JP6281260B2 - 硬貨処理装置 - Google Patents

Description

本発明は、硬貨処理装置に関し、より詳細には、回転部材により搬送される硬貨を繰り出す硬貨処理装置に関する。

硬貨処理装置は、例えば店舗等に設置されたレジスターの硬貨を管理する装置である。この硬貨処理装置は、硬貨を収容部に一括して受け入れた後、金種の判別等を行うために、硬貨を一枚ずつ繰り出す。

例えば下記の特許文献１に開示されているように、硬貨処理装置の収容部に収容された硬貨は、回転部材の下方に設けられた搬送用突起に押されて搬送される。そして、搬送された硬貨は、繰り出し手段である繰り出しローラ）によってゲートから繰り出される。具体的には、硬貨は、回転部材の搬送用突起と繰り出しローラとの間で挟まれた後に、弾き飛ばれるように繰り出される。

特開２００８−３３７９９号公報

ところで、搬送用突起と繰り出し手段との間に挟まれた硬貨の姿勢によっては、硬貨が繰り出されずにロックすることがある。そして、硬貨がロックした状態で回転部材が更に回転すると、搬送用突起が損傷し、又は硬貨に傷が発生する恐れがある。

そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、回転部材の搬送用突起と繰り出し手段との間で硬貨がロックすることを防止可能な硬貨処理装置を提供することにある。

上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、硬貨を搬送する搬送路と、前記搬送路上に回転可能に設けられた回転部材と、前記回転部材から前記搬送路側へ突出し、前記回転部材の回転に伴い硬貨を搬送させる突起と、前記硬貨が繰り出されるゲートに設けられ、前記突起との間で硬貨を挟持可能な繰り出し手段と、前記繰り出し手段を第１方向、及び前記第１方向とは交差する第２方向へ移動可能に支持する支持部材と、を備え、前記支持部材は、回動支点を中心に前記第１方向に回動可能であり、前記繰り出し手段は、前記支持部材に対して前記第２方向に移動可能に支持されている、硬貨処理装置が提供される。

かかる硬貨処理装置によれば、硬貨を繰り出す繰り出し手段が、第１方向、及び前記第１方向とは交差する第２方向へ移動可能に設けられている。かかる場合には、硬貨が搬送用突起と繰り出し手段との間で挟まれた際に、繰り出し手段が硬貨に押されて第１方向と第２方向へ移動可能である。そして、繰り出し手段が複数の方向へ移動することにより、ロックしやすい状態となった硬貨の姿勢を変化させることでき、この結果、硬貨がロックすることを防止可能となる。

また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、硬貨を搬送する搬送路と、前記搬送路上に回転可能に設けられた回転部材と、前記回転部材から前記搬送路側へ突出し、前記回転部材の回転に伴い硬貨を搬送させる突起と、前記硬貨が繰り出されるゲートに設けられ、前記突起との間で硬貨を挟持可能な繰り出し手段と、前記繰り出し手段を第１方向、及び前記第１方向とは交差する第２方向へ移動可能に支持する支持部材と、を備え、前記支持部材は、回動支点を中心に前記第１方向に回動可能であり、前記回動支点は、回動軸であり、前記支持部材は、長手方向が前記第２方向に沿っている長穴を有し、前記回動軸は、前記長穴に対して前記長手方向に移動可能に嵌合している、硬貨処理装置が提供される。

また、上記の硬貨処理装置は、前記繰り出し手段を前記第１方向とは反対方向へ付勢する第１付勢部材と、前記繰り出し手段を前記第２方向とは反対方向へ付勢する第２付勢部材と、を更に備えても良い。

また、上記の硬貨処理装置は、前記ゲートに設けられ、前記繰り出し手段とで硬貨を挟んで前記硬貨を繰り出す支点部材を更に備えても良い。

また、上記の硬貨処理装置は、前記搬送路から前記回転部材へ向けて突出するように設けられ、前記ゲートへ前記硬貨をガイドするガイド突起を更に備えても良い。

以上説明したように本発明によれば、回転部材の搬送用突起と繰り出し手段との間で硬貨がロックすることを防止可能となる。

本発明の第１の実施形態に係る硬貨処理装置１の内部構成の一例を示す概略図である。 第１の実施形態に係る金種別ホッパ部６０の内部構成の一例を示す図である。 図２のＡ−Ａ斜視図である。 第１の実施形態に係る回転ディスク２２０と繰り出し部２５０の構成の一例を示す斜視図である。 繰り出し部２５０の構成の一例を示す斜視図である。 繰り出し部２５０の構成の一例を示す斜視図である。 繰り出し部２５０の構成の一例を示す斜視図である。 硬貨のロックを防止する繰り出しローラ２５４の第１方向及び第２方向への移動を説明するための模式図である。 支点ベアリング２５２と繰り出しローラ２５４による硬貨の繰り出す動作を説明するための図である。 第２の実施形態に係る繰り出し部３５０の構成の一例を示す模式図である。 硬貨のロックを防止する繰り出しローラ２５４の第１方向及び第２方向への移動を説明するための模式図である。

