JP6230570B2 - 水解性シートの製造方法 - Google Patents
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Description
かかるウェットシートにおいては、拭取り作業時の洗浄剤が含浸された湿潤状態において破れない紙力と、トイレ等に流した際に配管等に詰まらない程度の水解性を確保することが求められるところであるが、これらを効果的に達成する一つの技術として、その基材紙としてカルボキシメチルセルロース(CMC)を含む水溶性バインダー等を添加した水解紙を用いることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
パルプ及び水溶性バインダーを含有する実質的に水分散可能な複数プライの原紙シートに当該水溶性バインダーに架橋反応を起こさせる架橋剤を含む水性薬剤が含浸されてなる水解性シートの製造方法であって、
湿紙を乾燥させて複数の原紙を抄造する抄紙工程と、
前記複数の原紙をプライ加工するプライ加工工程と、
前記プライ加工工程でプライ加工されたシートに対して前記水溶性バインダーを含むバインダー溶液を付与する溶液付与工程と、
を含み、
前記抄紙工程では、前記湿紙に対してクレープ加工を施すことを特徴とする。
前記溶液付与工程では、プライ加工されたシートの両方の外面に対応して設けられたスプレーノズルから前記バインダー溶液を対応する外面に噴射することを特徴とする。
前記溶液付与工程で前記バインダー溶液が付与されたシートを乾燥させる乾燥工程と、
前記乾燥工程で乾燥させたシートに対して、エンボス加工を施すエンボス加工工程と、
を更に含むことを特徴とする。
水溶性バインダーを含んでいない複数の原紙のそれぞれの目付が15〜75gsmであり、
前記複数プライの原紙シートの目付けが30〜150gsmであることを特徴とする。
まず、トイレクリーナー100の構成について説明する。
トイレクリーナー100は、複数枚(例えば、2枚)の原紙シートがプライ加工(積層)されたものであって、所定の薬液が含浸されている。また、トイレクリーナー100のシート全面には、図1に示す通り、2種類のエンボスEM11及びEM12がエンボス加工により施されている。なお、2種類のエンボスEM11及びEM12により生じる清掃対象物等との接触面積は、100mm2当り、15mm2〜30mm2程度であることが好ましい。
紙の製造工程である抄紙工程においては抄紙機のワイヤーの上に繊維を敷き詰めて搬送方向に流すため、一般的には、紙は、抄紙機の搬送方向である縦方向に多くの繊維が並んでいる(例えば、縦:横=2.3:1等。図2(a)参照)という特性がある。そのため、横方向の繊維密度が薄く繊維が断裂しやすい。即ち、拭くときの方向によって破れやすい。そこで、本実施形態においては、図2(b)に示すように、トイレクリーナー100の縦横の繊維配向比率を0.8〜2.0、好ましくは、1.0とすることで、どの方向から拭いても破れにくいトイレクリーナー100を提供することができる。なお、縦横の繊維配向の比率は、MD及びCD方向の湿潤強度の比により求めることができる。
また、エンボスEM11の膨出部PR21とエンボスEM12の膨出部PR22が近接するだけであって、連なっていない場合であってもよい。
次に、トイレクリーナー100の製造方法について説明する。
図5は、トイレクリーナー100の製造方法を示すフローチャートである。図6は、トイレクリーナー100の原紙シートに対してバインダー溶液を付与する溶液付与設備の模式図である。図7は、図6に示す溶液付与設備でバインダー溶液が付与された原紙シートを加工する加工設備の模式図である。
まず、本実施形態にかかる抄紙工程(S1)について説明する。本発明の抄紙工程(S1)では、例えば、公知の湿式抄紙技術により抄紙原料を抄紙して原紙シートを形成する。
本実施形態のトイレクリーナー100の製造方法では、抄紙工程(S1)において、ドライヤーなどにより湿紙を乾燥させる前に当該湿紙に対してクレープ加工(ウェットクレープ加工)を施すクレープ加工工程を有している。このクレープ加工工程においてクレープ加工を施すとき、クレープ率を10〜15%とすることが望ましい。なお、上記クレープ加工工程では、湿紙を乾燥させる前に当該湿紙に対してクレープ加工を施すウェットクレープ加工のみを行うようにしているが、当該ウェットクレープ加工を行った湿紙を乾燥させた後、更に、乾燥させた紙に対してクレープ加工を施すドライクレープ加工を行うようにしても良い。ただし、このときのドライクレープ加工のクレープ率は、ウェットクレープ加工のクレープ率よりも低くする。
