JP6295659B2 - 成形用樹脂積層体、および成形体 - Google Patents
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Description
しかしながら、ガラスは衝撃により容易に割れ、またガラス自身の重量も重いことからプラスチックでの代替が検討されている。
しかしながら、アクリル系樹脂は非常に脆い性質のため、その加工方法は、切削加工で行われるのが一般的で、決して生産性の高いものとはいえない。
−2.0(GPa)≦樹脂層Bの貯蔵弾性率−樹脂層Aの貯蔵弾性率≦2.5(GPa)
ここで所定の温度とは、樹脂層Aのガラス転移温度−20℃の温度をさす。
また、熱可塑性樹脂組成物cから形成される樹脂層C、熱可塑性樹脂組成物aから形成される樹脂層A、および硬化性樹脂組成物bから形成される樹脂層Bの少なくとも三層をこの順に積層してなる成形用樹脂積層体において、該樹脂層B表面の鉛筆硬度が5H以上であり、かつ所定の温度における樹脂層A、樹脂層B、および樹脂層Cの貯蔵弾性率が、次の関係を満足するよう調整することにより、優れた表面硬度と熱成形性を備えた、新たな成形用樹脂積層体を提供し得ることを見出した。
−2.0(GPa)≦樹脂層Bの貯蔵弾性率−樹脂層Aの貯蔵弾性率≦2.5(GPa)
−1.0(GPa)≦樹脂層Aの貯蔵弾性率−樹脂層Cの貯蔵弾性率≦1.0(GPa)
ここで所定の温度とは、樹脂層Aのガラス転移温度−20℃の温度をさす。
−2.0(GPa)≦樹脂層Bの貯蔵弾性率−樹脂層Aの貯蔵弾性率≦2.5(GPa)
ここで所定の温度とは、樹脂層Aのガラス転移温度−20℃の温度をさす。
一方、貯蔵弾性率差の上限値は2.5(GPa)以下であることが重要である。貯蔵弾性率差が2.5(GPa)以下であることにより、本積層体を熱成形する際に、樹脂層Bは樹脂層Aの変形に追従して賦形されやすくなる。かかる理由により、貯蔵弾性率差は2.0(GPa)以下であることがさらに好ましく、1.5(GPa)以下であることが特に好ましい。
−2.0(GPa)≦樹脂層Bの貯蔵弾性率−樹脂層Aの貯蔵弾性率≦2.5(GPa)
−1.0(GPa)≦樹脂層Aの貯蔵弾性率−樹脂層Cの貯蔵弾性率≦1.0(GPa)
ここで所定の温度とは、樹脂層Aのガラス転移温度−20℃の温度をさす。
所定の温度における樹脂層Aと樹脂層Cとの貯蔵弾性率差の下限値は、好ましくは−1.0(GPa)以上であり、さらに好ましくは−0.5(GPa)以上であり、特に好ましい−0.1(GPa)以上である。貯蔵弾性率差の下限値が−1.0(GPa)以上であれば、本積層体の優れた表面硬度を維持できるので好ましい。一方、貯蔵弾性率差の上限値は、1.0(GPa)以下であり、さらに好ましくは0.7(GPa)以下であり、特に好ましいのは0.5(GPa)以下である。貯蔵弾性率差が1.0(GPa)以下であれば、本積層体を熱成形する際に、樹脂層Cは樹脂層Aの変形に追従して賦形されやすくなる、即ち、熱成形性が良好になるため好ましく、さらに、本積層体の剛性が維持されてハンドリング性が良くなるので好ましい。ここで、樹脂層Aと樹脂層Cは、異なる熱可塑性樹脂組成物から構成される。
本積層体は熱可塑性樹脂組成物aから形成される樹脂層A、および硬化性樹脂組成物bから形成される樹脂層Bの少なくとも二層を積層してなるもの、あるいは熱可塑性樹脂組成物cから形成される樹脂層C、熱可塑性樹脂組成物aから形成される樹脂層Aおよび硬化性樹脂組成物bから形成される樹脂層Bの少なくとも三層をこの順に積層してなるものである。いずれの場合も、樹脂層Aは、樹脂層Bの裏側に配置されることにより、樹脂層Bに優れた表面硬度を発現させる役割を果たしている。
ここで、樹脂層Bの裏側に高硬度の樹脂層Aが配置されると、樹脂層Aは硬い下地層の如く振る舞い、例えば鉛筆硬度の測定を行う際など、鉛筆芯など高硬度の針状物体が樹脂層Bに食い込むのを反発、阻止するよう樹脂層A自身も作用するので、鉛筆芯など針状物体により樹脂層Bに傷付きや削れが起こるのを防ぎ、即ち樹脂層Bに優れた表面硬度を発現させることができるので好ましい。一方、樹脂層Bの裏側に柔軟な樹脂層Aが配置されると、例えば鉛筆芯など高硬度の針状物体が樹脂層Bに食い込むのを、樹脂層A自身も窪んで吸収するなどして妨げることができず、鉛筆芯など高硬度の針状物体が食い込んで、樹脂層Bに傷付きや削れが起こりやすくなる。
また樹脂層Bの厚みを薄くできれば、本積層体を熱成形した場合、樹脂層Bが樹脂層Aの変形に追従して賦形されやすくなるので好ましい。
