JP6123378B2 - ポリアミド樹脂の製造方法 - Google Patents
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Description
一方で、ジカルボン酸成分と、ジアミン成分を重縮合して得たポリアミド樹脂を、二軸スクリューを有する押出機を用いた溶融混練により、さらに重縮合させてポリアミド樹脂を得る方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。二軸スクリューを有する押出機では、短時間で原料が溶融混練できるとともに、高融点のポリアミド樹脂でも生産可能であり、さらには、セルフクリーニング性により少量多品種の製品を取り扱うことができるというメリットがある。そのため、様々な種類のポリアミド樹脂を、二軸スクリューを有する押出機により製造する方法が種々検討されている。
また、ポリアミド樹脂は、その種類や分子量によって融点が比較的高いこともあり、押出機において溶融に時間を要することがある。そのため、原料として投入したポリアミド樹脂が、未溶融のままベントに吸引されて目詰まりが発生する等の工程上の不具合が生じることがある。
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(10)を提供するものである。
(1)下記一般式(I−1)で表される芳香族ジアミン単位、下記一般式(I−2)で表わされる脂環族ジアミン単位、及び下記一般式(I−3)で表わされる脂肪族ジアミン単位から選択されるジアミン単位を70モル%以上含むジアミン単位と、下記一般式(II−1)で表される直鎖脂肪族ジカルボン酸単位、及び下記一般式(II−2)で表わされる芳香族ジカルボン酸単位から選択されるジカルボン酸単位を50モル%以上含むジカルボン酸単位を含有するポリアミド樹脂(A)を、重縮合して前記ポリアミド樹脂(A)よりも高分子量のポリアミド樹脂(B)を製造するポリアミド樹脂の製造方法であって、
該製造方法では、相対粘度が1.5〜2.4のポリアミド樹脂(A)を、少なくとも1つ以上の真空ベントを有し、同方向回転かみ合い型二軸スクリューからなる押出機を用いて、溶融混練により、重縮合して前記ポリアミド樹脂(A)よりも高分子量のポリアミド樹脂(B)を製造し、
前記真空ベントを設けた位置よりも供給部側の位置に降圧エレメントを設け、かつ全スクリュー長さの30〜70%の範囲を300torr以下の真空領域とする、ポリアミド樹脂の製造方法。
(2)前記ポリアミド樹脂(A)の水分率が2質量%以下である上記(1)に記載のポリアミド樹脂の製造方法。
(3)ポリアミド樹脂(B)の相対粘度が2.5〜4.0となる上記(1)又は(2)に記載のポリアミド樹脂の製造方法。
(4)前記ポリアミド樹脂(A)が、リン原子濃度10〜500ppmでリン化合物が配合されたものである上記(1)〜(3)のいずれかに記載のポリアミド樹脂の製造方法。
(5)オープンベントを前記真空領域よりも供給部側に配置する上記(1)〜(4)のいずれかに記載のポリアミド樹脂の製造方法。
(6)前記真空領域、及び前記真空領域よりも供給部側の位置に前記ポリアミド樹脂(A)を混練する混練部を設ける上記(1)〜(5)のいずれかに記載のポリアミド樹脂の製造方法。
(7)前記押出機のダイ側端部から全スクリュー長さの25%以下の範囲内に、少なくとも1つ以上の真空ベントを設ける上記(1)〜(6)のいずれかに記載のポリアミド樹脂の製造方法。
(8)前記押出機のダイ側端部から全スクリュー長さの25%以下の範囲内に、分配混合性の強い混練エレメントを設ける上記(1)〜(7)のいずれかに記載のポリアミド樹脂の製造方法。
(9)前記真空領域よりも供給部側の位置に前記ポリアミド樹脂(A)を混練する混練部を設け、該混練部が分散混合性の強い混練エレメントを備える上記(1)〜(8)のいずれかに記載のポリアミド樹脂の製造方法。
(10)上記(1)〜(9)のいずれかに記載のポリアミド樹脂の製造方法により製造されたポリアミド樹脂(B)から成形され、包装材料、包装容器、工業材料及び工業用部品から成る群から選択される物品。
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
<ポリアミド樹脂(A)>
本発明において原料となるポリアミド樹脂(A)は、ジアミン単位と、ジカルボン酸単位を含有するポリアミド樹脂(A)である。
ジアミン単位とジカルボン酸単位との含有量の割合は、重合反応の観点から、ほぼ同量であることが好ましく、ジカルボン酸単位の含有量がジアミン単位の含有量の±2モル%であることがより好ましい。ジカルボン酸単位の含有量がジアミン単位の含有量の±2モル%の範囲となると、ポリアミド樹脂の重合度が上がりやすく、重合が比較的短時間で済み、熱劣化が生じにくい。
ポリアミド樹脂(A)は、本発明の効果を損なわない範囲で、ジアミン単位及びジカルボン酸単位以外の構成単位を更に含んでいてもよい。ジアミン単位及びジカルボン酸単位以外の構成単位の含有量は、例えば20モル%以下、好ましくは10モル%以下、より好ましくは5モル%以下であるが、含有しないほうがよい。
