以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。本実施形態においては、複合機(MFP:Multi Function Peripheral)としての画像形成装置を例として説明する。本実施形態に係る画像形成装置は、電子写真方式による画像形成装置であり、感光体の露光タイミングを補正するための位置ずれ補正動作において描画されるパターンの構成及びその検知結果に基づく補正動作に特徴を有する。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置1のハードウェア構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、一般的なサーバやPC(Personal Computer)等の情報処理端末と同様の構成に加えて、画像形成を実行するエンジンを有する。即ち、本実施形態に係る画像形成装置1は、CPU(Central Processing Unit)10、RAM(Random Access Memory)11、ROM(Read Only Memory)12、エンジン13、HDD(Hard Disk Drive)14及びI/F15がバス18を介して接続されている。また、I/F15にはLCD(Liquid Crystal Display)16及び操作部17が接続されている。
CPU10は演算手段であり、画像形成装置1全体の動作を制御する。RAM11は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU10が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM12は、読み出し専用の不揮発性記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。エンジン13は、画像形成装置1において実際に画像形成を実行する機構である。
HDD14は、情報の読み書きが可能な不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーション・プログラム等が格納されている。I/F15は、バス18と各種のハードウェアやネットワーク等を接続し制御する。LCD16は、ユーザが画像形成装置1の状態を確認するための視覚的ユーザインタフェースである。操作部17は、キーボードやマウス等、ユーザが画像形成装置1に情報を入力するためのユーザインタフェースである。
このようなハードウェア構成において、ROM12やHDD14若しくは図示しない光学ディスク等の記録媒体に格納されたプログラムがRAM11に読み出され、CPU10がそれらのプログラムに従って演算を行うことにより、ソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、ハードウェアとの組み合わせによって、本実施形態に係る画像形成装置1の機能を実現する機能ブロックが構成される。
次に、図2を参照して、本実施形態に係る画像形成装置1の機能構成について説明する。図2は、本実施形態に係る画像形成装置1の機能構成を示すブロック図である。図2に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、コントローラ20、ADF(Auto Documennt Feeder:原稿自動搬送装置)110、スキャナユニット22、排紙トレイ23、ディスプレイパネル24、給紙テーブル25、プリントエンジン26、排紙トレイ27及びネットワークI/F28を有する。
また、コントローラ20は、主制御部30、エンジン制御部31、入出力制御部32、画像処理部33及び操作表示制御部34を有する。図2に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、スキャナユニット22、プリントエンジン26を有する複合機として構成されている。尚、図2においては、電気的接続を実線の矢印で示しており、用紙の流れを破線の矢印で示している。
ディスプレイパネル24は、画像形成装置1の状態を視覚的に表示する出力インタフェースであると共に、タッチパネルとしてユーザが画像形成装置1を直接操作し若しくは画像形成装置1に対して情報を入力する際の入力インタフェース(操作部)でもある。ネットワークI/F28は、画像形成装置1がネットワークを介して他の機器と通信するためのインタフェースであり、Ethernet(登録商標)やUSB(Universal Serial Bus)インタフェースが用いられる。
コントローラ20は、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせによって構成される。具体的には、ROM12や不揮発性メモリ並びにHDD14や光学ディスク等の不揮発性記録媒体に格納されたファームウェア等の制御プログラムが、RAM11等の揮発性メモリ(以下、メモリ)にロードされ、それらのプログラムに従ったCPU10の演算によって構成されるソフトウェア制御部と集積回路などのハードウェアとによってコントローラ20が構成される。コントローラ20は、画像形成装置1全体を制御する制御部として機能する。
主制御部30は、コントローラ20に含まれる各部を制御する役割を担い、コントローラ20の各部に命令を与える。エンジン制御部31は、プリントエンジン26やスキャナユニット22等を制御若しくは駆動する駆動手段としての役割を担う。入出力制御部32は、ネットワークI/F28を介して入力される信号や命令を主制御部30に入力する。また、主制御部30は、入出力制御部32を制御し、ネットワークI/F28を介して他の機器にアクセスする。
画像処理部33は、主制御部30の制御に従い、入力された印刷ジョブに含まれる印刷情報に基づいて描画情報を生成する。この描画情報とは、画像形成部であるプリントエンジン26が画像形成動作において形成すべき画像を描画するための情報である。また、印刷ジョブに含まれる印刷情報とは、PC等の情報処理装置にインストールされたプリンタドライバによって画像形成装置1が認識可能な形式に変換された画像情報である。操作表示制御部34は、ディスプレイパネル24に情報表示を行い若しくはディスプレイパネル24を介して入力された情報を主制御部30に通知する。
画像形成装置1がプリンタとして動作する場合は、まず、入出力制御部32がネットワークI/F28を介して印刷ジョブを受信する。入出力制御部32は、受信した印刷ジョブを主制御部30に転送する。主制御部30は、印刷ジョブを受信すると、画像処理部33を制御して、印刷ジョブに含まれる印刷情報に基づいて描画情報を生成させる。
画像処理部33によって描画情報が生成されると、エンジン制御部31は、生成された描画情報に基づいてプリントエンジン26を制御し、給紙テーブル25から搬送される用紙に対して画像形成を実行する。即ち、プリントエンジン26が画像形成部として機能する。プリントエンジン26によって画像形成が施された文書は排紙トレイ27に排紙される。
