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JP6221319B2 - 透過型曲面スクリーンの製造方法 - Google Patents

透過型曲面スクリーンの製造方法 Download PDF

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JP6221319B2
JP6221319B2 JP2013085735A JP2013085735A JP6221319B2 JP 6221319 B2 JP6221319 B2 JP 6221319B2 JP 2013085735 A JP2013085735 A JP 2013085735A JP 2013085735 A JP2013085735 A JP 2013085735A JP 6221319 B2 JP6221319 B2 JP 6221319B2
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Description

本発明は、背面側から投射された映像光を前面側に透過させて映像を表示する透過型曲面スクリーンの製造方法に関する。
ディスプレイ装置の普及に伴い、様々な分野にディスプレイ装置が組み込まれる様になってきている。例えば、アミューズメント機器、自動車などの分野である。こうした分野では、単に映像を表示する機能以外に、全体と調和した意匠性が極めて重要視される。このため、ディスプレイの表示面を平面ではなく曲面状としたものを要求されることがある。ただ、液晶表示パネルではガラス基板が用いられているために、表示面を曲面にすることは難しい。そこで、樹脂シートなどからなるスクリーンを曲面形状とした、透過型曲面スクリーンが提案されている(特許文献1)。
透過型スクリーンを曲面形状とするには、平板状の成形用シートを曲面形状にするための何らかの曲面成形が必要となる。曲面成形は、通常は、真空成形、圧空成形、真空圧空成形など、成形型と、成形用シートに加わる成形圧に気圧を利用する成形法によって行われる。成形型には、その型面と成形用シートとの間に挟まれる空気を外部に逃がすために、通常、通気孔が複数設けられている。通気孔は、例えば直径0.5mm程度の円形の孔である。
図8は、従来の曲面成形の一例を示す説明図である。なお、同図では、成形型54が階段状形状であるが曲面形状でも成形は同じである。先ず、図8(a)に示すように、成形用シート51を加熱し、軟化させる。成形用シート51は、その外周部を固定枠52で保持されている。成形用シート51の加熱は、赤外線ヒータ53によって行われる。
次に、図8(b)に示すように、加熱軟化された成形用シート51は、成形型54上に移動され、この後、図8(c)に示すように、成形型54と気圧を用いて曲面成形されて、成形用シート51は成形型54の型面の形状に沿う形状となる。このとき、成形型54の型面に有する複数の通気孔から空気が吸引される。成形用シート51の成形型54側に加わる気圧に対して、成形型54とは反対側に加わる気圧が大きくなるような気圧差によって、成形用シート51は、成形型54の型面に押し付けられ、型面の形状に曲面成形される。
次に、図8(d)に示すように、成形用シート51が、曲面成形されたその形状を維持できるまで冷却された後、図8(e)に示すように、成形用シート51は成形型54から離される。そして、図8(f)に示すように、曲面成形後の成形用シート51は、周囲の不要な部分が、レーザや刃物などのカッタ55で切断除去される。こうして、曲面成形により、曲面形状の成形物が得られる。
特開2012−32513号公報
しかしながら、成形用シートを曲面に成形後のシート表面には、通気孔の跡が残ることがある。例えば、直径0.2mm程度の通気孔の跡が生じる。
こうした通気孔の跡は、映像を表示する透過型曲面スクリーンにおいては、表示する映像の品質を低下させる。とりわけ、アミューズメント機器、自動車などのディスプレイ装置においては、映像がスクリーンの近くで注視されるので、0.2mm程度であっても、表示品質の低下につながるという問題があった。
すなわち、本発明の課題は、成形型と気圧とを利用して曲面成形しても、成形型の通気孔の跡が目立ちにくい透過型曲面スクリーンの製造方法を提供することである。
本発明による透過型曲面スクリーンの製造方法は、以下の構成とした。
(1)曲面形状を成す曲面積層体を備え、入光面側から入射した映像光を出光面側に透過させる透過型曲面スクリーンであって、
前記曲面積層体が、前記出光面側から順に、少なくとも、光拡散層、光線制御層を含み、前記光線制御層は、光を吸収可能に層面に沿って配列された光吸収部と、この光吸収部間に光を透過可能に配列された光透過部と、を有する、
透過型曲面スクリーンを製造する方法であって、
前記曲面形状に成形前の成形用積層体を準備する、積層体準備工程と、
前記成形用積層体を成形型と気圧とを用いて曲面成形して前記曲面積層体とする、第1の曲面成形工程と、
を含み、
前記第1の曲面成形工程にて、前記成形型は型材自体が多孔質材料であることによって型面に複数の通気孔を有し、且つ前記成型は型面が凸曲面を有する、
透過型曲面スクリーンの製造方法
(2)前記成形用積層体が、前記入光面側に、レンズ面を前記入光面側に向けたフレネルレンズ層を含む、前記(1)の透過型曲面スクリーンの製造方法。
(3)フレネルレンズ層を有し、前記曲面積層体が成す前記曲面形状に成形前の成形用フレネルレンズシートを準備する、フレネルレンズシート準備工程と、
前記成形用フレネルレンズシートを、成形型を用いて曲面成形して、前記曲面形状を成す曲面フレネルレンズシートとする、第2の曲面成形工程と、
前記曲面積層体の前記入光面側に、前記曲面フレネルレンズシートを積層する、積層工程と、
を含み、
前記第2の曲面成形工程にて、前記成形型は型材自体が多孔質材料であることによって型面に複数の通気孔を有する、
前記(1)の透過型曲面スクリーンの製造方法。
(4)前記通気孔の孔径が10〜30μmである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の透過型曲面スクリーンの製造方法。
