以下、本発明の一実施形態である印刷装置1について図面を参照して説明する。以下の説明では、図1の上側、下側、右下側、左上側、左下側、及び右上側を、夫々、印刷装置1の上側、下側、右側、左側、前側、及び後側とする。
図1〜図3を参照し、印刷装置1の概略構成について説明する。尚、図2では、閉塞位置(後述)にあるカバー19を取り除いて図示する。印刷装置1は、キャラクタ(文字、記号及び数字等)をシート材59(図1参照)に印刷する装置である。
図1及び図2に示すように、印刷装置1は、略直方体状の筐体24を備える。筐体24の後側部には、開口部であるカセット装着部8が形成される。カセット装着部8の内部には、正面視で略矩形状のヘッドホルダ74が立設される。ヘッドホルダ74の前面には、シート材59に印刷をするサーマルヘッド10(図2参照)が取り付けられる。
図1に示すように、カセット装着部8には、巻回されたシート材59等を内蔵するテープカセット30が着脱される。テープカセット30は、平面視で丸みを帯びた角部を有する略直方体状(箱型)のカセットケース31を有する。カセットケース31の前部には、アーム部34が形成される。アーム部34は、カセットケース31の右前部から左方に延びる。アーム部34の左端部には、シート材59が排出される開口部(図示略)が形成される。
アーム部34の開口部から排出されるシート材59の後側には、ヘッド挿入部39が配置される。ヘッド挿入部39は、カセットケース31を上下方向に貫通する空間である。テープカセット30がカセット装着部8に装着された場合に、ヘッド挿入部39にはヘッドホルダ74及びサーマルヘッド10が配置される(図5参照)。ヘッド挿入部39の左側には、テープ駆動ローラ46が回転可能に軸支される。テープ駆動ローラ46には、テープ駆動ローラカム11(図5参照)が挿嵌される。テープ駆動ローラ46は、テープ駆動ローラカム11によって回転駆動される。
カセット装着部8は、カバー19によって開閉される。カバー19は、略矩形状の板状部材である。カバー19の一端部は、カセット装着部8の後側で左右方向に延びる支軸25によって軸支される。カバー19は、左右方向に延びる仮想軸線(図示略)周りに回動可能である。カバー19は、カセット装着部8及び後述の開口部7を閉塞する閉塞位置(図3参照)と、カセット装着部8及び開口部7を開放する開放位置(図1参照)との間を回動可能である。以下、カバー19が開放位置へ回動する方向を開方向といい、開方向とは反対方向を閉方向という。
図1及び図3に示すように、カバー19の裏面(閉方向側の側面)の右前部には、閉方向側に向けて立設するセンサ押圧部63が設けられる。センサ押圧部63は、閉塞位置にて機械式センサ66を閉方向側へ向けて押圧する。機械式センサ66は、カセット装着部8の右前側に形成された穴部である進入口12(図2参照)の内部に配置される。機械式センサ66は、進入口12に進入したセンサ押圧部63によって押圧されることで、カバー19が閉塞位置にあることを検知する。カバー19が閉塞位置から開方向へ回動する場合、センサ押圧部63は機械式センサ66から離間する。これにより、機械式センサ66はカバー19が閉塞位置にないことを検知する。
センサ押圧部63の左側には、平板状のレバー押圧部62が形成される。レバー押圧部62の右端部には、閉方向側に向けて突出しさらに左方に折れ曲がる突出片64が設けられる。レバー押圧部62及び突出片64は、カバー19の裏面のうち左右方向の中央部よりも右側の部位に配置され、レバー16と接触可能である。レバー16は、カセット装着部8の前側、且つカバー19の左右方向の中央部よりも右側に形成された開口部7(図1参照)に配置される。レバー16は、後述の可動機構100に揺動可能に設けられる。カバー19が開放位置から閉塞位置まで回転する場合、レバー押圧部62がレバー16を閉方向側へ押圧する一方、カバー19が閉塞位置から開放位置まで回転する場合、突出片64がレバー16を引き上げる。
次に、図4及び図5を参照し、印刷装置1が備える可動機構100の構成について説明する。尚、図5ではカセット装着部8(図1参照)に装着されたテープカセット30を仮想線によって図示する。
可動機構100は、筐体24の内部であって、カセット装着部8(図1参照)の前方に設けられる。可動機構100は、レバー16、リリースロッド17、ローラホルダ18、プラテンローラ15(図5参照)、及び可動搬送ローラ14を備える。可動機構100は、レバー16の揺動とローラホルダ18の揺動とを連動させる機構である。ローラホルダ18が揺動することで、プラテンローラ15及び可動搬送ローラ14はシート材59に対して接離可能である。
レバー16は、正面視で半円弧状に湾曲する板状部材である。レバー16の上下方向の中央より下側には、レバー軸部161が形成される。レバー16は、レバー軸部161を中心に、第一位置(図1、図4参照)と第二位置(図3参照)との間を揺動可能である。第一位置は、上端部が開口部7よりも上側に突出するレバー16の回動位置である。第二位置は、上端部が開口部7に進入するレバー16の回動位置である。
リリースロッド17は、左右方向に長い略矩形状の板状部材であり、左右方向に沿って移動可能に設けられる。以下、リリースロッド17の可動範囲の右端を右端位置といい、左端を左端位置という。リリースロッド17の右端部は、レバー16のうちレバー軸部161よりも下側の部位と、摺動可能に係合する。これにより、レバー16が第一位置から第二位置まで正面視で時計回り(矢印D1方向)に揺動する場合、リリースロッド17は右端位置から左端位置まで左方向(矢印D3方向)に移動可能である。一方、レバー16が第二位置から第一位置まで正面視で反時計回り(矢印D2方向)に揺動する場合、リリースロッド17は左端位置から右端位置まで右方向(矢印D4方向)に移動可能である。
図5に示すように、リリースロッド17の左端部には、ロッド押圧部171が形成される。ロッド押圧部171は、リリースロッド17が左右方向に移動することで、ローラホルダ18に対して接離可能である。ロッド押圧部171は、押圧部後面1711(図5参照)及び押圧部傾斜面1712(図5参照)を備える。押圧部後面1711は、ロッド押圧部171の後端面であり、上下方向に延びる。押圧部傾斜面1712は、押圧部後面1711の左端から、左前方に向けて延びる。
