JP6194736B2 - カチオン化セルロース繊維の製造方法 - Google Patents
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Description
維によって、上記課題を解決できることが分かり、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、天然セルロース繊維原料とカチオン化剤を反応させることにより
カチオン化天然セルロース繊維を製造し、得られたカチオン化天然セルロース繊維に解繊
処理を施す微細天然セルロース繊維の製造方法であって、
30℃未満の条件下、水酸化アルカリ金属またはアルコキシドを含有する分散液中で、天
然セルロース繊維原料にカチオン化剤を10分以上24時間以下浸透させる第一の工程を
経た後、
30℃以上の条件下、天然セルロース繊維原料とカチオン化剤を反応させる第二の工程を
有することを特徴とする、
微細天然セルロース繊維の製造方法(但し、第二工程(カチオン化反応工程)で、反応開
始時のパルプ絶乾質量1gあたりの溶媒物質量が5〜150mmolである場合及び95
5mmolである場合を除く)、に存する。
本発明のカチオン化セルロース繊維の製造方法は、セルロース繊維とカチオン化剤を反応させることによりカチオン化セルロース繊維を製造する方法において、30℃未満の条件下、セルロース繊維にカチオン化剤を浸透させる第一の工程を経た後、30℃以上の条件下、セルロース繊維とカチオン化剤を反応させる第二の工程を有することを特徴とする。
本発明における第一の工程及び第二の工程に用いるセルロース繊維は、以下に記載するセルロース含有物であっても、セルロース繊維原料であってもよいが、通常はセルロース繊維原料に対してカチオン化剤を反応させることが好ましい。
本発明において、セルロース繊維原料とは、下記に示すようなセルロース含有物から一般的な精製工程を経て不純物を除去したものである。
セルロース含有物としては、針葉樹や広葉樹等の木質、コットンリンターやコットンリント等のコットン、さとうきびや砂糖大根等の絞りかす、亜麻、ラミー、ジュート、ケナフ等の靭皮繊維、サイザル、パイナップル等の葉脈繊維、アバカ、バナナ等の葉柄繊維、ココナツヤシ等の果実繊維、竹等の茎幹繊維、バクテリアが産生するバクテリアセルロース、バロニアやシオグサ等の海草やホヤの被嚢等が挙げられる。これらの天然セルロースは、結晶性が高いので低線膨張率、高弾性率になり好ましい。バクテリアセルロースは微細な繊維径のものが得やすい点で好ましい。また、コットンも微細な繊維径のものが得やすい点で好ましく、さらに原料を入手しやすい点で好ましい。さらには針葉樹や広葉樹等の木質も微細な繊維径のものが得られ、かつ地球上で最大量の生物資源であり、年間約700億トン以上ともいわれる量が生産されている持続型資源あることから、地球温暖化に影響する二酸化炭素削減への寄与も大きく、経済的な点から優位である。このようなセルロース含有物を一般的な精製工程を経て本発明のセルロース繊維原料とする。
本発明に用いられるセルロース繊維原料は上記のセルロース含有物を通常の方法で精製して得られる。
この精製方法としては、例えば、セルロース含有物をベンゼン−エタノール混合溶媒や炭酸ナトリウム水溶液で脱脂した後、亜塩素酸塩で脱リグニン処理を行い(ワイズ法)、アルカリで脱ヘミセルロース処理をする方法が挙げられる。また、ワイズ法の他に、過酢酸を用いる方法(pa法)、過酢酸と過硫酸を併用する過酢酸過硫酸混合物を用いる方法(pxa法)、塩素・モノエタノールアミン法なども精製方法として利用される。また、適宜、更に漂白処理等を行ってもよい。
また、セルロース含有物を木材チップや木粉などの状態に破砕してもよく、この破砕は、精製処理前、処理の途中、処理後、いずれのタイミングで行ってもかまわない。
尚、セルロース繊維原料としては、広葉樹クラフトパルプ、針葉樹クラフトパルプ、広葉樹亜硫酸パルプ、針葉樹亜硫酸パルプ、広葉樹漂白クラフトパルプ、針葉樹漂白クラフトパルプ、リンターパルプなどを用いてもよい。
