JP6095319B2 - 遮水壁の遮水性能回復方法 - Google Patents
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Description
そこで、地中の微生物を利用して遮蔽機能を自己修復させる技術が提案されている(特許文献1)。
特許文献1には、地中に設けた空洞から周囲の岩盤中にボーリング孔を開け、放射性廃棄物を封じ込める技術が記載されている。このとき、ボーリング孔の掘削時に岩盤に発生したクラックに、圧力を加えて二酸化炭素を注入し、クラック位置における微生物の繁殖を利用してクラックを修復している。
また、特許文献1の方法は、クラックの位置を把握した上で、クラックの位置に圧力を加えて二酸化炭素を注入している。しかし、地中に構築された遮水壁のクラック位置を把握して、クラック位置に圧力を加えて二酸化炭素を注入するのは現実的には困難である。
本発明は、上記事実に鑑み、水の流れを利用して二酸化炭素を供給し、地盤改良体で構築された遮水壁のクラックを閉塞させる遮水性能回復方法を提供することを目的とする。
水位の高い地下水側へ注入(混入)された二酸化炭素が、水位差により地下水と共にクラックから遮水壁に滲入する。
これにより、下記化学反応式で示すように、水中に溶けたCO3 2−がセメントペースト中のCa2+を引き寄せ、炭酸カルシウムの結晶となり、セメントペーストなどに付着する。炭酸カルシウムの結晶が付着すると、水中のカルシウムイオンの減少を補うようにして、Ca2+がコンクリートの内部から移動し、更にCO3 2−と結合する。このような反応が繰り返され、炭酸カルシウムの結晶が次々と生成され、セメントペーストなどに付着沈殿して遮水壁のクラックが徐々に修復される。
H2O+CO2 ⇔ H2CO3 ⇔ H++HCO3 − ⇔ 2H++CO3 2−
Ca2++CO3 2− ⇔ CaCO3(pHWATER > 8)
Ca2++HCO3 − ⇔ CaCO3+H+(7.5<pHWATER < 8)
図1〜図3を用いて、第1実施形態に係る遮水壁10の遮水性能回復方法について説明する。図1、2の平面図、図3の垂直断面図に示すように、遮水壁10は、地盤改良体で平面視が格子状に構築されている。本明細書では便宜上、最外周部10Gのみでなく、格子状部分10Nも含めた地盤改良体全体を遮水壁10と呼ぶ。遮水壁10には、汚染土壌(汚染水を含む)12が封じ込められている。
遮水壁10は、地表面32から上層の砂層18を貫通し、砂層18の下の粘土層20まで到達する深さに構築され、遮水壁10の下端部は粘土層20に根入れされている。これにより、遮水壁10の内部と外部との間で地下水の移動が禁止され、汚染土壌12及び汚染水を、遮水壁10の内部に封じ込めることができる。
なお、一辺がL2で正方形に分割された16個の内部地盤を、その位置により区分けして、少なくとも一つの辺が最外周部10Gと接する部分を外側地盤42A〜42Lと呼び、外側地盤42A〜42Lで周囲が囲まれた部分を内側地盤44A〜44Dと呼ぶこととする(図2参照)。
本実施形態では、地中に構築された遮水壁10のクラックの修復手段として、炭酸カルシウム結晶が生成する化学反応を利用して、コンクリートのひび割れを自己修復する方法を用いている。具体的には、下記の方法で最外周部10Gの遮水性能を回復させる。
なお、炭酸カルシウム結晶を確実に確保するため、地下水に図示しない二酸化炭素を混入させた。これにより、地下水の流れを利用して、最外周部10Gのクラックの閉塞が可能となる。
H2O+CO2 ⇔ H2CO3 ⇔ H++HCO3 − ⇔ 2H++CO3 2−
Ca2++CO3 2− ⇔ CaCO3(pHWATER > 8)
Ca2++HCO3 − ⇔ CaCO3+H+(7.5<pHWATER < 8)
また、水槽24A又は水槽24Bと、外側地盤42A〜42Lとの間には、斜めボーリングで掘削された斜め孔28がそれぞれ設けられ、外側地盤42A〜42Lから水槽24A又は水槽24Bへ、地下水を汲み上げることができる。また、水槽24A又は水槽24Bと内側地盤44A〜44Dとの間には、斜めボーリングで掘削された斜め孔30がそれぞれ設けられ、水槽24A又は水槽24Bから内側地盤44A〜44Dへ、地下水を注水することができる。
他の方法としては、一時的に全ての地下水を、水槽24A、24Bに貯留しておき、クラックの修復後に地下に戻す方法、或いは汲み上げた地下水を浄化して、処分するという方法等がある。しかし、これらの方法は、いずれも保管用の水槽24A、24Bが大規模になりコストが高くなる、水を浄化するコストが高くなる等の問題がある。