ローラホルダ18は、後方に向けて開口する略箱状の部材であり、レバー16の左側、
且つ、リリースロッド17の後側に配置される。ローラホルダ18の右後部には、上下方向に延びる貫通孔である被軸支部181が形成される。ローラホルダ18は、被軸支部181を中心に揺動可能に軸支される。ローラホルダ18は、付勢バネ(図示略)によって前方向へ付勢されている。以下、ローラホルダ18の揺動範囲の前端を前端位置といい、後端を後端位置という。
ローラホルダ18の背面部の左側部には、ロッド押圧部171が接離可能な受部184が形成される。受部184は、右後方から左前方に向けて傾斜して延び更に略左方に延びる板部である。リリースロッド17が右端位置から左端位置まで移動する場合、押圧部傾斜面1712及び押圧部後面1711が順に、受部184に対して摺動する。これにより、ローラホルダ18は前端位置から後端位置まで平面視で時計回り(矢印D5方向)に揺動可能である。一方、リリースロッド17が左端位置から右端位置まで移動する場合、ローラホルダ18は、付勢バネ(図示略)の付勢力によって、後端位置から前端位置まで平面視で反時計回り(矢印D6方向)に揺動可能である。
プラテンローラ15及び可動搬送ローラ14は、受部184の後側で、ローラホルダ18によって回転自在に保持される。プラテンローラ15及び可動搬送ローラ14は、ローラホルダ18及びリリースロッド17を介して、レバー16と連結する。プラテンローラ15及び可動搬送ローラ14は、右側から順に並ぶ。プラテンローラ15はサーマルヘッド10(図5参照)の前方に配置され、可動搬送ローラ14はテープ駆動ローラ46(図5参照)の前方に配置される。ローラホルダ18が前端位置から後端位置まで揺動する場合、プラテンローラ15はサーマルヘッド10とは反対側からシート材59を挟み込み、可動搬送ローラ14はテープ駆動ローラ46とは反対側からシート材59を挟み込む。サーマルヘッド10によって印刷がなされたシート材59は、テープ駆動ローラ46、可動搬送ローラ14及びプラテンローラ15が回転することで、左方に搬送される。一方、ローラホルダ18が後端位置から前端位置まで揺動する場合、プラテンローラ15及び可動搬送ローラ14は、シート材59から離間する。尚、図2では、ローラホルダ18が後端位置まで揺動した場合におけるプラテンローラ15及び可動搬送ローラ14が、仮想線によって図示される。
図3を参照し、印刷装置1が備える第一係止機構110及び第二係止機構210の構成について説明する。第一係止機構110及び第二係止機構210は、夫々、カバー19を閉塞位置にて係止する機構である。第一係止機構110及び第二係止機構210は、左右方向に並んで設けられる。第一係止機構110は、一例として、第二係止機構210の右側に配置される。
第一係止機構110は、互いに係止可能な第一突出片131及び第一立設部141を備える。第一突出片131は、カバー19の裏面のうち、センサ押圧部63より右側の部位から、閉方向側へ向けて突出する。第一突出片131は、側面視で略矩形状の板状部材である(図1参照)。第一突出片131の右側面には、左方へ向けて凹む凹部131Aが形成される。
凹部131Aの閉方向側には、第一突出片131の先端部である第一頭部133が形成される。第一頭部133は、第一摺動面134、第一壁面135、及び第一傾斜面136を備える。第一摺動面134は、第一頭部133の先端から開方向に向けて右側に傾斜して延びる。換言すると、第一摺動面134は、閉方向に向けて第二係止機構210側に傾斜して延びる。以下、第一摺動面134と開方向(閉方向)とがなす鈍角の角度を角度α1という。第一壁面135は、第一摺動面134の開向側の端から、開方向に向けて延びる。第一傾斜面136は、第一壁面135の開方向側の端から、開方向に向けて左側に傾斜して延びる。換言すると、第一傾斜面136は、開方向に向けて第二係止機構210側に傾斜して延びる。以下、第一傾斜面136と開方向とがなす鈍角の角度を、角度β1という。第一傾斜面136は、カバー19が閉塞位置よりも開方向側にある場合、第一立設部141と第二係止機構220との間に配置される。
第一立設部141は、筐体24に形成される穴部142を囲む壁部から下方に立設する。穴部142は進入口12(図2参照)の右側に形成される。第一立設部141の先端部には、第一突部143が設けられる。第一突部143は第一立設部141から左方へ向けて突出する。第一突部143の配置位置は、カバー19が閉塞位置よりも開方向側にある場合において、第一傾斜面136に対して第二係止機構210とは反対側となる位置である。換言すると、カバー19が閉塞位置よりも開方向側に位置する場合において、第一傾斜面136は、第一突部143と第二係止機構210との間に配置される。
第一突部143は、接触面146、壁面145、及び第一被摺動面144を備える。接触面146は、第一突部143の先端を形成する面であり、開方向へ向けて第二係止機構210側に傾斜して延びる。接触面146は、第一傾斜面136と略平行に延びる。カバー19が閉塞位置にある場合、接触面146に対して第一傾斜面136が閉方向側から係止する。これにより、第一係止機構110はカバー19を係止する。
壁面145は、接触面146の開方向側の端から、開方向へ向けて延びる。壁面145は、第一突出片131の第一壁面135と略平行である。壁面145は第一壁面135と接触可能である。第一被摺動面144は、壁面145の開方向側の端から、開方向へ向けて右側に傾斜して延びる。第一被摺動面144には、第一突出片131の第一摺動面134が摺動可能である。
第二係止機構210は、互いに係止可能な第二突出片231及び第二立設部241を備える。第二突出片231は、カバー19の裏面のうち左側の部位から、閉方向側へ向けて突出する。第二突出片231は、側面視で略矩形状の板状部材である。第二突出片231の左側面には、右方へ向けて凹む凹部231Aが形成される。
