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JP6252960B1 - 動物識別耳標の装着器 - Google Patents

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JP6252960B1
JP6252960B1 JP2017050537A JP2017050537A JP6252960B1 JP 6252960 B1 JP6252960 B1 JP 6252960B1 JP 2017050537 A JP2017050537 A JP 2017050537A JP 2017050537 A JP2017050537 A JP 2017050537A JP 6252960 B1 JP6252960 B1 JP 6252960B1
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Abstract

【課題】手が小さく力の弱い女性でも扱うことができる動物識別耳標の装着器を提供すること、及び、1台の耳標装着器で多種類の耳標装着を可能とする動物識別耳標の装着器を提供する。【解決手段】動力伝達機構61を備えた変形トグル機構51は、基本ケース13の主枢支点ピン15を境として固定ハンドル部12と反対側に偏芯させた位置の基本ケース13上に一端側を枢支した第一リンク51bと、この第一リンク51bの他端側を枢支位置とした第一リンク51bよりも短尺で第二耳標装着部21とを連結する第二リンク51eとで構成し、加えて、第一リンク51bと前記第二リンク51eとを、雄形状耳標と雌形状耳標を嵌め込む際、ほぼ最大の嵌め込み力を必要とする第二耳標装着部21の回動位置で最大近くの作用力を得られる姿勢になるように配置する。【選択図】図1

Description

本発明は、動物等の個体識別に主に使用する耳標を装着する動物識別耳標の装着器に関し、詳しくは、小さい握りストロークにした上で更に耳標装着時の握り力を大幅に緩和した動物識別耳標の装着器に関する。
畜産動物、例えば、牛の個体識別用として全国の各農家等に配付している現在の耳標は、当該耳標を装着するための器具を必要とする。
前記耳標の配布当初においては、BSE(Bovine Spongiform Encephalopathy:日本名 牛海綿状脳症)との関連において牛の個体識別管理等を緊急実施する必要性があったため、当該耳標を装着する装着器を、日本国内で使用するにふさわしい耳標装着器とすべく研究開発を行う間もないまま、やむなく耳標装着器を世界各国から集め全国の農家等へ配布した経緯がある。
従って、全国の各農家等には外国製で、しかも特定の耳標しか装着できない耳標装着器が各農家等に配布される結果となり、これに伴って、毎年農家に配布される当該耳標も各耳標装着器との適合性が必須要件となっている。
これは、耳標の配布管理も大変煩雑であるが、耳標装着器も外国製であることから、その握り部分が広すぎて使用しにくいとの問題も浮上してきている。特に最近、牛を含めた家畜等の飼養農家等には手が小さく力の弱い女性も多く進出しており、外国製の耳標装着器を扱うのに苦慮しているとの声も多く聞かれるようになってきている。
特表2001−505052号公報 特表2013−517794号公報
「特許文献1」に記載されている技術は、日本国内に配布されている上述した外国製の耳標装着器のうちの一つの耳標装着器に係る技術であって、第1と第2のあご部及び各あご部を互いに引き寄せる方向に動かす第1と第2のハンドル部をピポット軸を中心に回動させることを基本とし、そのうちの第1のあご部と第1のハンドル部を釈放構造により連結し、耳標を牛耳等に打ち込んだ瞬間に第1のあご部が瞬時に戻る構造の耳標装着器(公報には「耳標取り付け具」と記載)の技術である。
「特許文献2」には、「特許文献1」の技術を改良した技術が開示されている。
この技術は、「特許文献1」の釈放構造に代えてリンク部材と第2のリンクを枢着軸で連結しこれらリンクをほぼ直線に近い状態に伸ばすとともに、枢着軸を思案点超えをさせて少し“く”の字状態からそれ以上内側に曲がらない状態とすることにより、各リンクの姿勢を維持させ、これにより「特許文献1」で言うあご部材に該当する第1と第2のジョー部分を互いに引き寄せる方向に回動させ、耳標を牛耳等に打ち込んだ瞬間に、制御部材によって枢着軸部分が思案点を強制的に超えて戻る構造になっていて、“く”の字のリンクを反“く”の字状態にしてジョー部分を瞬時に戻すようにしている。
「特許文献1」に開示されている先行技術は、耳標を牛耳等に打ち込んだ瞬間に第1のあご部が瞬時に戻るようにしたものであり、また、「特許文献2」に記載された先行技術は、「特許文献1」の釈放構造をリンク機構に代えたものであって、上記いずれの先行技術も、耳標装着時の握り力を緩和したものではない。
特に、「特許文献1」に記載されている技術は、上述したように現行の日本国内に配布されている上述した外国製の耳標装着器そのものである。
現実に耳標を牛耳等に装着する際に「特許文献1」に記載された技術による耳標装着器は、牛耳の保護等の観点からは評価できるものであるが、大きな握り力と広い握り幅を必要とするため特に日本人女性にとっては扱いにくいとの上述した意見が多く聞かれる。
現在日本全国の農家等へ配布している各耳標装着器は、鋏のように支点位置において一対の耳標装着部とハンドル部分をクロスさせているだけなので、力点・支点・作用点からなる“てこ”の原理そのものであって、作用力を増大させようとすれば必然的にハンドル部分は長い距離を必要としハンドル部分の握り幅は大きく広がることになる。
