以下、本発明を図示の実施形態により詳細に説明する。なお、以下の説明では、図面に表された構成を説明するうえで、「上」、「下」、「左」、「右」等の方向を示す用語、及びそれらを含む別の用語を使用するが、それらの用語を使用する目的は図面を通じて実施形態の理解を容易にするためである。したがって、それらの用語は本発明の実施形態が実際に使用されるときの方向を示すものとは限らないし、それらの用語によって特許請求の範囲に記載された発明の技術的範囲が限定的に解釈されるべきでない。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態の攪拌翼2を備えた洗濯機1は、図1に示すように、外箱10を備える全自動型の洗濯機である。外箱10は、金属または合成樹脂からなり、直方体形状を有している。外箱10の上面および底面は開口しており、上面側の開口には、操作パネル等が設けられた合成樹脂製の上面板11が固定され、底面側の開口には、合成樹脂製のベース12がネジ(図示せず)で固定されている。
外箱10の内部には、攪拌槽30とその攪拌槽30を収納する水槽20が収容されている。攪拌槽30には、洗剤を溶かした水またはすすぎ用の水などの洗濯水が溜められる。水槽20および攪拌槽30の夫々は、上面が開口した有底筒状のカップの形状を呈しており、各々軸線を垂直にして水槽20を外側、攪拌槽30を内側とする形で同心的に配置される。なお、洗濯水は、流体の一例である。
上面板11には、洗濯機1内に被攪拌物の一例の洗濯物を投入するための洗濯物投入口14が設けられている。また、この上面板11には、上蓋15が、洗濯機1の奧側で水平回動軸により回動可能に取り付けられている。この上蓋15を手前側に上下に回動させて洗濯物投入口14を開閉することにより、外箱10内に収納された攪拌槽30に洗濯物を投入したり、攪拌槽30から洗濯物を取り出したりすることができる。
ベース12には、外箱10を支えるための脚部13が設けられている。この脚部13は、ベース12の四隅にそれぞれ配置されている。
水槽20は、その底部に開口する排水口61を有し、外箱10に対してサスペンション部材(図示せず)によって吊り下げられている。このサスペンション部材は、水槽20の下方と外箱10の上方とを連結する形で計4箇所に配備され、水槽20を揺動可能に支持している。
攪拌槽30は、底壁30aから上方に向かってテーパ状に広がる周壁30bを有している。この周壁30bには、その最上部に複数の脱水孔31を環状に配置している。この周壁30bには、複数の脱水孔31除いて液体を通すための開口部はない。すなわち、攪拌槽30はいわゆる「孔なし」タイプである。また、底壁30aには、4つの排水孔67が設けられ、円周上に間隔を空けて配置されている。
なお、以下の実施形態の説明においては、「孔なし」タイプの攪拌槽30を例に説明するが、周壁30bに複数個の孔がある様な孔ありタイプの攪拌槽でも、この発明の構成をそのまま実施できる。なお、孔ありタイプの攪拌槽は、周壁30bがテーパ状に広がっていないものでもよいし、周壁30bがテーパ状に広がっているものでもよい。
攪拌槽30の上部開口部の縁には、洗濯物を脱水するため、攪拌槽30を高速回転させたときに振動を抑制する働きをする環状のバランサ32が装着されている。攪拌槽30の内部底面には、槽内で洗濯水の流動を生じさせるための攪拌翼2が回動可能に配置されている。
水槽20の下側には、駆動ユニット40が設けられている。この駆動ユニット40は、モータ41と、モータ41の回転出力を伝達するベルト機構42と、クラッチ・ブレーキ機構43と、クラッチ・ブレーキ機構43の中央部に同軸に配された脱水軸44および攪拌翼軸45とを含んでいる。脱水軸44および攪拌翼軸45は、脱水軸44が外側に配置され、攪拌翼軸45が内側に配置された二重軸構造となっている。脱水軸44は、下方から上方に向かって水槽20底面を貫き、攪拌槽30を支持している。攪拌翼軸45は、下方から上方に向かって水槽20を貫通し、さらに攪拌槽30の底壁30aを貫き、攪拌翼2を支持している。
また、水槽20の下側には、排水口61に接続された排水路62と、排水路62に接続され、外箱10の外部に配置された接続管60とが設けられている。排水路62の排水口61と接続管60との間には、排水弁68が設けられている。接続管60には、排水ホース(図示せず)が接続され、排水口61、排水路62、接続管60、および、排水ホースを介して、水槽20および攪拌槽30内の水を外箱10の外に排水するようになっている。なお、脱水時に攪拌槽30の外側へ排出された水は、配水管(図示せず)を介して排水ホースに流される。
攪拌翼2は、駆動ユニット40によって、運転コース等に応じて回動する。例えば、洗濯またはすすぎ運転を行う場合、攪拌翼2は、50〜150rpmの回転速度で、正回転方向および逆回転方向に交互に繰り返し回転する。また、脱水運転を行う場合、攪拌翼2は、攪拌槽30と一緒に0〜1000rpmの回転速度で逆回転方向に回転する。
水槽20と攪拌槽30との間には、水槽20の排水口61に接続されていると共に、排水孔67を介して攪拌槽30の内部と連通しているシールホルダ63が設けられている。このシールホルダ63の内側には、オイルシール(図示せず)が圧入され、これにより攪拌槽30がシールされ、水槽20と攪拌槽30との間に独立した排水空間66が形成されている。
なお、排水孔67、シールホルダ63、排水口61、排水路62、および、接続管60で、洗濯機1の排水経路を構成している。
上面板11内には、電磁的に開閉する給水弁(図示せず)が配置されている。給水弁の上流側には、上面板11を貫通して上方に突き出す接続管51が接続されている。この接続管51には、水道水などの上水を供給する給水ホース(図示せず)が接続される。また、給水弁の下流側は、攪拌槽30の内部に臨む位置に配置された容器状の給水口(図示せず)に接続されている。
