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JP6158465B1 - 歯付ベルト及びその製造方法 - Google Patents

歯付ベルト及びその製造方法 Download PDF

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JP6158465B1
JP6158465B1 JP2017516787A JP2017516787A JP6158465B1 JP 6158465 B1 JP6158465 B1 JP 6158465B1 JP 2017516787 A JP2017516787 A JP 2017516787A JP 2017516787 A JP2017516787 A JP 2017516787A JP 6158465 B1 JP6158465 B1 JP 6158465B1
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Abstract

歯付ベルト(B)は、歯ゴム部(12)が、相対的にゴム硬さの高い第1ゴム組成物で形成された高硬度ゴム層(1121a)と相対的にゴム硬さの低い第2ゴム組成物で形成された低硬度ゴム層(1121b)とがベルト幅方向に交互に積層された内部ゴム部分(1121)と、内部ゴム部分(1121)の内周側表面を被覆するように設けられ高硬度ゴム層(1121a)と同一の相対的にゴム硬さの高い第1ゴム組成物で形成された表面ゴム部分(1122)とを含む。

Description

本発明は、歯付ベルト及びその製造方法に関する。
自動車エンジンにおいて、クランクシャフトの動力を利用してオーバーヘッドカムシャフトを回転駆動するための動力伝達部材として歯付ベルトが用いられている。かかる歯付ベルトは、一般に、エンドレスの平帯状の背ゴム部の内周側に所定ピッチで間隔をおいて複数の歯ゴム部が一体に設けられたゴム製のベルト本体を備えており、通常、ベルト本体の歯ゴム部が設けられた内周側の表面が歯部補強布で被覆された構成を有する。特許文献1には、背ゴム部のゴム硬さが歯ゴム部よりも高く且つ背ゴム部の外周面から歯ゴム部の内周面に向かってゴム硬さが連続的に低下している歯付ベルトが開示されている。特許文献2には、歯ゴム部を短繊維を含むゴム組成物で形成して高硬度化する一方、ベルト本体の歯ゴム部が設けられた内周側の表面を被覆する歯部補強布の外側を低硬度ゴム層で更に被覆して耐摩耗性及び衝撃吸収性を高めた歯付ベルトが開示されている。
特開2003−314622号公報 特開2010−210088号公報
本発明は、エンドレスの平帯状の背ゴム部と、前記背ゴム部の内周側に所定ピッチで間隔をおいて配設されて各々が前記背ゴム部に一体に設けられた複数の歯ゴム部とを有するゴム製のベルト本体を備えた歯付ベルトであって、前記複数の歯ゴム部のそれぞれは、相対的にゴム硬さの高い第1ゴム組成物で形成された高硬度ゴム層と相対的にゴム硬さの低い第2ゴム組成物で形成された低硬度ゴム層とがベルト幅方向に交互に積層された内部ゴム部分と、前記内部ゴム部分の内周側表面を被覆するように設けられ前記高硬度ゴム層と同一の相対的にゴム硬さの高い第1ゴム組成物で形成された表面ゴム部分とを含む。
本発明は、本発明の歯付ベルトの製造方法であって、各々、軸方向に延びるように形成された複数の歯部形成溝が周方向に間隔をおいて配設された外周面を有するベルト成形型を用い、前記ベルト成形型の外周面に心線を螺旋状に巻き付けた後、その上に前記相対的にゴム硬さの高い第1ゴム組成物を形成するシート状の第1未架橋ゴム組成物及び前記相対的にゴム硬さの低い第2ゴム組成物を形成するシート状の第2未架橋ゴム組成物を順に巻き付けて前記ベルト成形型上に未架橋スラブを成形し、前記未架橋スラブを前記ベルト成形型側に押圧すると共に加熱することにより、前記第1及び第2未架橋ゴム組成物を前記心線間に通して前記ベルト成形型の前記複数の歯部形成溝のそれぞれに流入させると共に架橋させるものである。
実施形態1の歯付ベルトの一片の斜視図である。 図1における矢視Xの正面図である。 実施形態1の歯付ベルトの歯部2個分の側面図である。 図2におけるIV-IV断面図である。 図2におけるV-V断面図である。 図3におけるVI-VI断面図である。 ベルト成形型の一部分の断面図である。 実施形態1の歯付ベルトの製造方法の第1の説明図である。 実施形態1の歯付ベルトの製造方法の第2の説明図である。 実施形態1の歯付ベルトの製造方法の第3の説明図である。 実施形態1の歯付ベルトの製造方法の第4の説明図である。 実施形態2の歯付ベルトの一片の斜視図である。 実施形態2の歯付ベルトの図6に対応する断面図である。 実施形態1の歯付ベルトの変形例の図6に対応する断面図である。 実施形態2の歯付ベルトの変形例の図10に対応する断面図である。 実施形態1の歯付ベルトの別の変形例の図6に対応する断面図である。 高負荷耐久試験用ベルト走行試験機のプーリレイアウトを示す図である。 耐衝撃性振動試験用ベルト試験機のプーリレイアウトを示す図である。
以下、実施形態について詳細に説明する。
(実施形態1)
