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JP6314857B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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JP6314857B2
JP6314857B2 JP2015013552A JP2015013552A JP6314857B2 JP 6314857 B2 JP6314857 B2 JP 6314857B2 JP 2015013552 A JP2015013552 A JP 2015013552A JP 2015013552 A JP2015013552 A JP 2015013552A JP 6314857 B2 JP6314857 B2 JP 6314857B2
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Description

本発明は、内燃機関の制御装置に関し、詳しくは、理論空燃比によるストイキ運転と理論空燃比よりも薄い所定のリーン空燃比によるリーン運転とを選択することのできる内燃機関の制御装置に関する。
従来、理論空燃比によるストイキ運転と、理論空燃比よりも薄い所定のリーン空燃比によるリーン運転とを選択することのできる内燃機関が知られている。何れの運転でも、目標空燃比と空気量とから燃料噴射量が算出されている。ただし、ストイキ運転では、例えば下記の特許文献1に開示されているように、酸素センサの出力信号と理論空燃比を表す基準値とを比較することによってリーン及びリッチの判定を行い、その判定結果に応じてフィードバック制御を行うことが行われている。
ストイキ運転とリーン運転とでは、当然のことながら、同じトルクを実現するために必要な空気量や吸気管圧には違いが有る。また、ストイキ運転とリーン運転とでは、燃焼状態が異なるために、同じトルクに対応するMBT点火時期にも違いがある。さらに、バルブタイミングが可変の場合、ストイキ運転とリーン運転とでは最適な設定が異なるだけでなく、バルブタイミングはトルクと空気量との関係やトルクとMBT点火時期との関係に影響する。つまり、内燃機関の制御には様々なパラメータが用いられているが、ストイキ運転かリーン運転かによってそれらの最適値は異なり、しかも、それらは互いに複雑に関係している。このため、ストイキ運転とリーン運転のそれぞれについて、燃費性能、排気ガス性能、ドライバビリティ等の観点から各パラメータの最適値や最適な組み合わせが試験等によって調べられ、得られたデータをもとにパラメータ決定用のマップが作成されている。
特開平7−042589号公報
ところで、NOx触媒を備える内燃機関では、リーン運転中に空燃比を一時的にリーン空燃比から理論空燃比或いは理論空燃比よりも濃いリッチ空燃比に切り替えるリッチスパイク制御が行われる。空燃比が変更されれば、それに応じて最適なパラメータの値も変化する。しかし、パラメータの中には、例えば空気量のように連続的にしか変化させることができないものもある。このため、空燃比の変化が離散的である場合には、パラメータ間の最適な関係が崩れてしまい、トルク変動がおきてしまうおそれがある。よって、空燃比を別の空燃比に一時的に変更する場合、空燃比の変化は連続的であることが好ましい。
ところが、各パラメータの最適値や最適な組み合わせは空燃比に依存するため、空燃比を連続的に変化させるとなると、空燃比ごとにパラメータ決定用のマップを揃える必要が生じる。しかし、マップの作成には多大な工数を必要とするため、可能な限り少ないマップ数で空燃比を一時的に且つ連続的に変化させるようにしたい。
本発明は、上述のような課題に鑑みてなされたもので、空燃比ごとのマップを多数用意せずとも、トルク変動を生じさせることなく、空燃比を所定のリーン空燃比から別の空燃比へ一時的に且つ連続的に変化させることができる内燃機関の制御装置を提供することを目的とする。
本発明に係る制御装置は、理論空燃比によるストイキ運転と理論空燃比よりも薄い所定のリーン空燃比によるリーン運転とを選択可能な内燃機関の制御装置である。また、本発明に係る制御装置は、内燃機関のトルク制御のためのパラメータとして、マップの参照により目標トルクに応じて決定される主パラメータと、ストイキ運転とリーン運転とで設定が異なり、主パラメータとトルクとの関係に影響を与える副パラメータとを有する制御装置である。
本発明に係る制御装置は、主パラメータの決定に用いるマップとして、第1マップと第2マップとを備える。第1マップには、副パラメータの設定をリーン運転時の設定にした場合の、リーン空燃比のもとでの目標トルクと主パラメータとの関係が規定されている。第2マップには、副パラメータの設定をリーン運転時の設定にした場合の、理論空燃比のもとでの目標トルクと主パラメータとの関係が規定されている。つまり、2つのマップは、目標トルクと主パラメータとを関連付ける前提条件のうち空燃比については異なる設定とされるが、同前提条件のうち副パラメータについてはリーン運転時の設定に統一されている。