ポリアミド樹脂(A)中のジアミン単位は、下記一般式(I−1)で表される芳香族ジアミン単位、下記一般式(I−2)で表わされる脂環族ジアミン単位、及び下記一般式(I−3)で表わされる脂肪族ジアミン単位から選択されるジアミン単位を70モル%以上含む。当該含有量は、好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上であり、その上限値は100モル%である。
一般式(I−2)で表される脂環族ジアミン単位を構成しうる化合物としては、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン等のビス(アミノメチル)シクロヘキサン類が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ビス(アミノメチル)シクロヘキサン類は、構造異性体を持つが、cis体比率を高くすることで、ポリアミド樹脂は、結晶性が高くなり、成形性も良好となる。一方、cis体比率を低くすれば、結晶性が低い、透明なポリアミド樹脂が得られる。したがって、結晶性を高くしたい場合は、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン類におけるcis体含有比率を70モル%以上とすることが好ましく、より好ましくは80モル%以上、更に好ましくは90モル%以上とする。一方、結晶性を低くしたい場合は、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン類におけるtrans体含有比率を50モル%以上とすることが好ましく、より好ましくは60モル%以上、更に好ましくは70モル%以上とする。
一般式(I−3)で表される直鎖脂肪族ジアミン単位を構成しうる化合物としては、エチレンジアミン、1,3−プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン等の脂肪族ジアミンを例示できるが、これらに限定されるものではない。これらの中でも、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミンが好ましい。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ポリアミド樹脂(A)中のジカルボン酸単位は、重合時の反応性、並びにポリアミド樹脂の結晶性及び成形性の観点から、下記一般式(II−1)で表される直鎖脂肪族ジカルボン酸単位、及び下記一般式(II−2)で表される芳香族ジカルボン酸単位から選択されるジカルボン酸単位を、ジカルボン酸単位中に合計で50モル%以上含む。当該含有量は、好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上、更に好ましくは90モル%以上であり、また、その上限値は100モル%である。
一般式(II−1)中、nは2〜18の整数を表し、好ましくは3〜16、より好ましくは4〜12、更に好ましくは4〜8である。
一般式(II−1)で表される直鎖脂肪族ジカルボン酸単位を構成しうる化合物としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸等を例示できるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
一般式(II−2)中、Arはアリーレン基を表す。前記アリーレン基は、好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜15のアリーレン基であり、例えば、フェニレン基、ナフチレン基等が挙げられる。
一般式(II−2)で表される芳香族ジカルボン酸単位を構成しうる化合物としては、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等を例示できるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明において、原料であるポリアミド樹脂(A)の相対粘度は1.5〜3.0となるものである。本発明では、相対粘度が上記範囲内になることで、後述する製造方法により工程上の不具合を生じさせることなく、ポリアミド樹脂(A)を高分子化して、ポリアミド樹脂(B)を製造することができる。
本発明では、相対粘度が1.5未満となると、押出機において重縮合反応が速く進んで脱水量が多くなり、例えば、後述する真空ベントによって、水とともに原料が吸引され、目詰まり等の不具合が発生することがある。また、相対粘度が3.0より大きくなると、そもそも溶融重合する際に長時間の重合時間を要したり着色したりする不具合が生じやすく、また押出機で重縮合反応が十分に進まないおそれがある。
また、相対粘度は、上記観点から、1.5〜2.5であると好ましい。
本発明の原料であるポリアミド樹脂(A)の水分率は、2質量%以下となることが好ましい。水分率を2質量%以下とすることで、ポリアミド樹脂(A)の製造過程で、押出機の真空ベントに大量の水が吸引されたり、オープンベントから大量の水が噴出したりすることを防止でき、工程上の不具合を生じにくくすることができる。
本発明において、原料となるポリアミド樹脂(A)の水分率は、より好ましくは1.8質量%以下、さらに好ましくは1.5質量%以下である。また、この水分率は、特に限定されないが、ポリアミド樹脂(A)製造後の乾燥を短時間にできる等、工程の効率化の観点から、0.2質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましい。