本積層体における樹脂層Aは、熱可塑性樹脂組成物aより形成される。該熱可塑性樹脂組成物aに用いることのできる熱可塑性樹脂としては、溶融押出しによってフィルム、シート、あるいはプレートを形成し得る熱可塑性樹脂であれば特に制限はないが、好ましい例として、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレートなどの芳香族ポリエステル、およびポリ乳酸系重合体などの脂肪族ポリエステルに代表されるポリエステル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロオレフィン系樹脂などのポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエステルアミド系樹脂、ポリエーテルエステル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリサルホン系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリイミド系樹脂およびこれらを主たる成分とする共重合体、またはこれら樹脂の混合物等を挙げることができる。
特に本発明においては、可視光線域における吸収がほとんどないなどの点から、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、およびアクリル系樹脂が好ましい。なかでも、前述のように樹脂層Bに優れた表面硬度を発現させる点、樹脂層Bと所望の貯蔵弾性率差を有する点において、アクリル系樹脂であることが特に好ましい。
なお、樹脂層Aを構成する熱可塑性樹脂組成物aが、上述のものより選ばれる2種以上の樹脂の混合物であり、それらが互いに非相溶である場合には、最も体積分率の高い熱可塑性樹脂のガラス転移温度を樹脂層Aのガラス転移温度とする。
本発明に用いることのできるアクリル系樹脂を構成する単量体としては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸、アクリル酸、ベンジル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、アクリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、コハク酸2−(メタ)アクロイルオキシエチル、マレイン酸2−(メタ)アクロイルオキシエチル、フタル酸2−(メタ)アクロイルオキシエチル、ヘキサヒドロフタル酸2−(メタ)アクリオイルオキシエチル、ペンタメチルピペリジル(メタ)アクリレート、テトラメチルピペリジル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらは、単独で重合して使用してもよく、2種類以上を重合して使用してもよい。
ここで、単官能単量体の例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンの如き芳香族アルケニル化合物;アクリロニトリル、メタクリロニトリルの如きアルケニルシアン化合物;アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、N−置換マレイミド;等が挙げられる。また、多官能単量体の例としては、エチレングリコールジメタクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートの如き多価アルコールのポリ不飽和カルボン酸エステル;アクリル酸アリル、メタクリル酸アリル、ケイ皮酸アリルの如き不飽和カルボン酸のアルケニルエステル;フタル酸ジアリル、マレイン酸ジアリル、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレートの如き多塩基酸のポリアルケニルエステル;ジビニルベンゼンの如き芳香族ポリアルケニル化合物;等が挙げられる。メタクリル酸アルキルまたはアクリル酸アルキルと共重合可能な単量体は、必要に応じてそれらの2種以上を用いてもよい。
熱可塑性樹脂組成物aの主成分に、耐熱性アクリル樹脂を用いて樹脂層Aを形成すると、本積層体において、耐熱性ばかりでなく優れた熱成形性を付与しやすくなる場合があるため好ましい。
また、後述するが、本積層体の構成を、樹脂層C、樹脂層Aおよび樹脂層Bの少なくとも三層をこの順に積層してなるものとした場合、所定の温度における樹脂層Aと樹脂層Cとの貯蔵弾性率差を所望の範囲にするための手段として、樹脂層Aと樹脂層Cとのガラス転移温度の差の絶対値を30℃以内とすることが挙げられる。このため、樹脂層Cを形成する熱可塑性樹脂組成物cの主成分が、仮に高いガラス転移温度を有するものである場合、アクリル系樹脂においても同様に高いガラス転移温度を有することが好ましく、かかる観点から、耐熱性アクリル樹脂を優位に使用することができる。
耐熱性アクリル樹脂a1としては、下記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステル構成単位と、下記一般式(2)で表される脂肪族ビニル構成単位を含む共重合樹脂であることを特徴とするものが挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル構成単位と脂肪族ビニル構成単位との合計に対する(メタ)アクリル酸エステル構成単位のモル構成比が15%未満であると機械強度が低くなりすぎて脆くなるので実用的ではない。また85%を超えるであると耐熱性が不十分となる場合がある。