凹部231Aの閉方向側には、第二突出片231の先端部である第二頭部233が形成される。第二頭部233は、第二摺動面234、第二壁面235、及び第二傾斜面236を備える。第二摺動面234は、第二頭部233の先端から開方向に向けて左側に傾斜して延びる。換言すると、第二摺動面234は、閉方向に向けて第一係止機構110側に傾斜して延びる。以下、第二摺動面234と開方向(閉方向)とがなす鈍角の角度を角度α2という。角度α2と角度α1は互いに異なる。角度α2は角度α1よりも小さい。換言すると、角度α1は角度α2よりも大きい。
第二壁面235は、第二摺動面234の開方向側の端から、開方向に向けて延びる。第二傾斜面236は、第二壁面235の開方向側の端から、開方向に向けて右側に傾斜して延びる。換言すると、第二傾斜面236は、開方向に向けて第一係止機構110側に傾斜して延びる。以下、第二傾斜面236と開方向とがなす鈍角の角度をβ2という。角度β2は角度β1よりも大きい。換言すると、角度β1は角度β2よりも小さい。
第二立設部241は、筐体24の左側部に形成された穴部242を囲む壁部から下方に立設する。第二立設部241の先端部には、第二突部243が設けられる。第二突部243は第二立設部241から右方へ向けて突出する。第二突部243の配置位置は、カバー19が閉塞位置より開方向側にある場合において、第二突出片231に対して第一係止機構110とは反対側となる位置である。
第二突部243は、接触面246、壁面245、角部249、及び第二被摺動面244を備える。接触面246は、第二突部243の先端から、開方向へ向けて右側へ向けて傾斜して延びる。壁面245は、接触面246の開方向側の端から、開方向へ向けて延びる。換言すると、壁面245及び接触面246は、互いに異なる方向に延びる平面である。角部249は、壁面245と接触面246を接続する部分である。角部249は前後方向に直線状に延びる。カバー19が閉塞位置にある場合に、角部249に対して第二傾斜面236が閉方向側から線接触して係止する。これにより、第二係止機構210はカバー19を係止する。
第二被摺動面244は、壁面245の開方向側の端から、開方向に向けて左側に傾斜して延びる。第二被摺動面244には、第二突出片231の第二摺動面234が摺動可能である。
第一係止機構110と第二係止機構210がカバー19を係止する夫々の力の関係について説明する。第一係止機構110がカバー19を係止する力は、接触面146が第一傾斜面136対して開方向への移動を制限する力である。第二係止機構210がカバー19を係止する力は、角部249が第二傾斜面236に対して開方向への移動を制限する力である。角度β1は角度β2よりも小さい。従って、接触面146と接触する第一傾斜面136に対して作用する閉方向を向く力は、角部249と接触する第二傾斜面236に対して作用する閉方向を向く力よりも大きい。第一係止機構110は第二係止機構210よりも大きな力でカバー19を係止する。さらに、接触面146と第一傾斜面136は、互いに平行であるので、互いに面接触し易い。第一傾斜面136に作用する摩擦力は増加する。従って、第一係止機構110がカバー19を係止する力は大きい。一方、角部249と第二傾斜面236は互いに線接触するので、第二傾斜面236に作用する摩擦力は低減する。従って、第二係止機構210がカバー19を係止する力は小さい。以上より、第一係止機構110がカバー19を係止する力は、第二係止機構210がカバー19を係止する力よりも大きい。
図6を参照し、第一係止機構110、第二係止機構210、カバー19、レバー16、レバー押圧部62、機械式センサ66、及びセンサ押圧部63の位置関係について説明する。尚、図6では、図2のI−I線矢視方向における印刷装置1の断面図を簡略化して図示する(図7〜図12も同様)。第一係止機構110と第二係止機構210とから左右方向において等しい距離の位置である中間位置Pは、カバー19の左右方向における中心位置と略一致する。従って、レバー16、レバー押圧部62、機械式センサ66、及びセンサ押圧部63は、何れも、中間位置Pに対して、第一係止機構110が配置される右側に位置する。
図1、図3、図6、及び図7を参照し、カバー19が開放位置から閉塞位置まで回動し係止される動作について説明する。図1に示すように、ユーザは、開放位置にあるカバー19の、例えば左右方向の中央部を閉方向に向けて付勢する。カバー19は開放位置から閉塞位置に向けて回動する。レバー押圧部62は、第一位置にあるレバー16に当接し、正面視で時計回り(図4の矢印D1方向)に向けて揺動させる。即ち、レバー16は、閉塞位置に向けて回動するカバー19に連動して、第一位置から第二位置に向けて揺動する。レバー16の揺動に伴い、前端位置にあるローラホルダ18は、平面視で時計回り(図4の矢印D5方向)に向けて揺動する。即ち、第二位置に向けて揺動するレバー16は、プラテンローラ15(図5参照)を、シート材59に対して離間する位置から接触する位置向けて揺動させる。
図6に示すように、開放位置にあったカバー19は、当接位置まで回動する。当接位置は、第一摺動面134が第一被摺動面144と当接し、且つ第二摺動面234が第二被摺動面244と当接するカバー19の回動位置である。当接位置は、開放位置と閉塞位置との間にある位置である。
ユーザが、当接位置にあるカバー19を更に閉方向に付勢すると、第一摺動面134及び第二摺動面234には略均等に力が作用する。角度α1は角度α2よりも大きい。これにより、第一被摺動面144と当接する第一摺動面134に対して作用する開方向を向く力は、第二被摺動面244と当接する第二摺動面234に対して作用する開方向を向く力よりも小さい。従って、第一突出片131は第二突出片231よりも先に閉方向に移動する。
第一突出片131は、第一摺動面134を第一被摺動面144に対して摺動させた後、第一壁面135を壁面145に対して摺動させながら、閉方向に移動する。第一立設部141は基端部を支点として右方に撓む。図7に示すように、第一突出片131は、第一傾斜面136の閉方向側の端部が接触面146に対して閉方向側から係止する位置まで移動する。右方に撓んでいた第一立設部141は、基端部を支点として元の位置まで変位する。第一係止機構110はカバー19を係止する。第一係止機構110及び第二係止機構210のうち第一係止機構110のみがカバー19を係止するので、カバー19は左側の部位が右側の部位よりも高い姿勢(以下、傾斜姿勢という)となる。