原紙シートの原料としては、例えば、既知のバージンパルプ、古紙パルプなどを利用でき、少なくともパルプ繊維を含むものである。この原料となるパルプは、特にLBKPとNBKPを適宜の割合で配合したものが適する。なお、パルプ繊維以外の繊維として、レーヨン繊維や合成繊維などが含有されていてもよい。
また、本発明の原紙シートには、凝集剤として、アニオン性アクリルアミド系重合体(以下、「アニオン性PAM」する。)が含有される。アニオン性PAMとは、アクリルアミド系単量体とアニオン性単量体とを共重合して得られる重合体である。
アクリルアミド系単量体としては、アクリルアミド単独や、アクリルアミドと以下のようなアクリルアミドと共重合可能なノニオン性単量体等と、の混合物である。アクリルアミドと共重合可能なノニオン性単量体としては、メタクリルアミド、N、N−ジメチルアクリルアミド、N、N−ジエチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−イソプロピルクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、N−アクリロイルピロリジン、N−アクリロイルピペリジン、N−ビニルロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミドが例示される。これらは単独で用いても、2種以上を併用しても良い。
アニオン性単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、及びこれらの中和塩が例示される。
なお、アニオン性PAMの水溶性を損ねない程度であれば、スチレン、アクリルニトリル、(メタ)アクリル酸エステル等の単量体を配合してもよい。
アニオン性PAMの添加量としては、好適には、10〜1000ppm程度である。このような、パルプと同電荷のアニオン系の凝集剤を用いて抄紙することで、原紙シートの凝集を低下させることができ、毛細管現象により水解性を向上させることができる。
なお、原紙シートには、上述したパルプ及び凝集剤の他、湿潤紙力剤、接着剤、剥離剤等の抄紙用薬品を適宜用いてもよい。
また、本発明の実施形態では、後述する溶液付与設備の溶液付与工程でバインダー溶液が付与されるが、抄紙工程の段階でバインダー溶液を付与するようにしてもよい。
抄紙工程でもバインダー溶液を付与した場合、得られる水解性シート全体の強度を高めることができ、後工程の溶液付与工程で更にバインダー溶液を付与することにより、当該水解性シートの表面強度をより一層高めることができるようになる。
連続乾燥原紙1Aの物性としては、好適には、目付けが15〜75gsm程度である。また、プライ加工された水溶性バインダーを含むシート(連続水解性シート1D)の目付けは、30〜150gsm程度である。なお、目付けは、JIS P 8124に基づくものである。
連続乾燥原紙1Aは、後述するプライ加工工程(S2)、溶液付与工程(S3)、乾燥工程(S4)、スリット・巻き取り工程(S5)を経て、プライ加工された水解紙となり、更に、後述するエンボス加工工程(S6)、仕上げ加工工程(S7)を経て、トイレクリーナー100に加工される。
次いで、本実施形態のプライ加工工程(S2)について説明する。プライ加工工程(S2)では、図6に示すように、原反ロール1から連続的に繰り出される各連続乾燥原紙1A,1Aを、その連続方向に沿ってプライ加工しプライ連続シート1Bとする重ね合わせ部2に供給される。重ね合わせ部2は、一対のロールで構成され、各連続原紙1A,1Aをプライ加工し、プライ加工されたプライ連続シート1Bを形成する。なお、連続乾燥原紙1A,1A同士を重ね合わせる際に、連続乾燥原紙1A,1A同士がずれにくくなるように、ピンエンボス(コンタクトエンボス)で軽く留めておいてもよい。
次いで、バインダー溶液について説明する。バインダー溶液は、カルボキシルメチルセルロース(CMC)を水溶性バインダーとして含むものである。バインダー溶液中におけるカルボキシルメチルセルロースの濃度としては、1〜30重量%、好ましくは、1重量%以上、4重量%未満とする。
