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JP6120068B2 - 非水電解液二次電池の製造方法 - Google Patents

非水電解液二次電池の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、非水電解液二次電池に関する。より詳しくは、該電池の製造方法に関する。
リチウムイオン電池等の非水電解液二次電池は、既存の電池に比べて軽量かつエネルギー密度が高いことから、近年、いわゆるポータブル電源や車両搭載用の高出力電源等に好ましく利用されている。
非水電解液二次電池では、初期充電の際に非水電解液の一部が負極で還元分解され、負極活物質の表面にその分解物からなる被膜が形成される。これに関連する技術として、特許文献1が挙げられる。特許文献1には、非水電解液中にオキサラトボレート型の化合物(例えば、リチウムジフルオロビス(オキサラト)ホスフェート)を含むことで、活物質の表面に該化合物の配位子を含む被膜を形成し得、従来に比べてサイクル特性や高温貯蔵特性を向上し得る旨が記載されている。
特開2004−146071号公報
ところで、非水電解液二次電池の用途のなかには、ハイレートでの充放電(急速充放電)を繰り返す態様で使用されることが想定されるものがある。このような用途向けの非水電解液二次二次電池(例えば車載用途の電池)では、上記のような耐久性に加え、ハイレート特性やハイレート充放電を繰り返しても電池性能の低下が少ないこと(例えば反応抵抗の上昇が少ないこと)が求められる。しかしながら、一般に耐久性とハイレート特性とは相反する特性であり、これらの特性を高いレベルで同時に実現することは困難である。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、オキサラトボレート型化合物添加の効果が好適に発揮され、耐久性(容量維持性)とハイレート特性とを高いレベルで両立可能な非水電解液二次電池を提供することである。関連する他の目的は、生産性や再現性に優れた該電池の製造方法を提供することである。
本発明者の知見によれば、充電によってオキサラトボレート型の化合物が分解されると、負極活物質の表面にシュウ酸イオン(C 2−)を含む被膜が形成され、これと同時に、被膜形成に寄与しなかった分解生成物(例えばPO )の一部が正極に移動し、正極活物質の表面に吸着し得る。そこで本発明者は、負極活物質の表面に形成される被膜の量を調整し、さらに、正極活物質の表面状態および該表面に吸着する上記分解生成物の量を制御すれば、上述のような課題を解決し得ると考えた。そして、鋭意検討を重ねた結果、オキサラトボレート型化合物の機能をより適切に発揮させて高性能の非水電解液二次電池が得られることを見出し、本発明を完成させた。
本発明により提供される非水電解液二次電池の製造方法は、以下の(i)〜(iii)の工程を包含する。
(i)正極活物質を有する正極と、負極活物質を有する負極と、を備える電極体を準備すること。ここで、上記正極活物質としては、DEP(ジブチルフタレート)吸油量が25ml/100g以上48ml/100g以下のものを用いる。
(ii)上記電極体を非水電解液とともに電池ケース内に収容すること。ここで、上記非水電解液には、一般式(1):A[PX6−2n(Cで示される化合物(以下、単に「P−オキサラト化合物」ということがある。)を、電池の容量1Ahあたり0.01g以上0.5g以下の割合で含ませる。なお、式(1)において、Aはアルカリ金属のカチオンである。Xはハロゲン原子である。nは、1または2または3である。
(iii)上記電極体に対して少なくとも1回の充電処理を行うこと。
P−オキサラト化合物を含む電池では、充電処理(典型的には初回充電処理)によって該化合物が還元分解され、負極活物質の表面にシュウ酸イオン(C 2−)を含む良質な(緻密で安定性に優れた)被膜が形成される。これにより、負極活物質と非水電解液との界面が安定化され、非水電解液の還元分解を抑制することができる。また、ここで開示される製造方法では、電池容量1AhあたりのP−オキサラト化合物の添加量を規定するため、設計パラメータ(例えば負極活物質層の目付量や厚み、密度等)の変更に柔軟に対処することができる。これにより、負極活物質の表面に最適な量の被膜を安定的に形成することができ、負極の反応抵抗を低く抑えることができる。さらに、DEP吸油量が上記範囲を満たす正極活物質を備えた電池では、正極活物質と非水電解液と親和性に優れ、界面抵抗を低く抑えることができる。また、DEP吸油量が上記範囲を満たす場合、正極活物質の表面に吸着するP−オキサラト化合物の分解生成物の量を抑制することができる。これにより、正極の反応抵抗を一層低く抑えることができる。
したがって、ここで開示される製造方法によれば、以後の充放電における非水電解液の酸化分解および還元分解を高度に抑制することができ、且つ、充放電に伴う抵抗を従来に比べて低減することができる。すなわち、耐久性とハイレート特性とを高いレベルで両立可能な非水電解液二次電池を実現することができる。
なお、本明細書において「吸油量」とは、試薬液体としてDBP(ジブチルフタレート)を使用し、JIS K6217−4(2008)に準拠して測定した値をいう。