本発明によれば、成形型と気圧とを利用して曲面成形しても、成形型Mの通気孔の跡が目立ちにくい透過型曲面スクリーンを製造することができる。
本発明による透過型曲面スクリーンの製造方法を基本的な形態で説明する説明図。 第1の実施形態における成形用積層体を示す断面図(a)と、曲面積層体及び透過型曲面スクリーンを示す断面図(b)。 本発明による透過型曲面スクリーンの製造方法に利用し得る真空プレス法を実施可能な成形装置の一例を示す説明図。 第2の実施形態にて得られる透過型曲面スクリーンの層構成を示す断面図。 成形用積層体、曲面積層体及び透過型曲面スクリーンの変形形態例を示す断面図。 成形用積層体、曲面積層体及び透過型曲面スクリーンの変形形態例を示す断面図。 本発明による透過型曲面スクリーンを用いたディスプレイ装置の一例を示す断面図。 透過型曲面スクリーンの従来の製造方法の一例を説明する説明図。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、図面は概念図であり、構成要素の縮尺関係、縦横比等は誇張されていることがある。
《A》第1の実施形態
先ず、図1、図2及び図3を参照して、本発明の透過型曲面スクリーンの製造方法の第1の実施形態を説明する。
図1は、本発明による透過型曲面スクリーンの製造方法を基本的な形態で説明する説明図である。図2(a)は第1の実施形態における成形用積層体を示す断面図、図2(b)は第1の実施形態における曲面積層体及び透過型曲面スクリーンを示す断面図である。図3は、第1の実施形態の曲面成形で利用し得る真空プレス法を実施可能な成形装置の一例を示す説明図である。
本発明による透過型曲面スクリーンの製造方法では、曲面形状を成す曲面積層体10を備え、入光面側から入射した映像光を出光面側に透過させる透過型曲面スクリーン20を製造する。
曲面積層体10は、本発明においては、図1(a)に示すように、出光面側Loutから順に、少なくとも、光拡散層1、光線制御層2を含み、光線制御層2は、光を吸収可能に層面に沿って配列された光吸収部2aと、光吸収部2a間に光を透過可能に配列された光透過部2bと、を有する。なお、層面とは光線制御層2の層の面である。
光拡散層1は、映像光を結像し、出光面側Loutに拡散光として出光する。
光線制御層2は、入光面側Linから入射した映像光の光路を制御するとともに、迷光や外光を適切に吸収する機能を有する。
本発明による透過型曲面スクリーンの製造方法においては、図1(b)に示すように、曲面積層体10が成す曲面形状に成形前の成形用積層体10Aを準備する積層体準備工程と、図1(c)に示すように、成形用積層体10Aを成形型Mと気圧とを用いて曲面成形して曲面積層体10とする第1の曲面成形工程と、少なくともを含む。しかも、本発明においては、第1の曲面成形工程にて、成形型Mは、型材自体が多孔質材料であることによって型面に複数の通気孔を有する。
この結果、図1(d)に示すように、曲面積層体10が得られ、これをそのまま使えば透過型曲面スクリーン20も同時に得られる。また、追加の工程を有するならば、追加の工程を経た後、曲面積層体10、透過型曲面スクリーン20が得られる。
なお、曲面積層体10の層構成を示す図面では、図1(a)も含めて他の図面でも、便宜上、本来曲面形状であるものを平面的に描いてある。
本発明では、このような構成の製造方法とする結果、曲面積層体10を備えた透過型曲面スクリーン20は、成形型Mと気圧とを利用する曲面成形によって製造しても、成形型Mの通気孔の跡を目立ちにくくすることができる。
本実施形態では、成形用積層体10Aとして、具体的には、図2(a)の断面図に示す構成のものを準備する。同図に示す成形用積層体10Aは、光拡散層1、光線制御層2に加えて、さらに、透明基材層3及び接合層4を有し、この結果、層構成は、出光面側Loutから順に、光拡散層1、接合層4、光線制御層2、透明基材層3となっている。
透明基材層3は、光線制御層2を作成時の基材として機能し、また、曲面積層体10の機械的強度を強くしている。
接合層4は、接合層4を挟んで隣接する両層を接合している。
本実施形態においては、この成形用積層体10Aを曲面成形した後、出光面側Loutに表面層5としてハードコート層を塗装形成した曲面積層体10を、透過型曲面スクリーン20として製造する。
以下、第1の実施形態を工程順に、積層体準備工程から詳述する。
《積層体準備工程》
積層体準備工程は、透過型曲面スクリーン20が備える曲面形状を成す曲面積層体10の元になる、曲面形状に成形前の成形用積層体10Aを準備する工程である。
成形用積層体10Aは、本実施形態においては、図2(a)の断面図で示した層構成をしており、出光面側Loutから順に、光拡散層1、接合層4、光線制御層2、透明基材層3を有する。
成形用積層体10Aの形状は、本実施形態においては、平板状の形状をしている。
以下、成形用積層体10Aの各層について更に説明する。
〔光拡散層1〕
光拡散層1は、入光面側Linから入射した映像光を、等方拡散して出光面側Loutから出射させて観察者に届ける層である。光拡散層1は公知の材料及び形成法によるものを用いることができる。例えば、光拡散層1は、透明樹脂からなる母材と、この母材中に分散された拡散成分とから構成される。光拡散層1は、母材と拡散成分間の屈折率差、或いは、拡散成分自体が有する反射性、によって、光を等方的に拡散する。
本発明においては、光拡散層1は、光を等方拡散する態様以外に、光を異方拡散する態様もあり得る。例えば、拡散成分の形状や母材中での分布を調整して異方拡散にする。
前記母材には、例えば、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体(MBS樹脂)、メチルメタクリレート−スチレン共重合体(MS樹脂)などのアクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂(PC樹脂)、等の熱可塑性樹脂を用いることができる。
