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JP6266079B2 - 太陽電池の電極形成用導電性ペースト及び太陽電池の製造方法 - Google Patents

太陽電池の電極形成用導電性ペースト及び太陽電池の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、太陽電池の電極形成用導電性ペースト、特に単結晶シリコン又は多結晶シリコン等の結晶系シリコンを基板として用いた結晶系シリコン太陽電池の表面又は裏面電極形成用導電性ペースト、その電極形成用導電性ペーストを用いる太陽電池の製造方法及びその製造方法によって製造される太陽電池に関する。
単結晶シリコンあるいは多結晶シリコンを平板状に加工した結晶系シリコンを基板に用いた結晶系シリコン太陽電池は、近年、その生産量が大幅に増加している。これらの太陽電池は、発電した電力を取り出すための電極を有する。
一例として、結晶系シリコン太陽電池の断面模式図を図1に示す。結晶系シリコン太陽電池では、一般に、p型結晶系シリコン基板4の光入射側である表面にn型拡散層(n型シリコン層)3を形成する。n型拡散層3の上には、反射防止膜2を形成する。さらに、スクリーン印刷法などによって導電性ペーストを用いて光入射側電極1(表面電極)のパターンを反射防止膜2上に印刷し、導電性ペーストを乾燥及び焼成することによって光入射側電極1が形成される。この焼成の際、導電性ペーストが反射防止膜2をファイアースルーすることによって、光入射側電極1は、n型拡散層3に接触するように形成することができる。なお、ファイアースルーとは、絶縁膜である反射防止膜を導電性ペーストに含まれるガラスフリット等でエッチングし、光入射側電極1とn型拡散層3とを導通させることである。p型シリコン基板4の裏面側からは光を入射させなくてもよいため、一般に、ほぼ全面に裏面電極5を形成する。p型シリコン基板4とn型拡散層3との界面にはpn接合が形成されている。太陽光等の光は、反射防止膜2及びn型拡散層3を透過して、p型シリコン基板4に入射し、この過程で吸収され、電子−正孔対が発生する。これらの電子−正孔対は、pn接合による電界によって、電子は光入射側電極1へ、正孔は裏面電極5へと分離される。電子及び正孔は、これらの電極を介して、電流として外部に取り出される。
従来の太陽電池、特に結晶系シリコン太陽電池の電極形成には、導電性粉末、ガラスフリット、有機バインダ、溶剤及びその他の添加物を含む導電性ペーストが用いられている。導電性粉末としては、主に銀粉末が用いられている。
例えば、特許文献1には、太陽電池のシリコン基板の主面上に形成され、当該シリコン基板で発生した電力を取り出す配線とはんだにより上部が接合される太陽電池電極の製造方法であって、(a)前記シリコン基板の前記主面上に、鉛酸化物及びビスマス酸化物を含有するガラスフリットを含む第1の銀ペーストを印刷する工程と、(b)前記第1の銀ペースト上に、前記第1の銀ペーストのガラスフリットよりも鉛酸化物及びビスマス酸化物の含有割合が低いガラスフリットを含む第2の銀ペーストを印刷する工程と、(c)前記第1の銀ペースト及び前記第2の銀ペーストを焼成する工程とを備える、太陽電池電極の製造方法が記載されている。
特許文献2には、酸化物換算で、酸化亜鉛が5重量%以上10重量%以下、酸化ビスマスが70重量%以上84重量%以下、酸化ホウ素と酸化ケイ素とが合計で6重量%以上の組成を有するガラスフリットと、銀粉末と、有機ビヒクルと、を含有する太陽電池素子用銀ペーストが記載されている。
特許文献3には、シリコン半導体デバイス、及び太陽電池デバイスの前面に使用するための伝導性銀ペーストが記載されている。具体的には、特許文献3には、a)導電性銀粉末と、b)1つ又は複数のガラスフリットと、c)(a)Mg、(b)所定のMg含有添加剤とを、d)有機媒体に分散させて含む厚膜組成物が記載されている。また、特許文献3に記載のガラスフリットは、ガラスフリットの8〜25重量パーセントのBi、Bを含み、SiO、P、GeO、及びVからなる群から選択される1つ又は複数の成分をさらに含むことが記載されている。
また、特許文献4及び5にも、特許文献3と同様のガラスフリットを含む厚膜組成物が記載されている。
特許文献6には、示差熱−熱重量同時測定において最大面積を示す発熱ピークのピーク温度が280℃以上である銅含有粒子と、ガラス粒子と、溶剤と、樹脂と、を含む電極用ペースト組成物が記載されている。また、特許文献6には、ガラス粒子は、ガラス軟化点が600℃以下であって、結晶化開始温度が600℃を超えることが記載されている。
特許文献7には、pn接合を有する半導体基板と、前記半導体基板の裏面に銀電極とアルミニウム電極とを備え、前期銀電極と前記アルミニウム電極とが重なり合っている重複領域を有し、前記銀電極に含まれるガラス成分のガラス軟化点温度は、前記アルミニウム電極に含まれるガラス成分のガラス軟化点以上であることを特徴とする、太陽電池が記載されている。
特許文献8には、銀粒子、ポリビニルアセタール樹脂、ガラスフリット、及び、有機溶剤を含有する銀ペーストであって、前記銀粒子の含有量が70〜95重量%、前記ポリビニルアセタール樹脂の含有量が0.1〜5重量%、前記ガラスフリットの含有量が0.1〜5重量%であることを特徴とする太陽電池用銀電極形成用銀ペーストが記載されている。また、特許文献8には、ガラスフリットとして、軟化温度が300℃以上かつ焼成温度(例えば800℃)以下のホウケイ酸鉛ガラスフリットを用いることが記載されている。また、特許文献8には、ペースト全体に対する上記ガラスフリットの含有量の下限は0.1重量%、上限は5重量%であることが記載されている。