耐熱性アクリル樹脂a2としては、アクリル系樹脂を構成する全単量体単位を基準として、メタクリル酸メチル単位60〜95重量%と、メタクリル酸単位、アクリル酸単位、マレイン酸無水物単位、N−置換または無置換マレイミド単位、グルタル酸無水物構造単位、およびグルタルイミド構造単位から選ばれる単位5〜40重量%とを有し、ガラス転移温度を110℃以上とした重合体を挙げることができる。
耐熱性アクリル樹脂a3としては、分子鎖中に水酸基とエステル基とを有する重合体(α)を環化縮合反応させることにより形成されるラクトン環構造を有するものをあげることができる。前記重合体(α)は、(メタ)アクリレート系単量体(α1)と2−(ヒドロキシアルキル)アクリレート系単量体とを少なくとも含む単量体成分を重合した共重合体であり、前記ラクトン環構造が、下記一般式(7)で表わされる構造である。
前記重合体(α)を環化縮合させてラクトン環構造を有するアクリル系樹脂を得る方法としては、例えば、1)前記重合体(α)を押出機にて減圧下、加熱して環化縮合反応させる方法(Polym.Prepr.,8,1,576(1967)、2)前記重合体(α)の環化縮合反応を溶剤存在下で行い、かつ、該環化縮合反応の際に同時に脱揮を行う方法、3)特定の有機リン化合物を触媒として用い、前記重合体(α)を環化縮合させる方法(欧州特許1008606号)等がある。勿論、これらに限定されるものではなく、上記1)〜3)の方法のうち、複数の方法を採用してもよい。特に、環化縮合反応の反応率が高く、積層体に泡やシルバーストリークが入るのを抑制することができ、脱揮中の分子量低下による機械的強度の低下を抑えられる点からは、2)および3)を用いた方法が好ましい。
耐熱性アクリル樹脂a4としては、耐熱性だけでなく、優れた硬度を併せ持つものとしてアクリル系樹脂のマトリックス中に硬質性の分散相を含有させたものを用いることもできる。より具体的には、アクリル系樹脂中に、アクリル系樹脂より耐熱性または耐擦傷性の優れた硬質分散相材料を含有・分散してなるものを用いることができる。前記のマトリックス中に硬質性の分散相を含有させたアクリル系樹脂を用いることにより、樹脂層A表面の鉛筆硬度を5H以上とすることができる。
硬質分散相の粒径は、本積層体の使用目的、用途等に応じて適宜設定されるが、好ましくは0.1〜1000μmである。アクリル系樹脂相中における硬質分散相の配合量は、本積層体の使用目的、用途等に応じ適宜設定されるが、好ましくは0.1〜60重量%である。
a)アクリル系樹脂材料に硬質分散相を構成する熱硬化性樹脂材料を添加する。
b)次に、溶融混練し、所定形状に成型した後、相分離および架橋を生じさせることにより硬質分散相を構成することができる。また、熱硬化性樹脂を予め粒子状等に成型し、アクリル系樹脂中に添加し、熱硬化性樹脂が溶解しない温度で混練および成型してもよい。
樹脂層Aを形成する前記熱可塑性樹脂組成物aは、樹脂成分のほかに、例えば、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、シリコーン系化合物などの難燃剤、フィラー、ガラス繊維、耐衝撃性改質剤等の各種添加剤を、本発明の効果を損なわない範囲で含有していてもよい。
本発明における樹脂層Bは、本積層体に優れた表面硬度を付与する層であり、かつ所定の温度において樹脂層Aとの貯蔵弾性率差を所定の範囲内とすることにより、本積層体は優れた熱成形性を備えることができる。
本積層体の樹脂層Bは硬化性樹脂組成物bから形成されるものであり、本発明に用いることのできる硬化性樹脂組成物bは、例えば、電子線、放射線、紫外線などのエネルギー線を照射することにより硬化するか、あるいは加熱により硬化するものであれば、特に制限はないが、成形時間および生産性の観点から紫外線硬化性樹脂からなることが好ましい。
また、硬化性樹脂組成物bを構成する硬化性樹脂の好ましい例として、アクリレート化合物、ウレタンアクリレート化合物、エポキシアクリレート化合物、カルボキシル基変性エポキシアクリレート化合物、ポリエステルアクリレート化合物、共重合系アクリレート、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルエーテルエポキシ樹脂、ビニルエーテル化合物、オキセタン化合物などが挙げられ、これらの硬化性樹脂は、それぞれ単独で用いてもよいし、複数の化合物を組み合わせて用いてもよい。なかでも、優れた表面硬度を付与する硬化性樹脂としては、例えば、多官能アクリレート化合物、多官能ウレタンアクリレート化合物、多官能エポキシアクリレート化合物など、ラジカル重合系の硬化性化合物や、アルコキシシラン、アルキルアルコキシシランなど、熱重合系の硬化性化合物を挙げることができる。さらに、本発明の硬化性樹脂組成物bは、前記硬化性樹脂に無機成分を含有させてなる有機・無機複合系硬化性樹脂組成物とすることもできる。
