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JP6129502B2 - 放射性物質の除染処理システム - Google Patents

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JP6129502B2 JP2012210766A JP2012210766A JP6129502B2 JP 6129502 B2 JP6129502 B2 JP 6129502B2 JP 2012210766 A JP2012210766 A JP 2012210766A JP 2012210766 A JP2012210766 A JP 2012210766A JP 6129502 B2 JP6129502 B2 JP 6129502B2
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Description

本発明は、放射性セシウム等の放射性物質で汚染されたバイオマス、例えば瓦礫木材から放射性物質を分離する木材の除染方法及び放射性物質の除染処理システムに関する。
大気中に拡散した放射性物質は、降雨により地表面に落下し、土壌やアスファルト、山間部の樹木の葉など様々な箇所に定着している。特に、木造家屋から生じた瓦礫木材や、倒壊を免れた木材家屋及び木材家具などの木材全般もまた、放射性物質により汚染されることとなる。
放射性物質が付着した瓦礫木材等の処理方法としては、焼却処理と、放射性物質の抽出処理の2つが考えられる。
焼却処理とは、瓦礫木材等をチップ化し、焼却炉で処分する方法である(特許文献1)。この方法では、焼却によって木材に付着した放射性物質が気化するため、排ガスの徹底処理、管理が重要となる。また、焼却で発生する焼却灰中に放射性物質が濃縮されるため、焼却灰からの防爆、適正処分が必要となる。なお、放射異性物質と塩水とによる複合汚染がある場合には、焼却時に合成されるダイオキシン類の発生防止にも留意する必要がある。
放射性物質の抽出処理とは、瓦礫木材等から放射性物質を化学的に抽出する方法である。抽出方法としては、6N冷塩酸を用いる方法、6N熱塩酸、6N熱硝酸及び熱王水を用いる方法がある(非特許文献1)。この方法は、瓦礫木材等から放射性物質をこれらの強酸にて抽出(イオン化)し、水溶化した放射性物質をゼオライト等の吸着性のある材にてトラップするものである。しかしながら、これらの強酸による処理では、木材成分であるリグニンやセルロースも酸加水分解を受け、水溶性有機物が溶液側に溶け出すこととなる。このため、これらの水溶性有機物により放射性物質のゼオライト等への吸着を阻害する虞がある。さらに、抽出処理後の排水には、酸成分だけでなく多くの有機物が溶解しており、排水処理も非常に困難となる。なお、これらの酸による土壌からの放射性物質の抽出の研究では、1回処理で抽出効率が約60%前後であり、効率をさらに上げるには数回の洗浄が必要となる。
なお、木材への放射性物質の吸着特性については明確な既往の研究はない。ただし、非特許文献1では、木材の主要成分であるリグニン(試薬)にセシウム137を混合し、吸着特性を調べた結果、水溶性セシウム137が12.2%、置換態セシウム137が68.8%、固定態セシウム137が31.2%と、土壌と同様にほとんどが固体のリグニンに吸着していることを報告している。これらをまとめると、瓦礫木材等の木材への放射性物質の吸着特性としては、リグニンを始めとする木材成分に強固に定着していること、強酸を用いても高い抽出効率は期待できないことが考えられる。