図1〜6は、実施形態1に係る歯付ベルトBを示す。実施形態1に係る歯付ベルトBは、例えば自動車エンジンにおいて、クランクシャフトの動力を利用してオーバーヘッドカムシャフト(OHC)を回転駆動するための動力伝達部材として用いられるものである。実施形態1に係る歯付ベルトBは、例えば、ベルト長さが700mm以上2300mm以下、ベルト幅が10mm以上40mm以下、及びベルト厚さが4.5mm以上7.0mm以下である。
実施形態1に係る歯付ベルトBは、内周側に所定ピッチで間隔をおいて複数の歯部10Aが配設された噛み合い伝動ベルトである。歯部10Aは、ベルト幅方向に延びるように形成された側面視形状が半円形の突条で構成されたいわゆる丸歯である。歯部10Aの歯高さHは、ベルト長さ方向に相互に隣接する一対の歯部10A間の歯底部10Bから歯部10Aの先端までの寸法で規定され、例えば2.5mm以上4.0mm以下である。歯部10Aの歯幅Wは、ベルト長さ方向の歯部10Aを挟んだ相互に隣接する一対の歯底部10Bの端間の寸法で規定され、例えば4.5mm以上8.0mm以下である。歯部10Aの歯ピッチPは例えば6.0mm以上10.0mm以下である。なお、歯部10Aは、台形歯等のその他の形状であってもよく、また、ベルト幅方向に対して傾斜する方向に延びるように形成されたハス歯であってもよい。
実施形態1に係る歯付ベルトBは、ベルト本体11、心線12、背面補強布13、及び歯部補強布14を備えている。
ベルト本体11は、ゴム製であって、背ゴム部111と複数の歯ゴム部112とを有する。背ゴム部111は、エンドレスの平帯状に形成されている。背ゴム部111の厚さは例えば1.5mm以上4.0mm以下である。複数の歯ゴム部112は、歯部10Aに対応して背ゴム部111の内周側に所定ピッチで間隔をおいて配設されており、且つ各々が歯部10Aに対応した形状に形成されていると共に背ゴム部111に一体に設けられている。歯ゴム部112の高さhは、背ゴム部111に埋設された心線12の最内周部から歯ゴム部112の先端までの寸法で規定され、例えば2.5mm以上4.0mm以下である。
心線12は、ベルト本体11の背ゴム部111の内周側の表層に、周方向に延びると共にベルト幅方向にピッチを有する螺旋を形成するように埋設されている。心線12は、ガラス繊維、アラミド繊維、カーボン繊維、金属繊維等で形成された撚り糸で構成されている。心線12は、S撚り糸及びZ撚り糸が二重螺旋を形成するように設けられていることが好ましいが、単一のS撚り糸又はZ撚り糸で構成されていてもよい。心線12の直径は例えば0.5mm以上2.5mm以下である。ベルト幅方向に相互に隣接する心線12間の間隙は、ほぼ一定であって、例えば0.5mm以上3.0mm以下である。
背面補強布13は、ベルト本体11の背ゴム部111の外周側の表面を被覆するように貼設されている。歯部補強布14は、ベルト本体11の複数の歯ゴム部112が設けられた内周側の表面を被覆するように貼設されている。従って、歯ゴム部112が歯部補強布14で被覆されて各歯部10Aが構成されている。歯底部10Bでは、ベルト本体11の背ゴム部111に埋設された心線12が歯部補強布14のすぐ内側に配置されている。
背面補強布13及び歯部補強布14は、例えば、ナイロン繊維(ポリアミド繊維)、ポリエステル繊維、アラミド繊維、綿等の糸で形成された織布、編物、不織布等で構成されている。背面補強布13及び歯部補強布14は、これらのうちのナイロン繊維の織布で構成されていることが好ましい。背面補強布13及び歯部補強布14は、例えば、緯糸にウーリー加工等が施された織布のように伸縮性を有することが好ましい。背面補強布13及び歯部補強布14には、ベルト本体11との接着のため、いわゆるRFL水溶液に浸漬した後に加熱するRFL処理、低粘度のゴム糊に浸漬した後に乾燥させるソーキング処理、及び高粘度のゴム糊をベルト本体11側の表面に塗布して乾燥させるコーティング処理のうちの1種又は2種以上の接着処理が施されていることが好ましい。背面補強布13及び歯部補強布14には、接着処理の前に、エポキシ溶液又はイソシアネート溶液に浸漬した後に加熱する下地処理が施されていてもよい。背面補強布13及び歯部補強布14の厚さは例えば0.3mm以上2mm以下である。
実施形態1に係る歯付ベルトBでは、ベルト本体11が相対的にゴム硬さの高い第1ゴム組成物と、相対的にゴム硬さの低い第2ゴム組成物とで形成されている。
ベルト本体11の背ゴム部111は、複数の心線被覆ゴム部分111aと、それ以外の背面ゴム部分111bとを含む。複数の心線被覆ゴム部分111aは、ベルト幅方向に間隔をおいて配設されている。複数の心線被覆ゴム部分111aのそれぞれは、1本の心線12が埋設され且つその心線12を被覆するように設けられている。心線被覆ゴム部分111aは、高硬度の第1ゴム組成物で形成されている。背面ゴム部分111bは、背ゴム部111の背面層を構成し、背面補強布13が帖設されている。背面ゴム部分111bは、低硬度の第2ゴム組成物で形成されている。
ベルト本体11の複数の歯ゴム部112のそれぞれは、内部ゴム部分1121と、その内周側表面を被覆するように設けられた表面ゴム部分1122とを含む。