また、上面板11内には、制御部70が設けられている。この制御部70は、上面板11の上面に設けられた操作表示部(図示せず)を通じて使用者からの操作指令を受け、駆動ユニット40、給水弁および排水弁68に動作指令を発する。また、制御部70は、操作表示部に対して、運転コースや各工程の所要時間等の運転内容の表示指令を発する。
脱水運転を行うときは、制御部70によって排水弁68が開かれ、攪拌槽30内の水は外部に排水される。このとき、脱水軸44と攪拌翼軸45と攪拌槽30がモータ41の駆動により回転するが、シールホルダ63の内側に圧入されたオイルシールにより、攪拌槽30は、シールホルダ63に対して相対的に回動可能な状態で、かつ、水密構造を取り続けることができる。
なお、洗濯またはすすぎ運転を行う場合、制御部70によって排水弁68が閉じられ、攪拌槽30内にのみ水が貯められるようにする。このとき、攪拌槽30と水槽20との間には水が貯まらないため、洗濯またはすすぎ運転時における高い節水性を実現している。
次に、攪拌翼2について説明する。この攪拌翼2は、本発明の洗濯機用の攪拌翼の一例である。
攪拌翼2は、図2に示すように、攪拌翼本体100と、攪拌翼部の一例のスクリュー200と、蓋体300とを備えている。スクリュー200は、攪拌翼本体100とは別体に形成されている。
攪拌翼本体100は、図2に示すように、その表面の中央部に収納部110が設けられており、周縁部から収納部110に向かって凹んだ円盤形状を有している。攪拌翼本体100の表面には、収納部110から径方向に延びる羽根部120、130が設けられている。
収納部110は、上面が開口した円形凹形状を有し、攪拌翼本体100の表面から軸方向に突出した側壁110aを有している。この側壁110aと羽根部120との連結部分には、一対の側方開口部111、112が設けられている。この一対の側方開口部111、112は、図3に示すように、収納部110内と、後述する羽根部120の裏側の溝部121とを連通しており、収納部110内と羽根部120の裏側との間に流路を形成している。また、側壁110aと羽根部130との連結部分には、一対の側方開口部113、114が設けられている。この一対の側方開口部113、114は、収納部110内と、後述する羽根部130の裏側の溝部131(図8に示す)とを連通しており、収納部110内と羽根部130の裏側との間に流路を形成している。このように、2つの羽根部120と側壁110aとの連結部分に、それぞれ一対の側方開口部111、112が設けられている。また、2つの羽根部130と側壁110aとの連結部分に、それぞれ一対の側方開口部113、114が設けられている。従って、第1実施形態の攪拌翼2には、合計で8つの側方開口部111、112、113、114が設けられている。なお、第1実施形態では、一対の側方開口部(側方開口部111、112および側方開口部113、114)を設けているが、これに限らない。例えば、羽根部と側壁との各連結部に、側方開口部を1つ設けてもよいし、可能ならば、側方開口部を3以上設けてもよい。また、羽根部と側壁との各連結部に設ける側方開口部の数は、全て同じである必要はなく、それぞれ異なっていてもよい。
収納部110の底には、図7に示すように、第1ボス部115と、一対の取付孔116と、底開口部117とが設けられている。第1ボス部115は、図2、図3に示すように、中心に軸孔1151を有し、収納部110の底の中央部に配置されている。この第1ボス部115の軸孔1151に攪拌翼軸45(図1に示す)が挿入され、攪拌翼2が回動可能に支持されている。一対の取付孔116は、それぞれ、後述するスクリュー200の第2ボス部226、246が嵌挿可能な形状を有し、第1ボス部115を中心に対称に配置されている。底開口部117は、第1ボス部115から径方向に延びており、周方向に沿って90度毎に配置されている。また、この底開口部117は、収納部110内と収納部110の裏側とを連通しており、収納部110内と収納部110の裏側との間に流路を形成している。
また、収納部110内の底面の隣接する底開口部117の間には、それぞれ、畝部101が設けられている。畝部101は、第1ボス部115から収納部110の側壁110aに向かって径方向に延びており、周方向に沿って90度毎に間隔を空けて配置されている。この畝部101は、径方向の内側から徐々に周方向の幅が大きくなるように形成された幅広部101aと、この幅広部および収納部110の側壁110aに連結され、周方向の幅が幅広部よりも小さくなるように形成された幅狭部101bとで構成されている。すなわち、畝部101によって、収納部110の側壁110aと第1ボス部115とが面で連結され、これにより、攪拌翼2の強度が高められている。
なお、収納部110の開口の内側縁には、蓋体300を固定するための複数の係合受部118が設けられている。この係合受部118は、図7に示すように、周方向に沿って90度毎に間隔を空けて配置されている。
羽根部120、130は、図7に示すように、周方向に沿って90度毎に間隔を空けて交互に並設されている。
羽根部120は、径方向の内周と外周との中間付近が攪拌翼本体100の表面から軸方向に最も膨らんだ形状を有している。羽根部130は、径方向の外周側付近が攪拌翼本体100の表面から軸方向に最も膨らんだ形状を有している。すなわち、羽根部120、130は、収納部110と同一軸方向に突出している。
なお、羽根部120、130の形状は、これに限らず、攪拌翼の設計に応じた任意の形状を採用できる。
また、羽根部120、130の上面の周方向の一縁側には、複数のこぶ状の突起124、134がそれぞれ設けられている。この突起124、134は、径方向の内側から径方向の外側に向かって、互いに隣接する突起124、134の間隔が徐々に狭くなり、かつ、径方向の内側から径方向の外側に向かって突起124、134の大きさが徐々に小さくなるように配置されている。これにより、攪拌翼2の表面において、洗濯水の平均の速さが大きい径方向外側の領域のレイノルズ数と、洗濯水の平均の速さが小さい径方向内側の領域のレイノルズ数とが一定になる。このため、洗濯水の攪拌翼2に対する作用が均等になるので、攪拌翼2の表面の水流アップ効果が均等に得られる。
