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JP6269111B2 - マイクロニードル及びマイクロニードルアレイ - Google Patents

マイクロニードル及びマイクロニードルアレイ Download PDF

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Description

本発明は、薬剤搬送システム(drug delivery system: DDS)、特に皮膚を介して体内に薬剤等を投与する経皮吸収システム(trans-dermal therapeutic system: TTS)に用いられるマイクロニードル及びマイクロニードルアレイに関する。
経皮吸収システムによる薬剤投与法は、注射剤に比較して痛みが少なく人体に対する侵襲性が低いこと、経口剤に比較して消化管や肝臓への負担が少なく初回通過効果を受けないこと、及び長期間に渡り一定濃度の薬剤を体内に搬送できることなどの利便性がある。人体の皮膚は異物の侵入を防御する生体バリヤ機能を本来有しているため、特に高分子薬剤(例えばインスリンやワクチン抗原)を経皮投与してもほとんど体内に搬送されることはない。
マイクロニードル法は経皮吸収システムの1つである。マイクロニードル法で用いられるマイクロニードルアレイは、一般に円錐又はピラミッド状で高さが数百μmのマイクロニードルを複数配列してなる。ニードルの表面に薬剤がコーティングされ、又はニードル内部に薬剤が含浸される。皮膚に刺したマイクロニードルの先端部が角質層を貫通することで、真皮組織中で溶解した薬剤の体内への搬送が実現される。処置においてニードルが神経に到達しないので痛みはほとんど感じられない。
医療におけるマイクロニードル法の開発当初は、チタンなどの金属材料によりマイクロニードルが製造された。近年では、紫外線又は電子線フォトリソグラフィなどを用いた三次元微細加工技術(micro electro mechanical systems: MEMS)の進展、及びそのようなフォトリソグラフィ技術を用いて安価かつ大量に生産が可能であるとのことから、単結晶シリコンを素材としたマイクロニードルアレイの製造法の研究が進められている(例えば特許文献1参照)。
一方で、マイクロニードルは、折損により皮膚内部に残存するリスクもある。そのため、皮膚内部で自己溶解することにより薬剤を体内に徐放し得る生体内溶解性高分子を素材とする経皮吸収剤が提案されている(例えば特許文献2及び3参照)。特許文献2には、目的物質を保持する針状の基剤がコンドロイチン硫酸ナトリウム及びヒアルロン酸などの高分子からなる経皮吸収製剤が開示されている。また、特許文献3には、ニードルの素材が低分子コラーゲン及びヒアルロン酸からなるマイクロニードルアレイが開示されている。それぞれのマイクロニードルは円錐、円錐台又はコニーデの形状であり、角質層内に折れることなく穿刺することができる適度な機械的強度を有している。特許文献3に記載される円錐台型のマイクロニードルは、円錐台に対応する凹部を有する鋳型(モールド型)に生分解性素材水溶液を充填し、加熱により水分を蒸発させた後に鋳型から剥離することで成型される。
医療用のマイクロニードルの針形状としては、上述したように円錐又はピラミッド状のものが一般的である。しかし、例えば特許文献4には、マイクロブレード又はマイクロナイフと称される、直線の刃が平行に配列された薬剤経皮搬送用のマイクロデバイスが開示されている。
特許第3521205号 特許第4913030号 特許第4427691号 特表2010−502268号公報
従来、マイクロニードルを皮膚に適用する際にはアプリケータが用いられる。アプリケータは、マイクロニードルを皮膚に均一に穿刺するための医療器具である。マイクロニードルが不均一に皮膚に穿刺されると、所定量の薬剤を十分に経皮搬送することができず、また場合によっては疼痛を引き起こすこともある。
本発明は、例えばアプリケータを使用しなくても皮膚に均一にかつ安全に穿刺することができ、患者自身による簡便な薬剤の経皮搬送を支援するマイクロニードル又はマイクロニードルアレイを提供することを目的としている。
