[go: up one dir, main page]

JP6165752B2 - アデノ随伴ウイルスの産生のための細胞株 - Google Patents

アデノ随伴ウイルスの産生のための細胞株 Download PDF

Info

Publication number
JP6165752B2
JP6165752B2 JP2014539036A JP2014539036A JP6165752B2 JP 6165752 B2 JP6165752 B2 JP 6165752B2 JP 2014539036 A JP2014539036 A JP 2014539036A JP 2014539036 A JP2014539036 A JP 2014539036A JP 6165752 B2 JP6165752 B2 JP 6165752B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
aav
cells
cell
raav
vector
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2014539036A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014532414A (ja
Inventor
グレイガー,ジョシュア
サマルスキー,リチャード・ジュード
Original Assignee
ユニヴァーシティ・オヴ・ノース・キャロライナ・アト・チャペル・ヒル
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ユニヴァーシティ・オヴ・ノース・キャロライナ・アト・チャペル・ヒル filed Critical ユニヴァーシティ・オヴ・ノース・キャロライナ・アト・チャペル・ヒル
Publication of JP2014532414A publication Critical patent/JP2014532414A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6165752B2 publication Critical patent/JP6165752B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N7/00Viruses; Bacteriophages; Compositions thereof; Preparation or purification thereof
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N2750/00MICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA ssDNA viruses
    • C12N2750/00011Details
    • C12N2750/14011Parvoviridae
    • C12N2750/14111Dependovirus, e.g. adenoassociated viruses
    • C12N2750/14151Methods of production or purification of viral material
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N2750/00MICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA ssDNA viruses
    • C12N2750/00011Details
    • C12N2750/14011Parvoviridae
    • C12N2750/14111Dependovirus, e.g. adenoassociated viruses
    • C12N2750/14151Methods of production or purification of viral material
    • C12N2750/14152Methods of production or purification of viral material relating to complementing cells and packaging systems for producing virus or viral particles

Landscapes

  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Virology (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Medicines Containing Material From Animals Or Micro-Organisms (AREA)