なお、突起124、134の形状および大きさは、これに限らず、攪拌翼の設計に応じた任意の形状を採用してもよいし、設けなくてもよい。
また、図2に示すように、攪拌翼本体100の表面には、複数のリブ102、103と、攪拌翼本体100を貫通する小孔104とが設けられている。
羽根部120、130の上面には、複数の直線状リブ102が周方向に並設されている。この直線状リブ102は、隣接する直線状リブ102との間隔が径方向の内側から外側に向かって狭くなるように、配置されている。また、隣接する羽根部120、130の間の表面には、複数の湾曲リブ103が配置されている。この湾曲リブ103は、隣接する湾曲リブ103との間隔が羽根部120、130に近づくほど狭くなるように、配置されている。すなわち、これらのリブ102、103は、攪拌翼本体100の表面において、洗濯水の水流の平均速度が大きくなる領域ほど、間隔が狭くなるように配置されている。
小孔104は、羽根部120、130の上面、および、羽根部120、130の間の表面に配置され、攪拌翼2を回動させたときに、負圧となる攪拌翼本体100の裏面側の空間に吸い込まれる水流を発生させる。
攪拌翼本体100の裏面には、図3に示すように、羽根部120、130に沿って設けられた溝部121、131と、溝部121、131の各々に第1ボス部115から放射状に設けられた複数の第1ブレード部140と、隣接する第1ブレード部140の間の各々に第1ボス部115から放射状に設けられた複数の第2ブレード部150とが設けられている。
第1ブレード部140は、図3に示すように、径方向の内側に底面視略菱形の基部141を有し、径方向の外側に湾曲した先端角部142を有している。図8に示すように、この第1ブレード部140によって、溝部121、131が、収納部110の側壁110aの側方開口部111、113を介して収納部110内に連通する溝部122、132と、収納部110の側壁110aの側方開口部112、114を介して収納部110内に連通する溝部123、133とに仕切られている。また、基部141は、収納部110の側壁110aにより径方向に分割されている。分割された基部141のうち、径方向の内側の領域に、収納部110の底の底開口部117が位置している。
また、隣接する第1ブレード部140の間の各々には、第1ボス部115から径方向の外側に延びる板状の第2ブレード部150が複数設けられている。この第2ブレード部150は、図3に示すように、小孔104と重なる部分に設けられた複数の円筒部151を有し、径方向外側の先端角部152が湾曲している。円筒部151は、図8に示すように、小孔104に略等しい大きさの内径を有している。
スクリュー200は、図9〜図16に示すように、軸部210と、この軸部210から径方向に延びる複数のブレード220、230、240、250とで構成されている。また、スクリュー200は、図17、図18に示すように、攪拌翼本体100の中央部の収納部110内に固定され、攪拌翼本体100と一体となって回動する。
なお、本明細書では、図11に示す方向R1、すなわち、平面視において、スクリュー200が反時計に回転する方向R1を攪拌翼2の正回転方向とし、図11に示す方向R2、すなわち、平面視において、スクリュー200が時計回りに回転する方向R2を攪拌翼2の逆回転方向とする。
軸部210は、図9、図10に示すように、筒形状を有し、軸方向の両端面に開口211、212が設けられている。この軸部210は、開口211側から開口212(図9の上側から下側)に向かって径が大きくなるように形成されている。図9に示す開口211は、攪拌翼本体100を図1に示す攪拌翼軸45に取り付け可能な形状を有している。一方、図10に示す開口212は、収納部110の第1ボス部115(図2に示す)を嵌合可能な形状を有している。
なお、スクリュー200は、図17、図18に示すように、図9に示す開口211が先端となり、図10に示す開口212が収納部110内の底面と向かい合うように、収納部110内に配置されている。すなわち、軸部210は、先端から収納部110の底に向かって、軸方向に直交する円形断面の面積が徐々に大きくなるように形成された筒形状を有している。
ブレード220、230、240、250は、図9〜図16に示すように、攪拌翼2が正回転方向に回転したときに圧力面となる第1圧力面221、231、241、251と、攪拌翼2が逆回転方向に回転したときに圧力面となる第2圧力面222、232、242、252と、外側面223、233、243、253と、上面224、234、244、254とで構成されている。なお、図10に示すように、ブレード220、230、240、250は中空で、その底に開口部225、235、245、255を有している。
また、ブレード220、230、240、250は、図18に示すように、収納部110内に配置したときに、軸方向において、収納部110の底の底開口部117と重ならない位置に配置されている。すなわち、底開口部117は、スクリュー200の軸方向において、隣接するブレード220、230、240、250の間に配置されている。
第1圧力面221、231、241、251は、図9に示すように、スパイラル状にねじれた湾曲形状を有しており、攪拌翼2が正回転方向に回転したときに、攪拌翼本体100の裏面側から攪拌翼本体100の表面側(図9の下側から上側)に向かって軸方向に上昇する洗濯水の流れが発生するように、傾斜している。また、図11、図12に示すように、第1圧力面221、231、241、251は、平面視波形状の周方向端部2211、2311、2411、2511を有している。