内部ゴム部分1121は、高硬度ゴム層1121aと低硬度ゴム層1121bとがベルト幅方向に交互に積層されて構成されている。高硬度ゴム層1121aは、ベルト幅方向において、背ゴム部111の複数の心線被覆ゴム部分111aのそれぞれに対応して設けられている。高硬度ゴム層1121aは、背ゴム部111の心線被覆ゴム部分111aと同一の高硬度の第1ゴム組成物で形成されており、従って、対応する心線被覆ゴム部分111aと連続して構成されている。低硬度ゴム層1121bは、ベルト幅方向において、相互に隣接する心線12の間隙に対応して設けられている。低硬度ゴム層1121bは、背ゴム部111の背面ゴム部分111bと同一の低硬度の第2ゴム組成物で形成されており、従って、背面ゴム部分111bと連続して構成されている。また、全ての低硬度ゴム層1121bは背面ゴム部分111bを介して繋がっている。高硬度ゴム層1121a及び低硬度ゴム層1121bのそれぞれは、ベルト横断面における層厚さがベルト厚さ方向に沿ってほぼ一定であってもよい。高硬度ゴム層1121aの層厚さは例えば0.5mm以上3.0mm以下である。低硬度ゴム層1121bの層厚さは例えば0.5mm以上3.0mm以下である。
低硬度ゴム層1121bは、ベルト幅方向に相互に隣接する心線12の間隙から内周側に垂下するように形成されている。ベルト縦断面における低硬度ゴム層1121bの形状は歯ゴム部112の形状に対応した半円形状であることが好ましい。背ゴム部111に埋設された心線12の最内周部からこの低硬度ゴム層1121bの先端までの平均寸法lは、後述の優れた高負荷耐久性及び耐衝撃性を得る観点から、歯ゴム部112の高さhに対して好ましくは30%以上、より好ましくは50%以上、更に好ましくは70%以上である。
表面ゴム部分1122は、心線被覆ゴム部分111a及び高硬度ゴム層1121aと同一の高硬度の第1ゴム組成物で形成されており、従って、内部ゴム部分1121の高硬度ゴム層1121aと連続して構成されている。全ての心線被覆ゴム部分111a及び高硬度ゴム層1121aは表面ゴム部分1122を介して繋がっている。表面ゴム部分1122の厚さは例えば0.5mm以上4.0mm以下である。
第1及び第2ゴム組成物は、それぞれゴム成分に各種のゴム配合剤が配合された第1及び第2未架橋ゴム組成物が加熱及び加圧されてゴム成分が架橋剤により架橋したものである。
第1及び第2ゴム組成物のゴム成分としては、例えば、水素添加アクリロニトリルゴム(以下「H−NBR」という。)、メタクリル酸亜鉛等の不飽和金属塩を微分散させて補強したH−NBR(以下「補強H−NBR」という。)、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、クロロプレンゴム、エチレンプロピレンジエンターポリマー(EPDM)などのエチレン−α−オレフィンエラストマー等が挙げられる。ゴム成分は、これらのうちの1種又は2種以上を用いることが好ましい。第1及び第2ゴム組成物は同一のゴム成分を含むことが好ましい。第1及び第2ゴム組成物のゴム成分はH−NBR及び補強H−NBRのうちの少なくとも一方を含むことが好ましい。高硬度の第1ゴム組成物のゴム成分がH−NBR及び補強H−NBRのブレンドゴムであり、且つ低硬度の第2ゴム組成物のゴム成分がH−NBRのみであることがより好ましい。
ゴム配合剤としては、加工助剤、加硫促進助剤、老化防止剤、補強材、可塑剤、共架橋剤、短繊維、架橋剤等が挙げられる。
加工助剤としては、例えば、ステアリン酸、ポリエチレンワックス、脂肪酸の金属塩等が挙げられる。加工助剤は、これらのうちの1種又は2種以上を用いることが好ましい。加工助剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して例えば0.3質量部以上0.7質量部以下である。
加硫促進助剤としては、例えば、酸化亜鉛(亜鉛華)や酸化マグネシウムなどの金属酸化物、金属炭酸塩、脂肪酸及びその誘導体等が挙げられる。加硫促進助剤は、これらのうちの1種又は2種以上を用いることが好ましい。加硫促進助剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して例えば3質量部以上15質量部以下である。
老化防止剤としては、例えば、ベンズイミダゾール系、芳香族第二級アミン系、アミン−ケトン系のもの等が挙げられる。老化防止剤は、これらのうちの1種又は2種以上を用いることが好ましい。老化防止剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して例えば1.5質量部以上3.5質量部以下である。
補強材としては、カーボンブラック、炭酸カルシウム、シリカ等が挙げられる。補強材は、これらのうちの1種又は2種以上を用いることが好ましい。カーボンブラックとしては、例えば、チャネルブラック;SAF、ISAF、N−339、HAF、N−351、MAF、FEF、SRF、GPF、ECF、N−234などのファーネスブラック;FT、MTなどのサーマルブラック;アセチレンブラック等が挙げられる。カーボンブラックは、これらのうちの1種又は2種以上を用いることが好ましい。カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して例えば0.1質量部以上50質量部以下である。補強材として炭酸カルシウムを用いる場合、その含有量は、ゴム成分100質量部に対して例えば5質量部以上15質量部以下である。補強材としてシリカを用いる場合、その含有量は、ゴム成分100質量部に対して例えば10質量部以上30質量部以下である。
