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JP6298678B2 - ポリカーボネート樹脂用コーティング組成物及びコーティング物 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリカーボネート樹脂用コーティング組成物及びコーティング物に関する。
ポリカーボネート樹脂は、軽量で、耐衝撃性、耐熱性、難燃性などの性能が優れていることから、安価な汎用品から特殊品まで広く利用されている。
また、ポリカーボネート樹脂は透明性にも優れているため、光学用途や透過性が必要な用途、例えば、眼鏡、自動車やオートバイ等の方向指示器、尾灯、ヘッドライト等の各種レンズ、電気電子、光学、医療機器、防弾ガラス等の材料として使用されており、さらには、航空機、自動車、新幹線の軽量ウィンドウへの応用展開も図られている。
ポリカーボネート樹脂は、上記のように総合的に優れた性能を有しているエンジニアリングプラスチックであるが、一方において、耐候性、耐溶剤性、耐擦過性については、十分な特性が得られていないという問題を有している。
耐溶剤性、耐候性に関しては、ポリカーボネート樹脂をポリマーアロイ化することにより向上が図られている。
また、耐擦過性に関しては、ポリカーボネート樹脂にハードコート処理を行うことにより改善が図られているが、ハードコート層とポリカーボネート樹脂層との密着性が十分ではなく、また、柔軟性も不足しているため、プライマー層を設けることが必要であり、かかる場合さらにエッジ処理を行うことも必要となり、工程数の増加を招来し、コスト的に不利であるという問題を有している。
特許文献1には、ポリカーボネート樹脂からなるプラスチックレンズのハードコート層の材料として、ポリカーボネートジオール、金属酸化物のコロイド粒子、オルガノシランの加水分解物、及び溶剤を含む組成物が提案されている。
特許文献2には、硬化塗膜の透明性を維持しつつ耐擦傷性、耐熱性、表面硬度、ガスバリアー性、及び耐水性を付与するために有効な有機−無機ハイブリッド高分子材料を、末端変性したポリカーボネートジオールと、テトラエトキシシラン等の金属アルコキシド化合物とを用いて得る技術が提案されている。
特許文献3には、やはり透明性を維持し、高密着性と高硬度との両立を図り、耐屈曲性の向上を図るために有効な有機−無機ハイブリッド高分子材料を、ポリエチレングリコールで変性したポリカーボネートジオールにより得る技術が提案されている。
特許文献4には、透明性、長期密着性を発現するために、有機樹脂基材に対し、下塗りを介さず直接塗工することができる、末端変性したポリカーボネートジオールと金属アルコキシド化合物、特にその常温固体物とを含む、有機−無機ハイブリッド高分子材料によるハードコート層が提案されている。
特開2006−251413号公報 特開平11−255883号公報 特許3723891号公報 特開2011−037948号公報
しかしながら、上記特許文献1〜3に開示されている組成物及び有機−無機ハイブリッド高分子材料は、いずれも、溶剤としてテトラヒドロフラン(THF)を用いているため、ポリカーボネート樹脂への使用には適さず、また、十分な密着性も得られないという問題を有している。
また、上記特許文献4に開示されている有機−無機ハイブリッド高分子材料によるハードコート層は、十分な硬度が得られないという問題を有している。
そこで本発明においては、上述した従来技術の問題点に鑑み、ポリカーボネート樹脂に皮膜形成が可能なコーティング組成物であって、硬度、柔軟性、及び密着性に優れたコーティング膜を形成可能なコーティング組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ポリカーボネートジオールと所定のアルコキシシラン、及びポリシロキサンオリゴマーを含むコーティング組成物が、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、以下の通りである。
〔1〕
ポリカーボネートジオールと、
テトラアルコキシシランと、
トリアルコキシシランと、
ポリシロキサンオリゴマーと、
を、含有するポリカーボネート樹脂用コーティング組成物。
〔2〕
前記ポリシロキサンオリゴマーが、芳香族環又は脂環の環状化合物を含む、前記〔1〕に記載のポリカーボネート樹脂用コーティング組成物。
〔3〕
金属錯体を、さらに含む、前記〔1〕又は〔2〕に記載のポリカーボネート樹脂用コーティング組成物。
〔4〕
前記ポリシロキサンオリゴマーの重量平均分子量が、300〜1980である、前記〔1〕乃至〔3〕のいずれか一に記載のポリカーボネート樹脂用コーティング組成物。
〔5〕
前記ポリシロキサンオリゴマーと、
前記テトラアルコキシシラン及びトリアルコキシシランの和との質量比率が、
ポリシロキサンオリゴマー:(テトラアルコキシシラン+トリアルコキシシラン)=1:10〜1:1である、前記〔1〕乃至〔4〕のいずれか一に記載のポリカーボネート樹脂用コーティング組成物。
〔6〕
媒体をさらに含み、
前記テトラアルコキシシラン、前記トリアルコキシシラン、及び前記ポリシロキサンオリゴマーの質量の和と、前記媒体との質量比率が、
(テトラアルコキシシラン+トリアルコキシシラン+ポリシロキサンオリゴマー):媒体=1:2〜30である、前記〔1〕乃至〔5〕のいずれか一に記載のポリカーボネート樹脂用コーティング組成物。
〔7〕
前記テトラアルコキシシラン及び/又は前記トリアルコキシシランが、メトキシ基を有する、前記〔1〕乃至〔6〕のいずれか一に記載のポリカーボネート樹脂用コーティング組成物。
〔8〕
前記トリアルコキシシランが、芳香族環あるいは脂環の環状化合物を含む、前記〔1〕乃至〔7〕のいずれか一に記載のポリカーボネート樹脂用コーティング組成物。
〔9〕
ポリカーボネート樹脂基板上に、前記〔1〕乃至〔8〕のいずれか一に記載のポリカーボネート樹脂用コーティング組成物がコーティングされたコーティング物。
〔10〕
前記コーティング後に加熱処理された前記〔9〕に記載のコーティング物。
本発明によれば、ポリカーボネート樹脂への密着性が良好で、柔軟性に優れ、かつ十分な硬度を有するコーティング層を形成可能な、ポリカーボネート樹脂用コーティング組成物を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という)について詳細に説明する。
以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明はその要旨の範囲内で適宜変形して実施することができる。
〔ポリカーボネート樹脂用コーティング組成物〕
本実施形態のポリカーボネート樹脂用コーティング組成物(以下、コーティング組成物と記載する場合がある。)は、
ポリカーボネートジオール、テトラアルコキシシラン、トリアルコキシシラン、及びポリシロキサンオリゴマーを含有する。
本実施形態のコーティング組成物は、ポリカーボネート樹脂に対してコーティング膜を形成するためのコーティング組成物である。
なお、本明細書において、ポリカーボネート樹脂、例えばポリカーボネート樹脂基板に対してコーティング膜を形成したものをコーティング物と称する。
本実施形態のコーティング組成物は、ポリカーボネートジオール、テトラアルコキシシラン、トリアルコキシシラン及びポリシロキサンオリゴマーを含む。これにより、ポリカーボネート樹脂との密着性が格段に良好なものとなる効果を奏する。特に、後述するように、未変性のポリカーボネートジオールを用いることにより、前記テトラアルコキシシラン及びトリアルコキシシランとの均一分散性が極めて良好なものとなる。
本実施形態のコーティング組成物の各構成要素について詳細に説明する。
(ポリカーボネートジオール)
本実施形態のコーティング組成物は、ポリカーボネートジオールを含有する。
ポリカーボネートジオールは、ジオールとカーボネートとをエステル交換反応させることにより得られる。
<ジオール>