第2圧力面222、232、242、252は、図13〜図16に示すように、略平坦面であり、攪拌翼2が逆回転方向(脱水回転方向)に回転したときに、攪拌翼本体100の中央部に軸方向の洗濯水の流れが発生しないように、傾斜しており、スクリュー200の回転により径方向外側に向かって流れる洗濯水の流れを強化する。
外側面223、233、243、253は、図11、図12に示すように、軸部210の外周面に沿った湾曲形状を有している。この外側面223、233、243、253の底部には、図13〜図16に示すように、収納部110の畝部101の幅広部101a(図2に示す)に嵌合可能な形状を有する切欠2231、2331、2431、2531が設けられている。この切欠2231、2331、2431、2531は、スクリュー200を収納部110内に配置するときに畝部101の幅広部101aに嵌合され、攪拌翼2の回動時におけるスクリュー200の振れを抑制する。このように、回動中心となる軸部210から最も径方向外側の面である外側面223、233、243、253に、切欠2231、2331、2431、2531を設けることで、スクリュー200の振れ止め効果を高めている。
上面224、234、244、254は、図13〜図16に示すように、略平坦面であり、軸部210側から径方向外側に向かって、底からの距離が次第に小さくなるように傾斜している。すなわち、ブレード220、230、240、250は、径方向の外側に向かって、軸方向の高さが徐々に小さくなるように形成されている。
また、ブレード220、240の底面225、245には、スクリュー200を収納部110内に固定するための第2ボス部226、246が設けられている。第2ボス部226、246は、図13〜図16に示すように、ブレード220、240の底面から軸方向に突出しており、収納部110の取付孔116に嵌合可能な形状を有している。このように、ブレード220、240の底に第2ボス部226、246を設けることで、スクリュー200の機能を損なうことなく、意匠性を向上できると共に、スクリュー200を収納部110内に確実に固定できる。
蓋体300は、図19、図20に示すように、ドーム部310と、このドーム部310に設けられた4つの脚部320とを有している。この蓋体300は、図4〜図6に示すように、収納部110の開口を覆うように攪拌翼本体100に取り付けられており、スクリュー200に洗濯物が絡んだり、スクリュー200が直接洗濯物に触れることにより洗濯物が傷んだりするのを防止している。
ドーム部310は、中空の半球形状を有し、その表面には、複数のこぶ状の第1突起部311と、第1突起部311よりも小さい複数のこぶ状の第2突起部312と、貫通穴313と、突出部314とが設けられている。第1突起部311および第2突起部312は、蓋体300を攪拌翼本体100に取り付けたときに、平面視において、スクリュー200の軸部210の開口211と重ならない領域(すなわち、軸部210の開口211に対向し、この開口211を覆う領域を除く領域)に、等間隔で環状に配置されている。貫通穴313は、ドーム部310の表面の第2突起部312および突出部314を除く領域に配置され、第1突起部311に配置された第1貫通穴3131と、ドーム部310の表面に配置された第2貫通穴3132とで構成されている。突出部314は、ドーム部310の表面の中央部に配置され、蓋体300を攪拌翼本体100に取り付けた状態では、ドーム部310の表面から攪拌翼本体100の軸方向に突出している。
また、ドーム部310の底面は開口しており、突出部314の裏側に環状封止部315が設けられている。この環状封止部315は、蓋体300を攪拌翼本体100に取り付けたときに、収納部110の第1ボス部115と共にスクリュー200を固定すると同時に、スクリュー200の軸部210の先端の開口211を塞ぐことができるように形成されている。すなわち、蓋体300を攪拌翼本体100に取り付けた状態では、収納部110の開口が覆われると共に、収納部110内でスクリュー200が固定され、かつ、スクリュー200の軸部210の開口211が塞がれている。
脚部320は、ドーム部310の底の開口縁から下方(図19の下側)に延びている。脚部320の中央部には、スリット321が設けられている。このスリット321には、蓋体300を攪拌翼本体100に取り付けたときに、収納部110の畝部101の幅狭部101b(図7に示す)が嵌挿されるようになっている。
また、隣接する脚部320の間には、それぞれ、係合爪部330が設けられている。この係合爪部330は、収納部110の係合受部118にそれぞれ係合可能に配置されている。この係合爪部330を収納部110の係合受部118に係合させることで、蓋体300が攪拌翼本体100に着脱可能に取り付けられている。このように、蓋体300の着脱に特殊な工具を必要としないので、収納部110の清掃およびメンテナンスを容易に行うことができる。
なお、この蓋体300は、透明系樹脂からなり、収納部110内に配置されているスクリュー200が目視できるようになっている。このため、スクリュー200の色彩、あるいは、外観の模様等の攪拌翼2のデザインを容易に変更できる。また、収納部110内の汚れを容易に確認できるので、メンテナンスの必要性を容易に判断できる。
次に、図21を参照して、洗濯またはすすぎ運転時に攪拌翼2の回転により発生する水流について説明する。
図21に示すように、攪拌翼2を正回転方向(矢印R3方向)に回転させると、回転により周方向の水流f1が発生し、羽根部120の複数の突起124に衝突する。水流f1が突起124に衝突することにより、突起124から下流に向かって縦渦が形成される。形成された縦渦は、突起124の下流側の周方向の水流f2に揚力を発生させ、突起124の下流側で水流f2が剥離しないように抑え込む。これにより、周方向の水流f2が強化される。また、図示していないが、羽根部130の突起134の下流側の水流についても同様に揚力が発生し、周方向の水流が強化される。周方向の水流が強化されると、攪拌翼本体100の中央部から径方向外側に向かう水流f3が発生し、収納部110から吹き出す水流f4が発生する。