本発明に用いられるセルロース繊維原料の繊維径は特に制限されるものではなく、数平均繊維径としては1μmから1mmである。一般的な精製を経たものは50μm程度である。例えばチップ等の数cm大のものを精製したものである場合、リファイナーや
次に、本発明に用いるカチオン化剤について説明する。
本発明において、カチオン化剤とは、アンモニウム、ホスホニウムまたはスルホニウムなどのカチオン基と、セルロースの水酸基と反応する基とを有する化合物である。
カチオン基とは、その基内に、アンモニウム、ホスホニウム、スルホニウムなどのオニウムを有する基であって、通常は、分子量が1000以下程度の基である。
セルロースの水酸基と反応する基としては、その水酸基と反応して共有結合を形成する反応基であれば特に限定はなく、例えば、エポキシ基又はそれを形成し得るハロヒドリン基、活性ハロゲン基、活性ビニル基、メチロール基等が挙げられる。これらの内、反応性の点からエポキシ基又はそれを形成し得るハロヒドリン基が好ましい。
本発明における第一の工程、第二の工程について説明する。
第一の工程は、30℃未満の条件下、セルロース繊維にカチオン化剤を浸透させる工程である。
ここで、カチオン化剤を浸透させるとは、拡散現象を駆動力としてカチオン化剤をセルロース繊維間に浸透させるが、具体的には、カチオン化剤とセルロース繊維とを混合させた後、この混合物を30℃未満の条件下で維持することを意味する。この際に、拡散を促進させるため、撹拌・混合等の操作を施してもよい。
浸透させる方法としては、溶媒を使用しても、使用しなくてもよく、溶媒を使用する場合は、例えば、撹拌槽中でセルロース繊維を含む分散液を調製し、これにカチオン化剤を添加し、撹拌翼で撹拌・混合する。
尚、浸透を促進させる目的で、減圧・加圧処理をしてもよい。
セルロース繊維に対するカチオン化剤の使用量は、セルロース繊維に対して、1質量部以上が好ましく、2質量部以上がより好ましく、3質量部以上がさらに好ましく、200質量部以下が好ましく、150質量部以下がより好ましく、100質量部以下がさらに好ましい。この範囲であることにより、より経済性および生産性を両立した微細なカチオン化セルロース繊維を得ることができる。
そこで本発明では、カチオン化剤と水の副反応の反応速度が極めて遅い30℃未満で、カチオン化剤をセルロース繊維表面の水酸基近傍に浸透させてから、30℃以上で反応させることで高い反応率を実現できる。
尚、ここで第一の工程における温度は、浸透に際し溶媒を使用する場合は、セルロール繊維とカチオン化剤と溶媒の混合物の温度であり、溶媒を使用しない場合はセルロース繊維とカチオン化剤の混合物の温度である。
尚、カチオン化剤と触媒の使用量は、用いるセルロース繊維原料、反応系の溶媒組成、反応器の機械的条件、その他の要因によって適宜調整することができる。
第二の工程は、30℃以上の条件下、セルロース繊維とカチオン化剤を反応させる工程である。第一の工程を経たセルロース繊維とカチオン化剤の混合物を、30℃以上に昇温することでセルロース繊維にカチオン化剤を反応させることができる。
この反応温度は30℃以上であり、33℃以上が好ましく、35℃以上がより好ましく、90℃以下が好ましく、85℃以下がより好ましく、80℃以下がさらに好ましい。この範囲より低い温度では十分な反応速度が得られず、また、この範囲より高い温度では反
応速度が速すぎる場合がある。
反応時間は、通常5分以上であり、10分以上が好ましく、15分以上がより好ましく、3時間以下が好ましく、2時間30分以下がより好ましく、2時間以下がさらに好ましい。5分以上であることにより反応が十分に進行しやすく、3時間を超えるとそれ以上反応が進行しない場合がある。
反応終了後、残存する水酸化アルカリ金属を鉱酸或いは有機酸等により中和した後、常法により洗浄、精製して、カチオン基を有するセルロース繊維原料を得ることができる。