本発明の原料であるポリアミド樹脂(A)の黄色度は、好ましくは10以下、より好ましくは7以下である。原料ポリアミド樹脂(A)の黄色度を低くすることで、製造されるポリアミド樹脂(B)の黄色度も良好なものとすることができる。
本発明において原料となるポリアミド樹脂(A)は、そのジアミン単位に対応するジアミン成分と、ジカルボン単位に対応するジカルボン酸成分とを、重縮合反応することにより得られるものである。
重縮合反応は例えば溶融重縮合法により行われる。溶融重縮合法としては、ジアミン成分を溶融状態のジカルボン酸成分に直接加えて、重縮合する方法を挙げることもできる。この場合、反応系を均一な液状状態に保つために、ジアミン成分をジカルボン酸成分に連続的に加え、その間、反応温度が生成するポリアミドオリゴマー及び/又はポリアミド樹脂の融点よりも下回らないように反応系を昇温しつつ重縮合が進められる。また、ジアミン成分を滴下する間、反応系を加圧してもよい。
また、ジカルボン酸成分と、ジアミン成分とからなるナイロン塩を、水の存在下、加圧下で加熱して重縮合反応を行う方法が挙げられる。このとき、必要に応じて縮合水を脱水しつつ反応を行ってもよい。
上記方法で製造されたポリアミド樹脂は、そのまま原料ポリアミド樹脂(A)として使用することもできるが、更に重合度を高めるための工程を経てもよい。更に重合度を高める工程としては、押出機内での反応押出や固相重合等が挙げられる。固相重合で用いられる加熱装置としては、連続式の加熱乾燥装置やタンブルドライヤー、コニカルドライヤー、ロータリードライヤー等と称される回転ドラム式の加熱装置およびナウタミキサーと称される内部に回転翼を備えた円錐型の加熱装置が好適に使用できるが、これらに限定されることなく公知の方法、装置を使用することができる。
また、ポリアミド樹脂(A)は、重縮合反応の後に適宜乾燥等されて、上記水分率を有するように調整されてもよい。
本発明において原料となるポリアミド樹脂(A)は、ジカルボン酸成分と、ジアミン成分が、リン原子含有化合物存在下、重縮合して得られたものであることが好ましい。このように、ポリアミド樹脂(A)製造前に、リン原子含有化合物が配合されると、ポリアミド樹脂(A)及びポリアミド樹脂(B)を製造する際の重合性を良好にできるとともに、ポリアミド樹脂(A)及びポリアミド樹脂(B)の着色を防止することができる。
リン原子含有化合物としては、ジメチルホスフィン酸、フェニルメチルホスフィン酸等のホスフィン酸化合物;次亜リン酸、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸リチウム、次亜リン酸マグネシウム、次亜リン酸カルシウム、次亜リン酸エチル等のジ亜リン酸化合物;ホスホン酸、ホスホン酸ナトリウム、ホスホン酸カリウム、ホスホン酸リチウム、ホスホン酸カリウム、ホスホン酸マグネシウム、ホスホン酸カルシウム、フェニルホスホン酸、エチルホスホン酸、フェニルホスホン酸ナトリウム、フェニルホスホン酸カリウム、フェニルホスホン酸リチウム、フェニルホスホン酸ジエチル、エチルホスホン酸ナトリウム、エチルホスホン酸カリウム等のホスホン酸化合物;亜ホスホン酸、亜ホスホン酸ナトリウム、亜ホスホン酸リチウム、亜ホスホン酸カリウム、亜ホスホン酸マグネシウム、亜ホスホン酸カルシウム、フェニル亜ホスホン酸、フェニル亜ホスホン酸ナトリウム、フェニル亜ホスホン酸カリウム、フェニル亜ホスホン酸リチウム、フェニル亜ホスホン酸エチル等の亜ホスホン酸化合物;亜リン酸、亜リン酸水素ナトリウム、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸リチウム、亜リン酸カリウム、亜リン酸マグネシウム、亜リン酸カルシウム、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリフェニル、ピロ亜リン酸等の亜リン酸化合物等が挙げられる。
これらの中でも特に次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カルシウム、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸リチウム等の次亜リン酸金属塩が、重縮合反応を促進する効果が高くかつ着色防止効果にも優れるため好ましく用いられ、特に次亜リン酸ナトリウムが好ましい。なお、本発明で使用できるリン原子含有化合物はこれらの化合物に限定されない。
ポリアミド樹脂(A)及びポリアミド樹脂(B)の着色を防止するためには、十分な量のリン原子含有化合物を存在させる必要があるが、リン原子含有化合物があると、場合によってはポリアミド樹脂のゲル化を招くおそれがある。そのため、リン原子含有化合物に加えてアルカリ金属化合物を配合することで、アミド化反応速度を調整し、ゲル化を防ぐことができる。