本発明は、薬剤を経皮搬送するためのマイクロニードルであって、裾部と、前記裾部から穿刺方向において突出するニードル部とを備え、前記ニードル部が互いに鋭角をなす2つの斜面を有し、前記ニードル部の前記2つの斜面が鋭角に交わる刃の稜線が、当該稜線の中央部において最も高い刃先を有するナイフエッジ形状に形成されているマイクロニードルである。
マイクロニードルは、前記刃先が、ある長さを有する直線状又は曲線状に形成されていることが好ましい。
マイクロニードルは、前記ニードル部の、穿刺方向における高さHと前記刃の稜線方向における長さLとの寸法比H:Lが2:3〜5:6であることが好ましく、3:4であることがより好ましい。また、前記刃の稜線に直交する方向における幅Wと前記刃の稜線方向における長さLとの寸法比W:Lが1:4〜1:3であることが好ましく、3:10であることがより好ましい。
マイクロニードルは、金属製、シリコン製、ポリアミドやポリエステルなどの樹脂又は生分解性素材が好ましいが、ニードルの折損により経皮内部に残存する可能性からも生分解性素材であることがより好ましい。マイクロニードルは、グリコサミノグリカンを主成分としグリコサミノグリカン以外の水溶性高分子を副成分として含む生分解性素材により形成されることが更に好ましい。
また、前記グリコサミノグリカンは、コンドロイチン、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ヘパラン硫酸、へパリン、ケラタン硫酸又はヒアルロン酸であり、好ましくは、コンドロイチン、コンドロイチン硫酸又はヒアルロン酸である。
また、マイクロニードルは、前記グリコサミノグリカンと、デキストラン、ゼラチン、コラーゲン、低分子コラーゲン、ポリビニルピロリドン又はポリエチレングリコールの少なくとも一種を含む水溶性高分子とを含む生分解性素材により形成されることが好ましい。
また、本発明は、前記マイクロニードルを複数配列してなるマイクロニードルアレイである。
本発明によれば、例えばアプリケータを使用しなくても皮膚に均一にかつ安全に穿刺することができ、これにより患者自身による簡便な薬剤の経皮搬送を支援することができる。
図1は、ナイフエッジ形状を有するマイクロニードルを刃先側から見た平面図である。 図2は、図1に示されるA方向から見た場合のマイクロニードルの側面図である。 図3は、図1に示されるB方向から見た場合のマイクロニードルの側面図である。 図4は、マイクロニードルアレイの斜視図である。 図5は、生分解性マイクロニードルアレイを製造するプロセスを説明するための図である。 図6は、マイクロニードルアレイの穿刺性を評価するための試験装置のモデル図である。 図7は、実施例の生分解性マイクロニードルアレイによる変位と荷重との関係を示すグラフである。 図8は、Si製マイクロニードルアレイによる変位と荷重との関係を参考例として示すグラフである。 図9は、生分解性マイクロニードルアレイをブタ摘出皮膚に穿刺し染色後のブタ摘出皮膚表面の画像を示す図である。 図10は、円錐台形状の生分解性マイクロニードルアレイをブタ摘出皮膚に穿刺し染色後のブタ摘出皮膚表面の画像を示す図である。
本発明の実施形態による、薬剤を経皮搬送するためのマイクロニードルは、ナイフエッジ形状を有している。図1は、ナイフエッジ形状を有するマイクロニードル1を刃先4側から見た平面図である。図2は、図1に示されるA方向から見た場合のマイクロニードル1の側面図である。図3は、図1に示されるB方向から見た場合のマイクロニードル1の側面図である。ここで、「ナイフエッジ形状」とは、ナイフの鋭い刃の稜線中央に刃先を有し、その刃先を中心に稜線が左右に低く折れた形状をいう。すなわち、ナイフエッジ形状のマイクロニードル1は、ナイフの斜面6、7が互いに鋭角に交わる位置で刃の稜線5を形成し、その稜線5の中央に最も高い刃先4を有している。