図3及び図7に示すように、ユーザが傾斜姿勢のカバー19を閉方向に更に付勢すると、第二摺動面234に集中して力が作用する。第二摺動面234に作用する力は増大する。従って、第二突出片231は閉方向に容易に移動する。
第二突出片231は、第二摺動面234を第二被摺動面244に対して摺動させた後、第二壁面235を壁面245に対して摺動させながら、閉方向に移動する。第二立設部241は基端部を中心に左方に撓む。第二突出片231は、第二傾斜面236の閉方向側の端部が接触面246に対して閉方向側から係止する位置まで移動する。左方に撓んでいた第二立設部241は、基端部を支点として元の位置まで変位する。第二係止機構210はカバー19を係止する。これにより、カバー19は、閉塞位置にて第一係止機構110及び第二係止機構210の夫々によって係止される。カバー19は閉塞位置に到達する(図3参照)。本実施形態では一例として、閉塞位置にあるカバー19は、開口部7(図1参照)を平面視で全て閉塞する。
尚、当接位置から閉塞位置までカバー19が回動する間に、レバー押圧部62はレバー16を第二位置まで揺動させ、センサ押圧部63は機械式センサ66を閉方向に押圧する。第二位置にあるレバー16は、レバー押圧部62と接触したままである。レバー16が第二位置まで揺動することで、ローラホルダ18は後端位置まで揺動する。プラテンローラ15及び可動搬送ローラ14は、シート材59に接触する(図5参照)。
機械式センサ66は、閉塞位置にあるセンサ押圧部63を開方向に付勢し、第二位置にあるレバー16は、閉塞位置にあるレバー押圧部62を開方向に付勢する。機械式センサ66及び第二位置にあるレバー16は、夫々、カバー19の中間位置Pよりも右側に配置される。従って、センサ押圧部63及びレバー押圧部62を介してカバー19に作用する力は、第二傾斜面236よりも第一傾斜面136に強く作用する。しかしながら、第一係止機構110は第二係止機構210よりも強い力でカバー19を係止するので、第一係止機構110による係止は解除されにくい。
図3、図6、及び図7を参照し、閉塞位置にあるカバー19の係止が解除され、開放位置まで回動される動作について説明する。図3に示すように、ユーザは、閉塞位置にあるカバー19の、例えば左右両端部を夫々摘み、開方向に向けて付勢する。第一突出片131の第一傾斜面136及び第二突出片231の第二傾斜面236には、略同等の力で上方に付勢される。第二係止機構210がカバー19を係止する力は、第一係止機構110よりも小さいので、第二突出片231は第一突出片131よりも先に開方向に向けて移動する。
第二突出片231は、第二傾斜面236を角部249に対して摺動させた後、第二壁面235を壁面245に対して摺動させながら、開方向に移動する。第二立設部241は基端部を中心に左方に撓む。第二突出片231は、第二摺動面234の開方向側の端部が第二被摺動面244に対して開方向側から接触する位置まで移動する。左方に撓んでいた第二立設部241は基端部を中心として元の位置まで戻る。第二係止機構210による係止は解除される。レバー押圧部62はレバー16から開方向に離間し、センサ押圧部63は機械式センサ66から開方向に離間する。
図7に示すように、カバー19は傾斜姿勢に変位する。第一突出片131は、左方に変位し、第一傾斜面136が第一立設部141から離間する方向に傾く。第一突出片131は第一立設部141に対して押圧されにくい。さらに、第一突出片131が左方へ変位することで、第一傾斜面136が接触面146に対して左方に変位する。第一傾斜面136と接触面146との接触面積は低減する。第一係止機構110がカバー19を係止する力は低減する。また、ユーザが傾斜姿勢にあるカバー19を開方向に向けて更に付勢すると、カバー19に作用する力は第一突出片131に集中する。よって、第一突出片131は、開方向に向けて容易に移動する。
第一突出片131は、第一傾斜面136を接触面146に対して摺動させた後、第一壁面135を壁面145に対して摺動させながら、開方向に移動する。第一立設部141は基端部を中心に右方に撓む。第一突出片131は、第一摺動面134の開方向側の端部が第一被摺動面144に対して開方向側から接触する位置まで移動する。右方に撓んでいた第一立設部141は、基端部を中心に元の位置まで戻る。第一係止機構110によるカバー19の係止は解除される。カバー19は当接位置に到達する(図6参照)
ユーザがカバー19を開方向に付勢することで、カバー19は当接位置から開放位置まで回動する。カバー19が開放位置まで回動するまでの間に、突出片64はレバー16を第一位置まで引き上げる。レバー16が第一位置まで揺動すると、ローラホルダ18(図4参照)は、付勢バネ(図示略)の付勢力によって後端位置から前端位置まで揺動する。
以上、説明したように、角度β1が角度β2よりも小さいので、第一係止機構110は第二係止機構210よりも強い力でカバー19を係止する。ユーザがカバー19を閉塞位置から開放位置へ向けて回動させる場合、第二係止機構210によるカバー19の係止が解除された後に、第一係止機構110による係止が解除される。第一係止機構110及び第二係止機構210が左右方向に並んで設けられるので、第二係止機構210のみの係止が解除された場合、カバー19は傾斜姿勢になる。カバー19が閉塞位置よりも開方向側にある場合に、第一傾斜面136は第一突部143と第二突部243との間に配置される。従って、カバー19が傾斜姿勢になると、第一突出片131は、第一傾斜面136が第一突部143から離間する方向に傾く。第一傾斜面136は第一突部143に押圧されにくい。従って、第二係止機構210による係止が解除された場合、第一係止機構110による係止は解除され易くなる。よって、印刷装置1は、カバー19の係止が解除される操作性を向上できる。