念のため、上記意見を技術的見地から確認するために上記各耳標装着器の力点―支点間の距離と支点―作用点間の距離を測定したところ、力点―支点間距離を12.5cmと固定した場合、力点と作用点の長さ比は、「特許文献1」に記載された技術により製作された耳標装着器も含め、力点1に対しすべての耳標装着器で作用点において0.52〜0.60程度であり、雄形状耳標を雌形状耳標に装着する際発生する挿入力(作用点における力)の1/2以上の握り力が必要であることが判明した。
特に厳冬期においては、常温時の数倍となる上記挿入力の増大に対し、耳標装着作業者が耳標装着時の対処に苦慮することが目に見えるようであり上記多くの意見を裏付ける結果となった。
また、「特許文献1」に記載された技術により製作された耳標装着器に代表されるように雄形状耳標を内側から支えるピンは、耳標の製作者により雄形状耳標の前記ピンが入る孔が異なり、耳標装着後に前記ピンを雄形状耳標から抜く力を小さくする工夫する必要性から特殊形状をしているため、特定の耳標にしか使用できない。そのため、他の耳標を使用するためには、別の耳標装着器を用意しなければならない等の問題もある。
なお、上述した前記ピンを雄形状耳標から抜く力を小さくする必要があるのは、ハンドル部分のリターン用のスプリングを、ハンドルの戻り力に加え前記ピンを雄形状耳標から抜く力も考慮する必要があり、このピンの抜く力が大きい場合には、前記リターン用のスプリングを更に強くする必要があって、この力によりハンドルの握り力に多大な影響を及ぼすに他ならないからである。
そこで、本発明は、耳標装着器の耳標装着時の握りストロークを小さくしてもなお、握り力を大幅に緩和できるようにすることによって、手が小さく力の弱い女性でも扱うことができる動物識別耳標の装着器を提供することを第一の目的とする。
また、1台の耳標装着器で多種類の耳標装着を可能とする動物識別耳標の装着器を提供することを第二目的とする。
上記目的を達成するために本発明では次のような手段を用いて課題を解決した。
第一の課題解決手段は、雄形状耳標とこの雄形状耳標を嵌め込む雌形状耳標とで一対とした動物識別耳標装着器であって、前記雄形状耳標と前記雌形状耳標のうちいずれか一方の耳標を装着する第一耳標装着部とこの第一耳標装着部後方に位置する握り部分を有する固定ハンドル部とを一体的に形成した基本ケースを設ける一方、前記第一耳標装着部と前記固定ハンドル部の中間位置の前記基本ケースを主枢支点とし前記第一耳標装着部と間隔を設けて対向する前記雄形状耳標と前記雌形状耳標のうちの他方の耳標を装着する第二耳標装着部を備え、さらに、前記第二耳標装着部の前記主枢支点を共用し、かつ握り部分を有する可動ハンドル部を前記固定ハンドル部に間隔を設けて対向するように配置するとともに、前記可動ハンドル部と前記第二耳標装着部とを、動力伝達機構を備えた変形トグル機構を介して連結し、前記動力伝達機構を備えた変形トグル機構を、前記雄形状耳標と前記雌形状耳標を嵌め込む際、ほぼ最大の嵌め込み力を必要とする前記第二耳標装着部の回動位置で最大近くの作用力を得られる姿勢になるように配置した動物識別耳標の装着器を提供する。
第二の課題解決手段は、雄形状耳標とこの雄形状耳標を嵌め込む雌形状耳標とで一対とした動物識別耳標装着器であって、前記雄形状耳標と前記雌形状耳標のうちいずれか一方の耳標を装着する第一耳標装着部とこの第一耳標装着部後方に位置する握り部分を有する固定ハンドル部とを一体的に形成した基本ケースを設ける一方、前記第一耳標装着部と前記固定ハンドル部の中間位置の前記基本ケースを主枢支点とし前記第一耳標装着部と間隔を設けて対向する前記雄形状耳標と前記雌形状耳標のうちの他方の耳標を装着する第二耳標装着部を備え、さらに、前記第二耳標装着部の前記主枢支点を共用し、かつ握り部分を有する可動ハンドル部を前記固定ハンドル部に間隔を設けて対向するように配置するとともに、前記可動ハンドル部と前記第二耳標装着部とを、動力伝達機構を備えた変形トグル機構を介して連結し、前記動力伝達機構を備えた変形トグル機構を、前記雄形状耳標と前記雌形状耳標を嵌め込む際、ほぼ最大の嵌め込み力を必要とする前記第二耳標装着部の回動位置で最大近くの作用力を得られる姿勢になるように配置し、さらに、前記第一耳標装着部又は前記第二耳標装着部のうち前記雄形状耳標を装着するいずれか一つの耳標装着部に前記雄形状耳標を内側から支える片持ちピンを設け、この片持ちピン形状のうち少なくともその一部分を根元部側が太く先端部側が細いテーパ形状とした動物識別耳標の装着器を提供する。
第三の課題解決手段は、第一の課題解決手段又は第二の課題解決手段のいずれか一つに加え、前記変形トグル機構を、前記基本ケースの前記主枢支点を境として前記固定ハンドル部と反対側に偏芯させた位置の前記基本ケース上に一端側を枢支した第一リンクと、この第一リンクの他端側を枢支位置として前記第一リンクよりも短尺で前記第二耳標装着部とを連結する第二リンクとで構成した動物識別耳標の装着器を提供する。
第四の課題解決手段は、第三の課題解決手段に加え、前記動力伝達機構は、前記可動ハンドル部の前記主枢支点を境として前記握り部分側と反対側の前記可動ハンドル部上に位置する部位と,前記第一リンクの枢支位置から前記第二リンクの前記枢支位置方向に向かった前記第一リンクの部位とを動力伝達連結した動物識別耳標の装着器を提供する。
第五の課題解決手段は、第の課題解決手段ないし第四の課題解決手段のいずれか一つに加え、前記第一リンクの枢支位置と前記第二リンクの枢支位置間の仮想直線と前記第二リンクの前記枢支位置とこの第二リンクの前記第二耳標装着部とを連結する連結点間の仮想直線の交差角度を鋭角にした動物識別耳標の装着器を提供する。
