本発明は、パンツ形状に形成されたパンツ本体を有する使い捨てパンツ型おむつに関するものである。本発明の使い捨てパンツ型おむつには幅方向の両側にポケットが設けられており、おむつを装着する際やおむつを着用した状態でポケットに指を入れておむつを取り扱うことにより、手先の不自由な高齢者等でも簡単におむつを取り扱うことができる。
パンツ本体は、ウェスト開口部と一対の脚開口部を有するパンツ形状に形成されている。ウェスト開口部は着用者の胴を通すための開口であり、ウェスト開口縁によりウェスト開口部が規定される。脚開口部は着用者の脚を通すための開口であり、脚開口縁により脚開口部が規定される。
パンツ本体は、前腹部と後背部を有する。前腹部はおむつを着用の際に着用者の腹側に当てる部分に相当し、後背部はおむつを着用の際に着用者の背側に当てる部分に相当する。前腹部と後背部の間には、着用者の股間に当てる股部が設けられ、股部の幅方向の両側に脚開口部が形成される。
本発明の使い捨てパンツ型おむつには幅方向の両側にポケットが設けられている。ポケットは、指を挿入できる袋状に形成されたものであれば、特に制限はない。
本発明において、幅方向とは、おむつを着用した際の着用者の左右方向に相当する。前後方向とは、使い捨てパンツ型おむつの前腹部から後背部にかけての方向を意味し、おむつを着用した際の着用者の股間の前後方向に相当する。使い捨てパンツ型おむつは、パンツ形状に形成された状態で、ウェスト開口縁側を上方、股部側を下方と称する。なお下記において、前記前後方向を「おむつ前後方向」と称し、前記幅方向を「おむつ幅方向」と称する場合がある。また、使い捨てパンツ型おむつの内側とは、おむつを着用の際に着用者の肌に面する側を意味し、使い捨てパンツ型おむつの外側とは、おむつを着用の際に外側に面する側を意味する。
ポケットは、指を挿入するための開口入口を有する。なおポケットは、着用者や介護者等が指を挿入しておむつを取り扱いやすくするために、開口入口が使い捨てパンツ型おむつの外側面にあるように設けられることが好ましい。またポケットは、おむつの前腹部側に設けられることが好ましい。
ポケットは、おむつ幅方向の外方に開口するように設けられることが好ましい。このようにポケットが設けられていれば、着用者や介護者等がポケットに指を挿入しやすくなる。なお、ポケットはおむつ幅方向に対して斜め外方に開口していてもよく、本発明ではこのような場合もポケットがおむつ幅方向の外方に開口しているものとする。ポケットの開口入口は、好ましくは次のように設けられる。すなわちポケットは、開口入口の上端と下端とを繋ぐ仮想線に対する垂線(ただし垂線はポケットと同一面上にある)が、おむつ幅方向に対して−60°〜60°(好ましくは−45°〜45°)の範囲の角度となるように、おむつ幅方向の外方に開口していることが好ましい。なお、ポケットの開口入口の上端と下端は、平面状態のポケットに対して規定される。
ポケットの開口は、指を2本以上挿入可能であることが好ましい。この点から、ポケットの開口入口の幅は40mm以上であることが好ましく、50mm以上がより好ましい。一方、ポケットの開口入口の幅が広すぎてもおむつの取り扱い性が低下するおそれがあることから、ポケットの開口入口の幅は200mm以下が好ましく、160mm以下がより好ましい。なお、ポケットの開口入口の幅は、平面状態のポケットに対して測定される。
ポケットの形成方法は特に限定されない。ポケットは、例えば、パンツ本体等を構成するシート部材を適宜折り返したり部分的に接合することにより形成される。あるいは、パンツ本体等に、既にポケット形状に形成された部材を取り付けることによりポケットを設けてもよい。なお、ポケットは、指を挿入しやすくしたり、指を挿入した状態でのおむつの取り扱い性を向上するために、ある程度の剛性を有するように形成されることが好ましい。従って、ポケットは、パンツ本体等を構成するシート部材よりも高い剛性を有するシート部材から形成されていることが好ましい。例えば、後述するようにパンツ本体や左右フラップにポケットが設けられる場合は、パンツ本体や左右フラップを構成するシート部材に、これよりも高い剛性を有する別のシート部材を重ねてポケットを形成したり、おむつの外側面に、パンツ本体や左右フラップを構成するシート部材よりも高い剛性を有するシート部材を用いてポケット形状に形成された部材を設けることが好ましい。
以下、本発明の使い捨てパンツ型おむつについて、図面を参照して詳細に説明する。なお本発明の使い捨てパンツ型おむつは、図面に示された実施態様に限定されるものではない。