前記ポリカーボネートジオールの調製においては、原料のジオールとして純度が97%以上〜100%以下のジオールを用いることが好ましい。さらに好ましくは98%以上〜99.8%である。
前記原料のジオールとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ナノジオール、1,10−ドデカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール等の側鎖を持たないジオール;2−メチル−1,8−オクタンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジメチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール等の側鎖を持つジオール;1,4−シクロヘキサンジメタノール、2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−プロパン等の環状ジオール等が挙げられる。
これらは、1種類のみを単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
なお、得られるポリカーボネートジオールの流動性と、当該ポリカーボネートジオールを用いたアプリケーション、すなわちコーティング膜、コーティング膜を施した中間体、コーティングを施した製品等の強度維持の観点から、2種類以上のジオールを使用することが好ましく、1,5−ペンタンジオールと1,6−ヘキサンジオールとの組み合わせ、2−メチル−1,3−プロパンジオールと1,4−ブタンジオールとの組み合わせ、1,4−ブタンジオールと1,6−ヘキサンジオールとの組み合わせ、2−ブチル−2−エチル−1、3−プロパンジオールと、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、及び1,6−ヘキサンジオールからなる群から選ばれるいずれかとの組み合わせがより好ましい。また、2−メチル−1,3−プロパンジオールと1,4−ブタンジオールと1,5−ペンタンジオールとの組み合わせ、1,4−ブタンジオールと1,5−ペンタンジオールと1,6−ヘキサンジオールとの組み合わせ、2−メチル−1,3−プロパンジオールと1,4−ブタンジオールと1,5−ペンタンジオールと1,6−ヘキサンジオールとの組み合わせがさらに好ましい。
前記原料のジオールには、トリオール類が含有されてもよい。
トリオール類は、ポリカーボネートジオールの調製や、性能を損なわない範囲、すなわち使用する原料ジオール合計量に対し、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.05〜5質量%の範囲で使用可能である。
トリオール類の含有量が上記範囲であることにより、ポリカーボネートジオールの重合反応中のゲル化を防止でき、良好な透明性が得られる。
前記トリオール類は、1分子中に3個以上のヒドロキシル基を有し、以下に限定されるものではないが、例えば、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
<カーボネート>
前記ポリカーボネートジオールの原料のカーボネートとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、ジブチルカーボネート等のジアルキルカーボネート;ジフェニルカーボネート等のジアリールカーボネート;エチレンカーボネート、トリメチレンカーボネート、1,2−プロピレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート、1,3−ブチレンカーボネート、1,2−ペンチレンカーボネート等のアルキレンカーボネート等が挙げられる。
これらのカーボネートは、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
カーボネートとしてジアルキルカーボネート及び/又はジアリールカーボネートを用いた場合、上述したジオールと当該カーボネートとの仕込み比等の条件を調節することにより、本発明に使用できる、目的のポリカーボネートジオールを容易に得ることができるので好ましい。
また、入手のしやすさや重合反応の条件設定のしやすさの観点から、原料のカーボネートとしては、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、ジブチルカーボネートを用いることがより好ましい。
ポリカーボネートジオールは、カーボネートとジオールとをエステル交換反応させることにより得られる。ポリカーボネートジオールの調製方法は、従来公知の方法を用いることができ、以下に限定されるものではないが、例えば、Schnell著、ポリマー・レビューズ第9巻、p9〜20(1994年)に記載される種々の方法で製造することができる。
ポリカーボネートジオールを得るためのエステル交換の反応温度は、好ましくは120〜280℃であり、より好ましくは140〜230℃である。
ポリカーボネートジオールの分子量は特に限定されないが、本実施形態のコーティング組成物の安定性の観点から、200〜20000が好ましい。
また、ポリカーボネートは、末端変性等の誘導体化を行ってもよく、あるいは、誘導体を添加したりしてもよい。さらには、ポリカーボネートジオールはホモ体であっても、共重合体であってもよいが、本実施形態のコーティング組成物においては、後述するテトラアルコキシシラン及びトリアルコキシシランとの均一分散性の観点から、未変性ポリカーボネートジオールを用いることが好ましく、さらには、柔軟性の観点から、共重合体であるポリカーボネートを用いることが好ましい。
ポリカーボネートジオールの調製工程においては、触媒を添加してもよい。
触媒を添加する場合は、公知のエステル交換反応触媒を用いることができ、特に限定されるものではない。例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛、アルミニウム、スズ、コバルト、ゲルマニウム、鉛、アンチモン、ヒ素、セリウム、チタンなどの金属、アルコキシドや、その塩、有機化合物、それらの複合体、錯体、クロスカップリング剤等が挙げられる。特に、反応時間と得られるポリカーボネートジオールの純度の観点から、チタン、スズ、鉛の化合物や、トランス有機錯体が好ましい。
また、触媒の使用量は、通常は、ポリカーボネートジオールに対して0.000005〜0.5質量%である。
本実施形態のコーティング組成物中のポリカーボネートジオールの含有量は、アルコキシシランの総量に対して、1〜50質量%であることが好ましく、2〜30質量%であることがより好ましく、5〜20質量%であることがさらに好ましく、より好ましくは5〜14質量%である。
前記範囲とすることにより、本実施形態のコーティング組成物が均一で、コーティング膜において、優れた柔軟性、追従性、及び透明性が得られる。
(多官能アルコキシシラン)
本実施形態のコーティング組成物は、テトラアルコキシシラン及びトリアルコキシシランを含有する。
本実施形態のコーティング組成物は、テトラアルコキシシラン及びトリアルコキシシラン以外の他の多官能アルコキシシランを含んでいてもよい。さらには、アルコキシシランの一部が加水分解していてもよい。
テトラアルコキシシラン及びトリアルコキシシランを含む多官能アルコキシシランを用いることにより、これらが上述したポリカーボネートジオールを包含しつつ加水分解し、さらには加熱処理を行うことにより縮合反応を進行させることができるようになる。前記反応によって得られるアルコキシシランの加水分解縮合物が本実施形態のコーティング組成物に含まれるようになる。
<テトラアルコキシシラン>
前記テトラアルコキシシランとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−t−ブトキシシラン等の炭素数1〜4のアルコキシ基でテトラ置換されたシランが挙げられる。特に、コーティング組成物の均一性、および、反応時間とコーティング膜の硬度維持の観点から、メトキシ基を有することが好ましく、テトラメトキシシランがより好ましい。