カバー19は、開放位置から閉塞位置まで回動することで、レバー16を第一位置から第二位置まで揺動させる。レバー16は、第一位置から第二位置まで揺動することで、プラテンローラ15をシート材59に対して離間する位置から接触する位置まで移動させる。閉塞位置にあるカバー19が、レバー16及び機械式センサ66によって開方向に付勢される場合であっても、閉塞位置にあるカバー19の係止が外れないようにする必要がある。従って、第一係止機構110及び第二係止機構210のうち、少なくとも第一係止機構110による係止は外れにくくする必要がある。この場合であっても、第二係止機構210による係止が解除されカバー19が傾斜姿勢になると、第一傾斜面136は第一突部143に押圧されにくい。また、第二係止機構210による係止が解除されれば、第一係止機構110のみがカバー19を係止する。ユーザがカバー19を開方向に更に付勢すると、カバー19に作用する力は、第一突出片131に集中する。従って、第一係止機構110による係止は解除され易い。よって、印刷装置1は、プラテンローラ15を、カバー19の回動に伴って移動させることができると共に、カバー19の係止が解除される操作性を向上できる。
レバー16は、中間位置Pに対して第一係止機構110が配置される右側に配置される。閉塞位置にて係止されるカバー19のうち、レバー16によって開方向へ付勢される部位は、中間位置Pに対して右側となる。第一係止機構110は、第二係止機構210よりも強い力でカバー19を係止する。従って、印刷装置1は、閉塞位置にて係止されるカバー19がレバー16によって開方向へ付勢される場合であっても、カバー19の係止を外れにくくできる。
角部249と第二傾斜面236が線接触するので、第二係止機構210がカバー19を係止する力は小さい。ユーザは、第二係止機構210によるカバー19の係止を解除させ易い。よって、印刷装置1は、カバー19の係止が解除される操作性を更に向上できる。
第一傾斜面136と第一突部143の接触面146とは互いに略平行である。第一傾斜面136と接触面146は面接触し易い。これにより、第一係止機構110がカバー19を係止する力は大きい。よって、第一係止機構110及び第二係止機構210によって係止されるカバー19に、偶発的な要因によって開方向へ向けた力が作用した場合であっても、カバー19の係止は解除されにくい。
角度α1と角度α2は互いに異なる。これにより、ユーザがカバー19を当接位置から閉塞位置まで回動させると、第一係止機構110及び第二係止機構210は順にカバー19を係止する。第一係止機構110及び第二係止機構210によるカバー19の係止は段階的になされる。ユーザがカバー19を閉塞位置にて係止させるために必要とされる力は、軽減する。よって、印刷装置1は、カバー19が係止される操作性を向上できる。
角度α1は角度α2よりも大きい。ユーザがカバー19を当接位置から閉塞位置まで回動させる場合、第一突出片131が第二突出片231よりも先に閉方向に移動し易い。即ち、第一係止機構110は第二係止機構210に比べて、カバー19を係止させ易い。従って、中間位置Pよりも右側に配置されたレバー16が、カバー19を開方向へ付勢する場合であっても、第一係止機構110はカバー19を係止できる。よって、印刷装置1は、カバー19が係止される操作性を更に向上できる。
上記実施形態において、サーマルヘッド10は本発明の「印刷部」の一例である。第一係止機構110は本発明の請求項1に記載の「第一係止手段」の一例である。第二係止機構210は本発明の請求項1に記載の「第二係止手段」の一例である。角度β1は本発明の「前記第一傾斜面と前記開方向とがなす鈍角の角度」の一例である。角度β2は本発明の「前記第二傾斜面と前記開方向とがなす鈍角の角度」の一例である。プラテンローラ15は本発明の「搬送ローラ」の一例である。レバー16は本発明の「移動部材」の一例である。機械式センサ66は本発明の「検知部」の一例である。接触面246及び壁面245は本発明の「二つの平面」の一例である。左右方向は本発明の「所定方向」の一例である。
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。印刷装置1は、レバー16及び機械式センサ66を備えなくてもよい。この場合、閉塞位置にあるカバー19は、開方向に向けて付勢されにくい。また、第二位置にあるレバー16は、レバー押圧部62から下方に離間していてもよい。レバー16は、プラテンローラ15に代えてサーマルヘッド10と連結してもよい。この場合、第一位置から第二位置まで揺動するレバー16は、プラテンローラ15に代えてサーマルヘッド10を、シート材59に対して離間する位置から接触する位置まで揺動させる。
角度α1は角度α2よりも大きくてもよい。この場合、当接位置にあるカバー19が閉方向に付勢されると、第二突出片231が第一突出片131よりも先に閉方向に移動する。従って、第二係止機構210がカバー19を係止した後、第一係止機構110がカバー19を係止する。
第二突部243は角部249を備えなくてもよい。以下、図8を参照し、第一変形例に係る印刷装置2について説明する。印刷装置2は、第二係止機構210に代えて第二係止機構220を備える点を除いて、印刷装置1と同様の構成である。第二係止機構220は、第二立設部241に代えて第二立設部261を備える点を除いて、第二係止機構210と同様の構成である。第二立設部261の先端部には第二突部263が設けられる。第二突部263は、球状に形成され、第二立設部261から右方に向けて突出する。第二突出片231の第二傾斜面236が閉方向側から第二突部263に係止することで、第二係止機構220はカバー19を係止する。第二突部263は球状であるので、第二突出片231と第二傾斜面236は点接触し易い。第二傾斜面236と第二突出片231との接触面積が低減するので、第二傾斜面236に作用する摩擦力は低減する。従って、第二係止機構220がカバー19を係止する力は低減する。これにより、ユーザが、閉塞位置にて係止されるカバー19を開方向に向けて付勢する場合、第一係止機構110よりも先に第二係止機構220による係止が解除され易い。よって、印刷装置2は、カバー19の係止が解除される操作性を向上できる。