Description

関連出願
本出願は、2011年10月28日に出願された米国仮出願第61/552,492号の利益を主張する。この出願の全内容は、参照することにより完全に本明細書の一部をなすものとする。
本発明は、動物成分を含まない懸濁条件で成長するHEK293細胞株に関する。この細胞株は、アデノ随伴ウイルス(AAV)の迅速かつスケーラブルな産生にとって理想的であり、AAVの全ての血清型およびキメラの産生を支持する。
組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)ベクターは、インビボでの毒性および炎症が皆無かそれに近い、形質導入および長期遺伝子発現を実証している。AAVのこれらの独特な特性により、遺伝子治療への適用のための最有力なベクター候補として認識されている。AAVを利用するいくつかの第I相および第II相の臨床試験が世界中で実施されている(Aucoinら、Biotechnol.Adv.26:73(2008);Muellerら、Gene Ther.15:858(2008))。しかし、多くの前臨床研究および成功した臨床試験は、ヒト遺伝子治療のためのrAAVの使用を支持するために取り組む必要があるだろう多数の難題を明らかにしている(Muellerら、Gene Ther.15:858(2008))。1つの主要な難題は、拡大する臨床的ニーズに必要な精製されたベクター量を生産するために、医薬品適正製造基準(cGMP)に従ったラージスケール製造テクノロジーを確立することである。スケーラブルな産生テクノロジーを生み出すことに成功するには、一緒に用いた場合に野生型AAV産生を極めてよく模倣するだろう細胞株、プラスミド、または組換えウイルスベクターなどの試薬を作製することに関してAAVの基本的な生態を理解することに大きくかかっている。
AAVは、細胞培養における増殖性感染にアデノウイルス(Ad)または単純ヘルペスウイルス(HSV)などのヘルパーウイルスとの同時感染を必要とするため、パルボウイルス(Parvovirus)ファミリーにおけるディペンドウイルスとして分類されている(Atchisonら、Science149:754(1965);Bullerら、J.Virol.40:241(1981))。パルボウイルスは、DNA動物ウイルスの最小の部類に入り、もっぱらタンパク質とDNAとで構成される、直径が約25nmのビリオンである。AAVゲノムは、4679塩基を含有する直鎖状の一本鎖DNA分子である(Srivastavaら、J.Virol.45:555(1983))。野生型(wt)AAVゲノムは、4つの複製タンパク質および3つのキャプシドタンパク質をそれぞれコードし、かつどちらかの末端が末端逆位配列(ITR)に隣接されている2つの遺伝子で構成されている(Lusbyら、J.Virol.4:402(1980);Srivastavaら、J.Virol.45:555(1983))。ITRは、ゲノム複製およびキャプシドへのパッケージングに必要な、唯一のシス作用性エレメントである。4つの複製タンパク質(Rep78、68、52、および40)は、多機能であり、転写、ウイルスDNA複製、および感染した細胞の核内で前もって形成されたウイルスキャプシドへのDNAパッケージングにおいて役割を果たす(Chejanovskyら、Virology 173:120(1989);Kingら、EMBO J.20:3282(2001))。ウイルスキャプシドは、3つのタンパク質Vp1、Vp2、およびVp3で、それぞれ1:1:8の比により構成されている。これらのキャプシドタンパク質は、同じオープンリーディングフレーム(ORF)から産生されるが、異なる翻訳開始部位を利用する。
ITRは、ゲノム複製およびパッケージングに必要な、唯一のシス作用性エレメントであるため、rep遺伝子およびcap遺伝子は、取り出して、機能を喪失することなく別々のプラスミドへクローニングすることができる。その後、プロモーター、およびプロモーターによって作動する関心対象となる遺伝子は、ITRの間にクローニングすることができる。したがって、ITRに隣接されている任意の遺伝子は、そのゲノムのサイズが5.0kb未満である限り、AAVキャプシドへ効果的にパッケージングすることができる(Dongら、Mol.Ther.18:87(2010);Griegerら、J.Virol.79:9933(2005);Wuら、Mol.Ther.18:80(2010))。しかし、AAVは、それでも複製する能力を欠く。AAVの独特の特徴の1つは、AdまたはHSVなどのヘルパーウイルスとの同時感染の要求性である。rAAVの生成は、以前は、ベクターおよびパッケージング構築物のAd感染細胞へのトランスフェクションを必要とした(Muzyczka、Curr.Top.Microbiol.Immunol.158:97(1992))。AdまたはHSVとの同時感染の際、AAVは、それ自身の複製を促進するためにいくつかのヘルパーウイルス初期遺伝子を利用する。rAAVの生成のためのAdの産生細胞への感染は、rAAVを産生することにおいて効果的であったが、そのことがまた過剰のAd粒子を産生するという結果であった。Adの完全な除去は、CsCl勾配、カラムクロマトグラフィーなどの物理的技術、およびなお存在する可能性があるいかなる残留Ad粒子をも不活性化するための熱変性ステップに頼っている。これらの手順の大部分は、様々な程度で成功しているが、Ad混入の可能性は、望ましくないリスクであり、Ad変性タンパク質の存在は、臨床的使用には容認できない。rAAV産生の発展における著しい改善は、トリプルプラスミドトランスフェクションの導入であった(Xiaoら、J.Virol.72:2224(1998))。この方法は、repおよびcapプラスミドおよびITRプラスミドのバリエーションを用いたが、Ad感染の使用を排除した。E1A、E1B、E4、およびE2AのAdタンパク質、ならびにVA RNAが、XX680と呼ばれる単一のプラスミドへクローニングされた。XX680プラスミド上にAdヘルパー遺伝子を供給することは、トランスフェクションされた細胞におけるAd産生を排除し、rAAVベクターのみを生じた。トリプルトランスフェクション方法は依然として、rAAVを用いた実験を行うほとんどの研究所における標準産生方法である。しかし、この方法は、接着細胞の使用に限定されている。
rAAV産生は過去10年間で進歩しており、それにより、いくつかの研究所が、接着性HEK293細胞を用いる産生から離れて、組換えアデノウイルス(Gaoら、Mol.Ther.5:644(2002);Gaoら、Hum.Gene Ther.9:2353(1998);Liuら、Mol.Ther.2:394(2000);Liuら、Gene Ther.6:293(1999);Tessierら、J.Virol.75:375(2001))、単純ヘルペスウイルス(Boothら、Gene Ther.11:829(2004);Conwayら、Gene Ther.6:986(1999);Hwangら、Mol.Ther.7:S14(2003);Kangら、Gene Ther.16:229(2009);Thomasら、Hum.Gene Ther.20:861(2009))、バキュロウイルス発現ベクター系(BEVS)(Aslanidiら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 106:5059(2009);Cecchiniら、Gene Ther.15:823(2008);Kohlbrennerら、Mol.Ther.12:1217(2005);Negreteら、Meth.Mol.Bioi.433:79(2008);Negreteら、J.Gene Med.9:938(2007);Urabeら、Hum.Gene Ther.13:1935(2002);Urabeら、J.Virol.80:1874(2006))、および懸濁HEK293細胞の一過性トランスフェクション(Durocherら、J.Virol.Meth.144:32(2007);Hildingerら、Biotechnol.Lett.29:1713(2007);Parkら、Biotechnol.Bioeng.94:416(2006))の使用による感染に基づいたテクノロジーなどのスケーラブルなテクノロジーへ向かうことが可能となった。ParkらおよびDurocherらは、それぞれ、約1.4×10vg(ベクターゲノム)/細胞および3×10vg/細胞が、それらの最適化無血清懸濁HEK293細胞産生系を用いて生成されたことを実証した。これらの研究に共通しているのは、ベクターの収量が、妨げとなり続け、かつ接着性HEK293細胞のトランスフェクションおよびrHSV産生系により生成したvg/細胞より有意に低いという事実である。
塩化セシウム精製(CsCl)は、今なお、AAV精製の最も広く用いられている型である(Griegerら、Nat.Protoc.1:1412(2006);Griegerら、Adv.Biochem.Eng.Biotechnol.99:119(2005))。CsCl精製を用いる利点は、それの相対的に低い費用、任意のAAV血清型についての適合性、および空粒子とゲノム含有粒子の分離である。しかし、以下に挙げられるいくつかの欠点のため、この方法を臨床適用に用いることができない。(1)複数回のCsCl勾配精製実行の間にウイルス含有画分を同定するのに必要とされるその時間および努力、(2)生じたウイルスが、セシウムに加えて多くの不純物を含有すること、(3)スケールアップすることに関する妨げ、ならびに(4)精製中の多数の開放ステップ(Brumentら、Mol.Ther.6:678(2002);Chahalら、J.Virol.Meth.139:61(2007);Hermensら、Hum.Gene Ther.10:1885(1999);Kaludovら、Hum.Gene Ther.13:1235(2002);Smithら、J.Virol.Meth.114:115(2003);Zolotukhin、Hum.Gene Ther.16:551(2005))。HermensらおよびZolotukinらによって行われた実験は、イオジキサノールと呼ばれる密度勾配媒体が、ヘパリンアフィニティクロマトグラフィーを用いるさらなる精製後にAAV2を単離することにおいて非常に効果的であることを示した(Hermensら、Hum.Gene Ther.10:1885(1999);Zolotukhinら、Gene Ther.6:973(1999);Zolotukhinら、Methods 28:158(2002))。この系の問題は、他のAAV血清型、およびヘパリン硫酸に対する親和性を欠くキメラキャプシドを精製することができないことであり、それゆえに、rAAVの精製をCsClに戻した。CsClを用いずに精製することへのいくつかの他の試みがあり、それには、ウイルスキャプシドのエピトープでの操作(Koerberら、Hum.Gene Ther.18:367(2007))、および様々な型のクロマトグラフィー(Brumentら、Mol.Ther.6:678(2002);Chahalら、J.Virol.Meth.139:61(2007);Davidoffら、J.Virol.Meth.121:209(2004);Gaoら、Hum.Gene Ther.11:2079(2000);Hermensら、Hum.Gene Ther.10:1885(1999);Kaludovら、Hum.Gene Ther.13:1235(2002);Smithら、J.Virol.Meth.114:115(2003);Zolotukhinら、Gene Ther.6:973(1999);Zolotukhinら、Methods 28:158(2002))が挙げられる。イオン交換クロマトグラフィーの使用は、いくつかのAAV血清型の精製で成功を示している。BrumentらおよびDavidoffらは、AAV血清型2、5、および8を精製するために2つのカラムシステムを用いた(Brumentら、Mol.Ther.6:678(2002);Davidoffら、J.Virol.Meth.121:209(2004))。Zolotukhinらは、Q−Sepharoseカラムを利用するイオン交換に加えて、イオジキサノールの使用が、血清型1、2、および5を精製することができることを示した(Zolotukhinら、Methods 28:158(2002))。これらの方法は、AAV精製において極めて有望であるが、特定された血清型へのみ効果的であった。全ての血清型のAAVを精製することができる普遍的な方法が未だ同定されていない。
本発明は、動物成分を含まない懸濁条件下で成長し、かつ迅速で、スケーラブルで、高力価を生じるAAV産生系において用いることができ、かつAAVの全ての血清型およびキメラに関して機能する、HEK293細胞株を提供する。
本発明は、高力価で、高度に純粋で、かつ強力な量のAAVベクターを効率的に生成する、AAVベクターについてのスケーラブルな製造プロセスの開発に関する。このプロセスの開発は、動物成分を含まない懸濁条件下で成長するHEK293細胞株の作製を含んだ。
本発明の一態様は、ATCC番号PTA−13274として寄託されている単離されたHEK293細胞に関する。
本発明の別の態様は、(a)本発明のHEK293細胞にAAV発現系を供給するステップと、(b)AAV粒子が産生される条件下で細胞を培養するステップと、(c)任意選択的に、AAV粒子を単離するステップとを含む、AAV粒子を産生する方法に関する。
本発明のこれらを始めとする態様は、下記の本発明の説明においてより詳細に示されている。
トリプルトランスフェクションのプラスミド比およびトランスフェクション混合物の体積の最適化を示す図である。(A)XX680、AAV rep/capヘルパー、およびTRプラスミドの様々なプラスミド比を探索して、rAAVベクター産生のための最適なプラスミド比を決定した。(B)様々なトランスフェクション混合物の体積を試験し、2:1のトランスフェクション試薬(化学物質または脂質)対DNAの比、およびあるインキュベーション時間を用いて、最適なトランスフェクション条件を決定した。トランスフェクション混合物のパーセント体積は、最終細胞培養物の体積のパーセントに関している。 細胞密度トランスフェクション最適化実験および細胞培養年齢のベクター産生への影響を示す図である。(A)1×10生細胞/mLおよび2×10生細胞/mLに、1〜2μgのプラスミドDNA(2:1.5:1 XX680:AAV rep/capヘルパー:TRプラスミド)をトランスフェクションした。(B)最適化パラメーターを用いて、低継代細胞、中程度の継代細胞、および高継代細胞をトランスフェクションして、細胞培養年齢が、トランスフェクション効率およびrAAV産生に影響するかどうかを決定した。 銀染色およびネガティブ染色透過型電子顕微鏡法(TEM)による、カラムクロマトグラフィー後のAAVの溶出ピーク画分の純度を示す図である。 銀染色およびネガティブ染色透過型電子顕微鏡法(TEM)による、カラムクロマトグラフィー後のAAVの溶出ピーク画分の純度を示す図である。 最適化産生条件および精製条件を用いた、一本鎖rAAVおよび自己相補的rAAVの血清型1〜6、8、および9の産生および精製を示す図である。各血清型について、振盪フラスコ中の1リットルの細胞培養物をトランスフェクションした。HeLaRC32細胞を用いて、vg:TU比に加えて、各血清型について、細胞溶解物の力価および精製後力価を計算した(方法参照)。(A)精製後の一本鎖血清型1〜6、8、および9の銀染色画像。(B)自己相補的rAAV1〜6、8、および9のサザンブロット。ベクターゲノムを各血清型キャプシドから単離し、アルカリ性アガロースゲル上に流した。 一本鎖rAAVおよび自己相補的rAAVの血清型1〜6、8、および9のネガティブ染色TEM画像を示す図である。各血清型についての充満キャプシド対空キャプシド比を、ネガティブ染色TEM画像に基づいて決定した。 1×1011vgのAAV6、AAV8、およびAAV9 CBA−Lucベクターを注射したマウスのインビボ画像を示す図である。CBA−ルシフェラーゼベクターを各マウスに尾静脈注射によって投与した。懸濁HEK293細胞から生成したCBA−Lucベクターを、不連続な密度勾配/カラムクロマトグラフィーにより精製し、接着性HEK293細胞から生成したベクターを、CsCl密度勾配によって精製した。マウスを、(A)1週間目、および(B)1カ月目に画像化した。対照マウスにPBSを注射した。AAV8およびAAV9の光子範囲を、5×10から1×10までに設定した。AAV6を、5×10から1×10までに設定した。曝露時間は、AAV8およびAAV9について1分であり、AAV6について5分であった。 精製後の一本鎖rAAVベクターおよび自己相補的rAAVベクターの濃度を示す図である。(A)濃縮前のrAAVベクターおよび(B)濃縮後のrAAVベクターのネガティブ染色TEM画像。 振盪フラスコおよびウェーブバイオリアクターにおいて成長し、トランスフェクションされた懸濁HEK293細胞を用いる、rAAVベクター産生のスケジュールを示す図である。 懸濁HEK293培地からrAAV8およびrAAV9の連続的な産生および回収を示す図である。全収量は、全ての時点における培地での収量と120時間目の細胞ペレットでの収量との合計を表す。48時間目の細胞ペレット対照は、本明細書に記載されているように、トランスフェクション後48時間目の標準回収物からの収量を表す。
本発明は、今から、添付の図面を参照して記載され、本発明の好ましい実施形態が示される。しかし、本発明は、異なる形態で具体化されてもよく、本明細書に示された実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、この開示が十分で完全であるように、かつ本発明の範囲を当業者に十分伝えるように提供される。
他に規定がない限り、本明細書で用いられる全ての技術的用語および科学的用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般的に理解されているのと同じ意味をもつ。本明細書における本発明の説明に用いられる専門用語は、特定の実施形態のみを記載することを目的とし、本発明を限定することを意図するものではない。本明細書で言及された全ての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、参照することによりその全体が本明細書の一部をなすものとする。
ヌクレオチド配列は、他に具体的な指示がない限り、左から右へ5’から3’方向における一本鎖によってのみ本明細書に提示される。ヌクレオチドおよびアミノ酸は、どちらも37 CFR§1.822および確立された用法に従って、1文字コードか3文字コードのいずれかにより、IUPAC−IUB生化学命名法委員会または(アミノ酸について)により推奨される様式で本明細書に表される。例えば、PatentIn User Manual、99〜102(1990年11月)(米国特許商標庁)を参照。
他に指示されている場合を除き、当業者に知られた標準的方法が、rAAV構築物、AAV Repおよび/またはCap配列を発現するパッケージングベクター、ならびに一過性および安定的にトランスフェクションされるパッケージング細胞の構築に用いられてもよい。そのような技術は当業者に知られている。例えば、SAMBROOKら、MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL第2版(Cold Spring Harbor、NY、1989);AUSUBELら、CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY(Green Publishing Associates,Inc.およびJohn Wiley & Sons,Inc.、New York)を参照。
さらに、本発明はまた、本発明のいくつかの実施形態において、本明細書に示された任意の特徴または特徴の組み合わせを除外または省略し得ることを企図する。
<定義>
以下の用語は、本明細書における説明および添付の特許請求の範囲において用いられる。
単数形「a(1つの)」および「an(1つの)」は、文脈が明らかに他に指示していない限り、複数形もまた含むことを意図される。
さらに、ポリヌクレオチド配列またはポリペプチド配列の長さ、用量、時間、温度などの量などの測定可能な値に言及するとき、本明細書で用いられる場合の用語「約」は、特定された量の20%、10%、5%、1%、0.5%、またはさらには0.1%の変動を含むことを意味する。
また、本明細書で用いられる場合、「および/または」は、関連した列挙された事項の1つ以上の任意のあらゆる可能な組み合わせ、および、選択(「または」)において解釈される場合、組み合わせの欠如を指し、かつ包含する。