図1〜図3には、本発明の使い捨てパンツ型おむつの一例を示す。図1は使い捨てパンツ型おむつの正面斜視図を表す。図2は、図1に示した使い捨てパンツ型おむつの前腹部と後背部の接合を解いて展開した状態の平面図を表す。図3は、図2に示した使い捨てパンツ型おむつのIII−III断面図を表す。
図1〜図3に示した使い捨てパンツ型おむつ1(1A)は、ウェスト開口部3と一対の脚開口部4を有するパンツ形状に形成されたパンツ本体2を有する。パンツ本体2は、前腹部Pと後背部Qとこれらの間に位置する股部Rとを有し、例えば、前腹部Pと後背部Qとが接合部13で接合されることによりウェスト開口部3と一対の脚開口部4とが形成される。股部Rは、例えば、パンツ本体2の前腹部Pと後背部Qとの接合を解いて平面に展開した状態で、パンツ本体2を前後方向に3分割した中間に位置する部分であり、パンツ形状に形成された場合におむつ幅方向の両側で互いに接合されない。
パンツ本体2は、吸収性コア6を備えることが好ましい。吸収性コア6は、パンツ本体2の少なくとも股部Rに存在すればよく、さらに前腹部Pおよび/または後背部Qに延在してもよい。
吸収性コア6の形状(平面形状)は特に限定されない。吸収性コア6の形状は、用途に応じて適宜決定すればよく、例えば、略長方形、砂時計型、ひょうたん型、羽子板型等が挙げられる。
パンツ本体2は、図2および図3に示すように、例えば、前側帯状部材9と、後側帯状部材10と、トップシート7とバックシート8との間に吸収性コア6が挟み込まれた吸収性本体5とを有し、前側帯状部材9と後側帯状部材10の内側面に、前側帯状部材9と後側帯状部材10を繋ぐように吸収性本体5が設けられて構成される。この場合、前側帯状部材9とそれに重なる吸収性本体5の一部が前腹部Pを構成し、後側帯状部材10とそれに重なる吸収性本体5の一部が後背部Qを構成し、前側帯状部材9と後側帯状部材10のいずれにも重ならない吸収性本体5の一部が股部Rを構成することとなる。また図面には示されていないが、パンツ本体は、トップシートとバックシートとの間に吸収性コアが挟み込まれた積層体からなり、この積層体がパンツ形状に形成されて構成されてもよく、あるいはパンツ本体は、パンツ形状に形成された外装シートと、外装シートの内側面に、トップシートとバックシートとの間に吸収性コアが挟み込まれた吸収性本体が設けられて構成されてもよい。
吸収性コア6の幅方向の両側には、立ち上がりフラップ11が設けられることが好ましい。立ち上がりフラップ11を設けることにより、尿等の排泄物の横漏れを防ぐことができる。立ち上がりフラップ11は、液不透過性であることが好ましい。
立ち上がりフラップ11が立ち上がった状態の上側端部(着用者側の端部)には、起立用弾性部材12が設けられていることが好ましい。起立用弾性部材12の収縮力により、立ち上がりフラップ11が起立しやすくなる。
使い捨てパンツ型おむつ1Aには、パンツ本体2の外側面にポケット14が設けられている。パンツ本体2の外側面にポケット14が設けられていれば、ポケット14に指を入れておむつを取り扱うことで、手先の不自由な高齢者等でも簡単におむつを装着することができるようになる。また、おむつを着用した状態で、おむつの装着状態を簡単に調整することができるようになる。
ポケット14は、おむつ幅方向の外方に開口して設けられていることが好ましい。このようにポケット14が設けられていれば、着用者や介護者等がポケット14に指を挿入しやすくなり、おむつの取り扱い性が向上する。なお、ポケット14の開口入口は開口縁15により規定される。
パンツ本体2にポケット14が設けられる場合、ポケット14はパンツ本体2を構成するシート部材よりも高い剛性を有するシート部材から形成されていることが好ましい。使い捨てパンツ型おむつ1Aでは、パンツ本体2を構成するシート部材よりも高い剛性を有するシート部材を用いてポケット形状に形成されたポケット14が、パンツ本体2の外側面に設けられている。
次に、図1〜図3に示したおむつとは異なる態様の使い捨てパンツ型おむつについて、図4〜図7を参照しながら説明する。図4〜図7に示した使い捨てパンツ型おむつは、パンツ本体にポケットを設ける代わりに、パンツ本体の外側面から延在した左右フラップにポケットが設けられたものである。なお下記の説明において、パンツ本体に係る説明は、パンツ本体に設けられたポケットを除いて上記と同じであるため、説明を省略する。