画像形成装置1がスキャナとして動作する場合は、ユーザによるディスプレイパネル24の操作若しくはネットワークI/F28を介して外部のPC等から入力されるスキャン実行指示に応じて、操作表示制御部34若しくは入出力制御部32が主制御部30にスキャン実行信号を転送する。主制御部30は、受信したスキャン実行信号に基づき、エンジン制御部31を制御する。
エンジン制御部31は、ADF21を駆動し、ADF21にセットされた撮像対象原稿をスキャナユニット22に搬送する。また、エンジン制御部31は、スキャナユニット22を駆動し、ADF21から搬送される原稿を撮像する。また、ADF21に原稿がセットされておらず、スキャナユニット22に直接原稿がセットされた場合、スキャナユニット22は、エンジン制御部31の制御に従い、セットされた原稿を撮像する。即ち、スキャナユニット22が撮像部として動作する。
撮像動作においては、スキャナユニット22に含まれるCCD等の撮像素子が原稿を光学的に走査し、光学情報に基づいて生成された撮像情報が生成される。エンジン制御部31は、スキャナユニット22が生成した撮像情報を画像処理部33に転送する。画像処理部33は、主制御部30の制御に従い、エンジン制御部31から受信した撮像情報に基づき画像情報を生成する。画像処理部33が生成した画像情報はHDD14等の画像形成装置1に装着された記憶媒体に保存される。即ち、スキャナユニット22、エンジン制御部31及び画像処理部33が連動して、原稿読み取り部として機能する。
画像処理部33によって生成された画像情報は、ユーザの指示に応じてそのままHDD14等に格納され若しくは入出力制御部32及びネットワークI/F28を介して外部の装置に送信される。即ち、ADF21及びエンジン制御部31が画像入力部として機能する。
また、画像形成装置1が複写機として動作する場合は、エンジン制御部31がスキャナユニット22から受信した撮像情報若しくは画像処理部33が生成した画像情報に基づき、画像処理部33が描画情報を生成する。その描画情報に基づいてプリンタ動作の場合と同様に、エンジン制御部31がプリントエンジン26を駆動する。
次に、本実施形態に係るプリントエンジン26の構成について、図3を参照して説明する。図3に示すように、本実施形態に係るプリントエンジン26は、無端状移動手段である搬送ベルト105に沿って各色の画像形成部106が並べられた構成を備えるものであり、所謂タンデムタイプといわれるものである。すなわち、給紙トレイ101から給紙ローラ102により分離給紙される用紙(記録媒体の一例)104に転写するための中間転写画像が形成される中間転写ベルトである搬送ベルト105に沿って、この搬送ベルト105の搬送方向の上流側から順に、複数の画像形成部(電子写真プロセス部)106Y、106M、106C、106K(以降、総じて画像形成部106とする)が配列されている。
また、給紙トレイ101から給紙された用紙104は、レジストローラ103によって一度止められ、画像形成部106における画像形成のタイミングに応じて搬送ベルト105からの画像の転写位置に送り出される。
複数の画像形成部106Y、106M、106C、106Kは、形成するトナー画像、即ち顕色剤画像の色が異なるだけで内部構成は共通である。画像形成部106Kはブラックの画像を、画像形成部106Mはマゼンタの画像を、画像形成部106Cはシアンの画像を、画像形成部106Yはイエローの画像をそれぞれ形成する。尚、以下の説明においては、画像形成部106Yについて具体的に説明するが、他の画像形成部106M、106C、106Kは画像形成部106Yと同様であるので、その画像形成部106M、106C、106Kの各構成要素については、画像形成部106Yの各構成要素に付したYに替えて、M、C、Kによって区別した符号を図に表示するにとどめ、説明を省略する。
搬送ベルト105は、回転駆動される駆動ローラ107と従動ローラ108とに架け渡されたエンドレスのベルト、即ち無端状ベルトである。この駆動ローラ107は、不図示の駆動モータにより回転駆動させられ、この駆動モータと、駆動ローラ107と、従動ローラ108とが、無端状移動手段である搬送ベルト105を移動させる駆動手段として機能する。
画像形成に際しては、回転駆動される搬送ベルト105に対して、最初の画像形成部106Yが、ブラックのトナー画像を転写する。画像形成部106Yは、感光体としての感光体ドラム109Y、この感光体ドラム109Yの周囲に配置された帯電器110Y、光書き込み装置111、現像器112Y、感光体クリーナ(図示せず)、除電器113Y等から構成されている。光書き込み装置111は、夫々の感光体ドラム109Y、109M、109C、109K(以降、総じて「感光体ドラム109」という)に対して光を照射するように構成されている。
画像形成に際し、感光体ドラム109Yの外周面は、暗中にて帯電器110Yにより一様に帯電された後、光書き込み装置111からのブラック画像に対応した光源からの光により書き込みが行われ、静電潜像が形成される。現像器112Yは、この静電潜像をイエロートナーにより可視像化し、このことにより感光体ドラム109Y上にイエローのトナー画像が形成される。
このトナー画像は、感光体ドラム109Yと搬送ベルト105とが当接若しくは最も接近する位置(転写位置)で、転写器115Yの働きにより搬送ベルト105上に転写される。この転写により、搬送ベルト105上にイエローのトナーによる画像が形成される。トナー画像の転写が終了した感光体ドラム109Yは、外周面に残留した不要なトナーを感光体クリーナにより払拭された後、除電器113Yにより除電され、次の画像形成のために待機する。
以上のようにして、画像形成部106Yにより搬送ベルト105上に転写されたイエローのトナー画像は、搬送ベルト105のローラ駆動により次の画像形成部106Mに搬送される。画像形成部106Mでは、画像形成部106Yでの画像形成プロセスと同様のプロセスにより感光体ドラム109M上にマゼンタのトナー画像が形成され、そのトナー画像が既に形成されたイエローの画像に重畳されて転写される。
搬送ベルト105上に転写されたイエロー、マゼンタのトナー画像は、さらに次の画像形成部106C、106Kに搬送され、同様の動作により、感光体ドラム109C上に形成されたシアンのトナー画像と、感光体ドラム109K上に形成されたブラックのトナー画像とが、既に転写されている画像上に重畳されて転写される。こうして、搬送ベルト105上にフルカラーの中間転写画像が形成される。
給紙トレイ101に収納された用紙104は最も上のものから順に送り出され、その搬送経路が搬送ベルト105と接触する位置若しくは最も接近する位置において、搬送ベルト105上に形成された中間転写画像がその紙面上に転写される。これにより、用紙104の紙面上に画像が形成される。紙面上に画像が形成された用紙104は更に搬送され、定着器116にて画像を定着された後、画像形成装置の外部に排紙される。