<トリアルコキシシラン>
前記トリアルコキシシランとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、フェニルトリエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、メチルトリ−iso−プロポキシシラン、メチルトリ−t−ブトキシシラン等の炭素数1〜4のアルコキシ基でトリ置換されたシランが挙げられる。
また、イソシアネート基を有するものとしては、例えば、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、2−イソシアネートエチルトリn−プロポキシシランが挙げられる。
特に、コーティング組成物の均一性、及び得られるコーティング膜の密着性の観点から、メトキシ基を有することが好ましい。
前記トリアルコキシシランにおいて、残る1つの置換基としては、水素、メチル、エチル等の炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基等の芳香族基が挙げられるが、メチル、エチル、フェニル等の有機基が好ましい。特に、フェニル基はあらゆる樹脂との相溶性が高いため、より好ましい。さらにはコーティング組成物の均一性と、得られるコーティング膜の密着性の観点から、フェニルトリメトキシシランが好ましい。
前記トリアルコキシシランは、芳香族環あるいは脂環の環状化合物を含むことが好ましい。
芳香族環の環状化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、フェニル(ベンゼン)、ナフタレン、トルエン、エチルベンゼン、クメン、スチレン、アントラセン、トリフェニレン、テトラフェン、ピレン、ピセン、ペンタフェン、ペリレン、ヘリセン、コロネン、ベンゾアントラセン、クリセン、ベンゾフルオラセン、ベンゾピレン、インデノピレン、ジベンゾアントラセン、フェナントレン、グラファイトなどや、複素環類、例えば、イソシアヌレート、フェノキサジン、ヒダントイン、オキサゾリドン、イミダゾール、ジオキソール、ピロール、ピラゾール、テルラゾール、モルホリン、チオフェン、ピラン、ピリジン、ピリミジン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、インドール、プリン、キノリン、イソキノリン、キヌクリジン、クロメン、チアントレン、フェノチアジン、フラン、キサンテン、アクリジン、フラザン、フェナジン、カルバゾール、セレナゾール、チアゾール、オキサゾール、シドノン、及びこれらの誘導体等、さらにこれらのアルキル置換体等が挙げられる。
前記脂環の環状化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、シクロアルカン類、具体的には、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン、シクロデカン、シクロウンデカン、シクロドデカン、シクロアルケンにはシクロプロペン、シクロブテン、シクロプロペン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、二環式アルカンにはビシクロウンデカン、デカヒドロナフタレン(デカリン)、二環式アルケンには、ノルボルネン、ノルボルナジエン、多環式化合物には、キュバン、バスケタン、ハウサン、スピロ化合物、脂環式エポキシ、脂環式アミド、脂環式酸無水物、脂環式ポリイミド等とその変性、誘導体が挙げられる。
トリアルコキシシランが、芳香族環あるいは脂環の環状化合物を含むことにより、コーティング組成物の相溶性と、他の樹脂への密着性と追従性の向上効果が得られる。
特に、フェニル基はあらゆる樹脂との相溶性が高いため、より好ましい。さらにはコーティング組成物の均一性と、得られるコーティング膜の密着性の観点から、フェニルトリメトキシシランが好ましい。
本実施形態のコーティング組成物のシラン類総量中のテトラアルコキシシランの含有量は、0.5〜90質量%であることが好ましく、1〜80質量%であることがより好ましく、5〜70質量%であることがさらに好ましい。前記範囲とすることにより、コーティング組成物の安定性と、硬化過程での均一性の効果が得られる。
本実施形態のコーティング組成物のシラン類総量中のトリアルコキシシランの含有量は、0.5〜90質量%であることが好ましく、1〜80質量%であることがより好ましく、5〜50質量%であることがさらに好ましい。前記範囲とすることにより、有機成分との相溶性の向上効果が得られる。
(ポリシロキサンオリゴマー)
本実施形態のコーティング組成物は、ポリシロキサンオリゴマーを含有する。
ポリシロキサンオリゴマーは、テトラアルコキシシラン及び/又はトリアルコキシシランを含む各種アルコキシシランの加水分解、縮合により得られた生成物からなる。その構造は、T体、D体を主体とする複合体である。
特に、本実施形態のコーティング組成物中のポリシロキサンオリゴマーは、テトラアルコキシシラン、メチルトリアルコキシシランと、フェニルトリアルコキシシランとが加水分解、縮合することにより得られた生成物の複合体であることが好ましい。なお、このとき、メチルトリアルコキシシランに起因する複合体とフェニルトリアルコキシシランに起因する複合体との比率は、1対2〜2対1であることが好ましい。
本実施形態のコーティング組成物中のポリシロキサンオリゴマーの役割を述べる。該コーティング組成物を用いてコーティング膜を形成する際、ポリシロキサンオリゴマー全体、あるいは、その一部が加水分解し、別の必須成分であるアルコキシシランと加熱縮合反応する。これにより得られた反応物が、さらにもう一つの必須成分であるポリカーボネートジオールと、平面構造と結晶構造とのネットワーク構造を形成する。これによって、より優れた外観性、ポリカーボネート樹脂への密着性、及び屈曲性、及び塗膜硬度が得られる。
本実施形態において用いるポリシロキサンオリゴマーは、芳香族環又は脂環の環状化合物を含んでいてもよい。
芳香族環又は脂環の環状化合物の含有量は、ポリシロキサンオリゴマーを100質量%としたとき、10〜45質量%が好ましく、20〜30質量%がより好ましい。これにより、有機物との相溶性の向上、及び各種基材への密着性の向上効果が得られる。
芳香族環の環状化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、フェニル(ベンゼン)、ナフタレン、トルエン、エチルベンゼン、クメン、スチレン、アントラセン、トリフェニレン、テトラフェン、ピレン、ピセン、ペンタフェン、ペリレン、ヘリセン、コロネン、ベンゾアントラセン、クリセン、ベンゾフルオラセン、ベンゾピレン、インデノピレン、ジベンゾアントラセン、フェナントレン、グラファイトなどや、複素環類、例えば、イソシアヌレート、フェノキサジン、ヒダントイン、オキサゾリドン、イミダゾール、ジオキソール、ピロール、ピラゾール、テルラゾール、モルホリン、チオフェン、ピラン、ピリジン、ピリミジン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、インドール、プリン、キノリン、イソキノリン、キヌクリジン、クロメン、チアントレン、フェノチアジン、フラン、キサンテン、アクリジン、フラザン、フェナジン、カルバゾール、セレナゾール、チアゾール、オキサゾール、シドノン、及びこれらの誘導体等が挙げられる。また、これらのアルキル置換体等が挙げられる。
脂環の環状化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、シクロアルカン類、具体的には、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン、シクロデカン、シクロウンデカン、シクロドデカン、シクロアルケンにはシクロプロペン、シクロブテン、シクロプロペン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、二環式アルカンにはビシクロウンデカン、デカヒドロナフタレン(デカリン)、二環式アルケンには、ノルボルネン、ノルボルナジエン、多環式化合物には、キュバン、バスケタン、ハウサン、スピロ化合物、脂環式エポキシ、脂環式アミド、脂環式酸無水物、脂環式ポリイミド等とその変性体及び誘導体、環状シランが挙げられる。
