第1の側面によって提供される断線区間特定システムは、三相の配電線に配置され、前記三相の配電線のいずれかの断線が発生したことを検出する複数の断線検出装置と、前記複数の断線検出装置を管理する管理装置とを備え、前記断線検出装置は、前記配電線に配置された電気信号検出器が検出した電気信号に基づいて、相毎の基準電圧を基準とした線電流ベクトルの変化ベクトルである電流変化ベクトルを生成する電流変化ベクトル生成手段と、前記配電線で断線が発生したか否かを判断する断線判断手段と、前記断線判断手段によって断線が発生したと判断された場合に、前記電流変化ベクトル生成手段によって生成された各電流変化ベクトルを前記管理装置に送信する通信手段とを備え、前記管理装置は、前記各断線検出装置より受信した電流変化ベクトルを比較することで、断線が発生した区間を特定することを特徴とする。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記管理装置は、ある前記断線検出装置より受信した電流変化ベクトルと、他の前記断線検出装置より受信した電流変化ベクトルの一致度を算出する算出手段と、前記算出手段によって算出された一致度が所定の閾値未満の場合に、当該2つの断線検出装置の間の区間で、断線が発生したと判定する判定手段とを備えている。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記管理装置は、前記判定手段によって前記一致度が所定の閾値未満であると判定されるまで、前記電流変化ベクトルを送信してきた前記断線検出装置のうち、上流側から順に、当該断線検出装置とその下流側に隣接する断線検出装置より受信した電流変化ベクトルについて、前記算出手段による一致度の算出を行う。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記複数の断線検出装置のうち最も上流側に配置される断線検出装置は、変電所の電力送り出し部に配置されている。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記一致度は、2つの前記電流変化ベクトルの各相の位相の違いに基づいて算出される。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記一致度は、2つの前記電流変化ベクトルの各相の大きさの違いに基づいて算出される。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記一致度であるρは、一方の前記電流変化ベクトルをΔIa(i),ΔIb(i),ΔIc(i)とし、他方の前記電流変化ベクトルをΔIa(i+1),ΔIb(i+1),ΔIc(i+1)とした場合、下記式に基づいて算出される。
Figure 0006315829
本発明の好ましい実施の形態においては、前記閾値は、「0.9」である。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記算出手段は、一方の前記電流変化ベクトルを第1のベクトルに変形し、他方の前記電流変化ベクトルを第2のベクトルに変形し、前記第1のベクトルと前記第2のベクトルとに基づいて、前記一致度を算出する。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記一致度であるρは、一方の前記電流変化ベクトルをΔIa(i),ΔIb(i),ΔIc(i)とし、他方の前記電流変化ベクトルをΔIa(i+1),ΔIb(i+1),ΔIc(i+1)とした場合、下記式に基づいて算出される。
Figure 0006315829
本発明の好ましい実施の形態においては、前記電流変化ベクトル生成手段は、前記電気信号検出器が検出した電流信号に基づいて各相の線電流ベクトルを生成し、前記電気信号検出器が検出した電圧信号に基づいて各相の電圧ベクトルを生成するベクトル生成手段と、前記各相の電圧ベクトルを用いて、前記各相の線電流ベクトルを相毎の基準電圧を基準としたベクトルに変換し、当該変換後の各相の線電流ベクトルの変化ベクトルを演算する演算手段とを備えている。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記断線判断手段は、前記電流変化ベクトル生成手段によって生成された各電流変化ベクトルが、
(1)ある相の電流変化ベクトルに対する、前記ある相より位相が進む相の電流変化ベクトルの位相差、および、前記ある相より位相が遅れる相の電流変化ベクトルに対する、前記ある相の電流変化ベクトルの位相差が、それぞれ、第1閾値θ1以上、第2閾値θ2以下である、
(2)すべての電流変化ベクトルの大きさが所定の閾値I0以上である、
(3)以下の(3−1)〜(3−2)をすべて満たす場合に該当しない、
(3−1)前記各電流変化ベクトルの中で大きさが最大の電流変化ベクトルと、それ以外の電流変化ベクトルとの位相差が、それぞれ、約60°である、
(3−2)前記最大の電流変化ベクトルの大きさが、前記それ以外の電流変化ベクトルの大きさの約2倍である、
との条件をすべて満たす場合に、断線が発生したと判断する。
本発明の好ましい実施の形態においては、零相電圧を検出する零相電圧検出手段をさらに備え、前記断線判断手段は、前記(1)〜(3)の条件に加えて、
(4)零相電圧が所定の閾値V0以上である、
との条件をすべて満たす場合に、断線が発生したと判断する。
本発明の第2の側面によって提供される断線区間特定方法は、三相の配電線に配置され、前記三相の配電線のいずれかの断線が発生したことを検出する複数の断線検出装置と、前記複数の断線検出装置を管理する管理装置とを備えたシステムで、断線が発生した区間を特定する方法であって、前記各断線検出装置が、前記配電線に配置された電気信号検出器が検出した電気信号に基づいて、相毎の基準電圧を基準とした線電流ベクトルの変化ベクトルである電流変化ベクトルを生成する第1の工程と、前記各断線検出装置が、前記第1の工程によって生成された各電流変化ベクトルに基づいて、前記配電線で断線が発生したか否かを判断する第2の工程と、前記各断線検出装置が、前記第2の工程によって断線が発生したと判断された場合に、前記第1の工程によって生成された各電流変化ベクトルを前記管理装置に送信する第3の工程と、前記管理装置が、前記各断線検出装置より受信した電流変化ベクトルを比較することで、断線が発生した区間を特定する第4の工程とを備えていることを特徴とする。
本発明によると、各断線検出装置は、断線を検出した場合に、管理装置に電流変化ベクトルを送信する。管理装置は、各断線検出装置より受信した電流変化ベクトルを比較することで、断線が発生した区間を特定する。したがって、各断線検出装置の上流側の断線を検出する構成が断線を検出したか、下流側の断線を検出する構成が断線を検出したかによって特定する場合より、断線が発生した区間を適切に特定することができる。
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
第1実施形態に係る断線区間特定システムの全体構成を示す図である。 第1実施形態に係る断線検出装置を説明するための図である。 変圧器の結線がΔΔ結線である場合を説明するための図である。 断線が発生した状態を説明するための図である。 単相負荷変動が発生した状態を説明するための図である。 三相負荷変動が発生した状態を説明するための図である。 変圧器の結線がΔY結線である場合を説明するための図である。 負荷変動時のベクトルを示す図である。 変圧器の結線がYΔ結線である場合を説明するための図である。 負荷変動時のベクトルを示す図である。 断線区間特定処理を説明するためのフローチャートである。 二相負荷変動が発生した状態を説明するための図である。 二相負荷変動時のベクトルを示す図である。 第2実施形態に係る断線検出装置を説明するための図である。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して具体的に説明する。
図1は、第1実施形態に係る断線区間特定システムの全体構成を示す図である。断線区間特定システムは、断線が発生した場合に、その発生区間を特定するためのものであり、三相の配電線に配置された複数の断線検出装置A1,A2,A3,…、および、断線検出装置A1,A2,A3,…を管理する管理装置Cを備えている。図1においては、4つの断線検出装置A1,A2,A3,A4が示されている。変電所Dの電力送り出し部(すなわち、配電線の最も上流である位置)に断線検出装置A1が配置されており、下流側に向けて順に、断線検出装置A2、断線検出装置A3、断線検出装置A4が配置されている。各断線検出装置A1,A2,A3,…は、いずれも同じ構成であり、いずれかを特定しないで記載する場合は、断線検出装置Aと記載する。
図2は、第1実施形態に係る断線検出装置Aを説明するための図であり、三相の配電線に配置した状態を示している。三相はa相、b相、c相からなり、b相の電流はa相の電流より位相が遅れており、c相の電流はa相の電流より位相が進んでいる。
断線検出装置Aは、配電線の断線を検出するものである。本実施形態では、断線検出装置Aが、a相の配電線a、b相の配電線bおよびc相の配電線cからなる三相の配電線の断線を検出する場合について説明する。