また、木材に吸着した放射性物質に対する除染技術ではないが、例えば、非特許文献2には、放射性元素を含むハロゲン化物の除染の方法として、金属燃料の乾式再処理において発生する塩廃棄物を溶融させ、これをゼオライトのカラムに通し、ゼオライトのイオン交換を利用して塩廃棄物中の放射性核種をゼオライトに吸着し、除染する方法が開示されている。さらに、木材に吸着した放射性物質に対する除染技術ではないが、特許文献2及び3には、ハロゲン化物の放射性廃棄物の処理方法が記載されている。さらにまた、木材に吸着した放射性物質に対する除染技術ではないが、特許文献4には、放射性核種を廃液中から除去する前に廃液中の中性塩を分解した際に生成する酸と同種の酸を添加し廃液のpHを調整し、廃液中の放射性核種を共沈剤を添加して共沈させ沈殿物を廃液から除去することにより廃液から放射性核種を除去し、廃液中の放射性核種をイオン交換により除去し、放射性核種を除去した後の廃液の中性塩を電気透析により酸とアルカリに分解する方法が開示されている。
特開昭61-233399号公報 特開平8-110397号公報 特開平10-213697号公報 特開平8-271692号公報
津村、駒村、小林、土壌及び土壌-植物系における放射性ストロンチウムとセシウムの挙動に関する研究、農技研報B、36、57-113(1984) M. A. Lewis et al.,J. Am. Ceram. Soc., 76(11), p. 2826-2832 (1993)
ところが、上述したように、瓦礫木材や稲わら等のバイオマスが放射性物質を吸着したときに、当該バイオマスより効率良く放射性物質を分離することができ、分離後のバイオマスを資源として利用できるような処理方法は知られていないのが現状であった。そこで、本発明は、このような実情に鑑みて、放射性物質を吸着したバイオマスから、効率良く放射性物質を分離することができ、分離後のバイオマスを資源として利用できる、放射性物質で汚染されたバイオマスの除染方法を提供することを目的とする。
上述した目的を達成するために、本発明者らが鋭意検討した結果、放射性物質に汚染されたバイオマスをアルカリ性溶液に浸漬することで、バイオマス表面を放射性物質とともに離脱させることができることを見いだし、本発明を完成するに至った。
本発明は以下を包含する。
(1)放射性物質に汚染されたバイオマスをアルカリ性溶液に浸漬する工程と、アルカリ性溶液からバイオマスを分離する工程とを含み、バイオマス分離後のアルカリ性溶液に放射性物質を離脱させることを特徴とする、放射性物質で汚染されたバイオマスの除染方法。
(2)バイオマス分離後のアルカリ性溶液から沈殿汚泥を分離する工程と、分離された沈殿汚泥を含む溶液に凝集剤を添加して凝集汚泥を形成する工程と、得られた凝集汚泥を脱水する工程とを更に含む(1)記載の除染方法。
(3)上記凝集汚泥を脱水する工程で得られた水溶液を、上記アルカリ性溶液及び/又は上記沈殿汚泥に添加することを特徴とする(1)又は(2)記載の除染方法。
(4)上記バイオマスを浸漬するアルカリ性溶液は、界面活性剤を含むことを特徴とする(1)乃至(3)いずれかに記載の除染方法。
(5)上記凝集汚泥を脱水する工程で得られた液分を多孔質材料に接触させることで、当該水溶液に含まれる放射性物質を多孔質材料に吸着させる工程を更に含む(2)記載の除染方法。
(6)上記バイオマスは、瓦礫木材、木材、家屋廃材、稲わら及び枯葉からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする(1)乃至(5)いずれかに記載の除染方法。
本発明によれば、放射性物質を吸着したバイオマスから、放射性物質を効率良く分離できる、バイオマスの除染方法を提供できる。本発明に係るバイオマスの除染方法を適用することによって、放射性物質により汚染されたために使用不可能であったバイオマスを資源として利用できるようになる。また、本発明に係るバイオマスの除染方法によれば、分離した放射性物質を含む放射性廃棄物量を大幅に削減することができる。
放射性物質を吸着したバイオマスをアルカリ処理したときの状態を説明するための模式図である。 本発明に係る除染方法を実施する処理システムの概略構成図である。 セルロースをボールミル処理したときの粒径分布を測定した結果を示す特性図である。 セルロースをアルカリ処理したときの粒径分布を測定した結果を示す特性図である。 木材をアルカリ処理した後に回収した液分について成分分析した結果を示す特性図である。 切断した剪定枝を入れたジョッキーを撮像した写真である。 左側が剪定枝をアルカリ性溶液に浸漬処理した後の写真であり、右側は剪定枝を水道水に浸漬処理した後の写真である。 左側がアルカリ性溶液に浸漬した剪定枝を天日乾燥した後の写真であり、右側は水道水に浸漬した剪定枝を天日乾燥した後の写真である。