第六の課題解決手段は、第の課題解決手段ないし第の課題解決手段のいずれか一つに加え、前記第一リンクの枢支位置と前記第二リンクの枢支位置間の仮想直線と前記第二リンクの前記枢支位置とこの第二リンクの前記第二耳標装着部とを連結する連結点間の仮想直線の交差角度を鋭角にするとともに、前記最大の作用力を得られる位置における前記第一リンクと前記第二リンクとの前記交差角度思案点を超えないようにした動物識別耳標の装着器を提供する。
第七の課題解決手段は、第二の課題解決手段ないし第六の課題解決手段のいずれか一つに加え、前記第一耳標装着部又は前記第二耳標装着部の内、前記雄形状耳標を装着するいずれか一つの耳標装着部に、前記雄形状耳標を内側から支える片持ちピンを固定するにあたり、前記片持ちピンの付け根側を、識別される動物の逃れ方向に回動するように取り付けた動物識別耳標の装着器を提供する。
上記、第一の課題解決手段による作用効果は、可動ハンドル部と第二耳標装着部とを、動力伝達機構を備えた変形トグル機構を介して連結し、この動力伝達機構を備えた変形トグル機構を、雄形状耳標と雌形状耳標を嵌め込む際、ほぼ最大の嵌め込み力を必要とする第二耳標装着部の回動位置で最大近くの作用力得られる姿勢になるように配置した。
たがって、第二耳標装着部においては、動物の耳の表裏に雄形状耳標と雌形状耳標が到達するまでは第二耳標装着部の回動速度が大きくなり回転トルクは大きくならないが、動物の耳の表裏に雄形状耳標と雌形状耳標が到達する頃には、第二耳標装着部の回動速度が小さくなるに従って回転トルクは大きくなり、雄形状耳標が雌形状耳標に嵌め込まれる近傍では回転トルクが著しく大きくなるので、この著しく大きくなる回転トルクを活用して、可動ハンドル部においては、小さな回動角度と握り力で強大な力を作用点である第二耳標装着部に伝達すべく、動力伝達機構を備えた変形トグル機構の動力伝達時の動きを増幅させることが可能となる。
これは、雄形状耳標が雌形状耳標に嵌め込まれる近傍では、第二耳標装着部の回動支点位置(主枢支点)での回転トルクを従来の耳標装着器に比べて著しく増大できることになるので、その回転トルクの一部を動力伝達機構に活用してもなお、第二耳標装着部の回動支点位置では従来の耳標装着器よりも大きな回転トルクを得ることができる。
すなわち、可動ハンドル部と固定ハンドル部間の最大握り幅を狭くし、握りにより回動角度が小さくなった可動ハンドル部の動きを動力伝達機構を備えた変形トグル機構を介し て第二耳標装着部の回転角度を増幅させてもなお、第二耳標装着部の回動支点位置での回転トルクを従来の耳標装着器よりも大きくすることができることを意味する。
その結果、力点となる可動ハンドル部には、雄形状耳標または雌形状耳標のいずれかが動物の耳に到達するまでは、大きな力を必要としないので、第二耳標装着部の回動速度を優先させることができ、また、それ以降、雄形状耳標が動物の耳に食い込み雌形状耳標に入り込む途中では極めて大きな作用力が発生するが、力点である可動ハンドル部には小さな反力しか伝達されないことになる。
換言すれば、可動ハンドル部においては、動物の耳に雄形状耳標または雌形状耳標のいずれかが到達するまでは可動ハンドル部の回動速度が大きくなり、動物の耳に雄形状耳標が挿し込まれ雌形状耳標と合体する時は、可動ハンドル部の回動速度が小さくなる反面、小さな握り力で強大な力を作用点である第二耳標装着部に伝達できることになる。
このように、可動ハンドル部を従来の耳標装着器のようにハンドル部を長くして握り部分の幅を広げなくても小さな握り力で耳標を装着することが可能となる。その結果、手が小さく力の弱い女性でも扱うことができる動物識別耳標の装着器を提供することができる効果がある。
上記、第二の課題解決手段による作用効果は、可動ハンドル部と第二耳標装着部とを、動力伝達機構を備えた変形トグル機構を介して連結し、この変形トグル機構を、雄形状耳標と雌形状耳標を嵌め込む際、ほぼ最大の嵌め込み力を必要とする第二耳標装着部の回動位置で最大近くの作用力を得られる姿勢になるように配置した。したがって、第二耳標装着部においては、動物の耳の表裏に雄形状耳標と雌形状耳標が到達するまでは第二耳標装着部の回動速度が大きくなり回転トルクは大きくならないが、動物の耳の表裏に雄形状耳標と雌形状耳標が到達する頃には、第二耳標装着部の回動速度が小さくなるに従って回転トルクは大きくなり、雄形状耳標が雌形状耳標に嵌め込まれる近傍では回転トルクが著しく大きくなるので、この著しく大きくなる回転トルクを活用して、可動ハンドル部においては、小さな回動角度と握り力で強大な力を作用点である第二耳標装着部に伝達すべく、動力伝達機構を備えた変形トグル機構の動力伝達時の動きを増幅させることが可能となる。
これは、雄形状耳標が雌形状耳標に嵌め込まれる近傍では、第二耳標装着部の回動支点 位置(主枢支点)での回転トルクを従来の耳標装着器に比べて著しく増大できることになるので、その回転トルクの一部を動力伝達機構に活用してもなお、第二耳標装着部の回動支点位置では従来の耳標装着器よりも大きな回転トルクを得ることができる。
すなわち、可動ハンドル部と固定ハンドル部間の最大握り幅を狭くし、握りにより回動角度が小さくなった可動ハンドル部の動きを動力伝達機構を備えた変形トグル機構を介して第二耳標装着部の回転角度を増幅させてもなお、第二耳標装着部の回動支点位置での回転トルクを従来の耳標装着器よりも大きくすることができることを意味する。
その結果、力点となる可動ハンドル部には、雄形状耳標または雌形状耳標のいずれかが動物の耳に到達するまでは、大きな力を必要としないので、第二耳標装着部の回動速度を優先させることができ、また、それ以降、雄形状耳標が動物の耳に食い込み雌形状耳標に入り込む途中では極めて大きな作用力が発生するが、力点である可動ハンドル部には小さな反力しか伝達されないことになる。