本実施形態によるマイクロニードル1は、底辺がひし形の裾部2を有し、裾部2の上から突出するようにナイフエッジ形状のニードル部3が形成されている。穿刺方向すなわち刃先4が突出する方向におけるニードル部3の高さをH、刃の稜線5に沿う方向の長さをLとした場合、長さLに対する高さHの寸法比H:Lが2:3〜5:6であることが好ましく、3:4であることがより好ましい。具体的には例えば長さLが200〜800μmである場合に高さHが150〜600μmである。また、ニードル部3の刃の稜線5に直交する方向における幅をWとした場合、長さLに対する幅Wの寸法比W:Lが1:4〜1:3であることが好ましく、3:10であることがより好ましい。具体的には例えば長さLが200〜800μmである場合に幅Wが60〜240μmである。また、このときの刃の稜線5に沿う方向における裾部2の対角幅LWが600〜2400μmであるのに対し、刃の稜線5に直交する方向における裾部2の対角幅TWが370〜1480μmである。
また、マイクロニードル1は、図2に示されるように、刃先4が載頭された形状による、ある長さの載頭径を有していてもよい。刃先4の載頭部分は曲線を有する丸みを帯びた形状でもよい。また、刃の稜線5の先端は鋭いことが理想であるが、生分解性素材で成型される刃の曲率半径は6μm以下であることが好ましい。
マイクロニードル1及びマイクロニードルアレイ10は、金属製、シリコン製、ポリアミドやポリエステルなどの樹脂又は生分解性素材が好ましいが、ニードルの破損により経皮内部に残存する可能性からも生分解性素材であることがより好ましい。
また、生分解性素材としては特に限定されないが、例えばグリコサミノグリカン、ポリ乳酸、ポリグリコリド、ポリ乳酸-CO-ポリグリコリド、プルラン、ポリカプロラクトン、ポリウレタン、ポリ無水物等が利用でき、溶解速度や体内での代謝速度から、グリコサミノグリカンを主成分として用いられることが特に好ましい。
本実施形態によるマイクロニードル1及びマイクロニードルアレイ10は、グリコサミノグリカンを主成分としグリコサミノグリカン以外の水溶性高分子を副成分として含む生分解性素材により形成される。
グリコサミノグリカンとしては、具体的には、コンドロイチン、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、へパラン硫酸、ヘパリン、ケラタン硫酸又はヒアルロン酸が好ましく、更に、コンドロイチン、コンドロイチン硫酸又はヒアルロン酸であることが好ましい。
ここで、「コンドロイチン」とは、コンドロイチン硫酸とは異なり、コンドロイチン硫酸が脱硫酸化された状態の化合物を指し、コンドロイチン硫酸の化学的処理あるいは培養法により入手できる。
また、マイクロニードル1及びマイクロニードルアレイ10は、グリコサミノグリカンと、デキストラン、ゼラチン、コラーゲン、低分子コラーゲン、ポリビニルピロリドン又はポリエチレングリコールの少なくとも一種を含む水溶性高分子とを配合した生分解性素材からなるものでもよい。図4には、本実施形態によるマイクロニードル1を複数配列してなる生分解性のマイクロニードルアレイ10の斜視図が示される。
次に、本実施形態による生分解性マイクロニードルアレイ10の製造方法を説明する。図5は、生分解性マイクロニードルアレイ10を製造するプロセスを説明するための図である。
まず、Siでマイクロニードルアレイのアレイマスター11を作成する(図5A)。アレイマスター11は、ナイフエッジ形状のマイクロニードル111が単結晶Siウェハ上に複数配列してなり、Siウェハを異方性エッチングすることで形成される。なお、異方性エッチングとは、結晶方位によるエッチレートの違いを利用した三次元微細加工法をいう。本実施形態によるアレイマスター11は、TMAH(テ卜ラメチルアンモニウムハイドロオキサイド)を用いたウエットエッチングにより形成されるが、エッチング液としてKOH(水酸化カリウム)などの他のアルカリ性水溶液を用いてもよい。
単結晶Siウェハを準備し、その表面を熱酸化してSiO酸化膜を形成する。そして、Siウェハの例えば(110)表面にレジストを塗布する。Siウェハ面上に個々のマイクロニードルに対応するひし形のマスクパターンを多数配列したフォトマスクを設置する。フォトマスクを設置したSiウェハに対し紫外線を照射し現像することでレジストをパターンニングする。BHF溶液を用いてSiOを除去し、ひし形の酸化膜パターンをウェハ表面に形成する。