ここで、セルロースに導入されるカチオン基量は0.05mmol/g以上であることが好ましく、0.14mmol/g以上がより好ましく、0.21mmol/g以上がさらに好ましく、3.0mmol/g以下が好ましく、2.14mmol/g以下がより好ましく、2.07mmol以下がさらに好ましい。この範囲であることによって、繊維間に静電反発力が作用し、生産性高く微細セルロース繊維を製造することができる。
次に、カチオン基を導入したセルロース繊維(セルロース繊維原料)を解繊処理する方法について説明する。
カチオン基が導入されたセルロース繊維に対し、解繊処理を施すことにより、微細化されたカチオン化セルロース繊維(以下、「本発明の微細セルロース繊維」と言う場合がある)を製造することができる。以下、本発明の微細セルロース繊維の製造方法について説明する。
上記のような解繊工程を経て、本発明の微細セルロース繊維を含むセルロース繊維分散液(以下、「本発明のセルロース繊維分散液」という場合がある)を得ることができる。この本発明のセルロース繊維分散液の分散媒は上記セルロース繊維原料分散液の分散媒と同様である。
解繊処理により得られる本発明の微細セルロース繊維の数平均繊維径は、400nm以下であることが好ましく、200nm以下であることがより好ましく、100nm以下であることがさらに好ましく、50nm以下であることが特に好ましく、10nm以下であることが最も好ましい。また、本発明の微細セルロース繊維の数平均繊維径は小さい程好ましいが、通常は2nm以上、さらには4nm以上である。
<セルロース繊維集合体>
次に、本発明の微細セルロース繊維を用いたセルロース繊維集合体(以下、「本発明のセルロース繊維集合体」という場合がある)について説明する。
本発明のセルロース繊維集合体は、本発明の微細セルロース繊維を含むものである。通常、本発明のセルロース繊維集合体は、後述の乾燥後は、本発明の微細セルロース繊維のみからなるが、他の繊維や粒子を含有するものであってもよい。
本発明のセルロース繊維集合体は、解繊処理により微細化された微細セルロース繊維を用いて製造される。ここで、本発明において、セルロース繊維集合体とは、通常、微細セルロース繊維を含むセルロース繊維分散液を濾過することにより、あるいは、適当な基材に該分散液を塗布したものから分散媒を揮発させるなどの方法で除去させて得られる、セルロース繊維の集合物を言い、例えばシート、粒子、ゲルなどを言う。
上記得られた微細セルロース繊維を用いて、セルロース繊維シートとすることができる。セルロース繊維シートとすることで、樹脂を含浸させて繊維樹脂複合材料としたり、樹脂シートではさんで繊維樹脂複合材料とすることができる。セルロース繊維シートは、具体的には、前述の解繊処理を施した、本発明の微細セルロース繊維を含むセルロース繊維
分散液を濾過することにより、或いは適当な基材に塗布することにより製造される。
セルロース繊維シートはその製造方法により、様々な空隙率を有することができる。
セルロース繊維シートに樹脂を含浸させて繊維樹脂複合材料を得る場合には、セルロース繊維シートの空隙率が小さいと樹脂が含浸されにくくなるため、ある程度の空隙率があることが好ましい。この場合の空隙率は、通常10体積%以上、好ましくは20体積%以上である。ただし、セルロース繊維シートの空隙率が過度に高いと、繊維樹脂複合材料とした際に、セルロース繊維による十分な補強効果が得られず、線膨張率や弾性率が不足する場合があるので、80体積%以下であることが好ましい。
ここで、Aはセルロース繊維シートの面積(cm2)、tは膜厚(cm)、Bはシートの質量(g)、Mはセルロースの密度であり、本発明ではM=1.5g/cm3と仮定する。
空隙率の大きなセルロース繊維シートを得る方法としては、濾過による製膜工程において、セルロース繊維シート中の水を最後にアルコール等の有機溶媒に置換する方法を挙げることができる。
場合は、水溶性有機溶媒との混合溶媒にするか水溶性有機溶媒で置換した後、非水溶性有機溶媒で置換することが好ましい。
また、空隙率を制御する方法として、上記のアルコール等より沸点の高い溶媒を微細セルロース繊維の分散液に混合し、その溶媒の沸点より低い温度で乾燥させる方法が挙げられる。この場合は、必要に応じて、乾燥後に残っている高い沸点の溶媒を、他の溶媒に置換した後に、樹脂に含浸させて繊維樹脂複合材料とすることができる。濾過によって溶媒を除去したセルロース繊維シートは、その後、乾燥を行うが、場合によっては乾燥を行わずに次の工程に進んでも構わない。