換言すれば、可動ハンドル部においては、動物の耳に雄形状耳標または雌形状耳標のいずれかが到達するまでは可動ハンドル部の回動速度が大きくなり、動物の耳に雄形状耳標が挿し込まれ雌形状耳標と合体する時は、可動ハンドル部の回動速度が小さくなる反面、小さな握り力で強大な力を作用点である第二耳標装着部に伝達できることになる。
このように、可動ハンドル部を従来の耳標装着器のようにハンドル部を長くして握り部分の幅を広げなくても小さな握り力で耳標を装着することが可能となる。その結果、手が小さく力の弱い女性でも扱うことができる動物識別耳標の装着器を提供することができる効果がある。
さらに、雄形状耳標を装着するいずれか一つの耳標装着部に前記雄形状耳標を内側から支える片持ちピンを設け、この片持ちピン形状のうち少なくともその一部分を根元部側が太く先端部側が細いテーパ形状としたことにより、耳標の製作者により異なる雄形状耳標の片持ちピンの挿入部分にも対応ができる。このことは、耳標によっては片持ちピンと雄形状耳標の挿入部分との嵌合がきつく雄形状耳標から片持ちピンが抜けにくい状態も考えられるが、この抜け始め位置における変形トグル機構の戻り力が極めて大きいため第二耳標装着部と第一耳標装着部の離間力が大きくなることを意味し、片持ちピンと雄形状耳標の挿入部分との嵌合がきつくても、簡単に耳標から片持ちピンを引き離すことができる。
すなわち、1台の耳標装着器で多種類の耳標装着を可能とする動物識別耳標の装着器を提供するとした第二の目的も達成できる。
上記、第三の課題解決手段による作用効果は、最少の部品点数で変形トグル機構を、構成配置したので、耳標装着器全体を安価にしかも、コンパクト化することができ、女性でも扱いやすい動物識別耳標の装着器を提供することができる効果がある。
上記、第四の課題解決手段による作用効果は、第二耳標装着部と可動ハンドル部との作動方向を逆にする、換言すれば、可動ハンドル部を握る方向に回動させれば第二耳標装着部は、第一耳標装着部側に向かって回動するので、従前の耳標装着器と同様に扱うことができ、作業者にとって違和感なく扱うことができる。
上記、第五の課題解決手段による作用効果を述べると次のようになる。
すなわち、第二リンクの枢支位置における第一リンクの回転方向の力をFとし、第二リンクの長手方向に作用する力をPとし、第一リンクの枢支位置と第二リンクの枢支位置間の仮想直線と第二リンクの枢支位置とこの第二リンクの第二耳標装着部とを連結する連結点間の仮想直線の交差角度αとした時、P=F/sinαの関係式が成り立つので、前記交差角を鋭角にしたということは、該交差角が小さいほど第二リンクの長手方向に作用する力は増幅されることを意味し、具体的な意味において上記第一の目的達成に資することになる。
上記、第六の課題解決手段による作用効果は、雄形状耳標と雌形状耳標を嵌め込む際、ほぼ最大の嵌め込み力を必要とする第二耳標装着部の回動位置で最大の作用力を得られる状態における第一リンクと第二リンクの位置関係で上記交差角度αが思案点を超えないようにしているので、第二耳標装着部が原位置に戻る際の戻り力を大きくできることを意味している。換言すれば、第二耳標装着部が外的障害物に触ったとしても動物からいち早く第二耳標装着部が離れることに繋がり、安全性を確保できることになる。
さらに加えて、第二耳標装着部が原位置に戻る際の戻り力を大きくできるということは、 可動ハンドル部を耳標の装着完了位置から原位置に戻すための戻り力を小さくできることも意味しているので、この戻り力を仮にスプリングで行う場合は、このスプリング力を小さくできることから、可動ハンドル部を作業者が握った時の握り力を小さくすることができる作用効果もある。
上記、第七の課題解決手段による作用効果は、片持ちピンの根元側は、識別される動物の逃れ方向に回動するように取り付けられているので、耳標装着に際して、動物がこの装着から逃れようとしても、回動作用により片持ちピンの姿勢は動物の逃れ方向に沿うようになり、動物識別耳標の装着器が飛ばされることなく、作業者は安全に作業をすることができる。
このように、本発明では、手が小さく力の弱い女性でも扱うことができる動物識別耳標の装着器を提供すること及び1台の動物識別耳標の装着器で多種類の耳標装着を可能とする動物識別耳標の装着器を提供するとした所期の目的を達成できる他、各態様により上述したそれぞれの作用効果を奏する。
は、本発明の動物識別耳標の装着器の要部を示すもので、図2のA−A線における外装部分及び一部の機構部分を断面した正面視の説明図 は、本発明の動物識別耳標の装着器の一例を示す平面図 は、図2の正面図 は、図1における正面視の動力伝達機構を備えた変形トグル機構を拡大して展開した説明図 は、図1の動力伝達機構部分の一部を拡大し、図4のB−B線位置で断面した正面視の説明図 は、雄形状耳標と雌形状耳標を嵌め込む際、ほぼ最大の嵌め込み力を必要とする第二耳標装着部の回動位置で最大近くの作用力を得られる姿勢の一例を示す説明図 は、耳標の装着が完了した瞬間の各機構の姿勢の一例を示す説明図 は、他の実施例を示す図1に相当する正面視の説明図 は、本発明の動物識別耳標の装着器により動物に装着する耳標の一例を示す一部断面した斜視説明図
先ず、本発明の動物識別耳標の装着器で動物に装着する動物識別耳標について述べる。