TMAHを用いて、ウェハのSiが露出した部分をエッチングする。Siウェハの厚さ方向における(110)面のエッチングが速く進行するとともに、酸化膜の下部ではエッチレートが比較的小さい結晶面のアンダーカットが遅く進行し斜面6、7が形成される。更にひし形にパターンニングされた酸化膜の対角寸法の差により、稜線を有するナイフエッジ形状のマイクロニードルが形成される。そして、多数のマイクロニードルを形成したSiウェハを所定のサイズにダイシングし、チップ化したマイクロニードルのアレイマスター11を得る。
次に、Si製のアレイマスター11を用いてモールド型であるPDMS型12を形成するプロセスと、PDMS型12に生分解性素材を充填することにより最終的にマイクロニードルアレイ10を製造するプロセスとを説明する。
モールド型であるPDMS型12を形成するプロセスでは、Si製のアレイマスター11とPDMS型12との間のスティッキングを防止するため、先ずアレイマスター11のナイフ表面にスパッタ法によりCr層及びAu層を被覆する。層厚は、例えば、Crが10nm、Auが250nmである。
続いて、PDMS型12の材料であるPDMS(ポリジメチルシロキサン)を準備する。二液常温硬化性のPDMSの主剤と硬化剤とを例えば重量比10:1の割合で混合した後、真空ポンプを用いて長時間脱泡する。アレイマスター11をシリコーンゴムシートで囲み、脱泡したPDMSをその囲みの中に注入する(図5B)。大気圧下、常温で1日程度保持し、PDMSを硬化させる。硬化したPDMSからアレイマスター11を剥がすことにより、PDMS型12を得る(図5C)。
PDMS型12を用いて生分解性マイクロニードルアレイ10をモールド成型するプロセスでは、先ず純水と生分解性素材とを配合して素材溶液を調製する。生分解性素材は、グリコサミノグリカンを主成分としグリコサミノグリカン以外の水溶性高分子を副成分として含む。グリコサミノグリカンが、コンドロイチン、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、へパラン硫酸、ヘパリン、ケラタン硫酸又はヒアルロン酸であり、更に、コンドロイチン、コンドロイチン硫酸又はヒアルロン酸であることが好ましい。
調製した生分解性素材溶液をPDMS型12に注入し(図5D)、ナイフエッジ溝の奥にまで素材溶液が充填するように室温で1日程度放置する(図5E)。PDMS型12の溝の中に空気が閉じ込められることがないように、配合した直後の生分解性素材溶液に対し真空ポンプを用いて脱泡してもよい。PDMS型12から硬化した生分解性素材を剥がすことにより、モールド成型された生分解性マイクロニードルアレイ10を得る(図5F)。
次に、生分解性マイクロニードルアレイの実施例を説明する。
(1)Si製アレイマスター
表1に作成したSi製アレイマスターの寸法及び針密度を示す。
(2)生分解性素材溶液
表2にマイクロニードルアレイの製造に使用した生分解性素材溶液の条件及び成型結果を示す。生分解性素材溶液は、低分子コラーゲン及びヒアルロン酸の2成分を混合し、純水に溶解させることにより得た。

ヒアルロン酸(分子量98万)、コンドロイチン(分子量3万)及びポリビニルピロリドン(分子量2千)の3成分を重量比6:3:1の比で混合した生分解性素材溶液を用いた以外は同様にしてマイクロニードルアレイを得た。
(3)穿刺性の評価
平行板の片持ちはりを用いてマイクロニードルアレイに荷重を加え、荷重と変位との関係からマイクロニードルアレイの穿刺性を評価した。図6に穿刺性を評価するための試験装置のモデルを示す。平行板の片持ちはり21は、上下方向に弾性変形する所定のばね定数を有し、垂直方向にストロークを有するZステージ20によって上下方向に往復移動するように設けられる。片持ちはり21の先端の変位はレーザ変位計22により測定される。