以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。

＜１．第１の実施形態＞
（１−１．硬貨処理装置の構成）
図１を参照しながら、第１の実施形態に係る硬貨処理装置１の構成について説明する。図１は、第１の実施形態に係る硬貨処理装置１の内部構成の一例を示す概略図である。なお、図１（ａ）は、硬貨処理装置１を正面側から見た図であり、図１（ｂ）は、硬貨処理装置１を側面側から見た図である。

硬貨処理装置１は、硬貨を一括して受け入れた後、各硬貨の硬貨認識を行って金種を判別する。その後、硬貨処理装置１は、判別結果に応じて金種毎に硬貨を選別し、選別した硬貨を出金する。図１に示すように、硬貨処理装置１は、硬貨受領部１０と、硬貨繰り出し部２０と、硬貨判別部３０と、選別搬送路４０と、リジェクト硬貨収容部５０と、金種別ホッパ部６０と、切替部７０と、硬貨出金箱８０と、硬貨回収庫８４と、制御ユニット９０とを有する。

硬貨受領部１０は、投入される硬貨Ｃを受ける部分である。硬貨受領部１０は、硬貨処理装置１の上方、かつ前面側に位置する。硬貨受領部１０は、硬貨Ｃが投入される投入口１１を有する。投入口１１は、大量の硬貨Ｃを一括して投入し易いように、広く開口している。硬貨受領部１０に投入された硬貨Ｃは、硬貨繰り出し部２０に落下する。

硬貨繰り出し部２０は、硬貨受領部１０の下方に位置し、硬貨受領部１０から落下した硬貨Ｃを一枚ずつ繰り出す。硬貨繰り出し部２０内には、例えば回転円盤（不図示）が設けられている。硬貨繰り出し部２０内の硬貨Ｃは、回転円盤が回転する際の遠心力により移動して、一枚ずつ硬貨判別部３０へ繰り出される。

硬貨判別部３０は、硬貨繰り出し部２０から繰り出された硬貨Ｃの真偽、金種等の判別を行う。硬貨判別部３０は、硬貨Ｃを認識するセンサ（不図示）を有し、センサで検出した硬貨Ｃの特徴に基づいて、硬貨の真偽、金種等を判別する。硬貨判別部３０は、判別した硬貨Ｃを選別搬送路４０に搬送する。

選別搬送路４０は、硬貨判別部３０による判別結果に基づいて、硬貨Ｃを選別して搬送する。選別搬送路４０は、搬送路上流側に位置するリジェクト口４１と、搬送路下流側に位置する金種別の受入口４２ａ〜４２ｆとを有する。硬貨判別部３０において真貨で無いと判別された硬貨Ｃは、リジェクト口４１から排出される。真貨であると判別された硬貨Ｃは、金種別に受入口４２ａ〜４２ｆから排出される。

リジェクト硬貨収容部５０は、リジェクト口４１から排出された硬貨を収容する。リジェクト口４１の下方には、リジェクト口４１を通過した硬貨をリジェクト硬貨収容部５０へ導くリジェクトシュートが配置（矢印Ｒのルートで配置）されている。

金種別ホッパ部６０は、金種別の受入口４２ａ〜４２ｆから排出された硬貨を収容する。本実施形態では、所定の配列方向（図１のＹ方向）に沿って配列された６個の金種別ホッパ部６０ａ〜６０ｆが設けられている。金種別ホッパ部６０ａ〜６０ｆの各々は、対応する金種別の受入口４２ａ〜４２ｆの下方に一例に配置している。金種別ホッパ部６０ａ〜６０ｆと受入口４２ａ〜４２ｆの間には、受入口４２ａ〜４２ｆから排出された硬貨を金種別ホッパ部６０ａ〜６０ｆへ導く硬貨落下シュートが配置（矢印Ｓのルートで配置）されている。金種別ホッパ部６０ａ〜６０ｆは、詳細は後述するが、硬貨Ｃを一枚ずつ搬送して繰り出す。

切替部７０は、金種別ホッパ部６０ａ〜６０ｆの各々に設けられ、金種別ホッパ部６０ａ〜６０ｆから繰り出さされた硬貨の搬送先を、硬貨出金箱８０と硬貨回収庫８４の間で切り替える。切替部７０は、搬送先を切り替えるために第１位置と第２位置の間で回動可能な切替ガイド７２を有する。

硬貨出金箱８０は、出金される硬貨を収納する。硬貨回収庫８４は、回収される硬貨を収納する。硬貨出金箱８０には、切替ガイド７２が第１位置に位置する際に、硬貨が矢印Ｔで示すルートで落下する。硬貨回収庫８４には、切替ガイド７２が第２位置に位置する際に、硬貨が矢印Ｕで示すルートで落下する。