また、セルロース繊維分散液を濾過して、そのシートを加熱処理する場合にも、乾燥工程を経ずに行うこともできる。
ただし、空隙率、膜厚の制御、シートの構造をより強固にする意味でも乾燥を行った方が好ましい。
微細セルロース繊維を用いて、セルロース繊維粒子とすることができる。
セルロース繊維粒子は特に熱可塑性樹脂との混練によって複合化する際に好適に用いられ、その高弾性率、低線膨張率、表面平滑性といった特性を生かして、各種の構造材、特に表面の意匠性に優れた自動車用パネルや建築物の外壁パネル等に有用である。
微細セルロース繊維を粒子化する方法としては、本発明のセルロース繊維分散液を、例えば公知のスプレードライ装置を用いて、スプレーノズル等から噴射することにより、分散媒を除去して造粒する方法が挙げられる。この噴射方法としては、具体的には回転円盤による方法、加圧ノズルによる方法、2流体ノズルによる方法などがある。スプレードライして得られた粒子を更に他の乾燥装置を用いて乾燥させてもよい。この場合の熱エネルギー源としては、赤外線やマイクロ波を用いることもできる。
セルロース繊維粒子の粒径には特に制限はないが、通常1μm以上で1mm以下が好ましい。この粒径は更に好ましくは5μm以上、100μm以下であり、特に好ましくは5
μm以上、50μm以下である。セルロース繊維粒子の粒径が大き過ぎると樹脂と複合化した際、分散不良を起こし、小さ過ぎるとふわふわと舞って取り扱いが困難である場合がある。
本発明の微細セルロース繊維は、セルロース以外の樹脂と複合化させることにより、繊維樹脂複合材料を得る事ができる。このセルロース以外の樹脂との複合化は、本発明のセルロース繊維分散液から分散媒を除去することなく分散媒中で行ってもよく、複合化させた後に分散媒を除去することで複合体を得る事もできる。本発明のセルロース繊維分散液の分散媒は、水から他の有機溶媒に、あるいは有機溶媒から水へと、セルロース以外の樹脂と複合化するのに適した分散媒種へ置換を行ってから複合化を行うとより好ましい。
セルロース繊維ゲルは、セルロース繊維が3次元網目状構造を作り、それが分散媒によって湿潤または膨潤したものであり、網目構造は化学架橋や物理架橋により形成される。ゲルが所定量の分散媒を含有することによって、ゲル中のセルロース繊維の3次元網目状構造が保持される。
また、ゲル中における微細セルロース繊維の含有量は、通常90質量%以下であり、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。また、下限としては、1質量%以上であり、3質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましい。
セルロース繊維ゲルに含まれる分散媒は、通常、本発明のセルロース繊維分散液の分散媒であり、一般的には水であるが、有機溶媒の1種または2種以上の混合分散媒であってもよい。また、水と有機溶媒との混合分散媒であってもよい。
置換する方法としては、例えば、上記の濾過法により分散液中に含まれる所定量の分散媒を除去した後、アルコールなどの有機溶媒を加えることにより、アルコール等の有機溶媒が含まれるゲルを製造することができる。より具体的には、第一の分散媒が水で、第二の分散媒が有機溶媒である場合が挙げられる。
セルロース繊維ゲルの形状は、特に限定されず、シートまたはフィルム状(例えば、厚み10μm以上10cm以下)、粒子状など適宜制御することができる。
本発明の微細セルロース繊維、セルロース繊維シート、セルロース繊維粒子またはセルロース繊維ゲル等のセルロース繊維集合体をマトリックス材料と複合化することで本発明の繊維樹脂複合材料が得られる。本発明の繊維樹脂複合材料は、本発明の微細セルロース繊維とマトリックス材料を含むものであればよい。
以下、繊維樹脂複合材料を製造する方法について説明する。