前記拡散成分には、樹脂ビーズ、気泡が挙げられ、なかでも樹脂ビーズが好適で、特に透明度が高いものが好ましい。こうした樹脂ビーズは、例えば、アクリルビーズ、メラミンビーズ、アクリル−スチレンビーズ、ポリカーボネートビーズ、ポリエチレンビーズ、ポリスチレンビーズ、シリコーンビーズ等があり、中でもアクリルビーズが好ましい。
光拡散層1の形成は、例えば、上記母材中に上記拡散成分を分散させた樹脂組成物を、押し出し成形して形成することができる。光拡散層1は押し出し成形することによって、シートの形態としても用意することができる。
光拡散層1の厚みは、0.1〜2mm、より好ましくは0.2〜1.5mmである。厚みがこの範囲未満では、光拡散層1の光拡散能が不足することがあり、厚みがこの範囲を超えると、透過型曲面スクリーン20が表示する映像の解像性が低下し、ぼやけることがある。
〔光線制御層2〕
光線制御層2は、入光面側Linから入射した映像光の光路を制御するとともに、迷光や外光を適切に吸収する機能を有する層である。光線制御層2によって、映像のコントラストを向上させることができる。光線制御層2は、基本的には、光学制御の必要性に応じて設けられるものであるが、本発明においては、表示品質をよりよくするために、必須の層として設けられている。光線制御層2は、公知の材料及び形成法によるものを用いることができる。
光線制御層2は、光を吸収可能に層面に沿って配列された多数の光吸収部2aと、この光吸収部2a同士の間に光を透過可能に配列された光透過部2bと、を有する。図1(a)及び図2など光線制御層2が示される断面図では、光吸収部2aは紙面に垂直な方向に延在し、紙面左右方向に一定の周期で配列されている。本実施形態での光吸収部2aの断面形状は、同図のように二等辺三角形形状であり、その底辺側を出光面側Loutに向けて形成される。また、本実施形態では、同図のように、光吸収部2a同士の間のそれぞれの光透過部2bは、二等辺三角形形状の光吸収部2aの頂点側で、この頂点よりも図面下方に連続層として位置する部分で相互に連結して形成される。
本発明において、光吸収部2aの断面形状、及び光透過部2bの断面形状は、これ以外にも、例えば、光線制御仕様に応じて、台形形状など各種形状をとり得る。
また、光吸収部2aの屈折率Naと、光透過部2bの屈折率Nbとの関係は、要求される光学制御仕様に応じて決定される。通常、屈折率Naと光透過部2bの屈折率Nbとの屈折率差は、0より大きく0.06以下である。
(光吸収部2a)
光吸収部2aは、光吸収粒子と、光吸収粒子を分散させたバインダーから構成されている。光吸収粒子が迷光や外光を吸収するように作用する。光吸収部2aは、光吸収粒子をバインダー中に分散させた光吸収部形成組成物によって形成することができる。
光吸収粒子としては、カーボンブラック等の光吸収性の着色粒子が好ましく用いられるが、これらに限定されるものではなく、映像光の特性に合わせて特定の波長を選択的に吸収する着色粒子を使用してもよい。
こうした光吸収粒子としては、具体的には、カーボンブラック、グラファイト、黒色酸化鉄等の金属塩、染料、顔料等で着色した有機微粒子や着色したガラスビーズ等を挙げることができる。特に、着色した有機微粒子が、コスト面、品質面、入手の容易さ等の観点から好ましい。より具体的には、カーボンブラックを含有したアクリル架橋微粒子や、カ
ーボンブラックを含有したウレタン架橋微粒子等が好ましい。光吸収性及びバインダーとの密着性に優れているからである。
なお、本発明においては、光吸収部2aは、光吸収作用を付与する為に、光吸収粒子の他、染料により光吸収部2aの全体を光吸収性にしてもよい。
バインダーとしては、紫外線などの光によって硬化される樹脂が好ましく、例えば、アクリレート系などの電離放射線硬化性樹脂を用いることができる。電離放射線硬化性樹脂としては、例えば、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、エポキシアクリレート、アクリルアクリレートなどのアクリレート系プレポリマー、多官能性アクリレート系モノマー、単官能性アクリレート系モノマー、ビニル系モノマー等の重合性化合物の一種以上からなる樹脂組成物を用いることができる。
(光透過部2b)
光透過部2bは、前記した光吸収部2aを構成する光吸収部形成組成物から、光吸収粒子を除いた成分のバインダーから構成することができる。用いるバインダーは光吸収部2aと同じでもよい。
(光吸収部2a及び光透過部2bの形成方法)
光吸収部2a及び光透過部2bの形成方法は特に限定されるものではなく、例えば、公知の形成方法を適宜採用することができる。例えば、光吸収部2aは、いわゆるワイピング法によって、着色粒子を含有する光吸収部形成組成物を光透過部2bの表面に形成された溝に充填しつつ、ドクターブレードを用いて余剰分の光吸収部形成組成物を掻き取って形成することができる。
光透過部2bの溝は、電離放射線硬化性樹脂と型を用いたフォトポリマー法(2P法とも言う)によって形成することができる。この時、型として円筒形状の型を用い、電離放射線硬化性樹脂を、型と後述する透明基材層3とで挟んだ状態で電離放射線硬化性樹脂を硬化させることによって、透明基材層3上に連続的に光透過部2bを形成することができる。
〔透明基材層3〕
透明基材層3は、各種の層を形成するときに基材として利用された層である。本実施形態では、透明基材層3は、上記光線制御層2に対して使われている。
こうした透明基材層3は、例えば、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)、シクロオレフィン系樹脂等の透明樹脂を用いることができる。なかでも、ポリカーボネート系樹脂は、入手の容易性、コスト、成形性、耐熱性、密着性等の点で好ましい樹脂の一種である。
本発明において、透明基材層3は必須ではなく、省略することができる。例えば、透明基材層3の面を剥離性としておき、この剥離性の面に光線制御層2を形成後、透明基材層3から光線制御層2を剥離し、透明基材層3は成形用積層体10Aの構成層としては組み入れない場合である。
透明基材層3と隣接する層との密着性を強化する目的で、透明基材層3の表面は、プライマー層の形成、コロナ放電処理などの公知の密着強化処理を施したものとしてもよい。
