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JP6158648B2 - クロムフリー化成処理液および化成処理方法 - Google Patents

クロムフリー化成処理液および化成処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、亜鉛や亜鉛合金等の金属表面にクロムを含まない皮膜を化成処理により形成する技術に関する。
従来、亜鉛めっきは自らが腐食することによる犠牲防食作用により鉄を守る性質から鉄鋼の防食方法として広く利用されている。しかしながら、亜鉛はそのままでは変色しやすく、白色斑点などを生じやすいなどの欠点があるため、亜鉛めっき後にクロメート処理といわれる防錆処理が施される。
クロメート処理は、亜鉛めっきしたものを重クロム酸溶液に浸漬して表面に微量の6価クロムを含むクロム酸皮膜を形成することによる防食処理である。クロメート皮膜の最大の特徴は自己修復性であり、これによって亜鉛皮膜を防食する。
しかし、環境汚染等のため、近年になって6価クロムの使用が大きく制限されてきている。そのため、6価クロメート皮膜の代替技術の研究が取り組まれている。6価クロムを使用しない代替技術としては、3価クロム系化成皮膜が実用化されている。
3価クロム系化成皮膜の場合、6価クロムを使用しないが、共存物質によっては皮膜中や排水中の3価クロムが酸化されて6価クロムを生じることが懸念される。よってクロムを使用しない、いわゆるクロムフリーの亜鉛めっきの耐食性化成皮膜の開発が求められている。クロムを用いない、いわゆるクロムフリーの皮膜を形成する化成処理方法としては、特許文献1〜4などの技術がある。
特許文献1はバナジウム族元素の化合物と、希土類元素のイオンと、塩素イオン・フッ素イオン・硝酸イオン・硫酸イオン・リンの酸素酸のイオン・酢酸イオンのうち少なくとも一種と、を含むクロムフリーの亜鉛または亜鉛合金の表面に用いる表面処理液を開示する。また特許文献2は、バナジウム族元素の化合物と、希土類元素のイオンと、硝酸イオンと、有機硫黄化合物と、を含む亜鉛または亜鉛合金の表面に用いる表面処理液を開示する。
また特許文献3は、アルミニウムおよびアルミニウム合金材料に対して良好な耐食性と塗料密着性を付与するチタン錯フッ化物イオンとバナジウム化合物イオン等を含む化成処理液を開示する。また、特許文献4は、アルミニウムイオンとケイ素化合物とチタン化合物と硝酸イオンとクエン酸とを含有する化成処理液を開示する。
特開2011−202226号公報 特開2013−23758号公報 特開2010−261058号公報 特開2008−133502号公報
しかし、いずれの技術も、亜鉛や亜鉛合金の表面に形成した場合に耐食性が不十分であった。
そこで本発明は、クロムを用いずに、亜鉛や亜鉛合金等の表面に耐食性のより高い耐食性化成皮膜を形成する化成処理液を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係るクロムフリー化成処理液は、バナジン酸イオンと、硝酸イオンと、錯化剤であるジカルボン酸と、を含むことを特徴とする。
本発明によれば、クロムを用いずに、亜鉛や亜鉛合金の表面に耐食性のより高い化成皮膜を形成する化成処理液を提供することができる。
以下、本発明に係るクロムフリー化成処理液および化成処理方法の実施形態について説明する。
本実施形態のクロムフリーの化成処理液は、金属材料の表面に耐食性化成皮膜を形成する化成処理液である。本実施形態の化成処理液を用いる化成処理対象物である金属材料は特に限定されないが、亜鉛または亜鉛合金のめっき皮膜等が形成された、少なくとも表面部が亜鉛または亜鉛合金の金属材料の表面に対して表面処理を行って耐食性皮膜を形成する場合に用いられることが好ましい。本実施形態の化成処理液は、バナジン酸イオンと、硝酸イオンと、錯化剤と、を含む。