制御ユニット９０は、硬貨処理装置１の全体動作を制御する。制御ユニット９０は、上述した各構成要素の動作を制御する制御部と、制御部が実行するプログラムや各種のデータを記憶する記憶部と、を有する。

（１−２．金種別ホッパ部の構成）
図２及び図３を参照しながら、第１の実施形態に係る金種別ホッパ部６０の構成について説明する。なお、金種別ホッパ部６０ａ〜６０ｆの構成は同様であるので、以下においては、一の金種別ホッパ部６０ａ（説明の便宜上、金種別ホッパ部６０と呼ぶ）を例に挙げて説明する。

図２は、第１の実施形態に係る金種別ホッパ部６０の内部構成の一例を示す図である。図３は、図２のＡ−Ａ斜視図である。図２に示すように、金種別ホッパ部６０は、タンク部２１０と、回転部材の一例である回転ディスク２２０と、駆動部２３０と、搬送ガイド２４０と、磁気センサ２６０と、を有する。

タンク部２１０は、金種別の受入口４２ａ〜４２ｆから落下した硬貨Ｃを収容する。タンク部２１０の下部２１２には回転ディスク２２０が設けられており、下部２１２の内周面は、回転ディスク２２０が回転可能なように、回転ディスク２２０の外周に沿った形状に形成されている。タンク部２１０の下部２１２は、斜めの形状をしている。タンク部２１０の上方には、受入口４２ａ〜４２ｆから落下した硬貨Ｃをタンク部２１０内に導くための開口２１６が形成されている。

回転ディスク２２０は、タンク部２１０の下部２１２に配置された金属製の円形状の部材である。回転ディスク２２０は、回転可能に軸２２１に支持され、回転することによりタンク部２１０に収容された硬貨Ｃを移動させて分離する。回転ディスク２２０には、タンク部２１０の硬貨Ｃを搬送路２４２へ導入するための貫通穴２２２が、周方向に沿って複数（図３では４つ）形成されている。

回転ディスク２２０の裏面かつ貫通穴２２２の周囲には、搬送ガイド２４０へ突出した搬送用突起２２３（図２）が形成されている。搬送用突起２２３は、回転ディスク２２０が所定方向（図３に示す反時計方向）に回転する際に、硬貨Ｃを押しながら搬送する。また、回転ディスク２２０の外周面には、ギア部２２４（図３）が形成されている。ギア部２２４は、下部２１２の側面に形成された切り欠き部２１４で、駆動部２３０のモータギア２３４と噛み合っている。

駆動部２３０は、回転ディスク２２０を回転させる回転駆動力を回転ディスク２２０に伝達する。駆動部２３０は、モータ２３２と、モータギア２３４とを有する。モータギア２３４は、例えばモータ２３２のＤカットされたモータ軸に固定されている。

搬送ガイド２４０は、タンク部２１０の底（回転ディスク２２０の下）に位置し、搬送される硬貨をガイドする。搬送ガイド２４０は、回転ディスク２２０と共に、回転ディスク２２０が硬貨Ｃを一枚ずつ搬送する搬送路２４２を形成している。また、搬送ガイド２４０も、回転ディスク２２０と同様に斜めに配置されているため、搬送路２４２内の硬貨Ｃが、自重によりゲート２４４に向かって滑りやすくなる。

なお、搬送ガイド２４０においてゲート２４４への入口には、ゲート２４４へ硬貨をガイドするガイドピン２４６が設けられている。ガイドピン２４６は、搬送ガイド２４０から回転ディスク２２０へ向けて突出するように設けられている。ガイドピン２４６によって、搬送用突起２２３で搬送された硬貨が、ゲート２４４へ進入しやすくなる。なお、ガイドピン２４６は、突出方向に移動可能な構成となっており、回転ディスク２２０が反転した際には、硬貨によって押し下げられる。また、回転ディスク２２０には、ガイドピン２４６と接触しないように環状の凹部（不図示）が形成されている。

繰り出し部２５０は、ゲート２４４に設けられ、回転ディスク２２０の搬送用突起２２３で搬送された硬貨を、繰り出す機能を有する。繰り出し部２５０は、支点ベアリング２５２と、繰り出し手段の一例である繰り出しローラ２５４とを有する。支点ベアリング２５２が移動しない一方で、繰り出しローラ２５４は、不図示の支点を中心に移動可能である。そして、繰り出しローラ２５４の移動に伴い、支点ベアリング２５２と繰り出しローラ２５４の間に挟まれる硬貨Ｃが、繰り出される。なお、繰り出し部２５０の詳細構成については、後述する。

磁気センサ２６０は、搬送路２６１において支点ベアリング２５２と繰り出しローラ２５４によって繰り出された硬貨Ｃを検出する。また、磁気センサ２６０は、回転ディスク２２０の貫通穴２２２による硬貨の搬送状態を検出可能である。磁気センサ２６０は、搬送ガイド２４０の外側に設けられている。