配電線a、b、cの間には、変圧器Bを介して、それぞれ負荷が接続されている。配電線aと配電線bとの間には負荷Labが接続され、配電線bと配電線cとの間には負荷Lbcが接続され、配電線cと配電線aとの間には負荷Lcaが接続されている。配電線aには計器用変流器CT1が配置されており、配電線bには計器用変流器CT2が配置されており、配電線cには計器用変流器CT3が配置されている。計器用変流器CT1,CT2,CT3は、それぞれ配置された配電線を流れる電流を検出するものである。計器用変流器CT1,CT2,CT3によってそれぞれ検出された電流信号ia,ib,icは、断線検出装置Aに入力される。なお、計器用変流器CT1,CT2,CT3に代えて、他の電流検出装置(例えば、光電流測定など)を用いてもよい。また、配電線aと配電線bとの間には計器用変圧器PT1が配置されており、配電線bと配電線cとの間には計器用変圧器PT2が配置されており、配電線cと配電線aとの間には計器用変圧器PT3が配置されている。計器用変圧器PT1,PT2,PT3は、それぞれ配電線間の線間電圧を検出するものである。計器用変圧器PT1,PT2,PT3によってそれぞれ検出された電圧信号vab,vbc,vcaは、断線検出装置Aに入力される。なお、計器用変圧器PT1,PT2,PT3に代えて、他の電圧検出装置(例えば、コンデンサ分圧など)を用いてもよい。
計器用変流器CT1,CT2,CT3および計器用変圧器PT1,PT2,PT3の下流側には、遮断器CB1,CB2,CB3が設けられている。遮断器CB1,CB2,CB3は、断線検出装置Aから入力される遮断指令に応じて、それぞれ配電線a,b,cを流れる電流を遮断する。なお、遮断器CB1,CB2,CB3を、計器用変流器CT1,CT2,CT3および計器用変圧器PT1,PT2,PT3の上流側に設けるようにしてもよい。
断線検出装置Aは、計器用変流器CT1、CT2,CT3からそれぞれ入力される電流信号ia,ib,c、および、計器用変圧器PT1、PT2,PT3からそれぞれ入力される電圧信号vab,vbc,caに基づいて断線を検出し、通常時は閉路されている遮断器CB1,CB2,CB3を開放させるための遮断指令を出力する。また、断線検出装置Aは、断線を検出したことを示す情報、断線が発生した配電線の情報、および、後述する電流変化ベクトルΔIa,ΔIb,ΔIcを、管理装置Cに送信する。断線検出装置Aは、電流変化ベクトル生成部1、下流側断線判断部2、実効値算出部3、上流側断線判断部4、遮断指令部5、および、通信部6を備えている。
電流変化ベクトル生成部1は、入力される電圧信号vab,vbc,caおよび電流信号ia,ib,cに基づいて、各相電圧基準の線電流ベクトルの変化ベクトルを生成して出力するものである。電流変化ベクトル生成部1は、ベクトル生成部11、演算部12、および、記憶部13を備えている。
ベクトル生成部11は、各相の線電流ベクトルおよび線間電圧ベクトルを生成するものである。a相の線電流ベクトルをIa,b相の線電流ベクトルをIb,c相の線電流ベクトルをIcと表し、b相に対するa相の線間電圧ベクトルをVab,c相に対するb相の線間電圧ベクトルをVbc,a相に対するc相の線間電圧ベクトルをVcaと表す。ベクトル生成部11は、計器用変流器CT1、CT2,CT3からそれぞれ入力される電流信号ia,ib,icをデジタル信号に変換し、ローパスフィルタで高調波成分を除去し、それぞれ振幅および位相を検出し、これらに基づいて線電流ベクトルIa,Ib,Icを生成する。また、ベクトル生成部11は、計器用変圧器PT1、PT2,PT3からそれぞれ入力される電圧信号vab,vbc,vcaをデジタル信号に変換し、ローパスフィルタで高調波成分を除去し、それぞれ振幅および位相を検出し、これらに基づいて線間電圧ベクトルVab,Vbc,Vcaを生成する。ベクトル生成部11は、生成した線電流ベクトルIa,Ib,Icおよび線間電圧ベクトルVab,Vbc,Vcaを演算部12に出力する。
演算部12は、ベクトル生成部11より入力される線電流ベクトルIa,Ib,Icを各相電圧基準のベクトルに変換し、変化ベクトルを生成して出力するものである。演算部12は、ベクトル生成部11より入力される線電流ベクトルIa,Ib,Icを、線間電圧ベクトルVab,Vbc,Vcaを用いて、各線間電圧基準のベクトルに変換し、位相を30°遅らせることで各相電圧基準のベクトルに変換する。そして、各相電圧基準のベクトルに変換された線電流ベクトルIa,Ib,Icを記憶部13に記憶させつつ、所定時間(例えば、数十ミリ秒)前の線電流ベクトルを記憶部13から読み出す。演算部12は、ベクトル生成部11より入力されて各相電圧基準のベクトルに変換された線電流ベクトルIa,Ib,Icを、記憶部13から読み出された線電流ベクトルIa’,Ib’,Ic’からそれぞれ減算して、電流変化ベクトルΔIa(=Ia’−Ia),ΔIb(=Ib’−Ib),ΔIc(=Ic’−Ic)を算出し、下流側断線判断部2に出力する。
なお、線電流ベクトルIa,Ib,Icを各線間電圧基準のベクトルに変換する際に、例えば線間電圧ベクトルVabを基準として変換し、その後、線電流ベクトルIbについては位相を120°進め、線電流ベクトルIcについては位相を120°遅らせるようにしてもよい。また、先に、線電流ベクトルIa,Ib,Icの変化ベクトルを生成し、各相電圧基準のベクトルに変換して出力するようにしてもよい。
なお、電流変化ベクトル生成部1の構成は、上述したものに限定されず、各相電圧基準の電流変化ベクトルΔIa,ΔIb,ΔIcを生成するものであればよい。また、ベクトル生成部11の前段にアナログフィルタを設けるようにしてもよい。また、ベクトル生成部11が所定時間ごとに線電流ベクトルIa,Ib,Icおよび線間電圧ベクトルVab,Vbc,Vcaを生成し、演算部12が前回入力された線電流ベクトルIa’,Ib’,Ic’と今回入力された線電流ベクトルIa,Ib,Icとから電流変化ベクトルΔIa,ΔIb,ΔIcを算出するようにしてもよい。
下流側断線判断部2は、計器用変流器CT1,CT2,CT3および計器用変圧器PT1,PT2,PT3が配置されている位置より下流側(負荷側)の断線の発生を判断し、断線した配電線の特定を行うものであり、例えばマイクロコンピュータなどによって実現されている。下流側断線判断部2は、電流変化ベクトル生成部1より入力される各相電圧基準の電流変化ベクトルΔIa,ΔIb,ΔIcに基づいて判断を行う。下流側断線判断部2は、各相電圧基準の電流変化ベクトルΔIa,ΔIb,ΔIcが所定の条件を満たす場合に、下流側で断線が発生したと判断する。下流側断線判断部2は、下流側で断線が発生したと判断した場合、断線が発生したこと、および、断線が発生した配電線の情報を、遮断指令部5および通信部6に出力する。また、下流側断線判断部2は、下流側断線判断部2自身が下流側で断線が発生したと判断した場合、および、上流側断線判断部が上流側で断線が発生したと判断した場合に、電流変化ベクトル生成部1より入力される各相電圧基準の電流変化ベクトルΔIa,ΔIb,ΔIcを、通信部6に出力する。通信部6は、下流側断線判断部2より入力された各相電圧基準の電流変化ベクトルΔIa,ΔIb,ΔIcを、管理装置Cに出力する。
以下に、下流側断線判断部2が下流側の断線を判断するための条件について説明する。
下流側で断線が発生せず、配電線に接続されている負荷に変動がない場合、各線電流ベクトルIa,Ib,Icが変化しないので、各相電圧基準の電流変化ベクトルΔIa,ΔIb,ΔIc(以下では、単に「ベクトルΔIa,ΔIb,ΔIc」と記載する)は、いずれもゼロベクトルである。下流側で断線が発生した場合、線電流ベクトルIa,Ib,Icが変化するので、ベクトルΔIa,ΔIb,ΔIcも変化する。しかし、各相の配電線間に接続された負荷が変動した場合にも、ベクトルΔIa,ΔIb,ΔIcが変化する。下流側断線判断部2は、ベクトルΔIa,ΔIb,ΔIcの特徴から、下流側で断線が発生したことを判断する。具体的には、下流側断線判断部2は、下流側で断線が発生したときのベクトルΔIa,ΔIb,ΔIcの特徴を条件化して記憶しており、ベクトルΔIa,ΔIb,ΔIcが当該条件に一致するか否かを判別することで、下流側の断線の発生を判断する。
配電線と負荷との間に介在する変圧器B(図2参照)の結線には、ΔΔ結線、YY結線、ΔY結線、YΔ結線などがある。本実施形態では、変圧器Bがいずれの結線であるかに関係なく、断線を判断できるようにしている。
図3は、変圧器Bの結線がΔΔ結線である場合を示すものであり、図3(a)は図2に示す配電線a、b、cに接続された変圧器Bおよび負荷を示している。図3(a)において、負荷Labに流れる電流のベクトルをIab、負荷Lbcに流れる電流のベクトルをIbc、負荷Lcaに流れる電流のベクトルをIcaとしている。図3(a)に示すように、a相の配電線aの線電流ベクトルIa、b相の配電線bの線電流ベクトルIb、c相の配電線cの線電流ベクトルIcは、それぞれ、
Ia=Iab−Ica
Ib=Ibc−Iab
Ic=Ica−Ibc