本発明に係る制御装置は、リーン運転時に目標空燃比をリーン空燃比から別の空燃比へ一時的に変更する空燃比一時変更制御を行うように構成される。空燃比一時変更制御を行う場合、本発明に係る制御装置は、目標空燃比をリーン空燃比から別の空燃比へ、また、別の空燃比からリーン空燃比へ連続的に変化させる。そして、これとともに、副パラメータの設定をリーン運転時の設定に保持しつつ、目標空燃比のもとで目標トルクを実現するための主パラメータの値を上記2つのマップを用いて算出する。詳しくは、本発明に係る制御装置は、第1マップを参照して目標トルクに応じた値(主パラメータの第1基準値)を得るとともに、第2マップを参照して目標トルクに応じた値(主パラメータの第2基準値)を得る。そして、本発明に係る制御装置は、リーン空燃比に適した第1基準値と、理論空燃比に適した第2基準値とを基準にして、目標空燃比のもとで目標トルクを実現するための主パラメータの値を算出する。本発明に係る制御装置によれば、副パラメータの設定は目標空燃比の変化に関わらずリーン運転時の設定に保持されるので、目標空燃比と主パラメータとの間に成り立つ関係は簡素化される。この簡素化された関係から目標空燃比に適した主パラメータの値が導き出される。好ましくは、第1基準値と第2基準値とを用いた補間計算によって、目標空燃比に適した主パラメータの値を計算する。
本発明に係る制御装置によれば、空燃比ごとのマップを多数用意せずとも、トルク変動を生じさせることなく、空燃比を所定のリーン空燃比から別の空燃比へ一時的に且つ連続的に変化させることができる。
本発明の実施の形態のエンジンシステムの構成を示す図である。 エンジンの運転域と制御装置で使用されるマップとの対応を示す図である。 マップごとの操作量の設定を示す表である。 副パラメータをリーン運転時の設定値に固定にして、エンジン回転速度とトルクを一定に保ったときの空燃比とMBT点火時期との関係を示すグラフである。 副パラメータをリーン運転時の設定値に固定にして、エンジン回転速度とトルクを一定に保ったときの空燃比と空気量との関係を示すグラフである。 副パラメータをリーン運転時の設定値に固定にして、エンジン回転速度とトルクを一定に保ったときの空燃比と吸気管圧との関係を示すグラフである。 本発明の実施の形態の制御装置の構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態の制御フローを示すフローチャートである。 リッチスパイク制御時の動作を示すタイムチャートである。 トルクダウン制御時の動作を示すタイムチャートである。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。ただし、以下に示す実施の形態において各要素の個数、数量、量、範囲等の数に言及した場合、特に明示した場合や原理的に明らかにその数に特定される場合を除いて、その言及した数にこの発明が限定されるものではない。また、以下に示す実施の形態において説明する構造やステップ等は、特に明示した場合や明らかに原理的にそれに特定される場合を除いて、この発明に必ずしも必須のものではない。
1.エンジンシステムの構成
図1は、本発明の実施の形態のエンジンシステムの構成を示す図である。本実施の形態のエンジンシステムは、自動車に動力装置として搭載されるターボ過給機付き内燃機関
(以下、エンジンと称す)2を備える。このエンジン2は、ストイキ運転(すなわち、理論空燃比よる運転)と、リーン運転(すなわち、理論空燃比よりも薄い所定のリーン空燃比による運転)とを選択可能なリーンバーンエンジンである。リーン運転時の空燃比は、NOxが多く発生する空燃比域よりもさらにリーンな空燃比域、例えば、値が24前後の空燃比域に設定される。
エンジン2は、ピストン12が配置されたシリンダブロック4とシリンダヘッド3とを備える。エンジン2の気筒数および気筒配置は特に限定されない。シリンダヘッド3とピストン12とで挟まれた空間が燃焼室5となる。エンジン2は火花点火式エンジンであって、シリンダヘッド3には燃焼室5の頂部に突き出るように点火装置の点火プラグ18が取り付けられている。
燃焼室5には吸気ポート6と排気ポート8がそれぞれ開口している。燃焼室5と吸気ポート6との連通状態は、シリンダヘッド3に設けられた吸気バルブ14によって制御される。燃焼室5と排気ポート8との連通状態は、シリンダヘッド3に設けられた排気バルブ16によって制御される。吸気バルブ14には、その開弁特性を可変とする吸気可変動弁機構24が設けられている。排気バルブ16には、その開弁特性を可変とする排気可変動弁機構26が設けられている。これらの可変動弁機構には、少なくともバルブタイミングと作用角とを可変にする公知の動弁機構を適用することができる。
このエンジン2は、各気筒に2つずつ燃料噴射弁を備える。一つは、燃焼室5の中に燃料を直接噴射する筒内噴射弁22であり、もう一つは、吸気ポート6に燃料を噴射するポート噴射弁20である。
吸気ポート6には、サージタンク19が一体化された吸気マニホールド10が接続されている。吸気マニホールド10には、筒内に形成されるタンブル流の強さを制御するタンブル制御バルブ48が気筒ごとに設けられている。サージタンク19には、外部から空気を吸入する吸気通路30が接続されている。吸気通路30におけるサージタンク19の近傍には、電子制御式のスロットル40が設けられている。吸気通路30の先端には、エアクリーナ31が設けられている。
排気ポート8には、排気マニホールド11が接続されている。排気マニホールド11には、排気ガスを外部に排出する排気通路32が接続されている。排気通路32には、その上流側から順に、三元触媒62、NOx吸蔵還元型触媒64、選択還元型触媒66が設けられている。
エンジン2は、ターボ過給機28を有している。ターボ過給機28のコンプレッサ28aは、吸気通路30におけるスロットル40の上流に設けられている。吸気通路30におけるコンプレッサ28aとスロットル40との間には、コンプレッサ28aで圧縮された吸入空気を冷却するインタークーラ36が設けられている。ターボ過給機28のタービン28bは、排気通路32における三元触媒62の上流に設けられている。タービン28bの近傍には、タービン28bの上流側と下流側とをバイパスするバイパス通路44が設けられている。バイパス通路44には、ウエストゲートバルブ46が設置されている。ウエストゲートバルブ46が開くと、排気ガスの一部は、タービン28bを通らずにバイパス通路44を通って流れる。ウエストゲートバルブ46はダイアフラム式の負圧アクチュエータ46aにより駆動される。