図4は使い捨てパンツ型おむつの使用状態の正面斜視図を表す。図5は、図4に示した使い捨てパンツ型おむつの左右フラップを展開した状態の正面斜視図を表す。図6は、図4に示した使い捨てパンツ型おむつの前腹部と後背部の接合を解いて展開した状態の平面図を表す。図7は、図4に示した使い捨てパンツ型おむつの左右フラップを重ね合わせて使用する状態の正面斜視図を表す。
図4〜図7に示した使い捨てパンツ型おむつ1(1B)は、パンツ本体2の外側面から延在する左フラップ21と右フラップ22が設けられている。左フラップ21と右フラップ22は使い捨てパンツ型おむつ1Bの幅方向の両側に設けられ、おむつを着用した状態で、左フラップ21は着用者の左側に設けられ、右フラップ22は着用者の右側に設けられる。なお、以下の説明において、左フラップと右フラップをまとめて「左右フラップ」と称する場合がある。
左右フラップ21,22は、パンツ本体2の左側または右側の外側面から延出し、図4に示すように、パンツ本体2の前腹部Pに重ねて使用される。左右フラップ21,22は、パンツ本体2の外側面から延出する基点となる基部Sと、左右フラップ21,22が延出した先端に相当する自由端Tを有する。左右フラップ21,22の基部Sは、パンツ本体2の前腹部Pにあってもよく、後背部Qにあってもよく、前腹部Pと後背部Qの境界(前腹部Pと後背部Qの間)にあってもよい。すなわち、左右フラップ21,22は、前腹部Pから延在してもよく、後背部Qから延在してもよく、前腹部Pと後背部Qの境界から延在してもよい。なお、着用者がパンツ本体2を装着した状態で左右フラップ21,22を掴みやすくする点から、左右フラップ21,22はパンツ本体2の前腹部Pの外側面から延在していることが好ましい。また、おむつの製造が容易になる点から、左右フラップ21,22は、図4に示すように、前腹部Pと後背部Qとがおむつ幅方向の両側で互いに接合された接合部13に固定されていることが好ましい。この場合、前腹部Pと後背部Qとを接合部13で接合してパンツ形状に形成する際に、左右フラップ21,22も同時に接合部13に固定することができるようになる。
使い捨てパンツ型おむつ1Bには、左右フラップ21,22の内側面に留め具23が設けられている。使い捨てパンツ型おむつ1Bは、留め具23により左右フラップ21,22を前腹部P側で止着できるように構成されている。なお、左右フラップ21,22の内側面は、左右フラップ21,22をパンツ本体2の前腹部Pに重ね合わせた状態で規定される。使い捨てパンツ型おむつ1Bはこのように構成された左右フラップ21,22が設けられているため、パンツ本体2を装着した後に左右フラップ21,22を着用者の腰周りで締めることで、おむつのフィット性を高めることができる。
留め具23は左右フラップ21,22の自由端Tの近傍に設けられることが好ましい。例えば留め具23は、左右フラップ21,22の基部Sよりも自由端Tの近くに設けられることが好ましい。
左フラップ21と右フラップ22は、留め具23によって、図4に示すように、パンツ本体2の前腹部Pの外側面に止着可能に形成される。あるいは図7に示すように、左フラップ21と右フラップ22が互いに重ね合わされ、左フラップ21と右フラップ22が、留め具23によって、左フラップ21と右フラップ22の一方が他方に止着可能に形成されてもよい。なお後者の場合でも、重ね合わされた左フラップ21と右フラップ22のうち内側に位置する左フラップ21または右フラップ22は、パンツ本体2の前腹部Pの外側面に止着可能に形成されることが好ましい。特に、左右フラップ21,22が、パンツ本体2の前腹部Pに止着可能に形成されるとともに、左フラップ21と右フラップ22の一方が他方に止着可能に形成されていれば、左右フラップ21,22を着用者の腰周りで締めることにより、様々な体型の着用者に対しておむつのフィット性を効果的に高めることができるようになる。