特許文献9には、半導体基板と導通する電極であって、平均粒径10μm以上の粒子を50〜80質量%の割合で含有する銀粒子及びガラスフリットを含む焼結体が記載されている。また、特許文献9には、このような焼結体は、銀粒子、ガラスフリット、有機ビヒクル及び有機溶媒を含む銀ペーストを焼結して得ることができ、この場合、銀ペーストに含まれる銀粒子の割合は、55〜90質量%、特に75〜85質量%であることが好ましく、ガラスフリットの含有割合は、0.2〜5質量%、特に0.5〜2質量%であることが記載されている。
特許文献10には、酸化物換算で、酸化亜鉛が5重量%以上10重量%以下、酸化ビスマスが70重量%以上84重量%以下、酸化ホウ素と酸化ケイ素とが合計で6重量%以上の組成を有するガラスフリットと、銀粉末と、有機ビヒクルと、を含有する太陽電池素子用銀ペーストが記載されている。
特開2009−193993号公報 特開2008−109016号公報 特表2011−503772号公報 特表2011−502345号公報 特表2011−502330号公報 特開2011−171272号公報 国際公開WO2009/139222号 特開2011−066134号公報 特開2010−263136号公報 特開2008−109016号公報
高い変換効率の結晶系シリコン太陽電池を得るために、表面電極と、結晶系シリコンのn型拡散層との間の電気抵抗(接触抵抗)を低減することは、重要な課題である。接触抵抗を低減するためには、太陽電池電極を形成するための導電性ペースト中のガラスフリットが重要な役割を担っていることは知られている。
接触抵抗を低減するために、従来、引用文献1〜5に記載されているように、ガラスフリットを構成する酸化物の種類及び組成を選択することが試みられている。また、特許文献6及び7に記載されているように、ガラスフリットの軟化点を所定の値のものとすることが試みられている。また、特許文献8に記載されているように、ガラスフリットの含有割合を所定の範囲とすることが試みられている。また、特許文献9に記載されているように、ガラスフリットを構成する酸化物の種類及び含有割合を所定のものとすることが試みられている。
しかしながら、適切なガラスフリットの選択のために、試行錯誤により多くの種類の酸化物を混合し、またその混合比を変化させた多数の導電性ペーストを用いて、太陽電池を試作し、評価することが必要である。様々な条件の導電性ペーストを用いて多数の太陽電池を試作することは、煩雑であり手間がかかるため、開発コストの増加となる。
また、導電性ペーストに添加され、表面電極に存在するガラスフリットの種類が太陽電池特性に影響を及ぼしていることは当業者に知られている。しかしながら、具体的にどのようにガラスフリットを選択すれば良いのかは不明である。また、上述の特許文献には、多くの種類の組成のガラスフリットが記載されているが、その組成のガラスフリットを選択する理由については明確に記載されていない。すなわち、従来技術では、低い接触抵抗の電極を得るために、どのような組成のガラスフリットを用いるべきなのかについての指針が不十分であった。
そこで、本発明は、太陽電池の電極形成用導電性ペーストを得ることであって、適切な組成のガラスフリットを選択する指針を得ることによって、結晶系太陽電池のn型シリコン層上に優れた太陽電池電極を形成するための導電性ペーストを得ることを目的とする。また、本発明は、導電性ペーストを焼成する際に、窒化珪素膜等を材料とする反射防止膜をファイアースルーすることができる導電性ペーストを得ることを目的とする。
本発明者らは、太陽電池の電極形成用導電性ペーストにおいて、ガラスフリット中の酸素結合状態と、太陽電池特性の曲線因子(FF)との間に強い相関があることを見出した。本発明者らは、さらに、この酸素結合状態が、反射防止膜及び不活性化膜として用いられる絶縁性皮膜、例えば窒化珪素膜に対するファイアースルー性、及びファイアースルー後のエミッター層(n型シリコン層)におけるシリコンとの反応性に影響を及ぼすことを見出した。ガラスフリット中の酸素結合状態と、太陽電池特性の曲線因子(FF)との相関関係は、従来、試行錯誤により選択していたガラスフリットの選択方法と比べて、良好な太陽電池特性を得るために本質的な要因と考えられる。なお、ガラスフリット中の酸素結合状態はXPS法により測定可能である。
本発明者らは、上記知見を得た上で、本発明を想到した。すなわち、本発明は以下の構成を有する。
(構成1)
本発明は、導電性粉末と、ガラスフリットと、有機ビヒクルとを含有する太陽電池の電極形成用導電性ペーストであって、ガラスフリットが、少なくとも一種の酸化物を含み、X線光電子分光法を用いて測定したガラスフリット中の酸素の結合エネルギーにおいて、526eV〜536eVの信号強度の合計値に対する、529eV〜531eV未満をピークとする信号強度の割合が、40%以上である、導電性ペーストである。本発明の導電性ペーストを用いて太陽電池の電極を形成するならば、良好な太陽電池特性を有する太陽電池を得ることができる。また、本発明の導電性ペーストを焼成する際に、窒化珪素膜等を材料とする反射防止膜をファイアースルーすることができる。
(構成2)
本発明の導電性ペーストでは、ガラスフリットに含まれる酸化物が、二酸化珪素を含むことができる。ガラスフリットに含まれる酸化物が、二酸化珪素を含むことにより、良好な太陽電池特性を有する太陽電池を確実に得ることができる。
(構成3)
本発明の導電性ペーストは、ガラスフリットに含まれる酸化物が、酸化鉛及び酸化ホウ素から選択される少なくとも一種を含むことができる。ガラスフリットに含まれる酸化物が、酸化鉛及び酸化ホウ素から選択される少なくとも一種を含むことにより、良好な太陽電池特性を有する太陽電池をより確実に得ることができる。
(構成4)