以下、本発明に係る、放射性物質で汚染されたバイオマスの除染方法について、図面を参照して詳細に説明する。
本発明において、放射性物質とは、放射性核種を含む物質を意味する。放射性物質とは、単一の元素からなる物質でも良いし、複数の元素や物質を含む混合物であっても良い。ここで、放射性核種とは、放射能を有する核種を意味し、安定同位体をもつ元素では放射性同位体とも呼称される。放射性核種には、自然界に存在する天然放射性核種(ウラン238、カリウム40及びラジウム226など)及び人工的に作られた人工放射性核種(セシウム134、セシウム137、ヨウ素131、キセノン133、ストロンチウム89、ストロンチウム90及びクリプトン88)のいずれも含む意味である。なお、人工放射性核種としては、上述した具体的な放射性同位体に限定されず、原子炉、核燃料リサイクル及び核爆発実験などにおいて生じうる全ての放射性同位体を包含する意味である。
このような放射性物質で汚染されたバイオマスとは、放射性物質で汚染される前には種々の用途に資源として利用されうるバイオマスの意味である。ここで、放射性物質による汚染の原因としては、何ら限定されず、原子炉や核燃料サイクルの通常の運転に際して放出される微量の放射性物質による汚染、核燃料及び核廃棄物の移送・保管に伴って放出される微量の放射性物質による汚染、原子力発電所など放射性物質を扱う施設における事故に起因して放出される放射性物質による汚染等を挙げることができる。
本発明においてバイオマスとは、植物由来の資源を意味する。バイオマスとしては、特に限定されないが、稲わら、麦わら、籾殻、林地残材(間伐材・被害木など)、資源作物、飼料作物、デンプン系作物及び枯葉等を挙げることができる。また、特にバイオマスとしては、瓦礫に含まれる木材(以下、瓦礫木材と称す)、家具などの木材加工品、木材からなる建築材等を挙げることもできる。これら例示されたものに限定されず、植物由来であって資源として利用可能なものであれば、如何なるものもバイオマスに含まれる。資源として利用可能とは、例えば、バイオ燃料の材料として利用できること、その他のエネルギー源として利用できることを意味する。
特に、本発明においては、製材工場等残材、建設発生木材、林地残材として発生する木質バイオマスを利用することが好ましい。木質バイオマスとしては、上述した発生源に限定されず、例えば、道路支障木、ダム流木、公園樹・街路樹・果樹等の剪定枝、廃パレット等を利用しても良い。木質バイオマスを資源として利用する場合、例えば、燃焼やガス化により発電する方法、チップやペレットの燃焼により熱利用する方法が挙げられる。また、木質バイオマスは、発酵技術を利用したバイオマス燃料製造における原料として利用することもできる。
本発明に係る除染方法は、放射性物質に汚染されたバイオマスをアルカリ性溶液に浸漬することで、当該バイオマスから放射性物質をアルカリ性溶液中に分離するものである。放射性物質に汚染されたバイオマスをアルカリ性溶液に浸漬すると、図1に示すように、当該バイオマスの表面を破壊し、表面を微粒子化することとなる。その結果、バイオマス表面に定着した放射性物質をアルカリ性溶液中にバイオマス表面由来の微粒に定着した状態で分離することができる。また、放射性物質を分離した後のバイオマスについては、図1に示すように、上述したような資源として利用することができる。さらに、放射性物質が定着したバイオマス表面の微粒子は、図1に示すように、例えば、凝集処理や脱水処理を施すことで脱水ケーキとして分離・回収することができる。