透明基材層3の厚みは、対象とする層に応じて設定され、例えば、25μm〜5mmである。
〔接合層4〕
接合層4は、その両側の層を接合するための層である。接合層4は接合の必要性に応じて設けられる。
本実施形態では、接合層4は、光拡散層1と光線制御層2との接合に、使われている。接合層4は、粘着層、接着層等として用いられ得る。
接合層4は、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂等の熱可塑性樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、電離放射線硬化性樹脂等の硬化性樹脂を用いることができる。
本発明においては、接合層4は省略することができる。例えば、光線制御層2に対して光拡散層1を塗工形成する場合の、光拡散層1と光線制御層2との間の接合層4などである。
〔成形用積層体10Aの作製方法〕
成形用積層体10Aを作製する方法は、公知の透過型スクリーンの製造方法を適用することができる。例えば、本実施形態においては、帯状の樹脂シートからなる透明基材層3に対して、2P法とワイピング法によって光線制御層2を形成した後、この光線制御層2の面に、接合層4とする接着剤を介して、光拡散層1とするシートを積層する。
《第1の曲面成形工程》
図1(c)に示すように、第1の曲面成形工程は、積層体準備工程で準備した成形用積層体10Aを、成形型Mと気圧とを用いて曲面成形して、曲面形状を成す曲面積層体10とする工程である。
成形型Mには、型材自体が多孔質材料であることによって型面に複数の通気孔を有する型を用い、成形圧に気圧を利用する曲面成形法によって行う。こうした曲面成形法は、例えば、真空成形、圧空成形、真空圧空成形などである。
〔曲面形状における「曲面」とは〕
本実施形態においては、曲面積層体10が成す曲面形状における「曲面」とは、「三次元曲面」となっている。より具体的には、本実施形態においては、三次元曲面として球体の球面の一部の面となっている。
本発明においては、「曲面」とは、「三次元曲面」以外に、「二次元曲面」であってもよい。透過型曲面スクリーン20が適用されるディスプレイ装置の用途において、意匠性、及び全体としての意匠性の統一感の観点から、「三次元曲面」と「二次元曲面」とは使い分けられる。
「三次元曲面」とは、互いに傾斜した複数の軸をそれぞれ中心として、部分的または全体的に曲がっている面を意味する。「三次元曲面」とは、球面に限らず、楕円球、断面が放物線を成す曲面、或いはこれらの組み合わせの曲面など、任意である。
「二次元曲面」とは、単一の軸を中心に二次元的に曲がっている面を意味する。
「曲面」は「三次元曲面」と「二次元曲面」との組み合わせの曲面でもよい。
「曲面」は「凸曲面」と「凹曲面」との組み合わせの曲面でもよい。
「曲面」の凸側を出光面側Loutとするか、入光面側Linとするかは、任意である。
曲面形状とは、「曲面」が、曲面積層体10の全域にあってもよいし、一部にあってもよい。すなわち、曲面形状とは、「曲面」を少なくも一部に有する形状である。
本発明において、「曲面」の曲率半径は、用途及び意匠性によるが、例えば200cm以下、より具体的には25〜150cmとすることができる。
また、局所的な場合などでは、曲率半径は1〜25cmとすることができる。
本実施形態においては、出光面側Loutが凸曲面となる様に曲面成形する。
本発明においては、出光面側Loutを凹曲面となる様に曲面成形してもよい。出光面側Loutを、凸曲面とするか凹曲面とするかは、透過型曲面スクリーン20が組み込まれる機器による。
〔成形用積層体10Aの加熱〕
曲面成形は、成形用積層体10Aが曲面成形されやすいように、加熱された状態を経過して行われる。
成形用積層体10Aの加熱温度は、成形用積層体10Aを構成する層のうち、最もガラス転移温度Tgが高い層のガラス転移温度Tg以上、例えば、120℃以上180℃以下であることが好ましい。
〔成形型M〕
成形型Mには、型材自体が多孔質材料であることによって型面に複数の通気孔を有する型を用いる。具体例を挙げれば、成形型Mには、多孔質アルミニウム製の型を用いることができる。成形型Mは、型材自体が多孔質材料であれば、アルミニウム以外の金属、或いはセラミックス、或いはその他複合材料を用いた型でもよい。
成形型Mが多孔質材料であることによってもたらされる通気孔の孔径は、例えば、5〜100μm、好ましくは10〜50μm、より好ましくは10〜30μmとすることができる。孔径が前記範囲未満となると通気孔が詰まり易くなり、孔径が前記範囲を超えると通気孔の跡が目立ちやすくなる。
本発明においては、成形型Mは、その型面が凸曲面(オス)のもの、凹曲面(メス型)のもの、凸曲面と凹曲面の両方を有するもの、いずれでもよい。
本実施形態においては、成形用積層体10Aは、後述する成形用フレネルレンズシート6Aを含まないため、その出光面側Lout、入光面側Linのどちらの面でも、型面に接触させて曲面成形することができる。
ただ、成形型Mは、型面が凸曲面(オス)の方が、凹曲面(メス型)の方に比べて、好ましい。その理由は、凸曲面(オス)の場合、成形用積層体10Aの中央部が最初に凸曲面の頂部に接触するので、この部分の成形用積層体10Aは変形が他の部分に比べて少なく他の部分よりは薄くならないからである。成形用積層体10Aが曲面積層体10となり、さらに、この曲面積層体10が組み込まれて透過型曲面スクリーン20となったときに、このスクリーンの中心となる部分が薄くなると、映像の明度や視野角に大きな影響を与える虞があるためである。
したがって、この点を考慮すると、出光面側Loutを凸曲面とする曲面積層体10を製造するには、入光面側Linが凸曲面の型面に接触するように、曲面成形することになる。
〔成形圧:気圧など〕
成形圧に気圧を利用する曲面成形法には、真空成形、圧空成形、真空圧空成形などの各種方法を採用することができる。設備的に利用可能な曲面成形法を採用すればよい。