本発明の導電性ペーストは、ガラスフリットの含有量が、導電性粉末100重量部に対して1.5〜10重量部であることができる。ガラスフリットの含有量が、導電性粉末100重量部に対して1.5〜10重量部であることにより、形成した電極の導電性を所定の値としつつ、電極と、結晶系シリコン基板との間の接触抵抗を低減することができる。
(構成5)
本発明の導電性ペーストは、導電性粉末が銀粉末であることができる。導電性粉末が、導電率の高い銀粉末であることにより、良好な太陽電池特性を有する太陽電池をさらに確実に得ることができる。
(構成6)
本発明は、構成1〜5のいずれか1項記載の導電性ペーストを、結晶系シリコン基板のn型シリコン層上又はn型シリコン層上の反射防止膜上に印刷し、乾燥し、及び焼成することによって電極を形成する工程を含む、太陽電池の製造方法である。上述の本発明の導電性ペーストを用いる太陽電池の製造方法により、良好な太陽電池特性を有する太陽電池を得ることができる。
(構成7)
本発明は、構成6記載の製造方法によって製造される太陽電池である。上述の太陽電池の製造方法により得られた太陽電池は、良好な太陽電池特性を有するものである。
(構成8)
本発明は、太陽電池の電極形成用導電性ペーストの製造方法であって、X線光電子分光法によりガラスフリット中の酸素の結合エネルギーを測定する工程と、X線光電子分光法を用いたガラスフリット中の酸素の結合エネルギーにおいて、526eV〜536eVの信号強度の合計値に対する、529eV〜531eV未満をピークとする信号強度の割合が、40%以上であるガラスフリットを選択する工程と、導電性粉末と、ガラスフリットと、有機ビヒクルとを混合する工程とを有する、製造方法である。本発明の製造方法により得られる導電性ペーストを用いて太陽電池の電極を形成するならば、良好な太陽電池特性を有する太陽電池を得ることができる。
(構成9)
本発明の導電性ペーストの製造方法では、ガラスフリットに含まれる酸化物が、二酸化珪素を含むことができる。ガラスフリットに含まれる酸化物が、二酸化珪素を含むことにより、得られる導電性ペーストを用いて、良好な太陽電池特性を有する太陽電池を確実に得ることができる。
(構成10)
本発明の導電性ペーストの製造方法では、ガラスフリットに含まれる酸化物が、酸化鉛及び酸化ホウ素から選択される少なくとも一種を含むことができる。ガラスフリットに含まれる酸化物が、酸化鉛及び酸化ホウ素から選択される少なくとも一種を含むことにより、得られる導電性ペーストを用いて、良好な太陽電池特性を有する太陽電池を確実に得ることができる。
(構成11)
本発明の導電性ペーストの製造方法では、ガラスフリットの含有量が、導電性粉末100重量部に対して1.5〜10重量部であることができる。ガラスフリットの含有量が所定の範囲であることにより、得られる導電性ペーストを用いて、良好な太陽電池特性を有する太陽電池をさらに確実に得ることができる。
(構成12)
本発明の製造方法では、導電性粉末が銀粉末であることができる。導電性粉末が導電率の高い銀粉末であることにより、得られる導電性ペーストを用いて、良好な太陽電池特性を有する太陽電池をさらに確実に得ることができる。
本発明によれば、太陽電池の電極形成用導電性ペーストを得る際に、適切な組成のガラスフリットを選択する指針を得ることができるので、結晶系太陽電池のn型シリコン層上に優れた太陽電池電極を形成するための導電性ペーストを得ることができる。また、本発明によれば、導電性ペーストを焼成する際に、窒化珪素膜等を材料とする反射防止膜をファイアースルーすることができる導電性ペーストを得ることができる。
結晶系シリコン太陽電池の表面電極付近の断面模式図である。 XPS測定によるガラスフリットA、B及びCの結合エネルギーに対するXPS信号強度のスペクトルを示す図である。ピーク番号1〜3は、それぞれピーク分離をしたXPS信号のピークを示す。ピーク番号1は酸素の低結合エネルギーのXPS信号のピーク、ピーク番号2はSi−O−Si結合のXPS信号のピーク、及びピーク番号3は酸素の高結合エネルギーのXPS信号のピークを示す。 XPS測定によるガラスフリットD、E及びFの結合エネルギーに対するXPS信号強度のスペクトルを示す図である。ピーク番号1〜3は、それぞれピーク分離をしたXPS信号のピークを示す。ピーク番号1は酸素の低結合エネルギーのXPS信号のピーク、ピーク番号2はSi−O−Si結合のXPS信号のピーク、及びピーク番号3は酸素の高結合エネルギーのXPS信号のピークを示す。 実験1〜8の、酸素の低結合エネルギーのXPS信号強度の割合と、曲線因子(FF)との関係を示す図である。
本明細書では、「結晶系シリコン」は単結晶及び多結晶シリコンを包含する。また、「結晶系シリコン基板」は、電気素子又は電子素子の形成のために、結晶系シリコンを平板状など、素子形成に適した形状に成形した材料のことをいう。結晶系シリコンの製造方法は、どのような方法を用いても良い。例えば、単結晶シリコンの場合にはチョクラルスキー法、多結晶シリコンの場合にはキャスティング法を用いることができる。また、その他の製造方法、例えばリボン引き上げ法により作製された多結晶シリコンリボン、ガラス等の異種基板上に形成された多結晶シリコンなども結晶系シリコン基板として用いることができる。また、「結晶系シリコン太陽電池」とは、結晶系シリコン基板を用いて作製された太陽電池のことをいう。また、太陽電池特性を表す指標として、光照射下での電流−電圧特性の測定から得られる曲線因子(フィルファクター、以下、「FF」ともいう)を用いる。
本発明は、導電性粉末と、ガラスフリットと、有機ビヒクルとを含有する太陽電池の電極形成用導電性ペーストである。本発明の導電性ペーストに含有するガラスフリットは、少なくとも一種の酸化物を含む。本発明の導電性ペーストは、X線光電子分光法(X-ray photoelectron spectroscopy;XPS法)を用いて測定したガラスフリット中の酸素の結合エネルギーにおいて、526eV〜536eVの信号強度の合計値に対する、529eV〜531eV未満をピークとする信号強度の割合が、40%以上であることを特徴とする。