留め具23としては、フック・ループ・ファスナーのフック部材やループ部材、粘着剤(例えば、粘着テープ、粘着剤層)、フック(例えば、金属製のフックやプラスチック製のフック)等を用いればよい。留め具としてフック・ループ・ファスナーのフック部材を用いる場合は、パンツ本体の前腹部の外側面および/または左右フラップの外側面にフック・ループ・ファスナーのループ部材を設ければよい。あるいは、パンツ本体の前腹部の外側面および/または左右フラップの外側面をループ部材として機能する材料(例えば、不織布、織布、編布等)で構成してもよく、この場合も、パンツ本体の前腹部の外側面および/または左右フラップの外側面にループ部材が設けられるものと見なされる。留め具として粘着剤を用いる場合は、パンツ本体の前腹部の外側面および/または左右フラップの外側面にプラスチックフィルムを設けたり、パンツ本体の前腹部の外側面および/または左右フラップの外側面をプラスチックフィルムで構成すればよい。留め具としてフックを用いる場合は、パンツ本体の前腹部の外側面および/または左右フラップの外側面にフックが係合可能なループ形状の部材を設ければよい。この場合、ループ形状の部材を複数設け、着用者の体型に合わせてフックの係合箇所が調整可能となることが好ましい。これらの中でも、留め具としては、フック・ループ・ファスナーのフック部材を用いることが好ましい。フック・ループ・ファスナーのフック部材としては、例えば、錨形や鉤形やきのこ型等の形状のフックを多数表面に有する部材を採用すればよい。
左右フラップ21,22は、着用者の腰周りで好適に締めることができるように、おむつ幅方向にある程度の長さを有していることが好ましい。この点から、左右フラップ21,22はそれぞれ、おむつ幅方向に対する長さが80mm以上であることが好ましく、120mm以上であることがより好ましい。一方、左右フラップ21,22のおむつ幅方向に対する長さが長すぎても、左右フラップ21,22の操作性が低下したり、左右フラップ21,22が邪魔になるおそれがあることから、左右フラップ21,22はそれぞれ、おむつ幅方向に対する長さが350mm以下であることが好ましく、300mm以下であることがより好ましい。なお、後述するように左右フラップ21,22に弾性部材が設けられる場合は、左右フラップ21,22のおむつ幅方向に対する長さは、弾性部材が収縮した状態で測定する。
左フラップ21と右フラップ22は、着用者の腰周りで締めることにより、着用者へのフィット性をより高めることができるように、おむつ前後方向にある程度の長さを有していることが好ましい。この点から、左右フラップ21,22はおむつ前後方向に対する長さが40mm以上であることが好ましく、50mm以上であることがより好ましい。一方、左右フラップ21,22のおむつ前後方向に対する長さが長すぎても、左右フラップ21,22の操作性が低下したり、左右フラップ21,22が邪魔になるおそれがあることから、左右フラップ21,22はおむつ前後方向に対する長さが250mm以下であることが好ましく、200mm以下であることがより好ましい。なお、後述するように左右フラップ21,22に弾性部材が設けられる場合は、左右フラップ21,22のおむつ前後方向に対する長さは、弾性部材が収縮した状態で測定する。
使い捨てパンツ型おむつ1Bには、左右フラップ21,22の取り扱い性を高めるために、左右フラップ21,22の外側面に、おむつ幅方向の外方に開口するポケット24が設けられている。左右フラップ21,22の外側面にポケット24が設けられていれば、ポケット24に指を入れて左右フラップ21,22を扱うことができ、手先の不自由な高齢者等でも簡単に左右フラップ21,22を扱えるようになる。
ポケット24は、開口入口が開口縁25によって規定され、開口入口は、ポケット24において、左右フラップ21,22の基部S側に設けられている。すなわち、ポケット24はおむつ幅方向の外方(左右フラップ21,22の基部S側)に開口するように設けられている。なお、ポケット24の開口の方向は、左右フラップ21,22がパンツ本体2の前腹部Pに重ねられた状態に基づいて規定される。
ポケット24は左右フラップ21,22の自由端Tの近傍に設けられることが好ましい。例えばポケット24は、開口入口(開口縁25)が左右フラップ21,22の基部Sよりも自由端Tの近くに位置するように設けられることが好ましい。また、左フラップ21,22において、ポケット24は留め具23と重なって設けられることが好ましい。
左右フラップ21,22にポケット24が設けられる場合、ポケット24の形成方法は特に限定されない。例えば、(1)左右フラップを構成するシート部材を左右フラップの自由端で外側に折り返し、自由端に形成された折り目の両側でシート部材どうしを部分的に接合することによりポケットを形成してもよく、(2)左右フラップの外側面に、左右フラップを構成するシート部材に別のシート部材を重ねて、両シート部材を部分的に接合することによりポケットを形成してもよく、あるいは、(3)左右フラップの外側面に、左右フラップとは別部材で、既にポケット形状に形成された部材を設けてもよい。