アルカリ金属化合物としては、アルカリ金属水酸化物やアルカリ金属酢酸塩、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属アルコキシド等が好ましい。本発明で用いることのできるアルカリ金属化合物の具体例としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸ルビジウム、酢酸セシウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムプロポキシド、ナトリウムブトキシド、カリウムメトキシド、リチウムメトキシド、炭酸ナトリウム等が挙げられるが、これらの化合物に限定されることなく用いることができる。なお、ポリアミド樹脂(A)におけるリン原子含有化合物とアルカリ金属化合物の比率(モル比)は、重合速度制御の観点や、黄色度を低減する観点から、リン原子含有化合物/アルカリ金属化合物=1.0/0.05〜1.0/1.5の範囲が好ましく、より好ましくは、1.0/0.1〜1.0/1.2、更に好ましくは、1.0/0.2〜1.0/1.1である。
本発明において製造されるポリアミド樹脂(B)は、本発明の原料であるポリアミド樹脂(A)と同様のジアミン単位と、ジカルボン酸単位を有するものである。また、ポリアミド樹脂(A)と同様に、任意でジアミン単位及びジカルボン酸単位以外の単位も含んでいてもよい。
ポリアミド樹脂の分子量を表す指標としては、相対粘度がある。本発明の後述する製造方法によれば、ポリアミド樹脂(B)を適切に高分子化でき、その相対粘度を十分に高めることができる。本発明の製造方法で得たポリアミド樹脂の相対粘度は、好ましくは2.5〜4.0であり、より好ましくは2.7〜3.5である。
ポリアミド樹脂の分散度を示す指標としてはMw/Mnがある。本発明で得られるポリアミド樹脂(B)は、分子量1000以下のオリゴマー成分が生成しづらく、その分散度が比較的低くなるものである。具体的には、Mw/Mnは、好ましくは2.0〜4.5となるものであり、より好ましくは2.5〜4.0である。なお、Mw(重量平均分子量)、Mn(数平均分子量)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、標準ポリメチルメタクリレート換算の値として求めるものである。
本発明で得られるポリアミド樹脂(B)は、後述するように、脱水が十分に進み水分率が低くなる。水分率は、具体的には、好ましくは0.3%以下、より好ましくは0.1%以下である。また、水分率は、効率的にポリアミド樹脂を製造するために、例えば0.01%以上となるものである。ここで言う水分率は空冷による冷却を行った場合(空冷式)において測定した値である。
なお、後述する押出機から押し出して得られたストランド状の樹脂の冷却方法には、空冷式と水浴により冷却する水冷式などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。水冷式の場合、急冷することが可能であるが、乾燥工程が必要になる場合がある。空冷式の場合、乾燥工程を省くことが可能であるが、冷却距離が必要となる。
本発明で得られるポリアミド樹脂(B)は、加熱による熱履歴が少なく、その黄色度を低い値に抑えることができる。具体的には、黄色度は30以下が好ましく、25以下がより好ましい。
本発明では、後述する製造方法により、融点が高いポリアミド樹脂であっても製造可能となる。ポリアミド樹脂(B)の融点は、例えば220℃以上であるが、本発明では、融点が300℃以上のポリアミド樹脂を製造することもできる。ポリアミド樹脂の融点は、通常、380℃以下、好ましくは360℃以下である。なお、本明細書でいう融点とは、ポリアミド樹脂が2つの融点ピークを有する場合、特に言及のない限り、高温側のピークの温度をいう。
本発明では、押出機を用いて上記ポリアミド樹脂(A)をさらに重縮合して高分子化されたポリアミド樹脂(B)を得るものである。ここで、高分子化されたとはポリアミド樹脂(B)の相対粘度が、原料であるポリアミド樹脂(A)の相対粘度より高くなったことを意味する。
本発明で使用される押出機は、同方向回転かみ合い型二軸スクリューからなる押出機であって、少なくとも1つ以上の真空ベントを有する。また、押出機は、その真空ベントを設けた位置よりも供給部側の部分にポリアミド樹脂の充満率を高める降圧エレメントを有し、かつ全スクリュー長さの30〜70%の範囲を300torr以下の真空領域とするものである。以下、本発明の製造方法を図面を参照しつつより詳細に説明する。
本発明で使用する押出機は、最も上流側の位置にホッパー等の供給口を備える供給部Aと、供給部Aより下流側に配置され、樹脂を混練ないし混合するための複数の混練部B1〜B3と、最も下流側の位置に配置されるダイDとを有する。また、押出機は、供給部Aと混練部B1の間、各混練部B1〜B3の間、及び混練部B3とダイDとの間に、樹脂を搬送するための搬送部E1〜E4を有する。なお、図1の例では、混練部B1〜B3を3つ示すがこれに限定されるわけではなく、1つ以上であればいくつあってもよい。
ただし、後述する真空領域VAより上流側に、1つ以上の混練部があることが好ましく、2つ以上の混練部があってもよい。また、真空領域VAにも、1つ以上の混練部があることが好ましい。
本発明では、特に限定されないが、原料となるポリアミド樹脂(A)は、粉状、粒子状、あるいは、ペレット状で供給部Aより供給される。