本明細書で用いられる場合、移行句「から本質的になる」は、列挙された材料またはステップ、「および請求項に記載される発明の基本的および新規な特性(複数可)(例えば、rAAV複製)に実質的に影響しない材料またはステップ」を包含すると解釈されるべきである。Herzに関する537 F.2d 549、551〜52、190 U.S.P.Q. 461,463(CCPA 1976)を参照(原文では強調)、MPEP§2111.03も参照。したがって、本明細書で用いられる場合、用語「から本質的になる」は、「を含む」と等価として解釈されるべきではない。
本明細書で用いられる場合、用語「パルボウイルス」は、Parvoviridae科を包含し、それには、自己複製パルボウイルスおよびディペンドウイルスが挙げられる。自律的パルボウイルスには、Parvovirus属、Erythrovirus属、Densovirus属、Iteravirus属、およびContravirus属のメンバーが挙げられる。例示的な自律的パルボウイルスには、マウス微小ウイルス、ウシパルボウイルス、イヌパルボウイルス、ニワトリパルボウイルス、ネコ汎白血球減少症ウイルス、ネコパルボウイルス、ガチョウパルボウイルス、H1パルボウイルス、ノバリケンパルボウイルス、ヘビパルボウイルス、およびB19ウイルスが挙げられるが、それらに限定されない。他の自律的パルボウイルスは当業者に知られている。例えば、FIELDSら、VIROLOGY、2巻、69章(第4版、Lippincott−Raven Publishers)参照。
ディペンドウイルス(Dependovirus)属は、アデノ随伴ウイルス(AAV)を含有し、そのAAVには、AAV1型、AAV2型、AAV3型(3A型および3B型を含む)、AAV4型、AAV5型、AAV6型、AAV7型、AAV8型、AAV9型、AAV 10型、AAV11型、AAV12型、AAV13型、トリAAV、ウシAAV、イヌAAV、ヤギAAV、ヘビAAV、ウマAAV、およびヒツジAAVが挙げられるが、それらに限定されない。例えば、FIELDSら、VIROLOGY、2巻、69章(第4版、Lippincott−Raven Publishers)、および表1を参照。
本明細書で用いられる場合、用語「アデノ随伴ウイルス」(AAV)には、AAV1型、AAV2型、AAV3型(3A型および3B型を含む)、AAV4型、AAV5型、AAV6型、AAV7型、AAV8型、AAV9型、AAV10型、AAV11型、AAV12型、AAV13型、ヘビAAV、トリAAV、ウシAAV、イヌAAV、ウマAAV、ヒツジAAV、ヤギAAV、エビAAV、および知られていない、または後で発見された任意の他のAAVが挙げられるが、それらに限定されない。例えば、FIELDSら、VIROLOGY、2巻、69章(第4版、Lippincott−Raven Publishers)参照。いくつかの比較的新しいAAV血清型およびクレードが同定されている(例えば、Gaoら、J.Virol.78:6381(2004);Morisら、Virol.33:375(2004);および表1を参照)。
様々な血清型のAAVのゲノム配列、ならびに天然のITR、Repタンパク質、およびキャプシドサブユニットの配列は当技術分野において知られている。そのような配列は、文献に、またはGenBankなどの公開データベースに見出され得る。例えば、GenBankアクセッション番号NC_002077、NC_001401、NC_001729、NC_001863、NC_001829、NC_001862、NC_000883、NC_001701、NC_001510、NC_006152、NC_006261、AF063497、U89790、AF043303、AF028705、AF028704、J02275、J01901、J02275、X01457、AF288061、AH009962、AY028226、AY028223、AY631966、AX753250、EU285562、NC_001358、NC_001540、AF513851、AF513852、およびAY530579を参照されたい。これらの開示は、AAV核酸配列およびアミノ酸配列を教示するために参照することにより本明細書の一部をなすものとする。例えば、Bantel−Schaalら、J.Virol.73:939(1999);Chioriniら、J.Virol.71:6823(1997);Chioriniら、J.Virol.73:1309(1999);Gaoら、Proc.Nat.Acad.Sci.USA 99:11854(2002);Morisら、Virology、33:375(2004);Moriら、Virology、330:375(2004);Muramatsuら、Virology、221:208(1996);Ruffingら、J.Gen.Virol.75:3385(1994);Rutledgeら、J.Virol.72:309(1998);Schmidtら、J.Virol.82:8911(2008);Shadeら、J.Virol.58:921(1986);Srivastavaら、J.Virol.45:555(1983);Xiaoら、J.Virol.73:3994(1999);国際公開WO00/28061、WO99/61601、WO98/11244;および米国特許第6,156,303号もまた参照。これらの開示は、AAV核酸配列およびアミノ酸配列を教示するために参照することにより本明細書の一部をなすものとする。表1もまた参照。AAV1、AAV2、およびAAV3のITR配列の初期の記載は、Xiao,X.、(1996)、「Characterization of Adeno−associated virus(AAV) DNA replication and integration」、Ph.D.Dissertation、University of Pittsburgh、Pittsburgh、PAによって提供されている(この文献は全体として本明細書の一部をなすものとする)。
本明細書で用いられる場合、用語「トロピズム」は、ウイルスの細胞への侵入、任意選択的におよび好ましくは、続いて、細胞におけるウイルスゲノムにより運ばれた配列の発現(例えば、転写、および任意選択的に、翻訳)、例えば、組換えウイルスについて、異種ヌクレオチド配列(複数可)の発現を指す。ウイルスゲノムからの異種核酸配列の転写は、例えば、誘導性プロモーターまたは別の方法で制御される核酸配列について、トランス作用性因子の非存在下で開始され得ないことを当業者は認識しているだろう。AAVの場合、ウイルスゲノムからの遺伝子発現は、安定的に組み込まれたプロウイルスから、組み込まれていないエピソームから、およびウイルスが細胞内に取り込まれ得る任意の他の形態からであってもよい。
本明細書で用いられる場合、AAVによる細胞の「形質導入」または「感染」は、AAVが細胞に侵入して、活動性(すなわち、溶解性)感染を確立することを意味する。本明細書で用いられる場合、AAVによる細胞の「形質導入」は、AAVが細胞に侵入して、潜伏感染を確立することを意味する。例えば、FIELDSら、VIROLOGY、2巻、69章(第4版、Lippincott−Raven Publishers)参照。
用語「5’部分」および「3’部分」は、2つ以上のエレメントの間の空間的関係を定義するための相対的な用語である。したがって、例えば、ポリヌクレオチドの「3’部分」は、他のセグメントの下流にある、そのポリヌクレオチドのセグメントを示す。用語「3’部分」は、セグメントが、たとえそうである場合があるにしても、必ずしも、そのポリヌクレオチドの3’末端にあることを示すわけではなく、またはさらに、それが、必ずしも、そのポリヌクレオチドの3’側の半分内にあることを示すわけでもない。同様に、ポリヌクレオチドの「5’部分」は、他のセグメントの上流にある、そのポリヌクレオチドのセグメントを示す。用語「5’部分」は、セグメントが、たとえそうである場合があるにしても、必ずしも、そのポリヌクレオチドの5’末端にあることを示すわけではなく、またはさらに、それが、必ずしも、そのポリヌクレオチドの5’側の半分内にあることを示すわけでもない。
本明細書で用いられる場合、用語「ポリペプチド」は、他に指示がない限り、ペプチドとタンパク質の両方を包含する。
「ポリヌクレオチド」は、ヌクレオチド塩基の配列であり、(天然ヌクレオチドおよび非天然ヌクレオチドの両方を含む)RNA、DNA、またはDNA−RNAハイブリッド配列であってもよく、一本鎖または二本鎖のいずれかのDNA配列であり得る。
本明細書で用いられる場合、「単離された」ポリヌクレオチド(例えば、「単離されたDNA」または「単離されたRNA」)は、天然の生物体またはウイルスの他の成分の少なくとも一部、例えば、細胞もしくはウイルスの構造成分(例えば、細胞壁または細胞膜)、またはそのポリヌクレオチドと付随して一般的に見出される他のポリペプチドもしくは核酸から分離されており、またはそれらを実質的に含まないポリヌクレオチドを意味する。いくつかの実施形態において、単離されたポリヌクレオチドは、少なくとも約20%純粋、例えば、少なくとも約30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または95%純粋であるポリヌクレオチドである。
同様に、「単離された」ポリペプチドは、天然の生物体またはウイルスの他の成分の少なくとも一部、例えば、細胞もしくはウイルスの構造成分(例えば、細胞壁または細胞膜)、またはそのポリペプチドと付随して一般的に見出される他のポリペプチドもしくは核酸から分離されており、またはそれらを実質的に含まないポリペプチドを意味する。いくつかの実施形態において、単離されたポリペプチドは、少なくとも約20%純粋、例えば、少なくとも約30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または95%純粋であるポリペプチドである。
「治療用ポリペプチド」は、細胞または対象におけるタンパク質の欠如または欠陥に起因する症状を軽減し得、または低下させ得るポリペプチドである。あるいは、「治療用ポリペプチド」は、別の形で対象に利益、例えば、抗癌効果または移植片生着性の向上を与えるポリペプチドである。
本明細書で用いられる場合、ポリヌクレオチド配列またはポリペプチド配列に適用されるような用語「改変された」は、1つまたは複数の欠失、付加、置換、またはそれらの任意の組み合わせにより野生型配列と異なる配列を指す。
本明細書で用いられる場合、ウイルスベクターを「単離する」または「精製する」(または文法的に同等の語句)は、ウイルスベクターが、出発材料における他の成分の少なくとも一部から少なくとも部分的に分離されることを意味する。
用語「処置する」、「処置すること」、または「の処置」(およびそれらの文法的変形)は、対象の状態の重症度が、低下し、少なくとも部分的に改善もしくは安定化すること、および/または少なくとも1つの臨床症状においていくらかの軽減、緩和、減少、もしくは安定化が達成され、および/または疾患もしくは障害の進行の遅延があることを意味する。
用語「予防する」、「予防すること」、および「予防」(およびそれらの文法的語尾変化)は、対象における疾患、障害、および/もしくは臨床症状(複数可)の発生の予防および/もしくは遅延、ならびに/または本発明の方法の非存在下で生じるであろうことと比較した、疾患、障害、および/もしくは臨床症状(複数可)の発生の重症度の低下を指す。予防は完全、例えば、疾患、障害、および/または臨床症状(複数可)の全ての欠如であり得る。予防はまた、対象における疾患、障害、および/もしくは臨床症状(複数可)の存在ならびに/または発生の重症度が本発明の非存在下で生じるであろうことより低いような、部分的でもあり得る。
本明細書で用いられる場合、「処置有効」量は、対象にいくらかの向上または利益を与えるのに十分である量である。もう一つの意味として言えば、「処置有効」量は、対象における少なくとも1つの臨床症状のいくらかの軽減、緩和、減少、または安定化を与えるだろう量である。治療効果は、いくらかの利益が対象に与えられる限り、完全または治癒的である必要はないことを当業者は認識するだろう。
本明細書で用いられる場合、「予防有効」量は、対象における疾患、障害、および/もしくは臨床症状の発生を予防し、および/もしくは遅らせるのに十分であり、ならびに/または本発明の方法の非存在下で生じるであろうことと比較して、対象における疾患、障害、および/もしくは臨床症状の発生の重症度を低下させ、および/もしくは遅らせるのに十分である量である。予防のレベルは、いくらかの利益が対象に与えられる限り、完全である必要はないことを当業者は認識しているだろう。
用語「異種ヌクレオチド配列」および「異種核酸」は、本明細書において交換可能に用いられ、ウイルスにおいて天然に存在しない配列を指す。一般的に、異種核酸は、(例えば、細胞または対象への送達のための)関心対象となるポリペプチドをコードするオープンリーディングフレームまたは非翻訳RNAを含む。
本明細書で用いられる場合、用語「ウイルスベクター」、「ベクター」、または「遺伝子送達ベクター」は、核酸送達媒体として機能するウイルス(例えば、AAV)粒子を指し、それは、ビリオン内にパッケージングされるベクターゲノム(例えば、ウイルスDNA[vDNA])を含む。あるいは、いくつかの文脈において、用語「ベクター」は、ベクターゲノム/vDNAのみを指すように用いられる場合がある。
本発明のウイルスベクターはさらに、国際公開WO01/92551(その開示は参照することによりその全体が本明細書の一部をなすものとする)に記載されているように、二重鎖AAV粒子であり得る。したがって、いくつかの実施形態において、二本鎖(二重鎖)ゲノムをウイルスキャプシドへパッケージングすることができる。
「rAAVベクターゲノム」または「rAAVゲノム」は、1つまたは複数の異種核酸配列を含むAAVゲノム(すなわち、vDNA)である。rAAVベクターは、一般的に、ウイルスを生成するのにシスに145塩基のITRのみを必要とする。全ての他のウイルス配列は、必要ではなく、トランスに供給されてもよい(Muzyczka、Curr.Topics Microbiol.Immunol.158:97(1992))。典型的には、rAAVベクターゲノムは、1つまたは複数のITR配列を保持するのみであるため、ベクターにより効率的にパッケージングされ得る導入遺伝子のサイズを最大にする。構造的タンパク質および非構造的タンパク質をコードする配列は、トランスに(例えば、プラスミドなどのベクターから、またはその配列をパッケージング細胞へ安定的に組み込むことにより)供給されてもよい。本発明の実施形態において、rAAVベクターゲノムは、少なくとも1つのITR配列(例えば、AAV ITR配列)、任意選択的に2つのITR(例えば、2つのAAV ITR)を含み、そのITRは、典型的には、ベクターゲノムの5’末端および3’末端にあり、異種核酸に隣接するが、それに接触している必要はない。ITRは、同じ、または互いに異なり得る。
「AAV発現系」は、適切な宿主細胞に導入された場合、rAAVの産生を支持するのに十分である1つまたは複数のポリヌクレオチドの系である。AAV発現系は、典型的には、AAVのrepおよびcapをコードするポリヌクレオチド、ヘルパー遺伝子、およびrAAVゲノムを含む。AAV発現系の1つの例は、トリプルトランスフェクション方法である。
用語「末端反復」または「TR」は、任意のウイルス末端反復、またはヘアピン構造を形成し、かつ末端逆位配列として機能する(すなわち、複製、ウイルスパッケージング、組み込み、および/またはプロウイルスレスキューなどの所望の機能を媒介する)合成配列を含む。ITRは、AAV ITRまたは非AAV ITRであり得る。例えば、他のパルボウイルス(例えば、イヌパルボウイルス、ウシパルボウイルス、マウスパルボウイルス、ブタパルボウイルス、ヒトパルボウイルスB−19)のITRなどの非AAV ITR配列、またはSV40複製開始点としての役割を果たすSV40ヘアピンを、ITRとして用いることができ、それらはさらに、切り詰め、置換、欠失、挿入、および/または付加によって改変することができる。さらに、ITRは、Samulskiらの米国特許第5,478,745号に記載されているように、「二重D配列」などの部分的または完全な合成であり得る。
AAVゲノムは、それらの5’末端および3’末端の両方においてパリンドローム配列を有する。その配列のパリンドロームの性質は、相補性塩基対の間の水素結合の形成により安定化されるヘアピン構造の形成をもたらす。このヘアピン構造は、「Y」または「T」の形をとると考えられている。例えば、FIELDSら、VIROLOGY、2巻、69章および70章(第4版、Lippincott−Raven Publishers)を参照。
「AAV末端逆位配列」または「AAV ITR」は、任意のAAV由来であってもよく、そのAAVには、血清型1、2、3a、3b、4、5、6、7、8、9、10、11、もしくは13、ヘビAAV、トリAAV、ウシAAV、イヌAAV、ウマAAV、ヒツジAAV、ヤギAAV、エビAAV、または、現在知られているか、後に発見される他の任意のAAVが挙げられるが、それらに限定されない(例えば、表1参照)。AAV ITRは、末端反復が所望の機能、例えば、複製、ウイルスパッケージング、組み込み、および/またはプロウイルスレスキューなどを媒介する限り、天然の末端反復配列を有する必要はない(例えば、天然AAV ITR配列は、挿入、欠失、切り詰め、および/またはミスセンス変異によって変化してもよい)。
本発明のウイルスベクターはさらに、国際公開WO00/28004およびChaoら、Mol.Therapy 2:619(2000)に記載されているように、「標的にされる」ウイルスベクター(例えば、定方向トロピズムを有する)および/または「ハイブリッド」AAV(すなわち、ウイルスITRおよびウイルスキャプシドが、異なるAAVまたは他のパルボウイルス由来である)であり得る。他の実施形態において、ウイルスベクターは、「キメラ」AAVである(すなわち、キャプシドタンパク質が、2つ以上の血清型由来であり、および/またはキャプシドタンパク質が、2つ以上の血清型由来の配列を含有するように改変されている)。
さらに、ウイルスキャプシドまたはゲノムエレメントは、挿入、欠失、および/または置換を含む他の改変を含有することができる。
用語「鋳型」または「基質」は、複製されてAAVウイルスDNAを産生し得るポリヌクレオチド配列を指すように本明細書において用いられる。ベクター産生を目的として、鋳型は、典型的には、より大きいヌクレオチド配列または構築物内に埋め込まれ、そのより大きいヌクレオチド配列または構築物には、プラスミド、裸のDNAベクター、細菌人工染色体(BAC)、酵母人工染色体(YAC)、またはウイルスベクター(例えば、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、エプスタイン・バーウイルス、AAV、バキュロウイルス、レトロウイルスのベクターなど)が挙げられるが、それらに限定されない。あるいは、鋳型は、パッケージング細胞の染色体へ安定的に組み入れられてもよい。
本明細書で用いられる場合、AAV「Repコード配列」は、ウイルス複製および新しいウイルス粒子の産生を媒介するAAV非構造タンパク質をコードする核酸配列を示す。AAV複製遺伝子およびAAV複製タンパク質は、例えば、FIELDSら、VIROLOGY、2巻、69章および70章(第4版、Lippincott−Raven Publishers)に記載されている。
「Repコード配列」は、AAV Repタンパク質の全部をコードする必要はない。例えば、AAVに関して、Repコード配列は、全ての4つのAAV Repタンパク質(Rep78、Rep68、Rep52、およびRep40)をコードする必要はなく、実際、AAV5だけは、スプライシングされたRep68およびRep40タンパク質を発現すると考えられている。代表的な実施形態において、Repコード配列は、ウイルスゲノム複製および新しいビリオンへのパッケージングに必要である少なくともそれらの複製タンパク質をコードする。Repコード配列は、一般的に、少なくとも1つの大きなRepタンパク質(すなわち、Rep78/68)および1つの小さなRepタンパク質(すなわち、Rep52/40)をコードする。特定の実施形態において、Repコード配列は、AAV Rep78タンパク質、ならびにAAV Rep52および/またはRep40タンパク質をコードする。他の実施形態において、Repコード配列は、Rep68、ならびにRep52および/またはRep40タンパク質をコードする。さらに他の実施形態において、Repコード配列は、Rep68とRep52タンパク質、Rep68とRep40タンパク質、Rep78とRep52タンパク質、またはRep78とRep40タンパク質をコードする。