可塑剤としては、例えば、ポリエーテルエステル、ジオクチルセバケート(DOS)などのジアルキルセバケート、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)などのジアルキルフタレート、ジオクチルアジペート(DOA)などのジアルキルアジペート等が挙げられる。可塑剤は、これらのうちの1種又は2種以上を用いることが好ましい。可塑剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して例えば3質量部以上15質量部以下である。
共架橋剤としては、例えば、トリメチロールプロパントリメタクリレート、m−フェニレンジマレイミド、亜鉛ジメタクリレート、トリアリルイソシアヌレート等が挙げられる。共架橋剤は、これらのうちの1種又は2種以上を用いることが好ましい。共架橋剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して例えば1質量部以上8質量部以下である。
短繊維としては、例えば、アラミド短繊維、ナイロン短繊維、ポリエステル短繊維等が挙げられる。短繊維の長さは例えば1mm以上3mm以下である。短繊維は、これらのうちの1種又は2種以上を用いることが好ましい。短繊維の含有量は、ゴム成分100質量部に対して例えば1質量部以上5質量部以下である。
架橋剤としては、硫黄及び有機過酸化物が挙げられる。架橋剤として、硫黄のみが用いられてもよく、また、有機過酸化物のみが用いられてもよく、更には、それらの両方が併用されていてもよい。これらのうち硫黄及び有機過酸化物の併用が好ましく、その場合、架橋剤の配合量は、例えば、ゴム成分100質量部に対して、硫黄が0.1質量部以上0.7質量部以下であり、有機過酸化物が2質量部以上5質量部以下である。
第1ゴム組成物のゴム硬さは第2ゴム組成物のゴム硬さはよりも高い。第1ゴム組成物のゴム硬さは、後述の優れた高負荷耐久性及び耐衝撃性を得る観点から、好ましくは85H以上95H以下、より好ましくは88H以上94H以下である。第2ゴム組成物のゴム硬さは、同様の観点から、好ましくは50H以上80H以下、より好ましくは65H以上75H以下である。第1及び第2ゴム組成物のゴム硬さの差は、同様の観点から、好ましくは5H以上45H以下、より好ましくは13H以上29H以下である。第1ゴム組成物のゴム硬さの第2ゴム組成物のゴム硬さに対する比は、同様の観点から、好ましくは1.1以上1.9以下、より好ましくは1.2以上1.5以下、更に好ましくは1.2以上1.4以下である。
第1ゴム組成物の列理方向の25℃での引張強さTは、後述の優れた高負荷耐久性及び耐衝撃性を得る観点から、好ましくは20MPa以上40MPa以下、より好ましくは25MPa以上35MPa以下である。第2ゴム組成物の列理方向の25℃での引張強さTは、同様の観点から、好ましくは15MPa以上35MPa以下、より好ましくは20MPa以上30MPa以下である。この第1ゴム組成物の引張強さTは、第2ゴム組成物の引張強さTよりも高いことが好ましい。
第1ゴム組成物の列理方向の25℃での伸びEは、後述の優れた高負荷耐久性及び耐衝撃性を得る観点から、好ましくは100%以上300%以下、より好ましくは150%以上250%以下である。第2ゴム組成物の列理方向の25℃での伸びEは、同様の観点から、好ましくは350%以上550%以下、より好ましくは400%以上500%以下である。この第1ゴム組成物の伸びEは、第2ゴム組成物の伸びEよりも小さいことが好ましい。
第1ゴム組成物の列理方向の25℃での100%時引張応力M100は、後述の優れた高負荷耐久性及び耐衝撃性を得る観点から、好ましくは10MPa以上30MPa以下、より好ましくは15MPa以上25MPa以下である。第2ゴム組成物の列理方向の25℃での100%時引張応力M100は、同様の観点から、好ましくは1.5MPa以上5.5MPa以下、より好ましくは2.5MPa以上4.5MPa以下である。この第1ゴム組成物の100%時引張応力M100は、第2ゴム組成物の100%時引張応力M100よりも高いことが好ましい。
ここで、第1及び第2ゴム組成物のゴム硬さは、JIS K6253に基づいてタイプAデュロメーターを用いて測定されるものである。第1及び第2ゴム組成物の列理方向の引張強さT、伸びE、及び100%時引張応力M100は、JIS K6301に基づく引張試験により測定されるものである。
以上の構成の実施形態1に係る歯付ベルトBは、例えば、自動車エンジンにおいて、クランクシャフトプーリ及びOHCプーリ間に巻き掛けられ、前者の動力を後者に伝達するための動力伝達部材として用いられる。