また、このような画像形成装置1においては、感光体ドラム109Y、109M、109C及び109Kの軸間距離の誤差、感光体ドラム109Y、109M、109C及び109Kの平行度誤差、光書き込み装置111内でのLEDA130の設置誤差、感光体ドラム109Y、109M、109C及び109Kへの静電潜像の書き込みタイミング誤差等により、本来重ならなければならない位置に各色のトナー画像が重ならず、各色間で位置ずれが生ずることがある。
また、同様の原因により、転写対象である用紙において本来画像が転写される範囲から外れた範囲に画像が転写されることがある。このような位置ずれの成分としては、主にスキュー、副走査方向のレジストずれ等が知られている。また、装置内温度変化や経時劣化による搬送ベルトの伸縮が知られている。
このような位置ずれを補正するため、パターン検知センサ117が設けられている。パターン検知センサ117は、感光体ドラム109Y、109M、109C及び109Kによって搬送ベルト105上に転写された位置ずれ補正用パターン、及び濃度補正用パターンを読み取るための光学センサであり、搬送ベルト105の表面に描画されたパターンを照射するための発光素子及び補正用パターンからの反射光を受光するための受光素子を含む。図3に示すように、パターン検知センサ117は、感光体ドラム109Y、109M、109C及び109Kの下流側において、搬送ベルト105の搬送方向と直行する方向に沿って同一の基板上に支持されている。
また、画像形成装置1においては、画像形成部106Y、106M、106C、106Kの状態変化や、光書き込み装置111の状態変化により、用紙104上に転写される画像の濃度が変動する可能性がある。このような濃度変動を補正するため、所定のルールに従って形成された濃度補正用パターンを検知し、その検知結果に基づいて画像形成部106Y、106M、106C、106Kの駆動パラメータや光書き込み装置111の駆動パラメータを補正する濃度補正が実行される。
パターン検知センサ117は、上述した位置ずれ補正用パターンを検知することによる位置ずれ補正動作の他、濃度補正用パターンの検知にも用いられる。パターン検知センサ117の詳細及び位置ずれ補正、濃度補正の態様については、後に詳述する。
このような描画パラメータ補正において搬送ベルト105上に描画された補正用パターンのトナーを除去し、搬送ベルト105によって搬送される用紙が汚れないようにするため、ベルトクリーナ118が設けられている。ベルトクリーナ118は、図3に示すように、駆動ローラ107の下流側であって、感光体ドラム109よりも上流側において搬送ベルト105に押し当てられたクリーニングブレードであり、搬送ベルト105の表面に付着したトナーを掻きとる顕色剤除去部である。
次に、本実施形態に係る光書き込み装置111について説明する。図4は、本実施形態に係る光書き込み装置111と感光体ドラム109との配置関係を示す図である。図4に示すように、各色の感光体ドラム109Y、109M、109C、109K夫々に照射される照射光は、光源であるLEDA(Light‐emitting diode Array)130Y、130M、130C、130K(以降、総じてLEDA130とする)から照射される。
LEDA130は、発光素子であるLEDが、感光体ドラム109の主走査方向に並べられて構成されている。光書き込み装置111に含まれる制御部は、主走査方向に並べられている夫々のLEDの点灯/消灯状態を、コントローラ20から入力された描画情報に基づいて主走査ライン毎に制御することにより、感光体ドラム109の表面を選択的に露光し、静電潜像を形成する。
次に、本実施形態に係る光書き込み装置111の制御ブロックについて、図5を参照して説明する。図5は、本実施形態に係る光書き込み装置111を制御する光書き込み装置制御部120の機能構成と、LEDA130及びパターン検知センサ117との接続関係を示す図である。
図5に示すように、本実施形態に係る光書き込み装置制御部120は、発光制御部121、カウント部122、センサ制御部123、補正値算出部124、基準値記憶部125及び補正値記憶部126を含む。光書き込み装置制御部120が、光源であるLEDA130を制御して感光体上に静電潜像を形成させる光書き込み制御装置として機能する。
尚、本実施形態に係る光書き込み装置111は、図1において説明したようなCPU10、RAM11、ROM12及びHDD14等の情報処理機構を含み、図5に示すような光書き込み装置制御部120は、画像形成装置1のコントローラ20と同様に、ROM12若しくはHDD14に記憶されている制御プログラムがRAM11にロードされ、CPU10の制御に従って動作することにより構成される。
発光制御部121は、コントローラ20のエンジン制御部31から入力される画像情報に基づいてLEDA130を制御する光源制御部である。即ち、発光制御部121が、画素情報取得部としても機能する。発光制御部121は、所定のライン周期でLEDA130を発光させることにより、感光体ドラム109への光書き込みを実現する。
発光制御部121がLEDA130を発光制御するライン周期は画像形成装置1の出力解像度によって定まるが、上述したように用紙の搬送速度との比率に応じて副走査方向に変倍を行う場合、発光制御部121がライン周期を調整することによって副走査方向の変倍を行う。
また、発光制御部121は、エンジン制御部31から入力される描画情報に基づいてLEDA130を駆動する他、上述した描画パラメータ補正の処理において補正用のパターンを描画するために、LEDA130を発光制御する。
図4において説明したように、LEDA130は夫々の色に対応して複数設けられる。従って、図5に示すように、発光制御部121も、複数のLEDA130夫々に対応するように複数設けられる。描画パラメータ補正処理のうち位置ずれ補正処理の結果生成される補正値は、図5に示す補正値記憶部126に位置ずれ補正値として記憶される。発光制御部121は、この補正値記憶部126に記憶されている位置ずれ補正値に基づき、LEDA130を駆動するタイミングを補正する。
発光制御部121によるLEDA130の駆動タイミングの補正は、具体的には、エンジン制御部31から入力された描画情報に基づいてLEDA130を発光駆動するタイミングをライン周期単位で遅らせる、即ちラインをシフトさせることによって実現される。これに対して、エンジン制御部31からは、所定の周期に従って次々に描画情報が入力されるため、ラインをシフトさせて発光タイミングを遅らせるためには、入力された描画情報を保持しておき、読み出すタイミングを遅らせる必要がある。
そのため、発光制御部121は、主走査ライン毎に入力される描画情報を保持するための記憶媒体であるラインメモリを有し、エンジン制御部31から入力された描画情報をラインメモリに記憶させることによって保持する。尚、LEDA130の駆動タイミングの補正としては、ライン周期単位での調整の他、ライン周期毎の発光タイミングの微調整も行われる。