押出機の内部温度は、全て一定に設定されていてもよいが、相対的に低い温度の領域と、相対的に高い温度の領域を有してもよい。例えば、上流側でポリアミド樹脂を素早く軟化させ、スクリュー内に充満させる必要がある場合は、上流側の温度をやや高めにし、中間部の温度を低くし、下流側を上流側より高く設定されてもよい。さらに、できる限りポリアミドへの熱による劣化を防ぐ必要がある場合は、下流側の温度をポリアミドの問題ない軟化温度付近まで温度を下げることで、樹脂圧を安定化させ、ストランドでの抜出性を安定させてもよい。
降圧エレメントYは、降圧能力を有し、各混練部B1〜B3において、混練エレメントXにおける樹脂の充満率を大きくするものであり、逆ネジ型フルフライト、シーリングディスク等が挙げられる。各混練部において、降圧エレメントYが、混練エレメントXに対応する部分の樹脂の充満率を高めることにより、混練エレメントXが、樹脂を適切に混合・分散できるようになる。また、降圧エレメントYは、後述するように、その下流にある真空ベントとともに、降圧エレメントYよりも下流側の領域を負圧にして真空領域とすることができる。
また、前記スクリューにおいて、搬送部E1〜E4に対応する部位は、例えばフルフライトスクリューエレメント等の送りスクリューからなる。そのスクリュー形状は一条ネジであっても二条ネジ、又は三条ネジであっても良いが、二条ネジが最も汎用的である。
より具体的には、真空ベントVV1は、混練部B2、B3の間の搬送部E3に、真空ベントVV2は、混練部B3とダイDの間の搬送部E4に配置され、これにより、押出機では、混練部B2の降圧エレメントYよりも下流側の領域であって、搬送部E3からダイD側の端部までの領域が、真空ベントVV1、VV2によって真空領域VAとされる。なお、図1における真空ベントの数及び配置位置は一例であって、これに限定されるわけではなく、真空領域VAを所定の長さと所定の真空度にできるような数と配置位置であればよい。
また、下流側の領域の真空度を十分に確保し、さらにポリアミド樹脂の分子量を上げるために、真空ベントは、少なくとも1つが押出機のダイD側の端部から全スクリュー長さの25%以下の範囲内に設けられることが好ましい。
また、本発明では、オープンベントOVは、省略されてもよく、押出機に設けられるベントが全て真空ベントでもよい。図1の例でも、オープンベントOV1は真空ベントとされてもよく、これにより、混練部B1の下流からダイD側の端部までが真空領域となり、真空領域を大きくできる。
本発明においては、原料となるポリアミド樹脂(A)は、比較的分子量が高く、押出機の上流部分でも重縮合反応は緩やかに進み、それほど多くの水が発生しない。そのため、上流側にオーブンベントを設けなくても、脱水不足となったり、脱水した水蒸気が供給部側に逆流したりすることは少ない。ただし、原料ポリアミド樹脂(A)の含水率が比較的高い場合には、オーブンベントを設けることにより、オープンベントから水蒸気が抜き出され、脱水不足や、水蒸気の逆流等が防止される。
このように、ポリアミド樹脂は、真空領域VAに到達する前に溶融されることで、固体のポリアミド樹脂が真空ベントVV1、VV2によって吸引されて真空ベントVV1、VV2の目詰まり等を引き起こすことがない。
真空領域VAの真空度は、150torr以下にすることが好ましく、80torr以下がより好ましく、50torr以下が最も好ましい。真空度をこの上限値以下とすることで、ポリアミド樹脂の含水率を低くし、また、重縮合反応をさらに進行させやすくなる。
なお、真空度の下限値は、特に限定されないが、装置の特性等により、通常1torr以上となる。
なお、本発明では、押出機内部において、真空領域VAよりも上流側の領域は、300torrより圧力が大きい領域となるが、通常、実質的に負圧にされない常圧の領域となる。この領域には、通常、供給部Aから窒素等の不活性ガスが流されている。
このように本発明では、上流側にある混練エレメントXを分散混合性の強いスクリューとすることで、剪断力が高くなり、剪断発熱による完全溶融を達成し、粉状等である原料ポリアミド樹脂を、比較的上流側の位置で均一な混合状態とすることができる。
上流側にある分散混合性の強いエレメントで構成される混練部は、1つでもよいが、2つ以上あることが好ましい。さらに、分散混合性の強いエレメントで構成される混練部は、真空領域VAよりも上流側の位置に1つ以上あることが好ましい。
ここで、上記上流側の混練部を構成する分散混合性の強いエレメントは、ディスク幅の広いニーディングディスクであることがより好ましい。また、そのニーディングディスクは、比W/Dが、好ましくは0.2以上、さらに好ましくは0.3以上である。このように、比W/Dを大きくすることで、より分散混合性を強くすることができる。
本発明では、分配混合性の強いエレメントが、下流側に設けられることで、分散混合と分配混合のバランスが良好となる。例えば、ポリアミド樹脂に、過剰な剪断力が加わることで過剰に発熱することを防止し、それにより、YIの上昇等を抑えることができる。また、ゲル化等を防いで、分子量の低下等も防止できる。また、下流側の混練部を構成する分配混合性の強いエレメントは、ミキシングエレメントであることが好ましい。
なお、以下の実施例においては、
ポリ1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサンアジパミドを「N−1,3−BAC6」、
ポリ1,4−ビスアミノメチルシクロヘキサンアジパミドを「N−1,4−BAC6」、
ポリ1,4−ビスアミノメチルシクロヘキサンセバカミドを「N−1,4−BAC10」、