ところで、自動車エンジンにはコンパクト化の要求があり、その要求に対応して歯付ベルトには細幅化が求められる。しかしながら、細幅化した歯付ベルトに対しても、細幅化する前と同等の高負荷耐久性や耐衝撃性が要求される。これに対し、この実施形態1に係る歯付ベルトBによれば、歯ゴム部112が、相対的にゴム硬さの高い第1ゴム組成物で形成された高硬度ゴム層1121aと相対的にゴム硬さの低い第2ゴム組成物で形成された低硬度ゴム層1121bとがベルト幅方向に交互に積層された内部ゴム部分1121を有し、また、その内周側表面を被覆するように設けられた表面ゴム部分1122が高硬度ゴム層1121aと同一の相対的にゴム硬さの高い第1ゴム組成物で形成されていることにより、優れた高負荷耐久性及び耐衝撃性を得ることができる。これは、高硬度の表面ゴム部分1122により歯ゴム部112の変形が抑制されるので、歯ゴム部112に歯欠けに直結するようなピーク歪が生じるのを回避することができ、それに加えて、内部ゴム部分1121が高硬度ゴム層1121aと低硬度ゴム層1121bとの交互積層構造を有することにより、歯ゴム部112の変形に対する追随性が高まると共に、歯ゴム部112に負荷される荷重分布が均一化されるので、歯ゴム部112に歯欠けに直結するようなピーク応力が生じるのを回避することができるためであると推測される。
次に、実施形態1に係る歯付ベルトBの製造方法について図7及び図8A〜Dに基づいて説明する。
実施形態1に係る歯付ベルトBの製造方法は、材料準備工程、成形工程、架橋工程、及び仕上げ工程を有する。
<材料準備工程>
所定のゴム成分を素練りし、そこに各種のゴム配合剤を投入して混練することにより相対的にゴム硬さの高い第1ゴム組成物を形成する第1未架橋ゴム組成物を得る。そして、得られた第1未架橋ゴム組成物をカレンダー成形等することによりシート状の第1未架橋ゴム組成物151を作製する。
同様に、所定のゴム成分を素練りし、そこに各種のゴム配合剤を投入して混練することにより相対的にゴム硬さの低い第2ゴム組成物を形成する第2未架橋ゴム組成物を得る。そして、得られた第2未架橋ゴム組成物をカレンダー成形等することによりシート状の第2未架橋ゴム組成物152を作製する。
心線12、背面補強布13、及び歯部補強布14のそれぞれに接触処理を施す。また、背面補強布13及び歯部補強布14をそれぞれ筒状に成形する。
<成形工程>
図7はベルト成形型20を示す。
このベルト成形型20は、円筒状であって、各々、軸方向に延びるように形成された複数の歯部形成溝21が周方向に間隔をおいて配設された外周面を有する。
図8Aに示すように、ベルト成形型20の外周面上に筒状の歯部補強布14を被せ、その上から心線12を螺旋状に巻き付ける。ここで、隣接する心線12間の間隙をほぼ一定とするには、心線12をS撚り糸及びZ撚り糸で構成する場合、S撚り糸及びZ撚り糸の中心間距離を一定とし、その中心間距離の2倍の寸法をピッチでそれらのS撚り糸及びZ撚り糸を二重螺旋状に巻き付ければよい。また、心線12を単一のS撚り糸又はZ撚り糸で構成する場合、それを一定ピッチで螺旋状に巻き付ければよい。
次いで、その上にシート状の第1未架橋ゴム組成物151及びシート状の第2未架橋ゴム組成物152を順に巻き付ける。ここで、第1未架橋ゴム組成物151は、優れた高負荷耐久性及び耐衝撃性を得る観点から、第2未架橋ゴム組成物152よりも厚く巻くことが好ましい。第1未架橋ゴム組成物151の体積の第2未架橋ゴム組成物152の体積に対する比は、同様の観点から、好ましくは1より大、より好ましくは1.5以上であり、また、好ましくは3.5以下、より好ましくは2.5以下である。シート状の第1及び第2未架橋ゴム組成物151,152は、列理方向がベルト長さ方向に対応するように使用することが好ましい。
そして、更にその上に筒状の背面補強布13を被せ、ベルト成形型20上に未架橋スラブS’を成形する。
<架橋工程>
図8Bに示すように、ベルト成形型20上の未架橋スラブS’にゴムスリーブ22を被せ、それを加硫缶内に配置して密閉すると共に、加硫缶内に高温及び高圧の蒸気を充填して所定の成型時間だけ保持する。こうして未架橋スラブS’をベルト成形型側に押圧すると共に加熱することにより、図8Cに示すように、第1及び第2未架橋ゴム組成物151,152を心線12間に通して歯部補強部を押圧させながらベルト成形型20の複数の歯部形成溝21のそれぞれに流入させると共に架橋させる。それと同時に、心線12、背面補強布13、及び歯部補強布14を複合一体化させ、最終的に、図8Dに示すように、円筒状のベルトスラブSを成型する。
ここで、図8Cに示すように第1及び第2未架橋ゴム組成物151,152を流動させる観点からは、第1未架橋ゴム組成物151が第2未架橋ゴム組成物152よりも100℃におけるムーニー粘度が高いことが好ましい。第1未架橋ゴム組成物151の100℃におけるムーニー粘度は、好ましくは40ML1+4(100℃)以上、より好ましくは50ML1+4(100℃)以上であり、また、好ましくは70ML1+4(100℃)以下、より好ましくは60ML1+4(100℃)以下である。第2未架橋ゴム組成物152の100℃におけるムーニー粘度は、好ましくは20ML1+4(100℃)以上、より好ましくは30ML1+4(100℃)以上であり、また、好ましくは60ML1+4(100℃)以下、より好ましくは50ML1+4(100℃)以下である。第1未架橋ゴム組成物151の100℃におけるムーニー粘度の第2未架橋ゴム組成物152の100℃におけるムーニー粘度に対する比は、好ましくは1よりも大きく且つ2.0以下、より好ましくは1.5以下である。ムーニー粘度は、JIS K6300に基づいて測定される。
<仕上げ工程>
加硫缶の内部を減圧して密閉を解き、ベルト成形型20とゴムスリーブ22との間に成型されたベルトスラブSを取り出して脱型し、所定幅に輪切りすることにより歯付ベルトBを得る。