また、本発明に係る除染方法では、アルカリ性溶液が界面活性剤を含むことが好ましい。界面活性剤を含むアルカリ性溶液を使用することで、より優れた除染効果を達成することができる。ここで界面活性剤としては、特に限定されないが、陰イオン系(アニオン系)界面活性剤、非イオン系(ノニオン系)界面活性剤、両性イオン界面活性剤及び陽イオン系(カチオン系)界面活性剤を挙げることができる。陰イオン系(アニオン系)界面活性剤としては、脂肪酸ナトリウム及び脂肪酸カリウム等の脂肪酸系界面活性剤、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム等の直鎖アルキルベンゼン系界面活性剤、アルキル硫酸エステルナトリウム及びアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム等の高級アルコール系界面活性剤、アルファオレフィンスルホン酸ナトリウム等のアルファオレフィン系界面活性剤、並びにアルキルスルホン酸ナトリウム等のノルマルパラフィン系界面活性剤を挙げることができる。また、非イオン系(ノニオン系)界面活性剤としては、しょ糖脂肪酸エステルソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル及び脂肪酸アルカノールアミド等の脂肪酸系界面活性剤、並びにポリオキシエチレンアルキルエーテル等の高級アルコール系界面活性剤を挙げることができる。両性イオン界面活性剤としては、アルキルアミノ脂肪酸ナトリウム等のアミノ酸系界面活性剤、並びにアルキルアミンオキシド等のアミンオキシド系界面活性剤を挙げることができる。さらに、陽イオン系(カチオン系)界面活性剤としては、アルキルトリメチルアンモニウム塩及びジアルキルジメチルアンモニウム塩等の第四級アンモニウム塩系界面活性剤を挙げることができる。一方、界面活性剤を含むアルカリ性溶液としては、市販のアルカリ性洗浄剤を使用することもできる。市販のアルカリ性洗浄剤としては、特に限定されないが、例えば、MDI株式会社製の商品名ダイナミッククリーナーを使用することができる。
本発明に係る除染方法を実施するための処理システムを図2に模式的に示す。図2に示す処理システムは、アルカリ性溶液を充填してバイオマスを浸漬処理するためのアルカリ処理槽1と、アルカリ処理槽1から抜き出した汚泥に対して凝集処理を行う凝集沈殿槽2と、凝集沈殿槽2で形成された凝集汚泥に対して脱水処理を行うプレス機3とを備える。
アルカリ処理槽1は、内部に充填されたアルカリ性溶液を撹拌するための撹拌翼4と、撹拌翼4を回転動作させるモータ5と、内部に沈殿した汚泥を抜き出すためのポンプ装置6とを備える。また、凝集沈殿槽2は、内部に投入された沈殿を溶液とともに撹拌するための撹拌翼7と、撹拌翼7を回転動作させるモータ8と、内部に凝集した凝集汚泥を抜き出すためのポンプ装置9とを備える。
具体的に、本発明に係る除染方法では、先ず、瓦礫木材等のバイオマスを重機にてアルカリ性溶液を充填したアルカリ処理槽1に投入する。アルカリ性溶液としては、バイオマス表面を破壊して微粒子化できる程度の濃度とすることが好ましい。アルカリ性溶液としては、例えば1〜20重量%の水酸化ナトリウム溶液、望ましくは3〜15重量%の水酸化ナトリウム溶液である。この状態を例えば1〜2日間維持することで、瓦礫木材等のバイオマス表面にアルカリ性溶液が浸透し、バイオマス表面が可塑化されるとともに微粒子化される。バイオマスを汚染している放射性物質は、微粒子化されたバイオマス成分に定着しているため、バイオマスから分離されることとなる。なお、アルカリ処理槽1におけるアルカリ水溶液を加温する必要はないが、加温しても差し支えない。
このとき、モータ5及び撹拌翼4を用いてアルカリ性溶液を撹拌することで、投入されたバイオマスとアルカリ性溶液との接触を促進することができる。また、撹拌されたアルカリ性溶液の流動により、微粒子化されたバイオマス成分を剥がれやすくすることができる。
以上のようなアルカリ処理槽1内の処理により、放射性物質を含む微粒子化されたバイオマス成分をバイオマスから分離することができる。放射性物質を含む微粒子化されたバイオマス成分は、アルカリ処理槽1の底部に沈殿することとなる。一方、表面に付着した放射性物質を分離した後のバイオマスは、アルカリ処理槽1から回収され、天日乾燥や乾燥機により乾燥させる。この際、瓦礫木材等のバイオマスの内部までアルカリ性溶液や水分が浸透していないため、比較的早い時間で乾燥させることができる。その後、バイオマスは、適当な大きさへのチップ化、敷材利用、燃料利用等などバイオマス資源として有効利用することができる。