図9において、雄形状耳標1とこの雄形状耳標1を嵌め込む雌形状耳標2とで一対とした動物識別耳標ETのうち、雄形状耳標1は、札部1aとこの札部1aの一部から延設した軸部1bとこの軸部1b先端側に設けた矢尻部1cと軸部の中央付近に穿設したピン挿込穴1dとから成る。ピン挿込穴1dは、後述する動物識別耳標ETの装着器Tの片持ちピン31を挿し込む有底孔である。
また、雌形状耳標2は、札部2aと、この札部2aの一部に設け抜け止め部2cを備えた嵌め込み穴2bと、矢尻収納部2dとを有する。
上記動物識別耳標ETは、図9に示すような札型のものや、図示しないが丸型のもの等装着動物により使い分けしているが、殆どが耳標製作メーカの推奨する同一の耳標装着器が使用できるようになっている。
そして、動物識別耳標ETは、耳標製作メーカにより寸法や形状が異なるものの、基本構成は上述した通りであって、材質もその多くは、ポリウレタン樹脂を主体とした樹脂製であることを付記しておく。
次に本発明の動物識別耳標の装着器について述べる。
図1〜図5において、動物識別耳標の装着器Tは、前記雄形状耳標1と前記雌形状耳標2のうちいずれか一方の耳標を装着する第一耳標装着部11とこの第一耳標装着部11後方に位置する握り部分12aを有する固定ハンドル部12とを一体的に形成した基本ケース13を設けている。なお、第一耳標装着部11は、この実施例では雌形状耳標2を装着するようにしている。
第一耳標装着部11の先端側には、雌形状耳標2を挟み込むための耳標押え板14を配備している。この耳標押え板14は、第一耳標装着部11に動支点14cを持ち、第一耳標装着部11先端側に位置するU字形の耳標押え部14aと、動支点14cの後方に位置する押え解除片14bと、この押え解除片を下方から付勢するスプリング14dとから形成している。すなわち、雌形状耳標2は、スプリング14dの付勢力により耳標押え部14aと第一耳標装着部11先端部との間に挟まれるので、装着器Tの先端が下向きになっても雌形状耳標2がその自重等で位置ずれしない程度のスプリング14dの付勢力とするのが望ましい。
この実施例においては、耳標押え部14a裏側に対面する位置の第一耳標装着部11の先端部に、雌形状耳標2の受け部2eを納めるU字形の段溝11aを備えている。この段溝11aは、耳標製作メーカにより動物識別耳標の形状寸法が異なるので、図9に示す受け部2eがある雌形状耳標2については、受け部2eを段溝11a内に収まるように段溝11aの寸法を定めればよく、受け部2eがない雌形状耳標については、段溝11aの上面11bで受けるようにすればよい。
また、図9に示す矢尻収納部2dの外周部分はボス2fが形成されており、このボス2fに相当するものは他の各耳標も備えており、したがって、図9に示すものも含めてすべての雌形状耳標は矢尻収納部の外周形状がボスとして突出していることから、第一耳標装着部11の先端部の段溝11a下部の第一耳標装着部11にはボス収納部11cを設けていて、段溝11aとボス収納部11cの存在により、現在流通している多くの動物識別耳標の雌形状耳標を耳標押え板14で第一装着部に押え込むことができるようにしている。
一方、第一耳標装着部11と前記固定ハンドル部12の中間位置の前記基本ケース13には、主枢支点となる主枢支点ピン15を配備している。そしてこの主枢支点ピン15を枢支点とし第一耳標装着部11と間隔を設けて対向する雄形状耳標1と前記雌形状耳標2のうちの他方の耳標(この実施例では雄形状耳標1)を装着する第二耳標装着部21を備えている。主枢支点ピン15の配設位置は、図1,図3において、第二耳標装着部21が主枢支点ピン15を中心として反時計回りに回動した時に第一耳標装着部11と対向するように定めている。
また、第二耳標装着部21の先端側には、雄形状耳標1のピン挿入穴1d(図9)に挿し込む片持ちピン31を配設している。この片持ちピン31はピン取付け部31aに螺設されていて、ピン取付け部31aは、密巻きに近いスプリング31bを介して第二耳標装着部21の先端側に固定したピン固定部31cと繋がっている。
スプリング31bの両端部分は、ピン取付け部31aとピン固定部31cに圧接螺合か若しくはロー付等により固定されている。
そして、耳標装着時に動物が逃げた場合に動物用識別耳標ETが動物の動きにより引っ張られるが、その際、スプリング31bの中間部が動物の逃走方向に片持ちピン31が回動するように曲がることによって片持ちピン31から雄形状耳標1が抜けるようにして、動物の耳の損傷と片持ちピン31の破損を防止している。
すなわち、通常の耳標装着時の動物用識別耳標ETの姿勢は、動物の真横から動物側に先端部が向く姿勢で装着作業を行うので、動物が首を振って動物識別耳標の装着器Tから離れる方向に逃げる場合が多いことから、片持ちピン31は少なくとも第二耳標装着部21の前方に回動するように曲がる工夫をしている。これに伴って雌形状耳標2も第一耳標装着部11の段溝11aとボス収納部11cを第一耳標装着部11先端側を開放して、片持ちピン31の回動方向と同じ方向に雌形状耳標2が外れるようにしている。
一方、片持ちピン31は、雄形状耳標1のピン挿入穴1dに挿し込むが、このピンの一部にテーパ部31dを形成している。このテーパ部31dは、ピン挿入穴1dの形状寸法が各耳標メーカにより異なっても、片持ちピン31に雄形状耳標1が喰い付くようにしたものである。
本発明では、片持ちピン31と雄形状耳標1の喰い付き力が大きくなっても後述する耳標装着後の装着器Tには極めて大きな戻り力が発生するので、装着時の握り力にほぼ影響を与えることなく、この大きな戻り力によって確実に片持ちピン31を雄形状耳標1から抜くことができる。
従来の装着器の場合では、装着動作後の戻り力を強くすれば装着時の握り力に大きな影響が出るため、戻り力を大きくできない問題があったが本発明はそれも解決している。