となる。なお、計算の便宜上、変圧器Bの変圧比を「1」としている。変圧比が「1」でない場合は、ベクトルΔIa,ΔIb,ΔIcは、大きさがそれぞれ変圧比で除算したものになるが、断線時でも負荷変動時でも条件は同じで、いずれの場合もベクトルΔIa,ΔIb,ΔIcの大きさがそれぞれ変圧比で除算したものになる。したがって、変圧比を「1」として計算しても問題ない。
図3(b)は、三相平衡状態の各電流および電圧のベクトルを示している。a相の相電圧ベクトルVa,b相の相電圧ベクトルVb,c相の相電圧ベクトルVcは、それぞれ互いに位相が120°ずつ離れている(図3(b)において、太線矢印で示している)。b相に対するa相の線間電圧ベクトルVab、c相に対するb相の線間電圧ベクトルVbc、a相に対するc相の線間電圧ベクトルVcaは、それぞれ、
Vab=Va−Vb
Vbc=Vb−Vc
Vca=Vc−Va
となる(図3(b)において、破線矢印で示している)。電流が電圧より位相θ進んでいるとすると、電流ベクトルIab,Ibc,Icaは、図3(b)における細線矢印で示される。
a相の相電圧ベクトルVaを基準にして、電流ベクトルIab,Ibc,Icaを表すと、
Figure 0006315829
となり、b相の相電圧ベクトルVbを基準にして、電流ベクトルIab,Ibc,Icaを表すと、
Figure 0006315829
となり、c相の相電圧ベクトルVcを基準にして、電流ベクトルIab,Ibc,Icaを表すと、
Figure 0006315829
となる。
図4(a)は、a相の配電線aにおいて断線が発生した状態を示している。配電線aで断線が発生すると、配電線aに電流が流れなくなるので、線電流ベクトルIaはゼロベクトルになる。負荷LabおよびLcaには同じ電流が流れ、この電流ベクトルは、電流ベクトルIbcと位相が同じで大きさが異なるベクトルになるので、αIbcと表すことができる。したがって、
Ia=0
Ib=Ibc+αIbc
Ic=−Ibc−αIbc
となる。
よって、断線前後の電流変化ベクトルΔIa,ΔIb,ΔIcは、
ΔIa=(Iab−Ica)−(0)=Iab−Ica
ΔIb=(Ibc−Iab)−(Ibc+αIbc)=−Iab−αIbc
ΔIc=(Ica−Ibc)−(−Ibc−αIbc)=Ica+αIbc
となり、各相の相電圧ベクトルを基準にして表すと、
Figure 0006315829
となる。
各相電圧を基準とした線電流ベクトルをIとし、ベクトルβVa,βVb,βVcをそれぞれベクトルIに置き換えると、
Figure 0006315829
となる。実際の電力系統では、断線時に電圧不足による停電のため、αは「0」に近い値になる。図4(b)は、断線時のベクトルΔIa,ΔIb,ΔIcを示したものである。
次に、単相負荷変動時のベクトルΔIa,ΔIb,ΔIcについて説明する。
図5(a)は、単相負荷変動を表すものであり、負荷Labが切り離された状態を示している。この場合、図5(a)から明らかなように、
Ia=−Ica
Ib=Ibc
Ic=Ica−Ibc
となる。
よって、負荷変動前後の電流変化ベクトルΔIa,ΔIb,ΔIcは、
ΔIa=(Iab−Ica)−(−Ica)=Iab
ΔIb=(Ibc−Iab)−(Ibc)=−Iab
ΔIc=(Ica−Ibc)−(Ica−Ibc)=0
となり、各相の相電圧ベクトルを基準にして表すと、
Figure 0006315829
となる。
各相電圧を基準とした線電流ベクトルをIとし、ベクトルβVa,βVb,βVcをそれぞれベクトルIに置き換えると、
Figure 0006315829
となる。図5(b)は、単相負荷変動時のベクトルΔIa,ΔIb,ΔIcを示したものである。
次に、三相負荷変動時のベクトルΔIa,ΔIb,ΔIcについて説明する。
図6(a)は、三相負荷変動を表すものであり、負荷Lab,Lbc,Lcaが切り離された状態を示している。この場合、図6(a)から明らかなように、
Ia=0
Ib=0
Ic=0
となる。
よって、負荷変動前後の電流変化ベクトルΔIa,ΔIb,ΔIcは、
ΔIa=(Iab−Ica)−(0)=Iab−Ica
ΔIb=(Ibc−Iab)−(0)=Ibc−Iab
ΔIc=(Ica−Ibc)−(0)=Ica−Ibc
となり、各相の相電圧ベクトルを基準にして表すと、
Figure 0006315829
となる。
各相電圧を基準とした線電流ベクトルをIとし、ベクトルβVa,βVb,βVcをそれぞれベクトルIに置き換えると、
Figure 0006315829
となる。図6(b)は、三相負荷変動時のベクトルΔIa,ΔIb,ΔIcを示したものである。
次に、変圧器Bの結線がΔY結線である場合について説明する。
図7は、変圧器Bの結線がΔY結線である場合を示すものであり、図7(a)は図2に示す配電線a、b、cに接続された変圧器Bおよび負荷を示している。図3(a)と同様に、図7(a)において、負荷Labに流れる電流のベクトルをIab、負荷Lbcに流れる電流のベクトルをIbc、負荷Lcaに流れる電流のベクトルをIcaとしている。図7(a)に示すように、a相の配電線aの線電流ベクトルIa、b相の配電線bの線電流ベクトルIb、c相の配電線cの線電流ベクトルIcは、それぞれ、
Ia=Iab+Ibc−2Ica
Ib=Ibc+Ica−2Iab
Ic=Ica+Iab−2Ibc
となる。
図7(b)は、三相平衡状態の各電流および電圧のベクトルを示している。a相の相電圧ベクトルVa,b相の相電圧ベクトルVb,c相の相電圧ベクトルVcは、それぞれ互いに位相が120°ずつ離れている(図7(b)において、太線矢印で示している)。b相に対するa相の線間電圧ベクトルVab、c相に対するb相の線間電圧ベクトルVbc、a相に対するc相の線間電圧ベクトルVcaは、それぞれ、
Vab=Va−Vb
Vbc=Vb−Vc
Vca=Vc−Va
となる(図7(b)において、破線太線矢印で示している)。負荷Labにかかる電圧のベクトルをVab’、負荷Lbcにかかる電圧のベクトルをVbc’、負荷Lcaにかかる電圧のベクトルをVca’は、それぞれ線間電圧ベクトルVab,Vbc,Vcaに対して位相が30°進む。電流が電圧より位相θ進んでいるとすると、電流ベクトルIab,Ibc,Icaは、図7(b)における細線矢印で示される。
a相の相電圧ベクトルVaを基準にして、電流ベクトルIab,Ibc,Icaを表すと、
Figure 0006315829
となり、b相の相電圧ベクトルVbを基準にして、電流ベクトルIab,Ibc,Icaを表すと、
Figure 0006315829
となり、c相の相電圧ベクトルVcを基準にして、電流ベクトルIab,Ibc,Icaを表すと、
Figure 0006315829
となる。
変圧器Bの結線がΔY結線の場合も、断線時のベクトルΔIa,ΔIb,ΔIcは、図4(b)と同様になる。
次に、単相負荷変動時のベクトルΔIa,ΔIb,ΔIcについて説明する。
負荷Labが切り離されて、Iab=0になると、
Ia=Ibc−2Ica
Ib=Ibc+Ica
Ic=Ica−2Ibc
となる。
よって、負荷変動前後の電流変化ベクトルΔIa,ΔIb,ΔIcは、
ΔIa=(Iab+Ibc−2Ica)−(Ibc−2Ica)=Iab
ΔIb=(Ibc+Ica−2Iab)−(Ibc+Ica)=−2Iab
ΔIc=(Ica+Iab−2Ibc)−(Ica−2Ibc)=Iab
となり、各相の相電圧ベクトルを基準にして表すと、
Figure 0006315829
となる。
各相電圧を基準とした線電流ベクトルをIとし、ベクトルγVa,γVb,γVcをそれぞれベクトルIに置き換えると、
Figure 0006315829
となる。図8(a)は、単相負荷変動時のベクトルΔIa,ΔIb,ΔIcを示したものである。
次に、三相負荷変動時のベクトルΔIa,ΔIb,ΔIcについて説明する。
負荷Lab,Lbc,Lcaが切り離されると、
Ia=0
Ib=0
Ic=0
となる。
よって、負荷変動前後の電流変化ベクトルΔIa,ΔIb,ΔIcは、
ΔIa=(Iab+Ibc−2Ica)−(0)=−3Ica
ΔIb=(Ibc+Ica−2Iab)−(0)=−3Iab
ΔIc=(Ica+Iab−2Ibc)−(0)=−3Ibc
となり、各相の相電圧ベクトルを基準にして表すと、
Figure 0006315829
となる。
各相電圧を基準とした線電流ベクトルをIとし、ベクトルγVa,γVb,γVcをそれぞれベクトルIに置き換えると、
Figure 0006315829
となる。図8(b)は、三相負荷変動時のベクトルΔIa,ΔIb,ΔIcを示したものである。
次に、変圧器Bの結線がYΔ結線である場合について説明する。
図9は、変圧器Bの結線がYΔ結線である場合を示すものであり、図9(a)は図2に示す配電線a、b、cに接続された変圧器Bおよび負荷を示している。図3(a)と同様に、図9(a)において、負荷Labに流れる電流のベクトルをIab、負荷Lbcに流れる電流のベクトルをIbc、負荷Lcaに流れる電流のベクトルをIcaとしている。図9(a)に示すように、a相の配電線aの線電流ベクトルIa、b相の配電線bの線電流ベクトルIb、c相の配電線cの線電流ベクトルIcは、それぞれ、
Ia=(2/3)Iab−(1/3)Ibc−(1/3)Ica
Ib=(2/3)Ibc−(1/3)Ica−(1/3)Iab
Ic=(2/3)Ica−(1/3)Iab−(1/3)Ibc
となる。