このような反応性官能基を有する無機成分を利用して、例えば、この無機成分が、ラジカル重合性モノマーと共重合および架橋することで、単に有機バインダーに無機成分を含有させてなる有機・無機複合系硬化性樹脂組成物に比べて、硬化収縮が生じにくく、かつ高い表面硬度を発現することができるので好ましい。さらに、硬化収縮の低減の観点からは、反応性官能基を有する無機成分として紫外線反応性のコロイダルシリカを含む、有機・無機ハイブリッド系硬化性樹脂組成物を、より好ましい例に挙げることができる。
−2.0(GPa)≦樹脂層Bの貯蔵弾性率−樹脂層Aの貯蔵弾性率≦2.5(GPa)
ここで所定の温度とは、樹脂層Aのガラス転移温度−20℃の温度をさす。
樹脂層Aとの積層方法としては、公知の方法が使用される。例えば、カバーフィルムを使用するラミネート方式、ディップコート法、ナチュラルコート法、リバースコート法、カンマコーター法、ロールコート法、スピンコート法、ワイヤーバー法、エクストルージョン法、カーテンコート法、スプレコート法、グラビアコート法等が挙げられる。その他、例えば、離型層に樹脂層Bが形成されてなる転写シートを用いて、当該樹脂層Bを樹脂層Aに積層する方法を採用してもよい。
樹脂層Bを形成する硬化性樹脂組成物bは、表面調整成分としてレベリング剤を含むことができる。レベリング剤としては、シリコーン系レベリング剤、アクリル系レベリング剤などを挙げることができ、特に、末端に反応性の官能基を有するものが好ましく、2官能以上の反応性の官能基を有するものがより好ましい。
具体的には、両末端に2重結合を有する、アクリル基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(例えば、ビックケミー・ジャパン株式会社製の「BYK−UV 3500」、「BYK−UV 3530」)や、2重結合を末端に2個ずつ計4個有する、アクリル基を有するポリエステル変性ポリジメチルシロキサン(ビックケミー・ジャパン株式会社製の「BYK−UV 3570」)などが挙げられる。
これらの中でも、ヘイズの値が安定し、かつ耐擦傷性の向上に寄与する、アクリル基を有するポリエステル変性ポリジメチルシロキサンが特に好ましい。
樹脂層Bを形成する硬化性樹脂組成物bは、硬化性樹脂成分のほかに、例えば、ケイ素系化合物、フッ素系化合物、またはこれらの混合化合物などの滑剤や、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、シリコーン系化合物などの難燃剤、フィラー、ガラス繊維、耐衝撃性改質剤等の各種添加剤を、本発明の効果を損なわない範囲で含有することができる。
本積層体のうち、熱可塑性樹脂組成物cから形成される樹脂層C、熱可塑性樹脂組成物aから形成される樹脂層Aおよび硬化性樹脂組成物bから形成される樹脂層Bの少なくとも三層をこの順に積層してなる積層体において、樹脂層Cは、本積層体に優れた耐衝撃性、あるいは打ち抜き性などの二次加工性を付与する役割を果たす。
本積層体における樹脂層Cは、熱可塑性樹脂組成物cより形成される。該熱可塑性樹脂組成物cに用いることのできる熱可塑性樹脂としては、溶融押出しによってフィルム、シート、あるいはプレートを形成し得る熱可塑性樹脂であれば特に制限はないが、好ましい例として、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレートなどの芳香族ポリエステル、およびポリ乳酸系重合体などの脂肪族ポリエステルに代表されるポリエステル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロオレフィン系樹脂などのポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエステルアミド系樹脂、ポリエーテルエステル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリサルホン系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリイミド系樹脂およびこれらを主たる成分とする共重合体、またはこれら樹脂の混合物等を挙げることができる。特に本発明においては、可視光線域における吸収がほとんどないなどの点から、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、またはアクリル系樹脂が好ましい。
なかでも、本積層体に優れた耐衝撃性、あるいは打ち抜き性などの二次加工性を付与することができる点において、ポリカーボネート系樹脂が特に好ましい。