左右フラップ21,22にポケット24が設けられる場合、ポケット24は左右フラップ21,22を構成するシート部材よりも高い剛性を有するシート部材から形成されていることが好ましい。使い捨てパンツ型おむつ1Bでは、左右フラップ21,22を構成するシート部材よりも高い剛性を有するシート部材を用いてポケット形状に形成されたポケット24が、左右フラップ21,22の外側面に設けられている。
左右フラップ21,22にポケット24が設けられ、図7に示すように、左フラップ21と右フラップ22が互いに重ね合わすことができるように形成されている場合は、ポケット24の外側面が留め具23と止着可能に形成されていることが好ましい。上記に説明したように、留め具23としてはフック・ループ・ファスナーのフック部材を用いることが好ましいことから、この場合、ポケット24の外側面にフック・ループ・ファスナーのループ部材が設けられることが好ましい。このようにポケット24を構成することにより、腰周りの細い着用者であっても、左右フラップ21,22を腰周りで簡単に締めることができ、腰周りでのフィット性を効果的に高めることができるようになる。
本発明の使い捨てパンツ型おむつに設けられるポケットについて、図8および図9を参照しながらさらに詳細に説明する。なお下記では、使い捨てパンツ型おむつ1Bの左右フラップに設けられたポケットを例に挙げて説明をするが、下記の説明は左右フラップに設けられたポケットに限定されるものではない。図8には、図4に示した使い捨てパンツ型おむつの左右フラップを外側面から見た平面図が示し、図9には、図8に示した右フラップのIX−IX断面図を示した。
ポケット24は、指を挿入した際の左右フラップ21,22の操作性を高めるために、開口入口の下端側が封止されていることが好ましい。図面では、ポケットを構成するシート部材が重ね合わされて、斜線ハッチングで示された箇所で接合(封止)されている。ポケット24の開口入口の下端側が封止されていれば、ポケット24に挿入した指がポケット24の下端部で引っ掛かって、ポケット24に指を入れた状態でおむつを取り扱いやすくなる。例えば使い捨てパンツ型おむつ1Bでは、ポケット24に指を挿入して左右フラップ21,22を持ち上げたりパンツ本体2の前腹部Pに押し付けたりすることが容易になる。封止部は、ポケット24の開口縁25に沿って、ポケット24を構成するシート部材どうしを、接着剤、熱融着、超音波融着等の接合手段により接合して形成すればよい。
ポケット24の開口入口が開口縁25に沿って封止される長さは特に限定されないが、例えば、10mm以上が好ましく、15mm以上がより好ましく、また80mm以下が好ましく、60mm以下がより好ましい。なお、開口入口の下端側が封止される場合は、開口入口の封止された部分の長さは、上記に説明した開口入口の幅の長さに含まれない。
ポケット24は、開口縁25から内側または外側に折り返されて延在する折り返し縁部26を有することが好ましい。ポケット24に折り返し縁部26が設けられていれば、ポケット24の開口縁25での剛性が高まって、ポケット24に指を挿入しやすくなり、またポケットに指を挿入した状態でおむつを取り扱いやすくなる。
ポケット24の内面には、おむつの外部に連通する通気孔が形成されていることが好ましい。ポケット24の内面に通気孔が形成されていれば、おむつの上からズボン等の衣類を着用した際に、ポケット24の開口入口が圧迫されて閉じてしまっても、ポケット24内部に溜まった空気が通気孔から排出され、ズボン等の衣類を着用した際の着用感や見た目が向上する。なお、通気孔はポケット24の開口入口とは別に設けられる開口である。
通気孔は、おむつの外部に連通する限り、ポケット24の内面のいずれの場所に設けられてもよい。なお通気孔は、ポケット24の開口入口から離れて設けられることが好ましく、ポケット24のおむつ幅方向の内方側(使い捨てパンツ型おむつ1Bでは、左右フラップ21,22の自由端T側)に設けられることがより好ましい。図8では、通気孔27が、ポケット24の、左右フラップ21,22のおむつ幅方向の内方側(自由端T側)の上端と下端に設けられている。