本明細書で用いられる場合、用語「大きなRepタンパク質」は、Rep68および/またはRep78を指す。大きなRepタンパク質は、野生型でも合成のいずれでもよい。野生型の大きなRepタンパク質は、任意のAAV由来であってもよく、そのAAVには、血清型1、2、3a、3b、4、5、6、7、8、9、10、11、もしくは13、または、現在知られているか、後に発見される他の任意のAAVが挙げられるが、それらに限定されない(例えば、表1参照)。合成の大きなRepタンパク質は、挿入、欠失、切り詰め、および/またはミスセンス変異によって変化してもよい。
複製タンパク質が同じポリヌクレオチドによってコードされる必要がないことは、当業者はさらに認識しているだろう。例えば、AAV p19プロモーターは、不活性化されてもよく、大きなRepタンパク質(複数可)は1つのポリヌクレオチドから発現して、小さなRepタンパク質(複数可)は異なるポリヌクレオチドから発現してもよい。しかしながら、典型的には、単一の構築物から複製タンパク質を発現することはより便利であろう。いくつかの系において、ウイルスプロモーター(例えば、AAV p19プロモーター)は細胞によって認識されない場合があり、それゆえに、大きなRepタンパク質および小さなRepタンパク質を別々の発現カセットから発現する必要がある。他の場合において、大きなRepタンパク質および小さなRepタンパク質を別々に、すなわち、別々の転写および/または翻訳調節エレメントの調節下で、発現することが望ましい場合がある。例えば、小さなRepタンパク質に対する大きなRepタンパク質の比率を減少させるために、大きなRepタンパク質の発現を調節することが望ましい場合がある。昆虫細胞の場合、細胞に対する毒性を避けるために大きなRepタンパク質(例えば、Rep78/68)の発現を下方制御することが有利であり得る(例えば、Urabeら、Hum.Gene Ther.13:1935(2002)参照)。
本明細書で用いられる場合、AAV「capコード配列」は、機能的AAVキャプシドを形成する(すなわち、DNAをパッケージングして、標的細胞に感染することができる)構造タンパク質をコードする。典型的には、capコード配列は、AAVキャプシドサブユニットの全部をコードするものであるが、機能的キャプシドが産生される限り、キャプシドサブユニットの全部より少ないサブユニットが、コードされてもよい。必ずしもそうではないが、典型的には、キャップコード配列は、単一の核酸分子上に存在する。AAVのキャプシド構造は、BERNARD N.FIELDSら、VIROLOGY、2巻、69章および70章(第4版、Lippincott−Raven Publishers)に、より詳細に記載されている。
本明細書で用いられる場合、用語「動物成分を含まない」は、血清、酵素、糖質、核酸、タンパク質、抗体、細胞外マトリックスなどを含む動物または動物細胞から抽出または精製された任意の産物を含有しない培地または他の組成物を指す。
<懸濁HEK293細胞株>
高力価で高度に純粋なrAAVを産生するためのスケーラブルな製造技術を生み出そうとする努力において、動物成分を含まない懸濁条件下で成長するHEK293細胞株を開発した。この細胞株を、認定されたマスターセルバンクから開発した。動物成分を含まない懸濁条件での成長への適応後、懸濁HEK293細胞株は、効率的トランスフェクションおよびrAAV産生の能力を維持した。
したがって、本発明の一態様は、ブダペスト条約により、2012年10月23日にATCC、P.O.Box 1549、Manassas、Virginia、20108に寄託された(ATCC寄託番号PTA−13274)、単離されたHEK293細胞に関する。
一実施形態において、細胞株は、10ml(例えば、振盪フラスコ内において)から10Lまで、50Lまで、100Lまでの、またはそれを超える(例えば、バイオリアクター内において)任意の体積の培地において培養するのに適している。細胞株は、AAVの全ての血清型、キメラ、およびハイブリッド、例えば、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13、ならびにそれらの任意のキメラおよび/またはハイブリッド、例えば、AAV1−13 2.5、2i8、9.45、および他のキメラキャプシドまたはハイブリッドキャプシドの産生に適している。
特定の実施形態において、細胞株は、精製前の細胞あたり少なくとも約4×10個のベクターゲノム含有粒子、例えば、精製前の細胞あたり少なくとも約1×10個のベクターゲノム含有粒子を提供するAAV産生方法において用いることができる。他の実施形態において、細胞株は、1リットルの細胞培養物あたり少なくとも約1×1012個の精製されたベクターゲノム含有粒子、例えば、1リットルの細胞培養物あたり少なくとも約1×1013個または1×1014個の精製されたベクターゲノム含有粒子を提供するAAV産生方法において用いることができる。
<ウイルスベクターを産生する方法>
本発明はさらに、ウイルスベクターを産生する方法を提供する。一態様において、本発明は、(a)本発明のHEK293細胞にAAV発現系を供給するステップと、(b)AAV粒子が産生される条件下で前記細胞を培養するステップと、(c)任意選択的にAAV粒子を単離するステップとを含む、AAV粒子を産生する方法に関する。一実施形態において、細胞は懸濁状態で培養される。別の実施形態において、細胞は、動物成分を含まない条件で培養される。動物成分を含まない培地は、HEK293細胞に適合する任意の、動物成分も含まない培地(例えば、無血清培地)であり得る。例として、非限定的に、SFM4Transfx−293(Hyclone)、Ex−Cell 293(JRH Biosciences)、LC−SFM(Invitrogen)、およびPro293−S(Lonza)が挙げられる。
AAV粒子の複製およびパッケージングに十分な条件は、例えば、AAV鋳型の複製およびAAVキャプシドへのキャプシド形成に十分なAAV配列(例えば、AAV rep配列およびAAV cap配列)、ならびにアデノウイルスおよび/またはヘルペスウイルス由来のヘルパー配列の存在であり得る。特定の実施形態において、AAV鋳型は、2つのAAV ITR配列を含み、これらのITR配列は、異種核酸配列の5’側および3’側に位置するが、それに直接、接触している必要はない。
いくつかの実施形態において、AAV鋳型は、国際公開WO01/92551に記載されているように、二重鎖AAVベクターを作製するためにRepによって分離されないITRを含む。
AAV鋳型ならびにAAVのrep配列およびcap配列は、AAVキャプシド内にパッケージングされたAAV鋳型を含むウイルスベクターが細胞中で産生されるような条件下で提供される。この方法は、培養物からウイルスベクターを収集するステップをさらに含むことができる。一実施形態において、ウイルスベクターは、例えば、細胞を培地から、例えば細胞をペレット化することにより、取り出した後、細胞を溶解することにより収集することができる。別の実施形態において、ウイルスベクターは、例えば、細胞から分泌されるベクターを単離するために、細胞が培養される培地から収集することができる。培地の一部または全部は、例えば、トランスフェクションから約48時間後に開始して、1回、または1回より多く、例えば、rAAVの収集のための培養ステップ中に一定間隔(細胞生存率およびベクター産生に適合する12時間ごと、18時間ごと、24時間ごと、もしくは36時間ごと、またはより長い延長した時間ごとなど)で、培養物から取り出すことができる。培地の取り出し後、追加の栄養補助剤を含む、または含まない新鮮な培地を培養物へ加えることができる。一実施形態において、細胞は、培地が細胞の上を絶えず流れ、かつ分泌されたrAAVの単離のために収集されるような灌流システムで培養することができる。rAAVの培地からの収集は、トランスフェクションされた細胞が生き残っている間、例えば、トランスフェクション後48時間、72時間、96時間、もしくは120時間、またはそれを超えて継続することができる。特定の実施形態において、分泌されたrAAVの収集は、産生細胞に結合せず、または緩くのみ結合するAAVの血清型(AAV8またはAAV9など)に関して実行される。他の実施形態において、分泌されたrAAVの収集は、それらが産生される細胞に結合しないように改変されている、ヘパリン結合性血清型のAAV(例えば、AAV2)に関して実行される。適切な改変、およびrAAV収集技術の例は、米国特許出願公開第2009/0275107号に開示されており、参照することによりその全体が本明細書の一部をなすものとする。
AAV複製およびキャプシド配列は、当技術分野において知られた任意の方法によって供給され得る。最新プロトコールは、典型的には、単一のプラスミド上にAAV rep/cap遺伝子を発現する。AAV複製およびパッケージング配列は、一緒に供給される必要はないが、そのようにすることが便利な場合がある。AAV repおよび/またはcap配列は、任意のウイルスベクターまたは非ウイルスベクターによって供給され得る。例えば、rep/cap配列は、ハイブリッドアデノウイルスまたはヘルペスウイルスベクターによって供給され得る(例えば、欠失アデノウイルスベクターのE1aまたはE3領域へ挿入される)。EBVベクターもまた、AAVのcap遺伝子およびrep遺伝子を発現するために用いられてもよい。この方法の1つの利点は、EBVベクターがエピソームであるが、連続的な細胞分裂を通して高コピー数を維持する(すなわち、「EBVに基づいた核エピソーム」と名付けられた、染色体外エレメントとして細胞に安定的に組み込まれる。Margolski、Curr.Top.Microbiol.Immun.158:67(1992)参照)ことである。
さらなる代替として、rep/cap配列は、細胞に安定的に組み入れられてもよい。
典型的には、AAV rep/cap配列は、これらの配列のレスキューおよび/またはパッケージングを防ぐために、TRに隣接されていない。
AAV鋳型は、当技術分野において知られた任意の方法を用いて細胞へ供給することができる。例えば、鋳型は、非ウイルスベクター(例えば、プラスミド)またはウイルスベクターによって供給され得る。特定の実施形態において、AAV鋳型は、ヘルペスウイルスベクターまたはアデノウイルスベクターによって供給される(例えば、欠失アデノウイルスのE1aまたはE3領域へ挿入される)。別の例証として、Palomboら、J.Virol.72:5025(1998)は、AAV TRに隣接されたレポーター遺伝子を有するバキュロウイルスベクターを記載する。EBVベクターもまた、rep/cap遺伝子に関して上で記載されているように、鋳型を送達するために用いられてもよい。
別の代表的な実施形態において、AAV鋳型は、複製するrAAVウイルスによって供給される。さらに他の実施形態において、AAV鋳型を含むAAVプロウイルスは、細胞の染色体に安定的に組み込まれる。
ウイルス力価を増強するために、増殖性AAV感染を促進するヘルパーウイルス機能(例えば、アデノウイルスまたはヘルペスウイルス)が、細胞へ供給され得る。AAV複製に必要なヘルパーウイルス配列は、当技術分野において知られている。典型的には、これらの配列は、ヘルパーアデノウイルスベクターまたはヘルペスウイルスベクターによって供給される。あるいは、アデノウイルス配列またはヘルペスウイルス配列は、別の非ウイルスベクターまたはウイルスベクターによって、例えば、Ferrariら、Nature Med.3:1295(1997)、ならびに米国特許第6,040,183号および米国特許第6,093,570号によって記載されているように効率的なAAV産生を促進するヘルパー遺伝子の全部を有する非感染性アデノウイルスミニプラスミドとして供給され得る。
さらに、ヘルパーウイルス機能は、染色体内に埋め込まれた、または安定的な染色体外エレメントとして維持されたヘルパー配列を有するパッケージング細胞によって供給され得る。一般的に、ヘルパーウイルス配列は、AAVビリオンにパッケージングされ得ず、例えば、TRに隣接されていない。
AAV複製およびキャプシド配列ならびにヘルパーウイルス配列(例えば、アデノウイルス配列)を単一のヘルパー構築物上に供給することが有利であり得ることは、当業者は認識しているだろう。このヘルパー構築物は、非ウイルス構築物でもウイルス構築物でもよい。一つの非限定的例証として、ヘルパー構築物は、AAV rep/cap遺伝子を含むハイブリッドアデノウイルスまたはハイブリッドヘルペスウイルスであり得る。
一つの特定の実施形態において、AAV rep/cap配列およびアデノウイルスヘルパー配列は、単一のアデノウイルスヘルパーベクターによって供給される。このベクターはAAV鋳型をさらに含み得る。AAV rep/cap配列および/またはAAV鋳型は、そのアデノウイルスの欠失した領域(例えば、E1a領域またはE3領域)に挿入することができる。
さらなる実施形態において、AAV rep/cap配列およびアデノウイルスヘルパー配列は、単一のアデノウイルスヘルパーベクターによって供給される。この実施形態によれば、AAV鋳型は、プラスミド鋳型として供給され得る。
別の例証的な実施形態において、AAV rep/cap配列およびアデノウイルスヘルパー配列は、単一のアデノウイルスヘルパーベクターによって供給され、AAV鋳型は、プロウイルスとして細胞に組み込まれる。あるいは、AAV鋳型は、染色体外エレメントとして(例えば、EBVに基づいた核エピソームとして)細胞内に維持されるEBVベクターによって供給される。
さらなる例示的な実施形態において、AAV rep/cap配列およびアデノウイルスヘルパー配列は、単一のアデノウイルスヘルパーによって供給される。AAV鋳型は、別個の複製ウイルスベクターとして供給され得る。例えば、AAV鋳型は、AAV粒子または第2の組換えアデノウイルス粒子によって供給され得る。
前述の方法によれば、ハイブリッドアデノウイルスベクターは、典型的には、アデノウイルス複製およびパッケージングに十分なアデノウイルス5’および3’のシス配列(すなわち、アデノウイルス末端反復およびPAC配列)を含む。AAV rep/cap配列、および存在するなら、AAV鋳型は、アデノウイルスバックボーン内に埋め込まれており、これらの配列がアデノウイルスキャプシドにパッケージングされ得るように、5’および3’のシス配列に隣接されている。上記のように、アデノウイルスヘルパー配列およびAAV rep/cap配列は、一般的に、これらの配列がAAVビリオンにパッケージングされないようにTRに隣接されていない。
Zhangら、Gene Ther.18:704(2001)は、アデノウイルスとAAVのrep遺伝子およびcap遺伝子との両方を含むキメラヘルパーを記載する。
ヘルペスウイルスもまた、AAVパッケージング方法においてヘルパーウイルスとして用いられてもよい。AAV Repタンパク質(複数可)をコードするハイブリッドヘルペスウイルスは、有利なことには、スケーラブルなAAVベクター産生スキームを促進し得る。AAV−2のrep遺伝子およびcap遺伝子を発現するハイブリッド単純ヘルペスウイルス1型(HSV−1)ベクターが記載されている(Conwayら、Gene Ther.6:986(1999)およびWO00/17377)。
ヘルパーウイルスの混入がないAAVベクターストックは、当技術分野において知られた任意の方法によって得られ得る。例えば、AAVおよびヘルパーウイルスは、サイズに基づいて容易に区別され得る。AAVはまた、ヘパリン基質に対する親和性に基づいてヘルパーウイルスから分離され得る(Zolotukhinら、Gene Ther.6:973(1999))。欠失した複製欠損ヘルパーウイルスは、いかなる混入するヘルパーウイルスも複製能を有しないように、用いることができる。さらなる代替として、アデノウイルス初期遺伝子発現のみがAAVのパッケージングを媒介するために必要とされるため、後期遺伝子発現を欠くアデノウイルスヘルパーが用いられてもよい。後期遺伝子発現について不完全であるアデノウイルス変異体は当技術分野において知られている(例えば、ts100Kおよびts149アデノウイルス変異体)。
代表的な実施形態において、本発明の方法は、完全にスケーラブルであり、したがって、それは、任意の所望の体積の培地において、例えば、10ml(例えば、振盪フラスコ内において)から10Lまで、50Lまで、100Lまで、またはそれを超えて(例えば、ウェーブバイオリアクターシステムおよび撹拌タンクなどのバイオリアクター内において)、実行することができる。
この方法は、AAVの全ての血清型およびキメラ、例えば、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13、およびそれらの任意のキメラの産生に適している。
特定の実施形態において、方法は、精製前の細胞あたり少なくとも約1×10個のベクターゲノム含有粒子、例えば、精製前の細胞あたり少なくとも約2×10個、3×10個、4×10個、5×10個、6×10個、7×10個、8×10個、9×10個、もしくは1×10個の、またはそれを超えるベクターゲノム含有粒子を提供する。他の実施形態において、方法は、1リットルの細胞培養物あたり少なくとも約1×1012個の精製されたベクターゲノム含有粒子、例えば、1リットルの細胞培養物あたり少なくとも約5×1012個、1×1013個、5×1013個、または1×1014個の、またはそれを超える精製されたベクターゲノム含有粒子を提供する。
<組換えウイルスベクター>
本発明により産生されたウイルスベクターは、インビトロ、エクスビボ、およびインビボでの核酸の細胞への送達に有用である。特に、ウイルスベクターは、有利には、哺乳動物を含む動物の細胞に核酸を送達し、または移入するために用いることができる。
関心対象となる任意の異種核酸配列(複数可)が、本発明により産生されたウイルスベクターにおいて送達され得る。関心対象となる核酸には、レポーター、治療用(例えば、医学的用途または獣医学的用途のため)、免疫原性(例えば、ワクチンのため)、または診断用のポリペプチドまたはRNAを含む、ポリペプチドまたはRNAをコードする核酸が挙げられる。
さらなる代替として、異種核酸は、インビトロ、エクスビボ、またはインビボで細胞において望ましく産生される任意のポリペプチドまたはRNAをコードし得る。例えば、ウイルスベクターは、培養細胞に導入され得、発現した遺伝子産物がそこから単離され得る。
関心対象となる異種核酸(複数可)は、適切な調節配列と作動可能に関連づけられ得ることは当業者によって理解されているだろう。例えば、異種核酸は、転写/翻訳調節シグナル、複製起点、ポリアデニル化シグナル、配列内リボソーム進入部位(IRES)、プロモーター、および/またはエンハンサーなどの発現調節エレメントと作動可能に関連づけることができる。
様々なプロモーター/エンハンサーエレメントが、望まれるレベルおよび組織特異的発現に依存して用い得ることは、当業者は認識しているだろう。プロモーター/エンハンサーは、望まれる発現のパターンに依存して、構成的または誘導性であり得る。プロモーター/エンハンサーは、本来のもの、または外来であり得、天然または合成の配列であり得る。外来により、転写開始領域が、その転写開始領域を導入されている野生型宿主において見出されないことが意図される。
特定の実施形態において、プロモーター/エンハンサーエレメントは、標的細胞または処置される対象にとって本来であり得る。代表的な実施形態において、プロモーター/エンハンサーエレメントは、異種核酸配列にとって本来であり得る。プロモーター/エンハンサーエレメントは、一般的に、それが、関心対象となる標的細胞(複数可)において機能するように選択される。さらに、特定の実施形態において、プロモーター/エンハンサーエレメントは、哺乳動物のプロモーター/エンハンサーエレメントである。プロモーター/エンハンサーエレメントは、構成的でも誘導性でもよい。
誘導性発現調節エレメントは、典型的には、異種核酸配列(複数可)の発現に対して制御を与えることが望ましい適用において有利である。遺伝子送達のための誘導性プロモーター/エンハンサーエレメントは、組織特異的または組織優先的プロモーター/エンハンサーエレメントであり得、それらには、(心臓、骨格、および/または平滑筋に特異的または優先的を含む)筋肉に特異的または優先的、(脳に特異的または優先的を含む)神経組織に特異的または優先的、(網膜特異的および角膜特異的を含む)眼に特異的または優先的、肝臓に特異的または優先的、骨髄に特異的または優先的、膵臓に特異的または優先的、脾臓に特異的または優先的、および肺に特異的または優先的なプロモーター/エンハンサーエレメントが挙げられる。他の誘導性プロモーター/エンハンサーエレメントには、ホルモン誘導性および金属誘導性エレメントが挙げられる。例示的な誘導性プロモーター/エンハンサーエレメントには、Tetオン/オフエレメント、RU486誘導性プロモーター、エクジソン誘導性プロモーター、ラパマイシン誘導性プロモーター、およびメタロチオネインプロモーターが挙げられるが、それらに限定されない。
異種核酸配列(複数可)が、標的細胞において転写され、その後、翻訳される実施形態において、特異的な開始シグナルが、一般的に、挿入されるタンパク質コード配列の効率的な翻訳のために含まれる。ATG開始コドンおよび隣接配列を含み得る、これらの外因性翻訳調節配列は、様々な起源、天然と合成のどちらでもあり得る。