また、攪拌翼2の回転と一体となってスクリュー200が回転し、第1圧力面221,231,241,251により効率良くスムーズに攪拌翼本体100の裏面側から攪拌翼本体100の表面側(図21の下側から上側)に向かって水流f5が発生する。この水流f5によって、攪拌翼本体100の裏面側の洗濯水が、側方開口部111、112、113、114および底開口部117により形成される流路を介して収納部110内に流れ、さらに、蓋体300の表面に設けられている貫通穴313を介して、攪拌翼本体100の表面側に流れる。このように、スクリュー200により、攪拌槽30の中央部を上方に流れる新たな水流が作り出され、高い洗浄効果が発揮される。
なお、攪拌翼2が正回転方向に回転するとき、図11に示すスクリュー200の第1圧力面221、231、241、251がブレード220、230、240、250の圧力面となるため、洗濯水が波形状の周方向端部2211、2311、2411、2511に衝突し、下流に縦渦が発生する。各ブレード220、230、240、250の周方向端部2211、2311、2411、2511で発生した縦渦は相互にぶつかり合い、洗濯水を効率よく攪拌することができる。このため、洗剤を十分に溶かすことができ、洗浄効果を高めることができる。
また、攪拌翼2を逆回転方向(矢印R4方向)に回転させた場合も、基本的には、攪拌翼2を正回転方向に回転させた場合と同様の水流が発生する。この場合、第1圧力面221、231,241,251よりも面の角度が垂直に近い第2圧力面222、232、242、252がブレード220、230、240、250の圧力面となるため、攪拌翼2を正回転方向に回転させた場合と比べて、スクリュー200の回転によって発生する攪拌翼本体100の中央部の軸方向の洗濯水の流れが弱くなる。その結果、径方向の内側から外側に向かって流れる洗濯水の量を増加させて、洗浄効果を高めることができる。また、また第2圧力面222,232,242,252には、波形状の周方向端部2211、2311、2411、2511のような形状を有していないため、縦渦が発生しない。
続いて、図22および図23を参照して、洗濯またはすすぎ運転時の洗濯機1の攪拌槽30内の水流について説明する。なお、図22に、攪拌翼2を正回転方向に回転させた場合の水流を示し、図23に、攪拌翼2を逆回転方向に回転させた場合の水流を示す。
図22に示すように、攪拌翼2が正回転方向に回転すると、攪拌翼本体100の羽根部120、130の回転によって逆回転方向に向かって流れる周方向の水流Xが発生する。また、攪拌翼2の回転と一体となってスクリュー200が回転し、攪拌翼2の裏面側から攪拌翼2の表面側(図22の下側から上側)に向かって軸方向に上昇する水流Y1が発生する。
このとき、攪拌翼2の裏面側では、攪拌翼2の回転により発生する遠心力によって、溝部121、131(図8に示す)の径方向内側から径方向外側に向かって水が流れる。このとき、第1ブレード部140および第2ブレード部150がオール(oar)のように機能して水を径方向外側に掻き出し、攪拌槽30の周壁30bに向かう強い水流をより強くする。
溝部121、131から流出した水は、攪拌翼2と周壁30bとの隙間を通り、周壁30bに沿って上昇する水流Y2となる。このとき、底壁30aと周壁30bとの連結部分を湾曲させて、水流が円滑に上昇するようにしている。
洗濯水が外側に押し出された後、攪拌翼2の裏面側の空間は負圧の状態となるため、小孔104(図2に示す)を介して、新たな洗濯水が攪拌翼2の表面側から裏面側に流入する。また、攪拌翼2の上方の回転中心付近では、水流Y1と水流Y2とがぶつかって、軸方向に下降する水流Zが発生する。これにより、攪拌槽30内で洗濯水が継続して循環する。
一方、図23に示すように、攪拌翼2が逆回転方向に回転すると、攪拌翼本体100の羽根部120、130の回転によって正回転方向に向かって流れる周方向の水流(水流Xの逆の方向の水流)が発生する。また、正回転方向の場合と同様に、攪拌翼2の回転により発生する遠心力によって、攪拌翼2の裏面側に、溝部121、131の径方向内側から径方向外側に向かって流れる水流が発生する。
なお、攪拌翼2が逆回転方向に回転した場合、攪拌翼2を正回転方向させた場合と比べて、スクリュー200により攪拌翼本体100の中央部に発生する軸方向の洗濯水の流れが弱くなり、径方向の外側に向かって流れる洗濯水の量が増加するため、攪拌翼2の上方の回転中心付近では、周壁30bに沿って上昇する水流Y2が相互にぶつかって、軸方向に下降する水流Zが発生する。
このように、攪拌翼2を正回転方向に回転させたときに発生する洗濯水の上下方向の流れと、逆回転方向に回転させたときに発生する洗濯水の上下方向の流れとが異なっているため、洗濯運転時に、洗濯水の水流によって洗濯物には多様な動作が働く。特に、外周部に比べて、移動距離が短く、攪拌翼2による機械力の印加が少ない中央部の洗濯物に対し、スクリュー200によって、上下に積極的に動く水流を発生させることで、洗濯物の動きを活発にし、洗浄効果が向上すると共に、洗浄効果のバラツキ(むら)を改善することができる。
本発明の攪拌翼2によれば、収納部110の側壁110aに、収納部110内と羽根部120、130の裏側との間に流路を形成する側方開口部111、112、113、114を設けているので、側方開口部111、112、113、114を介して羽根部120、130の裏側から収納部110内に洗濯水を流入させたり、収納部110内から羽根部120、130の裏側に洗濯水を流出させたりすることができる。このため、スクリュー200の回動に伴って攪拌翼本体100の中央部に発生する軸方向の洗濯水の流れを強化することができる。