本実施形態のシステムは、エンジン2の運転状態に関する情報を得るためのセンサを各所に備えている。吸気通路30におけるエアクリーナ31の直下流には、吸入空気量を計測するためのエアフローメータ34が設置されている。吸気通路30におけるインタークーラ36の直下流には、過給圧を計測するための圧力センサ38が設置されている。スロットル40の近傍には、スロットル40の開度を計測するためのスロットルポジションセンサ42が設置されている。サージタンク19には吸気管圧を計測するための圧力センサ56が設置されている。本明細書では、スロットル40の上流側の圧力を過給圧と呼び、スロットル40の下流側の圧力を吸気管圧と呼ぶ。
排気通路32における三元触媒62の直上流には、排気ガスの燃焼前の空燃比に対してリニアに変化する信号を出力する空燃比センサ70が設置されている。また、排気通路32における三元触媒62の直下流には、理論空燃比の混合気の燃焼により得られる排気ガスの酸素濃度を境にして、酸素過剰側と酸素不足側とでステップ的に変化する信号を出力する酸素センサ72が設置されている。そして、排気通路32におけるNSR64の直下流には、NSR64を通過した排気ガス中のNOの濃度に応じて変化する信号を出力するNOセンサ74が設置されている。
また、本実施形態のシステムは、アクセルペダルの開度を計測するためのアクセルポジションセンサ52、及び、エンジン2のクランク角度を計測するためのクランク角センサ54を有している。これらのセンサの他にも、エンジンシステムには図示しない様々なセンサが設けられている。
上述した各種のセンサ及びアクチュエータは、制御装置100に電気的に接続されている。制御装置100はECU(Electronic Control Unit)である。制御装置100は、エンジン2のシステム全体の制御を行うものであり、CPU、ROM、RAMを含むコンピュータを主体として構成されている。ROMには各種制御プログラムが記憶されている。制御装置100によってそれら制御プログラムが実行され、センサからの信号に基づいてアクチュエータが操作されることにより、エンジン2の運転が制御される。
2.制御装置の構成
2−1.マップの構成
制御装置100は、運転者等からのトルク要求とエンジン2の運転状態とに基づいて、エンジン2の制御量であるトルク及び空燃比のそれぞれの目標値を設定し、それらを実現するようにエンジン2の操作量を決定する。エンジン2の操作量には、スロットル40の開度、ウエストゲートバルブ46の開度、点火時期、吸気バルブ14及び排気バルブ16のバルブタイミング及び作用角、タンブル制御バルブ48の開度、ポート噴射弁20と筒内噴射弁22の各燃料噴射量、ポート噴射弁20と筒内噴射弁22の各燃料噴射時期、筒内噴射弁22の燃料圧力などが含まれる。
上記の各操作量は、制御装置100のROMに記憶されたマップを参照して決定される。図2は、トルクとエンジン回転速度とを軸とする二次元座標系で表わされるエンジン2の運転域と、制御装置100により使用されるマップとの対応を示す図である。エンジン2の運転域は、低トルク及び低負荷の運転域と、高トルク或いは高負荷の運転域とに分けられる。前者の運転域は、少なくとも定常状態ではリーン運転を選択することができる運転域(以下、リーン運転域という)である。後者の運転域は、エンジン2に求められる各種性能を総合するとリーン運転よりもストイキ運転のほうが好ましい運転域(以下、ストイキ運転域という)である。リーン運転域に対しては2種類のマップ(第1マップ及び第2マップ)が用意されている。ストイキ運転に対しては1種類のマップ(第3マップ)、が用意されている。なお、各マップは、1つのテーブルから構成されていてもよいし、複数のテーブルの集合体として構成されていてもよい。
第1マップと第3マップは、エンジン2の定常状態において適合されたマップである。第1マップには、所定のリーン空燃比が目標空燃比として記憶され、また、所定のリーン空燃比のもとでの各パラメータの適合値が記憶されている。第3マップには、理論空燃比が目標空燃比として記憶され、また、理論空燃比のもとでの各パラメータの適合値が記憶されている。
第2マップには、理論空燃比が目標空燃比として記憶されている。第2マップは、第1マップと同じ運転域に設定されているので、1つのトルク及びエンジン回転数の組み合わせに対して、第1マップから決まるパラメータ値と、第2マップから決まるパラメータ値とが存在する。定常状態を含めて、基本的には、第1マップから決まるパラメータ値がエンジン2の制御に用いられる。第2マップから決まるパラメータ値は、後述するリッチスパイク制御の実行時のようにある特定の状況において一時的に用いられる。
2−2.マップの内容
図3は、上述の第1マップ、第2マップ、及び第3マップのそれぞれにおける操作量の設定を示す表である。まず、第1マップと第3マップの各内容について両者を比較しながら説明し、続いて第2マップの内容につい説明する。なお、表に記載されている各操作量の設定は、マップ間の相対的な傾向を示すものであって、個別の具体的な設定を示すものではない。