地下水位26の勾配を1/1000、遮水壁10の最外周部10Gの一辺L1を50m、内部地盤の分割寸法L2を12.5mとする。この場合、地下水位26の変化は50mで5cmとなる。また、注入孔14A〜14H及び揚水孔16A〜16Hと最外周部10Gとの所定距離L3を50cmとする。これは、本来、所定距離L3は短いほど望ましいため、ボーリングマシンの設置上の制約から、最小値を採用して50cmとした。
Q1=A×v×t
=800cm×5000cm×4×10-4cm/s×10cm/50cm
×86400s
=27,648,000cm3 /日
Q2=50cm×800cm×5000cm×4×0.3
=240,000,000cm3
この地下水の量Q2が、全て最外周部10Gに流れ込み、地下水中の二酸化炭素が遮水壁と接触するのに要する時間tは、
t=240,000,000 ÷ 27,648,000
≒ 9日
となる。即ち、9日目から、地下水に混入させた二酸化炭素により生じたCO3 2−が、最外周部10Gのセメント成分からのCa2+と反応して、炭酸カルシウムCaCO3を生じることで、最外周部10Gのクラックの閉塞を開始する。
H1=0.5m×8m×50m×4÷25m÷25m
=1.28m
上述した最初の水位上昇量30cmと合計すると、地下水位25は1.58mとなる。
Q3=A・v・t
=800cm×5000cm×4×10-5cm/s×10cm/50cm
×1,728,000s
=55,296,000cm3
H2=55.296m3÷25m÷25m÷0.3(間隙比)
=0.29m
地下水位25は、1.58mと合わせて1.87mとなる。この結果から、最初の地下水位(GL−2.0)mに比べて、13cmの余裕があることがわかる。20日経過後、ボーリング孔内にセメントミルクを充填し、ボーリング孔を閉塞して作業終了となる。
図4を用いて、第2実施形態に係る遮水壁40の遮水性能回復方法について説明する。
図4の垂直断面図に示すように、遮水壁40は、建物22から鉛直下方にボーリング孔34、36を掘削する方法である点において、第1実施形態に係る遮水壁10と相違する。相違点を中心に説明する。
即ち、外側地盤42A〜42Lに、建物22の内部から鉛直下方に、それぞれボーリング孔34を掘削する。また、内側地盤44A〜44Dに、建物22の内部から鉛直下方にボーリング孔36を掘削する。
図5を用いて、第3実施形態に係る遮水壁50の遮水性能回復方法について説明する。
図5の垂直断面図に示すように、遮水壁50は、建物22から外側地盤42A〜42Lへ鉛直下方にボーリング孔54を掘削し、更に遮水壁50の外側へボーリング孔56を掘削する方法である。斜めボーリング孔が不要であり、ボーリング孔56の位置が、第2実施形態と相違する。相違点を中心に説明する。
図6を用いて、第4実施形態に係る遮水壁60の遮水性能回復方法について説明する。
図6の断面図に示すように、遮水壁60は、地盤改良体で構築された山留め壁64である点において、第1実施形態に係る遮水壁10と相違する。相違点を中心に説明する。
掘削部70の地盤表面72は、地山部68より下がっており、漏水部66が目視で確認できる。このため、広範囲に二酸化炭素を分散させる必要はなく、漏水部66の背面(地山部68)にボーリング孔62を掘削し、ボーリング孔62から地下水に二酸化炭素を混入させればよい。
この結果、薬液注入により止水処理を行っている現状の対応方法に比べ、安価に漏水部66を修復することができる。
12 汚染土壌
14 注入孔(ボーリング孔)
16 揚水孔(ボーリング孔)
25 地下水位
26 地下水位
27 地下水位
64 山留め壁(遮水壁)
66 漏水部(漏水位置)
68 地山部
Claims (3)
- 地盤改良体で構築された遮水壁の汚染土壌を囲む最外周部の内側に、水を注入又は揚水し、前記最外周部の前記内側と外側とで地下水位に高低差を発生させる工程と、
前記最外周部の前記内側又は前記外側の前記地下水位が高い方へ二酸化炭素を注入する工程と、
を有する遮水壁の遮水性能回復方法。 - 前記遮水壁は格子状に構築されている、
請求項1に記載の遮水壁の遮水性能回復方法。 - 前記最外周部の前記外側を前記内側よりも前記地下水位が高くなるようにし、
前記最外周部の前記外側に前記最外周部に沿って設けられた複数のボーリング孔の隣接する一方から前記地下水を揚水すると共に他方から前記二酸化炭素を注入し、前記二酸化炭素を前記最外周部の壁面に拡散させる工程を有する、
請求項1又は2に記載の遮水壁の遮水性能回復方法。
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