気圧を利用する公知の曲面成形法の具体的方法を挙げれば、例えば、オーバーレイ法(特公昭56−45768号公報、特開平4−368837号公報など参照)、真空プレス法(特公昭60−58014号公報、特開平4−368837号公報など参照)などがある。
オーバーレイ法は真空ラミネート法と呼ばれることもあり、真空プレス法は成形圧に気圧の他にシリコーンゴムシートなどゴム状弾性膜の変形圧も利用することから、メンブレンプレス法と呼ばれることもある。
〔真空プレス法〕
なかでも、成形圧に気圧の他にゴム状弾性膜の変形圧も利用する真空プレス法は、成形用積層体10Aなど成形用シートが局所的に大きく延ばされる歪みを抑制できるなどの点で、好ましい曲面成形法の1種である。また、真空プレス法は、成形用シートが成形型Mの型面に接触する前の段階で、成形用シートと成形型Mとの間の空間を脱気することも可能な曲面成形法であるため、脱気を成形面の隅々まで行えるなどの点でも、好ましい曲面成形法の1種である。一方、大気圧開放化で行われる真空成形法では、成形用シートと成形型Mとの間の空間を脱気すると同時に、成形用シートは成形型Mの型面に接触する。このため、真空プレス法では、成形型Mの通気孔を通じての脱気以外の方法でも脱気が行え、この点でも、通気孔の跡を目立ちにくくすることが可能となる。
本実施形態においては、曲面成形は、真空プレス法によって行われる。
そこで、真空プレス法について更に図面を参照して詳述する。図3は、本発明による透過型曲面スクリーンの製造方法に利用し得る真空プレス法を実施可能な成形装置の一例を示す説明図である。
以下、成形用積層体10Aを成形用シート38と呼んで説明する。
図3は、真空プレス法の一形態を実施可能な真空プレス装置30の一例を示す説明図である。
同図の真空プレス装置30では、図面上方に、上下に移動可能な第1室31を備え、第1室31に対面して図面下方に第2室32を備える。第1室31の内部には赤外線ヒータ33が備えられている。第1室31の下部開口面は、シリコーンゴム等によるゴム状弾性膜34によって全面が覆われている。
第2室32は上面が、複数の排気孔を有し、成形型Mを載置する載置台36となっている。
第1室31及び第2室32は各々給排気ポート37を有し、各室内部の気圧を独立に調整できるようになっている。
真空プレス法では、先ず、第1室31が上方に移動して第2室32と分離した状態で、載置台36に設置された成形型Mに成形用シート38を配置する。図3(a)は、この状態を示している。
次いで、第1室31を下方に移動し第2室32に圧接し、第1室31及び第2室32を密閉する。
次に、第1室31内及び第2室32内を減圧する。さらに、赤外線ヒータ33用いてゴム状弾性膜34を通して成形用シート38を加熱軟化させ成形可能状態とする。
次に、第2室32内は減圧のまま、第1室31内を加圧する。この結果、成形用シート38は成形圧として第1室31と第2室32との室内の気圧差による気圧、及びゴム状弾性膜34の変形圧である収縮圧によって押圧されて、成形型Mの型面に沿って変形されて、成形用シート38が成形型Mの型面の形状に曲面成形される。図3(b)は、この状態を示している。
最後に、第2室32の減圧を解除するとともに第1室31の加圧を解除して両室を大気圧に戻し、第1室31を上方に移動し第1室31及び第2室32を分離して、曲面成形された成形用シート38を取り出す。
以上の結果、図3(c)に示す、曲面成形された成形用シート38として、曲面積層体10が得られる。
図3に示した成形装置を参照して説明した上述の方法は、真空プレス法の一形態であり、とりわけ、成形用シート38が成形型Mの型面に接触し始めるとき、既に第2室32が減圧され、成形用シート38と型面との間の空間が脱気されている場合では、大気圧開放化で行われる真空成形法では成形用シート38と成形型Mとの接触開始時点が脱気の開始時点と略同時となるのとは、大きく異なる。このため、真空プレス法では、成形型Mの通気孔の跡を、より目立ちにくくすることができる。
《ハードコート層形成工程》
本実施形態においては、成形用積層体10Aが曲面成形された後に、さらに、出光面側Loutとする表面に表面層5としてハードコート層を形成する工程を含む。
この結果、図2(b)の断面図で示す層構成の、曲面積層体10、乃至は透過型曲面スクリーン20が得られる。
表面層5としてハードコート層を形成することで、表面の耐擦傷性や耐指紋性に優れた透過型曲面スクリーン20を製造することができる。
本発明においては、ハードコート層は成形用積層体10Aの段階で形成しておいてもよいが、曲面成形後に形成することで、ハードコート層の曲面成形時におけるクラック発生を回避して製造することができるからである。
〔表面層5:ハードコート層〕
本発明において、「ハードコート」とは、JISK5600−5−4(1994)で規定される鉛筆硬度試験で「HB」以上の硬度を示すことを意味する。
ハードコート層はスプレー塗装など公知の塗装法によって形成することができる。
ハードコート層の厚みは、用途、要求仕様に応じるが、例えば、5〜50μm程度とすることができる。
ハードコート層は公知の材料によって形成することができる。例えば、ハードコート層は、透明な硬化性樹脂の硬化物層として形成することができる。硬化性樹脂としては、ウレタン樹脂などの熱硬化性樹脂でもよいが、耐擦傷性などがより優れる点で、電離放射線硬化性樹脂を用いることが好ましい。電離放射線硬化型樹脂は紫外線や電子線などの電離放射線で硬化する樹脂であり、光硬化性樹脂とも呼ばれている。
電離放射線硬化型樹脂としては、各種用い得るが、例えば、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、エポキシアクリレート、アクリルアクリレートなどのアクリレート系プレポリマー、多官能性アクリレート系モノマー、ビニル系モノマー等の重合性化合物の一種以上からなる樹脂組成物を用いることができる。
上記樹脂組成物は、これらの重合性化合物に、更に紫外線で硬化させる場合は光重合開始剤を含む。また、この樹脂組成物は、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂などの熱可塑性樹脂、その他安定剤などの各種公知の添加剤を含むことができる。