図9(b)は、三相平衡状態の各電流および電圧のベクトルを示している。a相の相電圧ベクトルVa,b相の相電圧ベクトルVb,c相の相電圧ベクトルVcは、それぞれ互いに位相が120°ずつ離れている(図9(b)において、太線矢印で示している)。b相に対するa相の線間電圧ベクトルVab、c相に対するb相の線間電圧ベクトルVbc、a相に対するc相の線間電圧ベクトルVcaは、それぞれ、相電圧ベクトルVa,Vb,Vcと等しくなる。電流が電圧より位相θ進んでいるとすると、電流ベクトルIab,Ibc,Icaは、図9(b)における細線矢印で示される。
a相の相電圧ベクトルVaを基準にして、電流ベクトルIab,Ibc,Icaを表すと、
Figure 0006315829
となり、b相の相電圧ベクトルVbを基準にして、電流ベクトルIab,Ibc,Icaを表すと、
Figure 0006315829
となり、c相の相電圧ベクトルVcを基準にして、電流ベクトルIab,Ibc,Icaを表すと、
Figure 0006315829
となる。
変圧器Bの結線がYΔ結線の場合も、断線時のベクトルΔIa,ΔIb,ΔIcは、図4(b)と同様になる。
次に、単相負荷変動時のベクトルΔIa,ΔIb,ΔIcについて説明する。
負荷Labが切り離されて、Iab=0になると、
Ia=−(1/3)Ibc−(1/3)Ica
Ib=(2/3)Ibc−(1/3)Ica
Ic=(2/3)Ica−(1/3)Ibc
となる。
よって、負荷変動前後の電流変化ベクトルΔIa,ΔIb,ΔIcは、
ΔIa=(2/3)Iab−(1/3)Ibc−(1/3)Ica)−(−(1/3)Ibc−(1/3)Ica)=(2/3)Iab
ΔIb=((2/3)Ibc−(1/3)Ica−(1/3)Iab)−((2/3)Ibc−((1/3))Ica)=−(1/3)Iab
ΔIc=((2/3)Ica−(1/3)Iab−(1/3)Ibc)−((2/3)Ica−(1/3)Ibc)=−(1/3)Iab
となり、各相の相電圧ベクトルを基準にして表すと、
Figure 0006315829
となる。
各相電圧を基準とした線電流ベクトルをIとし、ベクトルεVa,εVb,εVcをそれぞれベクトルIに置き換えると、
Figure 0006315829
となる。図10(a)は、単相負荷変動時のベクトルΔIa,ΔIb,ΔIcを示したものである。
次に、三相負荷変動時のベクトルΔIa,ΔIb,ΔIcについて説明する。
負荷Lab,Lbc,Lcaが切り離されると、
Ia=0
Ib=0
Ic=0
となる。
よって、負荷変動前後の電流変化ベクトルΔIa,ΔIb,ΔIcは、
ΔIa=((2/3)Iab−(1/3)Ibc−(1/3)Ica)−(0)=Iab
ΔIb=((2/3)Ibc−(1/3)Ica−(1/3)Iab)−(0)=Ibc
ΔIc=((2/3)Ica−(1/3)Iab−(1/3)Ibc)−(0)=Ica
となり、各相の相電圧ベクトルを基準にして表すと、
Figure 0006315829
となる。
各相電圧を基準とした線電流ベクトルをIとし、ベクトルεVa,εVb,εVcをそれぞれベクトルIに置き換えると、
Figure 0006315829
となる。図10(b)は、三相負荷変動時のベクトルΔIa,ΔIb,ΔIcを示したものである。
変圧器Bの結線がYY結線の場合は、ΔΔ結線の場合と同様になる。なお、二相負荷変動は、きわめて特殊な状態でしか発生せず、実際に発生することはほとんどないので、本実施形態では、二相負荷変動が生じる場合を想定していない。
以上のように、ベクトルΔIa,ΔIb,ΔIcは、下流側で断線が発生した場合(図4(b)参照)と、負荷変動が発生した場合(図5(b)、図6(b)、図8(a)、(b)、図10(a)、(b))とで異なるベクトルになる。ベクトルΔIa,ΔIb,ΔIcが、図4(b)に示すベクトルになった場合に、下流側で断線が発生したと判断することができる。しかし、負荷変動時はおおよそ負荷が平衡していると考えて問題ないが、下流側の断線時は断線点より負荷側の負荷が平衡しているとは限らず、図4(b)に示すベクトル図からずれが生じる場合がある。また、計器用変流器CT1、CT2,CT3または計器用変圧器PT1、PT2,PT3に測定誤差が生じることも考慮にいれる必要がある。つまり、これらの誤差が含まれていても、ベクトルΔIa,ΔIb,ΔIcが、図4(b)に示すベクトルであって、図5(b)、図6(b)、図8(a)、(b)、図10(a)、(b)に示すベクトルでないと判断できる条件を設定する必要がある。
本実施形態では、下流側の断線発生を判断するための条件として、以下の条件を設定している。
(1)ある相の相電圧基準の電流変化ベクトルに対する、ある相より位相が進む相の相電圧基準の電流変化ベクトルの位相差、および、ある相より位相が遅れる相の相電圧基準の電流変化ベクトルに対する、ある相の相電圧基準の電流変化ベクトルの位相差が、それぞれ、第1閾値θ1以上、第2閾値θ2以下である。
(2)すべての相の相電圧基準の電流変化ベクトルの大きさが所定の閾値I0以上である。
(3)以下の条件をすべて満たす場合に該当しない。
(3−1)各相の相電圧基準の電流変化ベクトルの中で大きさが最大のベクトルと、それ以外のベクトルとの位相差が、それぞれ、約60°である。
(3−2)前記最大のベクトルの大きさが、前記それ以外のベクトルの大きさの約2倍である。
本実施形態では、第1閾値θ1として5°〜30°の値が設定され、第2閾値θ2として150°〜180°の値が設定され、所定の閾値I0として数アンペアの値が設定されている。
上記(1)の条件は、例えば「ある相」がa相の場合、a相の相電圧基準の電流変化ベクトルに対する、c相の相電圧基準の電流変化ベクトルの位相差がθ1〜θ2の範囲にあり、かつ、b相の相電圧基準の電流変化ベクトルに対する、a相の相電圧基準の電流変化ベクトルの位相差がθ1〜θ2の範囲にあることを意味している。
上記(3)の条件は、図8(a)および図10(a)に示すベクトルに該当しないことを条件としている。断線により一切停電が発生しない場合、すなわち、αが(1/2)の場合、図4(b)に示すベクトルと図8(a)および図10(a)に示すベクトルとを判別することが難しい。しかし、実際の系統で一切停電が発生しないことは考えられない。したがって、ベクトルΔIa,ΔIb,ΔIcが図8(a)または図10(a)に示すベクトルに該当する場合は、断線ではなく負荷変動であると判断しても問題ない。なお、本実施形態では、(3−1)の条件を、各位相差が60°±5°の範囲内であるかどうかで判断している。また、(3−2)の条件を、1.9〜2倍の範囲内であるかどうかで判断している。
なお、上述した条件(1)〜(3)は、下流側の断線の発生を判断するための条件の一例であって、下流側断線判断部2に設定される条件はこれに限定されない。下流側の断線の発生を判断するための条件は、ベクトルΔIa,ΔIb,ΔIcに基づいて、下流側で断線が発生した場合(図4(b)参照)と、負荷変動が発生した場合(図5(b)、図6(b)、図8(a)、(b)、図10(a)、(b))とを区別できるものであればよい。
下流側断線判断部2は、電流変化ベクトル生成部1より入力されるベクトルΔIa,ΔIb,ΔIcが上記条件(1)〜(3)をすべて満たす場合に、配電線の下流側で断線が発生したと判断する。
なお、上記では、負荷変動が発生した場合として、各負荷が切り離された場合のベクトルΔIa,ΔIb,ΔIcのベクトル図(図5(b)、図6(b)、図8(a)、(b)、図10(a)、(b)参照)を示している。負荷が減少した場合は、各図のベクトルΔIa,ΔIb,ΔIcの長さが異なるだけであり、負荷が増加した場合は、各図のベクトルΔIa,ΔIb,ΔIcの向きが180°反転するだけである。したがって、これらの場合も、上記条件(1)〜(3)を用いて、下流側の断線発生時のものと区別することができる。
図2に戻って、実効値算出部3は、入力される電圧信号vab,vbc,vcaに基づいて、各線間電圧の実効値Vrmsab,Vrmsbc,Vrmscaを算出するものである。実効値算出部3は、算出した実効値Vrmsab,Vrmsbc,Vrmscaを、上流側断線判断部4に出力する。
上流側断線判断部4は、計器用変流器CT1,CT2,CT3および計器用変圧器PT1,PT2,PT3が配置されている位置より上流側(電源側)の断線の発生を判断し、断線した配電線の特定を行うものであり、例えばマイクロコンピュータなどによって実現されている。上流側断線判断部4は、実効値算出部3より入力される各線間電圧の実効値Vrmsab,Vrmsbc,Vrmscaに基づいて判断を行う。通常時は、実効値Vrmsab,Vrmsbc,Vrmscaは、ほぼ同様の値になる。しかし、上流側で断線が発生した場合、断線した配電線に係わる線間電圧が低下する。例えば、a相の配電線aにおいて断線が発生した場合、実効値VrmsabおよびVrmscaが低下する。上流側断線判断部4は、実効値Vrmsab,Vrmsbc,Vrmscaのいずれか2つの値が残りの1つの値より所定値以上低下した場合に、上流側で断線が発生したと判断する。また、上流側断線判断部4は、どの2つの値が低下したかにより、断線した配電線を判断する。上流側断線判断部4は、上流側で断線が発生したと判断した場合、断線が発生したこと、および、断線が発生した配電線の情報を、遮断指令部5および通信部6に出力する。また、上流側断線判断部4は、断線が発生したことを示す信号を下流側断線判断部2にも出力する。下流側断線判断部2は、上流側断線判断部4より断線が発生したことを示す信号を入力された場合、電流変化ベクトル生成部1より入力されるベクトルΔIa,ΔIb,ΔIcを、通信部6に出力する。通信部6は、下流側断線判断部2より入力されたベクトルΔIa,ΔIb,ΔIcを、管理装置Cに出力する。