第一傾斜面136は第一突出片131に設けられなくてもよく、第二傾斜面236は第二突出片231に設けられなくてもよい。以下、図9を参照し、第二変形例に係る印刷装置3について説明する。印刷装置3は、第一係止機構110に代えて第一係止機構120を備える点と、第二係止機構210に代えて第二係止機構230を備える点とを除いて、印刷装置1と同様の構成である。第一係止機構120及び第二係止機構210は左右方向に並んで設けられる。第一係止機構120は、一例として、第二係止機構210の右側に配置される。
第一係止機構120は、互いに係止可能な第一突出片331及び第一立設部341を備える。第一突出片331は、カバー19の裏面から閉方向側へ向けて突出する。第一突出片331の先端部には、第一突起部333が設けられる。第一突起部333は、球状に形成され、第一突出片331から右方に向けて突出する。第一立設部341は、筐体24に形成される穴部142を囲む壁部から下方に向けて立設する。第一立設部341の先端部には第一斜面346が形成される。第一斜面346の配置位置は、カバー19が閉塞位置より開方向側にある場合において、第一突起部333に対して第二係止機構230とは反対側となる位置である。第一斜面346は、開方向に向けて左側に傾斜して延びる。換言すると、第一斜面346は、開方向に向けて第二係止機構230側に傾斜して延びる。カバー19が閉塞位置にある場合に、第一斜面346に対して第一突起部333が閉方向側から係止する。これにより、第一係止機構120はカバー19を係止する。以下、第一斜面346と開方向とがなす鈍角の角度を角度γ1という。
第二係止機構230は、第二突出片431及び第二立設部441を備える。第二突出片431は、カバー19の裏面から閉方向側に突出する。第二突出片431の先端部には第二突起部433が設けられる。第二突起部433は、球状に形成され、第二突出片431から左方に突出する。第二立設部441は、筐体24に形成された穴部242を囲む壁部から下方に延びる。第二立設部441の先端部には、第二斜面446が形成される。第二斜面446は、開方向に向けて右側に傾斜して延びる。換言すると、第二斜面446は開方向に向けて第一係止機構120側に傾斜して延びる。カバー19が閉塞位置にある場合に、第二斜面446に対して閉方向側から第二突起部433が係止する。これにより、第二係止機構230はカバー19を係止する。以下、第二斜面446と開方向とがなす鈍角の角度を角度γ2という。
角度γ1は角度γ2よりも小さい。従って、第一係止機構120は第二係止機構230よりも強い力でカバー19を係止する。ユーザが、閉塞位置にて係止されるカバー19を開方向に向けて付勢すると、第一突出片331よりも先に第二突出片431が上方に移動する。第二突起部433が第二立設部441の先端部に対して開方向側から接触する位置まで、第二突出片431は移動する。第二係止機構230による係止は解除され、カバー19は傾斜姿勢になる。カバー19が閉塞位置よりも開方向側に位置する場合、第一突起部333は、第二係止機構230と第一斜面346との間に位置する。従って、カバー19が傾斜姿勢になると、第一突出片331は、左方に変位し、第一突起部333が第一斜面346から離間する方向に傾く。第一突起部333は、第一斜面346に向けて押圧されにくくなる。第一突出片331は、第一立設部341を基端部を支点に右方に撓ませながら、上方に移動し易くなる。即ち、第一係止機構120がカバー19を係止する力は低減する。従って、第二係止機構230による係止が解除された場合、第一係止機構120による係止は解除され易くなる。よって、印刷装置3は、カバー19の係止が解除される操作性を向上できる。
上記第二変形例において、第一係止機構120は本発明の請求項9に記載の「第一係止手段」の一例である。第二係止機構230は本発明の請求項11に記載の「第二係止手段」の一例である。角度γ1は「前記第一斜面と前記開方向とがなす鈍角の角度」の一例である。角度γ2は「前記第二斜面と前記開方向とがなす鈍角の角度」の一例である。
尚、第一突起部333は球状である代わりに、第一斜面346と接触可能な平面を備えてもよい。第一突起部333が備える平面は、第一斜面346と略平行であってもよい。第二突起部433は、球状である代わりに、第二斜面446と接触可能な平面を備えてもよいし、第二斜面446と接触可能な角部を備えてもよい。
印刷装置1の第二突出片231は、第二立設部241に対して右側に配置されていなくてもよい。以下、図10を参照し、第三変形例に係る印刷装置4について説明する。印刷装置4は、第一係止機構110に代えて第一係止機構130を備える点と、第二係止機構210に代えて第二係止機構240を備える点とを除いて、印刷装置1と同様の構成である。第一係止機構130及び第二係止機構240は左右方向に並んで設けられる。第一係止機構130は、一例として、第二係止機構240の右側に配置される。
第一係止機構130は、互いに係止可能な第一突出片531及び第一立設部541を備える。第一突出片531は、カバー19の裏面から閉方向側へ向けて突出する。第一突出片531の先端部には、第一係止面536が形成される。第一係止面536は、開方向に向けて左側に傾斜して延びる。換言すると、第一係止面536は、開方向に向けて第二係止機構240側に傾斜して延びる。以下、第一係止面536と開方向とがなす鈍角の角度を角度δ1という。第一立設部541は、筐体24に形成された穴部142を囲む壁部から下方に向けて立設する。第一立設部541の先端部には、第一突出部543が設けられる。第一突出部543は、球状に形成され、第一立設部541から左方に向けて突出する。第一突出部543の配置位置は、カバー19が閉塞位置より開方向側にある場合において、第一係止面536に対して第二係止機構240とは反対側となる位置である。カバー19が閉塞位置にある場合、第一突出部543に対して閉方向側から第一係止面536が係止する。これにより、第一係止機構130はカバー19を係止する。