次に、可動ハンドル部41側について述べれば、基本ケース13上の第二耳標装着部21の主枢支点ピン15を共用して、握り部分41aを有する可動ハンドル部41を固定ハンドル部12に間隔を設けて対向するように配置している。
そして、可動ハンドル部41と第二耳標装着部21は、動力伝達機構61を備えた変形トグル機構51を介して連結している。これを詳述すると次のようになる。
変形トグル機構51は、基本ケース13の主枢支点ピン15中心を境として固定ハンドル部12と反対側に偏芯させた位置の前記基本ケース13上に一端側を第一リンク枢支ピン51aにより枢支した第一リンク51bと、この第一リンク51bの他端側の第二リンク枢支ピン51cを枢支位置とした前記第一リンク51bよりも短尺で第二耳標装着部21とを連結ピン51dにより連結する第二リンク51eとで構成している。
加えて、第一リンク51bと第二リンク51eとを、雄形状耳標1と雌形状耳標2を嵌め込む際、ほぼ最大の嵌め込み力を必要とする第二耳標装着部21の回動位置で最大近くの作用力を得られる姿勢になるように配置する。
上記、雄形状耳標1と前記雌形状耳標2を嵌め込む際、ほぼ最大の嵌め込み力を必要とする第二耳標装着部21の回動位置で最大近くの作用力を得られる姿勢について、更に詳述すれば、図1に示すように装着器Tの装着動作前の変形トグル機構51の第一リンク51bと第二リンク51eの配置は次のように定めるのが望ましく、それにより、上記“最大近くの作用力を得られる姿勢”を得ることができる。
すなわち、装着器Tの装着動作前の変形トグル機構51のなす角度、詳しくは、第一リンク51bの枢支位置である第一リンク枢支ピン51aの中心と第二リンク51eの枢支位置である第二リンク枢支ピン51cの中心間の仮想直線51fと第二リンク51eの枢支位置である第二リンク枢支ピン51cの中心とこの第二リンク51eの第二耳標装着部21とを連結する連結点である連結ピン51dの中心間の仮想直線51gのなす角度α(図1参照)を定めるには、先ず、動物用識別耳標ETの雄形状耳標1の矢尻部1cが雌形状耳標2の嵌め込み穴2bに入る際、最も大きな装着力を必要とする位置(図6に示す部分)から、矢尻部1cが嵌め込み穴2bを抜け出る位置(図7に示す部分)までの第二耳標装着部21の回動位置を求める。これにより、第二耳標装着部の最も大きな装着力を必要とする位置における連結ピン51dの中心位置が定まるので、この状態で、ここに第二リンクの連結位置を配すれば、第一リンク51bと第二リンク51e両方の仮想直線51f,51gのなす角度αが小さくなる。加えて、矢尻部1cが嵌め込み穴2bを抜け出る位置における連結ピン51dの中心が、仮想直線51f(思案点)を超えない位置になるように第一リンク51bと第二リンク51eの位置を仮想直線51fと仮想直線51gのなす角度αが最も小さくなるように調整して定める。
次に、装着器Tの装着動作前の片持ちピン31の先端と耳標押え板14a間の距離が適正になるように第二耳標装着部21の主枢支点ピン15を回転中心とした回動開始位置を定める。これにより、回動開始位置における連結ピン51dの位置が決まるので、その位置で、連結ピン51dの軸芯を中心とした仮想直線51gの長さを半径とした仮想円と、第一リンク枢支ピン51aの軸芯を中心とした仮想直線51fの長さを半径とした仮想円との交点で第二リンク枢支ピン51cにより第一リンク51bと第二リンク51eを連結すれば、必然的に装着器Tの装着動作前の変形トグル機構51を配置する位置が定まる。この時、仮想直線51fと仮想直線51gの交差角度が鋭角にすることが望ましい。
その理由は、いま、第二リンク51eの第二リンク枢支ピン51c位置における第一リンク51bの回転方向の力をFとし、第二リンク51eの長手方向下向きに作用する力(仮想直線51g上の下向きの力)をPとし、仮想直線51fと仮想直線51gの交差角度をαとした時、P=F/sinαの関係式が成り立つので、前記交差角を鋭角にすることが望ましいということは、sinαが1未満となり該交差角αが90度より小さいほど第二リンク51eの長手方向に作用する力は増幅される。
換言すれば、図6,図7に示すように、交差角αが思案点近くまで小さくなればなるほど第二リンク51eの下向きの長手方向に作用する力は著しく増大し、雄形状耳標1と前記雌形状耳標2を嵌め込む際、ほぼ最大の嵌め込み力を必要とする第二耳標装着部21の回動位置で最大近くの作用力を得られることになる。
続いて、変形トグル機構51に備えた動力伝達機構61について説明すれば、上述したように、雄形状耳標1と雌形状耳標2を嵌め込む際、ほぼ最大の嵌め込み力を必要とする第二耳標装着部21の回動位置の交差角αが思案点近くまで小さくなり(図6参照)第二リンク51eの下向きの長手方向に作用する力は著しく増大するので、第一リンク51bを動かす力Fは極めて小さな動力伝達でよいことになる。
このように、第一リンク51bを動かす力Fは極めて小さな動力伝達でよいことから、動力伝達機構61を定めるにあたっては次の手順で定めるのが望ましい。
先ず、日本人女性の手のひらサイズから固定ハンドル部12の握り部12aと可動ハンドル部41の握り部41a間の広さを求めて、装着器Tの装着動作前の可動ハンドル部41の位置を定める。
次に、主枢支点ピン15中心位置と第一リンク枢支ピン51a間の適正位置に動力伝達ピン61aを配置する
れは、第一リンク枢支ピン51aと動力伝達ピン61aの中心間距離が短くても、変形トグル機構51の連結ピン51dの位置では、角度αが小さくなれば強大な力が増幅されることに鑑み、第一リンク枢支ピン51aと動力伝達ピン61aの中心間距離を長くしなくても充分強大な力を片持ちピン31に伝達でき、コンパクトな動力伝達機構61にできること、及び第一リンク51bを図1において反時計回りに回動させるために他ならない。