また、アルカリ処理槽1から回収したバイオマスに対して、従来公知の装置及び方法により放射性物質濃度を測定することができる。例えば、セシウム137の濃度については、ゲルマニウム半導体検出器を使ったガンマ線スペクトル分析により計算することができる。これにより、処理後のバイオマスの放射線量を測定し、各種の規制値以下の放射線量であるバイオマスのみを資源として利用することで安全性を確保することができる。
一方、アルカリ処理槽1の底部に沈殿した汚泥は、ポンプ装置6で引き抜き、凝集沈殿槽2へ移送する。このとき、アルカリ処理槽1と凝集沈殿槽2とをポンプ装置6を介して配管で連結し、汚泥の移送時における放射線の影響を低減することもできる。凝集沈殿槽2では、汚泥に対して必要な水を加水するとともに、適宜、酸にて凝集に適したpHまで調整する。次に、凝集沈殿槽2に凝集剤を添加する。凝集剤としては、汚泥の凝集剤として使用されている如何なる物質を使用しても良い。凝集剤としては、例えば、ポリ塩化アルミニウム(PAC)、高分子凝集剤、PACと高分子凝集剤との併用、またはポリグルタミン酸架橋体が挙げられる。特に、ポリグルタミン酸架橋体は、適用可能なpHが4〜12と広範囲であるため、最も望ましい凝集剤である。
次に、凝集沈殿槽2で沈殿分離した凝集汚泥をポンプ装置9で引き抜き、プレス機3へ移送する。このとき、凝集沈殿槽2とプレス機3とをポンプ装置9を介して配管で連結し、汚泥の移送時における放射線の影響を低減することもできる。なお、プレス機3としては、汚泥の脱水に使用されている如何なる装置を使用しても良い。プレス機3としては、例えばフィルタープレス装置を使用することができる。
プレス機3では、凝集汚泥に含まれる水分を除去し、当該凝集汚泥を脱水ケーキとする。なお、脱水ケーキには放射性物質が濃縮されているため、適正な管理下で処分する。脱水ケーキの処分には、焼却処分や放射線の漏えいを防止した状態での保管処分などが挙げられる。
なお、プレス機3にて脱水分離された液分は、次のアルカリ処理または凝集沈殿処理の用水として再利用することができる。ただし、プレス機3にて脱水分離された液分に放射性物質が含まれる場合、ゼオライト等の多孔質材料に接触させることで、放射性物質を液分から除去することができる。このように液分に放射性物質を含む場合、当該放射性物質を除去した後にアルカリ処理または凝集沈殿処理の用水として再利用することが好ましい。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
本実施例では、市販のセルロースを用いてボールミル処理とアルカリ処理を行い、それぞれの処理によりセルロースの粒径がどのように変化したか検証した。本実施例において、市販のセルロースとして、アルドリッチ社製の商品名:セルロースを使用した。
ボールミル処理では、市販セルロースを1分間、3分間時間を変え粉砕した。ボールミル処理にはセイワ技研社製の装置名:卓上ボールミルを使用した。アルカリ処理では、市販セルロースをスラリー濃度5%となるように3重量%の水酸化ナトリウム水溶液を入れ、24時間撹拌を行った。
ボールミル処理、アルカリ処理後の市販セルロースを回収し乾燥させた後、エタノール液に所定量入れ、超音波洗浄装置で10分間分散処理した後、マイクロトラック粒度分析計(SRA方式;日機装社製)で粒度分布を求めた。
ボールミル処理後の市販セルロースの粒径分布を図3に示し、アルカリ処理後の市販セルロースの粒径分布を図4に示す。なお、図3及び4には、各処理前の市販のセルロースの粒径分布とともに示している。