なお、樹脂層Cを構成する熱可塑性樹脂組成物cが、上述のものより選ばれる2種以上の樹脂の混合物であり、それらが互いに非相溶である場合には、最も体積分率の高い熱可塑性樹脂のガラス転移温度を樹脂層Cのガラス転移温度とする。
本発明に用いることのできるポリカーボネート系樹脂としては、溶融押出しによってフィルム、シート、あるいはプレートを形成し得るものであれば特に制限はなく、芳香族ポリカーボネート、脂肪族ポリカーボネート、脂環族ポリカーボネートの群から選ばれる少なくとも1種を用いることができる。
芳香族ポリカーボネートとしては、例えば、i)二価フェノールとカルボニル化剤とを界面重縮合法や溶融エステル交換法などで反応させることにより得られるもの、ii)カーボネートプレポリマーを固相エステル交換法などで重合させることにより得られるもの、iii)環状カーボネート化合物を開環重合法で重合させることにより得られるもの等が挙げられる。これらの中でも、i)二価フェノールとカルボニル化剤とを界面重縮合法や溶融エステル交換法などで反応させることにより得られるものが、生産性の点で好ましい。
前記カルボニル化剤としては、例えば、ホスゲンの如きカルボニルハライド、ジフェニルカーボネートの如きカーボネートエステル、二価フェノールのジハロホルメートの如きハロホルメート等が挙げられ、必要に応じてそれらの2種以上を用いることもできる。
前記芳香族ポリカーボネート以外のポリカーボネート樹脂としては、脂肪族ポリカーボネート、脂環族ポリカーボネート等が挙げられる。構造の一部に下記一般式(9)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を少なくとも含むものが好ましい。
樹脂層Cを形成する前記熱可塑性樹脂組成物cは、樹脂成分のほかに、例えば、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、シリコーン系化合物などの難燃剤、フィラー、ガラス繊維、耐衝撃性改質剤等の各種添加剤を、本発明の効果を損なわない範囲で含有していてもよい。
−2.0(GPa)≦樹脂層Bの貯蔵弾性率−樹脂層Aの貯蔵弾性率≦2.5(GPa)
−1.0(GPa)≦樹脂層Aの貯蔵弾性率−樹脂層Cの貯蔵弾性率≦1.0(GPa)
ここで所定の温度とは、樹脂層Aのガラス転移温度−20℃の温度をさす。
また、樹脂層Aと樹脂層Cとのガラス転移温度の差の絶対値を30℃以内とすることにより、本積層体を熱成形した場合、さらに特に深絞り成形した場合でも、成形体に白化やクラック、さらには発泡を生じないようにすることができるので好ましい。かかる観点から、樹脂層Aと樹脂層Cのガラス転移温度の差の絶対値を25℃以内とするのがより好ましく、20℃以内とすることがさらに好ましい。
(1)熱可塑性樹脂組成物aおよび/または熱可塑性樹脂組成物cにおいて、ガラス転移温度の異なる熱可塑性樹脂をブレンドして、少なくとも2種以上の熱可塑性樹脂の混合物とすることにより、樹脂層Aと樹脂層Cとのガラス転移温度の差を30℃以内に調整する方法。ここでガラス転移温度の異なる二種類以上の熱可塑性樹脂としては、ガラス転移温度が異なってさえいれば、熱可塑性樹脂の種類は同じものでも、異なっているものでも用いることができる。また、ここでブレンドする熱可塑性樹脂は、熱可塑性樹脂組成物aまたは熱可塑性樹脂組成物cと相溶性を有するものである。
(2)熱可塑性樹脂組成物aおよび/または熱可塑性樹脂組成物cについて、他成分との共重合体とすることにより、樹脂層Aと樹脂層Cとのガラス転移温度の差を30℃以内に調整する方法。
(3)熱可塑性樹脂組成物aおよび/または熱可塑性樹脂組成物cについて、可塑剤等の添加剤を混合することにより、樹脂層Aと樹脂層Cとのガラス転移温度の差を30℃以内に調整する方法。
その他の熱可塑性樹脂として用いることのできる芳香族ポリエステルd1として、例えば、芳香族ジカルボン酸成分とジオール成分とが縮合重合してなる樹脂を挙げることができる。
その他の熱可塑性樹脂として用いることのできる環状アセタール骨格を有するポリエステル樹脂d2は、ジカルボン酸単位とジオール単位とを含みジオール単位中1〜60モル%が環状アセタール骨格を有するジオール単位であるポリエステル樹脂である。環状アセタール骨格を有するジオール単位は下記の一般式(10)または(11)で表される化合物に由来する単位が好ましい。
また、前記混合樹脂組成物を、歪み0.1%、周波数10Hzにて動的粘弾性測定(JIS K−7198A法の動的粘弾性測定)により測定した際に、損失正接(tanδ)の極大値が1つ存在するかどうかでも判断することができる。
混合樹脂組成物が完全相溶(ポリマーアロイ化)すれば、ブレンドされた成分が互いにナノメートルオーダー(分子レベル)で相溶した状態となる。