また、スクリュー200が、径方向の外側に向かって、軸方向の高さが徐々に低くなるように形成されたブレード220、230、240、250を有している。これにより、洗濯またはすすぎ運転時に、糸屑等がブレード220、230、240、250に付着し難くなるので、糸屑等がスクリュー200に付着することに起因する不具合の発生を防止できる。
また、ブレード220、230、240、250の第1圧力面221、231、241、251が、攪拌翼2が正回転方向に回転する時に、攪拌翼本体100の裏面側から攪拌翼本体100の表面側に向かって洗濯水の流れを発生させるように傾斜している。このため、攪拌翼部200の回動に伴って発生する上記攪拌翼本体100の裏面側から表面側に向かって軸方向に上昇する水流f5を強化できる。
また、収納部110の底に、収納部110内と収納部110の裏側との間に流路を形成する底開口部117を設けている。これにより、収納部110内への洗濯水の流入量、および、収納部110内から収納部110の裏側への洗濯水の排出量が増加するので、スクリュー200の回動により生成される洗濯水の流れを強化できる。また、スクリュー200の軸方向において、底開口部117が、隣接するブレード220、230、240、250の間に配置されている。これにより、底開口部117を介して流出入する洗濯水の流れがスクリュー200によって妨げられることがないので、収納部110内への洗濯水の流入量、および、収納部110内から収納部110の裏側への洗濯水の排出量を確実に増加でき、効率よくスクリュー200による水流発生効果を発揮することができる。
また、スクリュー200が、先端から収納部110の底に向かって、軸方向に直交する断面の面積が徐々に大きくなるように形成された軸部210を有している。これにより、スクリュー200の回動により生成される攪拌翼本体100の裏面側から表面側に向かって上昇する洗濯水の流れが軸部210の軸心に向かって導かれ、強化された強い水流を作ることができるので、洗濯水の流れに乗る洗濯物を強力に攪拌し、水流による洗浄効果を強化することができる。
また、収納部110の開口を覆うように、かつ、スクリュー200の軸部210の開口211を塞ぐように、攪拌翼本体100に蓋体300を取り付けている。これにより、蓋体300の内部に糸屑等が侵入しても、この糸屑等が軸部210の開口211内に入り込み難くなる。このため、例えば、軸部210の中央部に設けられ、攪拌翼2と攪拌槽軸45とを締結するためのねじ(図示せず)に糸屑等が付着し難くなるため、蓋体300が透明材料で形成されている場合に、糸屑等が軸部210の開口211内に入り込むことによる意匠性の低下および糸屑等が上記ねじに付着することによる不具合等の発生を防止することができる。
また、蓋体300の軸部210の開口211を覆う部分を除く領域に、第1貫通穴3131が設けられた突起部311を設けているので、例えば、洗濯運転時に、洗濯物をゴシゴシ洗う効果を得ることができる。また、突起部311に第1貫通穴3131を設けているので、例えば、洗濯運転時に、洗濯物が突起部311に強く押し当てられたとしても、第1貫通穴3131を介してスクリュー200により発生させた水流が洗濯物に効率よく作用して、蓋体300に付着した洗濯物の布離れがよくなる。これにより、洗濯物の布地と突起部311とがぶつかることによる布傷みの増加を抑制できる。
また、ドーム部310の表面の中央部に、攪拌翼本体100の軸方向に突出する突出部314を設けている。突出部314を設けることで、洗濯またはすすぎ運転時に、突出部314が洗濯物の間に楔のように打ち込まれ、洗濯物を分離させる。このため、洗濯またはすすぎ運転中に、洗濯物が絡むのを防止でき、洗浄効果を高めることができる。
なお、蓋体300は、攪拌翼本体100に取り付けたときに、スクリュー200のブレード220、230、240、250の第1圧力面221、231、241、251の上端、すなわち、ブレード220、230、240、250の正回転方向(脱水回転方向の逆の方向)の後縁側の近傍に位置するように、複数の貫通穴313が形成されている。このため、洗濯またはすすぎ運転時に、スクリュー200により生成された水流の勢いが低減されることなく、上昇する水流f5が発生するようになっている。なお、貫通穴313は、少なくとも1つ形成されていればよい。
ところで、攪拌翼2の回転により洗濯水の流れが発生すると、攪拌翼本体100の表面上に洗濯水の境界層が生じる場合がある。この境界層には、粘性の高い領域が存在しており、洗濯水の摩擦抵抗を増加させる原因となる。しかしながら、攪拌翼本体100の表面にリブ102、103を設けることによって、境界層を破壊して、洗濯水の摩擦抵抗の増加を防ぐことができる。
また、リブ102、103の間には、洗濯水の一部が渦となり停滞して停滞部(渦)が形成される。停滞部は、その上方を流れる洗濯水にベアリング効果を与えるため、攪拌翼本体100の表面上を流れる洗濯水の摩擦抵抗が、リブ102、103を設けることにより増加しないようにしている。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態の洗濯機用の攪拌翼は、スクリュー200のブレード220、230、240、250の第2圧力面が、逆回転方向(脱水回転方向)に回転したときに、攪拌翼本体100の表面側から攪拌翼本体100の裏面側に向かって軸方向に下降する流体流が発生するように傾斜している点で、第1実施形態の攪拌翼2と異なっている。なお、第1実施形態と同じ部分には、同じ番号を付して説明を省略する。
このように、攪拌翼が脱水回転方向に回転したときに、攪拌翼本体100の表面側から攪拌翼本体100の裏面側に向かって軸方向に下降する流体流が発生するように傾斜している第2圧力面を設けているので、回転方向により異なる方向の流体流が生成される。このため、例えば、洗濯運転時には、被攪拌物の軸方向の上下動が強化されるので、高い洗浄効果が発揮される。