図3から判るように、ボールミル処理時間が長くなるほど全体的に粒径の小さい側にシフトする傾向は見られたが、ボールミル処理ではセルロース粒径の著しい変動はなかった。これに対して、アルカリ処理を行った市販セルロースは、処理前と比較して明らかに粒径の小さな粒子が増加することがわかった。特に、アルカリ処理では、10μm以下の微粒子が多く確認された。なお、粒径の中央値(D50)を求めると、処理前が23.0μm、ボールミル1分間処理が21.4μm、ボールミル3分間処理が21.5μm、アルカリ処理が17.4μmであった。この結果、アルカリ処理によれば、セルロース表面の加水分解により、セルロースを微粒子化させる効果があることがわかった。
〔実施例2〕
本実施例では、実施例1でセルロースを微粒子化させる効果のあったアルカリ処理について、セルロースの表面がどのように変化しているのかを検証した。本実施例では、木材として、市販の杉材を使用した。
本実施例では、先ず、木材を3重量%の水酸化ナトリウム水溶液に24時間浸漬した。その後、液分を回収し、0.45μmメンブレンフィルターでろ過した。得られたろ過液を用いて溶出成分を液体クロマトグラフィー(ウオーターズ社製、装置名:Alliance system)にて分析した。分析結果として得られたクロマトグラムを図5に示した。図5から判るように、溶出成分にはいくつかのピークが検出されたが、特にバニリン及びバニリン酸が同定できた。これらの成分は、木材のリグニンを構成するものであり、本実験からはアルカリ処理により木材のリグニンを破壊していることが示唆された。
〔実施例3〕
実施例1及び2から、木質系バイオマスをアルカリ処理することで木質バイオマスの表面を破壊し、当該バイオマス表面を微粒子化できることが示唆された。この結果より、放射性物質により汚染されたバイオマスをアルカリ処理することで、バイオマスを有効に利用できるかたちで効率良く除染することができか検証した。
具体的には、S市山林地から伐採した剪定枝を用いた。剪定枝のうち、径1〜1.5cmのものを選抜し、長さ20cmに切断した。図6に示すように、5Lプラスチック製ジョッキー2本に切断した剪定枝を各々275gずつ入れた。また、一方のジョッキーには4Lの水道水を、他方のジョッキーには4LのNaOH水溶液(55g-NaOH/L)を混合した(剪定枝重量当りのNaOH添加率20%に設定)。
18時間室温で静置した結果、NaOH水溶液に浸漬したサンプル(以降、アルカリ浸漬と称す)は、図7(左;アルカリ浸漬、右;水浸漬)に示すように、黒色に変色していた。これは、剪定枝表面樹脂部分がアルカリに浸食され、特にアルカリ可溶性リグニンが溶解したものと考えられる。
各ジョッキーから剪定枝を別のジョッキーに取り出し、水道水を4Lずつ入れ攪拌機にて30rpmの速度で5分間水洗浄を行った。その後、水洗浄した剪定枝を取り出し天日乾燥させた。
図8には天日乾燥後の剪定枝の様子を示す。図8の左に示すように、アルカリ浸漬した剪定枝は樹皮表面が黒色に変化していた。一方、水浸漬した剪定枝は、図8の右に示すように外観上は処理前と大きな変化は確認できなかった。
次に、天日乾燥した各剪定枝を剪定ハサミで5mm程度のチップに加工し、放射線量及び含水率を測定した。なお、放射線量はゲルマニウム半導体測定器(ORTEC社製、装置名;食品・環境放射能測定装置 SEG-EMS (ゲルマニウム半導体検出器GEM20P4-70))で測定した。
測定結果を表1に示した。
Figure 0006129502
表1に示すように、供試剪定枝の放射線量は、Cs-134で2,300Bq/kg、Cs-137で3,600Bq/kgであった。一方、水浸漬及びアルカリ浸漬した剪定枝はいずれも線量が低下した。特に、アルカリ浸漬した剪定枝の線量はCs-134で510Bq/kg、Cs-137で890Bq/kgとなった。
低減効果を評価するために、乾燥重量ベースでの線量を算定した。その結果を表2に示した。
Figure 0006129502
表2に示すように、水浸漬した剪定枝、アルカリ浸漬した剪定枝の乾燥重量当たりの線量は、供試剪定枝における線量の各々28%、65%の低減率となった。この結果から、放射性物質に汚染されたバイオマスをアルカリ性溶液に浸漬することで、極めて優れた除染効果を達成できることが明らかとなった。