樹脂層Cを形成する熱可塑性樹脂組成物cは、樹脂成分のほかに、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、シリコーン系化合物などの難燃剤、フィラー、ガラス繊維、耐衝撃性改質剤等の各種添加剤を、本発明の効果を損なわない範囲で含有することができる。
本積層体は、樹脂層Aと樹脂層Bの少なくとも二層を積層してなる構成であり、より具体的には、樹脂層A/樹脂層B、樹脂層B/樹脂層A/樹脂層Bなどの構成が挙げられる。また、樹脂層Aおよび樹脂層B以外の層を備えた3層以上の多層構成であってもよい。例えば樹脂層Aの表面のうち、樹脂層Bを積層した面とは反対側に樹脂層Dを積層してなる構成であり、より具体的には、樹脂層D/樹脂層A/樹脂層Bなどの構成が挙げられる。
さらに、本積層体は樹脂層C、樹脂層Aおよび樹脂層Bの少なくとも三層をこの順に積層してなる構成であるが、これ以外の層を備えた4層以上の多層構成であってもよい。例えば樹脂層Cの表面のうち、樹脂層Aを積層した面とは反対側に樹脂層Dを積層してなる構成であり、より具体的には、樹脂層D/樹脂層C/樹脂層A/樹脂層Bなどの構成が挙げられる。
本積層体の厚みは、特に限定するものではなく、例えば0.1mm〜1.5mmであるのが好ましく、特に、実用面における取り扱い性を考慮すると0.2mm〜1.0mm程度であるのが好ましい。
例えば、画像表示装置の前面側に配置して用いられる表面保護パネルとしては、厚みが0.2mm〜1.2mmであるのが好ましく、例えばタッチパネル機能を有する携帯電話や液晶ペンタブレット等のフロントカバー材としては、厚みが0.3mm〜1.0mmであるのが好ましい。
また、図1の(b)では、樹脂層C(12)、樹脂層A(13)および樹脂層B(14)の順に三層を積層してなる成形用樹脂積層体(15)を例示している。
さらに、図1の(c)では、樹脂層C(12)、樹脂層A(13)の二層からなる積層体の両面に樹脂層B(14)を積層した構成の成形用樹脂積層体(16)を例示している。かかる構成によれば、樹脂層C(12)にも樹脂層B(14)が被覆された構成であるため、樹脂層C(12)表面に工程傷が発生することを抑制できるなどの利点を有する。なお、樹脂層C(12)側の樹脂層B(14)は、樹脂層A(13)側の樹脂層B(14)とは異なる硬化性樹脂により形成させても良い。
一般的に「フィルム」とは、長さおよび幅に比べて厚みが極めて小さく、最大厚みが任意に限定されている薄い平らな製品で、通常、ロールの形で供給されるものをいい(日本工業規格JIS K−6900)、一般的に「シート」とは、JISにおける定義上、薄く、一般にその厚みが長さと幅のわりには小さく平らな製品をいう。しかし、シートとフィルムの境界は定かでなく、本発明において文言上両者を区別する必要がないので、本発明においては、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとし、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとする。
また、本発明において、「X以上」(Xは任意の数字)と表現した場合、特にことわらない限り「好ましくはXより大きい」の意を包含し、「Y以下」(Yは任意の数字)と表現した場合、特にことわらない限り「好ましくはYより小さい」の意を包含する。
実施例・比較例で得られた樹脂層、および積層体の各種物性値の測定方法および評価方法について説明する。
実施例および比較例で得られた樹脂層について、下記の装置を用いてJIS K−7198A法にしたがって動的粘弾性測定を行い、損失正接(tanδ)のピーク温度を読み取り、樹脂層のガラス転移温度(Tg)とした。また、樹脂層Aのガラス転移温度−20℃における貯蔵弾性率を読み取り、樹脂層の貯蔵弾性率とした。
装置:動的粘弾性測定装置 DVA−200(アイティ計測制御社製)
チャック間距離:25mm
歪み:0.1%
温度範囲:−50℃〜250℃
昇温速度:3℃/min
周波数:10Hz
実施例および比較例で得られた樹脂層について、表面の鉛筆硬度の測定をJIS K−5600−5−4に準拠して行った。試験時の負荷荷重は750gとした。
実施例および比較例で得られた成形用樹脂積層体の樹脂層B表面について、次の装置、条件により、傷が発生するまでの往復回数を調べた。得られた測定値について下記評価基準に基づいて耐擦傷性の評価を行った。ただし、記号「△」も実用レベル以上である。
装置:摩擦堅牢度試験機 学振型(大栄科学精器製作所社製)
スチールウール番手:♯0000
試験荷重:500gf
試験速度:30往復/分
試験ストローク:120mm
◎:傷が発生するまでの往復回数≧500回
○:50回≦傷が発生するまでの往復回数<500回
△:傷が発生するまでの往復回数<50回
実施例および比較例で得られた成形用樹脂積層体について、次のいずれかの成形法を用いて熱成形を行った。
(成形法A)
成形装置:プレス成形機