バナジン酸イオン(VO )の供給源は特に限定されないが、バナジン酸塩を化成処理液中に溶解させてバナジン酸イオンを生成させればよい。バナジン酸塩としては、バナジン酸ナトリウム(メタバナジン酸ナトリウム(NaVO)またはオルトバナジン酸ナトリウム)やバナジン酸アンモニウム等を用いることが好ましく、メタバナジン酸ナトリウムがより好ましい。
メタバナジン酸ナトリウムは化成処理液中において2g/L以上4g/L以下含まれることが好ましい。メタバナジン酸ナトリウムの含有量が2g/L以上4g/L以下であれば、耐食性がより向上する。また、4g/Lより多いと、完全溶解しない場合がある。
硝酸イオン(NO )は皮膜形成対象の素地の亜鉛を均一に溶解させる酸化剤である。硝酸イオンの供給源は特に限定されないが、硝酸塩を化成処理液中に溶解させて硝酸イオンを生成させればよく、硝酸ナトリウムを化成処理液中に溶解させて硝酸イオンを生成させることが好ましい。硝酸ナトリウムは化成処理液中において85g/L以上150g/L以下含まれることが好ましい。硝酸ナトリウムが85g/L以上150g/L以下含有されることで、耐食性がより向上する。硝酸ナトリウムの含有量が85g/Lより少ないと、化成皮膜形成に影響を及ぼし、結果として好適な範囲内の場合に比べて耐食性が低下する。また150g/Lより多いと、化成皮膜は形成するものの、好適な範囲内の場合に比べて耐食性は低下する。
錯化剤は、バナジウムイオン(バナジン酸塩)の安定化のために加えられる。本実施形態の錯化剤の種類は、バナジウムを安定化することができれば特に限定されないが、カルボン酸を用いることが好ましく、ジカルボン酸を用いることがより好ましい。
錯化剤として用いられるジカルボン酸としては、具体的には、マロン酸やコハク酸やフマル酸などが好ましい。このなかでもマロン酸が特に好ましい。
錯化剤としてマロン酸を用いた場合にマロン酸の含有量は化成処理液中において7.5g/L以上16g/L以下であることが好ましい。マロン酸の化成処理液中における含有量が7.5g/L以上16g/L以下であれば、耐食性がより向上する。マロン酸の化成処理液中における含有量が7.5g/Lより少ないと、化成皮膜の形成を阻害する場合があり範囲内の場合に比べて耐食性が低い。また16g/Lより多いと、化成皮膜は形成するものの、耐食性は範囲内である場合に比べて低下する。
また、本実施形態のクロムフリーの化成処理液において、バナジン酸ナトリウム(NaVO)と錯化剤の含有量のモル比は、バナジン酸ナトリウム/錯化剤の値で、1/10以上、1/2.0以下が好ましい。さらに、下限値は1/5以上がより好ましく、上限値は1/2.5以下がより好ましい。1/10以上1/2.0以下であれば、十分な耐食性が得られる。1/5以上1/2.5以下であれば、3価クロム系の化成処理皮膜と同等以上の優れた耐食性を有する皮膜が得られる。
以上の本実施形態の化成処理液は、そのpHが1以上5以下であることが好ましい。pHが1より小さいと亜鉛めっきの溶解が急速に進行し、化成皮膜形成を阻害する場合がある。またpHが5より大きいと亜鉛めっきの溶解速度が遅くなり、よってバナジウムの還元速度も遅くなるため、皮膜形成に時間がかかる。
次に、本実施形態の化成処理液を用いた金属の化成処理方法を説明する。なお本実施形態では、鋼板の表面に亜鉛めっき皮膜(または亜鉛合金めっき皮膜)が形成された金属材料に対して、亜鉛めっき皮膜上に化成処理皮膜を形成する方法を説明する。本実施形態の化成処理方法は、亜鉛めっき皮膜が形成された金属材料に本実施形態の化成処理液を接触させる方法である。