ポリメタキシリレンアジパミドを「N−MXD6」、
ポリパラキシリレンセバカミドを「N−PXD10」
ポリ1,9−ノナンジアミンテレフタラミドを「N−9T」、
ポリ1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサンテレフタラミドを「N−1,3−BACT」
ポリ1,10−デカンジアミンテレフタラミドを「N−10T」という。
(1)相対粘度
ポリアミド樹脂0.2gを精秤し、96%硫酸20mlに20〜30℃で撹拌溶解した。完全に溶解した後、速やかにキャノンフェンスケ型粘度計に溶液5mlを取り、25℃の恒温漕中で10分間放置後、落下時間(t)を測定した。また、96%硫酸そのものの落下時間(t0)も同様に測定した。t及びt0から次式により相対粘度を算出した。
相対粘度=t/t0
(2)水分率
平沼産業株式会社製微量水分測定装置AQ−2000を用いて、窒素雰囲気下、230℃30分の条件で測定を行った。
(3)黄色度(YI)
日本電色工業株式会社製Z−Σ80色差計を用いてASTM D1003に準じて透過法で測定した。
(4)ガラス転移温度及び融点
示差走査熱量計((株)島津製作所製、商品名:DSC−60)を用い、昇温速度10℃/分で窒素気流下にDSC測定(示差走査熱量測定)を行い、ガラス転移温度(Tg)及び融点(Tm)を求めた。
撹拌機、分縮器、全縮器、温度計、滴下槽及び窒素導入管、ストランドダイを備えた内容積50リットルの反応容器に、精秤したアジピン酸(旭化成ケミカルズ(株)製)9000g(61.58mol)、次亜リン酸ナトリウム7.75g(0.07mol)、酢酸ナトリウム5.40g(0.07mol)を入れ、十分に窒素置換した後、さらに少量の窒素気流下で系内を撹拌しながら170℃まで加熱した。これにメタキシリレンジアミン(三菱ガス化学(株)製)8387.8g(61.58mol)を撹拌下に滴下し、生成する縮合水を系外へ除きながら系内を連続的に昇温した。メタキシリレンジアミンの滴下終了後、内温を260℃として40分反応を継続し、その後、系内を窒素で加圧し、ストランドダイからポリマーを取り出してこれをペレット化し、約15kgのN−MXD6(ポリアミド1)を得た。ポリアミド1におけるリン原子含有化合物濃度はリン原子濃度換算で150ppmであった。
ジカルボン酸成分としてセバシン酸(伊藤製油(株)製)、ジアミン成分としてパラキシリレンジアミン(昭和電工(株)製)を用い、次亜リン酸ナトリウムの代わりに次亜リン酸カルシウムを用い,次亜リン酸カルシウム0.045mol、酢酸ナトリウムを0.06molとし、さらに、ジアミン滴下終了後の内温を300℃としたこと以外は製造例1と同様にして、N−PXD10を得た(ポリアミド2)。ポリアミド2におけるリン原子含有化合物濃度はリン原子濃度換算で150ppmであった。
ジアミン成分としてcis比率70mol%の1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン(三菱ガス化学(株)製)を用いたこと以外は製造例1と同様にして、N−1,3−BAC6を得た(ポリアミド3)。ポリアミド3におけるリン原子含有化合物濃度はリン原子濃度換算で146ppmであった。
ジカルボン酸成分としてアジピン酸を用い、ジアミン成分としてtrans比率62mol%の1,4−ビスアミノメチルシクロヘキサン(広栄化学工業(株)製)を用い、次亜リン酸ナトリウムの代わりに次亜リン酸カルシウムを用い、次亜リン酸カルシウム0.065mol、酢酸ナトリウムを0.044molとし、さらに、ジアミン滴下終了後の内温を300℃としたこと以外は製造例1と同様にして、N−1,4−BAC6を得た(ポリアミド4)。ポリアミド4におけるリン原子含有化合物濃度はリン原子濃度換算で260ppmであった。
撹拌機、分縮器、全縮器、圧力調整器、温度計、滴下槽及びポンプ、アスピレーター、窒素導入管及び底排弁を備えた内容積50Lの耐圧反応容器に、精秤したテレフタル酸10060.0g(60.56mol)、1,9−ノナンジアミン(東京化成(株)製)9765.4g(61.58mol)、安息香酸250.7g(2.05mol)、次亜リン酸カルシウム7.31g(0.043mol)、酢酸ナトリウム4.70g(0.057mol)及び蒸留水6.9リットルを入れ、十分に窒素置換した後反応容器内を密閉し、撹拌下210℃まで昇温した。このときの内圧は2.2MPaであった。そのまま1時間反応を続けた後、230℃に昇温し、この温度を2時間維持し、水蒸気を徐々に抜いて圧力を2.2MPaに保ちながら反応させた。次に、30分かけて圧力を1.0MPaまで下げ、更に1時間反応させてプレポリマーを得た。次に、このプレポリマーを100℃、減圧下で12時間乾燥し、2mm以下の大きさまで粉砕し、25mmφ、L/D=25、2ベント口の二軸押出機(東洋精機製作所(株)ラボプラストミル2D25W)を使用し、溶融重合を行った。押出機のシリンダー温度は330℃に設定し、樹脂温度を325〜330℃に調節した。ホッパーからは、乾燥窒素を常時流してシールした。また、第1ベントは開放し、第2ベントは真空ポンプを使用して50mmHgの減圧度を保った。スクリュー回転数は40rpmに設定し、ホッパーからのプレポリマー供給量は1kg/時間とし、N−9Tを得た(ポリアミド5)。ポリアミド5におけるリン原子含有化合物濃度はリン原子濃度換算で150ppmであった。