カルボキシル基を有する水溶性バインダーは、水中で容易にカルボキシラートを生成するアニオン性の水溶性バインダーである。その例としては多糖誘導体、合成高分子、天然物が挙げられる。多糖誘導体としてはカルボキシメチルセルロースの塩、カルボキシエチルセルロース又はその塩、カルボキシメチル化デンブン又はその塩などが挙げられ、特にカルボキシメチルセルロースのアルカリ金属塩が好ましい。
次いで、本実施形態の溶液付与工程(S3)ついて説明する。溶液付与工程(S3)では、図6に示すように、プライ連続シート1Bの両方の外面(連続乾燥原紙1A,1Aをプライ加工した時に連続乾燥原紙1A,1A同士が対向しない面)に2流体方式または1流体方式の各スプレーノズル3,3により上述のバインダー溶液を噴霧して連続シート1Cを生成する。
プライ加工工程においてプライ加工された直後のプライ連続シート1Bは、連続乾燥原紙1A,1Aが単に重なっているに過ぎないため、溶液付与工程においてプライ連続シート1Bの両面から、バインダー溶液をスプレーノズル3,3で塗布すると、連続乾燥原紙1A,1Aが離れた状態でバインダー溶液を付与する場合と実質的に同様であり、バインダー溶液が厚さ方向に浸透し、搬送中にシート同士が密着し、スリット・巻取り工程で圧着する中で、さらに浸透するのである。
なお、バインダー溶液の噴霧方法として、プライ連続シート1Bの片方の外面に上述のバインダー溶液を噴霧するようにしても良い。また、上述の1次原反ロール1,1からそれぞれ繰り出される連続乾燥原紙1A,1Aの少なくとも一方のシートの外面(各シートが対向しない面)に対して、2流体方式のスプレーノズルより上述のバインダー溶液を噴霧し、直後に当該連続乾燥原紙1A,1Aをプライ加工することにより、上述の連続シート1Cと同等のシートを生成するようにしても良い。
本実施形態で2流体方式のスプレーノズルを使用する場合、プライ加工されたプライ連続シート1Bの各々の外面に高い圧力(噴射圧1.5MPa以上)でバインダー溶液(粘度400〜1200MPa.s)を塗布するので、シートの厚さ方向にバインダー溶液を含浸させやすい。
一方、本実施形態で1流体方式のスプレーノズルを使用する場合、プライ加工されたプライ連続シート1Bの各々の外面に噴射圧1.5MPa以下でバインダー溶液(粘度400〜1200MPa.s)を塗布することで、シートの厚さ方向にバインダー溶液を含浸させやすく、シート表面にバインダー溶液を均一に塗布させやすくしている。
このようにして、プライ連続シート1Bの外面にバインダー溶液を噴霧することで、トイレクリーナー100は、厚み方向において中央(両面に塗布した場合)又はバインダー溶液の非塗布面(片面に塗布した場合)からバインダー溶液の塗布面に向かうにつれて水溶性バインダーの含有量が増加した状態となるので、水解性を確保しつつ、表面強度を向上させることができ、強く擦ってもダメージが生じにくいトイレクリーナー100を製造することが可能となる。
次いで、本実施形態の乾燥工程(S4)について説明する。乾燥工程(S4)では、図6に示すように、乾燥設備4において、上述の連続シート1Cのバインダー溶液中の不溶な液分を蒸発させて、有効成分、特にCMCを繊維に対して定着させる。
ここで、連続シート1Cの外面から厚み方向内側に向かうにつれて、バインダー溶液の浸み込む量が減少していくことから、当該厚み方向内側に向かうにつれて、CMCの定着量が減少することとなる。そのため、後述する仕上げ加工工程(S7)で薬液が含浸された際、当該厚み方向内側に向かうにつれて、架橋反応が起こり難く、空隙を多く有することから、シート内部に当該薬液を閉じ込めた状態とすることができる。これにより、得られるトイレクリーナー100を乾き難くすることができる。
乾燥設備4としては、連続シート1Cに対して熱風を吹き付けて乾燥させるフード付きドライヤー設備が利用できる。なお、シート同士をより密着させるために、プレスロールやターンロールを設置し、乾燥工程(S4)の前に当該プレスロールや当該ターンロールに連続シート1Cを通しても良い。
次いで、本実施形態のスリット・巻き取り工程(S5)について説明する。スリット・巻き取り工程(S5)では、プライ加工された連続水解性シート1Dをオフラインの加工機で加工する際の原反とするために、上述の乾燥工程(S4)で乾燥されCMCの定着が図られた連続水解性シート1Dをテンションを調整しながら、スリッター5で所定の幅にスリットし、ワインダー設備6において、巻き取ることとなる。巻き取り速度は、プライ加工工程(S2)、溶液付与工程(S3)、乾燥工程(S4)を考慮して適宜定める。過度に早いとシートの破断が生じ、過度に遅いと皺が発生するのでこれに留意する。