磁気センサ２６０の下流側は、出金箱ダクト７４と硬貨回収庫ダクト７６に分岐されており、分岐点には切替部７０の切替ガイド７２が設けられている。出金箱ダクト７４は、硬貨出金箱８０と繋がっており、硬貨回収庫ダクト７６は、硬貨回収庫８４と繋がっている。磁気センサ２６０を通過した硬貨は、切替ガイド７２が第１位置に位置する際には出金箱ダクト７４を経由して硬貨出金箱８０へ搬送され、切替ガイド７２が第２位置に位置する際には硬貨回収庫ダクト７６を経由して硬貨回収庫８４へ搬送される。

（１−３．繰り出し部の詳細構成）
図４〜図７を参照しながら、繰り出し部２５０の詳細構成について説明する。

図４は、回転ディスク２２０と繰り出し部２５０の構成の一例を示す斜視図である。図５は、繰り出し部２５０の構成の一例を示す斜視図である。図６は、繰り出し部２５０の構成の一例を示す斜視図である。図７は、繰り出し部２５０の構成の一例を示す斜視図である。

繰り出し部２５０は、図５に示すように、支点ベアリング２５２と、繰り出しローラ２５４と、ローラ軸２５５と、支持フレーム２８０と、支持部材の一例である回動アーム２８２と、第１付勢部材の一例である第１バネ２９０と、第２付勢部材の一例である第２バネ２９２と、を有する。

（支点ベアリング２５２）
支点ベアリング２５２は、図４に示すようにゲート２４４に設けられ、繰り出しローラ２５４と対向している。支点ベアリング２５２は、繰り出しローラ２５４とで硬貨を挟んで硬貨を繰り出す。支点ベアリング２５２は、搬送ガイド２４０に固定支持され、移動しない。なお、図５及び図６では、説明の便宜上、支点ベアリング２５２を支持する搬送ガイド２４０が省略されている。

（繰り出しローラ２５４）
繰り出しローラ２５４は、図４に示すようにゲート２４４に設けられ、支点ベアリング２５２に対して移動可能である。繰り出しローラ２５４は、支点ベアリング２５２と協働して、硬貨を弾き飛ばすように繰り出す。

繰り出しローラ２５４は、回転ディスク２２０の搬送用突起２２３によりゲート２４４へ搬送され硬貨を、搬送用突起２２３との間で挟持可能である。繰り出しローラ２５４は、搬送用突起２２３とで硬貨を挟持した後回転ディスク２２０が更に回転することで、硬貨から力を受けて支点ベアリング２５２から離れる方向へ移動する。これにより、硬貨が、ゲート２４４へ更に進入し、支点ベアリング２５２と繰り出しローラ２５４の間で挟まれる。その後、繰り出しローラ２５４が支点ベアリング２５２へ近づく方向へ移動する際に、硬貨を弾き飛ばす。

第１の実施形態において、詳細は後述するが、繰り出しローラ２５４は、第１方向、及び第１方向とは交差する第２方向へ移動可能に設けられている。具体的には、第１方向は、繰り出しローラ２５４が回動する方向であり、第２方向は、繰り出しローラ２５４が並進する方向である。このように、繰り出しローラ２５４が、第１方向、及び第１方向とは交差する第２方向へ移動することで、繰り出しローラ２５４と搬送用突起２２３の間で硬貨がロックすることを防止できる。

（ローラ軸２５５）
ローラ軸２５５は、図７に示すように、繰り出しローラ２５４を支持する軸である。ローラ軸２５５の軸方向の一端側に、繰り出しローラ２５４が取り付けられている。ローラ軸２５５は、回動アーム２８２に支持されている。ローラ軸２５５は、第２バネ２９２によって付勢されている。ローラ軸２５５は、第２バネ２９２によって付勢されて待機する待機位置と、第２バネ２９２の付勢力に抗い並進した並進位置と、の間で移動可能である。

（支持フレーム２８０）
支持フレーム２８０は、図５に示すように、回動アーム２８２を覆うように構成され、回動アーム２８２を支持する。回動アーム２８２は、支持軸２８６を介して支持フレーム２８０に対して第１方向に回動可能に支持されている。支持フレーム２８０には、第１バネ２９０の他端側のフック２９０ｂを引っ掛ける引掛け穴２８１が形成されている。

（回動アーム２８２）
回動アーム２８２は、図７に示すように、ローラ軸２５５を介して繰り出しローラ２５４を支持する。回動アーム２８２は、支持軸２８６を回転支点として第１方向（図６に示す矢印の方向）に回動する。回動アーム２８２が支持軸２８６を中心に第１方向に回動することで、回動アーム２８２に支持された繰り出しローラ２５４も、共に移動する。