X線光電子分光法(XPS法)は、サンプル表面にX線を照射し、生じる光電子のエネルギーを測定することにより、電子の結合エネルギー(本明細書では、単に「結合エネルギー」という。)を測定する測定方法である。電子の結合エネルギーは、元素の種類及び酸化状態によって異なる。そのため、結合エネルギーを測定することにより、ガラスフリット中の酸化状態を評価することができる。
図2及び図3に示すように、ガラスフリットをXPS法で測定すると、結合エネルギーが526eV〜536eVの範囲に酸素の結合エネルギーに起因するXPS信号が観測される。図2及び図3に示す526eV〜536eVの範囲のXPS信号は、次の三つのピークからなるものと考えられる。第1は、529eV〜531eV未満にピークを有するXPS信号(「酸素の低結合エネルギーのXPS信号」といい、図2及び図3中のピーク番号1として示す。)である。第2は、約533eVにピークを有するSi−O−Si結合に起因するXPS信号(「Si−O−Si結合のXPS信号」といい、図2及び図3中のピーク番号2として示す。)である。第3は、第1と第2との中間にピークを有するXPS信号(「酸素の高結合エネルギーのXPS信号」といい、図2及び図3中のピーク番号3として示す。)である。
XPS法で測定した526eV〜536eVの範囲のスペクトルは、公知の方法で、上記の三つピークに分離することができる。上記の三つのXPS信号強度は、ピーク分離により得られたそれぞれ単一ピークを占める面積を算出することにより、算出することができる。なお、526eV〜536eVの信号強度の合計値は、526eV〜536eVの範囲全体の信号強度の積分値(面積)である。なお、XPS法で測定したスペクトルに対して、ノイズ信号であるバックグラウンドを差し引くなどの、公知の処理を行うことができる。
本発明者らは、X線光電子分光法(XPS法)を用いて測定したガラスフリット中の酸素の結合エネルギーにおいて、526eV〜536eVの信号強度の合計値に対する、529eV〜531eV未満をピークとする信号強度(酸素の高結合エネルギーのXPS信号の強度)の割合が、40%以上、好ましくは55%以上、より好ましくは60%以上であるガラスフリットは、結晶系太陽電池の電極形成用導電性ペーストに添加するためのガラスフリットとして好適に用いることができることを見出し本発明に至った。上述の酸素の高結合エネルギーのXPS信号の強度の割合が所定の割合以上であれば、ガラスフリットにどのような元素を含んでいても、結晶系太陽電池の電極形成用導電性ペーストに添加するためのガラスフリットとして好適に用いることができる。
本発明により、電極形成用導電性ペーストを用いて太陽電池を試作することなしに、好適なガラスフリットを選択することが可能となる。この結果、結晶系太陽電池の電極形成用として好適な導電性ペーストを、低い開発コストにより得ることができる。
本発明の導電性ペーストに含まれる導電性粉末の主要成分は、導電性材料、例えば、金属材料を用いることができる。電極形成用導電性ペーストは、導電性粉末として銀粉末を用いることが好ましい。なお、本発明の導電性ペーストには、太陽電池電極の性能が損なわれない範囲で、銀以外の他の金属粉末又は銀との合金粉末を含むことができる。しかし、低い電気抵抗及び高い信頼性を得る点から、導電性粉末は銀粉末からなることが好ましい。
導電性粉末の粒子形状及び粒子寸法は、特に限定されない。粒子形状としては、例えば、球状及びリン片状等のものを用いることができる。粒子寸法は、一粒子の最長の長さ部分の寸法をいう。導電性粉末の粒子寸法は、作業性の点等から、0.05〜20μmであることが好ましく、0.1〜5μmであることがさらに好ましい。
一般的に、微小粒子の寸法は一定の分布を有するので、全ての粒子が上記の粒子寸法である必要はなく、全粒子の積算値50%の粒子寸法(D50)が上記の粒子寸法の範囲であることが好ましい。また、粒子寸法の平均値(平均粒子)が、上記範囲にあってもよい。本明細書に記載されている導電性粉末以外の粒子の寸法についても同様である。なお、平均粒径は、マイクロトラック法(レーザー回折散乱法)にて粒度分布測定を行い、粒度分布測定の結果からD50値を得ることにより求めることができる。
また、導電性粉末の大きさを、BET値(BET比表面積)として表すことができる。導電性粉末のBET値は、好ましくは0.1〜5m/g、より好ましくは0.2〜2m/gである。
本発明の導電性ペーストに含有するガラスフリットは、少なくとも一種の酸化物を含む。本発明の導電性ペーストでは、XPS法を用いて測定したガラスフリット中の酸素の結合エネルギーにおいて、526eV〜536eVの信号強度の合計値に対する、529eV〜531eV未満をピークとする信号強度の割合が、40%以上、好ましくは55%以上、より好ましくは60%以上となるように、ガラスフリットに含まれる酸化物の種類及びそれぞれの添加量を選択する。本発明の導電性ペーストに含有するガラスフリットに含まれる酸化物の種類は特に限定されない。
本発明の導電性ペーストに含まれるガラスフリットは、二酸化珪素(SiO)を含むことが好ましい。ガラスフリット中のSiOの含有量は、10〜50mol%未満であることが好ましく、より好ましくは15〜45mol%であり、さらに好ましくは20〜40mol%である。ガラスフリット中のSiOが上記の含有量であることにより、良好な太陽電池特性の結晶系シリコン太陽電池を確実に得ることができる。
本発明の導電性ペーストは、ガラスフリットに含まれる酸化物が、酸化鉛(PbO)及び酸化ホウ素(B)から選択される少なくとも一種を含むことが好ましい。