表の第1行には、吸気バルブ14及び排気バルブ16のバルブタイミングと作用角の設定が表わされている。第1マップでは、EGRガスはなるべく入れないで新気の充填効率を高めるように、バルブオーバラップ期間は小さくされる。これに対し、第3マップでは、内部EGRによるEGRガスを確保できるように、バルブオーバラップ期間は大きくとられる。バルブオーバラップ期間の調整は、排気バルブ16の閉じ時期を進角或いは遅角させることによって行われる。
表の第2行には、ポート噴射弁20による燃料噴射と筒内噴射弁22による燃料噴射の噴射比率の設定が表わされている。第1マップでは、均質性を確保するべく、ポート噴射弁20による燃料噴射の比率を大きくするように設定される。これに対し、第3マップでは、燃焼速度、充填効率、及びノック改善の観点から、筒内噴射弁22による燃料噴射の比率を大きくするように設定される。
表の第3行には、筒内噴射弁22の噴射燃料の燃料圧力の設定が表わされている。第1マップでは、筒内噴射弁22の先端が過熱しないように、筒内噴射弁22の燃料噴射期間を確保するべく、燃料圧力は低く設定される。これに対し、第3マップでは、燃料の微粒化を促進するため、燃料圧力は高く設定される。
表の第4行には、タンブル制御バルブ48の開度(TCV開度)の設定が表わされている。第1マップでは、筒内での吸入空気の乱れを確保するため、タンブル制御バルブ48の開度は閉じ気味に設定される。これに対し、第3マップでは、流量係数を向上させるため、タンブル制御バルブ48の開度は開き気味に設定される。
表の第5行には、ポート噴射弁20及び筒内噴射弁22の燃料噴射時期の設定が表わされている。第1マップでは、ポート噴射弁20の燃料噴射時期の設定は、吸気バルブ14が開いていない時期に燃料を噴射する非同期噴射とされる。筒内噴射弁22の燃料噴射時期の設定は、吸気行程で燃料を噴射する吸気行程噴射とされる。これに対し、第3マップでは、ポート噴射弁20の燃料噴射時期の設定は、吸気バルブ14が開いている時期に燃料を噴射する同期噴射又は非同期噴射とされる。筒内噴射弁22の燃料噴射時期の設定は、圧縮行程で燃料を噴射する圧縮行程噴射又は吸気行程噴射とされる。
表の第6行には、スロットル40の開度の設定が表わされている。ただし、上記の第1行から第5行までの操作量の設定値がマップから直接得られるのに対し、スロットル40の開度の設定値はマップを参照して得られる目標空気量から算出される。同トルクで比較した場合、リーン運転とストイキ運転ではリーン運転のほうが多くの空気を必要とする。第1マップを参照して得られる目標空気量は、リーン運転時の目標空気量であるので、それから算出されるスロットル40の開度は相対的に開き気味とされる。これに対し、第3マップを参照して得られる目標空気量は、ストイキ運転時の目標空気量であるので、それから算出されるスロットル40の開度は相対的に閉じ気味とされる。
表の第7行には、ウエストゲートバルブ46の開度(WGV開度)の設定が表わされている。トルクとエンジン回転速度とに応じた目標吸気管圧がマップから得られ、目標吸気管圧から目標過給圧が算出される。そして、目標過給圧からウエストゲートバルブ46の開度が算出される。第1マップを参照して得られる目標吸気管圧は、リーン運転時の目標吸気管圧であるので、それから算出されるウエストゲートバルブ46の開度は吸入空気量を確保するために相対的に閉じ気味とされる。これに対し、第3マップを参照して得られる目標吸気管圧から算出されるウエストゲートバルブ46の開度は、ポンプ損を低減するために相対的に開き気味とされる。
表の第8行には、MBT点火時期の設定が表わされている。MBTは冷却損失と排気損失のバランスで決まるものであり、リーン運転ではストイキ運転よりも冷却損失が少ない。このような傾向を踏まえて、第1マップでは、相対的に進角側の点火時期(例えば、筒内圧力最大時期θPmax=12°ATDCとなる点火時期)がMBT点火時期に設定されている。これに対し、第3マップでは、相対的に遅角側の点火時期(例えば、筒内圧力最大時期θPmax=15°ATDCとなる点火時期)がMBT点火時期に設定されている。
以上の説明において、スロットル開度の算出のための目標空気量、ウエストゲートバルブ開度の算出のための目標吸気管圧、及び、MBT点火時期は、マップの参照により決定されるパラメータのうち、目標トルクに応じて決定されるトルク制御のための主パラメータである。一方、バルブタイミング及び作用角、噴射比率、燃料圧力、タンブル制御バルブ開度、及び、燃料噴射時期は、トルクには影響を与えるがトルクを能動的に制御するためには用いられない。これらのパラメータは、ストイキ運転とリーン運転とで設定が異なり、主パラメータとトルクとの関係に影響を与える副パラメータである。
第2マップでは、副パラメータ(表の第1行から第5行までの操作量)については、第1マップにける設定値と同じ設定値とされている。つまり、第2マップには、理論空燃比が目標空燃比として記憶されているが、副パラメータについては所定のリーン空燃比のもとでの適合値が記憶されている。主パラメータである目標空気量、目標吸気管圧、及びMBT点火時期については、理論空燃比のもとで副パラメータの設定をリーン運転時の設定にした場合の適合値が記憶されている。
表の第6行から第8行には、第2マップに基づくスロットル40の開度、ウエストゲートバルブ46の開度、及びMBT点火時期の各設定の例が表されている。スロットル40の開度は、ストイキ運転時の目標空気量に合わせて相対的に閉じ気味とされる。ウエストゲートバルブ46の開度は、過給圧を維持するために相対的に閉じ気味とされる。MBT点火時期は、相対的に遅角側の点火時期(例えば、筒内圧力最大時期θPmax=15°ATDCとなる点火時期)となる。