積層体予熱条件:150℃、2分間
金型温度:130℃
プレス圧力:0.2MPa
プレス時間:10秒
成形金型:縦180mm×横100mm×高さ10mm トンネル型形状
角部R=20mm
(成形法B)
成形装置:真空圧空成形機
積層体予熱温度:120℃
金型温度:100℃
圧空圧力:0.2MPa
真空圧力:−0.1MPa
保持時間:10秒
成形金型:縦140mm×横70mm×高さ5mm 三次元箱型形状
角部R=8mm、20mm
得られた成形体について、外観のチェックを目視で行い、下記評価基準に基づいて熱成形性の評価を行った。
○:成形体にクラックや割れがない
×:成形体にクラックもしくは割れがある
(樹脂組成物a−1の作製)
アクリル系樹脂A(Arkema社製、商品名「Altuglas HT121」、硬質分散相含有)のペレットをそのまま樹脂組成物a−1とした。
ポリカーボネート系樹脂(住化スタイロン社製;商品名「CALIBRE301−4」)のペレットと、ポリカーボネート系樹脂(住化スタイロン社製;商品名「SDポリカ SP3030」)のペレットと、ポリエステル系樹脂(SKケミカル社製;商品名「SKYGREEN J2003」)のペレットとを55:25:20の質量割合で混合した後、260℃に加熱された二軸押出機を用いてペレット化して、樹脂組成物c−1を作製した。
評価のための単層シートについて、A−1層およびC−1層については、樹脂組成物a−1、あるいはc−1を、それぞれ単層用Tダイを取り付けた押出機に供給し、各押出機において240℃および260℃で溶融混練した後、厚み200μmの単層構成のシート状サンプルを得た。
得られた各樹脂層のシート状サンプルについて、ガラス転移温度、貯蔵弾性率の評価を行った。その結果を表1に示す。
また、B層については、12μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの上に厚み30μmの樹脂層B−1を形成させたサンプルを作製し、これを用いて、樹脂層B−1の貯蔵弾性率の評価を行った。その結果を表1に示す。
上記樹脂組成物a−1、c−1をそれぞれ、押出機AおよびBに供給し、各押出機において、240℃および260℃で溶融混練した後、250℃に加熱された2種2層用のTダイに合流させ、樹脂層A−1/樹脂層C−1の2層構成になるようにシート状に押出し、冷却固化して、厚み600μm(樹脂層A−1:80μm、樹脂層C−1:520μm)の積層体1を得た。得られた積層体1の樹脂層A−1の表面について鉛筆硬度の評価を行った。その結果を表1に示す。
積層体1の樹脂層A−1側の表面に有機・無機ハイブリッド系紫外線硬化性樹脂組成物b−1(MOMENTIVE社製、商品名「UVHC7800FS」)を、バーコーターを用いて塗布し、90℃で1分間乾燥後、500mJ/cm2の露光量で露光し、厚み10μmの硬化性樹脂層B−1を備えた成形用樹脂積層体1を得た。ここで樹脂層B−1における反応性官能基含有シリカの濃度は46質量%であった。得られた成形用樹脂積層体1のうち、硬化性樹脂層B−1の表面について鉛筆硬度と耐擦傷性の評価を行った。その結果を表1に示す。
得られた成形用樹脂積層体1を用いて、成形法Aにより熱成形を行い成形体1を得た。得られた成形体1について、熱成形性の評価を行った。その結果を表1に示す。
(成形用樹脂積層体2の作製)
実施例1で得られた積層体1の樹脂層A−1側の表面にウレタンアクリレート系紫外線硬化性樹脂組成物b−2(大成ファインケミカル社製、(商品名「8BR−500」)を、バーコーターを用いて塗布し、90℃で1分間乾燥後、500mJ/cm2の露光量で露光し、厚み10μmの硬化性樹脂層B−2を備えた成形用樹脂積層体2を得た。得られた成形用樹脂積層体2および樹脂層B−2について、実施例1と同様にして評価を行った。その結果を表1に示す。
得られた成形用樹脂積層体2を用いて、成形法Aにより熱成形を行い成形体2を得た。得られた成形体2について、実施例1と同様にして評価を行った。その結果を表1に示す。
(成形用樹脂積層体3の作製)
実施例1で得られた積層体1の樹脂層A−1側の表面に紫外線硬化性樹脂組成物b−3(DIC社製、(試作品名「UVTクリヤー」))を、バーコーターを用いて塗布し、90℃で1分間乾燥後、500mJ/cm2の露光量で露光し、厚み10μmの硬化性樹脂層B−3を備えた成形用樹脂積層体3を得た。得られた成形用樹脂積層体3および樹脂層B−3について、実施例1と同様にして評価を行った。その結果を表1に示す。
得られた成形用樹脂積層体3を用いて、成形法Aにより熱成形を行い成形体3を得た。得られた成形体3について、実施例1と同様にして評価を行った。その結果を表1に示す。
(成形用樹脂積層体4の作製)