本発明の電極形成用導電性ペーストに含まれるガラスフリットとしては、Pbを含むガラスフリットを用いることができ、また、Pbを含まないPbフリー系ガラスフリットを用いることもできる。しかしながら、本発明の導電性ペーストを用いることにより、より高い変換効率の結晶系シリコン太陽電池を得るためには、PbOを含むガラスフリットを用いることが好ましい。より高い変換効率の結晶系シリコン太陽電池を確実に得るために、ガラスフリット中のPbOの含有量は、50〜90mol%であることが好ましく、50〜70mol%であることがより好ましい。
ガラスフリット中のBの含有量は、0〜40mol%であり、好ましくは0〜15mol%であり、より好ましくは0〜5mol%である。ガラスフリット中のBが上記の含有量であることにより、良好な太陽電池特性の結晶系シリコン太陽電池を確実に得ることができる。
本発明の導電性ペーストのガラスフリットは、XPS法を用いて測定した所定のピークの信号強度の割合が、所定の割合以上であるならば、上述の酸化物以外にも、任意の酸化物を含むことができる。例えば、本発明の導電性ペーストのガラスフリットは、例えば、Bi、BaO、Al、P、CaO、MgO、V、ZrO、TiO、Li、Na、MoO、ZnO、CeO、SnO及びSrO等から選択される酸化物を適宜含むことができる。
ガラスフリットの粒子の形状は特に限定されず、例えば球状、不定形等のものを用いることができる。また、粒子寸法も特に限定されないが、作業性の点等から、粒子寸法の平均値(D50)は0.1〜10μmの範囲が好ましく、0.5〜5μmの範囲がさらに好ましい。
本発明の導電性ペーストは、ガラスフリットの含有量は、導電性粉末100重量部に対して、1.5〜10重量部であることが好ましく、1.5〜6重量部であることがより好ましく、1.5〜5重量部であることがさらに好ましい。導電性ペーストのガラスフリットの含有量が上記の範囲であることにより、良好な太陽電池特性を有する太陽電池を得ることを確実にすることができる。
本発明の導電性ペーストの焼成の際のガラスフリットの軟化性能を適正なものとするために、ガラスフリットの軟化点は、300〜700℃であることが好ましく、400〜600℃であることがより好ましく、500〜580℃であることがさらに好ましい。
本発明の導電性ペーストは、有機ビヒクルを含む。有機ビヒクルとしては、有機バインダ及び溶剤を含むことができる。有機バインダ及び溶剤は、導電性ペーストの粘度調整等の役割を担うものであり、いずれも特に限定されない。有機バインダを溶剤に溶解させて使用することもできる。
有機バインダとしては、セルロース系樹脂(例えばエチルセルロース、ニトロセルロース等)、(メタ)アクリル系樹脂(例えばポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート等)から選択して用いることができる。有機バインダの添加量は、導電性粉末100重量部に対し、通常0.2〜30重量部であり、好ましくは0.4〜5重量部である。
溶剤としては、アルコール類(例えばターピネオール、α−ターピネオール、β−ターピネオール等)、エステル類(例えばヒドロキシ基含有エステル類、2,2,4―トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチラート、ブチルカルビトールアセテート等)から1種又は2種以上を選択して使用することができる。溶剤の添加量は、導電性粉末100重量部に対し、通常0.5〜30重量部であり、好ましくは5〜25重量部である。
本発明の導電性ペーストには、添加剤として、可塑剤、消泡剤、分散剤、レベリング剤、安定剤及び密着促進剤などから選択したものを、必要に応じてさらに配合することができる。これらのうち、可塑剤としては、フタル酸エステル類、グリコール酸エステル類、リン酸エステル類、セバチン酸エステル類、アジピン酸エステル類及びクエン酸エステル類などから選択したものを用いることができる。
本発明の導電性ペーストは、得られる太陽電池の太陽電池特性に対して悪影響を与えない範囲で、上述したもの以外の添加粒子を含むことができる。例えば、本発明の導電性ペーストは、酸化亜鉛粉末を含むことができる。本発明の導電性ペースト中に酸化亜鉛粉末を含む場合、その含有量は、導電性粉末100重量部に対して、2〜5重量部であり、好ましくは3〜4.7重量部であり、より好ましくは3.5〜4.5重量部である。本発明の導電性ペーストは、酸化亜鉛粉末を、上記のような含有量で含むことにより、良好な太陽電池特性の結晶系シリコン太陽電池を得ることができる。
次に、本発明の導電性ペーストの製造方法について説明する。
本発明の導電性ペーストの製造方法は、X線光電子分光法(XPS法)によりガラスフリット中の酸素の結合エネルギーを測定する工程を有する。
ガラスフリットをXPS法で測定すると、結合エネルギーが526eV〜536eVの範囲に酸素の結合エネルギーに起因するXPS信号が観測される。したがって、XPS法による測定は、少なくとも526eV〜536eVを含む範囲に対して行うことが好ましい。なお、XPS法による測定は公知の方法で行うことができる。
本発明の導電性ペーストの製造方法は、X線光電子分光法(XPS法)を用いたガラスフリット中の酸素の結合エネルギーにおいて、526eV〜536eVの信号強度の合計値に対する、529eV〜531eV未満をピークとする信号強度の割合が、40%以上であるガラスフリットを選択する工程を有する。