また、本明細書において「電池の容量」とは、非水電解液二次電池に対して、25℃の温度環境下で、正負極端子間電圧が4.1Vになるまで1/3Cの定電流で充電し(典型的には、続いて定電圧で充電し)た後、正負極端子間電圧が3.0Vになるまで1/3Cの定電流で放電し、続いて電流値が1/3Cとなるまで(あるいは、合計の充電時間が1.5時間となるまで)定電圧で放電した場合のCCCV放電容量(Ah)をいう。
好適な一態様では、P−オキサラト化合物として、上記一般式(1)中のnが2のものを主体として用いる。ここで、「主体として」とは、上記一般式(1)で示される化合物の全モル数の50モル%以上を、n=2のもの(すなわち、A[PX(C)とすることをいう。なかでも、n=2のものを80モル%以上(典型的には90モル%以上、例えば95モル%以上)用いることが好ましく、実質的にn=2のものを用いることが特に好ましい。
また、好適な他の一態様では、上記一般式(1)中のXがフッ素原子(F)である。すなわち、P−オキサラト化合物は、一般式:A[PF6−2n(C(式中、A,nは上記一般式(1)と同様。)で表される化合物である。フッ素原子は電気陰性度が高いため還元分解され易く、また、ハロゲンの中でもイオン半径が最も小さいため、負極活物質表面に低抵抗で良質な被膜を好適に形成することができる。したがって、本願発明の効果をより高いレベルで発揮することができる。
好適な一態様では、上記正極活物質として、DEP吸油量が30ml/100g以上48ml/100g以下のものを用いる。上記DEP吸油量の範囲を満たす正極活物質を用いることで、例えばハイレート充放電を長期に渡って繰り返した場合であっても、電池抵抗が上昇し難く、優れた耐久性(ハイレートサイクル特性)を実現することができる。
ここで開示される技術の他の側面として、非水電解液二次電池組立体が提供される。かかる電池組立体は、充電処理が施される前の状態であって、電極体と非水電解液とを有している。上記電極体は、正極活物質を有する正極と、負極活物質を有する負極と、を備えている。そして、上記正極活物質のDEP吸油量は25ml/100g以上48ml/100g以下である。また、上記非水電解液には、一般式(1):A[PX6−2n(Cで示される化合物が、電池の容量1Ahあたり0.01g以上0.5g以下の割合で含まれている。式(1)中において、Aはアルカリ金属のカチオンである。Xはハロゲン原子である。nは、1または2または3である。
なお、本明細書において「電池組立体」とは、充電処理が施される前の状態であって該充電処理に先立った段階にまで組み立てられているもの全般をいい、電池の種類や構成等は特に限定されない。例えば、電池ケースは封口前であってもよいし、封口後であってもよい。
上記電池組立体を充電処理して得られる非水電解液二次電池、あるいは、ここで開示される製造方法によって製造された非水電解液二次電池は、耐久性とハイレート特性(特にはハイレートサイクル特性)とを高いレベルで両立可能なことを特徴とする。
したがって、かかる特徴を活かして、高出力密度や高耐久性が要求される用途で好適に使用することができる。このような用途としては、例えばハイブリッド車両等の動力源(車両駆動用電源)が挙げられる。換言すれば、ここで開示される他の側面として上記非水電解液二次電池を備えた車両が提供される。なお、車両に搭載される電池は、該電池が複数個相互に電気的に接続されてなる組電池の形態であり得る。
一実施形態に係る非水電解液二次電池の断面構造を模式的に示す図である。 −30℃における反応抵抗(mΩ)の測定結果を示すグラフである。 ハイレートサイクル試験後の抵抗増加率(%)を示すグラフである。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項(例えば、正極活物質のDEP吸油量や非水電解液中のP−オキサラト化合物の含有量)以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば、本発明を特徴付けない電池の一般的な製造プロセス)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
≪非水電解液二次電池の製造方法≫
ここで開示される非水電解液二次電池の製造方法は、大まかに言って、(i)準備工程;(ii)電池組立体構築工程;(iii)充電処理工程;を包含する。なお(i),(ii)は、電池組立体の製造方法としても把握し得る。以下、各工程について順に説明する。
<i.準備工程>
準備工程では、正極活物質を有する正極と、負極活物質を有する負極と、を備える電極体を準備する。電極体作製に用いる材料やプロセスは、所定の性状を満たす正極活物質を用いること以外特に限定なく、従来と同様でよい。かかる電極体は、例えば、ここで開示されるDEP吸油量の範囲を満たす正極活物質を備えた正極と、負極活物質を備えた負極とを、両者の直接接触を防ぐ絶縁層を介して対向させ、積層することで作製し得る。
<正極>