ポリシロキサンオリゴマーは、コーティング組成物の相溶性の観点から、重量平均分子量が200〜3000であることが好ましく、より好ましくは300〜1980、さらに好ましくは1000〜1980である。
ポリシロキサンオリゴマーの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。
ポリシロキサンオリゴマーと、テトラアルコキシシラン及びトリアルコキシシランの和との比率は、質量比で、(ポリシロキサンオリゴマー)対(テトラアルコキシシラン+トリアルコキシシラン)=1対10〜1対1が好ましい。より好ましくは1対5〜1対2であり、さらに好ましくは1対5〜1対3である。
質量比率が上記数値範囲であることにより、本実施形態のコーティング組成物を用いて形成したコーティング膜において、ポリカーボネート樹脂との高い密着性が得られ、クラックの発生を低減化でき、高塗膜硬度が得られる。
テトラアルコキシシランとトリアルコキシシランとの比率については、何ら限定されるものではない。なお、反応制御、タクトタイムの観点から、テトラアルコキシシランを使用し、その上で、その反応を制御するために、トリアルコキシシランを用いる系とすることが好ましい。
(触媒)
本実施形態のコーティング組成物は、当該コーティング組成物を用いて形成されるコーティング膜の性能を向上させる目的で、あるいは、上述したポリシロキサンオリゴマーの機能を補完する目的で、所定の触媒を添加してもよい。
当該触媒としては、以下に限定されるものではないが、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛、アルミニウム、スズ、コバルト、ゲルマニウム、鉛、アンチモン、ヒ素、セリウム、チタン等の金属アルコキシドや、その塩、有機金属アルコキシドが挙げられる。好ましくは、チタン、スズ、鉛の化合物やリン系化合物であり、より好ましくは、チタン系、リン系である。
また、触媒の使用量は、本実施形態のコーティング組成物全量(100質量%)に対して、0.005〜40質量%が好ましく、0.05〜30質量%がより好ましい。
(媒体)
本実施形態のコーティング組成物には、上述したポリカーボネートジオール、アルコキシシラン類、ポリシロキサンオリゴマー、必要に応じて上述した触媒等に加えて、媒体をさらに混合してもよい。
当該媒体としては、以下に限定されるものではないが、例えば、水、アルコール類等の弱溶剤、芳香族炭化水素類、塩化芳香族炭化水素類、塩化脂肪族炭化水素類、エステル類、エーテル類、ケトン類、脂環式炭化水素類、脂肪族炭化水素類、脂肪族と芳香族炭化水素との混合物、グリコール類、及びグリコールエーテル類等が挙げられる。
これらは、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
媒体の使用量は、上述したテトラアルコキシシラン、トリアルコキシシラン、ポリシロキサンオリゴマーの質量の和と媒体の質量との比率が、コーティング組成物の相溶性とコーティング組成物の反応性の観点から、(テトラアルコキシシラン+トリアルコキシシラン+ポリシロキサンオリゴマー):(媒体)=1:1〜50であることが好ましく、1:2〜30であることがより好ましく、1:5〜20であることがさらに好ましい。
また、媒体としては、グリコールエーテル類の使用も好ましい。
本実施形態において、不均化防止と、被膜形成時の収斂を抑制する目的で、媒体としては、1−メトキシ−2−プロパノールが好ましい。
前記媒体としてのグリコール類、グリコールエーテル類としては、以下に限定されるものではないが、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチルグリコール、1,4−ジオキサン、1,6−ネオペンチルグリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられる。
これらの中でも、沸点が低いエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルが好ましい。
グリコール、及びグリコールエーテル類の量は、上述したアルコキシシラン1モルに対し、5〜40モルが好ましく、より好ましくは10〜30モルである。
(金属錯体)
本実施形態のコーティング組成物は、金属錯体をさらに含んでいてもよい。
金属錯体としては、以下に限定されるものではないが、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛、アルミニウム、スズ、コバルト、ゲルマニウム、鉛、アンチモン、ヒ素、セリウム、チタン等を核とした、金属アルコキシドや、その塩や、アコ(HOのこと)、塩素、スルホン酸、硫酸根、有機シラン等を配位子とするものが挙げられる。
金属錯体の含有量は、コーティング組成物中、0.5〜30質量%であることが好ましく、1.0〜10質量%であることがより好ましい。
本実施形態のコーティング組成物において、金属錯体をさらに含むことにより、硬化性の制御、特に、急激な硬化を実施しても硬化物の均一性を維持することができる効果が得られる。
(その他のアルコキシシラン)
本実施形態のコーティング組成物は、イソシアネート基を有する(アルキル)アルコキシシランを含有してもよい。
イソシアネート基を有する(アルキル)アルコキシシランとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、トリアルコキシシランとしては、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、2−イソシアネートエチルトリn−プロポキシシランが挙げられ、その他、3−イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン、2−イソシアネートエチルジブトキシシラン、3−イソシアネートプロピルジメチルイソプロポキシシラン、2−イソシアネートエチルジエチルブトキシシラン、ジ(3−イソシアネートプロピル)ジエトキシシラン、ジ(3−イソシアネートプロピル)メチルエトキシシラン、エトキシシラントリイソシアネート等が挙げられる。
〔ポリカーボネート樹脂用コーティング組成物の製造方法〕
本実施形態のコーティング組成物は、以下の方法により製造できる。
まず、触媒として、酸(例えば硝酸)、水を用い、さらに必要に応じて媒体を添加し、混合液を得る。
前記混合液に、テトラアルコキシシラン及びトリアルコキシシランよりなるアルコキシシラン類を添加し、撹拌し、又は静置養生し、ある程度加水分解等を進行させる。
その後、ポリカーボネートジオールを加えることにより、コーティング組成物が得られる。
必要に応じ、ポリカーボネートジオールにも媒体を添加してもよい。その場合の媒体は、前記混合液に添加した媒体と同じものであってもよく、異なるものであってもよい。
前記撹拌は、通常、−20℃〜180℃の温度条件下で実施するが、取り扱い性の観点や、塗膜の透明性の観点から、35〜80℃の温度条件下で行うことが好ましい。
前記酸(例えば硝酸等)触媒や、平衡制御に寄与する触媒としての水の量は、加水分解反応を左右し、本実施形態のコーティング組成物により形成されるコーティング膜の性能に影響を与える場合が多い(水の触媒効果と遅延効果の同時性と、相移動による加速等)。
かかる観点から、前記水の量は、アルコキシシラン類1モルに対し、2〜6モルとすることが好ましく、より好ましくは3〜5モル、さらに好ましくは3.5〜4.5モルとする。
前記酸(例えば硝酸等)は、ポリカーボネートジオールとアルコキシシランとの加水分解反応を促進させる機能を有し、本実施形態のコーティング組成物の安定性、塗膜の物性の再現性のために、使用することが好ましい。