また、攪拌翼本体100の表面側から攪拌翼本体100の裏面側に向かって、軸方向に下降する洗濯水の流れが強化されるので、スクリュー200に付いた洗剤粕あるいは糸屑等が洗濯水の下降流で効率よく取り除かれる。このため、収納部110内の清掃およびメンテナンスが容易になる。なお、取り除かれた洗剤粕等は、収納部110の底の底開口部117を介して、収納部110内から攪拌翼本体100の裏面側に排出される。
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態の洗濯機用の攪拌翼は、収納部110の側壁110aに側方開口部を設けていない点で、第1実施形態の攪拌翼2と異なっている。なお、第1実施形態と同じ部分には、同じ番号を付して説明を省略する。
このように、収納部110の側壁110aに側方開口部を設けないことで、収納部110内に流入する洗濯水の流量は、第1実施形態の攪拌翼2と比較して少なくなるが、その代わりに、収納部110の底の底開口部117から収納部110内に流入した洗濯水が、攪拌翼の回転に伴って発生する遠心力によって径方向に逃げるのを防止できる。従って、この第3実施形態の攪拌翼であっても、スクリュー200の回動により生成される攪拌翼本体100の裏面側から攪拌翼本体100の表面側に向かう軸方向の上昇水流f5を強化でき、洗濯水中の流れに乗る洗濯物を強力に攪拌することができる。
(その他の実施形態)
上記第1〜第3実施形態では、攪拌翼本体100とスクリュー200とを別体として形成し、スクリュー200を収納部110内に取り付けて一体化しているが、これに限らず、攪拌翼本体とスクリューとを一体に形成してもよい。これにより、スクリューを収納部内に取り付ける工程を省略できるので、生産性を高めることができる。また、攪拌翼本体とスクリューとを一体に形成することで、攪拌翼の回転軸部分の強度を高めることができる。
上記第1〜第3実施形態では、スクリュー200の軸部210が、軸方向に直交する円形断面の面積が徐々に大きくなるように形成された筒形状を有しているが、これに限らない。軸部は、軸方向に直交する断面の形状が多角形であってもよいし、筒形状でなくてもよい。
スクリュー200のブレード220、230、240、250は、設ける枚数に応じて、任意の角度毎に間隔を空けて設けることができる。また、底開口部117は、隣接するブレード220、230、240、250の間に配置されていればよく、任意の角度毎に間隔を空けて設けることができる。
本発明および実施形態をまとめると、次のようになる。
本発明の洗濯機用の攪拌翼2は、
回動によって流体を攪拌するための攪拌翼本体100と、
上記攪拌翼本体100と共に一体となって回動するように上記攪拌翼本体100に設けられた攪拌翼部200と
を備え、
上記攪拌翼本体100が、表面の中央部に配置され、軸方向に設けられた側壁110aを有する凹形状の収納部110と、この収納部110の側壁110aから径方向の外側に延びる羽根部120、130とを有し、
上記攪拌翼部200が、径方向の外側に向かって軸方向の高さが徐々に低くなるように形成されたブレード220,230,240,250を有し、上記収納部110内に配置されていることを特徴としている。
本発明の洗濯機用の攪拌翼2によれば、例えば、洗濯またはすすぎ運転時に、糸屑等がブレード220、230、240、250に付着し難くなるので、糸屑等が攪拌翼部200に付着することに起因する不具合の発生を防止できる。
また、一実施形態の洗濯機用の攪拌翼2は、
上記ブレード220、230、240、250が、脱水回転方向に対して逆の方向に回転させたときに、上記攪拌翼本体100の裏面側から表面側に向かって軸方向に上昇する流体流が発生する形状を有している。
上記実施形態によれば、攪拌翼部200の回動に伴って発生する上記攪拌翼本体100の裏面側から表面側に向かって軸方向に上昇する流体流f5を強化できる。また、脱水回転時に、攪拌翼部200の表面に付着した糸屑または汚れを効率よく取り除くことができるので、攪拌翼部200に付着した糸屑等による不具合の発生を抑制できる。
また、一実施形態の洗濯機用の攪拌翼2は、
上記攪拌翼部200が、先端から上記収納部の底に向かって、軸方向に直交する断面の面積が徐々に大きくなるように形成された軸部210を有している。
上記実施形態によれば、攪拌翼部200の回動により生成される攪拌翼本体100の裏面側から表面側に向かって軸方向に上昇する流体流が、軸部210の軸心に向かって導かれ、強化された強い水流を作ることができるので、流体流に乗る被攪拌物を強力に攪拌し、水流による洗浄効果を強化することができる。
また、一実施形態の攪拌翼2は、
上記側壁110aに、上記収納部110内と上記羽根部120、130の裏側との間に流路を形成する側方開口部111、112、113、114が設けられている。
上記実施状態によれば、収納部110の側壁110aに、収納部110内と羽根部120、130の裏側との間に流路を形成する側方開口部111、112、113、114を設けているので、側方開口部111、112、113、114を介して羽根部120、130の裏側から収納部110内に流体を流入させたり、収納部110内から羽根部120、130の裏側に流体を流出させたりすることができる。このため、攪拌翼部200の回動に伴って攪拌翼本体100の中央部に発生する軸方向の流体流を強化することができる。
また、一実施形態の攪拌翼2は、
上記収納部110の底に、上記収納部110内と上記収納部110の裏側との間に流路を形成する底開口部117が、隣接する上記ブレード220、230、240、250の間に設けられている。