正極は、上記性状の正極活物質を備えるものであれば特に限定されないが、典型的には、正極集電体上に当該正極活物質を含む正極活物質層が固着された形態である。このような正極は、例えば、以下のような方法で作製することができる。先ず、正極活物質と導電材とバインダ(結着剤)とを適当な溶媒(例えばN−メチル−2−ピロリドン)に分散させ、ペースト状またはスラリー状の組成物を調製する。次に、この組成物を正極集電体の表面に付与した後、乾燥によって溶媒を除去する。これにより、正極集電体上に正極活物質層を備えた正極を作製することができる。
正極集電体としては、導電性の良好な金属(例えばアルミニウム、ニッケル、チタン、ステンレス鋼等)からなる導電性部材を好適に使用することができる。
正極活物質としては、DEP吸油量が25ml/100g以上48ml/100g以下のものを用いることができる。正極活物質のDEP吸油量を25ml/100g以上(典型的には26ml/100g以上、例えば28ml/100g以上)とすることで、非水電解液との親和性を向上することができる。これにより、界面抵抗を低く抑えることができ、ハイレート特性の向上を実現することができる。また、正極活物質のDEP吸油量を48ml/100g以下(典型的には48ml/100g未満、例えば47.5ml/100g以下)とすることで、正極活物質の表面に吸着し得るP−オキサラト化合物由来の分解生成物(例えばPO イオン)の量を抑制することができる。これにより、充放電時の反応抵抗を一層低減することができる。好適な一態様では、DEP吸油量が30ml/100g以上48ml/100g以下の正極活物質を用いる。これにより、優れたハイレートサイクル特性を実現することができ、本願発明の効果を更にレベルで発揮することができる。なお、正極活物質のDEP吸油量は、例えば、正極活物質の製造に用いる原材料の種類や、正極活物質の物理・化学的性状(例えば、平均粒径や比表面積、酸性官能基の含有量等)を制御することによって、上述の範囲に調整することができる。一般的には、他の条件(活物質の種類や粒子構造等)が同様であれば、粒径が小さくおよび/または比表面積が大きくなるほど、DEP吸油量は大きくなる傾向にある。
正極活物質としては、上記DEP吸油量の範囲を満たす限りにおいて特に限定されず、非水電解液二次電池の正極活物質として使用し得ることが知られているものを、1種または2種以上採用することができる。好適例として、層状系、スピネル系等のリチウム複合金属酸化物(例えば、LiNiO、LiCoO、LiFeO、LiMn、LiNi0.5Mn1.5,LiCrMnO、LiFePO等)が挙げられる。なかでも、構成元素としてLi,Ni,CoおよびMnを含む、層状構造(典型的には、六方晶系に属する層状岩塩型構造)のリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(例えば、LiNi1/3Co1/3Mn1/3)は、熱安定性に優れ、且つ高いエネルギー密度を実現し得るため好ましく用いることができる。
ここで、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物とは、Li,Ni,CoおよびMnのみを構成金属元素とする酸化物のほか、Li,Ni,CoおよびMn以外に他の少なくとも1種の金属元素(すなわち、Li,Ni,CoおよびMn以外の遷移金属元素および/または典型金属元素)を含む酸化物をも包含する意味である。かかる金属元素は、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、鉄(Fe)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pb)、白金(Pt)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、スズ(Sn)、ランタン(La)、セリウム(Ce)のうちの1種または2種以上の元素であり得る。これらの金属元素の添加量(配合量)は特に限定されないが、通常0.01質量%〜5質量%(例えば0.05質量%〜2質量%、典型的には0.1質量%〜0.8質量%)であり得る。
正極活物質の性状は特に限定されないが、通常、平均粒径が0.5μm〜20μm程度(典型的には1μm〜15μm程度、例えば2μm〜10μm程度)の粒子状のものを好ましく使用し得る。また、BET比表面積は、通常、0.1m/g〜30m/g程度であり、典型的には0.2m/g〜10m/g程度、例えば0.5m/g〜3m/g程度のものを好ましく使用し得る。正極活物質の性状が上記範囲にある場合、上記DEP吸油量の範囲を好適に実現することができる。また、正極活物質層内に適度な空隙を確保することができるため、非水電解液を浸漬させ易く、より高いハイレート特性を実現することができる。
なお、本明細書中において「平均粒径」とは、レーザ回折・光散乱法に基づく粒度分布測定により測定した体積基準の粒度分布において、微粒子側からの累積50%に相当する粒径(すなわち、D50粒径。メジアン径。)をいう。また、本明細書中において「比表面積」とは、吸着質として窒素(N)ガスを用いたガス吸着法(定容量式吸着法)によって測定されたガス吸着量を、BET法(例えば、BET1点法)で解析することによって算出した値をいう。