回動アーム２８２には、図６に示すように、第１バネ２９０の一端側のフック２９０ａを引っ掛ける引掛け穴２８３が形成されている。このため、回動アーム２８２は、支持フレーム２８０及び回動アーム２８２に引っ掛けられた第１バネ２９０によって、繰り出しローラ２５４が支点ベアリング２５２に近づく方向への付勢されている。そして、回動アーム２８２は、第１バネ２９０によって付勢されて待機する待機位置と、第１バネ２９０の付勢力に抗い回動した回動位置と、の間で移動可能である。

回動アーム２８２には、ローラ軸２５５が並進移動可能に支持されている。具体的には、図７に示すように、回動アーム２８２には、ローラ軸２５５を支持するための支持穴２８４が形成されている。支持穴２８４は、長穴となっている。なお、ローラ軸２５５の回動アーム２８２に対する軸方向への移動は、所謂Ｅリングによって規制されている。

本実施形態において、ローラ軸２５５は、回動アーム２８２に対して支持穴２８４の長手方向（図７に示す矢印の方向）に沿って並進可能である。ローラ軸２５５が支持穴２８４の長手方向（第２方向）に並進することで、ローラ軸２５５に支持された繰り出しローラ２５４も支持穴２８４の長手方向に並進することになる。

回動アーム２８２には、図６に示すように、第２バネ２９２の他端側のフック２９２ｂを引っ掛ける引掛け板２８７が固定されている。一方で、第２バネ２９２の一端側のフック２９２ａは、ローラ軸２５５に引っ掛けられている。このため、ローラ軸２５５は、第２バネ２９２によって、繰り出しローラ２５４が引掛け板２８７に近づく方向への付勢されている。

（第１バネ２９０）
第１バネ２９０は、例えば両端側にフックを有する引張バネである。第１バネ２９０の一端側のフック２９０ａは、回動アーム２８２の引っ掛け穴２８３（図６参照）に引っ掛けられ、他端側のフック２９０ｂは、支持フレーム２８０の引っ掛け穴２８１（図５参照）に引っ掛けられている。これにより、第１バネ２９０は、繰り出しローラ２５４が支点ベアリング２５２に近づく方向へ、すなわち第１方向とは反対方向へ回動アーム２８２を付勢する。

（第２バネ２９２）
第２バネ２９２も、第１バネ２９０と同様に引っ張りバネである。第２バネ２９２の一端側のフック２９２ａは、図７に示すようにローラ軸２５５に引っ掛けられ、他端側のフック２９２ｂは、図６に示すように引掛け板２８７に引っ掛けられている。これにより、第２バネ２９２は、繰り出しローラ２５４が引掛け板２８７に近づく方向へ、すなわち第２方向とは反対方向へローラ軸２５５を付勢する。そして、本実施形態では、第２バネ２９２がローラ軸２５５を付勢する方向は、第１バネ２９０が回動アーム２８２を付勢する方向と交差している。

ところで、上述したように、回動アーム２８２は、待機位置から回動位置へ向かう第１方向へ回動し、回動アーム２８２に支持されたローラ軸２５５は、待機位置から並進位置へ向かう第２方向へ並進する。これに伴い、ローラ軸２５５に支持された繰り出しローラ２５４も、第１方向及び第２方向へ移動することになり、繰り出しローラ２５４と搬送用突起２２３の間で硬貨がロックすることを防止できる。かかる仕組みを、図８を参照しながら説明する。

図８は、硬貨のロックを防止する繰り出しローラ２５４の第１方向及び第２方向への移動を説明するための模式図である。図８では、説明の便宜上、金種別ホッパ部６０の搬送用突起２２３、支点ベアリング２５２、繰り出しローラ２５４、回動アーム２８２、第１バネ２９０、及び第２バネ２９２を抽出して図示している。

まず、図８（ａ）は、硬貨が回転ディスク２２０の搬送用突起２２３によってゲート２４４へ搬送される前の、支点ベアリング２５２、繰り出しローラ２５４、回動アーム２８２、第１バネ２９０、及び第２バネ２９２の状態を示している。この状態では、回動アーム２８２及びローラ軸２５５は、それぞれ待機位置に位置する。

図８（ａ）に示す状態から、硬貨がゲート２４４へ搬送されると、図８（ｂ）に示すように、硬貨が搬送用突起２２３と繰り出しローラ２５４の間で挟まれる。そして、回転ディスク２２０が更に回転すると、繰り出しローラ２５４が硬貨から押されることで、待機位置に位置する回動アーム２８２が、第１バネ２９０の付勢力に抗い、支持軸２８６を中心に図８（ｂ）に示す方向Ｄ１に回動して回動位置に位置する。これにより、繰り出しローラ２５４が支点ベアリング２５２から離れることになる。

ところで、図８（ｂ）に示す状態で、搬送用突起２２３と繰り出しローラ２５４に挟まれた硬貨の姿勢によっては、硬貨が搬送用突起２２３と繰り出しローラ２５４の間でロックする恐れがある。特に、繰り出しローラ２５４が特定の一方向へのみ移動する場合には、ロックが発生する可能性が高まる。