カウント部122は、上記位置ずれ補正処理において、発光制御部121がLEDA130を制御して感光体ドラム109Kの露光を開始すると同時にカウントを開始する。カウント部122は、センサ制御部123が、パターン検知センサ117の出力信号に基づいて位置ずれ補正用パターンを検知することにより出力する検知信号を取得する。また、カウント部122は、検知信号を取得したタイミングにおけるカウント値を補正値算出部124に入力する。即ち、カウント部122がパターンの検知タイミングを取得する検知タイミング取得部として機能する。
センサ制御部123は、パターン検知センサ117を制御する制御部であり、上述したように、パターン検知センサ117の出力信号に基づき、搬送ベルト105上に形成された位置ずれ補正用パターンが、パターン検知センサ117の位置にまで到達したことを判断して検知信号を出力する。即ち、センサ制御部123が、パターン検知センサ117によるパターンの検知信号を取得する検知信号取得部として機能する。
また、センサ制御部123は、濃度補正用パターンによる濃度補正に際しては、パターン検知センサ117の出力信号の信号強度を取得し、補正値算出部124に入力する。更にセンサ制御部123は、位置ずれ補正用パターンの検知結果に応じて、濃度補正用パターンの検知タイミングを調整する。
補正値算出部124は、カウント部122から取得したカウント値や、センサ制御部123から取得した濃度補正用パターンの検知結果の信号強度に基づき、基準値記憶部125に記憶された位置ずれ補正用及び濃度補正用の基準値に基づいて補正値を算出する。即ち、補正値算出部124が、基準値取得部及び補正値算出部として機能する。基準値記憶部125には、このような計算に用いるための基準値が格納されている。
次に、位置ずれ補正用パターンを用いた位置ずれ補正動作について説明する。先ず、本実施形態に係る位置ずれ補正動作の前提として、従来技術に係る位置ずれ補正動作について説明する。図6は、従来技術に係る位置ずれ補正動作において、発光制御部121によって制御されたLEDA130によって搬送ベルト105上に描画されるマーク(以降、位置ずれ補正用マークとする)を示す図である。
図6に示すように、従来技術に係る位置ずれ補正用マーク400は、副走査方向に様々なパターンが並べられている位置ずれ補正用パターン列401が、主走査方向に複数(本実施形態においては2つ)並べられて構成されている。尚、図6において、実線が感光体ドラム109K、点線は感光体ドラム109Y、破線は感光体ドラム109C、一点鎖線は感光体ドラム109Mによって夫々描画されたパターンを示す。
図6に示すように、パターン検知センサ117は、主走査方向に複数(本実施形態においては2つ)のセンサ素子170を有し、夫々の位置ずれ補正用パターン列401は、夫々のセンサ素子170に対応した位置に描画されている。これにより、光書き込み装置制御部120は、主走査方向の複数の位置でパターンの検出を行うことが可能となり、描画される画像のスキューを補正することが可能となる。また、複数のセンサ素子170に基づく検知結果を平均することにより、補正精度を向上することができる。
図6に示すように、位置ずれ補正用パターン列401は、全体位置補正用パターン411とドラム間隔補正用パターン412を含む。また、図6に示すように、ドラム間隔補正用パターン412は、繰り返し描画されている。
従来技術に係る全体位置補正用パターン411は、図6に示すように、感光体ドラム109Yによって描画された線であって主走査方向に平行な線である。全体位置補正用パターン411は、画像の全体の副走査方向のずれ、即ち用紙に対する画像の転写位置を補正するためのカウント値を得るために描画されるパターンである。また、全体位置補正用パターン411は、センサ制御部123が、ドラム間隔補正用パターン412や、後述する濃度補正用のパターンを検知する際の検知タイミングを補正するためにも用いられる。
全体位置補正用パターン411を用いた全体位置補正においては、光書き込み装置制御部120が、パターン検知センサ117による全体位置補正用パターン411の読取信号に基づき、書き込み開始タイミングの補正動作を行う。
ドラム間隔補正用パターン412は、各色の感光体ドラム109における描画タイミングのずれ、即ち、各色の画像が重ね合わせられる重ね合わせ位置を補正するためのカウント値を得るために描画されるパターンである。図6に示すように、ドラム間隔補正用パターン412は、副走査方向補正用パターン413及び主走査方向補正用パターン414を含む。図6に示すように、ドラム間隔補正用パターン412は、CMYK各色のパターンが一組となって構成される副走査方向補正用パターン413及び主走査方向補正用パターン414が繰り返されることによって構成される。
光書き込み装置制御部120は、パターン検知センサ117による、副走査方向補正用パターン413の読取信号に基づき、感光体ドラム109K、109M、109C、109Y夫々の副走査方向の位置ずれ補正を行い、主走査方向補正用パターン414の読取信号に基づき、上記各感光体ドラムの主走査方向の位置ずれ補正を行う。
副走査方向補正用パターン413は、主走査方向に平行な水平パターンである。また、図6に示すように、ドラム間隔補正用パターン412が副走査方向に繰り返し描画されることにより、副走査方向補正用パターン413は、位置ずれ補正用マークにおいて副走査方向に異なる位置に複数含まれることとなる。
主走査方向補正用パターン414は、主走査方向に対して傾いた斜線パターンである。また、図6に示すように、ドラム間隔補正用パターン412が副走査方向に繰り返し描画されることにより、主走査方向補正用パターン414は、位置ずれ補正用マークにおいて副走査方向に異なる位置に複数含まれることとなる。
ここで、基準値記憶部125に記憶されている各色タイミング基準値について、図7を参照して説明する。図7は、全体位置補正用パターン411及びドラム間隔補正用パターン412の検知タイミングを示す図である。図7に示すように、全体位置補正用パターン411の検知期間tY0は、感光体ドラム109Yによって描画された夫々の線が読み取られる手前のタイミングである検知開始タイミングt0からの検知期間である。
また、ドラム間隔補正用パターン412に含まれる副走査方向補正用パターン413の検知期間t1Y、t1K、t1M、t1C及び主走査方向補正用パターン414の検知期間t2Y、t2K、t2M、t2Cは、一組のパターンが読み取られる手前のタイミングである検知開始タイミングt1、t2からの検知期間である。