処理対象の金属材料を化成処理液に接触させる方法は特に限定されないが、金属材料を化成処理液に浸漬すればよい。浸漬処理する場合の化成処理液の温度は40℃以上70℃以下が好ましい。40℃未満であると、バナジウムの還元が遅くなり、化成皮膜形成を阻害する場合がある。また70℃より高いと、化成皮膜は形成するものの、耐食性が低下する。
また、金属材料の化成処理液への浸漬時間は0.5分以上2分以下が好ましい。0.5分未満であると、亜鉛めっき皮膜上に形成される化成処理皮膜の形成が十分ではなく、十分な耐食性が得られない場合がある。また2分より長く浸漬してもそれ以上皮膜形成は行われず、亜鉛めっき皮膜の溶解が起こる場合がある。
化成処理対象の金属材料を化成処理液に浸漬した後、浸漬した金属材料を乾燥処理することで化成処理膜が形成された金属材料が得られる。乾燥処理は、常温での通風乾燥で行うことが好ましい。6価クロメート皮膜の代替技術である3価クロム系の化成処理の場合には、通常は高温(70℃〜90℃程度)での通風乾燥が必要となるが、本実施形態の化成処理液の場合には常温通風乾燥が好ましい。たとえば、80℃以上の温度で乾燥させた場合に比べて、常温乾燥した場合の方がより耐食性を向上させることができる。従って、3価クロム系の化成処理液を用いる場合に比べて、本実施形態によれば化成処理工程をより簡易化することができる。なお、本実施形態における常温での通風乾燥は、加熱や冷却をせずに常温での通風を行って乾燥させるものであり、たとえば乾燥機を用いて常温での通風乾燥を行ってもよい。また、常温は日本工業規格に定められている5℃〜35℃程度でよい。
なお、本実施形態の化成処理方法において、亜鉛めっき皮膜が形成されている金属材料を化成処理液に浸漬する前に、硝酸に浸漬する処理を行ってもよい。この硝酸への浸漬工程は、亜鉛めっき皮膜上に形成されている亜鉛の酸化物を除去するために行う。硝酸への浸漬処理を行うことで、化成皮膜を形成しやすくする。硝酸への浸漬処理工程で用いる硝酸は、濃度は0.5%以上2.0%以下が好ましく、温度は常温が好ましい。
以上が、本実施形態の化成処理液および化成処理方法である。本実施形態によれば、6価クロムや3価クロムを用いずに、亜鉛や亜鉛合金の表面に、耐食性に優れた化成処理皮膜を形成することができる。また、本実施形態の化成処理皮膜は、外観が6価クロムによる化成処理皮膜に近く、さらに十分な耐食性を得るために必要なバナジン酸塩の量が非常に少量でよいため、コストを抑えて6価クロムと同等の耐食性や外観を備えた皮膜を形成できる。よって、本実施形態の化成処理液によって、より最適な6価クロメートの代替処理方法を実現することができる。
これに対して従来の3価クロム系の化成処理の場合には、それだけでは耐食性が不十分であり、耐食性を補うために樹脂等を用いたクリア塗装といったトップコートがさらに必要になるとともに、3価クロム系の化成処理液自体も非常に高価である。よって、6価クロムの代替技術としては十分でない。
また、本実施形態の化成処理の場合、化成処理対象の金属材料を化成処理液に浸漬させるなどして接触させた後の乾燥工程を、常温での通風乾燥で行うことができる。一方で、3価クロム系の化成処理の場合、高温で通風乾燥する必要がある。従って、本実施形態の化成処理液によれば、化成処理工程をより簡易化することができる。
次に、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(亜鉛めっき金属材料の作成)
化成処理液を作用させて化成処理皮膜を形成する対象物として、亜鉛めっき皮膜を有する金属材料を以下のように作成した。まず、金属材料である冷間圧延鋼板(SPCC)を溶剤で脱脂し、さらに電解脱脂した。そして、電解脱脂した鋼板に対して電気亜鉛めっきを行い、亜鉛めっき皮膜が形成された金属材料を得た。
(化成処理液による化成処理)
本発明に係る化成処理液により上記の金属材料に対して化成処理を行って、化成処理皮膜を有する金属材料を得た。以下、各試料の化成処理について具体的に説明する。