これに対して、第１の実施形態では、図８（ｃ）に示すように、ローラ軸２５５が、第２バネ２９２の付勢力に抗い回動アーム２８２の支持穴２８４の長手方向へ並進することで、繰り出しローラ２５４も、支持穴２８４の長手方向へ並進する。具体的には、ローラ軸２５５が、外側の並進位置へ移動する。これにより、搬送用突起２２３と繰り出しローラ２５４に対する硬貨の接触状態が、変化する。この結果、硬貨のロックされる状態を直ぐに解消できる。

その後、回転ディスク２２０が更に回転すると、搬送用突起２２３に押された硬貨は、図８（ｄ）に示すように、ゲート２４４から繰り出されずに繰り出しローラ２５４を通過して、搬送路２４２内に戻される。その後、ローラ軸２５５（繰り出しローラ２５４）は、図８（ｅ）に示すように、第２バネ２９２の付勢力により方向Ｄ２の反対方向へ、すなわち並進位置から待機位置へ移動する。その後、回動アーム２８２が、第１バネ２９０の付勢力により方向Ｄ１の反対方向へ回動し、待機位置に位置する。

（１−４．硬貨処理装置の動作）
上述した構成の硬貨処理装置１の動作例について、前述した図１を参照しながら説明する。なお、硬貨処理装置１の動作は、制御ユニット９０の制御部によって実行される。すなわち、制御部は、記憶部に記憶されたプログラムを実行することで、下記に説明する動作を実行する。

硬貨受領部１０に硬貨Ｃが一括して投入されると、投入された硬貨Ｃは硬貨繰り出し部２０に落下する。硬貨繰り出し部２０は、落下した硬貨Ｃを一枚ずつ硬貨判別部３０に繰り出す。硬貨判別部３０は、繰り出された硬貨Ｃの真偽、金種等を判別し、判別した硬貨Ｃを選別搬送路４０に搬送する。

硬貨判別部３０により真貨で無いと判別された硬貨Ｃは、選別搬送路４０内のリジェクト口４１に搬送されて、リジェクト硬貨収容部５０に落下する。一方で、真貨であると判別された硬貨Ｃは、選別搬送路４０内の金種別の受入口４２ａ〜４２ｆに搬送されて、金種別ホッパ部６０ａ〜６０ｆに落下する。

そして、硬貨を出金する場合には、以下の動作が行われる。まず、ユーザが各金種の出金枚数及び出金先（硬貨出金箱８０又は硬貨回収庫８４）を選択すると、制御ユニット９０は、各金種別ホッパ部６０ａ〜６０ｆの切替部７０の切替ガイド７２を、搬送先に対応した位置（第１位置又は第２位置）に位置させる。

その後、回転ディスク２２０が回転することにより、回転ディスク２２０の搬送用突起２２３が、搬送路２４２の硬貨をゲート２４４へ向けて搬送する。この際、ガイドピン２４６が、硬貨をゲート２４４へガイドする。

硬貨Ｃは、図９（ａ）に示すように、支点ベアリング２５２と繰り出しローラ２５４に挟まれる。その後、図９（ｂ）に示すように、繰り出しローラ２５４が矢印Ｘの方向に移動（実際は回動）すると、硬貨Ｃは磁気センサ２６０側に移動を開始する。その後、図９（ｃ）に示すように、硬貨Ｃの中心が、支点ベアリング２５２と繰り出しローラ２５４の中心を結んだ仮想線よりも磁気センサ２６０側に移動すると、繰り出しローラ２５４は、不図示のスプリングによって矢印Ｙの方向に移動（実際は回動）する。そして、繰り出しローラ２５４の矢印Ｙの方向への移動に伴い、硬貨Ｃは、弾き飛ばされて（繰り出されて）、磁気センサ２６０を通過する。磁気センサ２６０が通過する硬貨Ｃを検出すると、制御部は硬貨が一枚繰り出されたことをカウントする。図９は、支点ベアリング２５２と繰り出しローラ２５４による硬貨の繰り出す動作を説明するための図である。

なお、繰り出しローラ２５４は、上述したように、第１方向Ｄ１だけで無く、第１方向と交差する第２方向Ｄ２に移動可能である。このため、硬貨が繰り出しローラ２５４と搬送用突起２２３の間でロックしやすい状態になっても、繰り出しローラ２５４が第２方向へ移動するので、かかる状態を解消できる。

磁気センサ２６０を通過した硬貨Ｃは、切替ガイド７２が第１位置に位置する際には、出金箱ダクト７４を経由して硬貨出金箱８０に収納される。一方で、切替ガイド７２が第２位置に位置する際には、硬貨Ｃは、硬貨回収庫ダクト７６を経由して硬貨回収庫８４に収納される。そして、ユーザの選択枚数の硬貨が出金されると、硬貨処理装置１の動作は終了する。