本発明により産生されるウイルスベクターは、分裂細胞および非分裂細胞を含む広範囲の細胞へ異種核酸を送達するための手段を提供する。ウイルスベクターは、例えば、インビトロでポリペプチドを産生するために、またはエクスビボの遺伝子治療のために、インビトロで関心対象となる核酸を細胞に送達するために用いることができる。ウイルスベクターは、追加として、例えば、免疫原性または治療用のポリペプチドまたは機能性RNAを発現させるために、核酸を、それを必要としている対象に送達する方法において有用である。この様式において、ポリペプチドまたは機能性RNAは、対象においてインビボで産生され得る。対象は、その対象がそのポリペプチドを欠損しているため、そのポリペプチドを必要とし得る。さらに、方法は、対象におけるポリペプチドまたは機能性RNAの産生がいくらかの有益な効果を分け与える可能性があるため、実施することができる。
ウイルスベクターはまた、培養細胞において、または対象において(例えば、スクリーニング方法と関連して、例えば、ポリペプチドを産生するために、または機能性RNAの対象への効果を観察するために、対象をバイオリアクターとして用いて)、関心対象となるポリペプチドまたは機能性RNAを産生するために用いることができる。
本発明を記載してきたが、同じことが、以下の実施例においてより詳細に説明される。実施例は、例証を目的としてのみ本明細書に含まれ、本発明を限定することを意図するものではない。
[材料および方法]
〔接着性HEK293細胞の認定マスターセルバンクからの懸濁HEK293細胞の誘導。〕親HEK293マスターセルバンク(MCB)からの懸濁細胞株の誘導を、クラス10,000のクリーンルーム設備において実施した。懸濁細胞株の誘導を、まず、ウシ血清を含有する培地から細胞を離脱させること、およびその後、HEK293細胞と適合性の無血清の懸濁培地に細胞を適応させることを含む2段階プロセスで実行した。懸濁細胞株を以下の通り作製した。まず、認定マスターセルバンク(MCB)のバイアルを解凍し、10%ウシ胎仔血清(FBS)を含有するDMEM培地における培養へ入れ、細胞を凍結/解凍サイクルから回復させるように数日間、培養した。組織培地中のFBSの量を10%から2.5%まで徐々に低下させながら、MCB細胞を、4週間にわたって、培養し、継代した。その後、細胞を、DMEM 2.5%FBSから無血清懸濁培地へ移し、振盪フラスコ内で成長させた。その後、細胞を、それらの成長率および生存率をモニターしながら、無血清培地においてさらに3週間、培養した。その後、適応した細胞を増殖し、凍結した。続いて、このセルバンクからのいくつかのバイアルを解凍し、rAAVベクターを生成するための振盪フラスコおよびウェーブバイオリアクターシステムを用いるスケーラブルな製造プロセスを生み出すプロセス開発研究中に用いた。懸濁HEK293細胞を、振盪フラスコおよびウェーブバイオリアクターバッグにおいて成長と高いトランスフェクション効率の両方を支持する無血清懸濁培地中で成長させた。Multitron Shaker Incubator(ATR)を、(細胞培養体積に基づいた)特定のrpm振盪速度、80%湿度、および5%COにおける細胞の維持およびrAAVベクターの生成に用いた。
〔懸濁HEK293細胞のトランスフェクション。〕トランスフェクションの日に、細胞を、ViCell XR Viability Analyzer(Beckman Coulter)を用いてカウントし、トランスフェクションのために希釈した。トランスフェクション混合物を混合するために、以下の試薬を、この順番でコニカルチューブに加えた。プラスミドDNA、OPTIMEM(登録商標)I(Gibco)またはOptiPro SFM(Gibco)、または他の無血清適合性トランスフェクション培地、およびその後、プラスミドDNAに対する特定の比率でのトランスフェクション試薬。pXRシリーズのヘルパープラスミドを、これらの研究に用いて、複数のrAAV血清型のベクターを作製した(Rabinowitzら、J.Virol.76:791(2002))。室温でインキュベートする前に、混合物を反転させて混合した。その後、トランスフェクション混合物をフラスコにピペッティングし、振盪機/インキュベーターに戻した。全ての最適化研究を30mLの培養体積で実行し、続いて、より大きい培養体積で確認した。トランスフェクションから48時間後、細胞を回収した。
〔ウェーブバイオリアクターシステムを用いるrAAVの産生。〕トランスフェクションの2日前にウェーブバッグに播種した。ウェーブバックの播種から2日後、細胞培養物をカウントし、その後、その細胞培養物を、トランスフェクション前に増殖/希釈した。その後、ウェーブバイオリアクター細胞培養物をトランスフェクションした。トランスフェクションから少なくとも48時間後、ウェーブバイオリアクターバッグから細胞培養物を回収した。
〔フローサイトメトリーを用いるトランスフェクション効率/GFP発現の分析。〕トランスフェクションから約24時間後、1mLの細胞培養物を、各フラスコまたはウェーブバイオリアクターバッグから取り出し、加えて、トランスフェクションされていない対照も同様にした。試料を、Dako Cyanフローサイトメーターを用いて分析した。
〔振盪フラスコおよびウェーブバイオリアクターバッグからの懸濁細胞の回収。〕トランスフェクションから48時間後、細胞培養物を、振盪フラスコから注ぐか、またはウェーブバイオリアクターバッグからポンプでくみ上げるかのいずれかにより、500mLポリプロピレンコニカルチューブ(Corning)へ収集した。その後、細胞培養物を、Sorvall RC3C plus遠心機およびH6000Aローターを用いて655×gで10分間、遠心分離した。上清を捨て、細胞を、1×PBS中に再懸濁し、50mLコニカルチューブへ移し、655×gで10分間、遠心分離した。この時点で、ペレットをNLT−60℃で保存するか、または精製を通して継続させるかのいずれもできた。
〔qPCRを用いる細胞溶解物からのrAAVの力価決定。〕10mLの細胞培養物を取り出し、Sorvall RC3C plus遠心機およびH6000Aローターを用いて655×gで10分間、遠心分離した。細胞ペレットから上清をデカントした。その後、細胞ペレットを5mLのDNアーゼ緩衝液(5mMのCaCl、5mMのMgCl、50mMのTris−HCl pH8.0)中に再懸濁し、続いて、細胞を効率的に溶解するために超音波処理を行った。その後、300μLを取り出し、1.5mLのマイクロチューブへ入れた。その後、140ユニットのDNアーゼIを各試料に加え、37℃で1時間、インキュベートした。DNアーゼ消化の有効性を決定するために、4〜5μgのTReGFPプラスミドを、DNアーゼの添加ありおよび添加なしのトランスフェクションされていない細胞溶解物へスパイクした。その後、50μLのEDTA/サルコシル溶液(6.3%サルコシル、62.5mMのEDTA pH8.0)を各チューブへ加え、70℃で20分間、インキュベートした。その後、50μLのプロテイナーゼK(10mg/mL)を加え、55℃で少なくとも2時間、インキュベートした。その後、試料を15分間、煮沸して、プロテイナーゼKを不活性化した。qPCRにより分析するために、アリコートを各試料から取り出した。どれくらいの量のrAAVベクターが細胞あたり生成されたかを効果的に決定するために、2つのqPCR反応を実行した。1つのqPCR反応を、プラスミドXX680、pXR2、およびTReGFPのバックボーン上の相同配列に結合するように設計された1セットのプライマーを用いて設定した。第2のqPCR反応を、eGFP遺伝子内の領域を結合して増幅する1セットのプライマーを用いて設定した。qPCRを、Sybrグリーン試薬およびRoche製のLight cycler 480を用いて行った。試料を、95℃で10分間、変性させ、続いて、45サイクル(90℃で10秒間、62℃で10秒間、および72℃で10秒間)行い、融解曲線分析を行った(1サイクル、99℃で30秒間、65℃で1分間連続)。
〔粗溶解物からのrAAVの精製。〕各細胞ペレットを、10mLの最終体積に調整した。ペレットを短時間、ボルテックスし、30%収率で、1秒間オン、1秒間オフのバーストで4分間、超音波処理した。超音波処理後、550UのDNアーゼを加えて、37℃で45分間、インキュベートした。その後、ペレットを、Sorvall RC5B遠心機およびHS−4ローターを用いて9400×gで遠心分離して、細胞片をペレット化し、清澄化された溶解物を、Type70Ti遠心管(Beckman 361625)に移した。rAAVの単離のための懸濁HEK293細胞の回収および溶解に関して、当業者は、微少溶液操作などの機械的方法または界面活性剤などの化学的方法などを、続いて、深層濾過または接線流濾過(TFF)を用いる清澄化ステップを用いることができる。
〔AAVベクター精製。〕清澄化AAV溶解物を、当業者が知っているだろうし、かつ以下の原稿(Allayら、Davidoffら、Kaludovら、Zolotukhinら、Zolotukinらなど)に記載されているように、カラムクロマトグラフィー方法によって精製した。
〔ドットブロットを用いるrAAVの力価決定。〕100μLのDNアーゼ緩衝液(140ユニットのDNアーゼ、5mMのCaCl、5mMのMgCl、50mMのTris−HCl pH8.0)を、96ウェルマイクロタイタープレートの各ウェルに加えた。1〜3μLまたは段階希釈のウイルスを各ウェルに加え、37℃で30分間、インキュベートした。その後、試料に、15μLサルコシル/EDTA溶液(6.3%サルコシル、62.5mMのEDTA pH8.0)を追加し、70℃に20分間、置いた。次に、15μLのプロテイナーゼK(10mg/mL)を加え、50℃で少なくとも2時間、インキュベートした。125μLのNaOH緩衝液(80mMのNaOH、4mMのEDTA pH8.0)を各ウェルに加えた。一連の導入遺伝子特異的標準を、希釈系列により作製した。その後、NaOH緩衝液を加え、インキュベートした。ナイロン膜を、室温で0.4MのTris−HCl、pH7.5中でインキュベートし、その後、ドットブロット装置上に設置した。NaOH緩衝液中での10〜15分間のインキュベーション後、試料および標準を、GeneScreen PlusRハイブリダイゼーション転写膜(PerkinElmer)上のドットブロット装置内にロードした。その後、試料を、減圧を用いて膜へアプライした。ナイロン膜を、0.4MのTris−HCl、pH7.5中に浸漬し、その後、UV strata linker 1800(Stratagene)を600 ujoulsx100で用いて架橋させた。その後、膜を、CHURCH緩衝液(1%BSA、7%SDS、1mMのEDTA、0.5MのNaPO、pH7.5)中、プレハイブリダイズさせた。プレハイブリダイゼーション後、膜を、32P−CTP標識導入遺伝子プローブ(Roche Random Prime DNA標識キット)と一晩、ハイブリダイズさせた。次の日、膜を、低ストリンジェンシーSSC緩衝液(1×SSC、0.1%SDS)および高ストリンジェンシー(0.1×SSC、0.1%SDS)で洗浄した。その後、それをホスフォイメージャースクリーン上に露光させ、STORM840スキャナ(GE)を用いてデンシトメトリーについて分析した。
〔銀染色方法を用いるrAAVベクター純度の分析。〕精製されたベクターからの試料を、NuPage10%Bis−Trisゲル(Invitrogen)上にロードし、1×NuPageランニング緩衝液を用いて流した。典型的には、ウェルあたり1×1010個の粒子をロードした。ゲルを、SilverXpress銀染色キット#LC6100(Invitrogen)で処理した。
〔アルカリ性ゲル電気泳動およびサザンブロットを用いる自己相補的ゲノムの分析。〕簡単に述べれば、精製された自己相補的rAAVを、200μLのDNアーゼI緩衝液(140ユニットのDNアーゼ、5mMのCaCl、5mMのMgCl、50mMのTris−HCl pH8.0)に加え、37℃で60分間、インキュベートし、続いて、30μLのEDTA サルコシル/EDTA溶液(6.3%サルコシル、62.5mM EDTA pH8.0)を加えることによりDNアーゼを不活性化し、70℃に20分間、置いた。その後、20μLのプロテイナーゼK(10mg/mL)を試料に加え、50℃で最低2時間、インキュベートした。フェノール/クロロホルムを、1:1比で加え、続いて、ウイルスベクターDNAのエタノール沈殿を行った。その後、ペレット化DNAを、変性のためにアルカリ性緩衝液(50mMのNaOH、1mMのEDTA)中に再懸濁し、1%アルカリ性アガロースゲル上にロードし、25Vで一晩、流した。その後、ゲルを、アルカリ性転写緩衝液(0.4MのNaOH、1MのNaCl)中で平衡化させ、ベクターDNAのGeneScreen PlusRハイブリダイゼーション転写膜(PerkinElmer)への一晩の転写を経てサザンブロットを実施した。その後、膜を、1MのNaClを含む0.5MのTris pH7.5を用いて中和し、32P−CTP標識導入遺伝子プローブと一晩、ハイブリダイズさせた。前に記載されているように膜を洗浄した後、膜を、ホスフォイメージャースクリーンに露光させ、STORM840スキャナを用いて分析した。
〔形質導入アッセイ。〕HeLaRC−32細胞(Chadeufら、J.Gene Med.2:260(2000))を、2×10細胞/24ウェルプレートのウェルで蒔き、37℃で一晩、インキュベートした。細胞は、90〜100%のコンフルエンスが観察された。2%FBS、1%ペニシリン/ストレプトマイシンを含む50mLのDMEMをあらかじめ温めておき、アデノウイルス(dl309)を、10のMOIで加えた。dl309を含有する培地を、900μL分ずつ分注し、一連の10倍希釈でrAAVを希釈するために用いた。その後、rAAVを400μLで蒔き、37℃で48時間、インキュベートさせておいた。eGFP導入遺伝子を含有するrAAVについて、GFP陽性細胞を、蛍光顕微鏡を用いてカウントした。ルシフェラーゼ導入遺伝子を含有するrAAVについて、培地を細胞から吸引し、100μLの受動的溶解緩衝液を加えた。細胞を−80℃で凍結し、その後、37℃で解凍して、細胞溶解を助けた。その後、50μLの細胞溶解物を、50μLのルシフェリンと共に、不透明な96ウェルプレートへピペッティングした。その後、細胞を、Wallacプレートリーダー上で相対光単位について読み取った。
〔濃度アッセイ。〕出発のベクターストックをサンプリングし、vivaspinカラム上にロードし、470×g(Sorvall H1000B)で、10分間隔で遠心分離した。いったん所望の体積/濃度が達成されたならば、膜の両側を残余分ですすぎ、その残余分をその後、回収した。予備濃縮および濃縮されたrAAVの試料を採取して、物理的力価および形質導入単位を決定した。
〔ネガティブ染色されたrAAV粒子の透過型電子顕微鏡法(TEM)。〕電子顕微鏡法は、ウイルス粒子の直接的可視化を可能にする。精製された透析rAAVベクターを、400メッシュグロー放電炭素グリッド上に、ウイルスの20μLの液滴上にグリッドを反転させることにより、置いた。その後、グリッドを、ddHOの20μL液滴上での反転により、続いて、2%酢酸ウラニルの20μLの液滴上での30秒間のグリッドの反転により、2回洗浄した。グリッドの端にWhatmanペーパーを優しく当てることにより、グリッドを吸い取り乾燥させる。各ベクターを、Zeiss EM 910電子顕微鏡を用いて可視化した。
[懸濁HEK293細胞株の開発]
この研究の目的は、一過性トランスフェクションテクノロジーおよび哺乳動物HEK293細胞を用いて、高力価かつ高度に純粋なrAAVを産生するためのスケーラブルな製造テクノロジーを生み出すことであった。初めに、本発明者らの認定されたマスターセルバンク由来の接着性HEK293細胞株を、実施例1に記載されているように、動物成分を含まず、かつ抗生物質を含まない懸濁条件で成長するように適応させた。動物成分を含まない懸濁条件への適応、および適合性の動物成分を含まない懸濁培地の選択後、懸濁HEK293細胞株は、効率的なトランスフェクションおよびrAAV産生についてのそれの能力を維持した。
[トランスフェクション条件の最適化]
一過性トランスフェクションを用いるrAAVの産生のための主要な必要条件のうちの2つは、3つのプラスミドの最適なプラスミド比、および全DNAに対するトランスフェクション試薬の比を決定することである。トランスフェクション試薬は、化学物質に基づいたもの(例えば、リン酸カルシウムまたはポリエチレンイミン)、または生物学的/脂質に基づいたもの(例えば、293フェクチン、リポフェクタミンなど)であり得る。懸濁HEK293細胞を、トランスフェクションの日、最初に、125mLの振盪フラスコ内で30mL体積の無血清培地−1中で成長させた。XX680:Rep/Cap:TReGFPの様々な比を、1mLの細胞あたり1μgのDNAについて2:1および4:1のトランスフェクション試薬対DNAの比を用いて試験し、室温でインキュベートした。図1Aで示されているように、2:1のトランスフェクション試薬対DNA比を用いた、2:1.5:1のプラスミド比が、細胞あたり最も多いベクターゲノム(vg)を生成した。細胞溶解物からのvg/細胞を、実施例1に記載されているように、qPCR方法を用いて決定した。4:1のトランスフェクション試薬対DNA比が、試験された全てのプラスミド比において、最も少ない量のvg/細胞を生成したことは明らかであった。これは、Beckman ViCell XR生存率アナライザーにより検出された、トランスフェクション後のより低い細胞生存率のせいである可能性が最も高く、トランスフェクション試薬で毒性のレベルに達したことを示唆した。さらに、4:1のトランスフェクション試薬対DNA比は、トランスフェクション後、より大きい細胞凝集物をもたらした。
いくつかの市販のトランスフェクションプロトコールは、トランスフェクション混合物の体積の重要性、およびどれくらいそれがトランスフェクション効率に影響し得るかを記載している。どれくらいトランスフェクション混合物の体積がこれらの細胞に影響を及ぼすかを決定するために、2%、5%、および10%のトランスフェクション混合物の体積を選択した。%体積は、振盪フラスコ内の最終細胞培養物体積に基づいている。例えば、最適なトランスフェクション混合物の体積を決定するために30mL培養物を用い、10%トランスフェクション混合物については、27mLの細胞培養物を振盪フラスコに入れ、トランスフェクション混合物は3mLであった。図1Bに示されているように、5%トランスフェクション混合物の体積が、より良い(GFPフローサイトメトリーに基づく)トランスフェクション効率を生じることが示され、かつ最も多いvg/細胞を生成した。
[細胞密度およびプラスミドDNA濃度の最適化]
これらの研究を開始する前に、本発明者らは、より良い成長、増加したトランスフェクション効率、および増加したベクター産生/細胞を支持する別の無血清培地(無血清培地−2)を用いることを始めた(表2参照)。懸濁HEK293細胞を、30mLの最終細胞培養物体積に達するように、無血清培地−2中に、1×10個および2×10個の生細胞/mLへ希釈した。1μg/mL、1.5μg/mL、および2μg/mLのプラスミドDNAをこのセットの実験に利用した。図2Aに示されたデータに基づいて、rAAVベクター産生が、1.5μg/mLのプラスミドDNAを用いて、細胞密度がトランスフェクションの時点で1×10個の生細胞/mLである場合、最高であることは明らかであった。
懸濁HEK293細胞を、いくつかの回数、継代し、低継代細胞、中程度の継代細胞、および高継代細胞が入手できたとき、細胞培養年齢がトランスフェクション効率およびrAAV産生に影響するかどうかを決定するために、それらをトランスフェクションした。図2Bに示されているように、トランスフェクション効率は、細胞培養年齢に影響されないが、細胞あたりのrAAV産生は、時間と共に減少し、開発された懸濁HEK293細胞クローンは、最高30〜40継代を用いられるべきであることを示唆する。
[カラムクロマトグラフィーを用いるrAAV血清型の精製]
懸濁HEK293細胞におけるrAAV産生の最適化と共に、もう一つの焦点がAAV精製であるべきであると決定した。全てのAAV血清型についての普遍的な精製ストラテジーを開発することが望まれた。以前の研究は、いくつかの異なる血清型の精製が、カラムクロマトグラフィーの使用によって達成され得ることを報告した。したがって、カラムクロマトグラフィーが、結合ステップおよび溶出ステップの間、特定のパラメーターの調節を通して全ての血清型を精製するために用いられ得ることは理にかなっていた。図3に示されているように、高度に純粋な溶出画分が、カラムクロマトグラフィー方法を利用して、収集される。この普遍的なプロトコールを用いて、全てのAAV血清型およびキメラキャプシドを精製した。