(実施形態2)
図9及び10は、実施形態2に係る歯付ベルトBを示す。なお、実施形態1と同一名称の部分は、実施形態1と同一符号で示す。
実施形態2に係る歯付ベルトBは、ベルト幅方向に相互に隣接する心線12間の間隙が相対的に小さい間隙と相対的に大きい間隙とを有する。具体的には、心線12間の相対的に小さい間隙と相対的に大きい間隙とがベルト幅方向に交互に配設されている。そして、心線12間の間隙が相対的に小さい部分では、背ゴム部111の心線被覆ゴム部分111aが、その小さい間隙を挟んでベルト幅方向に相互に隣接する一対の心線12が埋設され且つそれらの一対の心線12を被覆するように設けられている。心線12間の間隙が相対的に大きい部分では、歯ゴム部112の内部ゴム部分1121の低硬度ゴム層1121bが、ベルト横断面において、その大きい間隙から内周側に垂下するように形成されている。つまり、実施形態2に係る歯付ベルトBでは、心線12間の相対的に小さい間隙に対応しては低硬度ゴム層1121bが設けられておらず、高硬度ゴム層1121aが設けられており、心線12間の相対的に大きい間隙に対応して低硬度ゴム層1121bが設けられている。心線12間の相対的に小さい間隙は、例えば0.01mm以上0.5mm以下である。心線12間の相対的に大きい間隙は、例えば0.5mm以上1.5mm以下である。心線12間の相対的に小さい間隙に対する大きい間隙の比は0.6以上100以下であることが好ましい。
以上の構成の実施形態2に係る歯付ベルトBは、心線12をS撚り糸及びZ撚り糸で構成し、未架橋スラブS’の成形の際に、S撚り糸及びZ撚り糸の中心間距離を一定とし、その中心間距離の2倍の寸法よりも大きいピッチでそれらのS撚り糸及びZ撚り糸を二重螺旋状に巻き付ければよい。従って、この場合、同一の心線被覆ゴム部分111aで被覆される一対の心線12はS撚り糸及びZ撚り糸となる。
その他の構成及び作用効果は実施形態1と同一である。
(その他の実施形態)
上記実施形態1及び2では、高硬度ゴム層1121a及び低硬度ゴム層1121bのそれぞれのベルト横断面における層厚さがベルト厚さ方向に沿ってほぼ一定である構成を示したが、特にこれに限定されるものではなく、実施形態1に対応する図11A及び実施形態2に対応する図11Bに示すように、ベルト横断面における層厚さが基端側からベルト厚さ方向に沿って漸次大きくなった後に先端で急激に小さくなる断面形状が水滴形状に形成されていてもよい。なお、このような構成は、第1及び第2未架橋ゴム組成物151,152の配合設計によりそれらの流動性を調節することにより得ることができる。
実施形態1では、全ての心線12間の間隙に対応して低硬度ゴム層1121bが設けられた構成としたが、特にこれに限定されるものではなく、図12に示すように、心線12間の間隙に対応して低硬度ゴム層1121bが設けられていない部分を含んでいてもよい。
上記実施形態1及び2では、背面補強布13を備えた構成としたが、特にこれに限定されるものではなく、背面補強布13を有さずに背ゴム部111が露出した構成であってもよい。
[未架橋ゴム組成物]
高硬度の第1ゴム組成物及び低硬度の第2ゴム組成物をそれぞれ形成する第1及び第2未架橋ゴム組成物を調製した。それらの配合は表1にも示す。
(第1未架橋ゴム組成物)
密閉式のバンバリーミキサーのチャンバーにゴム成分としてのH−NBR(日本ゼオン社製 商品名:Zetpol2000)60質量%及び補強H−NBR(日本ゼオン社製 商品名:Zeoforte ZSC2195CX)40質量%を投入して素練りし、次いで、このゴム成分100質量部に対して、加硫促進助剤の酸化亜鉛5質量部、老化防止剤2.5質量部、補強材のカーボンブラック20質量部、補強材のシリカ20質量部、可塑剤5質量部、共架橋剤6質量部、アラミド短繊維(1mm)3質量部、架橋剤の硫黄0.3質量部、及び架橋剤の有機過酸化物3.2質量部を投入配合して混練して第1未架橋ゴム組成物を調製した。
(第2未架橋ゴム組成物)
密閉式のバンバリーミキサーのチャンバーにゴム成分としてのH−NBR(日本ゼオン社製 商品名:Zetpol2000)を投入して素練りし、次いで、このゴム成分100質量部に対して、加工助剤0.5質量部、加硫促進助剤の酸化亜鉛10質量部、老化防止剤2.5質量部、補強材のカーボンブラック40質量部、補強材の炭酸カルシウム10質量部、可塑剤10質量部、共架橋剤3質量部、架橋剤の硫黄0.5質量部、及び架橋剤の有機過酸化物3.2質量部を投入配合して混練して第2未架橋ゴム組成物を調製した。
Figure 0006158465
[歯付ベルト]
以下の実施例並びに比較例1及び2の歯付ベルトを作製した。それらの構成は表2にも示す。
(実施例)
第1及び第2未架橋ゴム組成物のそれぞれをカレンダー成形によってシート状に成形した。これらのシート状の第1及び第2未架橋ゴム組成物を用い(第1未架橋ゴム組成物67体積%及び第2未架橋ゴム組成物33体積%)、背面補強布を有さないことを除いて上記実施形態1と同様の構成の歯付ベルトを作製し、それを実施例とした。