スリット・巻き取り工程(S5)で、プライ加工された連続水解性シート1Dが圧着されることにより、連続水解性シート1Dがより一体化され、1枚相当のシートとなる。
次いで、本実施形態のエンボス加工工程(S6)について説明する。エンボス加工工程(S6)では、図7に示すように、2次原反ロール11から繰り出される、連続水解性シート1Dに対して、エンボスロール12によって、シート全面に所定の形状をなすエンボス加工が施される。このエンボス加工は、シートの強度、嵩高性、拭き取り性等を高めるとともに、デザイン性を高めることを目的としてなされている。
次いで、本実施形態の仕上げ加工工程(S7)について説明する。仕上げ加工工程(S7)では、図7に示すように、仕上げ加工設備13において、エンボス済シート1Eの裁断加工、裁断された各シートの折り加工、折り加工がなされた各シートへの上記薬液の含浸、当該薬液を含浸させた各シートの包装を一連の流れで行う。ここで、薬液に含有される架橋剤は、CMCを水溶性バインダーとして用いた場合、多価金属イオンを用いることが好ましい。特に、アルカリ土類金属、マンガン、亜鉛、コバルト及びニッケルからなる群から選択される1種又は2種以上の多価金属イオンを用いることが、繊維間が十分に結合されて使用に耐え得る湿潤強度が発現する点、及び水解性が十分になる点から好ましい。これらの金属イオンのうち、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛、コバルト、ニッケルのイオンを用いることが特に好ましい。
以上の各工程を経ることにより、トイレクリーナー100が製造される。
水溶性バインダーを含んでいない複数の原紙をプライ加工するプライ加工工程と、
プライ加工されたシートに対してバインダー溶液を付与する溶液付与工程と、
前記バインダー溶液を付与されたシートを乾燥させる乾燥工程と、
前記乾燥工程で乾燥させた前記シートを所定幅にスリットし巻き取る巻取り工程と、
を含み、
前記溶液付与工程は、プライ加工されたシートの両方の外面に対応して設けられたスプレーノズルから前記バインダー溶液を対応する外面に噴射したこととなる。
なお、上記プライ加工工程では、水溶性バインダーを含んでいない複数の原紙をプライ加工するほか、水溶性バインダーを含む複数の原紙をプライ加工するようにしてもよい。
実施例 原紙の素材;パルプ100%
パルプ配合;NBKP:LBKP=40:60
抄造条件;ウェットクレープ加工(クレープ率 11%)
秤量;45g/m2
プライ数;2プライ
水溶性バインダー及びその含有量;CMC 0.6g/m2(スプレー塗布)
薬液成分;界面活性剤、グリコールエーテル、除菌剤、香料、水等
薬液含浸率;200%
エンボス加工;無
比較例 原紙の素材;パルプ100%
パルプ配合;NBKP:LBKP=40:60
抄造条件;ドライクレープ加工(クレープ率 11%)
秤量:約45g/m2
プライ数:2
水溶性バインダー及びその含有量:CMC 0.6g/m2(スプレー塗布)
薬液成分;界面活性剤、グリコールエーテル、除菌剤、香料、水等
薬液含浸率;200%
エンボス加工;無
試験片(トイレクリーナー)はプライを剥がさずに幅75mm×長さ240mmにそれぞれ切り取って、幅方向の両端部領域が重なるように3つ折りにし、測定部分を学振型摩擦堅牢度試験機で擦り、目視で紙面に毛羽立ちや破れ等のダメージが確認された時点の回数を計測する。なお、学振型摩擦堅牢度試験機による試験条件は下記のとおりである。
・学振型摩擦堅牢度試験機:テスター産業株式会社製 品番AB301
・摩擦子:形状 □20mm×R50mm
荷重 200gf(白綿布止め、アーム含む)
単位面積あたりの荷重 50gf/cm2(荷重200gf/接触面積4.0 cm2)
摩擦子の綿布止めにPPバンド(積水樹脂株式会社 品番19K(幅15mm ×長さ60mm))1枚を隙間が生じたり、しわが生じたりしないように、ね じ止めで摩擦子に固定する。
・試料台:形状 R200mm
ストローク 120mm
往復速度 30cps
・試験片(トイレクリーナー):幅25mm(プライを剥がさず幅75mmを3つ折り) ×長さ240mm(試料台側)
・試験手順:(1)試験片を試料台に弛まないように取り付ける。