導電材としては、例えば、カーボンブラック(典型的にはアセチレンブラック、ケッチェンブラック)、活性炭、黒鉛、炭素繊維等の炭素材料を好適に用いることができる。バインダとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)等のハロゲン化ビニル樹脂;ポリエチレンオキサイド(PEO)等のポリアルキレンオキサイド;等のポリマー材料を好適に用いることができる。また、本発明の効果を著しく損なわない限りにおいて、上記材料に加えて各種添加剤(例えば、過充電時にガスを発生させる無機化合物、分散剤、増粘剤等)を使用することもできる。
正極活物質層全体に占める正極活物質の割合は、凡そ60質量%以上(典型的には60質量%〜99質量%)とすることが適当であり、通常は凡そ70質量%〜95質量%であることが好ましい。導電材を使用する場合、正極活物質層全体に占める導電材の割合は、例えば凡そ2質量%〜20質量%とすることができ、通常は凡そ3質量%〜10質量%とすることが好ましい。バインダを使用する場合、正極活物質層全体に占めるバインダの割合は、例えば凡そ0.5質量%〜10質量%とすることができ、通常は凡そ1質量%〜5質量%とすることが好ましい。
<負極>
負極は、負極活物質を有するものであれば特に限定されないが、典型的には負極集電体上に負極活物質を含む負極活物質層が固着された形態である。このような負極は、例えば、上記正極の場合と同様に作製することができる。
負極集電体としては、導電性の良好な金属(例えば、銅、ニッケル、チタン、ステンレス鋼等)からなる導電性部材を好適に使用することができる。
負極活物質としては特に限定されず、非水電解液二次電池の負極活物質として使用し得ることが知られているものを、1種または2種以上使用することができる。好適例として、黒鉛(グラファイト)、難黒鉛化炭素(ハードカーボン)、易黒鉛化炭素(ソフトカーボン)、カーボンナノチューブ等の炭素材料が挙げられる。なかでも、導電性に優れ、高いエネルギー密度が得られることから、天然黒鉛や人造黒鉛等の黒鉛系材料(特には天然黒鉛)を好ましく用いることができる。
バインダとしては、例えば、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のポリマー材料を好適に用いることができる。また、本発明の効果を著しく損なわない限りにおいて、上記材料に加えて各種添加剤(例えば、増粘剤、分散剤、導電材等)を使用することもできる。例えば、増粘剤としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)やメチルセルロース(MC)等を用いることができる。
負極活物質層全体に占める負極活物質の割合は、凡そ50質量%以上とすることが適当であり、通常は90質量%〜99質量%(例えば95質量%〜99質量%)とすることが好ましい。バインダを使用する場合には、負極活物質層全体に占めるバインダの割合は例えば凡そ1質量%〜10質量%とすることができ、通常は凡そ1質量%〜5質量%とすることが好ましい。増粘剤等の各種添加剤を使用する場合には、負極活物質層全体に占める添加剤の割合は例えば凡そ1質量%〜10質量%とすることができ、通常は凡そ1質量%〜5質量%とすることが好ましい。
<絶縁層>
上記正極および上記負極の直接接触を防ぐ絶縁層としては、典型的には、セパレータを用いることができる。セパレータとしては特に限定されず、正極活物質層と負極活物質層とを絶縁するとともに非水電解液の保持機能やシャットダウン機能を有するものであればよい。好適例として、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル、セルロース、ポリアミド等の樹脂から成る多孔質樹脂シート(フィルム)が挙げられる。かかる多孔質樹脂シートは、単層構造であってもよく、二層以上の積層構造(例えば、PE層の両面にPP層が積層された三層構造)であってもよい。また、セパレータは上記多孔性樹脂シートの片面または両面(典型的には片面)に多孔質の耐熱層を備える構成であってもよい。かかる多孔質耐熱層は、例えば無機材料(アルミナ粒子等の無機フィラー類を好ましく採用し得る。)とバインダとを含む層であり得る。あるいは、絶縁性を有する樹脂粒子(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等の粒子)を含む層であり得る。
<ii.電池組立体構築工程>
次いで、電池組立体構築工程では、上記電極体を非水電解液とともに電池ケース内に収容する。電池ケースとしては、例えばアルミニウム等の軽量な金属材製のものを好適に採用することができる。非水電解液は、常温(例えば25℃)で液状を呈する。好ましい一態様では、電池の使用環境下(例えば0℃〜60℃の温度環境下)で常に液状を呈する。
ここで開示される製造方法において、非水電解液には、少なくとも、非水溶媒と、一般式(1):A[PX6−2n(Cで示される化合物(P−オキサラト化合物)とを含ませる。
<P−オキサラト化合物>