以上のことから、各マップは次のように説明することができる。第1マップは、副パラメータの設定をリーン運転時の設定にした場合の、所定のリーン空燃比のもとでの目標トルクと主パラメータとの関係を規定したマップである。第3マップは、副パラメータの設定をストイキ運転時の設定にした場合の、理論空燃比のもとでの目標トルクと主パラメータとの関係を規定したマップである。そして、第2マップは、副パラメータの設定をリーン運転時の設定にした場合の、理論空燃比のもとでの目標トルクと主パラメータとの関係を規定したマップである。
2−3.パラメータの補間
上記のマップが用意されているため、所定のリーン空燃比或いは理論空燃比のもとでは、適合されたパラメータによってエンジン2の運転を制御することができる。一方、これら2つの空燃比以外の空燃比については、パラメータの適合値は用意されていない。しかし、リーン運転中には空燃比を一時的にでも変化させたい場合がある。その1つの例がリッチスパイク制御の実行時である。リッチスパイク制御では、所定のリーン空燃比から理論空燃比或いは理論空燃比よりもリッチな空燃比へ、一時的な空燃比のリッチ化が行われる。このとき、空燃比の変化に伴うトルク変動を抑えるためには、空燃比の変化に対して空気量の変化が遅れないように、空燃比を連続的に変化させることが望ましい。
空燃比を連続的に変化させる上では、所定のリーン空燃比と理論空燃比以外の空燃比について、各パラメータの値をどのように設定するかが重要である。本実施の形態では、副パラメータについては、どの空燃比に対してもリーン運転時と同じ設定とされる。つまり、第2マップで規定されている副パラメータの設定が、他の空燃比に対しても用いられる。一方、主パラメータについては、第1マップから得られる値と第2マップから得られる値とを用いた補間により算出する。以下、これについて図を用いて説明する。
図4のグラフには、副パラメータをリーン運転時の設定値に固定にして、エンジン回転速度とトルクを一定に保ったときの空燃比とMBT点火時期との関係が黒丸でプロットされている。グラフにおいて、点m1は、第1マップから得られたMBT点火時期を示し、点m2は、第2マップから得られたMBT点火時期を示している。グラフでは、点m1及び点m2を含めて全てのデータが共通の緩やかな曲線上に並んでいる。グラフからは、副パラメータをリーン運転時の設定値に固定した場合には、空燃比とMBT点火時期との間には直線近似が可能な一定の関係ができることが読み取れる。この関係に着目すれば、任意の空燃比におけるMBT点火時期は、第1マップ及び第2マップから得られる2つの既知のデータを用いて補間可能であることが分かる。補間は内挿による補間だけでなく、外挿による補間でもよい。所定のリーン空燃比よりもさらに薄い空燃比におけるMBT点火時期は、外挿による線形補間によって求めることができる。なお、グラフにおけるm3は、第3マップから得られたMBT点火時期、つまり、副パラメータをストイキ運転時の設定値にした場合の理論空燃比におけるMBT点火時期を示している。
図5のグラフには、副パラメータをリーン運転時の設定値に固定にして、エンジン回転速度とトルクを一定に保ったときの空燃比と空気量との関係が黒丸でプロットされている。グラフにおいて、点m1は、第1マップから得られた目標空気量を示し、点m2は、第2マップから得られた目標空気量を示している。グラフでは、点m1及び点m2を含めて全てのデータが共通の直線上に並んでいる。空燃比と空気量との間に直線近似が可能な一定の関係があることで、任意の空燃比における目標空気量は、第1マップ及び第2マップから得られる2つの既知のデータを用いて線形補間することができる。なお、グラフにおけるm3は、第3マップから得られた目標空気量、つまり、副パラメータをストイキ運転時の設定値にした場合の理論空燃比における目標空気量を示している。
図6のグラフには、副パラメータをリーン運転時の設定値に固定にして、エンジン回転速度とトルクを一定に保ったときの空燃比と吸気管圧との関係が黒丸でプロットされている。グラフにおいて、点m1は、第1マップから得られた目標吸気管圧を示し、点m2は、第2マップから得られた目標吸気管圧を示している。グラフに表わされているように空燃比と吸気管圧との間には直線近似が可能な一定の関係があるので、任意の空燃比における目標吸気管圧は、第1マップ及び第2マップから得られる2つの既知のデータを用いて線形補間することができる。なお、グラフにおけるm3は、第3マップから得られた目標吸気管圧、つまり、副パラメータをストイキ運転時の設定値にした場合の理論空燃比における目標吸気管圧を示している。
2−4.制御装置の制御構造
制御装置100の制御構造には、上記のマップが用いられている。図7は、制御装置100の制御構造を示すブロック図である。図7には、目標トルク及び目標空燃比から各操作量を決定するための演算ユニット101〜105が表わされている。これらの演算ユニット101〜105は、制御装置100のROMに記憶された制御プログラム或いはその一部に対応している。制御プログラムがROMから読みだされてCPUで実行されることによって、これらの演算ユニット101〜105の機能が制御装置100にて実現される。以下、各演算ユニット101〜105で行われる処理の概要と、演算ユニット101〜105間の情報の流れについて説明する。
目標トルク設定ユニット101は、アクセルペダルの開度とエンジン回転速度とに基づいて運転者のトルク要求に応じた目標トルクを設定する。また、自動有段変速機から変速時のショック防止のためのトルク要求がある場合や、トラクションコントロールシステムや横滑り防止システムから車両制御のためのトルク要求がある場合には、それらトルク要求に応じた目標トルクを設定する。