繊維樹脂複合材料は、微細セルロース繊維と、セルロース以外の樹脂(マトリックス材料)とを複合化させたものである。
ここでマトリックス材料とは、樹脂またはその前駆体(例えばモノマー)のことをいう。
このマトリックス材料として好適なものは、加熱することにより流動性のある液体になる熱可塑性樹脂、紫外線や電子線などの活性エネルギー線を照射することにより重合硬化する、活性エネルギー線硬化性樹脂(以下、「光硬化性樹脂」という場合がある)等から得られる少なくとも1種の樹脂(高分子材料)またはその前駆体である。
複合化の方法としては、例えば、次の(a)〜(j)の方法が挙げられる。
(a) セルロース繊維シート、セルロース繊維粒子またはセルロース繊維ゲルに液状の熱可塑性樹脂前駆体を含浸させて重合させる方法
(b) セルロース繊維シート、セルロース繊維粒子またはセルロース繊維ゲルに光硬化性樹脂前駆体を含浸させて重合硬化させる方法
(c) セルロース繊維シート、セルロース繊維粒子またはセルロース繊維ゲルに樹脂溶液(熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂前駆体および光硬化性樹脂前駆体から選ばれる1以上の溶質を含む溶液)を含浸させて乾燥した後、加熱プレス等で密着させ、必要に応じて重合硬化させる方法
(d) セルロース繊維シート、セルロース繊維粒子またはセルロース繊維ゲルに熱可塑性樹脂の溶融体を含浸させ、加熱プレス等で密着させる方法
(e) 熱可塑性樹脂シートとセルロース繊維シートまたはセルロース繊維ゲルとを交互に配置し、加熱プレス等で密着させる方法
(f) セルロース繊維シートまたはセルロース繊維ゲルの片面もしくは両面に液状の熱可塑性樹脂前駆体もしくは光硬化性樹脂前駆体を塗布して重合硬化させる方法
(g) セルロース繊維シートまたはセルロース繊維ゲルの片面もしくは両面に樹脂溶液(熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂前駆体、および光硬化性樹脂前駆体から選ばれる1以上の溶質を含む溶液)を塗布して、溶媒を除去後、必要に応じて重合硬化させる方法
(h) セルロース繊維粒子と熱可塑性樹脂を溶融混練した後、シート状や目的の形状に成形する方法
(i) セルロース繊維分散液とモノマー溶液または分散液(熱可塑性樹脂前駆体、および光硬化性樹脂前駆体から選ばれる1以上の溶質または分散質を含む溶液または分散液)とを混合した後、溶媒除去、硬化させる方法。
(j) セルロース繊維分散液と樹脂溶液または分散液(熱可塑性樹脂溶液または分散液)を混合した後、溶媒を除去する方法。
本発明において、マトリックス材料としては、樹脂などが挙げられ、具体的には熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂等の活性エネルギー線硬化性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂または光硬化性樹脂等の活性エネルギー線硬化性樹脂を用いることで、透明性の高い繊維樹脂複合材料を得ることができる。
本発明で得られる繊維樹脂複合材料は、本発明で得られるセルロース繊維シートの層と、前述したセルロース以外の樹脂よりなる平面構造体層との積層構造体であってもよく、また、本発明で得られるセルロース繊維シートの層と、本発明で得られる繊維樹脂複合材料の層との積層構造であってもよく、その積層数や積層構成には特に制限はない。
本発明で得られる繊維樹脂複合材料は、その用途に応じて、繊維樹脂複合材料層に更に無機膜が積層されたものであってもよく、上述の積層構造体に更に無機膜が積層されたものであってもよい。
ここで用いられる無機膜は、繊維樹脂複合材料の用途に応じて適宜決定され、例えば、白金、銀、アルミニウム、金、銅等の金属、シリコン、ITO、SiO2、SiN、SiOxNy、ZnO等、TFT等が挙げられ、その組み合わせや膜厚は任意に設計することができる。
以下に本発明で得られる繊維樹脂複合材料の好適な特性ないし物性について説明する。
<セルロース含有量>