触媒としての酸は、上述したアルコキシシラン類1モルに対し、0.001〜0.10モル程度とすることが好ましい。更に、好ましくは、0.002〜0.05、好ましくは、0.005〜0.02である。
前記酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、硝酸、塩酸、硫酸、酢酸、各種有機酸、フルーツ酸等が挙げられる。特に、硬化性を制御する観点から、硝酸が好ましい。
アルカリ類のリターダーを併用することも、本実施形態のコーティング組成物及びこれを用いたコーティング物の性能を制御するために有効である。
本実施形態のコーティング組成物の調製の際には、必要に応じて、増粘剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱線吸収剤、金属酸化物のコロイド粒子、さらに改めて硬化触媒、反応触媒を混合してもよい。
〔コーティング組成物を用いたコーティング膜と当該コーティング膜を具備するコーティング物〕
本実施形態のコーティング組成物を用い、ポリカーボネート樹脂、例えばポリカーボネート樹脂基板へ被膜を形成する方法の好適な例について以下に説明する。
先ず、本実施形態のコーティング組成物を、ポリカーボネート樹脂に、一般的に知られる各種コーティング手法により、−20℃〜180℃の範囲の温度条件下で塗布する。
次に、室温〜120℃で1分〜4時間乾燥した後、必要に応じ、冷熱セットとして、−20〜10℃の範囲で冷却処理を実施したり、ポストキュア、アニールとして、60℃〜150℃の温度条件で5分〜12時間加熱処理を行ったり、温冷繰り返し処理として、−20℃〜5℃の冷却処理と、5℃〜180℃の加熱処理とを、1〜20回繰り返して行ったりしてもよい。
これにより、コーティング膜及び当該コーティング膜を具備するコーティング物が得られる。
〔用途〕
本実施形態のポリカーボネート樹脂用コーティング組成物は、ポリカーボネート樹脂への良好な密着性、塗膜硬度、屈曲性を持つ塗膜を形成することができ、従来、ポリカーボネート樹脂の課題であった表面硬度と屈曲性とを兼ね備えることで、多くの用途に利用が可能である。特に、自動車用樹脂製ガラス、プラスチックレンズのハードコート層を形成するポリカーボネート樹脂用コーティング組成物として有効である。
以下、具体的な実施例及び比較例を挙げて本発明について詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
以下の実施例及び比較例における物性値は、下記の方法で測定した。
〔物性の評価方法〕
(外観評価)
<ヒドロゾル液>
後述する実施例及び比較例により製造したコーティング組成物を、10cc試験管に採取し、白色蛍光灯下、目視で均一(透明、濁り)具合を判定した。
全く濁りのなく、試験管の先5cmに置いた漆黒用紙が判別可能であったものを「透明均一」と判定した。
<塗膜>
後述する実施例及び比較例により製造したコーティング組成物を、300番以下のバーコーターで、2mm厚のポリカーボネート樹脂、帝人化成社製、パンライトPC−1511に塗工し、120℃〜150℃で2時間、あるいは、12時間加熱硬化して得られた、コーティング物を、目視及びマイクロスコープの40倍にて観察し、2mm厚のポリカーボネート樹脂、帝人化成社製、パンライトPC−1511のみを同条件で加熱し得られた樹脂板と比較して、いずれの評価でも透明であったものを「均一透明」と判定した。
不均一な模様が存在し塗膜の先に置いた漆黒板が濁りであったもの、あるいは、透過率計:紫外可視分光光度計(V−530 日本分光(株)社製)で透過率80%未満であったものを「ドメイン」と判定した。
(膜厚)
後述する実施例及び比較例により製造したコーティング組成物により形成したコーティング膜の膜厚を測定した。
0.12mm厚のポリカーボネート樹脂基板(旭硝子株式会社製 レキサン8010)に、後述する実施例及び比較例で製造したコーティング組成物を、300番以下のバーコーターで塗工し、120℃〜150℃で2時間、あるいは、12時間加熱処理を施して試験片を得、当該試験片のコーティング膜の膜厚を測定した。
膜厚測定は、膜厚測定器(株式会社セイコーイーエム製 計太郎)を用いて、1サンプルにつき、ランダムに決定した10箇所の膜厚を測定し、その算術平均値をサンプルの膜厚とした。
(表面観察 コーティング膜のクラックの有無)
2mm厚のポリカーボネート樹脂基板(帝人化成社製、パンライトPC−1511)に、後述する実施例及び比較例により製造したコーティング組成物を、300番以下のバーコーターで塗工し、120℃〜150℃で2時間、あるいは、12時間加熱処理を施して試験片を得、マイクロスコープにて倍率40倍でヘアークラック等のマクロなクラックを観察し、(対物)480倍で微細なマイクロクラックを観察し、クラックの有無を判定し、いずれの倍率でもクラックが無いものをクラック無しとした。
(鉛筆引っかき試験:鉛筆硬度)
JIS K5400に準拠し塗膜用鉛筆引っかき試験を実施した。
2mm厚のポリカーボネート樹脂基板(帝人化成社製、パンライトPC−1511、タキロン社製、PC−1600、表1においてはPC板と表記する。)、軟質硝子板(株式会社小島特殊硝子社製糸面フロート硝子)を用い、これらのそれぞれに、後述する実施例及び比較例で製造したコーティング組成物を、300番以下のバーコーターで塗工し、120℃〜150℃で2時間、あるいは、12時間加熱処理を施してコーティング膜を有する試験片を得た。
鉛筆引っかき試験においては、前記試験片を試験台に取り付け、水平移動することにより、試験片上に配置した鉛筆による引っかき動作を行い、その際の傷により硬度を判定した。
前記傷の有無の判定はコーティング膜の面を0°とし、斜め45°から行った。
傷のつかない鉛筆の最大硬度(濃度記号を用いる)を鉛筆硬度として表した。
(屈曲試験:耐屈曲直径)
屈曲試験は、コーティング物からのコーティング膜のはがれの抵抗性を確認するために行われる試験であり、JIS K−5600−5−1に記載されている円筒形マンドレル法により実施した。
これにより、コーティング膜のはがれに対する抵抗性を評価した。
先ず、0.12mm厚のポリカーボネート樹脂基板(旭硝子株式会社製 レキサン8010)に、後述する実施例及び比較例で製造したコーティング組成物を、300番以下のバーコーターで塗工し、120℃〜150℃で2時間、あるいは、12時間加熱処理を施してコーティング膜を有する試験片を得た。
次に、所定の直径を有する丸棒に沿って180℃折り曲げ、コーティング膜の割れの発生状態を調べた。割れが発生したときの丸棒の直径を耐屈曲直径(mm)とした。
さらに、上記均一性やクラックの有無の確認として、実施例13については、ガラス基材に塗布したコーティング塗膜を600℃以上で加熱、有機物を焼成除去後に窒素吸着法(ラングミュアーベット吸着法)によるコーティング膜の孔を確認したが、問題の無い範囲であり、その吸着特性から均一、かつ、短周期性の分散、すなわち、クラックなどがなく有機物が均一に分散している結果が確認された。
(密着性評価(碁盤目剥離試験))
JIS K5400に準拠して、碁盤目剥離試験を実施した。
2mm厚のポリカーボネート樹脂基板(帝人化成社製、パンライトPC−1511、タキロン社製、PC−1600)に、後述する実施例及び比較例で製造したコーティング組成物を、300番以下のバーコーターで塗工し、120℃〜150℃で2時間、あるいは12時間加熱処理を施して試験片を得た。
前記試験片のコーティング膜の表面に、JISに規定される刃物、刃の厚み幅0.38mm、切っ先の角度22°±2°(NTカッターeA−300)を用いて、5mmの間隔で縦に11本の切り込み線を形成した。
次に、90°向きを変え、横に11本の切り込み線を形成し、全体として碁盤目状の切り込み線を形成した。