ジアミン成分をcis比率70mol%の1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン(三菱ガス化学(株)製)8759.6g(61.58mol)、モノ/ジカルボン酸成分をテレフタル酸10230.3g(61.58mol)としたこと以外は製造例5と同様にして、N−1,3−BACTを得た(ポリアミド6)。ポリアミド6におけるリン原子含有化合物濃度はリン原子濃度換算で159ppmであった。
ジアミンを1,10−デカンジアミンとしたこと以外は製造例5と同様にして、N−10Tを得た(ポリアミド7)。ポリアミド7におけるリン原子含有化合物濃度はリン原子濃度換算で142ppmであった。
図7に示すように、押出機は、ホッパーが設けられ供給部Aを設けたバレルに、16個(ダイDを含む)のバレルを接続してなるものであって、それらのバレルのうち、供給部A側から6個目のバレルにオープンベントOV1を1個設け、11、13、14個目それぞれのバレルに真空ベントVV1、VV2、VV3を設けた。また、2、5、7、9個目のバレルは、それぞれスクリューにニーディングディスクのエレメントを設け、かつその下流に逆ネジ型フルフライトを接続し、混練部B1〜B4とした。また、12個目のバレルは、そのスクリューにミキシングエレメントを設け、かつその下流に逆ネジ型フルフライトを接続し、混練部B5とした。これにより、バレル10〜バレル16が真空領域VAとなり、その長さは全スクリュー長さの43.8%であった。混練部B1〜B5以外の他のバレルにおけるスクリューは、二条ネジのフライトスクリューエレメントであり、搬送部を構成した。
〈押出条件〉
フィーダー量:10kg/h
スクリュー回転数:100rpmh
設定温度(℃):C1/C2〜C8/C9〜C15/C16
=260/260/260/260
真空ベントの真空度:30torr
※なお、C1〜C16それぞれは、1〜16個目それぞれのバレルにおける設定温度を示す。
ポリアミド2を用い、下記押出条件にて反応押出を実施したこと以外は、実施例1と同様にポリアミド樹脂2を得た。樹脂出口温度は、318℃であった。
〈押出条件〉
フィーダー量:10kg/h
スクリュー回転数:100rpm
設定温度(℃):C1/C2〜C8/C9〜C15/C16
=300/300/300/300
真空ベントの真空度:30torr
図8に示すように、押出機においては、6、11、14個目のバレルそれぞれに、真空ベントVV1,VV2,VV3を設けるとともに、オーブンベントを設けなかった。また、5、7、9個目のバレルそれぞれのスクリューにニーディングディスクのエレメントを設け、かつその下流に逆ネジ型フルフライトを接続し、混練部B1〜B3とした。また、12個目のバレルのスクリューにミキシングエレメントを設け、かつその下流に逆ネジ型フルフライトを接続し、混練部B4とした。この押出機では、バレル6〜バレル16が真空領域VAとなり、その長さは全スクリュー長さの68.8%であった。それ以外の押出機の構成は、実施例1と同様であった。
下記押出条件にて、供給部Aのホッパーからフィーダーを用いてポリアミド3を投入し、さらに、ホッパーから乾燥窒素を常時流して反応押出を実施し、ポリアミド樹脂(B)を得た。樹脂出口温度は、267℃であった。
〈押出条件〉
フィーダー量:10kg/h
スクリュー回転数:200rpm
設定温度(℃):C1/C2〜C8/C9〜C15/C16
=260/260/260/260
真空ベントの真空度:30torr
ポリアミド4を用い、下記押出条件にて反応押出を実施したこと以外は、実施例3と同様にしてポリアミド樹脂(B)を得た。樹脂出口温度は、319℃であった。
〈押出条件〉
フィーダー量:10kg/h
スクリュー回転数:200rpm
設定温度(℃):C1/C2〜C8/C9〜C15/C16
=300/310/290/310
真空ベントの真空度:30torr
ポリアミド5を用い、下記押出条件にて反応押出を実施したこと以外は、実施例3と同様にしてポリアミド樹脂(B)を得た。樹脂出口温度は、359℃であった。
〈押出条件〉
フィーダー量:20kg/h
スクリュー回転数:200rpm
設定温度(℃):C1/C2〜C8/C9〜C15/C16
=350/350/350/350
真空ベントの真空度:30torr
ポリアミド6を用い、下記押出条件にて反応押出を実施したこと以外は、実施例3と同様にポリアミド樹脂(B)を得た。樹脂出口温度は、319℃であった。
〈押出条件〉
フィーダー量:10kg/h
スクリュー回転数:200rpm
設定温度(℃):C1/C2〜C8/C9〜C15/C16
=300/310/290/310
真空ベントの真空度:30torr
ポリアミド7を用い、下記押出条件にて反応押出を実施したこと以外は、実施例3と同様にポリアミド樹脂(B)を得た。樹脂出口温度は、313℃であった。
〈押出条件〉
フィーダー量:20kg/h
スクリュー回転数:200rpm
設定温度(℃):C1/C2〜C8/C9〜C15/C16
=300/310/290/310
真空ベントの真空度:30torr