なお、この動力伝達ピン61aは図4に示すように、この実施例では2枚の第一リンク51b間に挟むように固定する。そして、図5で詳細に示すように可動ハンドル部41の主枢支点ピン15の固定ハンドル部12の反対側に長溝41bを設け、この長溝41bに動力伝達ピン61aを嵌め込む。
すなわち、可動ハンドル部41が主枢支点ピン15を中心に時計方向に回動するとき、第一リンク51bは第一リンク枢支ピン51aを中心に長溝41bの回転方向と反対に反時計方向に回転し動力伝達ピン61aが長溝の中を僅かにスライドしながら、可動ハンドル部41の動力を第一リンク51bに伝達するようにする。
このような動力伝達機構61の構成により、従来の装着器同様、可動ハンドル部41を握ると、第二耳標装着部21は第一耳標装着部11側に回動するようにできるので、従来の装着器を使い慣れた作業者でも違和感なく本発明の装着器Tを操作できる。
ちなみに、この実施例の装着器Tの握り力について検討してみると、例えば各図の構成比の場合、主枢支点ピン15の中心から可動ハンドル部41の握り部41a(力点)までの距離を12.5cmとし、この握り部41aに加える力を1とした時の片持ちピン31に加わる力(作用力)の倍率は、図1の無負荷状態時で約1.4倍,図6のほぼ最大の嵌め込み力を必要とする第二耳標装着部21の回動位置で最大近くの作用力を得られる姿勢状態時で約5.5倍,となり、力点である握り部41aの握り力に換算すると、雄形状耳標1を雌形状耳標2に装着する際発生する挿入力(作用点における力)の約5.5分の1の握り力で済むことになって、従来の各装着器の約2.75分の1以下の握り力ですむことになり、力のない女性でも容易に扱えることを付記する。
上述のように、小さな握り力で大きな装着力を得られるので、力のない女性でも動物用耳標を牛耳に装着することができる本発明は、装着後の戻り力も大きくできることを意味している。
すなわち、第一リンク51bの後述するスプリング61cによる戻り力により、耳標装着後の変形トグル機構51の姿勢第一リンク51bに対する第二リンク51eの前述した角度αが思案点を超えない最も小さい角度の状態になっているため、片持ちピン31位置における戻り力は最も増幅された戻り力となる。
片持ちピン31のテーパ部31dは、雄形状耳標1のピン挿入穴1dの形状寸法が各耳標メーカにより異なることによる前述した喰い付き現象があっても、片持ちピン31位置の増幅された戻り力により、この喰い付き現象を解消して各メーカの雄形状耳標から片持ちピン31を抜くことができ、しかも、可動ハンドル部41の握り力に影響を与えることがないことを意味している。
その結果、雄形状耳標は上記理由により、また、雌形状耳標2の受け部2eを第一耳標装着部の段溝11a内に収まるように段溝11aの寸法を定め、受け部2eがない雌形状耳標については、段溝11aの上面11bで受けるようにすることにより、多少形状寸法が異なる雄形状耳標1と雌形状耳標2であっても本発明の装着器Tは、同一の装着器で、片持ちピンを交換することなく多くの種類の耳標を装着できる効果もある。
なお、スプリング61cは第一リンク51bの第一リンク枢支ピン51aと第二リンク枢支ピン51c間に設けたスプリングハンガー61dと可動ハンドル部41に設けたスプリングハンガーピン41dとに張るスプリングであって、常に、第一リンクを時計回りに回動させ、可動ハンドル部41を反時計回りに回動するよう付勢している。
このスプリング61cは、柔らかすぎると装着器Tの自重や重心位置によっては自重等の影響により可動ハンドル部41が動くと持ちにくくなるため、装着器Tの自重や重心位置を考慮しつつ、耳標装着時の握り力に大きな影響を与えない範囲においてその強さを定めればよい。
または、図8に示すように、固定ハンドル部12と可動ハンドル部41の図8に示す位置にもう1本補助的に補助スプリング61dを設けてもよく、スプリング61cを取り除いて補助スプリング61dのみにしても本発明は達成される。
なお、第一リンク51bと主枢支点ピン15は図1(詳細は図4参照)の状態では接触しているが、これは、装着器Tの装着動作前の片持ちピン31の先端と耳標押え板14a間の距離が適正になるように第二耳標装着部21の主枢支点ピン15を回転中心とした回動開始位置を定めるに際し、この実施例では第一リンク51bと主枢支点ピン15を接触させることにより第二耳標装着部21の回動開始位置を定めている。
また、日本人女性の手のひらサイズから固定ハンドル部12の握り部12aと可動ハンドル部41の握り部41a間の広さを求めて、装着器Tの装着動作前の可動ハンドル部41の位置を定めるに際し、この実施例では、可動ハンドル部41の先端側の一部を膨出させて第一リンク枢支ピン51aに接触させ可動ハンドル部41のストッパとしている。
さらにこの実施例では、図1,図4〜図8に示すように、連結ピン51d,第二リンク枢支ピン51c,及び第一リンク枢支ピン51aのスラスト方向への移動規制策として、一方向へはスライドするが他方向へはその位置でロックする一方向ワッシャ71aを設けており、さらに、主枢支ピン15及び第一リンク枢支ピン51aの両端部を袋ナット状の一方向ワッシャ71bで各ピンのスラスト方向の動きを規制している。
これは、ねじ等を使用しないため緩む心配がないばかりか組立工数削減等に効果がある。
以上のように、本発明では、手が小さく力の弱い女性でも扱うことができる動物識別耳標の装着器を提供でき、また、1台の耳標装着器で多種類の耳標装着を可能としたので、農家が耳標装着に関して苦慮している現状を解決できるほか、毎年配布している牛個体識別耳標の配布管理も簡素化できる等、産業上の利用可能性は極めて大きいものがある。