《B》第2の実施形態
第2の実施形態は、図4に示すように、曲面積層体10の入光面側Linに、曲面フレネルレンズシート6がそのレンズ面を出光面側Loutに向けて重ねられた透過型曲面スクリーン20を製造する形態である。
このように、透過型曲面スクリーン20に曲面フレネルレンズシート6を設けることによって、映像光を投影する映像光源41(後述図7参照)の位置の自由度を高い透過型曲面スクリーン20を製造することができる。
本実施形態で製造される透過型曲面スクリーン20は、その曲面フレネルレンズシート6が透過型曲面スクリーン20の構成層の一部ではあるが、曲面積層体10に密着積層され一体化されてない構成層となっている。
第2の実施形態が、第1の実施形態と異なる点は、次の点である。
a)透過型曲面スクリーン20は、その入光面側Linに曲面フレネルレンズシート6を曲面積層体10とは別体として重ねられて含む点。
b)曲面積層体10を作製する為の第1の曲面成形工程とは別に、曲面フレネルレンズシート6を作製するために、成形用フレネルレンズシート6Aを曲面成形するための第2の曲面成形工程を含む点。
c)曲面積層体10と曲面フレネルレンズシート6とを積層する積層工程を含む点。
d)曲面積層体10は表面層5としてハードコート層を含まず、ハードコート層形成工程は含まない点。(ハードコート層を必要とする用途では、もちろん、第1の実施形態と同様にハードコート層形成工程を含んでもよいが、本実施形態は上記a)、b)及びc)に注目した実施形態である。)
そこで、第2の実施形態については、第1の実施形態と異なる点を主体に、以下説明する。
《積層体準備工程》
積層体準備工程で準備する成形用積層体10Aは、前記第1の実施形態と同様であり、図2(a)に示す層構成を有する。よって、積層体準備工程に関する更なる説明は省略する。
《第1の曲面成形工程》
第1の曲面成形工程も、前記第1の実施形態と同様である。よって、第1の曲面成形工程に関する更なる説明は省略する。
《フレネルレンズシート準備工程》
フレネルレンズシート準備工程は、曲面積層体10が成す曲面形状に成形前の成形用フレネルレンズシート6Aを準備する工程である。
本実施形態においては、成形用フレネルレンズシート6Aには平板状のものを準備する。
〔成形用フレネルレンズシート6A、及び曲面フレネルレンズシート6〕
曲面フレネルレンズシート6は、透過型曲面スクリーン20の入光面側Linの層を構成するように積層される。
成形用フレネルレンズシート6Aは、第2の曲面成形工程で曲面成形する際の取り扱い性を勘案して、ある程度の剛性を有することが好ましい。そこで、本実施形態では、成形用フレネルレンズシート6Aとして、図4で示す様に、透明基材層3上にフレネルレンズ層7が積層されたものを用いる。よって、曲面フレネルレンズシート6も透明基材層3上にフレネルレンズ層7が積層された構成となる。
なお、成形用フレネルレンズシート6Aとして、さらに強度が必要な場合は、後述図5で説明する成形用積層体10Aなどに対する変形形態と同様にして、接合層4を介して補強層8をさらに積層して、剛性を増した構成のものを用いることもできる。
(透明基材層3)
透明基材層3は、フレネルレンズ層7を形成するための基材にもなる層である。透明基材層3については、既に述べたので説明は省略する。
本発明においては、フレネルレンズ層7に対して透明基材層3は必須ではない。フレネルレンズ層7に隣接する透明基材層3が省略され、フレネルレンズ層7のみからなる成形用フレネルレンズシート6A、或いは曲面フレネルレンズシート6であってもよい。
(フレネルレンズ層7)
フレネルレンズ層7は、複数の単位レンズを備えることによってフレネルレンズを構成する層である。フレネルレンズ層7は、映像光源41から発散光束として入光面側Linから入射した映像光を、透過型曲面スクリーン20の観察者側である出光面側Loutに向けて進む平行光束に変換する。フレネルレンズ層7が、映像光をスクリーン面に略垂直な光束に変換することにより、映像の明るさのムラが抑制される。
フレネルレンズ層7は、透過型曲面スクリーン20と映像光源41との位置関係に応じて、単位レンズが同心円状又は円弧状に配列するサーキュラーフレネルレンズでもよいし、直線状に伸びる単位レンズが平行に配列するリニアフレネルレンズでもよい。
フレネルレンズ層7は公知の材料及び形成法によるものを用いることができる。
フレネルレンズ層7は、透明樹脂から構成される。透明樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル−スチレン共重合体樹脂等を用いることができる。
フレネルレンズ層7の形成方法は特に限定されない。例えば、上述した光透過部2bと同様にして透明基材層3上に単位レンズをフォトポリマー法(2P法)によって形成することによって、フレネルレンズ層7を形成することができる。例えば、アクリレート系の電離放射線硬化性樹脂を用いてフォトポリマー法で形成すれば、アクリル系樹脂からなるフレネルレンズ層7が形成される。
《第2の曲面成形工程》
第2の曲面成形工程は、フレネルレンズシート準備工程で準備した成形用フレネルレンズシート6Aを、成形型Mを用いて曲面成形して、曲面積層体10が成す曲面形状と同じ曲面形状を成す曲面フレネルレンズシート6とする工程である。
本実施形態においては、曲面形状は三次元曲面である。
第2の曲面成形工程は、前記した第1の曲面成形工程において、成形用積層体10Aに変えて成形用フレネルレンズシート6Aを用いて曲面成形する。よって、ここでは、詳細な説明は省略する。
本実施形態においては、第2の曲面成形工程における曲面成形も、真空プレス法で行う。真空プレス法では、前述第1の曲面成形工程の図3を参照した説明にて、成形用シート38となる成形用積層体10Aを成形用フレネルレンズシート6Aに変えて行う。