上記式(1)中において、Aは、Li、Na、K等のアルカリ金属のカチオンである。あるいは、Be、Mg、Ca等のアルカリ土類金属のカチオン;プロトン;テトラブチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン等のテトラアルキルアンモニウムイオン;トリエチルメチルアンモニウムイオン等のトリアルキルアンモニウムイオン;等であり得る。好適な一態様では、Aは、リチウムのカチオン(Li)である。また、Xは、F、Cl、Br等のハロゲン原子である。好適な一態様では、Xは、フッ素原子(F)である。また、nは、1または2または3である。好適な一態様では、n=2である。換言すれば、P−オキサラト化合物として、一般式:A[PX(C(式中、A,nは上記一般式(1)と同様。)で示される化合物を用いることが好ましい。
P−オキサラト化合物は、少なくとも一つのシュウ酸イオン(C 2−)がリン(P)に配位した構造部分を有するオキサラト錯体化合物である。非水電解液中にP−オキサラト化合物を含むことにより、後述する充電処理工程において、負極活物質の表面に良質な被膜を形成することができる。このような化合物としては、公知の方法により作製したもの、あるいは市販品の購入等により入手したものを特に限定せず1種または2種以上用いることができる。具体例として、下式(I)で示されるリチウムテトラフルオロ(オキサラト)ホスフェート(Li〔PF(C)〕)、下式(II)で示されるリチウムジフルオロビス(オキサラト)ホスフェート(Li〔PF(C)、下式(III)で示されるリチウムトリス(オキサラト)ホスフェート(Li〔P(C)等が挙げられる。
Figure 0006120068
Figure 0006120068
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好適な一態様では、上記式(II)で示されるリチウムジフルオロビス(オキサラト)ホスフェートを主体として(すなわち50モル%以上)用いる。なかでも、リチウムジフルオロビス(オキサラト)ホスフェートを70モル%以上(典型的には80モル%以上、例えば90モル%以上)用いることが好ましく、実質的にリチウムジフルオロビス(オキサラト)ホスフェートからなるP−オキサラト化合物を用いることが特に好ましい。なお、市販品のリチウムジフルオロビス(オキサラト)ホスフェートは、上記式(I)で示されるリチウムテトラフルオロ(オキサラト)ホスフェートが数モル%程度(典型的には5モル%以下、例えば3%モル以下)含み得る。
P−オキサラト化合物の添加量は、電池の容量1Ahあたり0.01g以上(典型的には0.015g以上)であって0.5g以下(典型的には0.48g以下)の割合とする。上記添加量の範囲とすることで、負極活物質表面の被膜が不足して耐久性が低下したり、負極活物質表面の被膜が過剰となって電池抵抗が増大したりすることを防止することができる。このため、負極活物質の表面に最適な量の被膜を安定して形成することができる。また、電池容量1Ahあたりの添加量を規定することで、設計パラメータの変更に柔軟に対処することができ、より迅速かつ精度よく最適な量を添加することができる。このことは、生産性や作業性の観点からも好ましい。好適な一態様では、非水電解液中にP−オキサラト化合物を0.01g/Ah以上(典型的には0.015g/Ah以上)であって0.4g/Ah以下(典型的には0.35g/Ah以下、例えば0.32g/Ah以下)とする。これにより、例えば、ハイレート充放電を長期間繰り返した場合であっても電池抵抗の上昇が生じ難く、ハイレートサイクル特性に優れた電池を実現することができる。したがって、本願発明の効果をより高いレベルで発揮することができる。
<非水溶媒>
非水溶媒としては特に限定されず、一般的な非水電解液二次電池の電解液に用いられる各種のカーボネート類、エーテル類、エステル類、ニトリル類、スルホン類、ラクトン類等の有機溶媒を用いることができる。好適な一態様では、カーボネート類を主体とする非水溶媒を用いる。具体的には、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)等を好適に用いることができる。
<支持塩>
好適な一態様では、非水電解液中に、上述のP−オキサラト化合物に加えて、非水電解液二次電池の支持塩として使用し得ることが知られている各種の材料を1種または2種以上含む。支持塩としては、電荷担体(例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオン、マグネシウムイオン等。リチウムイオン二次電池ではリチウムイオン。)を含むものであれば特に限定されない。電荷担体がリチウムイオンの場合は、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、Li(CFSON、LiCFSO等のリチウム塩が例示される。特に好ましい支持塩としてLiPFが挙げられる。また、非水電解液は上記支持塩の濃度が0.7mol/L〜1.3mol/Lの範囲内となるように調製することが好ましい。
好適な一態様では、非水電解液に含まれる成分の中で、上記P−オキサラト化合物が最も高い還元電位(vs. Li/Li+)を示す。かかる組成とすることで、後述する充電処理においてP−オキサラト化合物を優先的に還元分解することができ、負極活物質の表面に該化合物由来の低抵抗な被膜を好適に形成することができる。