(2)摩擦子を試料台に静かに降ろす。
(3)スタートSWを押して試験開始。
・判定方法:10回ずつ学振させて試験片の状態を確認し、目視で紙面に毛羽立ちや破れ
等のダメージが確認された時点の回数を計測した。
上述の実施例、比較例をそれぞれ黒タイル(紙粉が白いため、目視でわかりやすいように黒タイルを使用)の上で10回上下に擦り付け、タイル上の紙粉を目視で確認し、紙粉が全くない状態を「◎」、紙粉がややある状態を「○」、紙粉がある状態を「△」、紙粉が多い状態を「×」として評価した。また、この評価を実施例、比較例それぞれにおいて5回実施した。
なお、実施例1の実施条件は、原紙の素材をパルプ100%、パルプ配合をNBKP:LBKP=40:60、抄造条件をウェットクレープ加工(クレープ率13.5%)、秤量を45g/m2、プライ数を2プライ、水溶性バインダーをCMC、当該CMCの含有量を1.2g/m2(スプレー塗布)、薬液成分を界面活性剤、グリコールエーテル、除菌剤、香料、及び水等、薬液含浸率を200%、エンボス加工を有りとする。
また、実施例1の紙粉発生量の評価結果は、上記実施例と同様、5回とも「◎」であり、紙粉が全く発生しないことがわかった。
本発明の実施形態等の説明に際しては、膨出部PR21が曲面の形状を有しているエンボスEM11と、膨出部PR22が平面の形状を有しているエンボスEM12を例示しているが、必ずしもこの形状に限定されるものではなく、例えば、エンボスEM11及びエンボスEM12の膨出部が高さの異なる平面の形状であってもよい。また、例えば、エンボスEM11の膨出部が平面の形状であり、エンボスEM12の膨出部が曲面の形状であってもよい。
なお、上記溶液付与工程では、水溶性バインダーを含んでいない複数の原紙のうち、水解性シートの表面及び裏面となる原紙の少なくとも何れか一方の面に対してバインダー溶液を付与するほか、水溶性バインダーを含む複数の原紙のうち、水解性シートの表面及び裏面となる原紙の少なくとも何れか一方の面に対してバインダー溶液を付与するようにしてもよい。
一つのバックアップロールに対して対となる刷版ロールを設けるドクターチャンバー方式、もしくは/および、3ロール方式を採用することにより、各刷版ロールにおける付与量が少なくとも、合計量において十分な量の薬液を乾燥原紙に対して付与できる。また、バックアップロールが一つであることにより、極めて均一に付与できる。これは、バックアップロールが一つであることで、最初の刷版ロールから次の刷版ロールまでの間の張力が極めて安定して一定であることから、二つの刷版ロールで二段階付与しても、連続原紙に対して極めて均一に薬液を付与することができるのである。また、二つの刷版ロールの間隔が短くなることから、最初の刷版ロールで薬液が付与された後、直ちに次の刷版ロールでの付与がなされことからも、付与ムラなく均一転写ができるのである。このような効果は、単に、バックアップロールと刷版ロールを一対二段にしただけでは得ることはできない。
さらに、薬液が付与された連続紙を乾燥させる乾燥工程を有する。この乾燥工程は、連続紙に直接的に接触しない間接乾燥が望ましく、特に赤外線照射によるものが望ましい。間接乾燥の場合には皺の発生が抑制される。特に、赤外線照射によるものとすると、紙面各所の乾燥が均一に生ずるので、乾燥時における皺や歪みなどの発生が効果的に防止できる。
以下にドクターチャンバー方式を例に詳しく説明する。
バインダー溶液を塗布する際の塗布加工速度は30〜100m/分で操業され、より好ましくは50〜80m/分で操業される。30m/分未満では乾燥されるまえにクレープが伸びてしまい、後工程で加工しづらいという問題がある。逆に100m/分超過では十分な転写量が得られなかったり、幅方向での塗布量のバラツキにより、湿潤強度や水解性にバラツキが生じる。
そして、このバックアップロールに巻き掛けられた連続乾燥原紙1Aに対して、刷版ロールにてバインダー溶液がロール転写される。
ここで、刷版ロールは、凹溝のないベタ版仕様のシームレスロールとし、連続乾燥原紙1Aの全体にバインダー溶液をベタ印刷の如く付与する。この刷版ロールとして用いられるシームレスロールは、タイプロールのスリーブにゴム板を巻きつけ釜に入れて過熱溶接し、研磨して成形したものである。材料として用いるゴム板は所定の目的に応じて材質や硬度、色等を選択することができる。