(試料1)
試料1の化成処理に用いた化成処理液は、バナジン酸ナトリウム(NaVO)を2.0g/L(0.02mol/L)、硝酸ナトリウムを100.0g/L(1.18mol/L)、マロン酸を7.8g/L(0.07mol/L)含有し、pHを2.0に調整したものである。化成処理方法は、まず60℃とした化成処理液に上述の亜鉛めっき皮膜が形成された金属材料を1分間浸漬した。そして浸漬処理を行った金属材料を常温(25℃)で通風乾燥し、化成処理皮膜が形成された試料1の金属材料を得た。
(試料2)
試料1において、バナジン酸ナトリウムを4.0g/L(0.03mol/L)とし、それに合わせて錯化剤であるマロン酸を15.5g/L(0.15mol/L)含有するものとしたこと以外は同様にして化成処理を行い、化成処理皮膜が形成された試料2の金属材料を得た。
(試料3)
試料1において、バナジン酸ナトリウムを8.0g/L(0.06mol/L)とし、それに合わせて錯化剤であるマロン酸を31.2g/L(0.30mol/L)含有するものとしたこと以外は同様にして化成処理を行い、化成処理皮膜が形成された試料3の金属材料を得た。
(試料4)
試料1において、バナジン酸ナトリウムを16.0g/L(0.13mol/L)とし、それに合わせて錯化剤であるマロン酸を62.4g/L(0.60mol/L)含有するものとしたこと以外は同様にして化成処理を行い、化成処理皮膜が形成された試料4の金属材料を得た。
(試料5)
試料1において、錯化剤であるマロン酸の代わりにコハク酸を9.1g/L(0.07mol/L)含有するものとしたこと以外は同様にして化成処理を行い、化成処理皮膜が形成された試料5の金属材料を得た。
(試料6)
試料1において、錯化剤であるマロン酸の代わりにフマル酸を8.9g/L(0.07mol/L)含有するものとしたこと以外は同様にして化成処理を行い、化成処理皮膜が形成された試料6の金属材料を得た。
(試料7)
試料1において、錯化剤であるマロン酸の代わりにサリチル酸を10.6g/L(0.07mol/L)含有するものとしたこと以外は同様にして化成処理を行い、化成処理皮膜が形成された試料7の金属材料を得た。
(試料8)
試料1において、錯化剤であるマロン酸の代わりに乳酸を6.9g/L(0.07mol/L)含有するものとしたこと以外は同様にして化成処理を行い、化成処理皮膜が形成された試料8の金属材料を得た。
(試料9)
試料1において、錯化剤であるマロン酸の代わりにグリコール酸を5.9g/L(0.07mol/L)含有するものとしたこと以外は同様にして化成処理を行い、化成処理皮膜が形成された試料9の金属材料を得た。
(試料10)
試料1において、錯化剤であるマロン酸の代わりにクエン酸(水和物)を15.8g/L(0.07mol/L)含有するものとしたこと以外は同様にして化成処理を行い、化成処理皮膜が形成された試料10の金属材料を得た。
(試料11)
試料1において、錯化剤であるマロン酸の代わりに酒石酸を11.6g/L(0.07mol/L)含有するものとしたこと以外は同様にして化成処理を行い、化成処理皮膜が形成された試料11の金属材料を得た。
(試料12)
試料1において、錯化剤であるマロン酸の代わりにリンゴ酸を10.3g/L(0.07mol/L)含有するものとしたこと以外は同様にして化成処理を行い、化成処理皮膜が形成された試料12の金属材料を得た。
(試料13)
試料1において、化成処理液のpHを3.0とした以外は同様にして化成処理を行い、化成処理皮膜が形成された試料13の金属材料を得た。
(試料14)
試料13において、化成処理における金属材料の化成処理液への浸漬時間を5分間とした以外は同様にして化成処理を行い、化成処理皮膜が形成された試料14の金属材料を得た。