このようにして、ここで開示される非水電解液二次電池組立体を構築することができる。ここで開示される電池組立体は、電極体と非水電解液とを有している。そして、上記非水電解液には、P−オキサラト化合物が0.01g/Ah以上0.5g/Ah以下の割合で含まれる。また、上記電極体は、正極活物質を有する正極と、負極活物質を有する負極とを備えている。そして、上記正極活物質のDEP吸油量は25ml/100g以上48ml/100g以下である。
<iii.充電処理工程(コンディショニング処理工程)>
次いで、充電処理工程では、上記電極体(非水電解液二次電池組立体)に対して少なくとも1回の充電処理を行う。典型的には、該組立体の正極(正極端子)と負極(負極端子)の間に外部電源を接続し、所定の電圧範囲まで充電(典型的には定電流充電)を行う。これによって、少なくともP−オキサラト化合物の一部が負極で還元分解され、負極活物質の表面にその分解物からなる被膜が形成される。
充電処理は、負極の電位(vs. Li/Li+)が、P−オキサラト化合物の少なくとも1種の還元電位(vs. Li/Li+)と概ね同等またはそれよりも0.05V(vs. Li/Li+)以上(好ましくは0.1V(vs. Li/Li+)以上)低くなるまで行うことが好ましい。これにより、負極活物質表面に低抵抗な被膜を安定的に形成することができる。充電方式は特に限定されず、例えば、上記負極の電位に到達するまで定電流で充電する方式(CC充電)で行ってもよく、上記負極の電位に到達するまで定電流で充電した後、定電圧で充電する方式(CCCV充電)により行ってもよい。CC充電時のレートは、例えば1/10C〜10C程度とすることができる。また、充電処理は1回でもよく、例えば放電処理を挟んで2回以上繰り返し行うこともできる。
このようにして、ここで開示される非水電解液二次電池を構築することができる。
特に限定することを意図したものではないが、本発明の一実施形態に係る非水電解液二次電池の概略構成として、扁平に捲回された電極体(捲回電極体)と非水電解液とを扁平な直方体形状の容器(電池ケース)に収容した形態の非水電解液二次電池(単電池)を例として、本発明を詳細に説明する。以下の図面において、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は省略または簡略化することがある。各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は、必ずしも実際の寸法関係を反映するものではない。
図1は、非水電解液二次電池100の断面構造を模式的に示す縦断面図である。非水電解液二次電池100は、長尺状の正極シート10と長尺状の負極シート20とが長尺状のセパレータシート40を介して扁平に捲回された形態の電極体(捲回電極体)80が、図示しない非水電解液とともに扁平な箱型形状の電池ケース50内に収容された構成を有する。なお、充電処理を施す前の非水電解液二次電池100は、非水電解液二次電池組立体である。
電池ケース50は、上端が開放された扁平な直方体形状(箱型)の電池ケース本体52と、その開口部を塞ぐ蓋体54とを備えている。電池ケース50の上面(すなわち蓋体54)には、捲回電極体80の正極と電気的に接続する外部接続用の正極端子70、および捲回電極体80の負極と電気的に接続する負極端子72が設けられている。蓋体54にはまた、従来の非水電解液二次電池の電池ケースと同様に、電池ケース50の内部で発生したガスをケース50の外部に排出するための安全弁55が備えられている。
捲回電極体80は、組み立てる前段階において、長尺シート状の正極(正極シート)10と、長尺シート状の負極(負極シート)20とを備えている。正極シート10は、長尺状の正極集電体と、その少なくとも一方の表面(典型的には両面)に長手方向に沿って形成された正極活物質層14とを備えている。負極シート20は、長尺状の負極集電体と、その少なくとも一方の表面(典型的には両面)に長手方向に沿って形成された負極活物質層24とを備えている。また、正極活物質層14と負極活物質層24との間には、両者の直接接触を防ぐ絶縁層が配置されている。ここでは、上記絶縁層として2枚の長尺シート状のセパレータ40を使用している。このような捲回電極体80は、例えば、正極シート10、セパレータシート40、負極シート20、セパレータシート40の順に重ね合わせた積層体を長手方向に捲回し、得られた捲回体を側面方向から押圧して拉げさせることによって扁平形状に成形することにより作製することができる。
捲回電極体80の捲回軸方向の一の端部から他の一の端部に向かう方向として規定される幅方向において、その中央部分には、正極集電体の表面に形成された正極活物質層14と負極集電体の表面に形成された負極活物質層24とが重なり合って密に積層された捲回コア部分が形成されている。また、捲回電極体80の捲回軸方向の両端部では、正極シート10の正極活物質層非形成部および負極シート20の負極活物質層非形成部が、それぞれ捲回コア部分から外方にはみ出ている。そして、正極側はみ出し部分には正極集電板が、負極側はみ出し部分には負極集電板が、それぞれ付設され、正極端子70および上記負極端子72とそれぞれ電気的に接続されている。
かかる構成の非水電解液二次電池100は、例えば、ケース50の開口部から電極体80を内部に収容し、該ケース50の開口部に蓋体54を取り付けた後、蓋体54に設けられた図示しない電解液注入孔から非水電解液を注入し、次いでかかる注入孔を塞ぐことによって構築することができる。