目標空燃比設定ユニット102は、上述のマップを参照して目標トルク及びエンジン回転数に応じて目標空燃比を設定する。また、後述するリッチスパイク制御や変速のためのトルクダウン制御のように、リーン運転時に空燃比を一時的に変化させる制御が実行される場合には、その制御のための空燃比成分が目標空燃比に加えられる。目標空燃比設定ユニット102は、目標空燃比を所定のリーン空燃比から一時的に変化させる場合、目標空燃比を離散的に変化させるのではなく、連続的に、より詳しくは、空気量の変化速度に合った速度で変化させる。
目標空気量計算ユニット103は、目標トルク設定ユニット101により設定された目標トルクとエンジン回転速度とに基づいて目標空気量を計算する。目標空気量の計算には上述のマップが用いられる。目標トルクとエンジン回転速度との関係より第1マップが選択された場合、所定のリーン空燃比のもとで目標トルクを実現するための目標空気量が算出される。第3マップが選択された場合は、理論空燃比のもとで目標トルクを実現するための目標空気量が算出される。目標空気量計算ユニット103には、目標空燃比設定ユニット102で設定された目標空燃比が入力されている。設定された目標空燃比が所定リーン空燃比或いは理論空燃比以外の場合、目標空気量計算ユニット103は、第1マップ及び第2マップから得られる2つのデータを用いた線形補間により、その目標空燃比に応じた目標空気量を算出する。
目標吸気管圧計算ユニット104は、目標トルク設定ユニット101により設定された目標トルクとエンジン回転速度とに基づいて目標吸気管圧を計算する。目標吸気管圧の計算には上述のマップが用いられる。目標トルクとエンジン回転速度との関係より第1マップが選択された場合、所定のリーン空燃比のもとで目標トルクを実現するための目標吸気管圧が算出される。第3マップが選択された場合は、理論空燃比のもとで目標トルクを実現するための目標吸気管圧が算出される。目標吸気管圧計算ユニット104には、目標空燃比設定ユニット102で設定された目標空燃比が入力されている。設定された目標空燃比が所定リーン空燃比或いは理論空燃比以外の場合、目標吸気管圧計算ユニット104は、第1マップ及び第2マップから得られる2つのデータを用いた線形補間により、その目標空燃比に応じた目標吸気管圧を算出する。
なお、本実施の形態では、目標空気量と目標吸気管圧はそれぞれマップを参照して目標トルクから算出されるとしているが、空気量を吸気管圧に変換するマップを別途設けて、目標空気量から目標吸気管圧を算出するようにしてもよい。
操作量設定ユニット105は、上記の各目標値に基づいて各種の操作量を設定する。副パラメータであるバルブタイミング及び作用角、噴射比率、燃料圧力、タンブル制御バルブ開度、及び、燃料噴射時期などは、上述のマップを参照して目標トルク及びエンジン回転速度に応じた値に設定される。リーン運転時には第1マップを参照してこれら操作量の設定がなされ、ストイキ運転時には第3マップを参照してこれら操作量の設定がなされる。リーン運転時に目標空燃比が一時的に変更される場合、これら操作量の設定はリーン運転時の設定に保持される。スロットル40の開度は目標空気量に基づいて設定され、ウエストゲートバルブ46の開度は目標吸気管圧から算出される目標過給圧に基づいて設定される。点火時期は、上述のマップを参照して目標トルクとエンジン回転速度とに応じたMBT点火時期に設定される。ただし、設定された目標空燃比が所定リーン空燃比或いは理論空燃比以外の場合、点火時期は、第1マップ及び第2マップから得られる2つのデータを用いた線形補間によって算出されたMBT点火時期に設定される。
3.制御装置による空燃比制御
図8は、制御装置100により行われる空燃比制御のフローを示すフローチャートである。制御装置100は、このフローチャートに示す手順にしたがって空燃比制御を行う。まず、ステップS2では、目標トルクとエンジン回転速度とで定まるエンジン2の目標動作点がリーン運転を行う領域にあるかどうかの判定が行われる。目標動作点がリーン運転を行う領域にない場合には、ステップS16の処理が選択される。ステップS16では、通常のストイキ運転、つまり、第3マップに基づいたストイキ運転が行われる。
目標動作点がリーン運転を行う領域にある場合は、次に、ステップS4の判定が行われる。ステップS4では、リーン空燃比による燃焼から理論空燃比による燃焼への切り替えの要求があるかどうか、具体的には、リッチスパイク制御の要求があるかどうかの判定が行われる。リッチスパイク制御は、NSR64の直下流に設置されたNOセンサ74で計測されるNOの濃度が所定の閾値を超えたとき、或いは、エンジン2の運転履歴より推定されたNOの吸蔵量が所定の閾値を超えたときに実行される。
燃焼の切り替えの要求がある場合には、次に、ステップS6の判定が行われる。ステップS6では、現在の空気量が閾値未満の低空気量かどうかの判定が行われる。現在の空気量が低空気量である場合には、ステップS20の処理が選択され、そうでない場合には、ステップS22の処理が選択される。
ステップS20では、中間空燃比制御が行われる。中間空燃比制御とは、リッチスパイク制御の開始時に目標空燃比を所定リーン空燃比から理論空燃比へ連続的に変化させ、リッチスパイク制御の終了時に目標空燃比を理論空燃比から所定リーン空燃比へ連続的に変化させる制御を意味する。中間空燃比制御の実行時には、点火時期はMBT点火時期に設定され、副パラメータの設定はリーン運転時の設定に保持される。後述する「制御装置により実現される動作」の説明において、中間空燃比制御が実行される場合の各パラメータの動きを例示する。