本実施形態においては、成形用フレネルレンズシート6Aは、フレネルレンズ層7のレンズ面が出光面側Loutとなる様に且つ曲面形状の凸側となる様に曲げられる。このため、透明基材層3側が成形型の凸曲面の型面に接触する形式で曲面成形される。このため、本実施形態では、本第2の実施形態での第1の曲面成形工程と同様に、中央部の伸び、変形を、凹凸が逆の場合に比べて少なくでき、製造される透過型曲面スクリーン20の中央部の映像の明度や視野角に大きな影響を与えることなく、成形できる。
《積層工程》
積層工程は、第1の曲面成形工程で得られた曲面積層体10と、第2の曲面成形工程で得られた曲面フレネルレンズシート6とを、積層する工程である。積層工程により、曲面積層体10と曲面フレネルレンズシート6が積層した曲面形状を成す透過型曲面スクリーン20が作製される。
曲面積層体10と曲面フレネルレンズシート6とは、積層する前に、それぞれを適切な大きさ及び形状に裁断しておいてもよい。
なお、最終的に透過型曲面スクリーン20となったときの、平面視形状は、透過型曲面スクリーン20が組み込まれる機器の組み込み部分に応じた形状となり、例えば、矩形、円形、楕円形など任意である。
本実施形態においては、曲面フレネルレンズシート6のフレネルレンズ層7を曲面積層体10側にして、曲面フレネルレンズシート6と曲面積層体10とが積層される。
ただ、フレネルレンズ層7が曲面積層体10と擦れて、曲面積層体10に傷を付ける虞があるため、曲面積層体10のフレネルレンズ層7に接触する面にはシリコーンオイルなどのスリップ剤を塗布しておくことが好ましい。
また、フレネルレンズ層7と曲面積層体10との間の隙間が大きくなると、透過型曲面スクリーン20において、ゴースト(二重像)が発生する虞があるため、曲面積層体10とフレネルレンズ層7とは接触させておくことが好ましい。
こうした曲面積層体10と曲面フレネルレンズシート6との積層法は特に限定されないが、例えば、曲面フレネルレンズシート6と曲面積層体10とを重ね、それらの周辺部を金属製のクリップによって挟んで固定する方法が挙げられる。
本発明においては、第2の曲面成形工程を有する場合、曲面フレネルレンズシート6のフレネルレンズ層7のレンズ面は、入光面側Linを向いていてもよい。この場合、別々に曲面成形された曲面積層体10と曲面フレネルレンズシート6とは、密着積層してもよい。ただし、本実施形態のように、曲面フレネルレンズシート6のフレネルレンズ層7のレンズ面を出光面側Loutとする場合は、密着積層できないため、曲面積層体10と曲面フレネルレンズシート6との積層とは、曲面積層体10と曲面フレネルレンズシート6とを重ね合わせる構造となる。
以上のような本実施形態では、曲面積層体10と曲面フレネルレンズシート6とが、それぞれ別々に曲面成形されるので、フレネルレンズ層7のレンズ面を出光面側Loutにした構成の透過型曲面スクリーン20を、成形型の通気孔の跡が目立ちにくくして、製造することが可能となる。
また、曲面フレネルレンズシート6と曲面積層体10とを、別々に用意することが可能となる。例えば、曲面フレネルレンズシート6は映像光源41(後述図7参照)の位置に応じた仕様のもの用意し、曲面積層体10は、要求される画質に応じたものを用意することができる。そして、これらを仕様に応じて組み合わせることが可能となる。
また、曲面成形のときに、曲面フレネルレンズシート6と、曲面積層体10とを、別々に曲面成形することが可能となる。曲面フレネルレンズシート6の曲面成形においては、フレネルレンズ層7は成形型の型面に接触させない様な向きで成形するのが好ましいため、成形の自由度を高めることができる。
《C》変形形態
本発明においては、透過型曲面スクリーン20は上記実施形態で説明した層構成、工程以外に、適宜、従来公知の透過型スクリーンにおける、その他の層構成、或いは工程を採用することができる。例えば、層構成では、補強層8、曲面積層体10に密着一体化されたフレネルレンズ層7、反射防止層、帯電防止層、着色層などである。
以下、補強層8と、密着一体化されたフレネルレンズ層7について説明する。
〔補強層8〕
本発明においては、成形用積層体10A、曲面積層体10、成形用フレネルレンズシート6A、曲面フレネルレンズシート6及び透過型曲面スクリーン20は、補強層8を有することができる。
例えば、図5に示す変形形態の成形用積層体10A、曲面積層体10乃至は透過型曲面スクリーン20は、成形用積層体10Aとして示した図2(a)の構成に対して、さらに、補強層8とこの補強層8を積層するための接合層4を備える形態である。補強層8は、成形用積層体10A、曲面積層体10乃至は透過型曲面スクリーン20の入光面側Linの層を構成するように積層されている。接合層4については、既に述べたので、ここでは補強層8について説明する。
補強層8によって、成形用積層体10A、曲面積層体10、成形用フレネルレンズシート6A、曲面フレネルレンズシート6或いは透過型曲面スクリーン20としての剛性を増して、製造工程中などで不本意に変形し取り扱いや品質に支障が生じる場合に、これを防ぐことができる。
補強層8の材料としては、透明な樹脂、例えば、ポリカーボネート系樹脂(PC樹脂)、或いは、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体(MBS樹脂)、メチルメタクリレート−スチレン共重合体(MS樹脂)等のアクリル系樹脂を用いることができる。
補強層8の厚みは、例えば、3〜5mmとすることができる。厚みが厚過ぎると、映像光の透過率が低下したり、ゴースト(二重像)が発生したりして、光学性能が低下することがある。
図5の構成の成形用積層体10A、曲面積層体10乃至は透過型曲面スクリーン20を製造するには、例えば、第1の実施形態で説明した製造方法での成形用積層体10Aにおいて、光線制御層2を作成時の基材として用いた透明基材層3に対して接合層4を介して、補強層8を接着積層することで製造できる。
〔密着一体化されたフレネルレンズ層7〕
本発明においては、成形用積層体10A、曲面積層体10及び透過型曲面スクリーン20において、フレネルレンズ層7は密着一体化された層とすることができる。