次に、前記碁盤目状の切り込み線上の50mm幅に、粘着テープ((株)ニチバン社製 セロハンテープ、付着力2.94N/10mm以上)を貼り付け、消しゴム等(特に規定はない)でテープの上からこすり、密着させ、当該粘着テープを貼り付けてから2分後に粘着テープをはがし、コーティング膜の粘着テープへの付着状態を目視にて観察した。
下記に評価基準を示す。
10:切り傷1本ごとが細くて両側が滑らかで、切り傷の交点と正方形の一目一目にはがれがない。
8:切り傷の交点にわずかなはがれがあって、正方形の一目一目にはがれがなく、欠損部の面積は全正方形面積の5%以内。
6:切り傷の両側と交点にはがれがあって、欠損部の面積は全正方形面積の5〜15%。
4:切り傷によるはがれの幅が広く、欠損部の面積は全正方形面積の15〜35%。
2:切り傷によるはがれの幅は4点よりも広く、欠損部の面積は全正方形面積の35〜65%。
0:はがれの面積は、全正方形面積の65%以上。
(耐溶剤試験(塗膜の膨潤、密着性))
さらに、密着性の確認としてコーティング膜の耐溶剤性を、後述する実施例で使用する溶剤:1−メトキシ−2−プロパノール(東京化成工業社製)、及び汎用的に使用される塗料溶剤(成膜助剤として使用されるものを含む)、具体的には、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、アセトン、メタノール、エタノール(いずれも東京化成製)を用いて、一般的にラブ試験、ドロップ試験と呼ばれる、所定の溶剤を滴下静置直後のコーティング膜の膨潤や基剤への密着の様子を確認し、その後、クアラテック手袋(フルエンボス、パウダーフリー アズワン製)を装着し、人差し指で擦る試験を実施することにより検証した。
実施例1〜14においては、膨潤、ハガレなど塗膜の変化がなく問題のない範囲であった。特に、実施例3、12、13については、塗膜の膨潤評価として後述の実施例で示す系で使用される1−メトキシ−2−プロパノールをコーティング塗膜上に、0.5〜5mLの範囲で室温の条件下で滴下し(ドロップ試験)、十数分間静置し、コーティング塗膜の膨潤性を目視にて判断する評価も実施した。
またさらに、実施例12、13では、コーティング膜上に改めて同じコーティング組成物を重ね塗りするリコート性も実施した。必要以上に塗膜が膨潤したり、ハガレなどが生じたりすると重ね塗りすることができないが、実施例12、13ではいずれもコーティング組成物を重ね塗りすることができ、実用上問題のない範囲であった。
〔ポリカーボネートジオールの水酸基価・数平均分子量の測定〕
ポリカーボネートジオールの水酸基価は、以下の方法で測定した。
メスフラスコを用い、無水酢酸12.5gにピリジンを加えて50mLのアセチル化試薬を調製した。
測定用サンプルを2.5〜5.0g精秤し、100mLのナス型フラスコに入れた。
アセチル化試薬5mLとトルエン10mLとをホールピペットを用いて前記ナス型フラスコに添加し、その後、冷却管を取り付けて、100℃で1時間加熱撹拌した。
さらに蒸留水2.5mLを、ホールピペットを用いて前記ナス型フラスコに添加し、さらに10分間加熱撹拌した。
2〜3分間冷却した後、エタノールを12.5mL添加し、指示薬としてフェノールフタレインを2〜3滴入れた。その後、0.5mol/Lのエタノール性水酸化カリウムで滴定した。
一方、空試験として、アセチル化試薬5mL、トルエン10mL、蒸留水2.5mLを100mLナスフラスコに入れ、10分間加熱撹拌した後、同様に滴定を行った。
これらの結果をもとに、下記式(1)により、ポリカーボネートジオールの水酸基価を計算した。
Figure 0006298678
後述する実施例及び比較例において用いたポリカーボネートジオールの末端は、13C−NMR(270MHz)の測定により、実質的に全てがヒドロキシル基であったことを確認した。
さらに、ポリカーボネートジオール中の酸価をKOHによる滴定で測定したが、後述する実施例及び比較例で製造したポリマーの全てが、前記ポリカーボネートジオール中の酸価は0.01以下であった。
したがって、後述する実施例及び比較例で製造したポリマーの数平均分子量は、上記の水酸基価を用い、下記式(2)により求めた。
〔数2〕
数平均分子量=2/(水酸基価×10−3/56.11) (2)
〔ポリカーボネートジオールの組成比の測定〕
100mLのナスフラスコにサンプルを1g取り、エタノール30g、水酸化カリウム4gを入れて、100℃で1時間反応させた。
室温まで冷却した後、指示薬にフェノールフタレインを2〜3滴添加し、塩酸で中和した。
冷蔵庫で1時間冷却した後、沈殿した塩を濾過で除去し、ガスクロマトグラフィーにより分析を行った。
分析は、カラムとしてDB−WAX(J&W製)をつけたガスクロマトグラフィーGC−14B(島津製作所製)を用い、ジエチレングリコールジエチルエステルを内標として、検出器をFIDとして行った。
なお、カラムの昇温プロファイルは、60℃で5分保持した後、10℃/minで250℃まで昇温した。
得られた結果をもとに、下記式(3−1)〜(3−3)を用いて、後述するポリカーボネートジオールPC−01の2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールの組成、PC−02の2−メチル−1,3−プロパンジオールの組成、PC−03の1,5−ペンタンジオールの組成を求めた。
なお、2種以上のジオール類を併用し、ポリカーボネートジオールの分子内にエーテル結合を有する場合、その含有量は、割合として、上記の方法で得られた、全てのジオールのモル数に対する、エーテル結合を有するジオールのモル数(モル%)として記した。
PC−01
組成(mol%)=(D1/E1)×100 (3−1)
D1:2−ブチル−2−エチル−1、3−プロパンジオールのモル数
E1:全てのジオールのモル数
PC−02
組成(mol%)=(D2/E2)×100 (3−2)
D2:2−メチル−1,3−プロパンジオールのモル数
E2:全てのジオールのモル数
PC−03
組成(mol%)=(D1/E1)×100 (3−3)
D3:1,5−ペンタンジオールのモル数
E3:全てのジオールのモル数
〔原料〕
実施例及び比較例に用いた原料は以下の通りである。
(ポリカーボネートジオール PC)
<ポリカーボネートジオールの調製例1(PC−01)>
攪拌機、温度計、頭頂に還流ヘッドを有する真空ジャケット付きオルダーショウを備えた2Lのセパラブルフラスコに、2−ブチル−2−エチル−1、3−プロパンジオールを330g(2.1mol)1,6−ヘキサンジオールを700g(5.9mol)仕込んだ。
触媒としてチタンテトラブトキシド0.10gを加え、常圧で攪拌・加熱した。
反応温度を140℃〜150℃、圧力3.0〜5.0kPaで、生成するエチレングリコールとエチレンカーボネートの混合物を留去しながら20時間反応を行った。
その後、0.5kPaまで減圧し、エチレンカーボネートとジオールを留去しながら、150〜160℃でさらに10時間反応し、ポリカーボネートジオール(PC−01)を得た。
得られたポリカーボネートジオールの水酸基価は140.5であり、数平均分子量は1980であり、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールの割合は20mol%であった。
<ポリカーボネートジオールの調製例2(PC−02)>
上述したポリカーボネートジオールの調製例1で用いた装置と同様の装置を用いた。
2−メチル−1,3−プロパンジオール350g(3.9mol)、1,4−ブタンジオール300g(3.3mol)と、エチレンカーボネート640g(7.3mol)とを仕込み、70℃で撹拌溶解後、触媒としてチタンテトラブトキシド0.064gを加え、175℃に設定したオイルバスで加熱した。
フラスコの内温130℃、真空度1.0〜1.5kPaで、還流ヘッドから還流比4で留分、生成するエチレングリコールとエチレンカーボネートの混合物の一部を留去しながら、20時間反応を行った。
なお、前記還流比は、還流量:溜出量で表され、還流比4は、4還流させて、1流出させることを言う。
その後、オルダーショウを単蒸留装置に交換し、180℃のオイルバスで加熱し、フラスコ内温140〜150℃、真空度を0.5kPaまで減圧し、セパラブルフラスコ内残留のジオールとエチレンカーボネートを除去した。