実施例の歯付ベルトについて、ベルト長さは1381mm、ベルト幅は25mm、及びベルト厚さは6.3mmである。歯高さHは3.5mm、歯幅Wは7.4mm、及び歯ピッチPは9.525mmである。歯ゴム部の高さhは3.0mmであった。高硬度ゴム層の層厚さは平均1.5mmであり、低硬度ゴム層の層厚さは平均1.5mmであった。表面ゴム部分の厚さは平均1.0mmであった。心線の最内周部から低硬度ゴム層の先端までの寸法lは歯ゴム部の高さhに対して平均67%であった。
なお、心線には接着処理を施したガラス繊維の撚り糸及び歯部補強布には接着処理を施したナイロン6,6繊維の織布を用いた。
(比較例1及び2)
シート状の第1未架橋ゴム組成物のみを用いてベルト本体を形成したことを除いて実施例と同様にして歯付ベルトを作製し、それを比較例1とした。また、シート状の第2未架橋ゴム組成物のみを用いてベルト本体を形成したことを除いて実施例と同様にして歯付ベルトを作製し、それを比較例2とした。
Figure 0006158465
[試験方法]
(材料試験)
<ムーニー粘度>
第1及び第2未架橋ゴム組成物のそれぞれについて、JIS K6300に基づいて100℃におけるムーニー粘度を測定した。
<ゴム硬度>
第1及び第2未架橋ゴム組成物を架橋させた第1及び第2ゴム組成物のそれぞれについて、JIS K6253に基づいてタイプAデュロメーターを用いてゴム硬さを測定した。
<引張特性>
第1及び第2未架橋ゴム組成物を架橋させた第1及び第2ゴム組成物のそれぞれについて、JIS K6301に基づく引張試験により、列理方向の引張強さT、伸びE、及び100%時引張応力M100を測定した。
(ベルト試験)
<高負荷耐久試験>
図13は、高負荷耐久試験用のベルト走行試験機30のプーリレイアウトを示す。
このベルト走行試験機30は、駆動プーリ31と、その右方に設けられた従動プーリ32と、それらの間の下側に設けられたアイドラプーリ33とを有する。駆動プーリ31の外周には21個の歯部噛合溝が設けられている。従動プーリ32の外周には42個の歯部噛合溝が設けられている。アイドラプーリ33の外径は52mmである。
実施例並びに比較例1及び2のそれぞれの歯付ベルトBについて、このベルト走行試験機30の駆動プーリ31、従動プーリ32、及びアイドラプーリ33に巻き掛け、従動プーリ32に右方に1200NのデッドウエイトDWを負荷し、雰囲気温度100℃の下、駆動プーリを6000rpmの回転数で回転させてベルト走行試験を行った。そして、歯付ベルトが破損するまでの回転回数を測定した。
<耐衝撃性振動試験>
図14は、耐衝撃性振動試験用のベルト試験機40のプーリレイアウトを示す。
このベルト試験機40は、駆動プーリ41と、その左斜め下方に設けられた固定した第1従動プーリ42と、その左斜め上方に設けられた第2従動プーリ43と、駆動プーリ41、第1従動プーリ42、及び第2従動プーリ43の相互間に配設された3個のアイドラプーリ44と、第1従動プーリ42及び第2従動プーリ43間のアイドラプーリ44の直ぐ上方に設けられた張力付与プーリ45とを有する。駆動プーリ41の外周には22個の歯部噛合溝が設けられている。第1従動プーリ42の外周には22個の歯部噛合溝が設けられている。第2従動プーリ43の外周には44個の歯部噛合溝が設けられている。アイドラプーリ44の外径は28.5mmである。張力付与プーリ45の外径は67.7mmである。
実施例並びに比較例1及び2のそれぞれの歯付ベルトBについて、このベルト試験機40に、駆動プーリ41、第1従動プーリ42、及び第2従動プーリ43に歯部が噛合すると共に、アイドラプーリ44及び張力付与プーリ45にベルト背面が接触するように巻き掛け、張力付与プーリ45によりベルト張力が800Nとなるようにセットウエイトを負荷し、雰囲気温度25℃の下、駆動プーリ41を正方向に回転させ、駆動プーリ41に所定の負荷が生じたときに回転方向を逆方向に変更し、駆動プーリ41に所定の負荷が生じたときに回転方向を再び正方向に変更する繰り返し回転振動試験を行った。そして、歯付ベルトが歯欠けして破損するまでの振動回数を測定した。
[試験結果]
試験結果を表3及び4に示す。
Figure 0006158465
Figure 0006158465
表3の材料試験の試験結果によれば、第1未架橋ゴム組成物を架橋させた第1ゴム組成物は、第2未架橋ゴム組成物を架橋させた第2ゴム組成物よりも高硬度であることが確認された。
また、高硬度の第1ゴム組成物を形成する第1未架橋ゴム組成物は、低硬度の第2ゴム組成物を形成する第2未架橋ゴム組成物よりも100℃におけるムーニー粘度が低いことが分かる。
更に、第1未架橋ゴム組成物を架橋させた第1ゴム組成物は、第2未架橋ゴム組成物を架橋させた第2ゴム組成物よりも、列理方向の引張強さTが高く、伸びEが小さく、及び100%時引張応力M100が高いことが分かる。
表4のベルト走行試験の試験結果によれば、歯ゴム部が、高硬度の第1ゴム組成物で形成された高硬度ゴム層及び低硬度の第2ゴム組成物で形成された低硬度ゴム層がベルト幅方向に交互に積層された内部ゴム部分と、それを被覆するように設けられた高硬度の第1ゴム組成物で形成された表面ゴム部分とを有する実施例は、歯ゴム部が高硬度の第1ゴム組成物のみで形成された比較例1及び歯ゴム部が低硬度の第2ゴム組成物のみで形成された比較例2と比較すると、高負荷耐久性及び耐衝撃性のいずれもが優れることが分かる。
本発明は、歯付ベルト及びその製造方法の技術分野について有用である。
B 歯付ベルト