〔実施例4〕
本実施例では、より除染効果を向上させる技術を検討した。
先ず、S市山林地から刈取った雑草を用いた。これをハサミで5cm程度に裁断した。なお、裁断した雑草の含水率は81.4%であった。
1Lガラス製ビーカー3本に雑草を50gずつ入れ、表3に示す各洗浄溶液を800mLずつ混合した。No.1は、水道水であり、No.2は1.5g/Lに水道水で調整したNaOH水溶液である。また、No.3は、MDI株式会社製のダイナミッククリーナーであり、これを水道水で4倍に希釈したものを用いた。なお、ダイナミッククリーナーはエチレングリコールモノブチルエーテルを主要成分としたpH12の洗浄剤である。
Figure 0006129502
各ビーカーをジャーテスターにセットし、室温にて18時間撹拌を継続した。終了後、2mm目開きのステンレス製篩に各ビーカーの内容物を通し、2mmオーバー分を回収した。その後、篩に回収された2mmオーバー分を水道水で洗浄し、水分が十分切れた段階で分析用サンプルとした。
得られた分析用サンプルについて含水率及び放射線量を測定した。なお、放射線量は、ゲルマニウム半導体測定器(実施例3と同じ装置)により測定した。表4に測定結果を示した。なお、項目Cs-134、Cs-137及び低減率において、括弧内の数値は乾燥重量ベースの値である。
Figure 0006129502
表4に示すように、供試雑草は湿重量当りCs-134で134Bq/kg、Cs-137で380Bq/kgが検出された。これを乾燥重量換算するとCs-134で1,183Bq/kg、Cs-137で2,043Bq/kgとなる。一方、水洗浄したNo.1では、湿重量当りCs-134で56Bq/kg、Cs-137で100Bq/kgとなった。また、NaOH水溶液で洗浄したNo.2では、湿重量当りCs-134で19Bq/kg、Cs-137で13Bq/kgまで大幅に低減することが確認された。さらに、界面活性効果を持たせたアルカリ洗浄剤であるダイナミッククリーナーを用いたNo.3では、Cs-134、Cs-137とも更に低減し、湿重量換算では検出下限値である16 Bq/kg未満となった。この結果は、湿重ベースで95%超、乾燥ベースでは89%超の極めて高い低減率となる。
No.3で用いた洗浄液ダイナミッククリーナーは、アルカリに界面活性を付与した洗浄剤である。このように、アルカリに界面活性を持たせることによって、アルカリ洗浄以上の除染効果を発揮できることがわかった。
1…アルカリ処理槽、2…凝集沈殿槽、3…プレス機、4…回転翼、5…モータ、6…ポンプ装置、7…回転翼、8…モータ、9…ポンプ装置

Claims (4)

  1. アルカリ性溶液を充填して、放射性物質により汚染されたバイオマスを浸漬処理するためのアルカリ処理槽であって、当該バイオマスの表面を当該アルカリ性溶液により破壊して微粒子化されたバイオマスとするアルカリ処理槽と、
    前記アルカリ処理槽と接続され、前記アルカリ処理槽から抜き出した、放射性物質を含む微粒子化されたバイオマスを含む汚泥に対して凝集処理を行う凝集沈殿槽と、
    前記凝集沈殿槽と接続され、前記凝集沈殿槽で形成された凝集汚泥に対して脱水処理を行うプレス機と
    を備える放射性物質の除染処理システム。
  2. 前記凝集沈殿槽では、汚泥を含む溶液に凝集剤を添加することを特徴とする請求項1記載の除染処理システム。
  3. 前記プレス機にて行った脱水処理により得られた水溶液を、前記アルカリ処理槽及び/又は前記凝集沈殿槽に添加することを特徴とする請求項1記載の除染処理システム。
  4. 上記バイオマスを浸漬するアルカリ性溶液は、界面活性剤を含むことを特徴とする請求項1記載の除染処理システム。
JP2012210766A 2012-09-25 2012-09-25 放射性物質の除染処理システム Expired - Fee Related JP6129502B2 (ja)

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