第二係止機構240は、互いに係止可能な第二突出片631及び第二立設部641を備える。第二突出片631は、カバー19の裏面から閉方向側に突出する。第二突出片631の先端部633には、第二係止面636が形成される。第二係止面636は、開方向に向けて左側に傾斜して延びる。換言すると、第二係止面636は、開方向に向けて第一係止機構130とは反対側に傾斜して延びる。以下、第二係止面636と開方向とがなす鈍角の角度を角度δ2という。第二立設部641は、筐体24に形成された穴部242を囲む壁部から下方に延びる。第二立設部641の先端部には、第二突出部643が設けられる。第二突出部643は、球状に形成され、第二立設部641から左方に向けて突出する。カバー19が閉塞位置にある場合、第二突出部643に対して閉方向側から第二係止面636が係止する。これにより、第二係止機構240はカバー19を係止する。
角度δ1は角度δ2よりも小さい。従って、第一係止機構130は第二係止機構240よりも強い力でカバー19を係止する。ユーザが、閉塞位置にて係止されるカバー19を開方向に向けて付勢すると、第一突出片531よりも先に第二突出片631が上方に移動する。先端部633が第二突出部643に対して開方向側から接触する位置まで、第二突出片631は移動する。第一係止機構130よりも先に第二係止機構240による係止が解除され、カバー19は傾斜姿勢になる。カバー19が閉塞位置よりも開方向側に位置する場合、第一係止面536は、第二係止機構240と第一突出部543の間に位置する。従って、カバー19が傾斜姿勢になると、第一突出片531は、左方に変位し、第一係止面536が第一突出部543から離間する方向に傾き、第一突出部543に向けて押圧されにくくなる。第一突出片531は、第一立設部541を基端部を支点に右方に撓ませながら、上方に移動し易くなる。即ち、第一係止機構130がカバー19を係止する力は低減する。従って、第二係止機構240による係止が解除された場合、第一係止機構130による係止は解除され易くなる。よって、印刷装置4は、カバー19の係止が解除される操作性を向上できる。
上記第三変形例において、第一係止機構130は本発明の請求項10に記載の「第一係止手段」の一例である。第二係止機構240は本発明の請求項11に記載の「第二係止手段」の一例である。角度δ1は「前記第一係止面と前記開方向とがなす鈍角の角度」の一例である。角度δ2は「前記第二係止面と前記開方向とがなす鈍角の角度」の一例である。
尚、第一突出部543は球状である代わりに、第一係止面536と接触可能な平面を備えてもよい。第一突出部543が備える平面は、第一係止面536と略平行であってもよい。第二突出部643は、球状である代わりに、第二係止面636と接触可能な平面を備えてもよいし、第二係止面636と接触可能な角部を備えてもよい。
第一係止面536は第一突出片531に形成されていなくてもよく、第二係止面636は第二突出片631に形成されていなくてもよい。以下、図11を参照し、第四変形例に係る印刷装置5について説明する。印刷装置5は、第一係止機構110に代えて第一係止機構140を備える点と、第二係止機構210に代えて第二係止機構250を備える点とを除いて、印刷装置1と同様の構成である。第一係止機構140及び第二係止機構210は左右方向に並んで設けられる。第一係止機構140は、一例として、第二係止機構250の右側に配置される。
第一係止機構140は、互いに係止可能な第一突出片731及び第一立設部741を備える。第一突出片731は、カバー19の裏面から閉方向側へ向けて突出する。第一突出片731の先端部には、第一凸部733が設けられる。第一凸部733は、球状に形成され、第一突出片731から右方に向けて突出する。第一立設部741は、筐体24に形成される穴部142を囲む壁部から下方に向けて立設する。第一立設部741の先端部には、第一特定面746が形成される。第一特定面746の配置位置は、カバー19が閉塞位置より開方向側にある場合において、第一凸部733に対して第二係止機構250とは反対側となる位置である。第一特定面746は、開方向に向けて左側に傾斜して延びる。換言すると、第一特定面746は、開方向に向けて第二係止機構250側に傾斜して延びる。カバー19が閉塞位置にある場合に、第一特定面746に対して閉方向側から第一凸部733が係止する。これにより、第一係止機構140はカバー19を係止する。以下、第一特定面746と開方向とがなす鈍角の角度を角度θ1という。
第二係止機構250は、互いに係止可能な第二突出片831及び第二立設部841を備える。第二突出片831は、カバー19の裏面から閉方向側に突出する。第二突出片831の先端部には、第二凸部833が設けられる。第二凸部833は、第二突出片831から右方に突出する。第二立設部841は、筐体24に形成された穴部242を囲む壁部から下方に延びる。第二立設部841の先端部には、第二特定面846が形成される。第二特定面846は開方向に向けて左側に傾斜して延びる。換言すると、第二特定面846は、開方向に向けて第一係止機構140とは反対側に傾斜して延びる。カバー19が閉塞位置にある場合に、第二特定面846に対して閉方向側から第二凸部833が係止する。これにより、第二係止機構250はカバー19を係止する。以下、第二特定面846と開方向とがなす鈍角の角度を角度θ2という。
角度θ1は角度θ2よりも小さい。従って、第一係止機構140は第二係止機構250よりも強い力でカバー19を係止する。ユーザが、閉塞位置にて係止されるカバー19を開方向に向けて付勢すると、第一突出片731よりも先に第二突出片831が上方に移動する。第一係止機構140よりも先に第二係止機構250による係止が解除される。第二凸部833が第二立設部841の先端部に対して開方向側から接触する位置まで、第二突出片831は移動する。カバー19は傾斜姿勢になる。カバー19が閉塞位置よりも開方向側に位置する場合、第一凸部733は、第二係止機構250と第一特定面746との間に位置する。従って、カバー19が傾斜姿勢になると、第一突出片731は、先端部が第一特定面746から離間する方向に傾き、第一特定面746に向けて押圧されにくくなる。第一突出片731は、第一立設部741を基端部を支点に右方に撓ませながら、上方に移動し易くなる。即ち、第一係止機構140がカバー19を係止する力は低減する。従って、第二係止機構250による係止が解除された場合、第一係止機構140による係止は解除され易くなる。よって、印刷装置5は、カバー19の係止が解除される操作性を向上できる。