遮断指令部5は、下流側断線判断部2または上流側断線判断部4より入力される情報に基づいて、遮断器CB1、CB2、CB3に遮断指令を出力するものである。遮断指令部5は、断線が発生したことを示す情報が入力された場合、遮断器CB1〜CB3に遮断指令を出力し、遮断器CB1〜CB3を開放させる。
通信部6は、下流側断線判断部2または上流側断線判断部4より入力される情報を、管理装置Cに送信するものである。具体的には、通信部6は、上流側断線判断部4または下流側断線判断部2より入力される、断線が発生したことを示す情報、および、断線が発生した配電線の情報、ならびに、下流側断線判断部2より入力されるベクトルΔIa,ΔIb,ΔIcを、管理装置Cに送信する。管理装置Cは、各断線検出装置Aより入力される情報に基づいて、断線が発生した区間を特定する。そして、断線が発生したこと、断線が発生した配電線、および、断線が発生した区間を報知する。
なお、断線検出装置Aの各部が行う処理をプログラムで設計し、当該プログラムを実行させることでコンピュータを断線検出装置Aとして機能させてもよい。また、当該プログラムを記録媒体に記録しておき、コンピュータに読み取らせるようにしてもよい。
図1に戻って、管理装置Cは、配電線の状態を管理するものであり、専用のコンピュータや汎用コンピュータなどによって実現されている。管理装置Cは、各断線検出装置A1,A2,A3,…から送信される情報を受信する。各断線検出装置A1,A2,A3,…は、断線を検出した場合、断線が発生したことを示す情報、断線が発生した配電線の情報、および、ベクトルΔIa,ΔIb,ΔIcを管理装置Cに送信する。管理装置Cは、各断線検出装置A1,A2,A3,…より受信した情報に基づいて、断線が発生した区間を特定する。そして、断線が発生したこと、断線が発生した配電線、および、断線が発生した区間を、モニタ画面などに表示して知らせる。なお、断線が発生したことをブザーで警告するようにしてもよい。
各断線検出装置Aは、下流側断線判断部2と上流側断線判断部4とを備えているので、どちらが断線を検出したかによって、断線方向を推定することができる。しかし、断線位置の下流側に分散電源や回転機が接続されている場合、断線検出装置Aの上流側で断線が発生しても、断線位置より下流側の電圧が保持されて、電圧の変化が小さくなってしまうので、上流側断線判断部4が断線を検出できない場合がある。一方、この場合でも、下流側断線判断部2は断線を検出できるので、下流側で断線が発生したと誤判定してしまうことになる。この場合、各断線検出装置Aから送信される誤った情報に基づいて断線が発生した区間を特定すると、誤って特定してしまう場合がある。したがって、本実施形態では、各断線検出装置Aは、断線方向を判定せず、ベクトルΔIa,ΔIb,ΔIcを管理装置Cに送信し、管理装置Cが、各断線検出装置A1,A2,A3,…よりそれぞれ入力されるベクトルΔIa,ΔIb,ΔIcに基づいて、断線が発生した区間を特定する。以下では、断線検出装置Ai(i=1,2,3,…)が生成し、管理装置Cに送信するベクトルΔIa,ΔIb,ΔIcを「ベクトルΔIa(i),ΔIb(i),ΔIc(i)」と記載する場合がある。
断線が上流側で発生したか、下流側で発生したかによって、断線検出装置Aの電流変化ベクトル生成部1で生成されるベクトルΔIa,ΔIb,ΔIcは、異なるものになる。例えば、図1に示すように、第2区間で断線が発生した場合、断線検出装置A1で生成されるベクトルΔIa(1),ΔIb(1),ΔIc(1)と、断線検出装置A2で生成されるベクトルΔIa(2),ΔIb(2),ΔIc(2)とは同様のものとなるが、断線検出装置A2で生成されるベクトルΔIa(2),ΔIb(2),ΔIc(2)と、断線検出装置A3で生成されるベクトルΔIa(3),ΔIb(3),ΔIc(3)とは異なるものとなる。なお、図1においては、b相の配電線で断線が発生した場合の、各断線検出装置A1、A2,A3,A4で生成されるベクトルΔIa,ΔIb,ΔIcの一例を示しており、ベクトルΔIaを実線矢印、ベクトルΔIbを破線矢印、ベクトルΔIcを太線矢印で示している。
管理装置Cは、各断線検出装置A1,A2,A3,…よりそれぞれ入力されるベクトルΔIa,ΔIb,ΔIcを上流側から順に、下流側に隣接する断線検出装置Aより入力されるベクトルΔIa,ΔIb,ΔIcと比較していく。そして、ベクトルΔIa(i),ΔIb(i),ΔIc(i)とベクトルΔIa(i+1),ΔIb(i+1),ΔIc(i+1)とが異なる(一致しない)と判定した場合に、当該2つの断線検出装置Ai,A(i+1)の間の区間が断線が発生した区間であると特定する。例えば、図1の例の場合、断線検出装置A1より入力されるベクトルΔIa(1),ΔIb(1),ΔIc(1)と断線検出装置A2より入力されるベクトルΔIa(2),ΔIb(2),ΔIc(2)とは同様であるが、断線検出装置A2より入力されるベクトルΔIa(2),ΔIb(2),ΔIc(2)と断線検出装置A3より入力されるベクトルΔIa(3),ΔIb(3),ΔIc(3)とは異なるので、管理装置Cは、断線検出装置A2と断線検出装置A3との間である第2区間が、断線が発生した区間であると特定する。
ベクトルΔIa(i),ΔIb(i),ΔIc(i)とベクトルΔIa(i+1),ΔIb(i+1),ΔIc(i+1)とが類似するか異なるかは、一致度に基づいて判定される。一致度は、ベクトルΔIa(i),ΔIb(i),ΔIc(i)とベクトルΔIa(i+1),ΔIb(i+1),ΔIc(i+1)とが、どれだけ似ているかを示す指標である。本実施形態においては、管理装置Cは、一致度ρを下記(1)式に基づいて算出する。
Figure 0006315829
ABSaは、ベクトルΔIa(i)の大きさとべクトルΔIa(i+1)の大きさの一致度を示すものであり、ベクトルΔIa(i)の大きさとべクトルΔIa(i+1)の大きさのうちの小さい方を大きい方で除算したものである。したがって、0<ABSa≦1となり、ベクトルΔIa(i)の大きさとべクトルΔIa(i+1)の大きさが一致する場合、ABSa=1になる。同様に、ABSbは、ベクトルΔIb(i)の大きさとべクトルΔIb(i+1)の大きさの一致度を示すものであり、0<ABSb≦1となり、ベクトルΔIb(i)の大きさとべクトルΔIb(i+1)の大きさが一致する場合、ABSb=1になる。また、ABScは、ベクトルΔIc(i)の大きさとべクトルΔIc(i+1)の大きさの一致度を示すものであり、0<ABSc≦1となり、ベクトルΔIc(i)の大きさとべクトルΔIc(i+1)の大きさが一致する場合、ABSc=1になる。
上記(1)式は、下記(2)式から算出したものである。θaはベクトルΔIa(i)とべクトルΔIa(i+1)との位相差であり、−1≦cosθa≦1となる。ベクトルΔIa(i)の位相とべクトルΔIa(i+1)の位相とが一致している場合、θa=0となり、cosθa=1となる。一方、ベクトルΔIa(i)の位相とべクトルΔIa(i+1)の位相とが180°ずれている場合、cosθa=−1となる。同様に、θbはベクトルΔIb(i)とべクトルΔIb(i+1)との位相差であり、−1≦cosθb≦1となる。ベクトルΔIb(i)の位相とべクトルΔIb(i+1)の位相とが一致している場合、θb=0となり、cosθb=1となる。一方、ベクトルΔIb(i)の位相とべクトルΔIb(i+1)の位相とが180°ずれている場合、cosθb=−1となる。また、θcはベクトルΔIc(i)とべクトルΔIc(i+1)との位相差であり、−1≦cosθc≦1となる。ベクトルΔIc(i)の位相とべクトルΔIc(i+1)の位相とが一致している場合、θc=0となり、cosθc=1となる。一方、ベクトルΔIc(i)の位相とべクトルΔIc(i+1)の位相とが180°ずれている場合、cosθc=−1となる。下記(2)式から判るように、一致度ρは、相毎にベクトルの大きさの一致度と位相の一致度とを乗算し、重み付けを行ったものを足し合わせたものである。一致度ρは、−1≦ρ≦1となり、ベクトルΔIa(i),ΔIb(i),ΔIc(i)とベクトルΔIa(i+1),ΔIb(i+1),ΔIc(i+1)とが完全一致した場合にρ=1となり、互いに反転したものである場合(完全不一致)にρ=−1となる。
Figure 0006315829
なお、一致度ρを算出する式は、これに限られない。ベクトルΔIa(i),ΔIb(i),ΔIc(i)とベクトルΔIa(i+1),ΔIb(i+1),ΔIc(i+1)とが同様であるか異なるものであるかを判定するための値を算出するものであればよい。例えば、各ベクトルの位相に注目して、各相毎のベクトルの位相差が「0」に近いほど一致度ρが大きくなるようにしてもよい。下記(3)式は、各ベクトルの位相に注目して一致度ρを算出するものであり、相毎に内積を絶対値の積で除算して位相の一致度を算出し、三相分の和をとって3で除算することで、一致度ρ(−1≦ρ≦1)を算出する。