＜２．第２の実施形態＞
上述した第１の実施形態では、回動アーム２８２が支持軸２８６を中心に第１方向Ｄ１に回動し、ローラ軸２５５が、回動アーム２８２の支持穴２８４の長手方向（第２方向Ｄ２）に並進する（図８参照）。これに対して、第２の実施形態では、回動アーム３８２が、第１方向に回動すると共に、第２方向に並進する。

図１０を参照しながら、第１の実施形態と異なる回動アーム３８２の構成を中心に説明する。図１０は、第２の実施形態に係る繰り出し部３５０の構成の一例を示す模式図である。なお、図１０では、説明の便宜上、支点ベアリング２５２、繰り出しローラ２５４、回動アーム３８２、第１バネ２９０、及び第２バネ２９２を抽出して図示している。

回動アーム３８２は、支持軸２８６を回転支点として第１方向に回動する。回動アーム３８２が支持軸２８６を中心に第１方向に回動することで、回動アーム３８２に支持された繰り出しローラ２５４も、共に移動する。なお、第２の実施形態に係る繰り出しローラ２５４は、回動アーム３８２に対して並進しない。

回動アーム３８２には、第１の実施形態と同様に、第１バネ２９０の一端側のフック２９０ａが引っ掛けられている。回動アーム３８２は、第１バネ２９０によって、繰り出しローラ２５４が支点ベアリング２５２に近づく方向への付勢されている。そして、回動アーム３８２は、第１バネ２９０によって付勢されて待機する待機位置（図１０に示す位置）と、第１バネ２９０の付勢力に抗い回動した回動位置（図１１（ｂ）に示す位置）と、の間で移動可能である。

回動アーム３８２には、支持フレーム２８０に支持された支持軸２８６と嵌合する長穴３８８が形成されている。長穴３８８の長手方向は、第１方向と交差する第２方向に沿っている。このような長穴３８８が形成されることで、回動アーム３８２は、支持軸２８６と嵌合した長穴３８８の長手方向に沿って並進可能である。

また、回動アーム３８２には、第２バネ２９２が引っ掛けられている。第２バネ２９２が回動アーム３８２を付勢する方向は、第１バネ２９０が回動アーム３８２を付勢する方向と交差する。回動アーム３８２は、第２バネ２９２によって付勢されて待機する待機位置（図１０に示す位置）と、第２バネ２９２の付勢力に抗い長穴３８８の長手方向へ並進した並進位置（図１１（ｃ）に示す位置）と、の間で移動可能である。

このように、回動アーム３８２が第１方向、及び第２方向に移動することで、回動アーム３８２に支持された繰り出しローラ２５４も、第１方向、及び第２方向に移動できる。このため、第２の実施形態の場合にも、繰り出しローラ２５４と搬送用突起２２３の間で硬貨がロックすることを防止できる。

なお、第２の実施形態の繰り出し部３５０の上記の説明以外の構成（支点ベアリング２５２、繰り出しローラ２５４等）は、第１の実施形態と同様であるので、詳細な説明は省略する。

次に、図１１を参照しながら、第２の実施形態に係る繰り出しローラ２５４の第１方向及び第２方向への移動を説明する。

図１１は、硬貨のロックを防止する繰り出しローラ２５４の第１方向及び第２方向への移動を説明するための模式図である。図１１では、図８と同様に、金種別ホッパ部６０の搬送用突起２２３、支点ベアリング２５２、繰り出しローラ２５４、回動アーム３８２、第１バネ２９０、及び第２バネ２９２を抽出して図示している。

ここでは、図１１（ａ）に示すように、硬貨がゲート２４４に搬送される前の回動アーム３８２が待機位置に位置するものとする。図１１（ａ）に示す状態から、硬貨がゲート２４４へ搬送されると、図１１（ｂ）に示すように、硬貨が搬送用突起２２３と繰り出しローラ２５４の間で挟まれる。そして、回転ディスク２２０が更に回転すると、繰り出しローラ２５４が硬貨から押されることで、回動アーム２８２が、第１バネ２９０の付勢力に抗い、支持軸２８６を中心に図１１（ｂ）に示す方向Ｄ１に回動する。

図１１（ｂ）に示す状態で繰り出しローラ２５４が硬貨により更に押される場合には、回動アーム３８２が、第２バネ２９２の付勢力に抗い、長穴３８８の長手方向へ並進する。具体的には、繰り出しローラ２５４が、外側の並進位置へ移動する。これにより、搬送用突起２２３と繰り出しローラ２５４に対する硬貨の接触状態が、変化する。この結果、硬貨のロックされる状態を直ぐに解消できる。