(試料15)
試料13において、化成処理における金属材料の化成処理液への浸漬時間を10分間とした以外は同様にして化成処理を行い、化成処理皮膜が形成された試料15の金属材料を得た。
(試料16)
試料1において、化成処理における化成処理液の温度を40℃とした以外は同様にして化成処理を行い、化成処理皮膜が形成された試料16の金属材料を得た。
(試料17)
試料1において、化成処理における化成処理液の温度を25℃とした以外は同様にして化成処理を行い、化成処理皮膜が形成された試料17の金属材料を得た。
(試料18)
試料1において、化成処理液に浸漬後の金属材料を80℃で通風乾燥した以外は同様にして化成処理を行い、化成処理皮膜が形成された試料18の金属材料を得た。
(試料19)
試料1において、化成処理液に浸漬後の金属材料を120℃で通風乾燥を行った以外は同様にして化成処理を行い、化成処理皮膜が形成さされた試料19の金属材料を得た。
(試料20)
試料3において、錯化剤であるマロン酸の含有量を15.6g/L(0.15mol/L)とした以外は同様にして化成処理を行い、化成処理皮膜が形成された試料20の金属材料を得た。
(試料21)
試料3において、錯化剤であるマロン酸の含有量を62.4g/L(0.60mol/L)とした以外は同様にして化成処理を行い、化成処理皮膜が形成された試料21の金属材料を得た。
(試料22)
試料3において、バナジン酸ナトリウムの含有量を4.0g/L(0.03mol/L)とした以外は同様にして化成処理を行い、化成処理皮膜が形成された試料22の金属材料を得た。
(試料23)
試料3において、バナジン酸ナトリウムの含有量を16.0g/L(0.13mol/L)とした以外は同様にして化成処理を行い、化成処理皮膜が形成された試料23の金属材料を得た。
(試料24)
試料3において、硝酸ナトリウムの含有量を50g/L(0.59mol/L)とした以外は同様にして化成処理を行い、化成処理皮膜が形成された試料24の金属材料を得た。
(試料25)
試料3において、硝酸ナトリウムの含有量を200g/L(2.36mol/L)とした以外は同様にして化成処理を行い、化成処理皮膜が形成された試料25の金属材料を得た。
(試料26)
参考例として、試料1と同じ金属材料に3価クロム系化成皮膜を形成した。化成処理液は、CrCl・6HOを50.0g/L(0.19mol/L)、NaNOを100.0g/L(1.18mol/L)、マロン酸を31.2g/L(0.30mol/L)、Co(NOを3.0g/L(0.01mol/L)含み、pHは2.0である。化成処理方法は、60℃とした化成処理液に亜鉛めっき皮膜が形成された金属材料を、1分間浸漬した。そして浸漬処理を行った金属材料を70℃で通風乾燥し、化成処理皮膜が形成された試料26の金属材料を得た。
(耐食性試験)
上述の各試料について、JIS H8502に規定される中性塩水噴霧試験の試験方法に準じて、塩水噴霧試験機(スガ試験機(株)、型番:STP−110)により耐食性試験を行った。塩水を噴霧して24時間経過後の各試料の皮膜表面を目視で観察し、白色腐食生成物の発生を認めない場合を二重丸(◎)、16時間で白色腐食生成物の発生を認めた場合を丸(○)、8時間で白色腐食生成物の発生を認めた場合を三角(△)、4時間後に白色腐食生成物の発生を認めた場合をバツ(×)として評価した。
各試料作成に用いた化成処理液の組成、化成処理条件、および耐食性試験結果を表1に示す。
Figure 0006158648
耐食性の試験結果より、化成処理液の組成や化成処理条件が上述した実施形態において好ましいとした範囲内にある試料1や試料2や試料13や試料16は、耐食性に非常に優れた皮膜が得られたことが分かった。また、バナジン酸ナトリウムの含有量が好ましい範囲から外れた試料3、4、20は、3価クロム系化成皮膜の参考例と同等以上ではあるが若干耐食性が劣ることが分かった。