通気孔は、ポケット24内部の空気を排出できる限り、その大きさは特に限定されない。なお通気孔は、開口入口よりも小さい大きさで設けられることが好ましい。通気孔は、例えば、1mm以上の径を有することが好ましく、前記径は3mm以上がより好ましく、また30mm以下が好ましく、25mm以下がより好ましい。なお、通気孔の径はポケット24を平面状態にして測定され、その状態での通気孔の最大長を意味する。
ポケット24は、左右フラップ21,22のポケット24以外の部分と異なる色で示されていることが好ましい。例えば、使い捨ておむつは一般に白色で構成されるため、ポケット24は白色以外に着色されていることが好ましい。このようにポケット24がそれ以外の部分と異なる色で示されていれば、視力の弱い高齢者等でもポケット24を容易に認識することができ、おむつの取り扱い性が向上する。図1〜図3に示した使い捨てパンツ型おむつ1Aでは、ポケット14が、パンツ本体2のポケット14以外の部分と異なる色で示されていることが好ましい。
使い捨てパンツ型おむつ1Bにおいて、左右フラップ21,22の外側面に設けられるポケット24は、図10に示すように構成されていてもよい。図10には、図8とは異なる構成のポケットが備えられた左右フラップが示されている。なお、図10に関する説明において、図8および図9に関する説明と重複する部分の説明を省略する。
図10(a)では、左右フラップ21,22にそれぞれ、上下に並んでポケット24(ポケットの開口入口)が複数設けられている。この場合、例えば、左フラップ21に対しては上側(または下側)のポケット24に着用者の左手の指を挿入し、右フラップ22に下側(または上側)のポケット24に着用者の右手の指を挿入することで、左フラップ21と右フラップ22を互いに重ね合わせて左右フラップ21,22を止着する際、左右フラップ21,22の両方をパンツ本体2の前腹部P側に押し当てやすくなり、留め具23により左右フラップ21,22を前腹部P側で強固に止着しやすくなる。また、左右フラップ21,22を前腹部P側で止着した後、ポケット24から指を抜きやすくなる。左右フラップ21,22に上下に並んでポケット24が複数設けられる場合、ポケット24は上下に並んで2つ設けられることが好ましい。
図10(b)では、左フラップ21に設けられたポケット24と右フラップ22に設けられたポケット24の開口入口が、上下にずれて配されている。このようにポケット24が設けられていても、図10(a)に示した実施態様と同様の効果が得られる。
使い捨てパンツ型おむつには、弾性部材が適宜設けられることが好ましい。例えば使い捨てパンツ型おむつ1Aでは、図1および図2に示すように、パンツ本体2の前腹部Pと後背部Qに、おむつ幅方向に延びる胴部弾性部材16,17が設けられることが好ましく、これにより着用者の腰周りでのフィット性を高めることができる。なお、前腹部Pに設けられる胴部弾性部材16は、ポケット14と重ならないように配されることが好ましく、このように胴部弾性部材16が配されていれば、胴部弾性部材16の収縮力によりポケット14が歪みにくくなり、ポケット14に指を挿入しやすくなる。
使い捨てパンツ型おむつ1Bでは、図4〜図6に示すように、少なくともパンツ本体2の後背部Qに、おむつ幅方向に延びる胴部弾性部材17が設けられることが好ましい。後背部Qに胴部弾性部材17が設けられていれば、パンツ本体2を装着し、左右フラップ21,22を引っ張りながら着用者の腰周りで締めることで、後背部Qに設けられた胴部弾性部材17が伸張し、この状態で左右フラップ21,22を止着することにより、着用者の腰周り(胴周り)でのフィット性を効果的に高めることができる。さらに、パンツ本体2には、後背部Qに加えて前腹部Pにもおむつ幅方向に延びる胴部弾性部材16が設けられていることが好ましく、これにより着用者の腰周り、特に前腹部でのフィット性をより高めることができる。
使い捨てパンツ型おむつ1Bは、後背部Qの伸展時収縮力が、前腹部Pの伸展時収縮力よりも大きくなるように形成されていることが好ましい。すなわち使い捨てパンツ型おむつ1Bは、パンツ本体2の後背部Qの伸展時収縮力が強く、前腹部Pの伸展時収縮力が弱くなるように構成されていることが好ましい。なお、伸展時収縮力の定義や測定方法については後述する。使い捨てパンツ型おむつ1Bを前腹部Pの収縮力が弱くなるように構成することにより、パンツ本体2のウェスト開口部3を大きく形成することができ、ウェスト開口部3に着用者の脚や胴を挿入しやすくなり、装着や脱着が容易となる。例えば、介護者が着用者に対しておむつをはかせたり脱がせたりする場合でも、おむつの装着や脱着が容易になる。一方、使い捨てパンツ型おむつ1Bは左右フラップ21,22が設けられているため、一旦パンツ本体2を装着すれば、左右フラップ21,22を引っ張りながら着用者の腰周りで締めることで、おむつのフィット性を高めることができる。このとき、パンツ本体2の後背部Qに比較的強い収縮力で胴部弾性部材17が設けられていると、左右フラップ21,22を引っ張りながら着用者の腰周りで止着することにより、着用者の腰周り(胴周り)でのフィット性を効果的に高めることができる。