Figure 0006315829
また、各ベクトルの大きさに注目して、各相毎のベクトルの大きさの差が「0」に近いほど一致度ρが大きくなるようにしてもよい。下記(4)式は、各ベクトルの大きさに注目して一致度ρを算出するものであり、相毎にベクトルの大きさの一致度を算出し、三相分の和をとって3で除算することで、一致度ρ(0≦ρ≦1)を算出する。
Figure 0006315829
ただし、位相のみで一致度ρを算出する場合や大きさのみで一致度ρを算出する場合、一致度ρの演算は容易になるが、一致しているか否かを判断するための閾値の設定の仕方によっては、誤った判断が多くなってしまう場合がある。したがって、位相と大きさの両方を考慮して一致度ρを算出することが望ましい。この場合、ベクトル全体としての一致度ρを算出することができる。例えば、大きさが類似しているが位相が大きく異なる場合や、位相が類似しているが大きさが全く異なる場合などに、一致していると誤った判断をしてしまうことを抑制することができる。
下記(5)式は、各ベクトルの位相および大きさの両方に注目して一致度ρを算出するものであり、上記(3)式の相毎の位相の一致度の計算において、大きさの一致度をそれぞれ乗算したものである(−1≦ρ≦1)。なお、上記(1)式は、下記(5)式において、各ベクトルの大きさの割合に基づいて、相毎の重み付けを行ったものである。
Figure 0006315829
なお、上記(3)式において相毎の重み付けを行った下記(6)式を用いるようにしてもよい。
Figure 0006315829
また、ベクトルΔIa(i),ΔIb(i),ΔIc(i)およびベクトルΔIa(i+1),ΔIb(i+1),ΔIc(i+1)を、それぞれ比較しやすい状態に変形させてから、一致度ρを算出するようにしてもよい。例えば、ベクトルΔIa(i),ΔIb(i),ΔIc(i)およびベクトルΔIa(i+1),ΔIb(i+1),ΔIc(i+1)を、それぞれ下記(7)、(8)式に示すように三相二相変換(αβ変換)したベクトルΔIαβ(i),ΔIαβ(i+1)を算出し、下記(11)式を用いて一致度ρ(−1≦ρ≦1)を算出するようにしてもよい。当該ΔIαβ(i)が本発明の「第1のベクトル」に相当し、当該ΔIαβ(i+1)が本発明の「第2のベクトル」に相当する。この場合、ベクトルΔIa(i),ΔIb(i),ΔIc(i)およびベクトルΔIa(i+1),ΔIb(i+1),ΔIc(i+1)をそれぞれ1つのベクトルに変形してから一致度ρを算出するので、一致度ρの演算が容易になる。
Figure 0006315829
また、上記(9)式に代えて、ベクトルの位相に注目した一致度ρを算出する下記(10)式を用いてもよいし、ベクトルの大きさに注目した一致度ρを算出する下記(11)式を用いてもよい。また、三相二相変換以外の方法で別のベクトルに変換して、各変換後のベクトルを用いて、一致度ρを算出するようにしてもよい。
Figure 0006315829
次に、管理装置Cは、一致度ρが「1」に近いか否かを判定する。具体的には、所定の閾値Xと比較して、閾値X以上であるか、閾値X未満であるかを判定する。本実施形態では、閾値Xを、例えば「0.9」としている。一致度ρが閾値X以上の場合、ベクトルΔIa(i),ΔIb(i),ΔIc(i)とベクトルΔIa(i+1),ΔIb(i+1),ΔIc(i+1)とは一致していると判断し、2つの断線検出装置Ai,A(i+1)の間の区間は断線が発生した区間でないと判断し、次の区間での一致度の判定を行う。一方、一致度ρが閾値X未満の場合、ベクトルΔIa(i),ΔIb(i),ΔIc(i)とベクトルΔIa(i+1),ΔIb(i+1),ΔIc(i+1)とは一致していないと判断し、2つの断線検出装置Ai,A(i+1)の間の区間が断線が発生した区間であると特定する。
なお、閾値Xは「0.9」に限られない。一致度ρは−1≦ρ≦1となり、ρ=1のときは完全一致であり、ρ=−1のときは、完全不一致である。閾値Xを大きな値に設定するほど、一致していると判断されにくくなり、閾値Xを小さな値に設定するほど、一致していると判断されやすくなる。閾値Xは、できるだけ正しい判断ができるように、実験によって適宜決定すればよい。
なお、断線が発生した配電線に配置された断線検出装置Aでも、断線を未検出の場合は、ベクトルΔIa,ΔIb,ΔIcを管理装置Cに送信できない。この場合でも、管理装置Cは、受信できたベクトルΔIa,ΔIb,ΔIcを用いて、断線が発生した区間を特定することができる。例えば、図1の例において、断線検出装置A4が断線を検出できなくても、断線が発生した区間は特定できる。また、断線検出装置A3が断線を検出できなくても、ベクトルΔIa(2),ΔIb(2),ΔIc(2)とベクトルΔIa(4),ΔIb(4),ΔIc(4)との比較によって、断線が第2区間または第3区間で発生したと特定することができる。管理装置Cは、ベクトルΔIa,ΔIb,ΔIcを送信してきた断線検出装置Aに対して、上流側から順に番号(例えば、i=1,2,…、N)を付与し、番号の小さい断線検出装置Aから順に、下流側に隣接する断線検出装置Aとの間でベクトルΔIa,ΔIb,ΔIcの比較を行う。Nは、管理装置CにベクトルΔIa,ΔIb,ΔIcを送信してきた断線検出装置Aの数である。
図11は、管理装置Cが行う断線区間特定処理を説明するためのフローチャートである。当該処理は、いずれかの断線検出装置Aより、断線が発生したことを示す情報を受信したときに開始される。
まず、各断線検出装置Aより送信されるベクトルΔIa,ΔIb,ΔIcが受信される(S1)。ベクトルΔIa,ΔIb,ΔIcが受信された断線検出装置Aに対して、上流から順に番号(i=1,2,…、N)が付与される。そして、変数iが「1」に初期化されて(S2)、変数iが断線検出装置Aの数Nより小さいか否かが判別される(S3)。変数iがNより小さい場合(S3:YES)、i番目の断線検出装置AのベクトルΔIa(i),ΔIb(i),ΔIc(i)と、(i+1)番目の断線検出装置AのベクトルΔIa(i+1),ΔIb(i+1),ΔIc(i+1)との一致度ρが上記(1)式に基づいて算出され、「1」に近いか否かが判別される(S4)。具体的には、一致度ρが閾値X以上であるか否かが判別される。一致度ρが「1」に近い場合(S4:YES)、ベクトルΔIa(i),ΔIb(i),ΔIc(i)とベクトルΔIa(i+1),ΔIb(i+1),ΔIc(i+1)とが一致していると判断され、変数iを1つ増加させてステップS3に戻り、次の比較を行う。ステップS3またはステップS4で「NO」となるまで、ステップS3〜S5が繰り替えされる。
ステップS4において、一致度ρが「1」に近くない場合(S4:NO)、ベクトルΔIa(i),ΔIb(i),ΔIc(i)とベクトルΔIa(i+1),ΔIb(i+1),ΔIc(i+1)とが一致していないと判断され、断線区間がi番目の断線検出装置Aと(i+1)番目の断線検出装置Aとの間であると特定される(S6)。
ステップS3において、変数iがNになった場合(S3:NO)、N番目(最も下流側)の断線検出装置AのベクトルΔIa(N),ΔIb(N),ΔIc(N)も上流側の断線検出装置AのベクトルΔIa(N−1),ΔIb(N−1),ΔIc(N−1)と一致している(すなわち、すべてのベクトルΔIa(i),ΔIb(i),ΔIc(i)が一致している)ので、断線区間がN番目の断線検出装置Aより下流側であると特定される(S7)。
なお、管理装置Cが行う断線区間特定処理は、上述したものに限定されない。例えば、周知の探索アルゴリズムに従って、比較を行っていくようにしてもよい。つまり、一致度ρが閾値X未満となる区間を特定できるものであればよい。
本実施形態において、各断線検出装置Aは、断線を検出した場合に、管理装置CにベクトルΔIa,ΔIb,ΔIcを送信する。管理装置Cは、各断線検出装置Aより受信したベクトルΔIa,ΔIb,ΔIcに基づいて、断線が発生した区間を特定する。管理装置Cは、各断線検出装置Aより受信したベクトルΔIa,ΔIb,ΔIcを隣接した断線検出装置Aのものと比較して、両者が一致しないと判定した場合に、当該2つの断線検出装置Aの間の区間が断線が発生した区間であると特定する。したがって、各断線検出装置Aの上流側の断線を検出する構成が断線を検出したか、下流側の断線を検出する構成が断線を検出したかによって特定する場合より、断線が発生した区間を適切に特定することができる。
また、管理装置Cは、上記(1)式に基づいて、一致度ρを算出する。上記(1)式は、位相と大きさの両方を考慮して、ベクトル全体として一致度ρを算出するものなので、一致の誤判定を抑制することができる。したがって、断線が発生した区間を誤って特定してしまうことを抑制することができる。また、一致度ρと比較する閾値を大きな値「0.9」としているので、一致していないのに誤って一致していると判定してしまうことを抑制することができる。
管理装置Cは、一致度ρが閾値X未満であると判定されるまで、ベクトルΔIa,ΔIb,ΔIcを送信してきた断線検出装置Aのうち、上流側から順に、当該断線検出装置Aとその下流側に隣接する断線検出装置Aより受信したベクトルΔIa,ΔIb,ΔIcについて、一致の判定を行う。したがって、断線が発生した区間を、より確実に特定することができる。