図2及び図3に示すように、ガラスフリットが異なる酸化物を混合したものである場合には、XPS法による結合エネルギーのスペクトルは、複数のピークを重ね合わせたものである。XPS法で測定した526eV〜536eVの範囲のスペクトルは、公知の方法で、いくつかのピークに分離することができる。ピーク分離では、少なくとも529eV〜531eV未満をピークとするものをピーク分離し、526eV〜536eVの信号強度の合計値に対する割合を算出する。その割合が40%以上であるガラスフリットを選択することにより、性能の優れた導電性ペーストを得ることができる。なお、526eV〜536eVの信号強度の合計値は、526eV〜536eVの範囲全体の信号強度の積分値である。具体的には、526eV〜536eVの信号強度の合計値に対する割合は、ピーク分離したピークのピーク面積の、526eV〜536eVの範囲のスペクトル全体の面積に対する割合として求めることができる。
本発明の導電性ペーストの製造方法は、導電性粉末と、ガラスフリットと、有機ビヒクルとを混合する工程を有する。本発明の導電性ペーストは、有機バインダ及び溶剤に対して、導電性粉末、上述のようにして選択したガラスフリット、並びに、場合によりその他の添加剤及び添加粒子を、添加し、混合し、分散することにより製造することができる。
混合は、例えばプラネタリーミキサーで行うことができる。また、分散は、三本ロールミルによって行うことができる。混合及び分散は、これらの方法に限定されるものではなく、公知の様々な方法を使用することができる。
なお、本発明の製造方法では、ガラスフリットに含まれる酸化物が、二酸化珪素を含むことが好ましい。またガラスフリットに含まれる酸化物が、酸化鉛及び酸化ホウ素から選択される少なくとも一種を含むことが好ましい。また、ガラスフリットの含有量が、導電性粉末100重量部に対して1.5〜10重量部であることが好ましい。また、導電性粉末は銀粉末であることが好ましい。
次に、本発明の導電性ペーストを用いた結晶系シリコン太陽電池の製造方法について説明する。本発明の製造方法は、上述の本発明の導電性ペーストを、結晶系シリコン基板のn型シリコン層上又はn型シリコン層上の反射防止膜上に印刷し、乾燥し、及び焼成することによって電極を形成する工程を含む。以下、本発明の太陽電池の製造方法について、図1を参照して、さらに詳しく説明する。
図1は、表面電極1付近の結晶系シリコン太陽電池の断面模式図を示す。図1に示す結晶系シリコン太陽電池は、光入射側に形成された表面電極1、反射防止膜2、n型拡散層(n型シリコン層)3、p型シリコン基板4及び裏面電極5を有する。
本発明の太陽電池の製造方法では、上述の本発明の導電性ペーストを、太陽電池用基板の表面電極及び/又は裏面電極を形成するため用いることができる。具体的には、本発明の太陽電池の製造方法は、上述の本発明の導電性ペーストを、結晶系シリコン基板(例えば、p型シリコン基板4)のn型シリコン層3上又はn型シリコン層3上の反射防止膜2上に印刷する工程を含む。
本発明の導電性ペーストは、p型シリコン層の表面に電極を形成する場合にも用いることができる。基板と電極との間のより低い接触抵抗を得ることによって、より高い性能の結晶系シリコン太陽電池を得るためには、本発明の導電性ペーストは、n型シリコン層3の表面の電極を形成する場合に用いることが好ましい。
図1には、本発明の導電性ペーストを、表面電極1の形成のために用いる例を示している。しかしながら、本発明の導電性ペーストは、表面電極1及び裏面電極5のどちらを形成する場合にも用いることができる。すなわち、本発明の導電性ペーストは、n型シリコン基板を用いた場合の裏面のn型シリコン表面の電極形成用に用いることができる。
本発明の導電性ペーストを、単結晶シリコン又は多結晶シリコンの太陽電池用基板の表面電極1を形成するために用いる場合には、シリコン基板のn型シリコン層上に直接印刷してもよいし、n型拡散層(n型シリコン層)3上の反射防止膜2上に印刷することもできる。本発明の導電性ペーストを、反射防止膜2上に印刷する場合には、後の焼成の際に導電性ペーストが反射防止膜2をファイアースルーし、n型拡散層3上に表面電極1が形成される。
なお、高い変換効率を得るという観点から、結晶系シリコン基板の光入射側の表面には、ピラミッド状のテクスチャ構造を有することが好ましい。
図1に示す構造の太陽電池を製造する場合には、本発明の導電性ペーストを、スクリーン印刷法等の方法を用いて、表面にn型拡散層3を有する結晶系シリコン基板上、又はn型拡散層3上に形成された反射防止膜2上に電極パターンを印刷することができる。
本発明の太陽電池の製造方法では、上述のように印刷した電極形成用導電性ペーストを乾燥し、焼成する工程を含む。すなわち、まず、印刷した電極パターンを、100〜150℃程度の温度で数分間(例えば0.5〜5分間)乾燥する。同様に、裏面に対しても本発明の導電性ペースト又はその他の導電性ペースト(例えば、アルミニウムを主成分とした導電性ペースト)をほぼ全面に印刷し、乾燥する。
その後、導電性ペーストを乾燥したものを、管状炉などの焼成炉を用いて大気中で、500〜850℃程度の温度で0.4〜3分間焼成して、光入射側の表面電極1及び裏面電極5を形成する。具体的には、焼成炉のイン−アウト0.5分の焼成時間とすることができる。反射防止膜2上に本発明の導電性ペーストを印刷した場合には、焼成中に高温のペースト材料が反射防止膜2をファイアースルーするために、表面電極1とシリコン基板上のn型拡散層3を電気的に接続することができる。この結果、図1に示すような構造の太陽電池を得ることができる。なお、焼成条件は、上記に限定されず、適宜選択できる。
全裏面電極型(いわゆるバックコンタクト構造)や、光入射側電極を基板に設けた貫通孔を通じて裏面に導通させる構造の太陽電池においても、n型シリコン層への電極形成用として、本発明の導電性ペーストを好適に用いることができる。
以上、p型シリコン基板を用いた太陽電池の例について説明したが、n型シリコン基板を用いた結晶系シリコン太陽電池の場合でも、拡散層を形成する不純物をリンなどのn型不純物からホウ素などのp型不純物へ変更し、n型拡散層の代わりにp型拡散層を形成することが異なるだけで、同様のプロセスによって本発明の導電性ペーストを用いた太陽電池を製造することができる。