使い捨てパンツ型おむつ1Bでは、前腹部Pに設けられる胴部弾性部材16が、おむつ幅方向に断続的に伸縮力が発現するように設けられることが好ましい。このように胴部弾性部材16が設けられる態様としては、具体的には、胴部弾性部材16がおむつ幅方向に断続的に前腹部Pに設けられる態様、あるいは、前腹部Pに設けられた胴部弾性部材16の一部が切断されて部分的に伸縮力が発現しないように形成されている態様が挙げられる。図5や図6では、前腹部Pの胴部弾性部材16が前腹部Pのおむつ幅方向に対する中央部に設けられず、その両側に設けられている。前腹部Pに胴部弾性部材16がおむつ幅方向に断続的に伸縮力が発現するように設けられていれば、前腹部Pの伸縮力が発現しない部分でパンツ本体2のウェスト開口縁が緩んで、ウェスト開口部3に着用者の脚や胴を挿入しやすくなる。また、前腹部Pの中央部に胴部弾性部材16が設けられていなければ、胴部弾性部材16の収縮力により吸収性コア6が歪みにくくなり、おむつの着用感が向上する。
胴部弾性部材16,17はおむつ前後方向に並んで複数本配されることが好ましい。このように胴部弾性部材16,17が配されることにより、着用者の腰周りでのフィット性をより高めることができる。さらに胴部弾性部材16,17は、ウェスト開口縁の近傍で、ウェスト開口縁から離れた部分よりも、隣接する弾性部材との間隔が狭くなるように配されることが好ましい。このように胴部弾性部材16,17が配されることで、使い捨てパンツ型おむつ1がウェスト開口縁できつく締められ、おむつが着用者の腰周りで下方にずれにくくなる。
胴部弾性部材16,17は吸収性コア6と重ならないように配されることが好ましい。このように胴部弾性部材16,17が配されていれば、胴部弾性部材16,17の収縮力により吸収性コア6が歪みにくくなる。
胴部弾性部材16,17は、2枚のシート部材間に配されることが好ましい。使い捨てパンツ型おむつ1A,1Bでは、前側帯状部材9と後側帯状部材10がそれぞれ2枚のシート部材が重ねられて構成され、2枚のシート部材間に胴部弾性部材16,17が配されていることが好ましい。
使い捨てパンツ型おむつ1Bでは、左右フラップ21,22に、おむつ幅方向に延びるフラップ弾性部材28が設けられていることが好ましい。左右フラップ21,22にフラップ弾性部材28が設けられていれば、おむつを装着する際、左右フラップ21,22を引っ張りながら左右フラップ21,22を留め具23でパンツ本体2の前腹部P等に止着することにより、着用者の腰周りでのフィット性を高めやすくなる。
左右フラップ21,22にフラップ弾性部材28が設けられる場合、左右フラップ21,22の伸展時収縮力は、前腹部Pの伸展時収縮力よりも大きくなるように形成されていることが好ましい。このように左右フラップ21,22を構成することにより、おむつを着用した際の着用者の腰周りでのフィット性をより高めることができる。より好ましくは、左右フラップ21,22の伸展時収縮力は、後背部Qの伸展時収縮力よりも大きくなるように形成されている。
左右フラップ21,22には、フラップ弾性部材28がおむつ前後方向に並んで複数本配されることが好ましい。このようにフラップ弾性部材28が配されることにより、着用者の腰周りでのフィット性をより高めることができる。さらにフラップ弾性部材28は、左右フラップ21,22のおむつ前後方向に対する中央部よりも両端部で、隣接する弾性部材との間隔が狭くなるように配されることが好ましい。このようにフラップ弾性部材28が配されていれば、おむつを装着する際に左右フラップ21,22を引っ張ると、左右フラップ21,22のおむつ前後方向に対する中央部がより伸長しやすくなる。その結果、左右フラップ21,22を引っ張って、パンツ本体2の前腹部P等に止着しやすくなる。
フラップ弾性部材28はポケット24と重ならないように配されることが好ましく、その結果、ポケット24がフラップ弾性部材28の収縮力により歪みにくくなり、ポケット24の取り扱い性が向上する。