上記第四変形例において、第一係止機構140は本発明の請求項11に記載の「第一係止手段」の一例である。第二係止機構250は本発明の請求項11に記載の「第二係止手段」の一例である。角度θ1は「前記第一特定面と前記開方向とがなす鈍角の角度」の一例である。角度θ2は「前記第二特定面と前記開方向とがなす鈍角の角度」の一例である。
尚、第一凸部733は球状である代わりに、第一特定面746と接触可能な平面を備えてもよい。第一凸部733が備える平面は、第一特定面746と略平行であってもよい。第二凸部833は、球状である代わりに、第二特定面846と接触可能な平面を備えてもよいし、第二特定面846と接触可能な角部を備えてもよい。
図12を参照し、第五変形例に係る印刷装置6について説明する。印刷装置6は、第二係止機構210に代えて第二係止機構260を備える点を除いて、印刷装置1と同様の構成である。第二係止機構260は、互いに係止可能な第二突出片931及び第二立設部941を備える。第二係止機構260は、一例として、第一係止機構110の左側に配置される。
第二突出片931は、カバー19の裏面から閉方向側へ向けて突出する。第二突出片931の先端部には、第二傾斜面956が形成される。第二傾斜面956は、開方向に向けて右側に傾斜して延びる。換言すると、第二傾斜面956は、開方向に向けて第一係止機構110側に傾斜して延びる。第二傾斜面956と開方向とがなす鈍角の角度は、角度β1と同じであってもよいし、角度β1とは異なってもよい。
第二傾斜面956には、リブ950が設けられる。リブ950は、前後方向に厚みを有する板状であり、第二傾斜面956と略平行に直線状に延びる。本変形例においては、第二傾斜面956に設けられるリブ950は一つである。リブ950は、第二傾斜面956に前後方向に並んで複数設けられてもよい。
第二立設部941は、筐体24に形成される穴部242を囲む壁部から下方に延びる。第二立設部941の先端部には、当接面946が形成される。当接面946の配置位置は、カバー19が閉塞位置より開方向側にある場合において、第二立設部941に対して第一係止機構110とは反対側となる位置である。当接面946は、第二傾斜面956と略平行であり、開方向に向けて右側に傾斜して延びる。カバー19が閉塞位置にある場合に、リブ950が閉方向側から当接面946に係止する。これにより、第二係止機構260はカバー19を係止する。
リブ950が当接面946に係止するので、第二突出片931と第二立設部941との接触面積は低減する。従って、第二係止機構260は第一係止機構110よりも弱い力でカバー19を係止する。ユーザが、閉塞位置にて係止されるカバー19を開方向に向けて付勢すると、第一突出片131よりも先に第二突出片931が上方に移動する。
第二突出片931の先端部が第二立設部941の先端部に対して開方向側から接触する位置まで、第二突出片931は移動する。第一係止機構110よりも先に第二係止機構260による係止が解除される、カバー19は傾斜姿勢になる。これにより、第一係止機構110がカバー19を係止する力は低減する。従って、第二係止機構260による係止が解除された場合、第一係止機構110による係止は解除され易くなる。よって、印刷装置6は、カバー19の係止が解除される操作性を向上できる。
尚、リブ950は、印刷装置2の第二傾斜面236(図8参照)、印刷装置3の第二斜面446(図9参照)、印刷装置4の第二係止面636(図10参照)、及び印刷装置5の第二特定面846(図11参照)に設けられてもよい。リブ950が設けられることで、第二係止機構220,230,240,250の夫々のカバー19を係止する力は低減するので、印刷装置6と同様の効果を奏することができる。
以下、本開示の作用効果を例示する。下記の構成に注記した括弧書は、対応する本開示の構成を示す。
シート材(シート材59)に印刷をする印刷部(サーマルヘッド10)が内部に配置され、開口部(開口部7)を有する筐体(筐体24)と、
前記開口部の少なくとも一部を閉塞する位置である閉塞位置と、前記開口部を開放する位置である開放位置との間を、所定方向(左右方向)に延びる仮想軸線回りに回動可能なカバー(カバー19)と、
前記所定方向に並んで設けられ、夫々が前記カバーを前記閉塞位置にて係止する第一係止手段(第一係止機構110)及び第二係止手段(第二係止機構260)とを備え、
前記第一係止手段は、
前記カバーに設けられ、前記カバーが前記開放位置へ回動する方向である開方向に向けて、前記第二係止手段側に傾斜して延びる第一傾斜面(第一傾斜面136)と、
前記筐体に設けられ、前記第一傾斜面と略平行に延び、前記カバーが前記閉塞位置にある場合に、前記第一傾斜面と係止する接触面(接触面146)とを備え、
前記第二係止手段は、
前記カバーに設けられ、前記開方向に向けて前記第一係止手段側に傾斜して延びる第二傾斜面(第二傾斜面956)と、
前記第二傾斜面から突出し、前記第二傾斜面が傾斜する方向に直線状に延びる凸部(リブ950)と、
前記筐体に設けられ、前記第二傾斜面と略平行に延び、前記カバーが前記閉塞位置にある場合に、前記凸部と係止する当接面(946)とを備え、
前記カバーが前記閉塞位置と前記開放位置の間の所定位置にある場合に、前記第一傾斜面は、前記接触面と前記第二係止手段との間に配置されることを特徴とする印刷装置(印刷装置6)。
本構成によれば、第一係止手段は、第一傾斜面と接触面とが係止することでカバーを係止する一方、第二係止手段は、凸部と当接面とが接触することでカバーを係止する。従って、第二係止手段は、第一係止手段よりも弱い力でカバーを係止する。ユーザがカバーを閉塞位置から開放位置へ向けて回動させる場合、第二係止手段及び第一係止手段の順に係止が外れる。第二係止手段の係止がが解除された場合、カバーは、第二係止手段側の部位が第一係止手段側の部位よりも開方向側となる姿勢になる。第一傾斜面は接触面から離間する方向に変位し、接触面に押圧されにくい。これにより、第二係止手段の係止が解除された場合、第一係止手段による係止は解除され易くなる。よって、印刷装置は、カバーの係止が解除される操作性を向上できる。