その後、オイルバスの設定を185℃に上げ、フラスコの内温155〜160℃で、生成するジオールを除去しながら、さらに5時間反応させ、ポリカーボネートジオールを調製した。
この反応により、常温で粘稠な液体が得られた。
この粘稠液体をポリカーボネートジオール(PC−02)とした。
得られたポリカーボネートジオールの水酸基価は138.5で、数平均分子量は810、2−メチル−1,3−プロパンジオールの割合は52mol%であった。
<ポリカーボネートジオールの調製例3(PC−03)>
1,5−ペンタンジオールを360g(3.5mol)、1,6−ヘキサンジオールを420g(3.6mol)、エチレンカーボネートを640g(7.3mol)仕込んだ。
その他の条件は、上述した<ポリカーボネートジオールの調製例2>の条件で反応を行い、ポリカーボネートジオールを製造した。
当該ポリカーボネートジオールを、ポリカーボネートジオール(PC−03)とした。
得られたポリカーボネートジオールの水酸基価は139.5であり、数平均分子量は804であり、1,5−ペンタンジオールの割合は48mol%であった。
<末端アルコキシシリル化ポリカーボネートの調製例(PC−04)>
規則充填物を充填した精留塔と攪拌装置を兼備えた500mLのガラス製フラスコに、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランを55.46g、上述したポリカーボネートジオール(PC−02)を94.00g(反応比:NCO/OH=0.95)、2%ジラウリル酸ジブチルスズ・トルエン溶液を0.380g(ジラウリル酸ジブチルスズとして50ppm相当)添加し、常圧下70〜80℃の温度で加熱しながら150rpmで撹拌、反応器内温が70℃に到達後、150分間定温反応させた。
内容物のIR分析を行い、残イソシネート基がないことを確認し、室温に冷却し、末端アルコキシシリル化ポリカーボネートを得た。
得られた末端アルコキシシリル化ポリカーボネートを、末端Si変性ポリカーボネート(PC−04)とした。
(テトラアルコキシシラン)
テトラメトキシシラン(TMOS)、東京化成工業社製
テトラエトキシシラン(TEOS)、東京化成工業社製
(トリアルコキシシラン)
フェニルトリメトキシシラン(PhTMOS)、東京化成工業社製
フェニルトリエトキシシラン(PhTEOS)、東京化成工業社製
(ポリシロキサンオリゴマー)
ポリシロキサンオリゴマー(PhOligomer)
ポリシロキサンオリゴマー(1):分子量、約1400、メチル基対フェニル基の比が1未満
ポリシロキサンオリゴマー(2):分子量、約1800、メチル基対フェニル基の比が1以上
(触媒)

HNO
(アクセレレータ(金属触媒)、溶剤)
Ti
以下、東京化成工業社製、溶剤
2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート
1,6−ヘキサンジオール
グリセリン
1−メトキシ−2−プロパノール
エチレングリコールモノブチルエーテル
エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート
ジエチレングリコールモノブチルエーテル
プロピレングリコールモノブチルエーテル
ジプロピレングリコールモノブチルエーテル
酢酸エチル
酢酸ブチル
トルエン
キシレン
テトラヒドロフラン
アセトン
メタノール
エタノール
〔実施例1〕
1−メトキシ−2−プロパノール5モルに対し、硝酸0.01モル、水4モルを添加し、15分撹拌した。
次に、テトラメトキシシラン1.5g、ポリシロキサンオリゴマー(1)(重量平均分子量が約1400)0.5gを加え、1時間程撹拌した。
その後、フェニルトリメトキシシランを1.0g添加し、12時間以上撹拌し、フェニルトリメトキシシラン混合液を得た。
次に、他の容器で、前記アルコキシシランの合計量(ここではフェニルトリメトキシシランの量)に対し、ポリカーボネートジオール(PC−01)を10質量%と、1−メトキシ−2−プロパノール5モルとを溶解させ、前記(PC−01)溶液を得た。
当該(PC−01)溶液を、上述のようにして得た、フェニルトリメトキシシラン混合液に添加し、30分撹拌し、ポリカーボネート樹脂用コーティング組成物を得た。
なお、すべての撹拌過程において、55〜75℃に制御し、加熱混合した。
次に、所定のポリカーボネート樹脂基板(2mm厚又は0.12mm厚)に、上記ポリカーボネート樹脂用コーティング組成物を、300番以下のバーコーターで塗工し、120℃で2時間加熱し、ポリカーボネート樹脂コーティング膜が形成された試験片(コーティング物)を得た。
コーティング物の外観評価、コーティング膜の膜厚、クラックの有無、鉛筆硬度(基板別)、コーティング物の耐屈曲直径、碁盤目試験結果を、下記表1に示す。
〔実施例2〕
ポリカーボネートジオール(PC−01)に代えてポリカーボネートジオール(PC−02)を用いた。
その他の条件は、上記〔実施例1〕と同様として、ポリカーボネート樹脂用コーティング組成物を製造し、コーティング膜及びコーティング物の試験及び評価を行った。
〔実施例3〕
コーティング膜の膜厚を上記〔実施例2〕の3分の2とした。
その他の条件は、上記〔実施例2〕と同様として、ポリカーボネート樹脂用コーティング組成物を製造し、コーティング膜及びコーティング物の試験及び評価を行った。
〔実施例4〕
フェニルトリメトキシシラン(PhTMOS)の量と、ポリシロキサンオリゴマー(PhOligomer)の量を、下記表1に示す量とした。その他の条件は、〔実施例2〕と同様として、ポリカーボネート樹脂用コーティング組成物を製造し、コーティング膜及びコーティング物の試験及び評価を行った。
〔実施例5〕
テトラメトキシシラン(TMOS)、フェニルトリメトキシシラン(PhTMOS)の量を、下記表1に示す量とした。その他の条件は、〔実施例2〕と同様として、ポリカーボネート樹脂用コーティング組成物を製造し、コーティング膜及びコーティング物の試験及び評価を行った。
〔実施例6〕
ポリカーボネートジオール(PC−02)に代えてポリカーボネートジオール(PC−03)を用いた。その他の条件は、〔実施例5〕と同様として、ポリカーボネート樹脂用コーティング組成物を製造し、コーティング膜及びコーティング物の試験及び評価を行った。
〔実施例7〕
チタン触媒を下記表1に示す量用いた。
その他の条件は、〔実施例2〕と同様として、ポリカーボネート樹脂用コーティング組成物を製造し、コーティング膜及びコーティング物の試験及び評価を行った。
〔実施例8〕
テトラメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ポリシロキサンオリゴマーの量を、下記表1に示す量とした。
その他の条件は、〔実施例2〕と同様として、ポリカーボネート樹脂用コーティング組成物を製造し、コーティング膜及びコーティング物の試験及び評価を行った。
〔実施例9〕
テトラメトキシシランをテトラエトキシシランに変更した。
また、フェニルトリメトキシシランをフェニルトリエトキシシランに変更した。
その他の条件は、〔実施例2〕と同様として、ポリカーボネート樹脂用コーティング組成物を製造し、コーティング膜及びコーティング物の試験及び評価を行った。
〔実施例10〕
ポリシロキサンオリゴマーとして、重量平均分子量が約1800、メチル基量が、約10%多いポリシロキサンオリゴマー(2)を使用した。
また、触媒量を下記表1に示す量とした。
その他の条件は、〔実施例2〕と同様として、ポリカーボネート樹脂用コーティング組成物を製造し、コーティング膜及びコーティング物の試験及び評価を行った。
〔実施例11〕
ポリカーボネートジオールとして、末端Si変性のポリカーボネートジオール(PC−04)を用いた。 また、触媒量を下記表1に示す量とした。
その他の条件は、〔実施例2〕と同様として、ポリカーボネート樹脂用コーティング組成物を製造し、コーティング膜及びコーティング物の試験及び評価を行った。