フラップ弾性部材28は、2枚のシート部材間に配されることが好ましい。使い捨てパンツ型おむつ1Bでは、左右フラップ21,22がそれぞれ2枚のシート部材が重ねられて構成され、2枚のシート部材間にフラップ弾性部材28が配されていることが好ましい。
本発明において、前腹部の伸展時収縮力とは、前腹部を、前腹部を構成するシート部材の長さまでおむつ幅方向に伸展させたときの収縮力を意味する。前腹部に弾性部材が設けられる場合、弾性部材が設けられた前腹部の伸展時収縮力は、次のようにして求めることができる。まず、使い捨てパンツ型おむつから前腹部を切り出し、前腹部から弾性部材を取り除いたときの前腹部を構成するシート部材の長さ(L)を測る。次に、これとは別に弾性部材が設けられたままの前腹部を用意し、これを長さLになるまで弾性部材を伸長させながら前腹部を伸展させて、このときの収縮力(伸長応力)を求めることで、伸展時収縮力を得る。前腹部に弾性部材が設けられない場合は、前腹部の伸展時収縮力は実質的に0となる。伸展時収縮力は、引張試験機を用いて測定すればよい。後背部と左右フラップの伸展時収縮力も同様にして求めることができる。
本発明の使い捨てパンツ型おむつを構成する材料について説明する。トップシートは、使い捨てパンツ型おむつの着用の際に着用者側に位置するシートであり、液透過性であることが好ましい。トップシートとしては、例えば、セルロース、レーヨン、コットン等の親水性繊維から形成された不織布や、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリエステル(例えば、PET)、ポリアミド(例えば、ナイロン)等の疎水性繊維から形成された不織布であって、疎水性繊維の表面が界面活性剤により親水化されたもの等を用いることができる。また、トップシートとして、織布、編布、孔が形成されたプラスチックフィルム等を用いてもよい。
バックシートは、使い捨てパンツ型おむつの着用の際に着用者とは反対側、すなわち外側に位置するシートであり、液不透過性であることが好ましい。バックシートとしては、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリエステル(例えば、PET)、ポリアミド(例えば、ナイロン)等の疎水性繊維から形成された不織布や、プラスチックフィルム等を用いることができる。また、不織布とプラスチックフィルムとの積層体を用いてもよい。本発明において、液不透過性とは撥水性の意味も含まれる。
前側帯状部材、後側帯状部材、左右フラップ、外装シートは、液透過性であっても液不透過性であってもよく、トップシートやバックシートに使用可能なシート材料を用いることができる。前側帯状部材、後側帯状部材、左右フラップ、外装シートは、内側シートに外側シートが積層されて形成されることが好ましく、液透過性の内側シートに液不透過性の外側シートが積層されて形成されることがより好ましい。
上記説明した各シート材料として不織布を用いる場合、不織布としては、スパンボンド不織布、エアスルー不織布、ポイントボンド不織布、メルトブロー不織布、エアレイド不織布、SMS不織布等を用いることが好ましい。
吸収性コアは、尿等の排泄物を吸収できる吸収性材料を含むものであれば特に限定されない。吸収性コアとしては、例えば、吸収性材料を所定形状に成形した成形体を用いたり、あるいは吸収性材料を紙シート(例えば、ティッシュペーパーや薄葉紙)や液透過性不織布等のシート部材で覆ったものを用いることができる。吸収性コアに含まれる吸収性材料としては、例えば、セルロース繊維(例えば、粉砕したパルプ繊維)等の親水性繊維や、ポリアクリル酸系、ポリアスパラギン酸系、セルロース系、デンプン・アクリロニトリル系等の吸水性樹脂等が挙げられる。また、吸収性材料には、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン繊維や、PET等のポリエステル繊維、ナイロン等のポリアミド繊維等の熱融着性繊維が含まれてもよい。これらの熱融着性繊維は、尿等の体液との親和性を高めるために、界面活性剤等により親水化処理がされていてもよい。
吸収性材料は、尿等の吸収速度を高める点から、親水性繊維を含むことが好ましい。また、吸収容量を高める点からは、吸収性材料は吸水性樹脂を含むことが好ましい。吸収性材料は、例えば、親水性繊維の集合体に吸水性樹脂を混合または散布したものを用いることが好ましい。