試験装置のキャリブレーションは、平行板の片持ちはり21のばね定数を測定することにより行う。すなわち、片持ちはり21の先端に実質的に非圧縮性のSi製マイクロニードルアレイ(アレイマスター11)を取り付け、図示しない荷重計にSi製マイクロニードルアレイを接触させた状態でZステージ20を下降させる。片持ちはり21の変形量(i.e.Zステージ20の移動量から片持ちはり21の先端の変位の差)と荷重計が示す荷重値との関係から校正ばね定数が測定される。次に説明する穿刺性を評価する実験では、片持ちはり21の変形量に校正ばね定数を乗じることで、片持ちはり21の先端に加えられた荷重を算出した。
穿刺性を評価する実験では、片持ちはり21の先端に試作した生分解性マイクロニードルアレイ10を取り付け、シリコーンゴムシートである人工皮膚23にマイクロニードルアレイ10を押し付けたときの片持ちはり21の先端の変位(マイクロニードルアレイ10の変位)と荷重との関係を求めた。
試作した生分解性マイクロニードルアレイ10による変位と荷重との関係を図7に示す。また、比較のため、実質的に非圧縮性のSi製マイクロニードルアレイによる変位と荷重との関係を参考例として図8に示す。試作した生分解性マイクロニードルアレイ10は、Si製のマイクロニードルアレイに比較して変位量が大きく若干の弾性特性を示すものの、経皮吸収システムにおいて実用に耐え得るのに十分な穿刺性能及び機械的強度特性が確認された。
(4)ブタ摘出皮膚に対する穿刺性の評価
ブタ摘出皮膚及び生分解性マイクロニードルアレイ10を30度の角度をつけてデジタルフォースケージに設置した。ブタ摘出皮膚に生分解性マイクロニードルアレイ10を一定の荷重(1kgf、5分)で挿入した。挿入後の皮膚表面をエバンスブルーにより染色後、染色された穿孔を測定することにより評価した。評価に用いたマイクロニードルアレイは、ヒアルロン酸(分子量98万)、コンドロイチン(分子量3万)及びポリビニルピロリドン(分子量2千)の3成分を重量比6:3:1の比で混合した生分解性素材溶液で成型したものを用いた。
本実施例による生分解性マイクロニードルアレイ10を用いた場合のブタ摘出皮膚表面の画像を図9に示す。図9の楕円内にはエバンスブルーで染色された穿孔が示される。本実施例の生分解性マイクロニードルアレイ10によれば、ブタ摘出皮膚に対し30度の刺入角度で少なくとも60%の穿刺性能が確認された。ここで、「穿刺性能」を下記の式を用いて評価した。
穿刺性能(%)=[穿刺孔(染色数)/針全数]×100
比較のため、従来の円錐台形状の生分解性マイクロニードルアレイにより同様の評価を行った。同条件で円錐台形状の生分解性マイクロニードルアレイを用いエバンスブルーで染色した後のブタ摘出皮膚表面の画像を図10に示す。図10に示されるように、円錐台形状の生分解性マイクロニードルアレイでは、ブタ摘出皮膚に対する穿刺性能は認められなかった。
このように角度を有する挿入方向での穿刺性が確認されたことで、マイクロニードルアレイと皮膚接触面が必ずしも水平に限定する必要がないことが示された。アプリケータを用いたマイクロニードルアレイの皮膚挿入方向は常に水平に限定されるため、生分解性マイクロニードルアレイ10はアプリケータを使用せず、指圧のみでヒト皮膚に投与できる可能性が示された。
本実施形態の生分解性のマイクロニードルアレイ10によれば、従来のマイクロニードルとは異なるナイフエッジ形状を有していることにより、次に示す有利な効果を奏する。
(1)本実施形態のマイクロニードル1は、従来の円錐又はピラミッド状のような針形状のものに比較して皮膚内に穿刺する部分の表面積を広くすることができ、これにより薬剤の拡散効率を高めることができる。
(2)また、先端が尖った針形状よりも本実施形態のナイフエッジ形状のほうがニードルの先端部分に十分に多く薬剤を保持することができるので、上述したニードル部分の表面積との相乗効果により薬剤の単位時間当たりの搬送量を更に増加させることができる。