S ベルトスラブ
S’ 未架橋スラブ
10A 歯部
10B 歯底部
11 ベルト本体
111 背ゴム部
111a 心線被覆ゴム部分
111b 背面ゴム部分
112 歯ゴム部
1121 内部ゴム部分
1121a 高硬度ゴム層
1121b 低硬度ゴム層
1122 表面ゴム部分
12 心線
13 背面補強布
14 歯部補強布
151 第1未架橋ゴム組成物
152 第2未架橋ゴム組成物
20 ベルト成形型
21 歯部形成溝
22 ゴムスリーブ
30,40 ベルト走行試験機
31,41 駆動プーリ
32 従動プーリ
33,44 アイドラプーリ
42 第1従動プーリ
43 第2従動プーリ
45 張力付与プーリ

Claims (15)

  1. エンドレスの平帯状の背ゴム部と、前記背ゴム部の内周側に所定ピッチで間隔をおいて配設されて各々が前記背ゴム部に一体に設けられた複数の歯ゴム部と、を有するゴム製のベルト本体を備えた歯付ベルトであって、
    前記複数の歯ゴム部のそれぞれは、相対的にゴム硬さの高い第1ゴム組成物で形成された高硬度ゴム層と相対的にゴム硬さの低い第2ゴム組成物で形成された低硬度ゴム層とがベルト幅方向に交互に積層された内部ゴム部分と、前記内部ゴム部分の内周側表面を被覆するように設けられ前記高硬度ゴム層と同一の相対的にゴム硬さの高い第1ゴム組成物で形成された表面ゴム部分と、を含む歯付ベルト。
  2. 請求項1に記載された歯付ベルトにおいて、
    前記第1及び第2ゴム組成物のゴム硬さの差が5H以上45H以下である歯付ベルト。
  3. 請求項1又は2に記載された歯付ベルトにおいて、
    前記第1ゴム組成物のゴム硬さの前記第2ゴム組成物のゴム硬さに対する比が1.1以上1.9以下である歯付ベルト。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載された歯付ベルトにおいて、
    前記背ゴム部に、周方向に延びると共にベルト幅方向にピッチを有する螺旋を形成するように埋設された心線を更に備えた歯付ベルト。
  5. 請求項4に記載された歯付ベルトにおいて、
    前記背ゴム部は、ベルト幅方向に間隔をおいて配設されていると共に、各々、前記心線を被覆するように設けられた、前記第1ゴム組成物で形成された複数の心線被覆ゴム部分を含む歯付ベルト。
  6. 請求項5に記載された歯付ベルトにおいて、
    前記複数の心線被覆ゴム部分のそれぞれは、ベルト幅方向に相互に隣接する一対の前記心線を被覆するように設けられている歯付ベルト。
  7. 請求項5又は6に記載された歯付ベルトにおいて、
    前記高硬度ゴム層は、前記複数の心線被覆ゴム部分のそれぞれに対応して設けられ、且つ前記対応する心線被覆ゴム部分と連続して構成されている歯付ベルト。
  8. 請求項4乃至7のいずれかに記載された歯付ベルトにおいて、
    前記低硬度ゴム層は、ベルト幅方向に相互に隣接する前記心線の間隙から内周側に垂下するように形成されている歯付ベルト。
  9. 請求項4乃至8のいずれかに記載された歯付ベルトにおいて、
    前記心線の最内周部から前記低硬度ゴム層の先端までの平均寸法が、前記歯ゴム部の高さに対して30%以上である歯付ベルト。
  10. 請求項1乃至9のいずれかに記載された歯付ベルトにおいて、
    前記背ゴム部は、その背面層を構成する前記第2ゴム組成物で形成された背面ゴム部分を含む歯付ベルト。
  11. 請求項10に記載された歯付ベルトにおいて、
    前記低硬度ゴム層は、前記背面ゴム部分と連続して構成されている歯付ベルト。
  12. 請求項1乃至11のいずれかに記載された歯付ベルトにおいて、
    前記ベルト本体の前記複数の歯ゴム部が設けられた内周側の表面を被覆するように貼設された歯部補強布を更に備えた歯付ベルト。
  13. 請求項1乃至12のいずれかに記載された歯付ベルトの製造方法であって、
    各々、軸方向に延びるように形成された複数の歯部形成溝が周方向に間隔をおいて配設された外周面を有するベルト成形型を用い、
    前記ベルト成形型の外周面に心線を螺旋状に巻き付けた後、その上に前記相対的にゴム硬さの高い第1ゴム組成物を形成するシート状の第1未架橋ゴム組成物及び前記相対的にゴム硬さの低い第2ゴム組成物を形成するシート状の第2未架橋ゴム組成物を順に巻き付けて前記ベルト成形型上に未架橋スラブを成形し、前記未架橋スラブを前記ベルト成形型側に押圧すると共に加熱することにより、前記第1及び第2未架橋ゴム組成物を前記心線間に通して前記ベルト成形型の前記複数の歯部形成溝のそれぞれに流入させると共に架橋させる歯付ベルトの製造方法。
  14. 請求項13に記載された歯付ベルトの製造方法において、
    前記第1未架橋ゴム組成物の100℃におけるムーニー粘度が前記第2未架橋ゴム組成物の100℃におけるムーニー粘度よりも高い歯付ベルトの製造方法。
  15. 請求項14に記載された歯付ベルトの製造方法において、
    前記第1未架橋ゴム組成物の100℃におけるムーニー粘度の前記第2未架橋ゴム組成物の100℃におけるムーニー粘度に対する比が1よりも大きく且つ2.0以下である歯付ベルトの製造方法。
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