以下、実施例により、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<導電性ペーストの材料及び調製割合>
実施例及び比較例の太陽電池製造に用いた導電性ペーストの組成は、下記のとおりである。
・導電性粉末 :Ag(100重量部)。球状、BET値が0.6m/g、平均粒径D50が1.4μmのものを用いた。
・ガラスフリット:表1に示す配合及び軟化点のガラスフリットA〜Hを用いた。実施例及び比較例の導電性ペースト中の、導電性粉末100重量部に対するガラスフリットの添加量は、表2に示すとおりである。なお、ガラスフリットの平均粒径D50は2μmとした。
・有機バインダ :エチルセルロース(1重量部)。エトキシ含有量48〜49.5重量%のものを用いた。
・溶剤 :ブチルカルビトール(11重量部)を用いた。
次に、上述の所定の調製割合の材料を、プラネタリーミキサーで混合し、さらに三本ロールミルで分散し、ペースト化することによって導電性ペーストを調製した。
<太陽電池基板の試作>
本発明の導電性ペーストの評価は、調製した導電性ペーストを用いて太陽電池を試作し、その特性を測定することによって行った。太陽電池の試作方法は次のとおりである。
基板は、B(ボロン)ドープのP型Si単結晶基板(基板厚み200μm)を用いた。
まず、上記基板に酸化ケイ素層約20μmをドライ酸化で形成後、フッ化水素、純水及びフッ化アンモニウムを混合した溶液でエッチングし、基板表面のダメージを除去した。さらに、塩酸及び過酸化水素を含む水溶液で重金属洗浄を行った。
次に、この基板表面にウェットエッチングによってテクスチャ(凸凹形状)を形成した。具体的にはウェットエッチング法(水酸化ナトリウム水溶液)によってピラミッド状のテクスチャ構造を片面(光入射側の表面)に形成した。その後、塩酸及び過酸化水素を含む水溶液で洗浄した。
次に、上記基板のテクスチャ構造を有する表面に、オキシ塩化リン(POCl)を用い、拡散法によって、リンを温度950℃で30分間拡散させ、n型拡散層を約0.5μmの深さにn型拡散層を形成した。n型拡散層のシート抵抗は、60Ω/□だった。
次に、n型拡散層を形成した基板の表面に、プラズマCVD法によってシランガス及びアンモニアガスを用いて窒化ケイ素薄膜を約60nmの厚みに形成した。具体的には、NH/SiH=0.5の混合ガス1Torr(133Pa)をグロー放電分解することにより、プラズマCVD法によって膜厚約60nmの窒化ケイ素薄膜(反射防止膜)を形成した。
このようにして得られた太陽電池基板を、15mm×15mmの正方形に切断して使用した。
光入射側(表面)電極用の導電性ペーストの印刷は、スクリーン印刷法によって行った。上述の基板の反射防止膜上に、膜厚が約20μmになるように2mm角バス電極部と、6本の100μm幅フィンガー電極部とからなるパターンで印刷し、その後、150℃で約60秒間乾燥した。
次に裏面電極用の導電性ペーストの印刷を、スクリーン印刷法によって行った。上述の基板の裏面に、アルミニウム粒子、ガラスフリット、エチルセルロース及び溶剤を主成分とする導電性ペーストを14mm角で印刷し、150℃で約60秒間乾燥した。乾燥後の裏面電極用の導電性ペーストの膜厚は約20μmであった。
上述のように導電性ペーストを表面及び裏面に印刷した基板を、ハロゲンランプを加熱源とする近赤外焼成炉(日本ガイシ社製 太陽電池用高速焼成試験炉)を用いて、大気中で所定の条件により焼成した。焼成条件は、720℃のピーク温度とし、大気中、焼成炉のイン−アウト30秒で両面同時焼成した。以上のようにして、太陽電池を試作した。
<太陽電池特性の測定>
太陽電池セルの電気的特性の測定は、次のように行った。すなわち、試作した太陽電池の電流−電圧特性を、ソーラーシミュレータ光(AM1.5、エネルギー密度100mW/cm)の照射下で測定し、測定結果から曲線因子(FF)、変換効率(%)及び直列抵抗Rs(Ω)を算出した。なお、試料は同じ条件のものを2個作製し、測定値は2個の平均値として求めた。
<X線光電子分光装置の測定>
ガラスフリットの酸素の結合エネルギーを評価するために、X線光電子分光法(XPS法)により、酸素の結合エネルギーを測定した。具体的には、まず、ガラスフリットのみをブチルカルビトールを用いてペースト状にし、これを太陽電池用シリコン基板の裏面側に印刷し、150℃、60秒間乾燥させた。乾燥体を700℃のピーク温度により焼成し、ガラスフリットサンプルを作製した。このガラスフリットサンプルを用いて、結合エネルギーが526eV〜536eVを含む範囲でXPS信号強度を測定した。X線光電子分光装置は、アルバック・ファイ株式会社製PHI Quantera SXMを使用した。なお、XPS測定の際、ピークのシフトを補正するために、炭素のピークを基準として用いた。
XPS測定により得られたスペクトルのピークに対してピーク分離を行い、結合エネルギーの異なる酸素について評価した。具体的には、529eV〜531eV未満をピークとするXPS信号を「酸素の低結合エネルギーのXPS信号」とし、533eVをピークとするXPS信号を「Si−O−Si結合のXPS信号」とし、上記二つのピーク以外の、概ね532eV付近をピークとするXPS信号を「酸素の高結合エネルギーのXPS信号」として、三つのピークにピーク分離を行った。ピーク分離により得られたそれぞれのピークが占める面積を算出することにより、酸素の結合エネルギーのXPS信号強度を得た。526eV〜536eVの信号強度の合計値は、上記三つのピークのXPS信号強度の合計値である。次に、各結合エネルギーのXPS信号強度の、526eV〜536eVの信号強度の合計値に対する割合を算出した。なお、「Si−O−Si結合のXPS信号強度」について、純粋なSiO(石英)をあらかじめXPSにて測定したところ、その酸素の結合エネルギー(Si−O−Si結合)は約533eVであることを確認した。