基準値記憶部125には、図7に示す全体位置補正用パターン411の検知期間tY0や、副走査方向補正用パターン413及び主走査方向補正用パターン414の検知期間t1Y、t1K、t1M、t1C、t2Y、t2K、t2M、t2Cに対する基準値である。換言すると、基準値記憶部125には、画像形成装置各部の詳細な構成が設計通りである場合の全体位置補正用パターン411の検知期間tY0や、副走査方向補正用パターン413及び主走査方向補正用パターン414の検知期間tY、tK、tM、tCの理論値が基準値として格納されている。
即ち、補正値算出部124は、基準値記憶部125に記憶されている夫々の基準値と、図7に示す検知期間tY0、tY、tK、tM、tCとの差異を計算することにより、自身が搭載されている画像形成装置の設計値からのずれを求め、そのずれに基づいてLEDA130の発光タイミングを補正するための補正値を算出する。
また、全体位置補正用パターン411の検知期間tY0に対する基準値は、図7に示す検知開始タイミングt1、t2のタイミングを補正するためにも用いられる。即ち、補正値算出部124は、全体位置補正用パターン411の検知期間tY0と、それに対する基準値との差異に基づき、図7に示す検知開始タイミングt1、t2のタイミングを補正するための補正値を算出する。これにより、ドラム間隔補正用パターン412の検知期間の精度を向上することが可能である。
位置ずれ補正用マーク400は、所定のタイミングにおいて繰り返し実行される位置ずれ補正動作において毎回描画されるため、可能な限り描画範囲を小さくしてトナー消費を低減することが求められる。そのため、図8に示すように、夫々のパターンの主走査方向の幅を、センサ素子170の検知範囲に応じた幅とすることが理想的な状態となる。換言すると、位置ずれ補正用マーク400を構成する夫々のパターンを、センサ素子170の読み取り範囲に応じた幅で描画された狭幅パターンとすることが理想的である。尚、図8においては、図6に示す夫々のパターンに対応するパターンの符号に“´”を付して示している。
しかしながら、描画されるパターンは実際には主走査方向にずれることがあり得る。そのため、図8に示すようにセンサ素子170の検知範囲に対して主走査方向のマージンが少ない狭幅パターンが描画された場合、パターンが主走査方向にずれると、センサ素子170によって読み取られた際のセンサ出力のS/N比が低下し、検知ミスとなる場合もあり得る。
ここで、ドラム間隔補正用パターン412´に含まれる副走査方向補正用パターン413´及び主走査方向補正用パターン414´夫々の主走査方向の描画位置がずれた場合の弊害について説明する。図9(a)、(b)は、センサ素子170によるパターンの検知位置である検知範囲170´に対する副走査方向補正用パターン413´の位置と、検知信号との関係を示す図である。図中、縦方向が主走査方向であり、横方向が副走査方向である。
図9(a)は、センサ素子170の検知範囲170´に対して副走査方向補正用パターン413´が正常な位置に描画された場合を示す図である。図9(a)に示すように、検知範囲170´に対して副走査方向補正用パターン413´が正常な位置に描画されている場合、夫々のパターンのうち、検知範囲170´に入る範囲の搬送方向の中央が検知範囲170´の中央に到達したタイミングにおいてピークなるような信号が検知される。
図9(b)は、センサ素子170の検知範囲170´に対して副走査方向補正用パターン413´が主走査方向にずれて描画された場合を示す図である。図9(b)に示すように、検知範囲170´に対して狭幅パターンである副走査方向補正用パターン413´が主走査方向にずれて描画された場合、描画されたパターンのうち、検知範囲170´に入る範囲が少なくなるため、その分検知信号のピークが弱くなる。
図9(a)、(b)に示すように、副走査方向補正用パターン413´が主走査方向にずれて描画された場合の影響は検知信号のピーク強度のみである。副走査方向補正用パターン413´の検知において必要なのは検知のタイミングのみであるため、ピーク強度が弱くなったとしても、検知のタイミングが判断可能であれば大きな問題とはならない。
図10(a)〜(c)は、センサ素子170の検知範囲170´に対する主走査方向補正用パターン414´の位置と、検知信号との関係を示す図である。図9(a)、(b)と同様に、図中、縦方向が主走査方向であり、横方向が副走査方向である。
図10(a)は、センサ素子170の検知範囲170´に対して主走査方向補正用パターン414´が正常な位置に描画された場合を示す図である。図10(a)に示すように、検知範囲170´に対して主走査方向補正用パターン414´が正常な位置に描画されている場合、夫々のパターンのうち、検知範囲170´に入る範囲の搬送方向の中央が検知範囲170´の中央に到達したタイミングにおいてピークとなるような信号が検知される。
図10(b)は、センサ素子170の検知範囲170´に対して主走査方向補正用パターン414´が主走査方向にずれて描画された場合を示す図である。図10(b)に示すように、検知範囲170´に対して狭幅パターンである主走査方向補正用パターン414´がずれて描画されている場合、描画されたパターンのうち、検知範囲170´に入る範囲が少なくなるため、その分検知信号のピークが弱くなる。
更に、図10(b)の場合、狭幅パターンである主走査方向補正用パターン414´が主走査方向にずれた分、主走査方向補正用パターン414´の傾きに従って、信号の検知タイミングがずれることとなる。そして、信号のピークは、主走査方向補正用パターン414´のうち、検知範囲170´に入る部分の副走査方向の中央が、検知範囲170´の副走査方向の中央に到達したタイミングとなる。
その結果、図10(a)のタイミングよりも図中に示す“g1”の分ずれたタイミングとなる。このタイミングのずれに応じて、描画するべきパターンの主走査方向の位置を調整することが、主走査方向補正用パターン414´による補正の要旨である。尚、図10(a)〜(c)においては、主走査方向補正用パターン414´に含まれる各パターンの主走査方向の位置を全て同じ位置に示しているが、実際には、夫々の色毎に感光体ドラム109の設置やLEDA130の設置が異なるため、各色夫々について異なるずれを有する。
これに対して、図10(c)は、図6において説明したように、主走査方向補正用パターン414がセンサ素子170の検知範囲170´に対して主走査方向にマージンをもたせて描画された場合であって、図10(b)と同様の主走査方向のずれが発生した場合を示す図である。図10(c)においては、図10(b)にはない主走査方向補正用パターン414の部分を点線で示している。
図10(c)の場合、信号のピークは、主走査方向補正用パターン414´のうち、検知範囲170´に入る範囲の副走査方向の中央が、検知範囲170´の副走査方向の中央に到達したタイミングとなるのは同様である。
但し、図10(c)の場合、各パターンの主走査方向の幅が、検知範囲170´に対してマージンをもって描画されているため、主走査方向補正用パターン414のうち、検知範囲170´に入る範囲の副走査方向の中央の位置が異なる。結果的にピークタイミングが図中に示す“g2”の分ずれたタイミングとなる。即ち、本来であれば、“g1”と“g2”の合計分に基づいて主走査方向のずれが補正されなければならないところ、図10(b)の場合は“g1”分に基づいて補正がされてしまうこととなる。