[一本鎖rAAVおよび自己相補的rAAVの血清型1〜6、8、および9の産生および精製]
実施例1に記載されているように、最適化トランスフェクションパラメーターを用いて、1リットルの培養物体積をトランスフェクションして、CMV−GFP導入遺伝子カセットをパッケージングする、一本鎖rAAVおよび自己相補的rAAVの血清型1〜6、8、および9を作製した。表3に示されているように、(GFPフローサイトメトリーに基づいた)トランスフェクション効率は、全てのトランスフェクションの間でほとんど等価であった。一本鎖ゲノムをパッケージングする血清型の全部が、1×10vg/細胞の前後、およびそれより上を生成した。rAAV4を除いて、試験された全ての一本鎖rAAV血清型は、精製後、1リットルの細胞培養物から8.2×1012〜3.3×1013個の総rAAVを生成し、図4Aにおける銀染色に描かれているように、VP1、VP2、およびVP3以外のいかなるタンパク質も相対的に含まなかった。自己相補的ベクタープレップは、それらの一本鎖の対応物より少ない総ベクター含有粒子を生じ、かつ通常、自己相補的(ダイマー)ゲノムと一本鎖(モノマー)ゲノムの両方の様々な濃度で構成されることはよく知られている(McCartyら、Gene Ther.8:1248(2001))。この場合もやはりrAAV4を除いて、試験された全ての自己相補的rAAV血清型は、精製後、1リットルの細胞培養物から4.0×1012〜1.3×1013個の総rAAVを生成した。図4Bに示されているように、rAAV粒子は、高い割合の自己相補的ゲノムを効率的にパッケージングした。追加の自己相補的rAAVベクターが様々な導入遺伝子カセットで生成されたとき、パッケージングされたゲノムの大部分は自己相補的であり、このことは、これらの結果が自己相補的GFPカセットだけに限定されるのではないことを示した。
大部分のAAV血清型に対して許容的である普遍的な細胞株は見出されていない。しかしながら、HeLaRC−32と新しく名付けられた改変HeLa細胞株(Chadeufら、J.Gene Med.2:260(2000))は、試験された全ての血清型により様々な程度で形質導入することができる。その細胞株は、組み込まれたAAV2のrepおよびcap遺伝子を含有し、アデノウイルス(dl309)での感染で、AAV2 ITRに隣接された任意のベクター遺伝子が複製されるだろう。ゲノムコピー数の増加は、関心対象となる遺伝子(この場合、GFPであり、それはその後、蛍光顕微鏡法を用いて可視化し、カウントすることができる)のより強い発現を誘発するだろう。その後、形質導入単位(TU)は、希釈、および特定の倍率において、カウントの平均数/フィールドに、ウェルあたりのフィールドの総数を掛けることに基づいて計算される。様々な範囲のvg:TU比が血清型間に存在することは表3において明らかであり、それは、HeLaRC−32細胞の各血清型に対する許容性の範囲による可能性が最も高い。これは、結合および侵入および/または細胞内での輸送のレベルにおいてであり得る。これらの形質導入実験を数回、繰り返し、粒子に対する形質導入比率は一定のままであった。したがって、これ、またはこれに類似したものなどの形質導入アッセイは、特定のrAAV血清型プレップが、研究者によって設定された特定の判定基準内にあるかどうかを定性的に決定するためのガイドまたは尺度ツールとして用いることができるのみである。予想通り、自己相補的rAAVベクターは、一本鎖rAAVベクターより感染性が高かった。Aucoinらに記載されているように、刊行物間の形質導入または感染力データの比較は、感染力を定量化するために用いられる様々なアッセイのため、用心深く行われるべきである(Aucoinら、Biotechnol.Adv.26:73(2008))。
一本鎖rAAVおよび自己相補的rAAVの全体的な純度を確認するために、各血清型を、ネガティブ染色透過型電子顕微鏡法(TEM)を用いて画像化した(図5)。現在の産生テクノロジーのいずれにおいてもrAAVを産生する場合、多数の空粒子が生成されることはよく知られている。充満粒子から空粒子を効果的に除去する手順を発見することが必要とされる。ネガティブ染色TEMは、充満粒子に対する空粒子の比率を決定するための2つの方法のうちの1つである。空粒子は、充満粒子とは異なってネガティブ染色剤(2%酢酸ウラニル)を取り込み、それにより、ベクター調製において充満粒子と空粒子の数を定量化することが可能になる。他方は、ELISAに基づいた方法であり、充満粒子と空粒子の両方を認識するキャプシド特異的抗体を利用する。その後、qPCRまたはドットブロット力価を、ELISAから生じた総粒子力価から引き算し、充満キャプシドに対する空キャプシドの比率を決定する。たいていのAAV血清型についてのキャプシド抗体は、ELISAにおける使用について、すでに確立され、かつ特徴づけられている。図5に含まれる表に示されているように、全体的な空粒子に対する充満粒子の比率は、10以上であり、その精製プロセスが、空粒子を効果的に除去することを示唆した。ネガティブ染色TEM画像をまた利用して、rAAV粒子の凝集を防ぐための最終貯蔵溶液の有効性を決定した。最終貯蔵緩衝液が、rAAV粒子の凝集を防ぐ能力があることは明らかであり、その凝集が、インビボで送達された場合のベクターの感染力および伝播に影響する可能性が最も高いだろう。
[接着性HEK293細胞および懸濁HEK293細胞から生成されたrAAVのインビボ比較]
AAV6 CBA−Lucベクター、AAV8 CBA−Lucベクター、およびAAV9 CBA−Lucベクターを、接着性HEK293細胞および懸濁HEK293細胞を用いて作製した。接着性細胞に産生されるベクターを、CsCl勾配を用いて精製し(Griegerら、Nat.Protoc.1:1412(2006))、懸濁細胞に産生されるベクターを、本明細書に記載された最適化方法を用いて、精製した。インビボ研究の前に、ベクターを、同じドットブロット上で力価を決定した。HeLaRC32細胞を、段階希釈の各ベクターに感染させ、遺伝子発現を、ルシフェラーゼアッセイを用いて定量化した。インビトロ形質導入アッセイに基づいて、血清型の間での形質導入は、精製ストラテジー間でほとんど等価であった。各血清型CBA−Lucベクターの1×1011総vgを、尾静脈注射により各マウスに注射した。注射から1週間後、および1カ月後、マウスを画像化した(図6)。試験された各血清型ベクターのトロピズムおよび形質導入プロファイルは類似しており、精製方法によって影響されないことは明らかである。
[ウェーブバイオリアクターを用いるrAAVの産生]
動物成分を含まない懸濁培地を用いる振盪フラスコ内でrAAVを生成するための産生パラメーターを最適化した。次のステップは、スケーラビリティを決定するために、様々な細胞培養物体積において最適化パラメーターをウェーブバイオリアクターに変換することであった。表4は、異なる血清型ベクターを生成する4.3リットルから10リットルまでの細胞培養物のサイズの範囲である、いくつかのウェーブバイオリアクター実行を示す。可能であれば、振盪フラスコにおける1リットルの培養物を、GFPベクターが産生される場合にはトランスフェクション効率を比較するための対照、および、精製後の1リットルの培養物あたりのベクター産生を比較するための対照としての役割を果たすように、トランスフェクションした。トランスフェクション効率は、フラスコとウェーブバイオリアクターバッグの間ではほとんど等価であった。興味深いことに、CMV作動型GFPプラスミドは、CBAおよびミニCBAプロモーター(CBh)作動型GFPプラスミドより高い割合の、GFP発現細胞を一貫して示したが、1リットルの培養物あたりほとんど等価のベクターの収量を生じた。これは、CMP GFPプラスミドとCBA GFPプラスミドの間のトランスフェクション効率は類似したが、転写が、HEK293細胞においてプロモーター間で異なることを示唆している。フラスコにおいて示されたように、たいていのウェーブバイオリアクター実行は、1リットルの培養物あたり1×1013個の精製rAAVベクターを生成し、振盪フラスコにおけるトランスフェクションおよびrAAV産生についての最適化されたパラメーターが、ウェーブバイオリアクターに変換することを確立した。たいていの10リットルウェーブバイオリアクター産生実行において、1×1014個より多い精製scAAVベクターが生成された。スケール差を考慮すれば、1×1014個より多い精製ssAAVは、ウェーブバイオリアクター中10リットルの培養物体積で生成されるだろう(表4におけるAAV2およびAAV9に基づく)。
[rAAVの濃縮]
rAAVの脳または眼への直接的注射などの特定の前臨床および臨床適用は、rAAVの低体積/高度に濃縮された用量を必要とする。Sartorius vivaspinカラムの使用により、表5(ルシフェラーゼベクターの濃縮。濃縮前と濃縮後のベクター力価および感染力(ルシフェラーゼアッセイ)の比較)および表6(GFPベクターの濃縮。濃縮前と濃縮後のベクター力価および形質導入単位(HeLaRC32形質導入アッセイ)の比較)に例証されているように、粒子および感染力の損失がほとんどなく、濃縮されたrAAVを生じる特定の条件を最適化した。カラムは、rAAV粒子を保持しながら、過剰な液体がフィルターを通過することを可能にする、100Kの分子量カットオフを有するPES膜を利用する。様々な分子量カットオフサイズを試験したが、rAAVを保持し、かつ濃縮するのに効果的ではなかった。表5および表6に示されているように、濃縮前のrAAVの等しい力価は、濃縮されたrAAVの等しい力価と共に直接、測定された。したがって、形質導入の損失が観察されたならば、濃縮されたrAAVについての相対的光単位または形質導入単位が、濃縮前のrAAVより少なかったであろう。いくつかのAAV血清型を試験した後、力価および活性に有意な損失はなかった。したがって、濃縮されたrAAVは、濃縮前のrAAVとほとんど等価の活性を有し、ウイルスが効果的に濃縮されたことが示された。ウイルス力価が変化しなかったことを確認するために、総vgおよびvg/mlを、ドットブロットにより評価した。総vgが同じままであった場合、vg/mlは体積に関係した。したがって、rAAVを保持するのに十分小さい分子量カットオフ濾過システムを利用して、低速遠心分離により体積を取り除くことによりrAAVベクターを濃縮することは可能である。濃縮前力価および濃縮後力価に相関して、図7Aおよび7BにおけるTEM画像は、ベクター濃度の増加を示している。最終貯蔵溶液もまた、1×1013vg/mLの濃度においてrAAV粒子凝集を防ぐ能力がある。
[懸濁培地からの連続的なrAAV回収]
接着性HEK293細胞からAAVを回収する最良の時点を決定することにおいて、以前のAAV産生刊行物に記載されたように、AAVを細胞培地から回収する最適な時点が、いつであるか、最近、実証された(Lockら、Hum Gene Ther 21:1259(2010);Vandenbergheら、Hum Gene Ther 21:1251(2010))。AAVが経時的に(付加的に)培地から収集することができるかどうかを決定するために、本発明者らは、本明細書に記載された最適化パラメーターを用いてrAAV8 CMV−eGFPベクターおよびrAAV9 CMV−eGFPベクターを産生するために懸濁HEK293細胞の30mLの培養物をトランスフェクションした。トランスフェクションから48時間後、細胞培養物を、低速遠心分離によってペレット化し、ドットブロットおよびqPCRによるDNアーゼ抵抗性粒子の力価決定のために、培地を除去した。その後、細胞ペレットを新鮮な無血清培地中に再懸濁し、rAAVの連続的な成長および産生のために振盪インキュベーターへ戻した。その後、培地試料を24時間ごとに採取し、培地を48時間ごとに交換した。120時間目の時点で、rAAV8およびrAAV9の力価を、培地および細胞ペレットの両方から決定した。図9に示されているように、rAAV8およびrAAV9を、トランスフェクションから48時間後、培地から検出し、回収することができ、時間が進むにつれて培地においてベクター量の増加が見出され、培地は交換される。図9において総収量を48時間目の細胞ペレット対照と比較すると、連続的回収方法が、それぞれ、6.5倍および4.8倍のrAAV89ベクターおよびrAAV9ベクターを生じた。これは、スケーラブルな動物成分を含まない系を用いる、トランスフェクション後の多数の時点における懸濁培地から回収された連続的なrAAVの初めての報告である。その後、このプロセスを、2Lの灌流ウェーブバイオリアクターバッグを用いるバイオリアクタースケールに適応させた。1Lの細胞培養物をトランスフェクションして、rAAV8ベクターを作製した。蠕動ポンプを用いて、ウェーブバイオリアクターバッグ内の灌流フィルターを通して各時点(48時間目、72時間目、96時間目、120時間目、および144時間目)に800mLの細胞培養物を取り出した。その後、800mLの新鮮な動物成分を含まない懸濁細胞培地をウェーブバッグに戻した。その後、回収された培地を、TFF、続いて、清澄化、およびカラムクロマトグラフィー精製を用いて濃縮した。表7は、特定の時点(48時間目、72時間目、96時間目、120時間目、および144時間目)における培地からの、および144時間目の細胞ペレットからの灌流ウェーブバイオリアクターのrAAV8ベクター収量を示す。精製された総rAAV8は、48時間目、72時間目、96時間目、120時間目、144時間目の培地のrAAV8収量、および144時間目の細胞ペレットのrAAV8収量の合計を示す。典型的なrAAVの48時間目の収量は、典型的には48時間目に細胞ペレットから回収した場合のrAAV8について達成された収量範囲を表す。表7に示されているように、rAAV8は、灌流ウェーブバイオリアクターバッグを用いて全ての時点で回収することができる。灌流ウェーブバイオリアクターバッグを用いて回収された総rAAV8は、典型的48時間目の細胞ペレット収量の5〜10倍の収量をもたらす。これは、スケーラブルな動物成分を含まない産生テクノロジーおよび懸濁細胞を用いた、トランスフェクション後の多数の時点でのバイオリアクターを用いる懸濁培地から回収される連続的なrAAVの初めての報告である。これは、製造者が、全てのスケールにおいて、動物成分を含まない懸濁培養を利用して、単回のトランスフェクションによって、培地からrAAVを連続して産生し、回収し、かつ精製することを可能にするだろう。次にこれは、標準産生プロトコール(トランスフェクションから48〜96時間後、細胞が回収されるとき、産生プロセスが停止する)より多いrAAVを等量の投入プラスミドから生成するだろう。144時間を超えるために、細胞生存率を増加させること、およびベクター産生を時点間で一貫性を保つことを必要とすることは、当業者によって理解されているだろう。AAVヘルパー機能および細胞生存率に依存して、当業者は、細胞生存率およびベクター収量などに基づいて産生をオンにしたりオフにしたりする制御可能なシステムを利用するrAAVの生成のための安定的な細胞株の作製へこれを広げることができる。
AAVを利用するいくつかの第I相および第II相臨床試験が、遺伝性および後天性疾患について世界中で実施されている(Aucoinら、Biotechnol.Adv.26:73(2008);Muellerら、Gene Ther.15:858(2008))。臨床試験の数の増加が、拡大する臨床需要に応える高力価、高度に純粋で強力なAAVの量を効率的に生成することができるスケーラブルな製造テクノロジーを確立する必要性を際立たせている。AAVのrep遺伝子およびcap遺伝子を含有するパッケージング細胞株、安定的なプロウイルス細胞株、および複数のプラスミドの接着性HEK293細胞への一過性トランスフェクションを含む、rAAVベクター産生へのいくつかのアプローチが探求されている。接着性HEK293細胞の一過性トランスフェクションは、依然として、rAAV産生について最も広く用いられている方法であり、前臨床適用および臨床適用において投与されるrAAVの大部分を占める。次のステップは、動物成分を含まない懸濁条件で成長する能力があるHEK293細胞をトランスフェクションすることにより、一過性トランスフェクションテクノロジーをスケーラブルなテクノロジーに適応させることであった。二、三の研究は、懸濁HEK293細胞を用いるrAAV産生を報告しているが(Durocherら、J.Virol.Meth.144:32(2007);Hildingerら、Biotechnol.Lett.29:1713(2007);Parkら、Biotechnol.Bioeng.94:416(2006))、ベクター収量(約1.4×10 vg/細胞および3×10 vg/細胞)が、懸濁HEK293細胞一過性トランスフェクションテクノロジーについて障害になったままである。
この開示は、動物成分を含まない懸濁条件で成長することができ、かつバキュロウイルス発現ベクター系より高い細胞あたりのrAAV収量で、最近のrHSV感染テクノロジーに匹敵する細胞あたりの収量を生じることができるHEK293細胞株を用いる、頑強で、スケーラブルな一過性トランスフェクション製造テクノロジーを詳述する。高トランスフェクション効率(>70%)およびrAAVベクター産生について選択された、接着性HEK293細胞クローンを、動物成分を含まない懸濁条件での成長に適応させた。いくつかの市販の無血清懸濁培地を、成長および高トランスフェクション効率を支持するものを選択するようにスクリーニングした。最良の成長、高トランスフェクション効率、および高rAAVベクター収量を支持する、動物成分を含まない懸濁培地を見出した(表2ならびに図2および図4)。最適な培地を同定することに加えて、いくつかの変数を最適化した。最適化されたパラメーターを利用して、細胞あたり1×10個より多いベクターゲノム含有rAAV、および1リットルの細胞培地から1×1013個より多い精製されたベクターゲノム含有rAAVを作製することが可能である。これは、振盪フラスコ内において30mLから1Lまでの細胞培養物、およびウェーブバイオリアクターバッグ内で最高10Lの体積まで確認され(表3参照)、このテクノロジーがスケーラブルであることを例証している。さらに、rAAVを、振盪フラスコおよび灌流ウェーブバイオリアクターバッグを用いてトランスフェクション後の様々な時点で、動物成分を含まない懸濁培地から連続して回収することができ、そのことが、等量の細胞培養物体積および投入プラスミドからの全体的なrAAV収量を有意に増加させることが示された。
不連続な密度勾配、続いてカラムクロマトグラフィーを用いることにより、細胞溶解物からrAAVを精製した。不連続な勾配のロード能力を、カラムクロマトグラフィー前に効果的に清澄化する(タンパク質夾雑物の効率的除去)ことができる、溶解物の最大量を決定するように最適化した。カラムクロマトグラフィー緩衝液を、(今まで試験された)全てのAAV血清型およびキメラキャプシドを効率的に結合し、かつ溶出する普遍的な精製システムを開発するように最適化した。広範なプロセス開発研究を通して、全てのAAV血清型およびキメラキャプシドの結合および溶出プロファイルに影響することなく、クロマトグラフィー緩衝液の単純な操作により主要および微量のタンパク質夾雑物を除去することが可能であった(図3および図4における参照銀染色)。不連続な密度勾配およびカラムクロマトグラフィーの使用に最も関連している可能性が高いプロセスを通して、有意な量の空粒子が除去され、最終産物において高い割合のゲノム含有rAAVを残す(図5)。要約すれば、生成されたrAAVは、高度に純粋で、空キャプシドに対する充満キャプシドの高い比率を有し、前の産生方法(接着性HEK293細胞)および精製方法(Aucoinら、Biotechnol.Adv.26:73(2008))を用いて生成されたベクターと類似した、感染力に対するゲノムの比率(GFP蛍光カウンティングアッセイに基づく)を有する。
rAAVの産生のためのいくつかのスケーラブルな系が開発されており、それには、アデノウイルスに基づいた方法、rHSVに基づいた方法、BEVSに基づいた方法、および一過性トランスフェクションに基づいた方法が挙げられる。比較すると、この懸濁HEK293細胞を用いるスケーラブルな一過性トランスフェクションテクノロジーは、アデノウイルスに基づいたrAAVテクノロジーおよびBEVSに基づいたrAAVテクノロジーより、細胞あたりのより多いrAAVおよびより感染性の高いrAAVを生成し、rHSVに基づいた産生テクノロジーに匹敵する収量を生じる。さらに、この系を用いてrAAVを生成するために費やされる総時間はほんのわずかである(図8)。
前述は本発明を例証するものであり、本発明を限定すると解釈されるべきではない。本発明は、以下の特許請求の範囲によって定義され、特許請求の範囲の等価物はそれに含まれるべきである。