(3)生分解性素材を用いて従来の針形状のマイクロニードルをモールド成型する場合、先端が尖った針形状に合わせた型溝の深部にまで素材を充填することは困難である。一方、本実施形態のナイフエッジ形状によれば、針根元相当部分の面積が従来の針形状よりも広いため、同一素材を用いた同一条件での充填方法であれば従来よりも成型が容易となる。また、モールド型(PDMS型12)に形成した各ナイフエッジ溝の前後が素材充填の際に溜まった空気の抜け道となり、このためナイフエッジ溝の奥にまで生分解性素材を十分に充填することができる。したがって、本実施形態のマイクロニードルアレイ10は、目的のナイフエッジ形状を容易に成型することができ、これにより歩留まりよく最終製品を製造することができる。本実施形態のナイフエッジ形状は、特にヒアルロン酸等の粘性を有する高分子材料を生分解性素材として用いたモールド成型において好適である。
(4)本実施形態のナイフエッジ形状を有するマイクロニードル1は、従来の針形状のニードルに比べその形状故に折れ難く、薬剤投与における安全性が高い。
(5)本実施形態のマイクロニードルアレイ10によれば、アプリケータを使用しなくても皮膚に均一にかつ安全に穿刺することができ、患者自身による薬剤の経皮搬送がより簡便となる。
1 マイクロニードル
2 裾部
3 ニードル部
4 刃先
5 刃の稜線
6、7 斜面
10 マイクロニードルアレイ
11 アレイマスター
12 PDMS型
20 Zステージ
21 片持ちはり
22 レーザ変位計
23 人工皮膚

Claims (8)

  1. 薬剤を経皮搬送するためのマイクロニードルであって、
    裾部と、前記裾部から穿刺方向において突出するニードル部とを備え、
    前記ニードル部が互いに鋭角をなす2つの斜面を有し、
    前記ニードル部の前記2つの斜面が鋭角に交わる刃の稜線が、当該稜線の中央部において最も高い刃先を有するナイフエッジ形状に形成され、
    前記刃先が、ある長さを有する直線状又は曲線状に形成されているマイクロニードル。
  2. 前記ニードル部の、穿刺方向における高さHと前記刃の稜線方向における長さLとの寸法比H:Lが2:3〜5:6である、請求項に記載のマイクロニードル。
  3. 前記ニードル部の、前記刃の稜線に直交する方向における幅Wと前記刃の稜線方向における長さLとの寸法比W:Lが1:4〜1:3である、請求項1又は2に記載のマイクロニードル。
  4. 前記マイクロニードルが、グリコサミノグリカンを主成分としグリコサミノグリカン以外の水溶性高分子を副成分として含む生分解性素材により形成される、請求項1〜の何れか1項に記載のマイクロニードル。
  5. 前記グリコサミノグリカンが、コンドロイチン、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、へパラン硫酸、ヘパリン、ケラタン硫酸又はヒアルロン酸である、請求項に記載のマイクロニードル。
  6. 前記水溶性高分子が、デキストラン、ゼラチン、コラーゲン、低分子コラーゲン、ポリビニルピロリドン又はポリエチレングリコールの少なくとも一種を含む、請求項4又は5に記載のマイクロニードル。
  7. 請求項1〜の何れかに記載のマイクロニードルを複数配列してなるマイクロニードルアレイ。
  8. 薬剤を経皮搬送するためのマイクロニードルアレイを製造する方法であって、
    単結晶のウェハを異方性エッチングすることにより、2つの斜面が鋭角に交わる刃の稜線が当該稜線の中央部において最も高い刃先を有するナイフエッジ形状部を当該ウェハ上に複数配列形成したアレイマスターを準備するプロセスと、
    前記アレイマスターに硬化性材料を注入し硬化させることにより、成型用のモールドを形成するプロセスと、
    前記モールドを用いて生分解性素材を成型することにより、ナイフエッジ形状のマイクロニードルを複数配列してなるマイクロニードルアレイを得るプロセスと
    を含み、
    前記アレイマスターを準備するプロセスが、
    前記ウェハの表面にひし形の酸化膜パターンを形成するプロセスと、
    前記酸化膜パターンの下部に前記ひし形の対角寸法差に応じた稜線を有する前記ナイフエッジ形状部を異方性エッチングにより形成するプロセスと
    を含む、マイクロニードルアレイを製造する方法。
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