換言すると、検知範囲170´の主走査方向の幅に対する主走査方向の位置ずれ補正のために描画される斜線パターンを狭幅パターンとして、主走査方向の幅のマージンを極力少なくすると、検知範囲170´に対して、斜線パターンの主走査方向が途切れ、その結果、検知タイミングにずれが生じる。このような弊害を解決することが、本実施形態に係る要旨の1つである。
図11は、図8において説明した本実施形態に係る位置ずれ補正用マーク400´に含まれるドラム間隔補正用パターン412´の詳細を示す図である。上述したように、ドラム間隔補正用パターン412´は、副走査方向にわたって繰り返し描画される。そして、本実施形態に係る位置ずれ補正用マーク400´においては、図11に示すように、繰り返し描画される夫々のドラム間隔補正用パターン412´が、主走査方向にずらされて描画される。即ち、複数の水平パターン及び斜線パターンの主走査方向の位置が互いに異なる。
図11においては、3つ描画されているドラム間隔補正用パターン412´を、夫々“A”、“B”、“C”とする。Aのドラム間隔補正用パターン412´は、主走査方向の中心が、検知範囲170´の中心と一致するように描画されている。Bのドラム間隔補正用パターン412´は、主走査方向の中心が、検知範囲170´の中心よりも図中において左側に幅g3だけずれて描画されている。
Cのドラム間隔補正用パターン412´は、主走査方向の中心が、検知範囲170´の中心よりも図中において右側に幅g3だけずれて描画されている。換言すると、B、Cのパターンは、主走査方向の位置が、検知範囲170´に対してオフセットされて描画されたオフセットパターンであり、オフセット量はg3である。尚、図11に示す配置は理想的な状態であり、上述した様々な要因によって位置ずれが発生した場合には、そのずれ量に応じて夫々のパターンもずれて描画されることになる。
図12は、図11に示すドラム間隔補正用パターン412´がパターン検知センサ117によって検知された場合の検知信号の例を示す図である。図12に示すように、主走査方向の中心が検知範囲170´の中心と一致しているAのパターンの場合に比べて、主走査方向の中心が検知範囲170´の中心から主走査方向にずれているB、Cのパターンの場合、検知信号のピークが小さくなる。また、B、Cのパターンの場合、図10(a)〜(c)において説明したように、検知タイミングの誤差も生じる。
図13は、上述した様々な要因による主走査方向の位置ずれが発生した場合の例を示す図である。図13においてAの副走査方向補正用パターン413´からわかる通り。イエローのパターンは主走査方向の位置ずれが発生していない。ブラック、シアンのパターンは、主走査方向において図中左側にずれる位置ずれが発生しているが、ブラックの位置ずれの方がシアンの位置ずれよりも大きい。マゼンタのパターンは、主走査方向において図中右側にずれる位置ずれが発生している。
位置ずれの発生していないイエローのパターンについては、Aのパターンが、センサ素子170によって正確に読み取られる。従って、イエローに対応する感光体ドラム109Yについての位置ずれ補正に際しては、少なくともAのパターンの検知信号のタイミングに基づき、正確な位置ずれ補正を行うことが可能である。
また、図9(a)、(b)において説明したように、主走査方向に位置ずれが発生したとしても、副走査方向補正用パターン413´の検知結果に対する影響は検知信号のピークレベル、即ち信号強度のみである。そのため、検知信号のピークレベルが下がっていたとしても、正確に検知可能なピークレベルであれば、B、Cのパターの検知信号のタイミングも参照しても良い。これにより、感光体ドラム109の副走査方向の周期変動による誤差を抑制することができる。
図中左側に位置ずれが発生しているブラック、シアンのパターンについては、Aのパターンの検知信号のピークが少し低くなると共に、元々左側にずれていたBのパターンの検知信号のピークは、更に低くなる。これに対して、Cのパターンは、元々右側にずれていたため、左側への位置ずれが発生することによってパターンの主走査方向の中心が検知範囲170´の主走査方向の中心に近づき、検知信号のピークが最大値に近づく。
従って、ブラック、シアンに夫々対応する感光体ドラム109B、109Cについての位置ずれ補正に際しては、少なくともCのパターンの検知信号のタイミングに基づき、正確な位置ずれ補正を行うことが可能である。
ここで、副走査方向補正用パターン413´の検知結果に基づいて生成される補正値は、副走査方向の位置ずれを補正するための値である。そのため、予めパターンが主走査方向にずらされたCのパターンの検知結果を用いる場合であっても、副走査方向の補正値には影響はない。
これに対して、主走査方向補正用パターン414´は、パターンの主走査方向のずれを、斜線の傾きに応じた検知タイミングのずれにより検知するためのものである。従って、予め主走査方向にずらされているパターンを用いる場合、そのずれ量を差し引いて補正値を求める必要がある。このずれ量は、図11において説明した幅g3である。
図中右側に位置ずれが発生しているマゼンタのパターンについては、ブラック、シアンのパターンと同様に、Aのパターンの検知信号のピークが少し低くなると共に、元々左側にずれていたBのパターンは、右側への位置ずれが発生することによってパターンの主走査方向の中心が検知範囲170´の主走査方向の中心に近づき、検知信号のピークが最大値に近づく。これに対して、元々右側にずれていたCのパターンの検知信号のピークは、更に低くなる。
従って、マゼンタに対応する感光体ドラム109Mについての位置ずれ補正に際しては、少なくともBのパターンの検知信号のタイミングに基づき、正確な位置ずれ補正を行うことが可能である。この場合において、主走査方向補正用パターン414´を用いた主走査方向の補正値の算出に際して、幅g3を差し引いて補正値を求める必要がある点は、上述したブラック、シアンと同様である。
このように、本実施形態に係る光書き込み装置111においては、位置ずれ補正用マーク400´の描画に際して、図8において説明したように、パターンの主走査方向の幅を、センサ素子170の検知範囲170´の幅に応じて、マージンを極力小さくした幅とすることにより、位置ずれ補正のために消費されるトナー量を低減する。
パターンの主走査方向のマージンを小さくすると、主走査方向の位置ずれが発生した場合、パターンが形成される主走査方向の位置が、センサ素子170の検知範囲170´に対してずれてしまい、パターンが正確に検知できなくなってしまう可能性がある。このような課題を解決するため、本実施形態に係る位置ずれ補正用マーク400´において繰り返し描画されるドラム間隔補正用パターン412´は、図11に示すように、夫々の繰り返し毎に主走査方向にずらされて描画される。