また、複数の断線検出装置Aのうち最も上流側に配置される断線検出装置Aは、変電所の電力送り出し部に配置されている。配電線で断線が発生した場合、当該断線検出装置Aの下流側で断線が発生したことになるので、当該断線検出装置Aが生成するベクトルΔIa,ΔIb,ΔIcは、断線位置より上流側でのものとなる。したがって、断線位置より下流側でのベクトルΔIa,ΔIb,ΔIcとの違いを判定できるので、断線が発生した区間を適切に特定することができる。逆に、最も上流側に配置された断線検出装置Aより上流側で断線が発生した場合は、断線が発生した区間を適切に特定することができない。すなわち、負荷に印加される電圧が健全相以外は低下することで、負荷に流れる電流が変化し、ベクトルΔIa,ΔIb,ΔIcとして反映される。したがって、各断線検出装置AのベクトルΔIa,ΔIb,ΔIcは当該断線検出装置の負荷側の負荷容量や種類により異なる。通常は、最も上流側に配置された断線検出装置Aが生成するベクトルΔIa,ΔIb,ΔIcと、その下流側に配置された断線検出装置Aが生成するベクトルΔIa,ΔIb,ΔIcとが一致しないと判断され、この間の区間が断線が発生した区間であると特定されてしまう。この誤判定を排除するためには、上流側に配置される断線検出装置Aより上流側で断線が発生することがないように、最も上流側に配置される断線検出装置Aは、変電所の電力送り出し部に配置される必要がある。
また、断線検出装置Aは、上流側断線判断部4によって上流側の断線を検出することができ、下流側断線判断部2によって下流側の断線を検出することができる。したがって、断線の発生を、一方向のみの断線を検出する場合より、確実に検出することができる。
また、下流側断線判断部2は、電流変化ベクトル生成部1より入力される各相電圧基準の電流変化ベクトルΔIa,ΔIb,ΔIcが上記条件(1)〜(3)を満たすか否かを判別し、すべての条件が満たされる場合に下流側で断線が発生したと判断する。負荷変動と下流側の断線とを線電流ベクトルに基づいて区別することは難しいが、各相電圧基準の電流変化ベクトルの違いで区別することができる。したがって、下流側の断線検出において、負荷変動による誤検出を抑制することができる。
なお、本実施形態では、計器用変圧器PT1、PT2,PT3がそれぞれ配電線間の線間電圧を検出する場合について説明したが、計器用変圧器PT1、PT2,PT3がそれぞれ配電線の相電圧を検出するようにしてもよい。
本実施形態では、下流側の断線の発生を判断するために、各相電圧基準の電流変化ベクトルΔIa,ΔIb,ΔIcを用いたが、これに限られない。例えば、各線間電圧基準の電流変化ベクトルを用いるようにしてもよい。また、各相電圧に所定の位相を加算した電圧(例えば、各相電圧をそれぞれ10°ずつずらした電圧)を基準とした場合の電流変化ベクトルを用いてもよい。つまり、相毎の基準電圧を基準とした電流変化ベクトルを用いればよい。
本実施形態では、各断線検出装置Aが断線を検出した場合に、断線が発生したことを示す情報と併せて、ベクトルΔIa,ΔIb,ΔIcも、管理装置Cに送信する場合について説明したが、これに限られない。例えば、各断線検出装置Aは断線が発生したことを示す情報だけを管理装置Cに送信し、断線が発生したことを示す情報を受信した管理装置Cが、各断線検出装置Aに指令を送信して、ベクトルΔIa,ΔIb,ΔIcを収集するようにしてもよい。
本実施形態では、各断線検出装置Aは、上流側断線判断部4が断線を検出したときも、ベクトルΔIa,ΔIb,ΔIcを管理装置Cに送信する場合について説明したが、これに限られない。上流側断線判断部4が断線を検出したときは、ベクトルΔIa,ΔIb,ΔIcを管理装置Cに送信しないようにしてもよい。この場合、管理装置Cに送信される情報量を抑制することができる。また、各断線検出装置Aが、上流側断線判断部4および実効値算出部3を備えないようにしてもよい。
上記第1実施形態では、二相負荷変動が生じる場合を想定しない場合について説明した。以下では、二相負荷変動が生じる場合も想定した場合について、第2実施形態として説明する。
まず、変圧器Bの結線がΔΔ結線である場合の二相負荷変動時のベクトルΔIa,ΔIb,ΔIcについて説明する。
図12(a)は、二相負荷変動を表すものであり、負荷Labおよび負荷Lcaが切り離された状態を示している。この場合、図12(a)から明らかなように、
Ia=0
Ib=Ibc
Ic=−Ibc
となる。
よって、負荷変動前後の電流変化ベクトルΔIa,ΔIb,ΔIcは、
ΔIa=(Iab−Ica)−(0)=Iab−Ica
ΔIb=(Ibc−Iab)−(Ibc)=−Iab
ΔIc=(Ica−Ibc)−(−Ibc)=Ica
となり、各相の相電圧ベクトルを基準にして表すと、
Figure 0006315829
となる。
各相電圧を基準とした線電流ベクトルをIとし、ベクトルβVa,βVb,βVcをそれぞれベクトルIに置き換えると、
Figure 0006315829
となる。図12(b)は、二相負荷変動時のベクトルΔIa,ΔIb,ΔIcを示したものである。図4(b)に示す断線時のベクトル図において、αが「0」の場合、図12(b)と同じベクトル図になってしまう。
次に、変圧器Bの結線がΔY結線である場合の二相負荷変動時のベクトルΔIa,ΔIb,ΔIcについて説明する。
負荷Labおよび負荷Lcaが切り離されて、Iab=Ica=0になると、
Ia=Ibc
Ib=Ibc
Ic=−2Ibc
となる。
よって、負荷変動前後の電流変化ベクトルΔIa,ΔIb,ΔIcは、
ΔIa=(Iab+Ibc−2Ica)−(Ibc)=Iab−2Ica
ΔIb=(Ibc+Ica−2Iab)−(Ibc)=Ica−2Iab
ΔIc=(Ica+Iab−2Ibc)−(−2Ibc)=Ica+Iab
となり、各相の相電圧ベクトルを基準にして表すと、
Figure 0006315829
となる。
各相電圧を基準とした線電流ベクトルをIとし、ベクトルγVa,γVb,γVcをそれぞれベクトルIに置き換えると、
Figure 0006315829
となる。図13(a)は、二相負荷変動時のベクトルΔIa,ΔIb,ΔIcを示したものである。図13(a)に示すベクトルであっても、上記条件(1)〜(3)をすべて満たしてしまう場合がある。
次に、変圧器Bの結線がYΔ結線である場合の二相負荷変動時のベクトルΔIa,ΔIb,ΔIcについて説明する。
負荷Labおよび負荷Lcaが切り離されて、Iab=Ica=0になると、
Ia=−(1/3)Ibc
Ib=(2/3)Ibc
Ic=−(1/3)Ibc
となる。
よって、負荷変動前後の電流変化ベクトルΔIa,ΔIb,ΔIcは、
ΔIa=((2/3)Iab−(1/3)Ibc−(1/3)Ica)−(−(1/3)Ibc)
=(2/3)Iab−(1/3)Ica
ΔIb=((2/3)Ibc−(1/3)Ica−(1/3)Iab)−(2/3)Ibc
=−(1/3)Ica−(1/3)Iab
ΔIc=((2/3)Ica−(1/3)Iab−(1/3)Ibc)−(−(1/3)Ibc)
=(2/3)Ica−(1/3)Iab
となり、各相の相電圧ベクトルを基準にして表すと、
Figure 0006315829
となる。
各相電圧を基準とした線電流ベクトルをIとし、ベクトルεVa,εVb,εVcをそれぞれベクトルIに置き換えると、
Figure 0006315829
となる。図13(b)は、二相負荷変動時のベクトルΔIa,ΔIb,ΔIcを示したものである。図13(b)に示すベクトルであっても、上記条件(1)〜(3)をすべて満たしてしまう場合がある。
以上のように、上記条件(1)〜(3)で断線の発生を判断すると、二相負荷変動時に断線と誤判定してしまう。第2実施形態は、二相負荷変動の場合に誤判定しないようにしたものである。
図14は、第2実施形態に係る断線検出装置A’を説明するための図である。同図において、第1実施形態に係る断線検出装置A(図2参照)と同一または類似の要素には、同一の符号を付している。
図14に示す断線検出装置A’は、零相電圧センサ7からの入力も用いて、下流側断線判断部2’が下流側の断線発生の判断を行っている点で、第1実施形態に係る断線検出装置Aと異なる。
零相電圧センサ7は、配電線a,b,cに配置されており、零相電圧を検出するものである。零相電圧センサ7は、検出した零相電圧を下流側断線判断部2’に出力する。
下流側断線判断部2’は、零相電圧センサ7から入力される零相電圧も用いて、断線発生の判断を行う。具体的には、下流側断線判断部2’は、上記条件(1)〜(3)に加えて、以下の条件(4)を設定している。
(4)零相電圧が所定の閾値V0以上である。
零相電圧は、三相平衡状態であれば「0」であり、負荷変動によっては影響されない。しかし、断線が発生した場合、不平衡状態になって、零相電圧は「0」でなくなる。零相電圧が検出誤差を踏まえた所定の閾値V0以上になった場合、断線が発生した可能性がある。本実施形態では、所定の閾値V0として、例えば数ボルトの値が設定されている。なお、電力系統の変動によって不平衡になって、零相電圧が「0」でなくなる場合があるので、条件(4)だけで断線発生を判断せず、上記条件(1)〜(3)も併せて判断している。下流側断線判断部2’は、上記条件(1)〜(4)をすべて満たす場合に、配電線で断線が発生したと判断する。