なお、上述のようにバインダー溶液が付与(転写)される連続乾燥原紙1Aは、プライ加工する際に最上層又は最下層となる原紙のみを対象とする。つまり、例えば、3プライ加工する場合、中層となる連続乾燥原紙1Aに対してはバインダー溶液を付与(転写)しない。
つまり、複数の原紙(連続乾燥原紙1A)がプライ加工されてなる水解性シートの製造方法において、水溶性バインダーを含んでいない複数の原紙をプライ加工するプライ加工工程と、プライ加工されたシートに対してバインダー溶液を付与(転写)する溶液付与工程と、前記バインダー溶液を付与されたシートを乾燥させる乾燥工程と、前記乾燥工程で乾燥させた前記シートを所定幅にスリットし巻き取る巻取り工程と、を含み、前記溶液付与工程は、プライ加工されたシートの少なくとも何れか一方の外面に対応して設けられた印刷機から前記バインダー溶液を対応する外面に転写するようにする。
なお、上記プライ加工工程では、水溶性バインダーを含んでいない複数の原紙をプライ加工するほか、水溶性バインダーを含む複数の原紙をプライ加工するようにしてもよい。
このように、ドクターチャンバー方式でバインダー溶液を転写する場合、粘度の高いバインダー溶液を塗布することができるので、シート内部までバインダー溶液が浸透することを抑制することができる。よって、シート表面にのみCMCを定着させることが可能となる。なお、ドクターチャンバー方式でバインダー溶液を転写する場合のほか、例えば、ホットメルト樹脂塗工用のコーターによりバインダー溶液をシート表面にコーティングするようにしてもよい。かかる場合もシート表面にのみCMCを定着させることが可能となる。
つまり、複数の原紙(連続乾燥原紙1A)がプライ加工されてなる水解性シートの製造方法において、前記複数の原紙をそれぞれ抄造する抄紙工程を含み、前記抄紙工程は、抄造中の湿紙に対してバインダー溶液を付与するようにする。
このように、抄紙工程でもバインダー溶液を付与した場合、得られる水解性シート全体の強度を高めることができ、後工程の溶液付与工程で更にバインダー溶液を付与することにより、当該水解性シートの表面強度をより一層高めることができるようになる。
1 1次原反ロール
1A 連続乾燥原紙
1B プライ連続シート
1C 連続シート
1D 連続水解性シート
1E エンボス済シート
2 重ね合わせ部
3 スプレーノズル
4 第1乾燥設備
5 スリッター
6 ワインダー設備
11 2次原反ロール
12 エンボスロール
13 仕上げ加工設備
14 フォーマー
15 ワイヤー
16 サクションボックス
17 第1ドライパート
18 回転ドラム
19 フード
20 上コンベアベルト
21 下コンベアベルト
22 真空ロール
23 スプレーノズル
24 第2ドライパート
25 回転ドラム
26 フード
EM11 エンボス
EM12 エンボス
EM13 エンボス
PR21 膨出部
PR22 膨出部
Claims (4)
- パルプ及び水溶性バインダーを含有する実質的に水分散可能な複数プライの原紙シートに当該水溶性バインダーに架橋反応を起こさせる架橋剤を含む水性薬剤が含浸されてなる水解性シートの製造方法であって、
湿紙を乾燥させて複数の原紙を抄造する抄紙工程と、
前記複数の原紙をプライ加工するプライ加工工程と、
前記プライ加工工程でプライ加工されたシートに対して前記水溶性バインダーを含むバインダー溶液を付与する溶液付与工程と、
を含み、
前記抄紙工程では、前記湿紙に対してクレープ加工を施すことを特徴とする水解性シートの製造方法。 - 前記溶液付与工程では、プライ加工されたシートの両方の外面に対応して設けられたスプレーノズルから前記バインダー溶液を対応する外面に噴射することを特徴とする請求項1に記載の水解性シートの製造方法。
- 前記溶液付与工程で前記バインダー溶液が付与されたシートを乾燥させる乾燥工程と、
前記乾燥工程で乾燥させたシートに対して、エンボス加工を施すエンボス加工工程と、
を更に含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の水解性シートの製造方法。 - 水溶性バインダーを含んでいない複数の原紙のそれぞれの目付が15〜75gsmであり、
前記複数プライの原紙シートの目付けが30〜150gsmであることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の水解性シートの製造方法。
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