有機・無機ハイブリッド系紫外線硬化性樹脂組成物b−1(MOMENTIVE社製、商品名「UVHC7800FS」)とウレタンアクリレート系紫外線硬化性樹脂組成物b−2(大成ファインケミカル社製、(商品名「8BR−500」))とを60:40の質量割合で混合して、硬化性樹脂組成物b−4とした。実施例1で得られた積層体1の樹脂層A−1側の表面に、この樹脂組成物b−4をバーコーターを用いて塗布し、90℃で1分間乾燥後、500mJ/cm2の露光量で露光し、厚み10μmの硬化性樹脂層B−4を備えた成形用樹脂積層体4を得た。ここで樹脂層B−4における反応性官能基含有シリカの濃度は31質量%であった。得られた成形用樹脂積層体4および樹脂層B−4について、実施例1と同様にして評価を行った。その結果を表1に示す。
成形用樹脂積層体4を用いて、成形法Bにより熱成形を行い成形体4を得た。得られた成形体4について、実施例1と同様にして評価を行った。その結果を表1に示す。
(成形用樹脂積層体5の作製)
実施例1で得られた積層体1の樹脂層A−1側の表面に有機・無機ハイブリッド系紫外線硬化性樹脂組成物b−5(MOMENTIVE社製、商品名「UVHC7800G」)を、バーコーターを用いて塗布し、90℃で1分間乾燥後、500mJ/cm2の露光量で露光し、厚み10μmの硬化性樹脂層B−5を備えた成形用樹脂積層体5を得た。ここで樹脂層B−5における反応性官能基含有シリカの濃度は54質量%であった。得られた成形用樹脂積層体5および樹脂層B−5について、実施例1と同様にして評価を行った。その結果を表1に示す。
得られた成形用樹脂積層体5を用いて、成形法Aにより熱成形を行い成形体5を得た。得られた成形体5について、実施例1と同様にして評価を行った。その結果を表1に示す。
−2.0(GPa)≦樹脂層Bの貯蔵弾性率−樹脂層Aの貯蔵弾性率≦2.5(GPa)
−1.0(GPa)≦樹脂層Aの貯蔵弾性率−樹脂層Cの貯蔵弾性率≦1.0(GPa)
なお、実施例1〜4の本発明の成形用樹脂積層体を用いて熱成形を行ったところ、良好な透明性を有する成形体が得られた。
12 :樹脂層C
13 :樹脂層A
14 :樹脂層B
Claims (8)
- 熱可塑性樹脂組成物aから形成される樹脂層A、および硬化性樹脂組成物bから形成される樹脂層Bの少なくとも二層を積層してなる成形用樹脂積層体において、
該樹脂層B表面の鉛筆硬度が5H以上であり、
前記熱可塑性樹脂組成物aがガラス転移温度が110℃以上であるアクリル系樹脂を主成分としてなり、かつ
所定の温度における樹脂層Aと樹脂層Bの貯蔵弾性率が、次の関係を満足することを特徴とする成形用樹脂積層体。
−2.0(GPa)≦樹脂層Bの貯蔵弾性率−樹脂層Aの貯蔵弾性率≦2.5(GPa)
ここで所定の温度とは、樹脂層Aのガラス転移温度−20℃の温度をさす。 - 熱可塑性樹脂組成物cから形成される樹脂層C、熱可塑性樹脂組成物aから形成される樹脂層A、および硬化性樹脂組成物bから形成される樹脂層Bの少なくとも三層をこの順に積層してなる成形用樹脂積層体において、
該樹脂層B表面の鉛筆硬度が5H以上であり、
前記熱可塑性樹脂組成物aがガラス転移温度が110℃以上であるアクリル系樹脂を主成分としてなり、
前記樹脂層Aと前記樹脂層Cとのガラス転移温度の差の絶対値が30℃以内であり、かつ
所定の温度における樹脂層A、樹脂層B、および樹脂層Cの貯蔵弾性率が、次の関係を満足することを特徴とする成形用樹脂積層体。
−2.0(GPa)≦樹脂層Bの貯蔵弾性率−樹脂層Aの貯蔵弾性率≦2.5(GPa)
−1.0(GPa)≦樹脂層Aの貯蔵弾性率−樹脂層Cの貯蔵弾性率≦1.0(GPa)
ここで所定の温度とは、樹脂層Aのガラス転移温度−20℃の温度をさす。 - 前記樹脂層A表面の鉛筆硬度が3H以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の成形用樹脂積層体。
- 前記アクリル系樹脂が硬質分散相材料を含有または分散してなることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の成形用樹脂積層体。
- 前記熱可塑性樹脂組成物cがポリカーボネート系樹脂を主成分としてなることを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の成形用樹脂積層体。
- 前記樹脂層Bの厚みが5μm以上20μm以下であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の成形用樹脂積層体。
- 前記硬化性樹脂組成物bが、電子線、放射線、紫外線より選ばれるエネルギー線により硬化する硬化性樹脂組成物を主成分としてなることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の成形用樹脂積層体。
- 請求項1から7のいずれか1項に記載の成形用樹脂積層体を熱成形して得られる成形体。
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