Claims (16)

  1. ATCC番号PTA−13274として寄託されている、単離されたHEK293細胞。
  2. (a)請求項1に記載のHEK293細胞にAAV発現系を供給するステップと、
    (b)AAV粒子が産生される条件下で前記細胞を培養するステップと、
    (c)任意選択的に、前記AAV粒子を単離するステップと
    を含む、AAV粒子を産生する方法。
  3. 前記細胞が懸濁状態で培養される、請求項2に記載の方法。
  4. 前記細胞が、動物成分を含まない条件で培養される、請求項2または3に記載の方法。
  5. ステップ(c)が、前記細胞から前記AAV粒子を単離するステップを含む、請求項2〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. ステップ(c)が、前記細胞が培養されている培地から前記AAV粒子を単離するステップを含む、請求項2〜4のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記細胞が振盪フラスコ内で培養される、請求項2〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記細胞がバイオリアクター内で培養される、請求項2〜6のいずれか1項に記載の方法。
  9. AAVの全ての血清型、キメラ、およびハイブリッドを産生することができる、請求項2〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 前記AAVが、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、およびAAV13、またはAAV1−13、AAV2.5、AAV2i8、AAV9.45、および他のキメラキャプシドもしくはハイブリッドキャプシドから構成されるキメラAAVからなる群から選択される、請求項2〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記AAV発現系が、導入遺伝子を含む組換えAAVプラスミド、パッケージングrep−cap含有プラスミド、およびアデノウイルスヘルパープラスミドを含む、請求項2〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 前記導入遺伝子が、レポーター遺伝子、治療用遺伝子、免疫原性遺伝子、または診断用遺伝子である、請求項11に記載の方法。
  13. 精製前の細胞あたり少なくとも4×10 個のベクターゲノム含有粒子を提供する、請求項2〜12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 精製前の細胞あたり少なくとも1×10 個のベクターゲノム含有粒子を提供する、請求項2〜13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 1リットルの細胞培養物あたり少なくとも1×10 12 個の精製されたベクターゲノム含有粒子を提供する、請求項2〜14のいずれか1項に記載の方法。
  16. 1リットルの細胞培養物あたり少なくとも1×10 13 個の精製されたベクターゲノム含有粒子を提供する、請求項2〜15のいずれか1項に記載の方法。
JP2014539036A 2011-10-28 2012-10-26 アデノ随伴ウイルスの産生のための細胞株 Active JP6165752B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US201161552492P 2011-10-28 2011-10-28
US61/552,492 2011-10-28
PCT/US2012/062101 WO2013063379A1 (en) 2011-10-28 2012-10-26 Cell line for production of adeno-associated virus