1……………………………雄形状耳標
2……………………………雌形状耳標
11…………………………第一耳標装着部
12…………………………固定ハンドル部
12a………………………握り部分
13…………………………基本ケース
15…………………………主枢支点ピン(主枢支点)
21…………………………第二耳標装着部
31…………………………片持ちピン
31b………………………密巻きに近いスプリング
31d………………………テーパ部(テーパ形状)
41…………………………可動ハンドル部
41a………………………握り部分
51…………………………変形トグル機構
51a………………………第一リンク枢支ピン
51b………………………第一リンク
51c………………………第二リンク枢支ピン
51e………………………第二リンク
51f,51g……………仮想直線
61…………………………動力伝達機構
α …………………………交差角度
ET…………………………動物識別耳標
T …………………………装着器

Claims (7)

  1. 雄形状耳標とこの雄形状耳標を嵌め込む雌形状耳標とで一対とした動物識別耳標装着器であって、前記雄形状耳標と前記雌形状耳標のうちいずれか一方の耳標を装着する第一耳標装着部とこの第一耳標装着部後方に位置する握り部分を有する固定ハンドル部とを一体的に形成した基本ケースを設ける一方、前記第一耳標装着部と前記固定ハンドル部の中間位置の前記基本ケースを主枢支点とし前記第一耳標装着部と間隔を設けて対向する前記雄形状耳標と前記雌形状耳標のうちの他方の耳標を装着する第二耳標装着部を備え、さらに、前記第二耳標装着部の前記主枢支点を共用し、かつ握り部分を有する可動ハンドル部を前記固定ハンドル部に間隔を設けて対向するように配置するとともに、前記可動ハンドル部と前記第二耳標装着部とを、動力伝達機構を備えた変形トグル機構を介して連結し、前記動力伝達機構を備えた変形トグル機構を、前記雄形状耳標と前記雌形状耳標を嵌め込む際、ほぼ最大の嵌め込み力を必要とする前記第二耳標装着部の回動位置で最大近くの作用力を得られる姿勢になるように配置したことを特徴とする動物識別耳標装着器。
  2. 雄形状耳標とこの雄形状耳標を嵌め込む雌形状耳標とで一対とした動物識別耳標装着器であって、前記雄形状耳標と前記雌形状耳標のうちいずれか一方の耳標を装着する第一耳標装着部とこの第一耳標装着部後方に位置する握り部分を有する固定ハンドル部とを一体的に形成した基本ケースを設ける一方、前記第一耳標装着部と前記固定ハンドル部の中間位置の前記基本ケースを主枢支点とし前記第一耳標装着部と間隔を設けて対向する前記雄形状耳標と前記雌形状耳標のうちの他方の耳標を装着する第二耳標装着部を備え、さらに、前記第二耳標装着部の前記主枢支点を共用し、かつ握り部分を有する可動ハンドル部を前記固定ハンドル部に間隔を設けて対向するように配置するとともに、前記可動ハンドル部と前記第二耳標装着部とを、動力伝達機構を備えた変形トグル機構を介して連結し、前記動力伝達機構を備えた変形トグル機構を、前記雄形状耳標と前記雌形状耳標を嵌め込む際、ほぼ最大の嵌め込み力を必要とする前記第二耳標装着部の回動位置で最大近くの作用力を得られる姿勢になるように配置し、さらに、前記第一耳標装着部又は前記第二耳標装着部のうち前記雄形状耳標を装着するいずれか一つの耳標装着部に前記雄形状耳標を内側から支える片持ちピンを設け、この片持ちピン形状のうち少なくともその一部分を根元部側が太く先端部側が細いテーパ形状としたことを特徴とする動物識別耳標装着器。
  3. 前記変形トグル機構を、前記基本ケースの前記主枢支点を境として前記固定ハンドル部と反対側に偏芯させた位置の前記基本ケース上に一端側を枢支した第一リンクと、この第一リンクの他端側を枢支位置として前記第一リンクよりも短尺で前記第二耳標装着部とを連結する第二リンクとで構成したことを特徴とする請求項1又は請求項2いずれか一つに記載の動物識別耳標装着器。
  4. 前記動力伝達機構は、前記可動ハンドル部の前記主枢支点を境として前記握り部分側と反対側の前記可動ハンドル部上に位置する部位と,前記第一リンクの枢支位置から前記第二リンクの前記枢支位置方向に向かった前記第一リンクの部位とを動力伝達連結したことを特徴とする請求項3に記載の動物識別耳標装着器。
  5. 前記第一リンクの枢支位置と前記第二リンクの枢支位置間の仮想直線と前記第二リンクの前記枢支位置とこの第二リンクの前記第二耳標装着部とを連結する連結点間の仮想直線の交差角度を鋭角にしたことを特徴とする請求項ないし請求項4いずれか一つに記載の動物識別耳標装着器。
  6. 前記第一リンクの枢支位置と前記第二リンクの枢支位置間の仮想直線と前記第二リンクの前記枢支位置とこの第二リンクの前記第二耳標装着部とを連結する連結点間の仮想直線の交差角度を鋭角にするとともに、前記最大の作用力を得られる位置における前記第一リンクと前記第二リンクとの前記交差角度思案点を超えないようにしたことを特徴とする請求項ないし請求項5いずれか一つに記載の動物識別耳標装着器。
  7. 前記第一耳標装着部又は前記第二耳標装着部の内、前記雄形状耳標を装着するいずれか一つの耳標装着部に、前記雄形状耳標を内側から支える片持ちピンを固定するにあたり、前記片持ちピンの付け根側を、識別される動物の逃れ方向に回動するように取り付けたことを特徴とする請求項ないし請求項6いずれか一つに記載の動物識別耳標装着器。
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