本実施形態においては、パターンの主走査方向の中心が検知範囲170´の主走査方向の中心と一致したAのパターンに加えて、主走査方向の一方向と反対方向との夫々にずらされたB、Cのパターンが描画される。これにより、図13において説明したように、描画されるパターンに主走査方向の位置ずれが発生している場合、予め主走査方向にずらされた状態で描画されたパターンの主走査方向の中心が検知範囲170´の主走査方向の中心に近づくため、パターンを正確に検知することが可能となる。
このような位置ずれ補正用マーク400´の構成により、本実施形態に係る位置ずれ補正処理においては、図8において説明したように、夫々のパターンの主走査方向幅が、検知範囲170´の主走査方向幅に対してマージンが少ない状態で描画されているにも関わらず、主走査方向の位置ずれが発生した場合であっても、予め主走査方向にずらされたパターンが検知され、検知が失敗するようなことがない。従って、位置ずれ補正動作のリトライを回避することができ、パターンの描画に用いられるトナー量の低減と共に、補正動作に要する時間の短縮を実現することが出来る。
次に、本実施形態に係る位置ずれ補正動作について図14のフローチャートを参照して説明する。図14に示すように、位置ずれ補正動作においては、光書き込み装置制御部120がパターンの描画を開始し(S1401)、パターン検知センサ117の検知信号によるパターンの検知を開始する(S1402)。これにより、補正値算出部124は、図15に示すような情報を、パターンの検知に応じて順次取得する。
t1Y、t1K、t1M、t1Cは、図7において説明したように副走査方向補正用パターン413´の検知結果であって、検知開始タイミングt1からの検知期間である。t2Y、t2K、t2M、t2Cは、図7において説明したように主走査方向補正用パターン414´の検知結果であって、検知開始タイミングt2からの検知期間である。
これに対して、Pt1Y、Pt1K、Pt1M、Pt1C及びPt2Y、Pt2K、Pt2M、Pt2Cは、夫々t1Y、t1K、t1M、t1C及びt2Y、t2K、t2M、t2Cに対応する検知信号のピークレベルを示す値である。本実施形態に係るピークレベルとは、図7に示す図における信号の立ち下がり量である。パターン検知センサ117の検知信号は、元々はアナログ信号であるが、そのアナログ信号のピーク値の信号強度が複数の閾値に基づいて判断されることにより、デジタル情報として処理される。
尚、「−A」、「−B」、「−C」という付記は、図11において説明したAパターン、Bパターン、Cパターンに夫々対応している。即ち、t1Y−Aであれば、Aパターンの副走査方向補正用パターン413´のイエローの検知期間を示す。また、Pt1Y−Aであれば、Aパターンの副走査方向補正用パターン413´のイエローの検知信号のピークレベルを示す。
補正値算出部124は、図15に示すような検知結果をパターンの検知に応じて順次取得すると、その検知結果に基づき、まずは副走査方向の位置ずれ補正を行うための副走査方向補正用パターン413´(以降、「水平パターン」とする)の検知結果を取得する(S1403)。即ち、t1Y−A、t1K−A、・・・、t1Y−B、t1K−B、・・・、t1Y−C、t1K−Cといった水平パターンの検知期間や、Pt1Y−A、Pt1K−A、・・・、Pt1Y−B、Pt1K−B、・・・、Pt1Y−C、Pt1K−Cといった水平パターンのピークレベルを取得する。
そして、補正値算出部124は、夫々取得した検知結果に基づき、副走査方向の位置ずれ補正のための補正値を算出する(S1404)。S1404において、補正値算出部124は、t1Y−A、t1K−A、・・・、t1Y−B、t1K−B、・・・、t1Y−C、t1K−Cといった水平パターンの検知期間と、基準値記憶部125に記憶されている夫々の検知期間に対する基準値との差分値に基づいて補正値を算出する。
ここで、本実施形態に係るドラム間隔補正用パターン412´は、図11において説明したように、繰り返し描画される夫々のパターンが、主走査方向にずらされて描画されている。そのため、図13において説明したように、元々のずれ量や発生している位置ずれ量によっては、パターン検知センサ117によってパターンが検知される際の検知信号のピークレベルが著しく低下し、パターンの検知が不可能となる。このような場合、図15に示す夫々の検知結果はNull値となる。そして、補正値算出部124は、S1404において、検知が成功している値のみに基づいて補正値を算出し、Null値は無視する。
更に、補正値算出部124は、夫々取得したピークレベルに基づき、主走査方向のずれ量の判定を行う(S1405)。図16(a)〜(c)は、S1405におけるずれ量の判定処理の原理を示す図である。図16(a)〜(c)においては、A、B、C夫々のパターンから1つずつ、所定色の水平パターンを抽出して図示すると共に、その検知信号のピークレベルを示している。
図16(a)は、主走査方向の位置ずれが発生していない場合を示す図である。この場合、図11において説明したように、検知範囲170´と主走査方向の中心が一致しているAのパターンの検知信号のピークレベルが最も高く、B、Cのパターンのピークレベルは略同一である。
図16(b)は、Cのパターンの主走査方向の中心が検知範囲170´の主走査方向の中心に近づくように位置ずれが発生している場合を示す図である。この場合、Cのパターンの検知信号のピークレベルが最も高く、次いでAのパターンの検知信号のピークレベルが高く、Bのパターンの検知信号のピークレベルが最も低い。
図16(c)は、Bのパターンの主走査方向の中心が検知範囲170´の主走査方向の中心に近づくように位置ずれが発生している場合を示す図である。この場合、Bのパターンの検知信号のピークレベルが最も高く、次いでAのパターンの検知信号のピークレベルが高く、Cのパターンの検知信号のピークレベルが最も低い。
このように、補正値算出部124は、同一色の水平パターンについて、A、B、C夫々のパターンのピークレベルの大小関係を比較することにより、その色の感光体ドラム109によって描画される画像が、主走査方向のどちらの方向にずれているのかを判断することが可能である。
また、Aのパターンは、図16(a)に示すように、主走査方向の位置ずれが無い状態において最もピークレベルが高くなり、位置ずれに応じてピークレベルが低くなる。従って、A、B、Cのパターンのピークレベルの大小関係に基づいて主走査位置ずれ方向を判定すると共に、Aのパターンのピークレベルに基づいて位置ずれ量を判定することが可能である。
図6において説明したように、水平パターンの主走査方向の幅が、検知範囲170´の主走査方向の幅に対して十分なマージンを持っている場合、主走査方向に位置ずれが生じたとしても、マージンによって吸収され、水平パターンの検知信号のピークレベルは変化しない。従って、図16(a)〜(c)に示すような、水平パターンの検知信号のピークレベルに基づく主走査方向にずれ方向や位置ずれ量の判定は、図8において説明したように、水平パターンの主走査方向の幅が検知範囲170´の主走査方向の幅に応じた幅、即ち、マージンの少ない幅で形成されていることによって可能になる。