上記実施形態によれば、収納部110の底に、収納部110内と収納部110の裏側との間に流路を形成する底開口部117を設けている。これにより、収納部110内への流体の流入量、および、収納部110内から収納部110の裏側への洗濯水の排出量が増加するので、攪拌翼部200の回動により生成される流体流を強化できる。また、底開口部117が、隣接するブレード220、230、240、250の間に設けられている。これにより、底開口部117を介して流出入する流体の流れが攪拌翼部200によって妨げられることがないので、収納部110内への流体の流入量、および、収納部110内から収納部110の裏側への洗濯水の排出量を確実に増加でき、効率よく攪拌翼部200による水流発生効果を発揮することができる。
また、一実施形態の攪拌翼2は、
上記攪拌翼部200が、先端が開口した筒形状の軸部210を有し、
上記収納部110の開口を覆うように、かつ、上記軸部210の開口211を塞ぐように、上記攪拌翼本体100に取り付けられた蓋体300を備えた。
上記実施形態によれば、蓋体300の内部に糸屑等が侵入しても、この糸屑等が軸部210の開口211内に入り込み難くなる。このため、例えば、軸部210の中央部に設けられ、スクリュー200と攪拌槽軸45とを締結するためのねじ(図示せず)に糸屑等が付着し難くなるため、蓋体300が透明材料で形成されている場合に、糸屑等が軸部210の開口211内に入り込むことによる意匠性の低下および糸屑等が上記ねじに付着することによる不具合等を避けることができる。
また、一実施形態の攪拌翼2は、
上記軸部210の開口211を覆う部分を除く領域に、貫通穴313が設けられた突起部311を複数有している。
上記実施形態によれば、軸部210の開口211を覆う部分を除く領域に、貫通穴313が設けられた突起部311を設けているので、例えば、洗濯運転時に、洗濯物をゴシゴシ洗う効果を得ることができる。また、突起部311に貫通穴313を設けているので、例えば、洗濯運転時に、洗濯物が突起部311に強く押し当てられたとしても、第1貫通穴3131を介してスクリュー200により発生させた水流が洗濯物に効率よく作用して、蓋体300に付着した洗濯物の布離れがよくなる。これにより、洗濯物の布地と突起部311とがぶつかることによる布傷みの増加を抑制できる。
また、一実施形態の攪拌翼2は、
上記ブレード220、230、240、250の脱水回転方向に対して逆の方向の後縁側の近傍に、上記貫通穴313が設けられた上記突起部311を配置した。
上記実施形態によれば、攪拌翼部200の回動に伴って攪拌翼本体100の中央部に発生する軸方向の流体流の勢いを低減することなく、蓋体300を設けることができる。
また、一実施形態の攪拌翼2は、
上記蓋体300の中央部の上記軸部210の開口211を覆う部分の領域内に、上記攪拌翼本体100の軸方向に突出する突出部314を設けた。
上記実施形態によれば、攪拌翼2の回転中に、突出部314が被攪拌物の間に楔のように打ち込まれ、これらを分離させる。このため、例えば、洗濯またはすすぎ運転中に、被攪拌物が絡むのを防止でき、洗浄効果を高めることができる。
また、一実施形態の攪拌翼2は、
上記収納部110の底に、上記収納部110内と上記収納部110の裏側との間に流路を形成する底開口部117が設けられていることを特徴としている。
上記実施形態によれば、収納部110内に流入した流体が、攪拌翼部200の回転に伴って発生する遠心力によって径方向に逃げるのを防止できる。このため、攪拌翼部200の回動により生成される軸方向の流体流を強化でき、流体中の流れに乗る被攪拌物をより強力に攪拌することができる。
また、本発明の洗濯機1は、
上記攪拌翼2と、
上記攪拌翼2が回動可能に配置され、流体が貯留される攪拌槽30と、
を備えたことを特徴としている。
本発明の洗濯機1によれば、上記攪拌翼2によって、攪拌翼部200の回動に伴って攪拌翼本体100の中央部に発生する軸方向の流体流を強化することができるので、洗濯能力を向上できる。
上記第1〜第3実施形態およびその他の実施形態で述べた構成要素は、適宜、組み合わせてもよく、また、適宜、選択、置換、あるいは、削除してもよいのは、勿論である。
<付記>
従来の攪拌翼を備えた洗濯機では、羽根部が略同一の軸方向の高さを有するように形成されているので、洗濯またはすすぎ運転時に、糸屑あるいは洗濯物から剥離した汚れが攪拌翼に付着し易くなっていた。このため、例えば、洗濯終了後の洗濯物にたくさんの糸屑等が付着してしまう、あるいは、粉末洗剤や洗濯石鹸の溶け残りが撹拌翼や洗濯機の壁面や底などに蓄積し、そこに黒カビなどの雑菌が繁殖して、撹拌翼または洗濯機が汚染されてしまうといった不具合が発生する場合があった。
そこで、本発明の一態様の課題は、糸屑等が攪拌翼部に付着することに起因する不具合の発生を防止できる洗濯機用の攪拌翼、および、これを用いた洗濯機を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明の一態様に係る洗濯機用の攪拌翼は、回動によって流体を攪拌するための攪拌翼本体と、上記攪拌翼本体と共に一体となって回動するように上記攪拌翼本体に設けられた攪拌翼部とを備え、上記攪拌翼本体が、中央部に配置され、軸方向に設けられた側壁を有する凹形状の収納部と、この収納部の側壁から径方向の外側に延びる羽根部とを有し、上記攪拌翼部が、径方向の外側に向かって軸方向の高さが徐々に低くなるように形成されたブレードを有し、上記収納部内に配置されていることを特徴としている。
また、本発明の一態様に係る洗濯機は、上記攪拌翼と、上記攪拌翼が回動可能に配置され、流体が貯留される攪拌槽と、を備えたことを特徴とする。
本発明の一態様に係る洗濯機用の攪拌翼によれば、例えば、洗濯またはすすぎ運転時に、糸屑等がブレードに付着し難くなるので、糸屑等が攪拌翼部に付着することに起因する不具合の発生を防止できる。また、本発明の一態様に係る洗濯機によれば、上記攪拌翼によって、糸屑等が攪拌翼部に付着することに起因する不具合の発生を防止できる。