ステップS22では、中間空燃比制御を行うことなく、目標空燃比は所定リーン空燃比から理論空燃比へ離散的に変更される。リーン運転で使用する所定リーン空燃比と理論空燃比との間には、NOxの発生率が高い空燃比域が存在する。低空気量であれば、その空燃比域で一時的に運転したとしても発生するNOxの絶対量は少ない。しかし、空気量が大きくなれば、一時的であったとしてもその空燃比域の使用により発生するNOxの量を無視できなくなる。このため、空気量が閾値以上の場合には、NOxの発生率が高い空燃比域を飛び越えて目標空燃比を変化させることが行われる。このとき、空燃比の変化に対して空気量の変化に遅れが生じるが、それに合わせて点火時期をMBT点火時期よりも遅角させることによってトルクの変動は抑えられる。なお、副パラメータの設定はリーン運転時の設定に保持される。
一方、ステップS4の判定の結果が否定の場合、つまり、リッチスパイク制御の要求がない場合には、次に、ステップS8の判定が行われる。ステップS8では、一時的なトルクダウンの要求があるかどうかの判定が行われる。トルクダウンの要求は、例えば、自動有段変速機においてシフトアップが行われるときに出される。
トルクダウンの要求がある場合には、次に、ステップS10の判定が行われる。ステップS10では、エンジン回転速度や空気量に基づいて、現在の空燃比が燃焼変動の基準範囲内かどうかの判定が行われる。現在の空燃比が燃焼変動の基準範囲内である場合には、ステップS24の処理が選択され、そうでない場合には、ステップS26の処理が選択される。
ステップS24では、目標空燃比のさらなるリーン化が行われる。リーン運転時の所定リーン空燃比よりもさらに薄い空燃比とすることで、空気量を低下させずともエンジン2のトルクを低下させることができる。空燃比のリーン化によってトルクダウンを行う場合、目標空燃比は所定リーン空燃比からより薄い空燃比へ連続的に変化させられ、限界まで達した後、再び所定リーン空燃比へ連続的に変化させられる。このとき、副パラメータの設定はリーン運転時の設定に保持される。後述する「制御装置により実現される動作」の説明において、トルクダウン制御が実行される場合の各パラメータの動きを例示する。
ステップS26では、目標空燃比は所定リーン空燃比から理論空燃比へ離散的に変更される。そして、点火時期を一時的にMBT点火時期よりも遅角することによってトルクダウンが行われる。なお、このときの副パラメータの設定はリーン運転時の設定に保持される。
ステップS8の判定の結果が否定の場合、つまり、トルクダウンの要求がない場合には、次に、ステップS12の判定が行われる。ステップS12では、一時的なトルクアップの要求があるかどうかの判定が行われる。トルクアップの要求は、例えば、自動有段変速機においてシフトダウンが行われるときに出される。トルクアップの要求がない場合には、ステップS18の処理が選択される。ステップS18では、通常のリーン運転、つまり、第1マップに基づいたリーン運転が行われる。
トルクアップの要求がある場合には、次に、ステップS14の判定が行われる。ステップS14では、エンジン2の現在の動作点がリーン過給域、つまり、リーン運転が行われる運転域のうち過給圧が大気圧よりも高い運転域にあるかどうかの判定が行われる。現在の動作点がリーン過給域にない場合には、ステップS18の処理が選択される。この場合、リーン運転を継続したまま空気量を増大させることによってトルクアップが行われる。
現在の動作点がリーン過給域にない場合は、テップS28の処理が選択される。ステップS28では、目標空燃比は所定リーン空燃比から理論空燃比へ離散的に変更される。空燃比を一時的に理論空燃比までリッチ化することによって、空気量を増大させずともエンジン2のトルクを一時的に増大させることができる。なお、このときの副パラメータの設定はリーン運転時の設定に保持される。
4.制御装置により実現される動作
4−1.リッチスパイク制御時の動作
図9は、リッチスパイク制御時の動作を示すタイムチャートである。図9に示すタイムチャートには、リッチスパイク制御が実行された場合の、トルク、空燃比、点火時期、空気量、吸気管圧、過給圧、ウエストゲートバルブ開度(WGV開度)、バルブオーバラップ期間、ポート噴射比率、タンブル制御バルブ開度(TCV開度)、スロットル開度、及び、燃料圧力の各時間変化が示されている。
タイムチャートでは、比較例の動作が点線で描かれている。比較例のリッチスパイク制御では、空燃比が所定リーン空燃比から理論空燃比に離散的に変更されるとともに、副パラメータである各種の操作量がストイキ運転時の設定に変更されている。空燃比が理論空燃比に変わることで、MBT点火時期は遅角側に変化するが、比較例では、リッチスパイク制御の開始時と終了時、点火時期はMBT点火時期よりもさらに遅角側に変化している。比較例の場合、空燃比の離散的な変化に対して空気量の変化が追いつかないために空気量は過剰となる。点火時期の遅角は、空気量の過剰によってトルクが過大になることを抑えるために行われている。ただし、このような点火時期制御を行ったとしても、点火時期と空燃比と空気量との関係によっては、タイムチャートに示すようなトルク変動が生じる場合がある。
一方、本実施の形態によれば、空燃比を空気量の変化速度に合わせた速度で連続的に変化させることができる。これは、副パラメータである各種の操作量をリーン運転時の設定に保持することによって、空燃比ごとのマップを多数用意せずとも、空燃比に応じた主パラメータ(目標標空気量、目標吸気管圧、及びMBT点火時期)を設定できようになったことによる。空燃比を連続的に変化させることで、空燃比に対して空気量の過不足が生じることは抑えられ、点火時期をMBT点火時期より遅角させずにすむ。結果、トルク制御の精度も高まり、リッチスパイク制御によってトルク変動が生じることは抑えられる。