〔実施例12〕
コーティング膜の膜厚を、上記〔実施例2〕の3分の2とした。
ポリカーボネート樹脂用コーティング組成物を製造し、その後、これをポリカーボネート樹脂基板(2mm又は0.12mm厚)に300番以下のバーコーターで塗工し、試験片を得る際の加熱条件を、120℃12時間とした。
その他の条件は、〔実施例2〕と同様として、ポリカーボネート樹脂用コーティング組成物を製造し、コーティング膜及びコーティング物の試験及び評価を行った。
なお実施例中、ポリカーボネート基材及びガラス基材での鉛筆硬度、耐屈曲性、碁盤目試験、耐溶剤試験、リコート性において、実施例12が総合的に最も良好であった。
〔実施例13〕
コーティング膜の膜厚を上記〔実施例2〕の3分の2とした。
ポリカーボネート樹脂用コーティング組成物を製造し、その後、これをポリカーボネート樹脂基板(2mm又は0.12mm厚)に300番以下のバーコーターで塗工し、加熱処理を経て試験片を得る際の加熱条件を、140℃で12時間とした。
その他の条件は、〔実施例2〕と同様として、ポリカーボネート樹脂用コーティング組成物を製造し、コーティング膜及びコーティング物の試験及び評価を行った。
〔実施例14〕
コーティング膜に含まれるポリカーボネートジオール(PC−02)の含有量を、アルコキシシランに対して15質量%とし、膜厚を上記〔実施例2〕の3分の2とした。
ポリカーボネート樹脂用コーティング組成物を製造し、その後、これをポリカーボネート樹脂基板(2mm又は0.12mm厚)に300番以下のバーコーターで塗工し、加熱処理を経て試験片を得る際の加熱条件を、140℃12時間とした。
その他の条件は、〔実施例2〕と同様として、ポリカーボネート樹脂用コーティング組成物を製造し、コーティング膜及びコーティング物の試験及び評価を行った。
〔比較例1〕
テトラメトキシシラン及びポリシロキサンオリゴマーの量を表1に示す量とした。
フェニルトリアルコキシシランを用いなかった。
その他の条件は、〔実施例2〕と同様として、ポリカーボネート樹脂用コーティング組成物を製造し、コーティング膜及びコーティング物の試験及び評価を行った。
〔比較例2〕
テトラメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、及び触媒の量を表1に示す量とした。
ポリシロキサンオリゴマーを用いなかった。
その他の条件は、〔実施例2〕と同様として、ポリカーボネート樹脂用コーティング組成物を製造し、コーティング膜及びコーティング物の試験及び評価を行った。
〔比較例3〕
ポリカーボネートジオールとして、末端Si変性ポリカーボネート(PC−04)を用いた。
その他の条件は、〔比較例2〕と同様として、すなわちポリシロキサンオリゴマーを用いず、ポリカーボネート樹脂用コーティング組成物を製造し、コーティング膜及びコーティング物の試験及び評価を行った。
〔比較例4〕
テトラメトキシシランに代えてテトラエトキシシランを用いた。
フェニルトリメトキシシランに代えてフェニルトリエトキシシランを用いた。
その他の条件は、〔比較例2〕と同様として、すなわちポリシロキサンオリゴマーを用いず、ポリカーボネート樹脂用コーティング組成物を製造し、コーティング膜及びコーティング物の試験及び評価を行った。
〔比較例5〕
ポリカーボネートジオールとして、(PC−03)を用いた。
その他の条件は、〔比較例4〕と同様として、すなわちポリシロキサンオリゴマーを用いず、ポリカーボネート樹脂用コーティング組成物を製造し、コーティング膜及びコーティング物の試験及び評価を行った。
〔比較例6〕
テトラメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ポリシロキサンオリゴマー、触媒の量を下記表1に示す量とした。
ポリカーボネートジオールを用いなかった。
その他の条件は、〔実施例1〕と同様として、ポリカーボネート樹脂用コーティング組成物を製造し、コーティング膜及びコーティング物の試験及び評価を行った。
〔比較例7〕
テトラメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ポリシロキサンオリゴマー、触媒の量を下記表1に示す量とした。
ポリカーボネートジオールを用いなかった。
ポリカーボネート樹脂用コーティング組成物を製造し、その後、これをポリカーボネート樹脂基板(2mm又は0.12mm厚)に300番以下のバーコーターで塗工し、加熱処理を経て試験片を得る際の加熱条件を、140℃12時間とした。
その他の条件は、〔実施例1〕と同様として、ポリカーボネート樹脂用コーティング組成物を製造し、コーティング膜及びコーティング物の試験及び評価を行った。
なお、実施例3、12、13については、1−メトキシ−2−プロパノールのドロップ試験を室温静置下にてより詳しく時間経過を張り付きで観察評価した。
実施例3の塗膜は比較的すぐ膨潤し、実施例12の塗膜は数分で膨潤し、実施例13の塗膜は膨潤しないという結果を得た。
Figure 0006298678
表1に示すように、実施例1〜14のコーティング組成物は、ポリカーボネート樹脂への密着性、塗膜硬度、耐屈曲性が良好であり、実用上十分な硬度を有していることが分かった。
本発明のコーティング組成物は、プラスチックレンズや電子電気材料のコーティング材料として産業上の利用可能性がある。

Claims (10)

  1. ポリカーボネートジオールと、
    テトラアルコキシシランと、
    トリアルコキシシランと、
    ポリシロキサンオリゴマーと、
    を、含有するポリカーボネート樹脂用コーティング組成物。
  2. 前記ポリシロキサンオリゴマーが、芳香族環又は脂環の環状化合物を含む、請求項1に記載のポリカーボネート樹脂用コーティング組成物。
  3. 金属錯体を、さらに含む、請求項1又は2に記載のポリカーボネート樹脂用コーティング組成物。
  4. 前記ポリシロキサンオリゴマーの重量平均分子量が、300〜1980である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のポリカーボネート樹脂用コーティング組成物。
  5. 前記ポリシロキサンオリゴマーと、
    前記テトラアルコキシシラン及びトリアルコキシシランの和との質量比率が、
    ポリシロキサンオリゴマー:(テトラアルコキシシラン+トリアルコキシシラン)=1:10〜1:1である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のポリカーボネート樹脂用コーティング組成物。
  6. 媒体をさらに含み、
    前記テトラアルコキシシラン、前記トリアルコキシシラン、及び前記ポリシロキサンオリゴマーの質量の和と、前記媒体との質量比率が、
    (テトラアルコキシシラン+トリアルコキシシラン+ポリシロキサンオリゴマー):媒体=1:2〜30である、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のポリカーボネート樹脂用コーティング組成物。
  7. 前記テトラアルコキシシラン及び/又は前記トリアルコキシシランが、メトキシ基を有する、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のポリカーボネート樹脂用コーティング組成物。
  8. 前記トリアルコキシシランが、芳香族環あるいは脂環の環状化合物を含む、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のポリカーボネート樹脂用コーティング組成物。
  9. ポリカーボネート樹脂基板上に、請求項1乃至8のいずれか一項に記載のポリカーボネート樹脂用コーティング組成物がコーティングされたコーティング物。
  10. 前記コーティング後に加熱処理された請求項9に記載のコーティング物。
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