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014532414A JP2014532414A (ja) 2014-12-08
JP6165752B2 true JP6165752B2 (ja) 2017-07-19

Family

ID=48168541

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014539036A Active JP6165752B2 (ja) 2011-10-28 2012-10-26 アデノ随伴ウイルスの産生のための細胞株

Country Status (7)

Country Link
US (1) US9441206B2 (ja)
EP (1) EP2771455B1 (ja)
JP (1) JP6165752B2 (ja)
CN (1) CN104520421B (ja)
CA (1) CA2853482C (ja)
ES (1) ES2609860T3 (ja)
WO (1) WO2013063379A1 (ja)

Families Citing this family (76)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2692868A1 (en) 2012-08-02 2014-02-05 Universitat Autònoma De Barcelona Adeno-associated viral (AAV) vectors useful for transducing adipose tissue
US11078464B2 (en) 2013-08-30 2021-08-03 Amgen Inc. High titer recombinant AAV vector production in adherent and suspension cells
CN103468638B (zh) * 2013-09-23 2016-01-20 天津瑞普生物技术股份有限公司 一种293细胞的大规模悬浮培养方法
WO2015191508A1 (en) 2014-06-09 2015-12-17 Voyager Therapeutics, Inc. Chimeric capsids
EP3194430A1 (en) 2014-09-16 2017-07-26 Universitat Autònoma De Barcelona Adeno-associated viral vectors for the gene therapy of metabolic diseases
US10335466B2 (en) 2014-11-05 2019-07-02 Voyager Therapeutics, Inc. AADC polynucleotides for the treatment of parkinson's disease
IL292999A (en) 2014-11-14 2022-07-01 Voyager Therapeutics Inc Compositions and methods of treating amyotrophic lateral sclerosis (als)
SG10202001102XA (en) 2014-11-14 2020-03-30 Voyager Therapeutics Inc Modulatory polynucleotides
US11697825B2 (en) 2014-12-12 2023-07-11 Voyager Therapeutics, Inc. Compositions and methods for the production of scAAV
US9862936B2 (en) 2015-01-13 2018-01-09 Alfa Wassermann, Inc. Methods of purifying adeno-associated virus (AAV) and/or recombinant adeno-associated virus (rAAV) and gradients and flow-through buffers therefore
GB201508026D0 (en) 2015-05-11 2015-06-24 Ucl Business Plc Capsid
MX2018005084A (es) 2015-11-05 2019-05-16 Bamboo Therapeutics Inc Genes de ataxia de friedreich modificados y vectores para terapia genica.
CN106701691B (zh) * 2015-11-19 2020-02-14 爱康得生物医学技术(苏州)有限公司 一种可高效感染免疫细胞的aav病毒及其制备方法与应用
US11208630B2 (en) 2015-12-24 2021-12-28 University Of Florida Research Foundation, Incorporated AAV production using suspension adapted cells
US11326182B2 (en) 2016-04-29 2022-05-10 Voyager Therapeutics, Inc. Compositions for the treatment of disease
EP3448987A4 (en) 2016-04-29 2020-05-27 Voyager Therapeutics, Inc. COMPOSITIONS FOR THE TREATMENT OF DISEASES
SG11201809699XA (en) 2016-05-18 2018-12-28 Voyager Therapeutics Inc Modulatory polynucleotides
RU2764587C2 (ru) 2016-05-18 2022-01-18 Вояджер Терапьютикс, Инк. Способы и композиции для лечения хореи гентингтона
CA2971303A1 (en) 2016-06-21 2017-12-21 Bamboo Therapeutics, Inc. Optimized mini-dystrophin genes and expression cassettes and their use
CA3034527A1 (en) 2016-08-23 2018-03-01 Emmanuel John Simons Compositions and methods for treating non-age-associated hearing impairment in a human subject
EP3831281A1 (en) 2016-08-30 2021-06-09 The Regents of The University of California Methods for biomedical targeting and delivery and devices and systems for practicing the same
IL268525B1 (en) * 2017-02-17 2025-01-01 Lonza Ag Mammalian cells for the production of adeno-associated viruses
EP3589956A1 (en) * 2017-03-03 2020-01-08 Baxalta Incorporated Methods for determining potency of adeno-associated virus preparations
EP3610023B1 (en) 2017-03-15 2023-10-04 The University of North Carolina at Chapel Hill Polyploid adeno-associated virus vectors and methods of making and using the same
CA3058970A1 (en) * 2017-04-18 2018-10-25 Glaxosmithkline Intellectual Property Development Limited Methods for adeno-associated viral vector production
SG11201909870SA (en) 2017-05-05 2019-11-28 Voyager Therapeutics Inc Compositions and methods of treating amyotrophic lateral sclerosis (als)
EP3619308A4 (en) 2017-05-05 2021-01-27 Voyager Therapeutics, Inc. COMPOSITIONS AND METHODS OF TREATMENT FOR HUNTINGTON'S MORBUS
US20200124505A1 (en) * 2017-05-09 2020-04-23 Ultragenyx Pharmaceutical Inc. Scalable method for producing transfection reagents
JOP20190269A1 (ar) 2017-06-15 2019-11-20 Voyager Therapeutics Inc بولي نوكليوتيدات aadc لعلاج مرض باركنسون
CN111511375A (zh) 2017-06-30 2020-08-07 因提玛生物科学公司 用于基因治疗的腺相关病毒载体
US11497576B2 (en) 2017-07-17 2022-11-15 Voyager Therapeutics, Inc. Trajectory array guide system
WO2019028306A2 (en) 2017-08-03 2019-02-07 Voyager Therapeutics, Inc. COMPOSITIONS AND METHODS FOR ADMINISTRATION OF ADENO-ASSOCIATED VIRUSES
EP3456822A1 (en) 2017-09-19 2019-03-20 CEVEC Pharmaceuticals GmbH Inducible aav rep genes
WO2019067840A1 (en) 2017-09-29 2019-04-04 Voyager Therapeutics, Inc. RESTRICTING CENTRAL AND PERIPHERAL NEUROLOGICAL PHENOTYPE FROM FRIEDREICH ATAXIA BY INTRAVENOUS ADMINISTRATION
AU2018352236A1 (en) 2017-10-16 2020-04-23 The Curators Of The University Of Missouri Treatment of amyotrophic lateral sclerosis (ALS)
WO2019079242A1 (en) 2017-10-16 2019-04-25 Voyager Therapeutics, Inc. TREATMENT OF AMYOTROPHIC LATERAL SCLEROSIS (ALS)
EP3768865B1 (en) * 2018-03-23 2022-12-14 Life Technologies Corporation Methods and kits to detect viral particle heterogeneity
EP3810782A2 (en) 2018-06-22 2021-04-28 Asklepios Biopharmaceutical, Inc. Vectors for gene delivery that persist within cells
JP2018198611A (ja) * 2018-08-03 2018-12-20 ウニベルシダッド アウトノマ デ バルセロナ 脂肪組織に形質導入するのに有用なアデノ随伴ウイルスベクター
CA3117982A1 (en) * 2018-11-14 2020-05-22 Bhargavi KONDRAGUNTA Gene therapy for neuronal ceroid lipofuscinoses
TWI851632B (zh) * 2018-12-21 2024-08-11 美商建南德克公司 使用抗細胞凋亡性細胞株產生多肽之方法
WO2020205889A1 (en) 2019-04-01 2020-10-08 Tenaya Therapeutics, Inc. Adeno-associated virus with engineered capsid
WO2020242988A2 (en) * 2019-05-24 2020-12-03 Avitide, Inc. Affinity agents
EP3990030A1 (en) 2019-06-27 2022-05-04 Pfizer Inc. Methods of treating duchenne muscular dystrophy using aav mini-dystrophin gene therapy
US10557149B1 (en) 2019-07-15 2020-02-11 Vigene Biosciences, Inc. Recombinantly-modified adeno-associated virus helper vectors and their use to improve the packaging efficiency of recombinantly-modified adeno-associated virus
US10653731B1 (en) 2019-07-15 2020-05-19 Vigene Biosciences Inc. Recombinantly-modified adeno-associated virus (rAAV) having improved packaging efficiency
US10801042B1 (en) * 2019-07-15 2020-10-13 Vigene Biosciences, Inc. Use of ion concentrations to increase the packaging efficiency of recombinant adeno-associated virus
WO2021146591A2 (en) * 2020-01-17 2021-07-22 Asklepios Biopharmaceutical, Inc. Recombinant aav production
IL295747A (en) 2020-02-21 2022-10-01 Akouos Inc Preparations and methods for the treatment of hearing impairment that is not related to age in humans
KR20230054840A (ko) 2020-07-30 2023-04-25 셰이프 테라퓨틱스 인코포레이티드 rAAV 비리온의 유도 생산을 위한 안정화된 세포주
CN111925438B (zh) * 2020-08-28 2021-03-09 和元生物技术(上海)股份有限公司 能够与aav1-13结合的抗体
GB202013940D0 (en) 2020-09-04 2020-10-21 Synpromics Ltd Regulatory nucleic acid sequences
CN114250193A (zh) * 2020-09-22 2022-03-29 赋源(上海)生物技术有限公司 一种人胚胎肾细胞系及其应用
JP7121086B2 (ja) * 2020-09-25 2022-08-17 ウニベルシダッド アウトノマ デ バルセロナ 脂肪組織に形質導入するのに有用なアデノ随伴ウイルスベクター
IL301955A (en) 2020-10-07 2023-06-01 Asklepios Biopharmaceutical Inc Therapeutic adeno-associated virus delivery of fukutin related protein (fkrp) for treating dystroglycanopathy. disorders including limb girdle 21
CA3200401A1 (en) 2020-11-03 2022-05-12 Pfizer Inc. Methods for purification of aav vectors by anion exchange chromatography
US20240026309A1 (en) * 2020-12-09 2024-01-25 The University Of North Carolina At Chapel Hill Cell lines for production of adeno-associated virus
WO2022130172A1 (en) 2020-12-15 2022-06-23 Pfizer Inc. Hilic uplc-ms method for separating and analyzing intact adeno-associated virus capsid proteins
AU2021404944A1 (en) 2020-12-23 2023-07-06 Pfizer Inc. Methods for purification of aav vectors by affinity chromatography
US11760788B2 (en) 2021-03-02 2023-09-19 Pathways Neuro Pharma, Inc. Neuroreceptor compositions and methods of use
US20240307553A1 (en) 2021-04-01 2024-09-19 Pfizer Inc. Pharmaceutical compositions containing adeno-associated viral vector
EP4322975A4 (en) * 2021-04-14 2025-03-26 Capsida Inc PLASMIDS AND PROCESSES FOR PRODUCING ADENO-ASSOCIATED VIRUSES
JP2024515626A (ja) 2021-04-16 2024-04-10 アスクレピオス バイオファーマシューティカル, インコーポレイテッド 血液脳関門を横断し低減された液性応答を惹起する合理的ポリプロイドaavビリオン
WO2022229807A1 (en) 2021-04-26 2022-11-03 Pfizer Inc. Adeno-associated viral vector capsids with improved tissue tropism
EP4359547A1 (en) 2021-06-22 2024-05-01 Pfizer Inc. Production of adeno-associated virus vector in insect cells
KR102529962B1 (ko) * 2021-10-07 2023-05-08 재단법인대구경북과학기술원 마이크로-스케일 아데노부속바이러스 벡터 정제 방법
CA3234811A1 (en) 2021-10-20 2023-04-27 Steven Goldman Rejuvenation treatment of age-related white matter loss
CA3236365A1 (en) 2021-11-02 2023-05-11 University Of Rochester Tcf7l2 mediated remyelination in the brain
WO2023114816A1 (en) 2021-12-14 2023-06-22 Neurogene, Inc. Recombinant optimized galc constructs and methods for treating galc-associated disorders
GB202201242D0 (en) 2022-01-31 2022-03-16 Univ Edinburgh Recombinant optimized mecp2 cassettes and methods for treating rett syndrome and related disorders
EP4508062A1 (en) 2022-04-11 2025-02-19 Tenaya Therapeutics, Inc. Adeno-associated virus with engineered capsid
GB202206336D0 (en) 2022-04-29 2022-06-15 Univ Edinburgh Recombinant therapeutic FMR1 constructs and methods of treating fragile X syndrome and related disorders
WO2024003687A1 (en) 2022-06-28 2024-01-04 Pfizer Inc. Nucleic acids encoding acid alpha-glucosidase (gaa) and vectors for gene therapy
WO2024038365A1 (en) 2022-08-16 2024-02-22 Pfizer Inc. Methods for purification of aav vectors by anion exchange chromatography
WO2024163747A2 (en) 2023-02-02 2024-08-08 University Of Rochester Competitive replacement of glial cells
CN117089514A (zh) * 2023-10-13 2023-11-21 思鹏生物科技(苏州)有限公司 提升hek293细胞系aav生产效率的细胞筛选驯化方法

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5436146A (en) * 1989-09-07 1995-07-25 The Trustees Of Princeton University Helper-free stocks of recombinant adeno-associated virus vectors
US5173414A (en) 1990-10-30 1992-12-22 Applied Immune Sciences, Inc. Production of recombinant adeno-associated virus vectors
EP1983057A3 (en) 1995-09-08 2009-01-07 Genzyme Corporation Improved AAV vectors for gene therapy
US6146874A (en) 1998-05-27 2000-11-14 University Of Florida Method of preparing recombinant adeno-associated virus compositions
WO2003042361A2 (en) 2001-11-09 2003-05-22 Government Of The United States Of America, Department Of Health And Human Services Production of adeno-associated virus in insect cells
US20070202587A1 (en) 2002-09-23 2007-08-30 Applied Genetic Technologies Corporation Recombinant AAV production in mammalian cells
US20080021140A1 (en) * 2004-04-01 2008-01-24 Katsuyu Wakabayashi Curable Composition
ES2400235T3 (es) 2006-04-28 2013-04-08 The Trustees Of The University Of Pennsylvania Método de producción escalable de AAV
CN102604889B (zh) * 2012-03-19 2013-05-08 中国农业科学院哈尔滨兽医研究所 适应无血清培养的hek293细胞系及其应用

Also Published As

Publication number Publication date
CN104520421A (zh) 2015-04-15
US9441206B2 (en) 2016-09-13
CA2853482C (en) 2020-05-19
EP2771455A1 (en) 2014-09-03
EP2771455A4 (en) 2015-04-15
US20140242671A1 (en) 2014-08-28
JP2014532414A (ja) 2014-12-08
CN104520421B (zh) 2017-05-24
WO2013063379A1 (en) 2013-05-02
ES2609860T3 (es) 2017-04-24
CA2853482A1 (en) 2013-05-02
EP2771455B1 (en) 2016-10-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6165752B2 (ja) アデノ随伴ウイルスの産生のための細胞株
Robert et al. Manufacturing of recombinant adeno‐associated viruses using mammalian expression platforms
Mietzsch et al. OneBac: platform for scalable and high-titer production of adeno-associated virus serotype 1–12 vectors for gene therapy
US9879282B2 (en) Expression in insect cells of genes with overlapping open reading frames, methods and compositions therefor
Ayuso et al. Production, purification and characterization of adeno-associated vectors
RU2754467C2 (ru) ПОЛНОСТЬЮ МАСШТАБИРУЕМЫЙ СПОСОБ ПРОИЗВОДСТВА rAAV НА ОСНОВЕ КОЛОНОК
Galibert et al. Latest developments in the large-scale production of adeno-associated virus vectors in insect cells toward the treatment of neuromuscular diseases
JP7360382B2 (ja) 改変されたホスホリパーゼドメインを含むアデノ随伴ウイルス(aav)
CN106884014B (zh) 腺相关病毒反向末端重复序列突变体及其应用
US20230183656A1 (en) Methods and compositions for purifying adeno associated virus particles or adenoviruses
Qiu et al. Processing of adeno-associated virus RNA
US20220242917A1 (en) Compositions and methods for producing adeno-associated viral vectors
TW202503065A (zh) 生產重組aav顆粒製劑之方法
TW202417619A (zh) 生產重組 aav 顆粒之方法
WO2022125601A1 (en) Cell lines for production of adeno-associated virus
WO2024194280A1 (en) Method for the production of recombinant aav particle preparations
CN118974274A (zh) 用于确定aav基因组的方法
WO2025008397A1 (en) Methods and compositions for purifying adeno associated virus particles
WO2024119031A1 (en) Adeno-associated virus production platform

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20151005

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160913

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20161213

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170530

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170621

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6165752

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250