4−2.トルクダウン制御時の動作
図10は、トルクダウン制御時の動作を示すタイムチャートである。図10に示すタイムチャートには、トルクダウン制御が実行された場合の、トルク、空燃比、点火時期、空気量、吸気管圧、過給圧、ウエストゲートバルブ開度(WGV開度)、バルブオーバラップ期間、ポート噴射比率、タンブル制御バルブ開度(TCV開度)、スロットル開度、及び、燃料圧力の各時間変化が示されている。トルクダウン制御では、副パラメータである各種の操作量はリーン運転時の設定に保持される。また、空気量及び吸気管圧は低下させずに、空燃比のさらなるリーン化によってトルクダウンが行われる。なお、点火時期が進角されているのは、空燃比のリーン化によってMBT点火時期が進角したことによる。
2 エンジン
5 燃焼室
20 ポート噴射弁
22 筒内噴射弁
24 吸気可変動弁機構
26 排気可変動弁機構
28 ターボ過給機
28a コンプレッサ
28b タービン
30 吸気通路
32 排気通路
40 スロットル
46 ウエストゲートバルブ
48 タンブル制御バルブ
100 制御装置

Claims (11)

  1. 理論空燃比によるストイキ運転と前記理論空燃比よりも薄い所定のリーン空燃比によるリーン運転とを選択可能な内燃機関の制御装置であって、
    前記内燃機関のトルク制御のためのパラメータとして、マップの参照により目標トルクに応じて決定される主パラメータと、前記ストイキ運転と前記リーン運転とで設定が異なり、前記主パラメータとトルクとの関係に影響を与える副パラメータとを有する制御装置において、
    前記制御装置は、前記マップとして、
    前記副パラメータの設定を前記リーン運転時の設定にした場合の、前記リーン空燃比のもとでの前記目標トルクと前記主パラメータとの関係を規定した第1マップと、
    前記副パラメータの設定を前記リーン運転時の設定にした場合の、前記理論空燃比のもとでの前記目標トルクと前記主パラメータとの関係を規定した第2マップと、を備え、
    前記制御装置は、前記リーン運転時に目標空燃比を前記リーン空燃比から別の空燃比へ一時的に変更する空燃比一時変更制御を行う場合、
    前記目標空燃比を前記リーン空燃比から前記別の空燃比へ、また、前記別の空燃比から前記リーン空燃比へ連続的に変化させるとともに、
    前記副パラメータの設定を前記リーン運転時の設定に保持し、
    前記目標空燃比のもとで前記目標トルクを実現するための前記主パラメータの値を、前記第1マップを参照して得られる前記目標トルクに応じた値と、前記第2マップを参照して得られる前記目標トルクに応じた値とを用いて算出することを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 前記主パラメータは、目標空気量とMBT点火時期の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
  3. 前記主パラメータは、目標吸気管圧を含むことを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の制御装置。
  4. 前記内燃機関は、吸気バルブの開弁期間と排気バルブの開弁期間とのオーバラップ期間を可変にする可変動弁機構を備え、
    前記副パラメータは、前記オーバラップ期間に関係する前記可変動弁機構の操作量を含むことを特徴とする請求項2又は3に記載の内燃機関の制御装置。
  5. 前記内燃機関は、吸気ポートに燃料を噴射するポート噴射弁と燃焼室に燃料を直接噴射する筒内噴射弁とを備え、
    前記副パラメータは、前記ポート噴射弁による燃料噴射と前記筒内噴射弁による燃料噴射との噴射比率を含むことを特徴とする請求項2乃至4の何れか1項に記載の内燃機関の制御装置。
  6. 前記副パラメータは、前記筒内噴射弁の燃料圧力を含むことを特徴とする請求項5に記載の内燃機関の制御装置。
  7. 前記内燃機関は、タンブル制御バルブを備え、
    前記副パラメータは、前記タンブル制御バルブの開度を含むことを特徴とする請求項2乃至6の何れか1項に記載の内燃機関の制御装置。
  8. 前記副パラメータは、燃料噴射時期を含むことを特徴とする請求項2乃至7の何れか1項に記載の内燃機関の制御装置。
  9. 前記制御装置は、前記第1マップを参照して得られる前記目標トルクに応じた値と、前記第2マップを参照して得られる前記目標トルクに応じた値とを基準とする補間計算によって、前記目標空燃比に適した前記主パラメータの値を計算することを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載の内燃機関の制御装置。
  10. 前記空燃比一時変更制御は、前記目標トルクを維持したまま前記目標空燃比を前記リーン空燃比から前記理論空燃比或いは前記理論空燃比よりも濃い所定のリッチ空燃比へ一時的に変更するリッチスパイク制御であることを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項に記載の内燃機関の制御装置。
  11. 前記空燃比一時変更制御は、前記目標トルクを一時的に低下させるとともに、前記目標空燃比を前記目標トルクの変化に合わせて前記リーン空燃比からさらに薄い空燃比へ一時的に変更するトルクダウン制御であることを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項に記載の内燃機関の制御装置。
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