水平パターンに基づく主走査ずれ量の判定が完了すると、次に、補正値算出部124は、主走査方向の位置ずれ補正を行うための主走査方向補正用パターン414´(以降、「斜線パターン」とする)の検知結果を取得する(S1406)。即ち、t2Y−A、t2K−A、・・・、t2Y−B、t2K−B、・・・、t2Y−C、t2K−Cといった水平パターンの検知期間や、Pt2Y−A、Pt2K−A、・・・、Pt2Y−B、Pt2K−B、・・・、Pt2Y−C、Pt2K−Cといった斜線パターンのピークレベルを取得する。
斜線パターンの検知結果を取得した補正値算出部124は、Pt2Y−A、Pt2K−A、・・・、Pt2Y−B、Pt2K−B、・・・、Pt2Y−C、Pt2K−Cといった斜線パターンのピークレベルをCMYK夫々の色毎に参照し、A、B、C夫々のパターンのうち、ピークレベルの最も高いパターンを、主走査方向の位置ずれ補正値の算出に用いるためのパターンとして選択する(S1407)。
このようにして選択したパターンが、BまたはCのパターン、即ちオフセットパターンであった場合(S1408/YES)、補正値算出部124は、選択したパターンの検知期間に基づいて主走査方向の補正値を算出すると共に、図11において説明したオフセット量であるg3を差し引いて算出結果を補正する(S1409)。他方、選択したパターンがAのパターンであった場合(S1408/NO)、補正値算出部124は、選択したパターンの検知期間に基づいて主走査方向の補正値を算出する(S1410)。
S1409及びS1410の処理によって補正値を算出すると、補正値算出部124は、算出した補正値が示す主走査方向のずれ方向が、S1405において判定したずれ方向と一致するか否か確認する(S1411)。その結果、ずれ方向が不一致であれば(S1411/NO)、何らかのエラーが発生しているとして、エラー処理を行う(S1412)。このような処理により、算出される補正値の信頼性を高めることが出来る。
他方、ずれ方向が一致していれば(S1411/YES)、補正値算出部124は、CMYK各色についてS1407からの処理を繰り返し(S1413/NO)、CMYK全色についてS1407からの処理が完了したら(S1413/YES)、処理を終了する。このような処理により、本実施形態に係る位置ずれ補正動作が完了する。
このように、本実施形態に係る光書き込み装置111においては、画像形成装置における画像の描画位置の正確性を保ちながら、補正用パターンの描画に係るトナー消費量の低減及び補正動作に要する時間の短縮を実現することが出来る。
尚、上記実施形態においては、図14のS1407において、斜線パターンの検知信号のピークレベルに基づいてA、B、Cいずれのパターンに基づいて補正値を算出するかを決定する場合を例として説明した。しかしながら、これは一例である。他の態様として、例えばS1405における判断結果を用いても良い。
S1405の判断により、補正値算出部124は、各色のパターンが主走査方向のいずれの方向にどの程度ずれているかを判断する。従って、S1407においては、S1405の判断結果を用いて、A、B、Cいずれのパターンを用いるかを決定しても良い。
例えば、S1405の判断において、図16(a)の状態のように、主走査方向の位置ずれが無い、若しくは軽微である場合、補正値算出部124は、S1407においてAのパターンを用いることを決定する。他方、図16(b)の状態のように、Cのパターンの主走査方向中心が、検知範囲170´に近づいている状態であれば、補正値算出部124は、S1407においてCのパターンを用いることを決定する。また、図16(c)の状態のように、Bのパターンの主走査方向中心が、検知範囲170´に近づいている状態であれば、補正値算出部124は、S1407においてBのパターンを用いることを決定する。
また、上記実施形態においては、図14において説明したように、S1407において選択したA、B、Cいずれかのパターンを用いて主走査方向の位置ずれ補正値を算出する場合を例として説明した。この他、ピークを検知できたパターンについては、すべて参照するようにしても良い。
ピークを検知できたパターンをすべて参照する場合、図10(a)〜(c)において説明したような、検知範囲170´に対するパターンの途切れによって誤差が生じている検知タイミングも参照されることとなる。従って、その誤差を補正する必要がある。
図17は、斜線パターン検知結果に基づく補正値の算出処理が行われた場合おいて、主走査方向の位置ずれを横軸に、その際の補正誤差を縦軸にとったグラフである。このように、主走査方向の位置ずれによって生じる補正値の誤差が予め判明している状態であれば、S1405において算出した位置ずれ量に基づき、算出された補正値を修正することによって、図10(a)〜(c)において説明した補正値の誤差の問題を解消することができる。そして、A、B、C複数のパターンに基づいて夫々算出した補正値の平均値を用いることにより、感光体ドラム109の副走査方向の周期変動による誤差を抑制することができる。
また、S1409においては、斜線パターンの検知結果のみに基づいて主走査方向の位置ずれ補正値を算出する場合を例として説明したが、補正値算出部124は、S1405において、水平パターンの検知結果のピークレベルに基づいて主走査ずれ量を判断している。この判断結果をS1409において加味するようにしても良い。
また、上記実施形態においては、図8において説明したように、副走査方向補正用パターン413´及び主走査方向補正用パターン414´を含むドラム間隔補正用パターン412を1セットとして、ドラム間隔補正用パターン412単位で、副走査方向に繰り返し描画される場合を例として説明した。
しかしながら、これは一例であり、例えば、副走査方向補正用パターン413´を主走査方向にずらしながら繰り返し描画した後に、主走査方向補正用パターン414´を主走査方向にずらしながら繰り返し描画しても良い。このような差異は、図7において説明した検知タイミングの順番の際であり、上記実施形態との間に大きな差異は無い。
また、上記実施形態においては、図8に示すように、副走査方向の位置ずれ補正用の水平パターンと、主走査方向の位置ずれ補正用の斜線パターンとが位置ずれ補正用マーク400に含まれる場合を例として説明した。しかしながら、図16(a)〜(c)において説明したように、検知範囲170´の主走査方向の幅に対する水平パターンの主走査方向の幅のマージンを極力少なくすることで、主走査方向の位置ずれが、水平パターンの検知信号のピークレベルによって現れる。そのため、斜線パターンを用いることなく、水平パターンのみによって主走査方向の位置ずれ補正を行うことが可能となる。