図9に示すように、押出機においては、13、14個目のバレルに真空ベントを2個設けるとともに、オーブンベントを設けなかった。2、5、7、9個目それぞれのバレル位置にあるスクリューにニーディングディスクのエレメントを設け、かつこれら各エレメントの下流に逆ネジ型フルフライトを接続し、混練部B1〜B4とした。また、12個目のバレル位置のスクリューにミキシングエレメントを設け、かつその下流に逆ネジ型フルフライトを接続し、混練部B5とした。この押出機では、バレル13〜バレル16が真空領域VAとなり、その長さは全スクリュー長さの25%であった。その他の構成は、押出機と同一であった。
下記押出条件にて、供給部Aのホッパーからフィーダーを用いてポリアミド2を投入し、さらに、ホッパーから乾燥窒素を常時流して反応押出を実施し、ポリアミド樹脂(B)を得た。樹脂出口温度は、309℃であった。
〈押出条件〉
フィーダー量:20kg/h
スクリュー回転数:200rpm
設定温度(℃):C1/C2〜C8/C9〜C15/C16
=300/300/280/300
真空ベントの真空度:90torr
図10に示すように、押出機において、3、11、14個目のバレルそれぞれに真空ベントVV1,VV2,VV3を個設けた。また、2、5、7、9個目のバレル位置にあるスクリューそれぞれにニーディングディスクのエレメントを設け、かつこれら各エレメントの下流に逆ネジ型フルフライトを接続し、混練部B1〜B4とした。12個目のバレル位置のスクリューにミキシングスクリューを設け、かつその下流に逆ネジ型フルフライトを接続し、混練部B5とした。この押出機では、バレル3〜バレル16が真空領域VAとなり、その長さは全スクリュー長さの87.5%であった。
下記押出条件にて、供給部Aのホッパーからフィーダーを用いてポリアミド1を投入し、さらに、ホッパーから乾燥窒素を常時流して反応押出を実施した。しかしながら、ポリアミド樹脂が十分溶融することができないために、ホッパーから3個目に設けた真空ベントVV1に未溶融の樹脂が付着し、真空ベントVV1が閉塞したため、押出ができなかった。
〈押出条件〉
フィーダー量:10kg/h
スクリュー回転数:200rpm
設定温度(℃):C1/C2/C3〜C15/C16
=260/260/260/260
真空ベントの真空度:真空ベント閉塞
B1〜B5 混練部
D ダイ
E1〜E4 搬送部
OV1 オーブンベント
VA 真空領域
VV1〜VV3 真空ベント
X 混練エレメント
Y 降圧エレメント
Claims (8)
- 下記一般式(I−1)で表される芳香族ジアミン単位及び下記一般式(I−2)で表わされる脂環族ジアミン単位から選択されるジアミン単位を70モル%以上含むジアミン単位と、下記一般式(II−1)で表される直鎖脂肪族ジカルボン酸単位、及び下記一般式(II−2)で表わされる芳香族ジカルボン酸単位から選択されるジカルボン酸単位を50モル%以上含むジカルボン酸単位を含有するポリアミド樹脂(A)を重縮合して、前記ポリアミド樹脂(A)よりも高分子量のポリアミド樹脂(B)を製造するポリアミド樹脂の製造方法であって、
該製造方法では、相対粘度が1.5〜3.0のポリアミド樹脂(A)を、少なくとも1つ以上の真空ベントを有し、同方向回転かみ合い型二軸スクリューからなる押出機を用いて、溶融混練により、重縮合して前記ポリアミド樹脂(A)よりも高分子量でありかつ相対粘度が2.8〜4.0であるポリアミド樹脂(B)を製造し、
前記真空ベントを設けた位置よりも供給部側の位置に降圧エレメントを設け、かつ全スクリュー長さの30〜70%の範囲を300torr以下の真空領域とする、ポリアミド樹脂の製造方法。
[前記一般式(II−1)中、nは2〜18の整数を表す。前記一般式(II−2)中、Arはアリーレン基を表す。] - 前記ポリアミド樹脂(A)の水分率が2質量%以下である請求項1に記載のポリアミド樹脂の製造方法。
- 前記ポリアミド樹脂(A)が、リン原子濃度10〜500ppmでリン化合物が配合されたものである請求項1又は2に記載のポリアミド樹脂の製造方法。
- オープンベントを前記真空領域よりも供給部側に配置する請求項1〜3のいずれかに記載のポリアミド樹脂の製造方法。
- 前記真空領域、及び前記真空領域よりも供給部側の位置それぞれに前記ポリアミド樹脂(A)を混練する混練部を設ける請求項1〜4のいずれかに記載のポリアミド樹脂の製造方法。
- 前記押出機のダイ側端部から全スクリュー長さの25%以下の範囲内に、少なくとも1つ以上の真空ベントを設ける請求項1〜5のいずれかに記載のポリアミド樹脂の製造方法。
- 前記押出機のダイ側端部から全スクリュー長さの25%以下の範囲内に、ディスク幅Wとスクリュー径Dの比W/Dが0.02以上0.15未満となるニーディングディスク、ローター、ミキシングエレメント又はミキシングギアを有する混練部を設ける請求項1〜6のいずれかに記載のポリアミド樹脂の製造方法。
- 前記のディスク幅Wとスクリュー径Dの比W/Dが0.02以上0.15未満となるニーディングディスク、ローター、ミキシングエレメント又はミキシングギアを有する混練部よりも供給部側に、混練部をさらに設け、該混練部が、ディスク幅Wとスクリュー径Dの比W/Dが0.15以上1.5以下となるニーディングディスク又はローターを備える請求項7に記載のポリアミド樹脂の製造方法。
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