ここで開示される非水電解液二次電池は各種用途に利用可能であるが、P−オキサラト化合物添加の効果が好適に発揮され、耐久性とハイレート特性とを高いレベルで両立可能なことを特徴とする。したがって、このような性質を活かして、ハイブリッド自動車(HV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)、電気自動車(EV)等の車両に搭載される駆動用電源として好適に用いることができる。
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる具体例に示すものに限定することを意図したものではない。
<リチウムイオン二次電池の作製>
先ず、正極活物質としてDEP吸油量の異なる8種類のLiNi1/3Co1/3Mn1/3粉末C1〜C8を用意し、これらの正極活物質を用いて正極を作製した。すなわち、この正極活物質と、導電材としてのアセチレンブラックと、バインダとしてのポリフッ化ビニリデンとを、これら材料の質量比が90:8:2となるようにN−メチルピロリドンと混合して、スラリー状の組成物を調製した。この組成物を厚さ15μmの長尺状アルミニウム箔(正極集電体)の両面に塗付して、乾燥後にプレスすることによって、正極集電体上に正極活物質層を有する正極シートC1〜C8(総厚み:75μm、電極密度:2.4g/cm、長さ3500mm)を作製した。
次に、負極活物質としての黒鉛粉末と、バインダとしてのスチレンブタジエンゴムと、分散剤としてのカルボキシメチルセルロースとを、これら材料の質量比が98:1:1となるようにイオン交換水と混合して、スラリー状の組成物を調製した。この組成物を厚さ10μmの銅箔(負極集電体)の両面に塗付して、乾燥後にプレスすることによって、負極集電体上に負極活物質層を有する負極シート(総厚み:85μm、電極密度:1.2g/cm、長さ3700mm)を作製した。
次に、上記作製した正極シートC1〜C8のそれぞれを、2枚のセパレータシートを介して上記作製した負極シートと積層した。セパレータシートとしては、ポリエチレン(PE)の両面にポリプロピレン(PP)が積層された三層構造のものを用いた。この積層体を長尺方向に捲回した後、扁平形状に成形することで、正極シートC1〜C8に対応する計8種類の捲回電極体を作製した。
次に、電池ケースの蓋体に正極端子および負極端子を取り付け、これらの端子を、捲回電極体端部に露出した正極集電体および負極集電体にそれぞれ溶接した。このようにして蓋体と連結された捲回電極体を電池ケースの開口部からその内部に収容し、開口部と蓋体を溶接した。
次に、リチウムジフルオロビス(オキサラト)ホスフェート(LPFO)の割合が異なる9種類の非水電解液を調製した。すなわち、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とをEC:DMC:EMC=30:40:30の体積比で含む混合溶媒に、支持塩としてのLiPFを1.1mol/Lの濃度で溶解させたものと、これに加えて、表1に示す割合(モル/L)で非水電解液中にリチウムジフルオロビス(オキサラト)ホスフェートを含ませもの(8種類)とをそれぞれ調製した。なお、ここで使用したリチウムジフルオロビス(オキサラト)ホスフェートには、2モル%〜3モル%程度の割合でリチウムテトラフルオロ(オキサラト)ホスフェートが含まれていた。
そして、上記電池ケースの蓋体に設けられた電解液注入孔から非水電解液を注入して、リチウムイオン二次電池を構築した。ここでは、上記8種類の捲回電極体と上記9種類の非水電解液とをそれぞれ組み合わせて、計72種類のリチウムイオン二次電池を構築した。
Figure 0006120068
(電池容量)
上記構築したリチウムイオン二次電池に対して、充電処理を行った。具体的には、25℃の環境下において、上記電池を正負極端子間の電圧が4.1Vになるまで1/3Cの定電流で充電(CC充電)し、続いて合計の充電時間が1.5時間となるまで定電圧で充電(CV充電)した後、10分間休止し、正負極端子間の電圧が3.0Vになるまで1/3Cの定電流で放電(CC放電)し、続いて合計の充電時間が1.5時間となるまで定電圧で放電(CV放電)した後、10分休止する操作を1サイクルとして、これを3サイクル繰り返した。この充電処理によって、負極活物質の表面にP−オキサラト化合物由来の(シュウ酸イオンを含む)被膜を形成した。そして、3サイクル目のCCCV放電容量を電池容量(初期容量)とした。また、上記LPFOの添加量(モル/L)を質量(g)に換算し、上記電池容量(Ah)で除すことによって、電池容量あたりのリチウムジフルオロビス(オキサラト)ホスフェートの添加量(g/Ah)を算出した。結果を表1に示す。
(反応抵抗)
次に、25℃の温度環境下において、上記電池を1Cの定電流充電によってSOC60%の充電状態に調整した。この電池について、−30℃の温度環境下で交流インピーダンス測定を行った。そして、得られたCole−Coleプロットの円弧部分の直径を反応抵抗(初期抵抗)として算出した。結果を表2および図2に示す。
Figure 0006120068