二相負荷変動時には、上記条件(1)〜(3)を満たす場合があるが、上記条件(4)を満たさない。したがって、第2実施形態においては、二相負荷変動時に断線発生と誤判定することを抑制することができる。
上記第1および第2実施形態では、電流変化ベクトルに基づいて下流側の断線を検出する場合について説明したが、下流側の断線を検出する方法はこれに限られない。例えば、電流ベクトルに基づいて下流側の断線を検出するようにしてもよい。また、インピーダンスの変化に基づいて下流側の断線を検出するようにしてもよい。
上記第1および第2実施形態では、線間電圧の実効値に基づいて上流側の断線を検出する場合について説明したが、上流側の断線を検出する方法はこれに限られない。例えば、線間電圧の瞬時値に基づいて上流側の断線を検出するようにしてもよい。また、線間電圧ではなく相電圧を用いるようにしてもよい。また、電圧の代わりに、電流や、電力、零相電圧などを用いて、上流側の断線を検出するようにしてもよい。
上記第1および第2実施形態では、断線検出装置A(A’)が上流側の断線と下流側の断線のいずれも検出できる場合について説明したが、これに限られない。断線検出装置A(A’)が上流側または下流側のいずれか一方の断線のみを検出するようにしてもよい。つまり、断線検出装置A(A’)は、断線が発生したことを検出できるものであればよい。この場合でも、断線が発生した場合に、管理装置Cによって、断線が発生した区間を特定することができる。
本発明に係る断線区間特定システムおよび断線区間特定方法は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る断線区間特定システムおよび断線区間特定方法の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
A,A’,A1,A2,A3,A4 断線検出装置
1 電流変化ベクトル生成部
11 ベクトル生成部
12 演算部
13 記憶部
2,2’ 下流側断線判断部(断線判断手段)
3 実効値算出部
4 上流側断線判断部(断線判断手段)
5 遮断指令部
6 通信部
7 零相電圧センサ
a,b,c 配電線
CT1、CT2,CT3 計器用変流器(電気信号検出器)
PT1、PT2,PT3 計器用変圧器(電気信号検出器)
B 変圧器
C 管理装置(算出手段、判定手段)
D 変電所

Claims (14)

  1. 三相の配電線に配置され、前記三相の配電線のいずれかの断線が発生したことを検出する複数の断線検出装置と、
    前記複数の断線検出装置を管理する管理装置と、
    を備え、
    前記断線検出装置は、
    前記配電線に配置された電気信号検出器が検出した電気信号に基づいて、相毎の基準電圧を基準とした線電流ベクトルの変化ベクトルである電流変化ベクトルを生成する電流変化ベクトル生成手段と、
    前記配電線で断線が発生したか否かを判断する断線判断手段と、
    前記断線判断手段によって断線が発生したと判断された場合に、前記電流変化ベクトル生成手段によって生成された各電流変化ベクトルを前記管理装置に送信する通信手段と、
    を備え
    前記管理装置は、
    前記各断線検出装置より受信した電流変化ベクトルを比較することで、断線が発生した区間を特定する、
    ことを特徴とする断線区間特定システム。
  2. 前記管理装置は、
    ある前記断線検出装置より受信した電流変化ベクトルと、他の前記断線検出装置より受信した電流変化ベクトルの一致度を算出する算出手段と、
    前記算出手段によって算出された一致度が所定の閾値未満の場合に、当該2つの断線検出装置の間の区間で、断線が発生したと判定する判定手段と、
    を備えている、
    請求項1に記載の断線区間特定システム。
  3. 前記管理装置は、前記判定手段によって前記一致度が所定の閾値未満であると判定されるまで、前記電流変化ベクトルを送信してきた前記断線検出装置のうち、上流側から順に、当該断線検出装置とその下流側に隣接する断線検出装置より受信した電流変化ベクトルについて、前記算出手段による一致度の算出を行う、
    請求項2に記載の断線区間特定システム。
  4. 前記複数の断線検出装置のうち最も上流側に配置される断線検出装置は、変電所の電力送り出し部に配置されている、
    請求項2または3に記載の断線区間特定システム。
  5. 前記一致度は、2つの前記電流変化ベクトルの各相の位相の違いに基づいて算出される、
    請求項2ないし4のいずれかに記載の断線区間特定システム。
  6. 前記一致度は、2つの前記電流変化ベクトルの各相の大きさの違いに基づいて算出される、
    請求項2ないし4のいずれかに記載の断線区間特定システム。
  7. 前記一致度であるρは、一方の前記電流変化ベクトルをΔIa(i),ΔIb(i),ΔIc(i)とし、他方の前記電流変化ベクトルをΔIa(i+1),ΔIb(i+1),ΔIc(i+1)とした場合、下記式に基づいて算出される、
    請求項2ないし4のいずれかに記載の断線区間特定システム。
    Figure 0006315829
  8. 前記閾値は、「0.9」である、
    請求項7に記載の断線区間特定システム。
  9. 前記算出手段は、一方の前記電流変化ベクトルを第1のベクトルに変形し、他方の前記電流変化ベクトルを第2のベクトルに変形し、前記第1のベクトルと前記第2のベクトルとに基づいて、前記一致度を算出する、
    請求項2ないし4のいずれかに記載の断線区間特定システム。
  10. 前記一致度であるρは、一方の前記電流変化ベクトルをΔIa(i),ΔIb(i),ΔIc(i)とし、他方の前記電流変化ベクトルをΔIa(i+1),ΔIb(i+1),ΔIc(i+1)とした場合、下記式に基づいて算出される、
    請求項9に記載の断線区間特定システム。
    Figure 0006315829
  11. 前記電流変化ベクトル生成手段は、
    前記電気信号検出器が検出した電流信号に基づいて各相の線電流ベクトルを生成し、前記電気信号検出器が検出した電圧信号に基づいて各相の電圧ベクトルを生成するベクトル生成手段と、
    前記各相の電圧ベクトルを用いて、前記各相の線電流ベクトルを相毎の基準電圧を基準としたベクトルに変換し、当該変換後の各相の線電流ベクトルの変化ベクトルを演算する演算手段と、
    を備えている、
    請求項1ないし10のいずれかに記載の断線区間特定システム。
  12. 前記断線判断手段は、前記電流変化ベクトル生成手段によって生成された各電流変化ベクトルが、
    (1)ある相の電流変化ベクトルに対する、前記ある相より位相が進む相の電流変化ベクトルの位相差、および、前記ある相より位相が遅れる相の電流変化ベクトルに対する、前記ある相の電流変化ベクトルの位相差が、それぞれ、第1閾値θ1以上、第2閾値θ2以下である、
    (2)すべての電流変化ベクトルの大きさが所定の閾値I0以上である、
    (3)以下の(3−1)〜(3−2)をすべて満たす場合に該当しない、
    (3−1)前記各電流変化ベクトルの中で大きさが最大の電流変化ベクトルと、それ以外の電流変化ベクトルとの位相差が、それぞれ、約60°である、
    (3−2)前記最大の電流変化ベクトルの大きさが、前記それ以外の電流変化ベクトルの大きさの約2倍である、
    との条件をすべて満たす場合に、断線が発生したと判断する、
    請求項1ないし11のいずれかに記載の断線区間特定システム。
  13. 零相電圧を検出する零相電圧検出手段をさらに備え、
    前記断線判断手段は、前記(1)〜(3)の条件に加えて、
    (4)零相電圧が所定の閾値V0以上である、
    との条件をすべて満たす場合に、断線が発生したと判断する、
    請求項12に記載の断線区間特定システム。
  14. 三相の配電線に配置され、前記三相の配電線のいずれかの断線が発生したことを検出する複数の断線検出装置と、
    前記複数の断線検出装置を管理する管理装置と、
    を備えたシステムで、断線が発生した区間を特定する方法であって、
    前記各断線検出装置が、前記配電線に配置された電気信号検出器が検出した電気信号に基づいて、相毎の基準電圧を基準とした線電流ベクトルの変化ベクトルである電流変化ベクトルを生成する第1の工程と、
    前記各断線検出装置が、前記第1の工程によって生成された各電流変化ベクトルに基づいて、前記配電線で断線が発生したか否かを判断する第2の工程と、
    前記各断線検出装置が、前記第2の工程によって断線が発生したと判断された場合に、前記第1の工程によって生成された各電流変化ベクトルを前記管理装置に送信する第3の工程と、
    前記管理装置が、前記各断線検出装置より受信した電流変化ベクトルを比較することで、断線が発生した区間を特定する第4の工程と、
    を備えていることを特徴とする断線区間特定方法。
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