バナジン酸ナトリウムと錯化剤のモル比の好適な範囲を外れた試料21、22、23、は耐食性は得られたが、範囲内のものに比べて耐食性は劣った。また、硝酸ナトリウムの含有量が、好適な範囲を外れた試料24と25は、耐食性は得られたが、範囲内のものに比べて耐食性が劣った。
また、錯化剤としてマロン酸以外のジカルボン酸であるコハク酸やフマル酸を用いた試料5、6も耐食性に優れた皮膜であることが分かった。一方で、ジカルボン酸以外の化合物を錯化剤として用いた試料はサリチル酸(No.7)を除いて耐食性が大きく劣った。
化成処理液のpHを3とした試料13は十分な耐食性が得られたことが分かった。
化成処理において金属材料の化成処理液への浸漬時間を5分とした試料14はある程度耐食性が得られたが、浸漬時間を10分とした試料15は好適な範囲内の場合に比べて耐食性に優れた化成処理皮膜は得られなかった。また、化成処理液の温度が25℃の試料17は好適な範囲内のものに比べて耐食性が劣った。
乾燥工程での温度が80℃の試料18と、120℃の試料19は、範囲内のものに比べて耐食性が劣った。
以上のように、本発明の実施例によれば、3価クロム系の化成処理皮膜と同等の耐食性を備えたクロムフリーの化成処理皮膜が形成されることが分かった。
本発明のいくつかの実施形態・実施例を説明したが、これらの実施形態・実施例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態・実施例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態・実施例やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。

Claims (7)

  1. バナジン酸イオンと、硝酸イオンと、錯化剤であるジカルボン酸と、を含み、
    前記バナジン酸イオンの供給源がメタバナジン酸ナトリウムであって、前記メタバナジン酸ナトリウムと前記錯化剤であるジカルボン酸との含有量の比率が、メタバナジン酸ナトリウム/ジカルボン酸(モル比)の値で1/5以上1/2.5以下であることを特徴とするクロムフリー化成処理液。
  2. バナジン酸イオンと、硝酸イオンと、錯化剤であるジカルボン酸と、を含み、
    前記バナジン酸イオンの供給源がメタバナジン酸ナトリウムであって、前記メタバナジン酸ナトリウムを2g/L以上4g/L以下含むことを特徴とするクロムフリー化成処理液。
  3. バナジン酸イオンと、硝酸イオンと、錯化剤であるジカルボン酸と、を含み、
    前記硝酸イオンの供給源が硝酸ナトリウムであって、前記硝酸ナトリウムを85g/L以上150g/L以下含むことを特徴とするクロムフリー化成処理液。
  4. バナジン酸イオンと、硝酸イオンと、錯化剤であるジカルボン酸と、を含み、
    前記ジカルボン酸がマロン酸であり、前記マロン酸を7.5g/L以上16g/L以下含むことを特徴とするクロムフリー化成処理液。
  5. バナジン酸イオンと、硝酸イオンと、錯化剤であるジカルボン酸と、を含み、
    pHが1以上5以下であることを特徴とするクロムフリー化成処理液。
  6. 少なくとも表面部が亜鉛または亜鉛合金である化成処理対象物を、液温が40℃以上70℃以下である請求項1からのいずれかに記載のクロムフリー化成処理液に、0.5分以上2分以下浸漬することを特徴とするクロムフリー化成処理方法。
  7. 前記クロムフリー化成処理液に浸漬した前記化成処理対象物を、常温で通風乾燥することを特徴とする請求項に記載のクロムフリー化成処理方法。
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