<実験1〜8>
表1に示すガラスフリットA〜Hを、表2に示す添加量になるように添加した導電性ペーストを太陽電池の表面電極形成用に用いて、上述のような方法で、実験1〜8の太陽電池を試作した。表2に、これらの太陽電池の特性である曲線因子(FF)の測定結果を示す。
表1に示すガラスフリットA〜Hを、X線光電子分光装置を用いて酸素の結合エネルギーのXPS信号強度を測定した。酸素の低結合エネルギー、高結合エネルギー及びSi−O−Si結合のXPS信号強度の割合を、表2に示す。なお、図2は、XPS測定によるガラスフリットA、B及びCの結合エネルギーに対するXPS信号強度のスペクトルを示す。また、図3は、XPS測定によるガラスフリットD、E及びFの結合エネルギーに対するXPS信号強度のスペクトルを示す。図2及び図3に示すスペクトルでは、得られたスペクトルのピークに対してピーク分離を行った様子も示している。図2及び図3では、酸素の低結合エネルギーのXPS信号をピーク番号1、Si−O−Si結合のXPS信号をピーク番号2、酸素の高結合エネルギーのXPS信号をピーク番号3として示している。
表2に示すように、酸素の低結合エネルギーのXPS信号強度の割合が40%未満である実験3及び実験8が比較例であり、それ以外は本発明の実施例である。
図4に、表2示す酸素の低結合エネルギーのXPS信号強度の割合と、曲線因子(FF)との関係を示す。図4から明らかなように、酸素の低結合エネルギーのXPS信号強度の割合が40%未満の場合には、0.27以下の曲線因子(FF)の太陽電池しか得られなかった。これに対して、酸素の低結合エネルギーのXPS信号強度の割合が40%以上の場合には、曲線因子(FF)が大きく向上して0.57以上となった。すなわち、酸素の低結合エネルギーのXPS信号強度の割合が40%以上であるかどうかは、臨界的意義があるといえる。
また、図4から明らかなように、酸素の低結合エネルギーのXPS信号強度の割合が55%以上の実験1、実験4及び実験7では、より高い0.68以上の曲線因子(FF)の太陽電池を得ることができた。さらに、酸素の低結合エネルギーのXPS信号強度の割合が60%以上の実験1及び実験7場合には、さらに高い0.75以上の曲線因子(FF)の太陽電池を得ることができた。したがって、高い曲線因子(FF)の太陽電池を得るために、酸素の低結合エネルギーのXPS信号強度の割合は、55%以上であることがより好ましく、60%以上であることがさらに好ましいことが明らかとなった。
1 光入射側電極(表面電極)
2 反射防止膜
3 n型拡散層(n型シリコン層)
4 p型シリコン基板
5 裏面電極

Claims (6)

  1. 太陽電池の電極形成用導電性ペーストの製造方法であって、
    ガラスフリットを用意する工程であって、ガラスフリットが、酸化鉛及び二酸化珪素を含み、ガラスフリット中のPbOの含有量が、50〜70mol%であるガラスフリットを含む、工程と、
    X線光電子分光法によりガラスフリット中の酸素の結合エネルギーを測定する工程と、
    X線光電子分光法を用いたガラスフリット中の酸素の結合エネルギーにおいて、526eV〜536eVの信号強度の合計値に対する、529eV〜531eV未満をピークとする信号強度の割合が、40%以上であるガラスフリットを選択する工程と、
    導電性粉末と、ガラスフリットと、有機ビヒクルとを混合する工程と
    を有する、製造方法。
  2. ガラスフリットに含まれる酸化物が、酸化ホウ素をさらに含む、請求項1に記載の製造方法。
  3. ガラスフリットの含有量が、導電性粉末100重量部に対して1.5〜10重量部である、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 導電性粉末が銀粉末である、請求項1〜のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. X線光電子分光法を用いて測定したガラスフリット中の酸素の結合エネルギーにおいて、526eV〜536eVの信号強度の合計値に対する、529eV〜531eV未満をピークとする信号強度の割合が、60%以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 太陽電池の製造方法であって、
    太陽電池の電極形成用導電性ペーストを製造する導電性ペースト製造工程であって、導電性ペースト製造工程が、
    ガラスフリットを用意する工程であって、ガラスフリットが、酸化鉛及び二酸化珪素を含み、ガラスフリット中のPbOの含有量が、50〜70mol%であるガラスフリットを含む、工程と、
    X線光電子分光法によりガラスフリット中の酸素の結合エネルギーを測定する工程と、
    X線光電子分光法を用いたガラスフリット中の酸素の結合エネルギーにおいて、526eV〜536eVの信号強度の合計値に対する、529eV〜531eV未満をピークとする信号強度の割合が、40%以上であるガラスフリットを選択する工程と、
    導電性粉末と、ガラスフリットと、有機ビヒクルとを混合する工程と
    を含む導電性ペースト製造工程、及び、
    導電性ペースト製造工程により製造された太陽電池の電極形成用導電性ペーストを、結晶系シリコン基板のn型シリコン層上又はn型シリコン層上の反射防止膜上に印刷し、乾燥し、及び焼成することによって電極を形成する工程
    を含む、太陽電池の製造方法。
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