例えば、図6に示す変形形態の成形用積層体10A、曲面積層体10及び透過型曲面スクリーン20は、成形用積層体10Aとして示した図2(a)の構成に対して、さらに、フレネルレンズ層7が密着一体化された構成である。具体的にはフレネルレンズ層7は、透明基材層3と共に成形前にあっては成形用フレネルレンズシート6Aとして、曲面成形後にあっては曲面フレネルレンズシート6として、接合層4を介して密着一体化された構成である。
なお、図6が成形用積層体10Aである場合には、形状的な意味においては、同図中の曲面フレネルレンズシート6は成形用フレネルレンズシート6Aとなる。
フレネルレンズ層7、透明基材層3及び接合層4の各層については、既に述べたので、ここでは曲面フレネルレンズシート6に関連した事項について説明する。
フレネルレンズ層7が成形用積層体10Aに含まれる形態の場合は、フレネルレンズ層7のレンズ面の向きは、図6に示すように、レンズ面が入光面側Linとなる向きで積層される。
成形用積層体10Aを曲面成形する第1の曲面成形工程では、フレネルレンズ層7が曲面成形時に、成形型Mの型面に接触してレンズが変形しない様に、フレネルレンズ層7側の入光面側Linとなる面は型面に接触させない形式で成形するのが好ましい。つまり、成形用積層体10Aは、出光面側Loutを成形型Mの型面に接触させるようにして曲面成形する。
図6の構成の成形用積層体10A、曲面積層体10及び透過型曲面スクリーン20を製造するには、例えば、用いる成形用積層体10Aとして、前記図2(a)で示した構成の成形用積層体10Aに対して接合層4を介して、成形用フレネルレンズシート6Aを接着積層したものを用いることで製造できる。
このような構成とすることで、フレネルレンズ層7付きの透過型曲面スクリーン20を、第2の曲面成形工程を省略して、製造することができる。
《D》ディスプレイ装置
次に、上述した本発明による製造方法で得られる透過型曲面スクリーン20を備えたディスプレイ装置を説明する。
図7は、ディスプレイ装置100の一例を模式的に示す断面図である。図7(a)がディスプレイ装置100を示す。
同図に示すディスプレイ装置100は、上述した製造方法で得られた透過型曲面スクリーン20を備える。より具体的には、このディスプレイ装置100は、上述した本発明による透過型曲面スクリーン20と、映像光源41と、これらを格納し、これらを所定の位置関係に固定する筐体42と、を備える。
このような構成のディスプレイ装置100とすることで、透過型曲面スクリーン20の製造時における成形型Mの通気孔の跡が目立ちにくい装置とすることができる。
〔透過型曲面スクリーン20〕
透過型曲面スクリーン20は、既に説明したので、ここでは更なる説明は省略する。
〔映像光源41〕
映像光源41は、映像光Lvを透過型曲面スクリーン20に投影できるものであれば特に制限はない。例えば、映像光源41としては、液晶ディスプレイ装置(LCD)、EL(電界発光)ディスプレイ装置、デジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD)等である。
〔筐体42〕
筐体42は、樹脂、金属など、用途に応じた材料を用いることができる。本発明においては、筐体42は省略することもできる。例えば、自動車のダッシュボード内に、筐体42以外の構成要素を組み付ける場合などである。ただ、筐体42を備えた方が、部品交換などメンテナンス性を向上させることができる。
1 光拡散層
2 光線制御層
2a 光吸収部
2b 光透過部
3 透明基材層
4 接合層(粘着層、接着層など)
5 表面層(ハードコート層など)
6 曲面フレネルレンズシート
6A 成形用フレネルレンズシート
7 フレネルレンズ層
8 補強層
10 曲面積層体
10A 成形用積層体
20 透過型曲面スクリーン
30 真空プレス装置
31 第1室
32 第2室
33 赤外線ヒータ
34 ゴム状弾性膜
36 載置台
37 給排気ポート
38 成形用シート
41 映像光源
42 筐体
51 成形用シート
52 固定枠
53 赤外線ヒータ
54 成形型
55 カッタ
100 ディスプレイ装置
Lin 入光面側
Lout 出光面側
Lv 映像光
M 成形型

Claims (4)

  1. 曲面形状を成す曲面積層体を備え、入光面側から入射した映像光を出光面側に透過させる透過型曲面スクリーンであって、
    前記曲面積層体が、前記出光面側から順に、少なくとも、光拡散層、光線制御層を含み、前記光線制御層は、光を吸収可能に層面に沿って配列された光吸収部と、この光吸収部間に光を透過可能に配列された光透過部と、を有する、透過型曲面スクリーンを製造する方法であって、
    前記曲面形状に成形前の成形用積層体を準備する、積層体準備工程と、
    前記成形用積層体を成形型と気圧とを用いて曲面成形して前記曲面積層体とする、第1の曲面成形工程と、
    を含み、
    前記第1の曲面成形工程にて、前記成形型は型材自体が多孔質材料であることによって型面に複数の通気孔を有し、且つ前記成型は型面が凸曲面を有する、
    透過型曲面スクリーンの製造方法。
  2. 前記成形用積層体が、前記入光面側に、レンズ面を前記入光面側に向けたフレネルレンズ層を含む、請求項1に記載の透過型曲面スクリーンの製造方法。
  3. フレネルレンズ層を有し、前記曲面積層体が成す前記曲面形状に成形前の成形用フレネルレンズシートを準備する、フレネルレンズシート準備工程と、
    前記成形用フレネルレンズシートを、成形型を用いて曲面成形して、前記曲面形状を成す曲面フレネルレンズシートとする、第2の曲面成形工程と、
    前記曲面積層体の前記入光面側に、前記曲面フレネルレンズシートを積層する、積層工程と、
    を含み、
    前記第2の曲面成形工程にて、前記成形型は型材自体が多孔質材料であることによって型面に複数の通気孔を有する、
    請求項1に記載の透過型曲面スクリーンの製造方法。
  4. 前記通気孔の孔径が10〜30μmである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の透過型曲面スクリーンの製造方法。
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