本発明の繊維樹脂複合材料中のセルロースの含有量(微細セルロース繊維の含有量)は通常1質量%以上、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、30質量%以上がさらに好ましく、通常99質量%以下であり、90質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましく、70質量%以下がさらに好ましい。
繊維樹脂複合材料中のセルロースおよびセルロース以外のマトリックス材料の含有量は、例えば、複合化前のセルロース繊維の質量と複合化後の繊維樹脂複合材料の質量より求めることができる。また、マトリックス材料が可溶な溶媒に繊維樹脂複合材料を浸漬してマトリックス材料のみを取り除き、残ったセルロース繊維の質量から求めることもできる。その他、マトリックス材料である樹脂の比重から求める方法や、NMR、IRを用いて樹脂やセルロースの官能基を定量して求めることもできる。
本発明により得られる繊維樹脂複合材料の厚みは、好ましくは10μm以上10cm以下であり、このような厚みとすることにより、構造材としての強度を保つことができる。
繊維樹脂複合材料の厚さはより好ましくは50μm以上1cm以下であり、さらに好ましくは80μm以上250μm以下である。
2−プロパノール250gにセルロース繊維原料として広葉樹漂白クラフトパルプ(LBKP、王子製紙社製、固形分30質量%)32.4gを添加し、次いで1mol/L水酸化ナトリウム水溶液5.83g、カチオン化剤としてグリシジルトリメチルアンモニウムクロリドの80質量%水溶液(カチオマスターG(登録商標)、四日市合成社製)4.86gを添加し、室温で3時間撹拌した(第一の工程)。
次いで、濾液の電気伝導度が50μS/cm未満になるまで脱塩水で洗浄しカチオン基を導入したセルロース繊維原料を得た。
得られた微細セルロース繊維の収率を以下のようにして測定した。
解繊処理後の分散液を0.2質量%に希釈し均一に分散させ、この分散液をアルミ皿にとり、105℃で2時間以上乾燥させて固形分濃度を測った(C0)。遠沈管に30gを測り取り、遠心分離機(日立工機社製CR23)で12000Gx10分間遠心分離処理した。その後、遠沈管ごと秤量し(W1)、沈殿物が入らないように注意して上澄みを取り分け、上記同様に固形分濃度を測った(C1)。沈殿物が残った遠沈管を秤量した(W2)。尚、遠沈管の質量はW0とした。
第一の工程における、室温で3時間の撹拌をせずに、水酸化ナトリウム水溶液とカチオン化剤を添加して、すぐに50℃に昇温し90分間反応させた以外は、実施例1と同様に
して、カチオン基を導入したセルロース繊維原料を得た。その後、実施例1と同様にして、解繊処理を行い、収率を算出した。
微細セルロース繊維の収率は51%、微細セルロース繊維のカチオン基量は0.36mmol/gであった。
Claims (3)
- 天然セルロース繊維原料とカチオン化剤を反応させることによりカチオン化天然セルロ
ース繊維を製造し、得られたカチオン化天然セルロース繊維に解繊処理を施す微細天然セ
ルロース繊維の製造方法であって、
30℃未満の条件下、水酸化アルカリ金属またはアルコキシドを含有する分散液中で、天
然セルロース繊維原料にカチオン化剤を10分以上24時間以下浸透させる第一の工程を
経た後、
30℃以上の条件下、天然セルロース繊維原料とカチオン化剤を反応させる第二の工程を
有することを特徴とする、
微細天然セルロース繊維の製造方法(但し、第二工程(カチオン化反応工程)で、反応開
始時のパルプ絶乾質量1gあたりの溶媒物質量が5〜150mmolである場合及び95
5mmolである場合を除く)。 - 浸透時間が、20分以上12時間以下であることを特徴とする請求項1に記載の微細天
然セルロース繊維の製造方法。 - 浸透を天然セルロース繊維原料に対して1〜100質量倍の溶媒の存在下行うことを特
徴とする請求項1又は2に記載の微細天然セルロース繊維の製造方法。
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