表2および図2から明らかなように、正極活物質のDEP吸油量に着目すると、DEP吸油量が大きくなるにしたがい反応抵抗は低下傾向を示したが、所定の量を超えると一転して増加傾向となった。この原因としては、DEP吸油量が大きくなるにつれて非水電解質との親和性が高まり反応抵抗が徐々に低減されるが、DEP吸油量があまりに大きくなりすぎると、正極近傍に存在する(例えば正極に吸着する)P−オキサラト化合物の分解生成物の量が増え、反応抵抗が増大することが考えられる。
また、LPFOの添加量についても同様の傾向がみられた。すなわち、当初はLPFOの添加量が増えるにしたがい反応抵抗は低下傾向を示したが、所定の添加量を超えると一転して増加傾向となった。この原因としては、LPFOの添加量が増えるにつれて負極活物質の表面に被膜が形成され、非水電解液の還元分解が抑制されるが、添加量があまりに多くなりすぎると、負極活物質の表面に過剰な被膜が形成されて電荷移動抵抗が増大することが考えられる。
このことから、正極活物質のDEP吸油量を25ml/100g以上48ml/100g以下(具体的には、28ml/100g以上48ml/100g以下)とし、且つ、LPFOの添加量を0.01g/Ah以上0.5g/Ah以下(具体的には、0.015g/Ah以上0.48g/Ah以下)とした場合に、従来に比べて反応抵抗を大幅に低減し得る(例えば90mΩ以下とし得る)ことがわかった。
(放電ハイレートサイクル特性)
次に、25℃の温度環境下にて、上記電池をSOCが60%の状態に調整するために、まず1/3Cの定電流でCC充電し、さらに合計充電時間が2時間になるまでCV充電を行った。そして、同温度において、75Aの定電流で40秒間CC放電し、5秒間休止した後に、10Aの定電流で300秒間CC充電し、5秒間休止する操作を1サイクルとして、これを4000サイクル繰り返した。
試験終了後、上記初期抵抗と同様にして放電ハイレートサイクル試験後の反応抵抗を測定した。そして、放電ハイレートサイクル試験後の反応抵抗を初期の反応抵抗で除して、100を掛けることにより、反応抵抗増加率(%)を算出した。結果を、表3および図3に示す。
Figure 0006120068
表3および図3から明らかなように、正極活物質のDEP吸油量を30ml/100g以上48ml/100g以下(具体的には32ml/100g以上48ml/100g以下)とし、且つ、LPFOの添加量を0.01g/Ah以上0.4g/Ah以下(具体的には0.015g/Ah以上0.32g/Ah以下)とした場合に、放電ハイレートサイクル試験後の抵抗増加が大幅に減少した(例えば抵抗増加率が120%以下となった)。このことから、上記電池はハイレート放電に対して顕著に優れた耐久性を発揮し得ることがわかった。
以上、本発明を詳細に説明したが、上記実施形態および実施例は例示にすぎず、ここで開示される発明には上述の具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
10 正極シート(正極)
14 正極活物質層
20 負極シート(負極)
24 負極活物質層
40 セパレータシート(セパレータ)
50 電池ケース
52 電池ケース本体
54 蓋体
55 安全弁
70 正極端子
72 負極端子
80 捲回電極体
100 非水電解液二次電池

Claims (3)

  1. 非水電解液二次電池を製造する方法であって:
    正極活物質を有する正極と、負極活物質を有する負極と、を備える電極体を準備すること;
    前記電極体を非水電解液とともに電池ケース内に収容すること;および、
    前記電極体に対して少なくとも1回の充電処理を行うこと;
    を包含し、
    ここで、前記正極活物質としては、DEP吸油量が25ml/100g以上48ml/100g以下のものを用い、且つ、
    前記非水電解液には、以下の一般式(1):
    [PX6−2n(C (1)
    (式(1)中において、Aリチウムのカチオンであり、Xはフッ素原子であり、nは、2である。)
    で示される化合物を、電池のCCCV放電容量として規定される電池容量1Ahあたり0.0474g以上0.32g以下の割合で含ませることを特徴とする、非水電解液二次電池の製造方法。
  2. 前記正極活物質として、DEP吸油量が30ml/100g以上48ml/100g以下のものを用いる、請求項1に記載の製造方法。
  3. 非水電解液二次電池組立体であって、
    正極活物質を有する正極と、負極活物質を有する負極と、を備える電極体と、
    非水電解液と、を有し、
    ここで、前記正極活物質のDEP吸油量は25ml/100g以上48ml/100g以下であり、且つ、
    前記非水電解液には、以下の一般式(1):
    [PX6−2n(C (1)
    (式(1)中において、Aリチウムのカチオンであり、Xはフッ素原子であり、nは、2である。)
    で示される化合物が、電池のCCCV放電容量として規定される電池容量1Ahあたり0.0474g以上0.32以下の割合で含まれる、充電処理が施される前の電池組立体。
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