その後、回転ディスク２２０が更に回転すると、搬送用突起２２３に押された硬貨は、図１１（ｄ）に示すように、ゲート２４４から繰り出されずに繰り出しローラ２５４を通過して、搬送路２４２内に戻される。回動アーム３８２は、第１バネ２９０と第２バネ２９２の付勢力により、図１１（ｅ）に示すように、方向Ｄ１と方向Ｄ２の反対方向へ移動し、待機位置に位置する。

なお、上記では、回動アーム３８２が、待機位置から回動位置へ移動した後に、並進位置へ移動するものとしたが、これに限定されない。例えば、回動アーム３８２が、待機位置から並進位置へ移動した後に、回動位置へ移動しても良い。

また、上記では、第１方向は、繰り出しローラ２５４が回動する方向Ｄ１であり、第１方向と交差する第２方向は、繰り出しローラ２５４が並進する方向Ｄ２であることとしたが、これに限定されない。例えば、第１方向、及び第１方向と交差する第２方向が、それぞれ異なる向きに並進する方向であっても良く、それぞれ異なる向きに回動する方向であっても良い。

また、上記では、繰り出しローラ２５４の第１方向及び第２方向へ移動させるために、回動アーム２８２、第１バネ２９０、及び第２バネ２９２を用いた構成を例に挙げて説明したが、これに限定されず、他の構成で実現させても良い。

また、上記では、繰り出し手段として回転可能な繰り出しローラ２５４を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、繰り出し手段は、回転しない円柱状の部材や、棒状の部材であっても良い。

＜３．まとめ＞
上述した硬貨処理装置１によれば、硬貨を繰り出す繰り出し手段（一例として繰り出しローラ２５４）が、第１方向（具体的には、回動する方向Ｄ１）、及び第１方向とは交差する第２方向（具体的には、並進する方向Ｄ２）へ移動可能に設けられている。

かかる場合には、硬貨が搬送用突起２２３と繰り出しローラ２５４との間で挟まれた際に、繰り出しローラ２５４が硬貨に押されて第１方向Ｄ１と第２方向Ｄ２へ移動可能である。そして、繰り出しローラ２５４が複数の方向へ移動することにより、ロックしやすい状態となった硬貨の姿勢を変化させることでき、この結果、硬貨がロックすることを防止可能となる。

以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。

１ 硬貨処理装置
２２０ 回転ディスク
２２３ 搬送用突起
２４２ 搬送路
２４６ ガイドピン
２５０ 繰り出し部
２５２ 支点ベアリング
２５４ 繰り出しローラ
２５５ ローラ軸
２８２ 回動アーム
２８６ 支持軸
２９０ 第１バネ
２９２ 第２バネ
３８２ 回動アーム

Claims (5)

1. 硬貨を搬送する搬送路と、
   前記搬送路上に回転可能に設けられた回転部材と、
   前記回転部材から前記搬送路側へ突出し、前記回転部材の回転に伴い硬貨を搬送させる突起と、
   前記硬貨が繰り出されるゲートに設けられ、前記突起との間で硬貨を挟持可能な繰り出し手段と、
   前記繰り出し手段を第１方向、及び前記第１方向とは交差する第２方向へ移動可能に支持する支持部材と、
   を備え、
   前記支持部材は、回動支点を中心に前記第１方向に回動可能であり、
   前記繰り出し手段は、前記支持部材に対して前記第２方向に移動可能に支持されている、硬貨処理装置。
2. 硬貨を搬送する搬送路と、
   前記搬送路上に回転可能に設けられた回転部材と、
   前記回転部材から前記搬送路側へ突出し、前記回転部材の回転に伴い硬貨を搬送させる突起と、
   前記硬貨が繰り出されるゲートに設けられ、前記突起との間で硬貨を挟持可能な繰り出し手段と、
   前記繰り出し手段を第１方向、及び前記第１方向とは交差する第２方向へ移動可能に支持する支持部材と、
   を備え、
   前記支持部材は、回動支点を中心に前記第１方向に回動可能であり、
   前記回動支点は、回動軸であり、
   前記支持部材は、長手方向が前記第２方向に沿っている長穴を有し、
   前記回動軸は、前記長穴に対して前記長手方向に移動可能に嵌合している、硬貨処理装置。
3. 請求項１または２に記載の硬貨処理装置において、
   前記繰り出し手段を前記第１方向とは反対方向へ付勢する第１付勢部材と、
   前記繰り出し手段を前記第２方向とは反対方向へ付勢する第２付勢部材と、
   を更に備える、硬貨処理装置。
4. 請求項１〜３のいずれか１項に記載の硬貨処理装置において、
   前記ゲートに設けられ、前記繰り出し手段とで硬貨を挟んで前記硬貨を繰り出す支点部材を更に備える、硬貨処理装置。
5. 請求項１〜４のいずれか１項に記載の硬貨処理装置において、
   前記搬送路から前記回転部材へ向けて突出するように設けられ、前記ゲートへ前記硬貨をガイドするガイド突起を更に備える、硬貨処理装置。
   

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